JP2011094074A - 発泡体用変性ブロック共重合体及びその組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】クッション性(歪硬化性)が良好で、かつ引張弾性率等の機械的強度も良好な、汎用性の高い発泡体用スチレン系樹脂を提供すること。
【解決手段】ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体に、官能基含有変性剤を付加反応させてなる1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)に、
前記1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)の官能基と反応性を有する、酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基、からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する重合体(3)が結合した発泡体用変性ブロック共重合体(Z)。
【選択図】図1

Description

本発明は、発泡体用変性ブロック共重合体及びその組成物に関するものである。
ポリエチレン系発泡成形体は、衝撃吸収性に優れるとともに、割れにくく、また傷もつきにくいため、ほこりの付着の好ましくない用途、例えば、薄型TVの表面保護・緩衝材や、家電製品、精密機器、光学機器等の搬送用に使われる傾向にある。
一方、ポリスチレン系発泡成形体は、発泡性と、緩衝性に優れ、食品容器、魚箱、家電等の梱包緩衝材、商品の梱包時に商品と外箱の隙間に充填するバラ状緩衝材等の緩衝用途に使用されているが、割れやすいためにクッション性が不十分であり、精密機器や光学機器等の搬送用には、改善点が求められている。
特許文献1には、ポリスチレン系発泡成形体の割れやすさを解消する手段として、ポリスチレンに、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂をブレンドする技術か開示されている。
特許文献2には、ポリスチレンとメチルメタクリレート共重合体にスチレン−ブタジエンブロック共重合体を配合する技術が開示されている。
特許文献3には、スチレン系共重合体樹脂に、ブタジエン系ゴムを配合する技術が開示されている。
特開昭54−158467号公報 特開平4−236247号公報 特開平11−293073号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術はクッション性が未だ不十分である。また、特許文献2に開示された技術は発泡倍率を上げると、発泡セルの均一性が保てず、このため強度の均一性が得られない。さらに、特許文献3に開示されたゴムはクッション性が未だ不十分である。
そこで本発明においては、上述した従来技術の課題に鑑み、クッション性(歪硬化性)が良好で、かつ引張弾性率等の機械的強度も良好な、汎用性の高い発泡体用スチレン系樹脂を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックと、を含むブロック共重合体又はその水添物に、特定の結合基又は官能基を有する重合体を結合させて変性させたブロック共重合体が、良好なクッション性を発現するのに必要な、高い発泡倍率とセルの均一性を得る十分条件である優れた歪硬化性を発現することを見出し、上記課題を解決し得るに至った。
また、別の重合体として、ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体に、官能基含有変性剤を付加反応させてなる1次変性ブロック共重合体又はその水添物に、特定の結合基又は官能基を有する重合体を結合させて変性させたブロック共重合体が、上記課題を解決し得ることを見出し本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]
ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体又はその水添物(1)に、
酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基、からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する重合体(3)が結合した発泡体用変性ブロック共重合体(X)。
[2]
ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体に、官能基含有変性剤を付加反応させてなる1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)に、
前記1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)の官能基と反応性を有する、酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基、からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する重合体(3)が結合した発泡体用変性ブロック共重合体(Z)。
[3]
前記官能基含有変性剤が、前記ブロック共重合体との付加反応によって、1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)に、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基からなる群から選ばれる官能基を少なくとも1個有する原子団を生成させる機能を有している、上記[2]記載の発泡体用変性ブロック共重合体(Z)。
[4]
前記重合体(3)は、下記a)〜p)からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体である、上記[1]記載の変性ブロック共重合体(X)。
a)スチレン−無水マレイン酸共重合体又はその一部にカルボキシル基を有する共重合体
b)スチレン−メタクリル酸共重合体
c)スチレン−ブタジエン−無水マレイン酸共重合体又はその水添物
d)無水マレイン酸−エチレン−エチルアクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合体
e)無水マレイン酸−メチルメタクリレート−スチレン共重合体
f)無水マレイン酸−エチレン−酢酸ビニル共重合体
g)酢酸ビニル−スチレン共重合体
h)アルコキシシラン結合−エチレン−酢酸ビニル共重合体
i)ポリウレタン
j)グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体
k)エチレン−グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体
l)エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合体
m)グリシジルメタクリレート−アクリロニトリル−スチレン−ポリカーボネート共重合体
n)エチレン−グリシジルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体
o)エポキシ基含有−スチレン−ブタジエン共重合体
p)ポリエステル。
[5]
前記重合体(3)は、下記a)〜p)からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体である、上記[2]又は[3]記載の変性ブロック共重合体(Z)。
a)スチレン−無水マレイン酸共重合体又はその一部にカルボキシル基を有する共重合体
b)スチレン−メタクリル酸共重合体
c)スチレン−ブタジエン−無水マレイン酸共重合体又はその水添物
d)無水マレイン酸−エチレン−エチルアクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合体
e)無水マレイン酸−メチルメタクリレート−スチレン共重合体
f)無水マレイン酸−エチレン−酢酸ビニル共重合体
g)酢酸ビニル−スチレン共重合体
h)アルコキシシラン結合−エチレン−酢酸ビニル共重合体
i)ポリウレタン
j)グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体
k)エチレン−グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体
l)エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合体
m)グリシジルメタクリレート−アクリロニトリル−スチレン−ポリカーボネート共重合体
n)エチレン−グリシジルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体
o)エポキシ基含有−スチレン−ブタジエン共重合体
p)ポリエステル。
[6]
上記[1]若しくは[4]記載の変性ブロック共重合体(X)、又は上記[2]、[3]及び[5]のいずれか記載の変性ブロック共重合体(Z)を1〜99質量%、熱可塑性樹脂を99〜1質量%、含む発泡体用変性ブロック共重合体組成物。
[7]
ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体又はその水添物(1)に、
酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基、からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する重合体(3)を結合させる工程を含む、発泡体用変性ブロック共重合体(X)の製造方法。
[8]
ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体に、官能基含有変性剤を付加反応させてなる1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)に、
前記1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)の官能基と反応性を有する、酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基、からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する重合体(3)を結合させる工程を含む、発泡体用変性ブロック共重合体(Z)の製造方法。
本発明によれば、歪硬化性が良好で、かつ引張弾性率等の機械的強度も良好な、発泡体用樹脂として汎用性の高いスチレン系樹脂を提供することができる。
