JP2012045650A - 硬質皮膜被覆切削工具 - Google Patents

硬質皮膜被覆切削工具 Download PDF

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Abstract

【課題】4μm以上に厚膜化した2層以上の硬質皮膜における圧縮応力を低減し、密着強度を確保し耐摩耗性に優れた硬質皮膜被覆切削工具を提供する。
【解決手段】超硬合金基材側の硬質皮膜層1および表面側の硬質皮膜層2を有し、硬質皮膜層1の組成は(AlCr1−a1−x(元素の含有量は原子比であり、0.5≦a<0.7、および0.48≦x≦0.52である。)で表され、X線回折における(111)面のピーク強度Ir、(200)面のピーク強度Isとしたとき、0.3≦Is/Ir<1であり、硬質皮膜層2の組成は、(Ti1−bSi1−y(元素の含有量は原子比であり、0.01≦b≦0.15、および0.48≦y≦0.52である。)で表され、X線回折における(111)面のピーク強度Iu、(200)面のピーク強度Ivとしたとき、0.3≦Iv/Iu<1であることを特徴とする硬質皮膜被覆切削工具。
【選択図】 なし

Description

本発明は、金属部品加工等に用いられる切削工具であって、耐摩耗性や密着強度が要求される工具表面に、物理蒸着法(以下、PVD法と記す。)を用いて硬質皮膜を被覆した硬質皮膜被覆切削工具に関する。
特許文献1および2では、PVD法により被覆した硬質皮膜のX線回折における(200)面の配向性と回折ピークの半価幅について開示されている。特許文献3では、(220)面、(111)面のX線回折ピーク強度制御の技術が開示されている。特許文献4では、(AlCrSi)N系硬質皮膜に関する技術が開示され、X線回折における(111)面と(200)面のピーク強度比を規定している。特許文献5では、硬質皮膜を構成する金属元素とガス成分元素の構成比率を調整する技術が開示されている。特許文献6では、エピタキシャル成長により硬質皮膜界面の密着性改善に関する技術が開示されている。特許文献7では、(TiSi)N系硬質皮膜の密着性改善のために、下層も(TiAl)N硬質皮膜を用いる技術が開示されている。特許文献8では、Siを含む硬質皮膜の耐摩耗性を改善するため積層化する技術が開示されている。特許文献9では、PVD法により硬質皮膜を厚膜化する技術が開示されている。特許文献10では、(TiSi)(BN)系硬質皮膜と(AlCr)N系硬質皮膜を積層し、耐酸化性を向上する技術が開示されている。特許文献11では、(Al,Ti)(N,C)系皮膜よりも耐摩耗性に優れた硬質皮膜として(AlCr)N膜を成膜する技術が開示されている。しかしながら、特許文献5〜11ではX線回折における配向性や半価幅については記載されていない。
特開2003−136302号公報 特開2003−145313号公報 特開2003−71611号公報 特開2005−126736号公報 特開平7−188901号公報 特開2001−181826号公報 特開2000−218407号公報 特開2006−137982号公報 特開2008−75178号公報 特開2002−331408号公報 特開2006−144128号公報
切削工具の長寿命化は、昨今の過酷な高能率加工環境下、あるいは難削材料の割合が増加した今日において、極めて重要な課題である。ここで、切削工具の長寿命化を図るためには、硬質皮膜の高硬度化、高機能化、厚膜化などの手段が挙げられる。ただし、硬質皮膜の高硬度化や高機能化に関しては、硬質皮膜組成に依存する例が多く、全ての組成系に適用できるわけではないのに対し、硬質皮膜の厚膜化は皮膜組成に依らず適用可能であり、硬質皮膜の耐摩耗性を改善し長寿命化を図ることが可能である。しかしながら、PVD法によって硬質皮膜の厚膜化を行うと、硬質皮膜に残留する圧縮応力が増大し密着強度を劣化させるという課題が生じる。
特許文献1〜6に記載の硬質皮膜では、厚膜化した硬質皮膜に関する記載はなく、また硬質皮膜に残留する圧縮応力を低減し密着強度を確保するといった技術に関する記載もされていない。また特許文献7に記載の(TiAl)N皮膜では、高速切削環境における耐熱性が不充分である。特許文献8に記載の積層化された硬質皮膜では、各層の厚みが0.5nm以上、20nm未満と非常に薄いため、積層界面において発生する歪が多くなり、残留圧縮応力が過大となるため硬質皮膜全体の膜厚を厚くすることができない。特許文献9に記載のPVD法による硬質皮膜の厚膜化技術は、硬質皮膜の単層における厚膜化技術のみの開示にとどまり、2層以上の厚膜については何ら記載がされていない。特許文献10に記載の積層硬質皮膜では、耐溶着性を付与する(TiSi)(NB)系硬質皮膜とAlCrN系硬質皮膜等との組み合わせにより、密着強度や耐酸化性の改善を実現しているが、いずれも3μm程度の膜厚に限り開示され、硬質皮膜を厚膜化した際の残留圧縮応力低減に関する検討は行なわれていない。特許文献11に記載の硬質皮膜では、膜厚が0.1〜20μmである(Al1−yCr)の複合窒化物において、0<y≦0.3の組成からなる範囲で高温耐酸化性および皮膜硬度改善を実現しているが、硬質皮膜を厚膜化した際の残留圧縮応力低減に関する検討は行なわれていない。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、厚膜化した2層以上の硬質皮膜において硬質皮膜を高硬度に維持しつつ、硬質皮膜に残留する圧縮応力を低減化することで密着強度を確保した、従来に比べて耐摩耗性に優れる硬質皮膜被覆切削工具を提供することである。
本発明の硬質皮膜被覆切削工具は、超硬合金を基材とする切削工具に硬質皮膜を被覆した硬質皮膜被覆切削工具であって、該硬質皮膜は物理的蒸着によって4〜10μmの膜厚で成膜された2層以上の積層構造を有し、該積層構造は基材側に被覆された硬質皮膜層1および表面側に被覆された硬質皮膜層2を有して構成され、該硬質皮膜層1の組成は(AlCr1−a1−x(但し、夫々の元素の含有量は原子比であり、0.50≦a<0.70、および0.48≦x≦0.52である。)で表され、該硬質皮膜層1のX線回折における(111)面の半価幅をW(度)としたとき、0.7≦W≦1.1であり、(111)面のピーク強度Ir、(200)面のピーク強度Is、および(220)面のピーク強度Itとしたとき、0.3≦Is/Ir<1.0、および0.3≦It/Ir<1.0であり、該硬質皮膜層2の組成は、(Ti1−bSi1−y(但し、夫々の元素の含有量は原子比であり、0.01≦b≦0.25、および0.48≦y≦0.52である。)で表され、該硬質皮膜層2のX線回折における(111)面の半価幅をW(度)としたとき、0.6≦W≦1.1であり、(111)面のピーク強度Iu、(200)面のピーク強度Iv、および(220)面のピーク強度Iwとしたとき、0.3≦Iv/Iu<1.0、および0.3≦Iw/Iu<1.0であり、該硬質皮膜層1と該硬質皮膜層2は共に面心立方構造を形成し、X線回折における(111)面の面間隔(nm)を夫々、a1およびa2としたときに、0.970≦a1/a2≦0.980であることを特徴とする。
