JP2012158487A - 多孔質活性炭素基材の製造方法およびキャパシタ - Google Patents
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Abstract
【課題】 多孔質炭素基材をガス賦活処理する際、多孔質炭素基材の面内の賦活度合いにバラツキが生じ、ハンドリングが困難であった。
【解決手段】 多孔質炭素基材にガス賦活処理時に、多孔質炭素基材を高熱伝導性とガス透過性を有する棚板の間に積層してガス賦活を行なうこととする。
【選択図】 図1
【解決手段】 多孔質炭素基材にガス賦活処理時に、多孔質炭素基材を高熱伝導性とガス透過性を有する棚板の間に積層してガス賦活を行なうこととする。
【選択図】 図1
Description
この発明は、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタの電極などに用いられる高電子伝導性を有する多孔質炭素基材の製造方法に関する。
電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタの電極には、静電容量を確保するために比表面積が大きいことや、充放電時に電子を輸送するための電子伝導性、成型体としての構造を維持するための強度などの機能が要求される。
このような電極材料を得る方法として、特許文献1には、セルロース質繊維と熱硬化性樹脂からなる組成物を炭化焼成後に粉砕してなるカーボン粉末をセルロース質繊維と共に抄紙したシートに、熱硬化性樹脂を含浸して硬化し、炭化焼成後、賦活処理することが記載されている。
また、特許文献2には、固相炭化する有機高分子繊維を抄紙したものに、フェノール樹脂液を含浸させた多孔質シートを焼成炭化し、水蒸気賦活する電極用多孔質活性炭素材の製造方法が記載されている。
さらに、特許文献3には、パルプ、レーヨンなどの原料を抄紙して得た平均気孔径50〜150μm、気孔率50%以上の抄造紙を積層して基材とし、これにフェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸して加熱硬化、焼成炭化した後、炭酸ガス雰囲気下で賦活化処理して、多孔質ガラス状カーボンシートを製造することが記載されている。
しかし、多孔質炭素基材を炉内でガス賦活処理して高比表面積の多孔質活性炭素基材とする場合において、多孔質炭素基材の面内で賦活が不均一に進み、作製された多孔質活性炭素基材の部位毎の比表面積にバラツキが生じたり、多孔質活性炭素基材に反りが生じたりする問題があった。
さらには、部分的に賦活が必要以上に進み、その箇所が脆くなり、多孔質活性炭素基材に破損を生じるといった問題があった。従って、多孔質炭素基材の各部位間の賦活速度の差を小さくする必要があった。
本願の発明者は、多孔質炭素基材を賦活処理する工程において、多孔質炭素基材の面内に温度分布が生じ、この温度差に起因する反応速度の差により、多孔質炭素基材の面内の賦活度合いにバラツキが生じていることを見出した。
そこで上記課題を解決するために、本願発明は、多孔質炭素基材にガス賦活処理を施してなる多孔質活性炭素基材の製造方法において、前記多孔質炭素基材よりも高い熱伝導率を有し、かつ、ガス透過性を有する棚板の間に、前記多孔質炭素基材を1枚または複数枚積層してガス賦活を行なうこととした。
上記の棚板としては、多孔質黒鉛板を好ましく用いることができ、前記棚板の沿面方向の熱伝導率が5W/m・K以上であることが好ましい。
また、前記ガス賦活処理中の多孔質炭素基材の面内の温度差(最高温度部位と最低温度部位の温度差)は20℃以下とすることが好ましく、15℃以下とすることがさらに好ましい。前記ガス賦活処理時の多孔質炭素基材の表面温度を600℃〜1500℃から選択される設定温度に制御することが好ましい。
また、前記ガス賦活処理中の多孔質炭素基材の面内の温度差(最高温度部位と最低温度部位の温度差)は20℃以下とすることが好ましく、15℃以下とすることがさらに好ましい。前記ガス賦活処理時の多孔質炭素基材の表面温度を600℃〜1500℃から選択される設定温度に制御することが好ましい。
さらに、これらの製造方法により作製された多孔質活性炭素基材を電極に用いて、キャパシタを構成した。
本発明の製造方法によれば、均一な比表面積を有し、ハンドリング性が高い多孔質活性炭素基材をえることができる。また、この多孔質活性炭素基材は、高電子伝導性を有し、且つ均一な細孔構造を有することから、電気二重層キャパシタやリチウムイオンキャパシタなどのキャパシタの電極に用いることにより、良好な電極特性のキャパシタを得ることができる。
本発明の多孔質活性炭素基材の製造方法においては、ガス賦活処理時の多孔質炭素基材内に生じる温度差を低減するために、熱伝導性の高い材料からなる棚板で多孔質炭素基材を挟んで賦活処理を行なうことを特徴としている。
