JP2011231294A - インクジェットインク - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷のかすれやサーマルシャットダウン等を生じにくいインクジェットインクを提供する。
【解決手段】水、非プロトン性極性溶媒、着色剤、および式(1):
2n+1CHCHO(CHCHO)H (1)
[式中nは2〜16、mは0〜15の数を示す。]
で表されるフッ素系界面活性剤を含み、前記非プロトン性極性溶媒の含有割合を、総量の40質量%以上、75質量%以下としたインクジェットインクである。
【選択図】なし

Description

本発明は疎水性媒体、特にオフセットコート紙等のオフセットコート媒体に印刷するのに適した水性のインクジェットインクに関するものである。
水性のインクジェットインクを用いたインクジェット印刷では、上質紙等の通常の紙類や、あるいは典型的に高いインク吸収性を有するように設計された専用紙等の、基本的に良好な吸水性を有する媒体に印刷するのが一般的である。
これに対し、オフセット印刷用として適したオフセットコート媒体は、基材の表面を疎水性でかつ非多孔質のコーティング膜によって被覆しているため、水性のインクジェットインクを用いた印刷には適していなかった。
すなわち、前記コーティング膜は一般にアクリル系樹脂等によって形成され、水性のインクジェットインクを吸収しないため、前記インクジェットインクがコーティング膜の表面ではじかれたり滲んだりしやすい。そのためエッジがシャープで鮮明で、画質の良好な画像や文字を印刷できないという問題がある。
また印刷したインクジェットインクはコーティング膜の表面ではじかれて、拡がらずに、球状等のできるだけ表面積の小さい形状にまとまろうとする傾向があるため乾燥しにくい上、乾燥してもインクジェットインク中に含まれる顔料等の着色剤が前記コーティング膜の表面に十分に定着されないため、例えばこすると印刷が簡単に滲んでしまうといった問題もある。
かかる疎水性のコーティング膜の表面に、水性のインクジェットインクを用いて良好な印刷をするためには、前記インクジェットインクに、水と良好な相溶性を有する上、前記コーティング膜に対して良好な浸透性を有する有機溶媒を加えるのが有効であると考えられる。
前記の条件を満足する有機溶媒としては、例えばアルコール等のプロトン性極性溶媒がよく知られている。しかしプロトン性極性溶媒は、着色剤としての顔料等の分散性を向上させるべくインクジェットインク中に配合される界面活性剤の機能を阻害して、前記分散性を低下させるという問題がある。そのため前記の条件を満足し、しかも界面活性剤の機能を阻害しない非プロトン性極性溶媒が好適に使用される。
例えば特許文献1には、特定の分子量を有する非プロトン性極性溶媒を選択するとともに、前記非プロトン性極性溶媒をインクジェットインクの総量の40質量%以上、75質量%以下の範囲内で含有させたインクジェットインクが記載されている。
かかるインクジェットインクは、前記非プロトン性極性有機溶媒の作用により、オフセットコート媒体の疎水性のコーティング膜に対する浸透性に優れている。そのため前記コーティング膜の表面に、現状よりもシャープかつ鮮明で、しかも乾燥性や定着性に優れた良好な印刷をすることができる。
しかし前記特許文献1に記載のインクジェットインクを用いて高速で印刷をすると印刷がかすれやすいという問題がある。また、発熱素子を用いてインクジェットインクを加熱することで気泡を発生させて、前記気泡の発生による体積増加分のインクジェットインクをノズルから吐出させて印刷をする、いわゆるサーマル方式のインクジェットプリンタに前記インクジェットインクを用いて高速で印刷をした場合には、前記発熱素子が異常に高温となってプリンタの安全装置が作動して印刷が中断される、サーマルシャットダウンと呼ばれる現象を生じやすいという問題もある。
これらの原因は、非プロトン性極性溶媒を多量に含有させるとインクジェットインクの粘度が上昇し、流動性が低下することにある。
すなわちベタパターンを連続印刷する等、比較的短時間で多量のインクを消費する印刷をする際に、使用するインクジェットインクの粘度が高く、流動性が低いと、ノズルからの吐出量に対して補給量が追いつかない補給不足が発生して印刷がかすれやすい。
またサーマル方式のインクジェットプリンタでは、インクジェットインクが発熱素子を冷却する冷媒としての役割も担っているため、前記補給不足が発生すると発熱素子が十分に冷却されないため温度が異常に上昇して、前記発熱素子自体やその周囲の部材等が熱によって破損するおそれがある。
そこでサーマル方式のインクジェットプリンタには、発熱素子の温度をモニタリングして、前記温度が設定値を超えた際に安全装置を作動させて印刷を中断するサーマルシャットダウンの機能が付加される場合があり、かかる機能が付加されたインクジェットプリンタに前記インクジェットインクを用いて、特にベタパターンの連続印刷等をした際にはサーマルシャットダウンが発生しやすい。
特許文献2には、かかる印刷のかすれやサーマルシャットダウンの発生を抑制するために、水Hと非プロトン性極性溶媒Pとを、質量比H/Pで表して1.5以上、5.5以下という水リッチの状態としてインクジェットインクの粘度を低く、流動性を高くすることが記載されている。前記質量比H/Pから推測される、特許文献2における非プロトン性極性溶媒の含有割合は、インクジェットインクの総量の40質量%未満である。
再公表特許WO2006/004006号公報 特開2008−274037号公報
しかし、前記特許文献2に記載のインクジェットインクは、非プロトン性極性溶媒より揮発しやすい水の含有割合が特許文献1に記載のものに比べて多いため乾燥しやすい。
そのためインクジェットプリンタの種類や動作によっては、前記インクジェットインクの乾燥によるノズルの詰まりが発生して却って印刷がかすれやすいという新たな問題を生じる。
