JP2012214965A - 無機繊維不織布用バインダー - Google Patents

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渉 辰本
Takanori Kawakami
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Abstract

【課題】 エンボス加工されたローラー付きの散布機を用いて、無機繊維積層体上にバインダーを散布する工程において、低散布量でも散布量のバラツキを低減し、均一で優れた機械強度を有し、柔軟な無機繊維不織布を与えるバインダーを提供する。
【解決手段】 微粒子状表面処理剤(A)で被覆されてなる熱可塑性樹脂粒子(B)を含有してなり、(B)の比表面積が0.3〜4m2/g、かつ雪崩角が35.0〜37.5°であることを特徴とする無機繊維不織布用バインダー。
【選択図】 なし

Description

本発明は無機繊維不織布用バインダーに関する。さらに詳しくは無機繊維不織布(ガラスチョップドストランドマット等。以下同じ。)製造工程において、従来よりもバインダー散布量を減らしてもバインダー散布時の均一散布性を維持することができ、かつ均一で優れた機械的強度(引張り強さ等の機械的強度、以下同じ。)を有する不織布を与えることができる無機繊維不織布用バインダーに関する。
無機繊維不織布は通常、以下の方法で得られる。
(1)数10〜数100本の無機単繊維(繊維径約10μm)をサイジング剤で集束させ無機繊維ストランドを得る。
(2)該ストランドを所定の長さに切断して束状の無機繊維チョップドストランドを得る。
(3)該無機繊維チョップドストランドを搬送用ネット上に方向を無秩序に分散させて積層体とする。
(4)該積層体にバインダー粉末を散布し、オーブンチャンバーで加熱することにより、無機繊維チョップドストランド間を融着したバインダーで結合させて、さらにプレスすることにより無機繊維不織布(無機繊維チョップドストランドマットということがある)を得る。なお、無機繊維不織布の目付量(1m2当たりの無機繊維重量とバインダー重量の和、つまり1m2当たりの不織布重量、以下同じ。)は通常40〜950g/m2であり、自動車天井材等には40〜200g/m2(バインダー結合量7〜20%)、船舶および建材等には200〜950g/m2(バインダー結合量2〜4%)が広く使われている。なお、ここにおけるバインダー結合量は後述の方法で求められる。
従来、無機繊維不織布用バインダーとしては、機械粉砕により粉末化された不飽和ポリエステル樹脂を使用したもの(例えば特許文献1、2参照)が知られており、エンボス加工されたローラー付きの散布機から無機繊維積層体上にバインダーを散布する工程において、目付量に応じて調整される散布量で該バインダーが散布されている。すなわち、無機繊維積層体に対する一定の割合のバインダー付着量を確保するために、低目付量で低歩留まり率の積層体に対しては付着すべき量に対する過剰割合をより多くして散布され、高目付量で高歩留まり率の積層体に対しては該過剰割合をより少なくして散布される。
特開昭57−55931号公報 特開2003−301035号公報
しかしながら、従来のバインダーでは、低目付量の積層体の場合は散布の絶対量が少ないこと、高目付量の積層体の場合は該過剰割合を少なくすることから、いずれの場合もより低散布量を目指すという点では同様であり、均一散布性が不十分となりやすく、得られる無機繊維不織布の機械的強度にバラツキが生じてしまうという問題があった。
本発明の目的は、無機繊維不織布の製造工程において、低散布量でもバインダー散布時の均一散布性が維持され、均一で優れた機械的強度を有する無機繊維不織布を与える無機繊維不織布用バインダーを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、微粒子状表面処理剤(A)で被覆されてなる熱可塑性樹脂粒子(B)を含有してなり、(B)の比表面積が0.3〜4m2/g、かつ雪崩角が35.0〜37.5°であることを特徴とする無機繊維不織布用バインダーである。
本発明の無機繊維不織布用バインダーは、下記の効果を奏する。
(1)低散布量でも均一散布性に優れる。
(2)均一で優れた機械的強度を有する無機繊維不織布を与える。
(3)得られる無機繊維不織布は目付量に応じた優れた柔軟性を有する。
[微粒子状表面処理剤(A)]
微粒子状表面処理剤(A)としては、高級脂肪酸(塩)、ケイ素もしくは金属の酸化物、ケイ素もしくは金属の炭化物、炭酸カルシウム、タルク、有機樹脂、およびこれらの混合物からなる微粒子が挙げられる。
高級脂肪酸としては、C8〜24、例えばラウリン酸、ステアリン酸;高級脂肪酸の塩としては、上記高級脂肪酸の金属塩、例えばアルカリ金属(Li、Na、K等)、アルカリ土類金属(Mg、Ca、Ba等)、Zn、Cu、Ni、CoおよびAl等の高級脂肪酸金属塩;ケイ素もしくは金属の酸化物としては、二酸化ケイ素〔例えば、アエロジル50、−200、−380、−R972および−R974[いずれも日本アエロジル(株)製]〕、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等;ケイ素もしくは金属の炭化物としては、炭化ケイ素、炭化アルミニウム等;有機樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリ四フッ化エチレン樹脂、セルロースパウダー等が挙げられる。
これらのうち、後述する、(A)で被覆されてなる熱可塑性樹脂粒子(B)の粉体流動性の観点から好ましいのは高級脂肪酸金属塩、ケイ素もしくは金属の酸化物、さらに好ましいのは二酸化ケイ素であり、該二酸化ケイ素の微粒子表面は、シラノール基がそのままであっても、また、カップリング剤(シランカップリング剤等)修飾法でアルキル基が導入されていてもよい。
(A)の数平均1次粒子径は、1次粒子凝集体が撹拌機でほぐしやすく、しかも熱可塑性樹脂粒子に均一に付着させる観点および(A)で被覆されてなる熱可塑性樹脂粒子(B)の粉体流動性の観点から好ましくは1〜30nm、さらに好ましくは5〜25nmである。なお、ここおよび以下において数値範囲を示す場合の観点は、およびの前の観点が好ましい下限を規定する観点、およびの後の観点が好ましい上限を規定する観点であることを意味するものとする。
[(A)で被覆されてなる熱可塑性樹脂粒子(B)]
(B)を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂(PS)、ポリウレタン樹脂(PU)、ポリ酢酸ビニル樹脂(PV)、ポリアミド樹脂(PA)等が挙げられる。これらのうち、無機繊維間の接着性および貯蔵安定性の観点から好ましいのは、PS、PU、PA、特に好ましいのはPSである。
(A)は、通常熱可塑性樹脂を粉砕し、篩い分けされた後の熱可塑性樹脂粒子に添加し、混合される。得られる熱可塑性樹脂粒子(B)は熱可塑性樹脂粒子の表面の少なくとも一部が(A)で被覆されたものである。
(A)の使用量は、熱可塑性樹脂粒子の重量に基づいて、(B)の粉体流動性および後述する無機繊維不織布の機械強度の観点から好ましくは0.01〜8%、さらに好ましくは0.1〜5%、とくに好ましくは0.2〜1%である。
[ポリエステル樹脂粒子]
ポリエステル樹脂粒子を構成するポリエステル樹脂(PS)としては、ポリ(2〜4またはそれ以上)カルボン酸(エステル形成性誘導体も含む)(a1)と低分子ポリオール(a2)との重縮合物、カルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a3)の自己縮合物、およびラクトン(a4)の開環重縮合物等が含まれる。
該ポリエステル樹脂の官能基数は、ブロッキング防止および加熱溶融時の粘度の観点から好ましくは2〜5、さらに好ましくは2〜3、とくに好ましくは2である。
ポリカルボン酸(a1)としては、脂肪族[炭素数(以下Cと略記)2〜30で2〜3価、例えばシュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸]、芳香族[C8〜30で2〜4価、例えばオルト−、イソ−およびテレフタル酸、テトラブロムフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸]、および脂環含有ポリカルボン酸[C6〜50で2〜3価、例えば1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−および1,4−ジカルボキシメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸、ダイマー酸];これらのポリカルボン酸のエステル形成性誘導体〔酸無水物(無水マレイン酸、無水フタル酸等)、低級アルキル(C1〜4)エステル[ジメチルエステル(テレフタル酸ジメチル等)、ジエチルエステル(マレイン酸ジエチル等)等]、酸ハライド(テレフタル酸ジクロライド等)等〕;およびこれら2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち、ポリエステル樹脂の着色防止の観点から好ましいのは、脂肪族ポリカルボン酸である。
低分子ポリオール(a2)としては、水酸基当量〔水酸基1個当たりの数平均分子量[以下Mnと略記。測定は後述の条件でのゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による]〕が300未満(好ましくは分子量31以上かつMn250以下)の2価〜10価またはそれ以上(好ましくは2〜3価)のポリオールが使用できる。
(a2)としては、2価アルコール(a21)、3価〜10価またはそれ以上の多価アルコール(a22)、およびこれらのアルコールまたは多価(2価〜3価またはそれ以上)フェノールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記。C2〜10)低モル(2〜10モル。以下同じ。)付加物(a23)、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
AOとしては、エチレンオキサイド(以下EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下POと略記)、1,2−、1,3−および2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(以下THFと略記)、スチレンオキサイド、C5〜10またはそれ以上のα−オレフィンオキサイド、エピクロルヒドリン、およびこれらの2種以上の併用(ブロックおよび/またはランダム付加)が挙げられる。
これらのAOのうち、後述する無機繊維不織布の機械強度、および繊維強化プラスチック(FRP)への適用におけるスチレンモノマー等の無機繊維不織布への浸透性の観点から好ましいのは、EO、PO、およびこれらの併用である。
2価アルコール(a21)としては、脂肪族アルコール〔直鎖アルコール[エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール(以下それぞれEG、DEG、1,3−PG、1,4−BD、1,5−PD、1,6−HDと略記)]等〕;分岐鎖を有するアルコール[1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール(以下それぞれ1,2−PG、NPGと略記)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−および2,3−ブタンジオール等];および環を有するアルコール〔脂環含有アルコール[1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等]、芳香脂肪族アルコール(m−およびp−キシリレングリコール等)等〕が挙げられる。
3価〜10価またはそれ以上の多価アルコール(a22)の具体例としてはアルカンポリオール[C3〜10、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール(以下それぞれGR、TMP、PE、SOと略記)]、該アルカンポリオールの分子間もしくは分子内脱水物[ジPE、ポリGR(重合度2〜8)、ソルビタン等]、糖類およびその誘導体(配糖体)(ショ糖、メチルグルコシド等)が挙げられる。
上記(a21)、(a22)のうち無機繊維不織布の機械強度の観点から好ましいのは脂肪族アルコール、さらに好ましいのは、1,4−BDおよびNPGである。
前記AO付加物(a23)の具体例としては、上記(a21)、(a22)のAO低モル付加物、および環を有する多価(2価〜3価またはそれ以上)フェノールのAO低モル付加物が挙げられる。
