JP2013144728A - ユーロピウム賦活アルカリ土類金属硫化物蛍光体の製造方法 - Google Patents

ユーロピウム賦活アルカリ土類金属硫化物蛍光体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】所望とする発光波長を有する高輝度な(Ca,Sr)S:Eu系の蛍光体を、安価にかつ短時間で効率的に製造することができる方法を提供する。
【解決手段】炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム及び酸化ユーロピウムを混合して混合粉を得て、得られた混合粉とフラックスとして臭化カリウム、塩化カリウムの群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属化合物とを混合し、そのフラックスとの混合粉を、その混合粉を硫化するのに必要な理論量からその理論量に対して4倍以下の量の範囲の二硫化炭素にアルゴンガスを混合させた混合ガスの雰囲気下において、700℃〜1000℃の温度条件で熱処理する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ユーロピウム賦活アルカリ土類金属硫化物蛍光体の製造方法に関し、より詳しくは、青色LEDと緑色蛍光体(例えば、(Ba,Sr)SiO:Eu蛍光体)と共に3波長タイプの白色LEDに用いられる赤色蛍光体として使用することができるユーロピウム賦活アルカリ土類金属硫化物蛍光体の製造方法に関する。
一般に、赤色蛍光体は緑色や橙色の蛍光体に比べて視感度が低く、また輝度が低い。そのため、高輝度な赤色蛍光体が求められている。LED等の照明用途においては、橙系の赤色が求められており、用途に応じて発光波長を変更して色味を調整できる材料であることが望ましい。その点、特許文献1に開示された(Ca,Sr)S:Eu系赤色蛍光体は、CaとSrの配合割合を調整することで、用途に応じて発光波長を調整できる点で優れている。
(Ca,Sr)S:Eu系赤色蛍光体の製造方法としては、特許文献1にあるように、硫酸塩等の原料を硫化水素中で焼成し、硫化物を得る方法が記載されている。しかしながら、この特許文献1に記載の方法では、焼成工程が3回必要であり、なおかつそれぞれの焼成工程における雰囲気ガスが、窒素及び水素の混合ガス、硫化水素ガス、窒素ガスとそれぞれ異なっており、それぞれの雰囲気ガスの制御が必要となり工程が非常に煩雑である。また、その焼成時間も3〜6時間と長く、温度も最高1100℃と高温であるため、硫化物蛍光体中の硫黄が蒸発し、得られる結晶の相純度が低くなって輝度が低下するため好ましくない。
一方、特許文献2には、硫化物原料にフッ化物を加えアルゴンガス雰囲気中で焼成して硫化物蛍光体を得る方法が記載されている。しかしながら、出発原料に硫化物原料を使用する場合、原料代が高価であるため得られる硫化物蛍光体も高価にならざるを得ない。
特表2005−509081号公報 特開2005−146190号公報
そこで、本発明は、このような実情に鑑みて提案されたものであり、所望とする発光波長を有する高輝度な(Ca,Sr)S:Eu系の蛍光体を、安価にかつ短時間で効率的に製造することができる方法を提供することを目的とする。
本件発明者らは、上述した課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、(Ca,Sr)Sを母体としEuを発光中心とするユーロピウム賦活アルカリ土類金属硫化物蛍光体の製造方法において、安価な炭酸塩と酸化ユーロピウムを原料とし、特定のハロゲン系フラックスを用い、さらに還元硫化熱処理の雰囲気を二硫化炭素とアルゴンガスの混合ガスとすることによって、低温条件で且つ短時間の熱処理によって、高輝度なユーロピウム賦活アルカリ土類硫化物蛍光体が得られることを見出した。
すなわち、本発明に係るユーロピウム賦活アルカリ土類金属硫化物蛍光体の製造方法は、(Ca1−x,Sr)S:Eu(0≦x≦1、0.001≦y≦0.010)で表されるユーロピウム賦活アルカリ土類金属硫化物蛍光体を製造する方法であって、炭酸ストロンチウム及び/又は炭酸カルシウムと共に酸化ユーロピウムを混合して混合粉を得る第1の混合工程と、上記混合粉と、フラックスとして臭化カリウム、塩化カリウムの群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属化合物とを混合する第2の混合工程と、上記第2の混合工程を経て得られた混合粉を、該混合粉を硫化するのに必要な理論量からその理論量に対して4倍以下の量の範囲の二硫化炭素にアルゴンガスを混合させた混合ガスの雰囲気下において、700℃〜1000℃の温度条件で熱処理して焼成する焼成工程とを有することを特徴とする。
