JP2011146690A - イオンビーム発生装置及びこれを用いた基板処理装置と電子デバイス製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置全体を大きくすることなく、基板への入射イオンビームの均一性を図ったイオンビーム発生装置を提供する。
【解決手段】放電槽2でプラズマを発生させ、引き出し電極7より環状のイオンビームを引き出し、偏向電極30によって、該イオンビームを環状の中心方向に屈曲させて基板Wに対して、傾斜した方向から入射させる。
【選択図】図3
【解決手段】放電槽2でプラズマを発生させ、引き出し電極7より環状のイオンビームを引き出し、偏向電極30によって、該イオンビームを環状の中心方向に屈曲させて基板Wに対して、傾斜した方向から入射させる。
【選択図】図3
Description
本発明は、半導体基板や磁気ディスク基板の微細加工に係わり高精度且つ均一に微細加工や表面の平坦化加工を行うためのイオンビーム発生装置と、係る装置を用いてなる基板処理装置、及び、該装置を用いた電子デバイスの製造方法に関する。
半導体基板や磁気ディスク基板の微細加工に係わり高精度且つ均一に微細加工や表面の平坦化加工を行う技術としてイオンビーム発生装置を備えた基板処理装置がある。特許文献1には、高精度な表面加工を行うために、加速用グリッドを半導体表面に対して斜めに設けた半導体加工装置が開示されている。また、特許文献2には、引き出し電極部を、基準面に対して両側に斜めに設けることで、基板両面の平坦化を同時に行うイオンガンが開示されている。
イオンビーム発生装置において、引き出し電極は通常、イオンを引き出すための複数の孔が設けられており、引き出し電極から引き出された直後のイオンビームは当然、この孔と孔のない箇所に対応したイオンビームの粗密がある不均一な状態である。しかしながら、イオンビームは基板に到達するまでに徐々に周囲に広がるため、引き出し電極から基板までの距離が十分に長い場合には、基板にはイオンビームが均一に照射される。上記の従来技術においては、基板にイオンビームを斜め入射させる装置であるが、装置全体の大きさに制約があるので、引き出し電極から基板までの距離を十分に確保できない。即ち、基板に入射するイオンビームを十分に均一にできないという問題がある。そのため、引き出し電極における孔数を増やし、孔のピッチを小さくすることで均一化を図っているが、未だ不十分である。
本発明の課題は、イオンビーム発生装置において、装置全体を大きくすることなく、基板への入射イオンビームの均一性を図ることにある。さらに本発明は、係るイオンビーム発生装置を備え、均一なエッチング処理が可能な基板処理装置と、該イオンビーム発生装置を用いた均一なエッチング加工を含む電子デバイスの製造方法を提供することを課題とする。
本発明の第1は、プラズマを発生させるための放電槽と、
前記放電槽で発生させたイオンを加速しつつ放電槽の外へ引き出すための開口を設けた環状のグリッド部を有する引き出し電極と、
前記引き出し電極から引き出した環状のイオンビームを前記環状の中心方向に屈曲させるための偏向電極とを備えたことを特徴とするイオンビーム発生装置である。
前記放電槽で発生させたイオンを加速しつつ放電槽の外へ引き出すための開口を設けた環状のグリッド部を有する引き出し電極と、
前記引き出し電極から引き出した環状のイオンビームを前記環状の中心方向に屈曲させるための偏向電極とを備えたことを特徴とするイオンビーム発生装置である。
本発明の第2は、基板を保持するための基板ホルダと、
前記基板ホルダに保持した基板の表面に対向して配置されたイオンビーム発生装置を、該基板の両面に対してそれぞれ設けた基板処理装置であって、
前記イオンビーム発生装置が、上記本発明のイオンビーム発生装置であることを特徴とする。
前記基板ホルダに保持した基板の表面に対向して配置されたイオンビーム発生装置を、該基板の両面に対してそれぞれ設けた基板処理装置であって、
前記イオンビーム発生装置が、上記本発明のイオンビーム発生装置であることを特徴とする。
本発明の第3は、上記本発明のイオンビーム発生装置を用いた電子デバイスの製造方法であって、
前記放電槽内にプラズマを発生させる工程と、
前記引き出し電極に電圧を印加して、前記放電槽内のプラズマからイオンビームを引き出す工程と、
前記偏向電極に電圧を印加して、前記イオンビームを偏向させる工程と、
前記偏向されたイオンビームにより、基板表面のエッチングを行う工程と、
を含むことを特徴とする。
前記放電槽内にプラズマを発生させる工程と、
前記引き出し電極に電圧を印加して、前記放電槽内のプラズマからイオンビームを引き出す工程と、
前記偏向電極に電圧を印加して、前記イオンビームを偏向させる工程と、
前記偏向されたイオンビームにより、基板表面のエッチングを行う工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明のイオンビーム発生装置においては、引き出し電極から引き出されたイオンビームを、偏向電極を用いて偏向させることにより、引き出し電極から基板までのイオンビームの経路を十分にとることができる。よって、引き出し電極の孔数を増やしたり、孔のピッチを小さくしたり、或いは装置を大型化しなくても、均一なイオンビームによる基板の処理を行うことができる。
