JP5577107B2 - 樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、樹脂ワニス、プリプレグ、金属張積層板、及びプリント配線板 - Google Patents

樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法、樹脂ワニス、プリプレグ、金属張積層板、及びプリント配線板 Download PDF

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本発明は、プリント配線板の絶縁材料等に好適に用いられる樹脂組成物、前記樹脂組成物の製造方法、前記樹脂組成物を含有する樹脂ワニス、前記樹脂ワニスを用いて得られたプリプレグ、前記プリプレグを用いて得られた金属張積層板、及び前記プリプレグを用いて製造されたプリント配線板に関する。
近年、各種電子機器は、情報処理量の増大に伴い、搭載される半導体デバイスの高集積化、配線の高密度化、及び多層化等の実装技術が急速に進展している。各種電子機器において用いられるプリント配線板等の絶縁材料には、信号の伝送速度を高め、信号伝送時の損失を低減させるために、誘電率及び誘電正接が低いことが求められる。
ポリフェニレンエーテル(PPE)は、MHz帯からGHz帯という高周波数帯(高周波領域)においても誘電率や誘電正接等の誘電特性が優れているので、高周波数帯を利用する電子機器のプリント配線板等の絶縁材料に好ましく用いられる。しかしながら、高分子量のPPEは、一般的に融点が高いため、粘度が高く、流動性が低い傾向がある。そして、このようなPPEを用いて、多層プリント配線板等を製造するために使用されるプリプレグを形成し、形成されたプリプレグを用いてプリント配線板を製造すると、製造時、例えば、多層成形時にボイドが発生する等の成形不良が発生し、信頼性の高いプリント配線板が得られにくいという成形性の問題が生じていた。このような問題を解決するために、例えば、高分子量のPPEを溶媒中でフェノール種とラジカル開始剤との存在下で再分配反応させることによって、分子切断を起こし、PPEを低分子量化する技術が知られている。しかしながら、PPEを低分子量化した場合、硬化が不充分となり、硬化物の耐熱性等が低下するという傾向があった。
そこで、硬化物の耐熱性等を高めるために、下記特許文献1に記載されているように、エポキシ樹脂と組み合わせて用いる硬化剤として、PPE等のPPE構造を有するエポキシ樹脂硬化剤を用いることが記載されている。
特開2004−224860号公報
特許文献1によれば、前記硬化剤をエポキシ樹脂と組み合わせて硬化性樹脂組成物とし、これを硬化させることによって、耐熱性、誘電特性、及び耐湿性に優れた硬化物が得られることが開示されている。
しかしながら、実際には、硬化物の耐熱性が充分高いとは言えない場合があった。このことは、PPE等の硬化剤の水酸基とエポキシ樹脂のエポキシ基とが充分に反応できず、3次元的な架橋を充分に形成できないことによると考えられる。そして、PPEとエポキシ化合物との反応性を高めるために、PPEと組み合わせて用いるエポキシ樹脂として、反応性の高い、例えば、1分子中のエポキシ基が多いエポキシ樹脂を単に用いただけでは、粘度が高まりすぎ、場合によっては、ゲル化してしまい、プリント配線板を製造するためのプリプレグ等に利用できないという問題があった。
また、PPEと組み合わせて用いるエポキシ樹脂として、耐熱性が高いエポキシ樹脂、例えば、分子内にトリアジン骨格を有するエポキシ樹脂を用いても、溶剤への溶解性が低い場合が多く、よって、含有量を充分に高めにくく、耐熱性を高めるのは困難であった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、PPEの有する優れた誘電特性を維持したまま、ワニス状にしたときの粘度が低く、硬化物の耐熱性に優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。また、前記樹脂組成物の製造方法、前記樹脂組成物を含有する樹脂ワニス、前記樹脂ワニスを用いて得られたプリプレグ、前記プリプレグを用いた金属張積層板、及び前記金属張積層板を用いたプリント配線板を提供することを目的とする。
本発明者等は、硬化物の耐熱性を充分に高めるためには、上述したように、3次元的な架橋を充分に形成させることが必要であると考えた。そこで、本発明者等は、このような知見から、以下のような本発明に想到するに到った。
本発明の一態様に係る樹脂組成物は、分子内にトリアジン骨格を有するトリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部を、数平均分子量が500〜3000の低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基で予め反応させることによって得られた反応混合物(A)と、平均分子量が600以下で、1分子中に平均2個以上のエポキシ基を有し、分子中のハロゲン濃度が0.5質量%未満のエポキシ樹脂(B)と、1分子中に平均2個以上のシアネート基を有するシアネート樹脂(C)と、硬化促進剤(D)とを含有することを特徴とする。
上記構成によれば、PPEの有する優れた誘電特性を維持したまま、ワニス状にしたときの粘度が低く、硬化物の耐熱性に優れた樹脂組成物を得ることができる。
このことは、以下のことによると考えられる。
まず、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂は、耐熱性が高いものの、有機溶媒等に溶解しにくく、PPEと反応しにくいと考えられる。このようなトリアジン骨格含有エポキシ樹脂を単に配合しただけでは、PPEとの反応性が低く、かえって硬化物の耐熱性を高めることが困難であると考えられる。そこで、上述のように、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部を、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と予め反応させることによって得られた反応混合物(A)を用いることによって、有機溶媒等に溶解しやすくなり、前記エポキシ樹脂(B)や前記シアネート樹脂(C)とも反応しやすく、硬化物の耐熱性を高めることができると考えられる。すなわち、前記反応混合物(A)と、前記エポキシ樹脂(B)と、前記シアネート樹脂(C)と、前記硬化促進剤(D)とを含有することによって、硬化時に、上述したように、前記反応混合物(A)と、前記エポキシ樹脂(B)や前記シアネート樹脂(C)との反応が好適に進行し、3次元的な架橋が好適に形成されると考えられる。
以上のことから、PPEの有する優れた誘電特性を維持したまま、ワニス状にしたときの粘度が低く、硬化物の耐熱性に優れた樹脂組成物を得ることができると考えられる。
また、得られた樹脂組成物は、硬化物の耐熱性が充分に高いので、硬化物の耐熱性を低下させる傾向のある難燃剤、例えば、リン含有化合物を含有させて、難燃性を充分に高めても、充分な耐熱性を維持することができる。よって、ハロゲンや鉛を含有させずに、硬化物の耐熱性及び難燃性を両立させることができる。すなわち、得られた樹脂組成物は、ハロゲンフリーを達成しつつ、硬化物の耐熱性及び難燃性等を高めることができる。
また、前記反応混合物(A)が、前記低分子量ポリフェニレンエーテルを反応させる前のトリアジン骨格含有エポキシ樹脂の有する全エポキシ基の1/9以上が、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と反応したものであることが好ましい。このような構成によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れ、ワニス状にしたときの粘度がより低い樹脂組成物が得られる。このことは、前記反応混合物(A)と、前記エポキシ樹脂(B)や前記シアネート樹脂(C)との反応がより好適に進行するためであると考えられる。