ここで、上記焼成工程においては、700℃〜1000℃の温度条件で1〜5時間保持することで熱処理を行うことができる。
本発明によれば、例えば615〜655nmの任意の波長を持ち、高輝度な蛍光体を、安価に、そして低温条件で短時間に製造することができる。そして、このようにして製造された高輝度な蛍光体によれば、青色ダイオード励起による白色LED用途、特に照明用白色LED用途に好適に用いることができる。
ユーロピウム賦活アルカリ土類金属硫化物の製造方法の工程図である。 実施例1にて作製した蛍光体とYAG:Ceのそれぞれの励起・発光スペクトル図である。 実施例3にて作製した蛍光体とYAG:Ceのそれぞれの励起・発光スペクトル図である。 比較例2にて作製した蛍光体とYAG:Ceのそれぞれの励起・発光スペクトル図である。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態(以下、「本実施の形態」という。)について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
本実施の形態に係る製造方法にて製造されるユーロピウム賦活アルカリ土類金属硫化物蛍光体は、組成式(Ca1−x,Sr)S:Eu(0≦x≦1、0.001≦y≦0.010)で表され、硫化カルシウム及び/又は硫化ストロンチウムを母体結晶とし、ユーロピウムを発光中心とするものである。
このユーロピウム賦活アルカリ土類金属硫化物蛍光体では、母体構造である(Ca1−x,Sr)Sで示される硫化カルシウム及び/又は硫化ストロンチウムの含有割合であるx(0≦x≦1)を調整することによって、発光波長を任意に制御することが可能となる。すなわち、CaS:Euの発光波長は655nmであり、SrS:Euの発光波長は615nmであり、カルシウムとストロンチウムの含有割合を調整することによって、その波長間で発光波長を任意に制御することができる。
具体的に、本実施の形態に係るユーロピウム賦活アルカリ土類金属硫化物蛍光体(以下、単に「蛍光体」という。)の製造方法は、図1の工程図に示すように、炭酸ストロンチウム及び/又は炭酸カルシウムと共に酸化ユーロピウムを混合して混合粉を得る第1の混合工程S1と、得られた混合粉と、フラックスとして臭化カリウム、塩化カリウムの群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属化合物とを混合する第2の混合工程S2と、第2の混合工程S2を経て得られた混合粉を、所定量の二硫化炭素にアルゴンガスを混合させた混合ガスの雰囲気下において、700℃〜1000℃の温度条件で熱処理して焼成する焼成工程S3とを有する。以下、工程毎に説明する。
[第1の混合工程]
第1の混合工程S1では、所定の組成比となるように秤量した各原料を、ボールミル等を用いて混合して原料混合粉を得る。
原料としては、炭酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、及び酸化ユーロピウムを用いる。第1の混合工程S1では、組成式(Ca1−x,Sr)S:Eu(0≦x≦1、0.001≦y≦0.010)で表される蛍光体を得るために、所定の組成比となるようにこれらの原料を秤量し混合する。
ここで、原料として用いる炭酸塩である炭酸ストロンチウムや炭酸カルシウムは、安価な原料である。したがって、これらを出発原料として用いて上記組成式からなる蛍光体を製造することにより、従来に比して安価に所望とする組成の蛍光体を製造することができる。
原料の混合処理としては、特に限定されないが、上述のように例えばボールミル等を用いて行うことができる。また、その混合時間としては、例えば、10〜60分間程度とすることができる。
[第2の混合工程]
第2の混合工程S2では、第1の混合工程S1にて得られた原料混合粉と、臭化カリウム、塩化カリウムの群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属化合物とを混合する。
臭化カリウム、塩化カリウムの群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属化合物は、フラックスとして用いる。このように、第1の混合工程S1にて原料を混合して得られた混合粉に対して、これらのフラックスを添加してさらに混合することにより、粒子の成長を促すとともにユーロピウムを均一に拡散させることができる。