ガス賦活処理時には、多孔質炭素基材に賦活ガスを接触させて賦活反応を行なわせる必要があることから、棚板は、ガス透過性を有するものであることが必要であり、また賦活反応温度において安定であることが必要である。棚板に要求される高熱伝導性、ガス透過性および耐熱性の要件を満たすものとして、多孔質炭素基材を黒鉛化したものを用いることができる。
以下、図1を参照しながら、本発明の実施例において説明する。
針葉樹未晒クラフトパルプと、捲縮処理が施された炭素繊維(商品名「ドナカーボ・Sチョップ」、ドナック社製)を、パルプと炭素繊維とを質量比で80対20の割合で混合し、水を加えてスラリー状の組成物とした。この組成物をろ過成形することで、厚さ6mmの成形体を得た。
次に、得られた成形体にフェノール樹脂を含浸させて、フェノール樹脂含有率が35質量%の成形体とした。この成形体を120℃で20分、温風乾燥することで樹脂を硬化させた。
その後、この成形体を、不活性ガス雰囲気下、900℃で焼成することにより、成形体に含まれるパルプとフェノール樹脂を炭化すると共に、タールなどの余分な成分を除去した。これにより、炭素のみからなる多孔質炭素基材が得られた。得られた多孔質炭素基材は厚さ3mm、嵩密度は0.6g/ccであった。
上記により得られた多孔質炭素基材を一辺30mmの矩形状に切り出し、これを、賦活処理対象の多孔質炭素基材(試料)とした。
一方、この試料よりも一回り多く切り出した多孔質炭素基材を2800℃で黒鉛化処理して作製した多孔質黒鉛板を棚板とした。
次に、図1に示すように、石英管管状炉1内に、多孔質黒鉛板2の間に一枚ずつ多孔質炭素基材(試料)3を積層して設置した。
上記により得られた多孔質炭素基材を一辺30mmの矩形状に切り出し、これを、賦活処理対象の多孔質炭素基材(試料)とした。
一方、この試料よりも一回り多く切り出した多孔質炭素基材を2800℃で黒鉛化処理して作製した多孔質黒鉛板を棚板とした。
次に、図1に示すように、石英管管状炉1内に、多孔質黒鉛板2の間に一枚ずつ多孔質炭素基材(試料)3を積層して設置した。
なお、本実施例においては棚板の間に設置する試料の枚数は1枚としたが、複数枚としても良い。
本実施例の多孔質黒鉛板からなる棚板の熱伝導率は、20W/m・Kであった。
本実施例の多孔質黒鉛板からなる棚板の熱伝導率は、20W/m・Kであった。
次に、石英管管状炉1内を不活性ガス(N2)流通下で870℃まで昇温し、温度が安定した後、CO2ガスに切り替えて、流量2L/分、流速2.2cm/sでCO2ガスを流通させて12時間賦活処理を行った。
炉の温度制御は、炉の中央に設置した試料3の中央部(図2のE点)に取り付けた熱電対の測定値が、設定温度である870℃となるように行った。なお、賦活処理中の試料3面内の温度分布は、図1の破線で示した試料3と棚板2との間に、熱伝対を挿入して測定した。
多孔質炭素基材(試料)3面上の熱伝対の設置箇所を図2に示す。図2に示すように、試料3面上のA〜Iの部位合計9箇所の温度を測定したところ、何れも設定温度(870℃)〜870℃+15℃の範囲内であった。
ガス賦活処理後の多孔質活性炭素基材の比表面積をN2-BETにより測定した。比表面積の測定は、図2に示すA〜Iの温度測定点のうち、最低温度部である試料中心部(E点)および最高温度部(F点)について行なった。その結果、比表面積は、最低温度部である試料中心部(E点)で1600m2/g、最高温度部(F点)で1800m2/gであった。また、厚さ方向の電子伝導度は2S/cmであり、高電子伝導性を有し、かつ均一な細孔構造を有する多孔質活性炭素基材を作製できた。
さらに、同じ製法により作製した多孔質炭素基材と棚板とを用い、賦活時間のみを6hおよび20hに変更して多孔質活性炭素基材を作成した。
比較例1として、棚板として熱伝導率2.59W/m・Kの多孔質アルミナ(商品名「AZPW-40」、アルザック社製)を用いた。また、比較例2として、棚板に熱伝導率0.6W/m・Kの多孔質ジルコニア(商品名「多孔質中空ジルコニアセラミックス」、ティーイーピー社製)を用いた。比較例1および2共に、棚板を変えた点以外は、実施例と同じ多孔質炭素基材を同じ条件でガス賦活処理を行なった。
これらの実施例および比較例1、2の賦活条件および作製された多孔質活性炭素基材の物性について表1に示す。
棚板に、熱伝導率20W/m・Kの多孔質黒鉛化基材を用いた実施例においては、賦活時の試料の最高温度部と最低温度部との温度差は15℃以下であり、賦活時間を6時間、12時間,20時間の何れとした場合も、最高温度部と最低温度部の比表面積の差は300m2/g以下であった。その結果、作製した多孔質活性炭素基材に割れや崩れなどの破損が生じることなくハンドリングが良好な多孔質活性炭素基材となった。
