JP2012008218A - 電子ペーパー及び電子ペーパーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】裁断工程を簡略化できると共に、封止剤による電子ペーパーの封止性能を十分保証できるような電子ペーパー及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】接着された一方の基板と他方の基板とが、平面視で少なくとも1辺が揃うように所定の同一サイズに裁断されて、所定サイズの電子ペーパー本体が製造される(裁断工程)。当該電子ペーパー本体が、所定の臨界表面張力を有するステージ上に載置される(載置工程)。前記ステージ上に載置された前記電子ペーパー本体の側面に、封止剤が塗布される(封止剤塗布工程)。その際に、ステージ表面の臨界表面張力が封止剤の表面張力よりも小さい、という条件が採用される。
【選択図】図2
【解決手段】接着された一方の基板と他方の基板とが、平面視で少なくとも1辺が揃うように所定の同一サイズに裁断されて、所定サイズの電子ペーパー本体が製造される(裁断工程)。当該電子ペーパー本体が、所定の臨界表面張力を有するステージ上に載置される(載置工程)。前記ステージ上に載置された前記電子ペーパー本体の側面に、封止剤が塗布される(封止剤塗布工程)。その際に、ステージ表面の臨界表面張力が封止剤の表面張力よりも小さい、という条件が採用される。
【選択図】図2
Description
本発明は、電子ペーパー及び電子ペーパーを製造するための製造方法に関する。
電子ペーパーは、空気中または溶媒中の粒子移動を利用して情報を表示する装置である。通常、2枚の基板間の粒子の移動状態が制御され、それによって所望の表示が実現されるように構成される。
電子ペーパーは、印刷物レベルの視認性(目にやさしい)、情報書き換えの容易性、低消費電力、軽量といった利点を享受できる。
ここで、粒子を含む表示媒体は吸湿することによって表示特性が劣化することが知られている。従って、電子ペーパーは、外周部からの水蒸気進入を防止するために、上下面もしくは一方が水蒸気バリア層で保護され、側面が封止剤で覆われることが一般的である。
特表2005−529361号公報(特許文献1)には、電子ペーパーの外周部を封止する従来の手法が開示されている。当該手法によれば、図5に示すように、バックプレーン406(下側基板)の方が、フロントプレーン411(上側基板)及び保護層412よりも大きなサイズに形成され、そのサイズ差を利用して、バックプレーン406上であってフロントプレーン411(上側基板)及び保護層412の外周側の領域に、外周封止剤520が盛られる(塗布される)。
特開2009−229830号公報(特許文献2)には、フロント側(上側)に防湿シート140が設けられた電子ペーパーが開示されている。この電子ペーパーにおいても、図6に示すように、バックプレーン102(下側基板)の方が、フロントプレーン103(上側基板)よりも大きなサイズに形成され、そのサイズ差を利用して、バックプレーン102と防湿シート140との間の領域に、外周封止剤107が充填されている(塗布されている)。
特表2005−529361号公報(特許文献1)に開示された手法によれば、高い封止性能を得ることができる。しかしながら、バックプレーン406(下側基板)とフロントプレーン12(上側基板)及び保護層412との間にサイズ差を設ける必要があるため、裁断工程の簡略化が難しいという欠点がある。
特開2009−229830号公報(特許文献2)に開示された手法においても、同様に、バックプレーン102(下側基板)とフロントプレーン103(上側基板)との間にサイズ差を設ける必要があるため、裁断工程の簡略化が難しいという欠点がある。
本件発明者は、バックプレーン(下側基板)とフロントプレーン(上側基板)のサイズを揃えて裁断した上で、それらの側面に封止剤を設けることについて鋭意研究を重ねた。特に、裁断したバックプレーン(下側基板)及びフロントプレーン(上側基板)をステージ上に載置した状態で封止剤を塗布するという方法について、鋭意研究を重ねた。
その研究の過程において、電子ペーパーに対して高い封止性能を付与し得る封止剤は、ステージの方にも高い接着力を発揮する傾向があって、封止剤塗布工程の後に電子ペーパーをステージから剥離する際に当該ステージに引っ張られて、電子ペーパーの封止性能が損なわれることがある、という問題に突き当たった。
本発明は、このような事情に基づいて行われたものであり、その目的は、裁断工程を簡略化できると共に、封止剤による電子ペーパーの封止性能を十分保証できるような電子ペーパー及びその製造方法を提供することにある。
