JP2011094268A - 合成皮革製造用剥離フィルム - Google Patents
合成皮革製造用剥離フィルム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2011094268A JP2011094268A JP2009250592A JP2009250592A JP2011094268A JP 2011094268 A JP2011094268 A JP 2011094268A JP 2009250592 A JP2009250592 A JP 2009250592A JP 2009250592 A JP2009250592 A JP 2009250592A JP 2011094268 A JP2011094268 A JP 2011094268A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- synthetic leather
- film
- release film
- release
- layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)
- Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
- Synthetic Leather, Interior Materials Or Flexible Sheet Materials (AREA)
Abstract
【課題】合成皮革の製造に用いることが可能であり、剥離性に優れ、合成樹脂フィルム等からなる基材を用いず単体であっても剥離フィルムとして使用でき、さらには合成皮革にシボ加工を施すことができる、合成皮革製造用剥離フィルムを提供する。
【解決手段】シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を延伸して得られる合成樹脂フィルムからなる剥離層を有することを特徴とする合成皮革製造用剥離フィルム。
【選択図】図1
【解決手段】シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を延伸して得られる合成樹脂フィルムからなる剥離層を有することを特徴とする合成皮革製造用剥離フィルム。
【選択図】図1
Description
本発明は、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体(シンジオタクチックポリスチレン;SPS)からなる剥離層を有する、合成皮革製造用剥離フィルムに関する。
合成皮革は、乾式法或いは湿式法によりウレタン樹脂層を形成することで製造される。乾式法では、一般に、基材紙の表面にポリプロピレン樹脂等の離型性樹脂層を設け、その上にポリウレタン樹脂溶液を塗布し、熱乾燥してポリウレタン樹脂溶液中の溶媒を除去することによってウレタン樹脂層を形成する。得られたウレタン樹脂層を基材紙から剥離し、必要に応じて各種仕上げをして合成皮革を得る。
一方、湿式法は、まず基体(通常、乾式法と同様の基材紙)の剥離側表面上にウレタン樹脂を塗布し、これを凝固槽中で凝固させて成膜することで、ウレタン樹脂層を形成する。次いで、これを水洗・乾燥した後、基体をウレタン樹脂層から剥離し、必要に応じて各種仕上げをして、合成皮革を得る。このような合成皮革の湿式製造方法においては、ウレタン樹脂が塗布された基体は、ジメチルホルムアミド水溶液の凝固槽にてウレタン樹脂が凝固し、ウレタン樹脂層を形成し、さらに水洗のための水槽を通過させる。そのため、湿式法では、その基体に耐水性が要求される。
一方、湿式法は、まず基体(通常、乾式法と同様の基材紙)の剥離側表面上にウレタン樹脂を塗布し、これを凝固槽中で凝固させて成膜することで、ウレタン樹脂層を形成する。次いで、これを水洗・乾燥した後、基体をウレタン樹脂層から剥離し、必要に応じて各種仕上げをして、合成皮革を得る。このような合成皮革の湿式製造方法においては、ウレタン樹脂が塗布された基体は、ジメチルホルムアミド水溶液の凝固槽にてウレタン樹脂が凝固し、ウレタン樹脂層を形成し、さらに水洗のための水槽を通過させる。そのため、湿式法では、その基体に耐水性が要求される。
また、上記凝固槽でのウレタン樹脂の凝固の際や水槽での水洗の際に、ウレタン樹脂層が基体から浮いたり、剥がれたりする場合があった。一方、これを防止するために、基体の剥離側表面に接着層を設けると、基体の剥離性が悪くなり、ウレタン樹脂層を剥離する際にウレタン樹脂層が破断されるという問題もあった。従って、凝固槽中又は水槽中ではウレタン樹脂層から基体から浮いたり、剥がれたりすることがなく、また、ウレタン樹脂から基体を剥離する際にはウレタン樹脂層を破壊することなく、比較的容易に剥離し得る適度な剥離性を有する湿式合成皮革製造用の基体が要望されていた。
