JP2012031135A - フルクトース誘導性疾患の予防又は改善剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】フルクトース摂取により誘導されるインスリン抵抗性、脂肪肝、高脂血症など疾患の予防又は改善のための医薬品等、又は当該医薬品や食品に使用できる素材の提供。
【解決手段】リン脂質を有効成分とするフルクトース誘導性疾患の予防・改善剤。
【選択図】なし
【解決手段】リン脂質を有効成分とするフルクトース誘導性疾患の予防・改善剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、フルクトースの摂取により誘発される疾患の予防又は改善剤に関する。
近年、メタボリックシンドロームと呼ばれる内臓脂肪の蓄積を中心とし、高血糖(糖尿病)、脂質異常、高血圧等の心血管病に対する複数のリスクを合併した症候群が増加しており、インスリン感受性の低下(インスリン抵抗性)がこれら症状の発症及び進展に重要な役割を担うとされている。インスリン抵抗性の発生には、内臓脂肪の過剰な蓄積や非脂肪組織(肝臓、筋肉など)における脂肪の蓄積が関与することが報告されている(非特許文献1及び2)。
特に、肝臓に脂肪が蓄積した状態は脂肪肝と呼ばれ、この脂肪肝は、健康診断で高脂血症と並び、異常所見とされることが多い項目である。脂肪肝の罹患者は増加の一途を辿っており、現在、日本人の約25%が脂肪肝であると推測されている(非特許文献3)。脂肪肝は、生活習慣病の発症、悪化に関与するだけでなく、症状が進行すると、肝炎、肝硬変等の肝障害の原因となることが知られている(非特許文献4)。
一方、フルクトースは甘味料として様々な食品に利用される糖分の一種である。このため、フルクトースの摂取量は、日米ともに年々増加しており、特に米国ではソフトドリンクの摂取量とともに飛躍的に増加しており(非特許文献5)、日常生活においてフルクトースを過剰に摂取しやすい状態にある。このフルクトースの過剰摂取についての動物やヒトを対象とした研究から、フルクトースの過剰摂取がインスリン抵抗性や脂肪肝等の様々な代謝異常症状を引き起こすことが報告されている(非特許文献6及び7)。
このことから、今後益々、フルクトースの摂取を原因としたインスリン抵抗性、脂肪肝や高脂血症等の疾患の予防又は改善は、非常に重要となってくる。
このことから、今後益々、フルクトースの摂取を原因としたインスリン抵抗性、脂肪肝や高脂血症等の疾患の予防又は改善は、非常に重要となってくる。
また、近年、炭水化物の摂取に応答して発現増加及び活性化する核内受容体転写因子であるChREBP(Carbohydrate response element binding protein)は、糖負荷を原因とした各種疾患の発症に関与することが報告され(非特許文献8及び9)、当該ChREBPの抑制がフルクトースの摂取を原因とした疾患や症状の予防又は改善に重要であると考えられている。
また、ChREBPの直接的な下流因子であるPKLR(Pyruvate kinase liver and red blood cell)は、フルクトースから脂肪酸への変換において重要な役割を果たしていることから、PKLRの抑制もまた、フルクトースの摂取を原因とした疾患や症状の予防又は改善に重要であると考えられている。
また、ChREBPの直接的な下流因子であるPKLR(Pyruvate kinase liver and red blood cell)は、フルクトースから脂肪酸への変換において重要な役割を果たしていることから、PKLRの抑制もまた、フルクトースの摂取を原因とした疾患や症状の予防又は改善に重要であると考えられている。
従来、魚油等の高度不飽和脂肪酸を含有する油脂に、高炭水化物の摂取により上昇する肝臓トリグリセリド濃度を低下させる作用があること(特許文献1)、また、リン脂質に、血中コレステロールの低下作用(特許文献2)、抗アレルギー作用(特許文献3)等があることが報告されている。
しかしながら、フルクトースの摂取を原因としたインスリン抵抗性、脂肪肝及び高脂血症等の疾患や症状、言い換えれば、フルクトースの摂取によって誘発されるこれら疾患や症状に対する有効な物質については、全く知られてはいない。
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本発明は、安全性に優れ、フルクトースの摂取により誘導されるインスリン抵抗性や脂肪肝、高脂血症等の疾患又は症状、及びこれらに起因又は関連して発症する種々の疾患の予防又は改善のための医薬品等、又は当該医薬品、食品、飼料等の有効成分として用いることができる素材を提供することに関する。
本発明者らは、種々の物質について検討した結果、天然成分に含まれるリン脂質に、フルクトースの摂取により誘導される疾患又は症状(例えばインスリン抵抗性、脂肪肝及び高脂血症)の予防又は改善効果があることを見出した。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(8)に係るものである。
(1)リン脂質を有効成分とするフルクトース誘導性疾患の予防又は改善剤。
(2)フルクトース誘導性疾患が、フルクトース摂取により誘導される、インスリン抵抗性、脂肪肝又は高脂血症である上記(1)の予防又は改善剤。
(3)リン脂質がリゾ体である上記(1)又は(2)の予防又は改善剤。
(4)リン脂質が大豆由来のものである上記(3)の予防又は改善剤。
(5)リン脂質を有効成分とするChREBP発現抑制剤。
(6)リン脂質がリゾ体である上記(5)のChREBP発現抑制剤。
(7)リン脂質を有効成分とするPKLR発現抑制剤。
(8)リン脂質がリゾ体である上記(7)のPKLR発現抑制剤。
(1)リン脂質を有効成分とするフルクトース誘導性疾患の予防又は改善剤。
(2)フルクトース誘導性疾患が、フルクトース摂取により誘導される、インスリン抵抗性、脂肪肝又は高脂血症である上記(1)の予防又は改善剤。