特に、本実施の形態においては、そのフラックスとして、臭化カリウム、塩化カリウムの群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属化合物を用いる。これにより、従来の蛍光体に比して高輝度な蛍光体を製造することができる。このことは、アルカリ金属であるカリウム(K)が原料のストロンチウムやカルシウムの欠陥サイトに取り込まれ、その欠陥を補填するように作用するためであると考えられ、これにより、高輝度で発光する蛍光体を製造することが可能になると推測される。一方で、例えばフラックスとして塩化ストロンチウムや塩化バリウム、フッ化ストロンチウム等を用いた場合には、得られた蛍光体は励起光の照射を停止しても、蛍光が継続する蓄積性が生じてしまうため好ましくない。
なお、臭化カリウム、塩化カリウムの群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属化合物は、当然に、それ自体が後工程における還元硫化焼成中において二硫化炭素で硫化されず、原料のストロンチウムやカルシウムと反応生成物を形成しない。
上述したフラックスと混合粉との混合割合は、混合粉100重量部に対して、フラックスを5〜80重量部の割合で混合することが好ましく、10〜30重量部の割合で混合することがより好ましい。混合粉100重量部に対するフラックスの混合割合が5重量部より少ない場合には、フラックスが溶融したときに混合粉全体に混ざり合わずその効果が十分に発揮されない。一方で、混合粉100重量部に対するフラックスの混合割合が80重量部を超える場合には、後工程の焼成工程後に残留する量が多くなり、その結果として蛍光体の輝度の低下につながるため好ましくない。
また、フラックスと混合粉との混合処理は、第1の混合工程S1と同様に、例えばボールミル等を用いて行うことができる。また、その混合時間としては、5〜30分間程度とすることができる。
[焼成工程]
焼成工程S3では、第2の混合工程S2を経て得られたフラックスとの混合粉を所定の条件で熱処理することによって焼成し、蛍光体の焼成体を生成する。
本実施の形態では、焼成工程S3において、所定量の二硫化炭素とアルゴンガスとを混合させた混合ガスの雰囲気下にて還元硫化焼成を行う。この還元硫化焼成により、混合粉が還元硫化され、(Ca,Sr)Sの母体結晶が形成されるとともに、その母体結晶のCaサイト及びSrサイトに酸化ユーロピウムが還元されることによってドープされ、蛍光体の焼成体が得られる。
ここで、熱処理による還元焼成においては、高温条件の下に長時間に亘って行った場合、還元硫化した母体結晶から硫黄が抜け出る傾向があり、高輝度で且つ所望とする発光波長を有する蛍光体を製造することが困難になる。そこで、本実施の形態においては、二硫化炭素とアルゴンガスの混合ガスの雰囲気下にて還元硫化焼成を行う。二硫化炭素は、硫化水素に比べて酸化物を低温で硫化することが可能となる。したがって、本実施の形態に係る製造方法によれば、従来に比して低い温度条件で熱処理による焼成を行うことができ、硫黄が抜け出ることを防止して所望とする組成の蛍光体を効果的に製造することができる。また、昇温に際しての手間と費用を低減することができ、経済的な観点からも好ましい。
さらに、上述したように、本実施の形態においては、出発原料からなる混合粉に対して、フラックスとしての臭化カリウム、塩化カリウムの群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属化合物を添加して混合するようにしている。これにより、硫化後の粒子の成長とユーロピウムの均一拡散をより効果的に行うことができるので、より低温の温度条件の下で、且つ、短時間で還元焼成を完了させることができ、従来のように複数回に亘る焼成を行うことなく、効率的に高輝度な赤色蛍光体を製造することができる。
より具体的に、焼成工程S3では、先ず、第2の混合工程S2を経て得られたフラックスとの混合粉を容器に入れる。使用する容器としては、特に限定されないが、例えば黒鉛容器を用いることが好ましい。これにより、より効果的かつ効率的に還元反応を生じさせることができる。
次に、黒鉛容器等に入れたフラックスとの混合粉を焼成炉に装入し、炉心管内を一旦真空引きし、所定量の液体の二硫化炭素にアルゴンガスをバブリングすることによって得られる二硫化炭素とアルゴンガスとの混合ガスを導入する。そして、所定の熱処理温度にまで昇温し、その後所定時間保持することによって、混合粉を還元硫化する。
二硫化炭素の量としては、混合粉を硫化するのに必要な理論量からその理論量に対して4倍以下の量の範囲とする。二硫化炭素量を混合粉を硫化するのに必要な理論量に対して4倍モルを超える量とした場合には、得られる蛍光体粒子の表面に過剰に炭素が付着し表面が黒色となり輝度が低下する可能性があるため好ましくない。二硫化炭素の量は、液体の二硫化炭素の温度と、バブリングするアルゴンガスの流量で制御することができる。