変性ブロック共重合体(MP−1)のGPC曲線、及び1次変性ブロック共重合体(P−1)単独、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA)単独のGPC曲線を示す。 変性ブロック共重合体(MP−1)の200℃における伸張粘度測定グラフを示す。 変性ブロック共重合体(MP−1)の原料となる1次変性ブロック共重合体(P−1)と同一構造の未変性ブロック共重合体(P−9)単独の200℃における伸張粘度測定グラフを示す。 比較例3の(P−9)/SMAの200℃における伸張粘度グラフを示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」とも称する。)について詳細に説明する。なお、本発明は、本実施の形態に限定されるものではなく、要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
(第1の実施の形態)
本実施の形態における発泡体用変性ブロック共重合体(X)は、ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体又はその水添物(1)に、酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する重合体(3)が結合した構造を有している。
先ず、ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体又はその水添物(1)(以下、それぞれブロック共重合体(1)、ブロック共重合体の水添物(1)とも称する。)について説明する。
ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックAとは、ビニル芳香族炭化水素を50質量%以上含有するビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの共重合体ブロック、又はビニル芳香族炭化水素単独の重合体ブロックを示す。
共役ジエンを主体とする重合体ブロックBとは、共役ジエンを50質量%を超える量で含有する共役ジエンとビニル芳香族炭化水素との共重合体ブロック、又は共役ジエン単独の重合体ブロックを示す。
ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックA又は共役ジエンを主体とする重合体ブロックB中に、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンのランダム共重合体ブロックが存在する場合、共重合されているビニル芳香族炭化水素はランダム共重合体ブロック中に均一に分布していても、テーパー(漸減)状に分布していてもよい。また、該共重合体ブロックはビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分が複数個共存していてもよい。
本実施の形態の変性ブロック共重合体が、複数個の重合体ブロックA(又はB)を有している場合には、それらは分子量、組成、種類等が互いに異なるものであってもよい。
ブロック共重合体(1)は、基本的には、従来公知の方法により合成できる。
例えば、特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭57−49567号公報、特公昭58−11446号公報等に開示されているように、炭化水素溶剤中で有機リチウム化合物等のアニオン開始剤を用いて、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素をブロック共重合する方法により合成することができる。但し、本実施の形態においては、各構成ポリマーの製造条件を後述するように設定するものとする。
ブロック共重合体(1)のポリマー構造としては、例えば、下記(a)〜(c)のような線状ブロック共重合体が挙げられる。
A−(B−A)n・・・(a)
A−(B−A)n−B・・・(b)
B−(A−B)n+1・・・(c)
ここで、Aはビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主体とする重合体ブロックである。AブロックとBブロックとの境界は必ずしも明瞭に区別される必要はない。nは1以上の整数であり、一般的には1〜5である。
また、ブロック共重合体(1)のポリマー構造としては、上記線状ブロック共重合体のほか、下記(d)〜(g)のようなラジアルブロック共重合体が挙げられる。
[(A−B)k]m−X・・・(d)
[(A−B)k−A]m−X・・・(e)
[(B−A)k]m−X・・・(f)
[(B−A)k−B]m−X・・・(g)
ここで、A、Bは前記(a)〜(c)と同義であり、kは1以上の整数であり、mは3以上の整数であり、一般的には3〜5である。mが3〜5の重合体には、mが1及び/又は2の重合体を含んでいても構わない。Xは例えば四塩化ケイ素、四塩化スズ等のカップリング剤の残基又は多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。
ビニル芳香族炭化水素としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン等が挙げられ、中でも、反応性が良好で、高強度となる傾向にあるため、スチレンが好ましい。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合使用してもよい。
共役ジエンとは、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等が挙げられ、中でも、
1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合使用してもよい。
共役ジエンとして1,3−ブタジエンとイソプレンを併用する場合、1,3−ブタジエンとイソプレンの全質量に対してイソプレンの割合は10質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましい。イソプレンが10質量%以上であると、高温での成形加工時等に熱分解を起こし難く分子量が低下しないため、外観特性や機械的強度のバランス性能の良好な変性ブロック共重合体やその組成物が得られる傾向にある。
ブロック共重合体(1)を合成する工程においては、炭化水素溶媒を用いる。炭化水素溶媒としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素等が使用できる。これらは、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合使用してもよい。
ブロック共重合体(1)を合成する工程においては、アニオン開始剤を用いる。アニオン開始剤としては、例えば、有機リチウム化合物として、分子中に一個以上のリチウム原子が結合した有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物等が適用できる。
具体的には、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が挙げられる。これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合使用してもよい。
ブロック共重合体(1)を合成する工程においては、重合速度の調整、重合した共役ジエン部のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)の変更、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素の反応比の調整等の目的で、極性化合物やランダム化剤を使用することができる。
極性化合物やランダム化剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類;トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類;チオエーテル類;ホスフィン類;ホスホルアミド類;アルキルベンゼンスルホン酸塩;カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
ブロック共重合体(1)の重合温度条件は、一般的には−10℃〜150℃の範囲であり、好ましくは40℃〜120℃の範囲である。
重合に要する時間は、条件によって異なるが、一般的には48時間以内で行うことができ、特に良好な条件を選定することにより1〜10時間で行うことができる。
また、重合を行う際の系の雰囲気は、窒素ガス等の不活性ガスにより置換した状態とすることが好ましい。
重合を行う際の圧力は、上記重合温度範囲において、モノマー及び溶媒を液層に維持するのに充分な圧力の範囲であればよく、特に制限されるものではない。
更には、重合系内に触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば、水、酸素、炭酸ガス等が混入しないよう留意することが必要である。
ブロック共重合体(1)におけるビニル芳香族炭化水素の含有量は、好ましくは30〜95質量%の範囲であり、より好ましくは50〜95質量%の範囲、更に好ましくは70〜95質量%の範囲である。ブロック共重合体(1)におけるビニル芳香族炭化水素の含有量が30〜95質量%の範囲であると、耐衝撃性と剛性のバランス性能が良好で、透明性に優れた樹脂が得られる傾向にある。
ブロック共重合体(1)中に組み込まれているビニル芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率は、50〜100%の範囲であることが好ましい。ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率が50%以上であると、本実施の形態における変性ブロック共重合体及びその樹脂組成物において、優れた剛性が得られる傾向にあるため好ましい。
ビニル芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率は、ブロック共重合体の製造時において、少なくとも一部のビニル芳香族炭化水素と共役ジエンが共重合する工程におけるビニル芳香族炭化水素と共役ジエンの質量、質量比、重合反応性比等を調整することにより制御できる。
具体的な方法としては、(イ)ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンとの混合物を連続的に重合系に供給して重合する、及び/又は、(ロ)極性化合物若しくはランダム化剤を使用してビニル芳香族炭化水素と共役ジエンを共重合する、等の方法が挙げられる。
