JP2012177061A - インク組成物、画像形成方法及び印画物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】(成分A)エチレン性不飽和二重結合を有さず、かつシルセスキオキサン構造を有する分子量300以上3000未満の化合物、(成分B)単官能重合性化合物、(成分C)重合開始剤及び(成分D)着色剤を含み、全重合性化合物の合計含有量に対する(成分B)単官能重合性化合物の含有量が80質量%以上である、インク組成物を用いる。
【選択図】なし
Description
また、成形加工品を一つ一つの成形品へと打ち抜いて裁断する際に、衝撃に対する耐性(耐衝撃能)が不十分であると裁断面又はその周辺にひび(周辺割れ)が生じてしまう問題がある。このような打ち抜き特性が低い製品は、製品価値が下がる。
項1.(成分A)エチレン性不飽和二重結合を有さず、かつシルセスキオキサン構造を有する分子量300以上3000未満の化合物、(成分B)単官能重合性化合物、(成分C)重合開始剤及び(成分D)着色剤を含み、全重合性化合物の合計含有量に対する(成分B)単官能重合性化合物の含有量が80質量%以上である、インク組成物。
項4.前記構造式(A)におけるRxがアリール基又はアルキル基であり、Ryが単結合である、項2に記載のインク組成物。
項5.前記シルセスキオキサン構造が、かご型である、項1〜項4のいずれか1項に記載のインク組成物。
項6.前記(成分A)化合物が、下記一般式(A−2)で表される、項1〜項5のいずれか1項に記載のインク組成物。
項8.前記単官能重合性化合物として、N−ビニル化合物又は(メタ)アクリルアミド化合物を含む、項1〜項7のいずれか1項に記載のインク組成物。
項9.前記N−ビニル化合物が、下記式(V)で表される、項8に記載のインク組成物。
Q2は水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、水酸基、スルホ基又はアシル基をあらわす。Q3は水素原子又はアルキル基を表す。Q2とQ3は互いに結合して環を形成していてもよい。Rmは水素原子またはメチル基を表す。)
項12.インク組成物全量に対して、(成分A)化合物を0.1〜20質量%含む、項1〜項11のいずれか1項に記載のインク組成物。
項13.インクジェット記録用である、項1〜項12のいずれか1項に記載のインク組成物。
項14.項1〜項13のいずれか1項に記載のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、
前記インク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程とを含む、画像形成方法。
項15.前記インク付与工程は、インクジェット法により前記インク組成物を付与する工程である、項14に記載の画像形成方法。
項16.項1〜項13のいずれか1項に記載したインク組成物を用いて形成した印画物。
本発明のインク組成物は、(成分A)エチレン性不飽和二重結合を有さず、かつシルセスキオキサン構造を有する分子量300以上3000未満の化合物、(成分B)単官能重合性化合物、(成分C)重合開始剤及び(成分D)着色剤を含み、全重合性化合物の合計含有量に対する(成分B)単官能重合性化合物の含有量が80質量%以上であることを特徴とする。以下、単に「(成分A)」、「(成分B)」、「(成分C)」及び「(成分D)」ともいう。本発明のインク組成物は、インクジェット記録用であることが好ましい。
((成分A)エチレン性不飽和二重結合を有さず、かつシルセスキオキサン構造を有する分子量300以上3000未満の化合物)
本発明のインク組成物は、(成分A)エチレン性不飽和二重結合を有さず、かつシルセスキオキサン構造を有する分子量300以上3000未満の化合物を必須の成分として含有する。
(Rx−Ry−SiO3/2)m 一般式(A−1)
(一般式(A−1)中、Rxはハロゲン原子、シアノ基、チオール基、−PRa 2(Raはアリール基)、アミノ基、アリール基又はアルキル基を表し、Ryは単結合、−COO−、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、−SO2−、−O−、−SiRb 2−(Rbはアルキル基)又は−NH−基を表す。複数存在するRx及びRyは互いに同一であっても異なっていても良い。mは6〜10の整数を表す。)
本発明のインク組成物は、単官能重合性化合物を必須の成分として含有し、インク組成物中の全重合性化合物の合計含有量に対する(成分B)単官能重合性化合物の含有量が80質量%以上であることを必須とする。
本発明のインク組成物に用いられる単官能重合性化合物とは、重合性基を1個有する重合性化合物であれば限定されない。
本発明のインク組成物に用いられる単官能重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物が好ましく、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられる。より具体的には、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればよい。
