JP2012092195A - 樹脂組成物、樹脂ワニス、プリプレグ、金属張積層板、及びプリント配線板 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂ワニス、プリプレグ、金属張積層板、及びプリント配線板 Download PDF

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Abstract

【課題】誘電特性及び硬化物の耐熱性に優れ、ワニス状にしたときの粘度が低く、さらに、ハロゲン及び鉛を含有させずに、難燃性の高い樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gであって、分子末端にフェノール性水酸基を1分子当たり平均1.5〜3個有するポリアリーレンエーテル共重合体(A)と、トルエンに対する溶解度が25℃において60質量%以上のエポキシ樹脂(B)と、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上の硬化促進剤(C)と、トルエンに対する溶解度が25℃において0.1質量%以下であって、(A)、(B)に相溶しない臭素化合物(D)と、を含有することを特徴とする樹脂組成物を用いる。
【選択図】なし

Description

本発明は、プリント配線板の絶縁材料等に好適に用いられる樹脂組成物、前記樹脂組成物を含有する樹脂ワニス、前記樹脂ワニスを用いて得られたプリプレグ、前記プリプレグを用いて得られた金属張積層板、及び前記プリプレグを用いて製造されたプリント配線板に関する。
近年、各種電子機器は、情報処理量の増大に伴い、搭載される半導体デバイスの高集積化、配線の高密度化、及び多層化等の実装技術が急速に進展している。各種電子機器において用いられるプリント配線板等の絶縁材料には、信号の伝送速度を高め、信号伝送時の損失を低減させるために、誘電率及び誘電正接が低いものが求められている。
ポリフェニレンエーテル(以下、PPEと記載する場合がある。)は、MHz帯からGHz帯という高周波数帯(高周波領域)においても誘電率や誘電正接等の誘電特性が優れているため、高周波数帯を利用する電子機器のプリント配線板等の絶縁材料に好ましく用いられる。しかしながら、高分子量のPPEは一般的に融点が高いため、粘度が高く、流動性が低い傾向にある。また、PPEにて形成されたプリプレグを用いてプリント配線板を製造すると、多層成形時にボイドが発生する等の成形不良が発生し、信頼性の高いプリント配線板が得られにくいといった問題が生じていた。
このような問題を解決するために、例えば、PPEを溶媒中でフェノール種とラジカル開始剤との存在下で再分配反応させて分子切断をし、高分子量のPPEを低分子量化させる技術が知られている。しかしながら、PPEを低分子量化した場合、硬化が不充分となり、硬化物の耐熱性等が低下するという問題があった。
また、特許文献1には、1官能タイプであり、固有粘度が0.15dl/gのPPEを用いた樹脂組成物が提案されている。このようなPPEを樹脂ワニスにした場合、PPE含有比率を高めるにつれ、ワニスの粘度も著しく上昇する傾向があり、経時変化も大きかった。このような樹脂組成物で形成されたプリプレグを用いてプリント配線板を製造すれば、製造時に成形不良が発生してしまう。
また、特許文献2には、ポリアリーレンエーテル共重合体とエポキシ樹脂とを含み、さらに難燃剤を添加し得る組成物が提案され、高温における硬化を改善できる旨が記載されている。しかしながら、上記記載の組成物であっても、硬化が不十分な場合があり、誘電特性及び耐熱性が充分に優れたものではないものもあった。
米国特許第6,352,782号明細書 国際公開第2008/033611号
本発明は、前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その解決すべき課題は誘電特性及び硬化物の耐熱性に優れ、ワニス状にしたときの粘度が低く、難燃性の高い樹脂組成物を提供することを目的とする。また、前記樹脂組成物を含有する樹脂ワニス、前記樹脂ワニスを用いて得られたプリプレグ、前記プリプレグを用いて得られた金属張積層板、及び前記金属張積層板を用いたプリント配線板を提供することを目的とする。
本発明者等は、固有粘度が比較的低く、分子末端のフェノール性水酸基の個数が比較的多いポリアリーレンエーテル共重合体と、トルエンとの相溶性が高いエポキシ樹脂と、トルエンとの相溶性が高い硬化促進剤と、トルエンに対する相溶性が低い臭素化合物を組み合わることによって、優れた誘電特性と耐熱性との両立を実現させ、ワニス状にしたときの粘度が低く、難燃性の高い樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
さらに、難燃性を高めるために含有させる難燃剤において、特定の臭素化合物が上記3次元的な架橋に影響を及ぼさないことを発見した。
そこで、本発明者等は、上記の知見から、以下のような本発明に想到するに到った。
本発明にかかる樹脂組成物は、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gであって、分子末端にフェノール性水酸基を1分子当たり平均1.5〜3個有するポリアリーレンエーテル共重合体(A)と、トルエンに対する溶解度が25℃において60質量%以上のエポキシ樹脂(B)と、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上の硬化促進剤(C)と、トルエンに対する溶解度が25℃において0.1質量%以下であって、(A)、(B)に相溶しない臭素化合物(D)と、を含有することを特徴とする。
このような構成によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性に優れ、ワニス状にしたときの粘度が低く、さらに難燃性の高い樹脂組成物を得ることができる。