前記極性化合物若しくはランダム化剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類;トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等のアミン類;チオエーテル類;ホスフィン類;ホスホルアミド類;アルキルベンゼンスルホン酸塩;カリウムやナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
なお、前記芳香族炭化水素重合体ブロックのブロック率とは、四酸化オスミウムを触媒として、ジ・ターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによりブロック共重合体を酸化分解する方法〔I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法〕により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分(但し、平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている)を定量し、下記式を用いて求められる。
ブロック共重合体(1)におけるビニル芳香族炭化水素重合体ブロックの数平均分子量(Mn)は、1万以上15万以下の範囲が好ましく、2万以上12万以下の範囲がより好ましい。前記(Mn)を1万以上15万以下とすることにより、より一層優れた剛性と耐衝撃性が得られる傾向にあり、更に、成形加工性も良好なものとなる傾向にある。
前記数平均分子量(Mn)は、四酸化オスミウムを触媒として、ジ・ターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによりブロック共重合体を酸化分解する方法〔I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法〕により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて求めることができる。
すなわち、GPC用の単分散ポリスチレンをGPC測定して、そのピークカウント数と単分散ポリスチレンの分子量との検量線を作成し、常法(例えば「ゲルクロマトグラフィー<基礎編>講談社発行」)に従って算出することができる。
次に、ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体の水添物(1)について説明する。
ブロック共重合体の水添物(1)は、上記で得られたブロック共重合体(1)に対して水素添加(以下、「水添」とも略される。)が行われることにより得られる。
水素添加において用いる水添触媒としては、特に限定されるものではなく、従来公知の触媒、例えば、(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等の、いわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒を適用できる。
具体的には、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に開示されている水添触媒を適用できる。
水添触媒の好ましい例としては、チタノセン化合物と還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。
チタノセン化合物としては、例えば、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用でき、具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格若しくはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物が挙げられる。
また、還元性有機金属化合物としては、例えば、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物等が挙げられる。
ブロック共重合体に対して水添反応を実施する際の温度条件は、0〜200℃の範囲とすることが好ましく、30〜150℃の範囲とすることがより好ましい。
水添反応に使用される水素の圧力は、0.1〜15MPaが好ましく、0.2〜10MPaがより好ましく、0.3〜5MPaが更に好ましい。
また、水添反応時間は、3分〜10時間が好ましく、10分〜5時間がより好ましい。
水添反応は、バッチプロセス、連続プロセスによって行うことができ、これらを単独で
行ってもよく、組み合わせてもよい。
ブロック共重合体の水添物(1)において、共役ジエンに基づく不飽和二重結合の水素添加率は、特に限定されるものではないが、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上が水添されており、ブロック共重合体中に、1,2−結合、3,4−結合、1,4−結合の結合様式で組み込まれている不飽和二重結合のうち一部のみが水添されていてもよい。一部のみを水添する場合には、水素添加率は10%以上70%未満とすることが好ましく、15%以上65%未満とすることがより好ましく、20%以上60%未満とすることが更に好ましい。
更には、ブロック共重合体の水添物(1)において、水素添加前の共役ジエンに基づくビニル結合の水素添加率は、85%以上とすることが好ましく、90%以上とすることがより好ましく、95%以上とすることが更に好ましい。水素添加率を上記範囲にすることにより熱安定性の向上が図られる傾向にある。
なお、上記ビニル結合の水素添加率とは、ブロック共重合体中に組み込まれている水素添加前の共役ジエンに基づくビニル結合のうち、水素添加されたビニル結合の割合をいう。
また、ブロック共重合体の水添物(1)において、ビニル芳香族炭化水素に基づく芳香族二重結合の水素添加率については、特に制限されないが、50%以下とすることが好ましく、30%以下とすることがより好ましく、20%以下とすることが更に好ましい。
水素添加率、及び共役ジエンに基づくビニル結合量は、核磁気共鳴装置(NMR)により測定することができる。
上述したブロック共重合体又はその水添物(1)に、酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基、からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する共重合体(3)を結合させることにより、発泡体用変性ブロック共重合体(X)が得られる。これについては、後述する(第2の実施の形態)で説明するものとし、同様の工程で行うことができるものとする。
(第2の実施の形態)
本実施の形態における発泡体用変性ブロック共重合体(Z)は、ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体に、官能基含有変性剤を付加反応させてなる1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)が、前記1次変性ブロック共重合体の官能基と反応性を有する、酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する重合体(3)で変性された変性ブロック共重合体である。
前記1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)(以下、それぞれブロック共重合体(2)、ブロック共重合体の水添物(2)とも称する。)は、上述したビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体又はその水添物(1)に、官能基含有変性剤を付加反応させてなるものである。
前記1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)は、前記ブロック共重合体又はその水添物(1)に、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボン酸基、チオカルボン酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、シラノール基、アルコキシシラン、ハロゲン化ケイ素基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基等から選ばれる官能基が結合した構造を有する。
前記官能基が結合しているブロック共重合体を得る方法としては、ブロック共重合体(1)のリビング末端との付加反応により、ブロック共重合体に前記官能基から選ばれる官能基を少なくとも1個有する原子団が結合されている1次変性ブロック共重合体を生成する官能基含有変性剤を付加反応させる方法、或いは前記官能基を公知の方法で保護した原子団が結合している官能基含有変性剤を付加反応させる方法(第1の方法)により得ることができる。第2の方法としては、ブロック共重合体又はその水添物(1)に有機リチウム化合物等の有機アルカリ金属化合物を反応(メタレーション反応)させ、ブロック共重合体に有機アルカリ金属が付加した重合体に前記官能基含有変性剤を付加反応させる方法が挙げられる。
官能基含有変性剤の種類によっては、これらを反応させた段階で、水酸基やアミノ基等が有機金属塩となっていることもあるが、その場合は、水やアルコール等活性水素を有する化合物で処理することにより、水酸基やアミノ基等にすることができる。
なお、ブロック共重合体(1)のリビング末端に、官能基含有変性剤を反応させる際には、一部変性されていない(未変性の)ブロック共重合体(1)が1次変性ブロック共重合体に混在していてもよい。1次変性ブロック共重合体中の未変性のブロック共重合体の割合は、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。
前記1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)の好ましい例を下記に挙げる。
前記1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)としては、例えば、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基からなる群から選ばれる官能基が結合している1次変性ブロック共重合体又はその水添物が挙げられる。
水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基からなる群から選ばれる官能基の近傍の構造としては、下記式(I)〜(XIII)が挙げられる。
ここで、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素、炭素数1〜24の炭化水素基、又は水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基からなる群から選ばれる官能基を有する炭素数1〜24の炭化水素基を示す。
