JP5044592B2 - ガラスチョップドストランドマット用バインダー - Google Patents

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Description

本発明は、ガラスチョップドストランドマット用粉末状バインダーに関する。より詳細には、従来よりバインダー量を低減させてもマット強度(引張強さ等の機械的強度、以下同じ。)が維持でき、かつこれにより柔軟なマットを作成することができるガラスチョップドストランドマット用粉末状バインダーに関する。
ガラスチョップドストランドマットは、通常、以下の方法で得られる。
(1)数10〜数100本のガラス単繊維(繊維径約10μm前後)をサイジング剤で集束させガラスストランドを得る。
(2)該ガラスストランドを所定の長さに切断して束状のガラスチョップドストランドを得る。
(3)該ガラスチョップドストランドを搬送用ネット上に方向を無秩序に分散させて積層体とする。
(4)該積層体にバインダー粉末を散布し、オーブンチャンバーで加熱することによりガラスチョップドストランド間をバインダーで結合させてガラスチョップドストランドマットを得る。
このバインダーについては、従来から機械粉砕により粉末化された不飽和ポリエステル樹脂が多く使用されてきた(例えば、特許文献1)。
特開2003−48255号公報
しかしながら、従来のバインダーは粒子径分布が広いため、粒子のすべてがガラスチョップドストランドの積層体への付着に適しているわけではない。すなわち、粒子径のとくに小さいものは、該積層体上に散布しても、積層体の専ら表面層のみに付着して内部および裏面層にまで達することは少なく、その結果、ガラス繊維の全体的な結着が不十分かつ硬いマットとなり、マットの品質が損なわれる;また、一方、粒子径のとくに大きいものは、該積層体に付着することなく積層体の隙間を落下する場合が多く、その結果、本来のマットの強度等の性能面から要求される必要量を超えるバインダーを供給しなければならないという欠点もあった。
本発明の目的は、従来のバインダーに比べその供給量が低減でき、柔軟でかつ必要な均一強度を有するガラスチョップドストランドマットを与えるバインダーを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、レーザー回折散乱法による体積平均粒子径DVが100〜250μmであり、300μm以上の体積基準粒子径を有する粒子の割合が20重量%以下であり、かつ、体積基準の粒子径分布の変動係数CVが0.1〜30%であるポリエステル樹脂粉末(A)を含有してなることを特徴とするガラスチョップドストランドマット用バインダーである。
本発明のガラスチョップドストランドマット用バインダーは、下記の効果を奏する。
(1)ガラスチョップドストランドマットに均一な強度を付与できる。
(2)従来より少ない使用量でガラスチョップドストランドに均一な強度を付与できる。
(3)柔軟性に優れるガラスチョップドストランドマットを与える。
[ポリエステル樹脂粉末(A)]
本発明のポリエステル樹脂粉末(A)の体積平均粒子径DVは100〜250μm、好ましくは110〜230μm、さらに好ましくは120〜220μmである。DVが100μm未満ではガラスチョップドストランド積層体へのバインダーの均一付着生が悪く、ガラスチョップドストランドマット強度にバラツキが生じて品質が損なわれることとなり、250μmを超えるとバインダーの重い自重で、積層体に付着せずに、積層体の隙間から落下するバインダー量が増えること、および積層体の単位重量当たりのバインダー粒子の個数が少なくなり、積層体とバインダーとの接着点が少なくなることから、該マット作成時のバインダー必要量が増大する。
(A)中の、300μm以上の体積基準粒子径を有する粒子の割合は、20重量%以下、好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。該割合が20重量%を超えると、バインダーの重い自重で、積層体に付着せずに、積層体の隙間から落下するバインダーが増えること、および積層体の単位重量当たりのバインダー粒子の個数が少なくなり、積層体とバインダーとの接着点が少なくなることから、ガラスチョップドストランドマットの強度が低下する。
(A)中の、75μm以下の体積基準粒子径を有する粒子の割合は、ガラスチョップドストランド積層体へのバインダーの均一付着性、粉塵抑制および得られるマットの柔軟性の観点から好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
(A)の数平均粒子径(個数平均粒子径という場合もある)DNは、ガラスチョップドストランドマット強度の均一性およびマット作成時のバインダー量低減の観点から好ましくは65〜250μm、さらに好ましくは90〜220μmである。
(A)の、体積平均粒子径DVと数平均粒子径DNの比[DV/DN]は、ガラスチョップドストランドマット作成時のバインダー量の低減および該マット強度の均一性の観点から好ましくは1〜1.5、さらに好ましくは1〜1.3である。
また、(A)の、体積基準の粒子径分布の変動係数CVは0.1〜30%、好ましくは1〜28%、さらに好ましくは10〜25%である。CVが0.1%未満ではバインダーの生産性が悪くなり、30%を超えると積層体への付着効率が低下し、得られるマットの強度の均一性が悪くなる。ここにおいて、変動係数CVは後述のとおり求められるもので、値が小さいほど体積基準の粒子径の分布が狭いことを示す。
ここにおいて、体積平均粒子径DV、数平均粒子径DN、体積基準粒子径、および体積基準の粒子径分布の変動係数CVはいずれもレーザー回折散乱法により求めることができ、測定装置としては、例えば粒度分布測定機[商品名「マイクロトラック9320HRA粒度分析計」、日機装(株)製]が挙げられる。
本発明におけるポリエステル樹脂粉末(A)を構成する粒子の形状は、球形、楕円球形、不定形のいずれでもよく、とくに限定されるものではないが、バインダーのハンドリング性(粉体流動性)の観点から好ましいのは球形またはそれに近い形状である。該形状の場合の数平均円形度は、(A)の粉体流動性の観点から好ましくは0.8〜1.0、さらに好ましくは0.85〜1.0、とくに好ましくは0.90〜1.0である。
ここで、円形度とは、下記式で算出される値であり、粒子を顕微鏡で撮影し、その写真を画像処理することで測定、算出できる[(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8500」、およびその付属の同社製の形状解析ソフト「VK−H1A7」による画像解析、(株)セイシン企業製の粒度・形状分布測定器「PITA−1」による解析等]。また、数平均円形度とは、後述する方法で求められる値である。

円形度=4πF/L2 (但し、F:粒子の投影面積、L:粒子の投影周囲長)

本発明においては、全微粒子個々の円形度が前記の範囲にある必要はなく、円形度の数平均値(数平均円形度)が上記範囲であればよい。
なお、円形度については、「コンクリートの劣化・硬化課程の非接触全視野ひずみ計測」委員会研究成果報告書、第三章 建設分野における光学的全視野計測を用いた実験・研究、3.6デジタル技術を用いた骨材の形状評価、に解説されている。
本発明おけるポリエステル樹脂粉末(A)のポリエステル樹脂としては、ポリカルボン酸類(a1)と低分子ポリオール(a2)との重縮合物、およびカルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a3)の自己重縮合物、およびラクトン(a4)の開環重縮合物等が挙げられる。
