JP2012056921A - 生菌製剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、保存安定性に優れた生菌製剤および該生菌製剤に用いる菌体の選別方法を提供することを課題とする。
【解決手段】(1)微生物菌体を培養する工程、(2)集菌する工程、(3)乾燥する工程、(4)乾燥した菌体を固体培地で培養する工程、(5)大きなコロニーを選別する工程の一連の工程を少なくとも1回以上繰り返すことにより、保存安定性に優れた生菌製剤を提供することができる。
【選択図】なし
【解決手段】(1)微生物菌体を培養する工程、(2)集菌する工程、(3)乾燥する工程、(4)乾燥した菌体を固体培地で培養する工程、(5)大きなコロニーを選別する工程の一連の工程を少なくとも1回以上繰り返すことにより、保存安定性に優れた生菌製剤を提供することができる。
【選択図】なし
Description
本発明は保存安定性に優れた生菌製剤に関する。
乳酸菌や酵母等の微生物は古くより発酵食品などに深く関与してきた有用微生物である。近年、これらの微生物の中には整腸作用をはじめ、感染予防、免疫賦活、ガン予防、アレルギー改善等の生理作用を有することが明らかになり、乳酸菌、ビフィズス菌、酵母等の微生物生菌や死菌、またはそれらの培養物を健康食品や医薬品などの素材として利用するための研究開発が行われている。特に、微生物を生きた状態で腸に到達させることにより、上記生理活性が向上することも見出されており、より多くの生菌を安定的に手軽に摂取できる生菌製剤が求められるようになった。
しかしながら、当該生菌製剤は保存中に生菌数が減少してしまうという実用上の課題がある。
生菌製剤の保存安定性を向上させる方法として、一般的にシリカゲルや脱脂粉乳を添加する方法が用いられている。また、生菌製剤の製造時にフェニルアラニン、ヒスチジン、クエン酸、コハク酸、酒石酸およびこれらの塩ならびに炭酸アルカリからなる群より選ばれる化合物を添加する方法(特許文献1)、アルギニン、オルニチンもしくはセリン、またはそれらの塩を添加する方法(特許文献2)、凍結乾燥菌末にテアニンを添加する方法(特許文献3)等が挙げられる。
しかしながら、これらの方法は生菌製剤の呈味の改善を必要とし、また、生菌の保存安定性向上効果も満足しうるものではなく、より保存安定性に優れた生菌製剤が望まれている。
また、前記生菌製剤は、予め培養した菌体を集菌、乾燥し、適当な賦形剤を加えることによって製造されるが、生菌製剤製造時の乾燥工程において菌体が死滅してしまい生産性が低下するという実用上の課題がある。
この課題を解決するため、生菌製剤の製造時にグルタミン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、ホエーおよびグルコースを添加する方法(特許文献4)、アスパラギン酸、アルギニン、グルタミン酸、プロリン、リジン、ロイシン、およびメチオニンからなるアミノ酸のうち少なくとも3種のアミノ酸の混合物を添加する方法(特許文献5)などが例示されている。
しかしながら、これらの方法を用いても、生菌製剤製造時の乾燥工程における菌体の死滅防止効果は満足するものではなく、生菌製剤製造時の乾燥工程における菌体の死滅を真に防止する方法が望まれている。
本発明は、生菌製剤製造時の乾燥工程において生残率に優れた生菌製剤、また、生菌の保存安定性に優れた生菌製剤および該生菌製剤に用いる菌体の選別方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、(1)微生物菌体を培養する工程、(2)集菌する工程、(3)乾燥する工程、(4)乾燥した菌体を固体培地で培養する工程、(5)大きなコロニーを選別する工程の一連の工程を少なくとも1回以上繰り返して選別した微生物菌体を用いることにより、生菌製剤製造時の乾燥工程における菌体の死滅を低減でき、また、調製された生菌製剤が優れた保存安定性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(1)微生物菌体を培養する工程、(2)集菌する工程、(3)乾燥する工程、(4)乾燥した菌体を固体培地で培養する工程、(5)大きなコロニーを選別する工程、前記(1)から(5)の工程を含む一連の工程を少なくとも1回以上繰り返して得た微生物から調製される、保存安定性に優れた生菌製剤である。
