以下、本発明の実施の形態について説明する。本実施形態の充電システムは、電気自動車に搭載された二次電池を充電するためのものであり、例えば、電気自動車用の充電スタンドやコンビニエンスストアに設置される。
図1に示すように、この充電システムは、集中管理装置10と、複数台の急速充電器20と、複数台の普通充電器30と、各充電器以外の負荷(その他負荷)40とを有している。
集中管理装置10は、この充電システムにおける制御を担当する装置であり、充電制御装置に相当する。この集中管理装置10は、各充電器20,30と通信をして、各充電器20,30による充電動作を制御する。なお、集中管理装置10については後で詳しく説明する。
急速充電器20は、電気自動車50に搭載された駆動用バッテリー54を充電する装置であり、1つのシステムに複数台が設置され、増設も可能である。このシステムでは、1台の急速充電器20が1台の駆動用バッテリー54を充電する。便宜上、2台の急速充電器20を図示しているが、台数は2台に限られるものではない。また、各急速充電器20は、充電対象の駆動用バッテリー54を搭載した電気自動車50との間でも通信をし、各種の情報を交換する。なお、急速充電器20についても後で説明する。
普通充電器30は、電気自動車50に搭載された車載充電器53(図2,図12を参照)に単相交流を供給することで駆動用バッテリー54を充電させる装置であり、1つのシステムに複数台が設置され、増設も可能である。このシステムでは、1台の普通充電器30が1台の駆動用バッテリー54を充電する。便宜上、2台の普通充電器30を図示しているが、台数は2台に限られるものではない。なお、普通充電器30についても後で説明する。
その他負荷40は、各充電器20,30を除いた各種の機器が該当する。例えば、エアコンや照明がこの負荷に該当する。また、コンビニエンスストアであれば、冷蔵庫や冷凍庫といった設備もこの負荷に該当する。本実施形態において、集中管理装置10は、屋内配線に設けた電力センサー61からの検出信号を取得し、この検出信号のレベルに基づいて各負荷に供給される電力量を認識する。また、集中管理装置10は、低圧配電盤や分電盤を有する低圧配電部62と通信し、商用系統60から各充電器20,30に供給される電力量を認識する。
この充電システムにおいて、駆動用バッテリー54の充電を、急速充電器20によって行う場合、集中管理装置10は、この急速充電器20を介して電気自動車50と通信し、必要な情報を電気自動車50から取得する。そして、急速充電器20で変換された高圧の直流で駆動用バッテリー54を充電する。また、駆動用バッテリー54の充電を、普通充電器30を介して行う場合、集中管理装置10は普通充電器30と通信し、車載充電器53に供給される単相交流の供給時間を設定する。そして、車載充電器53は、供給された単相交流を高圧の直流に変換し、駆動用バッテリー54を充電する。
このため、図2に示すように、集中管理装置10は管理側制御部11を、急速充電器20は急速充電側制御部21を、普通充電器30は普通充電側制御部31を、電気自動車50は車両側制御部51をそれぞれ有している。そして、管理側制御部11と急速充電側制御部21、管理側制御部11と普通充電側制御部31、及び、急速充電側制御部21と車両側制御部51とが通信可能な状態で接続されることにより、情報の送受信が行われるようになっている。なお、図2の太線は電源の供給線を示し、細線はデータや信号の通信線を示している。
次に、集中管理装置10について説明する。図2に示すように、集中管理装置10は、管理側制御部11と入力表示器12とを有している。管理側制御部11は、集中管理装置10における制御の中心となる部分である。この管理側制御部11は、図3(a)に示すように、CPU13及びメモリー14を有する制御部本体15と、通信用インタフェース16とを有している。
制御部本体15では、CPU13がメモリー14に記憶されたプログラムを実行することで各種の制御動作が実現される。例えば、各急速充電器20における最大充電電流値を時間帯毎に設定する動作や各普通充電器30から電気自動車50(車載充電器53)への単相交流の供給制御が実現される。通信用インタフェース16は、集中管理装置10における通信を制御する。すなわち各急速充電器20や各普通充電器30との間でなされる通信を制御する。
メモリー14の一部領域は、図3(b)に示すように、プログラム記憶領域、識別情報記憶領域、契約電力記憶領域、時間帯別上限電力記憶領域、設定間隔記憶領域、総容量記憶領域、残存容量記憶領域、希望充電量記憶領域、希望充電完了時間記憶領域、第1AC/DC変換効率記憶領域、第1電圧値記憶領域、第1充電電力記憶領域、第1優先順位記憶領域、時間帯別合計電力記憶領域、残り充電時間記憶領域、車種データベース、第2AC/DC変換効率記憶領域、第2電圧値記憶領域、第2充電電力記憶領域、充電緊急度記憶領域、第2優先順位記憶領域、単位充電時間記憶領域、切換時点記憶領域、単位充電回数カウンタ、及び、制御パターン記憶領域として用いられている。
これらの領域のうち、プログラム記憶領域から希望充電完了時間記憶領域までの記憶領域には、急速充電器20での充電及び普通充電器30での充電に共通する情報が記憶されている。このため、図3(b)では記憶領域の後に(共)と記載している。また、第1AC/DC変換効率記憶領域から残り充電時間記憶領域までの記憶領域には、急速充電器20での充電に関連する情報が記憶されている。このため、図3(b)では記憶領域の後に(急)と記載している。同様に、車種データベースから制御パターン記憶領域までの記憶領域には、普通充電器30による充電に関連する情報が記憶されている。このため、図3(b)では記憶領域の後に(普)と記載している。
プログラム記憶領域には、CPU13によって読み出されて実行されるプログラムが記憶されている。
識別情報記憶領域には、集中管理装置10と通信可能な電気機器について、その電気機器を示す識別情報が記憶されている。本実施形態では、各急速充電器20や各普通充電器30について、それぞれの充電器を示す固有の識別情報が記憶されている。従って、集中管理装置10では、受信した情報に含まれる識別情報を、識別情報記憶領域に記憶された識別情報と照合することで、受信した情報が何れの充電器から送信されたものかを認識できる。また、各充電器20,30は、1台の電気自動車50に搭載された駆動用バッテリー54を充電するものである。このため、充電器20,30が認識できれば、充電対象の電気自動車50、及び、駆動用バッテリー54も認識できる。従って、識別情報は、各充電器20,30に接続された、電気自動車50、及び、駆動用バッテリー54の識別情報としても機能する。
契約電力記憶領域には、充電システムを所有する需要家との契約内容に応じた契約電力の値が記憶される。集中管理装置10は、この契約電力を超えないように各充電器20,30の充電制御パターンを定め、この充電制御パターンに則って充電制御を行う。
時間帯別上限電力記憶領域には、各充電器20,30で充電に使用できる充電電力(一次側である商用系統60の電力)の合計が時間帯毎に記憶される。ここで、上限電力は、契約電力からその他負荷40で消費される電力(実績に基づく予測値)を減算することで算出できる。また、時間帯とは、制御の単位となる時間を意味し、システムの管理者によって任意の時間幅に定めることができる。例えば、正時毎の1時間や30分間隔に定めることができる。そして、この時間帯の情報は、設定間隔として設定間隔記憶領域に記憶される。
総容量記憶領域、及び、残存容量記憶領域はいずれも、充電対象の駆動用バッテリー54に関する情報を、充電を行う充電器20,30に対応付けて記憶する部分である。すなわち、総容量記憶領域には総充電容量が、残存容量記憶領域には残存する充電容量がそれぞれ充電を行う充電器20,30の識別情報とともに記憶される。
