JP2011084164A - サスペンション装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】目標アクチュエータ力を、ばね下部に作用させるばね下制御出力の大きさとサスペンション装置の制御系の安定性とを考慮して決定し、乗り心地の向上を図ることができるサスペンション装置を提供すること
【解決手段】サスペンション装置の電動モータ制御装置51は、電動モータの目標アクチュエータ力Fを決定する目標アクチュエータ力決定部60を有する。目標アクチュエータ力決定部60は、ばね下加速度gに対して特定周波数領域の周波数成分のみ通過させるフィルタ処理部71と、ばね下部に作用させるばね下制御出力F1Bを演算するばね下制御出力演算部73と、電動モータとばね下部の間の伝達特性を表す伝達関数とばね下制御出力F1Bとを用いて要求アクチュエータ力F1Dを演算する要求アクチュエータ力演算部74と、電動モータとばね下部の間に介在する慣性体に生じる慣性力Fを演算する慣性力演算部75と、を備える。
【選択図】 図4

Description

本発明は、電磁アクチュエータを備えたサスペンション装置に関し、特に、電磁アクチュエータの電動モータが車両の各輪位置にてばね上部とばね下部との間に介装されてばね上部とばね下部を接近または離間させる力であるアクチュエータ力を出力するサスペンション装置に関する。
この種のサスペンション装置は、例えば特許文献1に記載されている。下記特許文献1に記載されているサスペンション装置は、ばね下部と電磁アクチュエータとを弾性的に連結する支持スプリングを有する連結機構と、ばね下部のばね下加速度を検出するばね下加速度検出手段と、電動モータの回転駆動を制御する電動モータ制御装置とを備えている。そして、電動モータ制御装置は、電動モータが出力すべき目標アクチュエータ力を決定する目標アクチュエータ力決定部を有している。
特開2007−203933号公報
上記特許文献1に記載されたサスペンション装置においては、電動モータがアクチュエータ力を出力することにより、ばね上部とばね下部の接近または離間動作に対して減衰力および推進力を作用させることが可能である。このため、いわゆるスカイフックダンパ理論に基づく振動抑制制御を容易に実現することができ、高性能なサスペンション装置として期待されている。
ところで、上記特許文献1に記載されたサスペンション装置においては、車両が荒れた路面などを走行する場合に生じる周波数の高い振動を吸収するために、ばね下部と電磁アクチュエータとの間に支持スプリング(連結機構)が設けられている。このため、電動モータが出力するアクチュエータ力は、支持スプリング(連結機構)を介してばね下部に伝達されることになる。したがって、アクチュエータ力が伝達するときの時間的な遅れを防止するために、連結機構の伝達特性を考慮して電動モータが出力すべき目標アクチュエータ力を決定する必要がある。
また、上記特許文献1に記載されたサスペンション装置においては、電動モータの回転駆動により、電動モータとばね下部との間に介在している慣性体(連結機構等)も移動することとなり、慣性体に慣性力が生じることになる。このため、電動モータが出力すべき目標アクチュエータ力を適切に決定するためには、慣性体に生じる慣性力をも考慮する必要がある。
さらに、サスペンション装置においては、一般的に、電動モータのアクチュエータ力によってばね下部に作用させる力であるばね下作用力(ばね下制御出力)を小さくしたいという要求がある。すなわち、ばね下部に作用する力であるばね下制御出力を小さくすると、ばね下部が動き易くなり、ばね下部からばね上部への振動が伝達され難くなる。このため、一般的に、ばね下制御出力を小さくすることにより、乗り心地の向上を図ることができる。しかしながら、ばね下制御出力を小さくするとサスペンション装置の制御系の安定性が損なわれるおそれがあり、仮にサスペンション装置の制御系の安定性が損なわれた場合には、所定の周波数領域(特定周波数領域)においてばね下部が大きく振動して、却って乗り心地が悪化するおそれがあった。このため、ばね下制御出力の大きさと、サスペンション装置の制御系の安定性とを考慮して、電動モータが出力すべき目標アクチュエータ力を決定する必要もある。
本発明は、上記した課題に対処するためになされたものであり、その目的は、電動モータが出力すべき目標アクチュエータ力を、アクチュエータ力が出力されたときの連結機構の伝達特性、および、電動モータとばね下部との間に介在している慣性体に発生する慣性力とを考慮して決定するとともに、ばね下部に作用させる力であるばね下制御出力の大きさと、サスペンション装置の制御系の安定性とを考慮して適切に決定し、乗り心地の向上を図ることができるサスペンション装置を提供することにある。
上記した課題を達成するために、本発明は、車両の各輪位置にてばね上部とばね下部との間に介装されて前記ばね上部と前記ばね下部を接近または離間させる力であるアクチュエータ力を出力する電動モータを有する電磁アクチュエータと、前記ばね下部と前記電磁アクチュエータとの間に介装されて前記ばね下部と前記電磁アクチュエータとを弾性的に連結する支持スプリングを有する連結機構と、前記ばね下部のばね下加速度を検出するばね下加速度検出手段と、前記電動モータが出力すべき目標アクチュエータ力を決定する目標アクチュエータ力決定部を有していて決定された目標アクチュエータ力に基づいて前記電動モータの回転駆動を制御する電動モータ制御装置と、を備えたサスペンション装置において、前記目標アクチュエータ力決定部は、前記ばね下部の振動挙動を表す振動中心周波数を中心として下限側周波数と上限側周波数とを設定し、前記ばね下加速度検出手段により検出されたばね下加速度のうち、前記下限側周波数から前記上限側周波数までの特定周波数領域の周波数成分を通過させ、前記特定周波数領域以外の周波数成分を大きく減衰させるバンドパスフィルタ処理を施すフィルタ処理部と、前記フィルタ処理部によりバンドパスフィルタ処理されて出力された出力値を用いて、前記ばね下部に作用させる力であるばね下制御出力を演算するばね下制御出力演算部と、前記連結機構の伝達特性を表す伝達関数と前記ばね下制御出力演算部により演算されたばね下制御出力とを用いて、前記電動モータが出力すべき要求アクチュエータ力を演算する要求アクチュエータ力演算部と、前記電動モータと前記ばね下部との間に介在している慣性体が前記電動モータの回転駆動により移動することによって生じる慣性力を、前記ばね下加速度検出手段により検出されたばね下加速度を用いて演算する慣性力演算部と、を備え、前記要求アクチュエータ力と前記慣性力とを用いて、前記目標アクチュエータ力を決定するように構成したことに特徴がある。