ポリカルボン酸類(a1)の具体例としては、脂肪族ポリカルボン酸[官能基数2〜6、炭素数(以下Cと略記)3〜30、例えばコハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロフタル酸]、芳香族ポリカルボン酸[官能基数2〜6、C8〜30、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラブロムフタル酸、テトラクロルフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸]、脂環含有ポリカルボン酸[官能基数2〜6、C6〜50、例えば1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−および1,4−ジカルボキシメチルシクロヘキサン、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸およびダイマー酸];これらのポリカルボン酸のエステル形成性誘導体[酸無水物(例えば無水マレイン酸、無水フタル酸)、低級アルキル(C1〜4)エステル(ジメチルエステル、ジエチルエステル等)(例えばテレフタル酸ジメチル)、酸ハライド(酸クロライド等)等];およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち、ポリエステル樹脂の着色防止の観点から好ましいのは、脂肪族ポリカルボン酸である。
上記低分子ポリオール(a2)としては、水酸基1個当たりの数平均分子量[以下Mnと略記。測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法による。]が300未満(好ましくは分子量31以上かつMn250以下)の2価〜10価またはそれ以上(好ましくは2〜3価)のポリオールが使用できる。
(a2)としては、2価アルコール(a21)、3価〜10価またはそれ以上の多価アルコール(a22)、およびこれらのアルコールまたは多価(2価〜3価またはそれ以上)フェノールのアルキレンオキサイド(以下AOと略記。C2〜10)低モル(1〜10モル)付加物;並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
AOとしては、エチレンオキサイド(以下EOと略記)、プロピレンオキサイド(以下POと略記)、1,2−、1,3−および2,3−ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン(以下THFと略記)、スチレンオキサイド、C5〜10またはそれ以上のα−オレフィンオキサイド、エピクロルヒドリン;およびこれらの2種以上の併用(ブロックおよび/またはランダム付加)が挙げられる。これらのAOのうち、マット強度、およびマットのガラス繊維強化プラスチック(FRP)への適用におけるスチレンモノマー等のマットへの浸透性の観点から好ましいのは、EO、PO、およびこれらの併用である。
2価アルコール(a21)の具体例としては脂肪族アルコール[直鎖アルコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール(以下それぞれEG、DEG、1,3−PG、1,4−BD、1,5−PD、1,6−HDと略記)等];分岐鎖を有するアルコール[1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール(以下それぞれ1,2−PG、NPGと略記)、3−メチル1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−および2,3−ブタンジオール等];および環を有するアルコール〔脂環含有アルコール[1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン等]、芳香脂肪族アルコール(m−およびp−キシリレングリコール等)等〕が挙げられる。
3価〜10価またはそれ以上の多価アルコール(a22)の具体例としてはアルカンポリオール[C3〜10、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール(以下それぞれGR、TMP、PE、SOと略記)]、該アルカンポリオールの分子間もしくは分子内脱水物[ジPE、ポリGR(重合度2〜8)、ソルビタン等]、糖類およびその誘導体(配糖体)(蔗糖、メチルグルコシド等)が挙げられる。上記(a21)、(a22)のうちマット強度の観点から好ましいのは脂肪族アルコール、さらに好ましいのは1,4−BDおよびNPGである。
前記(a23)の具体例としては、上記(a21)、(a22)のAO低モル付加物、および環を有する多価(2価〜3価またはそれ以上)フェノールのAO低モル付加物が挙げられる。
該多価フェノールには、C6〜18の2価フェノール、例えば単環2価フェノール(ハイドロキノン、カテコール、レゾルシノール、ウルシオール等)、ビスフェノール(ビスフェノールA、−F、−C、−B、−ADおよび−S、ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニル−2,2−ブタン等)、および縮合多環2価フェノール[ジヒドロキシナフタレン(例えば1,5−ジヒドロキシナフタレン)、ビナフトール等];並びに3価〜8価またはそれ以上の多価フェノール、例えば単環多価フェノール(ピロガロール、フロログルシノール、および1価もしくは2価フェノール(フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール等)のアルデヒドもしくはケトン(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド、グリオキザール、アセトン)低縮合物(例えばフェノールもしくはクレゾールノボラック樹脂、レゾールの中間体、フェノールとグリオキザールもしくはグルタールアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノール、およびレゾルシンとアセトンの縮合反応によって得られるポリフェノール)が含まれる。
前記カルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a3)の具体例としては、C2〜10、例えば乳酸、グリコール酸、β−ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシ吉草酸;およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ラクトンには、C4〜15(好ましくはC6〜12)のもの、例えばε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトンが挙げられる。
上記のポリエステル樹脂のうち迅速な重縮合反応の観点およびマットへの前記スチレン等の浸透性の観点から好ましいのはポリカルボン酸(a1)と低分子ポリオール(a2)との重縮合物、さらに好ましいのはポリカルボン酸と環を有する多価水酸基含有化合物のAO付加物との重縮合物、とくに好ましいのは脂肪族ポリカルボン酸と環を有する多価フェノールもしくは芳香脂肪族アルコールのAO低モル付加物との重縮合物である。
上記の重縮合時の反応温度は、通常100〜300℃、好ましくは130〜220℃である。該重縮合反応は通常常圧または減圧(例えば133Pa以下)で行われる。また、該反応はポリエステル樹脂の着色防止の観点から窒素等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが望ましい。
