JP2013108002A - ゴム組成物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低発熱性を改良したゴム組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】ゴム成分(A)と、酸解離定数Kaの逆数の対数値pKaが4以下である酸性化合物(B)と、無機充填材(C)を含む充填材とを含むゴム組成物の製造方法であって、少なくとも、該ゴム成分(A)と、該酸性化合物(B)と、該無機充填材(C)の全部又は一部とを混練する第一練り段階と、該第一練り段階の後に、加硫剤を加えて混練する最終練り段階とを有するゴム組成物の製造方法である。
[pKaの測定方法: 水溶液中、温度25℃で、pH測定装置にて解離段1における値を測定する。]
【選択図】なし

Description

本発明は、低発熱性を向上することが可能なゴム組成物の製造方法に関する。
近年、環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素排出の規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に関する要求が高まりつつある。このような要求に対応するため、タイヤには転がり抵抗の低減が求められている。タイヤの転がり抵抗を低減する手法として、低発熱性のゴム組成物をタイヤに適用する手法が挙げられる。
発熱性の低いゴム組成物を得る手法としては、合成ジエン系ゴムの場合では、ゴム組成物として、カーボンブラック及びシリカとの親和性を高めた重合体を使用する方法(例えば、特許文献1参照)が挙げられる。また、天然ゴムの場合では、天然ゴムを変性させた変性天然ゴムに反応性の高いカーボンブラックを配合する方法(例えば、特許文献2参照)が挙げられる。
特許文献1及び2によれば、カーボンブラックなどの充填材とゴム成分との親和性を高めることにより、ゴム組成物の発熱性を低くすることができる。これにより、ヒステリシスロスの低いタイヤを得ることができる。
しかしながら、自動車の低燃費化が一層進むにつれて、タイヤにも低発熱性の更なる改良が望まれていた。
特開2003−514079号公報 国際公報WO2007/066689パンフレット
本発明は、タイヤの低発熱性を向上できるゴム組成物の製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、種々実験的に解析した結果、特定の酸性化合物を特定の製造方法に用いることにより、充填材の分散性をさらに改良し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、
[1]ゴム成分(A)と、酸解離定数Kaの逆数の対数値pKaが4以下である酸性化合物(B)と、無機充填材(C)を含む充填材とを含むゴム組成物の製造方法であって、少なくとも、該ゴム成分(A)と、該酸性化合物(B)と、該無機充填材(C)の全部又は一部とを混練する第一練り段階と、該第一練り段階の後に、加硫剤を加えて混練する最終練り段階とを有するゴム組成物の製造方法である。
[pKaの測定方法: 水溶液中、温度25℃で、pH測定装置にて解離段1における値を測定する。]
本発明によれば、タイヤの低発熱性を向上できるゴム組成物の製造方法を提供できる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明のゴム組成物の製造方法は、ゴム成分(A)と、酸解離定数Kaの逆数の対数値pKaが4以下である酸性化合物(B)と、無機充填材(C)を含む充填材とを含むゴム組成物の製造方法であって、少なくとも、該ゴム成分(A)と、該酸性化合物(B)と、該無機充填材(C)の全部又は一部とを混練する第一練り段階と、該第一練り段階の後に、加硫剤を加えて混練する最終練り段階とを有する。ここで、pKaの測定方法は、水溶液中、温度25℃で、pH測定装置にて解離段1における値を測定するものである。pH測定装置は、通常の市販のpH計を用いればよい。
本発明のゴム組成物の製造方法において、酸解離定数Kaの逆数の対数値pKaが4以下である酸性化合物(B){以下、「酸性化合物(B)」と略称することがある。}を配合することにより、充填材の分散性が大幅に向上し、ゴム組成物の低発熱性が著しく改良される。
本発明の製造方法に係るゴム組成物に含まれる酸性化合物(B)は、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1〜5質量部であることが好ましい。0.1質量部以上であれば、十分な充填材の分散性を向上させる効果を発揮し、5質量部以下であれば、加硫速度に大きな影響は与えないからである。さらに好ましくは、酸性化合物(B)の配合量はゴム成分(A)100質量部に対して0.5〜3質量部である。
本発明の製造方法に係るゴム組成物は、ゴム成分(A)と、無機充填材(C)を含む充填材との混練りを主体とし、通常、加硫剤及び加硫促進剤を配合する前の工程であるマスターバッチ練り段階と、加硫剤及び加硫促進剤を配合して加硫性ゴム組成物を製造する最終練り段階とに分けて混練りされる。
なお、上述の第一練り段階は、実施形態におけるマスターバッチ練り段階に相当する。マスターバッチ練り段階と最終練り段階との間に、主としてマスターバッチの粘度を下げる目的で、中間練り段階が設けられてもよい。
本発明のゴム組成物の製造方法は、ゴム成分(A)と、酸性化合物(B)と、無機充填材(C)を含む充填材とを混練する第一練り段階を有する方法であってもよいが、ゴム成分(A)と、酸性化合物(B)と、無機充填材(C)の全部又は一部と、シランカップリング剤(D)の全部又は一部とを混練する第一練り段階を有する方法であってもよい。
このゴム成分(A)と、酸性化合物(B)と、前記無機充填材(C)の全部又は一部と、前記シランカップリング剤(D)の全部又は一部とを混練することにより、無機充填材(C)とシランカップリング剤(D)との反応により生成するエタノール等のアルコール及びその他の揮発性有機成分を混練り中に揮発させることができる。これにより、第一練り段階よりも後に実行される押出工程におけるアルコール等の揮発を抑え、押出成形物にポーラスが発生することを防止することができる。
