JP2011118380A - 磁性キャリア - Google Patents

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Abstract

【課題】 二成分現像方式による画像形成において、十分な画像濃度を得ると共に、高濃度部と低濃度部の境界付近における低濃度部の白抜け、低濃度部における粒状性が良好な画像出力を可能にする磁性キャリアを提供する。
【解決手段】 フェライト相とペロブスカイト構造をもつ化合物相とが連結して存在する磁性粒子と樹脂とを含有する磁性キャリア粒子を含有する磁性キャリアを用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、二成分現像方式を用いた複写機、プリンター等に使用される二成分系現像剤に含有される磁性キャリアに関するものである。
近年、電子写真方式を利用したプリンターのデジタル化、フルカラー化が進むと共に、更なるプリントスピードの高速化、出力画像の高画質化、現像剤の長寿命化が求められるようになった。このような状況下で、現像プロセスに関しては、より現像に厳しい条件下でも高品位な画像出力を可能にする技術が求められ、従来に増して現像性の良好な磁性キャリアの開発が望まれていた。
磁性キャリアの抵抗の現像性への影響は大きく、従来、磁性キャリアの抵抗を調整することで現像性の向上を図る試みが行われている。
磁性キャリアの一部に誘電材料を配することにより、磁性キャリアの抵抗を比較的高抵抗に保持したまま現像特性を改善し、現像注入による粒状性の悪化を低減しながら、所望の画像濃度を確保する方法が提案されている。例えば、高抵抗物質を被覆してなる二成分磁性キャリアにおいて、該高抵抗物質に、高誘電率物質を含有させることで、磁性キャリアの抵抗を高抵抗に保ちながら、高濃度部、及び中間調の再現性に優れた現像剤を提供できるとの提案がある(特許文献1、2参照)。
また、樹脂の中に磁性体粒子を分散させた磁性体分散型樹脂キャリアにおいて、バインダー樹脂中に比誘電率が80以上の高抵抗物質を分散させることで、磁性キャリアの抵抗を高抵抗に保ち、長期にわたり安定した濃度の画像を得る技術が提案されている(特許文献3参照)。
更に、磁性キャリアの一部に誘電材料を配することなく、電界印加下における磁性キャリア内の導電パスを制御し、実効的な誘電率を増加させて現像性を向上させる方法も提案されている。例えば、多孔質状のフェライト粒子の孔に樹脂を充填してなる樹脂充填型フェライト磁性キャリアを用いることで、磁性キャリアの誘電率の印加電界依存特性を制御することができるとの提案もある。これにより、現像バイアス下における磁性キャリアの誘電率を増加し、アモルファスシリコン感光体のような表面抵抗の低い感光体であっても、現像注入を防止しながら、現像性の良好な画像形成方法を提供できるとされている(特許文献4参照)。
また、樹脂充填型フェライト磁性キャリアにおいて、電界印加時における磁性キャリアの抵抗を高抵抗に維持できなかったことを課題に挙げ、磁性コアの抵抗を高抵抗化する手段として、フェライトである磁性相と、SiO、Al、Al(OH)の1種類以上を含む非磁性相とを有する磁性コアとする提案もなされている(特許文献5参照)。
ところが、高抵抗のコート材料に誘電率材料を分散する方法では、印刷初期において、画像濃度が高く、粒状感が抑制された粒状性が良好な画像が得られるものの、低濃度部から高濃度部へ変化する境界付近で、低濃度部の画像濃度が低下する、所謂、「白抜け」の発生が見られた。そして、一定期間以上の印刷を行うと、白抜けは更に目立つものとなっていた。これは、静電潜像に対するトナー電荷による充電が不十分であり、低濃度部と高濃度部の境界付近で、電界の廻り込みが発生するためであり、磁性キャリアの現像性が十分でないことに起因するものであると考えられる。また、印刷初期の画像濃度、粒状性が比較的良好であっても、長期の使用での画像濃度の低下、粒状性の低下が生じていた。長期の使用での画像濃度の低下は、コート層の磨耗により誘電材料の効果が低下し、現像性が低下したことが原因であると考えられる。また、長期の使用での粒状性の低下は、高抵抗のコート層の磨耗により磁性キャリアが低抵抗化し、静電潜像への電荷注入が発生したことが原因であると考えられる。
また、バインダー樹脂内部に磁性材料と誘電材料を分散して磁性キャリアコアを作製する方法は、印刷初期の画像濃度、画像品位は比較的良好であるものの、現像性は十分ではなく、一定期間の印刷後における白抜けの問題を解決するには到っていなかった。また、白抜けの問題を改善するために、バインダー樹脂中の誘電材料の分散量を更に増加すると、磁性キャリアの構成上、磁性粒子の分散量を低減する必要がある。この場合には、磁性キャリアの磁気特性が低下し、現像剤の搬送性が低下する、または、磁性キャリアの一部が感光体上に付着してしまうといった現象が生じてしまう。また、バインダー樹脂内部に磁性粒子の磁化量を大きくしようとすると、それに伴い磁性粒子の抵抗が低下し、磁性キャリアを高抵抗に保持することが困難となっていた。
また、多孔質フェライトを含有する樹脂充填型磁性キャリアは、高電界下における抵抗の低下を抑制しながら、誘電率を向上させることができるとしている。しかし、このような電界印加時における誘電率の増大は、多孔質フェライト内部の導電パスの増加に伴うものであると考えられ、磁性キャリアの抵抗特性と誘電率特性の関係を独立して制御することが困難であった。このため、更に磁性キャリアの誘電率を増加しようとすると、抵抗の低下により現像注入が発生し、粒状性が低下してしまう。
また、フェライトである磁性相と、非磁性相を有する化合物とを有する磁性コア用いることで、磁性キャリアの抵抗の高抵抗維持性を向上させ、現像注入による画像品位の低下を防止することは可能となる。しかしながら、磁性キャリアの高抵抗化による現像性に係る課題は解決されていない。このため、粒状感の抑制された出力画像が得られるものの、画像濃度と、白抜けに関しては課題が残っていた。
以上のように、従来提案されている方法では、印刷初期は十分な画像濃度の出力画像を比較的高品位な画質で出力することが可能であったが、印刷初期における白抜けに関しては十分改善されておらず、また、長期の使用に対して十分に安定した画像が得られていなかった。
特開昭60−19157号公報 特開平10−83120号公報 特開2007−102052号公報 特開2008−287243号公報 特開2007−218955号公報
本発明の目的は、十分な画像濃度を確保すると共に、白抜け、粒状性に優れた画像品位な出力画像を、長期の使用期間に渡り安定して出力することを可能にする、磁性キャリアを提供することである。
本発明は、磁性粒子と樹脂とを少なくとも含有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアであって、該磁性粒子は、フェライト相とペロブスカイト構造を有する化合物からなる相とが連結して存在する磁性粒子であることを特徴とする磁性キャリアに関する。
十分な画像濃度を確保すると共に、白抜け、粒状性に関して優れた画像品位を有する出力画像を、長期の使用に渡り安定して得ることが可能となる。
白抜け評価の評価方法を説明する図である。
