JP2012127197A - 予混合圧縮自己着火エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】主に負荷が上昇するような加速時、または主に回転速度が上昇するような加速時のいずれにおいても、異常燃焼や失火を起こすことなく適正に混合気を自着火させる。
【解決手段】第1運転領域A1からこれよりも負荷が高い第2運転領域A2に移行するような加速時には、少なくとも第2運転領域A2への移行後の所定期間、圧縮行程後半および膨張行程前半の少なくとも2回に分けてインジェクタ21から燃料を噴射させる分割噴射を行う。一方、第1運転領域A1からこれよりも回転速度が高い第3運転領域A3に移行するような加速時には、第3運転領域A3への移行後において、インジェクタ21からの燃料噴射時期を圧縮行程後半に設定しつつ加熱手段(22)を作動させる。
【選択図】図10

Description

本発明は、ガソリンを含有する燃料により駆動され、少なくともエンジンの低回転かつ低負荷域に設定された第1運転領域で、上記燃料と空気とが混合された混合気を圧縮、高温化して自着火させる予混合圧縮自己着火エンジンに関する。
従来、下記特許文献1に示されるように、天然ガスを燃料とする予混合圧縮自己着火エンジンにおいて、エンジンが低負荷域で運転されているときに、グロープラグ(加熱手段)を用いて筒内を加熱しながら予混合圧縮自己着火燃焼を行わせる技術が知られている。
具体的に、この特許文献1では、エンジンの低負荷域で、吸気弁と排気弁とをともに閉じる期間を排気行程から吸気行程にかけて設定することにより、既燃ガスの一部を次回サイクルの混合気と混合させるとともに、このように既燃ガスと混合された混合気をグロープラグによって燃料の自着火温度以上に加熱するようにしている。
上記のように、グロープラグを用いて混合気を加熱するようにすれば、燃料が少なく筒内温度の低い低負荷域であっても、着火性を充分に確保して、混合気を確実に自着火させることができる。
特開2004−316593号公報
上記特許文献1に開示された予混合圧縮自己着火エンジンは、天然ガスを燃料とするエンジンであったが、例えば自動車用の動力源としては、ガソリンを燃料とするガソリンエンジンがより広く使用されており、このようなガソリンエンジンにおいても、燃料と空気との混合気を圧縮して自着火させる予混合圧縮自己着火燃焼の研究は盛んに行われている。
上記のようにガソリンを燃料とした予混合圧縮自己着火エンジンであっても、例えば燃料の噴射量の少ない低負荷域では着火性が悪いという事情は同じであり、そこでの着火性をいかに確保するかが問題となる。もちろん、上記特許文献1と同様に、低負荷域でグロープラグによる加熱を行うことも考えられるが、例えば、エンジンの圧縮比を充分に高くすれば、筒内が充分に高温化し、着火性が高まるため、燃料噴射量が少ない低負荷域であってもグロープラグを使用する必要はない。実際のところ、本願発明者等による研究によれば、圧縮比を一般的なガソリンエンジンの圧縮比(例えば9〜11程度)よりもある程度高めたエンジンであれば、たとえ低負荷であっても、グロープラグ等の着火アシスト手段を用いることなく、混合気を安定的に自着火させられることが既に確認されている。
ただし、このように圧縮比を高めたガソリンエンジンにおいて、低負荷域での運転から、例えば車両を比較的勢いよく加速させるために大きくアクセルペダルが踏み込まれ、負荷が高い(燃料噴射量が多い)運転領域に瞬時に移行したような場合には、低負荷域と同じ条件で適正な予混合圧縮自己着火燃焼を行わせることは困難となる。すなわち、低負荷域での運転から、主に負荷のみが増大し、燃料噴射量が急激に増やされたような状況で、低負荷域と同じ燃料噴射時期(例えば吸気行程中)を維持しつつ予混合圧縮自己着火燃焼を行わせようとした場合には、筒内の高温化に起因して、例えば混合気の自着火のタイミングが早くなり過ぎるプリイグニッションと呼ばれる異常燃焼が発生するおそれがある。
一方、予混合圧縮自己着火燃焼は、エンジン回転速度が高くなると起き難くなる。すなわち、エンジン回転速度が高いと、燃料が高温・高圧に晒される時間(受熱期間)が短いため、燃料が充分に活性化しないまま圧縮上死点を過ぎてしまい、混合気が自着火しない(失火が起きる)可能性が高くなる。このため、例えばエンジンの低回転・低負荷域から、比較的緩やかな加速が行われ、主に回転速度のみが上昇したような場合に、特に失火が起き易くなってしまい、このような状況での着火性をいかに確保するかが問題となっていた。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、主に負荷が上昇するような加速時、または主に回転速度が上昇するような加速時のいずれにおいても、異常燃焼や失火を起こすことなく適正に混合気を自着火させることが可能な予混合圧縮自己着火エンジンを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、ガソリンを含有する燃料により駆動され、少なくともエンジンの低回転かつ低負荷域に設定された第1運転領域で、上記燃料と空気とが混合された混合気を圧縮、高温化して自着火させる予混合圧縮自己着火エンジンであって、上記エンジンの筒内温度を強制的に上昇させる加熱手段と、上記燃料を筒内に噴射するインジェクタと、上記加熱手段およびインジェクタを制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、上記第1運転領域で運転されている状態から当該領域よりも負荷が高い第2運転領域に移行するような加速時には、少なくとも上記第2運転領域への移行後の所定期間、圧縮行程後半および膨張行程前半の少なくとも2回に分けて上記インジェクタから燃料を噴射させる分割噴射を行うことにより、混合気を自着火させる一方、上記第1運転領域で運転されている状態から上記第1、第2運転領域よりも回転速度が高い第3運転領域に移行するような加速時には、上記第3運転領域への移行後において、上記インジェクタからの燃料噴射時期を圧縮行程後半に設定しつつ上記加熱手段を作動させることにより、混合気を自着火させることを特徴とするものである(請求項1)。
なお、「筒内温度を強制的に上昇させる加熱手段」とは、ピストンによる圧縮作用以外の方法で筒内温度を上昇させる手段をいう。
本発明によれば、主に負荷が上昇するような比較的急な加速時に、圧縮行程後半および吸気行程前半に分けて燃料を噴射する制御(分割噴射)を実行することにより、前段の(圧縮行程後半の)燃料噴射から大きな遅れを伴うことなく混合気を自着火させることができるとともに、それに続く後段の(膨張行程前半の)燃料噴射に基づき燃焼を継続させることにより、ノッキング等につながる急激な熱エネルギーの発生を防止しながら、全体として負荷に応じた高い出力を確保することができる。