特許文献1及び2には、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム基材の表面に剥離制御されたポリオレフィン系樹脂を積層した湿式合成皮革製造用工程フィルム(上記「基体」に相当する)が開示されている。剥離制御の第1の方法としては、ポリオレフィン系樹脂にテルペン系フェノール樹脂を含有させてウレタン樹脂層の剥離力を制御するものである。第2の方法は、ポリオレフィン系樹脂からなる剥離層の表面をコロナ処理することでウレタン樹脂層との剥離力を制御するものである。
また、特許文献3には、高分子基材の少なくとも片面に、アンカーコート剤を介してシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体とポリオレフィンとからなる組成物層がラミネートされたポリウレタン樹脂合成皮革の湿式製造用複合材料(上記「基体」に相当する)が開示されている。シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体はポリウレタン樹脂に対する剥離性は良いが、単体で基材にラミネートした場合には、使用時に割れる等の問題があるため、ポリオレフィンを混ぜた組成物とすることで柔軟性を付与し、割れ難く、靭性に優れたものとしている。
特許文献4には、1層又は2層以上の層からなる離型フィルムであって、少なくとも一つの表面層がシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を主成分として含有する離型フィルムが開示されているが、この離型フィルムを合成皮革製造用剥離フィルムとして用いることは記載されていない。
従来の合成皮革製造用の剥離フィルム(基体)は、紙等の基材と、剥離性を有する樹脂層からなっているか、或いは、剥離性を有する、複数の樹脂からなる混合樹脂層からなっており、ポリウレタン樹脂層から剥離された後は、マテリアルリサイクルすることができず、1回限りで廃棄されていた。また、基材を使用する場合にはその分だけさらに経済性の良くないものであった。
本発明の目的は、剥離性と耐薬品性が良好なため合成皮革の製造に用いることが可能であり、紙等からなる基材を用いず単体であっても剥離フィルムとして使用でき、さらには合成皮革にシボ加工を施すことができる、合成皮革製造用剥離フィルムを提供することである。
本発明によれば、以下の合成皮革製造用剥離フィルムが提供される。
1.シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を延伸して得られる合成樹脂フィルムからなる剥離層を有することを特徴とする合成皮革製造用剥離フィルム。
2.前記合成樹脂フィルムが、二軸延伸法により延伸されたフィルムであることを特徴とする上記1に記載の合成皮革製造用剥離フィルム。
3.前記二軸延伸法が、同時二軸延伸法であることを特徴とする上記2に記載の合成皮革製造用剥離フィルム。
4.前記剥離層の表面に、合成皮革にシボ加工を施すためのシボ模様が形成されていることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の合成皮革製造用剥離フィルム。
5.前記シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体のガラス転移温度(Tg)から融点(Tm)までの温度範囲で、前記剥離層の表面にシボ模様を形成することを特徴とする上記4に記載の合成皮革製造用剥離フィルム。
1.シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を延伸して得られる合成樹脂フィルムからなる剥離層を有することを特徴とする合成皮革製造用剥離フィルム。
2.前記合成樹脂フィルムが、二軸延伸法により延伸されたフィルムであることを特徴とする上記1に記載の合成皮革製造用剥離フィルム。
3.前記二軸延伸法が、同時二軸延伸法であることを特徴とする上記2に記載の合成皮革製造用剥離フィルム。
4.前記剥離層の表面に、合成皮革にシボ加工を施すためのシボ模様が形成されていることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の合成皮革製造用剥離フィルム。
5.前記シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体のガラス転移温度(Tg)から融点(Tm)までの温度範囲で、前記剥離層の表面にシボ模様を形成することを特徴とする上記4に記載の合成皮革製造用剥離フィルム。
本発明によれば、剥離性と耐薬品性が良好なため合成皮革の製造に用いることが可能であり、合成樹脂フィルム等からなる基材を用いず単体であっても剥離フィルムとして使用でき、さらには合成皮革にシボ加工を施すことができる、合成皮革製造用剥離フィルムが提供できる。
また、本発明によれば、紙等からなる基材を使用しなくてもよいため、工程フィルムの層構成を減らすことが可能となる。