我々は磁性キャリアの現像性の向上に着目し、鋭意検討を進めていった結果、磁性粒子内にフェライト相とペロブスカイト構造を有する化合物相とが連結して存在する磁性キャリアを用いて二成分系現像剤を作製することで、磁性キャリアの抵抗が比較的高抵抗を保持したまま現像性を改善できることを見出した。これにより、長期の使用期間に渡り、白抜け、粒状性が良好な高品位画像を所望の画像濃度で安定して出力することが可能になった。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の磁性キャリアを構成する磁性キャリア粒子に含有される磁性粒子に存在するフェライト相を構成するフェライトとは次式で表される焼結体である。
(M1O)(M2O)(Fe
(式中、M1は1価、M2は2価の金属であり、x+y+z=1.0とした時、x及びyは、それぞれ独立して0≦(x,y)≦0.8であり、zは、0.2<z<1.0である。)
該式中において、M1及びM2としては、Li、Fe、Mn、Mg、Sr、Cu、Zn、Ni、Co、Caからなる群から選ばれる1種類以上の金属原子を用いることが好ましい。
例えば、以下のようなフェライトが挙げられる。磁性のLi系フェライト(例えば、(LiO)(Fe(0.0<a<0.4,0.6≦b<1.0、a+b=1)、(LiO)(SrO)(Fe(0.0<a<0.4、0.0<b<0.2、0.4≦c<1.0、a+b+c=1));Mn系フェライト(例えば、(MnO)(Fe(0.0<a<0.5、0.5≦b<1.0、a+b=1));Mn−Mg系フェライト(例えば、(MnO)(MgO)(Fe(0.0<a<0.5、0.0<b<0.5、0.5≦c<1.0、a+b+c=1));Mn−Mg−Sr系フェライト(例えば、(MnO)(MgO)(SrO)(Fe(0.0<a<0.5、0.0<b<0.5、0.0<c<0.5、0.5≦d<1.0、a+b+c+d=1);Cu−Zn系フェライト(例えば、(CuO)(ZnO)(Fe(0.0<a<0.5、0.0<b<0.5、0.5≦c<1.0、a+b+c=1)。上記フェライトは微量の他の金属を含有していてもよい。
結晶の成長速度のコントロールの容易性の観点から、Mn元素を含有する、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Mn−Mg−Sr系フェライトがより好ましい。
磁性キャリア粒子に含有される磁性粒子を構成するペロブスカイト構造をもつ化合物とは次式で表される焼結体である。
AXO
(上記式中においてAは2価の金属であり、Ba、Ca、Srから選ばれる少なくとも1種類以上の金属元素である。Xは4価の金属であり、Ti、Nb、Fe、Co、Ni、Crから選ばれる少なくとも1種類以上の金属元素である。)
中でも、常温において極めて大きな誘電率を持つ、SrTiO、BaTiO、CaTiOがより好ましい。SrTiO、BaTiO、CaTiOとしては、従来から知られているSrTiO粉末、BaTiO粉末、CaTiO粉末を用いることができる。
SrTiO粉末、BaTiO粉末、CaTiO粉末は、例えば、市販品として以下のものが挙げられる。SrTiO粉末は、富士チタン工業のHPST−1、HPST−2、HSTシリーズ、堺化学工業のSTシリーズ、共立マテリアルのST。BaTiO粉末は、富士チタン工業のHBTシリーズ、BT−100シリーズ、堺化学工業のBTシリーズ、共立マテリアルのBTシリーズ。CaTiO粉末は、例えば、共立マテリアルのCT。
本発明においては、上記のフェライトからなる相とペロブスカイト構造を有する化合物からなる相とが連結されて存在するものである。「連結」とは、単に接触しているだけではなく、両化合物が、少なくとも界面の一部において隙間なく当接、或いは、結合している状態である。例えば、焼結体における当接状態が挙げられる。
また、磁性キャリア粒子に含有される磁性粒子は、多孔質体であることが好ましい。多孔質とすることにより、磁性粒子の電気抵抗を最適にコントロールすることができる。
以下、本発明の磁性キャリアの具体的な製造方法を詳細に説明する。
―工程1:仮焼フェライト粉末の作製―
工程1−1(秤量・混合工程):
フェライトの原料を、秤量し、混合する。
フェライト原料としては、以下のものが挙げられる。Li、Fe、Mn、Mg、Sr、Cu、Zn、Ni、Co、Caから選択される金属の粒子、これらの金属の酸化物、水酸化物、シュウ酸塩、炭酸塩。
また、混合する装置としては、ボールミル、遊星ミル、ジオットミルが挙げられる。特に、フェライト原料を固形分濃度60質量%以上80質量%以下となるように水に分散させたスラリーを用いる湿式のボールミルが混合性と多孔質構造を形成するためには好ましい。
工程1−2(仮焼成工程):
混合したフェライト原料をスプレードライヤーを用いて、造粒・乾燥した後、大気中で温度700℃以上1000℃以下にして、0.5時間以上5.0時間以下で仮焼成し、原料をフェライトにする。温度1000℃を超えると焼結が進み、多孔質にするための粒径まで粉砕しにくくなる場合があるため、1000℃以下であることが好ましい。
工程1−3(粉砕工程):
工程1−2で作製した仮焼フェライトを粉砕機で粉砕する。粉砕機としては、クラッシャーやハンマーミル、ボールミル、ビーズミル、遊星ミル、ジオットミルが挙げられる。仮焼フェライト微粉砕品の体積基準の50%粒径(D50)は、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。
仮焼フェライトの粉砕粉を上記の粒径にするために、ボールミルやビーズミルでは用いるボールやビーズの素材、運転時間を制御することが好ましい。具体的には、仮焼フェライトの粒径を小さくするためには、比重の重いボールを用い、粉砕時間を長くすればよい。ボールやビーズの素材としては、所望の粒径が得られるものであれば、特に限定されない。また、粒度分布を広くするために粉砕粒度の異なる粉砕粉を混合して用いることもできる。
ボールやビーズの素材としては、以下のものが挙げられる。ソーダガラス(比重2.5g/cm)、ソーダレスガラス(比重2.6g/cm)、高比重ガラス(比重2.7g/cm)等のガラスや、石英(比重2.2g/cm)、チタニア(比重3.9g/cm)、窒化ケイ素(比重3.2g/cm)、アルミナ(比重3.6g/cm)、ジルコニア(比重6.0g/cm)、スチール(比重7.9g/cm)、ステンレス(比重8.0g/cm)。中でも、アルミナ、ジルコニア、ステンレスは、耐磨耗性に優れているために好ましい。
ボールやビーズの粒径は、所望の粉砕粒径が得られれば、特に限定されない。例えば、ボールとしては、直径5mm以上20mm以下のものが好適に用いられる。また、ビーズとしては0.1mm以上5mm未満のものが好適に用いられる。
また、ボールミルやビーズミルは、粉砕効率が高くコントロールが容易になるため、乾式より水を用いたスラリーの如き、湿式の方がより好ましい。
―工程2:磁性粒子の作製―
工程2−1(造粒工程):
工程1で作製した仮焼フェライトの粉砕品とペロブスカイト構造をもつ化合物を秤量する。
ペロブスカイト構造をもつ化合物としては、体積基準の50%粒径(D50)は、0.5μm以上5.0μm以下のものを用いることが好ましい。
