JP2011094618A - 遠心圧縮機 - Google Patents

Abstract

【課題】ケーシングにおいて簡単な方法で明らかな騒音削減が達成されるターボチャージャ用の遠心圧縮機を提供する。
【解決手段】流入流路１９及びスパイラル流路２４を含んで成るケーシング１と、前記ケーシング内に軸着された圧縮機インペラとから成るターボチャージャー用の遠心圧縮機。前記ケーシングは、それぞれの間に少なくとも１個の空洞１８が形成されている少なくとも２個のケーシング部品２、３、４から成る。騒音軽減のために、前記流入経路にはそれによって前記空洞が前記流入流路と連通可能に接続されている少なくとも１個の開口２８を設ける。
【選択図】図２

Description

本発明は、特に請求項１の前文（流入流路及びスパイラル（らせん）流路を含んで成るケーシングを有し、且つ前記ケーシング内に圧縮機インペラが軸着されており、前記ケーシングは、それぞれの間に少なくとも１個の空洞が形成されている少なくとも２個のケーシング部品から成るターボチャージャー用の遠心圧縮機）に記載されたターボチャージャー用の遠心圧縮機に関する。

ターボ機械は、内燃機関に組み込んでターボチャージャーとして用いる場合では、一般に性能及び効率を高めるために、吸い込まれたフレッシュエアを高い圧力レベルに圧縮するために使用される。そして前記ターボチャージャーの排気側においてケーシングは高温及び高圧のため金属から成る。さらに、圧縮機側のケーシングがプラスチックから成る機械的ターボチャージャーや、又は圧縮機が電気的に駆動されるターボ機械も周知である。圧縮機の駆動時には、特に高い回転数（周波数）領域で相当な騒音が発生し、これらは高周波騒音であるため不快に且つ煩わしく感じられる。これは回転するシャフトや油膜の自然に動的な周波数によって引き起こされる絶え間ない音である。さらに、例えばシャフトの不平衡、脈動現象、空力学的効果（例えば圧縮機又はタービン翼の循環）によって引き起こされるその周波数スペクトルで変動する無数の騒音が存在する。この問題となる騒音の周波数範囲は通常、約１，０００Ｈｚから２０，０００Ｈｚまでのきわめて大きな帯域幅にある。これらの騒音は現在、個体伝播ノイズとして構造物へ導入され、そこから放射される。さらなる暗騒音の一部が直接、空気伝送音として放出される。この空気伝送音は空気伝送音経路上を伝播する。

ターボチャージャー内から外へ出る音を減衰させるために、特許文献１では、ケーシング及び圧力ポートをプラスチックで構成した遠心圧縮機がすでに提案された。騒音減衰にはスパイラルケーシングの領域に音響上有効な開口が備えられているが、これらは平底穴として形成されており、又は多孔板によって流路と分離されたチャンバーが形成されている。

特許文献２により、接着面に互いに接続されている３個のケーシング部品から成る遠心圧縮機用のケーシングが開示されている。

独国特許第１０１１２７６４Ａ１号明細書 独国特許第２０２００７０１６２８２Ｕ１号明細書

本発明の課題は、そのケーシングにおいて簡単な方法で明らかな騒音削減が達成されるターボチャージャ用の遠心圧縮機を提供することである。

この課題は請求項１の特徴（前記流入経路（１９）にはそれによって前記空洞（１８；３１、３２；３３）が前記流入流路（１９）と連通可能に接続されている少なくとも１個の開口（１５、２８、２９）が備えられている）を有する遠心圧縮機によって解決される。

本発明は、とりわけ、空気吸込出口の方向に伝播する音波は空気誘導部の放射騒音に加えて出口騒音にも悪影響を及ぼすという知見に基づいている。この現象は、少なくとも１個の開口を介して流入流路と連通可能に接続されている少なくとも１個の空洞が備えられていることによって解消される。したがって、開口が圧縮機の吸込断面に備えられることによって、音響減衰が音源で直接可能となる。

本発明の好ましい発展形態によれば、流入流路は実質的に中央のケーシング部品の軸方向部分によって形成されている。その代わりとして、流入流路を実質的にケーシング上部の軸方向部分及び中央のケーシング部品の軸方向部分によって形成することができる。

流入流路を空洞と連通可能に接続する開口を形成するには多くの可能性がある。これを形成する可能性の１つは、流入流路における開口がケーシング上部と中央のケーシング部品の軸方向部分間のスペースによって形成されていることで得られる。このスペースには軸方向部分間の周方向に延設するスロットが付加される。

代替の構成は、軸方向部分において多数の開口が備えられているという点にある。これらの開口は、例えば、好ましくは流入流路の軸方向に互いに平行に延設する楕円形の穴として形成することができる。それに加えて、開口を円形又は多角形に構成することも可能である。本発明の特に好ましい構成は、仕切り壁が備えられ、それによって（仕切り壁によって区画された）２個以上の空洞が形成されることである。このようにして（２個以上の空洞によって）個別間隙がもたらされるが、ここでこれらの個別間隙は大きさが異なること、又は同じ大きさであることが可能である。複数部分によるケーシングの構成は、空洞が環状に形成されており、もしくは軸方向部分を包囲する点で有効である。