さらに、本発明の合成皮革製造用工程フィルムは、単体の樹脂フィルムであってもよいため、合成皮革から剥離した後もマテリアルリサイクルが可能となる。
また、本発明によれば、紙等からなる基材を使用しなくてもよいため、工程フィルムの層構成を減らすことが可能となる。
さらに、本発明の合成皮革製造用工程フィルムは、単体の樹脂フィルムであってもよいため、合成皮革から剥離した後もマテリアルリサイクルが可能となる。
本発明の合成皮革製造用剥離フィルムは、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を延伸して得られる合成樹脂フィルムからなる剥離層を有することを特徴とする。
ここで、本発明の合成皮革製造用剥離フィルムとは、合成皮革を乾式法で製造する際に、その剥離層上に合成皮革材料であるポリウレタン樹脂を塗布し、乾燥機内で溶剤を揮発させ、その後接着剤と生地を張り合わせ、接着剤硬化後、ポリウレタン樹脂よりなる合成皮革から剥離される工程フィルムを意味する。また、湿式製造する際に、その剥離層上に合成皮革の材料であるポリウレタン樹脂を塗布し、これを凝固槽中で凝固させて成膜することでポリウレタン樹脂層を形成した後、ポリウレタン樹脂層から剥離される工程フィルムを意味する。
本発明は、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を用いるが、シンジオタクチック構造とは、立体化学構造がシンジオタクチック構造、即ち炭素-炭素結合から形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有するものであり、そのタクティシティーは同位体炭素による核磁気共鳴法(13C−NMR)により定量される。13C−NMR法により測定されるタクティシティーは、連続する複数個の構成単位の存在割合、例えば2個の場合はダイアッド、3個の場合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示すことができる。本発明で用いるシンジオタクチックポリスチレンは、通常はラセミダイアッドで75%以上、好ましくは85%以上、又はラセミペンタッドで30%以上、好ましくは50%以上のシンジオタクティシティーを有するポリスチレン、ポリ(アルキルスチレン)、ポリ(ハロゲン化スチレン)、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)、ポリ(アルコキシスチレン)、ポリ(ビニル安息香酸エステル)、これらの水素化重合体及びこれらの混合物、又はこれらを主成分とする共重合体である。ポリ(アルキルスチレン)としては、ポリ(メチルスチレン)、ポリ(エチルスチレン)、ポリ(イソプロピルスチレン)、ポリ(ターシャリーブチルスチレン)、ポリ(フェニルスチレン)、ポリ(ビニルナフタレン)、ポリ(ビニルスチレン)等があり、ポリ(ハロゲン化スチレン)としては、ポリ(クロロスチレン)、ポリ(ブロモスチレン)、ポリ(フルオロスチレン)等がある。また、ポリ(ハロゲン化アルキルスチレン)としては、ポリ(クロロメチルスチレン)等、またポリ(アルコキシスチレン)としては、ポリ(メトキシスチレン)、ポリ(エトキシスチレン)等がある。
好ましいスチレン系重合体は、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルスチレン)、ポリ(p−ターシャリーブチルスチレン)、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m−クロロスチレン)、ポリ(p−フルオロスチレン)、水素化ポリスチレン及びこれらの構造単位を含む共重合体である。
スチレン系共重合体のコモノマーとしては、上述のスチレン系重合体のモノマーのほか、エチレン,プロピレン,ブテン,ヘキセン,オクテン等のオレフィンモノマー、ブタジエン,イソプレン等のジエンモノマー、環状ジエンモノマーやメタクリル酸メチル,無水マレイン酸,アクリロニトリル等の極性ビニルモノマー等が挙げられる。
シンジオタクチックポリスチレン系重合体の重量平均分子量は通常18〜35万程度である。
尚、本発明の合成皮革製造用剥離フィルムは、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を延伸して得られる合成樹脂フィルムからなる剥離層を有するが、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を延伸して得られる合成樹脂フィルムのみからなっていてもよい。図1は、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を延伸して得られる合成樹脂フィルムのみからなる本発明の合成皮革製造用剥離フィルムの一実施形態を示す。図2は、基材上に、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を延伸して得られる合成樹脂フィルムからなる剥離層を有する本発明の合成皮革製造用剥離フィルムの別の実施形態を示す。