また、本発明のイオンビーム発生装置を用いて均一なエッチング加工を行うことにより、歩留まり良く電子デバイスを製造することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
図1を参照して、本発明の基板処理装置について説明する。図1は、本例の装置を上から見た構成を示す模式図である。図1に示すように、基板処理装置100は、基板(ウエハ)Wと、基板Wを挟んで対向配置された第1及び第2のイオンビーム発生装置1a,1bと、制御部101と、カウンタ103と、コンピュータインターフェース105と、を備えている。
本例における基板Wは、例えばハードディスク等の磁気記録媒体用基板であり、一般的には略円板状の基板の中心部に開口部が形成されている。基板Wは、例えば図2に示されたような基板キャリア(基板搬送装置)により、鉛直方向に沿って起立した姿勢で保持されている。尚、本発明の基板処理装置は、ハードディスク等の磁気記録媒体用基板などに対して両面加工する場合だけでなく、片面加工に用いてもよい。しかし、図1に示すような両面加工用のインライン搬送装置においては、装置スペースの制約上、基板を回転させる機構を設けるのが難しいので、本発明を用いることはより効果的である。
ここで図2を参照してキャリアの一構成例を説明する。図2(a)及び(b)はキャリアの構造を模式的に示す正面図及び側面図である。図2に示すように、キャリアは、2つの基板ホルダ20と、基板ホルダ20を鉛直方向(縦向き)に保持し搬送路上を移動するスライダ部材10とから構成される。スライダ部材及び基板ホルダには、通常軽量のAl(A5052)等が用いられる。
基板ホルダ20は、中央部に基板が挿入される円形の開口20aを有し、下部側ではその幅が2段階に縮小する形状となっている。開口20aの周囲の3箇所にインコネル製のL字型バネ部材21,22,23が取り付けられ、このうち、バネ部材(可動バネ部材)23は下方に押し下げられる構成となっている。バネ部材21,22,23の先端部には、基板の外周端面を把持するためのV字型の溝が形成され、開口20a内に突出している。ここで、バネ部材21,22,23の取り付け方向は、回転対称的に取り付けられている。また、2つのバネ部材21,22の支持爪は、基板ホルダ20の開口中心を通る鉛直線に対し対称な位置に配置され、可動バネ部材23の支持爪は、この鉛直線上に配置される。このように配置することにより、基板Wをキャリアに装着する際に、何らかの原因で基板ホルダ20の開口中心と装着される基板Wの中心とが若干ずれた場合でも、基板Wが回転する方向に力が加わり、より均等に3本の支持爪で基板Wを保持することができる。また、熱膨張があった場合に増長されるずれを解消することができる。基板ホルダ20の中間部は、スライダ部材10内部に取り付けられたアルミナ等の絶縁部材11a,11bによりその側端面が保持される。また、先端部は、基板バイアス印加用接点との接触部となる。
スライダ部材10は、図2(b)に示すように、中央部にくぼみ10bが形成されたコの字型の断面形状を有し、上部の肉厚部10aには、基板ホルダ20の中間部を保持するためのスリット状の溝がくぼみ部10bに貫通して形成されている。スリット状溝内の両端には1対の絶縁部材11a,11bが配置され、スライダ部材10の端部側の絶縁部材11aは溝内に固定され、スライダ部材10の中央側の絶縁部材11bは左右に移動可能に配置されている。さらに、可動絶縁部材11bをスライダ部材10の端部側に付勢するように板バネ12が取り付けられている。このように、スライダ部材10の溝内に基板ホルダ20を差し込み、ネジ13を締め付けることにより、基板ホルダ20はキャリア外側に押しつけられ強固に固定される。
また、スライダ部材10の底部には、多数の磁石14が着磁方向を交互に逆にして取り付けられ、スライダ部材10は、搬送路に沿って配置される回転磁石40との相互作用により移動する。尚、搬送路からスライダの離脱を防止するためのガイドローラ41や、倒れを防止するためのローラ42が所定の間隔を開けて搬送路に取り付けられている。
再び図1に戻り、基板Wの両面に臨むように、基板Wを挟んで第1のイオンビーム発生装置1aと第2のイオンビーム発生装置1bとが対向配置されている。即ち、第1のイオンビーム発生装置1a及び第2のイオンビーム発生装置1bの各々は、それらの間の領域にイオンビームを照射するように配置されており、該領域に開口部を有する基板Wを保持する基板キャリアが配置される。図1に示す構成では、第1及び第2のイオンビーム発生装置1a,1bのイオンビームの照射面と基板Wの処理面は、略平行になるように配置されている。
第1のイオンビーム発生装置1aは、電極5aと、プラズマを発生するための放電槽2aと、プラズマ中のイオンの引き出し機構としての引き出し電極7a(基板側から電極71a,72a,73a)と、を備えている。電極71a,72a,73aは、それぞれ独立に制御可能なように電圧源8a(基板側から81a,82a,83a)と接続されている。引き出し電極7aの近傍には、中和器9aが設置されている。中和器9aは、イオンビーム発生装置1aにより発射されたイオンビームを中和するため、電子を照射できるように構成されている。
放電槽内には、不図示のガス導入手段よりアルゴン(Ar)等の処理ガスが供給される。ガス導入手段より放電槽2a内へArが供給され、RFソース源84aから電極5aへRF(高周波)パワーを印加して、プラズマが生成される。プラズマ中のイオンは、引き出し電極7aにより引き出されて、基板Wにエッチング処理を施す。
