JP2012240641A - 車両用ブレーキ制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】EPBによる制動力によって車両のずり下がりを防止しつつ、過剰な制動力を発生させなくても済むようにする。
【解決手段】車速が0になって車両が停止したときに、ピッチングによりGセンサ21のGセンサ値が変動しても、その変動波形の振幅のーク値に沿って目標制動力が更新されるようにしている。これにより、Gセンサ値に基づいて設定される目標制動力をより路面勾配に対応する値に近づけることが可能となる。このため、EPBによる制動力によって車両のずり下がりを防止しつつ、過剰な制動力を発生させなくても済むようにできる。
【選択図】図15
【解決手段】車速が0になって車両が停止したときに、ピッチングによりGセンサ21のGセンサ値が変動しても、その変動波形の振幅のーク値に沿って目標制動力が更新されるようにしている。これにより、Gセンサ値に基づいて設定される目標制動力をより路面勾配に対応する値に近づけることが可能となる。このため、EPBによる制動力によって車両のずり下がりを防止しつつ、過剰な制動力を発生させなくても済むようにできる。
【選択図】図15
Description
本発明は、電動パーキングブレーキ(以下、EPB(Electric parking brake)という)を用いた車両用ブレーキ制御装置に関するものである。
従来より、坂路での停車時に、EPBを用いて路面勾配に応じた制動力を発生させることで、車両が下方に移動するずり下がりを防止することが行われている。路面勾配については前後加速度センサ(以下、Gセンサという)の出力値(以下、Gセンサ値という)に含まれる重力加速度成分に基づいて検出できる。このため、停車時のGセンサの検出信号より停車時の路面勾配を演算し、その路面勾配に応じて停車維持に必要な制動力(以下、停車必要制動力という)を目標制動力としてEPBで発生させている。そして、EPBが発生させる制動力は、EPBのモータに流れる電流(以下、モータ電流という)の電流値によって決まることから、目標制動力と対応する目標電流値を算出し、モータ電流が目標電流値まで達したときにモータ駆動を停止することで、路面勾配に応じた制動力を発生させるようにしている。
このとき、Gセンサ値より路面勾配を演算しているが、図16に示す停車前後の各値の変化を示したタイミングチャートに表されるように、Gセンサ値は停車に至るまでの過程において変動する。この変動により、Gセンサ値が小さなタイミング(図中ポイントA)で目標制動力を算出すると、目標制動力が停車必要制動力よりも低い値で算出されることがある。このように目標制動力が停車必要制動力よりも低い値で設定されると、EPBにて発生させた制動力(以下、出力制動力という)が目標制動力に達したときにEPB動作が停止させられるため、出力制動力が停車必要制動力に足りず、車両がずり下がることが懸念される。
このため、特許文献1において、車両の走行中に走行状態に基づいて推定される動的推定路面傾斜度と、停車後に車両に作用する加速度に基づいて推定される静的推定路面傾斜度とをそれぞれ求め、車両が停止することにより生じるピッチングが収束したことを判定する停車判定後に、静的推定路面傾斜度と動的推定路面傾斜度との大小比較結果に基づいてEPBによる出力制動力を制御することが提案されている。すなわち、停車判定後に静的推定路面傾斜度が動的推定路面傾斜度よりも大きい場合に、EPBによる出力制動力を静的推定路面傾斜度に基づいて設定される目標制動力に制御し、ピッチングの収束状態でずり下がりが起こらない停車必要制動力が確保できるようにしている。
図17に示す停車前後の各値の変化を示したタイミングチャートに表されるように、特許文献1の目標制動力の設定手法では、ピッチング収束前の加速度による目標制動力の動的推定と、ピッチング収束後の加速度による目標制動力の静的推定に基づき、いずれか高い方を目標制動力に設定している。
しかしながら、ドライバが車両停止後直ぐにEPBを作動させた場合には、Gセンサ値が収束する前からEPBの動作が開始されるため、Gセンサ値が収束して目標制動力の静的推定が行われる前に、EPBの出力制動力が動的推定による目標制動力に達する場合がある。この場合において、動的推定による目標制動力が停車必要制動力に満たしていない値であると、EPBによる出力制動力が停車必要制動力に満たないことになり、車両がずり下がる可能性がある。このような場合には、停車後に再度目標制動力を設定する必要があり、静的推定による目標制動力は停車必要制動力以上の値に設定されるが、一旦動的推定による目標制動力に達したとき(図中ポイントBよりも前となるポイントB1)での制動不足による車両のずり下がりを補って再度静的推定による目標制動力が設定されることになる。このため、2度目にEPBの出力制動力が静的推定による目標制動力に達するとき(図中ポイントB2)で増加した制動力が掛かることになり、車両振動が生じる。
これに対して、停車時のGセンサ値を監視し、Gセンサ値の最も大きな値に基づいて目標制動力を算出することで、目標制動力が停車必要制動力よりも大きな値に設定されるようにすることが考えられる。具体的には、図18に示す停車前後の各値の変化を示したタイミングチャートに表されるように、車速が0になってからのGセンサ値の最大値に相当する制動力が常に目標制動力となるようにすることで、目標制動力が停車必要制動力よりも大きくなるようにすることができる。
しかしながら、ピッチングが収束するにつれて、Gセンサ値に対応する制動力が減り、Gセンサ値の最大値に基づいて設定した目標制動力が実際の停車必要制動力から乖離し、図中ポイントCのように、目標制動力が停車必要制動力よりも大きく上回ることがある。この場合、EPBによる制動力が過剰に出力されることになる。このため、EPBに備えられたアクチュエータに供給される電流の制御によってEPBの出力制動力の制御を行う場合には、アクチュエータの耐久負荷が高くなり、また無駄なエネルギーが消費されることになる。
本発明は上記点に鑑みて、EPBによる制動力によって車両のずり下がりを防止しつつ、過剰な制動力を発生させなくても済む車両用ブレーキ制御装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、電動モータ(10)を駆動することによりEPB(2)によるブレーキ力を発生させ、該ブレーキ力が目標制動力に達することを終了条件として電動モータ(10)の駆動を停止し、ブレーキ力を保持してロック状態にさせるロック制御を行うロック制御手段(150)と、車両が停止した時に生じる加速度センサ値の出力波形の振動のピークに沿って有効ピーク値を設定し、該有効ピーク値に基づいて目標制動力を演算するロック制御目標演算手段(140)を有することを特徴としている。
このように、車両が停止したときに、ピッチングにより加速度センサ(21)の加速度センサ値が変動しても、出力波形の振幅のピーク値に沿って目標制動力が更新されるようにしている。これにより、加速度センサ値に基づいて設定される目標制動力をより路面勾配に対応する値に近づけることが可能となる。このため、EPB(2)による制動力によって車両のずり下がりを防止しつつ、過剰な制動力を発生させなくても済むようにできる。