すなわちサーマル方式のインクジェットプリンタは、印刷に使用する色数に応じた各色のインクジェットインクごとに、印刷するドットピッチに合わせた複数のノズルと、それぞれのノズルに個別に連通させた、発熱素子を内蔵するインク室とを設けたヘッドを備えている。
そして印刷する色調や色濃度等に合わせて前記複数の発熱素子のいずれかに選択的に通電して発熱させて、前記発熱された発熱素子を内蔵するインク室に連通する特定のノズルからインク滴を吐出させることで、前記オフセットコート媒体等の表面に任意の画像や文字が印刷される。
ところが印刷する画像や文字の種類等によっては、印刷時に比較的長時間に亘ってインク滴が吐出されないノズルが発生する。
インクジェットプリンタの待機時や停止時には、通常、ヘッドはプリンタのホームポジションに戻されてノズル内のインクジェットインクがノズル外の空気に曝されないように保護されるためノズルの詰まりは生じにくい。
しかし印刷時に、インク滴が吐出されないノズル内のインクジェットインクは、次に発熱素子に通電されてインク滴が再吐出されるまでの間、保護されずにノズル外の空気に曝され続けることになり、この空気に曝され続ける時間が長いほど、インクジェットインクがノズル内で乾燥してノズルの詰まりを生じやすくなる傾向がある。
特に前記のように乾燥しやすい特許文献2に記載のインクジェットインクを使用した際にはこの傾向が強く、再吐出時にノズルが詰まって印刷がかすれやすくなる。
本発明の目的は、印刷のかすれやサーマルシャットダウン等を生じにくいインクジェットインクを提供することにある。
前記課題を解決するため、発明者は種々検討した結果、水よりも乾燥しにくい非プロトン性極性溶媒の含有割合が40質量%以上であって、保護されずにノズル外の空気に曝され続ける時間が長くなってもノズル内で乾燥しにくいインクジェットインクに、界面活性剤として、式(1):
2n+1CHCHO(CHCHO)H (1)
[式中nは2〜16、mは0〜15の数を示す。]
で表される化合物を含有させて表面張力を調整すると、前記インクジェットインクの流動性を向上させて、高速印刷時にかすれやサーマルシャットタウンを生じにくくできることを見出した。
すなわち本発明は、疎水性媒体に印刷するためのインクジェットインクであって、水、非プロトン性極性溶媒、着色剤、およびフッ素系界面活性剤を含み、前記非プロトン性極性溶媒の含有割合が、前記インクジェットインクの総量の40質量%以上、75質量%以下であるとともに、前記フッ素系界面活性剤が、前記式(1)で表される化合物であることを特徴とするものである。
なお本発明において、非プロトン性極性溶媒の含有割合が前記範囲内に限定されるのは、下記の理由による。
すなわち非プロトン性極性溶媒の含有割合が40質量%未満では、先に説明したように、相対的に非プロトン性極性溶媒より乾燥しやすい水の含有割合が多くなるため、保護されずにノズル外の空気に曝され続ける時間が長くなった際にノズル内でインクジェットインクが乾燥しやすくなり、再吐出時にノズルが詰まって印刷がかすれやすくなる。
また、特にインクジェットインクがバインダ樹脂を含み、しかも前記範囲より非プロトン性極性溶媒の含有割合が大幅に少ない場合に、前記式(1)で表されるフッ素系界面活性剤を含有させると、全体がゲル化してしまってインクジェットインクとして使用できない場合もある。
また非プロトン性極性溶媒の含有割合が75質量%を超える場合には、たとえ式(1)で表されるフッ素系界面活性剤を含有させたとしても、インクジェットインクの流動性が低下して、特に高速印刷時にかすれやサーマルシャットタウンを生じやすくなる。
なお、先に説明したインクジェットインクの流動性を向上させて高速印刷時にかすれやサーマルシャットタウンを生じにくくする効果をより一層向上することを考慮すると、前記式(1)で表されるフッ素系界面活性剤としては、特に式(1)中のnが4〜16、mが2〜3である化合物が好ましい。
また前記効果をより一層向上することを考慮すると、非プロトン性極性溶媒Pと、フッ素系界面活性剤Fとの質量比P/Fは22以上、特に24以上であるのが好ましく、1300以下、特に1220以下であるのが好ましい。
本発明のインクジェットインクは、顔料等の着色剤を、オフセットコート媒体のコーティング膜等の、疎水性の表面にできるだけ強固に定着させること等を考慮すると、バインダ樹脂を含有しているのが好ましい。
また前記バインダ樹脂は、インクジェットインクの粘度の上昇とそれに伴う流動性の低下とを抑制して高速印刷時にかすれやサーマルシャットタウンを生じにくくすること、並びに印刷時に、保護されずにノズル外の空気に曝され続ける時間が長くなった際にノズル内でインクジェットインクが乾燥して、再吐出時にノズルが詰まって印刷がかすれるのを防止することを考慮すると、重量平均分子量Mwが1000以上であるのが好ましく、3000以下であるのが好ましい。
本発明によれば、印刷のかすれやサーマルシャットダウン等を生じにくいインクジェットインクを提供できる。
本発明は、疎水性媒体に印刷するためのインクジェットインクであって、水、非プロトン性極性溶媒、着色剤、およびフッ素系界面活性剤を含み、前記非プロトン性極性溶媒の含有割合は、前記インクジェットインクの総量の40質量%以上、75質量%以下であるとともに、前記フッ素系界面活性剤は、式(1):
2n+1CHCHO(CHCHO)H (1)
[式中nは2〜16、mは0〜15の数を示す。]
で表される化合物であることを特徴とするものである。
〈フッ素系界面活性剤〉
本発明で使用するフッ素系界面活性剤は、前記式(1)を満足するものである。
かかるフッ素系界面活性剤の具体例としては、式(1)中のnが4〜16、mが2〜3の化合物の混合物の溶液である、デュポン(株)製のゾニール(ZONYL)FS−300(有効成分:40質量%)や、前記式(1)中のnが2〜14、mが0〜15の化合物の混合物の溶液である、デュポン(株)製のゾニール(ZONYL)FSO等の少なくとも1種が挙げられる。