第2のイオンビーム発生装置1bについても、上記イオンビーム発生装置1aと同様に構成されているので、説明を省略する。
制御部101は、イオンビーム発生装置1aの電圧源8a及びイオンビーム発生装置1bの電圧源8bと電気的に接続されており、それぞれの電圧源8a,8bを制御している。カウンタ103は、制御部101と接続されており、イオンビーム発生装置1a,1bにより処理された基板数をカウントして、規定数(例えば、1000枚)に達したら、クリーニング処理を開始するように制御部101に指示できるように構成されている。特に、制御部101は、イオンビームエッチング処理及び基板の搬送処理などに関する一切の制御や各種付加機能に関する一切の制御を実行するためのプログラム(ソフトウェア)を格納するプログラムメモリを有しており、マイクロコンピュータの中央演算制御部(CPU)がプログラムメモリから逐次所要のプログラムを読み出して実行するようになっている。また、プログラムの保存管理にハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ等の各種記憶媒体を用いることができる。
コンピュータインターフェース105は、制御部101及びカウンタ103と接続されており、装置使用者により、クリーニング条件(処理時間等)が入力可能に構成されている。
次に、図3及び図4を参照して、イオンビーム発生装置1(1a,1b)について詳細に説明する。
図3は、本発明のイオンビーム発生装置の一実施形態の詳細構造を示す断面模式図である。尚、第1及び第2のイオンビーム発生装置1a,1bの構造は共通するので、適宜a,bの枝符号を省略して説明する。
図3に示すように、イオンビーム発生装置1は、プラズマを閉じ込める放電槽2を備えている。この放電槽2の圧力は、通常、約1×10-4Pa(1×10-5mbar)から約1×10-2Pa(1×10-3mbar)の範囲に維持される。放電槽2は、プラズマ閉じ込め容器3によって区画され、その周辺には、プラズマが形成された結果、放電槽2内に放出されるイオンをトラップする多極磁気手段4が配置されている。この磁気手段4は、通常、複数の棒状の永久磁石を備えている。また、極性が交互に変わる複数の比較的長い棒磁石を使用して、N、Sサイクルが1つの軸に沿ってのみ発生する構成でも良い。また、より短い磁石をN、Sサイクルが直交した2つの軸がなす平面上に広がるように配置したチェッカーボード構成でもよい。
RFコイル手段5によって、RFパワーがプラズマ閉じ込め容器3の後壁に付与され、誘電RFパワー・カップリング・ウィンドウ6を経由して放電槽2に供給され、プラズマが生成される。
図3に示すようにプラズマ閉じ込め容器3の前壁には、放電槽2内に形成されたプラズマからイオンを引き出し、イオンビームの形でプラズマ閉じ込め容器3から出てくるイオンを加速する引き出し電極7が配置されている。引き出し電極7のグリッド部74より引き出されたイオンは、偏向電極30により形成された電界により被処理基板W方向に曲げられ、角度θにて基板に入射する。引き出し電極7は、基板W(被照射面)に対して略平行に対向して設けられた平坦部75と、その外側にイオンを出射するグリッド部74と、を有している。グリッド部74は、イオンビームが照射される複数の微細孔が形成された構造を有している。入射角度θは60°以上であることが望ましい。この角度で、偏向電極30を用いずに、基板にイオンビームを入射させるためには、イオンビーム装置を大型化しなければならない。よって、発明のイオンビーム発生装置においては、引き出し電極から引き出されたイオンビームを、偏向電極を用いて偏向させることにより、装置を大型化することなく、さらに引き出し電極から基板までのイオンビームの経路を十分にとることができる。結果的に、基板に均一なイオンビームを照射することができる。尚、本例では、平坦部75には、グリッド部を有していないが、この平坦部75からもイオンビームが照射可能なようにグリッド部を設けるように構成してもよい。
偏向電極30は円錐台の第1電極筒31と、第1電極筒31より径の小さい円錐台の第2電極筒32よりなり、互いに重なり合うように配置されている。円錐台の第1電極筒31は、上面部と下面部がそれぞれ開口している。同様に、円錐台の第2電極筒32も、上面部と下面部がそれぞれ開口している。これら電極は互いに異なる電位に設定され、両電極間に電界を形成している。
引き出し電極7から引き出されたイオンビームは、第1電極筒31と第2電極筒32間に入射し、両電極間に形成された電界により基板W方向に屈曲し、基板Wに対しθの傾斜角を持ち入射する。この時、基板Wの被処理面においてθの角度を持ってイオンが入射する領域は、引き出し電極7のグリッド部74の範囲と偏向電極30の位置及び前記偏向電極30により曲げられる角度に依存して変化する。偏向電極30の位置が被処理面に近く、イオンの曲げ角度が大きい程、グリッド部74の範囲を狭くできる。
また、装置全体の大きさの制約上、基板Wと引き出し電極7との距離は300mm以下になるように配置されている。
図4は、偏向電極30の詳細構成を説明するための図である。図4(a)は上面図、(b)は側面図であり、第1電極筒31と第2電極筒32とにより、グリッド部74からのイオンビームが入射される円環状の入射領域50と、基板へ向けて偏向されたイオンビームが出射される、円環状の出射領域51が形成されている。このように、環状のイオンビームは、第1の電極筒31と第2電極筒32との間隙を通過する間に、円環の中心方向に屈曲し、出射されたイオンビームにより、円盤状の基板Wに対して、均一な基板処理をすることができる。このように環状のイオンビームを基板に入射させることで、基板を回転させることなく、均一な基板処理を実現することができる。
