JP2011504721A - 組み換えポリクローナルタンパク質を製造する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、組み換えポリクローナルタンパク質組成物、特に、組み換えポリクローナル抗体組成物を製造する方法に関する。前記方法は、変異核酸配列の集合物でトランスフェクトされた細胞の集合物を得ることを含み、前記集合物における各細胞は、その集合物の1つのメンバーでトランスフェクトされ、発現することができ、それらはポリクローナルタンパク質の別個のメンバーをコードする。前記細胞は、ポリクローナルタンパク質の発現に適当な条件下で培養され、細胞または培養上澄み液から得られる。核酸配列は、ベクターの集合物によるトランスフェクションにより細胞に導入される。本方法は、治療上の使用のための組み換えポリクローナル抗体を製造するのに適当である。

Description

本発明は、免疫グロブリンスーパーファミリー、例えば、BまたはT細胞受容体の可溶または膜結合形態に由来するタンパク質のごとき組み換えポリクローナルタンパク質の産生に関し、部位特異的な組み込みに依存しない産生システムを用いる。
感染症および癌のごとき多くの疾患は効果的な治療を欠いている。モノクローナル抗体は、一般に、モノクローナル抗体の認識からの免疫エスケープを引き起こす複雑な標的の可変性や標的タンパク質の適応変異のため、これらの標的の全てに対して成功していなかった。一方で、ポリクローナル抗体は、複数の動的な標的、例えば、ウイルス、細菌、または癌細胞を標的とすることができる。また、ポリクローナル抗体は、抗原変異時に活性を維持する最も高い確率を示す。
異なる市販されているポリクローナル抗体治療薬は、1)正常なヒトドナーの血液から単離された正常なヒト免疫グロブリン;2)特定の疾患標的、例えば、感染またはワクチンのいずれかを通して以前に遭遇したウイルスに対する抗体を保有する個々のヒトドナーの血液に由来するヒト高力価免疫グロブリン;ならびに3)免疫された動物の血液に由来する動物高力価免疫グロブリンを含んでいる。
ヒト血液から精製された免疫グロブリンは、B型肝炎、呼吸器多核体ウイルス、サイトメガロウイルスおよびその他のヘルペスウイルス、狂犬病ウイルス、ボツリヌス毒素などを用いる感染に対して、ならびに新生児アカゲザル(rhesus D)の予防において、証明された有効性を有する。ヒトT細胞で免疫されたウサギの血液から精製された免疫グロブリンは、移植拒絶の治療または予防においてT細胞免疫抑制を提供するのに用いられる(例えば、サイモグロブリン)。正常なヒト免疫グロブリンは、免疫不全患者の免疫系、ならびに様々な自己免疫疾患の治療において追加免疫するのに利用されている。
それにもかかわらず、広範な免疫グロブリンの使用は、原材料のドナー血液の制約された供給、バッチごとの変化、および不安定な安全性により限定されている。動物由来の免疫グロブリンは、特に、1980年代および1990年代における動物由来のモノクローナル抗体で見られたものと同じ免疫原性の問題に直面している。結局、その他の血液産物と同様に、HIV、ヘルペスまたは肝炎ウイルスまたはプリオンのごとき感染病原体のごとき感染のリスクは残存する。したがって、治療者はポリクローナル抗体がある状況では好ましい治療薬であると認めるが、それらの使用は非常に限定されている。
ヒト免疫グロブリンを作成する新しいアプローチは、トランスジェニック動物技術を用いて起こった。ヒト免疫グロブリン遺伝子座を保有するトランスジェニック動物が作出された(米国特許第6,111,166号)。これらのマウスは完全なヒト免疫グロブリンを産生し、特異的な標的に対する抗体は通常の免疫技術により作り出すことができる。しかしながら、より大きな抗体の発生は、比較的小さいマウスのサイズのために限定される。より大きな動物、例えば、ウシもまた、ヒト免疫グロブリン遺伝子に関するトランスジェニックが作成された(Kuroiwa, Y. et al. Nature Biotechnology; 2002; 20: 889-893)。しかしながら、かかる動物の血液に由来する治療のためのポリクローナル抗体を産生することは、合併症を伴わないわけではない。第1に、動物およびヒトの免疫生理学は、生じる免疫レパートリー、機能的な再編成、および抗体反応の多様性における相違を引き起こす、大きな差異を示しうる。第2に、導入された免疫グロブリン遺伝子座の***不安定性が抗体の長期間の産生に影響を与えるかもしれない。第3に、例えば、動物の抗体産生がヒト抗体の産生を超えないようにするため、その動物自身の免疫グロブリン遺伝子座を欠失することは技術的な挑戦である。第4に、ウイルス、プリオンまたはその他の病原体のごとき感染病原体の感染のリスクは、動物で産生されたヒト抗体の投与に付随する。
最近、産生時においてドナー利用可能性に依存しない新しいタイプのポリクローナル抗体が開発された。これらのポリクローナル抗体は、所望の標的に対して免疫応答を示すドナーから核酸配列をコードする抗体を単離し、続いて所望の標的に特異的に結合する抗体についてスクリーニングすることにより作成される。ポリクローナル抗体は、適応された哺乳動物発現技術により製造されてもよく、この技術は、WO 2004/061104に記載されるごとく、1つの抗体発現プラスミドの核細胞の同一ゲノム部位への部位特異的な組み込みに基づくものである。この新しいタイプのポリクローナル抗体の一例は、アカゲザルDに対する組み換えポリクローナル抗体である(WO 2006/007850)。部位特異的な組み込みの使用は、各細胞が単一コピーを含み、発現レベルおよび増殖率が相対的に均一であることが期待される細胞集団を生じる。
本発明は、組み換えポリヌクレオチドタンパク質の産生のための代替的な方法を提供し、それらは部位特異的な組み込みと無関係であり、それゆえにタンパク質の多クローン性を維持しつつ、産生細胞株の選択に関する柔軟性の増加を提供する。さらに、発現レベルは、部位特異的な組み込みで見込まれるより高くなりうる。
本発明のアプローチは、目的の各遺伝子の宿主細胞への無作為な組み込み、好ましくは続いて所望の特徴を有する単一細胞のクローニングに基づくものである。各細胞クローンは、それぞれポリクローナルタンパク質の個々のメンバーを産生し、次に、ポリクローナルタンパク質の産生のためのポリクローナル製造細胞株を作成するために混合される。
ポリクローナル抗体は、一般に、最もよく知られたポリクローナルタンパク質である。同じことがT細胞受容体(TcR’s)について行われ、組み換え発現系で産生される場合には、ポリクローナル抗体のような治療の可能性を有しうる可溶型形態で得ることができる。しかしながら、本発明の組み換え発現系を用いて、必ずしも相同ではないタンパク質、例えば、特定の欠損または疾患に公知の関連を有する異なるタンパク質に結合することも可能である。本発明は、ポリクローナル抗体により例示されるが、一緒に製造することが所望されうるポリクローナルTcR’sおよびその他のポリクローナル抗体に及ぶことが意図される。かかるタンパク質はまた、所望により融合タンパク質であってもよい。
本発明は、例えば、医薬組成物における使用のための、1つの容器における組み換えポリクローナルタンパク質の商業的な産生を可能にする。本発明の1つの重要な特徴は、製造プロセス間のポリクローナルタンパク質を構成する各分子の偏った発現が低いレベルで保持され、所望しないバッチ間の変動を最小にし、製造中のポリクローナル抗体のメンバーの除去を回避する。
1の態様において、本発明は、2からn個の別個のメンバーを含むポリクローナルタンパク質を発現することができるポリクローナル細胞株の作成方法であって、前記方法が:
a)発現ベクターの1セットであって、前記ベクターの各々が前記ポリクローナルタンパク質の別個のメンバーをコードする別個の核酸の少なくとも1コピーを含むものを提供し;
b)発現ベクターの細胞ゲノムへの部位特異的な組み込みを回避する条件下において、宿主細胞を前記発現ベクターの各々で別々にトランスフェクトし、それにより2からn個の細胞の組成物であって、各組成物がポリクローナルタンパク質の1つの別個のメンバーを発現するものを得て;
c)前記2からn個の細胞の組成物を混合してポリクローナル細胞株を得ること
を含む方法を関する。
好ましい具体例において、ポリクローナル細胞株は、ポリクローナルを製造する細胞株として使用され、凍結され、保存され、ポリクローナルマスター細胞バンク(pMCB)として使用され、そのサンプル(例えば、アンプル)が溶解され、組み換えポリクローナルタンパク質の製造に直接用いられうるか、またはポリクローナルワーキング細胞バンク(pWCB)の作成に用いられうる。
1の具体例において、発現ベクターはエピソームベクターである。別の好ましい具体例において、発現ベクターは、安定かつ無作為に宿主細胞ゲノムに組み込まれる。発現ベクターは、宿主細胞の1つまたはそれ以上の染色体における無作為な位置に安定に組み込まれてもよい。
好ましくは、工程b)で得られたトランスフェクトされた細胞がクローン化される。1の具体例において、クローニングは、本明細書に記載されるごとくFACSクローニングを用いて行われる。
クローンは、増殖率、倍加時間、発現レベル、産生レベル、長期間にわたる産生の安定性、生存率、耐性、構造安定性、形態、およびコピー数:からなる群から選択される少なくとも1つの判断基準について選択されてもよい。好ましくは、クローンは、少なくとも1つの判断基準に関する均一性について選択される。より好ましくは、クローンは、倍加時間および発現レベルに関する均一性について選択される。
1個のクローンまたは1個より多いクローンは、各々別個のポリクローナルタンパク質メンバーについて選択されてもよい。それゆえ、2個のクローンは、各々別個のポリクローナルタンパク質メンバーについて選択されてもよく、あるいは3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100個のクローンが選択されてもよい。
異なる別個のメンバーを発現する細胞の組成物は、1:1の比率、または1:1の比率とは異なる比率で混合されてもよい。
好ましくは、発現ベクターは、ポリクローナルタンパク質のコーディング配列における変動を除いて同一である。
前記方法は、単量体および多量体タンパク質の両方に適用することができる。
多量体タンパク質の場合には、1つの発現ベクターは、1つの別個のポリクローナルタンパク質メンバーの全てのサブユニットをコードしてもよい。代替的に、工程a)における発現ベクターのセットは、発現ベクターの2つまたはそれ以上のサブセットからなり、第1のサブセットは、タンパク質の1つのサブセットをコードする変異核酸配列を含み、第2のサブセットは、タンパク質の別のサブセットをコードする変異核酸配列を含むものであって、各トランスフェクションは、発現ベクターの第1のサブセットに由来するメンバーおよび第2のサブセットに由来するメンバーを用いて実施される。このトランスフェクションは、同時であってもよく、連続的であってもよい。特に、工程a)における発現ベクターのセットは、発現ベクターの2つのサブセットからなっていてもよく、第1のサブセットは、抗体重鎖をコードする変異核酸配列を含み、第2のサブセットは、抗体軽鎖をコードする変異核酸配列を含むものであって、各トランスフェクションは、発現ベクターの第1のサブセットに由来するメンバーおよび第2のサブセットのためのメンバーを用いて実施される。
発現ベクターまたはさらなる発現ベクターは、好ましくは、選択可能なマーカーをコードする。さらに、細胞は、選択可能なマーカーを発現する細胞の増殖に適切な条件下において継続的に培養される。これは、宿主細胞が欠失する遺伝子産物を含む選択可能なマーカーを用いることにより確認されることが最良である。1の具体例における選択可能なマーカーは、ポリペプチドメンバーまたは前記ポリペプチドメンバーのサブユニットもコードする転写物によりコードされ、好ましくは、選択可能なマーカーは、最も大きなサブユニットをコードする転写物によりコードされる。
本発明の1の態様は、ポリクローナルタンパク質の製造方法であって、前記ポリクローナルタンパク質が2〜n個の別個のメンバーであり、前記方法が:
a)本発明の方法を用いて得られたポリクローナル細胞株を提供し;
b)ポリクローナルタンパク質の発現を可能にする条件において、ポリクローナル細胞株を培養し;次いで
c)細胞または培地からポリクローナルタンパク質を回収し、任意選択的に精製すること
を含む方法に関する。
本発明者らは、驚くべきことに、各クローンの配分は、組み換え製剤の工業的製造のための条件の代表例である産生サイクルの模擬実験の間に維持されることを測定した。このことは、ポリクローナル抗体の各メンバーの発現ベクターが異なる位置に組み込み、さらにコピー数が異なるから、非常に驚くべきことである。このことは、発現レベルと増殖率の両方の差異を引き起こしうる。
予想に反して、製造は、ポリクローナル抗体の1またはそれ以上のメンバーの完全な、または部分的な喪失を生じなかった。異なる細胞株間の増殖率におけるわずかな差異であっても、長い期間のうちにはポリクローナル組成物がポリクローナル組成物の少なくとも1つのメンバーの完全な、または部分的な喪失を生じることが予想される。それゆえ、本発明の態様において、組成物の安定性は、ワーキング細胞バンクの溶解後の10回より多い細胞***、好ましくは、15回より多い細胞***であり、20回より多い細胞***のごときであり、例えば、25回より多い細胞***であり、30回より多い細胞***のごときであり、例えば、40回より多い細胞***であり、50回より多い細胞***のごときであり、例えば、75回より多い細胞***であり、100回より多い細胞***のごとき間で維持される。
添付の実施例は、組成物の安定性が25回より多い細胞***間で許容可能な限定内で維持されることを示す。
別々のトランスフェクションが多くの場合に好ましい一方で、トランスフェクション前の発現ベクターの貯留(pooling)が一定条件下で可能である。ポリクローナルタンパク質が単量体である場合、これは、1つの細胞がいくつかの異なるメンバーのポリクローナルタンパク質を発現することが問題ではないため、実際の選択肢である。ポリクローナルタンパク質が多量体である場合、トランスフェクション前の発現ベクターの貯留(pooling)は、わずか1コピーが全細胞に挿入されることを確認するのに用いられる手段があればという可能性でしかない。他にも、所望していないサブユニットのスクランブリングが生じるかもしれない。
発現ベクターの貯留は、限定された可能性である一方で、組成物の安定性の面であまり強力ではない製造システムを生じることが予想されるため、別々のトランスフェクションより好ましくはない。
本発明の両方の方法において、ポリクローナルタンパク質は、通常、発現がなされる細胞に本来的に関連しない1つであると理解されている。
本発明は、ポリクローナルを製造する細胞株に適当な細胞の集合物を作成するために、変異核酸配列のライブラリーが宿主細胞に導入されうることによるいくつかの方法を記載する。これらの方法は、ライブラリーを用いる細胞集合物のバルク(bulk)トランスフェクション、ライブラリーのフラクションを用いる細胞のアリコートのセミバルク(semi−bulk)トランスフェクションまたは、好ましくは、宿主細胞がライブラリーの各メンバーでトランスフェクトされ、続いて選択によって得られたクローンの貯留を行うことによる各トランスフェクションを含む。好ましくは、本発明は、宿主細胞株として哺乳動物細胞(細胞株または細胞タイプ)を利用する。
本発明の1の態様において、ポリクローナルタンパク質の各メンバーは、独自の遺伝子セグメントのペアからコードされる。各メンバーが2個またはそれ以上のポリペプチド鎖からなるポリクローナルタンパク質は、可溶型または膜結合形態の抗体およびT細胞受容体を含む。本発明のさらなる具体例において、遺伝子セグメントの1ペアは、抗体重鎖および軽鎖可変領域、あるいはT細胞受容体アルファ鎖およびベータ鎖可変領域またはT細胞受容体ガンマ鎖およびデルタ鎖可変領域をコードする。
本発明は、さらに、2からn個の細胞集団を含むポリクローナル細胞株を提供するものであって、各集団が組み換えポリクローナルタンパク質の別個のメンバーを発現し、細胞がゲノムに無作為に組み込まれた少なくとも1つの発現構築物を含むものである。1の具体例において、少なくとも1つの発現構築物は、染色体外エレメントに無作為に組み込まれる。別の具体例において、少なくとも1つの発現構築物は、宿主細胞の1つまたはそれ以上の染色体の無作為な位置に組み込まれる。
細胞株は、好ましくは、チャイニーズハムスター卵母(CHO)細胞、COS細胞、BHK細胞、骨髄腫細胞(例えば、Sp2/0細胞、NS0、YB2/0)、NIH3T3、線維芽細胞あるいはHeLa細胞、HEK293細胞、またはPER.C6細胞のごとき不死化細胞のごとき哺乳動物細胞株に由来する。しかしながら、植物細胞、昆虫細胞、酵母細胞、細菌、真菌などのごとき非哺乳動物の原核生物または真核生物の細胞もまた、使用することができる。
さらなる態様において、本発明は、構成プロモーターに作動可能に連結されたアデノウイルスタイプ5トランスアクチベーターE1Aをコードする安定に組み込まれた核酸を含むDHFR陰性CHO細胞に関する。
かかる改変されたCHO細胞株は、本発明のその他の態様を導く実験により構築された。この細胞株は、本発明に記載される実施例に示されるごとく、増殖率と発現レベルの均一性およびこれらの長期間にわたる安定性に関して例外的に安定であることが判明し、それゆえ本発明の方法における使用に特に適用される。後の実験は、E1A mRNAが2倍のサブクローン化された細胞において検出できないことを示した。これは、顕著な組成物の安定性を示す結果がE1A発現のみを原因とし得ないことを意味する。さらに、E1Aを安定に発現するDHFR陰性CHO細胞株は、極めて安定で高い発現の細胞株を生じると予想される。
好ましい具体例において、細胞株は、ホモ接合体DHFRノックアウトであるDG44細胞株に由来する。この細胞株は、細胞が組み換えDHFR発現構築物を含むため、チミジン欠乏培地のみで生存することができる。
好ましい具体例において、本発明の細胞株は、さらに、目的のポリペプチドをコードする安定に組み込まれた発現構築物の少なくとも1コピーを含む。目的のポリペプチドは、多量体タンパク質であってもよく、好ましくは、多量体タンパク質が抗体である。
チミジン欠乏培地における選択を可能にするために、目的のポリペプチドをコードする発現構築物は、さらにdhfrをコードする。
好ましくは、dhfrおよび目的のポリペプチドの少なくとも1つのサブユニットは同一の転写物によりコードされ、より好ましくは、dhfrは最も大きなサブユニットをコードする転写物によりコードされる。このことは、所望の産物、目的のポリペプチド、および選択マーカーdhfrの間に強い連結を生じ、生存する細胞が目的のポリペプチドを発現することを確認する。