このことは、以下のことによると考えられる。
まず、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gであって、分子末端にフェノール性水酸基を1分子当たり平均1.5〜3個有するポリアリーレンエーテル共重合体(A)は、分子量が比較的低く、分子末端のフェノール性水酸基の1分子当たりの個数が比較的多いので、前記エポキシ樹脂(B)と3次元的な架橋を形成しやすいと考えられる。
また、前記エポキシ樹脂(B)は、トルエンに対する溶解度が25℃において60質量%以上であるので、樹脂組成物をワニス状にした場合、そのトルエン溶解性の高さから、より均質なワニスにすることができる。
よって、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)とを組み合わせて用いることによって、上記3次元的な架橋を好適に進行させることができると考えられる。
また、前記臭素化合物(D)に、トルエンに対する溶解度が25℃において0.1質量%以下であって、かつ(A)、(B)に相溶しないものを用いると、難燃剤が可塑剤のような働きをしないと考えられ、難燃性と高いガラス転移温度(Tg)の両立を図ることができる。
さらに、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)は、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gと、溶液での粘度が比較的低く、前記エポキシ樹脂(B)との相溶性が高いので、得られた樹脂組成物に溶媒を加えて、樹脂ワニスにしたときの粘度が低くなると考えられる。
以上のことから、誘電特性及び硬化物の耐熱性に優れ、ワニス状にしたときの粘度が低い。
また、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)が、2,6−ジメチルフェノールと2官能フェノールからなることが好ましい。このような構成によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れた樹脂組成物が得られる。このことは、2,6−ジメチルフェノールからなるPPEの有する優れた誘電特性を維持したまま、上記3次元的な架橋を好適に形成できることによると考えられる。
また、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の含有量が、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対して、40〜80質量部であることが好ましい。このような構成によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れ、ワニス状にしたときの粘度が低く、さらに、ハロゲン及び鉛を含有させずに、難燃性の高い樹脂組成物が得られる。
このことは、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)を比較的多く含有させることによって、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の有する優れた誘電特性を維持したまま、上記3次元的な架橋を好適に形成できることによると考えられる。
また、本発明にかかる樹脂ワニスは、前記樹脂組成物と溶媒とを含有する。このような構成によれば、誘電特性、硬化物の耐熱性、及び難燃性に優れ、粘度が低く、流動性の高い樹脂ワニスが得られる。そして、この樹脂ワニスを用いて得られたプリプレグは、プリント配線板等の電子部品を、成形不良の発生を抑制しつつ製造できる。
また、前記溶媒が、トルエン、シクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。このような構成によれば、プリント配線板等の電子部品を、成形不良の発生をより抑制しつつ製造できる樹脂ワニスが得られる。このことは、トルエン、シクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの沸点が比較的高く、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)及び前記エポキシ樹脂(B)を溶解させることができるので、得られたプリプレグが適切な乾燥速度を有することによると考えられる。
また、本発明にかかるプリプレグは、前記樹脂ワニスを繊維質基材に含浸させて得られたことを特徴とする。このような構成によれば、誘電特性、硬化物の耐熱性、及び難燃性が優れた金属張積層板を製造するのに好適に用いられるものであり、さらに、樹脂組成物の粘度が低く、流動性が高いので、金属張積層板やプリント配線板を製造する際の成形不良の発生を抑制できる信頼性に優れたものが得られる。
また、本発明にかかる金属張積層板は、前記プリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成形して得られたことを特徴とする。この構成によれば、誘電特性、硬化物の耐熱性、及び難燃性が優れたプリント配線板を、成形不良の発生を抑制しつつ製造できる、信頼性に優れた金属張積層板が得られる。
また、本発明にかかるプリント配線板は、前記プリプレグを用いて製造されたことを特徴とする。この構成によれば、誘電特性、硬化物の耐熱性、及び難燃性が優れ、さらに、成形不良の発生を抑制されたものが得られる。
本発明によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性に優れ、ワニス状にしたときの粘度が低く、難燃性の高い樹脂組成物を提供することができる。また、前記樹脂組成物を含有する樹脂ワニス、前記樹脂ワニスを用いて得られたプリプレグ、前記プリプレグを用いて得られた金属張積層板、及び前記プリプレグを用いて製造されたプリント配線板が提供される。