また、主に回転速度が上昇するような比較的緩やかな加速時に、燃料噴射時期を圧縮行程後半に設定しつつ、加熱手段を作動させて筒内温度を強制的に上昇させるようにしたため、回転速度が速く(つまり燃料の受熱期間が短く)混合気の着火性が悪化し易い状況でも、失火を起こすことなく確実に混合気を自着火させることができる。
なお、上記加熱手段としては、通電により発熱する発熱部を筒内に有したグロープラグが好適である(請求項2)。
上記構成において、好ましくは、上記制御手段は、上記第1運転領域から第2運転領域に移行する加速時に、当該第2運転領域に移行した時点から、上記分割噴射を実行するとともに上記グロープラグへの通電を開始し、その後グロープラグの発熱部の温度が所定値以上に上昇した時点で上記分割噴射を解除して、上記インジェクタからの燃料噴射時期を圧縮行程後半のみに設定する(請求項3)。
この構成によれば、燃費の悪化を効果的に防止しつつ、圧縮自己着火燃焼を適正に継続させることができる。すなわち、分割噴射が実行されると、燃焼の終期が遅れて排気損失等が増大するため、このような分割噴射に基づく燃焼を継続的に行った場合には、加速中の燃費が悪化してしまうおそれがある。これに対し、上記構成では、グロープラグが充分に昇温し、分割噴射しなくても(多量の燃料を1回で噴射しても)混合気が速やかに自着火する状態がつくり出されると、その後は、圧縮行程後半の1回で燃料を噴射し、その燃料噴射に基づく短期間の燃焼を行わせるようにしたため、加速に必要な高出力を確保しながら、燃費の悪化を最小限に抑えることができる。
上記構成において、好ましくは、上記制御手段は、上記第1運転領域から第3運転領域に移行する加速時に、当該第3運転領域に移行した時点から上記グロープラグへの通電を開始し、その後グロープラグの発熱部の温度が所定値以上に上昇した時点で、上記インジェクタからの燃料噴射時期を圧縮行程後半に設定する(請求項4)。
このように、グロープラグが充分に発熱してから燃料噴射時期を圧縮行程後半に設定するようにした場合には、グロープラグが冷えている状態でむやみに噴射時期が遅角されることによる失火を防止することができる。また、第1運転領域から第3運転領域に移行するような加速は、比較的緩やかな加速であるため、グロープラグが充分に発熱するまでにそれ程大きく回転速度が上昇することがない。このため、グロープラグが充分に発熱するまでの間に重大な失火が起きるような心配はなく、上記第3運転領域への移行直後でも圧縮自己着火燃焼を適正に継続させることができる。
上記構成において、好ましくは、上記制御手段は、上記グロープラグの発熱部の温度が予め定められた上限値まで上昇すると、上記第2運転領域または第3運転領域での運転が継続されていても、上記グロープラグへの通電量を低下させる(請求項5)。
この構成によれば、グロープラグの過度の昇温を防止してその信頼性を確保できるとともに、必要最小限の電流でグロープラグを発熱させることにより、混合気の着火性を効率よく確保することができる。
本発明において、好ましくは、上制御手段は、上記第1運転領域における上記インジェクタからの燃料噴射時期を、吸気行程中に設定する(請求項6)。
この構成によれば、吸気行程中に噴射された燃料を圧縮行程にかけて充分に空気と混合し、それによって形成された均一な混合気をピストンの圧縮作用で高温化することにより、混合気を確実に自着火させることができるとともに、燃焼効率をより高めることができる。
上記構成において、好ましくは、上記制御手段は、エンジンの吸排気弁の動作を制御する機能を有し、上記第1運転領域では、上記吸排気弁の動作制御に基づいて、筒内で生成された既燃ガスの一部を筒内に残留させる内部EGRを実行する(請求項7)。
この構成によれば、高温の既燃ガスを利用して混合気の自着火を促進できるとともに、ポンピングロスを効果的に低減して燃費をより改善することができる。
以上説明したように、本発明の予混合圧縮自己着火エンジンによれば、主に負荷が上昇するような加速時、または主に回転速度が上昇するような加速時のいずれにおいても、異常燃焼や失火を起こすことなく適正に混合気を自着火させることができる。
本発明の一実施形態にかかるエンジンの全体構成を示す図である。 エンジンの制御系を示すブロック図である。 エンジンの運転状態に応じた燃焼形態を選択するための制御マップの一例を示す図である。 第1加速モードにおける運転点の変化を上記制御マップ上に現した図である。 第2加速モードにおける運転点の変化を上記制御マップ上に現した図である。 上記制御マップ上の第1運転領域(A1)でエンジンが運転されているときに実行される制御の内容を説明するための図である。 上記第1運転領域(A1)から第2運転領域(A2)に移行した直後に行なわれる制御の内容を説明するための図である。 上記図7に引き続いて行なわれる制御の内容を説明するとともに、上記第1運転領域(A1)から第3運転領域(A3)に移行したときに行われる制御の内容を説明するための図である。 異常燃焼が起きるケースを説明するための図であり、(a)はプリイグニッションの発生を、(b)はノッキングの発生を示している。 第1加速モード(図4の矢印X1)のときの燃料噴射時期やグロー通電量等の時間変化を示すタイムチャートである。 第2加速モード(図5の矢印X2)のときの燃料噴射時期やグロー通電量等の時間変化を示すタイムチャートである。
(1)エンジンの全体構成
図1は、本発明の一実施形態にかかるエンジンの全体構成を示す図である。本図に示されるエンジンは、走行駆動用の動力源として車両に搭載される往復ピストン型の多気筒ガソリンエンジンである。このエンジンのエンジン本体1は、紙面に直交する方向に並ぶ複数の気筒2(図中ではそのうちの1つのみを示す)を有するシリンダブロック3と、シリンダブロック3の上面に設けられたシリンダヘッド4と、シリンダブロック3の各気筒2に往復摺動可能に挿入されたピストン5とを有している。なお、エンジン本体1に供給される燃料は、ガソリンを主成分とするものであればよく、その中身は、全てガソリンであってもよいし、ガソリンにエタノール(エチルアルコール)等を含有させたものでもよい。
上記ピストン5はコネクティングロッド8を介してクランク軸7と連結されており、上記ピストン5の往復運動に応じて上記クランク軸7が中心軸回りに回転駆動されるようになっている。
上記ピストン5の上方には燃焼室6が形成され、燃焼室6に吸気ポート9および排気ポート10が開口し、各ポート9,10を開閉する吸気弁11および排気弁12が、上記シリンダヘッド4にそれぞれ設けられている。