急速充電器20において、これらの情報は、急速充電側制御部21を介して取得され、駆動用バッテリー54に対する充電条件を定める際にCPU13によって参照される。一方、普通充電器30において、これらの情報は、後述する車種選択処理(S301,図16)に伴う車両データベースからの読み出し、及び、残存容量の入力処理(S302,図16)に伴うユーザーの入力操作によって取得される。そして、駆動用バッテリー54に対する充電条件を定める際にCPU13によって参照される。
希望充電量記憶領域、及び、希望充電完了時間記憶領域は、電気自動車50のユーザーからの充電に関する要求を、充電を行う充電器20,30に対応付けて記憶する部分である。希望充電量記憶領域には、ユーザーが希望する充電量の情報(例えば全体容量の○○%以上)が、希望充電完了時間記憶領域には、ユーザーが希望する充電完了時間の情報(例えば△時間以内)が、それぞれ充電を行う充電器の識別情報とともに記憶される。これらの情報は、ユーザーによる入力表示器12への操作によって取得され、駆動用バッテリー54に対する充電条件を定める際にCPU13によって参照される。
第1AC/DC変換効率記憶領域には、商用系統60側の三相交流(AC)から直流(DC)に変換する際における急速充電器20毎の変換効率が記憶されている。集中管理装置10は、この変換効率の情報を、急速充電時における一次側の電流値を取得する際に使用する。
第1電圧値記憶領域には、駆動用バッテリー54の急速充電に関連する電圧値が記憶される。すなわち、第1電圧値記憶領域には、充電対象の各駆動用バッテリー54に対する時間帯毎の充電電圧値(DCの電圧値)が、充電を行う急速充電器20の識別情報とともに記憶されている。第1充電電力記憶領域には、駆動用バッテリー54を急速充電する際の時間帯毎の電力(一次側の電力)が、充電を行う急速充電器20毎に記憶されている。この充電電力もまた、充電を行う急速充電器20の識別情報とともに記憶されている。
第1優先順位記憶領域には、急速充電器20で充電される駆動用バッテリー54についての優先順位が記憶されている。本実施形態では、先に充電要求のあった急速充電器20で充電される駆動用バッテリー54ほど高い優先順位が付されている。
時間帯別合計電力記憶領域には、各急速充電器20による充電時に消費される電力を時間帯毎に合計した合計電力が記憶される。この合計電力は、第1充電電力記憶領域に記憶された個別の充電電力を合計することで算出される。なお、これらの情報は、充電制御の決定処理で求められる。また、残り充電時間記憶領域は、各急速充電器20で充電される駆動用バッテリー54について充電に要する残り時間が記憶されている。なお、残り時間については、充電の進行に伴って減少される。そして、これらの情報もまた、充電を行う急速充電器20の識別情報とともに記憶される。
車種データベースには、市販されている電気自動車50の車種毎に、車載充電器53のAC/DC変換効率、駆動用バッテリー54の総充電容量、車載充電器53に供給する商用系統60の充電電流値(個別電流値)といった車両情報が記憶されている。
第2AC/DC変換効率記憶領域には、単相交流(AC)から直流(DC)に変換する際における車載充電器53毎の変換効率が記憶されている。集中管理装置10は、この変換効率の情報を、充電完了時間の予想値を取得する際に使用する。この変換効率に関し、車種毎の差が小さい場合には、標準値を記憶させてもよい。なお、標準値を記憶させた場合、車種データベースからはAC/DC変換効率の項目が除かれる。
第2電圧値記憶領域には、商用系統60における単相交流の電圧値(一次側の電圧値)が記憶される。この充電電圧値は車載充電器53によらない値として、各普通充電器20にて共通に用いられる。
第2充電電力記憶領域には、車載充電器53に供給する商用系統60の充電電力が記憶される。この充電電力は、車載充電器53に供給される一次側の電流値に、一次側の電圧値及び力率を乗じることで算出される。一次側の電流値が車載充電器53毎の固有情報であることから、この充電電力も車載充電器53毎の固有情報になる。そして、この充電電力の情報は、駆動用バッテリー54に対する充電条件を定める際に算出される。便宜上、以下の説明では、車載充電器53毎の充電電力のことを個別電力ともいう。
充電緊急度記憶領域には、充電の優先度を定めるための指標である充電緊急度を記憶する部分である。この充電緊急度は、予想された充電完了時間(予想完了時間)とユーザーが希望する希望完了時間との比率に基づいて定められる。例えば、予想完了時間を希望完了時間で除して得られた比率が大きいほど(希望完了時間よりも長時間を要するものほど)充電緊急度が高いとしている。この充電緊急度もまた、充電を行う普通充電器30の識別情報とともに記憶される。
第2優先順位記憶領域には、充電動作を行う普通充電器30についての優先順位が記憶されている。本実施形態では、充電緊急度の高い普通充電器30ほど高い優先順位を付している。この優先順位の情報もまた、充電を行う普通充電器30の識別情報とともに記憶される。
単位充電時間記憶領域は、単位充電動作における1回分(巡回充電動作における1サイクル分)に相当する単位充電時間を記憶する部分である。この充電システムにおいて、普通充電器30による充電制御では、ユーザー間の平等の観点から、1回の単位充電動作で充電される電力量を等しくしている。この電力量を等しくしたことから、1回の単位充電動作に要する時間は、車載充電器53の充電能力(一次側の電流値)に応じて定まることになる。そこで、この単位充電時間記憶領域には、単位充電動作における1回分の充電時間を単位充電時間とし、充電を行う普通充電器30の識別情報とともに記憶させている。
切換時点記憶領域は、充電制御パターンにおける制御の切換時点(後述する断面)が記憶されている。この切換時点としては、普通充電器30毎の充電開始時点、充電終了時点がある。また、上限電力が切り替わる時間帯同士の境界も切換時点に該当する。単位充電回数カウンタには、単位充電の実行回数が充電を行う普通充電器30の識別情報とともに記憶される。なお、単位充電回数カウンタは、充電制御パターンを決定する処理において用いられる。
制御パターン記憶領域には、充電制御決定処理で決定された充電制御パターンが記憶される。この充電制御パターンは、制御の切換時点(断面)、動作対象の普通充電器30、及び、動作時間が組になったものである。充電処理を行う際、管理側制御部11は、制御パターン記憶領域に記憶された充電制御パターンを読み出して、動作対象の普通充電器30に対して必要な情報を送信する。
次に、入力表示器12について説明する。入力表示器12は、集中管理装置10におけるユーザーインタフェースを提供する部分であり、図2に示すように、ユーザーの指示を入力するための入力部12aと、各種の表示を行う表示部12bとを有している。本実施形態の入力表示器12は、タッチパネル式の液晶表示装置によって構成されている。この装置では、タッチパネルが入力部12aに相当し、液晶表示装置が表示部12bに相当する。なお、入力表示器12に関し、他の種類の装置を用いてもよい。
この入力表示器12は、電気自動車50のユーザーによる充電器20,30の選択、希望充電量の入力、及び、希望充電完了時間の入力などを行う際に利用される。また、普通充電器30による充電時には、車名等の入力、駆動用バッテリー54の残存容量(電池残量)の入力、希望充電量の入力、及び、希望充電完了時間の入力などを行う際に利用される。
充電器20,30の選択に際しては、例えば図4に示すように、使用する充電器20,30の種類やOKの文字がボタン画像で表示される。また、希望充電量の入力に際しては、例えば図5に示すように、駆動用バッテリー54に対する充電量(全体の充電容量に対する比率)などがボタン画像で表示される。同様に、希望充電完了時間の入力に際しては、例えば図6に示すように、希望充電完了時間などがボタン画像で表示される。また、図7に示すように、入力表示器12では、充電完了の予定時刻も表示される。