Q2は水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、水酸基、スルホ基又はアシル基をあらわす。Q3は水素原子又はアルキル基を表す。Q2とQ3は互いに結合して環を形成していてもよい。Rmは水素原子またはメチル基を表す。)
本発明のインク組成物は、2官能以上の多官能重合性化合物を含んでいてもよい。
本発明のインク組成物は、重合開始剤を含有する。
本発明の重合開始剤としては、熱重合開始剤及び光重合開始剤のいずれであってもよいが、本発明では、光重合開始剤が好ましく挙げられる。光重合開始剤としては、公知の光重合開始剤を、重合性化合物の種類、インク組成物の使用目的に応じて、適宜選択して使用することができる。
本発明のインク組成物に使用する光重合開始剤は、外部エネルギー(光)を吸収して重合開始種であるラジカルを生成する化合物である。光重合開始剤において、重合を開始させる光とは、活性照射線、すなわち、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線等を示し、好ましくは、紫外線である。
インク組成物における重合開始剤の含有量は、インク組成物に対して、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜15質量%、更に好ましくは1〜10質量%である。
本発明のインク組成物は、着色剤を含有する。インク組成物に着色剤を添加することで、可視画像(有色画像)を形成しうるインク組成物とすることができる。
本発明のインク組成物に用いることのできる着色剤は、特に制限はなく、用途に応じて公知の種々の着色剤、(顔料、染料)を適宜選択して用いることができる。例えば、耐候性に優れた画像を形成する場合には、顔料が好ましい。また、染料としては、水溶性染料および油溶性染料のいずれも使用できるが、油溶性染料が好ましい。
まず、本発明のインク組成物における着色剤として好ましく使用される顔料について述べる。
前記顔料としては、特に限定されるものではなく、一般に市販されているすべての有機顔料および無機顔料、または顔料を、分散媒として不溶性の樹脂等に分散させたもの、或いは顔料表面に樹脂をグラフト化したもの等を用いることができる。また、樹脂粒子を染料で染色したもの等も用いることができる。
これらの顔料としては、例えば、伊藤征司郎編「顔料の辞典」(2000年刊)、W.Herbst,K.Hunger「Industrial Organic Pigments」、特開2002−12607号公報、特開2002−188025号公報、特開2003−26978号公報、特開2003−342503号公報に記載の顔料が挙げられる。
また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1質量部〜50質量部添加することが好ましい。
次に、本発明における着色剤として好ましく使用される染料について述べる。
染料としては、従来公知の化合物(染料)から適宜選択して使用することができる。具体的には、特開2002−114930号公報の段落番号〔0023〕〜〔0089〕、特開2008−13646号公報の段落番号〔0136〕〜〔0140〕に記載の化合物などを挙げることができ、これらを本発明にも適用することができる。
本発明のインク組成物は実質的に水を含有しない、非水性インク組成物であることが好ましい。具体的には、インク組成物全量に対して、3質量%以下であることが好ましく、より好ましくは2質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。
さらに、本発明のインク組成物は上記以外の成分を添加することができる。以下順次説明する。
本発明のインク組成物は、更に連鎖移動剤を含有していてもよい。
前記連鎖移動剤としては、重合反応において連鎖移動反応により、反応の活性点を移動させる物質であれば特に制限なく使用することができる。
本発明のインク組成物への連鎖移動剤の添加量は、インク組成物の全固形分質量に対して、0.1質量%〜15質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましく、1質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
本発明のインク組成物には、重合開始剤の活性エネルギー線照射による分解を促進させるために増感色素を添加することができる。
多核芳香族類(例えば、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン)、チオキサントン類(例えば、イソプロピルチオキサントン)、キサンテン類(例えば、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリウム類(例えば、スクアリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、DETX(2,4−ジエチルチオキサントン、サンケミカル株式会社)、ITX(2−イソプロピルチオキサントン、東京化成工業株式会社)等が挙げられ、多核芳香族類およびチオキサントン類が好ましい類として挙げられる。