ここで、「燃焼室」とは、狭義には、ピストン5が上死点にあるときにその上方に形成される空間のことを指すため、以下では、ピストン5の上下位置にかかわらずその上方に形成される空間(広義の燃焼室)のことを指すときは、「気筒2の内部」、あるいは単に「筒内」と称することとする。
上記吸気弁11および排気弁12は、それぞれ、シリンダヘッド4に配設された一対のカムシャフト等を含む動弁機構13,14によりクランク軸7の回転に連動して開閉駆動される。
上記吸気弁11および排気弁12用の各動弁機構13,14には、VVT15,16がそれぞれ組み込まれている。VVT15,16は、可変バルブタイミング機構(Variable Valve Timing Mechanism)と呼ばれるものであり、吸排気弁11,12の動作タイミングを可変的に設定するものである。なお、VVT(可変バルブタイミング機構)としては既に様々な形式のものが実用化されて公知であるため、ここでは上記VVT15,16の構造についての詳細な説明は省略する。
上記シリンダブロック3やシリンダヘッド4の内部には、冷却水が流通する図外のウォータジャケットが設けられており、このウォータジャケット内の冷却水の温度を検出するためのエンジン水温センサSW1が、上記シリンダブロック3に設けられている。
また、上記シリンダブロック3には、クランク軸7の回転速度をエンジンの回転速度として検出するエンジン回転速度センサSW2が設けられている。
上記シリンダヘッド4には、点火プラグ20、インジェクタ21、およびグロープラグ22が、各気筒2につき1組ずつ設けられている。
上記点火プラグ20は、排気側(図1の左側)の側方から筒内(気筒2の内部)を臨むように設けられている。点火プラグ20の先端は、筒内に突出する電極部とされ、図外の点火回路からの給電に応じて電極部から筒内に向けて火花が放電されるようになっている。
上記インジェクタ21は、筒内をその上方から臨むように設けられており、図外の燃料供給管から供給される燃料(ガソリンを含む燃料)を筒内に向けて噴射する噴射口を先端に有している。そして、このインジェクタ21の噴射口から噴射された燃料と筒内の空気とが混合されることで、燃料と空気からなる混合気が筒内に形成されるようになっている。
上記グロープラグ22は、本発明にかかる加熱手段に相当するもので、吸気側(図1の右側)の側方から筒内を臨むように設けられている。グロープラグ22の先端は、筒内に突出する発熱部とされ、この発熱部が必要に応じ通電されることにより、筒内が加熱されるようになっている。
また、上記グロープラグ22には、その発熱部の温度を検出するためのグロー温度センサSW3(図2参照)が設けられている。
以上のように構成されたエンジン本体1は、その幾何学的圧縮比が16以上22以下に設定されている。すなわち、一般的なガソリンエンジンの幾何学的圧縮比が約9〜11程度であるのに対し、当実施形態のエンジン本体1では、その幾何学的圧縮比が、16以上22以下というかなり高い値に設定されている。
上記エンジン本体1の吸気ポート9および排気ポート10には、吸気通路23および排気通路24がそれぞれ接続されている。すなわち、外部からの吸入空気(新気)が上記吸気通路23を通じて筒内に供給されるとともに、筒内で生成された既燃ガス(排気ガス)が上記排気通路24を通じて外部に排出されるようになっている。
上記吸気通路23には、その内部を流通して筒内に導入される新気の量を調節するためのスロットル弁25が設けられている。このスロットル弁25は、電子制御式のスロットル弁からなり、車両(図1のエンジンが搭載された車両)に備わる図外のアクセルペダルの開度に応じて電気的に開閉駆動される。すなわち、アクセルペダルにはアクセル開度センサSW4(図2)が設けられており、このアクセル開度センサ33により検出されたアクセルペダルの開度(アクセル開度)に基づいて、図外の電気式のアクチュエータがスロットル弁25を開閉駆動する。ただし、当実施形態のエンジンでは、後述する内部EGR(既燃ガスの残留操作)によっても新気の量が調節されるため、必ずしもアクセル開度に比例してスロットル弁25が駆動されるわけではない。
上記排気通路24には、排気ガス浄化用の触媒コンバータ26が設けられている。触媒コンバータ26には例えば三元触媒が内蔵されており、排気通路24を通過する排気ガス中の有害成分が上記三元触媒の作用により浄化されるようになっている。
(2)制御系
図2は、エンジンの制御系を示すブロック図である。本図に示されるECU30は、エンジンの各部を統括的に制御するための装置であり、周知のCPU、ROM、RAM等から構成されている。
上記ECU30には、各種センサからの種々の情報が入力される。例えば、ECU30は、上記エンジン水温センサSW1、エンジン回転速度センサSW2、グロー温度センサSW3、およびアクセル開度センサSW4と電気的に接続されており、これら各センサSW1〜SW4による検出情報として、エンジンの冷却水温Tw、エンジンの回転速度Ne、グロープラグ22の発熱部の温度(発熱温度)Tg、アクセル開度Acといった種々の情報が、それぞれECU30に入力されるようになっている。
また、上記ECU30は、上記VVT15,16、点火プラグ20、インジェクタ21、グロープラグ22、およびスロットル弁25とも電気的に接続されており、これらの装置にそれぞれ駆動用の制御信号を出力するように構成されている。
上記ECU30が有するより具体的な機能について説明すると、上記ECU30は、その主な機能的要素として、判定手段31、燃料制御手段32、点火制御手段32、グロー制御手段34、およびバルブ制御手段35を有している。
上記判定手段31は、エンジン回転速度センサSW2およびアクセル開度センサSW4の各検出値から特定されるエンジンの回転速度Neおよび負荷T(目標トルク)に基づいて、図3の制御マップにおけるいずれの運転領域でエンジンが運転されているかを判定するものである。
具体的に、図3の制御マップでは、エンジン回転速度Neおよび負荷Tが比較的低い領域(低回転・低負荷域)に、第1運転領域A1が設定されている。また、この第1運転領域A1よりも高負荷側の領域には第2運転領域が設定されており、これら第1運転領域A1および第2運転領域A2よりも高回転側の領域には第3運転領域A3が設定されている。
エンジンの運転中においては、エンジンの運転点(負荷Tおよび回転速度Neの各値から特定される制御マップ上でのポイント)が上記図3中のどの運転領域(A1〜A3)に該当するかに応じて、それぞれ適切な燃焼形態が選択されるようになっている。なお、各運転領域でそれぞれどのような燃焼形態が選択されるかについては後述する。
上記燃料制御手段32は、上記インジェクタ21から筒内に噴射される燃料の噴射量や噴射時期を制御するものである。具体的に、この燃料制御手段32は、アクセル開度センサSW4の検出値(アクセル開度Ac)等から演算される負荷T(目標トルク)や、エンジン回転速度センサSW2から特定されるエンジン回転速度Ne等の情報に基づいて、目標とする燃料の噴射量および噴射時期を演算し、その演算結果に基づいてインジェクタ21の開弁時期および開弁期間を制御する。
