JP6101130B2 - ゴム組成物及びそれを用いたタイヤ - Google Patents
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Description
発熱性の低いゴム組成物を得る手法としては、合成ジエン系ゴムの場合では、ゴム組成物として、カーボンブラック及びシリカとの親和性を高めた重合体を使用する方法(例えば、特許文献1参照)が挙げられる。また、天然ゴムの場合では、天然ゴムを変性させた変性天然ゴムに反応性の高いカーボンブラックを配合する方法(例えば、特許文献2参照)が挙げられる。
特許文献1及び2によれば、カーボンブラックなどの充填材とゴム成分との親和性を高めることにより、ゴム組成物の発熱性を低くすることができ、これにより、ヒステリシスロスの低いタイヤを得ることができる。
しかしながら、自動車の低燃費化が一層進むにつれて、タイヤにも低発熱性の更なる改良が望まれていた。
[1] 天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び下記一般式(1)で示されるチオシアネート構造を有する化合物(D)を配合してなるゴム組成物、
[2] チオシアネート構造を有する化合物(D)が、下記式(1−a)で示されるチオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム及びビス(チオシアン酸)亜鉛から選ばれる少なくとも1種の化合物である上記[1]に記載のゴム組成物、
[4] 上記[1]又は[2]に記載のゴム組成物又は上記[3]に記載の方法で得られたゴム組成物を、少なくとも1つの部材に配設してなることを特徴とするタイヤ、
を提供するものである。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物は、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び下記一般式(1)で示されるチオシアネート構造を有する化合物(D)を配合してなることを特徴とする。
これらの中で、チオシアネート構造を有する化合物(D)は、下記式(1−a)で示されるチオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム及びビス(チオシアン酸)亜鉛から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、シランカップリング剤とポリマーの反応をより促進させてより低発熱性を改良し、かつ耐摩耗性をより向上させるので好ましい。
また、本発明におけるゴム組成物中の上記一般式(1)で示されるチオシアネート構造を有する化合物(D)のシランカップリング剤(C)に対する配合質量比{チオシアネート構造を有する化合物(D)/シランカップリング剤(C)}が、(2/100)〜(100/100)であることが好ましい。(2/100)以上であれば、シランカップリング剤(C)の活性化が十分に起こり、(100/100)以下であれば、加硫速度に大きな影響は与えないからである。更に好ましくは、ゴム組成物中のチオシアネート構造を有する化合物(D)のシランカップリング剤(C)に対する配合質量比{チオシアネート構造を有する化合物(D)/シランカップリング剤(C)}は、(4/100)〜(80/100)であり、特に好ましくは、(4/100)〜(50/100)である。
混練時に、効率よくゴム組成物に分散させる観点からは、シリカ担持体として用いられることが好ましい。
次に、本発明のゴム組成物の製造方法について説明する。
本発明のゴム組成物の製造方法は、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び上記一般式(1)で示されるチオシアネート構造を有する化合物(D)を配合してなるゴム組成物の製造方法であって、該ゴム組成物を複数段階で混練し、混練の第一段階で、該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)の全部又は一部、該シランカップリング剤(C)の全部又は一部、及び該チオシアネート構造を有する化合物(D)を混練することを特徴とする。
次に、本発明のゴム組成物及びその製造方法において用いられる、ゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シリカ、カーボンブラック、及びシランカップリング剤(C)について説明する。
本発明のゴム組成物及びその製造方法に用いられるゴム成分(A)は、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなる。ここで、合成ジエン系ゴムとしては、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(Cl−IIR、Br−IIR等)、エチレン-プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム、プロピレン−ブタジエン共重合体ゴム等を用いることができ、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムは、1種単独でも、2種以上のブレンドとして用いてもよい。
本発明のゴム組成物及びその製造方法に用いられる無機充填材(B)としては、シリカ及び下記一般式(2)で表される無機化合物を用いることができる。
dM1・xSiOy・zH2O ・・・(2)