磁性キャリアの分極効果と磁性キャリアの磁気特性の観点から、仮焼成フェライト100質量部に対して、ペロブスカイト構造をもつ化合物の割合は、5質量部以上40質量部以下であることが好ましい。
上記混合粉末に対し、水、バインダー、ペロブスカイト構造をもつ化合物を加えフェライトスラリーを調製する。必要に応じて、細孔調整剤として発泡剤や有機微粒子、NaCOを加える。バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコールが好適に用いられる。
工程1−3において、湿式で粉砕した場合は、フェライトスラリー中に含まれている水も考慮し、バインダーと必要に応じて、細孔調整剤を加えることが好ましい。多孔質の程度をコントロールするため、スラリーの固形分濃度を50質量%以上80質量%以下にして、造粒することが好ましい。
得られたフェライトスラリーを、噴霧乾燥機を用い、100℃以上200℃以下の加温雰囲気下で、造粒し乾燥する。
噴霧乾燥機としては、多孔質磁性粒子の粒径を調整しやすいという点で、スプレードライヤーが好適に使用できる。多孔質磁性粒子の粒径は、スプレードライヤーに用いられるディスクの回転数、噴霧量を適宜選択して、コントロールできる。
工程2−2(本焼成工程):
次に、造粒品を温度800℃以上1400℃以下で、1時間以上24時間以下焼成する。
焼成温度を上げ、焼成時間を長くすることで、多孔質磁性粒子の焼成が進み、その結果、細孔の径は小さく、かつ、細孔の容積も減る。また、焼成する雰囲気を調整し、還元雰囲気下で焼成を行うことでよりフェライト相の低抵抗化ができる。
工程2−3(選別工程):
以上の様に焼成した粒子を解砕した後に、必要に応じて、分級や篩で篩分して粗大粒子や微粒子を除去して用いることが好ましい。更に、磁力選別機により、弱磁性の粒子を除去することが好ましい。
―工程3:磁性キャリアの作製―
工程3−1(充填工程):
工程2で作製した磁性粒子が内部に細孔を有する多孔質状の粒子である場合、磁性キャリアとしての適正な機械強度、抵抗が得られるようにするため、磁性粒子の細孔に樹脂を充填することが好ましい。
上記磁性粒子の孔に樹脂を充填する方法は、特に限定されないが、樹脂と溶剤を混合した樹脂溶液を磁性粒子の細孔へ浸透させる方法が好ましい。
上記樹脂溶液における樹脂固形分の量は、好ましくは1質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上20質量%以下である。30質量%以下である樹脂溶液を用いると粘度が高くならず磁性粒子の細孔に樹脂溶液が均一に浸透しやすくなる。また、1質量%以上であることで、溶媒の揮発速度が遅くなりすぎず、均一な充填を施すことができる。
上記磁性粒子の細孔に充填する樹脂としては特に限定されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のどちらを用いてもかまわないが、磁性粒子に対する親和性が高いものであることが好ましい。親和性が高い樹脂を用いた場合には、磁性粒子の細孔への樹脂の充填時に、同時に磁性粒子表面も樹脂で覆うことが容易になる。
上記熱可塑性樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリスチレン、スチレン−アクリル系樹脂;スチレン−メタクリル系樹脂;スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフルオロカーボン樹脂、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、ノボラック樹脂、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂。
上記熱硬化性樹脂としては、以下のものが挙げられる。フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、無水マレイン酸とテレフタル酸と多価アルコールとの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂。
また、これらの樹脂を変性した樹脂を用いても良い。中でもポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフロロカーボン樹脂又は溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂等の含フッ素系樹脂、変性シリコーン樹脂あるいはシリコーン樹脂は、フェライト粒子に対する親和性が高いため好ましい。
上述した樹脂のなかでもシリコーン樹脂が特に好ましい。シリコーン樹脂としては、従来から知られているシリコーン樹脂を使用することができる。
例えば、市販品として、以下のものが挙げられる。シリコーン樹脂では、信越化学社製のKR271、KR255、KR152、東レ・ダウコーニング社製のSR2400、SR2405、SR2410、SR2411。変性シリコーン樹脂では、信越化学社製のKR206(アルキッド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性)、東レ・ダウコーニング社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキッド変性)。
上記シリコーン樹脂には、荷電制御剤としてのシランカップリング剤を添加してもよい。添加量は、樹脂固形分100質量部に対し、1質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメトキシジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシランを例示できる。
多孔質の磁性粒子の細孔に樹脂を充填する方法としては、樹脂を溶剤に希釈し、これを細孔に添加する方法が挙げられる。ここで用いられる溶剤は、樹脂を溶解できるものであればよい。有機溶剤に可溶な樹脂である場合は、有機溶剤として、トルエン、キシレン、セルソルブブチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノールが挙げられる。また、水溶性の樹脂またはエマルジョンタイプの樹脂である場合には、溶剤として水を用いればよい。その他、細孔に樹脂を充填する方法としては、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、及び流動床の如き塗布方法により磁性粒子を樹脂溶液に含浸させ、その後、溶剤を揮発させる方法が挙げられる。
工程3−2(コート工程):
工程2で作製した樹脂充填磁性粒子(コア粒子)の表面には、被覆樹脂をコートすることが好ましい。コートする被覆樹脂量を調整することで、磁性キャリアとしての抵抗をコントロールすることができる。
また、工程3−1で磁性粒子の細孔に樹脂を充填した磁性キャリアの場合であっても、表面に更に被覆樹脂をコートすることが好ましい。コートする被覆樹脂量を調整することで、磁性キャリアとしての抵抗をコントロールすることができる。その場合、充填に使用する樹脂とコートに使用するコート材としての樹脂は同じであっても、異なっていても良く、熱可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。