また、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂が、エポキシ基及び保護基が予め結合されたエポキシ基を、1分子中に平均2〜3個有することが好ましい。このような構成によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れた樹脂組成物が得られる。このことは、前記エポキシ樹脂(B)が、前記反応混合物(A)と反応して、3次元的な架橋を好適に形成することができることによると考えられる。
また、前記エポキシ樹脂(B)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂のいずれか一方であることが好ましい。このような構成によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れ、ワニス状にしたときの粘度がより低い樹脂組成物が得られる。このことは、上記各エポキシ樹脂が、前記反応混合物(A)や前記低分子量ポリフェニレンエーテルとの相溶性が高いことによると考えられる。
また、リン含有化合物を含有することが好ましい。このような構成によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性に優れ、ワニス状にしたときの粘度が低く、さらに、ハロゲン及び鉛を含有させずに、難燃性等に優れた樹脂組成物が得られる。すなわち、ハロゲンフリーを達成しつつ、硬化物の耐熱性及び難燃性等の優れた樹脂組成物が得られる。
また、前記低分子量ポリフェニレンエーテルが、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 0005577107
(式(1)中、mは、0〜20を示し、nは、0〜20を示し、mとnとの合計は、1〜30を示す。)
このような構成によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れた樹脂組成物が得られる。このことは、2,6−ジメチルフェノールからなるPPEの有する優れた誘電特性を維持したまま、上記3次元的な架橋を好適に形成できることによると考えられる。
また、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基及び前記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基の合計が、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基1個当たり1〜10個であることが好ましい。このような構成によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れ、ワニス状にしたときの粘度がより低い樹脂組成物が得られる。このことは、前記低分子量ポリフェニレンエーテルが水酸基濃度の比較的低いオリゴマーであるので、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂及び前記エポキシ樹脂(B)を前記低分子量ポリフェニレンエーテルに対して過剰に含有することによって、上記3次元的な架橋を好適に形成できることによると考えられる。さらに、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと反応しなかったエポキシ樹脂は、エポキシ樹脂同士で硬化し、硬化物の耐熱性等に寄与することができることによると考えられる。
また、前記反応混合物(A)のエポキシ基及び前記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基の合計が、前記シアネート樹脂(C)のシアネート基1個当たり0.5〜1個であることが好ましい。このような構成によれば、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れ、ワニス状にしたときの粘度がより低い樹脂組成物が得られる。このことは、前記シアネート樹脂を前記反応混合物(A)に対して過剰に含有することによって、トリアジン構造が形成されることによると考えられる。さらに、前記反応混合物(A)と反応しなかったシアネート樹脂は、シアネート樹脂同士で硬化し、硬化物の耐熱性等に寄与することができることによると考えられる。
また、本発明の他の一態様に係る樹脂組成物の製造方法は、数平均分子量が500〜3000の低分子量ポリフェニレンエーテルと、分子内にトリアジン骨格を有するトリアジン骨格含有エポキシ樹脂との混合物を加熱することによって、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部を、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基で反応させる工程と、前記反応によって得られた反応混合物(A)に、平均分子量が600以下で、1分子中に平均2個以上のエポキシ基を有し、分子中のハロゲン濃度が0.5質量%未満のエポキシ樹脂(B)と、1分子中に平均2個以上のシアネート基を有するシアネート樹脂(C)と、硬化促進剤(D)とを配合する工程とを備えることを特徴とする。
上記構成によれば、PPEの有する優れた誘電特性を維持したまま、ワニス状にしたときの粘度が低く、硬化物の耐熱性に優れた樹脂組成物を製造することができる。
また、本発明の他の一態様に係る樹脂ワニスは、前記樹脂組成物と溶媒とを含有する。このような構成によれば、誘電特性、及び硬化物の耐熱性に優れ、粘度が低く、流動性の高い樹脂ワニスが得られる。そして、この樹脂ワニスを用いて得られたプリプレグは、プリント配線板等の電子部品を、成形不良の発生を抑制しつつ製造できる。
また、前記溶媒が、トルエン、シクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。このような構成によれば、プリント配線板等の電子部品を、成形不良の発生をより抑制しつつ製造できる樹脂ワニスが得られる。このことは、トルエン、シクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートの沸点が比較的高く、前記反応混合物(A)前記エポキシ樹脂(B)及び前記シアネート樹脂(C)を溶解させることができるので、得られたプリプレグが適切な乾燥速度を有することによると考えられる。
また、本発明の他の一態様に係るプリプレグは、前記樹脂ワニスを繊維質基材に含浸させて得られたことを特徴とする。このような構成によれば、誘電特性、及び硬化物の耐熱性に優れた金属張積層板を製造するのに好適に用いられるものであり、さらに、樹脂組成物の粘度が低く、流動性が高いので、金属張積層板やプリント配線板を製造する際の成形不良の発生を抑制できる信頼性に優れたものが得られる。
また、本発明の他の一態様に係る金属張積層板は、前記プリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成形して得られたことを特徴とする。この構成によれば、誘電特性、及び硬化物の耐熱性に優れたプリント配線板を、成形不良の発生を抑制しつつ製造できる、信頼性に優れた金属張積層板が得られる。
また、本発明の他の一態様に係るプリント配線板は、前記プリプレグを用いて製造されたことを特徴とする。この構成によれば、誘電特性、及び硬化物の耐熱性に優れ、さらに、成形不良の発生を抑制されたものが得られる。
本発明によれば、PPEの有する優れた誘電特性を維持したまま、ワニス状にしたときの粘度が低く、硬化物の耐熱性に優れた樹脂組成物を提供することできる。また、前記樹脂組成物の製造方法、前記樹脂組成物を含有する樹脂ワニス、前記樹脂ワニスを用いて得られたプリプレグ、前記プリプレグを用いて得られた金属張積層板、及び前記プリプレグを用いて製造されたプリント配線板が提供される。