特にインクジェットインクのはじきや滲み等を抑制して、オフセットコート媒体の疎水性のコーティング膜の表面に、シャープかつ鮮明で、しかも乾燥性や定着性に優れた良好な印刷をすることを考慮すると、フッ素系界面活性剤としては、前者のゾニールFS−300が好ましい。
前記フッ素系界面活性剤Fの含有割合は、非プロトン性極性溶媒Pとの質量比P/Fで表して22以上、特に24以上であるのが好ましく、1300以下、特に1220以下であるのが好ましい。
フッ素系界面活性剤Fの含有割合が前記範囲未満、つまり質量比P/Fが1300を超える場合には、前記フッ素系界面活性剤を含有させることによる、インクジェットインクの流動性を向上させて、高速印刷時にかすれやサーマルシャットタウンを生じにくくする効果が十分に得られないおそれがある。
またインクジェットインクのはじきや滲み等を抑制する効果が低下して、オフセットコート媒体の疎水性のコーティング膜の表面に、シャープかつ鮮明で、しかも乾燥性や定着性に優れた良好な印刷をすることができないおそれもある。
一方、フッ素系界面活性剤Fの含有割合が前記範囲を超える場合、つまり質量比P/Fが22未満では泡噛みを生じて、インクジェットインクのノズルからの吐出の安定性が低下したり、それに伴って印刷の鮮明性が低下したりするおそれがある。
却ってインクジェットインクのはじきや滲み等を抑制する効果が低下して、オフセットコート媒体の疎水性のコーティング膜の表面に、シャープかつ鮮明で、しかも乾燥性や定着性に優れた良好な印刷をすることができないおそれがある。
なおフッ素系界面活性剤は、後述する実施例から明らかなように式(1)の化合物を有効成分として含む溶液として供給される場合があり、その場合、質量比P/FのもとになるFは、前記溶液中の有効成分の質量とする。
〈非プロトン性極性溶媒〉
非プロトン性極性溶媒としては、水素を生じたり受け取ったりしないため前記フッ素系界面活性剤の機能を妨げるおそれのない種々の非プロトン性極性溶媒が、いずれも使用可能である。
但し非プロトン性極性溶媒は、分子量が小さいほど乾燥しやすい傾向があるため、印刷時に、保護されずにノズル外の空気に曝され続ける時間が長くなった際にノズル内でインクジェットインクが乾燥しやすくなって、再吐出時にノズルが詰まって印刷がかすれるおそれがある。
また非プロトン性極性溶媒は、分子量が大きいほどインクジェットインクの粘度を上昇させ、流動性を低下させる傾向があるため、特に高速印刷時にかすれやサーマルシャットタウンを生じやすくなるおそれがある。
そのため非プロトン性極性溶媒としては、分子量が40以上、130以下、特に115以下であるものを選択して用いるのが好ましい。
また非プロトン性極性溶媒は、沸点が低いほど、当然ながら乾燥しやすい傾向があるため、印刷時に、保護されずにノズル外の空気に曝され続ける時間が長くなった際にノズル内でインクジェットインクが乾燥しやすくなって、再吐出時にノズルが詰まって印刷がかすれるおそれがある。
また高い非プロトン性極性溶媒は、沸点が高いほど、これも当然ながら乾燥しにくい傾向があるため、印刷後のインクジェットインクが乾燥しにくくなって、例えばこすった際に印刷が簡単に滲んでしまったりするおそれがある。
そのため非プロトン性極性溶媒としては、標準大気圧での沸点が150℃以上、250℃以下であるものを選択して用いるのが好ましい。
これらの条件を満足する非プロトン性極性溶媒としては、例えばホルムアミド〔分子量:45.0、沸点:210℃〕、N−メチルホルムアミド〔分子量:59.1、沸点:197℃〕、N,N−ジメチルホルムアミド〔分子量:73.1、沸点:153℃〕、2−ピロリドン〔分子量:85.1、沸点:245℃〕、γ−ブチロラクトン〔分子量:86.1、沸点:204℃〕、N−メチル−2−ピロリドン〔分子量:99.1、沸点:202℃〕、N−エチル−2−ピロリドン〔分子量:113.2、沸点:212℃〕、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン〔分子量:114.2、沸点:225.5℃〕、およびN,N−ジエチルプロピオンアミド〔分子量:129.2、沸点:195℃〕等の1種または2種以上が挙げられる。
非プロトン性極性溶媒の含有割合は、インクジェットインクの総量の40質量%以上、75質量%以下である必要がある。
非プロトン性極性溶媒の含有割合が40質量%未満では、先に説明したように、相対的に非プロトン性極性溶媒より乾燥しやすい水の含有割合が多くなるため、保護されずにノズル外の空気に曝され続ける時間が長くなった際にノズル内でインクジェットインクが乾燥しやすくなり、再吐出時にノズルが詰まって印刷がかすれやすくなる。
また、特にインクジェットインクがバインダ樹脂を含み、しかも前記範囲より非プロトン性極性溶媒の含有割合が大幅に少ない場合に、前記式(1)で表されるフッ素系界面活性剤を含有させると、全体がゲル化してしまってインクジェットインクとして使用できない場合もある。
また非プロトン性極性溶媒の含有割合が75質量%を超える場合には、たとえ式(1)で表されるフッ素系界面活性剤を含有させたとしても、インクジェットインクの流動性が低くなって、特に高速印刷時にかすれやサーマルシャットタウンを生じやすくなる。
なお、インクジェットインクの流動性をさらに向上させて高速印刷時にかすれやサーマルシャットタウンを生じにくくすることと、インクジェットインクをさらに乾燥しにくくして、再吐出時にノズルが詰まって印刷がかすれるのを防止することとを考慮すると、非プロトン性極性溶媒の含有割合は、前記範囲内でも45質量%以上であるのが好ましく、55質量%以下であるのが好ましい。
〈着色剤〉
着色剤としては顔料、染料等が使用可能であり、特に耐久性等に優れた印刷をするためには顔料が好適に使用される。前記顔料としては、水性のインクジェットインクに通常に使用される任意の無機顔料および/または有機顔料を用いることができる。
顔料は、インクジェットインクの色目に応じて1種または2種以上を用いることができる。顔料の含有割合は、インクジェットインクの総量の0.5質量%以上、特に1質量%以上であるのが好ましく、10質量%以下、特に5質量%以下であるのが好ましい。