該重縮合反応時の(a1)と(a2)の反応当量比(カルボキシル基/水酸基の当量比)は、迅速な重縮合反応および得られるポリエステル樹脂の物性の安定性の観点から好ましくは1/0.7〜1/1.1、さらに好ましくは0.9/1〜1.2/1である。該製造後の該ポリエステル樹脂の酸価は、耐水性の観点から好ましくは20以下、さらに好ましくは0〜15である。
該重縮合反応は、無触媒でも、エステル化触媒を使用してもいずれでもよい。
エステル化触媒としては、プロトン酸(リン酸等)、金属(アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、2B、4A、4Bおよび5B族金属等)の、カルボン酸(C2〜4)塩、炭酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酸化物、塩化物、水酸化物、アルコキシド等が挙げられる。
これらのうち反応性の観点から好ましいのは2B、4A、4Bおよび5B族金属の、カルボン酸(C2〜4)塩、酸化物、アルコキシド、生成物の低着色性の観点からさらに好ましいのは三酸化アンチモン、モノブチル錫オキシド、テトラブチルチタネート、テトラブトキシチタネート、テトラブチルジルコネート、酢酸ジルコニル、酢酸亜鉛である。
エステル化触媒の使用量は、所望の分子量が得られる量であれば特に制限されないが、ポリカルボン酸(a1)と低分子ポリオール(a2)の合計重量に基づいて、反応性および低着色性の観点から好ましくは0.005〜3%、さらに好ましくは0.01〜1%である。
また、該反応を促進するため、有機溶剤を加えて還流させることもできる。反応終了後は有機溶剤を除去する。なお、有機溶剤としては、水酸基のように活性水素を有しないものであれば特に制限はなく、例えば炭化水素(トルエン、キシレン等)、ケトン(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル(酢酸エチル、酢酸ブチル等)が挙げられる。
また、前記のカルボキシル基と水酸基を同一分子内に有する化合物(a3)の自己縮合反応、およびラクトン(a4)の開環重縮合反応は、上記ポリカルボン酸(a1)と低分子ポリオール(a2)との重縮合反応における反応条件に準じて実施することができる。
本発明におけるポリエステル樹脂粉末(A)を構成するポリエステル樹脂の重量平均分子量(以下Mwと略記。測定はGPC法による。)とMnは、ガラスチョップドストランドマットの強度および柔軟性の観点から、Mwは好ましくは5,000〜50,000、さらに好ましくは10,000〜45,000、Mnは好ましくは400〜4,500、さらに好ましくは800〜4,000である。
該ポリエステル樹脂の環球法(JIS K2207、「石油アスファルト」の「6.4軟化点試験方法」)による軟化点は、ガラスチョップドストランドマットの粘着性の発現防止と後加工の作業性の観点、およびバインダーによるガラスチョップドストランド間の結合性の観点から好ましくは80〜150℃、さらに好ましくは90〜140℃である。
該ポリエステル樹脂の示差熱分析によるガラス転移温度(以下Tgと略記。測定はJIS K7121、「プラスチックの転移温度測定法」に準拠。)は、バインダー貯蔵時のブロッキング防止およびガラスチョップドストランドマットの後加工の作業性の観点から好ましくは40〜60℃、さらに好ましくは45〜55℃である。
本発明のポリエステル樹脂粉末(A)は、通常次のようにして製造することができる。
まず、冷却管、撹拌棒、温度計および窒素導入管を備えた反応容器中に、前記の、アルコール成分、酸成分および触媒(ジブチルチンオキサイド等)を仕込み、窒素雰囲気下で加熱し通常150〜170℃で4〜6時間反応させ、その後200℃まで昇温し、3〜4kPaの減圧下でさらに通常6〜8時間、酸価を確認しながら反応させ、酸価(単位:mgKOH/g)が20以下となった後、180℃まで冷却して取り出すことでポリエステル樹脂を得る。
上記ポリエステル樹脂からさらにポリエステル樹脂粉末(A)を製造する方法には、下記の(1)〜(3)の製造方法が含まれる。これらのうち、工業上の観点から好ましいのは(1)および(2)、生産性の観点からさらに好ましいのは(2)の製造方法である。
(1)粉砕法
上記ポリエステル樹脂を、例えばサンプルミル[型番「SK−M10」、協立理工(株)製]を用いて回転数約10,000rpmで3〜5分間粉砕して粒子状とした後、目開きの異なる篩を組み合わせる等で篩い分けることにより、ポリエステル樹脂粉末(A)を得る方法。
(2)分散法
上記ポリエステル樹脂の有機溶剤[エステル(酢酸エチル、酢酸ブチル等)、ケトン(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン等)等]溶液を、分散機を用いて、分散剤を含有する水媒体中に分散させて、該ポリエステル樹脂の分散体を形成させ、該分散体から樹脂粒子を分離乾燥してポリエステル樹脂粉末(A)を得る方法。
分散剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性および両性の界面活性剤、高分子型分散剤、およびこれらの併用が挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、疎水基としてC8〜24の炭化水素基を有するもの、例えばエーテルカルボン酸(塩)[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸Na等]、(エーテル)硫酸エステル(塩)[ラウリル硫酸Na、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸Na等]、スルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸Na等]、スルホコハク酸塩、(エーテル)リン酸エステル(塩)[ラウリルリン酸Na等)、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸Na等]、脂肪酸塩(ラウリン酸Na等)、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンNa等]が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、脂肪族アルコール(C8〜24)AO(C2〜8)付加物(重合度=1〜100)、多価(2価〜10価またはそれ以上)アルコール脂肪酸(C8〜24)エステル(モノステアリン酸グリセリン等)、脂肪酸(C8〜24)アルカノールアミド(1:1型ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド等)、(ポリ)オキシアルキレン(C2〜8)(重合度=1〜100)アルキル(C1〜22)フェニルエーテル、(ポリ)オキシアルキレン(C2〜8)(重合度=1〜100)アルキル(C8〜24)アミン、アルキル(C8〜24)ジアルキル(C1〜6)アミンオキシド等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム型[塩化ステアリルトリメチルアンモニウム等]、アミン塩型[ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド乳酸塩等]等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、ベタイン型[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等]、アミノ酸型[β−ラウリルアミノプロピオン酸Na等]等が挙げられる。
