JP2015096022A - 回転電機 - Google Patents
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Abstract
Description
加えて、回転電機のコギングトルクやトルク脈動等の周方向のトルク振動(トルクリプル)を低減する構成となっているため、回転電機に発生する径方向の電磁加振力の低減に至らない、という問題があった。
この回転電機において、前記ティース部のうち前記エアギャップ付近に、磁気抵抗の高い高磁気抵抗層を少なくとも1つ設け、前記高磁気抵抗層は、前記ティース部の側端を延長した側端延長線と、前記ティース部の両側端の中心点を径方向に結ぶティース中心線と、の間に配置し、かつ、前記側端延長線に対して鍔部側に配置しない。
すなわち、回転電機において、ステータティースに高磁気抵抗層等を設けない場合の周方向トルクの磁束密度分布から、周方向トルクの発生が集中する部分が、ステータティースの鍔部であることが知見された。このため、本発明の回転電機にあっては、高磁気抵抗層を側端延長線に対して鍔部側に配置しない構成としている。これにより、周方向トルクの発生が集中する部分は高磁気抵抗層により阻害されないので、回転電機の発生すべき周方向トルクの低下を抑制することができる。
また、回転電機において、ステータティースに高磁気抵抗層等を設けない場合の径方向の電磁加振力分布から、この径方向の電磁加振力は分布に規則性があるものの、ティース部に一様に分布しているわけではないことが知見された。つまり、その径方向の電磁加振力は、特定箇所に発生することが知見された。このため、本発明の回転電機にあっては、エアギャップ付近に設けられた高磁気抵抗層を、側端延長線とティース中心線との間に配置する構成としている。これにより、径方向の電磁加振力が発生する特定箇所に高磁気抵抗層を配置しているので、回転電機に発生する径方向の電磁加振力を低減することができる。
この結果、回転電機の発生すべき周方向トルクの低下抑制と、回転電機に発生する径方向の電磁加振力低減と、の両立を図ることができる。
図1は、実施例1のモータ/ジェネレータを示す断面図であって、以下、図1に基づき全体構成を説明する。
ここで、回転電機に発生する径方向の電磁加振力は、回転子(ロータ)と固定子(ステータ)の相対移動時に、回転子の磁極から発生する界磁磁束の磁路が、固定子に設けられたスロットの開口部を回転子の磁極が横切る毎に周期的に変化し、ギャップでの磁束分布に変化が生じることにより発生する。径方向の電磁加振力の回転次数・空間次数・振幅は、回転子の有効磁極開角の極数と固定子に設けられたスロット数に依存する。
例えば、モータ/ジェネレータMGは、モータコントローラ等からの制御指令に基づいて、インバータにより作り出された三相交流を印加することにより制御される。また、このモータ/ジェネレータMGが電気自動車等の車両の走行駆動源として適用された場合、モータ/ジェネレータMGは、バッテリからの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(力行)、ロータ1がエンジンや駆動輪から回転エネルギーを受ける場合には、ステータコイル2cの両端に起電力を生じさせる発電機として機能し、バッテリを充電することもできる(回生)。
軸方向連通穴2eの径方向の長さRは、ティース部2dの側端10と鍔部2fの外周端12とが交差する交差位置Cと、ステータティース2bの内周端13と、を結ぶ鍔部2fの径方向の長さTRよりも短く設定されている。
L≒W/{(N/P)×2} …(1)
このとき、式(1)の軸方向連通穴2eの周方向の長さLを算出すると、L≒4分の1、となる。
まず、「比較例の課題」の説明を行い、続いて、実施例1の回転電機における作用を、「回転電機の特徴的作用」、「回転電機の発生すべき周方向トルクに対する作用」、「回転電機に発生する径方向の電磁加振力に対する作用」に分けて説明する。
比較例は、回転電機において、周方向に配置した永久磁石を有するロータと、永久磁石と対向し周方向に配置された複数のステータティースを有するステータと、を備え、永久磁石と対向するステータティースの面に複数の補助溝を設け、この補助溝の周方向の幅が、巻線用スロットの開口部の幅と同等に設定されると共に、複数の補助溝の周方向の間隔が、巻線用スロットの開口部に合わせて、周方向に等間隔に設定される回転電機を比較例とする。この比較例の回転電機によれば、このような補助溝の構成により、回転電機のコギングトルクやトルク脈動等の周方向のトルク振動(トルクリプル)を低減するようにしている。