請求項2に記載の発明では、ロック制御目標演算手段(140)は、有効ピーク値を加速度センサ値の絶対値のピーク値より設定しており、加速度センサ値の絶対値のピーク値のうち1回目のピーク値を最初の有効ピーク値に設定すると共に、加速度センサ値の絶対値のピーク値のうち1回目のピーク値と2回目のピーク値を大小比較して、1回目の方が大きければ有効ピーク値を奇数回目の加速度センサ値の絶対値のピーク値に更新していき、2回目の方が大きければ有効ピーク値を偶数回目の加速度センサ値の絶対値のピーク値に更新していくことを特徴としている。
加速度センサ値の絶対値は、加速度センサ値が負の値になった場合に、それが正の値に反転した値となるため、振動時に加速度センサ値が増加するときだけ山型波形になるのではなく、減少するときにも山型波形になる。このため、1回目と2回目、つまり隣り合う加速度センサ値の絶対値のピーク値を大小比較することで、奇数回目と偶数回目で演算された加速度センサ値の絶対値のピーク値のいずれが有効ピーク値であるかを判定することができる。
請求項3に記載の発明では、ロック制御目標演算手段(140)は、加速度センサ値の絶対値のピーク値を演算した回数が2回目以降のときには、当該加速度センサ値の絶対値のピーク値を演算したときの加速度センサ値の正負の符号が、奇数回目の加速度センサ値の絶対値のピーク値に更新していくときには1回目の加速度センサ値の絶対値のピーク値を演算したときの加速度センサ値の正負の符号と一致するとき、もしくは、偶数回目の加速度センサ値の絶対値のピーク値に更新していくときには2回目の加速度センサ値の絶対値のピーク値を演算したときの加速度センサ値の正負の符号と一致するとき、当該加速度センサ値の絶対値のピーク値を演算した回数が奇数回目か偶数回目かにかかわらず、当該加速度センサ値の絶対値のピーク値に有効ピーク値を更新することを特徴としている。
上記請求項2に記載の発明のように、奇数回目と偶数回目で演算された加速度センサ値の絶対値のピーク値のいずれかを有効ピーク値として更新してくことができるが、加速度センサ値が常に正の値もしくは常に負の値であった場合や、Gセンサ出力の振幅が収束して2回目以降から常に正の値もしくは常に負の値になる場合には、毎回有効ピーク値として更新することになる。このため、加速度センサ値の絶対値のピーク値を演算したときの加速度センサ値の正負の符号が、奇数回目の加速度センサ値の絶対値のピーク値に更新していくときには1回目の加速度センサ値の絶対値のピーク値を演算したときの加速度センサ値の正負の符号と一致するとき、もしくは、偶数回目の加速度センサ値の絶対値のピーク値に更新していくときには2回目の加速度センサ値の絶対値のピーク値を演算したときの加速度センサ値の正負の符号と一致するときに、毎回有効ピーク値を更新している。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態では、後輪系にディスクブレーキタイプのEPBを適用している車両用ブレーキシステムを例に挙げて説明する。図1は、本実施形態にかかる車両用ブレーキ制御装置が適用されたブレーキシステムの全体概要を示した模式図である。以下、この図を参照して説明する。
本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態では、後輪系にディスクブレーキタイプのEPBを適用している車両用ブレーキシステムを例に挙げて説明する。図1は、本実施形態にかかる車両用ブレーキ制御装置が適用されたブレーキシステムの全体概要を示した模式図である。以下、この図を参照して説明する。
図1に示すように、ブレーキシステムには、ドライバの踏力に基づいて制動力を発生させるサービスブレーキ1と駐車時に車両の移動を規制するためのEPB2とが備えられている。
サービスブレーキ1は、ドライバによるブレーキペダル3の踏み込みに応じた踏力を倍力装置4にて倍力したのち、この倍力された踏力に応じたブレーキ液圧をマスタシリンダ(以下、M/Cという)5内に発生させ、このブレーキ液圧を各車輪のブレーキ機構に備えられた各W/C6に伝えることで制動力を発生させる。また、M/C5とW/C6との間にブレーキ液圧調整を行うためのアクチュエータ7が備えられており、サービスブレーキ1により発生させる制動力を調整し、車両の安全性を向上させるための各種制御(例えば、アンチスキッド制御等)を行える構造とされている。
アクチュエータ7を用いた各種制御は、ESC(Electronic Stability Control)−ECU8にて実行される。例えば、ESC−ECU8からアクチュエータ7に備えられる各種制御弁やポンプ駆動用のモータを制御するための制御電流を出力することにより、アクチュエータ7に備えられる油圧回路を制御し、W/C6に伝えられるW/C圧を制御する。なお、アクチュエータ7の構造については、従来よりよく知られているものであるため詳細については省略するが、各種制御弁とモータおよびリザーバを備え、各種制御弁を制御することで油圧回路を制御することでブレーキ液圧制御を行う。
一方、EPB2は、EPB制御装置(以下、EPB−ECUという)9によって制御され、EPB−ECU9によってモータ10を駆動し、ブレーキ機構を制御することで制動力を発生させる。
EPB−ECU9は、CPU、ROM、RAM、I/Oなどを備えた周知のマイクロコンピュータによって構成され、ROMなどに記憶されたプログラムにしたがってモータ10の回転を制御することによりロック・リリース制御などの駐車ブレーキ制御を行う。EPB−ECU9とESC−ECU8とは、車内LANであるCAN通信などを通じて互いに情報の授受を行っており、ESC−ECU9は駐車ブレーキ制御を実行するにあたり、ESC−ECU8で取り扱われている車速情報などを取得できるようになっている。
また、EPB−ECU9は、例えば車室内のインストルメントパネル(図示せず)に備えられた操作スイッチ(SW)20の操作状態に応じた信号や、車両の前後方向の加速度を検出するGセンサ21およびM/C圧センサ22の検出信号を入力し、操作SW20の操作状態や車両の前後方向のGセンサ値およびM/C圧に応じてモータ10を駆動する。さらに、EPB−ECU9は、インストルメントパネルに備えられたロック/リリース表示ランプ23に対してモータ10の駆動状態に応じて、ロック中であるかリリース中であるかを示す信号を出力する。
具体的には、EPB−ECU9は、モータ10に流される電流(モータ電流)をモータ10の上流側もしくは下流側で検出するモータ電流検出、ロック制御を終了させるときの目標モータ電流(目標電流値)を演算する目標モータ電流演算、モータ電流が目標モータ電流に達したか否かの判定、操作SW20の操作状態に基づくモータ10の制御など、ロック・リリース制御を実行するための各種機能部を有している。このEPB−ECU9により操作SW20の状態やモータ電流に基づいてモータ10を正回転や逆回転させたりモータ10の回転を停止させることで、EPB2をロック・リリースする制御を行う。
なお、各車輪に備えられたブレーキ機構は、本実施形態のブレーキシステムにおいて制動力を発生させる機械的構造であり、前輪系のブレーキ機構はサービスブレーキ1の操作によって制動力を発生させる構造とされているが、後輪系のブレーキ機構は、サービスブレーキ1の操作とEPB2の操作の双方に対して制動力を発生させる共用の構造とされている。前輪系のブレーキ機構は、後輪系のブレーキ機構に対して、EPB2の操作に基づいて制動力を発生させる機構をなくした従来から一般的に用いられているブレーキ機構である。すなわち、前輪系のブレーキ機構は、ドライバによるサービスブレーキ1の操作に伴ってブレーキパッド11をブレーキディスク12に押し当てることで各車輪に対して制動力を発生させる。また、後輪系のブレーキ機構は、ドライバによるサービスブレーキ1の操作に加えてEPB2の操作に伴ってブレーキパッド11をブレーキディスク12に押し当てることで各車輪に対して制動力を発生させる。