また、特開2008−95086号公報記載の増感色素も好適である。
本発明のインク組成物は、共増感剤を含有することもできる。
本発明のインク組成物には、紫外線吸収剤を用いることができる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤、などが挙げられる。
本発明のインク組成物には、酸化防止剤を添加することができる。
酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許、同第223739号公報、同309401号公報、同第309402号公報、同第310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同62−262047号公報、同63−113536号公報、同63−163351号公報、特開平2−262654号公報、特開平2−71262号公報、特開平3−121449号公報、特開平5−61166号公報、特開平5−119449号公報、米国特許第4814262号明細書、米国特許第4980275号明細書等に記載のものを挙げることができる。
本発明のインク組成物には、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機系の褪色防止剤としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類、などが挙げられる。
また、金属錯体系の褪色防止剤としては、ニッケル錯体、亜鉛錯体、などが挙げられ、具体的には、リサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのI〜J項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
本発明のインク組成物には、吐出物性の制御を目的として、チオシアン酸カリウム、硝酸リチウム、チオシアン酸アンモニウム、ジメチルアミン塩酸塩などの導電性塩類を添加することができる。
本発明のインク組成物には、溶剤を含まないことが好ましいが、極微量の非硬化性の有機溶剤を添加してもよい。インク組成物の溶剤の含有量は、インク組成物全量に対して1質量%以下が好ましい。
溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等のケトン系溶剤、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、1−ブタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶剤、クロロホルム、塩化メチレン等の塩素系溶剤、ベンゼン、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピルなどのエステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤、などが挙げられる。
本発明のインク組成物には、膜物性を調整するため、各種油溶性の高分子化合物を添加することができる。
油溶性高分子化合物としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類、その他の天然樹脂等が使用できる。また、これらは2種以上併用してもかまわない。
また、本発明のインク組成物を膜としたときに、タック性改善等の目的で表面に偏析しやすい高分子化合物も好適である。これらの高分子化合物は特開2008−248119号公報段落番号〔0017〕〜〔0037〕、特開2005−250890号公報段落番号〔0015〕〜〔0034〕などに記載されたSi、F原子を含む高分子、長鎖アルキル基を側鎖に有する高分子などが利用可能である。
本発明のインク組成物には、界面活性剤を添加してもよい。
界面活性剤としては、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載されたものが挙げられる。例えば、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
なお、界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。
有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物としては、例えば、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例、四フッ化エチレン樹脂)が含まれ、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭62−135826号の各公報に記載されたものが挙げられる。