さらに、普通充電器30が選択された場合には、例えば図8(a)に示すように、まずメーカー名(A〜H)とOKの文字がボタン画像で表示される。そして、メーカー名が選択されると、選択されたメーカーの車名などがボタン画像で表示される。例えばメーカー名として「A」が選択された場合、図8(b)に示すように、選択されたメーカーの車名「a1」〜「a8」が表示される。加えて、図9に示すように、電池残量(残存容量)の選択画像として、駆動用バッテリー54の電池残量が水準毎にボタン画像で表示される。
表示画像の内容は管理側制御部11によって定められる。本実施形態では、選択可能な項目と選択不可の項目とで表示態様を異ならせている。例えば、選択可能な項目についてはランプが点灯している感じのボタン画像を表示し、選択不可の項目についてはランプが消灯している感じのボタン画像を表示している。図4の表示例は対象が急速充電器20であるため、急速充電器A及び急速充電器Bについて点灯状態のボタン画像で表示され、普通充電器C及び普通充電器Dについて消灯状態のボタン画像で表示されている。これにより、普通充電器C,Dは選択対象外であることをユーザーに対して視覚で通知できる。
そして、選択可能なボタン画像がユーザーによってタッチされると、タッチ操作が入力部12aで検知される。そして、検知情報(例えばタッチ位置の座標)が管理側制御部11へ出力される。管理側制御部11では、検知情報に基づいてユーザーの選択内容を認識する。図4の表示例において、急速充電器Aのボタン画像がタッチされ、かつ、OKのボタン画像がタッチされた場合に、急速充電器Aのボタン画像について座標情報が入力表示器12から管理側制御部11に送信される。管理側制御部11では、受信した座標情報に基づいて急速充電器Aが選択されたことを認識する。
次に、急速充電器20について説明する。急速充電器20は、駆動用バッテリー54を充電する直流の充電電力を供給する装置であり、例えば図2に示すように、急速充電側制御部21、及び、電源部22を有している。
急速充電側制御部21は、急速充電器20における制御の中心となる部分であり、図10(a)に示すように、CPU23及びメモリー24を有する制御部本体25と、通信用インタフェース26とを有している。これらの制御部本体25及び通信用インタフェース26は、管理側制御部11で説明したものと同様に構成されている。
電源部22は、駆動用バッテリー54を充電するための充電電力を供給する部分であり、図2に示すように電力変換器27とゲート制御部28とを有している。電力変換器27は、商用系統60(低圧配電部62)からの三相交流を直流に変換する部分であり、例えばPWMコンバータ(図示せず)が用いられる。このPWMコンバーターは、ゲート端子に入力されるゲート制御信号に応じて、供給される直流電力を制御する。ゲート制御部28は、電力変換器27のゲート端子に入力されるゲート制御信号を生成する部分である。このゲート制御部28は、急速充電側制御部21と電気的に接続されており、急速充電側制御部21によって動作が制御される。
次に制御部本体25のメモリー24について説明する。図10(b)に示すように、メモリー24の一部領域は、プログラム記憶領域、識別情報記憶領域、総容量記憶領域、残存容量記憶領域、出力電圧値記憶領域、充電電流値記憶領域、要求電流値記憶領域として用いられている。
これらの記憶領域のうち、プログラム記憶領域には、CPU23によって読み出されて実行されるプログラムが記憶され、識別情報記憶領域には、その急速充電器20を示す固有の識別情報が記憶されている。これらの情報は、急速充電器20固有の情報として予めメモリー24に記憶されている。
総容量記憶領域、及び、残存容量記憶領域にはそれぞれ、その急速充電器20で充電される駆動用バッテリー54の総充電容量、及び、残存充電容量が記憶される。これらの情報は、車両側制御部51との通信によって取得され、メモリー24に記憶される。そして、管理側制御部11との通信時に読み出されて送信される。
出力電圧値記憶領域には、充電時に出力されるDCの電圧値(充電電圧値)が記憶されている。この出力電圧の情報もまた、車両側制御部51との通信によって取得され、メモリー24に記憶される。そして、管理側制御部11との通信時に読み出されて送信される。
充電電流値記憶領域には、現時間帯での充電電流値(各急速充電器20で供給可能な最大電流値)が記憶される。この充電電流値は、駆動用バッテリー54の充電容量、充電電圧値、及び、充電時間に応じて集中管理装置10で決定される。このため、管理側制御部11と通信することで受信され、メモリー24に記憶される。
要求電流値記憶領域には、電気自動車50が要求する充電用の電流値が記憶される。この要求電流値の情報は、急速充電器20による駆動用バッテリー54への充電時に参照される。例えば、充電電流値記憶領域の充電電流値よりも要求電流値記憶領域の要求電流値の方が大きい場合、急速充電側制御部21は、充電電流値で駆動用バッテリー54を充電する。反対に、充電電流値よりも要求電流値の方が小さい場合、急速充電側制御部21は、要求電流値で駆動用バッテリー54を充電する。
次に、普通充電器30について説明する。普通充電器30は、駆動用バッテリー54に付設された車載充電器53(付設充電器)に単相交流を供給することで駆動用バッテリー54を充電させる装置であり、例えば図2に示すように、普通充電側制御部31、及び、開閉器32を有している。
普通充電側制御部31は、普通充電器30における制御の中心となる部分であり、図11(a)に示すように、CPU33及びメモリー34を有する制御部本体35と、通信用インタフェース36とを有している。これらの制御部本体35及び通信用インタフェース36は、管理側制御部11等で説明したものと同様に構成されている。
開閉器32は、単相交流の供給制御を行う部分である。この開閉器32は普通充電側制御部31によって開閉動作が制御され、単位充電動作に対応する単位充電時間に亘って閉状態になり、単相交流を車載充電器43に供給する。そして、単位充電時間の経過後に開状態に復帰される。なお、普通充電側制御部31は、管理側制御部11からの動作指示信号に基づいて、開閉器32の開閉動作を制御する。
次に制御部本体35のメモリー34について説明する。図11(b)に示すように、メモリー34の一部領域は、プログラム記憶領域、及び、識別情報記憶領域として用いられている。そして、プログラム記憶領域には、CPU33によって読み出されて実行されるプログラムが記憶され、識別情報記憶領域には、その普通充電器30を示す固有の識別情報が記憶されている。
次に、電気自動車50について説明する。図12に示すように、電気自動車50は、車両側制御部51と、普通充電インレット52Aと、急速充電インレット52Bと、車載充電器53と、駆動用バッテリー54と、補機用バッテリー55と、インバーター56と、駆動モーター57と、トランスミッション58とを有している。なお、図12の太線は電源の供給線を示し、細線はデータや信号の通信線を示している。
車両側制御部51は、電気自動車50における制御の中心となる部分であり、図13(a)に示すように、CPU71及びメモリー72を有する制御部本体73と、通信用インタフェース74とを有している。これらの制御部本体73及び通信用インタフェース74は、管理側制御部11等で説明したものと同様に構成されている。
普通充電インレット52Aは普通充電器30の充電プラグPG1が接続される部分であり、急速充電インレット52Bは急速充電器20の充電プラグPG2が接続される部分である。これらの充電インレット52A,52Bに関し、普通充電インレット52Aは普通充電器30からの単相交流が供給されるのに対し、急速充電インレット52Bは急速充電器20からの直流が供給される点で相違している。また、普通充電インレット52Aは、車両側制御部51と通信線を介して接続されていないのに対し、急速充電インレット52Bは、車両側制御部51と通信線を介して接続されている。これにより、充電プラグPG2や充電ケーブルを介して、車両側制御部51と急速充電側制御部21とが通信可能な状態で接続されている。