これら、前輪系のサービスブレーキ1の操作によって制動力を発生させるブレーキ機構は従来から一般的に用いられているものであるし、後輪系のサービスブレーキ1とEPB2の操作に対応して制動力を発生させるブレーキ機構も、例えば特開2010−58536号公報などにおいて公知になっているものである。このため、ここでは詳細構造については説明を省略する。
続いて、上記のように構成されたブレーキシステムを用いてEPB−ECU9が上記各種機能部および図示しない内蔵のROMに記憶されたプログラムに従って実行する駐車ブレーキ制御について説明する。図2は、駐車ブレーキ制御処理の詳細を示したフローチャートである。
まず、ステップ100において時間計測用カウンタやフラグリセットなどの一般的な初期化処理を行ったのち、ステップ110に進み、時間tが経過したか否かを判定する。ここでいう時間tは、制御周期を規定するものである。つまり、初期化処理が終了してからの時間もしくは前回本ステップで肯定判定されたときからの経過時間が時間tが経過するまで繰り返し本ステップでの判定が行われるようにすることで、時間tが経過するごとに駐車ブレーキ制御が実行されるようにしている。
続く、ステップ120では、ロック要求ありか否か、例えば操作SW20がオンされたか否かを判定する。操作SW20がオンの状態とはドライバがEPB2を作動させてロック状態にしようとしていることを意味している。このため、本ステップで肯定判定されればステップ130に進み、ロック状態になっているか否かをロック状態フラグFLOCKがオンしているか否かに基づいて判定する。ここで、ロック状態フラグFLOCKとは、EPB2を作動させてロック状態になったときにオンされるフラグであり、このロック状態フラグFLOCKがオンになっているときには既にEPB2の作動が完了して所望のブレーキ力が発生させられている状態となる。したがって、ここで否定判定された場合には、ステップ140のロック制御目標演算処理に進んで目標制動力を演算した後、ステップ150のロック制御処理に進み、肯定判定された場合には既にロック制御処理が完了しているためステップ160に進む。
一方、ステップ120で否定判定された場合にはステップ170に進み、リリース要求ありの状態か否か、例えば操作SW20がオンからオフに切替えられたかを判定する。操作SW20がオンからオフに切替えられた状態とはドライバがEPB2を作動させてロック状態からリリース状態にしようとしていることを意味している。このため、本ステップで肯定判定されればステップ180に進み、リリース状態フラグFRELがオンしているか否かを判定する。ここで、リリース状態フラグFRELとは、EPB2を作動させてリリース状態、つまりEPB2によるブレーキ力を解除した状態になったときにオンされるフラグであり、このリリース状態フラグFRELがオンになっているときには既にEPB2の作動が完了してブレーキ力が解除させられている状態となる。したがって、ここで否定判定された場合にのみステップ190のリリース制御処理に進み、肯定判定された場合には既にリリース制御処理が完了しているためステップ160に進む。
そして、ロック制御処理およびリリース制御処理が終了したのち、ステップ160におけるロック・リリース表示処理を行う。このような処理によって駐車ブレーキ制御処理が実行される。以下、この駐車ブレーキ制御処理の各部の詳細について説明する。
図2のステップ140に示したロック制御目標演算処理では、ロック制御処理によって発生させる目標制動力を演算する。この目標制動力が停車必要制動力に対応するものであり、目標制動力を発生させることにより、ずり下がりなく停車状態を維持することが可能となる。図3は、ロック制御目標演算処理のフローチャートである。
この図に示すように、ステップ200では、全車輪速度が0km/hであるか否か、つまり車両停止中であるか否かを判定する。ロック制御目標演算処理で演算される目標制動力は、車両停止中に停車状態を維持するのに必要な制動力であるため、停車時にのみこの後の処理が実行されるようにしている。ここで肯定判定されるとステップ210に進み、EPB制御要求が有るか否かを判定する。EPB制御要求の有無については、ドライバによって操作SW20が押下されているか否か、もしくは、坂路保持制御のような車両制御のアプリケーションから目標制動力を発生させることの要求が出されているか否かに基づいて判定される。
そして、ステップ210でも肯定判定されると、ステップ220に進み、Gセンサピーク演算処理を行う。Gセンサピーク演算処理では、Gセンサ21にて検出される前後方向のGセンサ値が収束していく過程において、変動するGセンサピーク値を演算する。上述したように、ドライバが車両停止後直ぐにEPB2を作動させた場合には、Gセンサ出力の振動が収束する前からEPB2の動作が開始されるため、Gセンサ出力の振動が収束していく過程において、Gセンサ値の変化に対応して目標制動力を変化させるべきである。このため、本実施形態では、変動するGセンサ値に対応して目標制動力を変化させられるように、Gセンサピーク値を演算する。以下、図4〜図7に示す各処理に基づいてGセンサピーク演算処理を行うが、まず、Gセンサピーク演算の考え方について説明する。
図8(a)は、Gセンサ値の振動波形とGセンサピーク値との関係を示しており、図8(b)は、Gセンサピーク値を演算するために利用する各値の変化を示したタイミングチャートである。
図8(a)に示したように、Gセンサ値は、停車直後に変動した後、路面勾配に対応する値に収束していく。このとき、Gセンサ出力が振動しながら徐々に収束することになるため、Gセンサピーク値の変動に伴って、図中実線で示したように目標制動力の演算に用いるGセンサ値を更新することで、Gセンサ値の変化に対応して目標制動力を変化させることが可能になる。図8(a)に示す例では収束後のGセンサ値が正の値となる路面勾配であるため、そのGセンサピーク値を求めて、それを逐次更新していけば目標制動力の演算に用いられるのに有効なGセンサピーク値(以下、有効ピーク値という)となる。しかしながら、上り坂と下り坂とでGセンサ値の正負の符号が逆になることから、単にGセンサピーク値を求めて、それを逐次更新しただけでは目標制動力の演算に用いられるのに適切な有効ピーク値にはならない。
このため、Gセンサ値の絶対値を用いるようにしているが、Gセンサ値の絶対値を用いる場合、図8(a)の一点鎖線で示したように、Gセンサ値の極小値側も0Gを中心として反転した値として表されることになるため、擬似的なピーク値(以下、擬似ピーク値という)が発生し、あたかもピーク値が増えた状態になる。この擬似ピーク値は、目標制動力の演算に用いられるのに適切な有効ピーク値ではないため、擬似ピーク値のときには、目標制動力の演算に用いられるピーク値を更新するのは好ましくない。
例えば、Gセンサ値とその絶対値の波形の例を挙げると、図9のような波形となる。すなわち、図9中の(a)のように、1回目が擬似ピーク値で2回目が有効ピーク値となる場合、(b)のように1回目が有効ピーク値で2回目が擬似ピーク値となる場合、(c)のように1回目が擬似ピーク値で2回目が有効ピーク値となるが振動の収束によって擬似ピーク値がなくなる場合、(d)のように1回目が有効ピーク値で2回目が擬似ピーク値となるが振動の収束によって擬似ピーク値がなくなる場合、(e)のようにGセンサ値がすべて正の値で擬似ピーク値が発生しない場合、(f)のようにGセンサ値がすべて負の値で擬似ピーク値が発生しない場合がある。このため、有効ピーク値と擬似ピーク値とを判別して、目標制動力の演算に用いられるピーク値を有効ピーク値のみで更新することが必要になる。