前記本発明では、物理的蒸着によって成膜を行い厚膜化した硬質皮膜であって、密着強度が著しく改善され、耐摩耗性に優れた硬質皮膜被覆切削工具を提供することができる。前記2層構造を有する硬質皮膜層1、2の特徴を反映し、従来に比べて硬質皮膜被覆切削工具の長寿命化を図ることができる。
本発明の硬質皮膜被覆切削工具は、該硬質皮膜層1と該硬質皮膜層2について少なくとも1層はN元素について、原子比で0.1以内の範囲でC元素およびO元素のうちの1種または2種の元素で置換することが好ましく、潤滑性および耐摩耗性の改善が可能である。
本発明の硬質皮膜被覆切削工具は、該硬質皮膜層1の膜厚をT1(μm)および該硬質皮膜層2の膜厚をT2(μm)としたとき、2.0≦T1≦5.0、2.0≦T2≦5.0であり、さらに該硬質皮膜層2が表面層であることを特徴とする。この膜厚範囲に制御することで、優れた耐摩耗性が得られ、切削工具が長寿命化する。
基材と硬質皮膜層1の間に、Ti層またはCr層から構成される密着強度改善層を成膜することは、基材と硬質皮膜の密着強度を改善することができるため好ましい。このとき、該密着強度改善層の膜厚は0.1m以下であることが好ましい。
基材と硬質皮膜層1の間に、TiまたはCrを主成分とする窒化物、炭化物および炭窒化物から選ばれる1種または2種以上から構成される密着強度改善層を成膜することは、基材と硬質皮膜の密着強度を改善することができるため好ましい。このとき、該密着強度改善層の膜厚は0.1μm以下であることが好ましい。
本発明によって、厚膜化した硬質皮膜層が高硬度に維持され、また硬質皮膜の残留圧縮応力の低減化によって密着強度が著しく改善され、従来に比べて耐摩耗性に優れた硬質皮膜被覆切削工具を提供することができる。
本発明の硬質皮膜被覆切削工具における硬質皮膜層1はAlとCrを主金属成分とする窒化物皮膜であり、耐熱性に優れる。硬質皮膜層1はAl含有量を表すa値が原子比で0.50≦a<0.70の範囲のとき、優れた耐熱性および耐摩耗性を実現できる。a≧0.70(とくにa≧0.75)では、六方最密構造(以下、hcp構造と記す。)のAlNが生成しやすくなり、密着強度が劣化するだけでなく硬度低下を生じる。また、Al含有量よりCr含有量が多い場合も、残留圧縮応力が増大して密着強度が劣化する傾向にある。以上より、0.50≦a<0.70と規定した。より好ましくは、0.60≦a<0.70である。
次に、硬質皮膜層1の金属成分と非金属成分の組成比に関して、0.48≦x≦0.52の範囲に制御することにより、優れた密着強度を備えた硬質皮膜を形成させることが可能となる。ここで、x<0.48の場合は、結晶格子中においてAlおよびCr元素同士が結合する割合が増加し結晶格子の歪が大きくなる。したがって、硬質皮膜層1の断面組織が過度に微細化して粒界欠陥が増大し、残留圧縮応力が増大して基材と硬質皮膜間の密着強度が劣化してしまう。ここで、基材と硬質皮膜間の密着強度を確保するため、硬質皮膜に残留する圧縮応力を6.0GPa以下に低減する必要がある。また、粒界欠陥が増大することで、被加工物に含まれる元素の内向拡散が生じやすくなり、硬質皮膜の硬度低下に繋がる。したがって、粒界欠陥を低減するためにx値を0.48以上に制御しなければならない。
一方で、x>0.52の場合、硬質皮膜層1は柱状組織を形成するが、粒界部に不純物が取り込まれやすくなる。この不純物は成膜処理装置の内部残留物に由来する。その結果、結晶粒界における接合強度が劣化し、外部衝撃によって容易に硬質皮膜層1が破壊されてしまう。このような外部衝撃による硬質皮膜の破壊を抑制するためには、硬質皮膜中に残留する圧縮応力を2.0GPa以上に確保し、外部衝撃により発生する亀裂伝播を抑制する必要がある。
さらに、x値を0.48≦x≦0.52の範囲に制御するには、成膜時の反応ガス圧力を1.5Pa以上、5.0Pa以下に設定すれば実現できる。1.5Pa未満では、x値は0.48未満となり、5.0Paを超えるとx値は0.52を超える。x値を最適制御した際の残留圧縮応力値は、2.0〜6.0GPaである。
硬質皮膜層1のW値が、0.7≦W≦1.1の範囲において、結晶組織が微細粒状を形成するためホールペッチの法則により高硬度化し、また適度な残留圧縮応力が付与され密着強度に優れる。W<0.7の場合、結晶組織は粗大な柱状結晶を形成し、切削加工時の亀裂が粒界を伝播することにより硬質皮膜の破壊につながってしまう。また、W>1.1の場合、皮膜組織がアモルファス化して皮膜硬度の低下に繋がる。W値の制御には、成膜温度を最適化する必要があり、バイアス電圧印加条件、反応ガス圧力条件に加えて、450〜550℃の範囲で成膜する必要がある。450℃未満では、W値が1.1を超え、550℃を超えると0.7未満となる。
本発明では、硬質皮膜層1の耐摩耗性を改善するため、硬質皮膜層1がより高硬度化する条件で成膜を行う必要がある。しかしながら、硬質皮膜が高硬度化するほど、硬質皮膜の残留圧縮応力が高まり、基材との密着強度は劣化する傾向にある。硬質皮膜層1の残留圧縮応力は、とくにIs/Ir値、It/Ir値と相関性が高いため、Is/Ir値、It/Ir値を制御すれば残留圧縮応力値を低減化することが可能である。ここで、硬質皮膜層1は面心立方構造を形成するため、硬質皮膜層1の(111)面への配向が強くなると、(111)面は面心立方構造における原子最密面であることから、硬質皮膜が高硬度化する傾向にある。したがって、0.3≦Is/Ir<1.0、0.3≦It/Ir<1.0とすることにより、残留圧縮応力を最適な範囲に制御して高い密着強度を有する高硬度硬質皮膜が実現できる。一方、Is/Ir<0.3の場合、またIt/Ir<0.3の場合は、硬質皮膜層1の断面組織に結晶粒界が多くなり、残留圧縮応力が増大することにより、密着性が低下する。さらに、Is/Ir≧1.0の場合、またIt/Ir≧1.0の場合は、結晶組織が柱状化し、結晶粒界に沿って亀裂が伝播しやすくなり、硬質皮膜の破壊につながってしまう。Is/Ir値、It/Ir値は成膜条件に左右されるが、とくに成膜時に印加されるバイアス電圧の大きさに依存する。成膜時のバイアス電圧を50〜250Vに設定し、後述のようにバイアス電圧をパルス化させて印加することで、Is/Ir値、It/Ir値を(111)配向に制御することが可能である。ただし、バイアス電圧が高くなりすぎると、成膜物質の堆積時に導入される歪が激増してしまい、硬質皮膜の結晶性が低下するとともに硬質皮膜に残留する圧縮応力が増大して密着強度が劣化してしまう。