該多価フェノールには、C6〜18の2価フェノール、例えば単環2価フェノール(ハイドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ウルシオール等)、ビスフェノール化合物(ビスフェノールA、−F、−C、−B、−ADおよび−S、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン等)、ジヒドロキシビフェニル、および縮合多環2価フェノール[ジヒドロキシナフタレン(1,5−ジヒドロキシナフタレン等)、ビナフトール等];並びに3価またはそれ以上の多価フェノール、例えば単環多価フェノール(ピロガロール、フロログルシノール等)、および1価もしくは2価フェノール(フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール等)とアルデヒド(ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等)もしくはケトン(アセトン等)との縮合物(フェノールもしくはクレゾールノボラック樹脂、レゾール中間体、フェノールとグリオキザールもしくはグルタルアルデヒドとの縮合反応で得られるポリフェノール、レゾルシンとアセトンとの縮合反応で得られるポリフェノール等)が含まれる。
前記カルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a3)の具体例としては、C2〜10、例えば乳酸、グリコール酸、β−ヒドロキシル酪酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシ吉草酸;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
前記ラクトン(a4)にはC3〜20(好ましくは4〜12)のラクトン、例えばβ−ラクトン(β−プロピオラクトン等)、γ−ラクトン(γ−ブチロラクトン等)、δ−ラクトン(δ−バレロラクトン等)、ε−ラクトン(ε−カプロラクトン等)、大環状ラクトン(エナントラクトン、ウンデカノラクトン、ドデカラクトン等)]、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち後述するFRPへの適用におけるスチレン等の無機繊維不織布への浸透性の観点から好ましいのはγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、およびこれらの混合物である。
上記のポリエステル樹脂(PS)のうち迅速な重縮合反応の観点およびFRP等への適用における無機繊維不織布へのスチレン等の浸透性の観点から好ましいのは、ポリカルボン酸(a1)と低分子ポリオール(a2)との重縮合物、さらに好ましいのはポリカルボン酸(a1)と前記AO低モル付加物(a23)との重縮合物、とくに好ましいのは脂肪族ポリカルボン酸と環を有する多価フェノールもしくは芳香脂肪族アルコールのAO低モル付加物との重縮合物である。
上記の(a1)と(a2)の重縮合時の反応温度は、通常100〜300℃、好ましくは130〜220℃である。該重縮合反応は通常常圧または減圧(例えば40Pa以下)で行われる。また、該反応は得られるポリエステル樹脂の着色防止の観点から窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
該重縮合反応時の(a1)と(a2)の反応当量比(カルボキシル基/水酸基の当量比)は、迅速な重縮合反応および得られるポリエステル樹脂の安定性の観点から好ましくは0.85〜1.4、さらに好ましくは0.9〜1.2である。
該製造後のポリエステル樹脂の酸価(mgKOH/g。以下においては数値のみを示す。)は、耐水性の観点から好ましくは20以下、さらに好ましくは0〜15である。
該重縮合反応は、無触媒でも、エステル化触媒を使用してもいずれでもよい。
エステル化触媒としては、プロトン酸(リン酸等)、金属(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B、4A、4Bおよび5B族金属等)含有化合物[カルボン酸(C2〜4)塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物、塩化物、水酸化物、アルコキシド等]が挙げられる。
これらのうち反応性の観点から好ましいのはカルボン酸金属塩[2B、4A、4B、5Aおよび5B族金属のカルボン酸(C2〜4)塩]、酸化物、およびアルコキシド、得られるポリエステル樹脂の着色防止の観点からさらに好ましいのは酢酸亜鉛、酢酸ジルコニル、テトラブチルチタネート、ビス〔2,2’−[(2−ヒドロキシエチル)イミノ−κN]−ビス[エタノレート−κO]〕チタネート、三酸化アンチモンおよびジブチルスズオキサイドである。
エステル化触媒の使用量は、(a1)と(a2)の合計重量に基づいて、反応性および着色防止の観点から好ましくは0.005〜3%、さらに好ましくは0.01〜1%である。
また、該反応を促進するため、有機溶剤を加えて還流させることもできる。反応終了後、有機溶剤は除去するのが望ましい。
有機溶剤としては、水酸基のような活性水素を有しないもの、例えば炭化水素(トルエン、キシレン等)、ケトン(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)が挙げられる。
(PS)が前記ポリカルボン酸(a1)と低分子ポリオール(a2)からの重縮合物である場合は、通常次のようにして製造することができる。
まず、反応容器中に、ポリカルボン酸(a1)、低分子ポリオール(a2)および必要により前記エステル化触媒を仕込み、窒素置換後、窒素雰囲気下で加熱し通常130〜220℃で4〜6時間反応させる。その後、必要により5〜40Paの減圧下でさらに6〜8時間反応させ、酸価が20以下となった後、取り出すことで(PS)を得ることができる。
前記(a3)の自己縮合反応、および(a4)の開環重縮合反応は、上記(a1)と(a2)との重縮合反応における反応条件に準じて実施することができる。
(PS)の重量平均分子量(以下Mwと略記。測定は後述の条件でのGPC法による。)は、無機繊維不織布の機械強度および加熱溶融時の粘度の観点から好ましくは5,000〜60,000、さらに好ましくは10,000〜55,000、また、Mnは同様の観点から好ましくは400〜7,000、さらに好ましくは800〜6,000である。
前記GPCの測定条件は次のとおりである。
<GPC測定条件>
[1]装置 :HLC−8220[東ソー(株)製]
[2]カラム :TSKgel Super MultiporeHZ−M
[東ソー(株)製]
[3]溶離液 :テトラヒドロフラン
[4]基準物質:ポリスチレン
[5]注入条件:サンプル濃度2.5mg/ml、カラム温度40℃
(PS)の軟化点[測定は環球法(JIS K2207、「石油アスファルト」の「6.4軟化点試験法」)に準拠。以下同じ。]は、無機繊維不織布の粘着性の発現防止とバインダーによる無機繊維間の結合性の観点、および後加工の作業性(後述のFRPへの適用における型へのフィット性等、以下同じ。)の観点から好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜130℃である。
(PS)の示差熱分析法によるガラス転移温度(以下Tgと略記。測定はJIS K7121、「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠。以下同じ。)は、バインダー貯蔵時のブロッキング防止とバインダーによる無機繊維間の結合性の観点、および後加工の作業性の観点から好ましくは40〜60℃、さらに好ましくは45〜55℃である。
本発明における(PS)粒子は、上記ポリエステル樹脂(PS)を、例えば分級スクリーン(0.2〜3mmφ丸穴)を装着した防音ケース付き高速衝撃式粉砕機[商品名「MIKRO−PULVERIZER」、型番「AP−BL」、ホソカワミクロン(株)製。以下高速ハンマーミルと表記。]を用いてフィード量11.4〜13.8g/minで連続投入しながら、回転数10,000〜20,000rpmで粉砕し、該分級スクリーンを通過してきた粒子を、目開きの異なる篩を組み合わせる等で篩い分けることにより得ることができる。
上記(PS)粒子に前記微粒子状表面処理剤(A)を添加、混合することで、ポリエステル樹脂からなる熱可塑性樹脂粒子(B)を得ることができる。ここにおいて、混合機としてはプラネタリーミキサー、ナウターミキサー、タンブラーミキサー等の粉体混合機が挙げられる。これらのうち混合効率の観点からプラネタリーミキサー[例えば機器名「HIVIS MIX」、型番「T. K. HIVIS MIX F model.03」、特殊理化工業(株)製。以下同じ。]等が挙げられる。
[ポリウレタン樹脂粒子]
ポリウレタン樹脂粒子を構成するポリウレタン樹脂(PU)としては、ポリ(2〜3またはそれ以上)イソシアネート(b1)と活性水素含有化合物(b2)との重付加物が含まれる。
ポリイソシアネート(以下PIと略記することがある)(b1)には、ジイソシアネート(以下DIと略記)、3官能イソシアネート(以下TIと略記)3官能を越える多官能イソシアネート[C(但し、NCO基中の炭素を除く、以下同様)6〜20の芳香族PI;C2〜18の脂肪族PI;C6〜15の脂環式PI;C8〜15の芳香脂肪族PI]、これらのPIの変性物(ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基またはオキサゾリドン基含有変性物等)、およびこれらの2種以上の混合物が含まれる。
芳香族PIとしては、例えば1,3−および/または1,4−フェニレンDI、2,4−および/または2,6−トリレンDI(以下TDIと略記)、粗製TDI、2,4’−および/または4,4’−ジフェニルメタンDI(以下MDIと略記)、4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン、粗製MDI〔粗製ジアミノジフェニルメタン[ホルムアルデヒドとアニリンとの縮合生成物で、ジアミノジフェニルメタンと少量の(例えば5〜20重量%)3官能以上のポリアミンとの混合物]のホスゲン化物、一般的にポリアリールPI(以下PAPIと略記)と称する。〕、1,5−ナフチレンDI、4,4’,4’’−トリフェニルメタンTI、m−およびp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネートが挙げられる。
脂肪族PIとしては、例えばエチレンDI、テトラメチレンDI、ヘキサメチレンDI(以下HDIと略記)、ドデカメチレンDI、1,6,11−ウンデカンTI、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンDI、リジンDI(2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート)、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートが挙げられる。
脂環式PIとしては、例えばイソホロンDI(以下IPDIと略記)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’および/または2,4’−DI(以下水添MDIと略記)、シクロヘキシレンDI、メチルシクロヘキシレンDI、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−および/または2,6−ノルボルナンDIが挙げられる。
芳香脂肪族PIとしては、例えばm−および/またはp−キシリレンDI、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンDIが挙げられる。
PIの変性物としては、変性MDI(ウレタン、カルボジイミドおよびトリヒドロカルビルホスフェート変性MDI等)、ウレタン変性TDI、ビューレット変性HDI、イソシアヌレート変性HDI、イソシアヌレート変性IPDI等のPIの変性物およびこれらの2種以上の混合物[例えば変性MDIとウレタン変性TDI(イソシアネート基含有プレポリマー)との併用]が含まれる。これらのうち得られるポリウレタン樹脂の経時変色が少ない観点から好ましいのは、脂肪族および脂環式ポリイソシアネート、とくに好ましいのはHDI、IPDI、水添MDIである。
活性水素含有化合物(b2)としては、低分子多官能活性水素含有化合物(b21)および高分子ポリオール(b22)が挙げられる。
(b21)には、低分子ポリオールおよび低分子ポリアミンが挙げられる。