本発明の実施形態に係る樹脂組成物は、分子内にトリアジン骨格を有するトリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部を、数平均分子量が500〜3000の低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基で予め反応させることによって得られた反応混合物(A)と、平均分子量が600以下で、1分子中に平均2個以上のエポキシ基を有し、分子中のハロゲン濃度が0.5質量%未満のエポキシ樹脂(B)と、1分子中に平均2個以上のシアネート基を有するシアネート樹脂(C)と、硬化促進剤(D)とを含有することを特徴とする。すなわち、前記樹脂組成物は、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部を、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基で予め反応させるプレリアクトさせた後に、前記エポキシ樹脂(B)、前記シアネート樹脂(C)、及び前記硬化促進剤(D)を配合することによって、得られるものである。
前記樹脂組成物は、前述のように、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部を、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基で予め反応させることによって得られた反応混合物(A)を含有する。前記反応混合物(A)としては、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基と、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基とを反応させることによって得られる反応生成物を含んでいればよく、未反応の前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂や前記低分子量ポリフェニレンエーテルとを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。すなわち、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部を、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基で予め反応(プレリアクト)させて得られた反応混合物であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、前記低分子量ポリフェニレンエーテルを反応させる前のトリアジン骨格含有エポキシ樹脂の有する全エポキシ基の1/9以上が、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と反応したもの等が挙げられる。より具体的には、例えば、以下のように反応させることによって得られる。まず、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂とが所定の比率となるように、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂とを、10〜60分間有機溶媒中で攪拌して混合させる。その際、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂との比率としては、例えば、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基との当量比が、上記のような反応混合物が得られるような当量比であることが好ましい。そして、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂とを混合した後、80〜110℃で2〜12時間加熱させることによって、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂とを反応させる。そうすることによって、前記反応混合物(A)が得られる。なお、前記有機溶媒としては、前記低分子量ポリフェニレンエーテル及び前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂等を溶解させ、これらの反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、トルエン等が挙げられる。
また、前記反応混合物(A)は、上述したように、前記反応の進行度合によっては、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂とを含んでいてもよいし、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂とが全て反応されていてもよい。
前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基との当量比としては、具体的には、例えば、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基が、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基1個当たり1〜4個となる当量比であることが好ましい。前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂が少なすぎると、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂との反応が不充分となり、硬化物の耐熱性が低下する傾向がある。また、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂が多すぎると、前記低分子量ポリフェニレンエーテルが少なくなりすぎ、よって、ポリフェニレンエーテルの有する優れた誘電特性を維持することができない傾向にある。
前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基との当量比としては、具体的には、例えば、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基及び前記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基の合計が、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基1個当たり1〜10個となる当量比であることが好ましい。前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基及び前記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基の合計が少なすぎると、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂及び前記エポキシ樹脂(B)との反応が不充分となり、硬化物の耐熱性が低下する傾向がある。また、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基及び前記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基の合計が多すぎると、前記低分子量ポリフェニレンエーテルが少なくなりすぎ、よって、ポリフェニレンエーテルの有する優れた誘電特性を維持することができない傾向にある。