は炭素数1〜48の炭化水素鎖、又は水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基からなる群から選ばれる官能基を有する炭素数1〜48の炭化水素鎖を示す。
また、R〜Rの炭化水素基、及びRの炭化水素鎖中には、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基以外の結合様式で、酸素、窒素、シリコン等の元素が結合していてもよい。
は水素又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。
上記1次変性ブロック共重合体又はその水添物として好適なものである、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を少なくとも1個有する原子団が結合している1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)を得るために用いる官能基含有変性剤を下記に示す。
例えば、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシランが使用できる。
また、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、1−[3−(ジエトキシエチルシリル)−プロピル]−4−メチルピペラジン、1−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−3−メチルイミダゾリジン、1−[3−(ジエトキシエチルシリル)−プロピル]−3−エチルイミダゾリジン、1−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−3−メチルヘキサヒドロピリミジン、1−[3−(ジメトキシメチルシリル)−プロピル]−3−メチルヘキサヒドロピリミジン、3−[3−(トリブトキシシリル)−プロピル]−1−メチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、3−[3−(ジメトキシメチルシリル)−プロピル]−1−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン、1−(2−エトキシエチル)−3−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−イミダゾリジン、(2−{3−[3−(トリメトキシシリル)−プロピル]−テトラヒドロピリミジン−1−イル}−エチル)ジメチルアミンが使用できる。
また、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシランが使用できる。
また、γ−グリシドキシプロピルジエチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペンオキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジエトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジプロポキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジブトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジフェノキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルメトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルエトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルブトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルフェノキシシランが使用できる。
また、トリス(γ−グリシドキシプロピル)メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、ビス(γ−メタクリロキシプロピル)ジメトキシシラン、トリス(γ−メタクリロキシプロピル)メトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリフェノキシシランが使用できる。
また、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル−トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−エチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−エチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジエチルエトキシシランが使用できる。
また、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジエチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジイソプロペンオキシシラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、N,N'−ジメチルプロピレンウレア、N−メチルピロリドンが使用できる。
なお、ブロック共重合体のリビング末端に、上記官能基含有変性剤を付加反応させる場合には、ブロック共重合体のリビング末端は、重合体ブロックA、重合体ブロックBのいずれでもよいが、機械的強度等が良好な組成物を得るという観点から、重合体ブロックAのリビング末端であることが好ましい。
上記官能基含有変性剤の使用量は、ブロック共重合体のリビング末端1当量に対して、0.5当量を超えて10当量以下であることが好ましく、0.7当量を超えて5当量以下であることがより好ましく、1当量を超えて4当量以下であることが更に好ましい。
なお、ブロック共重合体のリビング末端の量は、重合に使用した有機リチウム化合物の量と該有機リチウム化合物に結合しているリチウム原子の数から算出してもよいし、得られたブロック共重合体の数平均分子量から算出してもよい。
また、1次変性ブロック共重合体の水添物(2)は、上記で得られた1次変性ブロック共重合体(2)に、水素添加処理を施すことにより得られる。また、ブロック共重合体の水添物に有機リチウム化合物等の有機アルカリ金属化合物を反応(メタレーション反応)させ、ブロック共重合体の水添物に有機アルカリ金属が付加した重合体に上記官能基含有変性剤を付加反応させて得ることもできる。
上述した1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)の重量平均分子量は、1次変性ブロック共重合体又はその水添物や、これを含む組成物の機械的強度を良好なものとする観点から3万以上であることが好ましい。一方、良好な加工性や熱可塑性樹脂との相容性を確保する観点からは100万以下であることが好ましい。上記重量平均分子量は4万〜80万の範囲がより好ましく、5万〜60万の範囲が更に好ましい。
なお、上記重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた値をいう。
上述した1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)は、合成工程において溶液として得られるが、必要に応じて触媒残渣を除去して溶液から分離する。
溶液からの分離方法としては、例えば、重合を行った後又は水添を行った後の溶液に、アセトン又はアルコール等の1次変性ブロック共重合体又はその水添物に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて、1次変性ブロック共重合体又はその水添物を沈澱させて回収する方法、1次変性ブロック共重合体又はその水添物の溶液を撹拌下で熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、又は直接溶液を加熱して溶媒を留去する方法等が挙げられる。
上述した1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)には、必要に応じて、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加してもよい。
(酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する重合体(3)との反応工程)
第1の実施の形態である発泡体用変性ブロック共重合体(X)は、ブロック共重合体又はその水添物(1)に、酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基、からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する重合体(3)を反応させることにより得られる。
第2の実施の形態である発泡体用変性ブロック共重合体(Z)は、1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)に、これに結合している官能基と反応性を有する、酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する重合体(3)を反応させることにより得られる。
酸無水物基を有する重合体における酸無水物基としては、例えば、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等の酸無水物基が挙げられ、特に無水マレイン酸が好ましい。酸無水物基を有する重合体としては、例えば、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の無水マレイン酸付加物、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水添物の無水マレイン酸付加物等が挙げられる。
カルボキシル基を有する重合体におけるカルボキシル基としては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸等が挙げられる。カルボキシル基を有する重合体としては、例えば、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタアクリル酸共重合体等が挙げられる。また、酸無水物基とカルボキシル基の両方を同一分子内に併せ持つ重合体も含まれ、それらは、例えば、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の無水マレイン酸付加物、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水添物の無水マレイン酸付加物等の酸無水物基の一部を、例えば2−ブトキシエタノール等のアルコール類で開環させることによって得ることができる。