低分子ポリオールとしては、前記低分子ポリオール(a2)が使用できる。該低分子ポリオールのうち溶融粘度の観点から好ましいのは2価アルコール、さらに好ましいのは2価の脂肪族アルコール、とくに好ましいのは1,4−BDおよびNPGである。
低分子多官能活性水素含有化合物のうち低分子ポリアミンには、アミノ基に含まれる活性水素1個当たりのMnが300未満(好ましくは分子量30以上かつMn250以下)のジアミンおよび3官能またはそれ以上のポリアミンが挙げられ、前記(b1)のイソシアネート基がアミノ基に置き換わったものが含まれる。
ジアミンとしては、脂肪族(エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)、脂環式(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシル、ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン等)、芳香族(ジエチルトルエンジアミン等)、芳香脂肪族(キシリレンジアミン、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジアミン等)および複素環ジアミン(ピペラジン等)が挙げられる。
3官能またはそれ以上のポリアミンとしてはポリアルキレン(C2〜6)ポリアミン(ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等)、ポリフェニルメタンポリアミン(ホルムアルデヒドとアニリンとの縮合生成物等)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
これらの低分子ポリアミンのうち後述する無機繊維不織布の機械強度の観点から好ましいのは脂肪族および脂環式ジアミン、さらに好ましいのはヘキサメチレンジアミンおよびイソホロンジアミンである。
活性水素含有化合物(b2)のうち、高分子ポリオールとしては、水酸基当量が300以上の2価〜4価またはそれ以上(好ましくは2〜3価)のポリオールが使用できる。
高分子ポリオールには、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびこれら2種以上の混合物が含まれる。高分子ポリオールの水酸基当量は、無機繊維不織布の柔軟性および機械的強度の観点から、好ましくは300〜10,000、さらに好ましくは500〜5,000、とくに好ましくは800〜3,000である。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、縮合系ポリエステルポリオール(ポリオールとポリカルボン酸との重縮合物)、ポリラクトンポリオール(ポリオールを開始剤とするラクトンモノマーの開環重合物)、ポリカーボネートポリオール[ポリオールとアルキレン(C2〜4)カーボネート(エチレンカーボネート等)との反応物、ポリオールと、ホスゲン化カーボネートもしくはジフェニルカーボネートとのエステル交換反応物]、前記のカルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a3)の自己縮合物;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエステルポリオールを構成するポリオールとしては前記低分子ポリオールおよび/またはポリエーテルポリオール(後述)が使用できる。
縮合系ポリエステルポリオールを構成するポリカルボン酸としては、前記ポリカルボン酸(a1)およびそのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらのポリカルボン酸のうち無機繊維間の接着性の観点から好ましいのは、脂肪族ポリカルボン酸である。
ポリラクトンポリオールを構成するラクトンモノマーとしては前記ラクトン(a4)が挙げられる。これらのうち無機繊維不織布の機械強度の観点から好ましいのはγ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、およびこれらの混合物である。
高分子ポリオールのうち、ポリエーテルポリオールには、2個〜3個またはそれ以上の活性水素原子を有する化合物のAO付加物が含まれる。
2個〜3個またはそれ以上の活性水素原子を有する化合物としては、低分子ポリオール(前記)、多価フェノール(前記)、アミン[1級モノアミン、例えばアルキルもしくはアルケニルアミン(C1〜20)、芳香族アミン(アニリン等)、アルカノールアミン(ヒドロキシルアルキル基がC2〜4)、低分子ポリアミン(前記)、複素環ポリアミン、例えばピペラジン、アミノアルキル(C2〜4)ピペラジン(アミノエチルピペラジン等)]等が挙げられる。
本発明におけるポリウレタン樹脂(PU)のうち、無機繊維不織布の柔軟性および機械強度の観点から好ましいのは、脂肪族および/または脂環式ポリイソシアネートと高分子ポリオールとの重付加物であり、さらに好ましいのは脂環式ポリイソシアネートとポリエステルポリオールとの重付加物である。
ポリウレタン樹脂(PU)の製造は、通常の方法で行うことができる。すなわち、ポリイソシアネート(b1)と活性水素含有化合物(b2)とをすべて一括反応させる方法(ワンショット法)、およびこれらの反応成分の一部を予め反応させてイソシアネート基もしくは水酸基末端ウレタンプレポリマーを経由して多段反応させる方法(プレポリマー法)等が挙げられる。これらのうち加熱溶融時の粘度およびブロッキング防止の観点から好ましいのはイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーと前記低分子多官能活性水素含有化合物(ここでは伸長剤および/または架橋剤として使用)を反応させる方法である。
ワンショット法における(b1)と(b2)の当量比(NCO/活性水素)は、通常、0.7〜1.3当量、加熱溶融時の粘度の観点から好ましくは0.8〜1.2である。
また、プレポリマー法におけるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーは、好ましくはポリイソシアネート(b1)と高分子ポリオール(b22)、および必要により前記低分子多官能活性水素含有化合物(b21)との反応により形成される。その際の(b1)と(b22)および(b21)の当量比(NCO/活性水素)は、(b1)1当量に対し、(b22)は通常0.1〜0.6当量、好ましくは0.2〜0.5当量、(b21)は通常0〜0.2当量、好ましくは0.05〜0.10当量である。
また、イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーのイソシアネート基含量は、通常0.5〜10重量%、好ましくは1.5〜6重量%である。
伸長剤としては、前記の、2価アルコール(脂肪族アルコール、環を有するもの等)、ジアミン(脂肪族、脂環式、芳香族、芳香脂肪族および複素環ジアミン等)、これらジアミンのケチミン化合物[ジアミンと、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン(以下MIBKと略記)等のケトンとのケチミン等]、および水が挙げられる。これらのうちポリウレタン樹脂(PU)の無機繊維間の接着性の観点から好ましいのはケチミン化合物である。
また、(PU)のMwは、無機繊維不織布の機械強度および加熱溶融時の粘度の観点から、好ましくは15,000〜600,000、さらに好ましくは10,000〜45,000、また、Mnは同様の観点から好ましくは1,500〜50,000、さらに好ましくは2,000〜40,000である。
(PU)の軟化点は、バインダーによる無機繊維間の結合性の観点および後加工の作業性の観点から好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜130℃である。
(PU)のTgは、バインダー貯蔵時のブロッキング防止の観点、および後加工の作業性の観点から好ましくは−30〜50℃、さらに好ましくは−10〜45℃である。
本発明における(PU)粒子は、上記ポリウレタン樹脂(PU)を、前記(PS)の場合と同様の処理をして得ることができる。
さらに、該(PU)粒子に、前記(PS)粒子の場合と同様に前記微粒子状表面処理剤(A)を添加、混合することで、(PU)からなる熱可塑性樹脂粒子(B)を得ることができる。
[ポリアミド樹脂粒子]
ポリアミド樹脂粒子を構成するポリアミド樹脂(PA)としては、ポリ(2〜4またはそれ以上)カルボン酸(エステル形成性誘導体も含む)(c1)と低分子ポリアミン(c2)との重縮合物、カルボキシル基とアミノ基を同一分子内に有する化合物(c3)の自己縮合物、およびラクタム(c4)の開環重縮合物等が含まれる。該ポリアミド樹脂の官能基数は、ブロッキング防止および加熱溶融時の粘度の観点から好ましくは2〜5、さらに好ましくは2〜3、とくに好ましくは2である。
ポリカルボン酸(c1)としては、前記ポリカルボン酸(a1)と同じものが挙げられる。
低分子ポリアミン(c2)としては、アミノ基1個当たりのMnが300未満(好ましくは分子量30以上かつMn250以下)の2価〜4価またはそれ以上(好ましくは2〜3価)のポリアミンが使用できる。(c2)には、2価アミン(c21)、3価〜4価またはそれ以上のポリアミン(c22)、並びにこれらの2種以上の混合物が含まれる。
2価アミン(c21)としては、脂肪族ジアミン[直鎖アミン(エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン等)];分岐鎖を有するジアミン[3−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1,2−、1,3−および2,3−ブタンジアミン等];脂環含有ジアミン[(1,4−ビス)ジアミノメチルシクロヘキサン、ダイマージアミン、イソホロンジアミン(以下IPDAと略記)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’および/または2,4’−ジアミン(以下PACMと略記)等];および芳香脂肪族ジアミン[ジフェニルメタン−4,4’および/または2,4’−ジアミン等]が挙げられる。
3価〜4価またはそれ以上のポリアミン(c22)としてはアルカンポリアミン[C4〜10、例えば3,3’−ジアミノジプロピルアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン等]が挙げられる。
上記(c21)、(c22)のうち無機繊維不織布の機械強度および(PA)樹脂の着色防止の観点から好ましいのは脂肪族ジアミン、脂環含有ジアミン、さらに好ましいのは、エチレンジアミン、IPDA、PACM、ダイマージアミンである。
カルボキシル基とアミノ基を同一分子内に有する化合物(c3)の自己縮合物としては、C2〜C10、例えばグリシン、アラニン、グルタミン酸、γ−アミノ酪酸等のアミノ酸の自己縮合物が挙げられる。これらのうち無機繊維不織布の機械強度および(PA)樹脂の着色防止の観点から好ましいのはグリシンおよびアラニンである。
ラクタム(c4)には、例えばε−カプロラクタム、ラウロラクタム等が挙げられる。ラクタム(c4)としては、C3〜20(好ましくは4〜12)のラクタム、例えばβ−ラクタム(β−プロピオラクタム等)、γ−ラクタム(γ−ブチロラクタム等)、δ−ラクタム(δ−バレロラクタム等)、ε−ラクタム(ε−カプロラクタム等)、大環状ラクタム(エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ラウロラクタム等)]、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち後述するFRPへの適用におけるスチレン等の無機繊維不織布への浸透性の観点から好ましいのはγ−ブチロラクタムおよびε−カプロラクタムである。
上記ポリアミド樹脂(PA)のうち、重縮合反応時の迅速性および後述するFRP等への適用における無機繊維不織布へのスチレン等の浸透性および溶融粘度の観点から好ましいのはポリカルボン酸(c1)と低分子ポリアミン(c2)との重縮合物、さらに好ましいのは、脂環含有ポリカルボン酸と脂環含有ポリアミンの重縮合物である。
(PA)製造の際、重縮合時の反応温度は、通常100〜300℃、好ましくは130〜220℃である。該重縮合反応は通常常圧で反応させた後、必要により減圧(例えば40Pa以下)で行われる。また該反応は(PA)の着色防止の観点から窒素等の不活性ガス雰囲気下で行うことが望ましい。
(c1)と(c2)の重縮合反応時の反応当量比(カルボキシル基/アミノ基の当量比)は、迅速な重縮合反応および得られる(PA)の安定性の観点から好ましくは0.6〜1.4、さらに好ましくは0.7〜1.2である。