高分子型分散剤としては、ポリビニルアルコール、デンプンおよびその誘導体、セルロース誘導体(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)、カルボキシル基含有(共)重合体(ポリアクリル酸ソーダ等)、並びに特開平07−133423号公報および特開平08−120041号公報に記載のウレタン結合またはエステル結合を有する高分子型分散剤等[例えば、ポリカプロラクトンポリオールとポリエーテルジオールをポリイソシアネートで連結させたもの等]が挙げられる。
これらの高分子型分散剤のMwは通常3,000〜1,000,000、好ましくは5,000〜100,000である。
これらの分散剤のうちで分散後の二次凝集防止の観点から好ましいのは、ノニオン性界面活性剤、高分子型分散剤、さらに好ましいのは上記公報に記載のウレタン結合またはエステル結合を有する高分子型分散剤である。
分散剤の使用量は、該ポリエステル樹脂の重量に基づいて、該樹脂の分散性および造粒性の観点から好ましくは0.1〜5%、さらに好ましくは0.2〜8%;また、水の重量に基づいて、所望の体積平均粒子径および円形度を有する樹脂粒子が得られやすいとの観点から好ましくは0.01〜7%、さらに好ましくは0.1〜5%である。
また、該ポリエステル樹脂の重量に対する、分散剤と水からなる水媒体の使用量は、ポリエステル樹脂の分散性および該樹脂の体積平均粒子径の観点から好ましくは50〜1,000%、さらに好ましくは100〜1,000%である。
分散剤を含有する水媒体中に前記ポリエステル樹脂の有機溶剤溶液を分散させるに際しては、必要により該有機溶剤溶液を低粘度化するために40〜100℃に加温してもよい。
上記(2)における分散機としては、高速剪断式、摩擦式、高圧ジェット式および超音波式分散機等が挙げられる。これらのうち所望の体積平均粒子径および円形度を有する樹脂粒子が得られやすいとの観点から、好ましいのは高速剪断式分散機である。高速剪断式分散機[例えば、商品名「ウルトラディスパーザー」、ヤマト科学(株)製]を使用する場合、上記と同様の観点から、回転数は好ましくは1,000〜30,000rpm、さらに好ましくは2,000〜10,000rpmであり、分散時間は好ましくは0.1〜5分である。
上記(2)における分散体は、フィルタープレス、スパクラフィルター、遠心分離機等を用いた公知の方法で濾過または分離され、得られた樹脂粒子を乾燥することによりポリエステル樹脂粉末(A)が得られる。樹脂粒子の乾燥は、循風乾燥機、スプレードライヤー、流動層式乾燥機等を用いた公知の方法で行うことができる。
(3)析出法
前記(2)における有機溶剤溶液に必要に応じて分散剤を添加し、貧溶媒(シクロヘキサン、石油エーテル等)を徐々に添加した後、前記分散機を用いて混合し、析出した樹脂粒子を沈殿させるか、または上記有機溶剤溶液を温度差(例えば高温の該有機溶剤溶液を徐々に冷却する)による溶解度の違いを利用して樹脂粒子を沈殿させ、該樹脂粒子を分離乾燥してポリエステル樹脂粉末(A)を得る方法。
本方法において、析出粒子が粗大な場合は分散剤を用いてもよく、分散剤としては、前記(2)と同様のものが挙げられる。樹脂粒子分散後の二次凝集防止の観点から好ましいのは、ノニオン性界面活性剤、高分子型分散剤、さらに好ましいのは前記公報に記載のウレタン結合またはエステル結合を有する高分子型分散剤である。本方法(3)で用いる分散機としては前記(2)と同様のものが挙げられる。
分散剤の使用量は、該ポリエステル樹脂の重量に基づいて、該樹脂の分散性および造粒性の観点から好ましくは0.1〜5%、さらに好ましくは0.2〜8%;また、前記溶媒の重量に基づいて、所望の体積平均粒子径の樹脂粒子が得られやすいとの観点から好ましくは0.01〜7%、さらに好ましくは0.1〜5%である。
また、該ポリエステル樹脂の重量に対する、分散剤と前記溶媒とからなる分散媒体の使用量は、ポリエステル樹脂の分散性および該樹脂の体積平均粒子径の観点から好ましくは50〜1,000%、さらに好ましくは100〜1,000%である。
本方法(3)において、温度差による溶解度の違いを利用する場合の冷却速度は、二次凝集防止の観点から好ましくは2℃/分以下である。
[添加剤(B)]
ポリエステル樹脂粉末(A)を含有してなる本発明のガラスチョップドストランドマット用バインダーには、(A)以外に、必要に応じて、ブロッキング防止剤(B1)、滑剤(B2)、親水性付与剤(B3)からなる群から選ばれる1種または2種以上の添加剤(B)を含有させることができる。これらの添加剤(B)は、通常ポリエステル樹脂を粉砕し、篩い分けした後に添加される。
(B)の合計の使用量は、ポリエステル樹脂粉末(A)の重量に基づいて通常8%以下、好ましくは0.01〜5%、さらに好ましくは0.1〜3%である。
ブロッキング防止剤(B1)としては、高級脂肪酸もしくはその塩、珪素もしくは金属の酸化物、珪素もしくは金属の炭化物、炭酸カルシウム、タルク、有機樹脂、およびこれらの混合物からなる微粒子等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、C8〜24、例えばラウリン酸、ステアリン酸;
高級脂肪酸の塩としては、上記高級脂肪酸のアルカリ金属(Na、K、Li等)、アルカリ土類金属(Ca、Ba、Mg等)、Zn、Cu、Ni、CoおよびAl等の塩;
珪素もしくは金属の酸化物としては、二酸化珪素、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム等、該炭化物としては、炭化珪素および炭化アルミニウム等;
有機樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、シリコン樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリ四弗化エチレン樹脂、セルロースパウダー等が挙げられる。
これらのうち、粉体流動性の観点から好ましいのは高級脂肪酸の金属塩、および珪素もしくは金属の酸化物である。
(B1)の使用量は、(A)の重量に基づいて通常5%以下、バインダーのブロッキング防止およびガラス繊維の結合性の観点から好ましくは0.01〜2.0、さらに好ましくは0.1〜1.0%である。
滑剤(B2)としては、ワックス、低分子量ポリエチレン、高級アルコール、高級脂肪酸(金属塩)、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド等が挙げられる。
ワックスとしては、カルナウバワックス等;低分子量ポリエチレンとしては、Mn1,000〜10,000のポリエチレン等;高級アルコールとしては、C10〜24、例えばステアリン酸;高級脂肪酸エステルとしては、C10〜36、例えばステアリン酸ブチル、高級脂肪酸(C10〜24)の多価(2〜4)アルコールAO(C2〜3)付加物エステル(EGのEO5モル付加物のモノステアレート等);高級脂肪酸アミドとしては、C10〜40、例えばステアリン酸アミドが挙げられる。
これらのうち、ガラス繊維の結合性の観点から好ましいのは高級脂肪酸(C10〜24)の多価(2〜4)アルコールAO(C2〜3)付加物エステルおよび高級脂肪酸アミドである。
(B2)の使用量は、(A)の重量に基づいて通常5%以下、粉体流動性およびガラス繊維の結合性の観点から好ましくは0.01〜2.0%、さらに好ましくは0.1〜1.0%である。
親水性付与剤(B3)としては、ポリビニルアルコール(Mn1,000〜100,00)、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ソーダ、ポリエチレングリコール(以下PEGと略記)(Mn200〜20,000)、PEG(Mn100〜2,000)含有オルガノポリシロキサン(Mn200〜50,000)、デンプン、ポリアクリル酸ソーダ(Mn500〜20,000)、第4級アンモニウム塩基含有の(メタ)アクリロイル基含有ポリマー等が挙げられる。