前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂とを反応させる際、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂との混合物に、触媒を混合してもよい。前記触媒としては、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基との反応を促進することができるものであれば、特に制限することなく使用することができる。具体的には、オクタン酸、ステアリン酸、アセチルアセトネート、ナフテン酸、及びサリチル酸等の有機酸のZn、Cu、及びFe等の有機金属塩;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)、トリエチルアミン、及びトリエタノールアミン等の3級アミン;2−エチル−4−イミダゾール(2E4MZ)、及び4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリフェニルホスフィン(TPP)、トリブチルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等の有機ホスフィン類等が挙げられる。これらは、単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、イミダゾール類、特に2−エチル−4−イミダゾールが、反応時間を短くすることができ、さらに、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂同士の重合(エポキシ樹脂の自重合)を抑制できる点から、特に好ましく用いられる。また、前記触媒の含有量は、前記低分子量ポリフェニレンエーテルと前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂との合計100質量部に対して、0.05〜1質量部であることが好ましい。前記触媒の含有量が少なすぎると、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基との反応に非常に時間がかかる傾向がある。また、前記触媒の含有量が多すぎると、前記反応の制御が困難となり、ゲル化しやすくなる傾向がある。
前記低分子量ポリフェニレンエーテルとしては、数平均分子量(Mn)が500〜3000であれば、特に限定されない。また、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が1〜3であるものが好ましい。具体的には、例えば、重合反応により直接得られた、数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲内のもの等が挙げられる。
また、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの分子量が低すぎると、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂と反応させても、硬化物の耐熱性としては充分なものが得られない傾向がある。また、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの分子量が高すぎると、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂と反応させた反応混合物を含有させた場合、樹脂組成物の粘度が高くなり、充分な流動性が得られず、成形不良を抑制できない傾向がある。
また、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)は、分散比と呼ばれ、分子量分布の指標となる。すなわち、前記比(Mw/Mn)が小さいほど、分子量分布が狭いことになる。この比(Mw/Mn)が高すぎると、硬化物の耐熱性としては充分なものが得られない傾向がある。このことは、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの分子量分布が広くなりすぎ、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂との反応が不均一になりやすいためと考えられる。
よって、前記低分子量ポリフェニレンエーテルを用いることによって、広い周波数領域において誘電特性が良好であるだけではなく、成形不良を抑制できる充分な流動性を有する。
なお、ここでの前記低分子量ポリフェニレンエーテルの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、具体的には、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等を用いて測定することができる。
また、前記低分子量ポリフェニレンエーテルとしては、1分子当たりの水酸基の平均個数(平均水酸基数)が1.5〜3個であることが好ましく、1.8〜2.4個であることがより好ましい。前記平均水酸基数が少なすぎると、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基との反応性が低下し、硬化物の耐熱性としては充分なものが得られにくく、さらに、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基との反応に非常に時間がかかる傾向がある。また、前記平均水酸基数が多すぎると、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基との反応性が高くなりすぎ、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基との反応の制御が困難となり、ゲル化しやすくなる傾向がある。
なお、ここでの前記低分子量ポリフェニレンエーテルの平均水酸基数は、使用する前記低分子量ポリフェニレンエーテルの製品の規格値からわかる。前記低分子量ポリフェニレンエーテルの平均水酸基数としては、具体的には、例えば、前記低分子量ポリフェニレンエーテル1モル中に存在する全ての低分子量ポリフェニレンエーテルの1分子あたりの水酸基の平均値等が挙げられる。
前記低分子量ポリフェニレンエーテルとしては、具体的には、例えば、2,6−ジメチルフェノールと2官能フェノール及び3官能フェノールの少なくともいずれか一方とからなるポリフェニレンエーテルやポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンオキサイド)等のポリフェニレンエーテルを主成分とするもの等が挙げられる。この中でも、2,6−ジメチルフェノールと2官能フェノール及び3官能フェノールの少なくともいずれか一方とからなるポリフェニレンエーテルが好ましい。また、前記2官能フェノールとしては、例えば、テトラメチルビスフェノールA等が挙げられる。前記低分子量ポリフェニレンエーテルとしては、より具体的には、例えば、下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0005577107
上記式(1)中、m,nは、前記数平均分子量(Mn)が上記範囲内になるような重合度であればよい。具体的には、mとnとの合計値が、1〜30であることが好ましい。また、mが、0〜20であることが好ましく、nが、0〜20であることが好ましい。
前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂は、分子内にトリアジン骨格を有するエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、分子内にトリアジン骨格を有し、エポキシ基及び保護基が予め結合されたエポキシ基を、1分子中に平均2〜3個有するエポキシ樹脂等が挙げられる。すなわち、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂としては、1分子当たりのエポキシ基の平均個数(平均エポキシ基数)が2〜3個であることが好ましい。
また、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂の数平均分子量(Mn)が、200〜600であることが好ましい。
なお、ここでの前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂の平均エポキシ基数は、使用する前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂の製品の規格値からわかる。前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基数としては、具体的には、例えば、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂1モル中に存在する全ての前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂の1分子あたりのエポキシ基の平均値等が挙げられる。また、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂の数平均分子量(Mn)は、具体的には、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等を用いて測定することができる。