加えて、回転電機のコギングトルクやトルク脈動等の周方向のトルク振動(トルクリプル)を低減する補助溝の構成となっているため、回転電機に発生する径方向の電磁加振力の低減に至らない。
上記のように、実施例1では、エアギャップ3付近に設けられた軸方向連通穴2eを、側端延長線ELとティース中心線CLとの間に配置し、かつ、側端延長線ELに対して鍔部2f側に配置しない構成を採用した。
以下、「回転電機の発生すべき周方向トルクに対する作用」について、図4に基づいて詳しく説明する。
この結果、軸方向連通穴2eの径方向の長さRを設定しない場合よりも、モータ/ジェネレータMGの発生すべき周方向トルクの低下を抑制することができる。
以下、「回転電機に発生する径方向の電磁加振力に対する作用」について、図5及び図6に基づいて詳しく説明する。
この結果、軸方向連通穴2eの周方向の長さLを設定しない場合よりも、モータ/ジェネレータMGに発生する径方向の電磁加振力を効果的に低減することができる。
実施例1の回転電機にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
このため、モータ/ジェネレータMGの発生すべき周方向トルクの低下抑制と、モータ/ジェネレータMGに発生する径方向の電磁加振力と、の両立を図ることができる。
このため、(1)の効果に加え、軸方向連通穴2eの径方向の長さRを設定しない場合よりも、モータ/ジェネレータMGの発生すべき周方向トルクの低下を抑制することができる。
このため、(1)〜(2)の効果に加え、軸方向連通穴2eの周方向の長さLを設定しない場合よりも、モータ/ジェネレータMGに発生する径方向の電磁加振力を効果的に低減することができる。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、モータ/ジェネレータMGが電動機として動作するとき、及び、モータ/ジェネレータMGが発電機として動作するときのいずれのときも、モータ/ジェネレータMGに発生する径方向の電磁加振力を低減することができる。
このため、(1)〜(4)の効果に加え、ステータ2を樹脂モールドする際、エアギャップ3に対向するステータティース2bの内周面12aに、ステータ2の使用時にステータティース2bから脱落するような細い樹脂が形成されるのを、防止することができる。
図7に基づき実施例2の要部構成を以下に説明する。
また、実施例2では、回転電機であるモータ/ジェネレータMGが、電動機(モータ)であってもよい。なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
実施例1にて説明したように、図5の力行時では、その径方向の電磁加振力は、特定箇所であるロータ1の回転方向Aの上流側Uに集中して発生することが知見された。
なお、実施例1及び実施例2の軸方向連通穴の作用が異なるのみで、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例2の回転電機にあっては、実施例1の(1)〜(3)及び(5)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
このため、モータ/ジェネレータMGが力行中心の電動機として動作するとき、モータ/ジェネレータMGに発生する径方向の電磁加振力を低減することができる。
図8に基づき実施例3の要部構成を以下に説明する。
また、実施例2では、回転電機であるモータ/ジェネレータMGが、発電機(ジェネレータ)であってもよい。なお、他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
実施例1にて説明したように、図6の回生時では、その径方向の電磁加振力は、特定箇所であるロータ1の回転方向Aの下流側Dに集中して発生することが知見された。
なお、実施例1及び実施例3の軸方向連通穴の作用が異なるのみで、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例3の回転電機にあっては、実施例1の(1)〜(3)及び(5)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
このため、モータ/ジェネレータMGが回生中心の発電機として動作するとき、モータ/ジェネレータMGに発生する径方向の電磁加振力を低減することができる。
図9に基づき実施例4の要部構成を以下に説明する。
