JP2013150539A - 回転電気機械 - Google Patents

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Abstract

【課題】高トルク低回転速度から低トルク高回転速度に至る運転可能領域を拡大することができる回転電気機械を提供する。
【解決手段】固定子の歯部30を少なくとも第一歯部31と第二歯部32とに分割し、両歯部31、32間の磁気抵抗が小さい第一位置と、同磁気抵抗が相対的に大きい第二位置との間で、第二歯部32を第一歯部31に対して相対移動自在とする。前記第二歯部32が第一位置に配置された状態において、(主磁気回路の総磁気抵抗)<(短絡磁気回路の総磁気抵抗)≦(永久磁石間磁気回路の総磁気抵抗)の関係式を満たすように構成されると共に、前記第二歯部32が前記第二位置に配置された状態において、(短絡磁気回路の総磁気抵抗)<(主磁気回路の総磁気抵抗)、および(短絡磁気回路の総磁気抵抗)≦(永久磁石間磁気回路の総磁気抵抗)の両関係式を満たすように構成する。
【選択図】図5C

Description

本発明は、例えば電動自動二輪車その他電動車両や各種電気機械における駆動源用の電動モータとして好適に用いられる回転電気機械に関する。
従来、例えば電動自動二輪車その他電動車両用の駆動源に用いられる電動モータ、あるいは各種電気製品における駆動源に用いられる電動モータとして、永久磁石を備え回転軸を中心に回転する回転子と、その回転子にその半径方向に間隙を隔てて配置された、固定子巻線を備えた固定子とを備えた回転電気機械が広く知られている。
ところで、近年、電動自動二輪車その他の車両の駆動源用電動モータとして、小型かつ高性能なものが求められている。この種の電動モータにおいて、高トルク低速回転領域から低トルク高速回転領域までの運転可能領域が広ければ、内燃機関の車両で通常必要とされる変速機を用いることなく、走行に必要な駆動力を得ることが可能である。
しかしながら、電動モータは、その特性上、低速度領域では高いトルクを発生することができるものの、高速度領域では回転速度の上限が制限されるという特性がある。即ち、電動モータにおいては、その回転数が低い領域では高いトルクを発生することができるものの、回転数が上昇すると回転子に設けられた永久磁石の磁束によって固定子に配置された固定子巻線に生じる誘起電圧(逆起電力)が増加する。そして、回転速度が上昇してある速度に達すると、固定子巻線に誘起される誘起電圧が電動モータの印加電圧と等しくなり、固定子巻線に電流を流せなくなって、それ以上回転数を上げることができなくなる。この問題を解決するために、たとえば弱め界磁制御を行って誘起電圧を低減することが行われている。
この弱め界磁制御は、前記誘起電圧を打ち消すための電流を固定子巻線に供給するものである。従って、外部から電力を供給できる状況で用いられる電動モータであれば、消費電力の増大が駆動可能時間の短縮をもたらすことはない。しかし、例えば電動自動二輪車のように、外部からの電力供給がなされず、バッテリーに蓄積された電力のみで駆動される電動モータを備えたものにあっては、そのバッテリー容量が有限である。そのため、固定子巻線に誘起される誘起電圧を打ち消すための電流を別途供給するとその分消費電力が増大し、それだけ駆動可能時間が短縮してしまう。従って、できるだけ消費電力を減らしたいという要請がある。
そこで、本発明者は、新たな電力消費を招く弱め界磁制御に代わる方法として、固定子の構造を工夫する方法を提案した。即ち、固定子における巻線が配置される歯部を少なくとも2つの歯部に分割し、その分割された2つの歯部を相対移動可能として、その相対移動によって磁束の流れを変えて高速回転時に固定子巻線に鎖交する回転子の磁束を減少させることを提案した。この提案によれば、高速回転時には固定子巻線の磁束鎖交数を物理的手段によって調整することができるので、弱め界磁制御の際に必要な電力を低減ないしは不要とすることができ、ひいては電力損失を低減することができる回転電気機械を提供することができた。
ところで、この種の回転電気機械においても、高トルク低速回転領域から低トルク高速回転領域までの運転可能領域をより一層拡大することが望まれていた。
特開2006−191782号公報
本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、高トルク低回転速度から低トルク高回転速度に至る運転可能領域をより一層拡大することができる回転電気機械を提供することを目的とするものである。
本発明は、他の側面によると、回転子の永久磁石として強力な永久磁石を用いた場合であっても、高トルク低回転速度から低トルク高回転速度に至る運転可能領域を拡大することができ、かつ永久磁石に生ずるジュール損の発生を抑制することができる、いわゆるラジアルギャップ型回転電気機械を提供することを目的とするものである。
更に、この発明のその他の目的及び利点は、以下の好ましい実施形態から明らかになるであろう。
以下に、本発明に係る回転電気機械の構成について説明する。
本発明に係る回転電気機械は、円柱状の回転子本体に複数の永久磁石が埋め込み状態に配置され、回転軸を中心に回転する回転子と、前記回転子の半径方向の外側に、前記回転子本体の外周縁部に対向するように該外周縁部から間隙を介して配置された円筒状の固定子とを備えている。
前記固定子は、前記固定子の周方向に間隔を隔てて配置された複数の歯部と、前記各歯部と共に固定子磁路を形成する固定子ヨーク部と、前記各歯部の周囲に配置された巻線と、前記固定子ヨーク部と前記各歯部とで構成される前記固定子磁路を機械的に変更して該固定子磁路の磁気抵抗値を変更する磁気抵抗変更機構とを備え、前記各歯部は、胴部と、該胴部の回転子側の端部における前記周方向の両側に側方突出状に延びた一対の側方突出部とを備えている。
前記磁気抵抗変更機構は、前記固定子磁路の磁気抵抗が小さい第一状態と、該第一状態よりも相対的に前記固定子磁路の磁気抵抗が大きい第二状態との間で、前記固定子磁路を機械的に変更するように構成され、
前記一状態において、
(主磁気回路の総磁気抵抗)<(短絡磁気回路の総磁気抵抗)≦(永久磁石間磁気回路の総磁気抵抗)
の関係式を満たすように構成されると共に、
前記第二状態において、
(短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)<(主磁気回路C1の総磁気抵抗)、および
(短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)≦(永久磁石間磁気回路C3の総磁気抵抗)
の両関係式を満たすように構成されている。
前記主磁気回路は、前記隣接する一対の永久磁石のうちの一方の永久磁石の一方の磁極から、隣接する一対の前記歯部のうちの一方の歯部の前記固定子ヨーク部側を経て前記隣接する一対の歯部のうちの他方の歯部、および前記一対の永久磁石のうちの他方の永久磁石を経て、前記一方の永久磁石の他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義される。
前記短絡磁気回路は、前記隣接する一対の永久磁石のうちの一方の永久磁石の一方の磁極から、前記歯部の胴部における前記回転子側の端部および前記側方突出部を除いた前記半径方向外側の部分を経由することなく、前記隣接する一対の永久磁石の他方の前記永久磁石を経て、前記一方の永久磁石の他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義される。
前記永久磁石間磁気回路は、前記隣接する一対の永久磁石の一方の永久磁石の一方の磁極から、前記歯部の胴部における前記回転子側の端部および前記側方突出部を除いた前記半径方向外側の部分を経由することなく、前記隣接する一対の永久磁石の間の中間領域を経て、前記一方の永久磁石の他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義される。
前記磁気抵抗変更機構は、前記歯部が前記回転軸の半径方向に分割された複数個の分割歯部を有し、これら複数個の分割歯部のうち少なくともいずれか1つの分割歯部が他の分割歯部に対して前記回転軸の周方向に相対移動自在な可動分割歯部を構成し、該可動分割歯部が、前記第一状態と前記第二状態との間で移動自在となされたものであっても良い。
好ましくは、前記回転子として、隣接する前記永久磁石間の中間領域に、前記外周縁部の外周面から半径方向内側に向かってのびた切欠部が形成されたものを用いる。また、前記回転子として、前記外周縁部に周方向に沿って複数の永久磁石嵌め込み用スリットが形成され、該スリットに前記永久磁石が挿入されたものを用いることが好ましい。好ましくは、前記各永久磁石における前記周方向の端部と前記切欠部との間に、前記永久磁石の半径方向外側に位置する前記回転子本体の外周縁部を構成する鉄心部分とその反対側に位置する鉄心部分とを連結する連結壁を有する。
前記各永久磁石は、前記周方向に二分割され、互いに離間状態に配置された一対の分割永久磁石片からなり、前記一対の分割永久磁石片は、前記回転子本体の外周縁部にその外周面から前記半径方向内側に位置した状態で埋設状態に配置されると共に、前記各分割永久磁石片の前記周方向の外側端部がそれぞれ前記切欠部に露出した状態となされたものであっても良い。前記各永久磁石の半径方向外側に配置された前記回転子本体の外周縁部が、前記一対の分割永久磁石片の間に延びた中央連結壁によって前記回転子本体に連結固定されているものとしても良い。
この発明の他の側面によると、回転電気機械は、
円柱状の回転子本体に複数の永久磁石が埋め込み状態に配置され、回転軸を中心に回転する回転子と、
前記回転子の半径方向の外側に、前記回転子本体の外周縁部に対向するように該外周縁部から間隙を介して配置された円筒状の固定子とを備え、
前記固定子は、
前記固定子の周方向に間隔を隔てて配置された複数の歯部を有し、