車載充電器53には、駆動用バッテリー54及び補機用バッテリー55が接続されている。そして、車載充電器53は、供給された単相交流によって、これらの駆動用バッテリー54及び補機用バッテリー55を充電する。このため、車載充電器53は、駆動用バッテリー54に付設された付設充電器に相当する。なお、駆動用バッテリー54は、駆動モーター57を動作させるための直流電力を蓄える部分である。補機用バッテリー55は、車両側制御部51等の計器類を動作させるための直流電力を蓄える部分である。
各バッテリーへの充電時において、車載充電器53は、充電電圧の調整や充電終了といった充電に関する制御も行う。なお、駆動用バッテリー54と補機用バッテリー55とは、蓄える直流電力の電圧が異なっている。このため、車載充電器53には、DC/DCコンバーター回路が設けられており(図示せず)、適した電圧で充電が行えるように構成されている。
インバーター56は、駆動用バッテリー54に蓄えられた直流電力から交流電力を生成する電力変換装置である。このインバーター56は、車両側制御部51からの制御信号に応じて、周波数が調整された交流電力が出力される。そして、インバーター56で生成された交流電力は、駆動モーター57に供給される。従って、駆動モーター57の回転数は、車両側制御部51からの制御信号に応じて制御される。
駆動モーター57は、タイヤTRを回転させる駆動源となる部分である。すなわち、駆動モーター57の回転軸は、トランスミッション58に接続されており、駆動モーター57からの回転力は、適宜減速されて車軸DFに伝達されている。車軸DFの端部にはタイヤTRが取り付けられているため、駆動モーター57の回転によってタイヤTRが回転する。
制御部本体73が有するメモリー72の一部領域は、図13(b)に示すように、プログラム記憶領域、総容量記憶領域、残存容量記憶領域、要求電流値記憶領域、残り充電時間記憶領域として用いられている。なお、各領域に記憶されている情報については前述しているので、ここでは説明を省略する。
次に、この充電システムにおける動作について説明する。図14は、この充電システムによる電気自動車50の充電動作を説明するメインフローチャートである。なお、図14のフローチャート、及び、後述する図15,図16のフローチャートにおいて、「QC」,「NC」と記載されているが、「QC」は急速充電器20を、「NC」は普通充電器30をそれぞれ意味している。
この充電システムでは、まず充電動作を行う充電器20,30の選択の有無が判定される(S101)。すなわち、管理側制御部11は、ユーザーによって入力部12aに対する充電器20,30の選択動作がなされたか否かを判断する。そして、充電器20,30が選択された場合には、その充電器20,30が急速充電器20か普通充電器30かが判断される(S102)。図4の例では、選択可能な急速充電器A又は急速充電器Bのボタン画像がタッチされ、その後にOKのボタン画像がタッチされた場合に、管理側制御部11は、タッチされた方の急速充電器20が選択されたことを認識する。
ステップS102で急速充電器20が選択された場合、全ての充電器20,30の動作を停止させる(S104)。一方、ステップS102で普通充電器30が選択された場合、充電動作中の急速充電器20があるか否かを判断し(S103)、充電動作中の急速充電器20がある場合には、ステップS104に移行して全ての充電器20,30の動作を停止させる。また、充電動作中の急速充電器20がなかった場合には、ステップS105に移行して全ての充電器20,30の動作を停止させる。
ステップS104で全ての充電器の動作を停止させたならば、急速充電器20に対する充電制御の仮決定処理を行う(S106)。この仮決定処理において、管理側制御部11は、希望充電量(ユーザーの希望する希望充電量)及び希望充電完了時間(ユーザーの希望する希望充電時間)といった必要な情報を取得し、これらの情報から充電対象の駆動用バッテリー54(第1蓄電池に相当する)を希望充電完了時間で充電するために必要な最小電力を取得し、各駆動用バッテリー54について取得された最小電力を時間帯毎に合計し、上限電力以下の場合に充電制御パターンを仮決定する。なお、この充電制御の仮決定処理については、後で詳しく説明する。
ステップS106の急速充電制御仮決定処理を終えたならば、ユーザーからの充電要望を達成できるか否かが判断される(S107)。すなわち、ユーザーの希望する充電完了時間内に充電が終了するか否かが判断される。そして、充電要望を達成できない場合、その旨が報知される(S108)。この報知は、例えば充電要望を達成できない旨を入力表示器12に表示させることで行われる。なお、充電要望が達成できる場合、その報知は、結果通知処理(S117,後述)で行われる。
ステップS107で充電要望を達成できると判断された場合、又は、ステップS108で充電要望不達成の旨が報知された場合には、続いて充電動作の対象となる普通充電器30の有無が判断される(S109)。そして、動作対象となる普通充電器30が有ると判断された場合、又は、ステップS105の処理で全ての充電器の動作を停止させた場合には、普通充電器30に対する充電制御の仮決定処理を行う(S110)。なお、ステップS109の処理で動作対象の普通充電器30は無いと判断された場合には、ステップ113の処理に移行する(後述)。
普通充電器30に対する充電制御の仮決定処理(S110)において、管理側制御部11は、商用系統60から普通充電器30に流れ込む充電電流と、普通充電器30に入力される入力電圧と、駆動用バッテリー54に対する希望充電量及び希望充電完了時間とから、駆動用バッテリー54(第2蓄電池に相当する)対する単位充電量の充電に必要な個別電力、単位充電時間、及び、予想充電完了時間(残り充電時間)を取得する。また、管理側制御部11は、駆動用バッテリー54に対する1回の単位充電動作に必要な個別電力を、充電される駆動用バッテリー54の個数分合計した個別電力の合計値を時系列で求める。
そして、個別電力の合計値とステップS106で算出された最小電力の合計値との総合計が、対応する時間帯における上限電力以下の場合に、普通充電器30からの単相交流の供給が許可されるように、充電制御の内容を決定する。決定された充電制御の内容は、充電制御パターンとしてメモリー14の制御パターン記憶領域に記憶される。なお、この充電制御の仮決定処理についても、後で詳しく説明する。
ステップS110の普通充電制御仮決定処理を終えたならば、急速充電器20に関する処理と同様に、ユーザーからの充電要望を達成できるか否かが判断される(S111)。そして、充電要望を達成できない場合、その旨が報知される(S112)。この報知は、例えば充電要望を達成できない旨を入力表示器12に表示させることで行われる。なお、充電要望が達成できる場合、急速充電器20に関する処理と同様に、ステップS117の結果通知処理でその旨が報知される。
急速充電及び普通充電についての制御が仮決定されたならば(S106,S110)、電力に余裕のある時間帯の有無が判定される(S113)。この処理において、管理側制御部11は、最小電力の合計値(S106)、及び、個別電力の合計値(S110)の総合計を時間帯毎に算出し、この総合計が対応する時間帯での上限電力よりも少ない場合に、電力余裕の時間帯があると判断する。一方、全ての時間帯において総合計が上限電力と同じ値であれば、電力余裕の時間帯はないと判断する。
電力余裕の時間帯がある場合、急速充電制御の調整処理が行われる(S114)。この調整処理では、急速充電の電力に関し、後側時間帯の電力を電力に余裕のある時間帯に分配し、その分全体の充電時間を短縮化する処理である。急速充電制御の調整処理を行ったならば、普通充電制御の調整処理が行われる(S115)。この調整処理では、急速充電器20による充電時間が短縮化されたことに伴って、短縮化された時間帯における普通充電処理(単位充電処理)の制御パターンを再設定する処理である。なお、ステップS114,S115の調整処理については、具体例に基づいて詳しく説明する。