前記エポキシ樹脂(B)としては、数平均分子量が600以下で、1分子中に平均2個以上のエポキシ基を有し(平均エポキシ基数が2個以上であり)、分子中のハロゲン濃度が0.5質量%未満のエポキシ樹脂を含有するものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂が、前記反応混合物(A)や前記低分子量ポリフェニレンエーテルとの相溶性が良い点から好ましく用いられる。また、前記樹脂組成物には、ハロゲン化エポキシ樹脂を含有しないことが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて配合してもよい。
なお、ここでの前記エポキシ樹脂の平均エポキシ基数は、使用する前記エポキシ樹脂の製品の規格値からわかる。前記エポキシ樹脂のエポキシ基数としては、具体的には、例えば、前記エポキシ樹脂1モル中に存在する全ての前記エポキシ樹脂の1分子あたりのエポキシ基の平均値等が挙げられる。また、前記エポキシ樹脂の数平均分子量(Mn)は、具体的には、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー等を用いて測定することができる。
また、前記エポキシ樹脂は、トルエンに対する溶解度が25℃において10質量%以上であることが好ましい。このようなエポキシ樹脂であると、PPEの有する、優れた誘電特性を阻害することなく、硬化物の耐熱性が充分に高められる。このことは前記反応混合物(A)や、前記低分子量ポリフェニレンエーテルとの相溶性が比較的高く、よって、前記反応生成物(A)や前記低分子量ポリフェニレンエーテルと均一に反応しやすく、前記反応生成物(A)や前記低分子量ポリフェニレンエーテルと3次元的な架橋が形成されやすいためであると考えられる。
前記シアネート樹脂(C)としては、1分子当たりのシアネート基の平均個数(平均シアネート基数)が2個以上であれば、特に限定されない。このようにシアネート基数が多いと、得られた樹脂組成物の硬化物の耐熱性が高まる点から好ましい。なお、ここでの前記シアネート樹脂(C)の平均シアネート基数は、使用する前記シアネート樹脂の製品の規格値からわかる。前記シアネート樹脂(C)のシアネート基数としては、具体的には、例えば、前記シアネート樹脂1モル中に存在する全ての前記シアネート樹脂の1分子あたりのシアネート基の平均値等が挙げられる。
前記シアネート樹脂(C)としては、具体的には、例えば、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)プロパン(ビスフェノールA型シアネート樹脂)、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナートフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナートフェニル)エタン等またはこれらの誘導体等の芳香族系シアネートエステル化合物等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記反応混合物(A)及び前記エポキシ樹脂(B)と前記シアネート樹脂(C)との含有比率は、前記反応混合物(A)のエポキシ基及び前記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基の合計が、前記シアネート樹脂(C)のシアネート基1個当たり0.5〜1個となる含有比率であることが好ましい。すなわち、前記反応混合物(A)のエポキシ基及び前記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基の合計の、前記シアネート樹脂(C)のシアネート基1個に対する個数(当量比:前記反応混合物(A)のエポキシ基及び前記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基の合計/前記シアネート樹脂(C)のシアネート基)が0.5〜1個となる含有比率であることが好ましい。前記シアネート樹脂が少なすぎると、硬化物の耐熱性が不充分になる傾向がある。また、前記シアネート樹脂が多すぎると、シアネート樹脂の影響が大きくなり、ポリフェニレンエーテルの有する優れた誘電特性を維持することができない傾向がある。すなわち、前記シアネート樹脂の含有量が上記範囲内であることによって、硬化物の耐熱性が充分に高く、ポリフェニレンエーテルの優れた誘電特性を発揮できる。
前記硬化促進剤(D)は、前記反応混合物(A)及び前記エポキシ樹脂(B)と前記シアネート樹脂(C)との硬化反応(架橋反応)を促進することができるものであれば、特に制限することなく使用することができる。具体的には、例えば、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリメチルホスフィン等の有機ホスフィン系化合物、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン等の三級アミン系化合物、PF を有する芳香族スルホニウム塩等のカチオン重合触媒、脂肪酸金属塩等が挙げられる。また、前記脂肪酸金属塩は、一般的に金属石鹸と呼ばれるものであって、具体的には、例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、リシノール酸、及びオクチル酸等の脂肪酸と、リチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、及び亜鉛等の金属とからなる脂肪酸金属塩等が挙げられる。より具体的には、オクチル酸亜鉛等が挙げられる。前記硬化促進剤(D)は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記硬化促進剤(D)としては、上記の中でも、イミダゾール系化合物及びカチオン重合触媒を含有することが、誘電特性及び硬化物の耐熱性により優れた樹脂組成物が得られる点から好ましい。また、イミダゾール系化合物を用いる場合や、プレリアクト時の触媒としてイミダゾール系化合物を用いた場合、イミダゾール系化合物に加えて、脂肪酸金属塩を含有することがより好ましい。このことは、カチオン重合触媒、イミダゾール系化合物及び脂肪酸金属塩が、前記反応混合物(A)及び前記エポキシ樹脂(B)と前記シアネート樹脂(C)との硬化反応だけではなく、前記シアネート樹脂(C)同士の硬化反応や、前記反応混合物(A)に含まれるトリアジン骨格含有エポキシ樹脂及び前記エポキシ樹脂(B)等のエポキシ樹脂同士の硬化反応も促進させることができるものであるので、前記シアネート樹脂(C)や前記エポキシ樹脂が過剰に存在する場合であっても、前記シアネート樹脂(C)同士の硬化反応や前記エポキシ樹脂同士の硬化反応によって、硬化物の耐熱性の向上に寄与できることによると考えられる。
前記硬化促進剤(D)の含有量としては、例えば、前記反応混合物(A)と前記エポキシ樹脂(B)と前記シアネート樹脂(C)との合計量100質量部に対して、0.05〜1質量部であることが好ましい。前記硬化促進剤(D)の含有量が少なすぎると、硬化促進効果を高めることができない傾向にある。また、前記硬化促進剤(D)の含有量が多すぎると、成形性に不具合を生じる傾向があり、また、硬化促進剤の含有量が多すぎて経済的に不利となる傾向がある。また、樹脂組成物のライフ性が低下する傾向がある。
また、前記樹脂組成物には、難燃性を高めるために、難燃剤を含有させてもよい。前記難燃剤としては、ハロゲンフリー化のために、ホスフィン酸塩系難燃剤、及びトリアジン骨格を有するポリリン酸塩系難燃剤等のリン含有化合物であることが好ましい。前記樹脂組成物は、硬化物の耐熱性が充分に高いので、充分な難燃性を示すほどのリン含有化合物が含有させても、充分な耐熱性を確保できる。すなわち、前記反応混合物(A)、前記エポキシ樹脂(B)、前記シアネート樹脂(C)、及び前記硬化促進剤(D)と、前記リン含有化合物とを組み合わせて用いることが好ましい。そうすることによって、ハロゲンフリーを達成しつつ、硬化物の耐熱性及び難燃性等の優れた樹脂組成物が得られる。
