JP2012077400A - ろ紙とそのろ紙を用いたエアフィルタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 厚さ0.15〜0.25mmのろ紙の製造方法であって、平均繊維径0.2〜0.6μmの極細ガラス短繊維を95〜85質量%と平均繊維径3〜5μmの合繊を5〜15質量%配合したものを抄造してろ紙を得、このろ紙を用いてエアフィルタを構成する。
【選択図】 なし
Description
また、高性能エアフィルタにおいて低圧損化を図るには、所定の容積からなるフィルタパックに高面積のろ紙を折り込む必要がある。我々はプリーツ間の隙間を広くすることにより低圧力損失化が図られ、0.2mm程度の薄手のろ紙を使用することが適していることを見い出している。しかしながら、厚さ0.4mmのろ紙は、引裂強度がMD方向で400mN、CD方向で200mNと十分な強度を有するものの、厚さ0.2mmのろ紙ではMD方向で200mN、CD方向で100mNと、ほぼ半減し、引裂強度の急激な低下がみられ、0.2mm程度の薄手のろ紙を使用すると、フィルタ製造時のろ紙の取り扱いが難しく、更にはフィルタ使用時の風圧によりろ紙が破けるという問題がある。
上記問題点であるろ紙の引裂強度を向上するには、骨格繊維となる合繊を配合することが常套手段として考えられるが、合繊が入ることでろ紙全体として繊維径が太くなり、合繊の配合により所定の効率が得られない問題もおこる。また、所定の効率を得るため極細ガラス短繊維の更に細いものを配合すると、表面ろ過がろ過の主体となり、ろ紙全体でのろ過ができなくなりフィルタ寿命が短くなるという問題がある。これは、骨格繊維となる合繊の格子間に極細ガラス短繊維が抄きこまれ、極細ガラス短繊維同士で形成される孔径が小さくなりすぎ、気流の上流側での表面ろ過で終わってしまうからである。
本発明のろ紙は前記知見に基づきなされたもので、請求項1記載の通り、厚さ0.15〜0.25mmのろ紙であって、平均繊維径0.2〜0.6μmの極細ガラス短繊維を95〜85質量%と平均繊維径3〜5μmの合繊を5〜15質量%配合したものを抄造して得られたものであることを特徴とする。
また、請求項2記載のろ紙は、請求項1記載のろ紙において、前記極細ガラス短繊維のアスペクト比が500〜3000であることを特徴とする。
また、請求項3記載のろ紙は、請求項1または2の何れかに記載のろ紙において、前記極細ガラス短繊維はCガラスであることを特徴とする。
また、請求項4記載のろ紙は、請求項1乃至3の何れかに記載のろ紙において、前記合繊の繊維長が1〜15mmであることを特徴とする。
また、請求項5記載のろ紙は、請求項1乃至4の何れかに記載のろ紙において、前記合繊はポリエステル樹脂であることを特徴とする。
また、請求項6記載のろ紙は、請求項1乃至5の何れかに記載のろ紙において、前記ろ紙の表面側(毛布側)層Aと裏面側(ワイヤ側)層Bの平均繊維径比率A/Bが0.60〜0.85であることを特徴とする。
また、本発明のエアフィルタは、請求項7記載の通り、前記請求項1乃至6の何れかに記載のろ紙を備え、前記ろ紙の裏面側(ワイヤ側)を気流の流入側に配置したことを特徴とする。
また、ろ紙の表面側(毛布側)層Aと裏面側(ワイヤ側)層Bの平均繊維径比率A/Bが0.60〜0.85の粗密ろ紙となるため、裏面側(ワイヤ側)層Bを上流側に配したエアフィルタとすることで、従来よりもフィルタ寿命を大幅に長くすることができる。ここで、粗密ができる原因は、合繊の比重がガラスに比べて軽いため、抄紙時にワイヤに抄かれる速度が遅く表面側(毛布側)に残ろうとすることから、その合繊により極細ガラス短繊維の中でも細部分がワイヤ側に抄かれるのを抑えられて、表面側(毛布側)に多く残るからであると考えられる。
本発明のろ紙は、厚さ0.15〜0.25mmのろ紙であって、平均繊維径0.2〜0.6μmの極細ガラス短繊維を95〜85質量%と平均繊維径3〜5μmの合繊を5〜15質量%配合したものを抄造して得られるものである。