硬質皮膜層2が、TiおよびSiを含有する面心立方構造の窒化物であることで、優れた耐酸化性および耐摩耗性を実現できる。硬質皮膜層2におけるSi含有量を示すb値(原子比)は、0.01≦b≦0.25の範囲に規定した。なお、硬質皮膜層2のSi含有量は、ターゲット合金中のSi含有量で制御可能である。このとき、硬質皮膜層2は柱状あるいは粒状の結晶組織を形成する。またSi元素を含有させると、硬質皮膜自体が高硬度化し、さらに耐酸化性が向上する。さらに工具刃先では、切削加工時に被加工物の接触あるいは擦過に伴って切削熱が発生し、Si元素が大気中の酸素と結合することにより緻密な酸化物が形成される。このSi酸化物が、酸化保護膜の役割を果たすことから、硬質皮膜層内部への酸化を抑制し、硬質皮膜の耐熱性を改善する効果が得られる。しかし、b>0.25では、硬質皮膜層2の残留圧縮応力が増大して密着強度が著しく劣化する。b<0.01では、TiNを主成分とした粗大な柱状結晶が成長し、皮膜硬度や耐酸化性が低下する。より好ましくは、0.05≦b≦0.15である。
次に、硬質皮膜層2の金属成分と非金属成分の組成比に関して、硬質皮膜層1の場合と同様に、0.48≦y≦0.52の範囲に制御することにより、残留圧縮応力を2.0〜6.0GPaの範囲に制御することができる。一方、y<0.48の場合は、結晶格子中においてTiおよびSi元素同士が結合する割合が増加し結晶格子の歪が大きくなる。したがって、硬質皮膜層2の断面組織が過度に微細化して粒界欠陥が増大し、残留圧縮応力が増大して基材と硬質皮膜間の密着強度が劣化してしまう。例えば、切削工具用の硬質皮膜では、粒界欠陥が硬質皮膜密度を低下させ、被加工物を構成する元素の内向拡散を生じてしまい、硬質皮膜の皮膜硬度や耐熱性を低下させる。したがって、粒界欠陥を低減するためにy値を0.48以上に制御しなければならない。他方、y>0.52の場合、硬質皮膜層2は柱状組織を形成するが、粒界部に不純物が取り込まれやすくなる。この不純物は成膜処理装置の内部残留物に由来する。その結果、結晶粒界における接合強度が劣化し、外部衝撃によって容易に硬質皮膜層1が破壊されてしまう。y値を0.48≦y≦0.52の範囲に制御するには、成膜時の反応ガス圧力を1.5Pa以上、5.0Pa以下に設定すれば実現できる。1.5Pa未満では、y値は0.48未満となり、5.0Paを超えるとx値は0.52を超える。y値を最適制御した際の残留圧縮応力値は、2.0〜6.0GPaである。
硬質皮膜層2のW値が、0.60≦W≦1.1の範囲において、結晶組織が微細粒状化し、ホールペッチの関係により、高硬度硬質皮膜を形成する。W<0.60の場合、硬質皮膜層2は柱状晶化してしまい、切削加工時の亀裂が粒界を伝播することにより硬質皮膜の破壊につながってしまう。また、W>1.1の場合、皮膜組織がアモルファス化して、残留圧縮応力が増大し密着強度が劣化する。W値の制御には、成膜温度を最適化する必要があり、バイアス電圧印加条件、反応ガス圧力条件に加え、450〜550℃の範囲で成膜する必要がある。450℃未満では、W値が1.1を超え、550℃を超えると0.60未満となる。
硬質皮膜層2の残留圧縮応力は、Iv/Iu値、Iw/Iu値と相関性がある。高硬度化した硬質皮膜層2では、残留圧縮応力が高くなるため硬質皮膜層1との密着強度の劣化が懸念される。そこで、硬質皮膜層1および2の密着強度を確保するには、Iv/Iu値、Iw/Iu値を制御すれば可能である。とくに、硬質皮膜層2の結晶配向を硬質皮膜層1の結晶配向と整合させることで、密着強度を確保しながら、硬質皮膜層2を高硬度に維持することができる。このとき、硬質皮膜層2の最強ピーク面は硬質皮膜層1と同様に(111)面であることが好ましい。したがって、0.3≦Iv/Iu<1.0、0.3≦Iw/Iu<1.0とすることにより、硬質皮膜層1および2の間に高い密着強度を有する高硬度の硬質皮膜を形成することが可能である。一方、Iv/Iu<0.3の場合、またIw/Iu<0.3の場合は、硬質皮膜層2がアモルファス化してしまい、硬質皮膜層2の皮膜硬度が極端に低下してしまう。さらに、Iv/Iu≧1の場合、またIw/Iu≧1.0の場合は、結晶組織が柱状化し、結晶粒界に沿って亀裂が伝播しやすくなり、切削加工時のチッピングを生じやすくなる。Iv/Iu値、Iw/Iu値の制御は、成膜時のバイアス電圧値とバイアス電圧印加方式に大きく依存する。バイアス電圧を50〜250Vに設定し、さらにバイアス電圧を間欠化(パルス化)させて印加することで、Iv/Iu値、Iw/Iu値を制御することが可能である。
硬質皮膜層1および2の成膜にあたって、バイアス電圧をパルス化(間欠化)させて印加した。ここで、バイアス電圧のパルス化について説明する。一般的に、バイアス電圧は負の直流電圧として基材に印加される。このとき、膜厚の増大に伴って硬質皮膜層内に格子歪が導入され、硬質皮膜の残留圧縮応力が増大し、基材との密着強度は劣化する。そこで、バイアス電圧をパルス化(例えばバイアス電圧設定値とゼロの間での振幅)させることで、バイアス電圧が低い瞬間に格子歪が緩和され、残留圧縮応力を低減化することができる。
さらに、バイアス電圧のパルス化方法は、ユニポーラー方式とバイポーラー方式に大別される。ユニポーラー方式は、バイアス電圧値を負の値とゼロとの範囲でパルス化させて印加する方法である。このとき、上述のようにバイアス電圧が低い瞬間に、格子歪の一部が解放され、残留圧縮応力の低減化につながる。一方、バイポーラー方式は、負と正の範囲でバイアス電圧をパルス化させて印加する方法である。このとき、正のバイアス電圧が印加された瞬間に、格子歪が緩和されるため、さらなる残留圧縮応力の低減化を図ることが可能となる。