一方、棚板に熱伝導率2.6W/m・Kの多孔質アルミナを用いた比較例1においては、賦活時の試料の最高温度部と最低温度部との温度差は27℃であり、最高温度部と最低温度部の比表面積の差は賦活時間が6時間では300m2/g、12時間では 800m2/g、20時間では測定不能であった。その結果、賦活時間12時間以上で割れや外周部の崩れといった破損が生じた。
また、棚板に熱伝導率0.6W/m・Kの多孔質ジルコニアを用いた比較例2においては、賦活時の試料の試料中心温度と最高温度部との差が最高温度部と最低温度部との温度差は52℃であり、最高温度部と最低温度部の比表面積の差は賦活時間が6時間では600m2/g、12時間では測定不能、20時間では測定不能であった。その結果、何れの賦活時間の場合においても、割れや外周部崩れ等の破損が生じた。
さらに、本実施例により得られた多孔質活性炭素基材により作製した電極を用いて、電気二重層キャパシタまたは、リチウムイオンキャパシタを作製することにより、静電容量が大きく、電子伝導性に優れる電極を備えたキャパシタを得ることができた。
1 石英管管状炉
2 多孔質黒鉛板(棚板)
3 多孔質炭素基材(試料)
2 多孔質黒鉛板(棚板)
3 多孔質炭素基材(試料)
Claims (6)
- 多孔質炭素基材にガス賦活処理を施してなる多孔質活性炭素基材の製造方法において、
前記多孔質炭素基材よりも高い熱伝導率を有し、かつ、ガス透過性を有する棚板の間に、前記多孔質炭素基材を1枚または複数枚積層してガス賦活を行なうことを特徴とする多孔質活性炭素基材の製造方法。 - 前記棚板が多孔質黒鉛板であることを特徴とする、請求項1に記載の多孔質活性炭素基材の製造方法。
- 前記棚板の沿面方向の熱伝導率が5W/m・K以上であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質活性炭素基材の製造方法。
- 前記ガス賦活処理中の多孔質炭素基材の面内の温度の差が20℃以下であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の多孔質活性炭素基材の製造方法。
- 前記ガス賦活処理時の多孔質炭素基材の表面温度を600℃〜1500℃から選択される設定温度に制御することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の多孔質活性炭素基材の製造方法。
- 請求項1〜5の何れかに記載の方法により製造された多孔質活性炭素基材を電極に用いたキャパシタ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2011018296A JP2012158487A (ja) | 2011-01-31 | 2011-01-31 | 多孔質活性炭素基材の製造方法およびキャパシタ |
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JP (1) | JP2012158487A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2016039268A1 (ja) * | 2014-09-09 | 2016-03-17 | 株式会社東北テクノアーチ | 多孔質黒鉛の製造方法および多孔質黒鉛 |
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2011
- 2011-01-31 JP JP2011018296A patent/JP2012158487A/ja active Pending
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WO2016039268A1 (ja) * | 2014-09-09 | 2016-03-17 | 株式会社東北テクノアーチ | 多孔質黒鉛の製造方法および多孔質黒鉛 |
JPWO2016039268A1 (ja) * | 2014-09-09 | 2017-06-22 | 株式会社 東北テクノアーチ | 多孔質黒鉛の製造方法および多孔質黒鉛 |
US10403900B2 (en) | 2014-09-09 | 2019-09-03 | Tohoku Techno Arch Co., Ltd. | Method for producing porous graphite, and porous graphite |
US10763511B2 (en) | 2014-09-09 | 2020-09-01 | Tohoku Techno Arch Co., Ltd. | Method for producing porous graphite, and porous graphite |
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