本件発明者による鋭意研究の結果、ステージ上で電子ペーパー本体の側面に封止剤を塗布するという手法の下、ステージ表面の臨界表面張力が封止剤の表面張力よりも小さいという条件の場合に、封止剤がステージに接着してしまって電子ペーパーをステージから取り去る際に支障が生じるということがない、ということを知見するに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも一方が透明である対向する2枚の基板間に表示媒体が封入されていて、前記表示媒体が所定の情報を表示する、電子ペーパー、を製造する方法であって、前記表示媒体を配置する表示媒体配置工程と、他方の基板を接着することによって、前記表示媒体を封止する他方基板接着工程と、接着された前記一方の基板と前記他方の基板とを、平面視で少なくとも1辺の端面が揃うように裁断して、所定サイズの電子ペーパー本体を製造する裁断工程と、前記電子ペーパー本体を、所定の臨界表面張力を有するステージ上に載置する載置工程と、前記ステージ上に載置された前記電子ペーパー本体の側面に、封止剤を塗布する封止剤塗布工程と、を備え、前記ステージ表面の臨界表面張力が、封止剤の表面張力よりも小さいことを特徴とする電子ペーパーの製造方法である。
本発明によれば、接着された一方の基板と他方の基板とが、平面視で少なくとも1辺の端面が揃うように裁断されるため、裁断工程が簡便である。特に、ロールtoロールで製造する電子ペーパーにおいては、連続長尺状の一方の基板と他方の基板の流れ方向について、一方の基板と他方の基板とでサイズ差を出すことが難しいため、平面視で少なくとも1辺の端面が揃うように裁断されることは、極めて有効である。
そして更に、ステージ上に載置された電子ペーパー本体の側面に封止剤を塗布する際において、ステージ表面の臨界表面張力が封止剤の表面張力よりも小さいことによって、封止剤がステージに接着してしまって電子ペーパーをステージから取り去る際に支障が生じるということがない。従って、封止剤による十分な封止性能を電子ペーパーが享受できる。
また、ステージ上に載置された電子ペーパー本体の側面に封止剤を塗布するという手法の採用により、封止剤塗布のために水蒸気バリア層を基板よりも大きいサイズとすることが不要であるし、一方の基板及び他方の基板の端縁まで貼合用の接着層が存在することが許容されるため、一方の基板及び他方の基板の剥がれが生じにくいという効果が得られる。
例えば、ステージ表面の臨界表面張力は、31dyne/cm以下である。ステージの表面がポリエチレン(PE)である場合に、ステージ表面の臨界表面張力は31dyne/cmである。この場合、封止剤が、ポリエステル系の封止剤、ポリウレタンエステル系の封止剤、エポキシ系の封止剤、または、アリル系の封止剤であれば、封止剤がステージに接着してしまって電子ペーパーをステージから取り去る際に支障が生じるということがなく、封止剤による十分な封止性能が保証される。
あるいは、ステージ表面の臨界表面張力は、19.5dyne/cm以下である。ステージの表面がポリテトラフルオロエチレン(いわゆるテフロン)である場合に、ステージ表面の臨界表面張力は19.5dyne/cmである。この場合、封止剤が、ポリエステル系の封止剤、ポリウレタンエステル系の封止剤、エポキシ系の封止剤、アリル系の封止剤、または、アクリレート系の封止剤のいずれであっても、封止剤がステージに接着してしまって電子ペーパーをステージから取り去る際に支障が生じるということがなく、封止剤による十分な封止性能が保証される。
また、本発明は、少なくとも一方が透明である対向する2枚の基板間に表示媒体が封入されていて、前記表示媒体が所定の情報を表示する、電子ペーパーであって、前記2枚の基板が、平面視で少なくとも1辺の端面が揃っており、前記電子ペーパー本体の側面に、封止剤が設けられていることを特徴とする電子ペーパーである。
本発明によれば、接着された一方の基板と他方の基板とが、平面視で少なくとも1辺の端面が揃うように裁断されるため、裁断工程が簡便であり、すなわち、製造が簡便である。特に、ロールtoロールで製造する電子ペーパーにおいては、連続長尺状の一方の基板と他方の基板の流れ方向について、一方の基板と他方の基板とでサイズ差を出すことが難しいため、平面視で少なくとも1辺の端面が揃うように裁断されることは、極めて有効である。