これらのうち、ガラス繊維の結合性の観点から好ましいのはPEGおよびPEG鎖含有オルガノポリシロキサンである。
(B3)の使用量は、ポリエステル樹脂の重量に基づいて通常5%以下、後述のガラスチョップドストランド積層上に噴霧される水との親和性およびガラス繊維の結合性の観点から好ましくは0.01〜2.0%、さらに好ましくは0.1〜1.0%である。
[ガラスチョップドストランドマット]
本発明のガラスチョップドストランドマットは、ガラスチョップドストランド積層体とポリエステル樹脂粉末(A)を含有するガラスチョップドストランドマット用バインダーから構成され、例えば以下の工程で製造することができる。
(1)離型処理した平板金型内にガラスチョップドストランドを方向性無秩序に均一厚み
になるよう散布してガラスチョップドストランド積層体を得る。
(2)散布したガラスチョップドストランドとほぼ同量の水道水をガラスチョップドスト
ランドの表面が十分湿るように霧吹きにて噴霧する。
(3)所定量のガラスチョップドストランドマット用バインダーを均一付着させる。
(4)上記(1)〜(3)の操作を1〜3回またはそれ以上繰り返して積層体を得る。
(5)150〜170℃に加熱したプレス機によりプレスしてバインダーにより結合され
たガラスチョップドストランドマットを得る。
ガラスチョップドストランド積層体の重量に基づくバインダーの結合量は、マットの機械強度およびハンドリング性(柔軟性、後述するガラス繊維強化プラスチック成形品作成時の成形型へのフィット性等、以下同じ。)の観点から好ましくは1〜30%、さらに好ましくは3〜25%である。
上記(5)で得られるガラスチョップドストランドマットの重量(g/m2)は、マットの機械強度およびハンドリング性の観点から好ましくは50〜600、さらに好ましくは100〜500である。
後述の計算式から求められる該ガラスチョップドストランドマットの強熱減量率は、落下バインダー量低減および該マットの必要機械強度の観点から、好ましくは90%以上、さらに好ましくは93%以上である。
該ガラスチョップドストランドマットの引張強さの最大値と最小値の差は、マットのハンドリング性の観点から好ましくは40N未満、さらに好ましくは35N以下、とくに好ましくは30N以下である。
ここにおいて、引張強さは後述のJIS R3420に準拠して測定され、上記引張強さの最大値と最小値の差は、10枚の試験片について得られた値の最大値と最小値の差で評価される。
また、本発明のガラス繊維強化プラスチック成形品は、その成形法については特に限定されることはなく、ハンドレイアップ法、スプレーアップ法、プリフォーム法、マッチドドダイ法、SMC法等が挙げられる。これらのうち例えばハンドレイアップ法は通常以下の手順で行われる。
(1)成形型表面に離型剤を塗布する。
(2)ローラーなどを用いて均一な厚みになるよう室温(15〜25℃)でマトリックス
樹脂(不飽和ポリエステル樹脂等)を塗布する。
(3)約40℃に温度調整した温風炉内で該樹脂をゲル化させる。
(4)ガラスチョップドストランドマットを成形型表面にフィットさせ、マトリックス樹
脂をスチレンモノマー等で薄めた溶液をローラー等によりガラスチョップドストラ
ンドマット上に積層し、ローラーにより空気抜きを行う。
(5)積層体を温風炉内で硬化させる。
(6)型から取り出し成形品を得る。
ハンドレイアップ法を含む前記成形法で用いられるマトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂(不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、変性アクリル樹脂、フラン樹脂等)、および熱可塑性樹脂(ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂等)が挙げられる。
これらのうち、例えば上記ハンドレイアップ法の場合は、熱硬化性樹脂が用いられ、成形時の作業性の観点から好ましいのは、不飽和ポリエステル樹脂およびビニルエステル樹脂である。
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されない。以下において部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。
製造例1<バインダー(X−1)の製造>
(1)ポリエステル樹脂の製造
冷却管、撹拌棒、温度計および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAのEO2.2モル付加物3,365部、フマル酸1,123部、ジブチル錫オキサイド6部を仕込み、窒素雰囲気中180℃で4時間反応させた。その後、200℃まで昇温し、3〜4kPaの減圧下で5.5時間反応させた後、さらに210℃まで昇温し反応生成物の酸価が16.0になったところで180℃まで冷却して取り出し、(ポリエステル樹脂−1)を得た。
(2)ポリエステル樹脂粉末(A−1)の製造
(ポリエステル樹脂−1)100部をサンプルミル[機器名「SK−M10」、協立理工(株)製、以下同じ。]を用いて回転数10,000rpmで5分間粉砕した。得られた樹脂粉末を目開き180μmの篩で篩い分け、これを通過した樹脂粉末をさらに目開き150μmの篩で篩い分けて、150μmの篩上に残ったポリエステル樹脂粉末(A−1)を得た。
(A−1)のMwは30,000、Mnは2,800、軟化点は116℃、Tgは53℃であり、体積平均粒子径(DV)、300μm以上の粒子の全粒子に占める比率、変動係数(CV)75μm以下の粒子の全粒子に占める比率、および(DV)/(DN)等の各値は表1に示す。
(3)バインダー(X−1)の製造
(A−1)10部にブロッキング防止剤[商品名「AEROSIL200」、日本アエロジル(株)製、以下同じ。]0.03部を加えた後、混合し、バインダー(X−1)を得た。
製造例2<バインダー(X−2)の製造>
(1)ポリエステル樹脂粉末(A−2)の製造
(ポリエステル樹脂−1)100部をサンプルミルを用いて回転数12,500rpmで3分間粉砕した。得られた樹脂粉末を目開き250μmの篩で篩い分け、これを通過した樹脂粉末をさらに目開き212μmの篩で篩い分けて、212μmの篩い上に残ったポリエステル樹脂粉末(A−2)を得た。
(A−2)のMw、Mn、軟化点およびTgは(A−1)に同じであり、その他の評価項目の値は表1に示す。
(2)バインダー(X−2)の製造
(A−2)10部にブロッキング防止剤0.03部を加えた後、混合し、バインダー(X−2)を得た。
製造例3<バインダー(X−3)の製造>
(1)ポリエステル樹脂粉末(A−3)の製造
(ポリエステル樹脂−1)100部をサンプルミルを用いて回転数12,500rpmで3分間粉砕した後、得られた樹脂粉末を目開き106μmの篩で篩い分け、篩を通過したポリエステル樹脂粉末(A−3)を得た。
(A−3)のMw、Mn、軟化点およびTgは(A−1)に同じであり、その他の評価項目の値は表1に示す。
(2)バインダー(X−3)の製造
(A−3)10部にブロッキング防止剤0.03部を加えた後、混合し、バインダー(X−3)を得た。
製造例4<バインダー(X−4)の製造>
(1)ポリエステル樹脂粉末(A−4)の製造
(ポリエステル樹脂−1)100部をサンプルミルを用いて回転数15,000rpmで5分間粉砕した後、得られた樹脂粉末を目開き160μmの篩で篩い分け、これを通過した樹脂粉末をさらに目開き150μmの篩いで篩い分けて、150μmの篩い上に残ったポリエステル樹脂粉末(A−4)を得た