前記ろ紙の厚みを0.15〜0.25mmとしたのは、0.15mm未満であるとろ紙の引裂強度が低くなり、また、0.25mmを超えるろ紙を用いてフィルタを作製すると、プリーツ間の隙間が狭くなるに連れ、圧力損失が急上昇するからである。
前記極細ガラス短繊維は平均繊維径が0.2〜0.6μmのものを用いる必要があり、これは、0.2μm未満では強度の問題があり、また、0.6μmを超えると効率の問題を生じるおそれがあるからである。
前記極細ガラス短繊維のアスペクト比は500〜3000のものが好ましい。これは、500未満であると、繊維のからみがなくなり、所望の効率が得られず、3000を超えると繊維の分散性が悪くなり所望の効率が得られないからである。
また、その配合量は95〜85質量%とする必要がある。これは、95質量%を超えると、所望の引裂強度が得られず、85質量%未満であると所望の効率が得られないからである。
前記合繊は平均繊維径3〜5μmのものを用いる必要があり、これは、3μm未満であると強度の問題があり、5μmを超えると効率の問題を生じるおそれがあるからである。
前記合繊の繊維長は3〜5mmが好ましい。これは、3mm未満であると、骨格繊維の作用が低くなり所望の引裂強度が得られず、5mmを超えると繊維の分散性が悪くなり所望の引裂強度が得られず、また、所望の効率も得られないからである。
また、その配合量は5〜15質量%とする必要がある。これは、5質量%を未満であると、骨格繊維の作用が低くなり所望の引裂強度が得られず、また、15質量%を超えると、繊維の分散性が悪くなり所望の引裂強度が得られず、また、所望の効率も得られないからである。
(実施例1)
平均繊維径0.2μm、繊維長0.4mm、アスペクト比2000のCガラス極細ガラス短繊維90質量%と平均繊維径4μm、繊維長4mmのポリエステル樹脂製合成繊維10質量%を混合して抄紙機で抄造して、厚さ0.2mm、目付40g/m2のろ紙を製造した。
得られたろ紙の平均繊維径比率A/Bは、0.55μm/0.83μmで0.66であった。
得られたろ紙の効率、引裂強度を測定したところ、効率は99.990%(at0.3〜0.4μm)で、引裂強度はMD方向が従来例を100%とした場合にMD方向が110%、CD方向114%であった。
また、裏面側(ワイヤ側)層Bを流入側にして大気塵負荷試験92時間を行ったところ、図1に示す通り、付着量0.09gで圧力損失540Pa、付着量0.065gで圧力損失340Paであった。
効率:JISB9908:2001に準拠して測定した。
引裂強度:JISP8116に準拠して測定した。
大気塵負荷試験92時間:ろ紙をφ100mmの円形状のホルダーにセットし、セットしたろ紙の両面に圧力差を印加してろ紙に気体を92時間透過させ、400l/minにて吸引としたときの圧力損失を圧力計により測定し、次に、ろ紙を透過する気体中に大気塵粒径0.1μm〜10μmの範囲の粒子の濃度が約2000万個/CFとなるように混入させ、一定時間毎の圧力損失の変化を測定した。
前記実施例1で得られたろ紙の表裏を反対にして、比較例1のろ紙とした。
比較例1のろ紙について実施例1と同様に効率、引裂強度を測定するとともに、ろ紙の表面側(毛布側)層Aを流入側にして大気塵負荷試験92時間を行ったところ、効率と引裂強度は実施例1と同様の値であり、また、大気塵負荷試験の結果は、図1に示す通り、付着量0.065gで圧力損失800Pa、付着量0.05gで圧力損失500Paであった。
平均繊維径0.3μm、繊維長0.6mm、アスペクト比2000のCガラス極細ガラス短繊維95質量%と、平均繊維径6μm、繊維長6mmのCガラス極細ガラス長繊維5質量%を混合して抄紙機で抄造して、厚さ0.2mm、目付40g/m2のろ紙を製造し、比較例2のろ紙とした。
得られたろ紙の平均繊維径比率A/Bは、0.52μm/0.60μmで0.87であった。