得られる(PA)の酸価は、耐水性の観点から好ましくは10以下、さらに好ましくは0〜3である。
また、該重縮合反応では、反応促進のため、有機溶剤を加えて還流させることもできる。
有機溶剤としては、水酸基およびアミノ基のような活性水素基を有しないもの、例えば、炭化水素(トルエン、キシレン等)、ケトン(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)が挙げられる。
有機溶剤の使用量は、(c1)と(c2)の合計重量に基づいて通常50%以下、生産性および安全性の観点から好ましくは5〜25%である。有機溶剤は無機繊維不織布生産の観点から反応終了後は除去することが望ましい。
(PA)は、通常次のようにして製造することができる。まず、冷却管、撹拌棒、温度計および窒素導入管を備えた反応容器中に、前記のアミン成分および酸成分を仕込み、窒素雰囲気下で加熱し通常130〜220℃で4〜6時間反応させ、その後、必要により5〜40kPaの減圧下でさらに通常1〜3時間反応させ、酸価が10以下となった後、取り出すことでポリアミド樹脂を得ることができる。
また、前記(c3)の自己縮合反応、および(c4)の開環重縮合反応は、上記(c1)と(c2)との重縮合反応における反応条件に準じて実施することができる。
(PA)のMwおよびMnは無機繊維不織布の機械強度、(PA)の機械粉砕性および樹脂の溶融粘度の観点から、Mwは好ましくは3,000〜60,000、さらに好ましくは5,000〜25,000、Mnは好ましくは2,000〜10,000、さらに好ましくは3,000〜8,000である。
(PA)の軟化点は、無機繊維不織布の粘着性の発現防止とバインダーによる無機繊維間の結合性の観点、および後加工の作業性(後述のFRP等への適用における型へのフィット性等、以下同じ。)の観点から好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜130℃である。
(PA)のTgは、バインダー貯蔵時のブロッキング防止とバインダーによる無機繊維間の結合性の観点、および後加工の作業性の観点から好ましくは30〜60℃、さらに好ましくは45〜55℃である。
本発明における(PA)粒子は、上記ポリアミド樹脂(PA)を、前記(PS)の場合と同様の処理をして得ることができる。さらに、該(PA)粒子に、前記(PS)粒子の場合と同様に前記微粒子状表面処理剤(A)を添加、混合することで、(PA)からなる熱可塑性樹脂粒子(B)を得ることができる。
[(A)で被覆されてなる熱可塑性樹脂粒子(B)の特性]
本発明における、微粒子状表面処理剤(A)で被覆されてなる熱可塑性樹脂粒子(B)の比表面積(m2/g。以下においては数値のみを示す。)は0.3〜4、好ましくは0.4〜2である。該比表面積が0.3未満および4を超えるといずれもバインダーの均一散布性が悪化する。ここにおいて、該比表面積はBET法により求められるものであり、該比表面積の測定装置としては、例えば表面積測定装置[商品名「カンタソーブ」、ユアサアイオニクス(株)製]が挙げられる。
本発明のバインダーの比表面積は、微粒子状表面処理剤(A)と熱可塑性樹脂粒子をせん断がかけられる混合機(例えば、前記プラネタリーミキサー、ナウターミキサー、タンブラー。以下同じ。)で混合して熱可塑性樹脂粒子の表面に付着させる(A)の量をコントロールすることにより上記の範囲とすることができる。すなわち、熱可塑性樹脂粒子に対する(A)の配合割合の多少によって、次のように場合分けされる。
(1)熱可塑性樹脂粒子の重量に基づく(A)の配合割合が0.01%またはそれ以下〜4%の比較的少ない場合
比表面積を小さくするときは、熱可塑性樹脂粒子の表面により多くの(A)を密に付着させる必要があり、(A)の粒子同士の凝集力に対抗できる強いせん断力がかかる条件(すなわち撹拌回転数、撹拌時間がともに大である条件)で熱可塑性樹脂粒子と(A)が混合される。一方、比表面積を大きくするときは、上記とは逆に弱いせん断力がかかる条件(すなわち撹拌回転数および/または撹拌時間が小である条件)で熱可塑性樹脂粒子と(A)が混合される。
(2)熱可塑性樹脂粒子の重量に基づく(A)の配合割合が4%超〜8%またはそれ以上の比較的多い場合、
比表面積を小さくするときは、熱可塑性樹脂粒子の表面により多くの(A)を密に付着させる必要があり、熱可塑性樹脂粒子と(A)を上記割合で少量ずつ小分けにして交互に仕込み、しかも上記(1)と同様に(A)の粒子同士の凝集力に対抗できる強いせん断力(撹拌回転数、撹拌時間がともに大である条件)で熱可塑性樹脂粒子と(A)が混合される。一方、比表面積を大きくするときは、上記とは逆に熱可塑性樹脂粒子と(A)を上記割合で少量ずつ小分けにして交互に仕込むことなく、これらを一括して仕込み、弱いせん断力がかかる条件(すなわち撹拌回転数および/または撹拌時間が小である条件)で熱可塑性樹脂粒子と(A)が混合される。
(B)の雪崩角は、35.0〜37.5°、好ましくは36.0〜37.3°である。
該雪崩角が35.0°未満ではエンボス加工されたローラーの回転数によるバインダー散布量の調整が困難になり、37.5°を超えるとバインダーの均一散布性が悪化する。
ここにおいて、雪崩角は、所定量の粉体が入った円筒容器を底面の中心に垂直に立てた垂線を軸にゆっくりと一定速度で回転させて、円筒容器の回転とともに粉の積層体が容器壁面に沿ってゆっくりと上昇し、粒子間の付着力と重力とのバランスが崩れて雪崩が起こる直前の角度(粉の積層体の斜面と水平面とがなす角度)のことである。測定装置としては、例えば、粉体流動性測定装置[機種名「パウダーアナライザーREVOLUTION」、Mercury Science Inc.製]が挙げられる。
本発明のバインダーの雪崩角は、前記比表面積の場合と同様に、微粒子状表面処理剤(A)と熱可塑性樹脂粒子をせん断がかけられる混合機で混合して熱可塑性樹脂粒子の表面に付着させる(A)の量をコントロールすることにより上記の範囲とすることができる。すなわち、熱可塑性樹脂粒子に対する(A)の配合割合の多少によって、次のように場合分けされる。
(1)熱可塑性樹脂粒子の重量に基づく(A)の配合割合が0.01%またはそれ以下〜4%の比較的少ない場合
雪崩角を小さくするときは、熱可塑性樹脂粒子の表面に均一に(A)を付着させる必要があり、そのためには前記比表面積の場合の(1)において比表面積を小さくするときと同様の操作を行うことにより、より小さな雪崩角のバインダーを得ることができる。
一方、雪崩角を大きくするときは、前記比表面積の場合の(1)において比表面積を大きくするときと同様の操作を行えばよい。また、撹拌時間を極端に長くしたり、極端に強いせん断力をかけた場合は、(A)が熱可塑性樹脂粒子内部に埋没してしまい、熱可塑性樹脂粒子表面の(A)が少なくなることとなり、雪崩角が大きくなる。
(2)熱可塑性樹脂粒子の重量に基づく(A)の配合割合が4%超〜8%またはそれ以上の比較的多い場合
雪崩角を小さくするときは、熱可塑性樹脂粒子の表面により多くの(A)を均一に付着させる必要があり、そのためには前記比表面積の場合の(2)において比表面積を小さくするときと同様の操作を行うことにより、より小さな雪崩角のバインダーを得ることができる。また、熱可塑性樹脂粒子と(A)をそれぞれ分割して仕込み、それらの少量ずつの混合を連続して複数回行うことによっても小さな雪崩角のバインダーを得ることができる。
一方、雪崩角を大きくするときは、前記比表面積の場合の(2)において比表面積を大きくするときと同様の操作を行えばよい。また、撹拌時間を極端に長くしたり、極端に強いせん断力をかけた場合は、(A)が熱可塑性樹脂粒子内部に埋没してしまい、熱可塑性樹脂粒子表面の(A)が少なくなることとなり、雪崩角が大きくなる。
従来、粉体流動性の指標とされる安息角は静置された状態における粉体特性であるのに対し、前記雪崩角は、常に動いている状態における粉体特性である。散布機からバインダーが出てくる際は回転するエンボス加工されたローラーで常に押出される状態にあることから、該雪崩角は本発明のバインダーの粉体流動性の指標として妥当なものと考えられる。
(B)の体積平均粒子径Dvは、粉体流動性、バインダーの発塵抑制および後述する無機繊維不織布の機械強度の観点から好ましくは100〜350μm、さらに好ましくは120〜200μmである。
(B)の体積基準の粒子径分布の変動係数Cvはバインダーの生産性および無機繊維ストランド交点への散布バインダーの付着効率、無機繊維不織布の柔軟性の観点から好ましくは10〜60%、さらに好ましくは12〜40%、とくに好ましくは13〜30%である。
ここにおいて、Cvは後述の方法で求められるもので、値が小さいほど体積基準の粒子径分布が狭いことを示す。
ここにおいて体積平均粒子径Dv、体積基準粒子径、および体積基準の粒子径分布の変動係数Cvはいずれもレーザー回折散乱法により求めることができ、測定装置としては、例えば粒度分布測定器[商品名「マイクロトラックMT3000II 粒度分析計」、日機装(株)製]が挙げられる。
[無機繊維不織布]
本発明の無機繊維不織布は、前記無機繊維積層体中の無機繊維ストランド間を、前記熱可塑性樹脂粒子(B)を含有するバインダーで結合して得られる。ここにおいて無機繊維とは、石、スラグ、ガラス等の溶融物を繊維化して得られるものおよび炭素繊維等が含まれる。
該溶融物は、所望の物性値を有する岩または鉱物を混合した鉱物組成物を炉内で溶融することによって形成される。鉱物繊維の具体例としては、ガラス繊維、ロックウール、ストーンウール等が挙げられる。これらの製造方法としては、遠心法(ロータリー法)、火焔吹き付け法、吹き飛ばし法等が挙げられ特に限定されることはない。
前記炭素繊維は、アクリル繊維またはピッチ(石油、石炭、コールタール等の副生成物)を原料に高温で炭化して形成される繊維であり、アクリル繊維を使った炭素繊維はポリアクリロニトリル(PAN)系、ピッチを使った炭素繊維はピッチ(PITCH)系と区分されるものである。
これらの無機繊維のうち、FRP等への適用におけるマトリックス樹脂との接着性の観点から好ましいのはガラス繊維および炭素繊維、さらに好ましくはガラス繊維である。
本発明の無機繊維不織布は、具体的には例えば以下の工程で製造することができる。
(1)金網上に無機繊維チョップドストランドを方向性無秩序に均一な厚みになるように散布して無機繊維積層体を得る。
(2)所定量の水を該積層体の上面または下面側から積層体表面全体が濡れるように霧吹きにて噴霧する。
(3)所定量のバインダーを積層体の上面側から均一に散布して、付着させる。
(4)積層体表面の全体が湿るように霧吹きにて所定量の水を上面側から噴霧し、所定量のバインダーを均一に散布して、付着させる。
(5)上記(4)の工程は必要により、さらに1回または2回以上繰り返してもよい。
(6)上記(5)までの工程で得られたバインダー付着積層体を85〜200℃で1〜10分間加熱した後70〜230℃に温度調整した加圧成形機により0.01〜5MPaでプレス(加熱プレス成形)、または該加熱後冷却しながらロールプレス機(ロール温度は0〜30℃に温度調整しておく)により0.01〜5MPaの圧力でプレス(冷却プレス成形)してバインダーで結合された無機繊維不織布を得る。
上記(2)、(4)および(5)で付着させる水の量は、それぞれバインダーを含まない無機繊維積層体の重量に基づいて、バインダーの付着性および後工程での乾燥容易性の観点から好ましくは10〜1,000%、さらに好ましくは20〜700%である。
本発明のバインダーの無機繊維積層体への散布時における散布量のバラツキ(変動係数)は、無機繊維不織布製造の工業的観点から好ましくは15%以下、さらに好ましくは13%以下である。該変動係数は後述の方法で測定される。
後述の無機繊維不織布のバインダー結合量(%)は、不織布の機械強度およびハンドリング性(柔軟性、後述する無機繊維強化プラスチック成形品作成時の成形型へのフィット性等、以下同じ)の観点から好ましくは1〜20%、さらに好ましくは2〜15%である。
本発明の無機繊維不織布の引張強度の変動係数は、不織布の柔軟性、機械的強度の均一性の観点から好ましくは50%以下、さらに好ましくは45%以下である。該変動係数は後述の方法で測定される。
[無機繊維強化プラスチック成形品]
本発明の無機繊維強化プラスチック(FRP)成形品は、本発明の無機繊維不織布を強化材として成形してなる。該成形品の成形法については特に制限されることはなく、ハンドレイアップ法、スプレーアップ法、プリフォーム法、マッチドダイ法およびSMC法等が挙げられる。これらのうち例えばハンドレイアップ法は通常以下の手順で行われる。
(1)成形型表面に離型剤を塗布する。
(2)ローラー等を用いて均一な厚みになるよう室温(15〜25℃)でマトリックス樹脂(不飽和ポリエステル樹脂等)を成形型表面に塗布する。