前記複数の歯部のそれぞれの歯部は、前記半径方向に複数個に分割され、少なくとも前記回転子本体の前記外周縁部に前記間隙を介して対向するように配置された第一歯部と、前記半径方向の最も外側に配置された第二歯部とを含む複数の分割歯部を有し、
前記固定子は、更に、前記第二歯部が固定された円筒状の固定子ヨーク部と、前記歯部の周囲に配置された巻線とを有し、
前記各歯部における前記第一歯部は、胴部と、該胴部の回転子側の端部における前記周方向の両側に側方突出状に延びた一対の側方突出部とを備え、
前記各歯部における前記複数の分割歯部のうちの少なくともいずれか1の分割歯部が、他の分割歯部に対して前記周方向に相対移動自在な可動分割歯部を構成し、
前記可動分割歯部は、前記各歯部における前記複数の分割歯部で形成される磁路の磁気抵抗が小さい第一位置と、該第一位置における前記磁気抵抗よりも相対的に磁気抵抗が大きい第二位置との間で相対移動自在となされ、
前記可動分割歯部が前記第一位置に配置された状態において、
(主磁気回路の総磁気抵抗)<(短絡磁気回路の総磁気抵抗)≦(永久磁石間磁気回路の総磁気抵抗)
の関係式を満たすように構成されると共に、
前記可動分割歯部が前記第二位置に配置された状態において、
(短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)<(主磁気回路C1の総磁気抵抗)、および
(短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)≦(永久磁石間磁気回路C3の総磁気抵抗)
の両関係式を満たすように構成され、
前記主磁気回路は、前記隣接する一対の永久磁石のうちの一方の永久磁石の一方の磁極から、隣接する一対の前記歯部のうちの一方の歯部の前記固定子ヨーク部側を経て前記隣接する一対の歯部のうちの他方の歯部、および前記一対の永久磁石のうちの他方の永久磁石を経て、前記一方の永久磁石の他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義され、
前記短絡磁気回路は、前記隣接する一対の永久磁石のうちの一方の永久磁石の一方の磁極から、前記第一歯部の胴部における前記回転子側の端部および前記側方突出部を除いた前記半径方向外側の部分を経由することなく、前記隣接する一対の永久磁石の他方の前記永久磁石を経て、前記一方の永久磁石の他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義され、
前記永久磁石間磁気回路は、前記隣接する一対の永久磁石の一方の永久磁石の一方の磁極から、前記第一歯部の胴部における前記回転子側の端部および前記側方突出部を除いた前記半径方向外側の部分を経由することなく、前記隣接する一対の永久磁石の間の中間領域を経て、前記一方の永久磁石の他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義される。
前記回転子は、隣接する前記永久磁石間の中間領域に、前記外周縁部の外周面から半径方向内側に向かってのびた切欠部が形成されたものであっても良い。
前記回転子は、前記外周縁部に周方向に沿って複数の永久磁石嵌め込み用スリットが形成され、該スリットに前記永久磁石が挿入されると共に、隣接する一対の前記永久磁石間の中間領域に、前記外周縁部の外周面から前記半径方向の内側に向かってのびた切欠部が形成されたものであっても良い。
前記各永久磁石における前記周方向の端部と前記切欠部との間に、前記永久磁石の前記半径方向の外側に位置する前記回転子本体の外周縁部を構成する鉄心部分とその反対側に位置する鉄心部分とを連結する連結壁を有するものとしても良い。
前記各永久磁石は、前記周方向に二分割され、互いに離間状態に配置された一対の分割永久磁石片からなり、前記一対の分割永久磁石片は、前記回転子本体の外周縁部にその外周面から前記半径方向内側に位置した状態で埋設状態に配置されると共に、前記各分割永久磁石片の前記周方向の外側端部がそれぞれ前記切欠部に露出した状態となされたものとしても良い。前記各永久磁石の前記半径方向外側に配置された前記回転子本体の外周縁部が、前記一対の分割永久磁石片の間に延びた中央連結壁によって前記回転子本体に連結固定されたものとしても良い。
前記各歯部は、前記半径方向に2分割されて、前記回転子本体の前記外周縁部に前記間隙を介して対向するように配置された第一歯部と、該第一歯部の前記半径方向外側に間隙を介して配置された第二歯部とを含み、前記第二歯部が、前記第一歯部に対して前記周方向に相対移動自在となされたものとしても良い。
前記第一位置は、前記複数の分割歯部が前記半径方向に整列してこれら分割歯部で構成される磁気回路の磁気抵抗が最小になる磁気抵抗最小位置として定義されると共に、前記第二位置は、前記可動分割歯部が他の分割歯部に対して前記周方向に相対移動してこれら分割歯部で構成される磁気回路の磁気抵抗が最大になる磁気抵抗最大位置として定義され、前記可動分割歯部が前記磁気抵抗最小位置と前記磁気抵抗最大位置との間の任意の位置で連続的または不連続的に相対移動可能となされたものとしても良い。
前記回転子の前記外周縁部と前記歯部の前記第一歯部との間の磁気抵抗をR、前記第一位置における前記第一歯部と前記第二歯部との間の磁気抵抗をRk1、前記第二位置における前記第一歯部と前記第二歯部との間の磁気抵抗をRk2、前記隣接する一対の第一歯部における隣接する前記側方突出部相互間の磁気抵抗をR、前記隣接する永久磁石の間の中間領域の磁気抵抗をRとそれぞれ定義した場合、
前記可動分割歯部が前記第一位置に配置された状態において、
(2R+2Rk1)<(2R+R)≦(R
の関係式を満たすように構成されると共に、
前記可動分割歯部が前記第二位置に相対移動した状態において、
(2R+R)<(2R+2Rk2)、および
(2R+R)≦(R
の両関係式が満たされたものとしても良い。
上記いずれの回転電気機械においても、前記永久磁石として、ネオジウム磁石を用いても良い。
この発明の更に他の側面によると、前記回転電気機械を備えた乗り物を提供することができる。
この発明の更に他の側面によると、前記回転電気機械を備えた電気製品を提供することができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、高速度回転領域における回転速度の上限を拡大して運転可能領域をより一層拡大することを可能とした回転電気機械を提供することができる。また、従来の弱め界磁制御における界磁制御のための電力を低減ないしは不要とすることを可能とした回転電気機械を提供することができる。更には強力な永久磁石を採用した場合においても、低速回転領域で高いトルクを得ることができると共に、高速度回転領域における回転速度の上限を拡大して運転可能領域を拡大することができる。しかも永久磁石に生ずるジュール損の発生を低減して効率の低下を抑制すると共に、ジュール損による発熱に起因する永久磁石自体の保磁力および残留磁束密度の低下を抑制し、ひいては電動モータの効率の低下を抑制することができる回転電気機械を提供することが可能となる。
図1は、この発明の第1実施形態に係る回転電気機械の概略構成を示す断面図である。 図2は、前記回転電気機械の主要構成部材を順次軸方向に引き出した状態で示す斜視図である。 図3は、前記回転電気機械の固定子と回転子の断面図である。 図4Aは、図3の4−4線に沿って切断した断面図であり、第二歯部が第一歯部に対して正対した第一位置にある状態を示す。 図4Bは、図4Aに対応する断面図であり、第二歯部が第一歯部に対して相対移動して第二位置にある状態を示す。 図5Aは、図4Aに示した第一位置状態における部分拡大断面図である。 図5Bは、図5Aにおける永久磁石間の付近を拡大して示した断面図である。 図5Cは、図4Bに示した第二位置状態における部分拡大断面図である。 図6Aは、図4Bに示した第二位置状態において、回転子が回転した場合における磁束の流れを示す説明図である。 図6Bは、図6Aに示した状態から回転子が更に反時計回り方向に回転した場合における磁束の流れを示す説明図である。 図6Cは、図6Bに示した状態から回転子が更に反時計回り方向に回転した場合における磁束の流れを示す説明図である。 この発明の第2実施形態に係る回転電気機械に用いられる回転子の断面図である。 図8Aは、第2実施形態において図4Bに示した第二位置に対応する状態で、回転子が回転した場合における磁束の流れを示す説明図である。 図8Bは、図8Aに示した状態から回転子が更に反時計回り方向に回転した場合における磁束の流れを示す説明図である。 図8Cは、図8Bに示した状態から回転子が更に反時計回り方向に回転した場合における磁束の流れを示す説明図である。 図9Aは、この発明の関連技術としての回転電気機械を示す概略断面図であり、第二歯部が第一歯部に対して正対した第一位置にある状態を示す。 図9Bは、図9Aに示す回転電気機械において、第二歯部が第一歯部に対して相対移動して第二位置にある状態を示す概略断面図である。 図10は、この発明の実施形態に係る回転電気機械を装備した車輌を示す概略図である。 図11は、この発明の実施形態に係る回転電気機械を装備した電気製品の概略図である。
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。本発明の実施形態に係る回転電気機械としての電動モータは、高トルク・低速回転および低トルク・高速回転が要求される、例えば電動自動二輪車その他車輌を含む各種乗り物Vにおける主たる駆動源あるいは補助駆動源として好適に使用されるものである(図10参照)。もっとも、この発明に係る回転電気機械は、このような車輌用の用途に限定されるものではなく、他に例えば、洗濯機等の家電製品やDVDプレーヤ等のOA機器等の電気製品Eにおける駆動源としての電動モータとしても好適に用いられるものである(図11参照)。