ここで、一般式(VIII)中、M1は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム、及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、又はこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり、d、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。
尚、一般式(2)において、x、zがともに0である場合には、該無機化合物はアルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの金属、金属酸化物又は金属水酸化物となる。
本発明においては、上述の無機充填材(B)の内、低転がり性と耐摩耗性の両立の観点からシリカが好ましい。シリカとしては市販のあらゆるものが使用でき、なかでも湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカを用いるのが好ましく、湿式シリカを用いるのが特に好ましい。シリカのBET比表面積(ISO 5794/1に準拠して測定する)は40〜350m2/gであるのが好ましい。BET表面積がこの範囲であるシリカは、ゴム補強性とゴム成分中への分散性とを両立できるという利点がある。この観点から、BET表面積が80〜350m2/gの範囲にあるシリカが更に好ましく、BET表面積が120〜350m2/gの範囲にあるシリカが特に好ましい。このようなシリカとしては東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールAQ」(BET比表面積 =205m2/g)、「ニップシールKQ」、デグッサ社製商品名「ウルトラジルVN3」(BET比表面積 =175m2/g)等の市販品を用いることができる。
一般式(2)で表されるこれらの無機化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。これらの無機化合物の平均粒径は、混練作業性、耐摩耗性及びウェットグリップ性能のバランスなどの観点から、0.01〜10μmの範囲が好ましく、0.02〜10μmの範囲がより好ましく、0.02〜5μmの範囲がより好ましく、0.02〜0.20μmの範囲が好ましい。
本発明における無機充填材(B)は、シリカ単独で使用してもよいし、シリカと一般式(2)で表される無機化合物の1種以上とを併用してもよい。
本発明のゴム組成物及びその製造方法に用いられる充填材は、所望により、上述の無機充填材(B)に加えてカーボンブラックを含有してもよい。カーボンブラックを含有することにより、電気抵抗を下げて帯電を抑止する効果を享受できる。このカーボンブラックとしては、特に制限はなく、例えば高、中又は低ストラクチャーのSAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEF、GPF、SRFグレードのカーボンブラック、特にSAF、ISAF、IISAF、N339、HAF、FEFグレードのカーボンブラックを用いるのが好ましい。窒素吸着比表面積(N2SA、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定する)が30〜250m2/gであることが好ましい。このカーボンブラックは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明において、カーボンブラックは無機充填材(B)に含まれない。
本発明に係るゴム組成物の充填材は、ゴム成分(A)100質量部に対して、20〜150質量部使用することが好ましい。20質量部以上であれば、ゴム組成物の補強性向上の観点から好ましく、150質量部以下であれば、転がり抵抗低減の観点から好ましい。
前記充填材中、無機充填材(B)が30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
なお、無機充填材(B)としてシリカを使用する場合は、前記充填材中におけるシリカが30質量%以上であることが好ましい。
本発明のゴム組成物及びその製造方法に用いられるシランカップリング剤(C)は、下記一般式(I)〜(IV)で表わされる化合物からなる群から1種以上選択される化合物であることが好ましい。
本発明のゴム組成物は、このようなシランカップリング剤(C)を用いることにより、ゴム加工時の作業性に更に優れると共に、より耐摩耗性の良好なタイヤを与えることができる。
以下、下記一般式(I)〜(IV)を順に説明する。
上記一般式(II)におけるR12の例としては、メチレン基,エチレン基,トリメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,オクタメチレン基,デカメチレン基,ドデカメチレン基等が挙げられる。
(−S−R17−S−)、(−R18−Sm1−R19−)及び(−R20−Sm2−R21−Sm3−R22−)から選ばれる二価の基(R17〜R22は各々炭素数1〜20の二価の炭化水素基、二価の芳香族基、並びに硫黄及び酸素以外のヘテロ元素を含む二価の有機基から選ばれる二価の置換基であり、m1、m2及びm3は各々平均値として1以上4未満である。)であり、複数あるkは同一でも異なっていてもよく、各々平均値として1〜6であり、s及びtは各々平均値として0〜3である。但しs及びtの双方が3であることはない。