本発明の実施形態に係る樹脂組成物は、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gであって、分子末端にフェノール性水酸基を1分子当たり平均1.5〜3個有するポリアリーレンエーテル共重合体(A)と、トルエンに対する溶解度が25℃において60質量%以上のエポキシ樹脂(B)と、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上の硬化促進剤(C)と、トルエンに対する溶解度が25℃において0.1質量%以下であって、(A)、(B)に相溶しない臭素化合物(D)と、を含有することを特徴とする。
〔ポリアリーレンエーテル共重合体(A)〕
前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)としては、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gであって、分子末端にフェノール性水酸基を1分子当たり平均1.5〜3個有するポリアリーレンエーテル共重合体であれば、特に限定されない。
また、前記固有粘度は、0.03〜0.12dl/gであればよいが、0.06〜0.095dl/gであることが好ましい。前記固有粘度が低すぎると、分子量が低い傾向があり、硬化物の耐熱性としては充分なものが得られにくい傾向がある。また、前記固有粘度が高すぎると、粘度が高く、充分な流動性が得られず、成形不良を抑制できない傾向がある。
なお、ここでの前記固有粘度は、使用する前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の製品の規格値からわかる。また、ここでの固有粘度は、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度であり、より具体的には、例えば、0.18g/45mlの塩化メチレン溶液(液温25℃)を、粘度計で測定した値等である。前記粘度計としては、例えば、Schott社製のAVS500 Visco System等が挙げられる。
また、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)としては、分子末端のフェノール性水酸基の1分子当たりの平均個数(末端水酸基数)が1.5〜3個であればよいが、1.8〜2.4個であることが好ましい。前記末端水酸基数が少なすぎると、前記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基との反応性が低下し、硬化物の耐熱性としては充分なものが得られにくい傾向がある。また、前記末端水酸基数が多すぎると、前記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基との反応性が高くなりすぎ、例えば、樹脂組成物の保存性が低下したり、誘電率及び誘電正接が高くなる等の不具合が発生するおそれがある。
なお、ここでの前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の水酸基数は、使用する前記低分子量ポリフェニレンエーテルの製品の規格値からわかる。前記前記末端水酸基数がとしては、具体的には、例えば、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)1モル中に存在する全てのポリアリーレンエーテル共重合体(A)の1分子あたりの水酸基の平均値を表した数値等が挙げられる。
よって、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)は、分子量が比較的低く、末端水酸基数が比較的多いので、前記エポキシ樹脂(B)と3次元的な架橋を形成しやすいと考えられる。したがって、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)を用いることによって、広い周波数領域において誘電特性が良好であるだけではなく、成形不良を抑制できる充分な流動性を有し、さらに硬化物の耐熱性が充分に高められると考えられる。
また、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)としては、数平均分子量(Mn)が500〜3000であることが好ましく、650〜1500であることがより好ましい。また、分子量が低すぎると、硬化物の耐熱性としては充分なものが得られない傾向がある。また、分子量が高すぎると、溶融粘度が高くなり、充分な流動性が得られず、成形不良を抑制できない傾向がある。
なお、本発明における、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の数平均分子量は、具体的には、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等を用いて測定することができる。
前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)としては、具体的には、例えば、2,6−ジメチルフェノールと2官能フェノールからなるポリアリーレンエーテル共重合体やポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)等のポリフェニレンエーテルを主成分とするもの等が挙げられる。また、前記2官能フェノールとしては、例えば、テトラメチルビスフェノールA等が挙げられる。前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)としては、より具体的には、例えば、下記一般式(1)に示す構造を有するポリアリーレンエーテル共重合体等が挙げられる。
上記式(1)中、m,nは、前記溶融粘度の範囲内になるような重合度であればよい。具体的には、mとnとの合計値が、1〜30であることが好ましい。また、mが、0〜20であることが好ましく、nが、0〜20であることが好ましい。