また、上記バイアス電圧の設定値とバイアス電圧を印加する時間を設定することで、バイアス電圧の印加条件が決定される。たとえば、バイアス電圧−150(V)、バイアス電圧印加時間15(μsec)の設定Aと、バイアス電圧+20(V)、バイアス電圧印加時間5(μsec)の設定Bの周期でバイアス電圧を印加することができる。このとき、設定A+Bの周期は20(μsec)、すなわち50kHzとなる。さらに設定Aと設定Bのバイアス電圧値とバイアス電圧印加時間は適宜変更可能である。
また、バイアス電圧をパルス化する際の周波数が、硬質皮膜層の密着強度に影響を及ぼす残留圧縮応力の制御に重要である。本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、硬質皮膜層1および2では、パルス周波数30〜50kHzのときに(220)面と(111)面のピーク強度比が0.3≦It/Ir<1.0、0.3≦Iw/Iu<1.0となり、硬質皮膜の残留圧縮応力を2.0〜6.0GPaの最適な範囲に制御できることを見出した。硬質皮膜層1および2では、パルス周波数が30kHz未満になると、硬質皮膜断面組織は、低残留圧縮応力を有した柱状組織が形成されやすいものの、柱状組織内における粒界における密着強度が劣るため、皮膜はく離につながりやすい。このとき、It/Ir、Iw/Iu値は1を超える。また、パルス周波数が50kHzを超えると、イオンが被処理物に到達する際の運動エネルギーが低減できないため、硬質皮膜層の残留圧縮応力が増大し、It/Ir、Iw/Iu値は0.3を下回る。
本発明では、硬質皮膜層1を(111)面へ強く配向させることで、硬質皮膜層1を高硬度化させ、耐摩耗性の改善を図った。しかしながら、(111)面への配向が強くなると、硬質皮膜層1にはたらく残留圧縮応力が高くなり、硬質皮膜の密着性が低下し、耐欠損性や耐摩耗性が低下して不都合が生じる。そこで、硬質皮膜層1の成膜にあたっては、(111)面へ配向させるためにバイアス電圧を高めに設定する一方で、バイポーラー方式でパルス化させて印加させ、成膜時に発生する格子歪を充分に緩和させることが肝要である。
また、硬質皮膜層2を(111)面に強く配向させることで、硬質皮膜層2の高硬度化と、硬質皮膜層1との密着強度の改善を図った。硬質皮膜層2では、Si元素の含有量の増加に伴い、残留圧縮応力が増大する傾向があり、密着強度が劣化する。そこで、硬質皮膜層2の成膜に関しては、高硬度硬質皮膜が得られる(111)面へ配向させるためバイアス電圧を高めに設定し、さらにSi元素含有に伴う残留圧縮応力の増大を抑制するため、硬質皮膜層1同様にバイポーラー方式でパルス化させたバイアス電圧を印加した。
本発明の硬質皮膜被覆切削工具では、硬質皮膜層1と硬質皮膜層2の界面における密着強度を確保することで、硬質皮膜のさらなる耐摩耗性の改善を図った。ここで、硬質皮膜層1と硬質皮膜層2との密着強度を改善するためには、硬質皮膜層1と硬質皮膜層2の(111)面における面間隔の差を小さくしてミスフィットを低減させることが必要である。これより、硬質皮膜間で高い密着強度が得られる。そこで、0.970≦a1/a2≦0.980の範囲に制御する。これらより、硬質皮膜層1および2の硬質皮膜界面で(111)面に優先配向すること、また双方の結晶格子が整合しやすいことから、硬質皮膜層界面でのエピタキシャル成長が促され、密着強度が優れるために、耐摩耗性に優れた硬質皮膜層が得られる。
硬質皮膜層1と硬質皮膜層2のうちで少なくとも1層のN元素について、その一部をC元素およびO元素のうちの1種または2種の元素で置換することで、潤滑性や耐酸化性を改善することが可能である。このとき、原子比でC元素の含有量をp値およびO元素の含有量をq値としたとき、0<p≦0.10、0<q≦0.10および0<p+q≦0.10の範囲にすることが好ましい。硬質皮膜層1と硬質皮膜層2のうちで少なくとも1層について、C元素およびO元素のいずれかまたは双方を含有させる場合には、炭化水素系ガスや酸素ガスを使用することが好ましい。ガスを導入して成膜を行う場合、Nガスと併せた全圧が、1.0〜5.0Paの範囲にすることが好ましい。あるいは、ターゲット蒸発源にC元素およびO元素のいずれかまたは双方を適量含有させることも可能である。
なお、O元素は炉内における不可避不純物であるが、O元素が添加されたAlCrN系硬質皮膜では(200)面へ配向しやすい。そこで、例えばAr雰囲気中でTiターゲットをアーク放電させることで、Tiイオンが炉内酸素を吸着し、不可避不純物の成膜を低減させることが可能である。不可避不純物が低減されることで、基材と硬質皮膜の密着強度が改善され、切削加工時の耐欠損性向上に効果的である。
硬質皮膜全体の膜厚を4μm以上とすることにより、優れた耐摩耗性が得られる。しかし、10μmを超える膜厚では、硬質皮膜に残留する圧縮応力が高くなり、基材との密着強度が劣化する傾向にある。また4μm未満では、本発明における優れた耐摩耗性が得られない。
本発明の硬質皮膜被覆切削工具は硬質皮膜層1および2の積層構造である。ここで、硬質皮膜層1の膜厚をT1値(μm)、硬質皮膜層2の膜厚をT2値(μm)としたとき、2.0≦T1≦5.0、2.0≦T2≦5.0とすることが好ましい。この理由はT1<2.0の場合、硬質皮膜層1の耐摩耗性が十分得られないからである。T1>5.0の場合、残留圧縮応力が過大となり、基材と硬質皮膜層との界面、および硬質皮膜層1および2の界面での密着強度が劣化し、はく離を起こしやすくなる。
硬質皮膜層2はSiを含有し、残留圧縮応力が高くなる傾向にある。T2>5.0の場合、工具の刃先稜線部において皮膜の自己破壊を起こしてしまう。また、硬質皮膜層2が表面層であることにより、耐摩耗性がさらに向上するが、T2<2.0の場合、硬質皮膜層2の耐摩耗性が十分得られないと考えられる。
基材と硬質皮膜層1の間に、Ti層またはCr層から構成される密着強度改善層を成膜することは、基材と硬質皮膜の密着強度を改善することができるため好ましい。このとき、該密着強度改善層の膜厚は0.1m以下であることが好ましい。Ti層またはCr層は、Arのような希ガス雰囲気中で成膜を行うことで形成可能である。