仕切り壁としては、例えば、それぞれの個別間隙を有する上部の空洞と下部の空洞を互いに分離する環状の半径方向の仕切り壁を備えることができる。その代わりとしては、軸方向の仕切り壁を備えることも可能であるが、ここでは２個以上の仕切り壁がそれに対応する数の空洞を形成する。この場合、好ましくは、軸方向部分を包囲し、それによって３個のリングセグメント状の空洞を形成する３個の軸方向の仕切り壁が備えられる。

ケーシング部品は、好ましくは熱可塑性プラスチック、例えばＰＰＳ（ポリフェニルサルファイド）から成る。ケーシング部品の互いの結合は、例えば摩擦溶接によって行われる。

本発明によれば（の効果として）、遠心圧縮機のケーシングにおいて簡単な方法で明らかな騒音削減が達成される。

遠心圧縮機のケーシングの軸方向の断面を示す図である。 図１によるケーシングの代替構成を示す図である。 図１によるケーシングのさらなる代替実施形態を示す図である。 ２個の空洞を形成する環状の半径方向の仕切り壁を有する図２の図である。 多数の空洞を形成する軸方向の仕切り壁を有する図３の図である。 図５における仕切り壁によって形成された空洞を示す概略図である。

図１は３個のケーシング部品で形成されたケーシング１を示し、ここでは上部２と下部３との間に中央部４が配置されている。これらのケーシング部品２、３、４は熱可塑性プラスチック、好ましくはＰＰＳ（ポリフェニルサルファイド）から成る。上部２には２個の環状の接合面５、６が形成されており、ここでは接合面５には下部３の当たり面７があり、接合面６には中央部４の接触面８がある。接合面５及び当たり面７並びに接合面６及び接触面８はそれぞれ溶接ゾーンを形成し、ここに部品がしっかりと接合されている。

上部２には下方に開放した湾曲部９が形成されており、これは環状に延出して周方向に拡張している。この湾曲部９の半径方向に内在する端には接合面６が形成されており、ここで接触面８には中央部４において形成されている湾曲部９の形に適合した円形部分１０が接続している。さらに、中央部４は、円形部分１０が形成されている半径方向部分１３に対して円形１２を有する軸方向部分１１を含んで成る。

中央部４の軸方向部分１１と同列に上部２には軸方向部分１４が形成されている。軸方向部分１１、１４は流入流路１９を形成し、ここで部分１１と１４との間にはスペースが存在しており、そのスペースによって周方向に延設するスロット１５が形成されている。上部２の軸方向部分１４は壁部１６、１７を介して湾曲部９と結合されている。これらの壁部１６、１７及び軸方向部分１１、１４、円形１２及び半径方向部分１３は、軸方向部分１１、１４の周りに延出する環状の空洞１８を画定するが、これはスロット１５を介して軸方向部分１１、１４によって形成される流入流路１９と連通可能に接続されている。

下部３は、周方向に拡張する環状の湾曲部２０として実質的に形成されており、その半径方向の外側には上方に延出する軸方向のスリーブ２１が接続し、その上端には当たり面７がある。スリーブ２１の内壁には上部２の軸方向部分２２が近接しているため、この領域ではケーシング１は二重壁になっている。下部３は図示されていないケーシング底部を受入れるために下側に形成されており、ここで下部３には半径方向に内部に向けられた突起部２３が備えられている。図面から明らかなように、湾曲部９は上部２に、円形部分１０は中央部４に且つ湾曲部２０は下部３にスパイラル（らせん）流路２４を形成する。

図２は代替構成におけるケーシング１を示し、ここで中央部４は、半径方向に延出する壁部１６の下端にまで達する長めの軸方向部分２７を備えている。壁部１６の下端にはさらなる接合面２５が備えられており、これには部分２７の当たり面２６が当接し、これらの面２５、２６には上部２及び中央部４も面６、８におけるのと同様にしっかりと結合されている。円筒形に形成された部分２７には多数の楕円形の穴２８が配置されており、これらは図示された例において平行に延設するスロットとして形成されており、空洞１８を流入流路１９と連通可能に接続している。その他の点では同じ部品について参照符号は図１の各符号と一致するため、図１の説明を参照することができる。

図３にはケーシング１のさらなる実施形態が示されているが、これは円筒形に形成された軸方向部分２７において円形の開口２９が配置されており、これらの開口によって（これによって）空洞１８が流入流路１９と連通可能に接続されていることで図２の実施形態（もの）と区別される。もちろん開口の別の形、例えば不規則な多角形又は規則的な多辺形としても可能である。その他の参照符号は図２の各符号と一致する。