従来の合成皮革の湿式製造用剥離フィルムは、一般に、合成樹脂フィルムからなる基材に、剥離性を有する樹脂からなる剥離層を積層していた。これは基材と剥離槽とを積層することにより、乾式工程又は湿式工程における剥離層の縮みや変形を防止し、かつ、ウレタン樹脂層が剥離層から浮いたり、剥がれたりすることを防止すると共に、ウレタン樹脂との適度な剥離性を発現させることを目的としていた。
しかしながら、基材を用いると、基材及び剥離層の少なくとも2層の積層フィルムとなり、それだけ製造工程数が多くなり、また、基材と剥離層とを接着するための接着剤(アンカーコート剤等)も必要となり、産業経済上不利である。さらに、ポリウレタン樹脂層から剥離された剥離フィルムは、複数の材料の混合物であるため、そのマテリアルリサイクルは不可能であった。
これに対し本発明の合成皮革製造用剥離フィルムは、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を延伸して得られる合成樹脂フィルムのみからなっている場合であっても、吸湿性が無いため湿式工程においても変形せず、ポリウレタン樹脂層から浮いたり、剥がれたりすることが無く、また、ポリウレタン樹脂層から剥離する際には、ポリウレタン樹脂層を傷つけることなく容易に剥離し得る適度な剥離性を有している。そして、ポリウレタン樹脂層から剥離した後もスチレン系重合体単体であるため、そのリサイクルが可能である。
尚、本発明の合成皮革製造用剥離フィルムにおいては、基材を用いてもよく、基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、(メタ)アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等からなる合成樹脂フィルム、織布、不織布、編布、紙、合成紙等を用いることができる。
シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体の延伸方法としては、特に限定されず、一軸延伸であっても、二軸延伸であってもよく、また、二軸延伸の場合には、逐次であっても同時であってもよい。剥離層(フィルム)の均一性、傷が付き難い、延伸のバランスが良い、MD弛緩が可能である、寸法安定性が良い等の点から、同時二軸延伸が特に好ましい。
本発明におけるシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなるフィルム(剥離層)の好適な製造方法である同時二軸延伸法を以下に説明するが、これに限定されるものではない。
シンジオタクチックポリスチレンを280〜320℃に温度設定した押出機で溶融し、Tダイスより溶融状態で押出して製造する。
フィルム内の異物を除去するため濾過精度1μm〜100μmのリーフディスクタイプポリマーフィルターを用いると好適である。
シンジオタクチックポリスチレンを280〜320℃に温度設定した押出機で溶融し、Tダイスより溶融状態で押出して製造する。
フィルム内の異物を除去するため濾過精度1μm〜100μmのリーフディスクタイプポリマーフィルターを用いると好適である。
次に、Tダイスより押出された溶融樹脂を60℃〜120℃で温度調整したキャストロール上で冷却固化する。キャストロールへの密着性を付与するために静電ピニングやエアーチャンバー、エアーナイフ、真空エアーチャンバーを用いてもよい。
表面の平滑性をより高めるため、金属ベルトや金属弾性ロールを用いた引取り方式が望ましい。
表面の平滑性をより高めるため、金属ベルトや金属弾性ロールを用いた引取り方式が望ましい。
冷却固化したシートを同時二軸延伸機にて延伸する。好ましくは設備コストと機能のバランスが良いためパンタグラフ方式を用いる。
延伸温度は、好ましくは、予熱温度90℃〜120℃、延伸温度100℃〜160℃、熱固定温度180℃〜260℃に設定する。
延伸倍率は、好ましくは、MD(流れ方向)は2.0〜4.0倍、TD(流れと垂直方向)は2.0倍〜4.0倍とする。
熱固定部にてMD,TD共に0〜30%の範囲で弛緩を行ってもよい。
延伸後、剥離強度を調整するためにフィルム表面にコロナ処理を行ってもよい。
延伸温度は、好ましくは、予熱温度90℃〜120℃、延伸温度100℃〜160℃、熱固定温度180℃〜260℃に設定する。
延伸倍率は、好ましくは、MD(流れ方向)は2.0〜4.0倍、TD(流れと垂直方向)は2.0倍〜4.0倍とする。
熱固定部にてMD,TD共に0〜30%の範囲で弛緩を行ってもよい。
延伸後、剥離強度を調整するためにフィルム表面にコロナ処理を行ってもよい。
シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる剥離層(フィルム)の厚みは特に限定されないが、例えば、5〜300μm、10〜200μm、15〜100μm程度である。
尚、基材を用いる場合の、基材とシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる剥離層との接着は、次のようにして行うことができる。
即ち、公知の接着技術を用いたり、ドライラミネート、押し出しラミネート、ポリサンドラミネート等を用いたり、或いは基材樹脂とSPS樹脂とからなる多層原反フィルムを多層押し出しで形成し、この多層原反フィルムを同時二軸延伸して製造することもできる。
即ち、公知の接着技術を用いたり、ドライラミネート、押し出しラミネート、ポリサンドラミネート等を用いたり、或いは基材樹脂とSPS樹脂とからなる多層原反フィルムを多層押し出しで形成し、この多層原反フィルムを同時二軸延伸して製造することもできる。
本発明の合成皮革製造用剥離フィルムの剥離層の表面には、合成皮革にシボ加工を施すためのシボ模様が形成されていてもよい。シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体からなる剥離層(フィルム)は、そのガラス転移温度(Tg)を超えてもポリエチレン等に比べて粘弾性が高く、ガラス転移温度(Tg;約100℃)から融点(Tm;約250〜270℃)の間の温度でシボ模様を形成することができる。シボ模様を形成した剥離層上にポリウレタン樹脂を塗布し凝固させることにより、合成皮革にシボ加工を施すことができる。図3に、剥離層にシボ模様を形成した、本発明の合成皮革製造用剥離フィルムの一実施形態を示す。
剥離層(フィルム)にシボ模様を形成するには、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、表面にシボ形状を彫刻した金属ロールとゴムロールとの間にフィルムを通過させること等によってシボ模様を形成することができる。
実施例1
(1)シンジオタクチックポリスチレンの原反シートの作製
重量平均分子量29万、7%パラメチルスチレンがランダムに共重合されたスチレン重合体(SPS)を300℃の温度設定にて押出機で溶融し、Tダイスより溶融状態で押出した。具体的には、押出機を2台使用し、一台の押出機には上記SPSにアンチブロッキング剤(AB剤)としてゼオライト微粒子を1000ppm添加し、もう一台の押出機にはSPS樹脂のみを用い、フィードブロックにて両押出機の樹脂を積層し、Tダイスより押出した。AB剤を添加した樹脂をキャストロールとの接触面と反対側の面とした。
厚み方向でAB剤を添加した樹脂層の厚みが20%となるよう押出量を調整した。
Tダイスより押出された溶融樹脂を85℃で温度調整したキャストロール上で冷却固化した。その際、キャストロールへの密着性を付与するために静電ピニングを用いた。
(1)シンジオタクチックポリスチレンの原反シートの作製
重量平均分子量29万、7%パラメチルスチレンがランダムに共重合されたスチレン重合体(SPS)を300℃の温度設定にて押出機で溶融し、Tダイスより溶融状態で押出した。具体的には、押出機を2台使用し、一台の押出機には上記SPSにアンチブロッキング剤(AB剤)としてゼオライト微粒子を1000ppm添加し、もう一台の押出機にはSPS樹脂のみを用い、フィードブロックにて両押出機の樹脂を積層し、Tダイスより押出した。AB剤を添加した樹脂をキャストロールとの接触面と反対側の面とした。
厚み方向でAB剤を添加した樹脂層の厚みが20%となるよう押出量を調整した。
Tダイスより押出された溶融樹脂を85℃で温度調整したキャストロール上で冷却固化した。その際、キャストロールへの密着性を付与するために静電ピニングを用いた。
(2)同時二軸延伸
次に、冷却固化したシートをパンタグラフ方式同時二軸延伸機にて延伸した。同時二軸延伸機は流れ方向に予熱部、延伸部、熱固定部に分かれており、それぞれ循環熱風による加熱を行った。
各部の温度を予熱110℃、延伸部130℃、熱固定部220℃とし、MD倍率を3.5倍、TD倍率を3.5倍として延伸を行い、延伸部後半にてMD,TD共に3%の弛緩を行い30μmのフィルムを得た。
次に、冷却固化したシートをパンタグラフ方式同時二軸延伸機にて延伸した。同時二軸延伸機は流れ方向に予熱部、延伸部、熱固定部に分かれており、それぞれ循環熱風による加熱を行った。
各部の温度を予熱110℃、延伸部130℃、熱固定部220℃とし、MD倍率を3.5倍、TD倍率を3.5倍として延伸を行い、延伸部後半にてMD,TD共に3%の弛緩を行い30μmのフィルムを得た。
(3)剥離性の評価
上記(2)で得たSPS剥離フィルムの表面に、一液型ポリウレタン樹脂溶液(大日本インキ工業(株)製、商品名「クリスボン5516EL」)を、乾燥後の膜厚が500μmとなるように塗工し、熱風乾燥機中において130℃で5分間乾燥させて合成皮革を製造した。得られた剥離フィルム付き合成皮革を、20cm×1.5cmの大きさに切断し、サンプル片とし、引張試験機にて剥離力を測定した。