(3)リン脂質がリゾ体である上記(1)又は(2)の予防又は改善剤。
(4)リン脂質が大豆由来のものである上記(3)の予防又は改善剤。
(5)リン脂質を有効成分とするChREBP発現抑制剤。
(6)リン脂質がリゾ体である上記(5)のChREBP発現抑制剤。
(7)リン脂質を有効成分とするPKLR発現抑制剤。
(8)リン脂質がリゾ体である上記(7)のPKLR発現抑制剤。
本発明によれば、フルクトースの摂取により誘導される、インスリン抵抗性、脂肪肝及び高脂血症並びにこれらに起因又は関連して発症する種々の疾患を予防又は改善するための医薬品又は食品等を提供することができる。
本発明のリン脂質としては、好適にはグリセロリン脂質が挙げられ、当該分子から脂肪酸が外れたリゾ体(リゾリン脂質)を包含するものである。
前記グリセロリン脂質は、グリセリン骨格のC−1、2位に脂肪酸がエステル結合しているものが好ましく、また、リゾグリセロリン脂質は、このC2位の脂肪酸が外れたものを云う。
前記グリセロリン脂質は、グリセリン骨格のC−1、2位に脂肪酸がエステル結合しているものが好ましく、また、リゾグリセロリン脂質は、このC2位の脂肪酸が外れたものを云う。
本発明のリン脂質としては、より具体的には、例えば、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール及びホスファチジン酸等のグリセロリン脂質又はそのリゾ体が挙げられ、このうち、安全性や薬理作用の点から、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール又はそれらのリゾ体が好ましく、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール又はそれらのリゾ体がより好ましく、ホスファチジルエタノールアミン又はそのリゾ体がさらに好ましい。
上記リン脂質を構成する脂肪酸としては、特に限定されず、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸の何れでもよいが、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、α−リノレン酸、及びドコサヘキサエン酸の他、大豆油脂肪酸、菜種油脂肪酸、とうもろこし油脂肪酸等の動植物由来の混合脂肪酸が挙げられる。このうち、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、α−リノレン酸及び大豆油脂肪酸が好ましい。
また、前記構成脂肪酸における脂肪酸組成としてのパルミチン酸:オレイン酸:リノール酸の各含有量は、それぞれ、10〜40質量%:5〜20質量%:40〜70質量%であるのが好ましく、更に15〜35質量%:5〜15質量%:40〜60質量%であるのが好ましい。
また、前記構成脂肪酸における脂肪酸組成としてのパルミチン酸:オレイン酸:リノール酸の各含有量は、それぞれ、10〜40質量%:5〜20質量%:40〜70質量%であるのが好ましく、更に15〜35質量%:5〜15質量%:40〜60質量%であるのが好ましい。
本発明において、前記リン脂質は、単体又は2種以上混合物(混合リン脂質)として使用することができるが、混合リン脂質としては、当該リン脂質を含む動植物(例えば、大豆、米、とうもろこし、菜種、綿実、小麦、落花生、ひまし、ヒマワリ、大麦、エンバク、紅花、ゴマ等の植物;卵黄、乳、魚介類等の動物の組織)を原料(由来)として得られる抽出レシチンを用いることができ、天然成分由来で安全性も高いことから当該抽出レシチンを用いるのが好ましい。更に、大豆油を製造する工程で発生する粗レシチンを、アセトンやエタノール等の溶剤で処理した不溶画分を抽出レシチンとして用いるのが好ましい。また、粗レシチン又は抽出レシチンから精製した精製レシチンを使用することもできる。また、抽出レシチンとして、SLP−ホワイト(大豆由来リン脂質;辻製油)等の市販品を用いることもできる。
ここで、「レシチン」とは、広義の意味であり、動植物由来のリン脂質を含む脂質製品を云う。なお、レシチン中の全リン脂質の含有量は、レシチン全量中、20質量%以上、より50質量%以上であるのが好ましい。
ここで、「レシチン」とは、広義の意味であり、動植物由来のリン脂質を含む脂質製品を云う。なお、レシチン中の全リン脂質の含有量は、レシチン全量中、20質量%以上、より50質量%以上であるのが好ましい。
また、抽出レシチン中の、ホスファチジルコリン及びそのリゾ体:ホスファチジルエタノールアミン及びそのリゾ体:ホスファチジルイノシトール及びそのリゾ体の各含有量は、それぞれ、10〜35質量%:1〜30質量%:1〜30質量%であるのが好ましく、更に15〜35質量%:5〜20質量%:5〜20質量%であるのが好ましい。
前記リン脂質を単体で用いる場合は、上述の如き動植物等の組織からの抽出・単離、又は化学合成により得ることが可能である。例えば、ホスファジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン又はホスファジルイノシトールは、大豆より得られる粗大豆レシチンから定法に従って抽出・精製することにより得ることができる。例えば、大豆油の製造の際に生成する粗大豆レシチンを溶媒分画(固液抽出法)、イオン交換クロマトグラフィー、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー等により分離精製することによって得ることができる。また、ホスファチジルエタノールアミン又はホスファジルイノシトールは、酵素を用いた塩基交換法によってホスファチジルコリンから合成して得ることもできる。
また、リゾ体は、上述のリン脂質からホスホリパーゼA2等の酵素処理により生産したものを用いることができ、又はSLP−ホワイトリゾ(大豆由来リゾリン脂質;辻製油)等の市販品を用いることもできる。