また、本発明は、必要に応じて賦形剤を加えることによって微生物菌体を乾燥し、調製される微生物生菌製剤の製造方法であって、(1)微生物菌体を培養する工程、(2)集菌する工程、(3)乾燥する工程、(4)乾燥した菌体を固体培地で培養する工程、(5)大きなコロニーを選別する工程、を含む一連の工程を少なくとも1回以上繰り返して得た微生物を用いることを特徴とする方法である。
さらに、本発明は、生菌製剤とした際の保存安定性、及び/又は、生菌製剤調製時の乾燥工程における生残率に優れた微生物菌体の選別方法であって、(1)微生物菌体を培養する工程、(2)集菌する工程、(3)乾燥する工程、(4)乾燥した菌体を固体培地で培養する工程、(5)大きなコロニーを選別する工程を含む一連の工程を少なくとも1回以上繰り返すことを特徴とする方法である。
本発明により、生菌製剤製造時の乾燥工程において生残率に優れ、また、生菌の保存安定性に優れた生菌製剤および該生菌製剤に用いる微生物菌体の選別方法を提供することができる。
本発明においては、(1)微生物菌体を培養する工程、(2)集菌する工程、(3)乾燥する工程、(4)乾燥した菌体を固体培地で培養する工程、(5)大きなコロニーを選別する工程の一連の工程を少なくとも1回以上繰り返すことにより、保存安定性に優れた微生物菌体を選別する。
本発明に用いられる微生物としては、通常の方法により培養および乾燥が可能な微生物であれば、特に制限はなく、細菌や酵母などの微生物が挙げられる。
細菌としては、乳酸菌等が挙げられ、例えば、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、ペディオコッカス・ペントサセウス(Pediococcus pentosaceus)等のペディオコッカス属に属する乳酸菌;ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)等のラクトバチルス属に属する乳酸菌;エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)等のエンテロコッカス属に属する乳酸菌;ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ラクティス(Bifidobacterium lactis)等のビフィドバクテリウム属に属する乳酸菌等が挙げられる。
その他の細菌としては、例えば、エシェリヒア・コリ(Escherlchia coli)等のエシェリヒア属に属する細菌、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)等のバチルス属に属する細菌等があげられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス・セルビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等のサッカロマイセス属に属する酵母等が挙げられる。
これら微生物のなかでも、生菌製剤として用いられる細菌や酵母が好ましく、整腸作用などの生理活性を有しているため工業的利用価値が高いことから、乳酸菌が好ましい。乳酸菌のなかでもペディオコッカス(Pediococcus)属またはラクトバシラス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌が好ましい。なかでも、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、または、ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)が好ましい。