(3)約40℃に温度調整した温風炉内で該樹脂をゲル化させる。
(4)無機繊維不織布を成形型表面にフィットさせ、マトリックス樹脂をスチレンモノマー等で希釈した溶液をローラー等により無機繊維不織布上に積層し、ローラーにより空気抜きを行う。
(5)積層体を温風炉内で硬化させる。
(6)型から取り出し成形品を得る。
ハンドレイアップ法を含む前記成形法で得られる成形品のマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、変性アクリル樹脂、フラン樹脂等)、および熱可塑性樹脂(ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂等)が挙げられる。
これらのうち、例えば上記ハンドレイアップ法の場合は、熱硬化性樹脂が用いられ、成形時の作業性の観点から好ましいのは、不飽和ポリエステル樹脂およびビニルエステル樹脂である。
以下実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中の部は重量部、%は重量%を表す。以下においては、バインダーおよびそれを用いた無機繊維不織布は便宜上同じ実施例、比較例番号を付した。
実施例1<バインダー(X−1)>
(1)ポリエステル樹脂(PS)の粒子(PS−1)の製造
反応容器中に、ビスフェノールAのEO2.2モル付加物3,365部、フマル酸1,123部、ジブチルスズオキサイド6部を仕込み、窒素雰囲気下180℃で4時間反応させた。その後、3〜4kPaの減圧下で、210℃に昇温し、210℃到達後7時間反応させ、酸価10になったところで取り出し、ポリエステル樹脂(PS)を得た。
(PS)1,000部を高速ハンマーミルを用いてサンプル供給量12g/分、ハンマー回転数12,500rpmで粉砕し、該高速ハンマーミルの粉砕部出口に装着された1.0mmφ丸穴分級スクリーンを通過させて粉砕物を分級した。分級して得られた樹脂(PS)の粉末を目開き192μmの篩で篩い分け、これを通過した樹脂粒子をさらに目開き75μmの篩で篩い分けて、75μmの篩の上に残った(PS)の粒子(PS−1)を得た。
(2)バインダー(X−1)の製造
(PS−1)300部に微粒子状表面処理剤(A−1)[商品名「アエロジル200」、日本アエロジル(株)製、微粒子状二酸化ケイ素、数平均1次粒子径12nm、以下同じ。]1.5部を加えた後、「HIVIS MIX」を用いて撹拌回転数30rpmで60分混合し、熱可塑性樹脂粒子(B−1)を含有してなるバインダー(X−1)を得た。
実施例2<バインダー(X−2)>
実施例1の(2)において、微粒子状表面処理剤(A−1)1.5部に代えて微粒子状表面処理剤(A−2)[商品名「アエロジル380」、日本アエロジル(株)製、微粒子状二酸化ケイ素、数平均1次粒子径7nm、以下同じ。]1.5部を用い、撹拌回転数30rpmで60分混合に代えて同20分混合したこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粒子(B−2)を含有してなるバインダー(X−2)を得た。
実施例3<バインダー(X−3)>
実施例1の(2)において、(A−1)1.5部に代えて(A−2)1.5部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粒子(B−3)を含有してなる、バインダー(X−3)を得た。
実施例4<バインダー(X−4)>
(1)ポリエステル樹脂(PS)の粒子(PS−2)の製造
実施例1の(1)において、目開き192μmおよび75μmの篩に代えて目開き323μmの篩を用いたこと以外は実施例1と同様にして、323μmの篩を通過した(PS)の粒子(PS−2)を得た。
(2)バインダー(X−4)の製造
実施例1の(2)において、(PS−1)300部に代えて(PS−2)300部を用い、撹拌回転数30rpmで60分混合に代えて同50分混合したこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粒子(B−4)を含有してなる、バインダー(X−4)を得た。
実施例5<バインダー(X−5)>
実施例1の(2)において、(PS−1)300部に代えて(PS−2)300部を用い、(A−1)1.5部に代えて(A−2)1.5部を用い、撹拌回転数30rpmで60分混合に代えて同15分混合したこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粒子(B−5)を含有してなる、バインダー(X−5)を得た。
実施例6<バインダー(X−6)>
(1)ポリウレタン樹脂(PU)の粒子(PU−1)の製造
(i)プレポリマー溶液1の製造
反応容器に、Mn1,000のポリブチレンアジペート431.3部、Mn900のポリヘキサメチレンイソフタレート184.9部、酸化防止剤[商品名「IRGANOX1010」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製]1.2部を添加し、窒素置換した後、60℃で均一撹拌した。次に1−オクタノール10.4部、メチルエチルケトン(以下、MEKと略記)125部を仕込み、均一撹拌後、50℃まで冷却し、ヘキサメチレン
ジイソシアネート155.3部を仕込み、90℃で6時間反応させた。60℃まで冷却し、紫外線吸収剤 [商品名「TINUVIN571」、チバスペシャリティーケミカルズ(株)製] 1.9部を添加し均一撹拌してプレポリマー溶液1を得た。得られたプレポリマー溶液のNCO含量は、2.4重量%であった。
(ii)ジアミンのMEKケチミン化物の製造
反応容器にヘキサメチレンジアミン116部、過剰のMEK288部(ヘキサメチレンジアミンに対して4倍モル量)、n−ヘキサン29部を仕込み、80℃で24時間還流させながら反応生成水を系外に除去した。その後減圧にて未反応のMEK、n−ヘキサンを留去してMEKケチミン化物を得た。
別の反応容器に、(i)で得たプレポリマー溶液1 100部、および(ii)で得たMEKケチミン化物6.2部を投入し、さらに分散剤[商品名「サンスパールPS−8」、三洋化成工業(株)製]24部を水276部に溶解した水溶液300部を加え、撹拌機で回転数5,000rpmにて1分間混合した。この混合物を、撹拌しながら60℃、減圧下で2時間脱MEKを行った。濾別および乾燥を行い、ポリウレタン樹脂からなる粒子を得た。該粒子を目開き192μmの篩で篩い分け、これを通過した粒子をさらに目開き75μmの篩で篩い分けて、75μmの篩の上に残ったポリウレタン樹脂(PU)の粒子(PU−1)を得た。
(2)バインダー(X−6)の製造
実施例1の(2)において、(PS−1)300部に代えて(PU−1)300部を用い、(A−1)1.5部に代えて(A−2)0.3部を用い、撹拌回転数30rpmで60分混合に代えて同20分混合したこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粒子(B−6)を含有してなる、バインダー(X−6)を得た。
実施例7<バインダー(X−7)>
(1)ポリアミド樹脂(PA)の粒子(PA−1)の製造
反応容器に、ダイマー酸[商品名「EMPOL 1061」、コグニスジャパン(株)製]1,645部、IPDA540部を仕込み、窒素雰囲気下、160℃で2時間反応させた。その後、180℃および200℃で各2時間反応させた。次に3〜4kPaの減圧下で反応させ、酸価2になったところで取り出し、ポリアミド樹脂(PA)を得た。
その後該(PA)を実施例1の(1)におけるポリエステル樹脂(PS)と同様に粉砕してポリアミド樹脂(PA)の粒子(PA−1)を得た。
(2)バインダー(X−7)の製造
実施例1の(2)において、(PS−1)300部に代えて(PA−1)300部を用い、(A−1)1.5部に代えて(A−2)1.5部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粒子(B−7)を含有してなる、バインダー(X−7)を得た。
実施例8<バインダー(X−8)>
ポリエステル樹脂粒子(PS−1)100部に微粒子状表面処理剤(A−2)2部を加えた後、HIVIS MIXを用いて回転数40rpmで5分混合し、さらに(PS−1)100部、(A−2)2部を加えて同条件で5分混合、最後に(PS−1)100部、(A−2)2部をさらに加え、同条件で10分混合して、熱可塑性樹脂粒子(B−8)を含有してなる、バインダー(X−8)を得た。
実施例9<バインダー(X−9)>
(1)ポリエステル樹脂(PS)の粒子(PS−3)の製造
実施例1の(1)において、目開き192μmおよび75μmの篩に代えて目開き355μmの篩で篩い分け、これを通過した樹脂粒子をさらに目開き150μmの篩で篩い分けたこと以外は実施例1と同様にして、150μmの篩の上に残った(PS)の粒子(PS−3)を得た。
(2)バインダー(X−9)の製造
(PS−3)300部に(A−2)0.3部を加えた後、「HIVIS MIX」を用いて撹拌回転数30rpmで45分混合し、熱可塑性樹脂粒子(B−9)を含有してなるバインダー(X−9)を得た。
実施例10<バインダー(X−10)>
(1)ポリエステル樹脂(PS)の粒子(PS−4)の製造
実施例1の(1)において、目開き192μmおよび75μmの篩に代えて目開き125μmの篩で篩い分け、これを通過した樹脂粒子をさらに目開き106μmの篩で篩い分けたこと以外は実施例1と同様にして、106μmの篩の上に残った(PS)の粒子(PS−4)を得た。
(2)バインダー(X−10)の製造
(PS−3)300部に(A−2)3部を加えた後、「HIVIS MIX」を用いて撹拌回転数30rpmで30分混合し、熱可塑性樹脂粒子(B−10)を含有してなるバインダー(X−10)を得た。
実施例11<バインダー(X−11)>
(PU−1)300部に微粒子状表面処理剤(A−3)[商品名「ジンクステアレートGF−200」、日本油脂(株)製、微粒子状ステアリン酸亜鉛、数平均1次粒子径30nm]0.09部を加えた後、「HIVIS MIX」を用いて撹拌回転数20rpmで30分混合し、熱可塑性樹脂粒子(B−11)を含有してなるバインダー(X−11)を得た。
実施例12<バインダー(X−12)>
(PA−1)100部に微粒子状表面処理剤(A−4)[商品名「TTO−51(A)」、石原産業(株)製、微粒子状酸化チタン、数平均1次粒子径10nm]6部を加えた後、HIVIS MIXを用いて回転数40rpmで5分混合し、さらに(PA−1)100部、(A−4)6部を加えて同条件で5分混合、最後に(PA−1)100部、(A−4)6部をさらに加え、同条件で20分混合して、熱可塑性樹脂粒子(B−12)を含有してなる、バインダー(X−12)を得た。
比較例1<バインダー(X’−1)>
実施例1の(2)において、撹拌回転数30rpmで60分混合に代えて同10分混合に代えたこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粒子(B’−1)を含有してなる、バインダー(X’−1)を得た。
比較例2<バインダー(X’−2)>
実施例1の(2)において、撹拌回転数30rpmで60分混合に代えて同300分混合に代えたこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粒子(B’−2)を含有してなる、バインダー(X’−2)を得た。
比較例3<バインダー(X’−3)>
実施例1の(2)において、(A−1)1.5部に代えて(A−2)1.5部を用い、撹拌回転数30rpmで60分混合に代えて同150分混合に代えたこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粒子(B’−3)を含有してなる、バインダー(X’−3)を得た。
比較例4<バインダー(X’−4)の製造>
実施例1の(2)において、(A−1)1.5部に代えて微粒子状表面処理剤(A−3)[商品名「アエロジルR972」、日本アエロジル(株)製、二酸化ケイ素、数平均1次粒子径16nm、以下同じ。]1.5部を用い、撹拌回転数30rpmで60分混合に代えて同30分混合に代えたこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粒子(B’−4)を含有してなる、バインダー(X’−4)を得た。
比較例5<バインダー(X’−5)>
実施例1の(2)において、(PS−1)300部に代えて(PS−2)300部を用い、(A−1)1.5部に代えて(A−1)0.75部を用い、撹拌回転数30rpmで60分混合に代えて同5分混合に代えたこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粒子(B’−5)を含有してなる、バインダー(X’−5)を得た。