後記実施例に示すように、本発明のリン脂質は、フルクトース摂取により誘導される、インスリン抵抗性、脂肪肝及び高脂血症の抑制作用を有し、またChREBP及びPKLRの発現を抑制する。よって、本発明のリン脂質は、ヒトを含む動物に摂取又は投与して、フルクトース摂取により誘導される疾患(以下、「フルクトース誘導性疾患」とも云う)の予防又は改善、ChREBP発現抑制やPKLR発現抑制を図るために使用することができる。また、本発明のリン脂質は、フルクトース誘導性疾患の予防又は改善剤、ChREBP発現抑制剤及びPKLR発現抑制剤(以下、「フルクトース誘導性疾患の予防・改善剤等」と云う)となり得、また、フルクトース誘導性疾患の予防・改善剤等を製造するために使用することができる。
ここで、「フルクトース誘導性疾患」とは、フルクトースの摂取によって引き起こされる様々な代謝異常の疾患・症状(例えばインスリン抵抗性、脂肪肝、高脂血症、高尿酸血漿等)及びこれらに起因又は関連して発症する種々の疾患・症状(例えば、糖尿病、高血圧、動脈硬化症等)を云う。
尚、前述のとおり、ChREBPやPKLRは、糖負荷を原因とした各種疾患の発症に関与することが報告されていることから(非特許文献8及び9)、ChREBPやPKLRの発現を抑制することにより、好ましくはフルクトース摂取により発現が増加するChREBPやPKLRを抑制することにより、フルクトース誘導性疾患を予防又は改善することができる。
尚、前述のとおり、ChREBPやPKLRは、糖負荷を原因とした各種疾患の発症に関与することが報告されていることから(非特許文献8及び9)、ChREBPやPKLRの発現を抑制することにより、好ましくはフルクトース摂取により発現が増加するChREBPやPKLRを抑制することにより、フルクトース誘導性疾患を予防又は改善することができる。
当該フルクトース誘導性疾患の予防又は改善剤等は、それ自体、フルクトース摂取により誘導される疾患の予防又は改善、ChREBP発現抑制やPKLR発現抑制のための、ヒト若しくは動物用の医薬品、医薬部外品であってもよく、又は当該医薬品、医薬部外品、食品又は飼料に配合して使用される素材又は製剤であってもよい。
また、当該食品には、フルクトース摂取によるインスリン抵抗性、脂肪肝及び高脂血症等、又はこれらに起因又は関連して発症する種々の疾患(例えば、糖尿病、高血圧、動脈硬化症)の予防、改善又は治療をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した美容食品、病者用食品若しくは特定保健用食品等の機能性食品が包含される。
また、当該食品には、フルクトース摂取によるインスリン抵抗性、脂肪肝及び高脂血症等、又はこれらに起因又は関連して発症する種々の疾患(例えば、糖尿病、高血圧、動脈硬化症)の予防、改善又は治療をコンセプトとし、必要に応じてその旨を表示した美容食品、病者用食品若しくは特定保健用食品等の機能性食品が包含される。
本発明のリン脂質を含有する上記医薬品の投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、腸溶剤、トローチ剤、ドリンク剤等による経口投与又は注射剤、坐剤、経皮吸収剤、外用剤等による非経口投与が挙げられる。
また、このような種々の剤型の医薬製剤を調製するには、本発明のリン脂質を単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤(ソルビトール、グルコース、乳糖、デキストリン、澱粉等の糖類、炭酸カルシウム等の無機物、結晶セルロース、蒸留水、ゴマ油、とうもろこし油、オリーブ油、菜種油等)、結合剤、滑沢剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤、抗酸化剤、細菌抑制剤等を適宜組み合わせて用いることができる。
これらの投与形態のうち、好ましい形態は経口投与であり、経口投与用製剤中の本発明のリン脂質の含有量は、一般的に0.01〜95質量%とするのが好ましく、10〜80
質量%とするのがより好ましい。
また、このような種々の剤型の医薬製剤を調製するには、本発明のリン脂質を単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤(ソルビトール、グルコース、乳糖、デキストリン、澱粉等の糖類、炭酸カルシウム等の無機物、結晶セルロース、蒸留水、ゴマ油、とうもろこし油、オリーブ油、菜種油等)、結合剤、滑沢剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤、抗酸化剤、細菌抑制剤等を適宜組み合わせて用いることができる。
これらの投与形態のうち、好ましい形態は経口投与であり、経口投与用製剤中の本発明のリン脂質の含有量は、一般的に0.01〜95質量%とするのが好ましく、10〜80
質量%とするのがより好ましい。
本発明のリン脂質を含有する食品の形態としては、例えば、パン、麺類等に代表される小麦粉加工食品、お粥、炊き込みご飯等の米加工食品、ビスケット、ケーキ、ゼリー、チョコレート、せんべい、アイスクリーム等の菓子類、豆腐、その加工食品等の大豆加工食品、清涼飲料、果汁飲料、乳飲料、炭酸飲料等の飲料類、ヨーグルト、チーズ、バター、牛乳等の乳製品、醤油、ソース、味噌、マヨネーズ、ドレッシング等の調味料、ハム、ベーコン、ソーセージ等の蓄肉、蓄肉加工食品、はんぺん、ちくわ、魚の缶詰等の水産加工食品、調理油ならびにフライ用油等が挙げられる。また、この他、当該製剤を配合して、カプセル等の錠剤食、濃厚流動食、自然流動食、半消化態栄養食、成分栄養食、ドリンク栄養食等の経口経腸栄養食品、機能性食品等の形態とすることもできる。
また、飼料としては、ウサギ、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料、犬、猫、小鳥、リス等に用いるペットフード等の飼料等が挙げられる。