重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、メトキシベンゾキノン、メトキシフェノール、フェノチアジン、t−ブチルカテコール、メルカプトベンズイミダゾール、アルキルジチオカルバミン酸塩類、アルキルフェノール類、アルキルビスフェノール類、サリチル酸塩類、チオジプロピオン酸エステル類、ホスファイト類、ニトロキサイドアルミニウム錯体などが挙げられる。具体的には、Gerorad16,18,20,21、22、(Rahn社製)等が挙げられる。
タッキファイヤーとしては、具体的には、特開2001−49200号公報の5〜6pに記載されている高分子量の粘着性ポリマー(例えば、(メタ)アクリル酸と炭素数1〜20のアルキル基を有するアルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数3〜14の脂環属アルコールとのエステル、(メタ)アクリル酸と炭素数6〜14の芳香属アルコールとのエステルからなる共重合物)や、重合性不飽和結合を有する低分子量粘着付与性樹脂などである。
本発明においては、25℃における粘度が40mPa・s以下であるインク組成物を使用することが好ましい。より好ましくは5〜40mPa・s、更に好ましくは7〜30mPa・sである。また、吐出温度(好ましくは25〜80℃、より好ましくは25〜50℃)における粘度が、3〜15mPa・sであることが好ましく、3〜13mPa・sであることがより好ましい。本発明のインク組成物は、粘度が上記範囲になるように適宜組成比を調整することが好ましい。室温での粘度を高く設定することにより、多孔質な記録媒体を用いた場合でも、記録媒体中へのインク組成物の浸透を回避し、未硬化モノマーの低減が可能となる。更にインク組成物の液滴着弾時のインク滲みを抑えることができ、その結果として画質が改善されるので好ましい。粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYOCO.LTD製)を用い、25℃の条件下で測定されるものである。
即ち、(成分A)がエチレン性不飽和二重結合を有さないことにより、(成分A)と重合性化合物は反応することなく、インク組成物硬化膜中で相分離構造(海島構造)を形成していると推察される。シルセスキオキサン構造を有する化合物が形成する相分離した構造が、形成画像の打ち抜きによる衝撃の伝播を分散するため、相分離構造(海島構造)を有さないインク組成物硬化膜と比較して、伝播される衝撃が弱まっていると考えられる。この結果、打ち抜き特性等が向上していると考えられる。更に、インク組成物中の全重合性化合物の合計含有量に対する、(成分B)の含有量を80質量%以上とすることで、膜に適度な柔軟性が付与され延伸性が向上していると考察される。
尚、上記メカニズムは推察であり、本発明は上記メカニズムに限定されるものではない。
本発明の画像形成方法は、本発明のインク組成物を、記録媒体上に付与するインク付与工程と、前記インク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程と、を含む。前記インク付与工程は、市販の装置を含んだインクジェット法によりインクを吐出して画像が形成されることが好ましい。前記インク付与工程は、平版印刷用途やスクリーン印刷用途など種々の印刷用途に用いることができる。更に、前記画像形成方法は、前記記録媒体上に硬化した画像を有する印画物を得る工程を含んでいても良い。
印画物成形体の製造に用いられる記録媒体としては、成形可能な樹脂材料からなる記録媒体が用いられ、例えば、PET、ポリカーボネート、ポリスチレン等が挙げられる。
下表に示す顔料、単官能重合性化合物及び分散剤を攪拌混合して、各色の顔料分散物(Y1、M1、C1、K1及びW1)を調製した。なお顔料分散物の調製は分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで、下表に記載の時間、分散を行った。
次に示す成分を、シルバーソン社製ローター/ステーター式のハイシアーミキサーで攪拌して、実施例1のインク組成物を調製した。
マゼンタ顔料分散物(M1) 13部
(A−1−1)(商品名Isooctyl POSS Cage Mixture、MS0805、(成分A)、Hybrid Plastic社製)、下記構造)、0.1部
・NVC((成分B)単官能重合性化合物、N−ビニルカプロラクタム) 33部
・FA513AS((成分B)単官能重合性化合物、ジシクロペンタニルアクリレート)23.9部
・NIPAM((成分B)単官能重合性化合物、N−イソプロピルアクリルアミド、東京化成工業株式会社) 20部
・HDDA(多官能重合性化合物、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート) 1部
・Irg819(BASF・ジャパン社製、(成分C)重合開始剤) 3部