先ず、本発明の開発経緯について説明する。市場においては、より一層高性能な回転電気機械が望まれていた。そこで本発明者は、例えばネオジム磁石のような、より強力な磁力を有する永久磁石片を採用することにより、更なる性能の向上を試みた。すなわち、本発明者は、いわゆるラジアルギャップ型回転電気機械において、前記永久磁石Mとして強力な永久磁石を採用すべく種々実験と研究を行った。具体的には、このラジアルギャップ型回転電気機械は、図9Aおよび図9Bに示すように、回転軸101を中心に回転する円筒状の回転子本体110の周縁部に複数個の永久磁石Mを周方向に一定の間隔を隔てて埋め込み状態に配置した回転子102と、その回転子102の外周縁部の半径方向外側に間隙を介して対向するように配置された円筒状の固定子103とで構成されたものである。更に具体的には以下のような構成を有するものとした。
前記永久磁石片Mとして、軸方向に沿ってのびた断面矩形状の板状に形成されたものを用いた。この永久磁石片Mは、前記回転子本体110の外周縁部に、その外周面から半径方向に所定距離だけ内側に位置するような態様で形成された、対応断面形状のスリットS内に軸方向に沿ってはめ込まれた状態で埋設固定した。従って、永久磁石片Mは、回転子本体110がその回転軸101を中心に高速で回転しても、スリットS内に固定されて遠心力で半径方向外側に飛び出さないようにされている。
前記固定子103を、前記回転子102の半径方向外側に該回転子の外周縁から所定の間隙を介して対向するように同軸状に配置した。前記固定子103は、前記回転子102の半径方向外側に前記間隙を隔てた状態で、前記回転子102の周方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部130を有するものとした。各歯部130は、その回転子側の端部とは反対側の端部に近い部位において、半径方向に分割して2つの分割歯部、即ち前記回転子側に近い第一歯部131とその外側に配置された第二歯部132とを有するものとした。これら第一歯部131と第二歯部132とは、相対移動が可能となるように所定の間隙を隔てて配置されている。
前記各第一歯部131は、その回転子側の端部の端縁を回転子102の外周形状に対応した円弧状に形成すると共に、その回転子側の端部の周方向の両側部にそれぞれ周方向に沿って延びた側方突出部131a、131aを一体的に形成した。前記各第一歯部131には、それぞれ巻線(図示略)を施した。
そして、図9Aに示すように第一歯部131と第二歯部132とが半径方向に一致して正対する位置と、図9Bに示すように、第二歯部132が隣接する一対の第一歯部131、131の中間に位置する位置との間で、可動分割歯部としての第二歯部132を第一歯部131に対する相対位置を連続的に自在に変更することができるものとした。
上記構成の電動モータを用いて前記可動分割歯部としての第二歯部132を周方向に移動させて第一歯部131に対する相対位置を変更してシュミレーション解析を行った。その結果、可動分割歯部としての第二歯部132を周方向に移動させて第一歯部131に対する相対位置を変更することによって、従来の弱め界磁制御における界磁制御のための電力を必要とすることなく、高速度回転領域の上限を拡大して運転可能領域を拡大することができることを確認した。
しかし、その一方において、本発明者が更なる実験、研究を繰り返したところ、以下のような問題点を有するものであることを知見するに至った。即ち、前記可動分割歯部としての第二歯部132を周方向に移動させて第一歯部131に対する相対位置を変更して、第二歯部132を前記第二位置に移動させた状態で、電動モータを運転すると、確かに高速度回転領域の上限を拡大して運転可能領域を拡大することができるものの、電動モータの効率が低下することを知見するに至った。
その原因を解明すべく、本件発明者が、更に鋭意研究、実験、解析を行ったところ、第二歯部132を前記第二位置に移動させた状態で、電動モータを運転すると、永久磁石内に大きな磁束変化が生じ、永久磁石内に渦電流が発生してジュール損が生じモータの効率が低下することを突き止めた。また、その渦電流によるジュール損で永久磁石が発熱して、その発熱に起因して永久磁石自体の保磁力および残留磁束密度が低下し、ひいては電動モータの効率が低下するということも解明した。
また、本件発明者は、可動分割歯部132の位置如何によって、「主磁気回路の総磁気抵抗」、「短絡磁気回路の総磁気抵抗」、「永久磁石間磁気回路の総磁気抵抗」との関係を適切に設定することによって、高速度回転領域の上限を拡大して運転可能領域を拡大しつつ、上記問題を解消することができることを解明して、本件発明を完成させるに至ったのである。以下、この発明を具体的な実施形態に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1ないし図6は、本発明の第1実施形態に係る、電動自動二輪車用の電動モータとして好適に使用されるラジアルギャップ型電動モータを示す概略断面図である。これら図面に示すように、このラジアルギャップ型電動モータは、主要構成部材として、複数個の永久磁石片Mを外周縁部に周方向に一定の間隔を隔てて配置され、回転軸1を中心に回転する円柱状の回転子2と、その回転子2の外周縁部の半径方向外側に間隙を隔てて対向するように配置された円筒状の固定子3と、この固定子3を構成する後述する可動分割歯部32を相対移動させるための回動機構4とを備えている。前記回転子2は、図2に示すように、軸心に前記回転軸1が設けられた円筒状の回転子本体10を有する。この回転子本体10の外周縁部には、断面矩形状の板状の永久磁石片Mが周方向に沿って一定間隔を隔てて合計6個配置されている。
この各永久磁石片Mとしては、強力な磁場を作ることができる、例えばネオジム(ネオジウム)磁石等を好適に用いることができる。本発明者は、特にこのような強力な永久磁石を用いた場合、その永久磁石、回転子および固定子の形状や配置如何によっては、前記永久磁石にジュール損が発生して発熱し、効率が大幅に低下し、また永久磁石の保磁力および残留磁束密度が低減してモータの特性が悪化することがあることを見出した。もっともこのような問題は、必ずしも強力な永久磁石を用いる場合に限定されるものではなく、従来汎用されている通常の磁力を有する永久磁石を用いた場合にも程度の差こそあれ生ずるものである。本件発明に係る回転電気機械においては、後述する新たな構造に係る提案により、上記問題点が解消されるようになされている。
図2に示すように、前記永久磁石片Mは、軸方向Xに沿ってのびた断面矩形状の板状に形成されたものである。この永久磁石片Mは、図3に示すように、前記回転子本体10の外周縁部に、その外周面から半径方向内側に所定距離だけ位置するような態様で形成された断面横長矩形状スリットS内に軸方向に沿ってはめ込まれた状態で埋設固定されている。従って、永久磁石片Mは、回転子本体10がその回転軸1を中心に高速で回転しても、スリットS内に固定されて遠心力で半径方向外側に飛び出さないようになされている。
前記スリットSの幅寸法は、例えば図5Aに示すように、永久磁石片Mの幅寸法より若干長く形成されており、永久磁石片Mをはめ込んだ状態において該永久磁石片Mの両端にエアギャップS1が形成され、フラックスバリアを構成するものとなされている。また、前記回転子本体10の外周縁には、その外周面から半径方向内側に向かって断面略V字状の切り込み11が軸方向Xに沿って形成されている。而して、この切り込み11の両側には、永久磁石片Mの上下の鉄心部分を連結する連結壁9が一体的に形成されている(例えば図6A参照)。
前記回転子本体10は、例えば打ち抜き加工により所定形状に成形された多数枚の薄いケイ素鋼板を軸方向Xに沿って張り合わせることにより形成されたものであり、これにより回転子本体10内の磁束の変化に起因する渦電流損の低減が図られている。
前記固定子3は、前記回転子2の半径方向外側に所定の間隙を隔てて対向するように同軸状に配置されている。図2に示すように、この固定子3は、前記回転子本体2の外周に前記間隙を隔てて回転子2と同軸に配置された円筒状の第一固定子部3Aと、その第一固定子部3Aの半径方向外側に所定間隙を隔てて第一固定子部3Aに対して周方向に相対移動可能な状態で、前記回転子2と同軸に配置された円筒状の第二固定子部3Bとを有する。
前記固定子3は、図4Aに示すように、前記回転子2の半径方向外側に前記間隙を隔てた状態で、前記回転子2の周方向に沿って所定間隔で配置された複数の歯部30を有する。各歯部30は、その回転子側の端部とは反対側の端部に近い部位において、半径方向に分割されて2つの分割歯部、即ち前記回転子側に近い第一歯部31とその外側に配置された第二歯部32とを有する。
これら第一歯部31と第二歯部32とは、相対移動が可能となるように所定の間隙を隔てて配置されている。これら第一歯部31と第二歯部32との間隙は、第一歯部31の回転子側の端縁と回転子2の外周縁との間隔よりも小さく設定されている。即ち、第一歯部31と第二歯部32とが半径方向に一致して正対する状態における両歯部間の磁気抵抗Rkは、第一歯部31の回転子側の端縁と回転子2の外周縁との間の磁気抵抗Rhよりも小さく設定されている。
前記各第一歯部31は、その回転子側の端部の端縁が回転子2の外周形状に対応した円弧状に形成されると共に、その回転子側の端部の周方向の両側部にはそれぞれ周方向に沿って延びた側方突出部31a、31aが一体的に形成されている(図5A参照)。
隣り合う第一歯部31、31の側方突出部31a、31a相互間の間隔は、第一歯部31と第二歯部32との間隔よりも大きく設定されている。具体的には、隣り合う第一歯部31、31の側方突出部31a、31a間の磁気抵抗Rjが、第一歯部31と第二歯部32とが半径方向に一致して正対する状態における両歯部間の磁気抵抗Rk(Rk1)の2倍の磁気抵抗2Rk(2Rk1)よりも大きくなるように、前記側方突出部31a、31a相互間の間隔が設定されている(図5A参照)。