目的のポリペプチドの発現をさらに強めるために、目的のポリペプチドの発現は、転写アクチベーターE1Aによりトランス活性化可能な1つまたはそれ以上のプロモーターにより制御されてもよく、好ましくは、プロモーターは、CMVプロモーターであるか、CMVプロモーターに由来するものである。
(定義)
「タンパク質」または「ポリペプチド」によると、長さまたは翻訳後修飾にかかわらず、アミノ酸鎖のいずれかが意味される。タンパク質は、2つまたはそれ以上の組み立てられたポリペプチド、タンパク質のフラグメント、ポリペプチド、オリゴペプチド、またはペプチドを含む、単量体または多量体として存在することができる。
本明細書で用いられるように、用語「ポリクローナルタンパク質」または「多クローン性」は、好ましくは、免疫グロブリンスーパーファミリーから選択される、異なるが、相同なタンパク質分子を含むタンパク質組成物を意味する。それゆえ、各タンパク質分子は、組成物のその他の分子に相同であるが、可変ポリペプチド配列の1つまたはそれ以上のストレッチ(stretches)も含み、ポリクローナルタンパク質の各メンバー間のアミノ酸配列における相違によっても特徴付けられる。かかるポリクローナルタンパク質の公知の例は、抗体もしくは免疫グロブリン分子または(Fab Fab;単一鎖Fvsなどのごとき)それらの誘導体、T細胞受容体およびB細胞受容体を含む。ポリクローナル抗体タンパク質は、タンパク質分子の特定のサブセットからなってもよく、例えば、所望の標的抗原に対するポリクローナル抗体の場合、所望の標的に対する共通の結合活性のごとき共通の特徴により定義される。
用語「目的のポリクローナルタンパク質」は、共通の特徴を共有する特定のポリクローナルタンパク質サブセットを含み、この共通の特徴は、例えば、標的抗原に対する結合活性または特異性により記載されるポリクローナル抗体の場合には、所望の標的に対する結合活性のごときであり、前記抗原は、1つまたはそれ以上の、例えば、別々のタンパク質、微生物、寄生虫、細胞型、アレルゲン、または炭水化物分子、あるいは特異的な抗体結合の標的でありうるいずれか他の構造物、分子、または物質、あるいは前記抗原の混合物である。
用語「組み換えポリクローナルタンパク質組成物の1つのメンバー」または「組み換えポリクローナルタンパク質の1つのメンバー」は、異なるが、相同なタンパク質分子を含むタンパク質組成物の1つのタンパク質分子を意味し、各タンパク質分子は、組成物のその他の分子に相同であるが、可変ポリペプチド配列の1つまたはそれ以上のストレッチ(stretches)も含み、ポリクローナルタンパク質の各メンバー間のアミノ酸配列における相違によっても特徴付けられるものである。
用語「可変ポリペプチド配列」および「可変領域」は、相互に交換可能に用いられる。
用語「組み換えポリクローナルタンパク質の別個のメンバー」は、異なるが、相同なタンパク質分子を含むタンパク質組成物の1つのタンパク質分子を意味し、各タンパク質分子は、組成物のその他のタンパク質に相同であるが、可変ポリペプチド配列の1つまたはそれ以上のストレッチ(stretches)も含み、ポリクローナルタンパク質の各メンバー間のアミノ酸配列における相違によっても特徴付けられるものである。
用語「抗体」は、血清の機能的な要素を記載し、しばしば、分子の集合物(抗体または免疫グロブリン)または1つの分子(抗体分子または免疫グロブリン分子)のいずれかと称される。抗体分子は、特異的な抗原決定基(抗原または抗原エピトープ)に結合するか、または反応することができ、順に免疫学的エフェクター機構の誘発を導きうる。各抗体分子は、通常、単一特異性とされ、抗体分子の組成物は、モノクローナル(すなわち、同一の抗体分子からなる)またはポリクローナル(すなわち、同一抗原における、または別個の異なる抗原においても、同一または異なるエピトープと反応する異なる抗体分子からなる)であってもよい。各抗体分子は、その対応する抗原に特異的に結合することができる独特の構造を有し、全ての天然の抗体分子は、2つの同一軽鎖および2つの同一重鎖の同じ全体基本構造を有する。抗体はまた、まとめて、免疫グロブリンとしても知られる。本明細書で用いられる用語抗体または抗体群はまた、キメラまたは単一鎖抗体、ならびにFab、FvフラグメントまたはscFvフラグメントのごとき抗体の結合フラグメント、ならびに二量体IgA分子または五価IgMのごとき多量体形態を含むものとされる。
用語「ポリクローナル抗体」は、同一または異なる抗原におけるいくつかの異なる特異的な抗原決定基と結合するか、または反応することができる異なる抗体分子の組成物を記載する。通常、ポリクローナル抗体の可変性は、ポリクローナル抗体のいわゆる可変領域に位置すると考えられている。しかしながら、本発明の文脈において、多クローン性はまた、例えば、ヒトアイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA1、IgM、IgD、およびIgE、あるいはマウスアイソタイプIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、およびIgAのごとき2つまたはそれ以上の抗体アイソタイプを含む抗体の混合物の場合において、いわゆる定常領域に属する各抗体分子間の相違を記載すると理解することができる。
「目的の組み換えポリクローナル抗体」は、所望の標的または所望の標的セットに結合する能力により特徴付けられる、特定の組み換えポリクローナル抗体サブセットを記載し、前記標的は、例えば、別のタンパク質、微生物、寄生虫、細胞、アレルゲン、または炭水化物分子、あるいは特異的な抗体結合の標的でありうる別の構造、分子、または物質、あるいはこれらの混合物である。
用語「免疫グロブリン」は、一般に、血液または血清中で見出される抗体の混合物の総称として用いられるが、その他の供給源に由来する抗体の混合物を称するのに用いられてもよい。
用語「免疫グロブリン分子」は、例えば、免疫グロブリンの一部、またはポリクローナルまたはモノクローナル抗体組成物のいずれかの部分であるような、各抗体分子を意味する。
ポリクローナルタンパク質のメンバーが抗原に結合することをいう場合、本明細書では、1mMより低く、好ましくは100nMより低く、さらにより好ましくは10nMより低い結合定数を有する結合が意味される。
用語「目的の変異核酸分子のライブラリー」は、「目的の組み換えポリクローナルタンパク質」をまとめてコードする核酸分子の集合物を記載するのに用いられる。トランスフェクションに用いられる場合、目的の変異核酸分子のライブラリーは、発現ベクターのライブラリーに含まれる。かかるライブラリーは、典型的に、少なくとも2、3、4、5、6、10、20、50、1000、10、10または10個の異なるメンバーを有する。
本明細書で用いられるように、用語「別個の核酸配列」は、目的のタンパク質を一緒に構成する異なるポリペプチド鎖をコードしうる核酸配列として理解されるものとする。別個の核酸配列が1つより多いコード配列からなる場合、これらの配列は、二シストロン性転写ユニットの形態であってもよく、あるいはそれらは、適当なプロモーターに作動可能に連結される場合、2つの別々の転写ユニットとして操作されてもよい。他方で、三−および四シストロン性転写ユニットの使用は、目的のタンパク質が3または4個のサブユニットからなる場合か、あるいは選択マーカーが目的のタンパク質またはそれらのサブユニットをコードする核酸と一緒に転写ユニットに含まれる場合にあり得る。好ましくは、本発明の別個の核酸配列は、例えば、ベクターのごとき核酸分子の部分である。1つより多いコード配列が目的のタンパク質の完全な分子を生じさせるのに必要となるいくつかの例は、B細胞受容体、Fab’sおよび可変ドメインのごとき抗体および抗体フラグメント、あるいはT細胞受容体を含む。細胞に導入される場合、遺伝子は、目的の完全に組み立てられたタンパク質を一緒にコードし、同一ベクターで存在し、それゆえ1つの核酸配列中に一緒に連結される。
本明細書で用いられる用語「目的の遺伝子」は、目的のタンパク質の1つのメンバーをコードする1つまたはそれ以上の遺伝子セグメント(ゲノムまたはcDNA)からなる核酸配列を意味する。複数形「目的の遺伝子」は、目的のポリクローナルタンパク質をコードする核酸配列のライブラリーを意味する。用語「GOI」は、目的の遺伝子の略記として用いられる。
本明細書で用いられるように、用語「ベクター」は、核酸配列が異なる遺伝学的環境間の輸送のために、あるいは宿主細胞における発現のために挿入することができる核酸分子を意味する。ベクターがベクターに挿入された核酸配列の転写のための調節エレメント(少なくとも適切なプロモーター)を保有する場合、ベクターは、本明細書では「発現ベクター」と呼ばれる。上記の同定されたベクターに導入された核酸配列が本明細書で定義された目的のタンパク質をコードする場合、以下の用語「目的のベクター」および「目的の発現ベクター」が用いられる。用語「アイソタイプをコードするベクター」は、抗体アイソタイプをコードする核酸配列を保有するベクターを意味する。本明細書において、「ファージミドベクター」および「ファージベクター」は相互に交換可能に用いられる。
用語「プラスミド」および「ベクター」は、相互に交換可能に用いられる。本発明は、かかるベクターのその他の形態を含むものとされ、それらは、同等の機能を供し、例えば、プラスミド、ファージミドおよびウイルスゲノムあるいは適当な宿主において所望のタンパク質の産生を指揮することができる核酸分子のいずれかである。
用語「目的のベクターのライブラリーの各メンバー」は、目的のベクターのライブラリーに由来する別個の核酸配列を有する各ベクター分子を記載するのに用いられ、核酸配列は、目的の組み換えポリクローナルタンパク質の1つのメンバーをコードする。
用語「物質移動」は、ベクターの1つの集団からベクターの別の集団への目的の核酸配列の移動を記載するのに用いられ、目的の各DNAの単離を行うことなく同時に各DNAについて行われる。かかるベクターの集団は、例えば、可変領域、プロモーター、リーダーを含むか、または目的のエレメントを高めるライブラリーでありうる。次いで、これらの配列は、例えば、ファージベクターから哺乳動物発現ベクターまで前単離することなく移動させることができる。特に、抗体配列においては、この技術は、ライブラリーを、例えば、選択ベクター(例えば、ファージディスプレイベクター)から哺乳動物発現ベクターに移動させても、VおよびV間の連結の多様性が失われていないことを確認する。これによりVおよびVの元々のペアリングが保たれる。
用語「トランスフェクション」は、外部DNAを細胞に導入することに関する広義の用語として本明細書では用いられる。この用語はまた、例えば、形質転換、感染、形質導入またはドナー細胞と受容細胞の融合のごとき、外部DNAを細胞に導入するためのその他の機能的に同等な方法を含むことが意味される。
用語「選択」は、ある特徴を獲得した細胞が特徴を獲得しなかった細胞から単離することを可能にする方法を記載するのに用いられる。かかる特徴は、細胞毒性薬剤に対する耐性あるいは必須な栄養素、酵素、または色の産生であり得る。
用語「選択可能なマーカー遺伝子」、「選択マーカー遺伝子」、「選択遺伝子」および「マーカー遺伝子」は、目的の遺伝子と一緒に細胞に共導入される選択可能なマーカーをコードする遺伝子(例えば、一定の抗生物質のごときいずれかの細胞毒性薬剤に対する耐性を付与する遺伝子、増殖培地から欠乏されうる必須な栄養素を産生することができる遺伝子、解析可能な代謝産物を産生する酵素をコードする遺伝子、または、例えば、FACSにより選別されうる色素タンパク質をコードする遺伝子)を記載するのに用いられる。
用語「組み換えタンパク質」は、タンパク質のコーディング配列を含む発現ベクターでトランスフェクトされた細胞株から発現されるタンパク質を記載するのに用いられる。
本明細書で用いられるように、用語「作動可能に連結される」は、セグメントが別のセグメントに連結され、その他のセグメントと機能的な関係に置かれることを意味する。例えば、シグナルをコードするDNAは、ポリペプチドの小胞体への移送に関与するリーダーとして発現される場合、ポリペプチドをコードするDNAに作動可能に連結される。また、プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写を活性化する場合、コーディング配列に作動可能に連結される。
用語「各細胞の大半」は、例えば、80%より高く、好ましくは、85%より高く、より好ましくは、90%、95%より高く、または99%またはそれより高い細胞の割合を意味する。
本発明で用いられるように、用語「ゲノム」は、細胞に存在する染色体の通常の相補物(complement)として文字通り解釈されるのみではなく、細胞に導入され、維持されうる染色体外エレメントとしても解釈される。かかる染色体外エレメントは、ミニ−染色体、YAC(酵母人工染色体)、MAC(マウス人工染色体)、HAC(ヒト人工染色体)を含むが、これらだけに限定されない。
用語「プロモーター」は、RNAポリメラーゼを結合されて転写が開始されることに関連するDNA領域を意味する。
用語「head−to−headプロモーター」は、プロモーターにより促進される2つの遺伝子フラグメントの転写が反対方向で生じるために、極めて近くに配列されるプロモーターペアを意味する。head−to−headプロモーターはまた、2つのプロモーター間の無関係の核酸からなるスタッファーで構築されうる。かかるスタッファーフラグメントは、500より多くのヌクレオチドを容易に含むことができる。
「抗生物質耐性遺伝子」は、抗生物質が細胞で示す阻害または毒性効果を解消し、抗生物質の存在下で細胞の生存と継続的な増殖を確保することができるタンパク質をコードする遺伝子である。
用語「内部リボソーム進入部位」または「IRES」は、mRNAにおける正常な5’キャップ構造とは異なる構造を記載する。両構造がAUGコドンを走査し始めるリボソームにより認識されて翻訳が開始されうる。1つのプロモーター配列と2つの開始AUGを用いることにより、1番目と2番目のポリペプチド配列が単一mRNAから翻訳されうる。それゆえ、単一の二シストロン性mRNAから1番目と2番目のポリヌクレオチド配列の共翻訳を可能にするために、1番目と2番目のポリヌクレオチド配列は、IRES配列の下流にあるポリヌクレオチド配列の翻訳を可能にするIRES配列を含むリンカー配列を介して転写上融合されうる。この場合、転写される二シストロン性RNA分子は、両方のキャップされた5’末端および二シストロンRNA分子の内部IRES配列から翻訳され、それにより1番目と2番目のポリペプチドの両方が産生されうる。
用語「誘導可能な発現」は、発現が起こるためには、誘導分子の相互作用または共リプレッサー分子と調節タンパク質の解離を必要とする発現を記載するのに用いられる。
用語「構成的な発現」は、通常誘導されない発現を意味する。
用語「スクランブリング」は、ポリクローナルタンパク質の2つまたはそれ以上の別個のメンバーが各々、例えば、免疫グロブリンスーパーファミリーに由来する、2つまたはそれ以上の異なるポリペプチド鎖からなり、各細胞から発現される状況を記載する。この状況は、各細胞が1より多いペアの遺伝子セグメントでゲノムに組み込まれ、各ペアの遺伝子セグメントがポリクローナルタンパク質の別個のメンバーをコードする場合に、生じうる。かかる状況において、遺伝子セグメントから発現されるポリペプチド鎖の意図しない組み合わせが作成されうる。これらのポリペプチド鎖の意図されない組み合わせは、ほとんど治療効果を有さないであろう。
用語「V−V鎖スクランブリング」は、上記で定義されるスクランブリングの一例である。本実施例において、VおよびVをコードする遺伝子セグメントは、1ペアの遺伝子セグメントを構成する。スクランブリングは、VおよびVポリペプチドの意図されない組み合わせが細胞から産生される時に生じ、2つの異なるVおよびVをコードする遺伝子セグメントペアが同一細胞に組み込まれる。かかるスクランブルされた抗体分子は、元々の特異性を保持する可能性がなく、それゆえ治療効果または意図されない治療効果でさえほとんど有しえない。
用語「組み換えポリクローナルを製造する細胞株」は、目的の変異核酸配列のライブラリーでトランスフェクトされたタンパク質発現細胞の集団を意味し、その各細胞は、組み換えポリクローナル製造細胞株を一緒に構成し、目的の組み換えポリクローナルタンパク質の1つのメンバーをコードする目的の別個の核酸配列の1またはそれ以上のコピーを保有するものであって、各コピーは各細胞のゲノムに組み込まれるものである。組み換えポリクローナル製造細胞株を構成する細胞は、例えば、抗生物質選択により、目的の別個の核酸配列の組み込まれたコピーを保持するそれらの能力について選択される。かかる製造細胞株を構成することができる細胞は、例えば、細菌、真菌、酵母のごとき原核生物の細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞、特に、CHO細胞、COS細胞、BHK細胞、骨髄腫細胞(例えば、Sp2/0細胞、NS0、YB2/0)、NIH3T3、およびHeLa細胞、HEK293細胞、またはPER.C6のごとき不死化ヒト細胞のごとき不死化哺乳動物細胞株でありうる。
用語「バイアス」は、組み換えポリクローナルタンパク質の産生時の現象であって、ポリクローナルベクター、ポリクローナル細胞株、またはポリクローナルタンパク質の組成物が、無作為な遺伝学的変異、各細胞間の増殖速度における相違、異なる発現構築配列間の発現レベルにおける相違、またはDNAのクローニング効率における相違のため、長期間にわたり変化する現象を意味するのに用いられる、
用語「RFLP」は、核酸分子フラグメントの移動ゲルパターンが制限酵素を用いる切断後に解析されることによる方法である、「制限酵素断片長多型」を意味する。
用語「5’UTR」は、mRNAの5’非翻訳領域を意味する。
用語「部位特異的な組み込みを回避する条件」は、部位特異的な組み込みを得ることが可能な方法のいずれを含まないトランスフェクション工程を意味する。部位特異的な組み込みは、例えば、宿主細胞の染色体において、リコンビナーゼおよびリコンビナーゼのための認識部位の組み合わせを用いて行うことができる。リコンビナーゼはまた、染色体上の特定の部位を認識するヌクレオチドストレッチ(stretch)に共有結合されてもよい。部位特異的な組み込みはまた、相同組み換えを用いて達成することができる―低い効率にもかかわらず―。部位特異的な組み込みを回避することは、組み込みベクターが用いられる場合、しばしば、宿主細胞のゲノムを通じて無作為な位置に組み込みを生じる。