したがって、図8(b)に示す各値を求め、それを利用して目標制動力の演算に用いられるのに適切な有効ピーク値を演算している。具体的には、Gセンサ値の絶対値のMAXピーク値とMINピーク値を演算すると共に、これらMAXピーク値とMINピーク値から仮のピーク値であるGセンサピーク仮値を演算し、このGセンサピーク仮値から最終的に目標制動力の演算に用いられるのに適切な有効ピーク値を演算する。
MAXピーク値は、Gセンサ値の絶対値の極大値を取るピーク値を求めるために使用される。MINピーク値は、Gセンサ値の絶対値の極小値を取るピーク値を求めるために使用される。Gセンサピーク仮値は、最終的に目標制動力の演算に用いられるGセンサ値を仮に決めた値である。
MAXピーク値は、基本的にはGセンサ値の絶対値が増加するとそれに伴って増加する。また、MAXピーク値は、Gセンサ値の絶対値が減少するときには、前回演算されたMAXピーク値とGセンサ値の絶対値との差が一定値(例えば10LSB)を超えることを条件として、この条件を満たすまでは前回のMAXピーク値のままとされ、この条件を満たすとそのときのGセンサ値の絶対値に更新される。このため、図8(b)に示されるように、MAXピーク値は、Gセンサ値の絶対値が増加しているときにはそれと同様に増加し、減少するときには階段状に低下する。
MINピーク値は、基本的にはGセンサ値の絶対値が減少するとそれに伴って減少する。また、MINピーク値は、Gセンサ値の絶対値が増加するときには、前回演算されたMINピーク値とGセンサ値の絶対値との差が一定値(例えば−10LSB)未満になることを条件として、この条件を満たすまでは前回のMINピーク値のままとされ、この条件を満たすとそのときのGセンサ値の絶対値に更新される。このため、図8(b)に示されるように、MINピーク値は、Gセンサ値の絶対値が減少しているときにはそれと同様に減少し、増加するときには階段状に増加する。
Gセンサピーク仮値は、MAXピーク値やMINピーク値に基づいて、最終的に目標制動力の演算に用いられるGセンサ値として仮に決められる値である。Gセンサピーク仮値は、MAXピーク値が増加中にはそれに伴って増加し、MAXピーク値が保持されている期間中には、その期間におけるGセンサ値の山型波形(上に凸の波形)のピーク値として保持される。このため、図8(b)中に示されるように、Gセンサピーク仮値は、MAXピーク値が増加中のときにはそれと同様に増加し、MAXピーク値が保持されているときには、MAXピーク値が階段状に減少しても、そのときのMAXピーク値の最も大きな値に保持される。
このようにして、Gセンサピーク仮値が求められると、Gセンサピーク値には擬似ピーク値も含まれていることから、その中から目標制動力の演算に用いられるピーク値として適切な有効ピーク値のみに更新していくことで、Gセンサピーク値を演算する。このGセンサピーク値は、図8(a)の実線で示した波形となる。以下、図4〜図7を用いて、具体的にGセンサピーク値演算処理の詳細について説明する。
図4は、Gセンサピーク値演算処理の詳細を示したフローチャートである。図5は、Gセンサピーク仮値演算処理の詳細を示したフローチャート、図6および図7は、MAXピーク値演算処理やMINピーク値演算処理の詳細を示したフローチャートである。
まず、Gセンサピーク値演算処理が開始されると、ステップ300においてGセンサピーク仮値演算処理を実行する。Gセンサピーク仮値演算処理では、図5に示すように、ステップ400でMAXピーク値演算処理を行ったのち、ステップ410でMINピーク値演算処理を行う。
MAXピーク値演算処理では、図6に示すように、ステップ500において、Gセンサ値の絶対値(|Gセンサ値|)を演算する。そして、ステップ510にて、MAXピーク値Tmpを演算する。MAXピーク値Tmpは、前回のMAXピーク値とGセンサ値の絶対値のいずれか大きい方の値に設定されるものである。Gセンサ値の絶対値が増加中であれば、基本的には前回のMAXピーク値よりもGセンサ値の絶対値の方が制御周期1周期中でのGセンサ値の増加分大きな値になることから、Gセンサ値の絶対値がMAXピーク値Tmpに設定される。また、Gセンサ値の絶対値が減少中であれば、基本的には前回のMAXピーク値よりもGセンサ値の絶対値の方が制御周期1周期中でのGセンサ値の減少分小さな値になることから、前回のMAXピーク値がMAXピーク値Tmpに設定される。ただし、後述するステップ550に示されるように、MAXピーク値が0にリセットされるタイミングがあることから、その瞬間はGセンサ値の絶対値がMAXピーク値Tmpとなる。
この後、ステップ520において、前回のMAXピーク値からGセンサ値の絶対値を引いた差が一定値(例えば10LSB)を超えているか否かを判定する。ここで否定判定されている期間中はステップ530に進み、ステップ510で演算されたMAXピーク値TmpをMAXピーク値に設定する。また、ステップ520で肯定判定されると、ステップ540に進んでMAXピーク値保持を実施中であることについて、その旨を示すフラグをセットすることによって記憶しておく。そして、ステップ550に進み、MAXピーク値を0にリセットして処理を終了する。
このように、ステップ520の判定で条件を満たすと、一旦MAXピーク値が0にリセットされる。このため、次の制御周期の際にステップ510で直ぐにそのときのGセンサ値の絶対値がMAXピーク値に設定される。また、Gセンサ値の絶対値が減少中には、ステップ510でMAXピーク値Tmpが前回のMAXピーク値に設定される。そして、再び上記条件を満たすまではステップ520で否定判定され、ステップ530でMAXピークTmpが今回のMAXピーク値に設定されることから、前回のMAXピーク値が保持される。これにより、図8(b)に示されるように、MAXピーク値は、Gセンサ値の絶対値が増加しているときにはそれと同様に増加し、減少するときには階段状に低下した波形となる。
MINピーク値演算処理では、図7に示すように、ステップ600において、Gセンサ値の絶対値(|Gセンサ値|)を演算する。そして、ステップ610にて、MINピーク値Tmpを演算する。MINピーク値Tmpは、前回のMINピーク値とGセンサ値の絶対値のいずれか小さい方の値に設定されるものである。Gセンサ値の絶対値が減少中であれば、基本的には前回のMINピーク値よりもGセンサ値の絶対値の方が制御周期1周期中でのGセンサ値の減少分小さな値になることから、Gセンサ値の絶対値がMINピーク値Tmpに設定される。また、Gセンサ値の絶対値が増加中であれば、前回のMINピーク値よりもGセンサ値の絶対値の方が制御周期1周期中でのGセンサ値の増加分大きな値になることから、前回のMINピーク値がMINピーク値Tmpに設定される。ただし、後述するステップ650に示されるように、MINピーク値が演算上最大値にセットされるタイミングがあることから、その瞬間はGセンサ値の絶対値がMINピーク値Tmpとなる。