上記コート材を形成する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のどちらを用いてもかまわない。又、熱可塑性樹脂に硬化剤等を混合し硬化させて使用することもできる。より離型性の高い樹脂を用いることが好適である。
さらに、上記コート材には、導電性を有する粒子や荷電制御性を有する粒子を含有させてもよい。
導電性を有する粒子としては、カーボンブラック、マグネタイト、グラファイト、酸化亜鉛、酸化錫が挙げられる。
コート層における導電性を有する粒子の含有量は、被覆樹脂100質量部に対して、粒子が2質量部以上80質量部以下の割合で含有されることが好ましい。
上記荷電制御性を有する粒子の成分としては、有機金属錯体、有機金属塩、キレート化合物、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキシカルボン酸金属錯体、ポリカルボン酸金属錯体、ポリオール金属錯体、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、シリカ、酸化チタン、アルミナなどが挙げられる。
コート層における荷電制御性を有する粒子の含有量は、被覆樹脂100質量部に対して、2質量部以上80質量部以下が好ましい。
表面を樹脂でさらにコートする方法としては、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、及び流動床の如き塗布方法により被覆する方法が採用できる。中でも、浸漬法が、磁性キャリア抵抗を所望の範囲にコントロールする上で好ましい。
コート量は、樹脂充填磁性粒子(コア粒子)100質量部に対し、0.1質量部以上5.0質量部以下であることが、磁性キャリアの抵抗を所望の範囲にする上で好ましい。
静電潜像への電荷注入を防止し、良好な現像性を確保する観点から、磁性キャリアの動的抵抗率は、電界強度1×10V/cmの電界下において、1×10Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下であることが好ましい。
本発明の磁性キャリアは、体積分布基準の50%粒径(D50)が15μm以上100μm以下であることが好ましい。上記の範囲にあることにより、トナーへの摩擦帯電付与能を改善でき、また磁性キャリアの感光体への付着を抑制できる。尚、磁性キャリアの50%粒径(D50)は、風力分級や篩分級を行うことで調整することができる。
工程3−3(選別工程):
以上の様に作製した磁性キャリアは、必要に応じて、分級や篩で篩分して粗大粒子や微粒子を除去して用いることが好ましい。更に、磁力選別機により、弱磁性の粒子を除去することが好ましい。
[各物性値の測定]
<動的抵抗率の測定>
磁性キャリアの電界強度1×10V/cmの電界下における磁気ブラシ状態での動的抵抗率を以下の方法で測定した。
磁性キャリアのみを内包した現像器の現像スリーブを、回転するアルミ円筒体(以下、「アルミドラム」とも称す)に対して、所定の間隔をあけて対向させ、更に現像スリーブをアルミドラムと対向部において同一となる方向に回転させた。この状態で、現像スリーブ−アルミドラム間に直流電圧を印加したときの電流を計測することで、動的抵抗率求めることができる。本測定においては、アルミドラムとしては直径84mmのものを用い、回転の周速は300mm/sとした。また、現像器はキヤノン製複写機imagePRESS C1の現像器(現像スリーブの直径は25mm)を用い、回転の周速は540mm/sとした。また、現像スリーブとアルミドラムの間隔を0.027cmとなるように調整した。更に、現像スリーブ上の磁性キャリア搬送量は、30mg/cmになるように、現像器の現像材搬送規制部材を調整した。
このとき、キャリアの形成する磁気ブラシがアルミドラムとの接触面積は、円筒体であるアルミドラムの長さ方向の接触幅32.7cmと、周方向の接触幅0.39cmの積で算出され、本測定の条件において接触面積は12.8cmであった。
現像スリーブ−アルミドラム間(以下SD間)には、直流電圧Voを印加し、SD間に流れる直流電流を測定することで、磁性キャリアの磁気ブラシ状態での動的抵抗を測定した。直流電圧源としては、Trek社製高電圧電源PZD2000を用いた。また、SD間に流れる電流は、コンデンサーと抵抗器を用いて作製したローパスフィルタを介して高周波ノイズを低減した後、Keithley社製6517A型エレクトロメータを用いて電流Iを測定した。このとき、動的抵抗率は、印加電圧Vo、電流I、SD間距離d、磁気ブラシがアルミドラムに接触している面積Sを用いて、
Figure 2011118380
により求めることができる。但し、本測定の条件においては、d=0.027cm、S=12.8cmとした。
電界強度1×10V/cmの電界下における動的抵抗率は以下のようにして算出した。まず、印加電圧Voを変化させて動的抵抗率を測定したときに、SD間に形成される電界強度(Vo/d)に対して、上記(1)式から求まる動的抵抗の値をグラフ上にプロットし、動的抵抗率の電界依存性を表すグラフを作成した。このグラフから、印加電界Vo/dが1×10V/cmであるときの動的抵抗率の値(Ω・cm)を算出した。
<仮焼フェライト微粉砕品、ペロブスカイト構造を有する化合物粉末、SiO粉末の体積分布基準50%粒径(D50)の測定>
仮焼フェライト微粉砕品、ペロブスカイト構造を有する化合物粉末、及び、SiO粉末の体積分布基準50%粒径(D50)は以下の要領で測定した。
粒度分布測定は、レーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置「マイクロトラックMT3300EX」(日機装社製)にて測定することができる。
仮焼フェライト微粉砕品、及び誘電材料粉末の体積分布基準の50%粒径(D50)の測定では、湿式用の試料循環器「Sample Delivery Control(SDC)」(日機装社製)を装着して行った。仮焼フェライト(フェライトスラリー)を測定濃度になるように試料循環器に滴下した。流速70%、超音波出力40W、超音波時間60秒とした。
測定条件は下記の通りである。
SetZero時間 :10秒
測定時間 :30秒
測定回数 :10回
溶媒屈性率 :1.33
粒子屈折率 :2.42
粒子形状 :非球形
測定上限 :1408μm
測定下限 :0.243μm
測定環境 :23℃/50%RH
<磁性粒子及び磁性キャリアの体積分布基準50%粒径(D50)の測定>
磁性粒子及び磁性キャリアの体積分布基準50%粒径(D50)の測定には、乾式測定用の試料供給機「ワンショットドライ型サンプルコンディショナーTurbotrac」(日機装社製)を装着して行った。Turbotracの供給条件として、真空源として集塵機を用い、風量約33リットル/s、圧力約17kPaとした。制御は、ソフトウエア上で自動的に行う。粒径は体積基準の累積値である50%粒径(D50)を求める。制御及び解析は付属ソフト(バージョン10.3.3−202D)を用いて行った。
測定条件は下記の通りである。
SetZero時間 :10秒
測定時間 :10秒
測定回数 :1回