ステップS113で電力余裕の時間帯がないと判断された場合、又は、前述の調整処理(S114,S115)が行われた場合には、ステップS116に移行して充電制御パターンが決定される。そして、決定された充電制御パターンに基づく結果通知処理が行われる(S117)。この結果通知処理では、例えば充電完了の予想時間等が入力表示器12に表示される。
通知処理が行われたならば、充電処理が行われる(S118)。この充電処理において、管理側制御部11は、急速充電器20の急速充電側制御部21に充電制御パターンの情報を送信する。そして、急速充電側制御部21は、受信した充電制御パターンに従って駆動用バッテリー54の充電を行う。ここで、充電制御パターンとしては、その時間帯における最大電流値を示す情報が用いられる。このため、管理側制御部11は、現時間帯の充電電力に基づいて充電に使用可能な最大電流値を算出し、各急速充電器20へ送信する。各急速充電器20では、その充電電流値を最大値として、電気自動車50からの要求電流に従った充電電流を駆動用バッテリー54に流し込む。このため、急速充電側制御部21は、現時間帯での充電電流値をメモリー24の充電電流記憶領域に記憶し、車両側制御部51から送信された要求電流値をメモリー24の要求電流値記憶領域に記憶し、充電電流値と要求電流値とを比較して少ない方の電流で駆動用バッテリー54を充電する。
また、管理側制御部11は、決定された充電制御パターンに則って、動作対象となる普通充電器30(充電側制御部31)に対し、開閉器32を動作させるための指示情報などを送信する。普通充電器30は受信した指示情報に基づき、単位充電時間に亘って開閉器32を閉状態にすることで、単相交流を車載充電器53へ供給する。そして、車載充電器53は、単相交流が供給されている期間に亘って駆動用バッテリー54の充電を行う。
この充電処理は、全ての駆動用バッテリー54の充電が終了するまで継続して行われる(S119)。そして、新たな充電器20,30が選択されるまでは、決定された充電制御パターンで充電を行う(S120)。一方、新たな充電器20,30が追加で選択された場合には、ステップS102に戻って充電器の種別判断以降の処理を繰り返し行う。なお、全ての駆動用バッテリー54の充電が終了した場合には(S119)、ステップS101に戻って新たな充電器20,30が選択されるまで待機する。
次に、図15のフローチャートを参照して、管理側制御部11による急速充電制御決定処理(S106)の詳細について説明する。
この急速充電制御決定処理では、まず車両情報の取り込みが行われる(S201)。ここでの車両情報は、駆動用バッテリー54に関する総充電容量の情報や残存容量の情報などである。そして、管理側制御部11は、取り込んだ各情報をメモリー14に記憶する。
車両情報が取得されたならば、管理側制御部11は、希望充電量、及び、希望充電完了時間の入力を待つ(S202,S203)。図5(a)では、駆動用バッテリー44の残存充電容量が50%程度の場合を例示している。この場合、希望充電量20%以上及び40%以上のボタン画像は、残存充電容量の方が多いことから選択不可の態様で表示される。一方、希望充電量60%以上及び80%以上のボタン画像は、残存充電容量よりも多いことから選択可能な態様で表示される。そして、選択可能な60%以上又は80%以上のボタン画像がタッチされ、その後にOKのボタン画像がタッチされた場合に、管理側制御部11は、タッチされた希望充電量が選択されたことを認識する。また、図6(a)の例では、選択可能な1.5時間又は2時間以内のボタン画像がタッチされ、その後にOKのボタン画像がタッチされた場合に、管理側制御部11は、タッチされたボタン画像の時間が希望充電完了時間として選択されたことを認識する。
次に、最優先の急速充電器20が選択される(S204)。本実施形態では、前述の充電器選択処理(S101)で最も早く選択された急速充電器20を、最優先の急速充電器20として選択する。なお、2番目以降の優先順位も選択の早い順に定められる。すなわち、追加の急速充電器20の判断処理(S120)で追加された順に高い優先順位に設定される。これらの優先順位の情報は、管理側制御部11が有するメモリー14に記憶される。
次に、選択された急速充電器20に関して予想総充電量が算出される(S205)。本実施形態において、この予想総充電量は、次式(1)によって算出される。
予想総充電量=バッテリー総充電容量×希望充電量(%)−電池残存容量 …(1)
予想総充電量が算出されたならば、希望充電完了時間に対応する最小連続充電電流値(以下、最小充電電流値という)が算出される(S206)。この最小充電電流値は、希望充電完了時間で充電を完了するために必要とされる充電電流値の最小値を意味し、次式(2)によって算出される。なお、式(2)において、出力電圧値は、駆動用バッテリー54に対する充電電圧の値であり、管理側制御部11のメモリー14から読み出される。
最小充電電流値=予想総充電量÷(出力電圧値×希望充電完了時間) …(2)
次に、最小充電電流値に対応する一次側の最小充電電力、すなわち充電時に商用系統60から連続的に供給される電力の最小値が算出される(S207)。この最小充電電力は、次式(3)によって算出される。便宜上、以下の説明では、最小充電電流値に対応する一次側の充電電力のことを一次側最小充電電力という。
一次側最小充電電力=最小充電電流値×出力電圧値÷AC/DC変換効率 …(3)
次に、算出した一次側最小充電電力を、充電が予定されている時間帯(充電予定時間帯)に仮設定する(S208)。ここで、仮設定とは、一次側最小充電電力を充電予定時間帯に積算することを意味する。例えば、1番目の急速充電器20であれば、それまでの電力が0Wであるので、充電予定時間帯に亘って一次側最小充電電力が仮設定される。また、2番目の急速充電器20の場合には、1番目の急速充電器20と2番目の急速充電器20とがともに充電される時間帯において、1番目の急速充電器20の一次側最小充電電力に、2番目の急速充電器20の一次側最小充電電力が加算される。また、2番目の急速充電器20のみが充電される時間帯については、2番目の急速充電器20の一次側最小充電電力が仮設定される。
次に、仮設定した一次側最小充電電力が全ての時間帯に亘って制約条件を超過しているか否かの判断が行われる(S209)。この判断は、仮設定した一次側最小充電電力と時間帯毎に定められた上限電力(充電器20,30で使用可能な電力の上限)とを時間帯毎に比較することで行われる。そして、仮設定した一次側最小充電電力が、全ての時間帯に亘って上限電力を超える場合に制約条件を超過していると判断され、少なくとも一部の時間帯で超過していなければ制約条件を超過していないと判断される。
制約条件を超過していると判断された場合には、充電要望を達成することはできないとして(S210)、充電制御決定処理からメインフローチャートに復帰する。この場合、報知処理(S108)において、充電要望は達成できない旨がユーザーに通知される。そして、設定された条件の下で、希望充電完了時間以降についても継続して充電が行われることになる。
一方、制約条件を超過していないと判断された場合には、全ての時間帯で制約条件を満足しているか否かが判断される(S211)。ここで、一部の時間帯で制約条件を超過していると判断された場合には、超過時間帯の充電電力(一次側最小充電電力の積算値)を上限電力に修正する(S212)。そして、電力に余裕のある時間帯の有無を判断する(S213)。電力に余裕のある時間帯があれば、超過分の充電電力をその時間帯に分配する(S214)。また、電力に余裕のある時間帯がなければ、充電要望を達成することはできないとして(S210)、急速充電制御決定処理からメインフローチャートに復帰する。
ステップS211で全ての時間帯で制約条件を満足していると判断された場合には、その充電制御パターンが当該急速充電器20の充電パターンとして仮決定される。次に、充電の要求がある全ての急速充電器20について駆動用バッテリー54の充電制御パターンが仮決定されたか否かが判断される(S215)。ここで、まだ充電制御パターンが仮決定されていない急速充電器20があった場合には、それらの中で優先順位の最も高い急速充電器20を選択し(S216)、ステップS205以下の処理を繰り返し行う。なお、この急速充電制御決定処理については、具体例を挙げて説明する。