図5は、引き出し電極7の表面構造を説明する上面図である。図5(a)は、引き出し電極7の2つの半径の円で囲まれた環状領域に、円形の微細孔からなるグリッド部74を設けた例である。また、イオン出射幅が狭い場合には、図5(b)に示す様に円弧状の複数のライン状孔76を設けた引き出し電極を用いることもできる。図5(b)のように、ライン状孔を形成した場合には、製作にあたり加工時間を短くすることができ、ひいては製作コストを大幅に削減可能となる。引き出し電極7の材料としては、プラズマ源からの入熱による温度上昇及びそれによる熱膨張に対する耐性、又イオンビームの引き出し性能確保のための薄板化時の剛性確保の点からMoが用いられることが一般的となっている。Moは非常に硬度が高く、長時間の加工が必要とされる。また、グリッド自身もイオン照射を受けることにより消耗するため、一定間隔での交換が必要となる。本例に示すライン状グリッドを用いることで大幅に加工時の作業時間を短縮でき、低コスト化が可能になる。
尚、本例においては、円環状に形成したグリッド部の例を示したが、これに限定されず、例えば、略円環状、或いは正八角形などの略正多角形状の環状に形成したグリッド部であってもよい。
図6に基づいて偏向電極30の作用を詳細に説明する。図6(a)に示すように、円錐台形の第1電極筒31と第2電極筒32とが互いに重なり合うように配置し、両者の間に直流電源35により所定の電圧を印加して形成した電界36により、イオンビームを所定の角度屈曲させる。第1電極筒31にはプラス電位が印加され、第2電極筒32にはマイナス電位が印加されている。この電界により屈曲角を任意に変更することが可能である。この時、2枚の電極板31,32で形成される電界36はこの電極間付近のみに局在して形成されるように配置することが必要である。例えば図3における第2電極筒32の電位は引き出し電極71の電位と同一にすることで引き出し電極7と偏向電極30の間での電界を小さくすることができる。尚、本発明においては、図6(b)に示す様に第1電極筒31と第2電極筒32とを、リング状の第1電極33と第2電極34としても良い。
図7にφ65mmの基板全面へイオンを入射させる場合に必要となるイオンビームの幅とイオンビームの傾斜角θの関係を示す。イオンビームの平行性を維持するためには、イオンビームが屈曲する前後でイオンビームの幅が同一であることが望ましく、基板Wの中心を含む断面でのイオンビームの幅で基板W全面に照射できることが望ましい。さらに基板Wへ入射されるイオンビームの均一性や、基板W、偏向電極30、グリッド部74の機械公差による幾何学的位置ずれも考慮するとグリッド部74の幅は、図7に示すように、基板Wへのイオン入射角度における出力ビーム幅の値以上とすることが望ましい。
一方、イオンビームの使用効率という観点からは、余計なイオンの出射は望ましくなく、ビームの均一性も考慮してグリッド74の幅を決定すると良い。例えば80°の入射角θでイオンビームを基板Wに入射させる場合、偏向電極30から出力されるビーム幅は12mmから若干大きな領域とすると良い。また、基板処理により平坦化を実現するためには、入射角度は60°以上であることが望ましい。
グリッド部74、偏向電極30の被処理面からの位置、イオンビームの曲げ角度を適切に調整することで、図3に示すように、基板W全面に一定の角度θのイオンビームを均一に入射させることが可能となる。
図8は、偏向電極30を往復移動させる形態を示す。本例に係るイオンビーム発生装置は、偏向電極30を引き出し電極7との対向方向に移動させる駆動機構(不図示)を備えている。駆動機構は、偏向電極30を、引き出し電極7と基板Wとの間で移動させることで、イオンビームが基板Wに対して入射する位置を調整することができる。図8に示すように、偏向電極30を引き出し電極7に近いAの位置に配置すると、イオンビーム37は基板Wの一端に入射する。一方、偏向電極30を基板Wに近いBの位置に配置すると、イオンビーム37は基板Wの他端に入射する。偏向電極30をA点とB点の中間のOの位置に配置すると、基板Wの中央部に主にイオンビームが入射する。グリッド部74を図7に示す幅よりも小さくした結果、イオンビームが被処理基板W全面に照射できない場合がある。このような場合には、偏向電極30を例えば被処理基板面と、これと対向する引き出し電極面間で移動させることで、イオンビームを基板上で一定の入射角で挿引させることができる。これにより基板全面にイオンビームを照射することができる。
この際、円形の被処理基板Wに円形状に所定の角度でイオンビームを入射させ挿引させる場合、グリッド部74からのイオン出射量が同一でも被処理基板W上の挿引位置により入射領域の面積が異なることになる。即ち、基板上の半径の小さい部分(中心に近い位置)に照射する場合と半径の大きい領域(中心から遠い位置)に入射させる場合には、入射領域の面積が異なるため、単位面積当たりの入射量が異なることになる。結果的に、基板へのエッチングが不均一となってしまう。