・Irg907(BASF・ジャパン社製、(成分C)重合開始剤) 2部
・DETX(2,4−ジエチルチオキサントン、サンケミカル株式会社、(成分C)重合開始剤) 3部
・FIRSTCURE ST−1(トリス(N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミン)アルミニウム塩、Chem First社、重合禁止剤) 1部
顔料分散物、重合性化合物(単官能重合性化合物及び多官能重合性化合物)及び、(成分A)を表2及び表3に記載のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜実施例34、比較例1〜比較例2を調製した。
尚、表中の略称は以下を表す。
(A−1−2)商品名Phenyl Isobutyl POSS、MS0813,(Hybrid Plastic 社製、下記構造)
商品名Acrylo POSS Cage Mixture、MA0736(Hybrid Plastic 社製、下記構造、比較化合物)
PEA:2−フェノキシエチルアクリレート
NVC:N−ビニルカプロラクタム
IBOA:イソボルニルアクリレート
FA−513AS:ジシクロペンタニルアクリレート
NIPAM:N−イソプロピルアクリルアミド(東京化成工業株式会社)
ACMO:アクリロイルモルホリン(興人社製)
HDDA(1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、新中村化学工業株式会社)
<画像形成方法>
まず、調製されたインク組成物を絶対ろ過精度2μmのフィルターにてろ過した。
次に、ピエゾ型インクジェットノズルを有するインクジェット記録実験装置(商品名LuxelJet UV350GTW、富士フイルム社製)を用いて、記録媒体へ画像を形成した。インク供給系は、元タンク、供給配管、インクジェットヘッド直前のインク供給タンク、フィルター、ピエゾ型のインクジェットヘッドから成り、インク供給タンクからインクジェットヘッド部分までを断熱及び加温を行った。温度センサーは、インク供給タンク及びインクジェットヘッドのノズル付近にそれぞれ設け、ノズル部分が常に45℃±2℃となるよう、温度制御を行った。ピエゾ型のインクジェットヘッドは、8〜30plのマルチサイズドットを720×720dpiの解像度で射出できるよう駆動し、ベタ画像を形成した。着弾後はUV光を露光面照度2,100mW/cm2、に集光し、記録媒体上にインク着弾した0.1秒後に照射が始まるよう露光系、主走査速度及び射出周波数を調整した。また、画像に照射される積算光量を3,000mJ/cm2となるようにした。紫外線ランプには、HAN250NL ハイキュア水銀ランプ(ジーエス・ユアサ コーポレーション社製)を使用した。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cm当たりのドット数を表す。記録媒体として、パンライトPC−1151(膜厚500μm、ポリカーボネートシート、帝人化成(株)製)を使用した。各サンプルともインク組成物の硬化膜の平均膜厚が12μmになるよう描画を行った。
ろ過したインクを遮光ビンに収め、45℃で1ヶ月間放置したのち、上記画像記録方法にて、記録媒体上にベタ画像(5cm×5cm)を記録した。その後、得られたベタ画像を観察した。観察した画像を下記の評価基準に従って目視により評価した。
5:白抜けの発生等によるドット欠けの発生が認められず、良好な画像が得られた。
4:白抜けの発生等によるドット欠けの発生がわずかに認められたが、実用上支障を来さない程度であった。
3:白抜けの発生等によるドット欠けの発生があるが、実用に耐えないほどの画像ではなかった。
2:白抜けの発生等によるドット欠けの発生が多く、実用に耐えない画像であった。
1:全く吐出しなかった。
25℃の条件下、作製した印刷物を手動OA用大型穴あけパンチ No.200N(ライオン事務器(株)製)を用いて穴あけ加工を行った。画像の穴あけ部分周辺にひび割れがないか100倍の光学顕微鏡で観察し、また光の透過がないか、目視で観察を行った。
4:パンチ穴周辺にひび割れ、光の透過はなかった。
3:パンチ穴周辺にひび割れがあるが、光の透過はなかった。
2:パンチ穴周辺にひび割れ、光の透過があるが、問題ないレベルであった。
1:パンチ穴周辺にひび割れが生じ、光の透過があり、製品としては不適であった。
前記画像形成方法で形成したサンプルを用いて、インデンテーション法で行った。装置はFischer Instruments社製フィッシャースコープHM−500を用い、圧子はベルコビッチ(先端開き角144゜34′の三角錐)、荷重は0.05mN、押し込み深さは0.3μmで測定した。押し込んだ際の荷重と、試料と圧子の接触面積から膜硬度を求めた。80N/mm2以上が好ましい硬度である。