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)6−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)10−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S3−(CH2)6−S3−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S4−(CH2)6−S4−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2.5−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S3−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S4−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)10−S2−(CH2)10−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S4−(CH2)6−S4−(CH2)6−S4−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S2−(CH2)6−S2−(CH2)6−S2−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3、
平均組成式(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−S2−(CH2)6−S2−(CH2)6−S−(CH2)3−Si(OCH2CH3)3等で表される化合物が好適に挙げられる
上記一般式(III)で表わされるシランカップリング剤(C)は、例えば、国際公開2004/000930号、特開2006−167919号公報に記載された方法で製造できる。
上記一般式(II)、化学式(IV)で得られるシランカップリング剤は、保護されたメルカプト基を有するので、加硫工程以前の工程での加工中に初期加硫(スコーチ)の発生を防止することができるため、加工性が良好となる。
また、上記一般式(IV)で表わされるシランカップリング剤はアルコキシシラン炭素数が多いため、揮発性化合物VOC(特にアルコール)の発生が少なく、作業環境上好ましい。
本発明のゴム組成物の製造方法は、上述のように、本発明のゴム組成物の製造方法であって、該ゴム組成物を複数段階で混練し、混練の第一段階で天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)、無機充填材(B)の全部又は一部、シランカップリング剤(C)の全部又は一部、及び上記一般式(1)で示されるチオシアネート構造を有する化合物(D)を混練することを特徴とする。なお、この混練の第一段階で、活性剤として酸化亜鉛(E)を用いてもよい。
なお、本発明における混練の第一段階とは、ゴム成分(A)と無機充填材(B)とシランカップリング剤(C)とを混練する最初の段階をいい、最初の段階でシランカップリング剤(C)を加えずにゴム成分(A)と充填材とを混練する場合やゴム成分(A)のみを予備練りする場合の段階は含まれない。
第一段階より後、かつ最終段階より前の中間段階を含む際には、混練の中間段階におけるゴム組成物の最高温度は120〜190℃であることが好ましく、130〜175℃であることがより好ましく、140〜170℃であることが更に好ましい。なお、混練時間は10秒から20分であることが好ましく、10秒から10分であることがより好ましく、30秒から5分であることが更に好ましい。なお、中間段階を含む際には、前段階の混練終了後の温度より10℃以上低下させてから次の段階へ進むことが好ましい。
また、混練の最終段階とは、加硫剤を配合し、混練する工程をいう。この最終段階におけるゴム組成物の最高温度は60〜140℃であることが好ましく、80〜120℃であることがより好ましく、100〜120℃であることが更に好ましい。なお、混練時間は10秒から20分であることが好ましく、10秒から10分であることがより好ましく、20秒から5分であることが更に好ましい。
第一段階、中間段階から最終段階に進む際には、前段階の混練終了後の温度より10℃以上低下させてから次の段階へ進むことが好ましい。
例えば、混練の第一段階において、ゴム成分(A)、無機充填材(B)の全部又は一部、及びシランカップリング剤(C)の全部又は一部を混練し、自然冷却して養生した後、中間段階として、チオシアネート構造を有する化合物(D)及び所望による酸化亜鉛(E)を加えて混練して、マスターバッチ練り段階としてもよい。
本発明のゴム組成物は、このようなシランカップリング剤(C)を用いることにより、ゴム加工時の作業性に更に優れると共に、より耐摩耗性の良好なタイヤを与えることができる。
本発明においては、シランカップリング剤(C)は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、前記混練の第一段階におけるゴム組成物中の酸化亜鉛(E)の配合量が、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.5〜4質量部であることが好ましいのは、酸化亜鉛(E)の配合量が0.5質量部以上であれば未加硫ゴム組成物の粘度の上昇を抑制する効果を奏し、4質量部以下であればカップリング剤とゴム成分との反応性向上効果を享受できるからである。より好ましくは、混練の第一段階におけるゴム組成物中の酸化亜鉛(E)の配合量が、ゴム成分(A)100質量部に対して、0.5〜2質量部であり、更に好ましくは、0.5〜1.5質量部である。