本発明の製造方法の第一練り段階におけるゴム組成物の最高温度が、120〜190℃であることが好ましく、120〜175℃であることがより好ましく、130〜175℃であることがさらに好ましい。120〜190℃の範囲であれば、無機充填材(C)の分散性を好ましく向上することができ、後述する無機充填材(C)及びシランカップリング剤(D)を含有するゴム組成物においては、シランカップリング剤(D)とゴム成分(A)との反応をより好適に進行させることができるからである。
本発明における第一練り段階の混練時間は、10秒から20分であることが好ましく、10秒から10分であることが好ましく、30秒から5分であることが好ましい。
本発明における第一練り段階とは、加硫系薬品を含まない段階を示す。ここで、加硫系薬品とは、加硫に関わる薬品を示し、具体的には加硫剤及び加硫促進剤を示す。
なお、本発明における第一練り段階とは、ゴム成分(A)と、酸性化合物(B)と、無機充填材(C)を含む充填材を混練する最初の段階をいい、最初の段階でゴム成分(A)と無機充填材(C)以外の充填材とを混練する場合やゴム成分(A)のみを予備練りする場合の段階は含まれない。
本発明において、第一練り段階、中間練り段階などの最終練り段階より前の混練段階とは、ゴム成分、無機充填材、酸性化合物、カップリング剤などの、加硫系薬品(加硫剤や加硫促進剤)以外の原材料を配合し、混練する工程であり、無機充填材のゴム組成物への分散を行い、ゴム成分を補強する為の工程である。発明においては、第一練り段階にて酸性化合物(B)を配合することにより無機充填材のゴム組成物への分散をより良好にすることを特徴としたものである。なお、中間練り段階でゴム成分や充填材等を配合し、混練してもよい。
第一練り段階より後、かつ最終練り段階より前の中間練り段階を含む際には、中間混練段階におけるゴム組成物の最高温度は120〜190℃であることが好ましく、130〜175℃であることがより好ましく、140〜170℃であることがさらに好ましい。なお、混練時間は10秒から20分であることが好ましく、10秒から10分であることがより好ましく、30秒から5分であることがさらに好ましい。なお、中間練り段階を含む際には、第一練り段階の混練段階後、ゴム組成物の温度を前段階の混練終了後の温度より10℃以上低下させてから次の段階へ進むことが好ましい。
また、混練の最終練り段階とは、加硫系薬品(加硫剤、加硫促進剤)を配合し、混練する工程をいう。この最終練り段階におけるゴム組成物の最高温度は60〜140℃であることが好ましく、80〜120℃であることがより好ましく、100〜120℃であることがさらに好ましい。なお、混練時間は10秒から20分であることが好ましく、10秒から10分であることがより好ましく、20秒から5分であることがさらに好ましい。
第一練り段階、中間練り段階から最終練り段階に進む際には、ゴム組成物の温度を前段階の混練終了後の温度より10℃以上低下させてから次の段階へ進むことが好ましい。
本発明における第一練り段階において、酸性化合物(B)、無機充填材(C)及びシランカップリング剤(D)を混練りする場合は、酸性化合物(B)が、質量比{酸性化合物(B)/シランカップリング剤(D)}として(2/100)〜(200/100)添加されることが好ましい。(2/100)以上であれば、シランカップリング剤(D)の活性化が十分に起こり、(200/100)以下であれば、加硫速度に大きな影響は与えないからである。酸性化合物(B)が、質量比{酸性化合物(B)/シランカップリング剤(D)}として(5/100)〜(100/100)添加されることがさらに好ましい。
本発明に係る混練の第一練り段階における酸性化合物(B)の投入方法として、ゴム成分(A)及び無機充填材(C)の全部又は一部を混練した後に酸性化合物(B)を加えて、さらに混練することが好ましい。この投入方法により、無機充填材(C)の分散性がより向上するからである。
本発明に係る混練の第一練り段階における酸性化合物(B)の投入方法として、無機充填材(C)及びシランカップリング剤(D)を含有するゴム組成物の場合は、ゴム成分(A)、無機充填材(C)の全部又は一部及びシランカップリング剤(D)の全部又は一部を混練した後に酸性化合物(B)を加えて、さらに混練することが好ましい。この投入方法により、シランカップリング剤(D)とシリカとの反応が十分に進行した後に、シランカップリング剤(D)とゴム成分(A)との反応を進行させることができるからである。
1回のマスターバッチ練り段階だけでマスターバッチを製造することが困難な場合、又は所望する場合には、マスターバッチ練り段階を、第1マスターバッチ練り段階と第2マスターバッチ練り段階とに分けてもよい。
例えば、第一練り段階(すなわち、マスターバッチ練り段階の第一段階)において、第1マスターバッチ練り段階として、ゴム成分(A)、無機充填材(C)の全部又は一部、及びシランカップリング剤(D)の全部又は一部を混練し、自然冷却して養生の後、第2マスターバッチ練り段階として、酸性化合物(B)を加えて、さらに混練してもよい。
[ゴム成分(A)]
本発明の製造方法で用いられるゴム成分(A)は、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。合成ジエン系ゴムとしては、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)等を用いることができる。天然ゴム及び合成ジエン系ゴムは、1種単独でもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
[酸性化合物(B)]
本発明に係る酸性化合物(B)は、水溶液中、温度25℃で、pH測定装置にて測定される解離段1におけるpKa値が4以下である酸性化合物である。具体的には、マレイン酸(1.84)、シクロプロパン−1,1−ジカルボン酸(1.68)、フタル酸(2.75)、フマル酸(3.07)、クエン酸(2.90)、シュウ酸(1.04)、マロン酸(2.60)、メチルマロン酸(2.89)、(+)−酒石酸(2.87)、meso−酒石酸(2.95)、o−アミノ安息香酸(1.97)、4−アミノサリチル酸(2.05)、2−アミノ酪酸(2.54)、o−クロロ安息香酸(2.95)、o−ニトロ安息香酸(2.87)、ニトロ酢酸(1.34)、オキサロ酢酸(2.55)、フェノキシ酢酸(2.93)、ブロモ酢酸(2.82)、クロロ酢酸(2.66)、シアノ酢酸(2.65)、ジクロロ酢酸(1.30)、2−ブロモプロピオン酸(2.97)、などが挙げられる。これらの内、マレイン酸(1.84)が最も好ましい。
なお( )内はpKa値である。
[充填材]