上記点火制御手段33は、上記点火プラグ20が火花放電を行うタイミング(点火時期)等を制御するものである。ただし、当実施形態では、後述するように、図3に示した第1〜第3運転領域A1〜A3のいずれにおいても、火花点火によらず混合気を自着火させる燃焼形態(圧縮自己着火燃焼)が選択されるため、少なくともエンジンの温間時には、点火プラグ20からの火花点火は停止される。すなわち、点火プラグ20は、例えばエンジンの始動時や極冷間状態での運転時のように、混合気の自着火が困難な場合(火花点火による強制燃焼が必要な場合)にのみ作動し、それ以外のときは基本的に作動しない。
上記グロー制御手段34は、グロープラグ22に電流を供給してその発熱部を昇温させるとともに、上記グロー温度センサSW3の検出値に基づいて、グロープラグの発熱温度Tg(発熱部の温度)が所望の温度になるように制御するものである。
上記バルブ制御手段35は、上記VVT15,16を駆動して吸排気弁11,12の動作タイミングを変更する制御を行うものである。特に、図3中の負荷Tが比較的低い領域(第1運転領域A1や、第3運転領域A3の低負荷側)において、バルブ制御手段35は、上記のような吸排気弁11,12の動作タイミングの制御に基づき、筒内に残留する既燃ガス(内部EGRガス)の量を増減させて、筒内温度の上昇幅を調節する機能を果たす。
(3)各運転領域での燃焼形態
次に、以上のような機能を有するECU30の制御に基づき、図3に示した各運転領域(A1,A2,A3)で、それぞれどのような燃焼形態が選択されるのかを説明する。なお、この説明の前提として、エンジンの冷却水温Twは充分に暖まっている(つまり温間時の運転である)ものとする。したがって、上記運転領域A1〜A3のいずれの場合であっても、火花点火によらず混合気を自着火させる燃焼形態(圧縮自己着火燃焼)が選択されることになる。ただし、適切な圧縮自己着火燃焼を行わせるには、インジェクタ21からの燃料噴射時期やグロープラグ22のON/OFFを運転領域A1〜A3によって変化させる必要があり、ECU30は、エンジンの運転点を逐次判定しながらそのような制御(インジェクタ21やグロープラグ22の制御)を実行する。
すなわち、エンジンの運転が開始されると、ECU30は、上記エンジン回転速度センサSW2およびアクセル開度センサSW4の各検出値に基づいて、エンジンの運転点(負荷Tおよび回転速度Ne)が図3の制御マップにおけるどの運転領域に該当するかを逐次判定する。そして、判定された運転領域が、図3中の第1運転領域A1、第2運転領域A2、および第3運転領域A3の中のいずれであるかに応じて、それぞれ以下のような制御を実行する。
(i)第1運転領域A1
エンジンが第1運転領域A1で運転されている場合は、燃料と空気との混合気をピストン5の圧縮作用によって自着火させる、一般的な予混合圧縮自己着火燃焼が実行される。具体的に、この第1運転領域A1では、圧縮上死点(圧縮行程と膨張行程との間の上死点)よりもかなり手前の段階で(例えば吸気行程中に)インジェクタ21から筒内に燃料を噴射し、この噴射された燃料と、吸気通路23から筒内に導入される空気(新気)とが混合した混合気を、ピストン5の圧縮作用で充分に高温、高圧化することにより、混合気を自着火させる。
図6は、上記第1運転領域A1における燃料噴射の時期θi(°CA)と、その燃料噴射に基づく燃焼により生じる熱発生率RH(J/deg)とを示している。図6の例では、吸気行程の前半、より具体的には、排気上死点(排気行程と吸気行程との間の上死点)から30°CA程度経過した時点で、燃料噴射を開始している。このように吸気行程中に噴射された燃料は、圧縮上死点に至るまでに充分に空気と混合され、それによって形成された均一な混合気が圧縮されて高温化し、圧縮上死点付近で自着火する(予混合圧縮自己着火燃焼)。この燃焼により生じる熱発生率の波形J1は、例えば、圧縮上死点の直前から上昇し始め、圧縮上死点を少し過ぎた時点でピークを迎えるような形状となる。
ここで、第1運転領域A1の中でも特に低負荷寄りの領域では、燃料の噴射量がかなり少ないため、当実施形態のエンジンの圧縮比が比較的高い値(16以上22以下)に設定されているとはいっても、ピストン5による圧縮作用だけでは混合気を確実に自着火させることができないと考えられる。そこで、第1運転領域A1における特に低負荷寄りの領域では、上記VVT15,16による吸排気弁11,12の動作タイミングの設定により、排気行程の途中から吸気行程にかけて吸気弁11および排気弁12の双方が閉じられる期間(いわゆるネガティブオーバーラップ期間)が設けられる。このようなネガティブオーバーラップ期間が設けられると、筒内で生成された高温の既燃ガスの一部が筒内に残留するため(内部EGR)、この残留した既燃ガスの存在によって筒内温度が上昇し、混合気の自着火が促進される。また、既燃ガスを筒内に残留させることにより、スロットル弁25を大幅に絞らなくても新気の量が調節されるため、ポンピングロスが低減される。
(ii)第2運転領域A2
エンジン回転速度Neが低くかつ負荷Tが高い第2運転領域A2は、例えば図4の矢印X1に示すような加速を行ったときに、エンジンの運転点が一時的に通過する領域である。すなわち、車両が停止もしくは低速走行しているような状態から、比較的勢いよく車両を加速させようとして、運転者がアクセルペダルを深く踏み込んだような場合には、上記矢印X1のように、まず負荷Tのみが急激に上昇し、その後エンジン回転速度Neが徐々に上昇するというようにしてエンジンの運転点が変化する。このとき、主に負荷Tのみが上昇する加速初期の段階で、エンジンの運転点が第2運転領域A2を通過する。なお、以下では、上記矢印X1に示したような加速の形態を、第1加速モードと称する。
上記第1加速モードに伴ってエンジンの運転点が第2運転領域A2に移行すると、上記第1運転領域A1のときと異なり、インジェクタ21からの燃料噴射時期θiを大幅に遅く設定し、圧縮行程後半から膨張行程前半までの間に燃料を噴射させるとともに(図6、図7参照)、グロープラグ22を作動させて筒内温度を上昇させる制御が実行される。なお、圧縮行程後半とは、圧縮上死点(圧縮行程と膨張行程との間の上死点)からその手前90°CA(クランク角)までの範囲をいい、膨張行程前半とは、圧縮上死点からその経過後90°CAまでの範囲をいう。
上記のような燃焼形態でエンジンを運転するのは、第2運転領域A2では、第1運転領域A1よりも負荷が高く、噴射される燃料の量が多いことから、プリイグニッションやノッキングが起き易いためである。