本発明の製造方法における混練装置として、バンバリーミキサー、噛合式ミキサー(インターナルミキサー)、ロール、インテンシブミキサー、ニーダー、二軸押出機等が用いられる。
ゴム組成物として、上述のゴム組成物及び上述の製造方法で得られたものを用いることにより、低発熱性及び耐摩耗性に優れるタイヤを与えることができ、しかも未加硫ゴム組成物の加工性が良好である。
なお、低発熱性(tanδ指数)及び耐摩耗性(指数)を下記の方法により評価した。
上島製作所製スペクトロメーター(動的粘弾性測定試験機)を用い、周波数52Hz、初期歪10%、測定温度60℃、動歪1%で測定し、tanδの数値を、比較例1又は5のtanδを100として下記式にて指数表示した。指数値が大きい程、低発熱性であり、ヒステリシスロスが小さいことを示す。
低発熱性指数={(比較例1又は5の加硫ゴム組成物のtanδ)/(供試加硫ゴム組成物のtanδ)}×100
JIS K6264−2:2005に準拠して、ランボーン摩耗試験機を用い、室温(23℃)におけるスリップ率60%の摩耗量を測定し、摩耗量の逆数を、比較例1又は5の摩耗量を100として、以下の式により指数で表示した。この数値が大きい程、耐摩耗性が良好であり、指数100を超えることが好ましい。
耐摩耗性指数={比較例1又は5の加硫ゴム組成物の摩耗量)/供試加硫ゴム組成物の摩耗量)}×100
平均組成式(CH3CH2O)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S2.5-(CH2)6-S-(CH2)3-Si(OCH2CH3)3 で表されるシランカップリング剤を以下のようにして製造した。
窒素ガス導入管、温度計、ジムロート型コンデンサー及び滴下ロートを備えた2リットルのセパラブルフラスコに、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン119g(0.5モル)を仕込み、攪拌下、有効成分20%のナトリウムエトキシドのエタノール溶液151.2g(0.45モル)を加えた。その後、80℃に昇温し、3時間攪拌を続けた。その後冷却し、滴下ロートに移した。
次いで、上記と同様のセパラブルフラスコに、1,6−ジクロロヘキサンを69.75g(0.45モル)仕込み、80℃に昇温した後、上記の3−メルカプトプロピルトリエトキシシランとナトリウムエトキシドの反応物をゆっくり滴下した。滴下終了後、80℃で5時間攪拌を続けた。その後冷却し、得られた溶液中から塩を濾別し、更にエタノール及び過剰の1,6−ジクロロヘキサンを減圧留去した。得られた溶液を減圧蒸留し、沸点148〜150℃/0.005torrの無色透明の液体137.7gを得た。IR分析、1H−NMR分析及びマススペクトル分析(MS分析)を行った結果、(CH3CH2O)3Si−(CH2)3S−(CH2)6−Clで表される化合物であった。また、ガスクロマトグラフ分析(GC分析)による純度は97.5%であった。
次いで、上記と同様の0.5リットルのセパラブルフラスコに、エタノール80g、無水硫化ソーダ5.46g(0.07モル)、硫黄3.36g(0.105モル)を仕込み、80℃に昇温した。この溶液を攪拌しながら、上記(CH3CH2O)3Si−(CH2)3−S−(CH2)6−Clを49.91g(0.14モル)ゆっくり滴下した。滴下終了後、80℃にて10時間攪拌を続けた。攪拌終了後、冷却し、生成した塩を濾別した後、溶媒のエタノールを減圧蒸留した。
得られた赤褐色透明の溶液をIR分析、1H−NMR分析及び超臨界クロマトグラフィー分析を行った結果、平均組成式
(CH3CH2O)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S2.5-(CH2)6-S-(CH2)3-Si(OCH2CH3)3で表される化合物であることを確認した。このもののGPC分析における純度は85.2%であった。
第1表に示す配合処方及び混練方法により、混練の第一段階におけるゴム組成物の最高温度がいずれも150℃になるように調整してバンバリーミキサーで混練し、14種類のゴム組成物を調製した。実施例1〜10並びに比較例1〜4の混練の第一段階において、ゴム成分(A)、無機充填材(B)の全部、シランカップリング剤(C)の全部及びアロマティックオイルを混練し、混練開始から120秒後に、実施例1〜10はチオシアネート構造を有する化合物(D)を加えて更に混練した。
一方、比較例1〜4では混練の第一段階において、ゴム成分(A)、無機充填材(B)の全部、シランカップリング剤(C)の全部及びアロマティックオイルを混練し、チオシアネート構造を有する化合物(D)を加えずに更に混練したが、酸化亜鉛(E)は混練の最終段階において加えた。なお、実施例10では混練の最終段階においてチオシアネート構造を有する化合物(D)を加えて更に混練した。
得られた14種類のゴム組成物を加硫温度165℃で加硫した。加硫時間はtc(90)値(分)×1.5倍とした。ここで、tc(90)値はJIS K 6300−2:2001において規定されたtc(90)値である。得られた14種類の加硫後のゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)及び耐摩耗性(指数)を上記の方法により評価した。結果を第1表に示す。