(A−4)のMw、Mn、軟化点およびTgは(A−1)に同じであり、その他の評価項目の値は表1に示す。
(2)バインダー(X−4)の製造
(A−4)10部にブロッキング防止剤0.03部を加えた後、混合し、バインダー(X−4)を得た。
製造例5<バインダー(X−5)の製造>
(1)ポリエステル樹脂粉末(A−5)の製造
(ポリエステル樹脂−1)100部を酢酸エチル200部に溶解、混合し、これにノニルフェノールEO14モル付加物[商品名「ノニポール200」、三洋化成工業(株)製、以下同じ。]4部を水500部で希釈した液を添加した後、高速剪断式分散機[商品名「ウルトラディスパーザー」、ヤマト科学(株)製]を用い、回転数9,000rpmで5分間混合した。次にこの混合液を反応容器に仕込み、50℃まで昇温し、20〜30kPaの減圧下で酢酸エチルを留去して(ポリエステル樹脂−1)からなる樹脂粒子分散液を得た。次いでこの樹脂粒子分散液を遠心分離し、上澄み液を除去後、さらに水を加えて遠心分離する工程を2回繰り返した。沈降層を、50℃、1.3kPaの減圧条件で乾燥させた。得られた樹脂粉末を目開き250μmの篩いで篩い分け、これを通過した樹脂粉末をさらに目開き212μmの篩で篩い分けて、212μmの篩上に残ったポリエステル樹脂粉末(A−5)を得た。
(A−5)のMw、Mn、軟化点およびTgは(A−1)に同じで、数平均円形度は0.93であった。数平均円形度の測定は後述の方法に従った。その他の評価項目の値は表1に示す。
(2)バインダー(X−5)の製造
(A−5)10部にブロッキング防止剤0.03部を加えた後、混合し、バインダー(X−5)を得た。
製造例6<バインダー(X−6)の製造>
(1)ポリエステル樹脂の製造
製造例1の(1)において、3〜4kPaの減圧下での5.5時間の反応に代えて1時間反応させた後、さらに210℃まで昇温し反応生成物の酸価が19.0になったところで180℃まで冷却して取り出したこと以外は、製造例1の(1)と同様にして(ポリエステル樹脂−2)を得た。
(2)ポリエステル樹脂粉末(A−6)の製造
製造例1の(2)において、(ポリエステル樹脂−1)100部に代えて(ポリエステル樹脂−2)100部を用いたこと以外は製造例1の(2)と同様にしてポリエステル樹脂粉末(A−6)を得た。
(A−6)のMwは6,500、Mnは2,300、軟化点は88℃、Tgは48℃であり、その他の評価項目の値は表1に示す。
(3)バインダー(X−6)の製造
(A−6)10部にブロッキング防止剤0.03部を加えた後、混合し、バインダー(X−6)を得た。
製造例7<バインダー(X−7)の製造>
(1)ポリエステル樹脂の製造
製造例1の(1)において、3〜4kPaの減圧下での5.5時間の反応に代えて8時間反応させた後、さらに210℃まで昇温し反応生成物の酸価が5.5になったところで180℃まで冷却して取り出したこと以外は、製造例1の(1)と同様にして(ポリエステル樹脂−3)を得た。
(2)ポリエステル樹脂粉末(A−7)の製造
製造例1の(2)において、(ポリエステル樹脂−1)100部に代えて(ポリエステル樹脂−3)100部を用いたこと以外は製造例1の(2)と同様にしてポリエステル樹脂粉末(A−7)を得た。
(A−7)のMwは40,000、Mnは4,300、軟化点は130℃、Tgは56℃であり、その他の評価項目の値は表1に示す。
(3)バインダー(X−7)の製造
(A−7)10部にブロッキング防止剤0.03部を加えた後、混合し、バインダー(X−7)を得た。
比較製造例1<バインダー(X’−1)の製造>
(1)ポリエステル樹脂粉末(A’−1)の製造
(ポリエステル樹脂−1)100部をサンプルミルを用いて回転数12,500rpmで3分間粉砕した後、得られた樹脂粉末を目開き180μmの篩で篩い分け、篩を通過したポリエステル樹脂粉末(A’−1)を得た。(A’−1)のMw、Mn、軟化点およびTgは(A−1)に同じであり、その他の評価項目の値は表1に示す。
(2)バインダー(X’−1)の製造
(A’−1)10部にブロッキング防止剤0.03部を加えた後、混合し、バインダー(X’−1)を得た。
比較製造例2<バインダー(X’−2)の製造>
(2)ポリエステル樹脂粉末(A’−2)の製造
(ポリエステル樹脂−1)100部をサンプルミルを用いて回転数12,500rpmで3分間粉砕した後、得られた樹脂粉末を目開き150μmの篩で篩い分け、篩上に残ったポリエステル樹脂粉末(A’−2)を得た。(A’−2)のMw、Mn、軟化点およびTgは(A−1)に同じであり、その他の評価項目の値は表1に示す。
(2)バインダー(X’−2)の製造
(A’−2)10部にブロッキング防止剤0.03部を加えた後、混合し、バインダー(X’−2)を得た。
比較製造例3<バインダー(X’−3)の製造>
(1)ポリエステル樹脂粉末(A’−3)の製造
(ポリエステル樹脂−1)100部をサンプルミルを用いて回転数7,500rpmで3分間粉砕した、得られた樹脂粉末を目開き250μmの篩で篩い分け、篩を通過したポリエステル樹脂粉末(A’−3)を得た。(A’−3)のMw、Mn、軟化点およびTgは(A−1)に同じであり、その他の評価項目の値は表1に示す。
(2)バインダー(X’−3)の製造
(A’−3)10部にブロッキング防止剤0.03部を加えた後、混合し、バインダー(X’−3)を得た。
比較製造例4<バインダー(X’−4)の製造>
(1)ポリエステル樹脂粉末(A’−4)の製造
(ポリエステル樹脂−1)100部をサンプルミルを用いて回転数12,500rpmで3分間粉砕した。得られた樹脂粉末を目開き300μmの篩いで篩い分け、これを通過した樹脂粉末をさらに目開き250μmの篩いで篩い分けて、250μmの篩い上に残ったポリエステル樹脂粉末(A’−4)を得た。
(A’−4)のMw、Mn、軟化点およびTgは(A−1)に同じであり、その他の評価項目の値は表1に示す。
(2)バインダー(X’−4)の製造
(A’−4)10部にブロッキング防止剤0.03部を加えた後、混合し、バインダー(X’−4)を得た。
比較製造例5<バインダー(X’−5)の製造>
(1)ポリエステル樹脂粉末(A’−5)の製造
(ポリエステル樹脂−1)100部をサンプルミルを用いて回転数12,500rpmで3分間粉砕した。得られた樹脂粉末を目開き106μmの篩いで篩い分け、これを通過した樹脂粉末をさらに目開き75μmの篩で篩い分けて、75μmの篩上に残ったポリエステル樹脂粉末(A’−5)を得た。
(A’−5)のMw、Mn、軟化点およびTgは(A−1)に同じであり、その他の評価項目の値は表1に示す。
(2)バインダー(X’−5)の製造
(A’−5)10部にブロッキング防止剤0.03部を加えた後、混合し、バインダー(X’−5)を得た。
実施例1<ガラスチョップドストランドマット(GM−1)の作成>
ガラスチョップドストランド用のガラスストランド(平均ストランド番手T=30tex、ガラス繊維の密度d=2.5g/cm3、ガラスストランド直径K=123.6μm)を、東技研(株)製ガラスチョッパーを用いて約5cmの長さに切断し、ガラスチョップドストランドを得た。
離型処理した75cm×40cm×3cmの平板金型内に該ガラスチョップドストランド45.0gを方向性無秩序に均一厚みになるように散布し、次に該ガラスチョップドストランドの散布体の表面が湿る程度まで霧吹きで水道水を噴霧した。
次に、散布したガラスチョップドストランドの重量の3.0%相当量である1.35gのバインダー(X−1)を均一にガラスチョップドストランド散布体上に散布した。
さらにその上に、同様にして45.0gのガラスチョップドストランドの散布、水道水噴霧、1.35gのバインダー(X−1)の散布、の操作を2度繰り返した。その結果、合計ガラスチョップドストランド135.0gに対してその3.0%相当量の4.05gのバインダー(X−1)を散布した3層構造のガラスチョップドストランド積層体を形成した。