図9は、偏向電極30を位置Aと位置Bの間を往復移動させる時の、偏向電極30の移動速度を説明する図である。Oの位置では、偏向電極30の移動速度を相対的に速くして、位置Aや位置Bでは、偏向電極30の移動速度を相対的に遅くするように制御する。このように照射部の半径に合わせて、挿引速度を変調させ被処理基板Wへのイオンの入射量を均一にすることができる。例えば、挿引速度を対応する被処理基板Wの半径に反比例するように偏向電極30の動作に変調させることで被処理基板W上でのイオンの入射量を均一とすることができる。図中の91は基板照射範囲である。
尚、上記例では引き出し電極7の平坦部75は、イオンビームが照射されない非照射部となっているが、本発明ではこれに限定されず、イオンビームを照射できるようにグリッド部を形成してもよい。これにより被処理基板Wに垂直なイオンビームと傾斜したイオンビームを同時に照射することができる。
次に、図1を参照して、本例の基板処理装置100の作用について説明する。
第1のイオンビーム発生装置1aから基板Wの一方の処理面にイオンビームが照射されて、基板Wの一方の処理面が処理される。同様に、第2のイオンビーム発生装置1bから基板Wの他方の処理面にイオンビームが照射されて、基板Wの他方の処理面が処理される。
本例の基板処理装置100では、第1、第2のイオンビーム発生装置1a、1bには各々被処理基板Wの外形より外側の領域にイオンを出射せしめるグリッド部74を有する引き出し電極7が構成されている。さらに、当該グリッド部74から引き出されたイオンビームを被処理基板Wの方向に屈曲させる偏向電極(不図示)が所定の角度で傾斜して構成されている。これにより被処理基板Wに所定の入射角でイオンを斜め入射させ所定の処理を行うことができる。
次に本発明のイオンビーム発生装置を用いた基板の処理効果について説明する。
イオンビームを入射させて基板を処理する例としては、基板上に堆積させた膜の所定形状への加工及び全面加工、基板上に形成された凹凸面の平坦化加工などが挙げられる。
図10は、イオンビームを入射させて基板上に堆積された膜を所定の形状に微細加工する例を示す。被処理基板W上にスパッタ法やCVD法などで堆積させた被処理膜201にフォトレジスト202を所定の形状にリソグラフィーで形成し、これをマスクとして前記イオンビーム発生装置よりイオンビーム203を照射し被処理膜201を加工する。半導体基板の加工のような微細加工を要求される用途では、素子の性能確保のため、設計したパターン通り、即ちよりマスクに合わせた垂直加工が望まれる。
この際、イオンビーム発生装置ではプラズマ源に所定のガスを導入し発生させたイオンを引き出し電極にて加速し、このイオンビームを基板に照射させてエッチング加工を行う。図10(a−1)、(a−2)はイオンビームを垂直方向のみから入射させた場合の加工形状を、(b−1)、(b−2)は本発明の装置でイオンビームを傾けた場合を示す。この時、Ar、He等の不活性ガスを用いた場合や、被処理材料が所謂難ドライエッチング材で、被処理材とプラズマで発生させた活性種との化学反応により揮発性生成物を形成しない場合、基板処理面よりスパッタリングにより付着性の粒子204が飛散する。粒子の飛散方向は例えば一般的なスパッタリンング理論によれば放出角のコサインに比例した分布といったようにある分布をもって飛散するため、一部は加工体側面方向に飛散した後に付着しエッチングの垂直な進行を阻害しパターン側面堆積膜205を形成する。この堆積膜205によりパターン側壁は図10(a−2)のようにテーパー形状を呈する。実際にこのような垂直入射でエッチングを行った場合、概略75°以上のテーパー角を得ることができない。テーパーのついた側壁へ基板に対してイオン入射角が0°のビームを入射させた場合、前記側壁面のイオン入射角は非常に大きくなる。例えば前記75°のテーパー角の場合、例えば文献”R.E.Lee:J.Vac.Sci.Technol.,16,164(1979)”の図2に従えば、基板に平行な被エッチング面に対しエッチング速度は極端に低下することとなる。尚、テーパー角とは、側壁と基板表面とのなす角度を言い、イオン入射角とは、入射するイオンビームが入射面に対して直交する方向から傾斜する角度を言い、例えば、被エッチング面に対して垂直に入射する場合が0°である。
これに対し本発明に係るイオンビーム発生装置1を用いて傾斜したイオンビーム206を、例えば15°傾けて照射した場合、イオンビームは例えば75°のテーパー角を持つ側面に対しては入射角が60°、被エッチング面に対しては入射角が15°となる。前記文献に従えば、イオンビームが傾斜していない場合に比べて、そのエッチング速度の差は著しく低下する。図10(b−2)に示したように、被処理膜201の側壁もエッチングが進行しより垂直なエッチング側面が得られる。
図11は、本発明のイオンビーム発生装置を用いて、基板表面の凹凸面を平坦化する加工例を示す。図11(a−1)、(b−1)に示すように、被処理基板W上に予め被加工層208を成膜した後、リソグラフィー法を用いてエッチング加工等により微細加工処理を行う。エッチング加工は、例えば前記図10のような斜め入射イオンビームによって行われる。このエッチング加工された層208の上に、例えばスパッタリング法などを用いて埋め込み成膜を行ない埋め込み層209を形成する。スパッタリング等で成膜を行った場合、埋め込み層209の表面には、図11(a−1)、(b−1)に示した様にパターンが存在する部分と存在しない部分で段差が発生する。これはスパッタリング粒子が基板面に均等に入射するため、基板上各部の成膜される膜の体積が等しいことによるものである。一部の半導体加工や磁気ディスク加工においては、素子の性能確保や次の工程の便宜のため、このような凹凸表面を平坦にすることが望まれる。