用語「無作為な組み込み」は、無作為である位置における発現ベクターの宿主細胞ゲノムへの組み込みを意味する。無作為の辞書中の意味は、各項目、この場合、組み込み部位についての同等な機会が存在することである。細胞を全ての組み込み部位にトランスフェクトする時は、染色体のいくつかの部分が他の部分より組み込みが起きやすいため、組み込みの絶対的に同等な機会を表さない。発現ベクターを特定の組み込み部位に導く手段を何も講じられない場合、可能性のある組み込み部位のグループ内の無作為な位置に組み込まれる。それゆえ、本発明の文脈における「無作為な組み込み」は、発現構築物を所定の位置に導く手段を講じないトランスフェクション法として理解されるものである。発現ベクターを所定の位置に導く手段の非存在は、「無作為な組み込み」を確実にするのに十分である。それにより、組み込み部位は、トランスフェクトされた集団における細胞ごとに変化し、正確な組み込み部位は予測不可能とみなされうる。
用語「安定に組み込まれた」は、宿主細胞ゲノムへの発現ベクターの組み込みであって、この組み込みが、少なくとも20、より好ましくは30、より好ましくは40、より好ましくは50、75のごときであり、例えば、100世代またはそれ以上にわたり安定であり続ける組み込みを意味する。
略記:「CMV」=(ヒト)サイトメガロウイルス。「AdMLP」=アデノウイルス主要後期プロモーター。SV40ポリA=サルウイルス40ポリAシグナル配列。GFP=緑色蛍光タンパク質。TcR=T細胞受容体。ELISA=酵素連結免疫吸着アッセイ。LTR=末端反復配列。
ポリクローナル細胞バンクを作成するためのプロセスの模式的な概略。図1は、ポリクローナル細胞バンク、例えば、ポリクローナルマスター細胞バンクを得ることが必要とされる工程を模式的に示す。a)は、ポリクローナルタンパク質の異なる別個のメンバーをそれぞれコードする異なる発現ベクターN.A.、N.A.、N.A.などを示す。b)は、発現ベクターでトランスフェクトされる宿主細胞を示す。c)は、各細胞にて異なる位置と異なるコピー数における発現ベクターの組み込みを示す。d)は、ポリクローナルタンパク質のメンバーの各々についての細胞クローンの選択を示す。この特定の場合には、図を簡便にするため、ポリクローナルタンパク質の別個のメンバーあたり1つのクローンのみが示される。工程e)は、工程d)で選択されたクローンを混合してポリクローナル細胞バンクを作成することを示す。 重鎖および軽鎖をコードするプロトタイプベクター。エレメントは以下の通りである:・重鎖(VH+ガンマ定常領域)と軽鎖(カッパ02−286)のコーディング領域間にスペーサーエレメントを有する2つの同一のhead−to−headヒトCMVプロモーター・bGH=ウシ成長ホルモンアデニル化配列・SV40pA=SV40ポリアデニル化配列・重鎖と軽鎖のゲノムリーダー・IRES+DHFR=ECMV内部リボソーム進入部位およびマウスジヒドロ葉酸レダクターゼcDNA・pUC ori=pUC複製起点・bla、amp=アンピシリン耐性遺伝子 E1A発現ベクターpML29。エレメントは以下の通りである:ベクターはpcDNA3.1+(Invitrogen)に基づくものである。CMV=ヒトCMVプロモーターE1a=アデノウイルスタイプ5 13SトランスアクチベーターのcDNAbGH=ウシ成長ホルモンアデニル化領域SV40EP=SV40初期プロモーターNeo=ネオ耐性遺伝子SV40ポリA=SV40ポリアデニル化領域AMP=アンピシリン耐性をコードするβ−ラクタマーゼ遺伝子 実験が行われた5週間における混合1〜9のIgG含有量。 開始(黒色)と5週間の培養期間の終了(青色)時における混合8の組成物を示すイオン交換クロマトグラフ。 9個の混合物に由来する最初(灰色)と最後(黒色)のサンプルがイオン交換クロマトグラフィーにより解析され、それぞれ各抗体の含有量が算出され、図示された。 シードトレイン(seed train)およびバイオリアクターラン(bioreactor run)中の4種の混合物に由来するサンプル(実施例5)がイオン交換クロマトグラフィーにより解析され、それぞれ各抗体の含有量が算出され、図示された。 混合1A〜3Aは1抗体あたり1クローンを含有した。6個の抗体の各々を発現する細胞クローンは、混合1A(図6a)、混合2A(図6b)および混合3A(図6c)で相違した。 混合4A(図6d)は1抗体あたり3個のクローンを含有した。
組み換えポリクローナルタンパク質発現系
本発明は、好ましくは、免疫グロブリン様ドメインを有するタンパク質の1つのファミリーである免疫グロブリンスーパーファミリーから選択される組み換えポリクローナルタンパク質の安定した製造方法を提供する。このメンバーのほとんどは、細胞表面認識イベントに関与する。配列解析は、抗体、T細胞受容体、MHC分子、いくつかの細胞接着分子およびサイトカイン受容体が高い相同性であることを示唆する。特に、可変領域を含むこのファミリーのメンバーは、本発明による組み換えポリクローナルタンパク質の作成に適当である。かかるメンバーは、抗体、膜結合抗体(B細胞受容体)、Fabフラグメント、Fvフラグメント、単一鎖Fv(scFv)フラグメント、T細胞受容体(TcR)、可溶性TcR、TcR可溶性ドメインフラグメント、ポリペプチドリンカーまたはその他の抗体により連結されたTcR可溶性ドメインフラグメントあるいはTcR由来のフラグメントを含む。特に、本発明は、組み換え治療用ポリクローナル抗体とTcRの大規模な製造および産生に用いることができることが意図される。
本発明の製造方法の主な有利な点の1つは、組み換えポリクローナルタンパク質を構成する全てのメンバーが1つまたは数個のバイオリアクターあるいはその等価物で産生することができることである。さらに、組み換えポリクローナルタンパク質組成物は、工程中に組み換えポリクローナルタンパク質を構成する各メンバーを分離することを要せず、単一調製物としてリアクターから精製することができる。対照的に、仮に、(例えば、WO 91/16074で提唱されるごとく)精製されたモノクローナル抗体を混合することにより組み換えポリクローナル抗体組成物を模倣しようとした場合、組成物中に含有される各抗体のバイオリアクターで別々に製造することが必要となるであろうし、抗体は別々に精製されるであろう。かかるモノクローナル混合物の産生は、本明細書に記載されるごとき組み換えポリクローナル抗体またはその他のポリクローナルタンパク質を産生する方法と比較して、極めて費用もかかり、時間と場所も費やすであろう。それゆえ、WO 91/16074に記載されるごとき方法は、かかる混合物に含まれうるモノクローナル抗体数に実施上の制限が当然に生じる一方で、本明細書に記載される技術は、一般に、原則として上限なく、多くの各メンバーを有するポリクローナル抗体を産生することができる。
用いられる宿主細胞株は、好ましくは、生物薬剤学的タンパク質の発現に典型的に用いられるものを含む哺乳動物細胞株、例えば、CHO細胞、COS細胞、BHK細胞、骨髄腫細胞(例えば、Sp2/0細胞、NS0、YB2/0)、NIH3T3、ならびにHela細胞、HEK293細胞、またはPER.C6のごとき不死化ヒト細胞である。CHO細胞が用いられた本発明において、より好ましくは、改変DG44クローンである。この特定の細胞株の選択は、CHO細胞が組み換え抗体の製造が広く用いられるという理由、ならびにDG44クローンが代謝選択マーカーDHFRと組み合わせて用いられ、コードされた遺伝子の増幅をさらに可能にするという理由で行われた。
DG44細胞株は、発現ベクターをコードするE1Aトランスアクチベーターを用いるトランスフェクションにより改変された。これは、目的の遺伝子がCMVプロモーターに作動可能に連結される場合に、全体の収量を増加させた。CMVプロモーターは、E1Aによりトランス活性化される。この改変は、均一な増殖率および異なる抗体について均一で高い発現レベルを示す細胞クローンを供する顕著に安定な細胞株を提供した。それゆえ、改変は、長期間にわたる組成物の安定性を改善すると考えられる。改変された細胞株におけるE1A発現を検出する試みは失敗していた。それゆえ、均一な増殖率および均一で高い発現レベルは、単にE1A発現のためとされうる。本発明の場合にE1A発現が検出できなかったが、なお、E1A発現を用いるCMVプロモーターがさらにより高く安定な発現レベルとなりうると考えられる。
BHK−21細胞またはCHO細胞は、好ましくは発現に用いられる。適当なCHO細胞は、CHO−K1およびCHO−S細胞を含むが、これらだけに限定されない。CHO−DUKX−B11またはDG44のごときCHOのDhfr−マイナス変異体は、本発明の実施のための好ましい哺乳動物細胞である。これらの細胞は、当該技術分野で周知であり、例えば、メリーランド州、ロックビルのアメリカンタイプカルチャーコレクション(A.T.C.C)またはニューヨーク州、コロンビア大学のローレンスチェイスン博士(CHO DUKX−B11またはDG44)から広く利用可能である。これらの細胞は、懸濁培養において(または血清を含まない条件下で)十分に増殖させ、および/または低い血清濃度下で増殖でき、DHFR選択マーカーとともに用いることができる。
細胞は、好ましくはサブクローン化され、ポリクローナルタンパク質のメンバーのうちの高く安定な発現を示すクローンについて選択される。
それゆえ、当業者は、DG44クローンを他のクローンに置き換え、CHO細胞を記載されるごとき他の哺乳動物細胞に置き換えることができるか、あるいは植物細胞、酵母細胞、昆虫細胞、真菌および細菌を含む他のタイプの細胞を利用することができる。したがって、細胞タイプの選択は、本発明で限定されるものではない。
本発明の方法を用いて得ることができる収量は、用いられる培養条件および宿主細胞の種類を含むが、これらだけに限定されない多くのパラメーターに依存する。本発明の具体例において、収量は、好ましくは、50mg/Lのタンパク質よりも多く、例えば、60mg/Lより多く、例えば、75mg/Lより多く、例えば、100mg/Lより多く、例えば、125mg/Lより多く、例えば、150mg/Lより多く、例えば、200mg/Lより多く、例えば、250mg/Lより多く、例えば、300mg/Lより多く、例えば、400mg/Lより多く、例えば、500mg/Lより多く、例えば、600mg/Lより多く、例えば、700mg/Lより多く、例えば、750mg/Lより多く、例えば、800mg/Lより多く、例えば、900mg/Lより多く、例えば、1,000mg/Lより多く、例えば、2g/Lより多く、例えば、3g/Lより多く、例えば、4g/Lより多く、例えば、5g/Lより多い。
本発明の組み換えポリクローナルタンパク質は、異なるが相同なタンパク質分子を含むタンパク質組成物であって、本質的に可変であり、好ましい具体例において、変異核酸のライブラリーが自然発生的な多様性を含むことを意味するタンパク質組成物を網羅することが意図される。それゆえ、各タンパク質分子は、組成物のその他の分子に相同であるが、可変ポリペプチド配列の1つまたはそれ以上のストレッチも含み、このストレッチは、ポリクローナルタンパク質の個々のメンバー間のアミノ酸配列における相違により特徴付けられる。可変ポリペプチド配列を構成するアミノ酸配列における相違は、わずか1つのアミノ酸であってもよい。好ましくは、アミノ酸配列における相違は、1つより多いアミノ酸を構成する。
通常、ポリクローナル抗体またはTcRの自然の可変性は、いわゆるポリペプチド鎖の可変領域またはV−領域に位置すると考えられている。
本発明の1の態様において、ポリクローナルタンパク質における各メンバーは、約80および120の間のアミノ酸長である可変領域を含む。可変領域は、超可変領域、例えば、相補性決定領域(CDR)を含んでもよい。
自然発生的なTcRにおいて、各可変領域に4つのCDRが存在する。自然発生的な抗体において、重鎖に3つのCDRおよび軽鎖に3つのCDRが存在する。
本発明のさらなる態様において、ポリクローナルタンパク質の各メンバーの可変領域は、1および26の間のアミノ酸長、好ましくは、4および16の間のアミノ酸長である、少なくとも1つの超可変領域を含む。この超可変領域は、CDR3領域に相当しうる。抗体においては、各可変領域は、好ましくは3つの超可変領域を構成する。これらは、CDR1、CDR2およびCDR3に相当しうる。TcRにおいては、各可変領域は、好ましくは4つの超可変領域を構成する。これらは、CDR1、CDR2、CDR3およびCDR4に相当しうる。超可変領域は、本発明の組み換えポリクローナルタンパク質の可変領域内の可変配列を単独で構成してもよい。
本発明の文脈において、ポリペプチド配列における可変性(多クローン性)はまた、例えば、ヒトアイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgD、およびIgE、あるいはマウスアイソタイプIgG1、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgM、およびIgAのごとき、2つまたはそれ以上の異なる抗体アイソタイプを含む抗体の混合物の場合に、抗体ポリペプチド鎖の、いわゆる、定常領域またはC領域に存在する各抗体分子間の相違を示すと理解することができる。それゆえ、組み換えポリクローナル抗体は、可変領域(V領域)または定常領域(C領域)またはその両方における各抗体分子間の配列の相違により特徴付けられる抗体分子を含んでもよい。好ましくは、後の精製をかなり容易にするため、抗体は同一のアイソタイプである。プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを用いて全て一緒に精製することができるため、例えば、アイソタイプIgG1、IgG2、およびIgG4の抗体を結合することが考えられる。好ましい具体例において、ポリクローナル抗体を構成する全ての抗体は、さらに精製を容易にするため、同一の定常領域を有する。より好ましくは、抗体は、同一の重鎖の定常領域を有する。軽鎖の定常領域はまた、同一の交差した(across)別々の抗体であってもよい。
特定の抗原に結合するタンパク質をコードする変異核酸配列を提供するために、当該技術分野で公知の多くの方法が利用されてもよい。典型的には、本発明は、特定の抗原に結合するタンパク質をコードする核酸の同定および/または単離を可能にするスクリーニング法の使用から利益を得る。これらの方法のいくつかは、濃縮工程または、いわゆるバイオパニングを含み、Symplex(登録商標)(Mejier et al, 2006, J. Mol. Biol, 358:764-772; WO 2005/042774)、ファージディスプレイ(Kang, A.S. et al. 1991. Proc Natl Acad Sci U S A 88, 4363-4366)、リボソームディスプレイ(Schaffitzel, C. et al. 1999. J. Immunol. Methods 231, 119-135)、DNAディスプレイ(Cull, M.G. et al. 1992. Proc Natl Acad Sci U S A 89, 1865-1869)、RNA−ペプチドディスプレイ(Roberts,R.W., Szostak,J.W., 1997. Proc Natl Acad Sci U S A 94, 12297-12302)、共有結合(covalent)ディスプレイ(WO 98/37186)、細菌表層ディスプレイ(Fuchs, P. et al. 1991. Biotechnology 9, 1369-1372)、酵母表層ディスプレイ(Boder, E.T., Wittrup, K.D., 1997. Nat Biotechnol 15, 553-557)および真核生物ウイルスディスプレイ(Grabherr,R., Ernst,W., 2001. Comb. Chem. High Throughput. Screen. 4, 185-192)、本発明の実施において当該技術分野で知られる全ての方法および興味深い補助(interesting aids)となる全ての方法のごとき技術から公知である。FACSおよび磁気ビーズ選別もまた、標識された抗原を用いて濃縮(パニング)用に応用できる。ELISA(Dreher, M.L. et al. 1991. J. Immunol. Methods 139, 197-205)およびELISPOT(Czerkinsky, C.C. et.al.1983. J Immunol Methods. 65, 109-21)のごとき免疫検出アッセイはまた、以下のバイオパニング工程または単独のいずれかで用いることができる。
目的の組み換えポリクローナルタンパク質の組成物は、特定のタンパク質のサブセットを含み、それらは、例えば、所望の標的抗原に対するポリクローナル抗体の場合に、所望の標的に対する共通の結合活性のごとき共通の特徴により定められる。典型的には、ポリクローナルタンパク質組成物は、少なくとも2、3、4、5、10、20、50、100、1000、10、10、10個の別個の変異メンバーを有する。ポリクローナルタンパク質組成物において必要とされる別個のメンバー数は、標的の複雑性に依存する。抗体の場合には、標的とされる抗原の複雑性は、ポリクローナル抗体組成物で必要となる別個の変異メンバー数に影響する。小さいか、またはあまり複雑ではない標的、例えば小さいタンパク質に用いる場合、2または3および100個の間の別個の変異メンバーを含むポリクローナル抗体組成物は、十分であり得、変異体の数は、90個、または80個でさえまたは70個を超えないことが好ましい。多くの例において、別個の変異体の数は、60個または50個を超えることがなく、変異体の数は、5個および40個の間、5個および30個の間のごとくである範囲が好ましい。一方で、より複雑な標的に対して、20個から500個の間の別個の変異メンバーを含むポリクローナル抗体組成物が十分でありうる。抗原が多くの異なる分子を含む極めて複雑な標的では、50個から10000個の間の別個の変異メンバーを含むポリクローナル抗体組成物が必要とされうる。
哺乳動物において、抗体または免疫グロブリン分子のごとき血中に遊離しながら循環するか、あるいはT細胞受容体およびB細胞受容体のごとき細胞表面上に存在するかのどちらかの自然発生的なポリクローナルタンパク質のいくつかの公知の例が存在する。これらの自然発生的なポリクローナルタンパク質の多様性は、いくつかの哺乳動物において、これらのタンパク質の可変領域をコードする遺伝子の遺伝学的組み換えにより行われる。抗体は、さらに、体細胞の変異によりそれらの多様性を増加させることが知られている。本発明は、多様性に関連する配列(例えば、免疫グロブリン分子またはTcRの可変領域またはCDR領域)を単離し、それらからライブラリーを作成することにより、これらの本質的な多様性を利用することができる。2つの独立した遺伝子セグメント、例えば、抗体可変重鎖および可変軽鎖、TcRα鎖およびβ鎖、またはTcRσ鎖およびζ鎖からコードされるタンパク質においては、ライブラリーにおける各ベクターはこれらの可変領域をコードする配列の1ペアを構成する。