その後、150℃に加熱したロール型プレス機により1.5m/分のスピードで熱プレスし、厚さ1.2mm、マットの目付量(1m2当たりのマットに使用したガラスチョップドストランドの量。以下同じ。)450g/m2、強熱減量2.70重量%(強熱減量率93%)のガラスチョップドストランドマット(GM−1)を得た。
なお、強熱減量(重量%)は後述のJIS R3420に準拠して得られる値である。具体的な手順は以下のとおりである。
(1)試験片約5gを磁性るつぼに入れ、105℃で30分間乾燥させた後、デシケータ内で室温まで放冷し、0.1mg単位まで重量(m1)を測定する。該乾燥した試験片入り磁性るつぼを625℃に温度調整した電気炉内に入れ、扉を開いたまま5分間燃焼させた後、扉を閉め、さらに10分間燃焼させた。その後試験片入り磁性るつぼを取り出しデシケータ内で室温まで放冷し、0.1mg単位まで重量(m2)を測定する。
(2)試験片を入れない空の上記磁性るつぼについて、105℃で30分間乾燥させた後、デシケータ内で室温まで放冷し、0.1mg単位まで重量(m0)を測定する。
(3)下記式から強熱減量を算出する。

強熱減量(重量%)=100×[(m1)−(m2)]/[(m1)−(m0)]
FRPに使用されるガラスチョップドストランドマットのバインダー供給量は、ガラスチョップドストランドの重量の3重量%前後であることが多い。そこで、バインダー供給量は、ガラスチョップドストランドの重量の3.0%相当重量(すなわち、得られるガラスチョップドストランドマット重量の2.91%)とし、強熱減量率は後述の計算式から算出した。
強熱減量率は、落下バインダー量低減およびガラスチョップドストランドマットの必要強度の観点から好ましくは90%以上、さらに好ましくは93%以上である。
実施例2<ガラスチョップドストランドマット(GM−2)の作成>
実施例1において、バインダー(X−1)をバインダー(X−2)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、マットの目付量450g/m2、強熱減量2.64%(強熱減量率91%)のガラスチョップドストランドマット(GM−2)を得た。
実施例3<ガラスチョップドストランドマット(GM−3)の作成>
実施例1において、バインダー(X−1)をバインダー(X−3)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、マットの目付量450g/m2、強熱減量2.75%(強熱減量率95%)のガラスチョップドストランドマット(GM−3)を得た。
実施例4<ガラスチョップドストランドマット(GM−4)の作成>
実施例1において、ガラスチョップドストランド用のガラスストランドを、平均ストランド番手T=10tex、ガラス繊維の密度d=2.5g/cm3、ストランド直径K=71.4μmのガラスストランドに代え、バインダー(X−1)をバインダー(X−2)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、厚み1.1mm、マットの目付量450g/m2、強熱減量2.65%(強熱減量率91%)のガラスチョップドストランドマット(GM−4)を得た。
実施例5<ガラスチョップドストランドマット(GM−5)の作成>
実施例1において、ガラスチョップドストランド用のガラスストランドを、平均ストランド番手T=120tex、ガラス繊維の密度d=2.5g/cm3、ストランド直径K=247.2μmのガラスストランドに代え、バインダー(X−1)をバインダー(X−3)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、厚み1.4mm、マットの目付量450g/m2、強熱減量2.76%(強熱減量率95%)のガラスチョップドストランドマット(GM−5)を得た。
実施例6<ガラスチョップドストランドマット(GM−6)の作成>
実施例1において、バインダー(X−1)をバインダー(X−4)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、マットの目付量450g/m2、強熱減量2.81%(強熱減量率97%)のガラスチョップドストランドマット(GM−6)を得た。
実施例7<ガラスチョップドストランドマット(GM−7)の作成>
実施例1において、バインダー(X−1)をバインダー(X−5)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、マットの目付量450g/m2、強熱減量2.83%(強熱減量率97%)のガラスチョップドストランドマット(GM−7)を得た。
実施例8<ガラスチョップドストランドマット(GM−8)の作成>
実施例1において、1回当たりの散布でガラスチョップドストランド45.0gを5.0g、バインダー(X−1)1.35gをバインダー(X−6)0.15gに代え、これを3回行ったこと以外は、実施例1と同様にして合計ガラスチョップドストランド15.0gに対してその3.0%相当量の0.45gのバインダー(X−6)を散布した3層構造のガラスチョップドストランド積層体を形成した。
その後、実施例1と同様に熱プレスし、厚さ0.3mm、マットの目付量50g/m2、強熱減量2.62重量%(強熱減量率90%)のガラスチョップドストランドマット(GM−8)を得た。
実施例9<ガラスチョップドストランドマット(GM−9)の作成>
実施例1において、1回当たりの散布でガラスチョップドストランド45.0gを58.0g、バインダー(X−1)1.35gをバインダー(X−7)1.74gに代え、これを3回行ったこと以外は、実施例1と同様にして合計ガラスチョップドストランド174.0gに対してその3.0%相当量の5.22gのバインダー(X−7)を散布した3層構造のガラスチョップドストランド積層体を形成した。
その後、実施例1と同様に熱プレスし、厚さ1.6mm、マットの目付量580g/m2、強熱減量2.91重量%(強熱減量率100%)のガラスチョップドストランドマット(GM−9)を得た。
比較例1<ガラスチョップドストランドマット(GM’−1)の作成>
実施例1において、バインダー(X−1)をバインダ−(X’−1)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、マットの目付量450g/m2、強熱減量2.76%(強熱減量率95%)のガラスチョップドストランドマット(GM’−1)を得た。
比較例2<ガラスチョップドストランドマット(GM’−2)の作成>
実施例1において、バインダー(X−1)をバインダ−(X’−2)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、マットの目付量450g/m2、強熱減量2.44%(強熱減量率84%)のガラスチョップドストランドマット(GM’−2)を得た。
比較例3<ガラスチョップドストランドマット(GM’−3)の作成>
実施例1において、バインダー(X−1)をバインダ−(X’−3)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、マットの目付量450g/m2、強熱減量2.55%(強熱減量率88%)のガラスチョップドストランドマット(GM’−3)を得た。
比較例4<ガラスチョップドストランドマット(GM’−4)の作成>