ここで、フィルタ処理部は、ばね下加速度検出手段により検出されたばね下加速度のうち、ばね下加速度の特定周波数領域の周波数成分を通過させ、ばね下加速度の特定周波数領域以外の周波数成分を大きく減衰させるバンドパスフィルタ処理を施してもよく、または、ばね下加速度検出手段により検出されたばね下加速度のうち、ばね下加速度を用いて演算されるばね下速度の特定周波数領域の周波数成分を通過させ、ばね下加速度を用いて演算されるばね下速度の特定周波数領域以外の周波数成分を大きく減衰させるバンドパスフィルタ処理を施してもよい。また、ばね下制御出力演算部は、バンドパスフィルタ処理されて出力されるばね下加速度を用いて演算されるばね下速度と、所定値(所定のゲイン)とを乗算してばね下制御出力を演算してもよく、または、バンドパスフィルタ処理されて出力されるばね下速度と、所定値とを乗算してばね下制御出力を演算してもよい。また、要求アクチュエータ力演算部は、連結機構の伝達特性を表す伝達関数とばね下制御出力演算部により演算されたばね下制御出力とを乗算して要求アクチュエータ力を演算してもよい。また、慣性力演算部は、電動モータとばね下部との間に介在している慣性体が電動モータの回転駆動により移動することによって生じる慣性力を、ばね下加速度検出手段により検出されたばね下加速度と慣性体の質量とを乗算して演算してもよい。
これらの場合において、前記振動中心周波数は、前記フィルタ処理部がバンドパスフィルタ処理を施さない場合におけるサスペンション装置の制御系モデルの極が、振動域に移動したときの周波数と一致するように設定されるとよい。
上記した本発明によるサスペンション装置においては、フィルタ処理部を設けること、すなわち特定周波数領域を適宜設定してバンドパスフィルタ処理の伝達関数を適宜設定することによって、サスペンション装置の制御系の安定性を確保することができる。このように、サスペンション装置の制御系の安定性が確保されるため、フィルタ処理部に特定周波数領域のばね下加速度(または、ばね下速度)が入力された場合には、ばね下部が大きく振動することを防止でき、特定周波数領域における乗り心地の悪化を抑制すること可能である。
また、フィルタ処理部に、特定周波数領域以外の周波数におけるばね下加速度(または、ばね下速度)が入力された場合には、バンドパスフィルタ処理により、ばね下加速度(または、ばね下速度)が大きく減衰されることになり、ばね下制御出力演算部により演算されるばね下制御出力も小さくなる。このため、この場合には、ばね下制御出力を小さくした状態で振動抑制制御が実行され、ばね下部からばね上部への振動が伝達され難くなる。したがって、特定周波数領域以外における乗り心地の向上を図ることが可能である。加えて、特定周波数領域以外の領域においては、ばね下制御出力が小さくなるため、電動モータが出力すべき駆動力を抑えることができ、消費電力を低減することが可能である。
また、本発明によるサスペンション装置においては、要求アクチュエータ力演算部が、連結機構の伝達特性を表す伝達関数と、ばね下制御出力演算部により演算されたばね下制御出力(ばね下部に作用させる力であるばね下作用力)とを用いて、電動モータが出力すべき要求アクチュエータ力を演算する。そして、目標アクチュエータ力決定部は、この要求アクチュエータ力を用いて最終的に目標アクチュエータ力を決定するため、決定された目標アクチュエータ力は連結機構の伝達特性を考慮した値となる。したがって、目標アクチュエータ力を適切に決定することができ、目標アクチュエータ力が伝達するときの時間的な遅れを防止することが可能である。
また、慣性力演算部は、電動モータとばね下部との間に介在している慣性体が電動モータの回転駆動により移動することによって生じる慣性力を、ばね下加速度検出手段により検出されたばね下加速度を用いて(具体的には、慣性体の慣性質量と検出されたばね下加速度とを用いて)演算する。そして、目標アクチュエータ力決定部は、この慣性力と上記した要求アクチュエータ力とを用いて目標アクチュエータ力を決定するため、目標アクチュエータ力を更に適切に決定することが可能である。したがって、サスペンション装置の内部慣性による影響を補償した振動抑制制御を実行することができ、乗り心地の向上を図ることが可能である。
また、本発明の実施に際して、前記フィルタ処理部は、二次系の多項式を分母に有する伝達関数を用いて、バンドパスフィルタ処理を施すとよい。この場合には、フィルタ処理部が、三次系以上の多項式を分母に有する伝達関数を用いてバンドパスフィルタ処理を施す場合に比して、演算速度を大きく(演算負荷を小さく)することができるとともに、フィルタ処理部を安価に構成することが可能である。
また、本発明の実施に際して、前記ばね上部のばね上加速度を検出するばね上加速度検出手段が設けられ、前記目標アクチュエータ力決定部は、前記ばね上加速度検出手段により検出されたばね上加速度を用いて前記ばね上部に作用させるばね上制御出力を演算するばね上制御出力演算部を備え、前記要求アクチュエータ力と前記慣性力と前記ばね上制御出力により演算されたばね上制御出力とを用いて、前記目標アクチュエータ力を決定するとよい。この場合には、ばね上部の振動をより適切に抑制することが可能である。
本発明の実施形態に係るサスペンション装置のシステム構成図である。 図1のサスペンション本体の概略構成を示す断面図である。 図1の電動モータと電源装置とサスペンション制御装置の関係を示した図である。 目標アクチュエータ力決定部の機能ブロック図である。 図4の目標アクチュエータ力決定部の各処理部を伝達関数で表した図である。 図1のサスペンション装置をモデル化した図である。 路面入力変位に対するばね上部変位の周波数に対するゲイン線図である。 ばね下加速度の周波数に対するゲイン線図である。 ばね上加速度の周波数に対するゲイン線図である。 ばね下制御出力を変化させた場合の極配置図である。 ばね上部および車輪が変位する場合におけるサスペンション装置をモデル化した図である。 慣性項ゲインを変化させた場合の極配置図である。 第2実施形態における目標アクチュエータ力決定部の機能ブロック図である。
a.第1実施形態
以下、本発明の各実施形態に係るサスペンション装置について、図面を用いて詳細に説明する。図1は、第1実施形態に係るサスペンション装置のシステム構成を概略的に示している。このサスペンション装置は、図1に示すように、各車輪WFL,WFR,WRL,WRRと車体Bとの間にそれぞれ設けられる4組のサスペンション本体10FL,10FR,10RL,10RRを備えている。なお、各サスペンション本体10FL,10FR,10RL,10RRおよび各車輪WFL,WFR,WRL,WRRについては、その構成が同一であるため、以下の説明においては、単にサスペンション本体10および車輪Wともいう。
サスペンション本体10は、図2に示すように、ロアアームLAとマウント部材HAとの間に設けられている。このサスペンション本体10は、電磁的に制御されてショックアブソーバとして機能する電磁アクチュエータ20と、路面から車輪Wを介して車体Bに伝達される振動を吸収するばね装置30と、電磁アクチュエータ20とロアアームLAとを連結する連結機構40と、電磁アクチュエータ20の作動を制御するサスペンション制御装置50(図3参照)とを備えている。ここで、車輪Wに連結されたナックルや、一端がナックルに連結されたロアアームLAなどが、ばね下部SDに相当する。また、車体Bや、車体Bを支持するマウント部材HAなどが、ばね上部SUに相当する。なお、マウント部材HAには、取り付け部材11がアッパーサポート部材12を介して組付けられている。