前記各第一歯部31には、それぞれ巻線40が施されている。図2に示すように、これら巻線40が施された複数の第一歯部31は樹脂モールドによって円筒状の第一固定子部3Aを構成している。前記巻線40としては、単一の巻線であっても良く、また複数の別個独立した巻線であっても良い。この実施形態では、単一の巻線が採用されている。
前記各第二歯部32は、図5Aに示すように、円筒状の固定子ヨーク部50の内周面から内側突出状に一体的に設けられたものであり、前記第一歯部31と対応するように配置されている。この実施形態では、第二歯部32は、固定子ヨーク部50と一体構造となされているが、固定子ヨーク部50とは別構造として形成し、第二歯部32を固定子ヨーク部50に連結固定するようにしても良い。図2に示すように、これら第二歯部32と固定子ヨーク部50は円筒状の第二固定子部3Bを構成している。
前記第二固定子部3Bを構成する前記固定子ヨーク部50の外周面には、図2に示すように、周方向の一部の領域に、複数の歯からなるギア部51が、固定子ヨーク部50の長さ方向の全長に亘って形成されている。このギア部51には、図1に示すように、前記回動機構4の駆動モータ4aによって減速機構4bを介して回転駆動される歯車4cが噛み合わされている。
前記駆動モータ4aは、図示しないコントローラによって正逆両方向に回転駆動するように構成されており、このモータの回転力が減速機構4bを介して歯車4cに伝達される。この歯車4cの回転は、固定子ヨーク部50(第二固定子部3B)のギア部51に伝達され、第二固定子部3Bが、第一固定子部3Aに対して周方向に相対移動され、ひいては第二歯部32が第一歯部31に対して周方向に一定範囲で相対移動自在となされている。このように駆動モータ4aを制御することによって、第一歯部31と第二歯部32との相対位置を任意かつ連続的または非連続的に変更することができる。
而して、前記駆動モータ4aを制御することによって、図4Aに示すように、第一歯部31と第二歯部32とが半径方向に一致して正対しこれら両歯部で構成される磁路の磁気抵抗Rk1が最小となる磁気抵抗最小位置と、図4Bに示すように、第二歯部32が隣接する一対の第一歯部31、31の中間に位置して両歯部31、32で構成される磁路の磁気抵抗Rk2が最大となる磁気抵抗最大位置との間で、可動分割歯部としての第二歯部32の第一歯部31に対する相対位置を連続的または不連続的に自在に変更することができる。
図4Aに示す磁気抵抗最小位置を第一位置とし、図4Bに示す磁気抵抗最大位置を第二位置とそれぞれ定義すると、それら第一位置と第二位置との間で、前記可動分割歯部(第二歯部32)が移動するように制御される。
もっとも、この発明においては、第一位置および第二位置は、必ずしも磁気抵抗最小位置と磁気抵抗最大位置にそれぞれ完全に一致させることを必要とするものではない。例えば、本発明は、磁気抵抗最小位置と磁気抵抗最大位置との間の任意の二点を第一位置および第二位置として定義し、これら第一位置と第二位置との間で可動分割歯部(第二歯部)32を移動制御するように構成することも許容するものである。また、この発明においては、請求項1で定義したように、固定子ヨーク部50と歯部30とで構成される固定子磁路の磁気抵抗が小さい状態を第一状態と定義すると共に、該第一状態よりも相対的に前記固定子磁路の磁気抵抗が大きい状態を第二状態と定義した場合に、固定子磁路が機械的に変更されて、第一状態と第二状態とが転換自在となされる場合も含むものである。以下、第一位置と第二位置という概念を用いて説明するが、これらを第一状態及び第二状態という概念で置き換えた場合においても、同様の作用効果を奏するものであると理解されるべきである。
この実施形態では、歯部30が半径方向に二分割されたものを例示しているが、これに限定されるものではない。この発明では、歯部30を、例えば半径方向に3つ以上に分割したものであっても良い。歯部30が3つ以上に分割されたものである場合、前記回転子2の最も近くに配置された分割歯部が第一歯部31、その反対側の最も外側に配置された分割歯部が第二歯部32として定義される。このように3分割あるいはそれ以上に分割されたものである場合、複数の分割歯部のうちの少なくともいずれか1の分割歯部を、他の分割歯部に対して相対移動自在な可動分割歯部として構成し、その相対移動によって分割歯部で構成される磁路の磁気抵抗を調整可能なものとすれば良い。
また、この実施形態では、各歯部を第一歯部31と第二歯部32とに分割したものとして説明しているが、以下のような構成としても把握することができる。即ち、第一歯部31が歯部30を構成し、第二歯部32と固定子ヨーク部50とが固定子ヨーク部を構成し、固定子ヨーク部の内周面に凹部50a(図5A参照)が形成され、該固定子ヨーク部50が歯部(第一歯部31)に対して周方向に移動自在となされた構成としても把握することができる。このように、歯部30が半径方向に分割されていない構成として把握した場合、固定子3は、固定子ヨーク部50と歯部30とで構成される固定子磁路が機械的に変更されて該固定子磁路の磁気抵抗値が変更する磁気抵抗変更機構を備えたものであると把握することができる。このような把握の仕方如何に拘わらず、同じ作用効果を奏するものである。上記磁気抵抗変更機構は、この実施形態に示したような歯部を分割したタイプに限定されるものではなく、固定子ヨーク部50と歯部30とで構成される固定子磁路を機械的に変更して該固定子磁路の磁気抵抗値を変更することができるものであれば、他の如何なる構成を有するものであっても良い。例えば、磁気抵抗変更機構の他の具体例として、各歯部を分割することなく、固定子ヨーク部50をその周方向に分割して固定子ヨーク部50の一部に磁気ギャップを設け、この磁気ギャップの間隔を調整可能としたものを挙げることができる。
前記可動分割歯部としての第二歯部32が、前記第一位置に配置された状態において、以下の関係式を満たすように構成されている(図5A参照)。
(主磁気回路C1の総磁気抵抗)(2Rh+2Rk(2Rk1))<(短絡磁気回路C2の総磁気抵抗(2Rh+Rj))≦(永久磁石間磁気回路C3の総磁気抵抗(Rx))
また、前記可動分割歯部としての第二歯部32が、前記第二位置に配置された状態おいて、以下の両関係式AおよびBを満たすように構成されている(図5C参照)。
関係式A:(短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)(2Rh+Rj)<(主磁気回路C1の総磁気抵抗)(2Rh+2Rk(2Rk2))、および
関係式B:(短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)(2Rh+Rj)≦(永久磁石間磁気回路C3の総磁気抵抗)(Rx)
ここに、主磁気回路C1、短絡磁気回路C2、および永久磁石間磁気回路C3は、以下のように定義される。
前記主磁気回路C1は、図5Aおよび図5Cに示すように、前記隣接する一対の永久磁石片M、Mのうちの一方の永久磁石片Mの一方の磁極(図では半径方向外側の磁極)から、隣接する一対の前記歯部30、30のうちの一方の歯部30から前記固定子ヨーク部側を経て前記隣接する一対の歯部30、30のうちの他方の歯部30、および前記一対の永久磁石M、Mのうちの他方の永久磁石Mを経て、前記一方の永久磁石Mの他方の磁極(図では半径方向内側の磁極)に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義される。
より具体的には、前記主磁気回路C1は、図5Aに示すように、前記可動分割歯部32が第一歯部31と正対した第一位置にある場合には、前記隣接する一対の永久磁石片M、Mのうちの一方の永久磁石片Mの一方の磁極から、隣接する一対の前記歯部30、30のうちの一方の歯部30の第一歯部31、第二歯部32、前記固定子ヨーク部50を経て、前記隣接する一対の歯部30、30のうちの他方の歯部30の第二歯部32、第一歯部31、前記一対の永久磁石M、Mのうちの他方の永久磁石Mを経て、前記一方の永久磁石Mの他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義される。
一方、前記主磁気回路C1は、図5Cに示すように、前記可動分割歯部32が反時計回り方向に移動して隣接する第一歯部31、31の間に位置した第二位置にある場合には、前記隣接する一対の永久磁石片M、Mのうちの一方の永久磁石片Mの一方の磁極から、隣接する一対の前記歯部30、30のうちの一方の歯部30の第一歯部31、該第一歯部31の固定子ヨーク部側の端部、これに対応する第二歯部32の端部、同第二歯部32、同第二歯部32の反対側の端部、前記隣接する一対の歯部30、30のうちの他方の歯部30の第一歯部31の固定子ヨーク部側の端部、該第一歯部31、前記一対の永久磁石M、Mのうちの他方の永久磁石Mを経て、前記一方の永久磁石Mの他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義される。このように第二歯部32が第二位置にある状態では、主たる磁束は、固定子ヨーク部50側においては、第二歯部32を主として通過し、固定子ヨーク部50にはあまり通過しない。
勿論、永久磁石Mの磁束は、第二歯部32の位置如何に拘わらず、前記経路以外にも漏れ磁束として、例えば隣り合う第一歯部31、31間をも通過するものであるが、この発明においては、主たる磁束経路をもって磁気回路を定義している。これは、主磁気回路C1のみならず、短絡磁気回路C2および永久磁石間磁気回路C3にも当てはまるものとして理解されるべきである。
前記短絡磁気回路C2は、図5Aおよび図5Cに示すように、前記隣接する一対の永久磁石片M、Mのうちの一方の永久磁石片Mの一方の磁極から、前記第一歯部31の胴部における前記回転子側の端部および前記側方突出部31aを除いた前記半径方向外側の部分を経由することなく、前記隣接する一対の永久磁石M、Mのうちの他方の前記永久磁石Mを経て、前記一方の永久磁石Mの他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義される。