実施例1において、ガラスチョップドストランド用のガラスストランドを、平均ストランド番手T=10tex、ガラス繊維の密度d=2.5g/cm3、ストランド直径K=71.4μmのガラスストランドに代え、バインダー(X−1)をバインダ−(X’−4)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、厚み1.1mm、マットの目付量450g/m2、強熱減量2.49%(強熱減量率86%)のガラスチョップドストランドマット(GM’−4)を得た。
比較例5<ガラスチョップドストランドマット(GM’−5)の作成>
実施例1において、バインダー(X−1)をバインダ−(X’−5)に代えたこと以外は実施例1と同様にして、厚み1.2mm、マットの目付量450g/m2、強熱減量2.73%(強熱減量率94%)のガラスチョップドストランドマット(GM’−5)を得た。
<評価項目>
下記項目について評価し、結果を表1に示す。
(1)軟化点(℃)
JIS K2207「石油アスファルト」の「6.4軟化点試験方法(環球法)」に準拠して、自動軟化点試験器[機器名「ASP−5」、田中科学機器製作(株)製]により測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)(℃)
JIS K7121「プラスチックの転移温度測定法」に準拠して、「RDC−220」[機器名、セイコー電子工業(株)製]により測定した。
(3)ポリエステル樹脂粉末の体積平均粒子径(DV)、ポリエステル樹脂粉末の全粒子中の300μm以上、および75μm以下の体積基準粒子径を有する各粒子の割合(%)
「マイクロトラック9320HRA粒度分析計」[機器名、日機装(株)製]を用いたレーザー回折散乱法により測定した。
(4)体積基準の粒子径分布の変動係数(CV)(%)
変動係数(CV)は、以下の計算式より算出される値であり、標準偏差、および体積平均粒子径(DV)は「マイクロトラック9320HRA粒度分析計」を用いたレーザー回折散乱法により測定した。

変動係数(CV)=[標準偏差/体積平均粒子径(DV)]×100
(5)[体積平均粒子径(DV)/数平均粒子径(DN)]比
(DV)と(DN)の各値は「マイクロトラック9320HRA粒度分析計」を用いたレーザー回折散乱法により測定した。
(6)数平均円形度
(株)キーエンス製の超深度形状測定顕微鏡「VK−8500」で写真撮影し、同社製の付属の形状解析ソフト「VK−H1A7」で画像解析を行い、数平均円形度を求めた。
ここで、数平均円形度とは、無作為に取り出した30個の粒子各々の円形度を測定し、これを数平均する操作を10回繰り返し、得られた10個の値を単純平均した値である。
(7)強熱減量(重量%)
JIS R3420「ガラス繊維一般試験方法」の「7.3.2強熱減量」に準拠して測定される値で、マット重量に基づく、ガラス繊維を除く付着バインダー量の割合(重量%)を表す。
(8)強熱減量率(%)
強熱減量率は下記の式から算出される。

強熱減量率(%)=[強熱減量(重量%)/2.91]×100
(9)ガラスチョップドストランドマットの引張強さ(N)
ガラスチョップドストランドマット(GM−1)〜(GM−9)、(GM’−1)〜(GM’−5)のそれぞれから、幅50mm×長さ150mmに切り出した試験片10枚ずつ作成し、これらをJIS R3420「ガラス繊維一般試験方法」の「7.4引張強さ」に準拠して測定した。具体的には次の手順で行った。
(i)試験片を25℃、湿度65%(JIS K7100で規定される標準雰囲気)の条件で1時間、静置する。
(ii)試験片の長さ方向の両端部を上下の各クランプで掴み、クランプ間の距離を100mmに調整する。
(ii)「オートグラフAGS−500D」[機器名、(株)島津製作所製]を用い、引張速度100mm/分で引張試験を行い、試験片が破断するまでに要した力を引張強さとする。
(10)ガラスチョップドストランドマット曲げ弾性率の測定(柔軟性評価)(MPa)
ガラスチョップドストランドマット(GM−1)〜(GM−9)、(GM’−1)〜(GM’−5)のそれぞれから幅20mm×長さ100mmに切り出した試験片を各10枚ずつ作成し、これらをASTM D256に準拠して測定した。
<評価基準>
[1]引張強さの平均値
試験片10枚の引張強さの平均値を求め、下記の基準で評価した。
○ 130N超
△ 70N以上130N未満
× 70N未満
[2]引張強さの最大値と最小値の差
試験片10枚の引張強さの最大値と最小値の差を求め、下記の基準で評価した。
○ 40N未満
△ 40N以上80N未満
× 80N以上
[3]強熱減量当たりの引張強さ
試験片10枚の引張強さの平均値を強熱減量(重量%)で除し下記の基準で評価した。
○ 50N超
△ 30N以上50N未満
× 30N未満
[4]曲げ弾性率の平均値(柔軟性の評価)
○ 1.5×10-3MPa未満
△ 1.5×10-3MPa以上2.0×10-3MPa未満
× 2.0×10-3MPa以上
Figure 0005044592
表1から明らかなように、本発明のガラスチョップドストランドマットは、比較の従来のものに比べ強熱減量率が高いことからバインダーが付着効率に優れていること、および該マットは強度(引張り強さ等)に優れ、かつ強度がマット全体にわたって均一であることがわかる。また、マット強度に劣る比較のマットはバインダー供給量を増やす必要があることから、本発明のバインダーは従来より少ない使用量でマットに必要な強度を均一に付与できることもわかる。
さらに、表1から本発明のガラスチョップドストランドマットは、比較のものに比べ曲げ弾性率が適度で柔軟性に優れることから、該マットを用いたガラス繊維強化プラスチック成形品作成時の成形型へのフィット性等で作業性の向上に大きく寄与し得ることがわかる。
本発明のバインダーでガラスチョップドストランド積層体を結合させてなるガラスチョップドストランドマットは、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)成形品用の強化材等として用いられ、該成形品は、自動車用部材(成形天井材等)、小型船舶(カヌー、ボート、ヨット、モーターボート等)の船体、住宅用部材(バスタブ、浄化槽等)等幅広い分野に適用できることから、極めて有用である。

Claims (7)

  1. レーザー回折散乱法による体積平均粒子径DVが100〜250μmであり、体積平均粒子径D V と数平均粒子径D N の比[D V /D N ]が1〜1.5であり、300μm以上の体積基準粒子径を有する粒子の割合が20重量%以下であり、75μm以下の体積基準粒子径を有する粒子の割合が20重量%以下であり、かつ、体積基準の粒子径分布の変動係数CVが0.1〜30%であるポリエステル樹脂粉末(A)を含有してなることを特徴とするガラスチョップドストランドマット用バインダー。
  2. (A)の数平均円形度が0.8〜1.0である請求項1 記載のバインダー。
  3. 請求項1または2記載のバインダーでガラスチョップドストランド積層体を結合させてなるガラスチョップドストランドマット。
  4. マットの引張強さの最大値と最小値の差が、40N未満である請求項記載のマット。
  5. 請求項または記載のマットを強化材として成形してなるガラス繊維強化プラスチック成形品。
  6. ガラス繊維強化プラスチック成形品が、自動車成形天井材、小型船舶船体、バスタブまたは浄化槽用である請求項記載の成形品。
  7. ガラスチョップドストランド散布、水散布およびバインダー散布からなる工程を経て形成されるガラスチョップドストランド積層体を加熱プレス成形してガラスチョップドストランドマットを製造する方法において、請求項1または2記載のバインダーを用いることを特徴とするガラスチョップドストランドマットの製造方法。
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