〔エポキシ樹脂(B)〕
前記エポキシ樹脂(B)としては、トルエンに対する溶解度が25℃において60質量%以上のエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。
具体的には、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、軟化点が50℃以下のフェノールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、前記ポリフェニレンエーテル樹脂組成物には、ハロゲン化エポキシ樹脂を含有しないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて配合してもよい。
また、前記エポキシ樹脂(B)は、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上であるので、樹脂組成物をワニス状にした場合、そのトルエン溶解性の高さから、より均質なワニスにすることができる。
また、前記エポキシ樹脂(B)は、エポキシ基が1分子中に平均2個以上有することが好ましい。1分子中のエポキシ基が平均2個以上であれば、得られたエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性が高まる点から好ましい。なお、ここでのエポキシ基数は、使用する前記エポキシ樹脂の製品の規格値からわかる。前記エポキシ樹脂のエポキシ基数としては、具体的には、例えば、前記エポキシ樹脂1モル中に存在する全ての前記エポキシ樹脂の1分子あたりのエポキシ基の平均値を表した数値等が挙げられる。
以上のことから、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)とを組み合わせて用いることによって、上記3次元的な架橋を好適に進行させることができると考えられる。さらに、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)は、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gと、溶液での粘度が比較的低く、前記エポキシ樹脂(B)との相溶性が高いので、得られた樹脂組成物に溶媒を加えて、樹脂ワニスにしたときの粘度が低くなると考えられる。
〔硬化促進剤(C)〕
前記硬化促進剤(C)は、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上のエポキシ樹脂であれば、特に制限されない。また、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との硬化反応を促進することができるものが好ましい。
具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン等の有機ホスフィン系化合物、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン等の三級アミン系化合物、脂肪酸金属塩等が挙げられる。
また、前記脂肪酸金属塩は、一般的に金属石鹸と呼ばれるものであって、具体的には、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、リシノール酸、及びオクチル酸等の脂肪酸と、リチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、及び亜鉛等の金属とからなる脂肪酸金属塩等が挙げられる。より具体的には、オクチル酸亜鉛等が挙げられる。前記硬化促進剤(C)は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記硬化促進剤(C)として、さらにトルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上の、芳香族アミン化合物及びフェノール樹脂を含有してもよい。この硬化促進剤を用いることによって、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れた樹脂組成物が得られる。このことは、前記芳香族アミン化合物及びフェノール樹脂は、前記エポキシ樹脂(B)に対する硬化促進剤として働き、また、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)との相溶性が高いので、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との硬化反応を阻害することなく、前記エポキシ樹脂(B)の硬化反応を促進できることによると考えられる。
また、前記硬化促進剤(C)としては、上記の中でも、イミダゾール系化合物を含有することが、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れた樹脂組成物が得られる点から好ましく、さらに、イミダゾール系化合物及び脂肪酸金属塩を含有することがより好ましい。このことは、イミダゾール系化合物及び脂肪酸金属塩が、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との硬化反応だけではなく、前記エポキシ樹脂(B)同士の硬化反応も促進させることができるものであるので、前記エポキシ樹脂(B)を過剰に含有させた場合であっても、前記エポキシ樹脂(B)同士の硬化反応によって、硬化物の耐熱性の向上に寄与できることによると考えられる。
〔臭素化合物(D)〕
前記臭素化合物(D)は、トルエンに対する溶解度が25℃において0.1質量%であり、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)、(B)に相溶しないものであれば特に限定されない。具体的には、例えば、1,2−ペンタブロモフェニルエタン等が挙げられる。