種々の形態の食品や飼料を調製するには、本発明のリン脂質を単独で、又は他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて用いることができる。当該食品中の本発明のリン脂質の含有量は、一般的に0.01〜20質量%とするのが好ましく、0.1〜10質量%とするのがより好ましい。
また、飼料としては、ウサギ、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料、犬、猫、小鳥、リス等に用いるペットフード等の飼料等が挙げられる。
種々の形態の食品や飼料を調製するには、本発明のリン脂質を単独で、又は他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて用いることができる。当該食品中の本発明のリン脂質の含有量は、一般的に0.01〜20質量%とするのが好ましく、0.1〜10質量%とするのがより好ましい。
上記医薬品、医薬部外品、食品又は飼料における本発明のリン脂質の摂取・投与量は、効果が得られる量であれば特に限定されない。また、その摂取・投与量は、対象者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得るが、成人(60kg)1人当たりの1日の投与又は摂取量としては、本発明のリン脂質として、例えば50〜5000mgとするのが好ましく、更に100〜3000mg、特に500〜2000mgとするのが好ましい。また、当該製剤は、任意の摂取・投与計画に従って摂取・投与され得るが、1日1回〜数回に分け、数週間〜数カ月間継続して摂取・投与することが好ましい。
尚、フルクトース誘導性疾患は、上述の如く、フルクトースを多く摂取することによって引き起こされやすいので、フルクトースを多く含む食品や飲料を摂取する際に、摂取・投与するのが有利である。
また、上記医薬品、医薬部外品又は食品の摂取又は投与対象者としては、それを必要としていれば特に限定されないが、フルクトース誘導性疾患・症状の予防、改善又は治療を目的とするヒトやヒト以外の哺乳動物が好ましい。尚、当該対象者には、フルクトース誘導性疾患・症状が認められる者及びそのおそれがある者やその疾患・症状の予防を期待する者も含まれる。
尚、フルクトース誘導性疾患は、上述の如く、フルクトースを多く摂取することによって引き起こされやすいので、フルクトースを多く含む食品や飲料を摂取する際に、摂取・投与するのが有利である。
また、上記医薬品、医薬部外品又は食品の摂取又は投与対象者としては、それを必要としていれば特に限定されないが、フルクトース誘導性疾患・症状の予防、改善又は治療を目的とするヒトやヒト以外の哺乳動物が好ましい。尚、当該対象者には、フルクトース誘導性疾患・症状が認められる者及びそのおそれがある者やその疾患・症状の予防を期待する者も含まれる。
以下、本発明を具体的に説明するために実施例及び試験例を挙げるが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1〜4に使用した大豆由来リン脂質は、辻製油より購入した「SLP−ホワイト」を使用した。尚、各実施例においては、便宜上これを「リン脂質」と称する。
実施例1〜4に用いた「SLP−ホワイト」は、TLC分析法に基づき、リン脂質組成として、ホスファチジルコリン 21.2%、ホスファチジルエタノールアミン 16.4%、ホスファチジルイノシトール 11.5%、ホスファチジン酸 2.7%、その他 48.2%を含有しており、脂肪酸組成として、C16:0(パルミチン酸) 19.1%、C18:1(オレイン酸) 10.4%、C18:2(リノール酸) 58.5%を含有していた。
また、実施例1〜4に使用した大豆由来リゾリン脂質は、辻製油より購入した「SLP−ホワイトリゾ」を使用した。尚、各実施例においては、便宜上これを「リゾリン脂質」と称する。
実施例1〜4に用いた「SLP−ホワイトリゾ」は、TLC分析法に基づき、リン脂質組成として、ホスファチジルコリン 3.5%、ホスファチジルエタノールアミン 1.7%、ホスファチジルイノシトール 8.1%、ホスファチジン酸 4.4%、リゾホスファチジルコリン 20.7%、リゾホスファチジルエタノールアミン 9.7%、リゾホスファチジルイノシトール 5.1%、その他 46.8%を含有しており、脂肪酸組成として、C16:0(パルミチン酸) 30.0%、C18:1(オレイン酸) 10.5%、C18:2(リノール酸) 44.7%を含有していた。
実施例1〜4に用いた「SLP−ホワイト」は、TLC分析法に基づき、リン脂質組成として、ホスファチジルコリン 21.2%、ホスファチジルエタノールアミン 16.4%、ホスファチジルイノシトール 11.5%、ホスファチジン酸 2.7%、その他 48.2%を含有しており、脂肪酸組成として、C16:0(パルミチン酸) 19.1%、C18:1(オレイン酸) 10.4%、C18:2(リノール酸) 58.5%を含有していた。
また、実施例1〜4に使用した大豆由来リゾリン脂質は、辻製油より購入した「SLP−ホワイトリゾ」を使用した。尚、各実施例においては、便宜上これを「リゾリン脂質」と称する。
実施例1〜4に用いた「SLP−ホワイトリゾ」は、TLC分析法に基づき、リン脂質組成として、ホスファチジルコリン 3.5%、ホスファチジルエタノールアミン 1.7%、ホスファチジルイノシトール 8.1%、ホスファチジン酸 4.4%、リゾホスファチジルコリン 20.7%、リゾホスファチジルエタノールアミン 9.7%、リゾホスファチジルイノシトール 5.1%、その他 46.8%を含有しており、脂肪酸組成として、C16:0(パルミチン酸) 30.0%、C18:1(オレイン酸) 10.5%、C18:2(リノール酸) 44.7%を含有していた。