そして更に、電子ペーパー本体の側面に封止剤が設けられているため、当該封止剤による十分な封止性能を享受できる。また、封止剤の厚みの調整が極めて容易であり、例えば、厚みを増して封止性を高めるという調整も容易であるし、逆に、厚みを減らして電子ペーパーの平面視サイズ(面積)をコンパクトにするという調整も容易である。具体的には、封止剤は、例えば0.3mm〜5mmの範囲の厚みで調整可能である。更に、側面のみを封止するため、上側基板や下側基板に設ける電極取り出し部の設計について制限が無く、すなわち、装置設計の自由度が高い。
表面がポリエチレン(PE)またはポリテトラフルオロエチレン(いわゆるテフロン)等であるステージ上で封止剤を塗布する場合には、封止剤として、ポリエステル系の封止剤、ポリウレタンエステル系の封止剤、エポキシ系の封止剤、または、アリル系の封止剤の封止剤をも利用することができる。
更にこれに加えて、表面がポリテトラフルオロエチレン(いわゆるテフロン)であるステージ上で封止剤を塗布する場合には、封止剤として更に、アクリレート系の封止剤をも利用することができる。
なお、本願発明の電子ペーパーの表示方式としては、公知のものを適用することができ、例えば、電気泳動方式、ツイストボール方式、粉体移動方式(電子粉流体方式、帯電トナー型方式)、液晶表示方式、サーマル方式(発色方式、光散乱方式)、エレクトロクロミック方式、エレクトロウェッティング方式、磁気泳動方式などが適用可能である。
図1は、本実施の形態による電子ペーパーの製造方法の他方基板接着工程と断裁工程とを概略的に示す図である。図1に示すように、接着層22上に、下側基板11に対して対向する上側基板16が接着される(他方基板接着工程)。これにより、表示媒体13が上下基板間に封止される。その後、図1に示すように、ギロチン、上刃スライド装置、レーザカット装置、レーザーカッター等の断裁装置51によって、平面視で少なくとも1辺が揃うように、所定のサイズに断裁される(裁断工程)。平面視とは、各基板の積層方向(各基板の延在方向に対して垂直な方向)から見た状態を意味する。これにより、所定サイズの電子ペーパー本体50が製造される。なお、ロールtoロールで製造する電子ペーパーにおいては、連続長尺状の一方の基板と他方の基板の流れ方向に直交する対向する2辺の端面が揃うように裁断することにより、裁断工程が一層簡便になり、更に当該2辺において、一方の基板及び他方の基板の端縁まで貼合用の接着層が存在することが許容されるため、より一層、一方の基板及び他方の基板の剥がれが生じにくいという効果が得られる。
そしてその後、図2に示すように、当該電子ペーパー本体50に対して、外周封止処理が施される。具体的には、電子ペーパー本体50が、所定の臨界表面張力を有するステージ60上に載置されて(載置工程)、その状態において、当該電子ペーパー本体50の側面に、例えばディスペンサ80を介して封止剤70が塗布される(封止剤塗布工程)。
ここで、本発明の特徴として、ステージ60の表面の臨界表面張力が封止剤70の表面張力よりも小さいという条件が採用される。例えば、ステージ60の表面がポリエチレン(PE)である場合に、ステージ表面の臨界表面張力は31dyne/cm以下であり、この場合、封止剤70としては、ポリエステル系の封止剤、ポリウレタンエステル系の封止剤、エポキシ系の封止剤、または、アリル系の封止剤が利用され得る。この時、ステージ表面の臨界表面張力が封止剤の表面張力よりも小さいという条件が満たされる。
あるいは、ステージ60の表面がポリテトラフルオロエチレン(いわゆるテフロン)である場合に、ステージ表面の臨界表面張力は、19.5dyne/cm以下であり、この場合、封止剤70としては、ポリエステル系の封止剤、ポリウレタンエステル系の封止剤、エポキシ系の封止剤、アリル系の封止剤、または、アクリレート系の封止剤が利用され得る。この時、ステージ表面の臨界表面張力が封止剤の表面張力よりも小さいという条件が満たされる。
なお、ステージ60の表面へのポリエチレン(PE)やポリテトラフルオロエチレン(いわゆるテフロン)の形成方法は、ステージ60の表面に液状のポリエチレンやポリテトラフルオロエチレンを塗布して硬化させることにより形成する方法や、シート状のポリエチレンやポリテトラフルオロエチレンをステージ60の表面に貼り付けて形成する方法、あるいはステージ60の表面そのものの材質をポリエチレンやポリテトラフルオロエチレンとして形成する方法等が挙げられる。
その後、封止剤70の硬化によって、所望の電子ペーパーの製造は完了する。そして、当該電子ペーパーはステージ60上から取り去られる。この際、封止剤70とステージ60との接着は生じていないので、何らの支障も生じない。