従来のゴム組成物に添加することが可能な充填材は、本発明に係る充填材として使用可能であり、無機充填材(C)を含むものである。
本発明に係る充填材としては、無機充填材(C)と他の充填材とを併用してもよいし、無機充填材(C)単独でもよい。
充填材が無機充填材(C)を含むことを要するのは、低発熱性を向上するためである。
<無機充填材(C)>
本発明においては、上述の無機充填材(C)のうち、低発熱性と耐摩耗性の両立の観点からシリカが好ましい。シリカとしては市販のあらゆるものが使用できるが、なかでも湿式シリカ、乾式シリカ、又はコロイダルシリカを用いるのが好ましく、湿式シリカを用いるのが特に好ましい。シリカのBET比表面積(ISO 5794/1に準拠して測定する)は40〜350m2/gであるのが好ましい。BET比表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET比表面積が80〜350m2/gの範囲にあるシリカがより好ましく、BET比表面積が130m2/gを超え、350m2/g以下であるシリカがさらに好ましく、BET比表面積が135〜350m2/gの範囲にあるシリカが特に好ましい。このようなシリカとしては東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積 =205m2/g)、「ニップシールKQ」(BET比表面積 =240m2/g)、デグッサ社製商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積 =175m2/g)等の市販品を用いることができる。
無機充填材(C)、特にシリカを配合するゴム組成物において、酸性化合物(B)を配合することにより、無機充填材(C)、特にシリカの分散性が大幅に向上し、ゴム組成物の低発熱性が著しく改良できる。
シリカなどの無機充填材(C)が配合されたゴム組成物においては、シリカによるゴム組成物の補強性を高めるため、又はゴム組成物の低発熱性と共に耐摩耗性を高めるために、シランカップリング剤(D)が配合されることが好ましい。
無機充填材(C)、特にシリカ、及びシランカップリング剤(D)が配合されたゴム組成物では、酸性化合物(B)が、無機充填材(C)とシランカップリング剤(D)との反応を良好に促進するとことも考えられる。このように、本発明に係るゴム組成物によれば、特にシリカの分散性が大幅に向上し、ゴム組成物の低発熱性が著しく改良できる。
シランカップリング剤(D)の詳細については、後述する。
<充填材の配合量>
充填材は、ゴム成分(A)100質量部に対して、20〜150質量部使用することが好ましい。20質量部以上であれば、ゴム組成物の補強性向上の観点から好ましく、150質量部以下であれば、低発熱性向上(転がり抵抗低減)の観点から好ましい。
無機充填材(C)は、ゴム成分(A)100質量部に対して、20〜120質量部使用することが好ましい。20質量部以上であれば、ウェット性能を確保する観点から好ましく、120質量部以下であれば、低発熱性向上(転がり抵抗低減)の観点から好ましい。さらには、30〜100質量部使用することがより好ましい。
ウェット性能と転がり抵抗の両立の観点から、充填材中、無機充填材(C)が30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
なお、無機充填材(C)としてシリカを使用する場合は、充填材中におけるシリカが30質量%以上であることが好ましい。
<他の無機充填材>
本発明の製造方法では、無機充填材(C)として、シリカのほか、下記一般式(1)で表される無機化合物を用いることができる。
dM1・xSiOy・zH2O (1)
ここで、一般式(1)中、M1は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、d、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。
なお、一般式(1)の、x、zがともに0である場合には、該無機化合物はアルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属、金属酸化物又は金属水酸化物となる。
一般式(1)で表される無機化合物としては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などが使用できる。
また、一般式(1)中のM1がアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一つである場合が好ましい。
一般式(1)で表される無機化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。これらの無機化合物の平均粒径は、混練作業性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能のバランスなどの観点から、0.01〜10μmの範囲が好ましく、0.05〜5μmの範囲がより好ましい。
本発明における無機充填材(C)として、シリカ単独で使用してもよいし、シリカと一般式(1)で表される無機化合物の1種以上とを併用してもよい。
<カーボンブラック>
本発明に係る充填材は、所望によりカーボンブラックを含んでいてもよい。カーボンブラックとしては、市販ものが使用できる。カーボンブラックを含有することにより、電気抵抗を下げて帯電を抑止する効果を享受できる。
カーボンブラックに特に制限はないが、例えば、高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラックを使用できる。特に、SAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEFグレードのカーボンブラックを用いることが好ましい。
カーボンブラックのDBP吸収量は、好ましくは80cm3/100g以上、より好ましくは100cm3/100g以上、特に好ましくは110cm3/100g以上である。また、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定する)は、好ましくは85m2/g以上、より好ましくは100m2/g以上、特に好ましくは110m2/g以上である。
[シランカップリング剤(D)]
シリカなどの無機充填材(C)が配合されたゴム組成物においては、シリカによるゴム組成物の補強性を高めるため、又はゴム組成物の低発熱性と共に耐摩耗性を高めるために、シランカップリング剤(D)を配合すること好ましい。