基材と硬質皮膜層1の間に、TiまたはCrを主成分とする窒化物、炭化物および炭窒化物から選ばれる1種または2種以上から構成される密着強度改善層を成膜することは、基材と硬質皮膜の密着強度を改善することができるため好ましい。このとき、該密着強度改善層の膜厚は0.1μm以下であることが好ましい。TiまたはCrを主成分とする窒化物、炭化物および炭窒化物は、窒素ガスや炭化水素系ガスを使用することで形成可能である。
本発明に用いる硬質皮膜の組成は、例えば、日本電子株式会社製のJXA8500F形EPMA分析装置を用いて測定できる。硬質皮膜の垂直断面もしくは膜断面を17度斜めに傾けて研磨した傾斜断面において、硬質皮膜部を基材の影響を受けない位置から行い、加速電圧10kV、照射電流1.0μAおよびプローブ径を10μm程度に設定することにより可能である。硬質皮膜表面から測定する場合は、プローブ径を50μm程度に設定することが好ましい。また、C元素やO元素を含有させたときは、2%未満になると分析での検出が困難となる。硬質皮膜の膜厚は、例えば、株式会社日立製作所製S−4200型電解放射走査型電子顕微鏡を用いて、垂直方向の破断から測定できる。
硬質皮膜のX線回折における(111)、(200)および(220)面のピーク強度比の測定は、例えば、理学電気株式会社製RU−200BH型X線回折装置を用いて2θ−θ走査法により測定できる。2θ(度)の範囲は、10〜145度、X線源はλ値が0.15405nmのCuKα1線を用い、バックグランドノイズは装置に内蔵されたソフトにより除去した。測定結果は、検出された2θのピーク位置が、結晶構造が面心立方構造であるTiNのX線回折パターン(JCPDSファイル番号38−1420)に略一致したので、その(111)、(200)および(220)ピークの強度を測定した。ピーク強度は、各指数面のピークトップの最大値をピーク強度とし、それを用いてピーク強度比を求めた。更に、面間隔は、上記(200)面を示すピーク位置の数値を適用した。また、CrNがベースとなるような硬質皮膜の場合も同様にして、ピーク強度を測定した。
本発明に用いる硬質皮膜における残留圧縮応力は以下に示す曲率測定法で算出した。即ち、ヤング率とポアソン比が既知となっている基材を所定の形状に加工した試験片を用い、その表面を硬質皮膜で被覆すると、硬質皮膜中に発生する残留圧縮応力により、被覆された試験片がたわみ変形する。そのたわみ変形量を求め、数式1を用いて、硬質皮膜全体の残留圧縮応力σ値を算出した。
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ここで、Es値(GPa)は、試験片に使用した基材のヤング率、D値(mm)は試験片の厚み、δo値(μm)とδ1値(μm)は被覆前後で生じる試験片のたわみ量、l値(mm)は被覆によってたわみが生じた試験片の長さ方向端面から、最大たわみ部までの長さ、νs値は試験片に使用した基材のポアソン比、およびd(μm)は試験片表面に被覆した硬質皮膜の膜厚である。また、試験片を形成する材料は、超硬合金材料が、測定数値のばらつきが少なく適している。試験片形状は、短冊型の形状が望ましく、8mm幅、25mm長さ、及び0.5〜1.5mm厚さの形状を使用した。この試験片形状にすると、測定数値のばらつきが少ない。試験片の面積の大きい上下面について、平行度±0.1mmになるよう、鏡面研磨を施した後、600〜1000℃の真空中で熱処理を行い、試験片に用いる材料の、特に表面部分の歪を除去した。このように歪をある程度除去しなければ、得られる残留圧縮応力の値にばらつきが発生する。試験片面積の大きい、鏡面加工された一面のたわみ変形量を被覆前に測定した後、その面に被覆を行い、再度、得られた被覆試験片のたわみ量を測定した。被覆前後のたわみ量と、被覆によってたわみが生じた試験片の長さ方向端面から、最大たわみ部までの長さ、及び被覆した硬質皮膜の膜厚を測定し、その数値を数1に代入することにより、硬質皮膜全体の残留圧縮応力σ値を算出した。硬質皮膜の組成や成膜条件が変化しても、本測定方法により残留圧縮応力の値を算出することが可能である。
硬質皮膜被覆工具の基材に硬質皮膜を成膜する場合、成膜方法としては、パルス化されたバイアス電圧を印加することにより、圧縮応力が付与される成膜方法が好ましい。具体的には、アークイオンプレーティング(以下、AIPと記す。)法またはスパッタリング法等のイオンプレーティング方式等が好ましい。適切な成膜条件を適用すれば、各々の方式が一つの設備に設置された複合装置を用いてもよい。本発明を以下の実施例により更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
本発明例1に用いる硬質皮膜の作製方法について以下に説明する。硬質皮膜の被覆に使用した装置は、AIP装置であり、AIP装置内にはアークカソード1、2の2機を装備している。アークカソード1では、ターゲットを構成する元素組成が、Al:60at%、Cr:40at%のターゲットを、アークカソード2では、Ti:88at%、Si:12at%のターゲットを装着した。装置内の基材装着用回転治具には、切削評価用として超硬合金製インサート工具を装着した。
被覆プロセスは、まずAIP装置内を7×10−3Pa以下の真空状態にし、続いて5×10−2Pa程度の真空に保ちながら、基材を600℃まで加熱した。次に、基材に対するバイアス電圧を、−300Vで印加しつつ、Arイオンによるエッチング処理を行った。次に、窒素ガスを導入して圧力を3Paとし、基材にバイポーラー方式のパルスバイアス電圧を印加しながら、アークカソード1に100Aの電流を流してアーク放電を発生させ、T1値が3.5μmとなるまで成膜した。アークカソード1の放電を停止させた後、バイポーラー方式でパルス化させたバイアス電圧を印加しながら、アークカソード2に100Aの電流を通じて、T2値が3.1μmとなるまで成膜した。
本発明では、硬質皮膜層1および2の成膜に対して、バイポーラー方式でパルス化したバイアス電圧を基材に印加することによって、硬質皮膜層1および2内に残留する圧縮応力を適切な範囲に制御した。すなわち、硬質皮膜層1および2に印加するバイアス電圧は、−150Vと+10Vの間で周期的に振幅させて基材に印加した。なお、このときのパルス波周波数は40kHzとした。上記の被覆プロセスによって、本発明例1を作製した。また、本発明例2から39、比較例40から65では、各アークカソード1、2のターゲット組成、各バイアス電圧値、各バイアス電圧印加方式の設定以外の条件は、本発明例1の被覆プロセスに準拠した。成膜条件を表1〜4に示す。