このような臭素化合物(D)を用いることによって、難燃性を高めるだけではなく、上記3次元的な架橋に影響を及ぼさないと考えられる。
〔各成分の含有量〕
また、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の含有量が、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対して、40〜80質量部であることが好ましく、50〜70質量部であることがより好ましい。このように、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の含有量が比較的多いと、熱硬化性樹脂でありながら、硬化物を強靭化でき、また、伸びやたわみが大きくなる。また、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)が少なすぎると、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の有する優れた誘電特性を維持することができない傾向にある。
また、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)が多すぎると、硬化物の耐熱性が不充分になる傾向がある。すなわち、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の含有量が上記範囲内であることによって、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れ、ワニス状にしたときの粘度が低く、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の優れた誘電特性を発揮できる。
また、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)のフェノール性水酸基と、前記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基のモル比(エポキシ基/水酸基)が、1〜4であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。このようにすることによって、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れた樹脂組成物が得られる。このことは、前記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基が、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)のフェノール性水酸基より多くても、前記エポキシ樹脂(B)同士の硬化反応によって、硬化物の耐熱性の向上に寄与できることによると考えられる。また、前記硬化促進剤(C)として、イミダゾール系化合物及び脂肪酸金属塩等を用いた場合は、特に硬化物の耐熱性の向上に寄与できることによると考えられる。
また、前記モル比が低すぎると、前記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基が少なすぎて、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との硬化反応が充分に進行しない傾向がある。また、前記モル比が高すぎると、樹脂組成物の硬化反応に占める、前記エポキシ樹脂(B)同士の硬化反応の割合が高くなりすぎ、すなわち、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との硬化反応の割合が低くなりすぎ、硬化物の耐熱性を充分に高めることができない傾向がある。
前記硬化促進剤(C)の含有量としては、例えば、前記硬化促進剤(C)としてイミダゾール系化合物を含有する場合、前記イミダゾール系化合物の含有量が、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対して、0.05〜1質量部であることが好ましい。
また、前記イミダゾール系化合物に、前記脂肪酸金属塩を併用した場合、前記脂肪酸金属塩の含有量が、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対して、0.5〜3質量部であることが好ましい。前記硬化促進剤(C)の含有量が少なすぎると、硬化促進効果を高めることができない傾向にある。また、多すぎると、成形性に不具合を生じる傾向があり、また、硬化促進剤の含有量が多すぎて経済的に不利となる傾向がある。また、樹脂組成物のライフ性が低下する傾向がある。
前記臭素有化合物(D)の含有量は、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との合計量100質量部に対して10〜40質量部であることが好ましく、15〜30質量部であることが好ましい。また、前記臭素化合物(D)の含有量は、前記樹脂組成物に対して10〜25質量%となるような量であることが好ましい。前記臭素化合物(D)の含有量が少なすぎると、難燃性を充分に高めることができない傾向がある。また、多すぎると、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)と前記エポキシ樹脂(B)との硬化反応が抑制され、硬化物の耐熱性を充分に高めることができなくなる傾向がある。
〔その他の組成〕
前記樹脂組成物には、本発明の目的とする所望の特性を阻害しない範囲で、上記の組成(ポリアリーレンエーテル共重合体(A)、エポキシ樹脂(B)、硬化促進剤(C)、及び臭素化合物(D))以外の組成を含有してもよい。具体的には、例えば、以下のようなものを含有してもよい。