このことは、上述したように、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂の、例えば、PPEの良溶媒であるトルエン等への溶解性が低いことによる不具合を、プレリアクトして前記反応混合物にすることによって解消するものであるためと考えられる。そして、前記反応混合物と、PPEとの相溶性が良好なリン含有化合物とを含有させることによって、ハロゲンフリーを達成しつつ、硬化物の耐熱性及び難燃性等の優れた樹脂組成物が得られると考えられる。
前記ホスフィン酸塩系難燃剤としては、特に限定されない。具体的には、例えば、ジアルキルホスフィン酸アルミニウム塩等のホスフィン酸金属塩等が挙げられる。前記ホスフィン酸塩系難燃剤としては、上記ホスフィン酸塩系難燃剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ポリリン酸塩系難燃剤としては、特に限定されない。具体的には、例えば、トリアジン骨格を有するポリリン酸塩等が挙げられる。このポリリン酸塩系難燃剤は、ポリマーであることにより、難燃性を高めるだけではなく、耐加水分解性や耐熱性等を高めることができると考えられる。また、前記ポリリン酸塩系難燃剤は、前記ポリフェニレンエーテル樹脂に対して、前記エポキシ樹脂よりも炭化促進効果を顕著に発揮させうると考えられる。そして、その炭化促進効果が発揮されることにより形成される炭化層が可燃ガスや熱の広がりを抑制し、難燃性を充分に高めることができると考えられる。よって、前記ポリリン酸塩を、所定量以上のポリフェニレンエーテル樹脂と併用することによって、得られた樹脂組成物の硬化物の難燃性を充分に高めることができると考えられる。
前記ポリリン酸塩系難燃剤としては、具体的には、例えば、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メレム、及びこれらの複合塩等が挙げられる。この中でも、ポリリン酸メラミンが好ましく用いられる。また、前記複合塩としては、例えば、特開平10−306081号公報に記載のもの等が挙げられる。
また、前記ポリリン酸塩系難燃剤のpHは、4〜7であることが好ましい。前記ポリリン酸塩系難燃剤のpHが低すぎると、前記反応混合物(A)と前記シアネート樹脂(B)との硬化反応を阻害し、硬化物の耐熱性が低下する傾向がある。また、前記ポリリン酸塩系難燃剤のpHが高すぎると、材料として不安定であるか、又は副生成物が大量に混在してしまうという傾向がある。なお、前記ポリリン酸塩のpHは、一般的なpH計で測定することができる。
また、前記ポリリン酸塩系難燃剤としては、具体的には、例えば、平均粒径が10μm以下のものが好ましく、5μm以下のものがより好ましい。
前記ポリリン酸塩系難燃剤としては、上述したように、トリアジン骨格を有するポリリン酸塩であれば、特に限定されずに用いることができ、具体的には、例えば、特開平10−306081号公報に記載の方法等により調製したものを用いることができる。また、前記ポリリン酸塩系難燃剤のpHを調整する方法としては、例えば、ポリリン酸塩の製造方法において、ポリリン酸と、メラミン、メラム及びメレム等との混合比を調整する方法等が挙げられる。
また、前記リン含有化合物の含有量は、リン原子の含有量が、前記樹脂組成物に対して、3.5質量%以上となるような量であることが好ましい。前記リン含有化合物の含有量が少なすぎると、硬化物の難燃性を充分に高めることができない傾向がある。また、前記リン含有化合物の含有量としては、リン原子の含有量が、前記樹脂組成物に対して、5質量%以下となるような量であることが好ましく、4.5質量%以下となるような量であることがより好ましい。前記リン含有化合物の含有量が多すぎると、硬化物の耐熱性及び誘電特性等が低下する傾向があり、耐熱性の低下に起因して硬化物の難燃性が充分に得ることができなくなる傾向がある。なお、前記リン原子の含有量は、前記樹脂組成物に対する割合(質量%)であり、使用する前記ホスフィン酸塩系難燃剤及び前記ポリリン酸塩系難燃剤のリン原子の含有量から算出できる。
また、前記樹脂組成物には、加熱時における寸法安定性を高めたり、難燃性を高める等の目的で、必要に応じてさらに無機充填材を配合してもよい。前記無機充填材としては、具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、マイカ、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、及び炭酸カルシウム等が挙げられる。また、前記無機充填材としては、そのまま用いてもよいが、エポキシシランタイプ、又はアミノシランタイプのシランカップリング剤で表面処理されたものが、特に好ましい。前記のようなシランカップリング剤で表面処理された無機充填材が配合されたポリフェニレンエーテル樹脂組成物を用いて得られる金属張積層板は、吸湿時における耐熱性が高く、また、層間ピール強度も高くなる傾向がある。
前記樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、例えば熱安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、染料や顔料、滑剤等の添加剤を配合してもよい。
前記樹脂組成物は、プリプレグを製造する際には、プリプレグを形成するための基材(繊維質基材)に含浸する目的でワニス状に調製して用いられることが多い。すなわち、前記樹脂組成物は、通常、ワニス状に調製されたものであることが多い。このようなワニスは、例えば、以下のようにして調製される。
まず、前記反応混合物(A)、前記エポキシ樹脂(B)、及び前記シアネート樹脂(C)、及び必要に応じて他の硬化剤等を、有機溶媒等に投入して溶解させる。この際、必要に応じて、加熱してもよい。さらに、前記硬化促進剤(D)、また、必要に応じて、難燃剤や無機充填材等を添加して、ボールミル、ビーズミル、プラネタリーミキサー、ロールミル等を用いて、所定の分散状態になるまで分散させることにより、ワニス状の樹脂組成物が調製される。前記有機溶媒としては、前記反応混合物(A)、前記エポキシ樹脂(B)、及び前記シアネート樹脂(C)等を溶解させ、硬化反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、トルエン、シクロヘキサノン、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
得られたワニス状の樹脂組成物を用いてプリプレグを製造する方法としては、例えば、前記樹脂組成物を繊維質基材に含浸させた後、乾燥する方法が挙げられる。
前記繊維質基材としては、具体的には、例えば、ガラスクロス、アラミドクロス、ポリエステルクロス、ガラス不織布、アラミド不織布、ポリエステル不織布、パルプ紙、及びリンター紙等が挙げられる。なお、ガラスクロスを用いると、機械強度が優れた積層板が得られ、特に偏平処理加工したガラスクロスが好ましい。偏平処理加工としては、具体的には、例えば、ガラスクロスを適宜の圧力でプレスロールにて連続的に加圧してヤーンを偏平に圧縮することにより行うことができる。なお、前記繊維質基材の厚みとしては、例えば、0.04〜0.3mmのものを一般的に使用できる。
前記含浸は、浸漬(ディッピング)、及び塗布等によって行われる。前記含浸は、必要に応じて複数回繰り返すことも可能である。また、この際、組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする組成及び樹脂量に調整することも可能である。
前記樹脂組成物が含浸された繊維質基材は、所望の加熱条件、例えば、80〜170℃で1〜10分間加熱されることにより半硬化状態(Bステージ)のプリプレグが得られる。
このようにして得られたプリプレグを用いて金属張積層板を作製する方法としては、前記プリプレグを一枚または複数枚重ね、さらにその上下の両面又は片面に銅箔等の金属箔を重ね、これを加熱加圧成形して積層一体化することによって、両面金属箔張り又は片面金属箔張りの積層体を作製することができるものである。加熱加圧条件は、製造する積層板の厚みやプリプレグの樹脂組成物の種類等により適宜設定することができるが、例えば、温度を170〜220℃、圧力を3〜4MPa、時間を60〜150分間とすることができる。