エステル結合を有する重合体におけるエステル結合は、主鎖中にあっても、主鎖に対してペンダント状にあっても構わない。
エステル結合が主鎖中にある重合体としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、P、P'−ジカルボキシジフェニル、2,6−ナフタリンジカルボン酸等の二塩基酸又はこれらの誘導体と、エチレングリコール、ポロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、P−キシレングリコール、ビスフェノールA等のグリコール(又はジオール)との縮重合体が挙げられる。具体的には、例えば、テレフタル酸とエチレングリコールの共重合体であるポリエチレンテレフタレート(PET)、テレフタル酸とエチレングリコールとシクロヘキサンジメタノールの共重合体である非晶性ポリエチレンテレフタレート(PET−G)の他、ポリブチレンテレフタレート、グリプタル樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。特に、透明性、成形加工性の点でPET−Gが好ましい。
また、重合体の構成単位が炭酸エステル結合の繰り返しによって結合されている線状ポリマー、例えば、4,4'−ジヒドロキシジフェニルアルカン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のジヒドロキシ化合物とホスゲンの反応によって得られる重合体、或いは前記ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートとのエステル交換反応によって得られる重合体、具体的には、ポリ−4、4'−ジオキシジフェニル−2,2'−プロパンカーボネート等のポリカーボネート系重合体が挙げられる。
エステル結合が主鎖に対してペンダント状に結合した重合体におけるエステル結合基としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートや、グリシジル(メタ)アクリレートを重合体成分としたもの、酢酸ビニルプロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニルを重合体成分としたものが挙げられる。
エポキシ基を有する重合体としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートをモノマー物質として重合体の主鎖にペンダント状に結合したものの他、エポキシ基が主鎖中に結合したものも含まれる。
これらは、単独重合体のみならず、共重合可能な他のモノマーと共重合していてもかまわない。共重合可能なモノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン等の芳香族ビニル炭化水素、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ブテン等のα−オレフィン類、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の共役ジエン類、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、アコニット酸等の酸無水物、アクリル酸、メタアクリル酸等のカルボキシル基を有する単量体が挙げられる。
ウレタン結合を有する重合体とは、ピバロラクトン、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン等の開環重合体のポリエステル系樹脂、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(1,6−ヘキサンアジペート)、ポリカプロラクトン等のポリエステルジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルジオール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のグリコールから選ばれるグリコール成分と、芳香族、脂環族或いは脂肪族系ジイソシアネート、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート成分との重付加反応によって得られる熱可塑性ポリウレタン系重合体が挙げられる。
シラノール基又はアルコキシシラン基の導入は、例えば、アルコール性水酸基とアルコキシシランのアルコキシ基との交換反応によって、重合体中に導入することが可能であり、ポエイ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミック酸、ポリアミドイミド等にアルコキシシランの結合した重合体等を用いることができる。
アミノ基を有する重合体は、アクリルアミンをモノマーとした重合体の他、例えばジアミンとジカルボン酸の縮合反応において、ジアミンを過剰に調整して片末端又は両末端をジアミン構造にしたポリアミド、或いはスチレン−メタクリル酸共重合体のように分子内にカルボン酸構造を持つ重合体にジアミンを反応させることによっても得ることができる。
アミド基を有する重合体としては、重合体の構成単位がアミド基結合の繰り返しによって結合している線状ポリマー、例えば、ε−アミノカプロラクタムやω−アミノラウロラクタム等の開環重合体及び共重合体、ε−アミノウンデカン酸の縮重合体、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸、セバシン酸等の二塩基酸との縮重合体、具体的には、ナイロン−46、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−6−ナイロン−12共重合体等のポリアミド系樹脂が挙げられる。
水酸基を有する重合体としては、ビニルアルコールをモノマーとして用いた重合体、例えば、ポリビニルアルコールの他、前述のシラノールを結合した重合体、ポリエステル等が挙げられる。
共重合体(3)は、公知の方法により製造することができる。例えば、アニオン重合法、カチオン重合法、ラジカル重合法、縮重合法、重付加反応等により製造できる。
共重合体(3)としては、例えば、以下のa)〜p)
a)スチレン−無水マレイン酸共重合体又はその一部にカルボキシル基を有する共重合体
b)スチレン−メタクリル酸共重合体
c)スチレン−ブタジエン−無水マレイン酸共重合体又はその水添物
d)無水マレイン酸−エチレン−エチルアクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合体。
e)無水マレイン酸−メチルメタクリレート−スチレン共重合体
f)無水マレイン酸−エチレン−酢酸ビニル共重合体
g)酢酸ビニル−スチレン共重合体
h)アルコキシシラン結合−エチレン−酢酸ビニル共重合体
i)ポリウレタン
j)グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体
k)エチレン−グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体
l)エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合体
m)グリシジルメタクリレート−アクリロニトリル−スチレン−ポリカーボネート共重合体。
n)エチレン−グリシジルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体。
o)エポキシ基含有−スチレン−ブタジエン共重合体
p)ポリエステル
が好適な例として挙げられる。上記重合体は、市販品を用いてもよい。
ブロック共重合体又はその水添物(1)又は1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)と、共重合体(3)との反応を行う際には、ブロック共重合体又はその水添物(1)又は1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)と共重合体(3)の割合を、質量比で99.9/0.1〜25/70とすることが好ましく、99/1〜50/50とすることがより好ましく、99/1〜80/20とすることが更に好ましい。
ブロック共重合体又はその水添物(1)又は1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)と、上記共重合体(3)との反応方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。
例えば、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いて反応させる溶融混練方法、各成分を溶媒等に溶解又は分散混合して反応させた後、溶剤を加熱除去する方法等が適用できる。
上記溶融混練方法の場合には、混練温度は50〜250℃が好ましく、100〜230℃の範囲がより好ましい。混練時間は3時間以内が好ましく、数秒〜1時間がより好ましい。
上記反応工程を、各成分を溶媒等に溶解又は分散混合して行う場合、適用する溶媒は、各成分を溶解又は分散できればよく、特に制限されるものではない。例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒の他、含ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒等が使用できる。
上記反応工程における温度条件は、−10〜150℃が好ましく、30〜120℃がより好ましい。反応に要する時間は、条件によって異なるが、一般的には3時間以内であり、数秒〜1時間が好ましい。
上記第1の実施の形態、及び第2の実施の形態において作製した変性ブロック共重合体の重量平均分子量は、変性ブロック共重合体やその組成物の機械的強度の点から3万以上、加工性や熱可塑性樹脂との相容性の点から100万以下であることが好ましく、より好ましくは4万〜80万、更に好ましくは5〜60万である。
変性ブロック共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリス
チレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使
用して求めた値をいう。
本実施の形態の変性ブロック共重合体(X)の製造方法は、ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体又はその水添物(1)に、
酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基、からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する重合体(3)を結合させる工程を含む方法である。
本実施の形態の発泡体用変性ブロック共重合体(Z)の製造方法は、ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体に、官能基含有変性剤を付加反応させてなる1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)に、
前記1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)の官能基と反応性を有する、酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基、からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する重合体(3)を結合させる工程を含む方法である。
変性ブロック共重合体(X)及び発泡体用変性ブロック共重合体(Z)の製造方法における各材料、条件等は上述したとおりである。
(第3の実施の形態)
上述した第1の実施の形態及び第2の実施の形態により得られる変性ブロック共重合体(X)又は(Z)に、熱可塑性樹脂から選ばれる少なくとも一種の成分(Y)を配合することにより、樹脂組成物が得られる。
成分(Y)の使用量は、変性ブロック共重合体成分(X)又は(Z)/成分(Y)の比率で、1/99〜99/1が好ましく、3/97〜97/3がより好ましく、5/95〜95/5が更に好ましい。
成分(Y)として使用される熱可塑性樹脂は、特に制限されるものではないが、下記に
示す熱可塑性樹脂が使用できる。
例えば、上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態において説明した変性ブロック共重合体又はその水添物とは異なる構造の共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合体樹脂、ポリスチレン等のビニル芳香族化合物重合体樹脂、ビニル芳香族化合物とその他のビニルモノマー(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸及びアクリルメチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)との共重合樹脂が挙げられる。
また、ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(MBS)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル及び/又は塩化ビニリデンを50質量%以上含有する塩化ビニル及び/又は塩化ビニリデンとこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体であるポリ塩化ビニル系樹脂が挙げられる。
また、酢酸ビニルの含有量が50質量%以上である酢酸ビニルとこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体であるポリ酢酸ビニル系樹脂及びその加水分解物、アクリル酸及びそのエステルやアミドの重合体、メタクリル酸及びそのエステルやアミドの重合体、これらのアクリル酸系モノマーを50質量%以上含有する他の共重合可能なモノマーとの共重合体であるポリアクリレート系樹脂、アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルの重合体、これらのアクリロニトリル系モノマーを50質量%以上含有する他の共重合可能なモノマーとの共重合体であるニトリル樹脂が挙げられる。
また、重合体の構成単位がアミド基結合の繰り返しによって結合している線状ポリマー、例えば、ε−アミノカプロラクタムやω−アミノラウロラクタム等の開環重合体及び共重合体、ε−アミノウンデカン酸の縮重合体、ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸、セバシン酸等の二塩基酸との縮重合体、具体的には、ナイロン−46、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−6−ナイロン−12共重合体等のポリアミド系樹脂が挙げられる。
また、重合体の構成単位がエステル結合の繰り返しによって結合している線状ポリマー、例えば、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、P、P'−ジカルボキシジフェニル、2,6−ナフタリンジカルボン酸等の二塩基酸又はこれらの誘導体と、エチレングリコール、ポロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、P−キシレングリコール、ビスフェノールA等のグリコール(又はジオール)との縮重合体が挙げられる。
また、ピバロラクトン、β−プロピオラクトン、ε−カプロラクトン等の開環重合体のポリエステル系樹脂、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(1,6−ヘキサンアジペート)、ポリカプロラクトン等のポリエステルジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリエーテルジオール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等のグリコールから選ばれるグリコール成分と、芳香族、脂環族或いは脂肪族系ジイソシアネート、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート成分との重付加反応によって得られる熱可塑性ポリウレタン系重合体が挙げられる。
また、重合体の構成単位が炭酸エステル結合の繰り返しによって結合している線状ポリマー、例えば、4,4'−ジヒドロキシジフェニルアルカン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のジヒドロキシ化合物とホスゲンの反応によって得られる重合体、或いは前記ジヒドロキシ化合物とジフェニルカーボネートとのエステル交換反応によって得られる重合体、例えば、ポリ−4、4'−ジオキシジフェニル−2,2'−プロパンカーボネート等のポリカーボネート系重合体が挙げられる。
また、ポリエーテルスルホンやポリアリルスルホン等の熱可塑性ポリスルホン、例えば、ポリ(エーテルスルホン)、ポリ(4,4'−ビスフェノールエーテルスルホン)、ポリ(チオエーテルスルホン)等のポリスルホン系樹脂、ホルムアルデヒド又はトリオキサンの重合体、ホルムアルデヒド又はトリオキサンに他のアルデヒド、環状エーテル、エポキシド、イソシアネート、ビニル化合物等との共重合体等のポリオキシメチレン系樹脂が挙げられる。
また、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル等のポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリ4,4'−ジフェニレンスルフィド等のポリフェニレンスルフィド系樹脂、ビスフェノールAとフタル酸成分からなる重縮合系ポリマーであるポリアリレート系樹脂、ポリエーテルケトン重合体又は共重合体、例えば、ポリエーテルエーテルケトン等のポリケトン系樹脂が挙げられる。
また、鎖状炭化水素高分子化合物の水素の一部又は全部をフッ素で置換した構造を有する重合体、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオライド等のフッ素系樹脂が挙げられる。
また、パラオキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4'−ジヒドロキシジフェニル或いはこれらの誘導体を用い、溶液重縮合や溶融重縮合により製造される重合体又は共重合体等のポリオキシベンゾイル系重合体、主鎖にイミド結合をもつ重合体、例えば、ポリイミド、ポリアミノビスマレイミド(ポリビスマレイミド)、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂、1,2−ポリブタジエン、トランスポリブタジエン等のポリブタジエン系樹脂が挙げられる。
成分(Y)として使用される熱可塑性樹脂の数平均分子量は、1000以上が好ましく、5000〜500万がより好ましく、1万〜100万が更に好ましい。
なお、上記熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上述した変性ブロック共重合体(X)、(Z)又はこれを用いた組成物には、必要に応じて各種の添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、熱可塑性樹脂組成物に配合する一般的なものをいずれも適用でき、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、クレー、タルク、マイカ、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、アルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、スラッグウール、ガラス繊維等の無機充填剤;カーボンブラック、酸化鉄等の顔料;ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤;離型剤;パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィンが挙げられる。
また、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系熱安定剤等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、難燃剤、帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤、着色剤等も用いられる。
その他の添加剤としては、これらの混合物等の「ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等に開示されているものも用いることができる。
上述した変性ブロック共重合体組成物を製造する方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を利用できる。
例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が適用できる。特に、押出機による溶融混練法が、生産性、良混練性の観点から好ましい。