焼成炉としては、特に限定されるものではなく、例えば炉芯管が石英である管状炉を用いることができる。また、昇温条件としては、例えば昇温速度を10〜30℃/分として、上述のように温度は700℃〜1000℃という比較的に低温条件で行うことができる。なお、本実施の形態においては、フラックスとして臭化カリウムや塩化カリウムを用いて混合粉を形成しているが、焼成に際しては、フラックスと硫化物とが共晶となり融点を低下させていることから、焼成温度はそれらフラックスの融点以上する必要はない。
そして、焼成工程S3では、700℃〜1000℃の温度条件で、例えば1〜5時間保持することによって熱処理を行い、混合粉を還元焼成する。
700℃〜1000℃の温度条件下での保持終了後は、二硫化炭素に対するアルゴンガスのバブリングを停止し、バイパスラインからアルゴンガスのみ流して冷却する。そして、室温にて焼成炉から取り出した焼成体を軽く解砕することにより、所望とする組成を有する高輝度な蛍光体を得る。
なお、焼成工程S3においては、硫黄粉末をアルミナ容器に入れて焼成炉の炉心管内に配置し、炉芯管内に硫黄蒸気を発生させるようにしてもよい。これにより、より効果的に、硫化した母体結晶から硫黄が抜け出ることを防止することができる。また、焼成工程S3においては、還元焼成の終了後、蛍光体に残留した過剰なフラックスを水洗あるいは不活性ガス雰囲気での熱処理等によって除去するようにしてもよい。また、焼成炉内で反応に寄与しなかった過剰の二硫化酸素は、活性炭等に吸着させて回収することができる。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、組成式CaS:0.002Euで表される赤色蛍光体を、以下のように作製した。
先ず、炭酸カルシウム(4N、関東化学株式会社製)13.8gと酸化ユーロピウム(3N5、関東化学株式会社製)0.049gとを乳鉢にて10分間混合した。次に、得られた原料混合粉100重量部に対して、フラックスであるKBr(関東化学株式会社製)を20重量部加え、さらに乳鉢にて5分間混合した。
次に、フラックスと混合して得られた混合粉を黒鉛容器に入れ、管状炉にて二硫化炭素とアルゴンガスの混合ガス雰囲気中、昇温速度20℃/分として900℃まで昇温し、その後1時間保持して熱処理を行い、混合粉を還元硫化して焼成した。保持終了後、室温までアルゴンガスのみ流した。この焼成に際して用いた混合ガスは、二硫化炭素の容器の温度を20℃とし、容器内の二硫化炭素中にアルゴンガスを毎分92ccで流してバブリングさせることによって得たものである。また、この焼成において消費した二硫化炭素は、19g(0.25モル)であり、原料の炭酸カルシウムを硫化するために必要な理論量(モル数)の3.6倍モルであった。なお、反応式はCaCO+0.5CS=CaS+1.5COである。
熱処理終了後、得られた焼成体を乳鉢にて軽く解砕することによって赤色蛍光体を作製した。
作製した赤色蛍光体について、蛍光分光光度計(FP6500,日本分光株式会社製)を用いて励起・発光スペクトルの測定を行った。なお、発光スペクトルは、励起波長を455nmとして測定し、励起スペクトルは発光スペクトルのピーク波長において測定した。また、輝度(発光強度)は、Phosphor Technology社製のYAG:Ce(P46−KG、No. QMK58/F−C1)を参照例として、そのYAG:Ceの最高輝度を1として発光強度比を求めた。
(実施例2)
実施例2では、組成式(Sr0.85,Ca0.15)S:0.002Euで表される赤色蛍光体を作製した。この実施例2では、原料として炭酸ストロンチウム(3N、関東化学株式会社製)1.33g、炭酸ストロンチウム(3N、関東化学株式会社製)11.1gを追加し、酸化ユーロピウム(3N5、関東化学株式会社製)0.031gとし、フラックスとしてKCl(関東化学株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして赤色蛍光体を作製し、励起・発光スペクトルの測定を行った。
(実施例3)
実施例3では、組成式CaS:0.002Euで表される赤色蛍光体を作製した。この実施例3では、フラックスとしてKCl(関東化学株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして組成式CaS:0.002Euで表される赤色蛍光体を作製し、励起・発光スペクトルの測定を行った。
(実施例4)
実施例4では、組成式SrS:0.002Euで表される赤色蛍光体を作製した。この実施例4では、炭酸カルシウムに代えて炭酸ストロンチウム12.3gを用い、酸化ユーロピウム0.029gとし、フラックスとしてKCl(関東化学株式会社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして赤色蛍光体を作製し、励起・発光スペクトルの測定を行った。