図11(a−2)、(a−3)は前記凹凸表面にイオンビーム203を垂直に入射させた場合の表面形状の変化を示す。この場合には基板Wに平行な面は一様に加工されるが、テーパー部分はイオンビームの入射角が非常に大きいためエッチングの進行が抑制された形状を呈する。但しイオンビームは凸部の角部を選択的にエッチングする効果があるため、凸部の形状は丸みを帯びるが、十分な平坦化の効果を得ることができない。
一方、図11(b−2)、(b−3)に示す様に、段差側壁面に対して略垂直に、即ち基板面に対して傾斜してイオンビーム206を入射させた場合、段差側壁を基板に平行な面に比べ大幅に早いエッチング速度でエッチングすることができる。これによって凸部の幅のみが次第に狭くなり最終的に凸部が消失し平坦面を得ることができる。例えば段差の側壁が75°のテーパーを持つ場合、イオンビーム206を60°の角度から入射させれば段差面には入射角が15°のイオンビームが照射される。この時、基板Wに平行な面へのイオンビームの入射角は60°となり前記文献によれば段差面が大幅に早いエッチング速度でエッチングされる。
本発明においては、基板に均一なイオンビームを入射させることが可能であるため、基板を回転する必要がない。本発明において、基板回転機構を設ける場合には、その機構によりイオンビームの入射が阻害される部分が発生するか、又は特開2008−117753号公報の図5のように基板外周部に摺動部分を設けることが必要となり、好ましくない。特に、基板外周部に摺動部を設けることは、基板上に不要なパーティクルを付着させ、歩留まりを著しく阻害せしめることに繋がるため、好ましくない。また、図示しないが、他にもイオンビームを阻害させることなく、又、基板部に摺動部を持たせずに基板を回転させるためには非常に大きな構造を必要とし、本例の様な小型化が望まれる基板処理装置には適していない。
以上説明したように、本例の基板処理装置100によれば、対向するイオンビーム発生装置1a,1bのイオンビームを出射するグリッド部74を被処理基板Wより外側に形成している。そして、当該イオンビームを被処理基板側に屈曲させるための偏向電極30により屈曲させ被処理基板に照射させる。これにより、よりパターン精度の高いエッチング加工や凹凸面の平坦化を行うための小型でパーティクルの発生を押さえた均一な傾斜イオンビーム発生装置を構成することができる。
本発明のイオンビーム発生装置は、上記したように、電子デバイスの製造工程において、基板表面をエッチングして微細加工や平坦化を施す場合に好ましく適用される。
図12は、本発明のイオンビーム発生装置を磁気記録媒体の製造に用いた場合の、製造装置の概略構成図である。本例の製造装置は、図12に示すように、複数の真空排気可能なチャンバ111乃至121が無端の方形状に接続配置されたインライン式の製造装置である。そして、各チャンバ111乃至121内には、隣接する真空室に基板を搬送するための搬送路が形成され、基板は製造装置内を周回するうちに順次各真空室内での処理が行われる。また、基板は方向転換チャンバ151乃至154において搬送方向が転換され、チャンバ間を直線状に搬送されてきた基板の搬送方向を90°回転し、次のチャンバに引き渡す。また、基板はロードロックチャンバ145により製造装置内に導入され、処理が終了すると、アンロードロックチャンバ146により製造装置から搬出される。尚、チャンバ121のように、同じ処理を実行可能なチャンバを複数個連続して配置し、同じ処理を複数回に分けて実施させてもよい。これにより、時間がかかる処理もタクトタイムを伸ばすことなく実施できる。図12の装置では、チャンバ121のみ複数個配置しているが、他のチャンバを複数個配置してもよい。
図13(a)は、本例の製造装置によって処理を行う積層体の模式図である。尚、本例では、基板301の対向する両面に積層体が形成されている。しかしながら、図13(a)では、図面及び説明を簡便化するために、基板301の片面に形成された積層体の処理に着目し、もう一方の面に形成された積層体及び該積層体への処理は省略する。従って、図13(b)乃至(d)、図14(e)乃至(h)においても、基板301の片面に形成された積層体への処理について説明するが、もう一方の面に形成された積層体についても同様の処理が行われる。
積層体は、図13(a)に示すように、DTM(Discrete Track Media)に加工途中のものであり、基板301と、軟磁性層302と、下地層303と、記録磁性層304と、マスク305と、レジスト層306とを備えている。係る積層体を図12に示す製造装置に導入する。基板301としては、例えば直径2.5インチ(65mm)のガラス基板やアルミニウム基板を用いることができる。尚、軟磁性層302、下地層303、記録磁性層304、マスク305、レジスト層306は、基板301の対向する両面に形成されているが、上述のように図面及び説明の簡便化のために、基板301の片面に形成された積層体は省略している。
軟磁性層302は、記録磁性層304のヨークとしての役割を果たす層であり、Fe合金やCo合金などの軟磁性材料を含んでいる。下地層303は、記録磁性層304の容易軸を垂直配向(積層体300の積層方向)させるための層であり、RuとTaの積層体等を含んでいる。この記録磁性層304は、基板301に対して垂直方向に磁化される層であり、Co合金などを含んでいる。