無機顔料としては、例えば酸化チタン、酸化鉄等の金属化合物や、あるいはコンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造されたカーボンブラック等の1種または2種以上が挙げられる。
また有機顔料としては、例えばアゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、またはキレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、またはキノフタロン顔料等)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等の1種または2種以上が挙げられる。
顔料の具体例としては、イエロー顔料としてC.I.ピグメントイエロー74、109、110、138、マゼンタ顔料としてC.I.ピグメントレッド122、202、209、シアン顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3、60、ブラック顔料としてC.I.ピグメントブラック7、オレンジ顔料としてC.I.ピグメントオレンジ36、43、グリーン顔料としてC.I.ピグメントグリーン7、36等が挙げられる。
顔料は、親水性を付与して水性のインクジェットインク中での分散安定性を向上するために、表面を改質して親水性基を導入しておくのが好ましい。改質により顔料の表面に導入する親水性基としてはカルボキシル基、スルホン基等が挙げられる。また顔料は、水に分散させた顔料分散液の状態でインクジェットインクの製造に用いるのが好ましい。
本発明のインクジェットインクには、前記各成分に加えて、さらにバインダ樹脂その他の成分を含有させることもできる。
〈バインダ樹脂〉
インクジェットインクにバインダ樹脂を含有させると、前記バインダ樹脂が、オフセットコート媒体のコーティング膜等の疎水性の表面と、顔料とのバインダとして機能するため、印刷の耐水性や耐擦過性を向上できる。また印刷の鮮明性も向上できる。
特にバインダ樹脂として、本質的に水には不溶で、かつ塩基性物質を溶解させたアルカリ水溶液に選択的に可溶であるバインダ樹脂を使用すると、印刷の耐水性をさらに向上できる。
すなわち、インクジェットインクに塩基性物質を溶解させてアルカリ性とした状態で前記バインダ樹脂を加えると、前記バインダ樹脂は溶解してインクジェットインクは液状を維持するが、印刷後に乾燥させてオフセットコート媒体のコーティング膜等の表面に析出されたバインダ樹脂は水に不溶であるため、印刷の耐水性が向上する。
前記アルカリ可溶のバインダ樹脂としては、例えばその分子中にカルボキシル基を有しており、そのままでは水に不溶であるが、アンモニア、有機アミン、苛性アルカリ等の塩基性物質を溶解させたアルカリ水溶液に加えるとカルボキシル基の部分が塩基性物質と反応して水溶性の塩を生成して溶解する樹脂が好ましい。
前記アルカリ可溶のバインダ樹脂としては、例えばポリアクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体などのアクリル樹脂;スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体などのスチレン−アクリル酸樹脂;マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、スチレン−マレイン酸共重合樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合樹脂等のうち、前記特性を有するように分子量、酸価等を調整した樹脂、特に、高酸価樹脂の1種または2種以上が挙げられる。
前記バインダ樹脂は、インクジェットインクの粘度の上昇とそれに伴う流動性の低下とを抑制して高速印刷時にかすれやサーマルシャットタウンを生じにくくすること、並びに印刷時に、保護されずにノズル外の空気に曝され続ける時間が長くなった際にノズル内でインクジェットインクが乾燥して、再吐出時にノズルが詰まって印刷がかすれるのを防止することを考慮すると、重量平均分子量Mwが1000以上であるのが好ましく、3000以下、特に2000以下であるのが好ましい。
かかる分子量の小さいバインダ樹脂を水性のインクジェットインクに使用して、一般の紙等に印刷しても印刷の耐水性、耐擦過性を向上する効果は得られない。
しかし40〜75質量%という多量の非プロトン性極性溶媒を含み、前記非プロトン性極性溶媒の作用によってオフセットコート媒体のコーティングを若干溶かしながらコーティング中に浸透して印刷される本発明のインクジェットインクにおいては、前記バインダ樹脂を使用しても印刷の耐水性、耐擦過性等を実用上問題のない程度まで十分に向上できる。
前記バインダ樹脂としては、例えばBASFジャパン(株)製のジョンクリル(JONCRYL、登録商標)682(重量平均分子量Mw=1700)等が挙げられる。
バインダ樹脂の含有割合は、インクジェットインクの総量の0.1質量%以上、特に0.5質量%以上であるのが好ましく、3質量%以下、特に2質量%以下であるのが好ましい。
含有割合が前記範囲未満では、印刷に実用上問題のないレベルの耐水性、耐擦過性を付与できなかったり、鮮明に印刷できなかったりするおそれがある。また前記範囲を超える場合には印刷がかすれたり、ノズルの目詰まりを生じたりするおそれがある。
〈塩基性物質〉
塩基性物質は、先に説明したようにインクジェットインクをアルカリ性にしてアルカリ可溶のバインダ樹脂を溶解させるとともに、インクジェットヘッドの金属部分等の腐食を防止し、なおかつ顔料の分散安定性を維持するために含有される。前記塩基性物質としてはアンモニア、有機アミン、苛性アルカリ等が挙げられ、特に有機アミンが好ましい。