電磁アクチュエータ20は、図2に示したように、同軸的に配置されているアウタチューブ21、インナチューブ22およびボールねじ機構23を備えている。アウタチューブ21は、上下方向(軸方向)に延びていて、上端にて取り付け部材11の下面に固定されている。インナチューブ22は、アウタチューブ21内に配置されていて、ボールねじ機構23によりアウタチューブ21に対して上下方向に相対移動可能である。ボールねじ機構23は、上下方向に延びているボールねじ24と、ボールねじ24に組付けられているボールねじナット25と、ボールねじ24とボールねじナット25の間に介装されているボール26とを有している。
ボールねじ24は、アウタチューブ21にベアリングBrを介して回転可能に支持されていて、後述する電動モータ27の回転動作により回転可能である。また、ボールねじ24は、ボールねじナット25に形成された雌ねじ溝25aにボール26を介して螺合する雄ねじ溝24aを有している。ボールねじナット25は、図示しない回り止め機構(例えば、スプライン嵌合)により、アウタチューブ21に対して回転不能かつ軸方向(上下方向)に移動可能に組付けられている。これにより、このボールねじ機構23においては、ボールねじ24の回転運動がボールねじナット25の軸方向の直線運動に変換され、逆に、ボールねじナット25の軸方向の直線運動がボールねじ23の回転運動に変換される。
また、電磁アクチュエータ20は、図2に示したように、取り付け部材11の上面に固定されている電動モータ27と、インナチューブ22の下端に組付けられている移動プレート28とを備えている。電動モータ27は、車両の各輪位置にてばね上部SUとばね下部SDとの間に介装されてばね上部SUとばね下部SDを接近または離間させる力であるアクチュエータ力Fを出力するものである。また、電動モータ27は、サスペンション制御装置50により回転駆動を制御されるモータシャフト(図示省略)を有している。このモータシャフトは、ボールねじ24と一体回転可能に連結されている。移動プレート28は、連結機構40を組付けるためのものであり、ボールねじナット25およびインナチューブ22と共に、軸方向(上下方向)に移動可能である。
ばね装置30は、図2に示したように、下端部にて連結機構40に組付けられているカバーチューブ31と、このカバーチューブ31のばね受け31aと取り付け部材11の間に介装されているコイルばね32とを備えている。カバーチューブ31は、後述する連結機構40のシリンダ43に固定されていて、アウタチューブ21に対して軸方向に相対移動可能である。コイルばね32は、圧縮状態で位置決めされていて、取り付け部材11およびカバーチューブ31、すなわち、マウント部材HAおよびロアアームLAに付勢力を付与している。
連結機構40は、図2に示したように、移動プレート28の下面とカバーチューブ31の下壁の間に介装されている支持スプリング41と、移動プレート28の軸方向移動に対して減衰力を付与するダンパ装置42とを備えている。支持スプリング41は、車両が荒れた路面などを走行する場合に生じる周波数の高い振動(例えば10Hzを超えるような高周波振動)を吸収するために設けられるものであり、ロアアームLA(ばね下部SD)と電磁アクチュエータ20を弾性的に連結している。ダンパ装置42は、周知の液密式のダンパ装置であり、ロアアームLAに固定されている円筒状のシリンダ43と、このシリンダ内43で軸方向(上下方向)に摺動可能に組付けられているピストン44と、このピストン44に組付けられているピストンロッド45とを備えている。
シリンダ43は、ピストン44により上室43aと下室43bに区画されていて、上室43aおよび下室43b内に流体(例えば、油)が封入されている。ピストン44は、ピストンバルブ44aを有していて、ピストンバルブ44aを通って流体が上室43aと下室43b間を移動することにより、ピストン44に所定の抵抗力が付与される。ピストンロッド45は、シリンダ43の上壁から上方へ延びていて、上端にて移動プレート28と連結している。
上記のように構成されるサスペンション本体10においては、車両の走行に伴ってばね上部SU(マウント部材HA)とばね下部SD(ロアアームLA)とが接近・離間する場合、電磁アクチュエータ20のアウタチューブ21とインナチューブ22が、軸方向に相対移動する。これにより、ボールねじナット25がボールねじ24に対して軸方向に相対移動するとともに、ボールねじ24がボールねじナット25に対して回転する。一方、電動モータ27が回転駆動する場合、電動モータ27が発生する回転トルクにより、ボールねじ24がボールねじナット25に対して回転するとともに、ボールねじナット25がボールねじ24に対して軸方向に相対移動する。これにより、アウタチューブ21とインナチューブ22が軸方向に相対移動し、ばね上部SUとばね下部SDが軸方向に相対移動する。
このため、電磁アクチュエータ20は、電動モータ27が発生する回転トルクを変化させることによって、ばね上部SUとばね下部SDとの相対動作(ストローク動作)に対して、そのストローク動作を阻止する抵抗力を発生させることができる。したがって、電磁アクチュエータ20は、この抵抗力をばね上部SUとばね下部SDとのストローク動作に対する減衰力として作用させて、ショックアブソーバとして機能する。すなわち、電磁アクチュエータ20は、電動モータ27が出力するアクチュエータ力Fによって、上記したストローク動作に対して減衰力を付与する機能を有している。また、一方で、電磁アクチュエータ20は、アクチュエータ力Fを上記したストローク動作に対する推進力として付与する機能をも有している。
これらの機能により、電磁アクチュエータ20は、ばね上部SUの動作およびばね下部SDの動作に対して、ばね上部SUの速度(上下方向の絶対速度)と、ばね下部SDの速度(上下方向の絶対速度)に比例する減衰力または駆動力を作用させて、所謂、スカイフックダンパ理論に基づく制御、擬似的なグランドフック理論に基づく制御を実行することが可能である。
また、電磁アクチュエータ20は、上記したストローク動作に対する抵抗力(減衰力)および推進力(駆動力)を付与することによって、ばね上部SUとばね下部SDとの距離を積極的に変更し、ばね上部SU(車体B)の上下方向における振動挙動(ヒーブ挙動)、旋回時におけるばね上部SUのロール挙動、加減速時におけるばね上部SUのピッチ挙動などを効果的に抑制することも可能である。
また、上記のように構成されるサスペンション本体10においては、電動モータ27の回転駆動により、電動モータ27とばね下部SDとの間に介在している慣性体、すなわち、インナチューブ22、ボールねじナット25、移動プレート28、カバーチューブ31、支持スプリング41およびダンパ装置42が、軸方向(上下方向)に移動する。このため、電動モータ27の回転駆動により、上記した慣性体に慣性力Fが発生することとなる。