粒子屈折率 :1.81
粒子形状 :非球形
測定上限 :1408μm
測定下限 :0.243μm
測定環境 :23℃/50%RH
<磁性キャリアの磁化の強さの測定>
磁性キャリアの磁化の強さは、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて測定することができる。測定方法としては、円筒状のプラスチック容器に十分密になるように磁性キャリアを充填し、一方で79.6kA/m(1kOe)の外部磁場を作り、この状態で前記容器に充填した磁性キャリアの磁化モーメントを測定する。さらに、前記容器に充填した磁性キャリアの実際の質量を測定して、磁性キャリアの磁化の強さ(Am/kg)を求めた。
<フェライト粒子1の製造例>
―工程1:仮焼フェライト微粉砕品の作製―
工程1−1(秤量・混合工程):
Fe 58.6質量%
MnCO 34.2質量%
Mg(OH) 5.7質量%
SrCO 1.5質量%
となるようにフェライト原材料を秤量した。
その後、ジルコニアのボール(直径10mm)を用いた乾式ボールミルで2時間粉砕・混合した。
工程1−2(仮焼成工程):
粉砕・混合した後、バーナー式焼成炉を用い大気中で950℃で2時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。
得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通り。
(MnO)0.385(MgO)0.127(SrO)0.013(Fe0.475
工程1−3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、ステンレス(直径10mm)のボールを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。
そのスラリーを、ジルコニアのビーズ(直径1.0mm)を用いた湿式ビーズミルで1時間粉砕した後、ビーズを分離し、フェライトスラリーA(仮焼フェライト微粉砕品)を得た。
得られた仮焼フェライト微粉砕品は、体積分布基準の50%粒径(D50)1.7μmであった。
―工程2:磁性粒子の作製―
工程2−1(造粒工程):
フェライトスラリーA130質量部に対して、SrTiO粉末(富士チタン工業製、HPST:体積分布基準の50%粒径(D50)1.6μm)30質量部を秤量、混合した。混合物100質量部に対し、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。
工程2−2(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度0.3体積%)で、4時間かけて1150℃まで昇温し、4時間そのまま1150℃を保持し焼成した。さらに、3時間かけて室温まで降温して、多孔質体であるフェライト粒子を取り出した。
工程2−3(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、その後、磁力選別機を用いて弱磁性物を除去して、フェライト粒子1(磁性粒子)を得た。
<フェライト粒子2の製造例>
フェライト粒子1の製造工程2−2において、焼成温度を、4時間かけて1050℃まで昇温し、4時間そのまま1050℃を保持した以外は、フェライト粒子1と同様にしてフェライト粒子2を得た。
<フェライト粒子3の製造例>
―工程1:仮焼フェライト微粉砕品の作製―
工程1−1(秤量・混合工程):
Fe 69.7質量%
MnCO Mg(OH) 1.0質量%
となるようにフェライト原材料を秤量した。
その後、ジルコニアのボール(直径10mm)を用いた乾式ボールミルで2時間粉砕・混合した。
工程1−2(仮焼成工程):
粉砕・混合した後、バーナー式焼成炉を用い大気中において950℃で2時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。
得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通り。
(MnO)0.360(MgO)0.024(Fe0.616
工程1−3(粉砕工程):
クラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、ステンレスのボール(直径10mm)を用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで5時間粉砕した。
そのスラリーを、ジルコニアのビーズ(直径1.0mm)を用いた湿式ビーズミルで1時間粉砕した後、ビーズを分離し、フェライトスラリーB(仮焼フェライト微粉砕品)を得た。
得られた仮焼フェライト微粉砕品は、体積分布基準の50%粒径(D50)1.2μmであった。
―工程2:磁性粒子の作製―
工程2−1(造粒工程):
フェライトスラリーB130質量部に対して、SrTiO粉末(富士チタン工業製、HPST:体積分布基準の50%粒径(D50)1.6μm)30質量部を秤量、混合した。混合物100質量部に対し、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0質量部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。
工程2−2(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度0.3体積%)で、5時間かけて1350℃まで昇温し、4時間そのまま1350℃を保持し焼成した。さらに、4時間かけて室温まで降温してフェライト粒子を取り出した。
工程2−3(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、その後、磁力選別機を用いて弱磁性物を除去して、フェライト粒子3を得た。
<フェライト粒子4の製造例>
フェライト粒子1の製造工程2−1において、フェライトスラリーA130質量部に対する、SrTiO粉末を10質量部とした以外は、フェライト粒子1と同様にしてフェライト粒子4を得た。
<フェライト粒子5の製造例>
フェライト粒子1の製造工程2−1において、SrTiO粉末の代わりに、BaTiO粉末(富士チタン工業製、BHT−1:体積分布基準の50%粒径(D50)1.4μm)を用いた以外は、フェライト粒子1と同様にしてフェライト粒子5を得た。
<フェライト粒子6の製造例>
フェライト粒子1の製造工程2−1において、SrTiO粉末の代わりに、CaTiO粉末(共立マテリアル製、CT:体積分布基準の50%粒径(D50)2.1μm)を用いた以外は、フェライト粒子1と同様にしてフェライト粒子6を得た。
<フェライト粒子7の製造例>
フェライト粒子3の製造工程2−1において、フェライトスラリーBへのSrTiO粉末の添加を行わない以外は、フェライト粒子3と同様にしてフェライト粒子7を得た。
<フェライト粒子8の製造例>
フェライト粒子3の製造工程2−1において、SrTiO粉末の代わりに、SiO粉末(体積分布基準の50%粒径(D50)1.8μm)を用いた以外は、フェライト粒子3と同様にしてフェライト粒子8を得た。
<磁性体分散粒子9の製造例>