自然発生的な多様性を含むライブラリーは、例えば、コンビナトリーライブラリー(可変領域をコードする配列の無作為な組み合わせ)ならびに同族ペアライブラリー(同一細胞に由来する可変領域をコードする配列のペア、例えば、WO2005/042774)である。単離されたCDR遺伝子フラグメントから作成されたさらなるライブラリーは適当なフレームワークに取り込まれ(例えば、Soderlind, E. et al., 2000. Nat. Biotechnol. 18, 852-856)、かかる抗体またはTcR可変領域は本発明に適用できる。好ましくは前記ライブラリーがスクリーニングされて所望の特異性を有するサブライブラリー(目的のライブラリー)が得られる。
タンパク質の多様性はまた、人工的な手法、例えば、合成または変異により作成することができる。変異は、単一タンパク質をコードする核酸配列の無作為な変異または点変異のいずれかであり得、それにより単一タンパク質のポリクローナル集団を作成することができる。人工的な抗体ライブラリーを作成する別の例は、EP0859841に記載され、その方法は、別のCDRライブラリーと組み合わせることができる可変領域フレームワークのライブラリーを作成することに基づく。
本発明の好ましい具体例において、組み換えポリクローナルタンパク質は、組み換えポリクローナル抗体または抗体フラグメントである。
本発明の別の好ましい具体例において、組み換えポリクローナルタンパク質は、組み換えポリクローナルTcRまたはTcRフラグメントである。
それゆえ、本発明の組み換えポリクローナルタンパク質は、異なるアイソタイプまたはより好ましくは異なるサブクラスから構成されうる。免疫グロブリンの多クローン性は、免疫グロブリン分子の定常部または可変領域、あるいは定常部および可変領域の両方で生じうる。
いわゆる定常領域、特に抗体の重鎖における多クローン性は、抗体の治療適用に関する目的である。様々な免疫グロブリンアイソタイプは、(表1に概略されるごとく)異なる生物学的機能を有し、免疫グロブリンの異なるアイソタイプが自然免疫応答の異なる態様で関与するかもしれないので、治療用抗体を利用する際に組み合わせることが望まれうる(Canfield and Morrison 1991. J.Exp.Med. 173, 1483-91; Kumpel et al. 2002. Transfus.Clin.Biol. 9, 45.-53; Stirnadel et al. 2000. Epidemiol. Infect.124, 153-162)。
表1:ヒト免疫グロブリンアイソタイプの生物学的機能
Figure 2011504721
本発明のさらなる態様は、2〜n個の細胞集団を含むポリクローナル細胞株を含む、組み換えポリクローナルを製造する細胞株であって、各集団が、別個のメンバーの組み換えポリクローナルタンパク質を発現し、細胞が、ゲノムに無作為に組み込まれた発現構築物を含むものである、細胞株である。発現構築物は、好ましくは、ゲノムに安定に組み込まれる。1の具体例の構築物は、1つまたはそれ以上の染色体に組み込まれる。
ポリクローナル細胞株における細胞集団数、nは、3またはそれ以上、例えば、4またはそれ以上であり、例えば、5またはそれ以上であり、例えば、6またはそれ以上であり、例えば、7またはそれ以上であり、例えば、8またはそれ以上であり、例えば、9またはそれ以上であり、例えば、10またはそれ以上であり、例えば、11またはそれ以上であり、例えば、12またはそれ以上であり、例えば、13またはそれ以上であり、例えば、14またはそれ以上であり、例えば、15またはそれ以上であり、例えば、16またはそれ以上であり、例えば、17またはそれ以上であり、例えば、18またはそれ以上であり、例えば、19またはそれ以上であり、例えば、20またはそれ以上であり、例えば、21またはそれ以上であり、例えば、22またはそれ以上であり、例えば、23またはそれ以上であり、例えば、24またはそれ以上であり、例えば、25またはそれ以上であり、例えば、26またはそれ以上であり、例えば、27またはそれ以上であり、例えば、28またはそれ以上であり、例えば、29またはそれ以上であり、例えば、30またはそれ以上であり、例えば、35またはそれ以上であり、例えば、40またはそれ以上であり、例えば、45またはそれ以上であり、例えば、50またはそれ以上であり、例えば、60またはそれ以上であり、例えば、70またはそれ以上であり、例えば、80またはそれ以上であり、例えば、90またはそれ以上であり、例えば、100またはそれ以上であってもよい。
ほとんどの目的において、nは、50より少なく、例えば、45より少なく、例えば、40より少なく、例えば、35より少なく、例えば、30より少なくてもよい。
本発明の1つの重要な具体例は、ポリクローナル細胞株を最終的に混合する前に行われる細胞クローン化工程である。この工程は、クローンのバイアスの発生を最小にすることにより、得られたポリクローナル細胞バンクの収量および安定性の改善を生じる。組み換えポリクローナルタンパク質の1つの別個のメンバーを発現する細胞は、1個またはそれ以上のクローン化細胞、例えば、2個またはそれ以上であり、例えば、3個またはそれ以上であり、例えば、4個またはそれ以上であり、例えば、5個またはそれ以上であり、例えば、6個またはそれ以上であり、例えば、7個またはそれ以上であり、例えば、8個またはそれ以上であり、例えば、9個またはそれ以上であり、例えば、10個またはそれ以上であり、例えば、11個またはそれ以上であり、例えば、12個またはそれ以上であり、例えば、13個またはそれ以上であり、例えば、14個またはそれ以上であり、例えば、15個またはそれ以上であり、例えば、16個またはそれ以上であり、例えば、17個またはそれ以上であり、例えば、18個またはそれ以上であり、例えば、19個またはそれ以上であり、例えば、20個またはそれ以上であり、例えば、21個またはそれ以上であり、例えば、22個またはそれ以上であり、例えば、23個またはそれ以上であり、例えば、24個またはそれ以上であり、例えば、25個またはそれ以上であり、例えば、26個またはそれ以上であり、例えば、27個またはそれ以上であり、例えば、28個またはそれ以上であり、例えば、29個またはそれ以上であり、例えば、30個またはそれ以上であり、例えば、35個またはそれ以上であり、例えば、40個またはそれ以上であり、例えば、45個またはそれ以上であり、例えば、50個またはそれ以上であり、例えば、60個またはそれ以上であり、例えば、70個またはそれ以上であり、例えば、80個またはそれ以上であり、例えば、90個またはそれ以上であり、例えば、100個またはそれ以上のクローン化細胞に由来するものであってもよい。
上記具体例のさらなる具体例において、(好ましくは免疫グロブリンスーパーファミリーに由来する)ポリクローナルタンパク質をコードする変異核酸配列は、例えば、ドナーから単離された、自然発生的な配列に全て由来する。
クローン多様性
ポリクローナルタンパク質の1つの特徴は、多くの各々のタンパク質により構成されており、各タンパク質分子が、ポリクローナルタンパク質のその他の分子に相同であるだけでなく、ポリクローナルタンパク質の別個のメンバー間のアミノ酸配列における相違により特徴付けられる可変性を有することである。好ましくは、相違は、ポリクローナル抗体の全体構造の異なる領域に限定される。かかる領域は、例えば、抗体の可変領域またはTcRであり、可能な限り、これらの領域におけるCDR領域に限定される。この可変性はまた、核酸レベルならびにタンパク質機能レベルの両方、例えば、標的に対する特異性および親和性の相違において同定されうる、多様性として記載することができる。
細胞株のクローン多様性は、組み換えポリクローナルタンパク質を発現する細胞プールから同定されたクローンにおけるRFLPにより解析されてもよい。(RT)−PCR産物の配列決定は、クローン多様性を解析する別の可能性を示す。多様性はまた、細胞株により産生される組み換えポリクローナルタンパク質における機能テスト(例えば、ELISA)により解析することができる。WO 2006/007853は、ポリクローナル細胞株およびポリクローナルタンパク質の特徴付けの方法を開示する。これらの方法は、細胞株および生じたポリクローナルタンパク質のクローン多様性を解析するために用いることができる。
クローンのバイアス(すなわち、ポリクローナル抗体を構成する各々の抗体における緩やかな変化)は、存在するならば、トランスフェクションに用いられる最初のライブラリーのクローン多様性を、組み換えポリクローナルタンパク質を発現する細胞のプール(細胞株)中で見出される多様性を比較することにより評価することができる。
細胞株から発現されるポリクローナルタンパク質のクローン多様性は、ポリクローナル抗体による標的範囲として測定されてもよい。この場合、約25〜100%の所望の標的分子がポリクローナルタンパク質により結合される時に、十分な多様性が獲得されたと考えられる。例えば、ポリクローナル抗体の場合、標的抗原の表面上の同定されていないエピトープの少なくとも25%への抗体の結合は、組成物中の十分な多様性を提供する。好ましくは、標的範囲によるクローン多様性は、少なくとも50%であり、さらにより好ましくは少なくとも75%である。抗体について、かかる標的範囲は、例えば、エピトープマッピングにより測定されうる。
代替的に、クローン多様性は、ポリクローナル組成物の各々のメンバーの配分として測定することができる。この配分は、トランスフェクションにおいて細胞株に元々導入された異なるコード配列の数と比較した、最終ポリクローナルタンパク質組成物における異なる各々のメンバーの総数として測定することができる。この場合、トランスフェクション時に元々用いられたコード配列の少なくとも50%、好ましくは、少なくとも75%、より好ましくは、少なくとも80%、より好ましくは、少なくとも90%、少なくとも95%、97%、98%または99%などが最終ポリクローナルタンパク質の異なる各メンバーとして同定することができる時に、十分な多様性が獲得されると考えられる。別の方法で発現される場合、ポリクローナルタンパク質の1つのメンバーのみ、あるいは2、3、4または5つのメンバーが、製造時にした場合に、クローン多様性が十分と考えることができる。
ポリクローナル組成物の各メンバーの配分はまた、各メンバー間の相互の配分に関して測定することができる。この場合には、組成物の単一メンバーが最終クローナルタンパク質組成物においてタンパク質総量の75%以上を構成する時に、十分なクローン多様性が獲得されると考えられる。好ましくは、各メンバーが、最終ポリクローナル組成物において50%以上、さらにより好ましくは25%、最も好ましくは10%を超えない。ポリクローナル組成物における各メンバーの配分に基づくクローン多様性の測定は、ポリクローナル組成物の特徴付けに関して後述されるアプローチのごときRFLP分析、配列解析およびタンパク質分析により行うことができる。
クローン多様性は、a)発現レベルにおける相違の結果として、b)細胞増殖における変動(variation)の結果として生じうるクローンバイアスの結果として還元されてもよい。かかるバイアスが生じる場合、クローン多様性の喪失のこれらの供給源の各々は、本明細書に記載される方法によるわずかな改変により容易に改善される。
細胞株における各細胞の細胞増殖率の変動が、長期間にわたりバイアスを組み換えポリクローナルタンパク質の発現に導入し、細胞株により発現される組み換えポリクローナルタンパク質のいくつかのメンバーの存在を増加または減少させることができる。本方法は、宿主細胞のゲノムへの無作為な組み込みに基づきうるので、位置とコピー数の両方がポリクローナル細胞のメンバー間で変化する。このことは、クローン間の増殖率と発現レベルにおける相違を生じる可能性が高い。同様の増殖率を有する細胞クローンを選択することによりこの問題は最小限とされる。さらなる可能性は、ポリクローナルの各メンバーについて1個以上のクローンを用いることである。実施例は、ポリクローナルタンパク質の単一メンバーを発現する3から5個のクローンがポリクローナルタンパク質の各メンバーについてわずか1個のクローンと比較して用いられる場合に組成物の安定性が増加することを示す。
このことを対処する別の方法は、増殖率、倍加時間、発現レベル、産生レベル、長期間にわたる産生の安定性、生存率、耐性、構造安定性、形態、およびコピー数からなる群から選択される1つまたはそれ以上の基準に関してある所定の範囲内で細胞が均一であることを確認する1つまたはそれ以上の選択基準を用いることである。
増殖率の変動についての1つの理由は、最初のトランスフェクションに用いられる開始細胞株を構成する細胞集団が異種でありうることである。細胞株における各細胞は、長期間にわたり異なって発生することが知られる。より均一性の開始物質を確実にするために、目的の発現ベクターによるトランスフェクション前に細胞株のサブクローニングまたはサブクローニングの繰り返しは、単一細胞レベルまで細胞株の限定希釈を用いて行われてもよく、各単一細胞を細胞の新しい集団となるまで増殖させる(いわゆる、限定希釈による細胞サブクローニング)。
よく定義された細胞集団を確実にする単一細胞クローニングのための代替的および好ましい方法は、トランスフェクション後に蛍光活性化細胞選別を用いることである。これは、選別手順の前に行われてもよい。蛍光標識抗体は、IgG構築物によりトランスフェクトされた細胞のプールに由来する高い産生細胞を増やすのに用いることができる(Brezinsky et al. J. 2003. Immunol Methods 277, 141-155)。FACS選別を用いる利点は、前記方法が(単一細胞をウェルに選別することによる)単一細胞クローニングを一緒にし、同時に各単一細胞の発現レベルについての情報を提供することである。選別法をさらに改善するために、死んだか、死んでいる細胞が捨てられるように生存株が導入されうる。FACS法は、細胞をせん断応力を含むかなり厳しい条件にかける。これは、間接的に細胞がかかる条件に対する耐性について選択されることを意味する。さらに、FACS法は、多くの単一細胞を選別することが可能なように自動化される。
FACS法はまた、同一レベルの免疫グロブリンを発現する細胞を選別するのに用い、それにより生産性に関して均一な細胞集団を作り出すことができる。同様に、標識色素5,6−カルボキシルフルオロセインジアセテートサクシニミジルエステル(CFSE)を用いて標識することにより、同様の増殖率を示す細胞がFACS法により選択することができる。
本発明の重要な具体例は、ポリクローナル抗体の各メンバーについて1つまたはそれ以上のクローン化された細胞株の作成である。単一細胞クローンの調製は、多くの一般的な技術のいずれか1つを用いて行われてもよい。しかしながら、細胞が生存率とIgGレベルについて選択され、ウェルに個々に選別されるFACS細胞選別は、一貫して、ポリクローナルマスター細胞バンクおよび後にポリクローナルワーキング細胞バンクを調製するのに適当である安定なクローンを提供する結果となることがわかった。例えば、Mtxからの選択圧は、FACS選別の前または間に取り除かれてもよいが、例えば、ヌクレオシドのない培地で増殖されることによる継続的な選択圧は、好ましくは維持される。各クローンは、好ましくは、細胞選別後に選択圧下における培養の一定日数後に選択される。クローンが選別後の同一日に選択されるので、クローンの増殖率は比較的均一である。このことに加えて、クローンが目視で検査されることにより、元々トランスフェクトされていない細胞株と比較して形態の全体的な変化と低い増殖率を示す細胞が捨てられる。最終的に、抗体発現レベルは、例えば、ELISAまたはその他の分析技術を用いてアッセイすることができ、発現レベルの高く、比較的均一なクローンが選択されうる。
増殖率が誘導されたバイアスが発生する場合であっても、各メンバーの喪失または過剰発現は、最終的なポリクローナルタンパク質産物の多様性の要求ならびに長期間にわたる多様性の安定性に応じて、必ずしも重大であり得ない。
宿主細胞
宿主細胞は、DNAを染色体に組み込むことができるか、あるいは、ミニ染色体、YAC(酵母人工染色体)、MAC(マウス人工染色体)、またはHAC(ヒト人工染色体)のごとき染色体外エレメントを保持することができるいずれかの細胞から作成することができる。MACおよびHACは、出典明示により援用されるWO 97/40183に詳細に記載される。好ましくは、CHO細胞、COS細胞、BHK細胞、骨髄腫細胞(例えば、Sp2/0、YB2/0またはNS0細胞)、NIH3T3のごとき線維芽細胞、ならびに、HeLa細胞、HEK293細胞、またはPER.C6のごとき不死化細胞のごとき哺乳動物細胞が用いられる。しかしながら、植物細胞、昆虫細胞、酵母細胞、真菌、大腸菌などのごとき非哺乳動物の真核または原核細胞もまた用いられうる。
本発明の1の具体例において、開始材料として用いられる細胞株は、細胞株の単一細胞レベルへの、いわゆる限定希釈を行い、次いで各単一細胞を、目的のベクターライブラリーを用いるトランスフェクション前に細胞の新しい集団まで増殖させることにより、サブクローン化されてもよい。かかるサブクローン化はまた、所望であれば、正しい細胞株を選択する過程で後に行われうる。単一細胞のクローニングのその他の方法は、FACSクローニング(Brezinsky et al. J. 2003. Immunol Methods 277, 141-155)、LEAP(登録商標)技術(米国、カリフォルニア州、サンディエゴのCyntellect)、およびClonePix(英国、Genetix)を含む。
組み込み用ベクター
以下の記載は、哺乳動物発現系の使用に関する。適切な改変を伴って細菌の発現用に本発明の方法を使用することも同様に可能である。
適当なベクターは、適当な選択遺伝子を含む。哺乳動物細胞発現における使用のために適当な選択遺伝子は、チミジンキナーゼ遺伝子(TK)、グルタミン合成遺伝子(GS)、トリプトファン合成遺伝子(trpB)またはヒスチジンデヒドロゲナーゼ遺伝子(hisD)のごとき栄養選択可能な遺伝子を含むが、これらだけに限定されない。さらに、選択マーカーは、ヒポキサンチンとチミジン欠乏培地で選択され、さらにメトトレキサートで選択されうるジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子(dhfr)、ミコフェノール酸で選択されうるキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、真核細胞ではG418、および原核細胞ではネオマイシンとカナマイシンで選択されうるネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(neo)、ハイグロマイシンで選択されうるハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hyg、hgh、hgt)遺伝子、ピューロマイシンで選択されうるピューロマイシンN−アセチル−トランスフェラーゼ(pac)、またはブラストサイジンで選択されうるブラストサイジンSデアミナーゼ遺伝子(Bsd)、ゼオシンとブレオマイシンに対する耐性を介在するゼオシン耐性遺伝子(sh ble)のごとき、薬剤耐性を有する代謝拮抗物質耐性遺伝子である。最終的に、例えば、フローサイトメトリーにより選別することができるタンパク質をコードする遺伝子はまた、緑色蛍光タンパク質(GFP)、神経成長因子受容体(NGFR)またはその他のメンバーのタンパク質、またはベータ−ガラクトシダーゼ(LacZ)のごとき選択マーカーとして用いられうる。