特に、強い中性脂肪低減作用ならびに抗アレルギー作用を有することからペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici) R037株(BP−900)、強い整腸作用ならびに免疫賦活作用を有することからラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis) kaneka−01株(NITE P−558)または、強い抗血糖作用を有するラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii KLAB−4株(NITE BP−394)が好ましい。これらの微生物は、それぞれ上記の受託番号にて独立行政法人製品評価技術基盤機構(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に寄託されている。
培養方法としては、所望する菌体が培養可能であれば、培地成分など、特に限定はなく、通常行われる公知の培養方法であれば液体培養でも固体培養でもよいが、菌体を培養し、回収する必要性により固体培養より液体培養が好ましい。以下では液体培養の場合を例として説明する。
前記工程(2)の集菌方法としては特に限定はなく、培養後、培養液より菌体を分離できれば、ろ過(フィルタープレス、スクリュープレス等)、遠心分離等公知の方法を適宜選択して分離する。また、培地成分を除去する目的で、菌体を滅菌水等に懸濁させた後、洗浄し再度集菌してもよい。
前記工程(3)の乾燥方法としては特に限定はなく、凍結乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥、真空乾燥等公知の方法を単独または組み合わせて使用することができる。また、乾燥の際に分散媒を添加しても良い。分散媒とは、集菌した菌体に加えうる物質を示し、特に限定しないが、例えば生理食塩水、リン酸生理食塩水、保護剤を含有した溶液などが挙げられる。前記、保護剤としては特に限定しないが、例えば、トレハロース、ウシ血清アルブミン、脱脂粉乳、グルタミン酸ナトリウム、L−アスコルビン酸、ホエー、グルコース、アスパラギン酸、メチオニン、デンプン、デキストラン、ショ糖、乳糖等が挙げられる。尚、本発明の目的を妨げないものであれば、前記保護剤は、他の物質を適宜含有してもよい。
乳酸菌の選別に際して行う乾燥方法としては凍結乾燥が好ましく、また、分散剤の非存在下に行うことが好ましい。
前記工程(4)の固体培地での培養方法としては、工程(3)で得られた乾燥菌体を生理食塩水等に分散し、寒天プレートなど公知の固体培地に塗布して培養する。所望の菌体が生育可能であれば、培地成分、固化剤など特に限定はしない。
前記工程(5)の大きなコロニーを選別する方法としては、工程(4)で培養後生育したコロニーのうち、例えば、生育するコロニー数が100±10個になるように希釈した菌液を90Φ×20mmのプレートに塗布し、培養終期において、プレート上の平均的なコロニーよりも直径の大きなコロニーを選別する。より、具体的には、培養終期(静止期)において生育したコロニーの直径が2mm以上のものをいい、好ましくは3mm以上、より好ましくは4mm以上のもの選別する。
ここで、培養終期とは、例えば、分散剤非存在下で凍結乾燥処理した乳酸菌を、トリプトン 1重量%、酵母エキス 0.5重量%、グルコース 0.5重量%、ラクトース 0.5重量%、Tween80 0.1重量%、L−システイン塩酸塩 0.02重量%、寒天 2重量%、pH6.2±0.2の組成の固体培地上、37℃で培養する場合、約72時間目を表す。
工程(1)から工程(5)を含む一連の工程は、少なくとも1回以上繰り返すことが好ましい。上記大きなコロニーから分離した微生物菌体を、直接または一旦寒天斜面等で培養した後、液体培地に接種して、改めて工程(1)からの一連の選別工程に付す。一連の選別工程は、好ましくは3回以上、より好ましくは5回以上、更に好ましくは7回以上、最も好ましくは10回以上繰り返すのがよい。繰り返す回数が多いほど、生菌製剤製造時の乾燥工程において生残率に優れた生菌または生菌製剤、保存安定性に優れた生菌または生菌製剤を得ることが容易い。