溶融混練温度は、使用する熱可塑性樹脂の融点、溶融粘度、ブロック共重合体又はその水添物(1)及び1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)の熱劣化等を考慮して、100〜350℃が好ましく、150〜350℃がより好ましく、180〜330℃が更に好ましい。
また、溶融混練時間(又は溶融混練工程の平均滞留時間)は、混練度合い(分散性)や生産性、ブロック共重合体又はその水添物(1)及び1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)や、熱可塑性樹脂等の劣化等を考慮して、0.2〜60分が好ましく、0.5〜30分がより好ましく、1〜20分が更に好ましい。
先ず、原材料となる1次変性ブロック共重合体(P−1)〜(P−8)、及びブロック共重合体(P−9)を作製した。
〔1次変性ブロック共重合体(P−1)〕
攪拌機付きオートクレーブを用い、窒素ガス雰囲気下で、(i)スチレン25質量部を含むシクロヘキサン溶液に、n−ブチルリチウムを0.080質量部を添加し、80℃で20分間重合した。
次に、(ii)スチレン15質量部と1,3−ブタジエン24質量部を含むシクロヘキサン溶液を60分間連続的に添加して80℃で重合した。
次に、(iii)スチレン36質量部を含むシクロヘキサン溶液を25分間連続的に添加して80℃で重合した後、80℃で10分間保持した。
その後、リビングポリマーに、変性剤として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(以後、変性剤M1と呼ぶ)を、重合に使用したn−ブチルリチウムに対して当モル反応させた。
反応終了後、重合器にメタノールをn−ブチルリチウムに対して当モル添加し、安定剤として2−〔1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル〕−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレートをブロック共重合体100質量部に対して0.5質量部を加えた。
その後、脱溶媒して、1次変性ブロック共重合体(P−1)を得た。
1次変性ブロック共重合体(P−1)は、スチレン/1,3−ブタジエン=100/0質量比である重合体ブロックA、スチレン/1,3−ブタジエン=38.5/61.5質量比である重合体ブロックB、スチレン/1,3−ブタジエン=100/0質量比である重合体ブロックAよりなるA−B−A型ブロック重合体である。
〔1次変性ブロック共重合体(P−2)〜(P−6)〕
1次変性ブロック共重合体(P−1)と同様の手法に従い、1次変性ブロック共重合体(P−1)の製造工程中の(i)、(ii)、(iii)において添加するスチレン、1,3−ブタジエンの添加量及びn−ブチルリチウムの添加量を適宜制御してリビンングポリマーを重合し、1次変性ブロック共重合体(P−2)〜(P−6)を作製した。
〔1次変性ブロック共重合体(P−7)〕
1次変性ブロック共重合体(P−1)と同様の手法に従い、1次変性ブロック共重合体(P−1)の製造工程中の(i)、(ii)、(iii)において添加するスチレン、1,3−ブタジエンの添加量及びn−ブチルリチウムの添加量を適宜制御してリビングポリマーを重合し、変性剤としてテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン
(以後、変性剤M2と呼ぶ)を使用した。その他の条件は、上記1次変性ブロック共重合体(P−1)と同様の手法により、1次変性ブロック共重合体(P−7)を作製した。
〔1次変性ブロック共重合体(P−8)〕
1次変性ブロック共重合体(P−1)と同様の手法に従い、1次変性ブロック共重合体(P−1)の製造工程中の(i)、(ii)、(iii)において添加するスチレン、1,3−ブタジエンの添加量及びn−ブチルリチウムの添加量を適宜制御してリビングポリマーを重合し、変性剤としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(以後、変性剤M3と呼ぶ)を使用した。その他の条件は、上記1次変性ブロック共重合体(P−1)と同様の手法により、1次変性ブロック共重合体(P−8)を作製した。
〔ブロック共重合体(P−9)〕
変性剤を添加しなかったこと以外は、前記1次変性ブロック共重合体(P−1)と同様にして、ブロック共重合体(P−9)を作製した。
上記のようにして作製した1次変性ブロック共重合体(P−1)〜(P−8)、及びブロック共重合体(P−9)の組成評価を下記の手法により行った。
(1)スチレン含有量
紫外線分光光度計(日立UV200)を用いて、262nmの吸収強度より算出した。
(2)スチレンブロック率
四酸化オスミウムを触媒としてジ・ターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによりブロック共重合体を酸化分解する方法〔I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法〕により得たビニル芳香族炭化水素重合体ブロック成分を定量し、下記の式から求めた。
(3)変性ブロック共重合体の割合(変性率)
テトラヒロドロフラン20mLに変性重合体10mgと重量平均分子量8000の低分子量内部標準ポリスチレン10mgを溶解させた試料溶液について、GPC(装置:島津製作所社製LC10、カラム:津製作所社製 Shimpac GPC805+GPC804+GPC804+GPC803)で測定した。溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は温度35℃で行った。得られたクロマトグラムから、標準ポリスチレンに対する変性重合体の割合を求めた。また、上記試料溶液について、米国デュポン社製のカラムであるZorbax(シリカ系ゲル充填剤)のカラムを用いた以外、同様の方法でGPC
測定を行って得られたクロマトグラムから、標準ポリスチレンに対する変性重合体の割合
を求めた。シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに変性重合体が吸着するので、変性
重合体の割合はシリカ系カラムへ吸着したものの割合である。これら2つの割合の比較す
ることにより、変性ブロック共重合体の割合を求めてこれを変性率とした。
(4)メルトフローレート
ASTM D1238に準拠し、200℃、荷重5kgの条件で測定した。
上記のようにして作製した1次変性ブロック共重合体(P−1)〜(P−8)、及びブロック共重合体(P−9)の、スチレン含有量、スチレンブロック率、メルトフローレート、官能基含有変性剤の種類、及び変性率について、下記表1に示す。
〔実施例1〜20〕
次に、上記のようにして作製した1次変性ブロック共重合体(P−1)〜(P−8)と、下記表2に示す重合体(3)とを用いて、変性ブロック共重合体(MP−1)〜(MP−20)を作製した。
1次変性ブロック共重合体/重合体(3)=90/10質量部の割合でブレンドし、30mmφ二軸押出機を用いて220℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練し、反応を行い、2次変性ブロック共重合体を作製した。
2次変性ブロック共重合体の作製には、下記の15種類の重合体(3)のうちのいずれかを選定した。
・SMA1440F(SARTOMER社製登録商標、スチレン−無水マレイン酸共重合体の酸無水物基を2−ブトキシエタノールで部分開環した重合体)
・タフプレン912(旭化成ケミカルズ株式会社製登録商標、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の無水マレイン酸付加物、200℃、5kg荷重下のMIが10g/10min)
・タフテックM1913(旭化成ケミカルズ株式会社製登録商標、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水添物の無水マレイン酸付加物、200℃、5kg荷重下のMIが4g/10min)
・エラストランET860D(BASF社製登録商標、ポリウレタン樹脂)
・モディパーA4400(日油株式会社製登録商標、エチレン−グリシジルメタクリレート共重合体(EGMA)とアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)のグラフト物。EGMA/AS比=70/30、EGMA中のグリシジルメタクリレート含有量=15質量%)
・モディパーSV30B(日油株式会社製登録商標、ポリ酢酸ビニル(PVAc)とポリスチレン(PS)のブロック共重合体、PVAc/PS比=30/70)
・デルペット980N(旭化成ケミカルズ株式会社製登録商標、無水マレイン酸(MAH)−メチルメタクリレート(MMA)−スチレン(ST)共重合体)
・エポフレンドAT501(ダイセル化学株式会社製登録商標、エポキシ変性スチレンブタジエン共重合体)
・モディパーCL430−G(日油株式会社製登録商標、ポリカーボネート(PC)とグリシジルメタクリレート(GMA)とASの共重合体)
・マープルーフG1005S(日油株式会社製登録商標、GMA−ST共重合体)
・モディパーA4300(日油株式会社製登録商標、EGMAとブチルアクリレート(BA)−MMA共重合体のグラフト物(P(BA/MMA))、EGMA/P(BA/MMA)比=70/30、EGMA中のGMA含有量=15質量%)
・プリマロイA1706C(三菱化学株式会社製登録商標、ゴム成分含有ポリエチレンテレフタレート)
・リンクロンXVF600N(三菱化学株式会社製登録商標、アルコキシシラン結合−エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA))
図1に、実施例1における変性ブロック共重合体(MP−1)のゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)を示した。
また、1次変性ブロック共重合体(P−1)単独、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA)単独のGPC曲線も示した。
変性ブロック共重合体(MP−1)は、1次変性ブロック共重合体(P−1)と、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA)とを反応させた共重合体であり、図1のグラフから、SMAのピークが消失し、分子量が高くなっていることが分かり、(P−1)に(SMA)が結合していることが確認された。