無機充填材(C)と併用可能なシランカップリング剤(D)としては、下記一般式(I)〜(IV)で表される化合物からなる群から1種以上選択される化合物を用いることができる。以下、下記一般式(I)〜(IV)を順に説明する。
Figure 2013108002
式中、R1は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状又は分枝のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖又は分枝のアルコキシアルキル基及びシラノール基から選ばれる置換基であり、R2は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状又は分枝のアルキル基であり、R3は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖又は分枝のアルキレン基である。aは平均値として2〜6であり、p及びrは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として0〜3である。但しp及びrの双方が3であることはない。
一般式(I)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例として、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(2−トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノエトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3−モノメトキシジメチルシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)トリスルフィド、ビス(2−モノエトキシジメチルシリルエチル)ジスルフィド等が挙げられる。
Figure 2013108002
式中、R4は−Cl、−Br、R9O−、R9C(=O)O−、R910C=NO−、R910CNO−、R910N−、及び−(OSiR910h(OSiR91011)から選択される一価の基(R9、R10及びR11は各々水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、hは平均値として1〜4である。)であり、R5はR4、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、R6はR4、R5、水素原子又は−[O(R12O)j]0.5 −基(R12は炭素数1〜18のアルキレン基、jは1〜4の整数である。)であり、R7は炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R8は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。
一般式(II)において、R8、R9、R10及びR11はそれぞれ独立に、炭素数1〜18の直鎖、環状又は分枝のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。また、R5が炭素数1〜18の一価の炭化水素基である場合は、直鎖、環状もしくは分枝のアルキル基、アルケニル基、アリール基及びアラルキル基からなる群から選択される基であることが好ましい。R12は直鎖、環状又は分枝のアルキレン基であることが好ましく、特に直鎖状のものが好ましい。R7は例えば炭素数1〜18のアルキレン基、炭素数2〜18のアルケニレン基、炭素数5〜18のシクロアルキレン基、炭素数6〜18のシクロアルキルアルキレン基、炭素数6〜18のアリーレン基、炭素数7〜18のアラルキレン基を挙げることができる。前記アルキレン基及びアルケニレン基は、直鎖状、枝分かれ状のいずれであってもよく、前記シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アリーレン基及びアラルキレン基は、環上に低級アルキル基等の置換基を有していてもよい。このR7としては、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、特に直鎖状アルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。
一般式(II)におけるR5、R8、R9、R10及びR11の炭素数1〜18の一価の炭化水素基の具体例としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,オクチル基,デシル基,ドデシル基,シクロペンチル基,シクロヘキシル基,ビニル基,プロぺニル基,アリル基,ヘキセニル基,オクテニル基,シクロペンテニル基,シクロヘキセニル基,フェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基,ベンジル基,フェネチル基,ナフチルメチル基等が挙げられる。
上記一般式(II)におけるR12の例としては、メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,オクタメチレン基,デカメチレン基,ドデカメチレン基等が挙げられる。
一般式(II)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例としては、3−ヘキサノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリエトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリエトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−デカノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−ラウロイルチオプロピルトリメトキシシラン、2−ヘキサノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−オクタノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−デカノイルチオエチルトリメトキシシラン、2−ラウロイルチオエチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらの内、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン(Momentive Performance Materials社製、商標:NXTシラン)が特に好ましい。