比較例6<バインダー(X’−6)>
実施例1の(2)において、(PS−1)300部に代えて(PS−2)300部を用い、(A−1)1.5部に代えて(A−2)1.5部を用い、撹拌回転数30rpmで60分混合に代えて同5分混合に代えたこと以外は実施例1と同様にして、熱可性樹脂粒子(B’−6)を含有してなるバインダー(X’−6)を得た。
比較例7<バインダー(X’−7)>
実施例1の(2)において、(A−1)1.5部に代えて(A−3)3.0部を用い、撹拌回転数30rpmで60分混合を同5分混合に代えたこと以外は実施例1と同様にして、熱可塑性樹脂粒子(B’−7)を含有してなるバインダー(X’−7)を得た。
比較例8<バインダー(X’−8)>
実施例6の(2)において、撹拌回転数30rpmで20分混合に代えて同40分混合に代えたこと以外は実施例6と同様にして、熱可塑性樹脂粒子(B’−8)を含有してなるバインダー(X’−8)を得た。
比較例9<バインダー(X’−9)>
(1)ポリエステル樹脂(PS’)の粒子(PS’−1)の製造
反応容器中に、ビスフェノールAのEO2.1モル付加物975部、ビスフェノールAのPO2.1モル付加物2,457g、フマル酸1,160部、ラジカル重合禁止剤としてハイドロキノン0.46部を仕込み、窒素雰囲気下160℃で2時間加熱した後、180℃に昇温して2時間加熱し、次いで200℃に昇温して2時間反応した。その後、210℃まで昇温した後、6kPaまで減圧して反応を継続し、酸価10になったところで取り出し、ポリエステル樹脂(PS’)を得た。
(PS’)1,000部を高速ハンマーミルを用いてサンプル供給量12g/分、ハンマー回転数12,500rpmで粉砕し、該高速ハンマーミルの粉砕部出口に装着された1.0mmφ丸穴分級スクリーンを通過させて粉砕物を分級した。分級して得られた樹脂(PS’)の粉末を目開き323μmの篩で篩い分け、これを通過した(PS’)の粒子(PS’−1)を得た。
(2)バインダー(X’−9)の製造
(PS−5)300部に微粒子状表面処理剤(A−5)[商品名「S−Z」、日本油脂(株)製、微粒子状ステアリン酸亜鉛、数平均1次粒子径900nm、]0.6部を加えた後、「HIVIS MIX」を用いて撹拌回転数30rpmで10分混合し、熱可塑性樹脂粒子(B’−9)を含有してなるバインダー(X’−9)を得た。
実施例1<無機繊維不織布(NW−1)>
ガラスストランド(平均ストランド番手T=30Tex、ガラス繊維の密度d=2.5g/cm3、ガラスストランド直径K=123.6μm)を東技研(株)製ガラスチョッパーを用いて約5cmの長さに切断し、ガラスチョップドストランド(以下同じ。)を得た。
幅21cm×奥行き27cmの離型処理したステンレス金網上に該ガラスチョップドストランド24.9gを方向性無秩序に均一厚みになるように散布して積層体を得た。次に水道水を該積層体の裏側面から裏面全体が均一に濡れるように霧吹きで噴霧して、7.47gの水道水(ガラスチョップドストランドの重量の30%相当量)を付着させた。
次に、バインダー散布量が108g/min/1m幅になるように調整したバインダー散布機の下に該積層体を設置し、バインダー(X−1)が散布されているところを10m/min(バインダー散布量はガラスチョップドストランドの重量の2.4%相当量)で該積層体を通過させた後、ステンレス金網とともに該積層体を高さ1cmのところまで持ち上げて落下させることで振動を与えて、バインダー付着積層体を得た。
さらに、水道水を該積層体の表側面から表面全体が均一に濡れるように霧吹きで噴霧して、12.45gの水道水(散布したガラスチョップドストランドの重量の50%相当量)付着させた。
次に27g/min/1m幅になるように調整したバインダー散布機の下に該積層体を設置し、バインダー(X−1)が散布されているところを10m/min(バインダー散布量はガラスチョップドストランドの重量の0.6%相当量)で該積層体を通過させた。
その後、220℃に温度調整した鉄板の間(鉄板間6cm)に該積層体を静置して3分間加熱し、取り出し後すぐに30℃に温度調整したロールプレス機[機種名「ESTロールプレス DIP−400E」、えびの興産(株)製、以下同じ。]にてプレス(プレス直前積層体表面温度130℃、プレス直後積層体表面温度100℃、プレス圧力0.8MPa)して目付量450g/m2の無機(ガラス)繊維不織布(NW−1)を得た。
実施例2〜7、9、10<無機繊維不織布NW−2〜7、9、10>
無機繊維不織布の実施例1において、バインダー(X−1)に代えてバインダー(X−2〜7、9、10)を用いたこと以外は同様にして、無機(ガラス)繊維不織布(NW−2〜7、9、10)を得た。
実施例8<無機繊維不織布NW−8>
実施例1において、バインダー(X−1)に代えてバインダー(X−8)を用い、ガラス繊維に代えて炭素繊維[商品名「パイロフィルTR30S3L」、PAN系、目付200mg/m(繊維1mあたりの重量)、三菱レイヨン(株)製]を用いたこと以外は実施例1と同様にして、無機(炭素)繊維不織布(NW−8)を得た。
実施例11<無機繊維不織布NW−11>
幅21cm×奥行き27cmの離型処理したステンレス金網上にガラスチョップドストランド5.7gを方向性無秩序に均一厚みになるように散布して積層体を得た。次に、水道水を該積層体の裏側面から裏面全体が均一に濡れるように霧吹きで噴霧して、17.1gの水道水(ガラスチョップドストランドの重量の300%相当量)を付着させた。次に、バインダー散布量が108g/min/1m幅になるように調整したバインダー散布機の下に該積層体を設置し、バインダー(X−11)が散布されているところを8m/min(バインダー散布量はガラスチョップドストランドの重量の13.4%相当量)で該積層体を通過させてバインダー付着積層体を得た。
その後、実施例1と同様にして、目付量110g/m2の無機(ガラス)繊維不織布(NW−11)を得た。
実施例12<無機繊維不織布NW−12>
幅21cm×奥行き27cmの離型処理したステンレス金網上に該ガラスチョップドストランド3.1gを方向性無秩序に均一厚みになるように散布して積層体を得た。次に、水道水を該積層体の裏側面から裏面全体が均一に濡れるように霧吹きで噴霧して、12.4gの水道水(ガラスチョップドストランドの重量の400%相当量)を付着させた。
次に、バインダー散布量が108g/min/1m幅になるように調整したバインダー散布機の下に該積層体を設置し、バインダー(X−12)が散布されているところを13m/min(バインダー散布量はガラスチョップドストランドの重量の15.2%相当量)で該積層体を通過させてバインダー付着積層体を得た。
その後、実施例1と同様にして、目付量60g/m2の無機(ガラス)繊維不織布(NW−12)を得た。
実施例13<無機繊維不織布NW−13>
幅21cm×奥行き27cmの離型処理したステンレス金網上に該ガラスチョップドストランド16.6gを方向性無秩序に均一厚みになるように散布して積層体を得た。次に、水道水を該積層体の裏側面から裏面全体が均一に濡れるように霧吹きで噴霧して、5.0gの水道水(ガラスチョップドストランドの重量の30%相当量)を付着させた。
次に、バインダー散布量が108g/min/1m幅になるように調整したバインダー散布機の下に該積層体を設置し、バインダー(X−4)が散布されているところを15m/min(バインダー散布量はガラスチョップドストランドの重量の2.5%相当量)で該積層体を通過させた後、ステンレス金網とともに該積層体を高さ0.5cmのところまで持ち上げて落下させることで振動を与えて、バインダー付着積層体を得た。
さらに、水道水を該積層体の表側面から表面全体が均一に濡れるように霧吹きで噴霧して、8.3gの水道水(ガラスチョップドストランドの重量の50%相当量)を付着させ、28g/min/1m幅になるように調整したバインダー散布機の下に該積層体を設置し、バインダー(X−4)が散布されているところを15m/min(バインダー散布量はガラスチョップドストランドの重量の0.6%相当量)で該積層体を通過させた。
その後、実施例1と同様にして目付量300g/m2の無機(ガラス)繊維不織布(NW−13)を得た。
実施例14<無機繊維不織布NW−14>
幅21cm×奥行き27cmの離型処理したステンレス金網上に該ガラスチョップドストランド33.2gを方向性無秩序に均一厚みになるように散布して積層体を得た。次に、水道水を該積層体の裏側面から裏面全体が均一に濡れるように霧吹きで噴霧して、9.96gの水道水(ガラスチョップドストランドの重量の30%相当量)を付着させた。
次に、バインダー散布量が100g/min/1m幅になるように調整したバインダー散布機の下に該積層体を設置し、バインダー(X−4)が散布されているところを7m/min(バインダー散布量はガラスチョップドストランドの重量の2.4%相当量)で該積層体を通過させた後、ステンレス金網とともに該積層体を高さ1.5cmのところまで持ち上げて落下させることで振動を与えて、バインダー付着積層体を得た。
さらに、水道水を該積層体の表側面から表面全体が均一に濡れるように霧吹きで噴霧して、13.28gの水道水(散布したガラスチョップドストランドの重量の40%相当量)を付着させ、27g/min/1m幅になるように調整したバインダー散布機の下に該積層体を設置し、バインダー(X−4)が散布されているところを7m/min(バインダー散布量はガラスチョップドストランドの重量の0.7%相当量)で該積層体を通過させた。
その後、実施例1と同様にして目付量600g/m2の無機(ガラス)繊維不織布(NW−14)を得た。
実施例15<無機繊維不織布NW−15>
幅21cm×奥行き27cmの離型処理したステンレス金網上に該ガラスチョップドストランド49.8gを方向性無秩序に均一厚みになるように散布して積層体を得た。次に、水道水を該積層体の裏側面から裏面全体が均一に濡れるように霧吹きで噴霧して、14.94gの水道水(ガラスチョップドストランドの重量の30%相当量)を付着させた。
次に、バインダー散布量が108g/min/1m幅になるように調整したバインダー散布機の下に該積層体を設置し、バインダー(X−4が散布されているところを5m/min(バインダー散布量はガラスチョップドストランドの重量の2.5%相当量)で該積層体を通過させた後、ステンレス金網とともに該積層体を高さ2cmのところまで持ち上げて落下させることで振動を与えて、バインダー付着積層体を得た。
さらに、水道水を該積層体の表側面から表面全体が均一に濡れるように霧吹きで噴霧して、17.43gの水道水(散布したガラスチョップドストランドの重量の35%相当量)付着させ、28g/min/1m幅になるように調整したバインダー散布機の下に該積層体を設置し、バインダー(X−4)が散布されているところを5m/min(バインダー散布量はガラスチョップドストランドの重量の0.6%相当量)で該積層体を通過させた。
その後、実施例1と同様にして不織布の目付量900g/m2の無機(ガラス)繊維不織布(NW−15)を得た。
比較例1〜9<無機繊維不織布NW’−1〜9>
実施例1において、バインダー(X−1)に代えてバインダー(X’−1〜9)を用いたこと以外は同様にして、無機(ガラス)繊維不織布(NW’−1〜9)を得た。
比較例10<無機繊維不織布NW’−10>
実施例13において、バインダー(X−4)に代えて(X’−5)を用いたこと以外は同様にして無機(ガラス)繊維不織布(NW’−10)を得た。
比較例11<無機繊維不織布NW’−11>
実施例14において、バインダー(X−4)に代えて(X’−5)を用いたこと以外は同様にして無機(ガラス)繊維不織布(NW’−11)を得た。
上記得られた樹脂、樹脂粒子、バインダー、無機繊維不織布について、下記項目等で評価を行った。結果を表1、2に示す。
<評価項目>
(1)樹脂の軟化点(℃)
JIS K2207「石油アスファルト」の「6.4軟化点試験方法(環球法)」に準拠して、自動軟化点試験器[機器名「ASP−MG4」、メイテック(株)製]により測定した。
(2)樹脂のガラス転移温度(Tg)(℃)
JIS K7121「プラスチックの転移温度測定法」に準拠して、[機器名「RDC−220」、セイコー電子工業(株)製]により測定した。
(3)熱可塑性樹脂粒子(B)の体積平均粒子径(Dv) (μm)
粒度分布測定器[商品名「マイクロトラックMT3000II 粒度分析計」、日機装(株)製。以下同じ。]を用いたレーザー回折散乱法により測定した。
(4)体積基準の粒子径分布の変動係数(Cv)(%)
変動係数(Cv)は、下記の式より算出される値であり、標準偏差、および体積平均粒子径(Dv)は粒度分布測定器を用いたレーザー回折散乱法により測定した。