より具体的には、前記短絡磁気回路C2は、例えば図6Bに示すように、隣接する永久磁石M、Mの隣接する端部が、隣接する歯部30、30における第一歯部31、31の隣接する側方突出部31a、31aに対応する位置にある場合には、前記隣接する一対の永久磁石片M、Mのうちの一方の永久磁石片Mの一方の磁極から、隣接する一対の前記歯部30、30のうちの一方の歯部30の前記第一歯部31の回転子側の端部、該回転子側の端部の一方の前記側方突出部31a、該一方の側方突出部31aに隣接する、前記隣接する一対の歯部30、30のうちの他方の歯部30の前記第一歯部31の前記側方突出部31a、該他方の歯部30の第一歯部31の前記回転子側の端部、前記隣接する一対の永久磁石片M、Mのうちの他方の前記永久磁石片Mを経て、前記一方の永久磁石片Mの他方の磁極に至る経路を主たる経路とする磁気回路C2として定義される。
また、前記短絡磁気回路C2は、例えば図6Aあるいは図6Cに示すように、隣接する永久磁石M、Mの隣接する端部が、歯部30における第一歯部31の側方突出部31aに対応する位置にある場合には、以下の経路を主たる経路とする磁気回路として定義される。即ち、前記隣接する一対の永久磁石片M、Mのうちの一方の永久磁石片Mの一方の磁極から、前記第一歯部31の側方突出部31aを経て、前記隣接する一対の永久磁石片M、Mのうちの他方の前記永久磁石片M、前記一方の永久磁石片Mの他方の磁極に至る経路を主たる経路とする磁気回路C2として定義される。
このように短絡磁気回路C2は、回転子2の永久磁石Mと、固定子2の第一歯部31との相対位置によってその磁気経路は若干異なるが、前述したとおり、前記隣接する一対の永久磁石片M、Mのうちの一方の永久磁石片Mの一方の磁極から、前記第一歯部31の胴部における前記回転子側の端部および前記側方突出部31aを除いた前記半径方向外側の部分を経由することなく、前記隣接する一対の永久磁石M、Mのうちの他方の前記永久磁石Mを経て、前記一方の永久磁石Mの他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義されるものである。
前記永久磁石間磁気回路C3は、図5Aに示すように、前記隣接する一対の永久磁石片M、Mの一方の永久磁石片Mの一方の磁極から、前記第一歯部31における前記回転子側の端部および前記側方突出部31aを除いた前記半径方向外側の部分を経由することなく、前記隣接する一対の永久磁石片M、Mの間の中間領域X(図5Aでは、V字状切欠部11が形成された領域)を介して他方の磁極に至る磁気回路C3として定義される。
具体的には、例えば回転子10と固定子30とが図5Bに示す位置関係にある場合には、前記隣接する一対の永久磁石片M、Mの一方の永久磁石片Mの一方の磁極から、前記第一歯部31の胴部の半径方向外側部分を経由することなく、該第一歯部31の回転子側の端部および回転子10と固定子31との間隙(エアギャップ)から、前記隣接する一対の永久磁石片M、Mの間の中間領域X(図5BではV字状切欠部11が形成された領域)を介して他方の磁極に至る経路を主たる経路とする磁気回路C3として定義される。
この場合も、短絡磁気回路C3は、回転子2の永久磁石Mと、固定子2の第一歯部31との相対位置によってその磁気経路は若干異なるが、前述したとおり、前記隣接する一対の永久磁石片M、Mの一方の永久磁石片Mの一方の磁極から、前記第一歯部31における前記回転子側の端部および前記側方突出部31aを除いた前記半径方向外側の部分を経由することなく、前記隣接する一対の永久磁石片M、Mの間の中間領域X(図5Aでは、V字状切欠部11が形成された領域)を介して他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路C3として定義されるものである。
この実施形態に係る電動モータにあっては、可動分割歯部としての第一歯部32が第一歯部31と半径方向に一致して正対した第一位置にある状態(図5A参照)と、前記第二歯部32が第一歯部31に対して相対移動して第二位置にある状態(図5C参照)とでは、回転子2が回転した場合における前記永久磁石片Mの一方の磁極から出て他方の磁極に至る磁束の流れが異なる。
先ず、可動分割歯部としての第一歯部32が第一歯部31と半径方向に一致して正対した第一位置にある状態(図5A参照)において、回転子2が回転した場合における前記永久磁石片Mの一方の磁極から出て他方の磁極に至る磁束の流れについて説明する。
この状態においては、上述のとおり、(主磁気回路C1の総磁気抵抗)(2Rh+2Rk(2Rk1)))<(短絡磁気回路C2の総磁気抵抗(2Rh+Rj))≦(永久磁石間磁気回路C3の総磁気抵抗(Rx))という関係式を満たすものである。即ち、回転子2の回転位置如何に拘わらず、主磁気回路C1の総磁気抵抗(2Rh+2Rk(2Rk1))が小さいものであるため、前記永久磁石片M(図5Aにおいて右側の永久磁石片M)の一方の磁極(同図において上側の磁極)から出た磁束の大半は、以下の経路を経て他方の磁極(同図において下側の磁極)に戻る。
即ち、図5Aにおける右側の永久磁石片Mに着目すると、該永久磁石片Mの一方の磁極(同図において上側の磁極)から出た磁束は、左右一対の固定子30、30のうちの一方の固定子30(同図において中央に位置した固定子30)の第一歯部31、この外側に正対した第二歯部32、固定子ヨーク部50、他方の固定子30(同図において周方向左側に位置する固定子30)の第二歯部32(同図において周方向左側に位置した第二歯部32)、該第二歯部32に正対した前記一対の固定子30、30のうちの他方の固定子30(同図において左側に位置した固定子30)の第一歯部31、そして左側に隣接配置された永久磁石片Mを経由して、他方の磁極(同図において下側の磁極)に戻る。
勿論、上記経路以外にも、隣接する歯部30、30相互間、特に隣接する第一歯部31、31の側方突出部31a、31a相互間にも漏れ磁束が存在するが、これら相互間の磁気抵抗は主磁気回路の総磁気抵抗)(2Rh+2Rk)よりも遥かに大きいものであるため主磁気回路C1の磁束流に大きな影響を与えるものではない。また、前記永久磁石片Mの両端には、永久磁石片Mの上下の鉄心部分を連結する連結壁9が一体的に形成されている(例えば図6A参照)。従ってこの連結壁9にも常に磁束流が存在するが、この磁束流は飽和状態で安定しているため主磁気回路C1の磁束流に大きな影響を与えるものではない。
従って、可動分割歯部としての第一歯部32が第一歯部31と半径方向に一致して正対した第一位置にある状態(図5A参照)において、回転子2が回転した場合、前記永久磁石片Mの一方の磁極から出て他方の磁極に至る磁束の流れは安定しており、従って、永久磁石片M内の磁束の変化は少ない。その結果、該永久磁石片Mで発生するジュール損も小さいものとなっている。
次に、前記第二歯部32が第一歯部31に対して相対移動して第二位置にある状態(図5C参照)において、回転子2が回転した場合における前記永久磁石片Mの一方の磁極から出て他方の磁極に至る磁束の流れについて説明する。
この状態においては、上述のとおり、(短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)(2Rh+Rj)<(主磁気回路C1の総磁気抵抗)(2Rh+2Rk(2Rk2))という関係式、および(短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)(2Rh+Rj)≦(永久磁石間磁気回路C3の総磁気抵抗)(Rx)という関係式の双方の関係式を満たすものである。即ち、この第二位置の状態においては、回転子2の回転位置如何に拘わらず、短絡磁気回路C2の総磁気抵抗(2Rh+Rj)が主磁気回路C1の総磁気抵抗(2Rh+2Rk(2Rk2))よりも小さいものである。このため、前記永久磁石片M(図5Cにおいて右側の永久磁石片M)の一方の磁極(同図において上側の磁極)から出た磁束の大半は、短絡磁気回路C2の経路を経て他方の磁極(同図において下側の磁極)に戻ることになる。従って、以下の説明においては、短絡磁気回路C2の周辺のみを拡大した図6Aないし図6Cに基づいて説明する。
即ち、図6Aないし図6Cに示すように、回転子10が回転して、その外周縁部に埋設配置された永久磁石片Mが周方向に移動した場合、隣り合う一対の永久磁石片M、Mの隣接する端部が隣接する第一歯部31、31の側方突出部31a、31aを周方向に通過する際に、磁束流が変化する。
まず、一対の永久磁石片M、Mの隣接する双方の端部が、第一歯部31に対向配置された状態にあっては(図示略)、例えば右側の永久磁石片Mの一方の磁極から出た磁束は、その大半が第一歯部31の回転子側の端部、左側の永久磁石片Mを経由して他方の磁極に戻る。なお、この状態において、右側の永久磁石片Mの左端部に形成された連結壁9にも、固定子側から回転子側に向かって(即ち、半径方向内側に向かって)、右側の永久磁石片Mから出た磁束の一部が常に流れている。一方、左側の永久磁石片Mの右端部に形成された連結壁9にも、同様に、回転子側から固定子側に向かって(即ち、半径方向外側に向かって)、左側の永久磁石片Mから出た磁束の一部が常に流れている。
この状態から回転子2が反時計回りに回転して、図6Aに示すように、左側の永久磁石片Mの右側端部が、右側の第一歯部31の側方突出部31aを離れるまでは、右側の永久磁石片Mの一方の磁極から出た磁束は、右側の第一歯部31の側方突出部31a、左側の永久磁石片Mを経由して他方の磁極に戻る。この状態においても、右側の永久磁石片Mの左端部に形成された連結壁9には、固定子側から回転子側に向かって(即ち、半径方向内側に向かって)、右側の永久磁石片Mから出た磁束の一部が常に流れている。一方、左側の永久磁石片Mの右端部に形成された連結壁9にも、回転子側から固定子側に向かって(即ち、半径方向外側に向かって)、左側の永久磁石片Mから出た磁束の一部が常に流れている。