この後、ステップ620において、前回のMINピーク値からGセンサ値の絶対値を引いた差が一定値(例えば−10LSB)未満であるか否かを判定する。ここで否定判定されている期間中はステップ630に進み、ステップ610で演算されたMINピーク値TmpをMINピーク値に設定する。また、ステップ620で肯定判定されると、ステップ640に進んでMAXピーク値保持を実施していないことについて、実施中である旨を示すフラグをリセットすることによって記憶しておく。そして、ステップ650に進み、MINピーク値を演算上最大値にセットして処理を終了する。ここでいう演算上最大値とは、MINピーク値を演算した場合に想定される最大値(例えば加速度10G相当のデフォルト値)である。この演算上最大値は、必ずGセンサ値の絶対値以上の値になる。
このように、ステップ620の判定で条件を満たすと、一旦MINピーク値が演算上最大値にセットされる。このため、次の制御周期の際にステップ610で直ぐにそのときのGセンサ値の絶対値がMINピーク値に設定される。また、Gセンサ値の絶対値が増加中には、ステップ610でMINピーク値Tmpが前回のMINピーク値に設定される。そして、再び上記条件を満たすまではステップ620で否定判定され、ステップ630でMINピークTmpが今回のMINピーク値に設定されることから、前回のMINピーク値が保持される。これにより、図8(b)に示されるように、MINピーク値は、Gセンサ値の絶対値が減少しているときにはそれと同様に減少し、増加するときには階段状に増加した波形となる。
このようにして、MAXピーク値演算処理およびMINピーク値演算処理が完了すると、図5のステップ420において、MAXピーク値保持実施中であるか否かを判定する。ここで、上述したステップ540でフラグがセットされていれば肯定判定され、ステップ640でフラグがリセットされていれば否定判定される。そして、否定判定されるとステップ430に進み、MAXピーク値演算処理で求めたMAXピーク値をGセンサピーク仮値として設定し、肯定判定されるとステップ440に進み、前回のMAXピーク値をGセンサピーク仮値として設定する。
その後、ステップ450に進み、Gセンサピーク仮値の検出ありの条件を満たすか否かを判定する。Gセンサピーク仮値は、ステップ430のようにMAXピーク値にも設定されるが、基本的には目標制動力の演算に用いられるのに適切な有効ピーク値の仮の値である。この目標制動力の演算に用いられる可能性がある値が検出されたときに、Gセンサピーク仮値の検出ありとされる。ここでは、MAXピーク値の保持が開始されたときにMAXピーク値の保持を示すフラグをセットし、このタイミングでGセンサピーク仮値が検出されたとしている。具体的には、図8(b)に示すように、MAXピーク値保持が実施中であることを示すフラグがセットされたときに、その立ち上がり時にのみGセンサピーク仮値が検出されたとする。
そして、ステップ450でMAXピーク値保持が実施中であり、かつ、MAXピーク値の前回値が記憶されていない状態であることをGセンサピーク仮値の検出有りの条件とし、この条件を満たしているか否かを判定する。ここで肯定判定されればステップ460に進んでGセンサピーク仮値検出ありを示すフラグをセットすると共に、Gセンサピーク仮値検出回数を計測するカウンタのカウントをアップして処理を終了する。また、否定判定されればステップ470に進んでGセンサピーク仮値検出なしとして、検出ありを示すフラグをリセットして処理を終了する。このように、Gセンサピーク仮値演算処理では、Gセンサピーク仮値が演算されると共に、Gセンサピーク仮値検出の有無およびGセンサピーク仮値検出回数が求められる。
このようにして、Gセンサピーク仮値演算処理が完了すると、図4のステップ305に進み、Gセンサピーク仮値検出あり回数が2回目になった瞬間であるか否かを判定する。この判定は、上記した図5のステップ460で説明したGセンサピーク仮値検出回数を計測するカウンタのカウント値に基づいて行われる。ここで肯定判定されると、ステップ310〜330で1回目と2回目のGセンサピーク仮値いずれのGセンサピーク値が有効ピーク値であるかを判定する。
まず、ステップ310では2回目のGセンサピーク仮値が前回(1回目)のGセンサピーク仮値より大きいか否かを判定することで、奇数回目と偶数回目のいずれで演算されたGセンサピーク仮値が有効ピーク値になるかを判定する。ここで肯定判定されると、ステップ315に進んで2回目以降偶数回で更新ありを示すフラグをセットしたのち、ステップ320に進んでGセンサピーク仮値演算時のGセンサ値の符号を記憶する。また、否定判定されると、ステップ325に進んで2回目以降奇数回で更新ありを示すフラグをセットしたのち、ステップ330に進んでGセンサピーク仮値演算時のGセンサ値の符号を記憶する。
図8(b)に示すように、Gセンサ値の絶対値は、Gセンサ値が負の値になった場合にも、それが正の値に反転した値となるため、変動時にGセンサ値が増加するときだけ山型波形になるのではなく、減少するときにも山型波形になる。この場合において、有効ピーク値と擬似ピーク値とを区別するために、1回目と2回目、つまり隣り合うGセンサピーク仮値を大小比較し、奇数回目と偶数回目で演算されたGセンサピーク仮値のいずれが有効ピーク値であるかを判定している。そして、1回目の方が2回目より大きければ奇数回毎に有効ピーク値が更新されるし、2回目の方が1回目より大きければ偶数回毎に有効ピーク値が更新されることになるため、ステップ315、325で偶数回と奇数回のいずれで更新されるかを記憶している。
ただし、Gセンサ値が常に正の値もしくは常に負の値であった場合や、Gセンサ値の変動が収束して2回目以降から常に正の値もしくは常に負の値になる場合には、Gセンサ値の絶対値を取った時に、隣り合う山型波形のピーク値は常に極大値になるか常に極小値になるかのいずれかとなる。この場合には、有効Gセンサ値を山型波形になるたびに毎回更新することが必要になり、奇数回と偶数回のいずれかのみに有効ピーク値が更新されるようにしたのでは不十分となる。
このような山型波形になるたびに毎回更新する場合についてはGセンサ値の符合に基づいて判定できる。具体的には、有効ピーク値として用いられるGセンサピーク仮値が求められたときのGセンサ値の符合は、奇数回目が有効ピーク値と判定される場合であれば1回目のGセンサピーク仮値が求められたときのGセンサ値の符合と一致し、偶数回目が有効ピーク値と判定される場合であれば2回目のGセンサピーク仮値が求められたときのGセンサ値の符合と一致する。しかしながら、Gセンサ値が常に正の値もしくは常に負の値であった場合や、Gセンサ値の振動が収束して2回目以降から常に正の値もしくは常に負の値になる場合には、奇数回目も偶数回目も毎回Gセンサピーク仮値が求められたときの符号が等しくなる。
このため、ステップ320で偶数回で有効ピーク値が更新される場合にはそのとき(2回目)のGセンサピーク仮値演算時のGセンサ値の符合を記憶し、奇数回で有効ピーク値が更新される場合には前回(1回目)のGセンサピーク仮値演算時のGセンサ値の符合を記憶する。そして、ステップ315〜330での記憶内容に基づいて、ステップ335で有効ピーク値の更新を行うか否かについて判定を行う。
ステップ335では、有効ピーク値の更新条件として、以下の条件を設定している。まず、Gセンサピーク仮値検出あり、かつ、Gセンサピーク仮値検出回数が1回目のときには、無条件で更新条件を満たすことにしている。Gセンサピーク仮値が最初に検出されたときにはまだ有効ピーク値が設定されていないため、1回目のときのGセンサピーク仮値が最初の有効ピーク値として設定されるようにする。この条件については、図5のステップ460でGセンサピーク仮値検出ありを示すフラグがセットされており、かつ、Gセンサピーク仮値検出回数を計測するカウンタのカウント値が1であれば満たすことになる。