実施例1 リン脂質のフルクトース誘導性インスリン抵抗性の抑制作用
実験動物は、日本SLCより購入した雄性Wistarラット(6週齢)を用いた。市販固形飼料で1週間予備飼育した後、平均体重が等しくなるように、4群(1群当り6匹)に分けた。
実験動物は、日本SLCより購入した雄性Wistarラット(6週齢)を用いた。市販固形飼料で1週間予備飼育した後、平均体重が等しくなるように、4群(1群当り6匹)に分けた。
対照群(−)には、100gあたり、5gコーン油、5gスクロース、20gカゼイン、7.5gセルロールパウダー、3.5gミネラル混合、1gビタミン混合、58gポテトスターチを含有する餌を与えて、8週間飼育した。フルクトース群(リン脂質及びリゾリン脂質−:フルクトース+)には、上記餌から「5gのスクロース及び55gのポテトスターチ」を「フルクトース(60g)」に置き換えた餌を与えて、8週間飼育した。
リン脂質群(リン脂質+:フルクトース+)及びリゾリン脂質群(リゾリン脂質+:フルクトース+)には、フルクトース群の餌から、「3gのポテトスターチ」を、それぞれ「リン脂質」及び「リゾリン脂質」に置き換えた餌を与え、それぞれの群を8週間飼育した。試験期間中の試験食及び水は自由摂取させた。試験期間中の試験食、水の摂取量に群間差は認められなかった。
8週間の飼育後、12時間の絶食下で、ラットに2g/kg体重量になる量のグルコース溶液を経口投与した。経口投与前、及び経口投与15、30、60、120分後に尾静脈より採血し、各時間帯における血糖値及びインスリン値を測定した。測定した血糖値及び血中インスリン値より、それぞれについて120分までの濃度―時間曲線下面積(Area under the curve;AUC)を求め、インスリン感受性を比較した。血糖値はグルコースCII−テストワコー(ムロターゼ・GOD法)を用いて、血中インスリン値はモリナガ インスリン測定キットを用いて測定した。
リン脂質群(リン脂質+:フルクトース+)及びリゾリン脂質群(リゾリン脂質+:フルクトース+)には、フルクトース群の餌から、「3gのポテトスターチ」を、それぞれ「リン脂質」及び「リゾリン脂質」に置き換えた餌を与え、それぞれの群を8週間飼育した。試験期間中の試験食及び水は自由摂取させた。試験期間中の試験食、水の摂取量に群間差は認められなかった。
8週間の飼育後、12時間の絶食下で、ラットに2g/kg体重量になる量のグルコース溶液を経口投与した。経口投与前、及び経口投与15、30、60、120分後に尾静脈より採血し、各時間帯における血糖値及びインスリン値を測定した。測定した血糖値及び血中インスリン値より、それぞれについて120分までの濃度―時間曲線下面積(Area under the curve;AUC)を求め、インスリン感受性を比較した。血糖値はグルコースCII−テストワコー(ムロターゼ・GOD法)を用いて、血中インスリン値はモリナガ インスリン測定キットを用いて測定した。
図1に示すように、リン脂質及びリゾリン脂質の摂取によりフルクトース摂取による糖負荷後の血糖値、血中インスリン値の上昇が抑制された。このことから、リン脂質及びリゾリン脂質の何れもフルクトース誘導性インスリン抵抗性を予防・改善に有効であることが分る。
実施例2 リン脂質のフルクトース誘導性脂肪肝の抑制作用
Wistarラット(雄、6週齢、日本SLC)を市販固形飼料で1週間予備飼育した後、平均体重が等しくなるように、4群(1群当り6匹)に分けた。
Wistarラット(雄、6週齢、日本SLC)を市販固形飼料で1週間予備飼育した後、平均体重が等しくなるように、4群(1群当り6匹)に分けた。
実施例1と同様に、対照群、(−)、フルクトース群(リン脂質及びリゾリン脂質−:フルクトース+)、リン脂質群(リン脂質+:フルクトース+)、リゾリン脂質群(リゾリン脂質+:フルクトース+)を設け、10週間飼育した。試験期間中の試験食及び水は自由摂取させた。試験期間中の試験食、水の摂取量に群間差は認められなかった。
10週間の飼育後、ラットをエーテル麻酔下で開腹し、腹部大静脈から採血した後、肝臓を摘出した。摘出した肝臓の一部よりFolchらの方法に従い肝臓脂質を抽出した(Folch J., J.Bio.Chem., 23; 497-509 (1957))。抽出した肝臓脂質はトリグリセライドE−テストワコー(GPO・HDAOS法、グリセリン消去法)を用いて肝臓トリアシルグリセロール蓄積量を測定した。
10週間の飼育後、ラットをエーテル麻酔下で開腹し、腹部大静脈から採血した後、肝臓を摘出した。摘出した肝臓の一部よりFolchらの方法に従い肝臓脂質を抽出した(Folch J., J.Bio.Chem., 23; 497-509 (1957))。抽出した肝臓脂質はトリグリセライドE−テストワコー(GPO・HDAOS法、グリセリン消去法)を用いて肝臓トリアシルグリセロール蓄積量を測定した。
図2に示すように、リン脂質、及びリゾリン脂質の摂取によりフルクトース摂取による肝臓トリアシルグリセロール蓄積量の増加が有意に抑制された。このことから、リン脂質及びリゾリン脂質の何れも肝臓脂質の蓄積を抑制し、フルクトース誘導性脂肪肝の予防・改善に有効であることが分る。
実施例3 リン脂質のフルクトース誘導性高脂血症の抑制作用
Wistarラット(雄、6週齢、日本SLC)を市販固形飼料で1週間予備飼育した後、平均体重が等しくなるように、4群(1群当り6匹)に分けた。
Wistarラット(雄、6週齢、日本SLC)を市販固形飼料で1週間予備飼育した後、平均体重が等しくなるように、4群(1群当り6匹)に分けた。
実施例1と同様に対照群(−)、フルクトース群(リン脂質及びリゾリン脂質−:フルクトース+)、リン脂質群(リン脂質+:フルクトース+)、リゾリン脂質群(リゾリン脂質+:フルクトース+)を設け、6週間飼育した。試験期間中の試験食及び水は自由摂取させた。試験期間中の試験食、水の摂取量に群間差は認められなかった。