すなわち、第2運転領域A2では、燃料噴射量が多いため、発生する熱エネルギーが大きく、筒内が高温化し易い。このため、比較的負荷が低く燃料噴射量の少ない第1運転領域A1と同じタイミング(例えば吸気行程中)で燃料を噴射すると、筒内の高温化に起因して、図9(a)の波形J4に示すように、圧縮行程中の比較的早いタイミングで混合気が自着火してしまい、圧縮上死点よりも前に熱発生率RHがピークを迎えるような異常燃焼(プリイグニッション)が起きるおそれがある。
このとき、筒内への燃料噴射時期θiを大幅に遅らせて、例えば圧縮行程の後半以降に燃料を噴射すれば、燃料が高温に晒される時間が短くなるため、その分だけ自着火のタイミングが遅くなり、上記のようなプリイグニッションを回避できると考えられる。しかしながら、燃料噴射の遅延に伴って自着火の開始タイミングが遅れることで、今度は、図9(b)の波形J5に示すように、自着火をきっかけに一気に大きな熱エネルギーが発生するような異常燃焼(ノッキング)が発生するおそれがある。
上述したプリイグニッションやノッキングが発生すると、エンジンの効率が悪化するばかりでなく、大きな騒音や振動が発生し、ひいてはピストン等の損傷につながる。そこで、プリイグニッションおよびノッキングをともに回避し、適正な圧縮自己着火燃焼を行わせるべく、上記第2運転領域A2では、図7および図8に示すように、燃料噴射時期θiを圧縮行程後半から膨張行程前半までの間に設定しながら、グロープラグ22を作動させて筒内温度を強制的に上昇させるようにしている。
具体的に、エンジンの運転点が第2運転領域A2に移行すると、まず図7に示すように、圧縮行程後半および膨張行程前半の2回(θ1,θ2)に分けてインジェクタ21から燃料を噴射させる制御(分割噴射)が実行される。このような分割噴射が実行されることで、圧縮行程後半になされる1回目の燃料噴射が少ない量で済み、燃料の気化潜熱による筒内温度の低下が抑制されるため、着火遅れ時間が短縮され、例えば図示のように、圧縮上死点の少し手前で自着火を起こすことができる。その後は、1回目の燃料噴射に基づく燃焼の途中(膨張行程前半)で2回目の燃料噴射が行われ、それによる燃焼が引き続き起こることで、図7の波形J2に示すように、急激な熱エネルギーの発生を伴わない比較的長期間の燃焼が実現される。これにより、全体として負荷に応じた高い熱エネルギーを確保しながら、ノッキング等につながる急激な熱エネルギーの発生を回避することができる。
また、上記第2運転領域A2では、上記のような分割噴射の実行と同時に、グロープラグ22に通電してその発熱部の温度Tgを上昇させる制御が開始される。そして、ある程度の時間が経過してグロープラグ22が充分に発熱した後は、上記分割噴射が解除され、図8に示すように、インジェクタ21からの燃料噴射の時期が圧縮行程後半のみに設定される。
すなわち、グロープラグ22への通電開始後、その発熱部の温度Tgが充分に上昇するまでには、わずかながら時間(例えば1,2秒程度)かかるので、その間に限って、図7に示したような分割噴射(圧縮行程後半および膨張行程前半に分けて燃料を噴射する制御)が実行される。一方、通電の継続によりグロープラグ22の発熱温度Tgが充分に(例えば600℃以上に)上昇した後は、比較的多量の燃料を1回で噴射しても、その噴射から大きく遅れることなく自着火が開始されるようになるので、ノッキングのような異常燃焼の心配がなくなり、もはや分割噴射は必要なくなる。そこで、上記グロープラグ22の充分な温度上昇に合わせて、インジェクタ21からの燃料噴射の形態が、図7に示した分割噴射から、図8に示すような、圧縮行程後半の1回で燃料を噴射させる単一噴射に切り替えられる。これにより、負荷に応じた比較的多量の燃料を全て圧縮行程後半の1回で噴射しながら、図中の波形J3に示すように、圧縮上死点から少し遅れて熱発生率RHがピークを迎えるような適正な圧縮自己着火燃焼を引き起こすことができる。
(iii)第3運転領域A3
上記第1、第2運転領域A1,A2よりも回転速度Neが高い第3運転領域A3は、例えば図5の矢印X2に示すような加速を行ったときにエンジンの運転点が入り込む領域である。すなわち、車両が停止もしくは低速走行しているような状態から、緩やかに車両を加速させようとして、運転者がアクセルペダルを浅く踏み続けたような場合には、上記矢印X2のように、負荷Tがそれほど上昇することなく、主に回転速度Neのみが徐々に上昇するというようにしてエンジンの運転点が変化する。そして、このような回転速度Neの上昇の過程で、エンジンの運転点が第3運転領域A3に入り込む。なお、以下では、上記矢印X2に示したような加速の形態を、第2加速モードと称する。
上記第2加速モードに伴ってエンジンの運転点が第3運転領域A3に移行すると、上記第2運転領域A2のときに説明した図8の制御と同様、グロープラグ22を用いて筒内を加熱しながら混合気を自着火させる制御が実行される。すなわち、第3運転領域A3では、エンジンの回転速度Neが比較的高いため、燃料の受熱期間(燃料が圧縮上死点付近の高温環境下に晒される時間)が短く、混合気の自着火が起き難い。このため、グロープラグ22を用いて筒内温度を強制的に上昇させ、混合気が自着火し易い環境をつくり出した上で、インジェクタ21からの燃料を圧縮行程後半に噴射させることにより、混合気を自着火させる。つまり、第3運転領域A3でのグロープラグ22の使用は、第2運転領域A2のときのようにプリイグニッションやノッキングを防止するという目的ではなく、混合気の自着火をアシストする目的で使用される。この場合、燃料の受熱期間が短く混合気が自着火し難いという事情から、インジェクタ21からの燃料の噴射時期θiは、上記第2運転領域A2のときよりも若干進角側にずらされる。
また、第3運転領域A3のうちの特に低負荷側では、内部EGR(筒内に高温の既燃ガスを残留させる操作)を行うことにより、筒内をさらに高温化させ、混合気を確実に自着火させるようにする。
ここで、上記第3運転領域A3に移行した直後にグロープラグ22への通電を開始しても、その発熱部の温度Tgが充分に発熱するまでには、上述したように、ある程度の時間(例えば1,2秒程度)を要する。しかしながら、低回転・低負荷域に設定された第1運転領域A1から、これよりも高回転側の第3運転領域A3にエンジンの運転点が移行するような加速時(図5の矢印X2に示した第2加速モード)においては、図4の矢印X1に示した第1加速モードのときと異なり、比較的ゆっくりと運転点が変化するため、上記第1運転領域A1と第3運転領域A3との境界から少しだけ高回転側に移行する間(例えば図5に示す帯状の領域A3’を通過する間)に、グロープラグ22の発熱温度Tgが充分な温度まで上昇するため、その時点でインジェクタ21からの燃料噴射時期θiを圧縮行程後半まで遅らせることにより、特に重大な失火を招くことなく圧縮自己着火燃焼を継続的に行わせることができる。