図４には図２（におけるもの）と同様の図面が示されている。図２とは異なって図４には環状の半径方向の仕切り壁３０が半径方向部分２７を包囲する空洞において備えられているため、ケーシング１の同図面では上部の空洞３１及び下部の空洞３２が形成されている。空洞３１、３２のそれぞれは楕円形の穴２８を介して流入流路１９と連通可能に接続されている。その他の参照符号はすべて同じ部品について図２の各符合と一致する。

図５は図３の実施オプションを示し、ここで軸方向部分２７を包囲する空洞には少なくとも２個の軸方向の仕切り壁３４が配置されているが、このうち図５では仕切り壁３４のみが見える。これらの仕切り壁３４は、図６の概略図から明らかなように、多数の空洞３３を形成するために役立つ。その他の点では図５の参照符号は同じ部品について図３の各符号と一致する。

図４における多数の空洞３１、３２もしくは図５及び図６における３３の分割により間隙のコアリング（Kassettierung）、したがって２個以上の個別間隙が形成される。これらの個別間隙は異なる大きさ又は同じ大きさでありうる。

１ ケーシング
２ ケーシング部品
３ ケーシング部品
４ ケーシング部品
５ 接合面
６ 接合面
７ 当たり面
８ 接触面
９ 湾曲部
１０ 円形部分
１１ 軸方向部分
１２ 円形部分
１３ 半径方向部分
１４ 軸方向部分
１５ 開口（スロット）
１６ 壁部
１７ 壁部
１８ 空洞
１９ 流入流路
２０ 湾曲部
２１ スリーブ
２２ 軸方向部分
２３ 突起部
２４ スパイラル（らせん）流路
２５ 接合面
２６ 当たり面
２７ 軸方向部分
２８ 開口（楕円形の穴）
２９ 開口
３０ 仕切り壁
３１ 空洞
３２ 空洞
３３ 空洞
３４ 仕切り壁

Claims (14)

1. 流入流路（１９）及びスパイラル流路（２４）を含んで成るケーシング（１）を有し、且つ前記ケーシング（１）内に圧縮機インペラが軸着されており、前記ケーシング（１）は、それぞれの間に少なくとも１個の空洞（１８；３１、３２；３３）が形成されている少なくとも２個のケーシング部品（２、３、４）から成るターボチャージャー用の遠心圧縮機において、前記流入経路（１９）にはそれによって前記空洞（１８；３１、３２；３３）が前記流入流路（１９）と連通可能に接続されている少なくとも１個の開口（１５、２８、２９）が備えられていることを特徴とする遠心圧縮機。
2. 前記流入流路（１９）は、実質的に中央のケーシング部品（４）の軸方向部分（２７）によって形成されていることを特徴とする請求項１に記載の遠心圧縮機。
3. 前記流入流路（１９）は、実質的にケーシング上部（２）の軸方向部分（１４）及び前記中央のケーシング部品（４）の軸方向部分（１１）によって形成されていることを特徴とする請求項１に記載の遠心圧縮機。
4. 前記流入流路（１９）における開口は、前記軸方向部分（１１、１４）間のスペースによって形成されており、特に周方向に延設するスロット（１５）として形成されていることを特徴とする請求項３に記載の遠心圧縮機。
5. 前記軸方向部分（２７）において多数の開口（２８、２９）が備えられていることを特徴とする請求項２に記載の遠心圧縮機。
6. 前記開口は、楕円形の穴（２８）として形成されていることを特徴とする請求項５に記載の遠心圧縮機。
7. 前記楕円形の穴（２８）は、互いに平行して前記流入流路（１９）の軸方向に延設することを特徴とする請求項６に記載の遠心圧縮機。
8. 前記開口（２９）は、円形又は多角形であることを特徴とする請求項７に記載の遠心圧縮機。
9. 仕切り壁（３０、３４）が備えられており、それよって２個以上の空洞が形成されることを特徴とする請求項１〜８のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
10. 前記空洞（１８、３１、３２）は環状に形成されており、もしくは前記軸方向部分（１１、１４；２７）を包囲することを特徴とする請求項３〜９のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。
11. 環状の半径方向の仕切り壁（３０）が、それぞれ個別間隙を有する上部の空洞（３１）及び下部の空洞（３２）を形成することを特徴とする請求項１０に記載の遠心圧縮機。
12. 少なくとも２個の軸方向の仕切り壁（３４）が備えられており、それによって多数の空洞（３３）が形成されていることを特徴とする請求項９に記載の遠心圧縮機。
13. ３個の軸方向の仕切り壁（３４）が、前記軸方向部分（１１、１４；２７）を包囲するリングセグメント状の空洞（３３）を形成することを特徴とする請求項１２に記載の遠心圧縮機。
14. 前記ケーシング部品（２、３、４）は、熱可塑性プラスチックから成ることを特徴とする請求項１〜８のいずれか一項に記載の遠心圧縮機。

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