また有機アミンとしては、例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチルモノエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、モノ−1−プロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールおよびこれらの誘導体等の1種または2種以上が挙げられる。
塩基性物質の含有割合は、バインダ樹脂の遊離脂肪酸含有量を示す酸価や、あるいはインクジェットインクの、塩基性物質を添加しない状態でのpHなどに応じて適宜、調整できる。
〈有機酸のエチレンオキシド付加物〉
インクジェットインクに有機酸塩のエチレンオキシド付加物を含有させると、特にサーマル方式のインクジェットプリンタにおいて、前記インクジェットインクのノズルからの吐出の安定性を向上できる。
その理由は明らかではないが、サーマル方式のインクジェットプリンタにおいてインクジェットインクが瞬時に高温(およそ400℃程度)に加熱された際に、有機酸塩のエチレンオキシド付加物が顔料の表面に吸着しようと働きかけて、顔料の分散の安定性が破壊されるのを防止し、分散の安定に寄与するためと考えられる。
有機酸塩のエチレンオキシド付加物としては、例えばクエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、D−リンゴ酸、L−リンゴ酸等の種々のモノ〜トリカルボン酸のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、もしくはアンモニウム塩に、さらにエチレンオキシドを付加させた化合物が挙げられる。
特にインクジェットインクの吐出の安定性を向上する効果の点では、式(2):
Figure 2011231294
〔式中M、M、およびMは同一または異なってナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、アンモニウム基、または水素を示す。ただしM、M、およびMは同時に水素でない。rは1〜28の数を示す。〕
で表されるクエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム等のクエン酸のアルカリ金属塩のエチレンオキシド付加物、およびクエン酸アンモニウムのエチレンオキシド付加物からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
なお式中のrが28を超える化合物はインクジェットインクの粘度を上昇させるとともに流動性を低下させたり、水溶性が低下してインクジェットインク中に析出したりして、前記インクジェットインクの吐出の安定性を低下させるおそれがある。
前記化合物の含有割合は、インクジェットインクの総量の0.01質量%以上、特に0.05質量%以上であるのが好ましく、5質量%以下、特に3質量%以下であるのが好ましい。
含有割合が前記範囲未満では、前記化合物を含有させることによる、先に説明したインクジェットインクの吐出の安定性を向上する効果が不十分になるおそれがある。また前記範囲を超える場合にはノズル等で目詰まりを生じるおそれがある。
〈ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル〉
インクジェットインクに式(3):
Figure 2011231294
〔式中、sは3〜28の数を示す。〕
で表されるポリオキシエチレンフェニルエーテル、および式(4):
Figure 2011231294
〔式中、Rは炭素数8〜10のアルキル基、tは3〜28の数を示す。〕
で表されるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルからなる群より選ばれた少なくとも1種を含有させると、先に説明した有機酸塩のエチレンオキシド付加物の機能を補助する働きをして、インクジェットインクの吐出の安定性をさらに向上できる。
前記のうち式(3)で表されるポリオキシエチレンフェニルエーテルにおいて、式中のsが3〜28であるのが好ましいのは、sが前記範囲を外れる化合物は有機酸塩のエチレンオキシド付加物の機能を補助する効果が不十分になるおそれがあるためである。
また、特にsが28を超える化合物はインクジェットインクの粘度を上昇させるとともに流動性を低下させたり、水溶性が低下してインクジェットインク中に析出したりして、前記インクジェットインクの吐出の安定性を低下させるおそれもある。
前記式(3)のポリオキシエチレンフェニルエーテルの具体例としては、sが6である式(5):
Figure 2011231294
で表される化合物が挙げられる。
また式(4)で表されるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルにおいて、式中のtが3〜28で、かつRのアルキル基の炭素数が8〜10であるのが好ましいのは、tが前記範囲を外れる化合物や、Rのアルキル基の炭素数が前記範囲を外れる化合物はいずれも、有機酸塩のエチレンオキシド付加物の機能を補助する効果が不十分になるおそれがあるためである。
また、特にtが28を超える化合物や、Rのアルキル基の炭素数が10を超える化合物はインクジェットインクの粘度を上昇させるとともに流動性を低下させたり、水溶性が低下してインクジェットインク中に析出したりして、インクジェットインクの吐出の安定性を低下させるおそれもある。
前記式(4)のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの具体例としては、tが25でRのアルキル基の炭素数が8である式(6):
Figure 2011231294
で表される化合物が挙げられる。
なお式(4)の化合物には、Rのアルキル基が、フェニル基上の、ポリオキシエチレン基からみてo位、m位およびp位に結合した3種の化合物があるが、本発明ではいずれの化合物を用いることもできる。また前記3種の化合物のうち2種以上の混合物を用いることもできる。