次に、図16のフローチャートを参照して、管理側制御部11による普通充電制御仮決定処理(S110)の詳細について説明する。
この普通充電制御仮決定処理では、まず車両情報の取り込みが行われる(S301)。この処理は、充電対象の電気自動車50に関し、車種をユーザーに選択させることで行われる。例えば、図8(a),(b)に示すように、メーカー名と車名の組み合わせから車種を選択させる。車種が選択されたならば、管理側制御部11は、選択された車種の車両情報を車種データベースから呼び出し、対応する記憶領域に記憶させる。これにより、駆動用バッテリー54の総充電容量や車載充電器53に供給される一次側の電流値の情報などが呼び出され、それぞれの情報を記憶する記憶領域に記憶される。
車両情報を取り込んだならば、管理側制御部11は、残存容量、希望充電量、及び、希望充電完了時間の入力を待つ(S302−S304)。
図9の例では、選択可能な5水準(0%,20%程度,40%程度,60%程度,80%程度)の電池残量(電池残存容量)を示すボタン画像が表示されているので、任意の1つのボタン画像がタッチされ、その後にOKのボタン画像がタッチされた場合に、管理側制御部11は、タッチされた電池残量が選択されたことを認識する。
図5(b)の例では、5水準のうち選択可能な3水準(60%以上,80%以上,100%)の希望充電量を示すボタン画像が表示されているので、任意の1つのボタン画像がタッチされ、その後にOKのボタン画像がタッチされた場合に、管理側制御部11は、タッチされた希望充電量が選択されたことを認識する。
図6(b)の例でも、5水準のうち選択可能な選択可能な3水準(4時間以内,8時間以内,12時間以内)の希望充電完了時間を示すボタン画像が表示されているので、任意の1つのボタン画像がタッチされ、その後にOKのボタン画像がタッチされた場合に、管理側制御部11は、タッチされた希望充電完了時間が選択されたことを認識する。
必要な情報が入力されたならば、充電制御パターンの仮決定対象となる普通充電器30を選択する(S305)。ここで、識別番号がアルファベットで構成されている場合にはアルファベット順の最も若いものが選択され、識別番号が順序数で構成されている場合には最も小さな数字が付されたものが選択される。
次に、選択された普通充電器30に関して予想総充電量が算出される(S306)。本実施形態において、この予想総充電量は、次式(4)によって算出される。なお、式(4)において、希望充電量及び電池残存容量は、何れもパーセント単位である。
予想総充電量=バッテリー総充電容量×(希望充電量−電池残存容量) …(4)
予想総充電量が算出されたならば、一次側の充電電力が算出される(S307)。本実施形態において、この充電電力は、次式(5)によって算出される。なお、式(5)において、充電電流は、車載充電器53に供給する商用系統60の充電電流の値であり、入力電圧は、車載充電器53に入力される単相交流の電圧値である。
充電電力=充電電流×入力電圧×力率 …(5)
一次側の充電電力が算出されたならば、充電完了予想時間が算出される(S308)。本実施形態において、この充電完了予想時間は、次式(6)によって算出される。なお、式(6)において、充電電圧値は単相交流の電圧値である。このため、この処理では管理側制御部11のメモリー14(第2電圧値記憶領域)から単相交流の電圧値が読み出される。
充電完了予想時間=予想総充電量÷AC/DC変換効率÷充電電力 …(6)
次に、単位充電時間(一巡回充電間隔)が算出される(S309)。本実施形態において、この単位充電時間は、次式(7)によって算出され、1サイクルの巡回充電における充電時間を示す。なお、式(7)において、基準巡回充電時間は、1サイクルの巡回充電において基準となる充電時間であり、充電システムの管理者によって任意の時間に設定できる。また、基準充電電力は、1サイクルの巡回充電において充電される電力であり、充電システムの管理者によって任意の値に設定できる。これらの基準巡回充電時間及び基準充電電流値は、1サイクルの巡回充電において駆動用バッテリー54に充電される充電量を平等にするために定められる。
単位充電時間=基準巡回充電時間×基準充電電力÷充電電力 …(7)
次に、充電緊急度が算出される(S310)。前述したように、充電緊急度は、充電の優先度を定めるための指標であり、本実施形態では次式(8)によって算出される。すなわち、充電緊急度が大きいほど、ユーザーの希望充電完了時間よりも長い時間に亘って充電をしなければならないことを意味している。
充電緊急度=充電完了予想時間÷希望充電完了時間 …(8)
充電緊急度を算出したならば、ステップS306からS310までの各算出処理が、対象となる全ての普通充電器30に対して行われたか否かが判断される(S311)。ここで、算出処理が行われていない普通充電器30があった場合には、次に識別情報の若い普通充電器30が選択され(S312)、この普通充電器30に対する各算出処理(S306−S310)が行われる。
一方、各算出処理が、全ての普通充電器30に対して行われた場合には、充電緊急度の高い順に普通充電器30の優先順位が並べ替えられる(S313)。この処理は、ステップS310で算出された充電緊急度に基づいて行われる。
次に、対象断面の設定が行われる(S314)。ここで断面とは、充電制御パターンにおける制御の切換時点であり、各普通充電器30で充電に使用できる電力が上限電力を超えているか否かの判断タイミングに相当する。この断面としては、普通充電器30になされる単位充電動作の開始時点や終了時点がある。また、上限電力を規定する時間帯同士の境界も断面に該当する。従って、充電の開始時点が1番目の断面になる。このため、ステップS313から移行してきた場合には、充電の開始時点(具体例における時刻t0)が対象断面として設定される。
対象断面を設定したならば、対象断面における制約条件を満足するか否かが判断される(S315)。ここでは、優先順位(充電緊急度)の高い順に充電時の電力(個別電力)が積算される。そして、全ての充電器20,30に対する個別電力の合計が、対象断面における上限電力以下である場合に、制約条件を満足すると判断される。
ここで、制約条件を満足している場合には、その断面における充電制御パターンが仮決定される(S317)。一方、制約条件を満足していない場合には、優先順位の低い普通充電器30や単位充電回数(巡回充電回数)の多い普通充電器30を順に待機状態に設定し(S316)、個別電力の合計を対象断面における上限電力以下にすることで、その断面における充電制御パターンが仮決定される。
この様にして対象断面の充電制御パターンが仮決定されたならば、全ての対象断面について充電制御パターンが仮決定されたか否かが判断される(S318)。ここで、充電制御パターンが決定されていない断面があった場合には、その断面を対象断面に設定し(S314)、前述の処理を繰り返し行う(S315〜S317)。
この設定処理において、管理側制御部11は、ある普通充電器30による1サイクル分の充電(単位充電)の終了時点で、その普通充電器30を待機状態に設定する。また、単位充電回数が他の普通充電器30よりも多い普通充電器30については、その優先順位を一時的に低く設定する。このような設定を行うことで、特定の駆動用バッテリー54が連続して充電されてしまう不具合を抑制している。なお、この設定処理については、具体例に基づいて説明する。
全ての断面について充電制御パターンが決定されたならば(S318)、全ての普通充電器30について充電要望を満足しているか否かが判断される(S319)。ここで、希望する充電量を希望する時間内に充電できる場合、充電要望を満足していると判断される。一方、希望する充電量を充電するに際して希望する時間を超えてしまう場合、充電要望を満足していないと判断される。