上記(2)で得たSPS剥離フィルムの剥離力は、(数値データ又は評価)400mNであった。
上記(2)で得たSPS剥離フィルムの表面に、一液型ポリウレタン樹脂溶液(大日本インキ工業(株)製、商品名「クリスボン5516EL」)を、乾燥後の膜厚が500μmとなるように塗工し、熱風乾燥機中において130℃で5分間乾燥させて合成皮革を製造した。得られた剥離フィルム付き合成皮革を、20cm×1.5cmの大きさに切断し、サンプル片とし、引張試験機にて剥離力を測定した。
上記(2)で得たSPS剥離フィルムの剥離力は、(数値データ又は評価)400mNであった。
実施例2
(1)シボ模様の形成
表面にシボ形状を彫刻した金属ロールとゴムロールとの間に、実施例1(2)で製造したSPS剥離フィルムを通過させ、シボ模様付きSPS剥離フィルムを得た。
(2)剥離性の評価
上記(2)で製造したシボ模様付きSPS剥離フィルムを用いた以外は実施例1(3)と同様にしてシボ模様付きSPS剥離フィルムの剥離力を測定した。シボ模様付きSPS剥離フィルムの剥離力は、(数値データ又は評価)500mNであった。
(1)シボ模様の形成
表面にシボ形状を彫刻した金属ロールとゴムロールとの間に、実施例1(2)で製造したSPS剥離フィルムを通過させ、シボ模様付きSPS剥離フィルムを得た。
(2)剥離性の評価
上記(2)で製造したシボ模様付きSPS剥離フィルムを用いた以外は実施例1(3)と同様にしてシボ模様付きSPS剥離フィルムの剥離力を測定した。シボ模様付きSPS剥離フィルムの剥離力は、(数値データ又は評価)500mNであった。
比較例
延伸していないSPS剥離フィルムを用いて実施例1(2)のようにして合成皮革の製造を試みたが、強度が低いため、合成皮革製造工程中にフィルムの破断や割れが発生し、実用的ではなかった。
延伸していないSPS剥離フィルムを用いて実施例1(2)のようにして合成皮革の製造を試みたが、強度が低いため、合成皮革製造工程中にフィルムの破断や割れが発生し、実用的ではなかった。
本発明の合成皮革製造用剥離フィルムは、合成皮革の製造に好適に用いられる。
本発明の合成皮革製造用剥離フィルムは、層構成を減らすことができるだけでなく、剥離後のリサイクルも可能であり、産業経済上有利に合成皮革を製造できる。
本発明の合成皮革製造用剥離フィルムは、層構成を減らすことができるだけでなく、剥離後のリサイクルも可能であり、産業経済上有利に合成皮革を製造できる。
10 ポリウレタン樹脂層
12 シボ模様
20 剥離層
22 シボ模様を有する剥離層
30 基材
12 シボ模様
20 剥離層
22 シボ模様を有する剥離層
30 基材
Claims (5)
- シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体を延伸して得られる合成樹脂フィルムからなる剥離層を有することを特徴とする合成皮革製造用剥離フィルム。
- 前記合成樹脂フィルムが、二軸延伸法により延伸されたフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の合成皮革製造用剥離フィルム。
- 前記二軸延伸法が、同時二軸延伸法であることを特徴とする請求項2に記載の合成皮革製造用剥離フィルム。
- 前記剥離層の表面に、合成皮革にシボ加工を施すためのシボ模様が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の合成皮革製造用剥離フィルム。
- 前記シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体のガラス転移温度(Tg)から融点(Tm)までの温度範囲で、前記剥離層の表面にシボ模様を形成することを特徴とする請求項4に記載の合成皮革製造用剥離フィルム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009250592A JP2011094268A (ja) | 2009-10-30 | 2009-10-30 | 合成皮革製造用剥離フィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009250592A JP2011094268A (ja) | 2009-10-30 | 2009-10-30 | 合成皮革製造用剥離フィルム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011094268A true JP2011094268A (ja) | 2011-05-12 |
Family
ID=44111491