実施例2〜20の変性ブロック共重合体(MP−2)〜(MP−20)についても、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行ったところ、同様に、1次変性ブロック共重合体と、重合体(3)とが結合していることが確認された。
〔実施例21〜42〕、〔比較例1〜19〕
次に、下記のとおりに樹脂シートを作製した。材料を下記に示す。
変性ブロック共重合体(MP−1)〜(MP−20)
熱可塑性樹脂(R−1):ポリスチレン685(PSジャパン株式会社製)
熱可塑性樹脂(R−2):スチレン−ブチルアクリレート共重合体(PSジャパン株式会社製 ポリスチレンSC004)
1次変性ブロック共重合体(P−1)
ブロック共重合体(P−9)
(P−9)/表に記載の重合体(3):(P−9)/表に記載の重合体(3)=90/10部の割合でブレンドし、30mmφ二軸押出機を用いて220℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練して作製した。GPCによる測定を行い、各重合体(3)はブロック共重合体に結合していないことを確認した。
ユニオンプラスチックス株式会社製Tダイ装着押し出し機(USV型/バレル径40mmφ、L/D=28、幅400mmTダイ装着)のホッパーに、下記表3〜5に示す配合に従い、各原料ペレットを投入した。
押出機のシリンダー内樹脂温度とTダイの温度を調整し、厚さ0.3mmのシートを押出し成形して作製した。
また、得られたシートをプレス成型機を用いて、200℃、5分予備加熱した後、圧力150kg/cmにて厚さ0.5mmの無配向シートを作成し、伸張粘度測定試料とした。
上記のようにして作製した〔実施例21〜42〕、〔比較例1〜19〕の樹脂シートに対して、下記の評価を行った。
(1)引張り弾性率、伸び
ASTM D638に準拠し、ミネベア株式会社製TG−5KN型試験機を用いて、試験速度5mm/minで測定した。
(2)伸張粘度
レオメトリックサイエンティフィックFE社製メカニカルスペクトロメーター(ARES2)を用い、Extension rate:1/secで、測定した。
(尚、比較例18、19は、全く伸びないため、伸張粘度は測定しなかった)
図2に、実施例1における変性ブロック共重合体(MP−1)の伸張粘度測定グラフを示した。
また、未変性ブロック共重合体(P−9)単独、比較例3の(P−9)/SMAの伸張粘度グラフも示した。(図3、図4)
変性ブロック共重合体(MP−1)は、ブロック共重合体(P−9)の1次変性ブロック共重合体(P−1)と、スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA)とを反応させた共重合体であり、(P−9)、(P−9)/SMAに比べて、伸張時間と共に(即ち、歪の増大と共に)、粘度が増大していることがわかる。
具体的には、例えば、2secの伸張粘度/0.1secの伸張粘度の比をとると、(P−9)では3.0、(P−9)/SMAでは4.1に対し、(MP−1)では、27.2に増大しており、(MP−1)では歪硬化性が高まっている。
歪硬化性が高いほど発泡性は良好であることが知られており、本実施の形態の変性ブロック共重合体が発泡体用途に有用であることがわかる。
引張り弾性率、伸び、a)0.1secの伸張粘度、b)2.0secの伸張粘度及び、2.0secの伸張粘度/0.1secの伸張粘度(b)/a))の測定結果を下記表3〜5に示した。
本実施の形態における変性ブロック共重合体(MP−1)〜(MP−20)である実施例21〜39は、機械的強度に優れ、伸張粘度特性(歪硬化性)も良好であることがわかった。
変性ブロック共重合体(MP−2)及び(MP−5)と、さらに汎用熱可塑性樹脂を用いた40〜42は、実用上良好な伸びと伸張粘度特性(歪硬化性)が得られた。
比較例1〜17は、変性ブロック共重合体(MP−1)〜(MP−20)を用いなかったため、伸張粘度特性(歪硬化性)が著しく劣るものであることがわかった。
本発明の変性ブロック共重合体は、歪硬化性に優れており、発泡体材料としての産業上の利用可能性を有する。

Claims (8)

  1. ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体又はその水添物(1)に、
    酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基、からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する重合体(3)が結合した発泡体用変性ブロック共重合体(X)。
  2. ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体に、官能基含有変性剤を付加反応させてなる1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)に、
    前記1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)の官能基と反応性を有する、酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基、からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する重合体(3)が結合した発泡体用変性ブロック共重合体(Z)。
  3. 前記官能基含有変性剤が、前記ブロック共重合体との付加反応によって、1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)に、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基からなる群から選ばれる官能基を少なくとも1個有する原子団を生成させる機能を有している、請求項2記載の発泡体用変性ブロック共重合体(Z)。
  4. 前記重合体(3)は、下記a)〜p)からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体である、請求項1記載の変性ブロック共重合体(X)。
    a)スチレン−無水マレイン酸共重合体又はその一部にカルボキシル基を有する共重合体
    b)スチレン−メタクリル酸共重合体
    c)スチレン−ブタジエン−無水マレイン酸共重合体又はその水添物
    d)無水マレイン酸−エチレン−エチルアクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合体
    e)無水マレイン酸−メチルメタクリレート−スチレン共重合体
    f)無水マレイン酸−エチレン−酢酸ビニル共重合体
    g)酢酸ビニル−スチレン共重合体
    h)アルコキシシラン結合−エチレン−酢酸ビニル共重合体
    i)ポリウレタン
    j)グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体
    k)エチレン−グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体
    l)エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合体
    m)グリシジルメタクリレート−アクリロニトリル−スチレン−ポリカーボネート共重合体
    n)エチレン−グリシジルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体
    o)エポキシ基含有−スチレン−ブタジエン共重合体
    p)ポリエステル。
  5. 前記重合体(3)は、下記a)〜p)からなる群から選ばれる少なくとも一つの重合体である、請求項2又は3記載の変性ブロック共重合体(Z)。
    a)スチレン−無水マレイン酸共重合体又はその一部にカルボキシル基を有する共重合体
    b)スチレン−メタクリル酸共重合体
    c)スチレン−ブタジエン−無水マレイン酸共重合体又はその水添物
    d)無水マレイン酸−エチレン−エチルアクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合体
    e)無水マレイン酸−メチルメタクリレート−スチレン共重合体
    f)無水マレイン酸−エチレン−酢酸ビニル共重合体
    g)酢酸ビニル−スチレン共重合体
    h)アルコキシシラン結合−エチレン−酢酸ビニル共重合体
    i)ポリウレタン
    j)グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体
    k)エチレン−グリシジルメタクリレート−スチレン共重合体
    l)エチレン−グリシジルメタクリレート−アクリロニトリル−スチレン共重合体
    m)グリシジルメタクリレート−アクリロニトリル−スチレン−ポリカーボネート共重合体
    n)エチレン−グリシジルメタクリレート−ブチルアクリレート−メチルメタクリレート共重合体
    o)エポキシ基含有−スチレン−ブタジエン共重合体
    p)ポリエステル。
  6. 請求項1若しくは4記載の変性ブロック共重合体(X)、又は請求項2、3及び5のいずれか1項記載の変性ブロック共重合体(Z)を1〜99質量%、熱可塑性樹脂を99〜1質量%、含む発泡体用変性ブロック共重合体組成物。
  7. ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体又はその水添物(1)に、
    酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基、からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する重合体(3)を結合させる工程を含む、発泡体用変性ブロック共重合体(X)の製造方法。
  8. ビニル芳香族炭化水素を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBと、を含むブロック共重合体に、官能基含有変性剤を付加反応させてなる1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)に、
    前記1次変性ブロック共重合体又はその水添物(2)の官能基と反応性を有する、酸無水物基、カルボキシル基、エステル結合、ウレタン結合、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、シラノール基、アルコキシシラン基、からなる群から選ばれる少なくとも一つの結合基又は官能基を有する重合体(3)を結合させる工程を含む、発泡体用変性ブロック共重合体(Z)の製造方法。
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