本実施の形態によれば、接着された下側基板11と上側基板16とが、平面視で少なくとも1辺が揃うような所定のサイズに裁断されるため、裁断工程が簡便である。この裁断工程時において、下側基板11及び上側基板16の端縁まで貼合用の接着層が存在することができ、そのような場合には下側基板11及び上側基板16の剥がれがより一層生じにくいという効果も得られる。そして更に、ステージ60上に載置された電子ペーパー本体50の側面に封止剤70を塗布する際において、ステージ表面の臨界表面張力が封止剤の表面張力よりも小さいことによって、封止剤70がステージ60に接着してしまって電子ペーパーをステージ60から取り去る際に支障が生じるということがない。従って、封止剤70による十分な封止性能を電子ペーパーが享受できる。
各種ステージに対する各種封止剤の剥離性能に関する実験結果を、図3に示す。図3に示すように、表面がポリエチレン(PE)またはポリテトラフルオロエチレン(いわゆるテフロン)等であるステージ上で封止剤を塗布する場合には、封止剤として、ポリエステル系の封止剤、ポリウレタンエステル系の封止剤、エポキシ系の封止剤、または、アリル系の封止剤を利用することができる。更にこれに加えて、表面がポリテトラフルオロエチレン(いわゆるテフロン)であるステージ上で封止剤を塗布する場合には、封止剤として更に、アクリレート系の封止剤をも利用することができる。一方、表面が下側基板11と上側基板16として一般的に用いられるポリエチレンテレフタレート(PET)であるステージ上で封止剤を塗布する場合には、封止剤として、ポリエステル系の封止剤、ポリウレタンエステル系の封止剤、エポキシ系の封止剤、アリル系の封止剤、またはアクリレート系の封止剤のいずれにおいても剥離性能が悪化した。これは、ポリエチレンテレフタレートからなる下側基板11と上側基板16とを封止する封止剤が、ステージの方にも高い接着力を発揮する傾向があって、ステージから剥離する際に当該ステージに引っ張られて、封止性能が損なわれるためである。
本発明で利用し得る封止剤としては、フィルム接着剤として公知の材料を用いることができる。ポリエステル系の封止剤は、例えば、バイロン20SS(東洋紡績)である。ポリウレタンエステル系の封止剤は、例えば、バイロンUR3200(東洋紡績)である。アクリレート系の封止剤は、例えば、SUV−387(サンユレック)である。エポキシ系の封止剤は、例えば、フォトレックE−104(積水化学工業)である。
また、ステージ表面材料としての各種ポリマーの臨界表面張力の値を、図4に示す。図4の表は、「微細加工と表面機構 ナノ・マイクロ構造による光学、摩擦、ぬれ等の機能実現」という題名の書籍(出版社:リアライズ理工センター)から抜粋したものである。
本発明に用いられる表示媒体は、電子ペーパーの表示方式に応じて適宜選択されるものである。電子ペーパーの表示方式としては、公知のものを適用することができ、例えば、電気泳動方式、ツイストボール方式、粉体移動方式(電子粉流体方式、帯電トナー型方式)、液晶表示方式、サーマル方式(発色方式、光散乱方式)、エレクトロクロミック方式、エレクトロウェッティング方式、磁気泳動方式などが挙げられる。以下、本発明の形態では電気泳動方式の電子ペーパーに用いられる場合の表示媒体を例に挙げて説明する。
次に、表示品質の低下がないことを確認するために実際に行われた実施例について説明する。
当該実施例の下側基板11は、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人・デュポン社製)にCu電極が設けられた電極基板であった。
当該下側基板11に、ネガ型感光性樹脂材料(デュポンMRCドライフィルムレジスト(株)製のドライフィルムレジスト)を30μmの厚さにラミネートして100℃、1分間の条件でプリベークし、次いで露光マスクを使用して露光(露光量500mJ/cm2
)し、その後、1%KOH水溶液を用いたスプレー現像を30秒行い、200℃、60分間の条件でポストベークすることで、隔壁12が形成された。
)し、その後、1%KOH水溶液を用いたスプレー現像を30秒行い、200℃、60分間の条件でポストベークすることで、隔壁12が形成された。
そして、転写フィルム基材として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人・デュポン社製)が用いられ、これに熱可塑性接着剤22(バイロンUR1400、東洋紡製)がダイコータにて塗布され、乾燥された。これにより、10μmの接着層22を有するロール状の転写フィルムが作製された。
そして、隔壁12の上面に転写フィルムが載せられた状態で、所定の押圧力をさらに付与しつつ、熱可塑性接着剤22の周辺がその軟化温度を超える温度、例えば100度程度にまで加温され、その結果、熱可塑性接着剤22が隔壁12上に熱転写された。