実施例1〜実施例34および比較例1〜比較例2の印画物の作製において、上記画像形成方法に従い、平均膜厚が12μmのベタ画像の描画を行った。前記ベタ画像を、幅2.5cm、長さ5.0cmに切り出し、(株)島津製作所製精密万能試験機(オートグラフAGS−J)、及び、サーモスタティックチャンバーTCR2W−200Pを用いて50mm/minの速度、180℃環境下での引っ張り試験を行い、長さに対する伸長率を測定した。初期長から2倍の長さまで伸びた状態を伸び率100%と定義した。延伸率の許容範囲は150%以上であり、300%以上であることが好ましい。
※※上記表中の空欄は、含有していないことを表す。
※※上記表中の空欄は、含有していないことを表す。
Claims (16)
- (成分A)エチレン性不飽和二重結合を有さず、かつシルセスキオキサン構造を有する分子量300以上3000未満の化合物、
(成分B)単官能重合性化合物、
(成分C)重合開始剤及び
(成分D)着色剤を含み、
全重合性化合物の合計含有量に対する(成分B)単官能重合性化合物の含有量が80質量%以上である、インク組成物。 - 前記シルセスキオキサン構造が、構造式(A)で表される構造である、請求項1に記載のインク組成物。
(構造式(A)中、Rxは、ハロゲン原子、シアノ基、チオール基、−PRa 2(Raはアリール基)、−SiRc 3(Rcはアルキル基)、アミノ基、アリール基又はアルキル基を表し、Ryは単結合、−COO−、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、−SO2−、−O−、−SiRb 2−(Rbはアルキル基)又は−NH−基を表す。*は結合位置を表す。) - 前記構造式(A)におけるRxがチオール基、−PRa 2(Raはアリール基)、−SiRc 3(Rcはアルキル基)、アルキル基又はアリール基であり、Ryがアルキレン基、アルキレンオキシ基又は単結合である、請求項2に記載のインク組成物。
- 前記構造式(A)におけるRxがアリール基又はアルキル基であり、Ryが単結合である、請求項2に記載のインク組成物。
- 前記シルセスキオキサン構造が、かご型である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記(成分A)化合物が、下記一般式(A−2)で表される、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のインク組成物。
(一般式(A−2)中、Rxは、ハロゲン原子、シアノ基、チオール基、−PRa 2(Raはアリール基)、−SiRc 3(Rcはアルキル基)、アミノ基、アリール基又はアルキル基を表し、Ryは単結合、−COO−、アルキレン基、アリーレン基、アルキレンオキシ基、−SO2−、−O−、−SiRb 2−(Rbはアルキル基)又は−NH−基を表す。複数存在するRx及びRyは互いに同一であっても異なっていても良い。) - 前記一般式(A−2)におけるRxがアリール基又はアルキル基であり、Ryが単結合である、請求項6に記載のインク組成物。
- 前記単官能重合性化合物として、N−ビニル化合物又は(メタ)アクリルアミド化合物を含む、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 前記N−ビニル化合物が、下記式(V)で表される、請求項8に記載のインク組成物。
- 前記(メタ)アクリルアミド化合物が、下記式(M−1)で表される、請求項8に記載のインク組成物。
(一般式(M−1)中、Q1は単結合、アルキレンオキシ基又はアルキレン基を表す。
Q2は水素原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、水酸基、スルホ基又はアシル基をあらわす。Q3は水素原子又はアルキル基を表す。Q2とQ3は互いに結合して環を形成していてもよい。Rmは水素原子またはメチル基を表す。) - インク組成物全量に対して、(成分B)単官能重合性化合物を80〜99質量%含む、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のインク組成物。
- インク組成物全量に対して、(成分A)化合物を0.1〜20質量%含む、請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のインク組成物。
- インクジェット記録用である、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のインク組成物。
- 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載のインク組成物を記録媒体上に付与するインク付与工程と、
前記インク組成物に活性エネルギー線を照射する照射工程とを含む、画像形成方法。 - 前記インク付与工程は、インクジェット法により前記インク組成物を付与する工程である、請求項14に記載の画像形成方法。
- 請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載したインク組成物を用いて形成した印画物。
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