この状態から更に回転子2が反時計回りに回転して、図6Bに示すように、左右の永久磁石片Mの隣接する端部の中間部分、すなわちV字状切欠部11が隣接する第一歯部31、31の隣接する側方突出部31a,31aの中間位置に一致した状態にあっては、右側の永久磁石片Mの一方の磁極から出た磁束の大半は、右側の第一歯部31の側方突出部31aから、これに隣接する左側の第一歯部31の側方突出部31a、そして左側の永久磁石片Mを経由して他方の磁極に戻る経路を形成する。この状態にあっては、主たる磁気回路が隣接する側方突出部31a、31a間を経由するものとなるので、図6Aに示した状態よりも磁気抵抗が大きくなるものの、隣接する側方突出部31a、31a間の磁気抵抗Rjを介して磁気短絡回路C2が確保されているため、磁束流の大きな変動を抑制することができる。従って、図6Aの状態から図6Bの状態に変化した場合でも、永久磁石片M内の磁束の変化が抑制される。
なお、図6Bに示す状態においても、右側の永久磁石片Mの左端部に形成された連結壁9には、固定子側から回転子側に向かって(即ち、半径方向内側に向かって)、右側の永久磁石片Mから出た磁束の一部が流れている。一方、左側の永久磁石片Mの右端部に形成された連結壁9には、回転子側から固定子側に向かって(半径方向外側に向かって)、左側の永久磁石片Mから出た磁束の一部が流れている。このように連結片9を流れる磁束流は図6Aの場合と同様であり、永久磁石片M内の磁束の変化の抑制に寄与していると考えられる。
また、この状態から回転子2が更に反時計回りに回転して、図6Cに示すように、右側の永久磁石片Mの左側端部が、左側の第一歯部31の側方突出部31aに近づくと、右側の永久磁石片Mの一方の磁極から出た磁力線は、左側の第一歯部31の側方突出部31a、そして左側の永久磁石片Mを経由して他方の磁極に戻るようになる。
なお、この状態においても、右側の永久磁石片Mの左端部に形成された連結壁9には、固定子側から回転子側に向かって(半径方向内側に向かって)、右側の永久磁石片Mから出た磁束の一部が流れている。一方、左側の永久磁石片Mの右端部に形成された連結壁9には、回転子側から固定子側に向かって(半径方向外側に向かって)、左側の永久磁石片Mから出た磁束の一部が流れている。このように連結片9を流れる磁束流は図6Bの場合と同様であり、永久磁石片M内の磁束の変化の抑制に寄与していると考えられる。
このように前記第二歯部32が第一歯部31に対して相対移動して第二位置にある状態(図5B参照)においても、勿論、上記経路以外にも、隣接する歯部30、30相互間等にも漏れ磁束が存在するが、これら相互間の磁気抵抗は短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)(Rj)よりも遥かに大きいものであるため短絡磁気回路C2の磁束流に大きな影響を与えるものではない。また、前記永久磁石片Mの両端に形成された連結壁9には、常に永久磁石片Mの磁束の一部が流れているが、前述したようにその流れ方向は回転子2の回転位置如何に拘わらず同一である。
また、上で説明したように、前記第二歯部32が第一歯部31に対して相対移動して第二位置にある状態においては、前記隣接する一対の永久磁石片M、Mのそれぞれがその一方の磁極から出た磁束が、前記第一歯部31の半径方向外側の部分を経由することなく、前記隣接する一対の永久磁石M、Mの間の中間領域Xを介して他方の磁極に至る磁気回路として定義される前記永久磁石間磁気回路C3は、短絡磁気回路C2の総磁気抵抗(2Rh+Rj)と等しいか、あるいはそれより大きいものである。従って、前記永久磁石間磁気回路C3には、磁束が流れにくくなっており、図9Aおよび図9Bに示したように、この永久磁石間磁気回路C3に固定子と同じ構成材料からなる連結壁が存在する場合のように、回転子2の回転に伴って隣り合う永久磁石片M、Mの磁束が交互に逆方向に通過するような共通経路を構成することもない。従って、各永久磁石片M、Mに大きな磁束の変化を生じさせるような不都合を回避することができ、ひいては、永久磁石片M内の磁束の変化を抑制することができる。その結果、該永久磁石片Mで発生する渦電流に起因するジュール損を抑制することができ、電動モータとしての効率の向上を図るとともに、永久磁石Mの保磁力および残留磁束密度の低下を抑制してモータの特性を維持することができる。
(第2実施形態)
本発明の第2施形態に係る回転電気機械は、電動自動二輪車用の電動モータとして好適に使用されるラジアルギャップ型電動モータである。この第2実施形態に係るラジアルギャップ型電動モータは、前記第1実施形態に係る電動モータと基本的な構成はほぼ同一である。前記第1実施形態に係る電動モータとの差異は、回転子2の周縁部における永久磁石片Mの取付構造である。以下、その差異を中心に説明する。
即ち、この実施形態においては、図7に示すように、第1実施形態に対応する各永久磁石片Mが回転子2の周方向に分割されて、所定間隔を隔てて離間状態に配置された2つの分割永久磁石片M1、M1で構成されている。これら分割永久磁石片M1、M1の半径方向外側には、外周面が円弧状に形成された抑え片15が設けられている。この抑え片15は、隣接する分割永久磁石片M1、M1間に位置する中央連結壁16で回転子本体10の回転中心側と一体的に連結されている。即ち、前記抑え片15と前記中央連結壁16とは断面視ほぼT字状を呈するものとなされている。これらにより、両分割永久磁石片M1、M1が回転子本体10に対して固定されており、回転子10が回転した場合でも分割永久磁石M1、M1が遠心力で飛散しないようになされている。
また、この実施形態においても、第1実施形態におけるV字状の切欠部11に対応する切欠部を有するが、第1実施例におけるような永久磁石片Mの端部に形成された連結壁9を備えておらず、分割永久磁石片M1の幅方向の端部がV字状の切欠部11に露出した状態となされている。またV字状の切欠部11の底部には、前記各分割永久磁石片M1の端部に沿って半径方向外側に延出した係止部18、18が形成されている。而して、この係止部18と前記中央連結壁16とによって、前記分割永久磁石片M1の周方向への動きが阻止されている。なお、前記抑え片15、中央連結壁16、係止部18は、回転子本体10と一体的に形成されたものであり、例えば薄いケイ素鋼板を打ち抜き形成し、これらを積層することによって製作されるものである。上記以外の構成は、前記第1実施形態と同様であるので、対応箇所に同一符号を付してその説明を省略する
この第2実施形態においても、前記可動分割歯部としての第二歯部32が、前記第一位置に配置された状態において、以下の関係式を満たすように構成されている。
(主磁気回路C1の総磁気抵抗)(2Rh+2Rk))<(短絡磁気回路C2の総磁気抵抗(2Rh+Rj))≦(永久磁石間磁気回路C3の総磁気抵抗(Rx))
また、前記可動分割歯部としての第二歯部32が、前記第二位置に配置された状態おいて、
(短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)<(主磁気回路C1の総磁気抵抗)、および
(短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)≦(永久磁石間磁気回路C3の総磁気抵抗)
の両関係式を満たすように構成されている。
前記第二歯部32が第一歯部31に対して相対移動して第二位置にある状態において、回転子2が回転した場合における一方の分割永久磁石片M1の一方の磁極から出て他方の磁極に至る磁束の流れについて説明する。
この状態においては、上述のとおり、(短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)(2Rh+Rj)<(主磁気回路C1の総磁気抵抗)(2Rh+2Rk)≦(永久磁石間磁気回路C3の総磁気抵抗)(Rx)という関係式を満たすものである。即ち、この第二位置の状態においては、回転子2の回転位置如何に拘わらず、短絡磁気回路C2の総磁気抵抗(2Rh+Rj)が主磁気回路C1の総磁気抵抗(2Rh+2Rk)よりも小さいものである。従って、前記分割永久磁石片M(図8Aにおいて右側の分割永久磁石片M)の一方の磁極(同図において右側の磁極)から出た磁束の大半は、短絡磁気回路C2の経路を経て他方の磁極(同図において左側の磁極)に戻ることになる。従って、以下の説明においては、短絡磁気回路C2の周辺のみを拡大した図8Aないし図8Cに基づいて説明する。
即ち、図8Aないし図8Cに示すように、回転子10の外周縁部に配置された永久磁石片Mが回転した場合、V字状の切欠部11を介して隣り合う一対の分割永久磁石片M1、M1の隣接する端部が隣接する第一歯部31、31の側方突出部31a、31aを周方向に通過する際に、磁束流が変化する。
まず、前記V字状の切欠部11を介して隣り合う分割永久磁石片M1、M1の隣接する双方の端部が共に、第一歯部31に対向配置された状態にあっては(図示略)、例えば右側の分割永久磁石片M1の一方の磁極(第一歯部31側の磁極)から出た磁束は、その大半が第一歯部31、左側の分割永久磁石片M1を経由して他方の磁極に戻る。なお、この実施形態にあっては、第1実施形態における連結壁9がV字状切欠部11には形成されていないため、前記V字状の切欠部11を介して隣り合う分割永久磁石片M1、M1の間を通る永久磁石間磁気回路C3の磁気抵抗は大きな値となっている。従って、この永久磁石間磁気回路C3には、殆ど磁束が流れない。なお、隣接する分割永久磁石片M1、M1の間の中央連結壁16には、これら両分割永久磁石片M1、M1の磁束が流れるが、回転子1の回転位置如何に拘わらず、その磁束流は飽和状態でほぼ一定となっている。
この状態から回転子2が反時計回りに回転して、図8Aに示すように、左側の分割永久磁石片M1の右側端部が、右側の第一歯部31、31の側方突出部31aを離れるまでは、右側の永久磁石片Mの一方の磁極から出た磁束は、右側の第一歯部31の側方突出部31a、左側の分割永久磁石片M1を経由して他方の磁極に戻る。