接着層22の厚さは、10μmであった。また隔壁12の厚さは、29μmであった。
続いて、表示媒体として、以下の成分を有するインキ13が用いられ、ディスペンサから滴下されて、中央スキージ(ニューロング製のスキージ1:ウレタン樹脂製)にてスキージ処理されて、各セル内に充填された。基板幅方向にはみ出した余剰インキは、別の両端スキージ(ニューロング製のスキージ2:ウレタン樹脂製)にて掻き取られ、さらにロールワイパにて拭き取られた。
<インキ成分>
・電気泳動粒子(二酸化チタン)・・・60重量部
・分散液 ・・・40重量部
・電気泳動粒子(二酸化チタン)・・・60重量部
・分散液 ・・・40重量部
続いて、パターン外周の一部(2mm×2mmの正方形領域)に、銀ペースト(藤倉化成製)がディスペンサによって点塗布された。
次いで、上側基板16として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人・デュポン社製)の一方の面に透明電極として酸化インジウムスズ(ITO)蒸着膜(厚さ0.2μm)が設けられた電極基板が用いられて、接着層22上に載せられた。そして、大気圧下(常圧雰囲気下)で、所定の押圧力をさらに付与しつつ、接着層(熱可塑性接着剤)22の周辺が100度程度にまで加温され、その結果、接着層22が隔壁12と上側基板16とを強固に接着した。なお、上下基板の透明電極としては、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等が、スパッタリング、真空蒸着法、CVD法などの一般的な成膜方法によって形成される。
ここでの押圧力としては、0.01〜0.7MPaが好ましく、特には0.1〜0.4MPaが好ましい。押圧力が小さいと、上下基板が十分に接着しない。一方、押圧力が大き過ぎると、接着剤が潰れてセル内に入り込んで粒子が付着してしまったり、インキが流出するなどしてコントラストが低下したりして、表示性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
その後、平面視で所定のサイズに断裁され、表面がポリテトラフルオロエチレンのステージ60の上で、上下両方の電極基板11,16(それらに挟まれた部分も含む)の周辺にディスペンサ80を用いて封止剤70として紫外線硬化樹脂(サンユレック(株)製:SUV−387)を塗工し、紫外線を露光(露光量1500J/cm2 )して硬化させた(外周封止処理)。形成した封止剤70の厚さは2mmであり、幅も2mmであった。
以上のようにして得られた電子ペーパーについて、上下電極間に80Vの直流電圧を印加した後のコントラストを観察したが、極めて良好であった。
次に、本発明の製造対象としての電子ペーパーの各部材の材料ないし特性等について、さらに詳しく説明する。
下側基板11としては、樹脂フィルム、樹脂板、ガラス、エポキシガラス(ガラエポ)、セラミックス等の表面に金属等の導電性材料によって電極が形成されたものが用いられ得る。あるいは、金属板や、光透過性の基材が用いられてもよい。不透明な基材としては、電極面とは異なるもう一方の面を粗面下した不透明なガラス基材、電極面とは異なるもう一方の面に金属膜を蒸着した不透明な基材、染料や顔料を練り込んだ不透明樹脂基材、等が用いられ得る。
下側基板11の厚みは、10μm〜1mmが好適である。10μmよりも薄いと、パネルとしての強度を得ることができず、破損に至る危険度が増す一方、1mmよりも厚いと、パネル重量が重くなり過ぎて取り扱いが不便になるし、コストも高くなるからである。
破損しにくく取り扱いが容易である好適な厚みの範囲は、50μm〜300μm程度である。
下側基板11の表面には、メッキ処理による酸化防止処理が施されてもよい。また、下側基板11の裏面(外側)には、水蒸気バリア層が設けられてもよい。水蒸気バリア層の機能は、表示媒体が水分を吸着することによる表示劣化を防止することである。水蒸気バリア層は、 上側基板は透明、下側基板は透明でも不透明でも良く、無機膜を蒸着することで得られる。あるいは、予め水蒸気バリア層が形成されたフィルムが貼り合わせられてもよい。下側基板11の電極パターンの形成は、フォトリソ法、レーザ描画法、インクジェット法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、等によって行われ得る。下側基板11として、TFT基板が用いられてもよい。
下側基板11は、ロール状でもシート状でもどちらでも適用可能である。