尚、生菌製剤の保存安定性は、生残率で表すことができる。ここで言う生残率とは、生菌製剤製造時の生菌数に対する、保存後の生菌製剤中の生菌数の割合を百分率で示したものである。
当該方法で選別した菌体は、保存安定性に優れた菌体であり、該菌体を公知の方法で培養し、培養液より菌体を集菌し、適当な分散媒等を添加し、乾燥を行い、生菌製剤を得ることができる。尚、前記生菌製剤に賦形剤、風味改良剤、香料、着色料などをさらに添加してもかまわない。
本発明によって得られた生菌製剤は、そのまま、または加工して食品、健康食品、栄養補助食品、栄養機能食品、特定保健用食品、医薬品、医薬部外品、飼料、ペットフード等として使用できる。また、その加工形態としては、錠剤、散剤、チュアブル錠、丸剤、ハードカプセル剤、ソフトカプセル剤等があげられる。生菌の保存安定性に優れた発酵乳や発酵豆乳など食品の調製を目的として、得られた生菌製剤をスターターとして用いることも可能である。
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限を受けるものではない。尚、実施例、比較例で用いた工程(1)から工程(5)の操作方法、生菌製剤の製造方法および生菌製剤の生残率の測定方法を以下に示す。
工程(1)菌体を培養する工程
菌体をトリプトンが1重量%、酵母エキスが0.5重量%、グルコースが0.5重量%、ラクトースが0.5重量%、Tween80が0.1重量%、L−システイン塩酸塩が0.02重量%を含有する滅菌済み液体培地50mlに植菌し、37℃、20時間静置培養を行い、培養液を得た。
菌体をトリプトンが1重量%、酵母エキスが0.5重量%、グルコースが0.5重量%、ラクトースが0.5重量%、Tween80が0.1重量%、L−システイン塩酸塩が0.02重量%を含有する滅菌済み液体培地50mlに植菌し、37℃、20時間静置培養を行い、培養液を得た。
工程(2)集菌する工程
前記工程(1)で得られた培養液を5000rpm、10分、4℃で遠心分離して得られた菌体を、25mlの滅菌水で2回洗浄し、遠心分離後5mlの菌体濃縮液を得た。
前記工程(1)で得られた培養液を5000rpm、10分、4℃で遠心分離して得られた菌体を、25mlの滅菌水で2回洗浄し、遠心分離後5mlの菌体濃縮液を得た。
工程(3)乾燥する工程
前記工程(2)で得られた菌体濃縮液の全量を10mL容のガラス製バイアル瓶に移し、凍結乾燥機(VirTis Advantage Plus)を用いて−25℃で20時間凍結した後、真空度5Pa、棚温25℃で48時間凍結乾燥し、乾燥物を得た。
前記工程(2)で得られた菌体濃縮液の全量を10mL容のガラス製バイアル瓶に移し、凍結乾燥機(VirTis Advantage Plus)を用いて−25℃で20時間凍結した後、真空度5Pa、棚温25℃で48時間凍結乾燥し、乾燥物を得た。
工程(4)乾燥した菌体を固体培地で培養する工程
上記液体培地に寒天を加えた滅菌済み固体培地(90Φ×20mmのプレートに培地を20ml加えたプレート)に、前記工程(3)で得られた凍結乾燥物の一定量を生理食塩水に分散した菌体分散液を、コロニー数が100±10個となるように塗布し、37℃で72時間培養した。
上記液体培地に寒天を加えた滅菌済み固体培地(90Φ×20mmのプレートに培地を20ml加えたプレート)に、前記工程(3)で得られた凍結乾燥物の一定量を生理食塩水に分散した菌体分散液を、コロニー数が100±10個となるように塗布し、37℃で72時間培養した。
工程(5)大きなコロニーを選別する工程
前記工程(4)で得られた寒天プレートより、コロニーの大きさが3mm以上の菌体を1つ選別した。
前記工程(4)で得られた寒天プレートより、コロニーの大きさが3mm以上の菌体を1つ選別した。
分散媒非存在下で凍結乾燥した際の生残率の測定
菌体を上記液体培地で培養、集菌した菌体濃縮液中の生菌数を常法により測定し、菌体濃縮液中の総生菌数を求めた。また該菌体濃縮液を分散媒非存在下で凍結乾燥して得られた凍結乾燥物中の生菌数を常法により測定し、該凍結乾燥物中の総生菌数を求め、乾燥した際の生残率を次式より算出した。