また、前記樹脂組成物には、無機充填材を含有してもよい。無機充填材を含有させることによって、難燃性をより高めることができる。また、前記樹脂組成物は、一般的な絶縁基材用のエポキシ樹脂組成物等と比較すると、架橋密度が低く、硬化物の熱膨張係数、特に、ガラス転移温度を超えた温度での熱膨張係数α2が高くなる傾向がある。無機充填材を含有させることによって、誘電特性及び硬化物の耐熱性に優れ、ワニス状にしたときの粘度が低いまま、硬化物の熱膨張係数、特に、ガラス転移温度を超えた温度での熱膨張係数α2の低減、及び硬化物の強靭化を図ることができる。
前記無機充填材としては、具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、マイカ、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、及び炭酸カルシウム等が挙げられる。また、前記無機充填材としては、そのまま用いてもよいが、エポキシシランタイプ、又はアミノシランタイプのシランカップリング剤で表面処理されたものが、特に好ましい。前記のようなシランカップリング剤で表面処理された無機充填材が配合された樹脂組成物を用いて得られる金属張積層板は、吸湿時における耐熱性が高く、また、層間ピール強度も高くなる傾向がある。
前記樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、例えば熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料や顔料、滑剤等の添加剤をさらに配合してもよい。
〔ワニスの調整〕
前記樹脂組成物は、プリプレグを製造する際には、プリプレグを形成するための基材(繊維質基材)に含浸する目的でワニス状に調製して用いられることが多い。すなわち、前記樹脂組成物は、通常、ワニス状に調製されたもの(樹脂ワニス)であることが多い。このような樹脂ワニスは、例えば、以下のようにして調製される。
まず、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)及び前記エポキシ樹脂(B)等の、有機溶媒に溶解できる各成分を、有機溶媒に投入して溶解させる。この際、必要に応じて、加熱してもよい。その後、必要に応じて用いられ、有機溶媒に溶解しない成分、例えば、無機充填材等を添加して、ボールミル、ビーズミル、プラネタリーミキサー、ロールミル等を用いて、所定の分散状態になるまで分散させることにより、ワニス状の樹脂組成物が調製される。前記有機溶媒としては、前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)及び前記エポキシ樹脂(B)等を溶解させ、硬化反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、トルエン等が挙げられる。
〔プリプレグの製造方法〕
得られた樹脂ワニスを用いてプリプレグを製造する方法としては、例えば、前記樹脂ワニスを繊維質基材に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。
前記繊維質基材としては、具体的には、例えば、ガラスクロス、アラミドクロス、ポリエステルクロス、ガラス不織布、アラミド不織布、ポリエステル不織布、パルプ紙、及びリンター紙等が挙げられる。なお、ガラスクロスを用いると、機械強度が優れた積層板が得られ、特に偏平処理加工したガラスクロスが好ましい。偏平処理加工としては、具体的には、例えば、ガラスクロスを適宜の圧力でプレスロールにて連続的に加圧してヤーンを偏平に圧縮することにより行うことができる。なお、前記繊維質基材の厚みとしては、例えば、0.04〜0.3mmのものを一般的に使用できる。
前記含浸は、浸漬(ディッピング)、及び塗布等によって行われる。前記含浸は、必要に応じて複数回繰り返すことも可能である。また、この際、組成や濃度の異なる複数の樹脂ワニスを用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする組成及び樹脂量に調整することも可能である。
前記樹脂ワニスが含浸された繊維質基材は、所望の加熱条件、例えば、80〜170℃で1〜10分間加熱されることにより半硬化状態(Bステージ)のプリプレグが得られる。
このようにして得られたプリプレグを用いて金属張積層板を作製する方法としては、前記プリプレグを一枚または複数枚重ね、さらにその上下の両面又は片面に銅箔等の金属箔を重ね、これを加熱加圧成形して積層一体化することによって、両面金属箔張り又は片面金属箔張りの積層体を作製することができるものである。加熱加圧条件は、製造する積層板の厚みやプリプレグの樹脂組成物の種類等により適宜設定することができるが、例えば、温度を170〜220℃、圧力を2.0〜4.0MPa、時間を60〜150分間とすることができる。
前記樹脂組成物は、誘電特性及び硬化物の耐熱性に優れ、ワニス状にしたときの粘度が低く、高い難燃性を発揮させるものである。このため、前記樹脂組成物を用いて得られたプリプレグを用いた金属張積層板は、誘電特性、耐熱性、及び難燃性が優れたプリント配線板を、成形不良の発生が抑制しつつ製造できる、信頼性の高いものである。
そして、作製された積層体の表面の金属箔をエッチング加工等して回路形成をすることによって、積層体の表面に回路として導体パターンを設けたプリント配線板を得ることができるものである。このように得られるプリント配線板は、誘電特性、耐熱性、及び難燃性が優れ、さらに、成形不良の発生が抑制されたものである。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
[樹脂組成物の調製]
本実施例において、樹脂組成物を調製する際に用いる各成分について説明する。ここで、25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度を、固有粘度(IV)を示し、トルエンに対する、25℃における溶解度を、トルエン溶解度と示す。