隔壁12は、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、常温硬化樹脂等によって構成可能であり、5〜100μmの厚みに形成されることが好適である。5μm以下では、充填するインキ量が少なく、十分な表示特性、特にコントラストが得られない一方、100μm以上では、パネルの厚みが厚すぎて、駆動電圧が上昇し過ぎてしまう。低駆動電圧で良好な表示特性が得られるという観点から、10〜50μmの範囲の厚みが好適である。
隔壁12の形成方法は、フォトリソグラフィ法の他、エンボス加工などの型転写方法も採用され得る。さらに、メッシュ加工の構造物を隔壁として製造しておいて、それを下側基板11に貼り付けるという方法も採用され得る。
接着層22としては、熱可塑性材料を用いたものが好ましく、加熱により軟化して、冷却すると固化する性質を有し、冷却と加熱を繰り返した場合に、塑性が可逆的に保たれる材料である。熱可塑性材料からなる接着剤を用いた場合には、転写フィルム基材上の固化している接着剤をその軟化温度を超える温度にまで加熱することにより軟化させて、隔壁上面のみに確実に接着剤を熱転写できる。また、熱転写後の接着剤は常温まで冷却して再び固化することにより、タック(ねばつき)が無くなるため、取り扱いの便宜が極めて良い。また、タック(ねばつき)が無いことによって、表示媒体が接着剤と接着してしまうことがない。そして、再び隔壁上面の接着剤をその軟化温度を超える温度にまで加熱して軟化させることにより、タック(ねばつき)を有するようになるため、他方の基板が確実に接着される。他方の基板の接着後の接着剤は、再び常温においてはタック(ねばつき)が無いため、やはり表示媒体が接着剤と接着してしまうことがなく、表示品質の低下のおそれもない。具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリウレタンなどの熱可塑性ベースポリマーや、天然ゴム、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共重合体などの熱可塑性エラストマーを主成分とし、粘着性付与樹脂や可塑剤を配合した樹脂が主に使用される。
接着剤の軟化温度とは、熱可塑性材料の種類により、熱可塑性材料のガラス転移温度(Tg)または溶融温度(Tm)でもよく、150℃以下が好ましく、120℃以下がさらに好ましく、80℃以下が特に好ましい。特に、基材フィルム11、16のガラス転移温度よりも熱可塑性材料の軟化温度の方が高いと、基材フィルム11、16が収縮して皺が発生するおそれがあるので好ましくない。また、インキ13の熱分解温度(ここでいう熱分解とは、インキ13に含まれる溶剤、添加剤、粒子等が加熱によって揮発する等により、インキ13の化学的性質(様相)が変化することを意味する)よりも接着剤の軟化温度の方が高いと、インキ13の熱分解による表示性能の低下のおそれが生じるので好ましくない。
接着層22は、前述のように、1〜100μmの厚みに形成されることが好適である。1μm以下では、十分な接着性能が得られない。一方、100μm以上では、パネルの厚みが厚すぎて、駆動電圧が上昇し過ぎてしまう。接着性が良好で且つ低駆動電圧で良好な表示特性が得られるという観点から、1〜50μmの範囲の厚みが好適であり、1〜10μmの範囲の厚みが特に好適である。
隔壁12と接着層22との密着性を上げるために、隔壁12に紫外線照射やプラズマ処理などにより表面処理が施されてもよいし、プライマーが形成されてもよい。あるいは、接着層22の方にシランカップリング剤が添加されてもよい。
表示媒体13については、前述のように、電子ペーパーの表示方式に応じて適宜選択されるものである。
例えば、電気泳動方式は、溶媒中に分散された帯電粒子が、電界によって電極間を移動する電気泳動現象を利用したものである。電気泳動方式には、例えば、マイクロカプセル方式、マイクロカップ方式等がある。
マイクロカプセル方式では、帯電した白色粒子および黒色粒子と、これらの粒子を分散する透明な絶縁性液体とを透明樹脂からなるマイクロカプセル中に封入し、電界を印加することにより、上記白色粒子および上記黒色粒子を上下させることで白黒表示または階調を表現する。
マイクロカップ方式では、カップ状の窪み(マイクロカップ)で仕切られたセルに、染料で着色した絶縁性液体と、帯電した白色粒子とを配置し、電界を印加することにより、上記白色粒子を上下させることで白色または上記絶縁性液体の色を表示させる。
このような電気泳動方式の表示媒体の構成、材料および形成方法については、例えば、特開2000−56341号公報等で説明されているものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