次に、各サスペンション本体10の作動を制御するサスペンション制御装置50について、図3を用いて説明する。サスペンション制御装置50は、電磁アクチュエータ20(より詳しくは電動モータ27)を駆動制御する電動モータ制御装置51を備えている。電動モータ制御装置51は、CPU、ROM、RAM、タイマなどからなるマイクロコンピュータを主要構成部品とし、各種プログラムを実行することにより、電動モータ27の回転駆動を制御する。
また、サスペンション制御装置50は、ばね上加速度検出手段としてのばね上加速度センサ52と、ばね下加速度検出手段としてのばね下加速度センサ53とを備えている。ばね上加速度センサ52は、各輪位置に対応して設けられていて(図1参照)、各輪位置におけるばね上部SUの上下方向の加速度(以下、ばね上加速度gという)を検出し、ばね上加速度gを表す信号を電動モータ制御装置51に出力する。ばね下加速度センサ53は、各輪位置に対応して設けられていて(図1参照)、各輪位置におけるばね下部SDの上下方向の加速度(以下、ばね下加速度gという)を検出し、ばね下加速度gを表す信号を電動モータ制御装置51に出力する。なお、ばね下加速度センサ53を設けずに、ばね上加速度センサ52により検出されたばね上加速度gの値からオブザーバ(図示省略)を用いてばね下加速度gを推定してもよい。
また、サスペンション制御装置50は、図3に示したように、各電動モータ27を駆動させる駆動回路54を備えている。駆動回路54は、例えば、スイッチング素子(図示省略)を有していて、このスイッチング素子は、電動モータ制御装置51からの信号により、オン・オフ制御される。したがって、この駆動回路54においては、スイッチング素子のパルス幅を制御(PWM制御)することにより、電源装置BTから電動モータ27への通電量が制御される。なお、電源装置BT(バッテリ)は、駆動回路54を介して電動モータ27に接続されている。
ここで、電動モータ制御装置51の制御処理について説明する。電動モータ制御装置51は、各電磁アクチュエータ20の電動モータ27を独立して制御することが可能である。これら各電磁アクチュエータ20においては、電動モータ27が出力するアクチュエータ力Fが独立して制御されて、車体Bおよび車輪Wの振動、つまり、ばね上部SUの振動およびばね下部SDの振動を減衰するための制御(振動抑制制御)が実行される。具体的には、電動モータ制御装置51は、ばね上加速度センサ52から出力されたばね上加速度gと、ばね下加速度センサ53から出力されたばね下加速度gとに基づいて、電動モータ27が出力すべき目標アクチュエータ力Fを決定する。そして、電動モータ制御装置51は、電動モータ27が目標アクチュエータ力Fを出力するように制御することで、ばね上部SUの振動およびばね下部SDの振動を減衰させる。
次に、振動抑制制御について具体的に説明する。電動モータ制御装置51は、図4に示すように、電動モータ27が出力すべき目標アクチュエータ力Fを決定する目標アクチュエータ力決定部60を備えている。この目標アクチュエータ力決定部60は、ばね下加速度gに基づいてばね下目標アクチュエータ力FlPを決定するばね下目標アクチュエータ力決定部70と、ばね上加速度gに基づいてばね上目標アクチュエータ力F2Pを決定するばね上目標アクチュエータ力決定部80とで構成されている。
続いて、ばね下目標アクチュエータ力決定部70を構成する各演算部について説明する。ばね下目標アクチュエータ力決定部70は、図4に示すように、フィルタ処理部71と、ばね下速度演算部72と、ばね下制御出力演算部73と、要求アクチュエータ力演算部74と、慣性力演算部75とを有している。
フィルタ処理部71は、ばね下加速度センサ53により検出されたばね下加速度gを表す信号(以下の説明において、ばね下加速度g等の各値を表す信号を簡略して、各値のみで表す)のうち、下限側周波数ω(Hz)から上限側周波数ω(Hz)までの通過帯域Qの周波数成分を通過させ、通過帯域Q以外の周波数成分を大きく減衰(ほぼ遮断)するバンドパスフィルタ処理を施す。具体的には、フィルタ処理部71は、通過帯域Qのばね下加速度gを、大きさ(振幅)が減衰されることなくほぼそのままの状態で、ばね下速度演算部72に出力する。一方、フィルタ処理部71は、通過帯域Q以外のばね下加速度gを、大きさ(振幅)が減衰されて極めて小さい状態で、ばね下速度演算部72に出力する。通過帯域Qを決定する下限側周波数ω(Hz)と上限側周波数ω(Hz)は、後述するように、ばね下部SDの振動挙動を表す振動中心周波数ωに基づいて予め設定される値である。このフィルタ処理部71のバンドパスフィルタ処理における伝達関数(図5参照)は、次式(1)表される。
Figure 2011084164
ここで、上記した式(1)におけるsは、ラプラス演算子である。また、上記した式(1)に従って、フィルタ処理部71から出力されたばね下加速度をglBと表す。なお、フィルタ処理部71の効果については、後述にて詳しく説明する。
ばね下速度演算部72は、フィルタ処理部71から入力したばね下加速度glBを用いて、ばね下速度vlBを演算する。具体的には、ばね下速度演算部72は、ばね下加速度glBを積分して、ばね下速度vlBを演算し、ばね下制御出力演算部73に出力する。このため、図5に示したように、ばね下速度演算部72における伝達関数は、1/sで表される。
ばね下制御出力演算部73は、ばね下速度演算部72から入力したばね下速度vlBを用いて、ばね下制御出力FlBを演算する。具体的に、ばね下制御出力演算部73は、予め実験的に設定されたばね下制御ゲインG(スカイフックダンパ理論に基づくばね下スカイフックゲイン)とばね下速度vlBとを乗算して、ばね下制御出力FlBを演算し、このばね下制御出力FlBを要求アクチュエータ力演算部74に出力する。このため、図5に示したように、ばね下制御出力演算部73における伝達関数は、Gで表される。なお、ばね下制御出力F1Bは、電動モータ27のアクチュエータ力Fによってばね下部SDに作用させる力であるばね下作用力Fに対応していて、言い換えると、ばね下部SDに実際に作用させるために決定される値である。
ここで、電動モータ27が出力するアクチュエータ力Fとばね下部SDに実際に作用するばね下作用力Fとの伝達特性(アクチュエータ力Fが出力されるときの連結機構40の伝達特性)、および、電動モータ27の回転駆動により上述した慣性体(インナチューブ22、ボールねじナット25、移動プレート28、カバーチューブ31、支持スプリング41およびダンパ装置42)に発生する慣性力Fについて説明する。図6は、サスペンション装置をモデル化した図である。まず、時間を表すパラメータをtとし、上述した慣性体が有する質量(慣性質量)をmとする。また、コイルばね32のばね定数をKと表し、支持スプリング41のばね定数をKと表し、ダンパ装置42の減衰係数をCと表す。そして、慣性質量mの路面に対する上下方向の変位量をzとし、ばね下部SDの路面に対する上下方向の変位量をzとする。さらに、変位量z、zの時間tに対する一階微分をz´、z´で表し、変位量z、zの時間tに対する二階微分をz"、z"で表す。この場合において、慣性質量mである慣性体の運動を表す運動方程式は、次式(2)で表される。
Figure 2011084164