6週間の飼育後、尾静脈から採血し、血中トリアシルグリセロール濃度を測定した。血中トリアシルグリセロール濃度はトリグリセライド E−テストワコー(GPO・HDAOS法、グリセリン消去法)を用いて測定した。
6週間の飼育後、尾静脈から採血し、血中トリアシルグリセロール濃度を測定した。血中トリアシルグリセロール濃度はトリグリセライド E−テストワコー(GPO・HDAOS法、グリセリン消去法)を用いて測定した。
図3に示すように、リン脂質、及びリゾリン脂質の摂取によりフルクトース摂取による血中TG濃度の上昇が有意に抑制された。このことから、リン脂質、及びリゾリン脂質の何れも血中トリアシルグリセロール濃度を抑制し、フルクトース誘導性高脂血症の予防・改善に有効であることが分る。
実施例4 リン脂質のChREBP発現、及びその標的遺伝子発現抑制作用
Wistarラット(雄、6週齢、日本SLC)を市販固形飼料で1週間予備飼育した後、平均体重が等しくなるように、4群(1群当り6匹)に分け実験に用いた。
Wistarラット(雄、6週齢、日本SLC)を市販固形飼料で1週間予備飼育した後、平均体重が等しくなるように、4群(1群当り6匹)に分け実験に用いた。
実施例1と同様に対照群(−)、フルクトース群(リン脂質及びリゾリン脂質−:フルクトース+)、リン脂質群(リン脂質+:フルクトース+)、リゾリン脂質群(リゾリン脂質+:フルクトース+)を設け、10週間飼育した。試験期間中の試験食及び水は自由摂取させた。試験期間中の試験食、水の摂取量に群間差は認められなかった。
10週間の飼育後、ラットをエーテル麻酔下で開腹し、腹部大静脈から採血した後、肝臓を摘出した。摘出した肝臓の一部よりRNA抽出試薬を用いてtotal RNAを抽出した。抽出したtotal RNA125ngを用いて、定法に従い、逆転写反応を行った。合成されたcDNAの一部(total RNA 6.25ng相当)に対しABI PRISM7500 Seaquence Detectoin System(アプライドバイオジャパン)を用いて、SYBR Green リアルタイムPCR解析法により、ChREBP、及びChREBPの標的遺伝子であるPKLRの遺伝子発現の評価に用いた。また、遺伝子発現量はハウスキーピング遺伝子の一つであるAcidic ribosomal phosphoprotein PO(Arbp)の発現量を基準として補正を行い比較した。
各遺伝子のPCR増幅のために用いたプライマーは以下の通りである。
10週間の飼育後、ラットをエーテル麻酔下で開腹し、腹部大静脈から採血した後、肝臓を摘出した。摘出した肝臓の一部よりRNA抽出試薬を用いてtotal RNAを抽出した。抽出したtotal RNA125ngを用いて、定法に従い、逆転写反応を行った。合成されたcDNAの一部(total RNA 6.25ng相当)に対しABI PRISM7500 Seaquence Detectoin System(アプライドバイオジャパン)を用いて、SYBR Green リアルタイムPCR解析法により、ChREBP、及びChREBPの標的遺伝子であるPKLRの遺伝子発現の評価に用いた。また、遺伝子発現量はハウスキーピング遺伝子の一つであるAcidic ribosomal phosphoprotein PO(Arbp)の発現量を基準として補正を行い比較した。
各遺伝子のPCR増幅のために用いたプライマーは以下の通りである。
図4に示すように、リン脂質、及びリゾリン脂質の摂取によりフルクトース摂取による肝臓ChREBP、及びPKLRの遺伝子発現の上昇が有意に抑制された。このことから、リン脂質及びリゾリン脂質の何れも、ChREBP発現抑制に有効であることが分る。
実施例5 各リン脂質成分のフルクトースによるChREBP発現上昇の抑制作用
ヒト肝癌由来細胞株Hep−G2を6ウェルプレートに播き、10% fetal bovine serum(FBS、ICN Biomedicals)および100μnits/mL penicillin、100μg/mL streptomycine(Invitrogen)を含むDulbecco’s Modified Eagle’s medium(DMEM、SIGMA)中で1日培養した。培養開始から1日目に培地を4.5mg/mLのフルクトースを含むDMEM(Cont)、4.5mg/mLのフルクトースと0.1mg/mLのホスファチジルエタノールアミン(大豆由来、SIGMA)を含むDMEM(PE)、4.5mg/mLのフルクトースと0.1mg/mLのホスファチジルイノシトール(大豆由来、SIGMA)を含むDMEM(PI)に交換した。培養開始2日後に細胞からRNA抽出試薬を用いてtotal RNAを抽出した。抽出したtotal RNA125ngを用いて、定法に従い、逆転写反応を行った。合成されたcDNAの一部(total RNA 6.25ng相当)に対しABI PRISM7500 Seaquence Detectoin System(アプライドバイオジャパン)を用いて、SYBR Green リアルタイムPCR解析法により、PKLR、ChREBPの遺伝子発現の評価に用いた。
PKLR、ChREBPのPCR増幅のために用いたプライマーは以下の通りである。
ヒト肝癌由来細胞株Hep−G2を6ウェルプレートに播き、10% fetal bovine serum(FBS、ICN Biomedicals)および100μnits/mL penicillin、100μg/mL streptomycine(Invitrogen)を含むDulbecco’s Modified Eagle’s medium(DMEM、SIGMA)中で1日培養した。培養開始から1日目に培地を4.5mg/mLのフルクトースを含むDMEM(Cont)、4.5mg/mLのフルクトースと0.1mg/mLのホスファチジルエタノールアミン(大豆由来、SIGMA)を含むDMEM(PE)、4.5mg/mLのフルクトースと0.1mg/mLのホスファチジルイノシトール(大豆由来、SIGMA)を含むDMEM(PI)に交換した。培養開始2日後に細胞からRNA抽出試薬を用いてtotal RNAを抽出した。抽出したtotal RNA125ngを用いて、定法に従い、逆転写反応を行った。合成されたcDNAの一部(total RNA 6.25ng相当)に対しABI PRISM7500 Seaquence Detectoin System(アプライドバイオジャパン)を用いて、SYBR Green リアルタイムPCR解析法により、PKLR、ChREBPの遺伝子発現の評価に用いた。