また、電子粉流体方式では、粒子と液体の中間的な特性を備え、浮遊状態に匹敵する高流動性を有し、かつ、電気に敏感に反応する白色および黒色の電子粉流体を空気中に配置し、電界を印加することにより、上記白色および黒色の電子粉流体を上下させることで白黒表示または階調を表現する。このような電子粉粒体方式の表示媒体の構成、材料および形成方法については、例えば、特開2003−322883号公報等で説明されているものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
また、ツイストボール方式は、2色に塗り分けられた球状体や円柱状体を電界によって回転させて表示する方式である。このようなツイストボール方式の表示媒体の構成、材料および形成方法については、例えば、特開2006−47614号公報等で説明されているものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
また、エレクトロウェッティング方式は、基板上に反射膜と透明電極、フッ素樹脂層を積層し、その上に着色した油と水を封止した構造を採る。通常はフッ素樹脂層は疎水性であり、油で覆われているが、電極に電圧を印加すると、フッ素樹脂層は親水性に変わり、水が油を電極の端に押しやり、反射膜の色が現れることにより、2色表示を実現するものである。このようなエレクトロウェッティング方式の表示媒体の構成、材料および形成方法については、例えば、特表2005−517993号公報等で説明されているものと同様とすることができるので、ここでの記載は省略する。
上側基板16としては、PE、PET、PES、PEN等の透明フィルムに、ITO、ZnO等の透明電極を付したものが、典型的に用いられ得る。透明電極は、塗工法や蒸着法等によって形成され得る。
上側基板16の厚みも、下側基板11の厚みと同様に、10μm〜1mmが好適である。10μmよりも薄いと、パネルとしての強度を得ることができず、破損に至る危険度が増す一方、1mmよりも厚いと、パネル重量が重くなり過ぎて取り扱いが不便になるし、コストも高くなるからである。破損しにくく取り扱いが容易である好適な厚みの範囲は、50μm〜300μm程度である。
上側基板16には、更なる機能層が付加され得る。例えば、上側基板16の表面に、水蒸気バリアフィルムが貼付され得る。予め透明無機膜の水蒸気バリア層が蒸着等で形成された透明フィルムが上側基板16として採用されても、これと同様の機能を発揮できる。あるいは、上側基板16の表面に、紫外線カットフィルムが貼付され得る。上側基板16の表面に他の紫外線カット処理が施されても、これと同様の機能を発揮できる。その他の表面コート層として、AG層(防眩層)、HC層(傷防止層)、AR層(反射防止層)などが付加され得る。
上側基板16も、ロール状でもシート状でもどちらでも適用可能である。
外周封止剤は、紫外線硬化樹脂の他に、熱硬化樹脂、常温硬化樹脂、熱可塑性樹脂(ヒートシール樹脂)、溶媒揮発性樹脂、2液混合樹脂等によっても構成可能である。それらは、ディスペンサによって、あるいは、各種の印刷法によって、あるいは、熱圧着によって、対応する所定の臨界表面張力を有するステージ上において、上下両方の電極基板11,16の周辺に適用される。
11 下側基板(バックプレーン基材)
12 隔壁
13 インキ(表示媒体)
16 上側基板(フロントプレーン基材)
22 接着層(熱可塑性接着剤)
50 電子ペーパー本体
51 断裁装置
60 ステージ
70 封止剤
80 ディスペンサ
12 隔壁
13 インキ(表示媒体)
16 上側基板(フロントプレーン基材)
22 接着層(熱可塑性接着剤)
50 電子ペーパー本体
51 断裁装置
60 ステージ
70 封止剤
80 ディスペンサ
Claims (10)
- 少なくとも一方が透明である対向する2枚の基板間に表示媒体が封入されていて、前記表示媒体が所定の情報を表示する、電子ペーパー、を製造する方法であって、
前記表示媒体を配置する表示媒体配置工程と、
他方の基板を接着することによって、前記表示媒体を封止する他方基板接着工程と、
接着された前記一方の基板と前記他方の基板とを、平面視で少なくとも1辺の端面が揃うように裁断して、所定サイズの電子ペーパー本体を製造する裁断工程と、
前記電子ペーパー本体を、所定の臨界表面張力を有するステージ上に載置する載置工程と、
前記ステージ上に載置された前記電子ペーパー本体の側面に、封止剤を塗布する封止剤塗布工程と、
を備え、
前記ステージ表面の臨界表面張力が、封止剤の表面張力よりも小さい