(ポリアリーレンエーテル共重合体:PAE)
PAE 1:ポリアリーレンエーテル共重合体(SABICイノベーティブプラスチックス社製のMX−90、固有粘度(IV)0.085dl/g、末端水酸基数1.9個、数平均分子量Mn1050)
PAE 2:国際公開第2008/067669号に記載の方法で合成したポリアリーレンエーテル共重合体(固有粘度(IV)0.06dl/g、末端水酸基数1.8個、数平均分子量Mn800)
PAE 3:国際公開第2008/067669号に記載の方法で合成したポリアリーレンエーテル共重合体(固有粘度(IV)0.09dl/g、末端水酸基数2.8個、数平均分子量Mn1150)
PAE 4:ポリアリーレンエーテル共重合体(SABICイノベーティブプラスチックス社製のSA120、固有粘度(IV)0.125dl/g、末端水酸基数1.2個、数平均分子量Mn2350)
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂1:クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロンN680、トルエン溶解度80質量%)
エポキシ樹脂2:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロンN740、トルエン溶解度70質量%、融点40℃)
エポキシ樹脂3:ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロンN865、トルエン溶解度80質量%)
エポキシ樹脂4:フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製のNC−2000L、トルエン溶解度60質量%)
エポキシ樹脂5:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロン830S、トルエン溶解度100質量%)
エポキシ樹脂6:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロン850S、トルエン溶解度100質量%)
エポキシ樹脂7:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロンHP7200、トルエン溶解度80質量%、融点60℃)
エポキシ樹脂8:ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロンEXA−4710、トルエン溶解度5質量%、)
エポキシ樹脂9:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロンHP775、トルエン溶解度8質量%、融点75℃)
(硬化促進剤)
芳香族アミン化合物:ジエチルトルエンジアミン(アルベマール日本株式会社製のエタキュア100、トルエン溶解度100質量%)
フェノール樹脂1:フェノール樹脂(新日本石油株式会社製のDPP−6115S、トルエン溶解度25質量%)
フェノール樹脂2:フェノール樹脂(DIC株式会社製のTD−2090、トルエン溶解度5質量%)
イミダゾール系化合物:2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成工業株式会社製の2E4MZ)
脂肪酸金属塩(金属石鹸):オクタン酸亜鉛(DIC株式会社製)
(臭素化合物)
臭素化合物1:1,2−ペンタブロモフェニルエタン(アルベマール株式会社製のSAYTEX8010、融点350℃、トルエン溶解度0.1質量%以下)
臭素化合物2:エチレンビステトラブロモフェニルイミド(アルベマール株式会社製のSAYTEX BT−93、融点456℃、トルエン溶解度0.1質量%以下)
臭素化合物3:テトラブロモビスフェノール(アルベマール株式会社製のSAYTEX CP−2000、融点181℃、トルエン溶解度5質量%)
(その他の成分)
シリカ粒子:シリカ粒子(株式会社アドマテックス製のSC2500−SEJ)
[調製方法]
まず、ポリアリーレンエーテル共重合体とトルエンとを混合させて、その混合液を80℃になるまで加熱することによって、ポリアリーレンエーテル共重合体をトルエンに溶解させて、ポリアリーレンエーテル共重合体の50質量%トルエン溶液を得た。その後、そのポリアリーレンエーテル共重合体のトルエン溶液に、表1〜表4に記載の配合割合になるように、エポキシ樹脂を添加した後、30分間攪拌することによって、完全に溶解させた。そして、さらに、イミダゾール系化合物や臭素化合物等の他の成分を添加して、ビーズミルで分散させることによって、ワニス状の樹脂組成物(樹脂ワニス)が得られた。
次に、得られた樹脂ワニスをガラスクロス(日東紡績株式会社製の♯2116タイプ、WEA116E、Eガラス)に含浸させた後、140℃で約3〜8分間加熱乾燥することによりプリプレグを得た。
そして、得られた各プリプレグを4枚重ねて積層し、温度200℃、2時間、圧力3MPaの条件で加熱加圧することにより、厚み0.5mmの評価基板を得た。
上記のように調製された各プリプレグ及び評価基板を、以下に示す方法により評価を行った。
[誘電特性(誘電率及び誘電正接)]
1GHzにおける評価基板の誘電率及び誘電正接を、IPC−TM650−2.5.5.9に準拠の方法で測定した。具体的には、ヒューレットパッカード社製マテリアルアナライザーHP4291Bを用い、1GHzにおける評価基板の誘電率及び誘電正接を測定した。
[半田耐熱性]
半田耐熱性は、JIS C 6481に準拠の方法で測定した。具体的には、評価基板を、121℃、2気圧(0.2MPa)、2時間のプレッシャークッカーテスト(PCT)を各サンプルで行い、サンプル数5個で、260℃の半田槽中に20秒間浸漬し、ミーズリングやフクレ等の発生の有無を目視で観察した。ミーズリングやフクレ等の発生が確認できなければ、「○」と評価し、発生が確認できれば、「×」と評価した。また、別途、260℃の半田槽の代わりに、288℃の半田槽を用いて、同様の評価を行った。