この状態から更に回転子2が反時計回りに回転して、図8Bに示すように、左右の分割永久磁石片M1、M1の隣接する端部の中間部分、即ちV字状の切欠部11が、隣接する第一歯部31、31の隣接する側方突出部31a、31aの中間位置に一致した状態にあっては、右側の分割永久磁石片M1の一方の磁極から出た磁力線の大半は、右側の第一歯部31の側方突出部31aから、これに隣接する左側の第一歯部31の側方突出部31a、そして左側の分割永久磁石片M1を経由して他方の磁極に戻る経路を形成する。この状態にあっては、主たる磁気回路が隣接する側方突出部31a、31a間を経由するものとなるので、図8Aに示した状態よりも磁気抵抗が大きくなるものの、隣接する側方突出部31a、31a間の磁気抵抗Rjを介して磁気短絡回路C2が確保されているため、磁束流の大きな変動を抑制することができる。従って、図8Aの状態から図8Bの状態に変化した場合でも永久磁石片M内の磁束の変化が抑制される。
また、この状態から回転子2が更に反時計回りに回転して、図8Cに示すように、右側の永久磁石片Mの左側端部が、左側の第一歯部31の側方突出部31aに近づくと、右側の永久磁石片Mの一方の磁極から出た磁力線は、左側の第一歯部31の側方突出部31a、そして左側の永久磁石片Mを経由して他方の磁極に戻るようになる。
このように前記第二歯部32が第一歯部31に対して相対移動して第二位置にある状態においても、勿論、上記経路以外にも、周方向に隣接する歯部30、30相互間にも漏れ磁束が存在するが、これら相互間の磁気抵抗は短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)Rjよりも遥かに大きいものであるため短絡気回路C2の磁束流に大きな影響を与えるものではない。また、前記分割永久磁石片M1、M1の中間に形成された中央連結壁16には、常に永久磁石片Mの磁束の一部が流れているが、前述したようにその流れ方向は回転子2の回転位置如何に拘わらず同一である。
また、上で説明したように、前記第二歯部32が第一歯部31に対して相対移動して第二位置にある状態においては、前記V字状の切欠部11を介して隣接する一対の分割永久磁石片M1、M1のそれぞれが、その一方の磁極から出た磁束が、前記永久磁石間磁気回路C3を経由することはない。即ち、前記隣接する一対の永久磁石M、Mの間の中間領域を介して他方の磁極に至る磁気回路として定義される前記永久磁石間磁気回路C3の磁気抵抗Rxは、短絡磁気回路C2の総磁気抵抗(2Rh+Rj)と等しいか、あるいはそれより大きいからである。従って、前記永久磁石間磁気回路C3には、磁束が流れにくくなっており、図9Aおよび図9Bに示したように、この永久磁石間磁気回路C3に固定子と同じ構成材料の連結壁を設けた場合のように、回転子2の回転に伴って隣り合う永久磁石片M、Mの磁束が交互に逆方向に通過するような共通経路を構成することもない。従って、各永久磁石片M、Mに大きな磁束の変化を生じさせるような不都合を回避することができ、ひいては、永久磁石片M内の磁束の変化を抑制することができる。その結果、永久磁石片Mで発生する渦電流に起因するジュール損を抑制することができ、電動モータとしての効率を向上することができ、またジュール損に伴って発生する熱により永久磁石Mの保磁力および残留磁束密度が低減するのを抑制することができ、モータの特性を維持することができる。
なお、上記いずれの実施形態においても、永久磁石片Mとして断面矩形状に形成されたものを用い、これに対応するスリットを回転子本体の周縁部に形成して、該スリットに永久磁石をはめ込んだものを例示した。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば回転子本体の外周に対応する断面弧状に形成した永久磁石を用い、この永久磁石を回転子本体の外周面に固定した構造のものをも許容するものである。この場合、回転子の回転に伴って永久磁石が遠心力で回転子本体から外れないようにしっかり固定しなければならないことは言うまでもない。また、この場合には前記各実施形態におけるような連結壁9、16を省略することができ、この連結壁により永久磁石の磁束が常時ながれる常時短絡磁気回路が形成されことがないので、永久磁石の性能を無駄なく活用することができる。
また、本件発明は、従来の弱め界磁制御に変わるものとして用いることができるものであるが、もとより弱め界磁制御との併用を妨げるものではない。
また、上記各実施例においては、回転子本体の周縁部にその周方向に複数のスロットが形成され、各スロットに永久磁石が埋め込み状態に挿入配置されたものを例示したが、本件発明はこれに限定されるものではない。本発明における「円柱状の回転子本体に複数の永久磁石が埋め込み状態に配置され」とは、例えば、薄肉状の円筒体と、その円筒体内に収納された円柱体とで回転子本体が構成され、その円筒体と円柱体との間に複数の永久磁石が周方向に並ぶように配列されたような形態であってもよく、複数の永久磁石が回転子本体に埋め込み状態に配置されたあらゆる全ての形態を含むように解釈されるべきである。
ここに用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではなく、ここに示され且つ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、この発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。
本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものであるが、この開示は本発明の原理の実施例を提供するものと見なされるべきであって、それら実施例は、本発明をここに記載しかつ/または図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、多くの図示実施形態がここに記載されている。
本発明の図示実施形態を幾つかここに記載したが、本発明は、ここに記載した各種の好ましい実施形態に限定されるものではなく、この開示に基づいていわゆる当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ(例えば、各種実施形態に跨る特徴の組み合わせ)、改良及び/又は変更を有するありとあらゆる実施形態をも包含するものである。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施例に限定されるべきではなく、そのような実施例は非排他的であると解釈されるべきである。例えば、この開示において、「好ましくは」という用語は非排他的なものであって、「好ましいがこれに限定されるものではない」ということを意味するものである。
この発明にかかる回転電気機械は、例えば電動二輪車等の車輌あるいは各種電気機械における駆動源用の電動モータとして好適に用いられる。
1 回転軸
2 回転子
3 固定子
4 回動機構
30 歯部
31 第一歯部(分割歯部)
32 第二歯部(分割可動歯部)
40 巻線
50 固定子ヨーク部
51 ギア部
C コントローラ
M 永久磁石
P 電源
R 回転電気機械(電動モータ)
V 車両(電動自動二輪車)
C1 主磁気回路
C2 短絡磁気回路
C3 永久磁石間磁気回路
回転子の外周縁部と歯部の第一歯部との間の磁気抵抗
k1 第一位置における第一歯部と第二歯部との間の磁気抵抗
k2 第二位置における第一歯部と第二歯部との間の磁気抵抗
周方向に隣接する一対の第一歯部における隣接する側方突出部相互間の磁気抵抗
隣接する永久磁石の間の中間領域の磁気抵抗

Claims (19)

  1. 円柱状の回転子本体に複数の永久磁石が埋め込み状態に配置され、回転軸を中心に回転する回転子と、
    前記回転子の半径方向の外側に、前記回転子本体の外周縁部に対向するように該外周縁部から間隙を介して配置された円筒状の固定子とを備え、
    前記固定子は、
    前記固定子の周方向に間隔を隔てて配置された複数の歯部と、
    前記各歯部と共に固定子磁路を形成する固定子ヨーク部と、
    前記各歯部の周囲に配置された巻線と、
    前記固定子ヨーク部と前記各歯部とで構成される前記固定子磁路を機械的に変更して該固定子磁路の磁気抵抗値を変更する磁気抵抗変更機構とを備え、
    前記各歯部は、胴部と、該胴部の回転子側の端部における前記周方向の両側に側方突出状に延びた一対の側方突出部とを備え、
    前記磁気抵抗変更機構は、前記固定子磁路の磁気抵抗が小さい第一状態と、該第一状態よりも相対的に前記固定子磁路の磁気抵抗が大きい第二状態との間で、前記固定子磁路を機械的に変更するように構成され、
    前記一状態において、
    (主磁気回路の総磁気抵抗)<(短絡磁気回路の総磁気抵抗)≦(永久磁石間磁気回路の総磁気抵抗)
    の関係式を満たすように構成されると共に、
    前記第二状態において、
    (短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)<(主磁気回路C1の総磁気抵抗)、および
    (短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)≦(永久磁石間磁気回路C3の総磁気抵抗)
    の両関係式を満たすように構成され、
    前記主磁気回路は、前記隣接する一対の永久磁石のうちの一方の永久磁石の一方の磁極から、隣接する一対の前記歯部のうちの一方の歯部の前記固定子ヨーク部側を経て前記隣接する一対の歯部のうちの他方の歯部、および前記一対の永久磁石のうちの他方の永久磁石を経て、前記一方の永久磁石の他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義され、
    前記短絡磁気回路は、前記隣接する一対の永久磁石のうちの一方の永久磁石の一方の磁極から、前記歯部の胴部における前記回転子側の端部および前記側方突出部を除いた前記半径方向外側の部分を経由することなく、前記隣接する一対の永久磁石の他方の前記永久磁石を経て、前記一方の永久磁石の他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義され、