前記樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテルの有する優れた誘電特性を維持したまま、硬化物の耐熱性、及び難燃性に優れたものである。このため、前記樹脂組成物を用いて得られたプリプレグを用いた金属張積層板は、誘電特性、及び耐熱性、及び難燃性に優れたものである。また、前記樹脂組成物に含有されるポリフェニレンエーテルが低分子量化したものであるので、前記樹脂組成物の粘度が低く、流動性が高い。よって、得られたプリプレグは、金属張積層板や金属張積層板を用いたプリント配線板を製造する際に成形不良の発生を抑制できる信頼性に優れたものである。
また、プリプレグを用いて、プリント配線板を製造することができる。具体的には、例えば、作製された積層体の表面の金属箔をエッチング加工等して回路形成をすることによって、積層体の表面に回路として導体パターンを設けたプリント配線板を得ることができるものである。このように得られるプリント配線板は、誘電特性に優れており、また、高い耐熱性及び難燃性を備えたものである。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
[反応混合物の調製]
本実施例において、反応混合物を調製する際に用いる各成分について説明する。
(ポリフェニレンエーテル)
PPE1:ポリフェニレンエーテル(SABICイノベーティブプラスチックス社製のMX−90、数平均分子量Mn1800、官能基当量800、平均水酸基数1.8個)
PPE2:ポリフェニレンエーテル(国際公開第2007/067669号に記載されている実施例4と同様の方法で合成したポリフェニレンエーテル、数平均分子量Mn770、官能基当量370、平均水酸基数1.9個)
PPE3:ポリフェニレンエーテル(SABICイノベーティブプラスチックス社製のノリル640、数平均分子量Mn15000、官能基当量15000、平均水酸基数1個)
(トリアジン骨格含有エポキシ樹脂)
トリアジン骨格含有エポキシ樹脂1:トリアジン骨格含有エポキシ樹脂(日産化学工業株式会社製のTEPIC−S、数平均分子量Mn300、官能基当量100、平均エポキシ基数3個)
トリアジン骨格含有エポキシ樹脂2:トリアジン骨格含有エポキシ樹脂(日産化学工業株式会社製のTEPIC−PAS、数平均分子量Mn330、官能基当量135、平均エポキシ基数2.6個)
(プレリアクト時の触媒)
2E4MZ:2−エチル−4−イミダゾール(四国化成工業株式会社製)
[調製方法]
表1及び表2に記載の配合割合となるように、各成分をトルエンに添加した後、100℃で4〜6時間攪拌させた。そうすることによって、前記ポリフェニレンエーテルと前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂と予め反応(プレリアクト)させることによって、前記反応混合物を調製した。
[プレリアクトの結果(反応量)]
ポリフェニレンエーテルを反応させる前のトリアジン骨格含有エポキシ樹脂の有する全エポキシ基数を1としたときの、プレリアクトによる反応量を測定した。すなわち、ポリフェニレンエーテルを反応させる前のトリアジン骨格含有エポキシ樹脂の有する全エポキシ基数を1としたときの、ポリフェニレンエーテルの水酸基と反応して減少したエポキシ基数を測定した。具体的には、ポリフェニレンエーテルを反応させる前のトリアジン骨格含有エポキシ樹脂の溶液、及びポリフェニレンエーテルを反応させた後のトリアジン骨格含有エポキシ樹脂の溶液を、紫外線吸光光度計(株式会社島津製作所製のUVmini−1240)を用いて、測定波長318nmでそれぞれ測定した。ポリフェニレンエーテルを反応させる前のトリアジン骨格含有エポキシ樹脂の溶液の吸光度を1としたときの、ポリフェニレンエーテルを反応させた後のトリアジン骨格含有エポキシ樹脂の溶液の吸光度の比を測定した。
[樹脂組成物の調製]
本実施例において、樹脂組成物を調製する際に用いる各成分について説明する。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂1:ビスフェノールF型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロン830S、数平均分子量Mn400、官能基当量170、平均エポキシ基数2個)
エポキシ樹脂2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロン850S、数平均分子量Mn420、官能基当量190、平均エポキシ基数2個)
エポキシ樹脂3:ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬株式会社製のNC3100、数平均分子量Mn600、官能基当量190、平均エポキシ基数2.3個)
エポキシ樹脂4:脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業株式会社製のセロキサイド2021、数平均分子量Mn270、官能基当量135、平均エポキシ基数2個)
エポキシ樹脂5:フェノールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロンN775、数平均分子量Mn800、官能基当量190、平均エポキシ基数4個)
エポキシ樹脂6:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(DIC株式会社製のエピクロン1050、数平均分子量Mn1050、官能基当量500、平均エポキシ基数2個)
(シアネート樹脂)
シアネート樹脂:ロンザジャパン株式会社製のBadcy、数平均分子量Mn280、官能基当量139、平均シアネート基数2個)
(硬化促進剤)
脂肪酸金属塩:オクタン酸亜鉛(DIC株式会社製)
(その他の成分)
ホスフィン酸塩系難燃剤:ジアルキルホスフィン酸アルミニウム(クラリアントジャパン株式会社製のOP935)
シリカ粒子:シリカ粒子(株式会社アドマテックス製のSC2500−SEJ)
[調製方法]
表1及び表2に記載の配合割合となるように、得られた反応混合物の溶液を80℃になるまで加熱し、そこに、エポキシ樹脂、シアネート樹脂及び硬化促進剤を添加した後、30分間攪拌することによって、完全に溶解させた。そして、さらに、ホスフィン酸塩系難燃剤やシリカ粒子等の他の成分を添加して、ボールミルで分散させることによって、ワニス状の樹脂組成物(樹脂ワニス)が得られた。
次に、得られた樹脂ワニスをガラスクロス(日東紡績株式会社製の♯2116タイプ、WEA116E、Eガラス)に含浸させた後、150℃で約3〜8分間加熱乾燥することによりプリプレグを得た。その際、ポリフェニレンエーテル、エポキシ樹脂及び硬化剤等の樹脂成分の含有量(レジンコンテント)が40〜45質量%となるように調整した。
そして、得られた各プリプレグを4枚重ねて積層し、温度200℃、2時間、圧力3MPaの条件で加熱加圧することにより、厚み0.4mmの評価基板を得た。
なお、プレリアクトを行わない場合は、プレリアクトの原料も、表1及び表2に記載の配合割合となるように、同時に配合すること以外、上記調製方法と同様に調製して、評価基板を得た。また、表1及び表2中、「エポキシ基/水酸基」は、ポリフェニレンエーテルの水酸基に対する、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基とエポキシ樹脂(B)のエポキシ基との合計の当量比を示す。そして、「エポキシ基/シアネート基」は、プレリアクトする場合、シアネート樹脂(C)のシアネート基に対する、反応混合物(A)のエポキシ基とエポキシ樹脂(B)のエポキシ基との合計の当量比を示し、プレリアクトしない場合、シアネート樹脂(C)のシアネート基に対する、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基とエポキシ樹脂(B)のエポキシ基との合計の当量比を示す。
Figure 0005577107