Figure 2013108002
式中、R13は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状又は分枝のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖又は分枝のアルコキシアルキル基及びシラノール基から選ばれる置換基であり、R14は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状又は分枝のアルキル基であり、R15は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖又は分枝のアルキレン基である。R16は一般式
(−S−R17−S−)、(−R18−Sm1−R19−)及び(−R20−Sm2−R21−Sm3−R22−)から選ばれる二価の基(R17〜R22は各々炭素数1〜20の二価の炭化水素基、二価の芳香族基、並びに硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基から選ばれる二価の置換基であり、m1、m2及びm3は各々平均値として1以上4未満である。)であり、複数あるkは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として1〜6であり、s及びtは各々平均値として0〜3である。但しs及びtの双方が3であることはない。
一般式(III)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例として、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH26−S2−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH210−S2−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S3−(CH26−S3−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S4−(CH26−S4−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2.5−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S3−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S4−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH210−S2−(CH210−S−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S4−(CH26−S4−(CH26−S4−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S2−(CH26−S2−(CH26−S2−(CH23−Si(OCH2CH33
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−S2−(CH26−S2−(CH26−S−(CH23−Si(OCH2CH33等、
で表される化合物が好適に挙げられる。
上記のシランカップリング剤の内、例えば平均組成式
(CH3CH2O)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S2.5-(CH2)6-S-(CH2)3-Si(OCH2CH3)3 で表されるシランカップリング剤の製造方法例は以下のとおりである。
窒素ガス導入管、温度計、ジムロート型コンデンサー及び滴下ロートを備えた2リットルのセパラブルフラスコに、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン119g(0.5モル)を仕込み、攪拌下、有効成分20%のナトリウムエトキシドのエタノール溶液151.2g(0.45モル)を加えた。その後、80℃に昇温し、3時間攪拌を続けた。その後冷却し、滴下ロートに移した。
次いで、上記と同様のセパラブルフラスコに、1,6−ジクロロヘキサンを69.75g(0.45モル)仕込み、80℃に昇温した後、上記の3−メルカプトプロピルトリエトキシシランとナトリウムエトキシドの反応物をゆっくり滴下した。滴下終了後、80℃で5時間攪拌を続けた。その後冷却し、得られた溶液中から塩を濾別し、さらにエタノール及び過剰の1,6−ジクロロヘキサンを減圧留去した。得られた溶液を減圧蒸留し、沸点148〜150℃/0.005torrの無色透明の液体137.7gを得た。IR分析、1H−NMR分析及びマススペクトル分析(MS分析)を行った結果、(CH3CH2O)3Si−(CH23S−(CH26−Clで表される化合物であった。また、ガスクロマトグラフ分析(GC分析)による純度は97.5%であった。
次いで、上記と同様の0.5リットルのセパラブルフラスコに、エタノール80g、無水硫化ソーダ5.46g(0.07モル)、硫黄3.36g(0.105モル)を仕込み、80℃に昇温した。この溶液を攪拌しながら、上記(CH3CH2O)3Si−(CH23−S−(CH26−Clを49.91g(0.14モル)ゆっくり滴下した。滴下終了後、80℃にて10時間攪拌を続けた。攪拌終了後、冷却し、生成した塩を濾別した後、溶媒のエタノールを減圧蒸留した。
得られた赤褐色透明の溶液をIR分析、1H−NMR分析及び超臨界クロマトグラフィー分析を行った結果、平均組成式
(CH3CH2O)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S2.5-(CH2)6-S-(CH2)3-Si(OCH2CH3)3で表される化合物であることを確認した。このもののGPC分析における純度は85.2%であった。
Figure 2013108002