(4)動作例
(i)第1加速モード
次に、図4の矢印X1に示した第1加速モードにおいて、インジェクタ21からの燃料の噴射時期やグロープラグ22の通電量等が運転状態の変化とともにどのように制御されるかを、図10に基づき説明する。
図10の各グラフは、上から順に、アクセル開度Ac、エンジン回転速度Ne、エンジン負荷T、インジェクタ21からの燃料噴射時期θi、グロープラグ22の発熱温度(グロー温度)Tg、およびグロープラグ22への通電量(グロー通電量)Igの時間変化を示している。本図に示す運転例では、最初、エンジンがアイドリング状態で運転されており、その後の時点t1で、アクセルペダルが勢いよく踏み込まれて、急加速が開始されている。これにより、極短時間のうちにエンジン負荷Tがかなり高い値(全負荷の80%程度)まで上昇する。なお、図10では、負荷Tが図4の点P1(第1、第2運転領域A1,A2の境界点)に対応する値に達する時点を、時点t2としている。
また、上記のようなアクセルペダルの踏み込み操作とともに、エンジン回転速度Neが上昇を開始する。この回転速度Neの上昇は、負荷Tの上昇よりも緩やかなものとなり、時点t3以降においてアクセルペダルが次第に緩められた後も、回転速度Neは緩やかな上昇を続ける。なお、図10では、エンジン回転速度Neが図4の点P2(第2、第3運転領域A2,A3の境界点)に対応する値に達する時点を、時点t6としている。
上記時点t6以降は、エンジン回転速度Neがさらに高い回転速度(4500rpm程度)まで上昇し、しばらくの間はその高い回転速度が維持されている。そして、時点t7でアクセルペダルがさらに緩められると、負荷Tと回転速度Neがともに低下し、低速運転へと移行している(図4に、このような減速中の運転点の変化を矢印X1’として示す)。なお、図10では、エンジン回転速度Neが図4の点P3(第1、第3運転領域A1,A3の境界点)に対応する値に達する時点を、時点t8としている。
以上のような第1加速モードでの運転の場合、初期状態から、急加速の開始直後の上記時点t2(図4の点P1への到達時点)までの期間は、第1運転領域A1に対応する。したがって、この期間では、吸気行程中にインジェクタ21から燃料を噴射させて、その燃料を充分に空気と混合させつつピストン5の圧縮作用により自着火させる制御(予混合圧縮自己着火燃焼)が実行される。また、このとき、グロープラグ22により筒内を加熱する必要はないため、グロープラグ22への通電は停止される。
一方、上記時点t2から時点t6(図4の点P2への到達時点)までの期間は、第2運転領域A2に対応するため、直ちに(時点t2で)インジェクタ22からの燃料噴射を圧縮行程後半および膨張行程前半の2回に分ける分割噴射が実行されるとともに(図10のW部)、グロープラグ22への通電が開始される。そして、その通電によってグロープラグ22の発熱温度Tg(グロー温度センサSW3の検出値)が所定値Tg1に達した時点t4で、上記分割噴射が解除され、燃料噴射時期θiが圧縮行程後半の1回のみに設定される。すなわち、比較的負荷が高い第2運転領域A2では、噴射される燃料の量が多いため、その噴射された多量の燃料をプリイグニッションやノッキング等を起こすことなく適正に自着火させるべく、上記のような制御が実行される。
次に、上記時点t6から時点t8(図4の点P3への到達時点)までの期間は、第3運転領域A3に対応するため、ここでは、グロープラグ22への通電(筒内の加熱)が継続されるとともに、燃料噴射時期θiが圧縮行程後半の1回に設定される。ただし、燃料噴射時期θiは、上記第2運転領域A2(期間t2〜t6)において圧縮行程噴射が行われるときの噴射時期よりも、若干進角側にずらされる。すなわち、グロープラグ22による加熱を継続しながら、圧縮行程後半(その中でも少し早めの時期)に燃料噴射を実行することにより、回転速度Neが比較的高く燃料の受熱期間が短い第3運転領域A3においても、確実に混合気を自着火させるようにしている。
ここで、上記グロープラグ22による加熱温度(発熱部の温度)Tgは、上記時点t6よりも以前の時点t5において、予め定められた上限値Tg2(例えば1000℃程度)に達しているが、その後は、必要以上の高温化を避けるために、グロープラグ22への通電量Igが低減されている。すなわち、グロープラグ22の発熱部は、一旦ある程度の高温に達してしまえば、通電量Igが少なくても高温状態を維持できるという性質があるため、必要以上の電力の消費を抑えるべく、通電量Igを低下させるようにしている(アフターグロー)。図例では、上記時点t5以降において、通電量Igが100%から50%程度まで低減されている。これに対し、グロープラグ22の発熱温度Tgは、通電量Igの低減後も、上記上限値Tg2と略同じ値に維持されている。
最後に、上記時点t8(図4の点P3への到達時点)よりも後の期間については、第1運転領域A1に対応するため、グロープラグ22への通電が停止されるとともに、インジェクタ21からの燃料噴射時期θiが吸気行程中に戻される。ただし、グロープラグ22への通電が停止されても、直ちにグロープラグ22の発熱温度Tgが低下するわけではないので、その間、燃料噴射時期θiは徐々に進角側に戻され、ある程度発熱温度Tgが低下した時点で、第1運転状態A1における本来の噴射時期(吸気行程の前半)に戻される。これは、グロープラグ22の発熱温度Tgが高いまま(つまり筒内温度が高いまま)いきなり噴射時期θiを吸気行程中の前半まで進角させると、プリイグニッションのような異常燃焼が起きるおそれがあるためである。
(ii)第2加速モード
次に、図5の矢印X2に示した第2加速モードにおいて、インジェクタ21からの燃料の噴射時期やグロープラグ22の通電量等が運転状態の変化とともにどのように制御されるかを、図11に基づき説明する。
図11に示す運転例では、最初、エンジンが低速で運転されており、その後の時点taから、アクセルペダルが徐々に踏み込まれて、緩加速が開始されている。これにより、時点Ta以降、エンジン回転速度Neおよび負荷Tが徐々に上昇している。なお、図11では、回転速度Neが図5の点P4(第1、第3運転領域A1,A3の境界点)に対応する値に達する時点を、時点tbとしている。この時点tb以降は、エンジン回転速度Neがさらに高い回転速度(4000rpm程度)まで上昇し、以後もその高い回転速度が維持される。
以上のような第2加速モードでの運転の場合、初期状態から、緩加速の開始後しばらく経過した上記時点tb(図5の点P4への到達時点)までの期間は、第1運転領域A1に対応する。したがって、この期間では、吸気行程中にインジェクタ21から燃料を噴射して自着火させる制御(予混合圧縮自己着火燃焼)が実行される。また、グロープラグ22による加熱は必要ないため、グロープラグ22への通電は停止される。