Figure 0005577107
上記のように調製された各プリプレグ及び評価基板を、以下に示す方法により評価を行った。
[ガラス転移温度(Tg)]
セイコーインスツルメンツ株式会社製の粘弾性スペクトロメータ「DMS100」を用いて、プリプレグのTgを測定した。このとき、曲げモジュールで周波数を10Hzとして動的粘弾性測定(DMA)を行い、昇温速度5℃/分の条件で室温から280℃まで昇温した際のtanαが極大を示す温度をTgとした。
[誘電特性(誘電率及び誘電正接)]
1GHzにおける評価基板の誘電率及び誘電正接を、IPC−TM650−2.5.5.9に準拠の方法で測定した。具体的には、インピーダンスアナライザ(アジレント・テクノロジー株式会社製のRFインピーダンスアナライザ HP4291B)を用い、1GHzにおける評価基板の誘電率及び誘電正接を測定した。
[耐熱性]
耐熱性は、JIS C 6481に準拠の方法で測定した。具体的には、評価基板を、121℃、2気圧(0.2MPa)、1時間のプレッシャークッカーテスト(PCT)を各サンプルで行い、サンプル数5個で、所定温度の半田槽中に20秒間浸漬し、ミーズリングや膨れ等の異常発生の有無を目視で観察した。異常発生が確認されない最高温度を測定した。
[難燃性]
評価基板から、長さ125mm、幅12.5mmのテストピースを切り出した。そして、このテストピースについてUnderwriters Laboratoriesの”Test for Flammability of Plastic Materials−UL 94”に準じて行い、評価した。
[溶解性]
まず、得られた樹脂ワニスを、室温に冷却させ、その温度で放置した。そして、樹脂ワニスから析出物が目視で確認できるまでの時間を測定した。なお、24時間以上、析出物を確認できながった場合、「−」と評価した。
[プリプレグの流動性(樹脂流れ性)]
各プリプレグの流動性(樹脂流れ性)は、JIS C 6521に準拠の方法で測定した。
これらの結果を表3及び表4に示す。
Figure 0005577107
Figure 0005577107
表3及び表4からわかるように、数平均分子量が500〜3000の低分子量ポリフェニレンエーテルと、分子内にトリアジン骨格を有するトリアジン骨格含有エポキシ樹脂とを含み、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部を、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基で予め反応させることによって得られた反応混合物(A)と、平均分子量が600以下で、1分子中に平均2個以上のエポキシ基を有し、分子中のハロゲン濃度が0.5質量%未満のエポキシ樹脂(B)と、1分子中に平均2個以上のシアネート基を有するシアネート樹脂(C)と、硬化促進剤(D)とを含有する樹脂組成物を用いた場合(実施例1〜13)は、いずれかを満たさない比較例1〜9に係る樹脂組成物を用いた場合と比較して、PPEの有する優れた誘電特性を維持したまま、プリプレグの流動性が高く、硬化物の耐熱性等に優れていた。

Claims (14)

  1. 分子内にトリアジン骨格を有するトリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部を、数平均分子量が500〜3000の低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基で予め反応させることによって得られ、前記低分子量ポリフェニレンエーテルを反応させる前のトリアジン骨格含有エポキシ樹脂の有する全エポキシ基の1/10以上が、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と反応した反応混合物(A)と、
    平均分子量が600以下で、1分子中に平均2個以上のエポキシ基を有し、分子中のハロゲン濃度が0.5質量%未満のエポキシ樹脂(B)と、
    1分子中に平均2個以上のシアネート基を有するシアネート樹脂(C)と、
    硬化促進剤(D)とを含有することを特徴とする樹脂組成物。
  2. 前記反応混合物(A)が、前記低分子量ポリフェニレンエーテルを反応させる前のトリアジン骨格含有エポキシ樹脂の有する全エポキシ基の1/9以上が、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と反応したものである請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂が、エポキシ基を、1分子中に平均2〜3個有する請求項1又は請求項2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂(B)が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂のいずれか一方である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. リン含有化合物を含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記低分子量ポリフェニレンエーテルが、下記一般式(1)で表される化合物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    Figure 0005577107

    (式(1)中、mは、0〜20を示し、nは、0〜20を示し、mとnとの合計は、1〜30を示す。)
  7. 前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基及び前記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基の合計が、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基1個当たり1〜10個である請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 前記反応混合物(A)のエポキシ基及び前記エポキシ樹脂(B)のエポキシ基の合計が、前記シアネート樹脂(C)のシアネート基1個当たり0.5〜1個である請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 数平均分子量が500〜3000の低分子量ポリフェニレンエーテルと、分子内にトリアジン骨格を有するトリアジン骨格含有エポキシ樹脂との混合物を加熱することによって、前記トリアジン骨格含有エポキシ樹脂のエポキシ基の少なくとも一部を、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基で反応させて、前記低分子量ポリフェニレンエーテルを反応させる前のトリアジン骨格含有エポキシ樹脂の有する全エポキシ基の1/10以上が、前記低分子量ポリフェニレンエーテルの水酸基と反応した反応混合物(A)を得る工程と、
    記反応混合物(A)に、平均分子量が600以下で、1分子中に平均2個以上のエポキシ基を有し、分子中のハロゲン濃度が0.5質量%未満のエポキシ樹脂(B)と、1分子中に平均2個以上のシアネート基を有するシアネート樹脂(C)と、硬化促進剤(D)とを配合する工程とを備えることを特徴とする樹脂組成物の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物と溶媒とを含有する樹脂ワニス。
  11. 前記溶媒が、トルエン、シクロヘキサノン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項10に記載の樹脂ワニス。
  12. 請求項10又は請求項11に記載の樹脂ワニスを繊維質基材に含浸させて得られたプリプレグ。
  13. 請求項12に記載のプリプレグに金属箔を積層して、加熱加圧成形して得られた金属張積層板。
  14. 請求項12に記載のプリプレグを用いて製造されたプリント配線板。
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