また、ばね下部SDに実際に作用するばね下作用力Fは、次式(3)で表される。
Figure 2011084164
そして、上記した式(2)および式(3)を、ラプラス演算子であるsをパラメータとしてラプラス変換すると、式(4)および式(5)が得られる。
Figure 2011084164
Figure 2011084164
これにより、式(4)と式(5)を用いて、Z(s)を消去し、出力側をアクチュエータ力F(s)とし、入力側をばね下作用力F(s)として整理すると、式(6)が得られる。
Figure 2011084164
上記した式(6)において、右辺の第1項は、アクチュエータ力Fが出力されるときの連結機構40の伝達特性を表す伝達関数と、ばね下作用力F(s)(ばね下制御出力)を乗算したものである。そして、式(6)の右辺の第1項は、電動モータ27が出力すべき目標アクチュエータ力Fの一部であるアクチュエータ力であり、このアクチュエータ力(式(6)の右辺第1項)を要求アクチュエータ力Fとする。また、上記した式(6)において、右辺の第2項は、上述した慣性体が電動モータ27の回転駆動により軸方向(上下方向)移動することによって生じる慣性力Fである。
上述した式(6)から明らかなように、要求アクチュエータ力演算部74は、ばね下制御出力演算部73から入力したばね下制御出力FlBと、連結機構40の伝達特性を表す伝達関数(ms+Cs+K)/(Cs+K)とを乗算して、電動モータ27が出力すべき要求アクチュエータ力Fを演算する。このため、図5に示したように、ばね下制御出力演算部73における伝達関数は、(ms+Cs+K)/(Cs+K)で表される。
一方、慣性力演算部75は、ばね下加速度センサ53により検出されたばね下加速度gを用いて、慣性体に生じる慣性力Fを演算する。具体的には、慣性力演算部75は、「−1」と慣性体の慣性質量mとばね下加速度センサ53により検出されたばね下加速度gとを乗算して、慣性体に生じる慣性力Fを演算する。このため、図5に示したように、慣性力演算部75における伝達関数は、−mで表される。なお、慣性体に生じる慣性力Fは、上述したように、ばね下部SDが上下方向に変位するモデル(図6参照)を想定した場合に生じるものであり、ばね下部SDが上下方向に変位しないモデルを想定した場合には生じないものである。
そして、ばね下目標アクチュエータ力決定部70は、図4に示したように、要求アクチュエータ力演算部74により演算された要求アクチュエータ力Fと、慣性力演算部75により演算された慣性力Fを合算して、ばね下目標アクチュエータ力F1Pを決定する。次に、ばね上目標アクチュエータ力決定部80を構成する各演算部について説明する。ばね上目標アクチュエータ力決定部80は、図4に示したように、ばね上速度演算部81とばね上制御出力演算部82とを有している。
ばね上速度演算部81は、ばね上加速度センサ52により検出されたばね上加速度gを用いて、ばね上速度vを演算する。具体的には、ばね上速度演算部81は、ばね上加速度gを積分して、ばね上速度vを演算し、ばね上制御出力演算部82に出力する。このため、図5に示したように、ばね上速度演算部81における伝達関数は、1/sで表される。
ばね上制御出力演算部82は、ばね上速度演算部81から入力したばね上速度vを用いて、ばね上制御出力Fを演算するためのものである。具体的に、ばね上制御出力演算部82は、予め実験的に設定されたばね上制御ゲインG(スカイフックダンパ理論に基づくばね上スカイフックゲイン)とばね上速度vとを乗算して、ばね上制御出力Fを演算する。このため、図5に示したように、ばね上制御出力演算部82における伝達関数は、Gで表される。なお、ばね上制御出力Fは、電動モータ27のアクチュエータ力Fによってばね上部SUに作用させる力であるばね上作用力に対応していて、言い換えると、ばね下部SUに実際に作用させるために決定される値である。ここで、ばね上目標アクチュエータ力決定部80は、ばね上制御出力演算部82により演算されたばね上制御出力Fを、そのままばね上目標アクチュエータ力F2Pとして決定する。
そして、目標アクチュエータ力決定部60は、ばね下目標アクチュエータ力決定部70により決定されたばね下目標アクチュエータ力FlPと、ばね上目標アクチュエータ力決定部80により決定されたばね上目標アクチュエータ力F2Pとを合算して、目標アクチュエータ力Fを決定する。こうして、電動モータ制御装置51は、目標アクチュエータ力決定部60により決定された目標アクチュエータ力Fに基づいて、電動モータ27の回転駆動を制御する。具体的には、電動モータ制御装置51は、決定された目標アクチュエータ力Fに対応する駆動電流が電動モータ27に通電するように、駆動回路54の作動を制御する。これにより、電動モータ27は、目標アクチュエータ力Fに相当するアクチュエータ力Fを出力する。
上記のように構成した第1実施形態の作用効果について説明する。この第1実施形態においては、連結機構40(支持スプリング41、ダンパ装置42)の伝達特性、および、上述した慣性体に生じる慣性力Fを考慮した振動抑制制御(以下、単に振動抑制制御という)が実行される。このため、電磁アクチュエータ20が連結機構40を介してばね下部SDに連結されたサスペンション装置であっても、電動モータ27の目標アクチュエータ力Fを逐次最適に決定することができ、車両の乗り心地、車両の操縦性、安定性等の向上を図ることができる。
より具体的に説明すると、要求アクチュエータ力演算部74は、アクチュエータ力Fが出力されたときの連結機構40の伝達特性を表す伝達関数(ms+Cs+K)/(Cs+K)と、ばね下制御出力演算部73により演算されたばね下制御出力F1Bとを乗算して、電動モータ27が出力すべき要求アクチュエータ力Fを演算する。そして、目標アクチュエータ力決定部60は、この要求アクチュエータ力Fを用いて最終的に目標アクチュエータ力Fを決定するため、決定された目標アクチュエータ力Fは連結機構40の伝達特性を考慮した値となる。したがって、電磁アクチュエータ20(電動モータ27)が連結機構40すなわち支持スプリング41およびダンパ装置42等を介してばね下部SDに連結されている場合であっても、目標アクチュエータ力Fを適切に決定することができ、目標アクチュエータ力Fが伝達するときの時間的な遅れを防止することが可能である。
また、慣性力演算部75は、電動モータ27とばね下部SDの間に介在している慣性体が電動モータ27の回転駆動により軸方向移動することによって生じる慣性力Fを演算する。そして、目標アクチュエータ力決定部60は、慣性力演算部75により演算された慣性力Fと上記した要求アクチュエータ力Fとを用いて目標アクチュエータ力Fを決定するため、目標アクチュエータ力Fを更に適切に決定することが可能である。したがって、サスペンション装置の内部慣性による影響を補償した振動抑制制御を実行することができ、乗り心地の向上を図ることが可能である。
また、この第1実施形態においては、フィルタ処理部71が、通過帯域Qのばね下加速度gを、大きさ(振幅)がほぼそのままの状態で、ばね下速度演算部72に出力し、通過帯域Q以外のばね下加速度gを、大きさ(振幅)が極めて小さい状態で、ばね下速度演算部72に出力する。ここで、フィルタ処理部71の効果について、フィルタ処理部71を設けた場合とフィルタ処理部71を設けない場合とを比較することによって、説明する。