式(3)のポリオキシエチレンフェニルエーテルおよび/または式(4)のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの含有割合は、インクジェットインクの総量の0.02質量%以上、特に0.1質量%以上であるのが好ましく、7質量%以下、特に5質量%以下であるのが好ましい。
含有割合が前記範囲未満では、これらの化合物を含有させたことによる、先に説明したインクジェットインクの吐出を安定させる効果を補助する補助効果が不十分になるおそれがある。
また前記範囲を超える場合には、ヘッド内で目詰まりを生じるおそれがある。
なお含有割合は、式(3)(4)の化合物をいずれか単独で使用する場合は前記化合物単独での含有割合であり、2種以上を併用する場合は、併用する化合物の合計の含有割合である。
式(3)(4)の化合物は、それぞれ補助効果のメカニズムが異なっていると考えられるため、両者を併用するのが好ましい。
特に式(5)の化合物と式(6)の化合物との併用系が、補助効果の点で好ましい。
〈アセチレングリコール類、グリコールエーテル類〉
インクジェットインクにアセチレングリコール類および/またはグリコールエーテル類を含有させると、これらの化合物は式(3)のポリオキシエチレンフェニルエーテルおよび/または式(4)のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの補助効果をさらに補完する補完効果を有するため、インクジェットインクの吐出の安定性をさらに向上できる。
前記アセチレングリコール類としては、日信化学工業(株)製のサーフィノール(登録商標)104およびそのシリーズ品、同サーフィノール61、420、440、465、485、同ダイノール604、同オルフィン(登録商標)E4001、4036、4051などの1種または2種以上が挙げられる。
アセチレングリコール類の含有割合は、インクジェットインクの総量の0.01質量%以上、特に0.05質量%以上であるのが好ましく、5質量%以下、特に3質量%以下であるのが好ましい。
含有割合が前記範囲未満では、前記化合物を含有させることによる、先に説明した補完効果が不十分になるおそれがある。また前記範囲を超える場合には、印刷の耐水性が低下するおそれがある。
またインクジェットインクに、式(7):
Figure 2011231294
〔式中、uおよびvは、それぞれ別個に0〜40の数を示す。ただしu、vは同時に0でなく、u+vは1〜40の数を示す。〕
で表されるアセチレングリコール類を含有させると、先に説明した補完効果に加えて、インクジェットインクの、特にオフセットコート媒体の中でも疎水性の高いグロス調のUV媒体に対する濡れ性を改善する効果を得ることもできる。
UVコート媒体とは、基材の表面を紫外線(UV)硬化型樹脂の硬化物からなるコーティング膜(UVコーティング膜)で被覆したオフセットコート媒体を指す。
前記式(7)で表されるアセチレングリコール類としては、前記例示の各種化合物のうちサーフィノール420〔式(7)中のu、vの数が異なる複数成分の混合物からなり、u+vの平均値が1.3〕、440〔式(7)中のu、vの数が異なる複数成分の混合物からなり、u+vの平均値が3.5〕、465〔式(7)中のu、vの数が異なる複数成分の混合物からなり、u+vの平均値が10〕、485〔式(7)中のu、vの数が異なる複数成分の混合物からなり、u+vの平均値が30〕等が挙げられる。
一方、グリコールエーテル類としては、例えばエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル等の1種または2種以上が挙げられる。
グリコールエーテル類の含有割合は、インクジェットインクの総量の0.5質量%以上、特に1質量%以上であるのが好ましく、10質量%以下、特に7質量%以下であるのが好ましい。
含有割合が前記範囲未満では、前記化合物を含有させたことによる、先に説明した補完効果が不十分になるおそれがある。また前記範囲を超える場合には、前記化合物が不揮発性の液体であるためインクジェットインクが乾燥しにくくなるおそれがある。またインクジェットインクの保存安定性が低下するおそれもある。
〈その他の添加剤等〉
本発明のインクジェットインクには、従来公知の種々の添加剤を含有させてもよい。前記添加剤としては、例えば防かび剤、殺生剤等が挙げられる。
また本発明のインクジェットインクには、先に説明した非プロトン性極性有機溶媒の機能を阻害しない範囲で、他の水溶性の有機溶媒を含有させることもできる。前記他の有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコールが挙げられる。
前記各成分を含む本発明のインクジェットインクは、例えば、サーマル方式〔サーマルジェット(登録商標)方式、バブルジェット(登録商標)方式〕、ピエゾ方式等の、いわゆるオンデマンド型のインクジェットプリンタに使用できる他、インクを循環させながらインクの液滴を形成して印刷を行う、いわゆるコンティニュアス型のインクジェットプリンタにも使用可能であるが、先に説明したようにサーマル方式のインクジェットプリンタに特に好適に使用できる。
以下の実施例、比較例におけるインクジェットインクの調製、並びに評価試験を、特記した以外は温度23±1℃、相対湿度55±1℃の環境下で実施した。
〈実施例1〉
界面活性剤としては式(1)中のnが4〜16、mが2〜3の化合物の混合物の溶液であるフッ素系界面活性剤〔デュポン(株)製のゾニール(ZONYL)FS−300、有効成分:40質量%〕を用いた。
顔料としては表面改質されたカーボンブラックの水分散液〔キャボット社(Cabot Corp.)製のCAB−O−JET(登録商標)300、固形分:15質量%〕を用い、非プロトン性極性溶媒としては1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン〔分子量:114.2、沸点:212℃〕を用いた。