選択マーカーは、別個の発現ベクター上に位置していてもよく、それゆえ、選択マーカーをコードする発現ベクターおよび目的のタンパク質または目的のタンパク質のサブユニットをコードする1つまたはそれ以上の発現ベクターで共トランスフェクションを行ってもよい。選択マーカーはまた、目的のタンパク質をコードする発現ベクターに位置していてもよい。この後者の場合には、選択マーカーは、好ましくは、目的のタンパク質またはそのサブユニットの1つをもコードする転写物上に位置する。これは、例えば、IRES構築物を用いて実施することができる。抗体のごとき多量体タンパク質の場合には、選択マーカーは、好ましくは、例えば、抗体の重鎖のごとき最も大きなサブユニットをコードする転写物上に位置する。
目的の遺伝子の組み込みのためのベクターは、さらに、目的の組み換えポリクローナルタンパク質の1つのメンバーをコードするDNAを含み、タンパク質の発現を指令するその哺乳動物自身のプロモーターを前に付ける。目的の組み換えポリクローナルタンパク質のメンバーが1つ以上のタンパク質鎖を含む場合、例えば、そのメンバーが抗体またはT細胞受容体である場合、タンパク質鎖をコードするDNAは、その鎖の各々の発現の高いレベルを指示する(二方向性または一方向性の)それら自身の哺乳動物プロモーターが前に付けられうる。二方向性の発現では、ベクターにおけるhead−to−headのプロモーター構成が用いられ、一方向性の発現においては、例えば、IRES配列と結合した2つのプロモーターまたは1つのプロモーターが発現用に用いられうる。同一の転写物によりコードされ、IRES配列により分けられた2つの異なるサブユニットを有する二シストロン発現ベクターが同様に考えられる。
適当なhead−to−headプロモーター構成は、例えば、両方向におけるマウスメタロチオネイン−1プロモーターと一緒のAdMLPプロモーター、両方向における伸長因子−1と一緒のAdMLPプロモーターまたは両方向におけるMPSVプロモーターと一緒のCMVプロモーター、あるいは両方向で用いられるCMVプロモーターであるが、これらだけに限定されない。
抗体の場合では、細胞により発現される重鎖の量が軽鎖の量を超えるべきではないことが経験上示された。それゆえ、軽鎖の発現を指令するプロモーターは、好ましくは、少なくとも重鎖の発現を指令するプロモーターと同程度の強度である。
機能的なリーダー配列または移行シグナルをコードする核酸配列は、発現ベクターに含まれることにより、遺伝子産物を、細胞小器官のごとき細胞内の小胞体または特定の場所まで指し向けることができる。強いポリアデニル化シグナルは、タンパク質をコードするDNA配列の3’に位置しうる。ポリアデニル化シグナルは、新生RNA転写の終結およびポリアデニル化を確実にし、メッセージの安定性と相関性がある。目的の組み換えポリクローナルタンパク質のメンバーをコードするDNAは、例えば、抗体の重鎖および軽鎖の両方または抗体フラグメントをコードすることができ、各遺伝子配列は、任意選択的に、前にそれらの哺乳動物プロモーターエレメントおよび/または後に2つの鎖の各々の高いレベルの発現を指令する強いポリAシグナルが付けられる。
組み換え用発現ベクターは、組み込み部位における発現の上昇および発現の安定性のために、エンハンサー、抗抑制剤、またはUCOE(遍在性クロマチンオープニングエレメント)のごときさらなる転写調節エレメントを保有することができる。エンハンサーは、転写に関連する核タンパク質と特異的に相互作用する核酸配列である。UCOEは、クロマチンを開き、または開いた状態にクロマチンを保ち、(WO 00/05393およびBenton et al, Cytotechnology 38:43-46, 2002に詳細に記載される)作動可能に連結された遺伝子の再度産生可能な発現を容易にする。さらなるエンハンサーまたは強めるエレメント(enhancing element)は、例えば、Girod & Mermod 2003("Chapter 10: Use of scaffold/matrix-attachment regions for protein production", pp 359-379 in Gene Transfer and Expression in Mammalian Cells, SC Makrides (ed), 2003, Elsevier Science BV)に記載されるごときマトリックス結合領域(MAR)を含む。抗リプレッサーエレメントは、STARエレメントを含むが、これだけに限定されない(Kwaks et al Nat Biotechnol. 2003 May;21(5):553-8)。上述される1つまたはそれ以上の調節エレメントが宿主細胞の染色体に組み込まれる場合、それらは異種調節エレメントと呼ばれる。
ポリクローナルワーキング細胞バンクおよびマスター細胞バンク
本発明の好ましい具体例において、使用はポリクローナルワーキング細胞バンク(pMCB)およびポリクローナルマスター細胞バンク(pWCB)から構成される。
pMCBは、単一アンプルの内容物を溶解し、広げることによりポリクローナルを製造する細胞株の樹立に用いることができ、各細胞株から構成される凍結ストックから作成されてもよい。かかるpMCBを作成するのに用いられる各細胞株は、i)(実施例2に記載される)単一クローン、ii)(実施例2に記載される)単一クローンの混合物、またはiii)クローンのプール(選択後に得られた単一コロニーのプール)のいずれかから得られる。クローンは、それぞれトランスフェクトされた宿主細胞から得られ、ポリクローナルタンパク質の各メンバーの安定な発現について選択された。安定な発現に関する選択は、当該技術分野で知られている方法、例えば、選択マーカー遺伝子を用いて行われる。本発明の好ましい具体例において、各細胞株は、i)、ii)またはiii)を起源とする細胞株を、限定希釈またはsingle cell FACS解析および選別にかけることにより、あるいは、例えば、ClonePix FLのごときロボットを用いて高い発現クローンを選択することにより、クローン化またはサブクローン化された細胞から得られる(下記参照)。上述されるごとくpMCBを作成するのに用いられる各細胞株は、各細胞株の凍結ライブラリーストック中で前もって保存されていてよく、pMCBの作成前に、各別個の細胞株のアンプルが溶解され、広げられる。好ましくは、別個の細胞株は、pMCBのその他のメンバーにより産生される抗体の特性とは異なる特性、例えば、異なる抗原特異性、異なる親和性、異なる可変性またはCDR領域および/または異なる定常領域を有する全長の抗体を発現する。
pMCBを作成するのに用いられる各細胞株は、ポリクローナルタンパク質の異なるメンバーを産生する。好ましくは、ポリクローナルタンパク質の各別個のメンバーは特定の抗原に結合する。加えて、各別個のメンバーは、各宿主細胞のゲノムにおける無作為な場所に位置する複数の組み込み体から産生されることが好ましい。pMCBは、各別個の細胞株に由来する所定数の細胞を混合することにより作成される。好ましくは、細胞が同数(1:1の比率)で混合されることであるが、その他の比率が所望されてもよい(下記参照)。細胞の混合物は、各バイアルに所定数の細胞で多くのバイアルに分注されるため、一定分量に分けて凍結される。これらのバイアルは、後の製造のために、pMCBとして凍結され、保存される。好ましくは、pMCBを構成するバイアル数は10、25、50、75、100、200、500または1000個のバイアルを超える。pMCBにおける別個のバイアルは、ポリクローナルを製造する細胞株の異なるバッチを作成する異なる時点で溶解されてもよく、前記細胞株は、基本的にバッチ間で同一の組成物を有するポリクローナルタンパク質を産生することができる。
本発明の代替的なアプローチにおいて、ポリクローナルを製造する細胞株は、pMCBに由来するpWCBから広げられてもよい。pWCBは、pMCBから単一バイアルを溶解し、一定分量の新しい系(pWCB)において凍結され得る細胞の総数を産生するのに十分多くの継代細胞を広げることにより作成され、前記新しい系は、各pWCB一定分量において、pWCBを作成するのに元々用いられるpMCBバイアルとおよそ同じ数の細胞を有する。pWCBが使い尽くされた場合、pMCBの一定分量から新しいpWCBを作成することができる。それゆえ、このアプローチは、凍結ライブラリーストックから各細胞株を広げ、新しいpMCBを混合するのに必要であろうより有意に少ない量のワークを必要とする。さらに、pWCBが使い果たされる場面において、バッチ間で基本的に同一の組成物のポリクローナルタンパク質を産生できるポリクローナルを製造する細胞株のさらなるバッチを産生する機会は増える。
別個のトランスフェクションにより得られた別個の細胞株を混合することによりpMCBを産生する利点は、pMCBの継代前にそれぞれトランスフェクトされた細胞株のさらなる解析と選択を行うことができることである。このことは、既述の多様性の要求を満たすより安定なポリクローナル製造細胞株を確実にする。さらに、ポリクローナルタンパク質は、より再生産可能な方法で製造されてもよい。
pMCBに関して以下に記載されることはpWCBにも適用される。
本発明のさらなる具体例において、上述されるごとくポリクローナルタンパク質の別個のメンバーの安定な発現について選択された別個の細胞株は、pMCBの継代前にそれらの増殖率および/または生産性に関してさらに特徴付けされる。なおより好ましくは、同様の生産性ならびに同様の増殖率を有する細胞株がpMCBの継代について選択される。好ましくは、細胞株は、増殖率および/または生産性の特徴付け前に血清を含まない懸濁培養に適応される。代替的に、トランスフェクションに用いられる親細胞は、トランスフェクション前に、血清を含まない懸濁培養に適応される。
増殖率は、当該技術分野で知られる方法により測定することができる。哺乳動物細胞株の増殖率は、18ないし100時間の間であるべきであり、好ましくは、22ないし40時間の間、最も好ましくは、24ないし32時間の間である。生産性は、1日あたり1細胞あたり0.5pg(pg/(細胞日))を超えるべきであり、好ましくは、1、1.5、3、5、8、10、15、20、30、40、50、75、または100pg/(細胞日)を超えるべきである。さらに、細胞内染色法により測定される場合、細胞株は発現に関して均一な細胞集団を有するべきである。所望ならば、各別個の細胞株についてより均一な細胞集団は、例えば、本明細書に記載されるFACS選別法によるクローニングにより得られうる。
本発明のさらなる具体例において、別個の細胞株は、本明細書に記載されるごとくトランスフェクションおよび選択方法後に、均一な発現レベルの細胞を同定するのにFACS選別される。
蛍光で標識された抗体は、高いレベルの所望のタンパク質、例えば、抗体またはTcRを発現する細胞を選別するのに用い、それにより生産性に関して均一な細胞集団を作り出すことができる。この技術は、分泌タンパク質がそれらを分泌する細胞の表面上で検出され、表面タンパク質の量が別個の細胞の発現レベルに明確に相当しうるという観察に基づく。それゆえ、高い産生細胞は、標識された抗体による染色、次いでFACSによる解析により選別された単一細胞でありうる。この技術は、Brezinskyにより示されている(Brezinsky et al. J. 2003. Immunol Methods 277, 141-155)。
代替的な選別技術は、細胞から発現されたタンパク質、細胞の表面に特異性を有するリガンドのカップリングに基づく。例えば、抗Fc抗体または抗イディオタイプ抗体は、ビオチンを介してタンパク質を分泌する細胞の表面にカップルされうる。次いで、別個の細胞から分泌された抗体は、その細胞の表面上の抗Fc抗体により捕捉される。この後、高い産生細胞は、標識された抗体による染色によるFACSにより選別されうる。この技術は、EP667896に記載されている。
均一な高い発現レベルの細胞株を得るために、高い発現レベルを有する単一細胞は、記載される技術のうちの1つにより得られるFACSプロファイルに基づいて解析される。次いで、別個の細胞クローンは、広げられ、増殖率および生産性に関して上述されるごとく可能性として解析される。代替的に、FACSプロファイルにより同定される最も高い発現レベルを有する細胞のサブプールは、選別により収集される。別個の細胞株からの細胞のサブプールは、所望であれば、増殖率および生産性に関して同様に解析されうる。
本発明の代替的な具体例において、ClonePixFLロボット(英国、Genetix)のごときロボットは、高い発現レベルおよび/または同様の増殖特性を示すクローンを選択するのに用いられる。これは以下のとおりに行われる:トランスフェクションおよび選択後に得られたコロニーは、コロニーの直近で分泌タンパク質産物を捕捉することにより、高い産生コロニーの検出を可能にする半固体培地において増殖される。各コロニーからの産生レベルは、細胞から発現されるタンパク質の免疫蛍光標識、続いて、発現レベルおよび増殖特性のごとき所定の選択基準に基づく最良のクローンのイメージソフトウェア選択の手法により調べられる。さらに、各コロニーの(細胞増殖率を反映する)サイズは、光検出イメージングを用いるロボットにより測定されうる。次いで、所望の産生および/または増殖特性を有するコロニーは、ロボットにより単離され、さらなる増殖のために96ウェルプレートに移される。
好ましくは、同様の生産性を有する別個の細胞株は、pMCBの作成について選択される。好ましい具体例において、pMCBを構成する別個の細胞株は、例えば、単一細胞選別、限定希釈または採集ロボットにより得られる、高い発現レベルを有するクローン化された細胞、あるいは高い発現レベルを有する細胞プールから作成される。
本発明において、トランスフェクションおよび選択後に単離された細胞の単一コロニーから得られる別個の細胞株、ならびに、例えば、single cell FACS選別により得られたクローンから得られた別個の細胞株の両方は、クローン化された細胞株と呼ばれる。好ましい具体例において、かかるクローン化された細胞株は、pMCBを作成するのに用いられる。
本発明のさらなる具体例において、別個の細胞株は、pMCBの作成により異なる比率で混合される。別個の細胞株は、別個の細胞株および/または前記細胞株により発現される別個のタンパクメンバー質特性、例えば、特定の生産性または結合親和性に基づいて所定の基準により混合されうる。例えば、特に重要な抗原またはエピトープに結合する一定の抗体を発現する別個の細胞株は、pMCBの残りのメンバーの細胞株を上回って、例えば、2倍、3倍、5倍または10倍高い量で供給されうる。1つのメンバーの細胞株は、例えば、他の全てのメンバーを超えて2:1で、例えば、メンバー1の4×10個の細胞および残りのメンバーの細胞株の各々の2×10個の細胞で添加されてもよい。
pMCBにおける別個の細胞株の区別されるレベルのこのアプローチはまた、別個の細胞株間の増殖率および生産性の相違を回避するために、特に、これらが特性について類似性について選択されなかった場合に適用されてもよい。したがって、1つまたはそれ以上の別個の細胞株が、より速い増殖率により特徴付けられるポリクローナルワーキング細胞バンクのその他のメンバーと比較してより遅い増殖率、例えば、より長い倍加時間を示すが、このより遅い増殖率が特に高い生産性に関連しない場合、この特定のメンバーは、その遅い増殖を補う増加量でpMCBに添加されてもよい。例えば、50時間の増殖率を有する細胞株は、pMCBを構成する残りの細胞株が22および30時間の間の増殖率を有する場合、2:1の比率で添加されてもよい。同様に、短い倍加時間を有する細胞株の比率は、製造中にこれらが占有しないことを確実にするために減少されてもよい。さらに、pMCBにおける別個の細胞株の比率は、pMCBから作成されたポリクローナル製造細胞株から産生されるポリクローナルタンパク質産物の解析用に調整されてもよい。かかる調整は、例えば、IEXプロファイルまたは同等の特徴付けツールに基づいてなされてもよい。かかる解析が、1つまたはそれ以上の特定のタンパク質のメンバーが残りのメンバーと比較して増加した量で産生されることを示す場合、新しいpMCBが作成されてもよく、ここで、これらの特定のタンパク質メンバーを産生する細胞株の比率は減少される。反対に、特定のメンバーが少ない量で産生される場合、このメンバーを産生する細胞株の比率の増加を示すpMCBが作成されてもよい。
培養系
本発明の組み換えポリクローナルタンパク質は、バッチ、流加培養および灌流プロセスを含むが、これらだけに限定されない適切な培養様式を用いて製造されてもよい。
タンパク質の高レベル発現のための発現系の確立
核酸配列を細胞に導入する方法は、当該技術分野で知られている。これらの方法は、典型的に、目的の配列を細胞、ゲノム、染色体外エレメントに導入するDNAベクターの使用を含む。細胞のトランスフェクションは、リポフェクション、化学的に介在されたトランスフェクション、リン酸カルシウム沈殿、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポソーム融合、RBCゴースト融合、プロトプラスト融合、ウイルス形質導入、およびこれらに類似する方法を含む、当業者に知られる多くの方法により達成されてもよい。
宿主細胞株のトランスフェクションにおいては、各ベクターが目的の組み換えポリクローナルタンパク質の1つのメンバーをコードする核酸配列のわずか1つのコピーを含む目的のベクターのライブラリーが用いられる。この目的の発現ベクターのライブラリーは、目的の組み換えポリクローナルタンパク質をまとめてコードする。組み換えに適切なベクターを前のセクションに記載した。
組み換えポリクローナル製造細胞株の作成およびかかる細胞株からの組み換えポリクローナルタンパク質の製造は、いくつかの異なるトランスフェクションおよび製造戦略により得ることができる。
図1に示されるトランスフェクションの好ましい方法は、目的のライブラリーを構成する別個のベクターを用いて宿主細胞が別々にトランスフェクトされるハイスループット法である。別々にトランスフェクトされた宿主細胞は、好ましくは別々に選択される。しかしながら、それらはまた、選択前にプールされてもよい。選択により作成された別個の細胞クローンは、発現レベル、増殖率および組み込みパターンに関して解析されてもよく、同様の増殖率、同様のコピー数、同様の発現および/または同様の構造安定性レベルを有するものがポリクローナルGOIライブラリーストックを作成するのに用いられてもよい。別個の細胞クローンは、そのストックを作成する前、ストックから取り出された直後、または増殖および適応時間の直後に所望のポリクローナル細胞株を得るのに混合されうる。このアプローチは、さらに組成物の安定性を改善しうる。