まず、ばね下目標アクチュエータ力決定部70において、フィルタ処理部71を設けない場合として、図4に示したフィルタ処理部71がバンドパフフィルタ処理を施さない場合ついて説明する。この場合には、図4に示したフィルタ処理部71が省略されるため、全周波数領域におけるばね下加速度gが、ばね下速度演算部72に入力される。そして、ばね下速度演算部72は、全周波数領域におけるばね下加速度gに基づいてばね下速度vを演算し、ばね下制御出力演算部73は、演算されたばね下速度vとばね下制御ゲインGを乗算することにより、ばね下制御出力Fを演算する。なお、フィルタ処理部71を設けない場合のばね下制御出力をFで表し、フィルタ処理部71を設けない場合のばね下速度をvで表す。
ところで、ばね下制御出力Fは、一般的に、ばね上部SUの共振周波数とばね下部SDの共振周波数の間の周波数領域における乗り心地を向上させるため、小さくしたいという要求がある。すなわち、ばね下制御出力Fが小さいときには、ばね下部SDが上下方向に動き易く(ソフトに)なり、ばね下部SDの振動がばね上部SUに伝達され難くなる。よって、このとき、乗員は一般的に乗り心地が良いと感じる。ここで、フィルタ処理部71を設けない場合において、ばね下制御出力Fが小さい(ばね下制御ゲインGが小さい)ときの乗り心地と、ばね下制御出力Fが大きい(ばね下制御ゲインGが大きい)ときの乗り心地を、図7、図8および図9を用いて説明する。
図7は、振動抑制制御が実行された場合における路面入力変位(路面の上下方向の変位)に対するばね上部変位(ばね上部SUの上下方向の変位)のゲイン線図を示す。図7において、ばね下制御出力Fが小さい場合の周波数特性が実線で示されていて、ばね下制御出力Fが大きい場合の周波数特性が破線で示されている。また、図7において、ばね下制御出力Fが小さい場合と大きい場合の中間の大きさである場合の周波数特性が、一点鎖線で示されている。図7から明らかなように、10Hz以下の周波数領域においては、ばね下制御出力Fが小さい場合における路面入力変位に対するばね上部変位(マグニチュード(dB))が、ばね下制御出力Fが大きい場合における路面入力変位に対するばね上部変位に比して、小さくなっている。
このため、略10Hz以下の周波数領域においては、ばね下制御出力Fを小さくすることにより、ばね上部SUへの振動の伝達が小さくなり、乗り心地が向上する。しかし、略10Hzから略12Hzまでの周波数領域(以下、特定周波数領域Q1という)においては、ばね下制御出力Fが小さい場合における路面入力変位に対するばね上部変位が、ばね下制御出力Fが大きい場合における路面入力変位に対するばね上部変位に比して、極めて大きくなっている。このため、特定周波数領域Q1においては、ばね下制御出力Fを小さくすることにより、ばね上SUへの振動の伝達が極めて大きくなり、却って乗り心地が悪化する。
また、図8は、振動抑制制御が実行された場合におけるばね下加速度gのゲイン線図を示す。図8において、ばね下制御出力Fが小さい場合の周波数特性が破線で示されていて、ばね下制御出力Fが大きい場合の周波数特性が一点鎖線で示されている。図8から明らかなように、特定周波数領域Q1においては、ばね下制御出力Fが小さい場合におけるばね下加速度g(ゲイン(dB))が、ばね下制御出力Fが大きい場合におけるばね下加速度gに比して、極めて大きくなっている。このため、特定周波数領域Q1においては、ばね下制御出力Fを小さくすると、ばね下加速度gの大きさが大きくなり、いわゆる、ばね下部SDが暴れることになる。
また、図9は、振動抑制制御が実行された場合におけるばね上加速度gのゲイン線図を示す。図9においては、ばね下制御出力Fが小さい場合の周波数特性が破線で示されていて、ばね下制御出力Fが大きい場合の周波数特性が一点鎖線で示されている。図9から明らかなように、略10Hz以下の周波数領域および略12Hz以上の周波数領域(以下、特定周波数領域Q1以外という)においては、ばね下制御出力Fが小さい場合におけるばね上加速度g(ゲイン(dB))が、ばね下制御出力Fが大きい場合におけるばね上加速度gに比して、小さくなっている。このため、特定周波数領域Q1以外においては、ばね下制御出力Fを小さくすることにより、ばね上部SUの振動の大きさが小さくなり、乗り心地が向上する。しかし、特定周波数領域Q1においては、ばね下制御出力Fが小さい場合におけるばね上加速度gが、ばね下制御出力Fが大きい場合におけるばね上加速度gに比して、極めて大きくなっている。このため、特定周波数領域Q1においては、ばね下制御出力Fを小さくすることにより、ばね上部SUの振動の大きさが極めて大きくなり、却って乗り心地が悪化する。
上述した説明から明らかなように、フィルタ処理部71を設けない場合(フィルタ処理部71がバンドパス処理を施さない場合)の振動抑制制御において、特定周波数領域Q1以外においては、ばね下制御出力Fを下げることにより、乗り心地が向上する。しかし、特定周波数領域Q1においては、ばね下制御出力Fを下げることにより、却って乗り心地が悪化する。そこで、発明者等は、ばね下制御出力Fの大きさと、振動抑制制御における制御系の安定性との関係について、解析を行った。
図10は、車輪変位(車輪Wの上下方向の変位)に対するばね下部変位(ばね下部SDの上下方向の変位)の伝達関数の極配置を示す。図10においては、フィルタ処理部71が設けられていない場合に、ばね下制御出力Fが大きいときの極が「三角」で示され、ばね下制御出力Fが小さいときの極が「バツ」で示されている。また、図10においては、フィルタ処理部71が設けられていない場合に、ばね下制御出力Fが大きい場合と小さい場合の中間の大きさであるときの極が「四角」で示されている。図10から明らかなように、ばね下制御出力Fが大きい状態では、全ての極が安定域(虚軸より左側の領域)に配置されている。しかし、ばね下制御出力Fを小さくすると、極の一つ(一対の極)が振動域(虚軸上)に移動し、振動抑制制御における制御系の安定性が損なわれる。このため、ばね下制御出力Fを小さくすると、特定周波数領域Q1においてばね下部SDが大きく振動することになる。言い換えると、特定周波数領域Q1においてばね下部SDが大きく振動することは、ばね下制御出力Fを小さくすることによって、制御系の安定性が損なわれるためである。
以上要するに、フィルタ処理部71を設けない場合において、ばね下制御出力Fが大きい状態では、制御系は安定する。しかし、このときには、ばね上部SUへの振動の伝達が大きくなって、乗り心地が悪化する。一方、ばね下制御出力Fが小さい状態では、特定周波数領域Q1以外の領域において乗り心地が向上する。しかし、このときには、制御系が不安定となり、特定周波数領域Q1においてばね下部SDの振動が極めて大きくなる。したがって、フィルタ処理部71を設けない場合(フィルタ処理部71がバンドパスフィルタ処理を施さない場合)には、ばね下制御出力Fを下げることによって乗り心地の向上を図ることと、制御系を安定化させることによって特定周波数領域Q1においてばね下部SDの振動低減を図ることの両立が難しい。