バインダ樹脂としてはアルカリ可溶性のアクリル樹脂〔BASFジャパン(株)製のジョンクリル(JONCRYL、登録商標)682〕を用い、前記アクリル樹脂をインクジェットインク中に溶解させるための塩基性物質としては2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを用いた。
有機酸のエチレンオキシド付加物としては式(2)中のM〜Mがいずれもナトリウム、rが6であるクエン酸ナトリウムのエチレンオキシド付加物を用い、ポリオキシエチレンフェニルエーテルとしては式(5)で表される化合物を用い、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとしては式(6)で表される化合物を用いた。
アセチレングリコール類としては日信化学工業(株)製のサーフィノール(登録商標)420を用い、殺生剤としてはアーチ・ケミカルズ・ジャパン(株)製のプロキセル(PROXEL)XL2を用いた。
前記各成分を、イソプロパノールおよび超純水とともに下記表1に示す割合で配合して混合した後、5μmのメンブランフィルタを用いてろ過してインクジェットインクを調製した。
Figure 2011231294
非プロトン性極性溶媒の含有割合は、インクジェットインクの総量の48.5質量%であった。また非プロトン性極性溶媒Pと、フッ素系界面活性剤中の有効成分Fとの質量比P/F=121であった。
〈実施例2〉
フッ素系界面活性剤としてのゾニールFS−300の量を0.1質量部とし、かつ超純水の量を24.1質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
非プロトン性極性溶媒の含有割合は、インクジェットインクの総量の48.5質量%であった。また非プロトン性極性溶媒Pと、フッ素系界面活性剤中の有効成分Fとの質量比P/F=1213であった。
〈実施例3〉
フッ素系界面活性剤としてのゾニールFS−300の量を5質量部とし、かつ超純水の量を19.2質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
非プロトン性極性溶媒の含有割合は、インクジェットインクの総量の48.5質量%であった。また非プロトン性極性溶媒Pと、フッ素系界面活性剤中の有効成分Fとの質量比P/F=24であった。
〈実施例4〉
フッ素系界面活性剤としてのゾニールFS−300の量を0.08質量部とし、かつ超純水の量を24.1質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
非プロトン性極性溶媒の含有割合は、インクジェットインクの総量の48.5質量%であった。また非プロトン性極性溶媒Pと、フッ素系界面活性剤中の有効成分Fとの質量比P/F=1617であった。
〈実施例5〉
フッ素系界面活性剤としてのゾニールFS−300の量を6質量部とし、かつ超純水の量を18.2質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
非プロトン性極性溶媒の含有割合は、インクジェットインクの総量の48.5質量%であった。また非プロトン性極性溶媒Pと、フッ素系界面活性剤中の有効成分Fとの質量比P/F=20であった。
〈実施例6〉
界面活性剤として、式(1)中のnが2〜14、mが0〜15の化合物の混合物の溶液であるフッ素系界面活性剤〔デュポン(株)製のゾニール(ZONYL)FSO、有効成分:50質量%〕1質量部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
非プロトン性極性溶媒の含有割合は、インクジェットインクの総量の48.5質量%であった。また非プロトン性極性溶媒Pと、フッ素系界面活性剤中の有効成分Fとの質量比P/F=97であった。
〈比較例1〉
界面活性剤として、式(8):
2k+1COONH (8)
で表され、式中のk=8であるものを主成分として、k=10、12であるものを若干含む混合物の溶液であるフッ素系界面活性剤〔AGCセイミケミカル(株)製のサーフロン(SURFLON)S−111N、有効成分:30質量%〕2.4質量部を用いるとともに、超純水の量を21.8質量部としたこと以外は実施例1と同様にして特許文献1のインクジェットインクを再現した。
非プロトン性極性溶媒の含有割合は、インクジェットインクの総量の48.5質量%であった。また非プロトン性極性溶媒Pと、フッ素系界面活性剤中の有効成分Fとの質量比P/F=67であった。
〈比較例2〉
界面活性剤として、式(9):
Figure 2011231294
で表され、式中のR〜Rのうちの2つがパーフルオロアルキル基で、かつ残りの1つがアンモニウム基である化合物の溶液であるフッ素系界面活性剤〔デュポン(株)製のゾニール(ZONYL)FSP、有効成分:35質量%〕0.3質量部を用いるとともに、非プロトン性極性溶媒としての1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンの量を20質量部、超純水の量を52.4質量部としたこと以外は実施例1と同様にして特許文献2のインクジェットインクを再現した。
非プロトン性極性溶媒の含有割合は、インクジェットインクの総量の20質量%であった。また非プロトン性極性溶媒Pと、フッ素系界面活性剤中の有効成分Fとの質量比P/F=200、水H(CAB−O−JET300中の水分を含む)と非プロトン性極性溶媒Pとの質量比H/P=3.47であった。
〈比較例3〉
非プロトン性極性溶媒の量を20質量部、超純水の量を51.7質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製しようとしたが、ゲル化してしまった。非プロトン性極性溶媒Pと、フッ素系界面活性剤中の有効成分Fとの質量比P/F=50であった。
〈比較例4〉