そして、充電要望を満足していると判断された場合には、要望達成見込みである旨の報知データが作成される(S320)。この報知データはステップS117の結果通知で通知される。一方、充電要望を満足していないと判断された場合には、要望不達成である旨の報知データが作成される(S321)。この報知データはステップS112の報知処理で通知される。これらの報知データ作成処理を行ったならば、普通充電制御仮決定処理(S110)を終了し、メインフローチャートに復帰する。
次に、以上の充電制御決定処理について、図17(a)〜図20(b)の具体例に基づいて詳しく説明する。これらの図において、横軸は時間であり、縦軸は電力である。また、階段状に描かれている点線は、時間帯毎の上限電力(充電器20,30の全体で使用可能な商用系統60側の電力)である。この具体例では、時刻t0−t1,時刻t1−t2,時刻t2−t3,時刻t3−からなる4つの時間帯が描かれている。
また、この具体例では、2台の急速充電器20と3台の普通充電器30で充電を行っており、各急速充電器20による充電量について符号QC1,QC2を付して示し、各普通充電器30による充電量について符号NC1〜NC3を付して示している。ここで、充電量QC1,QC2及び充電量NC1〜NC3に関し、優先順位の高い順に若い順序数を付している。
なお、充電量NC1〜NC3の充電量を示す矩形状図形に関し、面積(充電量)は等しく、縦横比は相違している。これは、各駆動用バッテリー54を平等に充電する観点から、1サイクルの充電量NC1〜NC3を揃えていることによる。すなわち、各電気自動車50の車載充電器53は、それぞれに固有の充電電流値が設定されている。この充電電流値に応じて、矩形状図形における縦軸の大きさ(商用系統60からの充電電力)が定まる。このため、1サイクルの充電量を揃えた場合、充電電流値が相対的に大きいと1サイクルの充電動作(単位充電動作)は相対的に短時間で終了し、充電電流値が相対的に小さいと単位充電動作は相対的に長時間を要する。このため、充電電流値が相対的に大きい車載充電器53に接続された普通充電器30では縦長の矩形状図形になり、充電電流値が相対的に小さい車載充電器53に接続された普通充電器30では横長の矩形状図形になる。
以下、充電制御パターンの決定手順について説明する。まず、上限電力について説明する。図17(a)に示すように、現時点を示す時刻t0からその後の時刻t1までの期間において上限電力は符号P1で示すレベルに定められている。そして、時刻t1−t2までの上限電力は符号P2で示すレベルに、時刻t2−t3までの上限電力は符号P3で示すレベルに定められている。なお、上限電力P2は上限電力P1よりも低い値に定められている。そして、上限電力P3は上限電力P1よりも低く、かつ、上限電力P2よりも高い値に定められている。
この具体例では、図17(b)に示すように、1番目の急速充電器20(駆動用バッテリー54)について、希望充電完了時間(t0−t3)に対応する最小充電電力p1が算出されて仮設定される(S204−S208)。この最小充電電力p1は、上限電力P2よりも低いので、全時間帯で制約条件を満足するとして(S211)、2番目の急速充電器20についての処理に移行する(S215,S216)。
図17(c)に示すように、2番目の急速充電器20に関し、希望充電完了時間(t0−t3)に対応する最小充電電力p2が算出されて仮設定される(S205−S208)。ここで、2番目の期間(t1−t2)では、合計電力(p1+p2)が上限電力P2を超えている(S211)。このため、同図に示すように、2番目の期間における超過分の電力を減算し(S212)、余裕のある前後の期間(t0−t1,t2−t3)に超過分の電力を分配する(S213,S214)。これにより、これらの期間の電力が値p2から値p2aに増やされる。
以上で2台分の急速充電器20についての充電制御が仮決定される(S215)。このため、普通充電器30に関する充電制御の仮決定処理に移行する。
図18(a)に示すように、管理側制御装置は、時刻t0を始点(開始断面)にして優先順位の高い充電量NC1から順に合計上限値を超えない範囲で充電電力を積算する。この例では、時間帯t0−t1にて上限電力P1が設定されているため、上限電力P1から急速充電器20の合計充電電力(p1+p2a)を減じた残りの電力が普通充電器30による充電に割り振られる。言い換えれば、急速充電器20の充電電力の合計と普通充電器30の個別電力の合計との総合計が、対応する時間帯の上限電力を超えない範囲で、普通充電器30の単位充電動作が認められる。
図18(a)の例では、3つの普通充電器30による単位充電動作を行ったとしても、充電電力の総合計は上限電力P1よりも少ない。このため、3つの普通充電器30が開始断面の充電対象として仮決定される(S315,S317)。これらの普通充電器30のうち、1サイクルの充電が最初に終了するものは、充電量NC2である2番目の普通充電器30である。このため、充電量NC2の充電完了時刻である時刻t0aが次の断面に設定される(S314)。
次いで図18(b)に示すように、次断面である時刻t0aにおける充電制御パターンが仮決定される。ここでは、時刻t0aで単位充電動作を終えた2番目の普通充電器30の優先順位が最下位になるが、充電電力に余裕があるため2回目の単位充電動作が引き続き行われるように充電制御パターンが仮決定される(S315,S317)。そして、充電量NC2の充電完了時刻である時刻t0bが次の断面に設定される(S315)。この時刻t0bでも同様な処理がなされ、図18(c)に示すように、2番目の普通充電器30について3回目の単位充電動作が引き続き行われるように充電制御パターンが仮決定される(S315,S317)。そして、充電量NC3の充電完了時刻である時刻t0cが次の断面に設定される(S315)。
図19(a)に示すように、時刻t0cでは、3番目の普通充電器30の優先順位が2番目の普通充電器30よりも高く設定される。これは、3番目の普通充電器30の単位充電回数が2番目の普通充電器30の単位充電回数よりも少ないことによる(S316)。図19(b)に示すように、時刻t0dでは、1番目の普通充電器30における単位充電動作が終了するが、その優先順位は2番目の普通充電器30や3番目の普通充電器30よりも高く設定される。これも、1番目の普通充電器30の単位充電回数が2番目の普通充電器30や3番目の普通充電器30の単位充電回数よりも少ないことによる(S316)。
図19(b)に示すように、時刻t1にて上限電力P2に切り替わる。そして、時間帯t1−t2では2台の急速充電器20で上限電力P2を使い果たしている。このため、時間帯t1−t2では普通充電器30の充電は行われない。
そして、図19(c)に示すように、時間帯t2−t3にて普通充電器30の充電が再開される。この場合、時刻t1で2回目の単位充電動作を終了した1番目の普通充電器30に関し、単位充電回数が最も少ないので優先順位が高く設定される。そして、3番目の普通充電器30が次の優先順位に設定される。このとき、時刻t1で充電途中であった単位充電動作が時刻t2から再開される。ここで、優先順位の最も低い2番目の普通充電器30に関し、この普通充電器30を充電対象にしてしまうと時間帯t2−t3における上限電力P3を超えてしまう。そこで、2番目の普通充電器30については、1番目の普通充電器30や3番目の普通充電器30の単位充電動作の回数が追いつくまで、優先順位を下げて待機状態に設定する(S316)。
以後は、同様の手順を繰り返すことで、全断面についての充電制御パターンを仮決定する(S314−S318)。
急速充電器20及び普通充電器30の全てについて充電制御が仮決定されたならば、充電制御パターンの調整処理が行われる(S113−S116)。図20(a),(b)は調整処理を模式的に説明する図である。これらの図において、符号NCで示す砂地の範囲が、普通充電器30による単位充電動作に使用可能な充電量を示している。