Figure 2012045650















Figure 2012045650















Figure 2012045650















Figure 2012045650















次に、得られた硬質皮膜被覆インサートの切削性能を、下記の試験条件で評価した。工具寿命の評価は、切削工具が欠損するまでの加工時間で比較して行った。切削評価において発生する損傷も確認した。本発明の解決課題である耐摩耗性は、切刃の摩耗量によって評価し、また密着強度は硬質皮膜のはく離によって評価した。評価結果を表5および表6に示す。
(試験条件)
切削方法: フライス加工
被削材: SKD61(熱処理材;40HRC)
切削速度: 120m/min
一刃送り量:0.15mm/刃
切り込み量:1.0mm
切削油:なし、乾式切削
Figure 2012045650















Figure 2012045650















本発明例1では、硬質皮膜硬度が従来例と比較して高く、切刃では定常的な摩耗進行であった。また、硬質皮膜層の残留圧縮応力は4.3GPaに低減された。したがって、切削加工時に硬質皮膜が自己破壊することもなかった。また、硬質皮膜層1および硬質皮膜層2の面間隔比a1/a2が0.974であり、硬質皮膜界面における整合性が高かった。したがって、硬質皮膜層界面での密着強度が優れた結果、層間はく離も確認されなかったと考えられる。そのため、切削加工時に適度な残留圧縮応力が付与され、硬質皮膜層内への亀裂伝播やチッピングが抑制されたため、工具寿命は長くなったと考えられる。
本発明例2、3および比較例40、41では、硬質皮膜層1を構成する金属元素の組成比が切削性能に及ぼす影響を調査した。比較例40では、相対的に硬質皮膜層1内のAl含有量が大きく、六方晶系に属するAlN(h−AlN)が部分的に生成した。h−AlNは皮膜硬度や靭性が低いため、耐摩耗性に劣ってしまい工具寿命は短かった。また、比較例41では相対的にCr含有量が大きかった。このとき、成膜時に−150Vの比較的高いバイアス電圧が印加された基材に対し、Al元素と比較して重いCr元素が、高い運動エネルギーをもって基材に到達する。そのため、硬質皮膜堆積中に歪が数多く導入され、残留圧縮応力を低減することができなかったと推測される。したがって、比較例41では残留圧縮応力が増大し、密着性が劣化してしまい、工具寿命は短かった。
一方、本発明例2では、相対的に硬質皮膜層1内のAl含有量は大きいものの、h−AlNの生成は確認されなかった。したがって、残留圧縮応力も3.8GPaと適正な範囲に制御されており、硬質皮膜が高硬度化するとともに、密着性も高かったことから、工具寿命は長くなった。また、本発明例3ではCr元素含有量が多いものの、残留圧縮応力は4.7GPaに低減されたことから密着性が確保され、工具寿命は長くなったと考えられる。
本発明例4、5および比較例42、43では硬質皮膜層1の成膜に対するガス(窒素)圧力の検討を行った。比較例42ではガス圧力を8.0Paに設定した。このとき、x値が0.55であったため、硬質皮膜層1中に含まれる窒素成分の割合が高くなり、硬質皮膜層1が軟質化してしまい、耐摩耗性が低下した。このとき、Is/Ir値は1.27であり、結晶組織が柱状化したことから、切削加工時に結晶粒界に沿った亀裂伝播によりチッピングが生じ、工具寿命は短かった。さらに、a1/a2値が0.968であり、整合性が低かったことから層間はく離を生じてしまい、工具寿命は短くなったと考えられる。また、比較例43ではガス圧力を1.0Paに設定した。このとき、x値が0.45であり、硬質皮膜層1は高硬度化したものの、成膜時に数多くの歪が導入されてしまい、残留圧縮応力が増大しすぎたため、切削初期からのチッピングが多く、短寿命であったと推測される。
一方、本発明例4ではガス圧力を5.0Paに設定した。また、本発明例5ではガス圧力を1.5GPaに設定した。いずれの場合も硬質皮膜層1の残留圧縮応力が適切に制御され、工具寿命は長くなった。
本発明例6、7および比較例44、45では、硬質皮膜層1で印加したバイアス電圧の大きさが切削性能に及ぼす影響を調査した。比較例44では、硬質皮膜層1は(111)面に強く配向し高硬度した。しかしながら、(111)面から測定した半価幅Wが1.20度と大きかったことから硬質皮膜の結晶性は低く、またバイアス電圧が高すぎたために、バイポーラー方式でバイアス電圧をパルス化したものの、残留圧縮応力を6.0GPa以下に低減することができず、切削加工時の自己破壊が多くなり、工具寿命は短かった。また、比較例45では、バイアス電圧が低く、残留圧縮応力が低減され密着性は高まったものの、皮膜硬度が低下し、耐摩耗性が劣化した。また、Is/Ir値は2.05であり、結晶組織が柱状化したことから、切削加工時に結晶粒界に沿った亀裂伝播によりチッピングが生じ、工具寿命は短かった。
一方、本発明例6では残留圧縮応力が5.8GPaと比較的高かったものの、硬質皮膜層1および2の格子定数比が0.979であり整合性が高かったこと、さらにバイアス電圧−250Vで成膜された結晶組織は微細化したために高硬度化しており、切削加工時に発生する亀裂伝播を抑制したために工具寿命は長くなったと考えられる。逆に、本発明例7では硬質皮膜層1で印加するバイアス電圧を−50Vと低く設定したため、硬質皮膜層全体の残留圧縮応力が3.1GPaに低減され、密着性に優れ工具寿命も長くなった。
本発明例8、9および比較例46、47ではバイアス電圧をパルス化した際の周波数の影響を調査した。比較例46では、パルス波の周波数を70kHzと高く設定したため、バイアス電圧が印加される周期が早く、ターゲット蒸発原子が堆積する際に充分な接合強度が得られなかったため、硬質皮膜が軟質化してしまったと推測される。したがって、工具寿命も短かった。また、比較例47ではパルス波の周波数を10kHzと低く設定したため、成膜物質が基材に到達する際の運動エネルギーが低減できず、硬質皮膜層に残留する圧縮応力が増大し、密着強度が劣化したと考えられる。また、It/Ir値が1.23であり(220)面へ配向しやすく低残留圧縮応力を有した柱状組織が形成されたが、柱状組織中の粒界における密着強度が劣るため、切削初期で皮膜はく離が確認された。したがって、密着強度の劣化と皮膜はく離により工具寿命は短かった。