[難燃性]
評価基板から、長さ125mm、幅12.5mmのテストピースを切り出した。そして、このテストピースについてUnderwriters Laboratoriesの”Test for Flammability of Plastic Materials−UL 94”に準じて行い、評価した。なお、その際、5本のサンプルを2回ずつ燃焼させ、平均燃焼時間が5秒であり、かつ最大燃焼時間が10秒以下であれば燃焼性評価の「V−0」に相当する。また、平均燃焼時間が25秒であり、かつ最大燃焼時間が30秒以下なら、燃焼性評価の「V−1」に相当する。
[樹脂溶液の溶解性]
得られた樹脂ワニスを、室温まで冷却後1日放置した後、樹脂ワニスの透明性を目視で確認した。透明であると確認できれば「○」と評価し、半透明であると確認できれば「△」、濁りが確認できれば「×」と評価した。
[難燃剤の溶解性]
得られた樹脂ワニスに難燃剤を混合し、攪拌させた。溶解できないと確認できれば「○」と評価し、溶解できると確認できれば「×」と評価した。
[プリプレグの樹脂流れ性]
各プリプレグの樹脂流れ性は、JIS C 6521に準拠の方法で測定した。
上記各評価における結果は、表1〜表4に示す。

表1の実施例1〜3から明らかなように、固有粘度(IV)が0.03〜0.12dl/gであって、末端水酸基数が1.5〜3個有するポリアリーレンエーテル共重合体(A)と、トルエンに対する溶解度が60質量%以上のエポキシ樹脂(B)と、トルエンに対する溶解度が10質量%以上の硬化促進剤(C)と、トルエンに対する溶解度が25℃において0.1質量%以下であって(A)、(B)に相溶しない臭素化合物(D)とを含有する樹脂組成物を用いた場合、誘電率や誘電正接等の誘電特性を悪化させずに、半田耐熱性、難燃性、溶解性、及びプリプレグの樹脂流れ性の全てに優れ、樹脂ワニスの粘度増加が少ないものであった。一方、表1の比較例1においては、固有粘度(IV)が0.12dl/gを超え、末端水酸基数が1.5個未満のポリアリーレンエーテル共重合体を含有する樹脂組成物を用いたため、半田耐熱性、ワニスの粘度変化、プリプレグの樹脂流れ性に劣る結果となった。このことは、固有粘度が高いことにより、充分な流動性が得られず、成形不良を抑制できなかったためであると考えられる。
また、表2の実施例4〜10についても、トルエンに対する溶解度が60質量%以上のエポキシ樹脂(B)を用いれば、前記実施例1〜3同様の結果が得られることが分かった。しかしながら、トルエンに対する溶解度が60質量%より小さいエポキシ樹脂(B)を用いた比較例2では、前記実施例に比べて半田耐熱性、難燃性、樹脂溶液の解性、ワニスの粘度変化、プリプレグの樹脂流れ性に劣る結果となった。
表3の実施例11〜13の結果から明らかなように、トルエンに対する溶解度が10質量%以上の硬化促進剤(C)を用いた場合、前記実施例と同様の優れた結果が得られた。一方、トルエンに対する溶解度が5質量%であるフェノール樹脂2を用いた比較例3は、半田耐熱性、樹脂溶液の溶解性、ワニスの粘度変化に劣る結果となった。
また、表4の実施例15〜17から明らかなように、トルエンに対する溶解度が25℃において0.1質量%以下であって、(A)、(B)に相溶しない臭素化合物(D)を用いた場合、前記実施例と同様の優れた結果が得られた。また、ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の含有量が、樹脂組成物100質量部に対して40〜80質量部であり、前記エポキシ樹脂(B)の含有量が樹脂組成物100質量部に対して20〜60質量部であれば、所望の結果が得られることが分かった。一方で、トルエンに対する溶解度が25℃において0.1質量%より大きい臭素化合物を用いた比較例4においては、半田耐熱性、難燃剤の溶解性に劣る結果となった。

Claims (7)

  1. 25℃の塩化メチレン中で測定した固有粘度が0.03〜0.12dl/gであって、分子末端にフェノール性水酸基を1分子当たり平均1.5〜3個有するポリアリーレンエーテル共重合体(A)と、
    トルエンに対する溶解度が25℃において60質量%以上のエポキシ樹脂(B)と、
    トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上の硬化促進剤(C)と、
    トルエンに対する溶解度が25℃において0.1質量%以下であって、(A)、(B)に相溶しない臭素化合物(D)と、を含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)が、2,6−キシレノールと2官能フェノールからなる請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリアリーレンエーテル共重合体(A)の含有量が、樹脂組成物100質量部に対して40〜80質量部であり、前記前記エポキシ樹脂(B)の含有量が樹脂組成物100質量部に対して20〜60質量部であることを特徴とする樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物と溶媒とを含有する樹脂ワニス。
  5. 請求項4に記載の樹脂ワニスを繊維質基材に含浸させて得られたプリプレグ。
  6. 請求項5に記載のプリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成形して得られた金属張積層板。
  7. 請求項5に記載のプリプレグを用いて製造されたプリント配線板。
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