体積分布基準の50%粒径(D50)が0.35μmのマグネタイト粉末100質量部に対して、体積分布基準の50%粒径(D50)が1.6μmのBaTiO粉末を30質量部秤量し、混合した。混合物に4.0質量部のシランカップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、100℃以上で高速攪拌し、親油化処理を行った。
親油化処理した混合物100質量部に対して、フェノール8質量部、ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド溶液40%、メタノール10%、水50%)5質量部、28%アンモニア水4質量部、水8質量部を加え、攪拌、混合しながら30分間かけて85℃まで昇温し、その後、3時間重合反応させて硬化させた。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄みを除去し、沈殿物を水洗いした後、風乾した。更に、減圧下、60℃の温度で乾燥し、その後、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、更に、磁力選別機を用いて弱磁性物を除去して、磁性体分散粒子9を得た。
上記フェライト粒子1乃至8及び磁性体分散粒子9の処方、及び、各種物性値(体積分布基準の50%粒径(D50)、磁化の強さ、電界強度1.0×10V/cmの電界下における動的抵抗率)の測定結果を表1に示す。
尚、表1において、添加材料量は仮焼フェライトまたはマグネタイト100質量部に対する添加材料の質量部数である。また、フェライト粒子1乃至6はいずれも、フェライトとペロブスカイト構造を持つ化合物とが焼結されており、それぞれの相が連結されているものであった。
Figure 2011118380
(樹脂溶液Aの調製)
シリコーンワニス
(SR2410(東レ・ダウコーニング社製)、固形分濃度20質量%) 100質量部
トルエン 97質量部
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 3質量部
以上を混合し、ペイントシェーカーを用いて1時間混合し、樹脂溶液Aを得た。
<磁性キャリア1の製造例>
工程3−1(充填工程):
フェライト粒子1の100質量部を混合撹拌機(ダルトン社製の万能撹拌機NDMV型)の撹拌容器内に入れ、撹拌容器内を減圧しながら窒素ガスを導入し、温度50℃に加熱しながら撹拌羽根を1分間に100回転で撹拌した。続いて、樹脂溶液Aの80質量部を撹拌容器内へ添加し、フェライト粒子1と樹脂溶液Aとを混合し、70℃に温度を上げ、2時間加熱撹拌を続け、溶剤を除去して、フェライト粒子1の細孔にシリコーン樹脂を有するシリコーン樹脂組成物を充填した。冷却後、得られた充填粒子を回転可能な混合容器内にスパイラル羽根を有する混合機(ドラムミキサーUD−AT型(杉山重工業社製))に移し、混合容器を1分間に2回転させて撹拌しながら、窒素雰囲気下に温度160℃で2時間熱処理した。得られた樹脂が充てんされた磁性粒子を目開き70μmの篩で分級して、フェライト粒子1の100質量部に対して、樹脂が8.0質量部充填された磁性キャリアコア粒子A(充填コア)を得た。
工程3−2(コート工程):
次いで、シリコーン樹脂組成物が充填されている磁性キャリアコア粒子100質量部を遊星運動型混合機(ナウタミキサVN型(ホソカワミクロン社製))に投入し、スクリュー状の撹拌羽根を公転を1分間に3.5回転させ、自転を1分間に100回転させながら撹拌し、窒素を流量0.1m/minでフローさせた。また、トルエンの除去を促進するために、温度70℃に加熱し、減圧下(約0.01MPa)とした。樹脂溶液Aの15質量部を磁性キャリアに対して1/3の量の樹脂溶液を投入し、20分間トルエン除去及び塗布操作を行った。次いで、さらに1/3の量の樹脂溶液を投入し、20分間トルエン除去及び塗布操作を行い、さらに1/3の量の樹脂溶液を投入し、20分間トルエン除去及び塗布操作を行った(被覆量1.5質量部)。その後、得られた粒子を回転可能な混合容器内にスパイラル羽根を有する混合機(杉山重工業社製のドラムミキサーUD−AT型)に移し、混合容器を1分間に10回転させて撹拌しながら、窒素雰囲気下に温度160℃で2時間熱処理した。得られた粒子を目開き70μmの篩で分級し、更に、磁力選別機を用いて弱磁性物を除去して磁性キャリア1を得た。
<磁性キャリア2の製造例>
磁性キャリア1の製造例において、フェライト粒子として、フェライト粒子2を用い、充填に用いる樹脂溶液Aを16.0質量部とした以外は、磁性キャリア1の製造例と同様にして磁性キャリア2を得た。
<磁性キャリア3の製造例>
フェライト粒子3に対して、磁性キャリア1の製造例における工程3−2(コート工程)のみを施し、磁性キャリア3を得た。
<磁性キャリア4の製造例>
磁性キャリア1の製造例において、工程3−1で得た磁性キャリアコア粒子Aをそのまま磁性キャリア4とした。
<磁性キャリア5〜7の製造例>
磁性キャリア1の製造例において、フェライト粒子として、フェライト粒子4〜6を用いた以外は、磁性キャリア1の製造例と同様にして磁性キャリア5〜7を得た。
<磁性キャリア8,9の製造例>
磁性キャリア3の製造例において、フェライト粒子として、フェライト粒子7,8を用いた以外は、磁性キャリア3の製造例と同様にして磁性キャリア8,9を得た。
<磁性キャリア10の製造例>
磁性体分散粒子9の100質量部に対して、被覆樹脂成分が1.5質量部となるように、樹脂溶液Aを用いて、80℃に加熱した流動床で塗布操作及び溶媒除去を行った。その後、開口70μmの篩で分級し、更に、磁力選別機を用いて弱磁性物を除去して磁性キャリア10を得た。
<磁性キャリア11の製造例>
樹脂溶液Aの100質量部に対して、体積分布基準の50%粒径(D50)が1.6μmのBaTiO粉末1質量部を加え、攪拌、混合し、被覆用樹脂溶液を作製した。フェライト粒子7の100質量部に対して被覆樹脂成分として1.5質量部になるように樹脂溶液を用いて、80℃に加熱した流動床で塗布操作及び溶媒除去を行った。塗布溶媒除去を行った後、200℃まで昇温して2時間の熱処理を行った。開口70μmの篩で分級し、更に、磁力選別機を用いて弱磁性物を除去して磁性キャリア11を得た。
上記磁性キャリア1乃至11の処方、及び、各種物性値(体積分布基準の50%粒径(D50)、磁化の強さ、電界強度1.0×10V/cmの電界下における動的抵抗率)の測定結果を表2に示す。
尚、表2において、充填樹脂量はフェライト粒子100質量部に対する充填樹脂成分の質量部数である。また、被覆樹脂量は磁性キャリア1、2、4〜7については、樹脂充填後の磁性粒子(コア粒子)100質量部に対する被覆樹脂成分の質量部数であり、磁性キャリア3、7〜11については、各磁性粒子100質量部に対する被覆樹脂成分の質量部数である。
Figure 2011118380
<シアントナーの製造例>
―樹脂の製造―