得られたろ紙の効率は99.998%(at0.3〜0.4μm)、引裂強度は従来例を100%とした場合にMD方向が61%、CD方向が45%であった。
比較例2のろ紙について実施例1と同様にして、効率、引裂強度を測定するとともに、表面側(毛布側)層Aを流入側にして大気塵負荷試験92時間を行ったところ、大気塵負荷試験の結果は、図1に示す通り、付着量0.09gで圧力損失800Pa、付着量0.065gで圧力損失500Paであった。
平均繊維径0.3μm、繊維長、0.6mm、アスペクト比2000のCガラス極細ガラス短繊維95質量%と平均繊維径6μm、繊維長6mmのCガラス極細ガラス長繊維5質量%を混合して抄紙機で抄造して、厚さ0.4mm、目付70g/m2のろ紙を製造した。
得られたろ紙の平均繊維径比率A/Bは、0.37μm/0.58μmで0.64であった。
得られたろ紙の効率は99.990%(at0.3〜0.4μm)であった。
従来例のろ紙について実施例1と同様に効率、引裂強度を測定するとともに、表面側(毛布側)層Aを流入側にして大気塵負荷試験98時間行ったところ、大気塵負荷試験の結果は、図1に示す通り、付着量0.1gで圧力損失500Paであった。
尚、比較例1は、表面側(毛布側)を流入側にしたため、流入面で目詰まりがおこり実施例1の6割ほどの寿命しか得られなかった。また、比較例2は、ろ紙が薄くなった対策がとられていないため、引裂強度が著しく低下したものとなっていた。
また、両高性能エアフィルタについて、JISB9908、2001に準拠して10CMM(風量10m3/分)で空気を流したときの圧力損失を圧力計で測定したところ、実施例1のろ紙を用いたものでは、122Pa、従来例のろ紙を用いたものでは、183Paと、実施例1のろ紙を用いた方が、高性能エアフィルタの低圧損化がはかれることが確認できた。
また、610×610×20mmのミニプリーツ型高性能エアフィルタの代わりに、610×610×290mm(フィルタパック16枚入り)のVバンク型高性能エアフィルタを作製したところ、実施例1のろ紙を用いた高性能エアフィルタの有効ろ紙面積は約50m2で、従来例のろ紙を用いた高性能エアフィルタの有効ろ紙面積は約30m2であり、前者は後者の約1.7倍の有効ろ紙面積を有していた。
また、両高性能エアフィルタについて、JISB9908、2001に準拠して56CMM(風量56m3/分)で空気を流したときの圧力損失を圧力計で測定したところ、実施例1のろ紙を用いたものでは、170Pa、従来例のろ紙を用いたものでは、245Paと、実施例1のろ紙を用いた方が、高性能エアフィルタの低圧損化がはかれることが確認できた。
Claims (7)
- 厚さ0.15〜0.25mmのろ紙であって、平均繊維径0.2〜0.6μmの極細ガラス短繊維を95〜85質量%と平均繊維径3〜5μmの合繊を5〜15質量%配合したものを抄造して得られたものであることを特徴とするろ紙。
- 前記極細ガラス短繊維のアスペクト比が500〜3000であることを特徴とする請求項1記載のろ紙。
- 前記極細ガラス短繊維はCガラスであることを特徴とする請求項1または2の何れかに記載のろ紙。
- 前記合繊の繊維長が1〜15mmであることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のろ紙。
- 前記合繊はポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のろ紙。
- 前記ろ紙の表面側(毛布側)層Aと裏面側(ワイヤ側)層Bの平均繊維径比率A/Bが0.60〜0.85であることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のろ紙。
- 前記請求項1乃至6の何れかに記載のろ紙を備え、前記ろ紙の裏面側(ワイヤ側)を気流の流入側に配置したことを特徴とするエアフィルタ。
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