各細胞への1コピー以上の組み込みを可能にするトランスフェクション状況下において、発現ベクターの混合物を用いたバルクトランスフェクションは、ポリクローナルタンパク質が単量体である場合に行われうる。多量体タンパク質では、宿主細胞のゲノムへの複数の組み込みを可能にするかかるバルクトランスフェクションは、サブユニットのスクランブリングを生じるであろう。医薬用途のための組み換えポリクローナル抗体の製造などの多くの場合には、スクランブリングは回避されるものである。多量体タンパク質においては、バルクトランスフェクションは、スクランブリングが受け入れ可能である場合か、あるいはトランスフェクションが各宿主細胞のゲノムへのわずか1コピーの組み込みを確実とする条件下で実施される場合に行われうる。かかる方法の例は、レトロウイルス形質導入およびスフェロブラスト融合を含む。目的の変異核酸配列のライブラリーを構成する別個のベクターはいずれも単一組成物に一緒に混合されうるか、あるいは、好ましくは、各ライブラリーメンバーをコードする別個のベクターは、別々な組成物、または組成物中のライブラリーの約5から50個の別個のベクターの混合物で保持することができる。
別の方法は、トランスフェクションのために、組成物中のライブラリーの約5から50個の別個のベクターを含む、フラクションに分けられたベクターのライブラリーを使用することである。好ましくは、ライブラリーのフラクションが10から20個の別個のベクターを構成する。次いで、各組成物は、アリコートの宿主細胞にトランスフェクトされる。この方法は、半バルク(semi−bulk)トランスフェクションと呼ばれる。トランスフェクトされるアリコート数は、各フラクションにおけるライブラリーのサイズおよび別個のベクター数に依存する。ライブラリーが、例えば、100個の別々の変異メンバーを構成し、それらが組成物中の20個の別々の変異メンバーを含むフラクションに分けられる場合、宿主細胞の5アリコートは、元々のライブラリーの別個のフラクションを構成するライブラリー組成物でトランスフェクトされることが必要であろう。宿主細胞のアリコートは、下記のトランスフェクション後に選択される。好ましくは、別個のアリコートが別々に選択される。しかしながら、それらはまた、選択前にプールされうる。アリコートは、それらのクローン多様性について解析され、十分な多様性を有するものがポリクローナルGOIライブラリーストックを作成するのに用いられる。
ポリクローナル細胞株の凍結ストックは、組み換えポリクローナルタンパク質の製造の開始前に作成されてもよい。製造のための所望のポリクローナル細胞株を得るために、クローンは、凍結するストックを作成する前、ストックから取り出された直後、または増殖および適応時間の直後に混合されうる。
上記に概略される製造戦略に共通する特徴は、組み換えポリクローナルタンパク質を構成する全ての別個のメンバーは、最大で約10個のバイオリアクターのごとき1つまたは限られた数の容器中で産生されうる。
発現レベルが上昇する必要がある場合、遺伝子増幅は、DHFR遺伝子またはグルタミン合成(GS)遺伝子、hprt(ヒポキサンチンホスホリボチルトランスフェラーゼ)またはトリプトファン合成遺伝子を用いて行われうる。これは、かかる選択マーカーを含むベクターの使用を必要とする。本発明の1つの特別な特徴は、細胞の安定性を高く維持するために比較的低いコピー数を保持することである。それゆえ、細胞は、好ましくは、実施例で用いられる構築物のタイプに関して、MTXの低濃度(例えば、1〜10nM)を含むヌクレオシドを含まない培地で比較的中程度の選択圧下で1回の選択に付される。かかる適度の選択圧は、比較的低いコピー数を生じると考えられる。適度の選択圧は、バランスのとれたコピー数を生じ、高い発現を導く一方で極めて高いコピー数の細胞の不安定性を回避すると考えられる。
より高い発現レベルを達成するために、発現に用いられる細胞株は、好ましくは、ポリクローナルタンパク質の発現を制御するプロモーターを高めることができる異種性トランスアクチベーターを含む。トランスアクチベーターおよびプロモーターの適切な組み合わせの例は、以下の表に記載される(表2)。
表2.トランスアクチベーター/プロモーターペアの例
Figure 2011504721
好ましくは、細胞株はトランスアクチベーターをコードする発現構築物でトランスフェクトされ、クローンは限定希釈または単一細胞のクローニングのためのその他の方法を用いて選択される。発現ベクターは、本明細書中で発現ベクターについて記載されるプロモーター、選択マーカーなどのごときエレメントを含んでいてもよい。好ましくは、トランスアクチベーターの発現を制御するプロモーターは、伸長因子1プロモーター、CMVプロモーター、メタロチオネイン−1プロモーターまたはその類似物のごとき構成性プロモーターである。好ましい具体例において、プロモーターはCMVプロモーターである。
特に好ましいのは、アデノウイルスE1Aトランスアクチベーターの使用であり、目的の遺伝子の発現を制御するCMVプロモーターをトランス活性化することに加えて、それ自身における細胞を安定化するようである。他の部分に記載されるごとく、E1A発現は、最初に産生された細胞株、ECHOにおいて検出できなかった。それゆえ、E1Aと細胞の安定性の間の関連は本実験により証明されていない。
ポリクローナルタンパク質の製造において、各タンパク質メンバーは2つ以上のポリペプチド鎖からなり、鎖の組み合わせは、それらが形成するタンパク質の親和性、特異性および活性に重要でありうる。これは、例えば、抗体およびTcRについて見られる。例えば、抗体の親和性および特異性に影響することが知られる抗体可変重鎖および可変軽鎖の組み合わせは、鎖から形成される。このため、ポリクローナルタンパク質の別個のメンバーを構成するポリペプチド鎖は、好ましくは、組み換えに用いられる同一のベクターに配置され、それによりそれらがプロセスを通して一緒に保持されることを確実にする。代替的に、宿主細胞は、重鎖および軽鎖の同族ペアをコードする発現ベクターのペアでトランスフェクトされうる。
以下の記載は、組み換えポリクローナル抗体を発現する細胞株を得る方法の一例である。
可変重鎖およびカッパまたはラムダ軽鎖の全体で囲まれたhead−to−head構築のごとく、反対の転写方向に配列される2つのプロモーターを有する構成性発現用の普遍的なプロモーターカセットが構築されてもよく、それらは、全構築物の選択マーカーおよび重鎖定常領域を含むベクターへの移行を可能にする。誘導可能な発現のためのプロモーターカセットも用いることができるとされる。さらに、プロモーターは、tail−to−tailで配置され、反対方向で転写を生じうるか、または一方向のためのtail−to−headで配置されうる。誘導可能なプロモーターもまた、発現の制御に用いることができる。トランスフェクション後、細胞は、好ましくは、選択条件下で培養されて安定な形質転換体が選択される。
これらの条件下で生存する細胞は、後に、一般的な小培養フラスコ、Nunc多層細胞ファクトリー、小さな高収量バイオリアクター(MiniPerm、INTEGRA−CELLine)、振蘯機、およびスピナーフラスコから中空糸およびバイオリアクターWAVEバッグ(スウェーデン、ターゲルスヴァンゲンのWave Biotech)またはその他の使い捨て管/容器のごとく異なる培養系で増殖されうる。細胞は、ELISAを用いて抗体産生に関してテストされてもよい。ポリクローナル細胞株は、好ましくは、選択圧下で血清を含まない培地における長期間の懸濁培養の生存率について選択される。
発現系における多クローン性の保存の評価
本発明によると、多クローン性が実際に変化した時に産生を中止できるため、発現系における多クローン性が産生中に重大に変化していないことを確認することが大抵の場合に重要である。これは、本発明では変異核酸配列の相対的な発現レベルをモニターすることにより行われうる。発現レベルは、例えば、RFLP解析、アレイまたはリアルタイムPCRを用いるmRNAレベル、あるいは例えば、二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動、質量分析または様々なクロマトグラフィー技術を用いるタンパク質レベルでモニターすることができる。これらの技術を用いて、発現レベルが(全体または相対の両方で)変化したかどうかを測定するために、多くの全ての別個の発現レベルに関する基準値を確立し、次いで産生中の培養物からサンプルを取り出することができる。本発明の通常の実施において、基準値付近の値の範囲が設定され、相対的な発現レベルが範囲外に見出される場合に産生が終結される。
細胞の培養および組み換えポリクローナル抗体の産生
上述のごとく産生されるポリクローナル細胞株は、細胞のゲノムに挿入される変異核酸配列によりコードされる目的のポリクローナルタンパク質を発現するために適当な条件下で適当な培地で増殖されてもよい。細胞培養は、いくつかの工程で実施されてもよい。哺乳動物細胞を用いる場合、選択される細胞は、好ましくは、懸濁ならびに血清を含まない条件における増殖に適応される。血清を含まない培地における増殖への適応はまた、ポリクローナル細胞株についてクローン化された細胞株を混合する前に有利に行われてもよい。適応は、1または2つの工程および選択圧の有無で行われうる。好ましくは、製造された薬剤の純度を落とすことなく製造中に選択できる選択系が用いられる。一般的に、医薬用途のための組み換えタンパク質の製造においては、最終産物が一切の抗生物質の痕跡を含まないことを実証することが必要となるため、例えば、抗生物質またはその他の低分子量薬物を使用することなく選択圧を供することが好ましい。
ポリクローナル細胞株が適切な条件に適応される場合に大規模化が開示されうる。この時、ポリクローナルワーキング細胞ストック(ポリクローナルワーキング細胞バンク、pWCB)および/またはポリクローナルマスター細胞バンク(pMCB)が凍結されうる。好ましくは、30と100リットル間のバイオリアクターが用いられるが、より小さい(5〜10リットル)またはより大きい(1000、5000、10000、15000リットルまで、あるいはさらにより大きい)バイオリアクターが用いられてもよい。適当な産生時間およびバイオリアクターサイズの選択は、バッチからの所望のタンパク質の収量および細胞株からの発現レベルに依存する。時間は、数日から3ヶ月まで変動してもよい。発現された組み換えポリクローナルタンパク質は、細胞または上澄み液から回収されてもよい。組み換えタンパク質は、当業者により知られる手法により精製され、特徴付けられてもよい。精製法の例は以下に列挙される。特徴付けの方法の例は、例えば、WO 2006/007853に見出されうる。
培養上澄み液からの組み換えポリクローナルタンパク質の精製
培養上澄み液からの特定のタンパク質の単離は、タンパク質の物理−化学的特性における相違、例えば、分子量、正味荷電、疎水性、または特定のリガンドもしくはタンパク質に対する親和性における相違を利用する様々なクロマトグラフ技術を用いることが可能である。それゆえ、タンパク質は、分子量を用いるゲルろ過クロマトグラフィーによるか、あるいは正味荷電を用いるイオン交換(陽イオン/陰イオン)クロマトグラフィー、代わりにクロマト分画により分離されてもよい。同様に、タンパク質は、疎水性を用いる疎水性相互作用または電荷誘導クロマトグラフィー、あるいは特定の固定化リガンドまたはタンパク質に対する親和性の相違を利用するアフィニティークロマトグラフィーにより分離されてもよい。それゆえ、タンパク質の複合混合物の分離は、様々なクロマトグラフ原理の連続的な組み合わせにより行われてもよい。したがって、タンパク質の混合物は、例えば、正味荷電を用いるイオン交換クロマトグラフィーにより最初に分離されてもよく、同様の正味荷電のタンパク質は、後に、高濃度の選択された塩の存在下において、分子量を用いるゲルろ過クロマトグラフィーまたは疎水性を用いる疎水性相互作用クロマトグラフィー後に分離されてもよい。
イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用およびゲルろ過のごとき後の精製工程と組み合わせたアフィニティークロマトグラフィーは、異なる供給源、例えば、腹水、細胞培養上澄み液および血清からのIgG(ポリクローナルならびにモノクローナル)およびTcRの精製に高頻度で用いられる。親和性精製は、分離がタンパク質とクロマトグラフマトリックスにカップルした特定のリガンド間の可逆性相互作用に基づき、簡便で迅速な方法であり、より少量で高い選択性、通常、高い能力と濃度を提供する。2つの細菌細胞表面タンパク質、プロテインAとプロテインGは、抗体のFc領域に対して高い親和性を有し、固定化された状態において、様々な種に由来するポリクローナルIgGおよびそのサブクラスの精製、ならびに免疫複合体の吸収および精製を含む、多くの通常の応用に用いられる。
アフィニティークロマトグラフィー後、以降のクロマトグラフィー工程、例えば、イオン交換およびーまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーは、宿主細胞タンパク質、流出したプロテインA、およびDNAを除去するのに用いられうる。
最終精製工程としてのゲルろ過は、二量体およびその他の凝集体のごとき混入分子を除去し、サンプルを保存緩衝液に移すのに用いられうる。供給源および発現状態に応じて、抗体純度の必要とされるレベルを達成するためのさらなる精製工程を含むことが必要となってもよい。それゆえ、疎水性相互作用クロマトグラフィーまたはイオン交換クロマトグラフィーは、治療用途のための抗体を精製するために、プロテインAとゲルろ過クロマトグラフィーと組み合わせてよく用いられる。
精製を容易にするために、ポリクローナル抗体の全てのメンバーが重鎖および/または軽鎖の同一の定常領域を共有することが好ましい。
抗体のその他のクラスを精製するためには、プロテインAとGがIgAとIgMに結合しないため、別のアフィニティークロマトグラフィー媒体が用いられる必要がある。免疫親和性精製が用いられうるか(固体相にカップルされた抗IgAまたは抗IgMモノクローナル抗体)、または別法として、イオン交換と疎水性相互作用を含む多段階精製戦略が採用されうる。
構造の特徴付け
抗体およびTcRのごときポリクローナルタンパク質の構造の特徴付けは、混合物の複雑性(クローン多様性およびグリコシル化)のために高い分解能を必要とする。ゲルろ過、イオン交換クロマトグラフィーまたは電気泳動のごとき従来のアプローチは、別個の抗体間を区別するのに十分な分解能を有さないかもしれない。二次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動(2D−PAGE)は、複合タンパク質混合物のプロファイリング、次いで質量分析(MS)または液体クロマトグラフィー(LC)−MS(例えば、プロテオミクス)に用いられる。2D−PAGEは、タンパク質の荷電と質量に基づいた分離を組み合わせ、血清サンプル中のポリクローナル、オリゴクローナルおよびモノクローナル間を区別するのに有用であることが証明されている。しかし、この方法はいくつかの制約を有する。クロマトグラフ技術、特に、エレクトロスプレーイオン化MSにカップルされたキャピラリーおよびLCは、複合体ペプチド混合物の解析にますます適用されている。LC−MSは、モノクローナル抗体の特徴付けに用いられる。極めて複雑なサンプルの解析は、クロマトグラフ系のより分解する力を必要とし、それは二次元(またはそれ以上)の分離により得られうる。かかるアプローチは、一次元におけるイオン交換、および任意選択的にMSにカップルされた二次元における逆相クロマトグラフィー(または疎水性相互作用)に基づきうる。
機能的な特徴付け
ポリクローナルタンパク質は、例えば、同一の標的に対する特異性または同様の活性を有するポリクローナルタンパク質との比較研究を通して機能的に特徴付けられうる。かかる研究は、インビトロならびにインビボで実施されうる。
ポリクローナル抗体のインビトロの機能的な特徴付けは、例えば、粗細胞溶解物からの標的抗原の分析分離に極めて特異的な技術である免疫沈殿により行われうる。免疫沈殿を、SDS−PAGE、続いてタンパク質染色(クーマシーブルー、銀染色またはビオチン標識)および/または免疫ブロッティングのごときその他の技術と組み合わせることにより、抗原を検出し、定量化し、それにより抗体の機能的な特性のいずれかを評価することができる。この方法は、抗体分子数やそれらの結合親和性の概算を付与するわけではないが、標的タンパク質の視覚化とそれによる特異性を提供する。この方法は、同様に、発現工程中に抗原に対する抗体の潜在的な相違(クローン多様性の完全性)をモニターするのに用いられうる。
ポリクローナル抗体のインビボ機能的な特徴付けは、例えば、感染研究でありうる。マウスのごとき実験動物は、例えば、ポリクローナル抗体が発生された特定のウイルスで感染されうる。感染が阻害されうる程度は、ポリクローナル抗体の機能を指標とする。
治療用組成物
本発明の具体例において、有効成分として免疫グロブリンスーパーファミリーから選択される組み換えポリクローナルタンパク質を含む治療用組成物は、哺乳動物における疾患の治療または予防が意図される。
本発明の好ましい具体例において、医薬組成物は、有効成分として組み換えポリクローナル抗体または抗体フラグメントおよび医薬上許容される賦形剤を含む。
本発明の別の好ましい具体例において、医薬組成物は、有効成分として組み換えポリクローナルT細胞受容体またはT細胞受容体フラグメントおよび医薬上許容される賦形剤を含む。
本発明の医薬組成物は、それ自体公知の手法、例えば、従来の溶解、凍結乾燥、混合、顆粒化または調合工程により調製される。医薬組成物は、従来の薬学的な実施により製剤化されてもよい(例えば、in Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed.), ed. A.R. Gennaro, 2000, Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, PA and Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J. C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New York, NYを参照)。
可能ならば、例えば、有効成分のみ、あるいは有効成分とマンニトールのごとき担体を一緒に含む凍結乾燥組成物の場合には、使用前に溶液または懸濁液を作成するために、有効成分の溶液および懸濁液、特に等張水溶液または懸濁液が好ましく用いられる。医薬組成物は、滅菌されてもよく、および/または賦形剤、例えば、保存剤、安定剤、湿潤および/もしくは乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節するための塩および/または緩衝液を含んでもよく、それ自体公知の手法、例えば、従来の溶解または凍結乾燥プロセスにより調製される。前記溶液または懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンのごとき粘度増加物質を含んでもよい。