ビニル系共重合体ユニットを得るための材料として、スチレン10質量部、2−エチルヘキシルアクリレート5質量部、フマル酸2質量部、α−メチルスチレンの2量体5質量部、ジクミルパーオキサイド5質量部を滴下ロートに入れた。また、ポリエステル重合体ユニットを得るための材料として、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン25質量部、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン15質量部、テレフタル酸9質量部、無水トリメリット酸5質量部、フマル酸24質量部及び2−エチルヘキサン酸錫0.2質量部をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れた。この四つ口フラスコに温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけ、マントルヒーター内に設置した。次に四つ口フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、温度130度の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートより、ビニル系モノマー及び重合開始剤を約4時間かけて滴下した。次いで、温度を200℃まで昇温し、4時間反応させ、重量平均分子量78,000、数平均分子量3800、Tg62℃のハイブリッド樹脂Aを得た。
―シアンマスターバッチの製造―
・ハイブリッド樹脂A 60.0質量部
・シアン顔料(C.I.PigmentBlue15:3) 40.0質量部
上記の原材料をまずニーダー型ミキサーに仕込み、混合しながら非加圧下で昇温させる。30分間、90乃至110℃で加熱溶融混練した後、冷却し、ピンミル粉砕で約1mm程度に粉砕してシアンマスターバッチを作製した。
―シアントナーの製造―
・ハイブリッド樹脂A 100.0質量部
・精製パラフィンワックス(最大吸熱ピーク:70℃) 5.5質量部
・シアンマスターバッチ(着色剤分40質量%) 25.5質量部
・3,5−ジ−ターシャリーブチルサリチル酸のアルミニウム化合物 1.0質量部
上記の処方でヘンシェルミキサーにより十分に予備混合し、二軸押出し混練機で混練物温度が150℃(装置の出口温度設定120℃)になるように溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1乃至2mm程度に粗粉砕した。その後、ハンマー形状を変更し、メッシュを細かくしたハンマーミルを用いて約0.3mm程度の粗粉砕物を作製した。次に、ターボ工業社製のターボ・ミル(RSローター、SNBライナー使用)を用いて11μm程度の中粉砕物を作った。さらに、ターボ工業社製のターボ・ミル(RSSローター/SNNBライナー使用)を用いて6μm程度に粉砕後、再度ターボ・ミル(RSSローター/SNNBライナー使用)を用いて5μm程度の微粉砕物を作製した。その後、ホソカワミクロン社製の粒子設計装置「ファカルティ」を用いて、分級を行うことで重量平均粒径(D4)5.8μmのシアントナー粒子を得た。
得られたシアントナー粒子100質量部に、個数平均粒径110nmであり、ヘキサメチルジシラザンで処理された疎水化度85%のシリカ粒子を1.0質量部、個数平均粒径50nmであり、疎水化度68%の酸化チタン粒子を0.9質量部、個数平均粒径20nmであり、ジメチルシリコーンオイル処理された疎水化度90%のシリカ粒子を0.5質量部添加した。そして、ヘンシェルミキサー(三井三池化工機製)で混合して、重量平均粒径5.8μmのシアントナーを得た。
(実施例1)
磁性キャリア1の90質量部に対し、シアントナーを10質量部加え、V型混合機により10分間振とうさせて、現像初期状態に相当する二成分系現像剤Aを調製した。また、二成分系現像剤Aを、キヤノン製複写機imagePRESS C1の現像器内に封入し、現像器内のスクリューを2万枚の印刷に相当する時間空回転させ、2万枚の低印字率耐久後に相当する二成分系現像剤Bを得た。
キヤノン製imagePRESS C1改造機を用い、ブラック位置の現像器に上記二成分系現像剤A或いはBを入れ、常温常湿(23℃、50%RH)環境下で、画像形成を行った。転写材としては、CLC用紙(キヤノン製、81.4g/cm)を用いた。得られた画像に対し、画像濃度、粒状性及び白抜けについて下記の方法により評価した。評価結果を表3に示す。
(1)画像濃度
画像濃度は次のようにして評価した。感光ドラムの帯電量および、露光量を調整して、最高濃度画像部電位VL(本実施例では−150V)と非画像部電位VD(本実施例では−550V)の電位差が400Vになるように帯電、露光条件を設定した。感光ドラム上の表面電位は、現像スリーブと感光ドラムの対向する現像領域の直下に配置した表面電位計(トレック社製のMODEL347)を用いて測定した。更に、現像バイアス電圧の直流電圧Vdcを、現像コントラストVcon(=|Vdc−VL|)を250V、バックコントラストVback(=|VD−Vdc|)を150Vとなるように設定した。この条件にて、ベタ画像を出力し、得られた画像の透過濃度Dtを用いて画像濃度の評価を行った。尚、本実施例では、透過濃度Dtの値は、Macbeth社の透過濃度計TD904の赤フィルターモードで測定した。
画像濃度の評価基準としては、下記の評価基準を用いた。
A:透過濃度Dtが、1.55以上
B:透過濃度Dtが、1.50以上、1.55未満
C:透過濃度Dtが、1.45以上、1.50未満
D:透過濃度Dtが、1.45未満
(2)粒状性
粒状性の評価は次に示す方法で行った。
まず、透過濃度を測定したときと同様に、最高濃度画像部電位VL(本実施例では−150V)と非画像部電位VD(本実施例では−550V)の電位差が400Vになるように帯電、露光条件を設定した。また、現像バイアス電圧の直流電圧Vdcを、現像コントラストVcon(=|Vdc−VL|)を250V、バックコントラストVback(=|VD−Vdc|)を150Vとなるように設定した。次に、感光ドラム上に16階調のデジタル潜像を形成し、これに対して現像を行い、転写、定着を経て、16階調画像の出力画像を得た。この出力画像の明度Lが75であるときの粒状性GSの値を以下に説明する手法で算出した。
一般に銀塩写真の粒状度測定には、濃度分布Dの標準偏差であるRMS粒状度σが用いられている。その測定条件は、ANSI PJ−2.40−1985「root mean square(rms) granularity of film」に規定されている。
本発明では、これを応用した、濃度変動のパワースペクトル(ウィナースペクトル)を用いた測定手法を使用した。これは、画像のウィナースペクトルと視覚の空間周波数特性(Visual Transfer Function : VTF)とカスケードした後、積分した値を粒状性(GS)とする。GSは値が大きいほど、粒状性が悪いことを示すものである。詳細は参考文献(R.P.Dooley,R.Shaw:“Noise Perception in Electrophotography”J.Appl.Photogr.Eng.5(4))を参照。
測定の具体的手順としては,出力された紙上の画像をキヤノン製のCanoScan9950Fスキャナーを用い、800dpiで画像をサンプリングする。得られたサンプリング画像を、512pixel×512pixelに切り出し、2次元FFT(フーリエ変換)で周波数領域に変換し、その虚数部と実数部の2乗和であるウィナースペクトルを求める。このウィナースペクトルに、視覚の空間周波数特性(Visual Transfer Function:VTF)を掛け合わせ、積分した値が粒状性GS値となる。今回、Dooleyが提案している観察距離60cmのVTFを使用して数値化をおこなった。