PKLR、ChREBPのPCR増幅のために用いたプライマーは以下の通りである。
ChREBP発現変化をリアルタイムPCRにより解析した結果、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール添加によりChREBP遺伝子発現を抑制した(図5)。特に、ホスファチジルエタノールアミンの添加により強くChREBP遺伝子発現が減少した(図5)。
さらに、ChREBPの特異的下流遺伝子であるPKLRの発現変化をリアルタイムPCRにより解析した結果、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール添加によりPKLR遺伝子発現を抑制した(図5)。
図5に示すように、リン脂質の各種成分の単独処理がChREBPの発現抑制に有効であり、特に、ホスファチジルエタノールアミンが有効であることが分る。
さらに、ChREBPの特異的下流遺伝子であるPKLRの発現変化をリアルタイムPCRにより解析した結果、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール添加によりPKLR遺伝子発現を抑制した(図5)。
図5に示すように、リン脂質の各種成分の単独処理がChREBPの発現抑制に有効であり、特に、ホスファチジルエタノールアミンが有効であることが分る。
実施例6 各リン脂質成分のフルクトースによるChREBP蛋白質上昇の抑制作用
実施例5と同様にHep−G2をフルクトース、及びリン脂質成分で処理した。得られた細胞からNE−PER Nuclear and Cytoplasmic Extraction Reagent(商品名、PIERCE)を用いて、核蛋白質を精製した。 精製した核蛋白質の濃度をBCA Protein Assay Kit(商品名、PIERCE)で測定した後、サンプル間の蛋白質濃度を2mg/mLで一定になるよう調整した。その三分の一量のSDS Sample Buffer(Novagen社)を加えた後、95℃で熱変性、4℃で急冷し、電気泳動用のサンプルを調製した。
上記で調製したサンプル(核蛋白質量として40μg)をSDS−PAGE(7.5%ゲル)に供し、イモビロン−P トランスファーメンブレン(ミリポア社)へ転写後、3%スキムミルクを用いて室温で1時間、ブロッキング反応を行った。続いてanti-ChREBP(P−13)抗体(SantaCruzu Bisotechnology)を3000倍希釈して、4℃で一晩、一次抗体反応を行った。反応後、3000倍希釈したanti goat IgG−HRP抗体(SantaCruzu Bisotechnology)を用いて、室温で1時間、二次抗体反応を行った。その後ECL Plus Western Blotting Detection System(商品名、GEヘルスケア)を検出試薬として用いて、化学発光検出装置ChemiDoc XRS(バイオラッド)を用いてChREBPを検出した。
核内におけるChREBP蛋白質量を解析した結果、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールの添加により、核内のChREBP蛋白質量が抑制された(図6)。特にホスファチジルエタノールアミンの添加により強くChREBP蛋白質量が減少した(図6)。
実施例5と同様にHep−G2をフルクトース、及びリン脂質成分で処理した。得られた細胞からNE−PER Nuclear and Cytoplasmic Extraction Reagent(商品名、PIERCE)を用いて、核蛋白質を精製した。 精製した核蛋白質の濃度をBCA Protein Assay Kit(商品名、PIERCE)で測定した後、サンプル間の蛋白質濃度を2mg/mLで一定になるよう調整した。その三分の一量のSDS Sample Buffer(Novagen社)を加えた後、95℃で熱変性、4℃で急冷し、電気泳動用のサンプルを調製した。
上記で調製したサンプル(核蛋白質量として40μg)をSDS−PAGE(7.5%ゲル)に供し、イモビロン−P トランスファーメンブレン(ミリポア社)へ転写後、3%スキムミルクを用いて室温で1時間、ブロッキング反応を行った。続いてanti-ChREBP(P−13)抗体(SantaCruzu Bisotechnology)を3000倍希釈して、4℃で一晩、一次抗体反応を行った。反応後、3000倍希釈したanti goat IgG−HRP抗体(SantaCruzu Bisotechnology)を用いて、室温で1時間、二次抗体反応を行った。その後ECL Plus Western Blotting Detection System(商品名、GEヘルスケア)を検出試薬として用いて、化学発光検出装置ChemiDoc XRS(バイオラッド)を用いてChREBPを検出した。
核内におけるChREBP蛋白質量を解析した結果、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトールの添加により、核内のChREBP蛋白質量が抑制された(図6)。特にホスファチジルエタノールアミンの添加により強くChREBP蛋白質量が減少した(図6)。
実施例7
「SLP−ホワイト」(辻製油)をゼラチンカプセルに充填し、1錠300mgの軟カプセル剤を得た。