v=[標準偏差/Dv]×100
(5)熱可塑性樹脂粒子(B)の比表面積(m2/g)
比表面積は表面測定装置[商品名「カンタソーブ」、ユアサアイオニクス(株)製]を用いたBET法により測定した。
(6)熱可塑性樹脂粒子(B)の雪崩角(°)
雪崩角は粉体流動性測定装置[機種名「パウダーアナライザーREVOLUTION」、Mercury Scientific Inc.製]を用いて以下の条件で測定した。
円筒容器の回転数:1rpm
温度、湿度 :23℃、50%RH
(7)散布量の変動係数(%)(均一散布性評価)
以下の手順で求めた。
(i)重量[W0i:i(i=1〜12の整数)番目のカップ容器重量。0.1mg単位まで測定]のカップ容器(幅6cm×奥行き9cm×深さ4cm)を幅方向に3個、奥行き方向に各4個の計12個をトレー(幅25cm×奥行き37cm)の上にカップ容器同士を隣接して並べた。
(ii)エンボス加工されたローラー(綾目#22、ローラー径60mm)付きの散布機[商品名「ニッカK−III」、ニッカ(株)製]のバインダー落下部から15cm下のところに該トレーをセットし、まず前記幅方向に並べた1列目の3個のカップ容器で、カーテン状に散布されるバインダーを5秒間受けた。その後奥行き方向にトレーの移動を繰り返し、同様にして2〜4列目の各3個のカップ容器でバインダーを受けた。なお、バインダー散布量は、<極低散布量>を80g/1min/1m幅、<低散布量>を108g/1min/1m幅、および<高散布量>を130g/1min/1m幅)とした。
(iii)バインダーが入った各カップの重量(W1i)を0.1mg単位まで測定した。(iv)カップ12個の各バインダー量(W1i−W0i)を計算して、その平均値(W1A)、標準偏差(σi)を算出した。
(v)下記式から散布量の変動係数(%)(第1回目)を算出した。