また、マスク305は、記録磁性層304に溝を形成するためのものであり、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)などを用いることができる。レジスト層306は、記録磁性層304に溝パターンを転写させるための層である。本例では、ナノインプリント法により溝パターンをレジスト層に転写し、この状態で図12に示す製造装置に導入する。尚、ナノインプリント法によらず、露光、現像により溝パターンを転写してもよい。
図12に示す製造装置では、第1チャンバ111で反応性イオンエッチングによりレジスト層306の溝を除去し、次に第2チャンバ112で溝に露出したマスク305を反応性イオンエッチングにより除去する。この時の積層体300の断面を図13(b)に示す。その後、第3チャンバ113で溝に露出した記録磁性層304をイオンビームエッチングにより除去し、記録磁性層304を図13(c)に示すように各トラックが径方向で離間した凹凸パターンとして形成する。例えば、この時のピッチ(溝幅+トラック幅)は70乃至100nm、溝幅は20乃至50nm、記録磁性層304の厚さは4乃至20nmである。第3チャンバ113において、本発明のイオンビーム発生装置を用いたイオンビーム加工を行うことでパターン精度が高く基板内での均一性に優れたエッチング加工をすることができる。
このようにして、記録磁性層304を凹凸パターンで形成する工程を実施する。その後、第4チャンバ114、第5チャンバ115にて、記録磁性層304の表面に残ったマスク305を反応性イオンエッチングにより除去する。これにより、図13(d)に示すように記録磁性層304が露出した状態とする。
次に、図14(e)乃至(h)を用いて、記録磁性層304の凹部に非磁性材料からなる埋め込み層を成膜して充填する工程、余剰の埋め込み層をエッチングにより除去するエッチング工程について説明する。
図13(d)に示すように、積層体300の記録磁性層304を露出させた後、埋め込み層形成用チャンバ117において、図14(e)に示すように、記録磁性層304の凹部である溝307の表面に埋め込み層309を成膜する。尚、埋め込み層形成用チャンバ117が、記録磁性層304上に非磁性材料からなる埋め込み層309を成膜・充填する第2の成膜チャンバとして機能する。埋め込み層309は、記録磁性層304への記録や読み出しに影響を与えない非磁性材料であって、例えば、Cr,Tiやこれらの合金(例えば、CrTi)などを用いることができる。非磁性材料は、強磁性材料を含んでいる場合であっても、他の反磁性材料や非磁性材料を含むなどして全体として強磁性材料としての性質を失っているものであればよい。
埋め込み層309の成膜方法は特に限定されないが、本例では、積層体300にバイアス電圧を印加し、RF−スパッタを行う。このようにバイアス電圧を印加することで、スパッタされた粒子を溝307内に引き込み、ボイドの発生を防止する。バイアス電圧として、例えば、直流電圧、交流電圧、直流のパルス電圧を印加することができる。また、圧力条件は特に限定されないが、例えば3乃至10Paの比較的高圧力の条件下であると、埋め込み性が良好である。また、イオン化率の高いRF−スパッタを行うことで、溝307に比べて埋め込み材料が積層しやすい凸部308を、イオン化された放電用ガスにより成膜と同時にエッチングすることができる。よって、溝307及び凸部308に積層される膜厚の差を抑制することができる。尚、コリメートスパッタリングや低圧遠隔スパッタリングを用いて、凹部である溝307に埋め込み材料を積層させてもよいが、本例の方法を用いることで、基板301とターゲットの距離を短くすることができ、装置を小型化できる。
尚、図示しないが、埋め込み層309成膜前にエッチングストップ層を成膜しても良い。エッチングストップ層は上層の埋め込み層309に対して後述する平坦化の条件でエッチング速度が埋め込み層309より低い材料を選択すると良い。これにより平坦化の際のエッチングの進み過ぎによる記録磁性層304へのダメージを抑制する機能を付与することができる。また、エッチングストップ層として非磁性の金属材料を選択すると、後工程の埋め込み層309成膜時のバイアス電圧を有効に機能させることができ前記ボイドの発生を効果的に抑制できる。
図12中にはエッチングストップ層成膜チャンバ116を含めて図示している。
埋め込み成膜を行った後の表面は図14(e)に示すように微細な凹凸上は概ね埋め込まれるが、前記のように平坦な面に比べ低くなる。微細な凹凸上は埋め込み層の膜厚が十分でない場合微小な凹凸が残ることがある。
次に、第1のエッチングチャンバ118において、図14(f)に示すように、記録磁性層304上に若干埋め込み層309を残し、埋め込み層309を除去する。本例では、Arガスなどの不活性ガスをイオン源としたイオンビームエッチングにより埋め込み層309を除去する。この時、本発明のイオンビーム発生装置を用いて傾斜したイオンビームを照射することで、表面に形成された段差を効果的に平坦化する。イオンビームの傾斜角は単一、複数の組み合わせ、或いは垂直入射を組み合わせても良く表面の段差に応じて偏向電極30の形状や偏向電極30に印加する電圧を選択し最適化を図ることができる。