注射組成物は、無菌状態下において通常の手法で調製される;同じことが組成物をアンプルまたはバイアルに導入し、容器を密封することにも適用する。
医薬組成物は、約1%から約95%まで、好ましくは、約20%から約90%までの有効成分を含んでもよい。本発明による医薬組成物は、例えば、アンプル、バイアル、座剤、糖衣錠、錠剤またはカプセルの形態のごとき単位用量形態であってもよい。
本発明による組成物の治療用途
本発明による医薬組成物は、哺乳動物における疾患の処置、軽減または予防に用いられてもよい。本医薬組成物で処置されうる疾患は、癌、感染性疾患、炎症性疾患、アレルギー、喘息およびその他の呼吸器疾患、自己免疫疾患、循環器疾患、中枢神経系の疾患、代謝性および内分泌性疾患、移植拒絶および所望されない妊娠を含む。
本発明の1の態様は、動物における疾患の処置、軽減または予防のための方法であって、組み換えポリクローナル抗体または抗体フラグメントの有効量が投与される方法である。さらなる態様において、組み換えポリクローナルT細胞受容体またはT細胞受容体フラグメントの有効量が投与される。
本発明のさらなる態様は、癌、感染性疾患、炎症性疾患、アレルギー、喘息およびその他の呼吸器疾患、自己免疫疾患、循環器疾患、中枢神経系の疾患、代謝性および内分泌性疾患、移植拒絶および所望されない妊娠からなる群から選択される疾患の治療のための組成物の調製のための組み換えポリクローナル抗体または組み換えポリクローナルT細胞受容体または抗体フラグメントまたはT細胞受容体の使用である。
診断用途とおよび環境検出用途
本発明の別の具体例は、診断キットおよび環境検出用途のためのキットならびにこれらのキットを使用する方法を対象とする。本発明によるキットは、本発明により調製された組み換えポリクローナルタンパク質を含み、このタンパク質は、検出可能な標識で標識されてもよく、あるいは非標識用に標識されなくてもよい。標識された場合、本組み換えポリクローナルタンパク質は、標的分子を含むとされるサンプルに添加されてもよく、標識の存在または不在が標的分子の存在または不在を示す。テストされるサンプルは、血液、血清、血漿、髄液、リンパ液または尿のごとき体液サンプルあるいは混入物を有する疑いのある環境供給源からのサンプルのごとき非哺乳動物サンプルであってもよい。非哺乳動物サンプルは、水、空気または混入された土であってもよい。非標識検出は、結合によるBIAcoreにおける屈折率変化の測定を包含し、組み換えポリクローナルタンパク質は標的分子を捕捉するのに用いられる。
実施例
以下の実施例は本発明を例示するが、発明の範囲を限定するものとして考慮されるべきではない。
抗体を発現するCHO細胞クローンの誘導
発現ベクター
用いたIgG発現ベクターを図2aに示す。
E1A発現ベクターを図2bに示す。
細胞株
用いた細胞株は、コロンビア大学のローレンスチェイスンから譲渡された(Gibcoカタログ番号12613−014からも利用可能である)DHFR陰性CHO細胞株DG44の誘導物である。DG44細胞を、ベクターpcDNA3.1+(カタログ番号V790−20、Invitrogen)中におけるアデノウイルスタイプ5トランスアクチベーターE1Aの13SバージョンのcDNA(NCBI受入番号AY339865、cDNA配列:atgagacatattatctgccacggaggtgttattaccgaagaaatggccgccagtcttttggaccagctgatcgaagaggtactggctgataatcttccacctcctagccattttgaaccacctacccttcacgaactgtatgatttagacgtgacggcccccgaagatcccaacgaggaggcggtttcgcagatttttcccgactctgtaatgttggcggtgcaggaagggattgacttactcacttttccgccggcgcccggttctccggagccgcctcacctttcccggcagcccgagcagccggagcagagagccttgggtccggtttctatgccaaaccttgtaccggaggtgatcgatcttacctgccacgaggctggctttccacccagtgacgacgaggatgaagagggtgaggagtttgtgttagattatgtggagcaccccgggcacggttgcaggtcttgtcattatcaccggaggaatacgggggacccagatattatgtgttcgctttgctatatgaggacctgtggcatgtttgtctacagtcctgtgtctgaacctgagcctgagcccgagccagaaccggagcctgcaagacctacccgccgtcctaaaatggcgcctgctatcctgagacgcccgacatcacctgtgtctagagaatgcaatagtagtacggatagctgtgactccggtccttctaacacacctcctgagatacacccggtggtcccgctgtgccccattaaaccagttgccgtgagagttggtgggcgtcgccaggctgtggaatgtatcgaggacttgcttaacgagcctgggcaacctttggacttgagctgtaaacgccccaggccataa)でトランスフェクトした。形質転換体を500μg/ml濃度のジェネテシン(Invitrogen)で選択した。選択後、細胞を限定希釈により単一細胞にクローン化した。クローンを、(上に示される)抗体プラスミドによる一過性トランスフェクションによりCMVプロモーターのトランス活性化(発現の改善)についてテストした。単一クローンは、トランスフェクトされていないDG44細胞株と比較して、3倍改善した一過性アッセイの発現レベルを示した。上昇した発現レベルは、実際のトランスアクチベーションの証拠ではなく、特に高い発現のサブクローンの選択により引き起こされうる。安定なトランスフェクションを用いて行った比較において、選択したプールは、野生型DG44細胞株と比較して、4〜5倍の増加した発現レベルを示した。このクローン(ECHOと呼ぶ)を、2回サブクローン化し、このクローンはCMVプロモーターのトランスアクチベーター(発現の改善)に関して安定であるように見えた。CMVプロモーターの実際のトランスアクチベーションを測定しなかったが、それにもかかわらず、クローンはCMVプロモーターの制御下で抗体の安定で高い発現を示した。
抗体発現プラスミド
用いた抗体発現プラスミドを上述のごとく構築した。このために、異なるワクシニアウイルス表面タンパク質に対して指向される異なる抗体を選択した。それらの各々が、異なる抗体の混合物において同定と定量を可能にするイオン交換クロマトグラフィーの極めて特徴的なプロファイルを有するため、それらを選択した。(WO 2007/065433として公表された名称「Anti-orthopoxvirus recombinant polyclonal antibody」の2006年12月4日付提出の同時係属中のPCT/DK2006/000686で開示される)抗体は:
・Sym002-037(クローン002-037)
・Sym002-186(クローン002-186)
・Sym002-235(クローン002-235)
・Sym002-286(クローン002-286)
・Sym002-303(クローン002-303)
・Sym002-482(クローン002-482)
であった。
IgG ELISA
IgGをサンドイッチELISAにより測定した。簡単に説明すると、96−ウェルプレート(Maxisorp、NUNC)をヤギ抗ヒトFc(Serotec、STAR106)でコートし、次いでサンプルおよび標準物質(精製したヒトモノクローナルIgG1カッパ抗体)とインキュベートした。西洋ワサビペルオキシダーゼと抱合したヤギ抗ヒトカッパ軽鎖(Serotec、STAR100P)で検出を行った。
ECHO細胞のトランスフェクション
ECHO細胞を、10%ウシ胎児血清(FCS)(Invitrogen)含有のヌクレオシド(Invitrogenカタログ番号32571)を含むMEMアルファ培地中に1フラスコあたり0.30×10個の細胞密度でT80フラスコに播種した。播種から1時間以内に、Fugene6(Roche)を用いてトランスフェクトした:
・10μlのFugene6を490μlのダルベッコ改変イーグル培地と混ぜ、室温で5分間インキュベートする
・5μgの発現プラスミドを添加し、混合物を室温でさらに15分間インキュベートする
・混合物を細胞培養フラスコに添加する
翌日、トランスフェクション試薬を含む培地を吸引し、各フラスコを、10%の透析FCS(Invitrogen)を含む5mlの(ヌクレオシドを含まない)MEMアルファ培地(MEMアルファ−)で1回洗浄し、10mlの同一培地を2nMの濃度のメトトレキサートと一緒に添加した。この後、培地を1週間に1回交換した。
15日後、細胞をトリプシン処理し、全ての細胞を新しいフラスコに移した。さらに2日の培養後、培地を交換し、翌日、培地を吸引し、細胞をカウントし、生産性をIgG ELISAで測定した。結果を表3に示す。生産性を、採取時の細胞数を用いて、1日あたりの1細胞あたりのピコグラムとして算出する。
Figure 2011504721
表3
トランスフェクトされたプールの細胞カウント、培地のIgG含有量および特定の細胞生産性
単一細胞クローンの産生に関して、プール中の細胞を表面結合抗体で染色し、50%のEHO細胞で調整した培地(MEMアルファ−)および調整していない50%の同一培地を含む96ウェルプレートに単一細胞に選別した。
簡単に説明すると、染色プロトコルは以下のとおりであった:
1.細胞をトリプシン処理し、カウントする
2.1〜5×10個の細胞を滅菌FACSにピペットする
3.250gで4℃にて1分間スピンして落とし、上澄み液を取り除く
4.2mlの滅菌FACS PBS(PBS+2% FCS)(5ml)中の細胞を洗浄する
5.細胞を、Ab/10個の細胞の割合で希釈した100μl中に1:20で希釈した(ヤギF(ab)2 フラグメント抗ヒトIgG H+L−PE(Beckman−Coulter、IM1626)で染色し、(暗中4℃で)20分間インキュベートする
6.細胞を2mlのFACS PBS(5ml)で2回洗浄する
7.FACS PBS(2ml)中に1〜5×10/mlに再懸濁する
8.ヨウ化プロピジウムを10μg/ml 1:100で添加する
適切なゲートを設定し、細胞をFACS−Aria(Beckton−Dickinson)を用いて96ウェルプレート(1抗体あたり5つのプレート)に単一細胞に選別した。
約1週間後、ウェルを、単一クローンの存在について顕微鏡により検査した。
約2週間後、単一クローンの入ったウェルからの上澄み液を、ELISAにより1回希釈でそれぞれアッセイし、ELISA値およびウェルの目視検査に基づき、各抗体を表す24個のクローンを継続する培養として選択した。細胞数と形態に関して、目視検査を抗体発現レベルの選択と組み合わせて用い、クローンを選択した。選択したクローンを消耗(exhaustion)アッセイでさらにテストした:簡単に説明すると、細胞を24ウェルプレートに播種し、ほとんどの細胞が死滅するまで増殖させた。上澄み溶液をELISAによりアッセイし、各抗体について上位10個のクローンを、血清を含まない懸濁培養への適応について選択した。
血清を含まない懸濁培養への適応
細胞をトリプシン処理し、カウントした。5×10個の細胞を遠心分離し、10ml ProCHO4血清を含まない培養(Cambrex)に再懸濁した。細胞を50mlの細胞培養チューブ(スイスのTRP)に移し、37℃で振蘯機においてインキュベートした。細胞密度を1週間に2回カウントし、毎回、細胞を、1mlあたり0.5×10個の細胞(最初の2週間について)または1mlあたり0.3×10個の細胞(残りの期間について)に希釈した。4〜5週間後、ほとんどの細胞の倍加時間が30時間に近づき、この時点でそれらが血清を含まない培養に適応したと考えた。
適応期間の終了後、細胞をELISAによりアッセイし、10%DMSOの培地中で凍結し、発現実験に使用した(以下の実施例2を参照)。
発現実験
長期間にわたる混合培養の組成物の安定性をテストするために、クローンの多くの混合物を調製した。適応期間中になされた計数に基づいて、倍加時間を可能な限り考慮に入れた。同様の倍加時間を有するクローンを合わせるように注意した。全部で9個の混合物を調製した:
・混合物1〜5:各々において、各抗体に関する単一クローンを用いた
・混合物6:各抗体に関して2つのクローンを用いた
・混合物7:各抗体に関して5つのクローンを用いた
・混合物8:各抗体に関して3つのクローンを用いた
・混合物9:各抗体に関して5〜7個の全て利用可能なクローンを用いた
(1〜7個のクローンに由来する各抗体に関して)各抗体を表す細胞数が混合物中の総数の1/6を構成するようにクローンを混合した。
実施例1に記載されるごとく50mlの培養チューブ中で実験を実施した。用いた培地はProCHO4であり、総培養容積は10mlであった。1mlあたり0.3×10個の細胞の濃度で実験を開始した。培養物を、3および4日の間隔で1週間に2回1mlあたり0.3×10個の細胞に希釈した。1週間に1回、ELISAおよびイオン交換クロマトグラフィー解析のためにサンプルを採取した。最初のサンプルを4日目に、最後のサンプルを35日目に採取した。
9個の混合物についてのELISA値を図3に示す。
開始から終了までの算出した細胞***数は、約25から約27まで混合物で相違した。このことは、記載のごとく、培養物を1週間に2回希釈するが、各時点で全体の容積を保った場合、終了時の総容積が43000から152000リットルの間で変動するであろうことを意味する。工業における大規模な哺乳動物細胞培養は、典型的に、15000リットルまでであって、これは、本明細書に記載される混合実験が、培養時間と継代数に関する限り、工業規模における培養の正当な模擬実験であることを意味する。
細胞の生産性は、いくつかの混合物で減少の傾向を示しながら、5週間にわたり比較的一定であるように見える。
IgG組成物の解析
5〜10mlの0.22μmでろ過した培地上澄み液を、1mlのMabSelect Sureカラム(GE Healthcare)上にロードした。製造業者により説明されるごとく、カラムを10ml PBSでpH7.4にて洗浄し、0.1M グリシンでpH2.7にて溶出した。プールしたタンパク質素材を、40mM NaCl、50mM 酢酸Na、pHに対して2回透析し、合計のIgG濃度を、280nMの吸光度を測定することにより調べた。
60μgのIgG混合物を、PolyLCに由来する弱い陽イオン交換カラムPolyCat A(100×4、6mm、3μm、1500Å)上にロードした。タンパク質を、酢酸Na中にpH5.0で150から500mM NaClの勾配を1ml/分の流入で72分かけて適用することにより溶出した。溶出液の215nm吸光度をモニターし、別個のIgGの相対量をシグナルの積分により決定した。
図3において、MabSelect精製後に混合物8より最初と最後に収集されたIgG組成物の陽イオン交換クロマトグラフ解析を示す。図に示されるように、別個のAbsがそれらの4つがベースラインと分離して十分に分離する。それゆえ、UVシグナルの積分は、サンプル中の相対的なIgG濃度の極めて正確な測定を与える。
全ての混合物を上述のごとく解析し、各混合物中の各抗体含有量を算出した。
6個の異なる抗体間の極めて均一な配分が開始サンプルでは見られる。観察される相違は、混合物中で用いるクローン間の異なる発現レベルを反映しうる。各サンプルの抗体含有量を図5で図示する。驚くべきことに、全ての抗体を、全ての最後のサンプルにおいて明確に同定することができた。各抗体を表す単一クローンより多くのクローンを有する混合物(混合物6〜9)において、最後のサンプルにおける抗体のより均一な配分への傾向が存在することも観察される。
ECHOにおけるE1Aの発現
ECHOにおけるE1Aの発現を調べるために、E1A mRNAレベルを、SYBRグリーンを用いる定量逆転写リアルタイムPCR(qRT−PCR)により決定した。qRT−PCR法は、標的配列のPCR増幅に基づく。二本鎖DNAに結合した時に緑色の光を励起するDNA結合色素、SYBRグリーンの存在下でPCRを実施する。このことは、各増幅ラウンド後における二本鎖DNAのリアルタイム定量を可能にする。
PCRの開始段階で二本鎖DNA量が少ない場合、結合したSYBRグリーン色素からのシグナルはバックグラウンドのノイズと区別できない。しかしながら、増幅プロセスの間にシグナルはノイズを上回って増加し、二本鎖の生成が従いうる。この方法において、サンプル中に最初に存在する標的の相対量を、特定の閾値を超えるためにSYBRグリーンシグナルに必要とされるサイクルに基づいて決定することができる。達成されるべき閾値の正確な値は、最初の標的量の相対的な比較に用いられうるCt値である。
材料と方法
総RNAを、Qiagenから提供されるRNeasy Mini Kitカタログ番号74104を用いて、製造業者により推奨されるごとく、3.0E+06のECHOおよびHek293細胞から抽出した。RNAサンプルの濃度と品質を、Eukaryote Total RNA Nano Series II assayと一緒に、Agilentから提供される2100 Bioanalyzerを用いて決定した。品質を、1が分解されているRNA、10が無傷のRNAを示す1〜10の間のRNA品質ナンバー(RIN)として調べた。ECHO RNAは9.5のRINを示し、HEK293は8.9のRINを示した。各サンプルのcDNAを、開始物質として800ng RNAを用いて、Qiagenから提供されるQuantiTect Reverse Transcription Kit カタログ番号205311により作成した。Hek293 cDNAを25×に希釈し、一方でECHO cDNAを2倍に希釈した。qRT−PCRを、Stratageneから提供されるBrilliant SYBR Green QPCR Master Mix カタログ番号600548を用いてStratagne Mx3005Pにおいて行った。熱サイクリング条件:95℃で10分の保温;95℃で15秒の変性、60℃で1分のアニーリングおよび72℃で30秒の伸長の40サイクル;55〜95℃からの融解曲線分析。用いたプライマー(E1A−696bpF:5’−TGACTCCGGTCCTTCTAACACA−‘3、E1A−772bpR:5’−TCACGGCAACTGGTTTAATGG−‘3)は、E1A遺伝子の3’末端における77bpフラグメントを標的とする。
結果