第1回目バインダー散布量の変動係数(%)=100×σ1/(W1A

(vi)(i)〜(v)の測定を合計5回行い、各回のバインダー散布量の変動係数(%)を算出し、得られた5個の値の平均値を算出して、これをバインダー散布量の変動係数(%)とした。下記の基準で均一散布性を評価した。
<評価基準>
○:15%以下
△:15%超20%未満
×:20%以上
(8)バインダー結合量(%)
以下の手順で求めた。
(i)無機繊維不織布の一部から試験片(縦50mm×横100mm)を切り出し、これを細断して磁製るつぼに入れ、105℃で30分間乾燥させた後、デシケータ内で室温まで放冷し、0.1mg単位まで重量(m1)を測定した。試験片入り磁製るつぼを625℃の電気炉内に入れ、扉を開いたまま5分間燃焼させた後、扉を閉めさらに10分間燃焼させた。その後、試験片入り磁製るつぼを取り出してデシケータ内で室温まで放冷し、0.1mg単位まで重量(m2)を測定した。
(ii)試験片を入れていない空の上記磁製るつぼを、105℃で30分間乾燥させた後、デシケータ内で室温まで放冷し、0.1mg単位まで重量(m0)を測定した。
(iii)下記式から該試験片のバインダー結合量(%)を算出した。

バインダー結合量(%)=
100×[(m1)−(m2)]/[(m1)−(m0)]

(iv)無機繊維不織布の、上記(i)とは異なる3箇所の部分から切り出した同様の試験片について(i)〜(iii)を同様に行って、各試験片のバインダー結合量(%)を算出した。該得られた4個の値の平均値を算出して、これを無機繊維不織布のバインダー結合量(%)とした。
(9)無機繊維不織布の引張強度(kgf)
前記の散布機の下を一定速度で移動する無機繊維積層体上にバインダーを散布する等、前記操作を経て得られる無機繊維不織布から、該積層体の移動方向をタテ、散布機の幅広方向をヨコとして、タテ150mm×ヨコ50mmの試験片(タテ長試験片)、およびタテ50mm×ヨコ150mmの試験片(ヨコ長試験片)を各10枚ずつ切り出し、これらについてJIS R3420「ガラス繊維一般試験方法」の「7.4引張強さ」に準拠して引張強度を測定した。各方向での試験片10枚の平均値を求め該平均値を下記の基準で評価した。具体的には次の手順で測定した。
(i)試験片を25℃、湿度65%(JIS K7100で規定される標準雰囲気)下で1時間静置する。
(ii)試験片の長さ方向の両端部を上下の各チャックでつかみ、チャック間の距離を100mmに調整する。
(iii)オートグラフAGS−500D[(株)島津製作所製]を用い、引張速度100mm/minで引張試験を行い、試験片が破断するまでに要した力を引張強度とする。

<評価基準>
○:6kgf以上
△:3kgf以上6kgf未満
×:3kgf未満
(10)無機繊維不織布の引張強度の均一性(引張強度の変動係数)(%)
上記(9)の評価における2方向から切り出した試験片合計20枚の引張強度の平均値、標準偏差を求め、引張強度の変動係数を下記式より算出する。下記の基準で引張強度の均一性を評価した。

引張強度の変動係数(%)=100×標準偏差/引張強度の平均値

<評価基準>
○:50%以下
△:50%超60%未満
×:60%以上
(11)無機繊維不織布の曲げ剛性(gf・cm2/cm)(柔軟性評価)
柔軟性は曲げ剛性で評価される。曲げ剛性は、純曲げ試験機「KES−FB2」[カトーテック(株)製]を用いて測定され、布1cm幅当りの曲げ剛性(柔軟性)を表す。
無機繊維不織布からタテ50mm×ヨコ150mmの試験片を20枚ずつ切り出し、試験片を25℃、湿度65%の標準雰囲気(JIS K7100で規定)下で1時間静置した。純曲げ試験機「KES−FB2」を用い、チャック間の距離が10mmに調整されたチャックで試験片の長寸方向の中心部をつかみ、曲率K=±0.5cm-1で純曲げ試験を行い曲げ剛性を測定した。試験片20枚の平均値を求め該平均値を下記の基準で評価した。 曲げ剛性は無機繊維不織布の目付量が多くなるほど大きな値となるため、以下に記載する目付量の範囲ごとに各評価基準に従って評価した。
<評価基準>
無機繊維不織布の目付量40g/m2以上150g/m2未満
○:2.0gf・cm2/cm以上7.0gf・cm2/cm以下
△:1.0gf・cm2/cm以上2.0gf・cm2/cm未満および
7.0gf・cm2/cm超9.0gf・cm2/cm以下
×:1.0gf・cm2/cm未満および9.0gf・cm2/cm超
無機繊維不織布の目付量150g/m2以上350g/m2未満
○:3.5gf・cm2/cm以上8.5gf・cm2/cm以下
△:2.0gf・cm2/cm以上3.5gf・cm2/cm未満および
8.5gf・cm2/cm超11.0gf・cm2/cm以下
×:2.0gf・cm2/cm未満および11.0gf・cm2/cm超
無機繊維不織布の目付量350g/m2以上550g/m2未満
○:5.0gf・cm2/cm以上10.0gf・cm2/cm以下
△:2.5gf・cm2/cm以上5.0gf・cm2/cm未満および
10.0gf・cm2/cm超11.5gf・cm2/cm以下
×:2.5gf・cm2/cm未満および11.5gf・cm2/cm超
無機繊維不織布の目付量550g/m2以上750g/m2未満
○:6.5gf・cm2/cm以上11.5gf・cm2/cm以下
△:3.0gf・cm2/cm以上6.5gf・cm2/cm未満および
11.5gf・cm2/cm超13.0gf・cm2/cm以下
×:3.0gf・cm2/cm未満および13.0gf・cm2/cm超
無機繊維不織布の目付量750g/m2以上950g/m2以下
○:8.0gf・cm2/cm以上13.0gf・cm2/cm以下
△:4.0gf・cm2/cm以上8.0gf・cm2/cm未満および
13.0gf・cm2/cm超15.0gf・cm2/cm以下
×:4.0gf・cm2/cm未満および15.0gf・cm2/cm超
Figure 2012214965
Figure 2012214965
表1、2の結果から、本発明の無機繊維不織布用バインダーは、比較のものに比べ、低散布量においても均一散布性に優れ、得られる無機繊維不織布は機械的強度および目付量に応じた優れた柔軟性を有することがわかる。
本発明のバインダーは低散布量でも均一散布性に優れ、得られる無機繊維不織布は均一で優れた機械強度を有し、しかも柔軟性にも優れ作業性の向上にも大きく寄与し得ることから、無機繊維強化プラスチック成形品用の強化材等として好適に用いられ、該成形品は、自動車用部材(成形天井材等)、小型船舶(カヌー、ボート、ヨット、モーターボート等)の船体、住宅用部材(バスタブ、浄化槽等)、風車のブレード等、幅広い分野に適用することができ、極めて有用である。

Claims (10)

  1. 微粒子状表面処理剤(A)で被覆されてなる熱可塑性樹脂粒子(B)を含有してなり、(B)の比表面積が0.3〜4m2/g、かつ雪崩角が35.0〜37.5°であることを特徴とする無機繊維不織布用バインダー。
  2. (A)が、シリカ、高級脂肪酸金属塩および金属酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のバインダー。
  3. 熱可塑性樹脂粒子が、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびポリアミド樹脂粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2記載のバインダー。
  4. 熱可塑性樹脂粒子の重量に基づく(A)の割合が0.01〜8.0%である請求項1〜3のいずれか記載のバインダー。
  5. レーザー回折散乱法による体積平均粒子径Dvが100〜350μm、体積基準の粒子径分布の変動係数Cvが10〜60%である請求項1〜4のいずれか記載のバインダー。
  6. 微粒子状表面処理剤(A)で被覆されてなる熱可塑性樹脂粒子(B)を含有してなるバインダーの製造方法において、熱可塑性樹脂粒子に(A)を添加し、せん断をかけながら混合して(B)の比表面積を0.3〜4m2/g、かつ雪崩角を35.0〜37.5°とすることを特徴とする無機繊維不織布用バインダーの製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか記載のバインダーで無機繊維積層体を結合させてなる無機繊維不織布。
  8. 請求項7記載の不織布を強化材として成形してなる無機繊維強化プラスチック成形品。
  9. 無機繊維強化プラスチック成形品が、自動車用成形天井材、小型船舶船体、バスタブ、浄化槽用または風車のブレード用である請求項8記載の成形品。
  10. 無機繊維散布、水散布およびバインダー散布からなる工程を経て形成されるバインダー付着積層体を加熱プレス成形または加熱後冷却プレス成形して無機繊維不織布を製造する方法において、請求項1〜5のいずれか記載のバインダーを用いることを特徴とする無機繊維不織布の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN110799687A (zh) * 2017-06-29 2020-02-14 3M创新有限公司 非织造制品及其制备方法

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