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009250592A Pending JP2011094268A (ja) | 2009-10-30 | 2009-10-30 | 合成皮革製造用剥離フィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011094268A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013146902A (ja) * | 2012-01-18 | 2013-08-01 | Kurabo Ind Ltd | プラスチックフィルムおよびその製造方法 |
JP2013216779A (ja) * | 2012-04-09 | 2013-10-24 | Kurabo Ind Ltd | 転写フィルム |
JP2013215989A (ja) * | 2012-04-09 | 2013-10-24 | Kurabo Ind Ltd | 離型フィルム及びこれを用いた転写フィルム |
WO2015008334A1 (ja) * | 2013-07-16 | 2015-01-22 | 倉敷紡績株式会社 | プラスチックフィルムおよびその製造方法 |
WO2015008759A1 (ja) * | 2013-07-16 | 2015-01-22 | 倉敷紡績株式会社 | 離型フィルム |
JP2016204811A (ja) * | 2015-04-23 | 2016-12-08 | 株式会社加平 | 模様付シート、模様付シートの製造方法、及び製造装置 |
CN108068300A (zh) * | 2016-11-16 | 2018-05-25 | 仓敷纺绩株式会社 | 聚苯乙烯系膜及多层膜 |
Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03124427A (ja) * | 1989-10-09 | 1991-05-28 | Idemitsu Kosan Co Ltd | スチレン系重合体フィルムの製造方法 |
JPH11349703A (ja) * | 1998-06-04 | 1999-12-21 | Marusho Kk | 離型フィルム |
JP2000178883A (ja) * | 1998-12-10 | 2000-06-27 | Fuji Techno Kk | 湿式合成皮革製造用工程紙並びに応用加工方法 |
JP2001047573A (ja) * | 1999-08-06 | 2001-02-20 | Idemitsu Petrochem Co Ltd | 樹脂積層体 |
JP2001150469A (ja) * | 1999-11-24 | 2001-06-05 | Mitsubishi Plastics Ind Ltd | 離型用フィルム及びプリント基板の製造方法 |
JP2002535183A (ja) * | 1999-01-29 | 2002-10-22 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | シンジオタクチックビニル芳香族ポリマーを組み込んだ剥離ライナー |
-
2009
- 2009-10-30 JP JP2009250592A patent/JP2011094268A/ja active Pending
Patent Citations (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH03124427A (ja) * | 1989-10-09 | 1991-05-28 | Idemitsu Kosan Co Ltd | スチレン系重合体フィルムの製造方法 |
JPH11349703A (ja) * | 1998-06-04 | 1999-12-21 | Marusho Kk | 離型フィルム |
JP2000178883A (ja) * | 1998-12-10 | 2000-06-27 | Fuji Techno Kk | 湿式合成皮革製造用工程紙並びに応用加工方法 |
JP2002535183A (ja) * | 1999-01-29 | 2002-10-22 | スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー | シンジオタクチックビニル芳香族ポリマーを組み込んだ剥離ライナー |
JP2001047573A (ja) * | 1999-08-06 | 2001-02-20 | Idemitsu Petrochem Co Ltd | 樹脂積層体 |
JP2001150469A (ja) * | 1999-11-24 | 2001-06-05 | Mitsubishi Plastics Ind Ltd | 離型用フィルム及びプリント基板の製造方法 |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013146902A (ja) * | 2012-01-18 | 2013-08-01 | Kurabo Ind Ltd | プラスチックフィルムおよびその製造方法 |