    前記永久磁石間磁気回路は、前記隣接する一対の永久磁石の一方の永久磁石の一方の磁極から、前記歯部の胴部における前記回転子側の端部および前記側方突出部を除いた前記半径方向外側の部分を経由することなく、前記隣接する一対の永久磁石の間の中間領域を経て、前記一方の永久磁石の他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義される、回転電気機械。
  2. 前記磁気抵抗変更機構は、前記歯部が前記回転軸の半径方向に分割された複数個の分割歯部を有し、これら複数個の分割歯部のうち少なくともいずれか1つの分割歯部が他の分割歯部に対して前記回転軸の周方向に相対移動自在な可動分割歯部を構成し、該可動分割歯部が、前記第一状態と前記第二状態との間で移動自在となされている、請求項1に記載の回転電気機械。
  3. 前記回転子は、隣接する前記永久磁石間の中間領域に、前記外周縁部の外周面から半径方向内側に向かってのびた切欠部が形成されている、請求項1に記載の回転電気機械。
  4. 前記回転子は、前記外周縁部に周方向に沿って複数の永久磁石嵌め込み用スリットが形成され、該スリットに前記永久磁石が挿入されている、請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の回転電気機械。
  5. 前記各永久磁石における前記周方向の端部と前記切欠部との間に、前記永久磁石の半径方向外側に位置する前記回転子本体の外周縁部を構成する鉄心部分とその反対側に位置する鉄心部分とを連結する連結壁を有する、請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の回転電気機械。
  6. 前記各永久磁石は、前記周方向に二分割され、互いに離間状態に配置された一対の分割永久磁石片からなり、前記一対の分割永久磁石片は、前記回転子本体の外周縁部にその外周面から前記半径方向内側に位置した状態で埋設状態に配置されると共に、
    前記各分割永久磁石片の前記周方向の外側端部がそれぞれ前記切欠部に露出した状態となされている、請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の回転電気機械。
  7. 前記各永久磁石の半径方向外側に配置された前記回転子本体の外周縁部が、前記一対の分割永久磁石片の間に延びた中央連結壁によって前記回転子本体に連結固定されている、請求項6に記載の回転電気機械。
  8. 円柱状の回転子本体に複数の永久磁石が埋め込み状態に配置され、回転軸を中心に回転する回転子と、
    前記回転子の半径方向の外側に、前記回転子本体の外周縁部に対向するように該外周縁部から間隙を介して配置された円筒状の固定子とを備え、
    前記固定子は、
    前記固定子の周方向に間隔を隔てて配置された複数の歯部を有し、
    前記複数の歯部のそれぞれの歯部は、前記半径方向に複数個に分割され、少なくとも前記回転子本体の前記外周縁部に前記間隙を介して対向するように配置された第一歯部と、前記半径方向の最も外側に配置された第二歯部とを含む複数の分割歯部を有し、
    前記固定子は、更に、前記第二歯部が固定された円筒状の固定子ヨーク部と、前記歯部の周囲に配置された巻線とを有し、
    前記各歯部における前記第一歯部は、胴部と、該胴部の回転子側の端部における前記周方向の両側に側方突出状に延びた一対の側方突出部とを備え、
    前記各歯部における前記複数の分割歯部のうちの少なくともいずれか1の分割歯部が、他の分割歯部に対して前記周方向に相対移動自在な可動分割歯部を構成し、
    前記可動分割歯部は、前記各歯部における前記複数の分割歯部で形成される磁路の磁気抵抗が小さい第一位置と、該第一位置における前記磁気抵抗よりも相対的に磁気抵抗が大きい第二位置との間で相対移動自在となされ、
    前記可動分割歯部が前記第一位置に配置された状態において、
    (主磁気回路の総磁気抵抗)<(短絡磁気回路の総磁気抵抗)≦(永久磁石間磁気回路の総磁気抵抗)
    の関係式を満たすように構成されると共に、
    前記可動分割歯部が前記第二位置に配置された状態において、
    (短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)<(主磁気回路C1の総磁気抵抗)、および
    (短絡磁気回路C2の総磁気抵抗)≦(永久磁石間磁気回路C3の総磁気抵抗)
    の両関係式を満たすように構成され、
    前記主磁気回路は、前記隣接する一対の永久磁石のうちの一方の永久磁石の一方の磁極から、隣接する一対の前記歯部のうちの一方の歯部の前記固定子ヨーク部側を経て前記隣接する一対の歯部のうちの他方の歯部、および前記一対の永久磁石のうちの他方の永久磁石を経て、前記一方の永久磁石の他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義され、
    前記短絡磁気回路は、前記隣接する一対の永久磁石のうちの一方の永久磁石の一方の磁極から、前記第一歯部の胴部における前記回転子側の端部および前記側方突出部を除いた前記半径方向外側の部分を経由することなく、前記隣接する一対の永久磁石の他方の前記永久磁石を経て、前記一方の永久磁石の他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義され、
    前記永久磁石間磁気回路は、前記隣接する一対の永久磁石の一方の永久磁石の一方の磁極から、前記第一歯部の胴部における前記回転子側の端部および前記側方突出部を除いた前記半径方向外側の部分を経由することなく、前記隣接する一対の永久磁石の間の中間領域を経て、前記一方の永久磁石の他方の磁極に至る経路を主たる磁気経路とする磁気回路として定義される、回転電気機械。
  9. 前記回転子は、隣接する前記永久磁石間の中間領域に、前記外周縁部の外周面から半径方向内側に向かってのびた切欠部が形成されている、請求項7に記載の回転電気機械。
  10. 前記回転子は、前記外周縁部に周方向に沿って複数の永久磁石嵌め込み用スリットが形成され、該スリットに前記永久磁石が挿入されると共に、
    隣接する一対の前記永久磁石間の中間領域に、前記外周縁部の外周面から半径方向内側に向かってのびた切欠部が形成されている、請求項8又は9に記載の回転電気機械。
  11. 前記各永久磁石における前記周方向の端部と前記切欠部との間に、前記永久磁石の半径方向外側に位置する前記回転子本体の外周縁部を構成する鉄心部分とその反対側に位置する鉄心部分とを連結する連結壁を有する、請求項8ないし10のいずれか1つの請求項に記載の回転電気機械。
  12. 前記各永久磁石は、前記周方向に二分割され、互いに離間状態に配置された一対の分割永久磁石片からなり、前記一対の分割永久磁石片は、前記回転子本体の外周縁部にその外周面から前記半径方向内側に位置した状態で埋設状態に配置されると共に、
    前記各分割永久磁石片の前記周方向の外側端部がそれぞれ前記切欠部に露出した状態となされている、請求項8ないし10のいずれか1つの請求項に記載の回転電気機械。
  13. 前記各永久磁石の半径方向外側に配置された前記回転子本体の外周縁部が、前記一対の分割永久磁石片の間に延びた中央連結壁によって前記回転子本体に連結固定されている、請求項12に記載の回転電気機械。
  14. 前記各歯部は、前記半径方向に2分割されて、前記回転子本体の前記外周縁部に前記間隙を介して対向するように配置された第一歯部と、該第一歯部の前記半径方向外側に間隙を介して配置された第二歯部とを含み、
    前記第二歯部が、前記第一歯部に対して前記周方向に相対移動自在となされている、請求項8ないし13のいずれか1つの請求項に記載の回転電気機械。
  15. 前記第一位置は、前記複数の分割歯部が前記半径方向に整列してこれら分割歯部で構成される磁気回路の磁気抵抗が最小になる磁気抵抗最小位置として定義されると共に、
    前記第二位置は、前記可動分割歯部が他の分割歯部に対して前記周方向に相対移動してこれら分割歯部で構成される磁気回路の磁気抵抗が最大になる磁気抵抗最大位置として定義され、
    前記可動分割歯部が前記磁気抵抗最小位置と前記磁気抵抗最大位置との間の任意の位置で連続的または不連続的に相対移動可能となされている、請求項8ないし14のいずれか1つの請求項に記載の回転電気機械。
  16. 前記回転子の前記外周縁部と前記歯部の前記第一歯部との間の磁気抵抗をR、前記第一位置における前記第一歯部と前記第二歯部との間の磁気抵抗をRk1、前記第二位置における前記第一歯部と前記第二歯部との間の磁気抵抗をRk2、周方向に隣接する一対の第一歯部における隣接する前記側方突出部相互間の磁気抵抗をR、前記隣接する永久磁石の間の中間領域の磁気抵抗をRとそれぞれ定義した場合、
    前記可動分割歯部が前記第一位置に配置された状態において、
    (2R+2Rk1)<(2R+R)≦(R
    の関係式を満たすように構成されると共に、
    前記可動分割歯部が前記第二位置に相対移動した状態において、
    (2R+R)<(2R+2Rk2)、および
    (2R+R)≦(R
    の両関係式が満たされる、請求項8ないし15のいずれか1つの請求項に記載の回転電気機械。
  17. 前記永久磁石は、ネオジウム磁石である、請求項1ないし16のいずれか1つの請求項に記載の回転電気機械。
  18. 請求項1ないし16のいずれか1つの請求項に記載の回転電気機械を備えた乗り物。
  19. 請求項1ないし16のいずれか1つの請求項に記載の回転電気機械を備えた電気製品。
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