菌体を上記液体培地で培養、集菌した菌体濃縮液中の生菌数を常法により測定し、菌体濃縮液中の総生菌数を求めた。また該菌体濃縮液を分散媒非存在下で凍結乾燥して得られた凍結乾燥物中の生菌数を常法により測定し、該凍結乾燥物中の総生菌数を求め、乾燥した際の生残率を次式より算出した。
分散媒非存在下で凍結乾燥した際の生残率(%)=(凍結乾燥物の総生菌数/菌体濃縮液の総生菌数)×100。
生菌製剤の製造方法
菌体を上記液体培地1Lに植菌し、37℃、20時間静置培養を行った。培養後、培養液を5000rpm、10分、4℃で遠心分離して得られた菌体を500mlの滅菌水で2回洗浄し、遠心分離後20mlの菌体濃縮液を得た。当該菌体濃縮液に、ショ糖が0.4重量%、トレハロースが0.2重量%、グルタミン酸ナトリウムが0.2重量%、ヒスチジンが0.2重量%、りんご酸が0.2重量%からなる分散媒を2ml加えて凍結乾燥し、凍結乾燥物を得た。該凍結乾燥物を生菌数が1.0×1010cfu/gになるようにデキストリンに分散し、生菌製剤を得た。
菌体を上記液体培地1Lに植菌し、37℃、20時間静置培養を行った。培養後、培養液を5000rpm、10分、4℃で遠心分離して得られた菌体を500mlの滅菌水で2回洗浄し、遠心分離後20mlの菌体濃縮液を得た。当該菌体濃縮液に、ショ糖が0.4重量%、トレハロースが0.2重量%、グルタミン酸ナトリウムが0.2重量%、ヒスチジンが0.2重量%、りんご酸が0.2重量%からなる分散媒を2ml加えて凍結乾燥し、凍結乾燥物を得た。該凍結乾燥物を生菌数が1.0×1010cfu/gになるようにデキストリンに分散し、生菌製剤を得た。
生菌製剤製造時の生残率の測定
前記菌体濃縮液中の総生菌数、並びに前記凍結乾燥物中の総菌数を常法により求め、生菌製剤製造時の生残率を次式より算出した。
生菌製剤製造時の生残率(%)=(凍結乾燥物中の総菌数/菌体濃縮液の総菌数)×100。
前記菌体濃縮液中の総生菌数、並びに前記凍結乾燥物中の総菌数を常法により求め、生菌製剤製造時の生残率を次式より算出した。
生菌製剤製造時の生残率(%)=(凍結乾燥物中の総菌数/菌体濃縮液の総菌数)×100。
生菌製剤の保存安定性
生菌製剤の保存安定性は保存後の生残率により求めた。
生菌製剤を10gずつチャック付きポリエチレン袋(製品名ユニパック B−8、株式会社セイニチ社製)に分注したものを、シリカゲル1g(富士シリシア化学株式会社製)を入れたアルミパウチ(製品名ラミジップ、株式会社セイニチ社製)に梱包し、ヒートシールにより密閉したものを保存サンプルとした。25℃、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月保存後の生菌製剤1gあたりの生菌数を常法により測定し、生残率を次式より求めた。
生残率(%)=(保存後の生菌製剤1gあたりの生菌数/1.0×1010)×100。
生菌製剤の保存安定性は保存後の生残率により求めた。
生菌製剤を10gずつチャック付きポリエチレン袋(製品名ユニパック B−8、株式会社セイニチ社製)に分注したものを、シリカゲル1g(富士シリシア化学株式会社製)を入れたアルミパウチ(製品名ラミジップ、株式会社セイニチ社製)に梱包し、ヒートシールにより密閉したものを保存サンプルとした。25℃、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月保存後の生菌製剤1gあたりの生菌数を常法により測定し、生残率を次式より求めた。
生残率(%)=(保存後の生菌製剤1gあたりの生菌数/1.0×1010)×100。
(実施例1)
乳酸菌ペディオコッカス・アシドラクシ(Pediococcus acidilactici) R037株を用いて、前記(1)から(5)の工程を3回繰り返し、R037株由来の選別菌体を得た。該選別菌体を用いて、生菌数が1.0×1010cfu/gの生菌製剤を得た。
乳酸菌ペディオコッカス・アシドラクシ(Pediococcus acidilactici) R037株を用いて、前記(1)から(5)の工程を3回繰り返し、R037株由来の選別菌体を得た。該選別菌体を用いて、生菌数が1.0×1010cfu/gの生菌製剤を得た。