JP2013216779A (ja) * | 2012-04-09 | 2013-10-24 | Kurabo Ind Ltd | 転写フィルム |
JP2013215989A (ja) * | 2012-04-09 | 2013-10-24 | Kurabo Ind Ltd | 離型フィルム及びこれを用いた転写フィルム |
WO2015008334A1 (ja) * | 2013-07-16 | 2015-01-22 | 倉敷紡績株式会社 | プラスチックフィルムおよびその製造方法 |
WO2015008759A1 (ja) * | 2013-07-16 | 2015-01-22 | 倉敷紡績株式会社 | 離型フィルム |
CN105358308A (zh) * | 2013-07-16 | 2016-02-24 | 仓敷纺绩株式会社 | 脱模膜 |
KR20160032105A (ko) * | 2013-07-16 | 2016-03-23 | 구라시키 보세키 가부시키가이샤 | 이형 필름 |
JPWO2015008759A1 (ja) * | 2013-07-16 | 2017-03-02 | 倉敷紡績株式会社 | 離型フィルム |
KR102218811B1 (ko) * | 2013-07-16 | 2021-02-22 | 구라시키 보세키 가부시키가이샤 | 이형 필름 |
JP2016204811A (ja) * | 2015-04-23 | 2016-12-08 | 株式会社加平 | 模様付シート、模様付シートの製造方法、及び製造装置 |
CN108068300A (zh) * | 2016-11-16 | 2018-05-25 | 仓敷纺绩株式会社 | 聚苯乙烯系膜及多层膜 |
CN108068300B (zh) * | 2016-11-16 | 2021-11-30 | 仓敷纺绩株式会社 | 聚苯乙烯系脱模膜及多层膜 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2011094268A (ja) | 合成皮革製造用剥離フィルム | |
JPH04261485A (ja) | 積層体及び粘着テープ | |
JP4178742B2 (ja) | 熱可塑性組成物およびそれからなるフィルム | |
JPH04255350A (ja) | 積層体 | |
JP5907786B2 (ja) | 転写フィルム | |
JP5644791B2 (ja) | 離型フィルム | |
JP2001310428A (ja) | 積層フィルムおよびその用途 | |
JP5409378B2 (ja) | 離型性ポリエステルフィルム | |
KR100732222B1 (ko) | 폴리우레탄 수지 합성 가죽의 습식 제조를 위한이형가능한 복합재 | |
JP2011104986A (ja) | セラミックシート製造用剥離フィルム、その製造方法及びそのリサイクル方法 | |
JP6540325B2 (ja) | 半透明性延伸フィルム | |
JP5896753B2 (ja) | 離型フィルムの製造方法 | |
KR101794629B1 (ko) | 성형용 필름 | |
JP2004051688A (ja) | 接着用樹脂組成物及び積層体 | |
CN1436125A (zh) | 层压材料及其用途 | |
JP2018086823A (ja) | 積層フィルム | |
JP2007136903A (ja) | 保護フィルム | |
JP2840318B2 (ja) | 磁気カード | |
JP2016004120A (ja) | 離型フィルム | |
JPH0386706A (ja) | 磁気記録媒体 | |
JPH01262132A (ja) | 樹脂積層体 | |
JPH11349703A (ja) | 離型フィルム | |
KR100687508B1 (ko) | 방향족 폴리아미드 필름 | |
JPH03109454A (ja) | 磁気ディスク | |
WO2015008334A1 (ja) | プラスチックフィルムおよびその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20120619 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130222 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20130326 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20130730 |