Figure 2011118380
(式中、uは空間周波数、WS(u)はウィナースペクトル、VTF(u)は視覚の空間周波数特性である。
Figure 2011118380
の項は濃度と人の知覚する明るさの差を補正するための、平均濃度
Figure 2011118380
を変数とした関数である。)
粒状性の評価基準としては、下記の評価基準を用いた。
A:粒状性GSが、0.170未満
B:粒状性GSが、0.170以上、0.180未満
C:粒状性GSが、0.180以上、0.190未満
D:粒状性GSが、0.190以上
(3)白抜けの測定
本発明で課題として挙げている「白抜け」は、画像中の高濃度領域と低濃度領域が隣接したエッジ部で、転写紙の通紙方向に対して直交するエッジ領域の低濃度側のハーフトーン領域が白く抜けてしまう現象である。本発明で評価指標として用いている「白抜け指数」は、上記低濃度側のハーフトーン領域の白く抜けてしまった画像面積を数値化したものである。
「白抜け指数」の具体的な算出方法を以下に説明する。転写紙の搬送方向に対して、ハーフトーン横帯(30H 幅10mm)とベタ黒横帯(FFH 幅10mm)を交互に並べたチャートを出力する(即ち、感光体の長手方向全域に幅10mmのハーフトーン画像を形成し、次いで、長手方向全域に幅10mmのベタ画像を形成し、それを繰り返して得られる画像。)。その出力画像をスキャナーで読み取り、得られたスキャン画像を通紙方向と直交する方向に平均化し、図1のような1次元の輝度分布(256階調)を得る。得られた輝度分布において、ハーフトーンの画像濃度レベルと、エッジ部における白抜け領域の濃度レベルの輝度差を積算した値(図1における斜線部の面積)を白抜け指数とした。尚、今回読み取りスキャナーとしは、Kodak社のEverSmart Spreme2スキャナーを用い、解像度は4800dpi、読み込みレンジは最低濃度0.08から最高濃度1.60、ガンマは明度リニアで読み取りを行った。このときの濃度の測定には、エックスライト社製の分光濃度計X−Rite530のステータスAのモードを用いた。
白抜けの評価基準としては、下記の評価基準を用いた。
A:白抜け指数が、100未満
B:白抜け指数が、100以上、200未満
C:白抜け指数が、200以上、300未満
D:白抜け指数が、300以上
(実施例2乃至7、比較例1乃至4)
実施例1と同様に、磁性キャリア2乃至7と上記シアントナーとを組み合わせて二成分系現像剤を調製し、それぞれの二成分系現像剤について、(1)画像濃度、(2)粒状性、及び(3)白抜けに関して出力画像の画像特性を評価した。尚、評価結果は表3に記載した。
Figure 2011118380
表3に示した評価結果によれば、本発明の磁性キャリアである磁性キャリア1乃至7を含む二成分系現像剤を用いることにより、十分な画像濃度で白抜け、粒状性に優れた高品位な出力画像を、長期の印刷期間に渡り安定して出力することが可能になった。
磁性キャリア1乃至3は、フェライト粒子の製造工程において焼成条件を調整したことで、フェライト粒子内部の細孔容量に関して、磁性キャリア1が最もが大きく、磁性キャリア3が最も小さくなった。このように、焼成条件を調整することで、フェライト粒子内部の細孔容量を調整することで、磁性キャリアの磁気特性や抵抗を制御できる。
磁性キャリア1及び4は、共にフェライト粒子1を含有するが、磁性キャリア1は樹脂により表面被覆がなされ、一方磁性キャリア4は樹脂による表面被覆がなされていない。このように、磁性粒子に対する表面被覆の樹脂量を調整することにより、磁性キャリアの抵抗を調整できる。
磁性キャリア1及び5は、フェライト粒子の作製工程においてフェライトに対するペロブスカイト構造をもつ化合物の割合を変えた。これにより、磁性キャリアの抵抗と磁気特性を調整できる。
以上のように、本発明の磁性キャリアは、磁性キャリアの製造工程において、製造条件を調整することにより、磁性キャリアの磁気特性や抵抗を制御することができ、長期の印刷期間に渡り、白抜け、粒状性に優れた画像を出力することができる。
また、磁性キャリア1、6、及び7は、磁性粒子に含有されるペロブスカイト構造を持つ化合物が、それぞれSrTiO、BaTiO、CaTiOであるが、いずれも同様の効果が得られた。一方、磁性粒子にペロブスカイト構造を持つ化合物を含有しない磁性キャリア8、あるいは磁性粒子にペロブスカイト構造をもたないSiOを含有する磁性キャリア9は、現像初期における画像濃度は許容レベルであるものの、白抜けは解決していない。また、耐久後は更に現像性も低下し、画像濃度が低下した。これは下記の理由によるものと考えられる。すなわち、磁性粒子が高誘電率のペロブスカイト型の化合物を含有することで、磁性キャリアの誘電率が増大し、磁性キャリアの分極の効果により、磁気ブラシの周囲に形成される現像電場が実質的に強められることになる。これにより、大幅に現像性が向上し、結果として白抜けが改善したと考えられる。
磁性キャリア10は、現像初期においては、磁性キャリア1乃至7には若干劣るものの、比較的高品位な画像を出力することができたが、耐久後には、白抜けが発生した。これは、磁性キャリア10が、磁性体分散型樹脂キャリアであり、磁性粒子内部のBaTiOが低誘電率のバインダー樹脂に覆われ、十分な現像性が得られなかった為であると考えられる。一方、本発明の磁性キャリアは、フェライトとペロブスカイト構造を持つ化合物を連結することにより、フェライト相とペロブスカイト相の界面が電極としての役割を担い、磁性体分散型樹脂キャリアに比べ、磁性キャリアの分極効果を効率よく発現することができたため、長期の印刷期間に渡り安定して、十分な画像濃度で白抜け、粒状性に優れた高品位な画像を出力することができるようになったと考えられる。

Claims (5)

  1. 磁性粒子と樹脂とを少なくとも含有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアであって、
    該磁性粒子は、フェライト相とペロブスカイト構造を有する化合物からなる相とが連結して存在する磁性粒子であることを特徴とする磁性キャリア。
  2. 該ペロブスカイト構造を有する化合物は、SrTiO、BaTiO及びCaTiOからなる群より選ばれる化合物であることを特徴とする請求項1に記載の磁性キャリア。
  3. 該磁性粒子が、多孔質体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性キャリア。
  4. 該磁性キャリア粒子は、多孔質体の細孔に樹脂が充填されていることを特徴とする請求項3に記載の磁性キャリア。
  5. 該磁性キャリア粒子は、樹脂により表面被覆がなされていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の磁性キャリア。
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