(比較例1)
乳酸菌ペディオコッカス・アシドラクシ(Pediococcus acidilactici) R037株を用いて、前記(1)から(3)の工程を3回繰り返しR037株由来の未選別菌体を得た。該未選別菌体を用いて、生菌数が1.0×1010cfu/gの生菌製剤を得た。
乳酸菌ペディオコッカス・アシドラクシ(Pediococcus acidilactici) R037株を用いて、前記(1)から(3)の工程を3回繰り返しR037株由来の未選別菌体を得た。該未選別菌体を用いて、生菌数が1.0×1010cfu/gの生菌製剤を得た。
(実施例2)
乳酸菌ラクトバシラス・ブレビス(Lactobacillus brevis) kaneka−01株を用いて、前記(1)から(5)の工程を3回繰り返し、kaneka−01由来の選別菌体を得た。該選別菌体を用いて、生菌数が1.0×1010cfu/gの生菌製剤を得た。
乳酸菌ラクトバシラス・ブレビス(Lactobacillus brevis) kaneka−01株を用いて、前記(1)から(5)の工程を3回繰り返し、kaneka−01由来の選別菌体を得た。該選別菌体を用いて、生菌数が1.0×1010cfu/gの生菌製剤を得た。
(比較例2)
乳酸菌ラクトバシラス・ブレビス(Lactobacillus brevis) kaneka−01株を用いて、前記(1)から(3)の工程を3回繰り返し、kaneka−01由来の未選別菌体を得た。該未選別菌体を用いて、生菌数が1.0×1010cfu/gの生菌製剤を得た。
乳酸菌ラクトバシラス・ブレビス(Lactobacillus brevis) kaneka−01株を用いて、前記(1)から(3)の工程を3回繰り返し、kaneka−01由来の未選別菌体を得た。該未選別菌体を用いて、生菌数が1.0×1010cfu/gの生菌製剤を得た。
(実施例3)
乳酸菌ラクトバシラス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii) KLAB−4株を用いて、前記(1)から(5)の工程を3回繰り返し、KLAB−4由来の選別菌体を得た。該選別菌体を用いて、生菌数が1.0×1010cfu/gの生菌製剤を得た。
乳酸菌ラクトバシラス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii) KLAB−4株を用いて、前記(1)から(5)の工程を3回繰り返し、KLAB−4由来の選別菌体を得た。該選別菌体を用いて、生菌数が1.0×1010cfu/gの生菌製剤を得た。
(比較例3)
乳酸菌ラクトバシラス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii) KLAB−4株を用いて、前記(1)から(3)の工程を3回繰り返し、KLAB−4由来の未選別菌体を得た。該未選別菌体を用いて、生菌数が1.0×1010cfu/gの生菌製剤を得た。
乳酸菌ラクトバシラス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii) KLAB−4株を用いて、前記(1)から(3)の工程を3回繰り返し、KLAB−4由来の未選別菌体を得た。該未選別菌体を用いて、生菌数が1.0×1010cfu/gの生菌製剤を得た。
実施例1〜3の選別株および比較例1〜3の非選別株それぞれついて、分散媒非存在下で凍結乾燥した際の生残率、生菌製剤製造時の生残率を求め、結果を表1、表2に示した。また、各生菌製剤の25℃1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月後の保存安定性を測定し表3に示した。なお、実施例1〜3および比較例1〜3の操作は3度行い、表1〜表3は、各々3つの選別株および非選別株の結果の平均値として示した。