式中、R23は炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、複数あるGは同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、複数あるZaは同一でも異なっていてもよく、各々二つの珪素原子と結合することのできる官能基であり、かつ [−0−]0.5、[−0−G−]0.5及び[−O−G−O−] 0.5から選ばれる官能基であり、複数あるZbは同一でも異なっていてもよく、各々二つの珪素原子と結合することのできる官能基であり、かつ [−O−G−O−] 0.5で表される官能基であり、複数あるZcは同一でも異なっていてもよく、各々−Cl、−Br、−ORe、ReC(=O)O−、RefC=NO−、RefN−、Re−及びHO−G−O−(Gは上記表記と一致する。)から選ばれる官能基であり、Re及びRfは各々炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基である。m、n、u、v及びwは、1≦m≦20、0≦n≦20、0≦u≦3、0≦v≦2、0≦w≦1であり、かつ(u/2)+v+2w=2又は3である。A部が複数である場合、複数のA部におけるZa u、Zb v及びZc wそれぞれにおいて、同一でも異なっていてもよく、B部が複数である場合、複数のB部におけるZa u、Zb v及びZc wそれぞれにおいて、同一でも異なってもよい。
一般式(IV)で表されるシランカップリング剤(D)の具体例として、一般式(V)、一般式(VI)及び一般式(VII)が挙げられる。
Figure 2013108002
Figure 2013108002
Figure 2013108002
式中、Lはそれぞれ独立して炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、x=m、y=nである。
一般式(V)で表される市販品として入手できるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商品名「NXT Low−V Silane」が挙げられる。
また、一般式(VI)で表される市販品として入手できるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商品名「NXT Ultra Low−V Silane」が挙げられる。
さらに、一般式(VII)で表される市販品として入手できるシランカップリング剤としては、Momentive Performance Materials社製、商品名「NXT−Z」が挙げられる。
本発明に係るシランカップリング剤(D)は、上記一般式(I)〜(IV)で表わされる化合物の内、上記一般式(I)で表わされる化合物が特に好ましい。酸性化合物(B)はゴム成分(A)と反応するポリスルフィド結合部位の活性化を起こし易いからである。
本発明においては、シランカップリング剤(D)は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るゴム組成物のシランカップリング剤(D)の配合量は、質量比{シランカップリング剤(D)/無機充填材(C)}が(1/100)〜(20/100)であることが好ましい。(1/100)以上であれば、ゴム組成物の低発熱性向上の効果をより好適に発揮することとなり、(20/100)以下であれば、ゴム組成物のコストが低減し、経済性が向上するからである。さらには質量比(3/100)〜(20/100)であることがより好ましく、質量比(4/100)〜(10/100)であることが特に好ましい。
本発明の製造方法で得られるゴム組成物において、シリカなどの無機充填材(C)とシランカップリング剤(D)との反応が不十分であると、無機充填材(C)によるゴム組成物の補強性を高める効果が十分に得られないため、耐摩耗性が低下する場合がある。また、ゴム組成物の混練工程において未反応だったシランカップリング剤が混練工程よりも後に実行される押出工程中に反応すると、ゴム組成物の押出成形物中にポーラス(多数の泡又は穴)が発生し、押出成形物の寸度や重量の精度の低下を引き起こす。
これに対して、混練工程における混練段階の回数を増やすと、無機充填材(C)とシランカップリング剤(D)との反応を混練工程で完結させることができ、ポーラスの発生を抑えることが可能である。しかし、混練工程の生産性を著しく低下させるという問題があった。
本発明に係るゴム組成物では、酸性化合物(B)は、無機充填材(C)とシランカップリング剤(D)との反応を良好に促進するので、低発熱性に優れたゴム組成物を得ることができる。このように、本発明に係るゴム組成物によれば、ゴム加工時の作業性にさらに優れると共に、より発熱性の低い空気入りタイヤを得ることができる。
特に、酸性化合物(B)の酸性基、特にカルボキシ基はシリカと相互作用するためシリカ、シランカップリング剤及びゴム成分の反応を高めて、高い低発熱性を得ることができる。
[加硫剤、加硫促進剤]
本発明に係るゴム組成物には、加硫剤、加硫促進剤が配合される。加硫剤としては、硫黄等が挙げられる。加硫促進剤としては、特に限定されないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアゾリルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等が挙げられる。
本発明の製造方法において、通常、ゴム組成物に配合されるステアリン酸、亜鉛華等の加硫活性剤、老化防止剤等の各種配合剤は、必要に応じて、マスターバッチ練り段階又は最終練り段階、あるいは上述の中間練り段階において混練りされる。
本発明におけるゴム組成物は、バンバリーミキサー、ロール、インテンシブミキサー、ニーダー、二軸押出機等を用いて混練りされる。その後、押出工程において押出し加工され、トレッド用部材として成形される。続いて、タイヤ成形機上で通常の方法により貼り付け成形され、生タイヤが成形される。この生タイヤを加硫機中で加熱加圧して、タイヤが得られる。本発明におけるトレッドとは、タイヤの接地部を構成するキャップトレッド及び/又はキャップトレッドの内側に配設されるベーストレッドをいう。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
[評価方法]
<低発熱性(tanδ指数)>
粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を使用し、温度60℃、動歪5%、周波数15Hzでtanδを測定した。比較例1又は6のtanδの逆数を100として下記式にて指数表示した。指数値が大きい程、低発熱性であり、ヒステリシスロスが小さいことを示す。