一方、本発明例8、9では成膜物質が基材に到達する際の運動エネルギーが適切に制御され、残留圧縮応力が6GPa以下に低減されたため、硬質皮膜層1のチッピングが抑制され、工具寿命は長くなった。
また、本発明例8、9におけるIt/Ir値は、いずれも0.3≦It/Ir<1.0を満たしており、バイアス電圧をパルス化して印加する際には、It/Ir値の制御が重要であることが推察された。
本発明例10、11および比較例48では硬質皮膜層1におけるバイアス電圧のパルス化方式について検討を行った。比較例48では、バイポーラー方式で−150Vと+30Vの振幅でパルス化させたバイアス電圧としたため、成膜時に発生する歪が大幅に緩和され、結晶性が高まった結果、W<0.7であった。このとき、結晶組織は柱状化しており、切削加工時に粒界を伝播した亀裂によりチッピングが目立ち、工具寿命も短くなった。
一方、本発明例10では、バイポーラー方式で−150Vと+20Vの振幅でパルス化させたバイアス電圧としたため、成膜時に発生する歪が緩和され、残留圧縮応力が2.7GPaに低減された。したがって、密着強度が確保され工具寿命は長くなった。また、本発明例11では、ユニポーラー方式で−150Vと0Vの振幅でパルス化させたバイアス電圧を印加させたため、成膜時の歪が緩和される度合いはバイポーラー方式と比較して小さく、残留圧縮応力は高まる傾向にあった。この圧縮応力によって、硬質皮膜層1は高硬度化し、さらに切削加工時に硬質皮膜層中の亀裂伝播を抑制し、工具寿命は長くなった。
本発明例12、13および比較例49、50では、硬質皮膜層1の膜厚と切削性能の関係を調査した。比較例49では硬質皮膜層1を5.3μmと厚くした。このとき、硬質皮膜層1の残留圧縮応力を6.0GPa以下に低減することができず、パルス波を適用したバイアス電圧を印加しても、厚膜化しすぎると無効化されてしまうことが示された。比較例50では硬質皮膜層1を0.9μmと薄くした。このとき、硬質皮膜層1の残留圧縮応力は2.4GPaに低減されたものの、全体的な膜厚が3.8μmと薄く耐摩耗性の改善に至らなかった。
一方、本発明例12では硬質皮膜層1の膜厚が4.4μmであった。このとき、残留圧縮応力は6.0GPa以下であったが、本発明例1と比較して耐摩耗性の大幅な改善には至らなかった。これは、硬質皮膜層1の膜厚が厚いほど、残留圧縮応力が増大し、基材との密着強度が劣化したためと考えられる。工業上の生産性を考慮すると、切削工具としての用途に適した硬質皮膜層の膜厚範囲に制御することが肝要である。また、本発明例13の硬質皮膜層1の膜厚は2.0μmと薄かったが、総膜厚が5.1μmであり、充分な耐摩耗性が得られ、工具寿命は長くなった。
本発明例14、15および比較例51では、硬質皮膜層2を構成する金属元素の組成比が切削性能に及ぼす影響を調査した。比較例51では、Si含有量が多く残留圧縮応力が増大し密着強度が劣化したと推測される。また、結晶性が低くアモルファス状に近かったため、皮膜硬度が低下してしまい工具寿命は短かった。本発明例14では、硬質皮膜中の金属元素の割合でSiを原子比で0.01以上含有することで、粗大柱状組織を形成するTiN結晶組織を微細化する効果が確認された。これにより、チッピングを抑制し工具寿命の改善につながったと考えられる。また、本発明例15では、硬質皮膜中の金属元素の割合でSi含有量が原子比で0.24含有されることで、残留圧縮応力は5.9GPaと高い値であった。しかしながら、硬質皮膜層1および2のa1/a2値が0.979と近接し整合性が高まったことから、硬質皮膜界面の密着強度が確保され、工具寿命は長くなった。
本発明例16、17および比較例52、53では硬質皮膜層2の成膜に対するガス(窒素)圧力の検討を行った。これらは、硬質皮膜層1の場合と同様の傾向であった。
本発明例18、19および比較例54、55では、硬質皮膜層2で印加したバイアス電圧の大きさが切削性能に及ぼす影響を調査した。これらは、硬質皮膜層1の場合と同様の傾向であった。
本発明例20、21および比較例56、57ではバイアス電圧をパルス化した際の周波数の影響を調査した。これらは、硬質皮膜層1の場合と同様の傾向であった。
本発明例22および比較例58では硬質皮膜層2におけるバイアス電圧のパルス化方式について検討を行った。比較例58では、バイポーラー方式で−150Vと+30Vの振幅でパルス化させたバイアス電圧を印加したため、電気的な反発作用が大きく、硬質皮膜の結晶性が低下し、皮膜硬度も低下した。したがって、残留圧縮応力は低減化されたものの、耐摩耗性が低下したため、工具寿命は短かった。
一方、本発明例22では、バイポーラー方式で−150Vと+10Vの振幅でパルス化させたバイアス電圧を印加したため、成膜時に発生する歪が充分に緩和され、残留圧縮応力が低減化された。したがって、基材との密着強度が優れ工具寿命は長くなった。
本発明例23、24および比較例59、60では、硬質皮膜層2の膜厚と切削性能の関係を調査した。比較例59では、硬質皮膜層2の膜厚が5.3μmと厚く、厚膜化に伴う残留圧縮応力の増大を低減することができず、密着性が低下して切削加工時のはく離の要因となり、工具寿命は低下した。比較例60では、硬質皮膜層2の膜厚が0.8μmと薄く、残留圧縮応力は3.2GPaに低減されたものの耐摩耗性が低下し、工具寿命は短かった。
一方、本発明例23における硬質皮膜層2の膜厚は4.7μmであった。このとき、残留圧縮応力は5.9GPaに低減されたものの、実施例1と比較して大幅な耐摩耗性改善には繋がらなかった。これは、硬質皮膜層2を厚膜化しすぎると残留圧縮応力が増大し密着強度が劣化してしまうためであり、本発明における適切な膜厚範囲があるということが分かった。また、本発明例24では硬質皮膜層2の膜厚は2.1μmと薄かったものの、Si元素が酸化保護膜としての機能を発揮したと考えられ、工具寿命は長くなった。
本発明例25、26、27および比較例61、62では、硬質皮膜層1の非金属成分に対して、酸窒化物、炭窒化物、炭酸窒化物した場合の影響を調査した。比較例61および62では、それぞれ酸素、炭素の含有量が非金属成分の原子比0.1を超えていたことから、硬質皮膜層2の結晶性が低下し、皮膜硬度が低下したために耐摩耗性に劣ったと推測される。
一方、本発明例25、26、27では、それぞれ酸素、炭素の含有量が非金属成分の原子比0.1以内であったことから、硬質皮膜層2の結晶性が維持されるとともに、耐酸化性が向上したため、工具寿命は長くなったと推測される。