急速充電器20及び普通充電器30における充電制御パターンが仮決定されると、電力に余裕のある時間帯の有無が判断される(S113)。図20(a)に示す具体例では、時間帯t0−t1及び時間帯t2−t3にて電力に余裕があると判断される。そこで、管理側制御装置は、余裕のある時間帯における急速充電器20の充電電力を増加させ、その分だけ急速充電器20による充電時間を短くするように、充電制御パターンを調整する(S114)。
図20(a)では、時間帯t0−t1において、上限電力P1と充電電力の総合計(電力p1+p2a+p3)の差の分だけ、急速充電器20の充電電力を増やすことができる。そこで、充電電力の総合計が上限電力P1となるように、充電電力p1と充電電力p2aを増加させる。この場合、各充電電力p1,p2aの増加量は、充電電力p1と充電電力p2aの比率が同じになるように定める。その結果、図20(b)に示すように、時間帯t0−t1において、充電電力の総合計(充電電力p1´+p2a´+p3)が上限電力P1に等しくなり、この時間帯で充電に使用可能な上限値に設定することができる。
同様に、時間帯t2−t3においては、上限電力P3と充電電力の総合計(充電電力p1+p2a+p4)の差の分だけ充電電力を増やすことができる。そこで、充電電力の総合計が上限電力P3となるように、充電電力p1と充電電力p2aを増加させる。この場合も、各電流値の増加量は、充電電力p1と充電電力p2aの比率で定める。また、充電電力を増加させたことから、その分だけ充電時間を短くする。その結果、図20(b)に示すように、時間帯t2−t2aにおいて、充電電力の総合計(充電電力p1″+p2a″+p4)が上限電力P3に等しくなり、この時間帯で充電に使用可能な上限値に設定することができる。
さらに、時刻t2aで各急速充電器20の充電が完了することから、時刻t2a以降の時間帯を、専ら普通充電器30による充電に用いることができる。そこで、管理側制御装置は、時刻t2a以降における各普通充電器30の充電制御パターンを組み替える(S115)。すなわち、時刻t2aを新たな断面として設定し、3台の普通充電器30による充電制御パターンに書き直す。
以上説明したように、本実施形態の充電システムでは、各充電器20,30で使用可能な時間帯毎の上限電力がメモリー14の上限電力記憶領域に記憶されており、この上限電力を超えないように急速充電器20による駆動用バッテリー54(第1蓄電池)の充電条件と普通充電器30による駆動用バッテリー54(第2蓄電池)の充電条件とが定められるので、時間帯毎の負荷変動を考慮した効率のよい充電制御を行うことができる。
また、管理側制御部11(第1充電許可部)は、急速充電器20についての最小充電電力の合計が上限電力を超える時間帯がある場合に、超えた分の充電電力を電力に余裕のある他の時間帯に割り振っているので、より多い数の駆動用バッテリー54を充電することができる。
また、管理側制御部11(第1充電許可部)は、急速充電器20についての最小充電電力の合計と普通充電器30についての個別充電電力の合計とを加えた総合計に関し、上限電力未満の時間帯がある場合、当該時間帯における急速充電器20の充電電力を、充電電力の総合計が上限電力以下となる範囲で増加させているので、充電対象の駆動用バッテリー54について充電時間を短縮することができる。
また、複数の急速充電器20について充電の要求があった場合、要求があった順に急速充電器20毎の第1優先順位をメモリー14の第1優先順位記憶領域に記憶させ、管理側制御部11(第1充電許可部)が、第1優先順位の高い急速充電器20による駆動用バッテリー54の充電を、第1優先順位の低い急速充電器20による駆動用バッテリー54の充電よりも優先して行わせているので、先に充電要求のあった急速充電器20で充電される駆動用バッテリー54が優先的に充電されることとなり、公平性を担保できる。
また、管理側制御部11(第1充電許可部)によって駆動用バッテリー54の充電が許可された急速充電器20に対し、その時間帯における最大電流値を示す最大電流値情報を個別に送信しているので、急速充電器20は受信した最大電流値情報の範囲内で駆動用バッテリー54の充電を行うことができ、急速充電器20や駆動用バッテリー54の状態に適した条件で急速充電が行える。
また、複数の普通充電器30について充電の要求があった場合、普通充電器30毎の第2優先順位をメモリー14の第2優先順位記憶領域に記憶させ、管理側制御部11(第2充電許可部)が、第2優先順位の高い順に個別充電電力を積算し、充電電力の合計が上限電力を超えた際の最後の普通充電器30を待機状態にするとともに、それより前の普通充電器30について単相交流の供給を許可するように構成しているので、優先順位の高い普通充電器30によって駆動用バッテリー54が優先的に充電されることとなり、ユーザーの要望を反映させた充電制御が実現できる。
また、駆動用バッテリー54に対する単位充電動作の回数(単位充電量の充電回数)を、普通充電器30毎に記憶する単位充電回数カウンタをメモリー14に設け、単位充電の回数が相対的に少ない駆動用バッテリー54と相対的に多い駆動用バッテリー54が混在する場合に、単位充電回数が相対的に少ない駆動用バッテリー54が、単位充電回数が相対的に多い駆動用バッテリー54よりも優先して充電されるように、管理側制御部11(第2充電許可部)によって優先順位を変更するようにしているので、特定の駆動用バッテリー54が連続して充電されてしまう不具合を抑制できる。
また、この優先順位に関し、本実施形態では、予想充電完了時間の希望完了時間に対する比率が大きいほど高く定められているので、充電制御パターンをユーザーの希望に近付けることができる。
以上の実施形態の説明は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に本発明にはその等価物が含まれる。例えば、次のように構成してもよい。
蓄電池に関し、電気自動車50に搭載された駆動用バッテリー54を例に挙げて説明したが、この蓄電池に限定されない。例えば、工事用重機に搭載された動力用蓄電池を充電することができる。また、住宅用蓄電池を充電することもできる。すなわち、これらの蓄電池と同等の蓄電容量を有し、車両で運搬できる大きさであり、かつ、急速充電器20や普通充電器30で充電可能な蓄電池であれば、例示した充電システムによる充電対象となる。
また、前述の実施形態では、急速充電器20で充電される第1蓄電池と普通充電器30で充電される第2蓄電池とが共に駆動用バッテリー54である場合について説明した。この構成では、駆動用バッテリー54に対して急速充電器20による充電と普通充電器30による充電とを選択することができる。しかし、この構成に限定されるものではない。すなわち、第1蓄電池と第2蓄電池とが異なる蓄電池であってもよい。
また、車両情報の入力に関し、前述の実施形態では、車種データベースを設けて、入力表示器12からの入力に基づいて必要な車両情報を取得していたが、この形態に限定されるものではない。入力表示器12を通じて必要な項目を個別に入力させるように構成してもよい。また、充電電流値については、規定時間に亘って単相交流を車載充電器53へ試験的に印加し、その際の電力量を取得することで、その都度求めてもよい。
また、前述の実施形態では、急速充電器20と普通充電器30とが混在した充電システムを例に挙げて説明したが、この構成に限定されるものではない。例えば、複数台の急速充電器20を有する充電システムであっても同様に構成できるし、複数台の普通充電器30を有する充電システムであっても同様に構成できる。複数台の急速充電器20を有する充電システムの場合、普通充電器30に関する処理をスキップすればよく、複数台の普通充電器30を有する充電システムの場合、急速充電器20に関する処理をスキップすればよい。
また、急速充電器20に関し、一次側に三相交流が供給されるものを例示したが、単相交流が供給されるものであってもよい。要するに、商用系統60からの交流を直流に変換して充電に用いるものであればよい。