低発熱性指数={(比較例1又は6の加硫ゴム組成物のtanδ)/(供試加硫ゴム組成物のtanδ)}×100
実施例1〜8
混練の第一練り段階において、バンバリーミキサーにて、ゴム成分(A)、酸性化合物(B)であるマレイン酸、カーボンブラック、無機充填材(C)、シランカップリング剤(D)、アロマティックオイル、ステアリン酸及び老化防止剤6PPDを混練し、第一練り段階におけるゴム組成物の最高温度が150℃になるように調整した。
次に、混練の最終練り段階において、第1表及び第2表に記載の残った配合剤を加えて混練し、最終練り段階におけるゴム組成物の最高温度が110℃になるように調整した。
これらのゴム組成物から得られた加硫ゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)を上記の方法により評価した。結果を第1表及び第2表に示す。
比較例1
混練の第一練り段階においてマレイン酸を加えない以外は、実施例1〜4と同様に混練した。得られた加硫ゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)を上記の方法により評価した。結果を第1表に示す。
比較例2〜5
混練の最終練り段階においてマレイン酸を加えた以外は、比較例1と同様に混練した。得られた加硫ゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)を上記の方法により評価した。結果を第1表に示す。
比較例6
混練の第一練り段階においてマレイン酸を加えない以外は、実施例5〜8と同様に混練した。得られた加硫ゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)を上記の方法により評価した。結果を第2表に示す。
比較例7〜10
混練の最終練り段階においてマレイン酸を加えた以外は、比較例6と同様に混練した。得られた加硫ゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)を上記の方法により評価した。結果を第2表に示す。
Figure 2013108002
Figure 2013108002
[注]
*1: 旭化成株式会社製、溶液重合SBR、商品名「タフデン2000」
*2: RSS#3
*3: N220(ISAF)、旭カーボン株式会社製、商品名「#80」
*4: 東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積 =205m2/g)
*5: マレイン酸: 和光純薬工業製
*6: ビス(3−トリエトシキシリルプロピル)ジスルフィド(平均硫黄鎖長:2.35)、Evonik社製シランカップリング剤、商品名「Si75」(登録商標)
*7: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
*8: 2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック224」
*9: 1,3−ジフェニルグアニジン、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーD」
*10: ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーDM」
*11: N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーNS」
第1表から明らかなように、実施例1〜4のゴム組成物は、比較例1〜5の対比すべきゴム組成物と比較して、いずれも低発熱性(tanδ指数)が良好であった。
また、第2表から明らかなように、実施例5〜8のゴム組成物は、比較例6〜10の対比すべきゴム組成物と比較して、いずれも低発熱性(tanδ指数)が良好であった。
本発明のゴム組成物の製造方法は、充填材の分散性が向上して低発熱性に優れ、さらにはシランカップリング剤のカップリング機能の活性低減を好適に抑制し、カップリング機能の活性をさらに高めて、低発熱性に特に優れるゴム組成物を製造できるので、得られたゴム組成物は、乗用車用、小型トラック用、軽乗用車用、軽トラック用及び大型車両用(トラック・バス用、建設車両用等)等の各種空気入りタイヤの各部材、特に空気入りラジアルタイヤのトレッド用部材として好適に用いられる。

Claims (11)

  1. ゴム成分(A)と、酸解離定数Kaの逆数の対数値pKaが4以下である酸性化合物(B)と、無機充填材(C)を含む充填材とを含むゴム組成物の製造方法であって、
    少なくとも、該ゴム成分(A)と、該酸性化合物(B)と、該無機充填材(C)の全部又は一部とを混練する第一練り段階と、
    該第一練り段階の後に、加硫剤を加えて混練する最終練り段階と
    を有するゴム組成物の製造方法。
    [pKaの測定方法: 水溶液中、温度25℃で、pH測定装置にて解離段1における値を測定する。]
  2. 前記酸性化合物(B)が、マレイン酸、シクロプロパン−1,1−ジカルボン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、メチルマロン酸、(+)−酒石酸、meso−酒石酸、o−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、2−アミノ酪酸、o−クロロ安息香酸、o−ニトロ安息香酸、ニトロ酢酸、オキサロ酢酸、フェノキシ酢酸、ブロモ酢酸、クロロ酢酸、シアノ酢酸、ジクロロ酢酸及び2−ブロモプロピオン酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のゴム組成物の製造方法。
  3. 前記第一練り段階におけるゴム組成物の最高温度が、120〜190℃である請求項1又は2に記載のゴム組成物の製造方法。
  4. 前記第一練り段階で、さらにシランカップリング剤(D)が添加される請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
  5. 前記シランカップリング剤(D)が、下記一般式(I)〜(IV)で表される化合物からなる群から1種以上選択される化合物である請求項4に記載のゴム組成物の製造方法。
    Figure 2013108002