一方、上記時点tb以降の期間は、第3運転領域A3に対応するため、直ちに(最初の時点tbで)グロープラグ22への通電が開始される。そして、その通電によってグロープラグ22の発熱温度Tgが所定値Tg1’に達した時点tcで、インジェクタ21からの燃料噴射時期θiが変更され、吸気行程前半から圧縮行程後半まで遅らされる。すなわち、グロープラグ22により筒内を加熱しながら圧縮行程噴射を行うことで、失火し易い高回転域でも確実に混合気を自着火させるようにしている。なお、図示の例では、時点tcで一気に(ステップ状に)噴射時期θiを変化させているが、グロープラグ22の温度上昇に合わせて徐々に噴射時期θiを変化させてもよい。
ここで、上記第3運転領域A3に移行した時点tbから、グロープラグ22の発熱温度Tgが充分に上昇する(燃料噴射時期θiが圧縮行程後半に遅らされる)時点tcまでの期間は、図5の領域A3’(グロープラグ22の加熱に要する期間)に対応する。図11からも分かるように、第2加速モード(緩加速)の場合、第3運転領域A3に移行した時点tbから、グロープラグ22の発熱温度Tgが充分に昇温する時点tcまでの間、エンジン回転速度Neはそれ程大きく上昇しないため、その間に重大な失火が起きるような心配はなく、また、その後は、時点tcでグロープラグ22が充分に昇温していることで、以降の圧縮自己着火燃焼も問題なく行われる。
その後、グロープラグ22の発熱温度Tgは、時点tdで上限値Tg2に達している。このため、この時点td以降は、必要以上の高温化を避けるために、グロープラグ22への通電量Igが低減される(アフターグロー)。
(5)作用効果等
以上説明したように、当実施形態のエンジンは、ガソリンを含有する燃料を筒内に噴射するインジェクタ21と、筒内温度を強制的に上昇させるグロープラグ22(加熱手段)と、上記インジェクタ21およびグロープラグ22を制御するECU30(制御手段)とを備える。そして、ECU30の制御の下、例えばエンジンの低回転・低負荷域に設定された第1運転領域A1からこれよりも負荷の高い第2運転領域A2に移行するような加速時(図4の矢印X1に例示する第1加速モードのとき)には、当該第2運転領域A2に移行した時点t2から、圧縮行程後半および膨張行程前半の2回に分けてインジェクタ21から燃料を噴射させる分割噴射が実行されるとともに、グロープラグ22への通電が開始される。さらに、その後グロープラグ22の発熱部の温度Tgが所定値Tg1以上に上昇した時点t4で、上記分割噴射が解除され、上記インジェクタ21からの燃料噴射時期θiが圧縮行程後半のみに設定される。このような構成によれば、主に負荷Tが上昇するような加速時に、ノッキング等の異常燃焼を防止しながら、負荷に応じた高い出力を適正に確保することができる。
すなわち、上記実施形態では、主に負荷Tが上昇するような比較的急な加速時に、圧縮行程後半および吸気行程前半の2回に分けて燃料を噴射する制御(分割噴射)を実行することにより、1回目の燃料噴射から大きな遅れを伴うことなく混合気を自着火させることができるとともに、それに続く2回目の燃料噴射に基づき燃焼を継続させることにより、ノッキング等につながる急激な熱エネルギーの発生を防止しながら、全体として負荷に応じた高い出力を確保することができる。
また、上記分割噴射の実行と同時に、グロープラグ22に通電を開始しておき、その後グロープラグ22の発熱温度Tgが充分に(所定値Tg1まで)上昇してから、上記分割噴射を解除して、燃料噴射時期θiを圧縮行程後半のみに設定するようにしたため、燃費の悪化を効果的に防止しつつ、圧縮自己着火燃焼を適正に継続させることができる。
すなわち、分割噴射が実行されると、燃焼の終期が遅れて排気損失等が増大するため、このような分割噴射に基づく燃焼を継続的に行った場合には、加速中の燃費が悪化してしまうおそれがある。これに対し、上記構成では、グロープラグ22が充分に昇温し、分割噴射しなくても(多量の燃料を1回で噴射しても)混合気が速やかに自着火する状態がつくり出されると、その後は、圧縮行程後半の1回で燃料を噴射し、その燃料噴射に基づく短期間の燃焼を行わせるようにしたため、加速に必要な高出力を確保しながら、燃費の悪化を最小限に抑えることができる。
また、上記実施形態では、上記第1運転領域A1からこれよりも回転速度Neの高い第3運転領域A3に移行するような加速時(図5の矢印X2に例示する第2加速モードのとき)には、当該第2運転領域A3に移行した時点tbからグロープラグ22への通電が開始され、その後グロープラグ22の発熱部の温度Tgが所定値Tg1’以上に上昇した時点tcで、上記インジェクタ21からの燃料噴射時期θiが圧縮行程後半に設定される。このような構成によれば、主に回転速度Neが上昇するような加速時に、失火を起こすことなく確実に混合気を自着火させることができる。
すなわち、回転速度Neの高い第3運転領域A3では、燃料が高温・高圧に晒される時間(受熱期間)が短く、混合気の自着火が相対的に起き難いが、上記第3運転領域A3への移行時に、グロープラグ22を用いて筒内を加熱しながら圧縮行程後半に燃料を噴射することにより、着火性の悪化を改善し、混合気を確実に自着火させることができる。もちろん、第3運転領域A3へ移行した時点でグロープラグ22に通電を開始しても、直ちにグロープラグ22の発熱温度Tgが充分に上昇するわけではない。しかしながら、第1運転領域A1から高回転側の第3運転領域A3に移行するような加速は、図11に示したように、比較的緩やかな加速であるため、グロープラグ22が充分に発熱するまでにそれ程大きく回転速度Neが上昇するわけではなく、また、グロープラグ22が充分に発熱してから燃料噴射時期θiが圧縮行程後半に設定されるため、その間に重大な失火が起きるような心配はなく、上記第3運転領域A3への移行直後でも圧縮自己着火燃焼は適正に継続される。
また、上記実施形態では、第1運転領域A1から第2運転領域A2または第3運転領域A3への移行に伴いグロープラグ22への通電が開始され、その後グロープラグ22の温度Tgが上限値Tg2まで上昇すると、上記第2運転領域A2または第3運転領域A3での運転が継続されていても、グロープラグ22への通電量Igを低下させるようにしたため、グロープラグ22の過度の昇温を防止してその信頼性を確保できるとともに、必要最小限の電流でグロープラグ22を発熱させることにより、混合気の着火性を効率よく確保することができる。
また、上記実施形態では、低回転かつ低負荷の第1運転領域A1で、インジェクタ21からの燃料噴射時期θiを吸気行程中に設定したため、噴射された燃料を吸気行程から圧縮行程にかけて充分に空気と混合し、それによって形成された均一な混合気をピストンの圧縮作用で高温化することにより、混合気を確実に自着火させることができるとともに、燃焼効率をより高めることができる。