また、Gセンサピーク仮値検出回数が奇数回で更新あり、かつ、Gセンサピーク仮値検出回数が奇数回(ただし、1回目は除く)のとき、もしくは、Gセンサピーク仮値検出回数が偶数回で更新あり、かつ、Gセンサピーク仮値検出回数が偶数回のときにも、更新条件を満たすことにしている。これら条件については、上記したステップ315〜330の記憶内容かに基づいて満たしているか否かが判定される。例えば、Gセンサピーク仮値検出回数が奇数回で更新あり、かつ、Gセンサピーク仮値検出回数が奇数回とされる場合には、図8(a)中に示したようにGセンサピーク仮値検出回数が3回目、5回目などで有効ピーク値が更新されることになる。
さらに、Gセンサピーク仮値検出あり回数が2回目以降であり、かつ、記憶したGセンサ値の符合がGセンサピーク仮値を検出したときのGセンサ値の符合と一致している場合にも、更新条件を満たすことにしている。例えば、Gセンサ値が常に正の値もしくは常に負の値であった場合や、Gセンサ値の変動が収束して2回目以降から常に正の値もしくは常に負の値になる場合には、有効Gセンサ値を山型波形になるたびに毎回更新することが必要になる。したがって、本更新条件を満たす場合にも、有効ピーク値を更新する。例えば、図8(a)中に示したように、Gセンサピーク仮値検出回数が奇数回とされる場合であっても、Gセンサ値の振動が収束すると、6回目以降はGセンサピーク仮値が検出されるたびに毎回有効ピーク値を更新するようにする。
このような各種更新条件のいずれかを満たすと、ステップ340に進んでピーク値更新ありを示すフラグをセットしたのち、ステップ345に進んでそのときのGセンサピーク仮値を有効ピーク値に設定して処理を終了する。また、更新条件をいずれも満たさなければ、ステップ350に進んでピーク値更新なしとして、ピーク値更新ありを示すフラグをリセットしたのち、ステップ355に進んで前回のGセンサピーク仮値を有効ピーク値に設定して処理を終了する。
このようにして、Gセンサピーク値演算処理が完了すると、図3のステップ230に進み、Gセンサピーク値の更新ありか否かを判定する。この判定は、図4のステップ340、350においてピーク値更新ありを示すフラグがセットされているかリセットされているかに基づいて行われる。そして、本ステップで肯定判定されると、ステップ240に進んで目標制動力を演算する。目標制動力は、車重に対して重力加速度とGセンサピーク値(つまり有効ピーク値)とタイヤ径を積算することにより演算される。これにより、ロック制御目標演算処理が完了する。
図2のステップ150に示したロック制御処理では、モータ10を回転させることによりEPB2を作動させ、EPB2にて所望のブレーキ力を発生させられる位置でモータ10の回転を停止し、この状態を維持するという処理を行う。図10にロック制御処理の詳細を示したフローチャートを示し、この図を参照してロック制御処理について説明する。
まず、ステップ700では、電流値上昇し始めフラグFIUPSがオフになっているか否かを判定する。電流値上昇し始めフラグFIUPSとは、モータ電流IMOTORが上昇し始めたときにオンされるフラグであり、後述するステップ725でオンされるまではオフになっている。ここで肯定判定されればステップ705に進む。
ステップ705では、目標モータ電流値上昇量TMIUPを設定する。目標モータ電流値上昇量TMIUPは、図3のステップ240で演算した目標制動力に対応するモータ電流IMOTORの上昇量、具体的には無負荷時電流NOCからのモータ電流IMOTORの上昇量である。モータ電流IMOTORの上昇量がこの目標モータ電流値上昇量TMIUPとなるようにすることで、駐車ブレーキ時に過度のW/C圧が発生することを抑制する。この目標モータ電流値上昇量TMIUPは、目標制動力に対応した駐車を維持できる最低限のブレーキ力に対応するW/C圧を発生させるために必要なモータ電流IMOTORの上昇量以上に設定される。
ここでは、目標制動力に対応するW/C圧と目標モータ電流値上昇量TMIUPの関係をマップ化しておき、そのマップを用いて、ステップ240で演算した目標制動力に対応する目標モータ電流値上昇量TMIUPを取得している。図11は、その一例を示したマップであり、目標制動力に対応するW/C圧の大きさに比例して目標モータ電流値上昇量TMIUPが大きくなるようなマップとしてある。
続いて、ステップ710に進み、ロック制御時間カウンタCLTが予め決められた最小ロック制御時間KTLMINを超えているか否かを判定する。ロック制御時間カウンタCLTとは、ロック制御が開始されてからの経過時間を計測するカウンタであり、ロック制御処理開始と同時にカウントを始める。最小ロック制御時間KTLMINとは、ロック制御に掛かると想定される最小時間のことであり、モータ10の回転速度などに応じて予め決まる値である。後述するステップ740のように、モータ電流IMOTORが無負荷時電流NOCに対して目標モータ電流値上昇量TMIUPを足した値に到達した時にEPB2が発生させたブレーキ力が所望の値に到達した、もしくは近づいたと判定するが、モータ10への電流供給初期時の突入電流などによりモータ電流IMOTORがその値(NOC+TMIUP)を超えることもあり得る。このため、ロック制御時間カウンタCLTを最小ロック制御時間KTLMINと比較することで、制御初期時をマスクでき、突入電流などによる誤判定を防止することが可能となる。
したがって、ロック制御時間カウンタCLTが最小時間を超えていない状態であれば、まだロック制御が継続されることになるため、ステップ715に進んでリリース状態フラグFRELをオフすると共にロック制御時間カウンタCLTをインクリメントし、モータロック駆動をオン、つまりモータ10を正回転させる。これにより、モータ10の正回転に伴ってブレーキパッド11がブレーキディスク12側に移動させられ、EPB2によるロック動作が行われていく。
一方、ステップ710で肯定判定されると、ステップ720に進み、モータ電流IMOTORを時間に対して微分した電流値微分値IDを演算する。例えば、今回と前回の制御周期の際に得られたモータ電流IMOTORの差を電流値微分値IDとする。そして、この電流値微分値IDが電流値微分閾値IDBよりも大きいか否かを判定する。
モータ電流IMOTORは、モータ10に加えられる負荷に応じて変動する。例えば、本実施形態の場合にはモータ10に加えられる負荷はブレーキパッド11をブレーキディスク12に押し付けている押圧力に相当するため、モータ電流IMOTORが発生させた押圧力と対応した値となる。このため、モータ10が無負荷状態のときには、モータ電流IMOTORが無負荷時電流NOCとなり、モータ10に対して負荷が加えられると、モータ電流IMOTORが上昇し始める。
したがって、モータ電流IMOTORを時間に対して微分した電流値微分値IDを求めることで、モータ電流IMOTORの変化を検知することができ、電流値微分値IDを電流値微分閾値IDBと比較することで、モータ電流IMOTORの上昇し始めを検知することができる。なお、電流値微分閾値IDBは、ノイズ的なモータ電流IMOTORの変動を除外しつつ、モータ電流IMOTORが上昇し始めたと想定される値に設定される。