「SLP−ホワイト」(辻製油)をゼラチンカプセルに充填し、1錠300mgの軟カプセル剤を得た。
実施例8
「SLP−ホワイト」(辻製油) 200mg、精製ホスファチジルエタノールアミン 100mgをゼラチンカプセルに充填し、1錠300mgの軟カプセル剤を得た。
「SLP−ホワイト」(辻製油) 200mg、精製ホスファチジルエタノールアミン 100mgをゼラチンカプセルに充填し、1錠300mgの軟カプセル剤を得た。
実施例9
下記成分を用い、定法に従って1錠300mgの錠剤を製造した。
組成(mg); 「SLP−ホワイト」(辻製油) 100、ヒドロキシプロピルセルロース 60、軽質無水ケイ酸 10、乳糖 35、結晶セルロース 35、タルク 30、トリアシルグリセロール 30
下記成分を用い、定法に従って1錠300mgの錠剤を製造した。
組成(mg); 「SLP−ホワイト」(辻製油) 100、ヒドロキシプロピルセルロース 60、軽質無水ケイ酸 10、乳糖 35、結晶セルロース 35、タルク 30、トリアシルグリセロール 30
実施例10
下記成分を用い、定法に従って1錠300mgの錠剤を製造した。
組成(mg); 大豆由来の精製ホスファチジルイノシトール 100、デンプン 150、ステアリン酸マグネシウム 10、乳糖 40
下記成分を用い、定法に従って1錠300mgの錠剤を製造した。
組成(mg); 大豆由来の精製ホスファチジルイノシトール 100、デンプン 150、ステアリン酸マグネシウム 10、乳糖 40
実施例11
下記成分を用い、定法に従って1錠300mgの錠剤を製造した。
組成(mg); 大豆由来の精製ホスファチジルエタノールアミン 50、精製ホスファチジルイノシトール 50、デンプン 150、ステアリン酸マグネシウム 10、乳糖 40
下記成分を用い、定法に従って1錠300mgの錠剤を製造した。
組成(mg); 大豆由来の精製ホスファチジルエタノールアミン 50、精製ホスファチジルイノシトール 50、デンプン 150、ステアリン酸マグネシウム 10、乳糖 40
実施例12
市販の100gのブラックチョコレートを60℃で1時間保持して溶解した。これに、大豆由来の精製ホスファチジルエタノールアミンを2重量%添加してテンパリングすることによりリン脂質配合チョコレートを得た。
市販の100gのブラックチョコレートを60℃で1時間保持して溶解した。これに、大豆由来の精製ホスファチジルエタノールアミンを2重量%添加してテンパリングすることによりリン脂質配合チョコレートを得た。
実施例13
下記成分を混捏した後、原料を発酵後、ねかし、整形、焙炉の工程を経てリン脂質配合パンを得た。
組成(g); 「SLP−ホワイトリゾ」(辻製油) 1.0、強力粉 100、イースト 2、食塩 2、砂糖 3、ショートニング 3、イーストフード 0.15、水 60
下記成分を混捏した後、原料を発酵後、ねかし、整形、焙炉の工程を経てリン脂質配合パンを得た。
組成(g); 「SLP−ホワイトリゾ」(辻製油) 1.0、強力粉 100、イースト 2、食塩 2、砂糖 3、ショートニング 3、イーストフード 0.15、水 60
実施例14
下記成分を混合した原料を80℃に加熱し、均質機を用いて60kg/cm2 で均質し、5℃の冷蔵庫で12時間保持した。5℃で12時間保持した後、ホイップ用攪拌機を用いて400rpmで4分間ホイップし、リン脂質含有ホイップクリームを得た。
組成(g); 「SLP−ホワイト」(辻製油) 0.5、水 44.35、融点30℃の植物油脂 30、脱脂乳 25、ショ糖脂肪酸エステル 0.4、モノグリセライド 0.1、リン酸三カリウム 0.15
下記成分を混合した原料を80℃に加熱し、均質機を用いて60kg/cm2 で均質し、5℃の冷蔵庫で12時間保持した。5℃で12時間保持した後、ホイップ用攪拌機を用いて400rpmで4分間ホイップし、リン脂質含有ホイップクリームを得た。
組成(g); 「SLP−ホワイト」(辻製油) 0.5、水 44.35、融点30℃の植物油脂 30、脱脂乳 25、ショ糖脂肪酸エステル 0.4、モノグリセライド 0.1、リン酸三カリウム 0.15
実施例15
下記成分を混合した原料を80℃に加温し、均質機を用いて150kg/cm2 で均質し、250ml容のステンレス製缶に250ml充填した後、巻き締め機で蓋をした。これをレトルト釜で120℃、10分間の殺菌を行い、その後10℃に冷却し、リン脂質含有コーヒーを得た。
組成(g); 「SLP−ホワイト」(辻製油) 0.2、水 40、牛乳 8、砂糖 10、インスタントコーヒー粉末 2、モノグリセライド 0.1
下記成分を混合した原料を80℃に加温し、均質機を用いて150kg/cm2 で均質し、250ml容のステンレス製缶に250ml充填した後、巻き締め機で蓋をした。これをレトルト釜で120℃、10分間の殺菌を行い、その後10℃に冷却し、リン脂質含有コーヒーを得た。
組成(g); 「SLP−ホワイト」(辻製油) 0.2、水 40、牛乳 8、砂糖 10、インスタントコーヒー粉末 2、モノグリセライド 0.1
Claims (8)
- リン脂質を有効成分とするフルクトース誘導性疾患の予防又は改善剤。
- フルクトース誘導性疾患が、フルクトース摂取により誘導される、インスリン抵抗性、脂肪肝又は高脂血症である請求項1記載の予防又は改善剤。
- リン脂質がリゾ体である請求項1又は2記載の予防又は改善剤。
- リン脂質が大豆由来のものである請求項3記載の予防又は改善剤。
- リン脂質を有効成分とするChREBP発現抑制剤。
- リン脂質がリゾ体である請求項5記載のChREBP発現抑制剤。
- リン脂質を有効成分とするPKLR発現抑制剤。
- リン脂質がリゾ体である請求項7記載のPKLR発現抑制剤。
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