次に、フィルタ処理部71を設けた場合について説明する。フィルタ処理部71は、下限側周波数ω(Hz)から上限側周波数ω(Hz)までの周波数である通過帯域Qを、例えば上述した特定周波数領域Q1に対応させて設定したものである。これにより、特定周波数領域Q1以外のばね下加速度gが、図4に示したフィルタ処理部71に入力された場合には、ばね下加速度g1Bの大きさが極めて小さい状態でばね下速度演算部72に入力される。このため、このときには、ばね下速度演算部72が演算するばね下速度v1Bの大きさも、極めて小さくなり、ばね下制御出力演算部73が演算するばね下制御出力F1Bの大きさも、極めて小さくなる。したがって、特定周波数領域Q1以外のばね下加速度gがフィルタ処理部71に入力された場合には、ばね下制御出力F1Bを小さくすることができる。
一方、特定周波数領域Q1におけるばね下加速度gがフィルタ処理部71に入力された場合には、ばね下加速度g1Bは、ほぼそのままの大きさでばね下速度演算部72に入力される。このため、このときには、図4に示したフィルタ処理部71が設けられていない場合の振動抑制制御と同様の振動抑制制御となる。ここで、フィルタ処理部71を設けて振動抑制制御を実施した場合の乗り心地について、図8、図9および図10を用いて説明する。
図8において、フィルタ処理部71を設けた場合におけるばね下加速度gの周波数特性が実線で示されている。また、図9において、フィルタ処理部71を設けた場合におけるばね上加速度gの周波数特性が実線で示されている。更に、図10において、フィルタ処理部71を設けた場合における車輪変位に対するばね下部変位の伝達関数の極が、「丸」で示されている。
まず、図10から明らかなように、フィルタ処理部71を設けること(式(1)で示したバンドパスフィルタ処理の伝達関数を適宜設定すること)によって、全ての極を安定域に配置することができ、制御系を安定化させることが可能である。これにより、図8から明らかなように、特定周波数領域Q1において、実線で示されているばね下加速度gを、破線(フィルタ処理部71が設けられていない場合であり、かつ、ばね下制御出力Fが小さい場合)で示されているばね下加速度gに比して、小さくすることが可能である。すなわち、特定周波数領域Q1において、ばね下部SDが暴れることを抑制することが可能である。
また、図9から明らかなように、特定周波数領域Q1において、実線で示されているばね上加速度gを、破線で示されているばね上加速度gに比して、小さくすることができる。すなわち、特定周波数領域Q1において、ばね下部SDからばね上部SUへの振動の伝達を抑えることができ、乗り心地の向上を図ることが可能である。なお、図9では、特定周波数領域Q1において、実線で示されているばね上加速度gと、一点鎖線(フィルタ処理部71が設けられていない場合であり、かつ、ばね下制御出力Fが大きい場合)で示されているばね上加速度gが、ほぼ同じになっている。
更に、特定周波数領域Q1以外の領域においては、フィルタ処理部71によりばね下制御出力F1Bを小さくできるため、図9から明らかなように、実線で示されているばね上加速度gを、一点鎖線で示されているばね上加速度gに比して、小さくすることができ、乗り心地の向上を図ることが可能である。そして、図9では、特定周波数領域Q1以外の領域において、実線で示されているばね上加速度gが、破線で示されているばね上加速度gとほぼ同じになっている。このため、特定周波数領域Q1以外の領域においては、フィルタ処理部71を設けない場合であり、かつ、ばね下制御出力Fが小さい場合の振動抑制制御と同様の効果(乗り心地)を維持することが可能である。
以上要するに、フィルタ処理部71を設けた場合には、制御系を安定させることができるとともに、特定周波数領域Q1以外におけるばね下制御出力F1Bを下げることができる。したがって、ばね下制御出力F1Bを下げることによって特定周波数領域Q1以外における乗り心地の向上と、制御系を安定させることによって特定周波数領域Q1におけるばね下部SDの振動低減との両立を図ることが可能である。加えて、特定周波数領域Q1以外においては、ばね下制御出力F1Bが小さくなるため、電動モータ27が出力すべき駆動力を抑えることができ、消費電力を低減することが可能である。
また、この第1実施形態においては、フィルタ処理部71は、上述した式(1)で示したように、二次系(sの次数が二次)の多項式を分母に有する伝達関数を用いて、バンドパスフィルタ処理を施す。このため、フィルタ処理部が、三次系以上の多項式を分母に有する伝達関数を用いてバンドパスフィルタ処理を施す場合に比して、演算速度を大きく(演算負荷を小さく)することができるとともに、フィルタ処理部を安価に構成することが可能である。
ここで、通過帯域Qとして設定される特定周波数領域Q1、すなわち、下限側周波数ω(Hz)から上限側周波数ω(Hz)までの特定周波数領域Q1の設定方法について説明しておく。図11は、サスペンション装置をモデル化した図であり、図6と同様である。図11においては、車輪Wの路面に対する上下方向の変位量をzとし、車輪Wのばね定数をKとする。また、ばね下部SDの質量をmとし、ばね上部SUの質量をmとし、ばね上部SUの路面に対する上下方向の変位量をzとする。
この場合において、慣性質量mである慣性体の運動を表す運動方程式は、次式(7)で表される。
Figure 2011084164
また、質量mであるばね下部SDの運動を表す運動方程式は、次式(8)で表される。
Figure 2011084164
更に、質量mであるばね上部SUの運動を表す運動方程式は、次式(9)で表される。
Figure 2011084164
なお、変位量zの時間tに対する一階微分をz´で表し、変位量zの時間tに対する二階微分をz"で表す。
そして、アクチュエータ力Fを、ばね下制御出力Fとばね上制御出力Fの和とする。また、ばね下制御出力Fを、ばね下制御ゲインGとばね下速度z´の積(G×z´)と、慣性項ゲインGiと慣性質量mの慣性力の積(Gi×m×z")の和とする。また、ばね上制御出力Fを、「−1」とばね上制御ゲインGとばね上速度z´の積(−G×z´)とする。これにより、アクチュエータ力Fは、次式(10)で表される。
Figure 2011084164
上記した式(10)を式(7)(8)(9)に代入して整理すると、式(11)(12)(13)が得られる。
Figure 2011084164
Figure 2011084164
Figure 2011084164
ここで、上記した式(11)(12)(13)について、x=z,x=z´,x=z,x=z´,x=z,x=z´と置く。そして、式(11)(12)(13)を、以下に示すように、状態空間表現(状態方程式と出力方程式を用いた表現)である式(14)で表す。なお、入力uは、車輪Wの上下方向の変位量zであり、出力yは、ばね下部SDの上下方向の変位量zである。
Figure 2011084164