そして、ステップ720で肯定判定されると、ステップ725でモータ電流IMOTORが上昇し始めたことを示す電流値上昇し始めフラグFIUPSをオンし、ステップ730に進む。また、ステップ720で否定判定された場合には、まだモータ10に負荷が掛かっていないため、再びステップ715の処理を実行する。
続く、ステップ730では、M/C圧センサ22の検出信号に基づいてM/C圧を検出したのち、検出したM/C圧が零を超えているか、つまりM/C圧が発生しているか否かを判定する。M/C圧が発生していれば、ドライバによるブレーキペダル3の踏み込みに応じてサービスブレーキ1がW/C圧を発生させており、サービスブレーキ1によってブレーキ力を発生させている状況と考えられる。そして、サービスブレーキ1によってブレーキ力が発生させられている状況下であれば、そのブレーキ力分を考慮しないと、EPB2によって発生させられるブレーキ力が必要以上に大きくなる可能性がある。このため、M/C圧が発生しているか否かにより、サービスブレーキ1が作動しているか否かを判定している。そして、ステップ730で肯定判定されればステップ735に進んでサービスブレーキ1によって発生させられているブレーキ力分を考慮した処理を実行し、否定判定されればステップ735の処理を行わずにステップ740に進む。
ステップ735では、サービスブレーキ1によって発生させられているブレーキ力分を考慮した処理として、目標モータ電流値上昇量TMIUPの補正を行う。すなわち、サービスブレーキ1によってブレーキ力が発生させられている場合、目標モータ電流値上昇量TMIUPを小さくする補正を行い、本実施形態では、そのブレーキ力の大きさに応じて目標モータ電流値上昇量TMIUPを小さくする目標モータ電流値上昇量TMIUPの減算値IDOWNを求め、ステップ705で求められた目標モータ電流値上昇量TMIUPから減算値IDOWNを差し引いた値を演算する。
本実施形態では、M/C圧に対応する減算値IDOWNの値をマップ化しておき、そのマップに基づき、ステップ730で検出したM/C圧と対応する値を抽出することにより減算値IDOWNを求めている。
図12は、その一例を示したマップであり、M/C圧と減算値IDOWNの関係を示したマップである。この図に示すように、M/C圧の大きさ、つまりドライバによるブレーキペダル3の踏込み(踏力)の大きさに比例して減算値IDOWNが大きくなるようなマップとしてある。このため、本実施形態の場合、ステップ730で検出したM/C圧と対応する減算値IDOWNを図12に示すマップから読み出し、目標モータ電流値上昇量TMIUPから減算値IDOWNを差し引くことにより、目標モータ電流値上昇量TMIUPを求めている。
ただし、目標モータ電流値上昇量TMIUPが零以下になるのは好ましくない。このため、ステップ735では、目標モータ電流値上昇量TMIUPから減算値IDOWNを差し引いた値と、無負荷時電流NOCに対して所定値α(正の定数)を足した値とのいずれか大きい方(MAX(TMIUP−IDOWN, NOC+α))を目標モータ電流値上昇量TMIUPとしている。
この後、ステップ740に進み、モータ電流IMOTORが無負荷時電流NOCに対して目標モータ電流値上昇量TMIUP分を加算した値を超えたか否かを判定する。モータ電流IMOTORが無負荷時電流NOCに対して目標モータ電流値上昇量TMIUP分を加算した値を超えると、発生させた押圧力により所望のブレーキ力を発生させられた状態、つまりEPB2によりブレーキパッド11の摩擦面がブレーキディスク12の内壁面にある程度の力で押さえ付けられた状態となる。したがって、本ステップで肯定判定されるまではステップ715の処理を繰り返し、肯定判定されるとステップ745に進む。
そして、ステップ745において、ロックが完了したことを意味するロック状態フラグFLOCKをオンすると共にロック制御時間カウンタCLTを0にし、モータロック駆動をオフ(停止)する。これにより、モータ10の回転が停止され、その時に発生させたブレーキ力が保持される。これにより、駐車中の車両の移動が規制される。さらに、電流値上昇し始めフラグFIUPSをオフにする。このようにして、ロック制御処理が完了する。
一方、図2のステップ190で示したリリース制御処理では、モータ10を回転させることによりEPB2を作動させ、EPB−ECU9にて発生させられているブレーキ力を解除するという処理を行う。図13にリリース制御処理の詳細を示したフローチャートを示し、この図を参照してリリース制御処理について説明する。
まず、ステップ800では、前回の制御周期のときに検出されたモータ電流IMOTORの電流値I(n-1)と今回の制御周期のときに検出されたモータ電流IMOTORの電流値I(n)の差の絶対値|I(n-1)−I(n)|がリリース制御終了判定電流値RENDI未満になっているか否かを判定する。
上述したように、モータ電流IMOTORは、モータ10に加えられる負荷に応じて変動し、ブレーキパッド11をブレーキディスク12に押し付けている押圧力がなくなると、モータ電流IMOTORが無負荷時電流NOCで一定となり、変動が無くなる。このため、リリース制御終了判定電流値RENDIをモータ10に対する負荷がなくなったと想定される電流変化量に設定しておき、絶対値|I(n-1)−I(n)|がリリース制御終了判定電流値RENDI未満になると、ブレーキパッド11がブレーキディスク12から離れてモータ10に対する負荷が無くなったと判定する。
したがって、ステップ800で否定判定されれば、ステップ805に進んでロック状態フラグFLOCKをオフすると共に、モータリリース駆動をオン、つまりモータ10を逆回転させる。これにより、モータ10の逆回転に伴って、ブレーキパッド11がブレーキディスク12から離れる方向に移動させられる。
また、ステップ800で肯定判定されると、ステップ810に進んでリリース制御終了カウンタCRENDをインクリメントしたのち、ステップ815に進んでリリース制御終了カウンタCRENDがリリース制御終了時間TRENDを超えたか否かを判定する。
リリース制御終了時間TRENDは、モータ10への負荷が無くなったタイミング、ブレーキパッド11がブレーキディスク12から離れたタイミングからリリース制御を継続する時間であり、ロック制御時にモータ10によってブレーキパッド11を移動させた量が多いほど長くなる。
ここで、リリース制御終了カウンタCRENDがリリース制御終了時間TRENDを超えていない状態であれば、まだリリース制御が継続されることになるため、ステップ805の処理を実行する。そして、リリース制御終了カウンタCRENDがリリース制御終了時間TRENDを超えると、ステップ820に進み、リリースが完了したことを意味するリリース状態フラグFRELをオンすると共にリリース制御終了カウンタCRENDを0にし、モータリリース駆動をオフする。したがって、モータ10の回転が停止され、ブレーキパッド11がブレーキディスク12から離れた状態のままで保持される。このようにして、リリース制御処理が完了する。
そして、ロック制御処理およびリリース制御処理が終了すると、図2のステップ150におけるロック・リリース表示処理を行う。図14にロック・リリース表示処理の詳細を示したフローチャートを示し、この図を参照してロック・リリース表示処理について説明する。