ECHO細胞におけるE1Aの発現を、qRT−PCRアッセイを用いて解析し、それは、E1A mRNAをこのアッセイで増幅し、検出できないことを示し、ECHO細胞株がE1Aタンパク質を発現しないことを強く示した。陽性コントロールとして、アデノウイルスDNAのフラグメントにより形質転換され、比較的高いレベルでE1Aを発現することが知られるヒト293細胞株を用いた。
qRT−PCRは、Hek293サンプルにおける増幅、陽性コントロールCt=18.74を示すが、NTC(鋳型コントロールなし)およびECHOサンプルのどちらも増幅が見られなかった。
Figure 2011504721
バイオリアクター実験のための細胞バンクの調製
組成物の安定性の研究のためのバイオリアクター実験を行うことができるために、マスターおよびワーキング細胞バンクを調製した。この実験においては、実施例1に記載されるごとく6個の異なる抗体を発現するECHO細胞のクローンを使用した。用いたクローンを、培地ProCHO4における血清を含まない懸濁培養に適応した。
マスター細胞バンク
クローンを溶解し、しばらく懸濁培養で回復させた。4個の混同したマスター細胞バンクを、以下の明細書による指数増殖における細胞から調製した:
・細胞を対数増殖期に凍結した
・6個の抗体全てを各細胞バンクで示した
・各抗体を示す等量の細胞数を混合した
・混合物1A〜3Aは1抗体あたり単一クローンを含んだ
・混合物4Aは1抗体あたり3個のクローンを含んだ
・20×10個の細胞をそれぞれ含む10個のアンプルを1つの混合物あたり凍結した
・凍結培地:10%DMSOを含有する培地(ProCHO4)
ワーキング細胞バンク
1つの混合物あたり1つの凍結アンプルを溶解した。混合物を、ワーキング細胞バンクの調製前に8〜10日間培養を続けた:
・細胞を対数増殖期に凍結した
・20×10個の細胞をそれぞれ含む10個のアンプルを1つの混合物あたり凍結した
・凍結培地:10%DMSOを含有する培地(ProCHO4)
バイオリアクターにおける組成物の安定性
ワーキング細胞バンクの1つの混合物あたり1つの凍結アンプルを溶解し、細胞を、バイオリアクター培養を開始した時点から14日間シードトレイン(seed train)として培養を続けた:
各シードトレインを、250mlの開始培地中に0.6×10個の細胞/mlで2つのバイオリアクターに播種するのに用いた(ProCHO4+5mM グルタミン+1/100非必須アミノ酸)。
播種後2日から14日までフィード(feed)培地(ProCHO4+6g/Lグルコース+5mMグルタミン+1/100非必須アミノ酸)で培養に供し、16日目の採取で〜585mlの体積を生じた。
以下のパラメーターをDASGIPバイオリアクター(単位1〜8)で調節した:
表4.一般的なバイオリアクター工程パラメーター
Figure 2011504721
毎日5mlのサンプルを生存率、生存細胞数、IgG産生および代謝の解析のために採取した。類似する生存率および生存細胞数を有することが予想されたので全ての培養物について実施した。さらなる10mlを、(9日目および14日目の)シードトレインならびにアンプルの溶解後20日目、24日目、28日目および30日目の各バイオリアクター(単位1〜8)からのイオン交換クロマトグラフィー解析によるIgG組成物の解析のために採取した。
IgG組成物の解析を上述の実施例2のごとく行った。
全ての混合物を上述のごとく解析し、4つの混合物の各サンプルにおける各抗体の含有量を算出した。培養物からのIgGの全収量は約150から250mg/Lの範囲であった。
各サンプルの抗体含有量を5に図示する。驚くべきことに、全ての抗体を、全てのサンプルで明確に同定することができる。組成物は、14日のシードトレイン培養、その後の16日のバイオリアクターランの間、クローンが喪失したり、変化することがないようであった。組成物は入力するクローンにより異なる。
混合物について特定のクローンを選択することにより最終産物中の別個の抗体の相対的な配分を調べることもできるようである。

Claims (60)

  1. 2個からn個までの別個のメンバーを含むポリクローナルタンパク質を発現することができるポリクローナル細胞株の作成のための方法であって、前記方法が:
    a)発現ベクターの1セットであって、前記ベクターの各々が前記ポリクローナルタンパク質の別個のメンバーをコードする別個の核酸の少なくとも1コピーを含むものを提供し;
    b)発現ベクターの細胞ゲノムへの部位特異的な組み込みを回避する条件下で、前記発現ベクターの各々で宿主細胞を別々にトランスフェクトし、それにより2からn個の細胞の組成物であって、各々の組成物がポリクローナルタンパク質の1つの別個のメンバーを発現するものを得て;
    c)前記2からn個の細胞の組成物を混合してポリクローナル細胞株を得ること
    を含む、方法。
  2. 発現ベクターがエピソームベクターである、請求項1記載の方法。
  3. 発現ベクターが、宿主細胞の1つまたはそれ以上の染色体に安定的かつ無作為に組み込まれる、請求項1記載の方法。
  4. 工程b)で得られたトランスフェクトされた細胞がクローン化される、請求項1〜3のいずれか記載の方法。
  5. 細胞が、FACSクローニングを用いてクローン化される、請求項4記載の方法。
  6. クローンが、増殖率、倍加時間、発現レベル、産生レベル、長期間にわたる産生の安定性、生存率、耐性、構造安定性、形態、およびコピー数:からなる群から選択される少なくとも1つの判断基準について選択される、請求項4または5記載の方法。
  7. クローンが、少なくとも1つの判断基準に関する均一性について選択される、請求項6記載の方法。
  8. 倍加時間および発現レベルに関する均一性について選択することを含む、請求項7記載の方法。
  9. 1個より多くのクローンが、各々別個のポリクローナルタンパク質のメンバーについて選択される、請求項4〜8のいずれか記載の方法。
  10. 2個のクローンが、各々別個のポリクローナルタンパク質のメンバーについて選択されるか、あるいは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、または100個のクローンが選択される、請求項9記載の方法。
  11. 異なる別個のメンバーを発現する前記細胞の組成物が、1:1の比率で混合される、請求項1〜10のいずれか記載の方法。
  12. 前記細胞の組成物が、1:1の比率とは異なる比率で混合される、請求項1〜10のいずれか記載の方法。
  13. 発現ベクターが、ポリクローナルタンパク質をコードする配列における変動を除いて同一である、請求項1〜12のいずれか記載の方法。
  14. 宿主細胞が、トランスフェクション前の1つのクローンに由来するものである、請求項1〜13のいずれか記載の方法。
  15. ポリクローナル抗体が多量体タンパク質である、請求項1〜14のいずれか記載の方法。
  16. 1つの発現ベクターが、1つの別個のポリクローナルタンパク質のメンバーの全てのサブユニットをコードする、請求項15記載の方法。
  17. 工程a)における発現ベクターのセットが発現ベクターの2つまたはそれ以上のサブセットからなり、第1のサブセットが、タンパク質の1つのサブユニットをコードする変異核酸配列を含み、第2のサブユニットが、タンパク質の別のサブユニットをコードする変異核酸配列を含むものであって、各トランスフェクションが、第1のサブユニットに由来するメンバーおよび第2のサブユニットに由来するメンバーの発現ベクターを用いて実施されるものである、請求項15記載の方法。
  18. 発現ベクターまたはさらなる発現ベクターが選択可能なマーカーをコードする、請求項1〜17のいずれか記載の方法。
  19. 細胞が、選別可能なマーカーを発現する細胞の増殖に適当な条件下で継続的に培養される、請求項18記載の方法。
  20. 選択可能なマーカーが、宿主細胞が欠失する遺伝子産物を含む、請求項18記載の方法。
  21. 選択可能なマーカーが、ポリペプチドメンバーまたは前記ポリペプチドメンバーのサブユニットをコードする転写物によりコードされるものであって、好ましくは、選択可能なマーカーが、最も大きなサブユニットをコードする転写物によりコードされるものである、請求項18記載の方法。
  22. ポリクローナルタンパク質が宿主細胞に本来的に関連するものではない、請求項1〜21のいずれか記載の方法。
  23. ポリクローナルタンパク質が、ポリクローナル抗体またはポリクローナル抗体フラグメントである、請求項1〜22のいずれか記載の方法。
  24. 工程a)における発現ベクターのセットが発現ベクターの2つのサブセットからなり、第1のサブセットが、抗体重鎖をコードする変異核酸配列を含み、第2のサブセットが、抗体軽鎖をコードする変異核酸配列を含むものであって、各トランスフェクションが、発現ベクターの第1のサブセットに由来するメンバーおよび第2のサブユニットのためのメンバーを用いて実施されるものである、請求項16記載の方法。
  25. ポリクローナル抗体が、重鎖または軽鎖、好ましくは重鎖の同一の定常領域を有する、請求項23記載の方法。
  26. ポリクローナルタンパク質が、ポリクローナルT細胞受容体またはポリクローナルT細胞受容体のフラグメントである、請求項1〜22のいずれか記載の方法。
  27. 宿主細胞が原核生物のものである、請求項1〜26のいずれか記載の方法。
  28. 宿主細胞が真核生物のものである、請求項1〜26のいずれか記載の方法。
  29. 真核生物の細胞が、植物、酵母、真菌、脊椎動物または無脊椎動物からなる群から選択されるものである、請求項28記載の方法。
  30. 真核生物の細胞が、チャイニーズハムスター卵母(CHO)細胞、COS細胞、BHK細胞、骨髄腫細胞(例えば、Sp2/0細胞、NS0、YB2/0)、NIH3T3、線維芽細胞、あるいはHela細胞、HEK293細胞、またはPER.C6を含む不死化ヒト細胞からなる群から選択されるものである、請求項28記載の方法。
  31. 宿主細胞が、ポリクローナルタンパク質の発現のためにコードするプロモーターをトランス活性化することができる組み換えトランスアクチベーターを発現する、請求項28記載の方法。
  32. ポリクローナルタンパク質の製造のための方法であって、前記方法が:
    a)請求項1〜31のいずれかの方法を用いて得られるポリクローナル細胞株を提供し;
    b)ポリクローナルタンパク質の発現を可能にする条件下で、ポリクローナル細胞株を培養し;次いで
    c)細胞または培地からポリクローナルタンパク質を回収し、任意選択的に精製すること
    を含む、方法。
  33. 混合した組成物が、振とうフラスコ、使い捨てバイオリアクター、バイオリアクターのごとき容器中で培養される、請求項32記載の方法。
  34. ポリクローナルタンパク質の別個のメンバーの1つの集団を発現する1つのポリクローナル細胞株が、1つの容器中で培養され、ポリクローナルタンパク質の別個のメンバーの第2の集団を発現する少なくとも第2のポリクローナル細胞株が、第2の容器中で培養され、次いで各容器に由来するポリクローナルタンパク質が精製前または後に混合される、請求項33記載の方法。
  35. 回収され、任意選択的に精製されるポリクローナルタンパク質における別個のメンバーの各々の存在を確認する工程をさらに含む、請求項32〜34のいずれか記載の方法。
  36. 2からn個の細胞集団を含むポリクローナル細胞株であって、各集団が組み換えポリクローナルタンパク質の別個のメンバーを発現するものであって、細胞がゲノムに無作為に組み込まれる少なくとも1つの発現構築物を含むものである、細胞株。
  37. 少なくとも1つの発現構築物が、1つまたはそれ以上の染色体に組み込まれる、請求項36のポリクローナル細胞株。
  38. nが、3またはそれ以上、例えば、4またはそれ以上であり、例えば、5またはそれ以上であり、例えば、6またはそれ以上であり、例えば、7またはそれ以上であり、例えば、8またはそれ以上であり、例えば、9またはそれ以上であり、例えば、10またはそれ以上であり、例えば、11またはそれ以上であり、例えば、12またはそれ以上であり、例えば、13またはそれ以上であり、例えば、14またはそれ以上であり、例えば、15またはそれ以上であり、例えば、16またはそれ以上であり、例えば、17またはそれ以上であり、例えば、18またはそれ以上であり、例えば、19またはそれ以上であり、例えば、20またはそれ以上であり、例えば、21またはそれ以上であり、例えば、22またはそれ以上であり、例えば、23またはそれ以上であり、例えば、24またはそれ以上であり、例えば、25またはそれ以上であり、例えば、26またはそれ以上であり、例えば、27またはそれ以上であり、例えば、28またはそれ以上であり、例えば、29またはそれ以上であり、例えば、30またはそれ以上であり、例えば、35またはそれ以上であり、例えば、40またはそれ以上であり、例えば、45またはそれ以上であり、例えば、50またはそれ以上であり、例えば、60またはそれ以上であり、例えば、70またはそれ以上であり、例えば、80またはそれ以上であり、例えば、90またはそれ以上であり、例えば、100またはそれ以上である、請求項36または37記載のポリクローナル細胞株。
  39. nが、50より小さく、例えば、45より小さく、例えば、40より小さく、例えば、35より小さく、例えば、30より小さい、請求項36〜38のいずれか記載のポリクローナル細胞株。
  40. 組み換えポリクローナルタンパク質の1つの別個のメンバーを発現する細胞が、1個またはそれ以上のクローン化された細胞であって、例えば、2個またはそれ以上に由来し、例えば、3個またはそれ以上であり、例えば、4個またはそれ以上であり、例えば、5個またはそれ以上であり、例えば、6個またはそれ以上であり、例えば、7個またはそれ以上であり、例えば、8個またはそれ以上であり、例えば、9個またはそれ以上であり、例えば、10個またはそれ以上であり、例えば、11個またはそれ以上であり、例えば、12個またはそれ以上であり、例えば、13個またはそれ以上であり、例えば、14個またはそれ以上であり、例えば、15個またはそれ以上であり、例えば、16個またはそれ以上であり、例えば、17個またはそれ以上であり、例えば、18個またはそれ以上であり、例えば、19個またはそれ以上であり、例えば、20個またはそれ以上であり、例えば、21個またはそれ以上であり、例えば、22個またはそれ以上であり、例えば、23個またはそれ以上であり、例えば、24個またはそれ以上であり、例えば、25個またはそれ以上であり、例えば、26個またはそれ以上であり、例えば、27個またはそれ以上であり、例えば、28個またはそれ以上であり、例えば、29個またはそれ以上であり、例えば、30個またはそれ以上であり、例えば、35個またはそれ以上であり、例えば、40個またはそれ以上であり、例えば、45個またはそれ以上であり、例えば、50個またはそれ以上であり、例えば、60個またはそれ以上であり、例えば、70個またはそれ以上であり、例えば、80個またはそれ以上であり、例えば、90個またはそれ以上であり、例えば、100個またはそれ以上である、請求項36〜39のいずれか記載のポリクローナル細胞株。
  41. ポリクローナルタンパク質が多量体タンパク質である、請求項36〜40のいずれか記載のポリクローナル細胞株。
  42. 各発現構築物が多量体タンパク質のサブユニットをコードする、請求項41記載のポリクローナル細胞株。
  43. サブユニットの発現が、同一または同質のプロモーターの制御下にある、請求項41または42記載のポリクローナル細胞株。
  44. 発現構築物が選択可能なマーカーをコードする、請求項36〜43のいずれか記載のポリクローナル細胞株。
  45. 選択可能なマーカーが、ポリペプチドメンバーまたは前記ポリペプチドメンバーのサブユニットをコードする転写物によりコードされる、請求項44記載のポリクローナル細胞株。
  46. ポリクローナルタンパク質が、宿主細胞に本来的に関連するものではない、請求項36〜45のいずれか記載のポリクローナル細胞株。
  47. ポリクローナルタンパク質が、ポリクローナル抗体またはポリクローナル抗体フラグメントである、請求項36〜46のいずれか記載のポリクローナル細胞株。
  48. 発現ベクターのセットが、発現ベクターの2つのサブセットからなり、第1のサブセットが、抗体重鎖をコードする変異核酸配列を含み、第2のサブセットが、抗体軽鎖をコードする変異核酸配列を含むものであり、各トランスフェクションが、発現ベクターの第1のサブセットに由来するメンバーおよび第2のサブセットに由来するメンバーを用いて実施されるものである、請求項47記載のポリクローナル細胞株。
  49. ポリクローナル抗体の全てのメンバーが同一のアイソタイプのものである、請求項47または48のポリクローナル細胞株。
  50. ポリクローナルタンパク質が、ポリクローナルT細胞受容体またはポリクローナルT細胞受容体フラグメントである、請求項36〜46のいずれか記載のポリクローナル細胞株。
  51. 宿主細胞が原核細胞のものである、請求項36〜50のいずれか記載のポリクローナル細胞株。
  52. 宿主細胞が真核細胞のものである、請求項36〜50のいずれか記載のポリクローナル細胞株。
  53. 細胞が、ポリクローナルタンパク質のメンバーのためにコードするプロモーターをトランス活性化することができるトランスアクチベーターをコードする安定的に組み込まれた発現構築物を含む、請求項36〜52のいずれか記載のポリクローナル細胞株。
  54. 構成プロモーターに作動可能に連結されたアデノウイルスタイプ5トランスアクチベーターE1Aをコードする安定的に組み込まれた核酸を含む、DHFR陰性CHO細胞。
  55. 細胞株がDG44細胞株に由来する、請求項54記載の細胞株。
  56. 細胞株が、目的のポリペプチドをコードする安定的に組み込まれた発現構築物の少なくとも1コピーをさらに含む、請求項54または55記載の細胞株。
  57. 目的のポリペプチドが多量体タンパク質であり、好ましくは多量体タンパク質が抗体である、請求項56記載の細胞株。
  58. 目的のポリペプチドをコードする発現構築物が、dhfrをさらにコードする、請求項56または57記載の細胞株。
  59. dhfrおよび目的のポリペプチドの少なくとも1つのサブユニットが同一の転写物によりコードされるものであり、好ましくは、dhfrが最も大きいサブユニットをコードする転写物によりコードされるものである、請求項58記載の細胞株。
  60. 目的のポリペプチドの発現が、E1Aによりトランス活性化可能である1つまたはそれ以上のプロモーターにより制御されるものであり、好ましくは、プロモーターがCMVプロモーターであるか、またはCMVプロモーターに由来するものである、請求項56〜59のいずれか記載の細胞株。
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