(比較例1)
比較例1では、組成式CaS:0.002Euで表される赤色蛍光体を作製した。この比較例1では、熱処理時の雰囲気ガスを硫化水素ガスとしたこと以外は、実施例1同様にして赤色蛍光体を作製し、励起・発光スペクトルの測定を行った。
(比較例2)
比較例2では、組成式CaS:0.002Euで表される赤色蛍光体を作製した。この比較例2では、フラックスとしてBaCl(関東化学株式会社製)を原料混合粉100重量部に対して10重量部の割合で添加したこと以外は、実施例1と同様にして赤色蛍光体を作製し、励起・発光スペクトルの測定を行った。
(比較例3)
比較例3では、二硫化炭素の容器の温度を20℃とし、容器内の二硫化炭素中にアルゴンガスを毎分130ccで流してバブリングすることにより得られた混合ガスの雰囲気下において焼成を行ったこと以外は、実施例1と同様にして赤色蛍光体を作製した。この焼成において消費した二硫化炭素は27g(0.35モル)であり、原料の炭酸カルシウムを硫化するために必要な理論量(モル数)の5.1倍モルであった。
<評価>
下記表1に、各実施例及び比較例にて作製した赤色蛍光体の励起・発光スペクトル測定結果をまとめて示す。また、図2、図3、図4に、それぞれ、実施例1、実施例3、比較例2にて作製した赤色蛍光体の励起・発光スペクトルと、参照例として測定したYAG:Ceのそれぞれの励起・発光スペクトルを示す。
Figure 2013144728
表1並びに図2及び図3に示される結果から分かるように、実施例1〜4にて作製した赤色蛍光体では、615nm〜655nmの波長においてYAG:Ceに比べて2倍以上の最大輝度が得られており、高輝度の赤色蛍光体を得ることができた。このように、フラックスとして臭化カリウム、塩化カリウムの群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属化合物を用い、二硫化炭素とアルゴンガスの混合ガス雰囲気中で熱処理することにより、低温条件で且つ短時間の熱処理で、所望とする発光波長を有する高輝度な赤色蛍光体を得ることができることが分かった。
一方で、熱処理を硫化水素ガス雰囲気中にて行った比較例1では、YAG:Ceに比べて輝度は高くなったものの1.2倍と僅かに高くなった程度であった。また、フラックスとして塩化バリウム(BaCl)を用いた比較例2では、図4に示すスペクトル図からも分かるように、その輝度がYAG:Ceに比べて0.4倍と著しく低くなった。
また、焼成に際して、二硫化炭素を原料の炭酸カルシウムを硫化するために必要なモル数の5.1倍モルの量を用いた比較例3では、得られた蛍光体が黒色となり、その輝度はYAG:Ceに比べて0.1倍と著しく低くなった。これは、混合ガス中の二硫化炭素により、蛍光体の表面には炭素が付着し、それにより表面が黒色になったとともに輝度の低下をもたらしたものと考えられる。
本発明に係る赤色蛍光体の製造方法によれば、所望とする発光波長を有し、従来に比して高輝度な蛍光体を、安価に且つ短時間に効率的に製造することができるので、青色ダイオード励起による白色LED照明に使用する蛍光体として好適に用いることができ、その工業的価値は極めて高い。

Claims (2)

  1. (Ca1−x,Sr)S:Eu(0≦x≦1、0.001≦y≦0.010)で表されるユーロピウム賦活アルカリ土類金属硫化物蛍光体を製造する方法であって、
    炭酸ストロンチウム及び/又は炭酸カルシウムと共に酸化ユーロピウムを混合して混合粉を得る第1の混合工程と、
    上記混合粉と、フラックスとして臭化カリウム、塩化カリウムの群から選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属化合物とを混合する第2の混合工程と、
    上記第2の混合工程を経て得られた混合粉を、該混合粉を硫化するのに必要な理論量からその理論量に対して4倍以下の量の範囲の二硫化炭素にアルゴンガスを混合させた混合ガスの雰囲気下において、700℃〜1000℃の温度条件で熱処理して焼成する焼成工程と
    を有することを特徴とするユーロピウム賦活アルカリ土類金属硫化物蛍光体の製造方法。
  2. 上記焼成工程においては、700℃〜1000℃の温度条件で1〜5時間保持して熱処理を行うことを特徴とする請求項1記載のユーロピウム賦活アルカリ土類硫化物蛍光体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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