ステップ900では、ロック状態フラグFLOCKがオンされているか否かを判定する。ここで否定判定されればステップ910に進んでロック・リリース表示ランプ23を消灯し、肯定判定されればステップ920に進んでロック・リリース表示ランプ23を点灯させる。このように、ロック状態であればロック・リリース表示ランプ23を点灯し、リリース状態もしくはリリース制御が開始された状態のときにはロック・リリース表示ランプ23を消灯する。これにより、ドライバにロック状態であるか否かを認識させることが可能となる。このようにして、ロック・リリース表示処理が完了し、これに伴って駐車ブレーキ制御処理が完了する。
図15は、このような駐車ブレーキ制御処理を実行したときのタイミングチャートである。図15(a)に示すように、車速が0になって車両が停止したときに、ピッチングによりGセンサ21のGセンサ値が変動したのち、その変動が徐々に収束して路面勾配に応じた値で安定する。この変動中において、図15(b)に示したようにGセンサ出力波形の振幅のピーク値に沿って目標制動力が更新されていく。このため、目標制動力をより路面勾配に対応する値に近づけることが可能となり、実際にEPB2の出力制動力が過剰に出力されないようにすることができる。
以上説明したように、本実施形態の車両用ブレーキ制御装置によれば、車速が0になって車両が停止したときに、ピッチングによりGセンサ21のGセンサ値が変動しても、出力波形の振幅のピーク値に沿って目標制動力が更新されるようにしている。これにより、Gセンサ値に基づいて設定される目標制動力をより路面勾配に対応する値に近づけることが可能となる。このため、EPB2による制動力によって車両のずり下がりを防止しつつ、過剰な制動力を発生させなくても済むようにできる。
(他の実施形態)
(1)上記実施形態では、摩擦材となるブレーキパッド11の被摩擦材となるブレーキディスク12への押圧力と対応する物理量として、モータ電流IMOTORを利用したが、この他の物理量、例えばブレーキパッド11のブレーキディスク12への押圧力を直接荷重センサにて検出しても良い。
(1)上記実施形態では、摩擦材となるブレーキパッド11の被摩擦材となるブレーキディスク12への押圧力と対応する物理量として、モータ電流IMOTORを利用したが、この他の物理量、例えばブレーキパッド11のブレーキディスク12への押圧力を直接荷重センサにて検出しても良い。
(2)上記実施形態では、M/C圧に基づいて目標モータ電流値上昇量TMIUPを補正する場合について説明したが、サービスブレーキ1により発生させられるブレーキ力に対応する他の物理量を検出し、それに基づいて目標モータ電流値上昇量TMIUPを補正しても良い。
例えば、W/C圧を検出しても良いし、ブレーキペダル3に掛かる踏力やストローク量などのペダル操作量を検出し、それに基づいて目標モータ電流値上昇量TMIUPを補正しても良い。また、摩擦材に相当するブレーキパッド11を被摩擦材となるブレーキディスク12に押圧するときの押圧力を荷重センサにて検出したり、ブレーキパッド11の移動量を検出し、それに基づいて目標モータ電流値上昇量TMIUPを補正しても良い。
(3)上記実施形態では、目標モータ電流値上昇量TMIUPを補正するために用いる減算値IDOWNをサービスブレーキ1によるブレーキ力と対応する物理量(具体的にはM/C圧)が大きくなるほど大きくしているが、目標モータ電流値上昇量TMIUPに1未満の係数を掛けることにより、目標モータ電流値上昇量TMIUPを補正しても良い。この場合の係数は、一定値でも良いが、サービスブレーキ1によるブレーキ力が発生している場合にそのブレーキ力に対応する物理量が大きくなる程小さな値となるように可変とされても良い。
(4)また、上記実施形態では、ディスクブレーキ式のEPB2を例に挙げて説明したが、モータ駆動によってホイールシリンダの圧力を調整することで摩擦材に相当するブレーキシューの摩擦面を被摩擦材に相当するブレーキドラムの内壁面に押し当て、ブレーキ力を発生させるようなドラム式のEPB2に関しても本発明を適用することができる。
(5)また、上記実施形態では、Gセンサピーク演算の手法として、図4〜図7のフローチャートに示した各処理を行うようにしたが、他の手法によって有効ピーク値を演算しても良い。
(6)なお、各図中に示したステップは、各種処理を実行する手段に対応するものである。すなわち、図2のステップ140の処理を実行する部分がロック制御目標演算手段、ステップ150の処理を実行する部分がロック制御手段に相当する。
1…サービスブレーキ、2…EPB、5…M/C、6…W/C、7…ESCアクチュエータ、8…ESC−ECU、9…EPB−ECU、10…モータ、11…ブレーキパッド、12…ブレーキディスク、13…キャリパ、20…操作SW、21…Gセンサ、22…M/C圧センサ、23…ロック・リリース表示ランプ
Claims (3)
- 電動モータ(10)を駆動することにより、摩擦材(11)を車輪に取り付けられた被摩擦材(12)に押し当てるための押圧力を発生させ、前記摩擦材(11)と前記被摩擦材(12)との摩擦によってブレーキ力を発生させる電動パーキングブレーキ(2)と、
ブレーキペダル(3)の操作により作動し、前記摩擦材(11)を前記被摩擦材(12)に向かう方向に移動させてブレーキ力を発生させるサービスブレーキ(1)とを有してなるブレーキシステムを用いて駐車ブレーキの制御を行う車両用ブレーキ制御装置であって、
前記電動モータ(10)を駆動することにより前記押圧力を発生させることで前記電動パーキングブレーキ(2)によるブレーキ力を発生させ、該ブレーキ力が目標制動力に達することを終了条件として前記電動モータ(10)の駆動を停止し、前記ブレーキ力を保持してロック状態にさせるロック制御を行うロック制御手段(150)と、
車両が停止した時に生じる前記加速度センサ値の出力波形の振動のピークに沿って有効ピーク値を設定し、該有効ピーク値に基づいて前記目標制動力を演算するロック制御目標演算手段(140)を有することを特徴とする車両用ブレーキ制御装置。 - 前記ロック制御目標演算手段(140)は、前記有効ピーク値を前記加速度センサ値の絶対値のピーク値より設定しており、前記加速度センサ値の絶対値のピーク値のうち1回目のピーク値を最初の有効ピーク値に設定すると共に、前記加速度センサ値の絶対値のピーク値のうち1回目のピーク値と2回目のピーク値を大小比較して、1回目の方が大きければ前記有効ピーク値を奇数回目の前記加速度センサ値の絶対値のピーク値に更新していき、2回目の方が大きければ前記有効ピーク値を偶数回目の前記加速度センサ値の絶対値のピーク値に更新していくことを特徴とする請求項1に記載の車両用ブレーキ制御装置。
- 前記ロック制御目標演算手段(140)は、前記加速度センサ値の絶対値のピーク値を演算した回数が2回目以降のときには、当該加速度センサ値の絶対値のピーク値を演算したときの加速度センサ値の正負の符号が、前記奇数回目の前記加速度センサ値の絶対値のピーク値に更新していくときには1回目の加速度センサ値の絶対値のピーク値を演算したときの加速度センサ値の正負の符号と一致するとき、もしくは、前記偶数回目の前記加速度センサ値の絶対値のピーク値に更新していくときには2回目の加速度センサ値の絶対値のピーク値を演算したときの加速度センサ値の正負の符号と一致するとき、当該加速度センサ値の絶対値のピーク値を演算した回数が奇数回目か偶数回目かにかかわらず、当該加速度センサ値の絶対値のピーク値に前記有効ピーク値を更新することを特徴とする請求項2に記載の車両用ブレーキ制御装置。
Priority Applications (1)
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