第1のエッチングチャンバ118は、図1に例示した本発明のイオンビーム発生装置1a、1bを備えている。この第1のエッチングチャンバ118は、埋め込み層309の一部をイオンビームエッチングにより除去するためのチャンバである。尚、具体的なエッチング条件としては、例えば、チャンバ圧力を1.0×10-1Pa以下、電極73の電圧を+500V以上、電極72の電圧を−500V乃至−2000V、誘導結合プラズマ(ICP)放電でのRFパワーを200W程度とする。
平坦化された後もイオンビームエッチングを継続することにより、図14(g)に示すように、残された埋め込み層309を完全に除去する。
図12には前記の図示しないエッチングストップ層を除去するための第2のエッチングチャンバ119も記載した。尚このエッチングチャンバ119は反応性ガスによるICPプラズマを用い、キャリアにDC、RF、DCパルス等のバイアスを印加する機構等により構成される。
次に、図14(h)に示すように、平坦化された表面にDLC層310を成膜する。本例では、この成膜は加熱チャンバ120或いは冷却チャンバにおいてDLCの形成に必要な温度に調整した後、保護膜形成チャンバ121にて行う。成膜条件は、例えば、平行平板CVDにて、高周波電力を2000W、パルス−DCバイアスを−250V、基板温度を150乃至200℃、チャンバ圧力を3.0Pa程度とし、ガスはC2H4、流量250sccmとすることができる。ICP−CVDなどでも良い。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、マスク305がカーボンであれば、エッチングストップ層を形成する代わりに、マスク305を残しておく方法でもよい。しかしながら、この場合、レジスト層306を除去するためのエッチングと、余剰の埋め込み層309を除去するためのエッチングの、2度のエッチングによりマスク305の厚さがばらばらになってしまうおそれがある。よって、上記実施形態のようにマスク305を取り去り、エッチングストップ層を形成しなおす方が好ましい。この場合、溝307の底面や壁面にもエッチングストップ層を形成することができ、エッチングストップ層に導電性材料を用いれば、上述したようにバイアス電圧をかけ易くなるので好ましい。
また、DTMの場合について説明したが、これに限定されない。例えば、記録磁性層304が点在するBPMの凹凸パターンに埋め込み層309を形成する場合にも本発明を適用できる。
本発明は、例示した基板処理装置(マグネトロンスパッタリング装置)のみならず、ドライエッチング装置、プラズマアッシャ装置、CVD装置及び液晶ディスプレイ製造装置等のプラズマ処理装置に応用して適用可能である。
また、本発明の基板処理装置は、各実施形態で述べられたいかなる特徴をも組み合わせることによって構成することができる。
また、本発明のイオンビーム発生装置を製造に用いることが可能な電子デバイスとしては、半導体、磁気記録媒体などが挙げられる。
1,1a,1b:イオンビーム発生装置、2,2a,2b:放電槽、7,71,72,73:引き出し電極、74:グリッド部、20:基板ホルダ、30:偏向電極
Claims (8)
- プラズマを発生させるための放電槽と、
前記放電槽で発生させたイオンを加速しつつ放電槽の外へ引き出すための開口を設けた環状のグリッド部を有する引き出し電極と、
前記引き出し電極から引き出した環状のイオンビームを前記環状の中心方向に屈曲させるための偏向電極とを備えたことを特徴とするイオンビーム発生装置。 - 前記環状のグリッド部は、略円環状又は略正多角形状のグリッド部であることを特徴とする請求項1に記載のイオンビーム発生装置。
- 前記偏向電極を引き出し電極との対向方向において移動させる駆動機構を有することを特徴とする請求項1に記載のイオンビーム発生装置。
- 前記駆動機構は、前記偏向電極を往復移動させることを特徴とする請求項2に記載のイオンビーム発生装置。
- 前記グリッド部の開口が、ライン状孔である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のイオンビーム発生装置。
- 前記偏向電極が、複数の電極板により構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のイオンビーム発生装置。
- 基板を保持するための基板ホルダと、
前記基板ホルダに保持した基板の表面に対向して配置されたイオンビーム発生装置を、該基板の両面に対してそれぞれ設けた基板処理装置であって、
前記イオンビーム発生装置が、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のイオンビーム発生装置であることを特徴とする基板処理装置。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載のイオンビーム発生装置を用いた電子デバイスの製造方法であって、
前記放電槽内にプラズマを発生させる工程と、
前記引き出し電極に電圧を印加して、前記放電槽内のプラズマからイオンビームを引き出す工程と、
前記偏向電極に電圧を印加して、前記イオンビームを偏向させる工程と、
前記偏向されたイオンビームにより、基板表面のエッチングを行う工程と、
を含むことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
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