界面活性剤として、式(1)中のnが2〜18、mが0〜25の化合物の混合物の溶液であるフッ素系界面活性剤〔デュポン(株)製のゾニール(ZONYL)FSN、有効成分:40質量%〕1質量部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
非プロトン性極性溶媒の含有割合は、インクジェットインクの総量の48.5質量%であった。また非プロトン性極性溶媒Pと、フッ素系界面活性剤中の有効成分Fとの質量比P/F=121であった。
〈高速印刷時のかすれ評価〉
実施例、比較例で調製したインクジェットインクをサーマル方式のインクジェットプリンタ〔ヒューレットパッカード社製のDeskJet(登録商標)6127〕に使用して、インク滴吐出の速度を1秒間あたりの吐出回数(周波数)で表して6.0kHz(1秒間あたり6000滴吐出)から15.0kHz(1秒間あたり15000滴吐出)まで0.6kHzずつ周波数を変化させながら、1/2インチの高さのベタ黒の印刷をした。
そして印刷のかすれの有無を観察して、下記の基準で高速印刷時のかすれの有無を評価した。
○:6.0kHzから15.0kHzまで全くかすれは見られなかった。
△:6.0kHzから12.0kHzまではかすれは見られなかったが、12.6kHz以上で若干のかすれが見られた。
×:12.0kHz以上で強いかすれが見られた。
〈再吐出時のかすれ評価〉
実施例、比較例で調製したインクジェットインクをサーマル方式のインクジェットプリンタ〔ヒューレットパッカード社製のDeskJet(登録商標)6127〕に使用し、印刷時にインク滴が吐出されない状態でインクジェットインクが保護されずにノズル外の空気に曝され続ける時間を30秒に設定して、30秒後に複数の縦線を等間隔で印刷した。解像度は300×600dpiに設定した。
そして前記印刷において縦線の欠けの有無を観察して、下記の基準で再吐出時のかすれの有無を評価した。
○:縦線に欠けは見られなかった。かすれなし。
×:縦線に欠けが見られた。かすれあり。
〈印刷鮮明性の評価〉
実施例、比較例で調製したインクジェットインクをサーマル式のインクジェットプリンタ〔ビデオジェット(株)製のプリントメールワイドアレイ(Print Mail Wide Array)〕に使用してグロス調オフセットコート紙〔Aqueous Ni coat Hi gloss on 120# Centura Gloss Cover〕の表面に10ポイントのアルファベット+バーコードを印刷し、次いで出力3200Wのヒータで約5秒間加熱したのち印刷を観察して、下記の基準で印刷鮮明性を評価した。
なお前記グロス調オフセットコート紙は、BYKガードナー(BYK-Gardner)社製の光沢度測定器マイクロトリグロス(Micro-TRI-gloss、登録商標)を用いて測定した60°光沢度が85.0、表面張力(測定温度25℃)が34.00mN/mであった。
○:エッジがシャープに出ている。印刷鮮明性は極めて良好。
△:鮮明性は若干劣るものの、印刷鮮明性は実用レベル。
×:印刷は鮮明でなく、印刷鮮明性は不良。
以上の結果を表2に示す。
Figure 2011231294
表2の比較例1の結果より、特許文献1に記載された、非プロトン性極性溶媒の含有割合が40質量%以上、75質量%以下の範囲内で、かつ式(1)以外の他のフッ素系界面活性剤を用いたインクジェットインクは流動性が低すぎて高速印刷時にかすれを生じることが判った。
また比較例2の結果より、特許文献2に記載された、非プロトン性極性溶媒の含有割合が40質量%未満で、かつ式(1)以外の他のフッ素系界面活性剤を用いたインクジェットインクは乾燥しやすく、保護されずにノズル外の空気に曝され続けた後の再吐出時にかすれを生じることが判った。
さらに比較例3の結果より、前記式(1)のフッ素系界面活性剤を、比較例2と同様の水リッチの系に加えてもゲル化してインクジェットインクを調製できないことが判った。
これに対し実施例1〜6の結果より、非プロトン性極性溶媒の含有割合が40質量%以上、75質量%以下の範囲内で、かつ式(1)のフッ素系界面活性剤を用いた本発明のインクジェットインクは高速印刷時、および保護されずにノズル外の空気に曝され続けた後の再吐出時のいずれにおいてもかすれを生じるおそれがないことが判った。
また実施例1〜6と比較例4とを比較すると、式(1)のn、mが規定した範囲内であるフッ素系界面活性剤を用いた実施例1〜6のインクジェットインクは、前記n、mが規定した範囲外のものを含むフッ素系界面活性剤を用いた比較例4のインクジェットインクに比べて印刷の鮮明性に優れることが判った。
さらに各実施例を比較すると、式(1)のnは4〜16、mは2〜3であるのが好ましいこと、非プロトン性極性溶媒Pとフッ素系界面活性剤Fとの質量比P/Fは22以上、1300以下であるのが好ましいことが判った。

Claims (4)

  1. 疎水性媒体に印刷するためのインクジェットインクであって、水、非プロトン性極性溶媒、着色剤、およびフッ素系界面活性剤を含み、前記非プロトン性極性溶媒の含有割合は、前記インクジェットインクの総量の40質量%以上、75質量%以下であるとともに、前記フッ素系界面活性剤は、式(1):
    2n+1CHCHO(CHCHO)H (1)
    [式中nは2〜16、mは0〜15の数を示す。]
    で表される化合物であることを特徴とするインクジェットインク。
  2. 前記フッ素系界面活性剤は、前記式(1)中のnが4〜16、mが2〜3の化合物である請求項1に記載のインクジェットインク。
  3. 非プロトン性極性溶媒Pと、フッ素系界面活性剤Fとの質量比P/Fは22以上、1300以下である請求項1または2に記載のインクジェットインク。
  4. バインダ樹脂をも含み、前記バインダ樹脂は、重量平均分子量Mwが1000以上、3000以下の樹脂である請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクジェットインク。
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