    [式中、R1は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状又は分枝のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖又は分枝のアルコキシアルキル基及びシラノール基から選ばれる置換基であり、R2は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状又は分枝のアルキル基であり、R3は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖又は分枝のアルキレン基である。aは平均値として2〜6であり、p及びrは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として0〜3である。但しp及びrの双方が3であることはない。]
    Figure 2013108002
    [式中、R4は−Cl、−Br、R9O−、R9C(=O)O−、R910C=NO−、R910CNO−、R910N−、及び−(OSiR910h(OSiR91011)から選択される一価の基(R9、R10及びR11は各々水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、hは平均値として1〜4である。)であり、R5はR4、水素原子又は炭素数1〜18の一価の炭化水素基であり、R6はR4、R5、水素原子又は−[O(R12O)j]0.5 −基(R12は炭素数1〜18のアルキレン基、jは1〜4の整数である。)であり、R7は炭素数1〜18の二価の炭化水素基であり、R8は炭素数1〜18の一価の炭化水素基である。x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たす数である。]
    Figure 2013108002
    [式中、R13は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状又は分枝のアルキル基、炭素数2〜8の直鎖又は分枝のアルコキシアルキル基及びシラノール基から選ばれる置換基であり、R14は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖、環状又は分枝のアルキル基であり、R15は複数ある場合には同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜8の直鎖又は分枝のアルキレン基である。R16は一般式
    (−S−R17−S−)、(−R18−Sm1−R19−)及び(−R20−Sm2−R21−Sm3−R22−)から選ばれる二価の基(R17〜R22は各々炭素数1〜20の二価の炭化水素基、二価の芳香族基、並びに硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基から選ばれる二価の置換基であり、m1、m2及びm3は各々平均値として1以上4未満である。)であり、複数あるkは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として1〜6であり、s及びtは各々平均値として0〜3である。但しs及びtの双方が3であることはない。]
    Figure 2013108002
    [式中、R23は炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基であり、複数あるGは同一でも異なっていてもよく、各々炭素数1〜9のアルカンジイル基又はアルケンジイル基であり、複数あるZaは同一でも異なっていてもよく、各々二つの珪素原子と結合することのできる官能基であり、かつ [−0−]0.5、[−0−G−]0.5及び[−O−G−O−] 0.5から選ばれる官能基であり、複数あるZbは同一でも異なっていてもよく、各々二つの珪素原子と結合することのできる官能基であり、かつ [−O−G−O−] 0.5で表される官能基であり、複数あるZcは同一でも異なっていてもよく、各々−Cl、−Br、−ORe、ReC(=O)O−、RefC=NO−、RefN−、Re−及びHO−G−O−(Gは上記表記と一致する。)から選ばれる官能基であり、Re及びRfは各々炭素数1〜20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基である。m、n、u、v及びwは、1≦m≦20、0≦n≦20、0≦u≦3、0≦v≦2、0≦w≦1であり、かつ(u/2)+v+2w=2又は3である。A部が複数である場合、複数のA部におけるZa u、Zb v及びZc wそれぞれにおいて、同一でも異なっていてもよく、B部が複数である場合、複数のB部におけるZa u、Zb v及びZc wそれぞれにおいて、同一でも異なってもよい。]
  6. 前記無機充填材(C)がシリカである請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
  7. 前記充填材中、前記無機充填材(C)が30質量%以上である請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
  8. 前記酸性化合物(B)の配合量が、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.1〜5質量部である請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
  9. 前記酸性化合物(B)の配合量が、質量比{酸性化合物(B)/シランカップリング剤(C)}として(2/100)〜(200/100)である請求項4〜8のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
  10. 前記シランカップリング剤(D)が前記一般式(I)で表される化合物である請求項5〜9のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
  11. 前記第一練り段階において、前記ゴム成分(A)、前記無機充填材(C)の全部又は一部を混練した後に、前記酸性化合物(B)を加えて、さらに混練する請求項1〜10のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法。
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