実施例4では、高磁気抵抗層を、エアギャップ3に面するステータティース2bの内周面12aから外径方向に凹んで形成した軸方向連通溝2gとしている。
なお、実施例1の軸方向連通穴及び実施例4の軸方向連通溝の作用が異なるのみで、他の作用は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例4の回転電機にあっては、実施例1の(1)〜(4)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
このため、ステータ2の成型時、従来の電磁鋼板の打ち抜き型にて容易に軸方向連通溝2gを作成することができる。
この結果、モータ/ジェネレータMGの構成の変化によるモータ/ジェネレータMGに発生する径方向の電磁加振力の変化に対して、対応することができる。
1b 永久磁石
1d ロータの外周面
2 ステータ
2b ステータティース
2c ステータコイル(コイル、電磁線)
2d ティース部
2e 軸方向連通穴(高磁気抵抗層)
2eU 上流側軸方向連通穴(上流側高磁気抵抗層)
2eD 下流側軸方向連通穴(下流側高磁気抵抗層)
2f 鍔部
2g 軸方向連通溝(高磁気抵抗層)
3 エアギャップ
10 ティース部の側端
11 軸方向連通穴の外周側の側端
11U 上流側軸方向連通穴の外周側の側端
11D 下流側軸方向連通穴の外周側の側端
12 鍔部の外周端
13 ステータティースの内周端
13a ステータティースの内周面
MG モータ/ジェネレータ(回転電機)
EL 側端延長線
O ティース部の両側端の中心点
CL ティース中心線
C 交差位置
A ロータの回転方向
U ロータの回転方向の上流側
D ロータの回転方向の下流側
Claims (8)
- 永久磁石を設けたロータと、前記ロータの外周面とはエアギャップを介して配置されるステータと、を有し、
前記ステータにコイルを巻き付けたステータティースを円周上に複数配置し、
前記ステータティースは、前記ステータの内径側に突出したティース部と、前記ティース部の内周両側から前記ステータの周方向に突出した鍔部と、を有する回転電機において、
前記ティース部のうち前記エアギャップ付近に、磁気抵抗の高い高磁気抵抗層を少なくとも1つ設け、
前記高磁気抵抗層は、前記ティース部の側端を延長した側端延長線と、前記ティース部の両側端の中心点を径方向に結ぶティース中心線と、の間に配置し、かつ、前記側端延長線に対して鍔部側に配置しない
ことを特徴とする回転電機。 - 請求項1に記載された回転電機において、
前記高磁気抵抗層の径方向の長さRを、前記ティース部の側端と前記鍔部の外周端とが交差する交差位置と、前記ステータティースの内周端と、を結ぶ前記鍔部の径方向の長さTRよりも短く設定した
ことを特徴とする回転電機。 - 請求項1または請求項2に記載された回転電機において、
前記高磁気抵抗層の周方向の長さLを、低減する径方向の電磁加振力の空間次数をNとし、前記ティース部の両側端を結ぶティース幅をWとし、前記モータの相数をPとしたとき、L≒W/{(N/P)×2}に設定した
ことを特徴とする回転電機。 - 請求項1から請求項3までの何れか1項に記載された回転電機において、
前記高磁気抵抗層を、少なくとも前記ロータの回転方向の上流側及び下流側の双方に1つずつ設け、
これらの高磁気抵抗層ごとの外周側の側端を、前記側端延長線と接する位置に配置した
ことを特徴とする回転電機。 - 請求項1から請求項3までの何れか1項に記載された回転電機において、
前記高磁気抵抗層を、少なくとも前記ロータの回転方向の上流側に1つ設け、
この上流側高磁気抵抗層の外周側の側端を、前記側端延長線と接する位置に配置した
ことを特徴とする回転電機。 - 請求項1から請求項3までの何れか1項に記載された回転電機において、
前記高磁気抵抗層を、少なくとも前記ロータの回転方向の下流側に1つ設け、
この下流側高磁気抵抗層の外周側の側端を、前記側端延長線と接する位置に配置した
ことを特徴とする回転電機。 - 請求項1から請求項6までの何れか1項に記載された回転電機において、
前記高磁気抵抗層は、前記エアギャップから距離を介して前記ステータティースの内周側に開穴した軸方向連通穴である
ことを特徴とする回転電機。 - 請求項1から請求項6までの何れか1項に記載された回転電機において、
前記高磁気抵抗層は、前記エアギャップに面する前記ステータティースの内周面から外径方向に凹んで形成した軸方向連通溝である
ことを特徴とする回転電機。
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