さらに、上記第1運転領域A1では、筒内で生成された既燃ガスの一部を筒内に残留させる内部EGRを実行するようにしたため、高温の既燃ガスを利用して混合気の自着火を促進できるとともに、ポンピングロスを効果的に低減して燃費をより改善することができる。
なお、上記実施形態では、図3等に示したように、エンジンの全ての運転領域(第1〜第3運転領域A1〜A3)で、混合気の自着火による燃焼(圧縮自己着火燃焼)を行うようにしたが、少なくとも高回転かつ高負荷域(図3のマップ領域における右上の角部)については、点火プラグ20による火花点火により混合気を強制的に着火させるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、第1運転領域A1からこれよりも負荷の高い第2運転領域A2に移行した直後に、圧縮行程後半および膨張行程前半の2回に分けて燃料を噴射する制御(分割噴射)を実行するようにしたが、分割噴射としては、圧縮行程後半および膨張行程前半の少なくとも2回の燃料噴射が含まれていればよく、これ以外の時期を含む3回以上の分割噴射を行ってもよい。
また、上記実施形態では、第2運転領域A2への移行時点t2で、圧縮行程後半および膨張行程前半に分けて燃料を噴射する分割噴射を実行し、かつグロープラグ22への通電を開始するとともに、その後グロープラグ22の発熱温度Tgが所定値Tg1まで上昇してから(時点t4以降)は、上記分割噴射を解除して、圧縮行程後半のみで燃料を噴射するようにしたが、上記第2運転領域A2では、グロープラグ22への通電を行うことなく、常に分割噴射によって混合気を自着火させるようにしてもよい。第2運転領域A2は、急加速時に一時的に通過する領域であり、定常的に運転される領域ではないので、同領域で常に分割噴射を行ったとしても、その期間がそれほど長時間に及ぶことはなく、燃費が大幅に悪化することはないと考えられる。
また、上記実施形態では、第1自着火領域A1での着火性を確保するために、吸気弁11および排気弁12の双方が閉じられるネガティブオーバーラップ期間を排気行程から吸気行程にかけて設けることにより、高温の既燃ガスの一部を筒内に残留させる内部EGRを行うようにしたが、例えば排気弁12を排気行程だけでなく吸気行程でも開弁させて、既燃ガスを吸気ポートから筒内に逆流させることにより、内部EGRを実現させてもよい。
また、上記のような内部EGRによる筒内の高温化により、比較的負荷の低い領域での着火性を確保する態様に代えて、点火プラグ20を補助的に点火することで混合気を自着火させる、いわゆる着火アシストを行ってもよい。
また、上記実施形態では、エンジンの筒内温度を強制的に上昇させる加熱手段としてグロープラグ22を用いたが、短時間で昇温が可能なものであればこれに限られない。
11 吸気弁
12 排気弁
21 インジェクタ
22 グロープラグ(加熱手段)
30 ECU(制御手段)
A1 第1運転領域
A2 第2運転領域
A3 第3運転領域
Tg1,Tg1’ (温度の)所定値
Tg2 (温度の)上限値

Claims (7)

  1. ガソリンを含有する燃料により駆動され、少なくともエンジンの低回転かつ低負荷域に設定された第1運転領域で、上記燃料と空気とが混合された混合気を圧縮、高温化して自着火させる予混合圧縮自己着火エンジンであって、
    上記エンジンの筒内温度を強制的に上昇させる加熱手段と、
    上記燃料を筒内に噴射するインジェクタと、
    上記加熱手段およびインジェクタを制御する制御手段とを備え、
    上記制御手段は、
    上記第1運転領域で運転されている状態から当該領域よりも負荷が高い第2運転領域に移行するような加速時には、少なくとも上記第2運転領域への移行後の所定期間、圧縮行程後半および膨張行程前半の少なくとも2回に分けて上記インジェクタから燃料を噴射させる分割噴射を行うことにより、混合気を自着火させる一方、
    上記第1運転領域で運転されている状態から上記第1、第2運転領域よりも回転速度が高い第3運転領域に移行するような加速時には、上記第3運転領域への移行後において、上記インジェクタからの燃料噴射時期を圧縮行程後半に設定しつつ上記加熱手段を作動させることにより、混合気を自着火させることを特徴とする予混合圧縮自己着火エンジン。
  2. 請求項1記載の予混合圧縮自己着火エンジンにおいて、
    上記加熱手段が、通電により発熱する発熱部を筒内に有したグロープラグであることを特徴とする予混合圧縮自己着火エンジン。
  3. 請求項2記載の予混合圧縮自己着火エンジンにおいて、
    上記制御手段は、上記第1運転領域から第2運転領域に移行する加速時に、当該第2運転領域に移行した時点から、上記分割噴射を実行するとともに上記グロープラグへの通電を開始し、その後グロープラグの発熱部の温度が所定値以上に上昇した時点で上記分割噴射を解除して、上記インジェクタからの燃料噴射時期を圧縮行程後半のみに設定することを特徴とする予混合圧縮自己着火エンジン。
  4. 請求項2または3記載の予混合圧縮自己着火エンジンにおいて、
    上記制御手段は、上記第1運転領域から第3運転領域に移行する加速時に、当該第3運転領域に移行した時点から上記グロープラグへの通電を開始し、その後グロープラグの発熱部の温度が所定値以上に上昇した時点で、上記インジェクタからの燃料噴射時期を圧縮行程後半に設定することを特徴とする予混合圧縮自己着火エンジン。
  5. 請求項3または4記載の予混合圧縮自己着火エンジンにおいて、
    上記制御手段は、上記グロープラグの発熱部の温度が予め定められた上限値まで上昇すると、上記第2運転領域または第3運転領域での運転が継続されていても、上記グロープラグへの通電量を低下させることを特徴とする予混合圧縮自己着火エンジン。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の予混合圧縮自己着火エンジンにおいて、
    上制御手段は、上記第1運転領域における上記インジェクタからの燃料噴射時期を、吸気行程中に設定することを特徴とする予混合圧縮自己着火エンジン。
  7. 請求項6記載の予混合圧縮自己着火エンジンにおいて、
    上記制御手段は、エンジンの吸排気弁の動作を制御する機能を有し、上記第1運転領域では、上記吸排気弁の動作制御に基づいて、筒内で生成された既燃ガスの一部を筒内に残留させる内部EGRを実行することを特徴とする予混合圧縮自己着火エンジン。
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