*1:JSR製乳化重合SBR、商品名「JSR 1500」
*2:RSS#3
*3:N220(ISAF)、旭カーボン株式会社製、商品名「#80」
*4:東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールAQ」、 BET表面積205 m2/g
*5:ビス(3−トリエトシキシリルプロピル)ジスルフィド(平均硫黄鎖長:2.35 )、Evonik社製シランカップリング剤、商品名「Si75」(登録商標)
*6:3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン Monentive Performance Ma terials社製、商品名「NXTシラン」(登録商標)
*7:上記化学式(VIII)で表されるシランカップリング剤、Monentive Performance
Materials社製、商品名「NXT−Z」(登録商標)
*8:製造例1で得られたシランカップリング剤、
平均組成式 (CH3CH2O)3Si-(CH2)3-S-(CH2)6-S2.5-(CH2)6-S-(CH2)3-Si(OCH2CH3)3
*9:化合物(B)−(a):チオシアン酸アンモニウム、関東化学株式会社製
*10:化合物(B)−(b):チオシアン酸ナトリウム、関東化学株式会社製
*11:化合物(B)−(c):ビス(チオシアン酸)亜鉛、関東化学株式会社製
*12:N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、
大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
*13:1,3−ジフェニルグアニジン、三新化学工業株式会社製、商品名「サンセラーD」
*14:2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン重合体、大内新興化学工業 株式会社製、商品名「ノクラック224」
*15:ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド、三新化学工業株式会社製、商品名「サ ンセラーDM」
*16:N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、三新化学工業 株式会社製、商品名「サンセラーNS」
第2表に示す配合処方及び混練方法により、混練の第一段階におけるゴム組成物の最高温度がいずれも150℃になるように調整してバンバリーミキサーで混練し、14種類のゴム組成物を調製した。実施例11〜20並びに比較例5〜8の混練の第一段階において、ゴム成分(A)、無機充填材(B)の全部、シランカップリング剤(C)の全部及びアロマティックオイルを混練し、混練開始から120秒後に、実施例11〜20はチオシアネート構造を有する化合物(D)を加えて更に混練した。
一方、比較例5〜8では混練の第一段階において、ゴム成分(A)、無機充填材(B)の全部、シランカップリング剤(C)の全部及びアロマティックオイルを混練し、チオシアネート構造を有する化合物(D)を加えずに更に混練したが、酸化亜鉛(E)は混練の最終段階において加えた。なお実施例20では、混練の最終段階においてチオシアネート構造を有する化合物(D)を加えて混練した。
得られた14種類のゴム組成物を加硫温度165℃で加硫した。加硫時間はtc(90)値(分)×1.5倍とした。ここで、tc(90)値はJIS K 6300−2:2001において規定されたtc(90)値である。得られた14種類の加硫後のゴム組成物の低発熱性(tanδ指数)及び耐摩耗性(指数)を上記の方法により評価した。結果を第2表に示す。
*1〜16は第1表の記載と同じである。
また、第2表から明らかなように、実施例11〜20のゴム組成物は、比較例5〜8中の対比すべきゴム組成物と比較して、いずれも低発熱性(tanδ指数)、及び耐摩耗性(指数)がより優れている。
Claims (3)
- 天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び下記式(1−a)で示されるチオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム及びビス(チオシアン酸)亜鉛から選ばれる少なくとも1種からなるチオシアネート構造を有する化合物(D)を配合してなり、該無機充填材(B)がシリカからなるゴム組成物。
- 天然ゴム及び合成ジエン系ゴムから選ばれる少なくとも1種からなるゴム成分(A)、無機充填材(B)を含む充填材、シランカップリング剤(C)、及び下記式(1−a)で示されるチオシアン酸アンモニウム、チオシアン酸ナトリウム及びビス(チオシアン酸)亜鉛から選ばれる少なくとも1種からなるチオシアネート構造を有する化合物(D)を配合してなるゴム組成物の製造方法であって、該無機充填材(B)がシリカからなり、該ゴム組成物を複数段階で混練し、混練の第一段階で、該ゴム成分(A)、該無機充填材(B)の全部又は一部、該シランカップリング剤(C)の全部又は一部、及び該チオシアネート構造を有する化合物(D)を混練することを特徴とするゴム組成物の製造方法。
- 請求項1に記載のゴム組成物を、少なくとも1つの部材に配設してなることを特徴とするタイヤ。
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