ことを特徴とする電子ペーパーの製造方法。 - 前記ステージ表面の臨界表面張力は、31dyne/cm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の電子ペーパーの製造方法。 - 前記ステージの表面は、ポリエチレンである
ことを特徴とする請求項2に記載の電子ペーパーの製造方法。 - 前記封止剤は、ポリエステル系の封止剤、ポリウレタンエステル系の封止剤、エポキシ系の封止剤、または、アリル系の封止剤である
ことを特徴とする請求項2または3に記載の電子ペーパーの製造方法。 - 前記ステージ表面の臨界表面張力は、19.5dyne/cm以下である
ことを特徴とする請求項2に記載の電子ペーパーの製造方法。 - 前記ステージの表面は、ポリテトラフルオロエチレンである
ことを特徴とする請求項5に記載の電子ペーパーの製造方法。 - 前記封止剤は、ポリエステル系の封止剤、ポリウレタンエステル系の封止剤、エポキシ系の封止剤、アリル系の封止剤、または、アクリレート系の封止剤である
ことを特徴とする請求項5または6に記載の電子ペーパーの製造方法。 - 少なくとも一方が透明である対向する2枚の基板間に表示媒体が封入されていて、前記表示媒体が所定の情報を表示する、電子ペーパーであって、
前記2枚の基板が、平面視で少なくとも1辺の端面が揃っており、
前記電子ペーパー本体の側面に、封止剤が設けられている
ことを特徴とする電子ペーパー。 - 前記封止剤は、0.3mm〜5mmの範囲の厚みで設けられている
ことを特徴とする請求項8に記載の電子ペーパー。 - 前記封止剤は、ポリエステル系の封止剤、ポリウレタンエステル系の封止剤、エポキシ系の封止剤、アリル系の封止剤、または、アクリレート系の封止剤である
ことを特徴とする請求項9に記載の電子ペーパー。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010141931A JP2012008218A (ja) | 2010-06-22 | 2010-06-22 | 電子ペーパー及び電子ペーパーの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2010141931A JP2012008218A (ja) | 2010-06-22 | 2010-06-22 | 電子ペーパー及び電子ペーパーの製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012008218A true JP2012008218A (ja) | 2012-01-12 |
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ID=45538872
Family Applications (1)
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JP2010141931A Withdrawn JP2012008218A (ja) | 2010-06-22 | 2010-06-22 | 電子ペーパー及び電子ペーパーの製造方法 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2012008218A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017022622A1 (ja) * | 2015-07-31 | 2017-02-09 | 富士フイルム株式会社 | 積層フィルム |
JP2017121745A (ja) * | 2016-01-07 | 2017-07-13 | 富士フイルム株式会社 | 積層フィルム |
-
2010
- 2010-06-22 JP JP2010141931A patent/JP2012008218A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN107848256A (zh) * | 2015-07-31 | 2018-03-27 | 富士胶片株式会社 | 层叠膜 |
JPWO2017022622A1 (ja) * | 2015-07-31 | 2018-06-14 | 富士フイルム株式会社 | 積層フィルム |
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WO2017119294A1 (ja) * | 2016-01-07 | 2017-07-13 | 富士フイルム株式会社 | 積層フィルム |
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