表1に示す通り、工程(1)〜(5)の一連の工程を3回繰り返すことにより得られた選別菌体を分散媒非存在下、前述の工程(3)と同様の条件で凍結乾燥した際の生残率は40%以上であった。一方、上記(1)から(3)の工程を3回繰り返す事により得られた未選別菌体を分散媒非存在下で凍結乾燥した際の生残率のは、菌株によっても異なるが10%から20%であった。また、表2に示す通り、生菌製剤製造時の凍結乾燥した際の生残率においても未選別菌体と比べて、選別菌体の方が優れていた。
以上の結果より、本発明の選別方法で得られた選別株は、生菌製剤製造時の乾燥工程における生残率に優れ、当該微生物菌体を用いることで、生菌製剤の生産効率を高めることができる。
また、表3に示す結果より、工程(1)から(5)の一連の工程を繰り返すことにより得られた選別菌体を用いて製造した生菌製剤の、25℃保存での生残率は、6ヶ月時点で、90%以上であった。一方、上記(1)から(3)の工程を3回繰り返す事によって得られた未選別菌体を用いて製造した生菌製剤の25℃保存での生残率は、6ヶ月の時点で、60%から70%であった。以上の結果から本発明の生菌製剤は優れた保存安定性を有することがわかる。
Claims (15)
- (1)微生物菌体を培養する工程、(2)集菌する工程、(3)乾燥する工程、(4)乾燥した菌体を固体培地で培養する工程、(5)大きなコロニーを選別する工程、前記(1)から(5)の工程を含む一連の工程を少なくとも1回以上繰り返して得た微生物を用いて調製される、保存安定性に優れた生菌製剤。
- 前記(3)の乾燥が凍結乾燥である請求項1記載の生菌製剤。
- 前記(3)の乾燥が分散媒非存在下で行われる請求項1または2記載の生菌製剤。
- 分散剤非存在下に凍結乾燥を行った際に、40%以上の生残率を示す菌体を用いてなる生菌製剤。
- 前記凍結乾燥は、菌体濃縮液5mLを10mL容のバイアル瓶にいれ、凍結乾燥機を用いて、−25℃で20時間凍結した後、真空度5Pa、棚温25℃で48時間凍結乾燥する条件で行われる、請求項4記載の生菌製剤。
- 前記微生物が、乳酸菌である請求項1〜5のいずれかに記載の生菌製剤。
- 前記乳酸菌がペディオコッカス(Pediococcus)属またはラクトバシラス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌である請求項6記載の生菌製剤。
- 前記乳酸菌がペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、または、ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)である請求項6記載の生菌製剤。
- 微生物菌体を乾燥し、必要に応じて賦形剤を加えることによって調製される微生物生菌製剤の製造方法であって、(1)微生物菌体を培養する工程、(2)集菌する工程、(3)乾燥する工程、(4)乾燥した菌体を固体培地で培養する工程、(5)大きなコロニーを選別する工程、を含む一連の工程を少なくとも1回以上繰り返して得た微生物を用いることを特徴とする方法。
- 生菌製剤とした際の保存安定性、及び/又は、生菌製剤調製時の乾燥工程における生残率に優れた微生物菌体の選別方法であって、(1)微生物菌体を培養する工程、(2)集菌する工程、(3)乾燥する工程、(4)乾燥した菌体を固体培地にて培養する工程、(5)大きなコロニーを選別する工程を含む一連の工程を少なくとも1回以上繰り返すことを特徴とする方法。
- 前記(3)の乾燥が凍結乾燥である請求項9または10記載の方法。
- 前記(3)の乾燥が分散媒非存在下で行われる請求項9〜11のいずれかに記載の方法。
- 前記微生物が、乳酸菌である請求項9〜12のいずれかに記載の方法。
- 前記乳酸菌がペディオコッカス(Pediococcus)属またはラクトバシラス(Lactobacillus)属に属する乳酸菌である請求項13記載の方法。
- 前記乳酸菌がペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、または、ラクトバチルス・デルブリッキー(Lactobacillus delbrueckii)である請求項14記載の方法。
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