本発明例28、29、30および比較例63、64では、硬質皮膜層2の非金属成分に対して、酸窒化物、炭窒化物、炭酸窒化物した場合の影響を調査した。比較例65および66では、それぞれ酸素、炭素の含有量が非金属成分の原子比0.1を越えていたことから、硬質皮膜層2の結晶性が低下し、皮膜硬度が低下したために耐摩耗性に劣ったと推測される。
一方、本発明例28、29、30では、それぞれ酸素、炭素の含有量が非金属成分の原子比0.1以内であったことから、硬質皮膜層2の結晶性が維持されるとともに、耐酸化性が向上し、工具寿命は長くなったと推測される。とくに、本発明例28、30のように酸素を微量添加した場合には、工具表面の被加工物に由来するFe元素の検出量が減少していた。したがって、酸素の微量添加によって、潤滑作用が高まり耐溶着生に優れたと考えられる。
本発明例31、32では、硬質皮膜層1および2について、酸素原子または炭素原子で置換した場合の影響を調査した。硬質皮膜層1および2の双方におけるN元素について、原子比0.1以内の範囲でC元素およびO元素のうちの1種または2種の元素で置換した場合にも、工具寿命は長くなった。これは、C元素およびO元素が存在することで、硬質皮膜層の潤滑性や耐熱性が高められたことによると推測された。
本発明例33、34、35では、硬質皮膜層1の成膜前に基材との密着強度の改善を目的に、Ti層、TiN層、TiC層を密着強度改善層として成膜した際の影響を検証した。いずれの層においても、その膜厚は0.1μm未満であり、切削加工時のチッピングが抑制されたことから、密着強度が優れたためと考えられる。上記密着強度改善層を適用することにより工具寿命の改善が図られた。
本発明例36、37、38では、硬質皮膜層1の成膜前に基材との密着強度の改善を目的に、Cr層、CrN層、CrC層を密着強度改善層として成膜した際の影響を検証した。いずれの層においても、その膜厚は0.1μm未満であり、切削加工時のチッピングが抑制されたことから、密着強度が優れたためと考えられる。上記密着強度改善層を適用することにより工具寿命の改善が図られた。
本発明例39および比較例65では、硬質皮膜層2におけるSiの組成変調の影響について調査した。比較例65では、Si含有量が最大でb>0.25であったこと、またSi組成変調差が最大で原子比0.2に及び、組成変調に伴い急激な残留圧縮応力差が生じ、硬質皮膜層2内ではく離した。
一方で、本発明例39では、b≦0.25であったこと、またSi組成変調差が最大で原子比0.1であり、硬質皮膜層内に適度な残留圧縮応力がはたらき、亀裂伝播抑制に効果が得られ、工具寿命は長くなった。
従来例66、67は何れも直流バイアス電圧条件下にて単層成膜を行った。このとき、膜厚が3μm程度であったため、工具寿命は短かった。膜厚は工具寿命に大きな影響を及ぼすが、硬質皮膜の物性を適正な範囲に制御できなければ、産業上の優位点は得られないことが確認された。
本発明の硬質皮膜被覆切削工具は、工具または金型などの産業用部品や、一般家庭用部品などに代表される、基体への優れた密着性の要求される表面処理部材において極めて有用であり、産業上の利用可能性に富む。また、本発明の硬質皮膜被覆切削工具は、耐摩耗性、密着強度の向上を要求される切削加工用工具等において極めて有用であり、産業上の利用可能性に富む。

Claims (5)

  1. 超硬合金を基材とする切削工具に硬質皮膜を被覆した硬質皮膜被覆切削工具において、該硬質皮膜は物理的蒸着によって4〜10μmの膜厚で成膜された2層構造を有し、基材側に被覆された硬質皮膜層1および表面側に被覆された硬質皮膜層2で構成され、該硬質皮膜層1の組成は(AlCr1−a1−x(但し、夫々の元素の含有量は原子比であり、0.50≦a<0.70、および0.48≦x≦0.52である。)で表され、該硬質皮膜層1のX線回折における(111)面の半価幅をW(度)としたとき、0.7≦W≦1.1であり、(111)面のピーク強度Ir、(200)面のピーク強度Is、および(220)面のピーク強度Itとしたとき、0.3≦Is/Ir<1.0、および0.3≦It/Ir<1であり、該硬質皮膜層2の組成は、(Ti1−bSi1−y(但し、夫々の元素の含有量は原子比であり、0.01≦b≦0.25、および0.48≦y≦0.52である。)で表され、該硬質皮膜層2のX線回折における(111)面の半価幅をW(度)としたとき、0.6≦W≦1.1であり、(111)面のピーク強度Iu、(200)面のピーク強度Iv、および(220)面のピーク強度Iwとしたとき、0.3≦Iv/Iu<1、および0.3≦Iw/Iu<1.0であり、該硬質皮膜層1と該硬質皮膜層2は共に面心立方構造を形成し、X線回折における(111)面の面間隔(nm)を夫々、a1およびa2としたときに、0.970≦a1/a2≦0.980であることを特徴とする硬質皮膜被覆切削工具。
  2. 請求項1に記載の硬質皮膜被覆切削工具において、該硬質皮膜層1と該硬質皮膜層2について少なくとも1層はN元素について、原子比で0.1以内の範囲でC元素およびO元素のうちの1種または2種の元素で置換したことを特徴とする硬質皮膜被覆切削工具。
  3. 請求項1または2に記載の硬質皮膜被覆切削工具において、該硬質皮膜層1の膜厚をT1(μm)および該硬質皮膜層2の膜厚をT2(μm)としたとき、2.0≦T1≦5.0、2.0≦T2≦5.0であり、さらに該硬質皮膜層2が表面層であることを特徴とする硬質皮膜被覆切削工具。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の硬質皮膜被覆切削工具において、超硬合金の基材と硬質皮膜層1との間に、Ti層もしくはCr層から構成される密着強度改善層を有し、該密着強度改善層の膜厚は0.1μm以下であることを特徴とする硬質皮膜被覆切削工具。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の硬質皮膜被覆切削工具において、超硬合金の基材と硬質皮膜層1との間に、TiもしくはCrを主成分とする窒化物、炭化物及び炭窒化物から選ばれる1種または2種以上から構成される密着強度改善層を有し、該密着強度改善層の膜厚は0.1μm以下であることを特徴とする硬質皮膜被覆切削工具。
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