そして、車輪Wの上下方向の変位量Z(s)に対する、ばね下部SDの上下方向の変位量Z(s)の伝達関数Z(s)/Zは、次式(15)で表される。
Figure 2011084164
これにより、伝達関数Z(s)/Zに各種設計定数(m,m,m,K,K,K,C)と、設定したい適合定数(G,G,Gi)を代入して、極配置を解析する。
ここで、慣性項ゲインGiを0.0から1.0まで変化させるとともに、慣性項ゲインGi以外の定数を固定させた場合に、伝達関数Z(s)/Zの極配置を図12に示す。図12では、慣性項ゲインGiが大きくなるにつれて、「丸」で示した極および「二重丸」で示した極(フィルタ処理部71がバンドパスフィルタ処理を施さない場合のサスペンション装置の制御系モデルの極)が、矢印で示したように移動する。そして、「二重丸」で示した極は、慣性項ゲインGiが1.0のときに振動域に移動している。このため、振動域に移動している「二重丸」で示した極が、制御系を不安定にする原因、すなわち、上述した特定周波数領域Q1においてばね下部SDが振動する原因である。したがって、慣性項ゲインGiが1.0のときに「二重丸」で示した極の周波数を、振動中心周波数ω(Hz)とする。なお、図12では、振動中心周波数ω(Hz)は、略11(=θ/2π)となっていて、この振動中心周波数ωは、制御系モデルおよび各適合係数により、適宜定まるものである。また、振動中心周波数ωは、ばね下部SDの共振周波数(例えば略10Hz)近傍にあるものの、ばね下部SDの共振周波数と異なるものである。
上述したようにして、振動中心周波数ω(Hz)が定まると、下限側周波数ωと上限側周波数ωの平均の周波数、すなわち特定周波数領域Q1の中心の周波数が振動中心周波数ωとなるように、下限側周波数ωと上限側周波数ωを設定する。また、制御系の安定度を考慮して下限側周波数ωから上限側周波数ωまでの特定周波数領域Q1の幅を設定する。このようにして、下限側周波数ω(Hz)から上限側周波数ω(Hz)までの特定周波数領域Q1が設定される。
b.第2実施形態
上記した第1実施形態においては、目標アクチュエータ力決定部60を、ばね下目標アクチュエータ力FlPを決定するばね下目標アクチュエータ力決定部70と、ばね上目標アクチュエータ力F2Pを決定するばね上目標アクチュエータ力決定部80とで構成して実施した。しかしながら、図13に示す第2実施形態のように、目標アクチュエータ力決定部60を、ばね下目標アクチュエータ力FlPを決定するばね下目標アクチュエータ力決定部70のみで構成して実施することも可能である。この第2実施形態においては、図13に示したように、電動モータ27が出力すべき目標アクチュエータ力Fが、ばね下目標アクチュエータ力決定部70により決定されたばね下目標アクチュエータ力FlPとなる。
上記した第2実施形態においては、図13に示したように、電動モータ制御装置51に、ばね上目標アクチュエータ力決定部80が設けられていないこと以外の構成は、上記した第1実施形態と同様である。このため、対応する部位に同一符合を付してその説明を省略する。また、第2実施形態におけるばね下部SDに関する作用効果は、上記した第1実施形態におけるばね下部SDに関する作用効果と同様であるため、その説明を省略する。
本発明の実施にあたっては、上記した第1実施形態、および第2実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記した各実施形態においては、フィルタ処理部71がばね下加速度センサ53により検出されるばね下加速度gに対して、特定周波数領域Q1の周波数成分を通過させ、特定周波数領域Q1以外の周波数成分を大きく減衰(バンドパスフィルタ処理を)するようにして実施した。これに対して、ばね下速度演算部がばね下加速度センサにより検出されたばね下加速度(バンドパスフィルタ処理を施されていないばね下加速度)を積分してばね下速度を演算し、フィルタ処理部はこのばね下速度に対してバンドパスフィルタ処理を施すようにして実施してもよい。
また、上記した各実施形態においては、フィルタ処理部71が、二次系の多項式を分母に有する伝達関数を用いて、バンドパスフィルタ処理を施すようにして実施した。しかしながら、フィルタ処理部が、三次系以上の多項式を分母に有する伝達関数を用いて、バンドパスフィルタ処理を施すようにして実施してもよい。この場合には、フィルタ処理部が、二次系の多項式を分母に有する伝達関数を用いてバンドパスフィルタ処理を施す場合に比して、バンドパスフィルタ処理の制度を向上させることが可能である。また、フィルタ処理部に用いられるバンドパスフィルタの構成は、アナログフィルタであっても、ディジタルフィルタであってもよい。
また、上記した各実施形態においては、慣性体が電動モータ27の回転駆動により上下方向に移動する場合に、慣性力演算部75が、慣性力Fをばね下加速度gと慣性体の慣性質量mに応じた力として演算した。これに対して、慣性体が電動モータの回転駆動により上下方向に移動するともに回転移動する場合には、慣性力演算部が、ばね下加速度と慣性体の慣性質量に応じた力と、慣性体が有する慣性モーメントに応じた力とを、慣性力として演算してもよい。
10…サスペンション本体、20…電磁アクチュエータ、27…電動モータ、30…ばね装置、32…コイルばね、40…連結機構、41…支持スプリング、42…ダンパ装置、50…サスペンション制御装置、51…電動モータ制御装置、52…ばね上加速度センサ、53…ばね下加速度センサ、60…目標アクチュエータ力決定部、70…ばね下目標アクチュエータ力決定部、71…フィルタ処理部、72…ばね下速度演算部、73…ばね下制御出力演算部、74…要求アクチュエータ力演算部、75…慣性力演算部、80…ばね上目標アクチュエータ力決定部、81…ばね上速度演算部、82…ばね上制御出力演算部

Claims (4)

  1. 車両の各輪位置にてばね上部とばね下部との間に介装されて前記ばね上部と前記ばね下部を接近または離間させる力であるアクチュエータ力を出力する電動モータを有する電磁アクチュエータと、
    前記ばね下部と前記電磁アクチュエータとの間に介装されて前記ばね下部と前記電磁アクチュエータとを弾性的に連結する支持スプリングを有する連結機構と、
    前記ばね下部のばね下加速度を検出するばね下加速度検出手段と、
    前記電動モータが出力すべき目標アクチュエータ力を決定する目標アクチュエータ力決定部を有していて決定された目標アクチュエータ力に基づいて前記電動モータの回転駆動を制御する電動モータ制御装置と、を備えたサスペンション装置において、
    前記目標アクチュエータ力決定部は、
    前記ばね下部の振動挙動を表す振動中心周波数を中心として下限側周波数と上限側周波数とを設定し、前記ばね下加速度検出手段により検出されたばね下加速度のうち、前記下限側周波数から前記上限側周波数までの特定周波数領域の周波数成分を通過させ、前記特定周波数領域以外の周波数成分を大きく減衰させるバンドパスフィルタ処理を施すフィルタ処理部と、
    前記フィルタ処理部によりバンドパスフィルタ処理されて出力された出力値を用いて、前記ばね下部に作用させる力であるばね下制御出力を演算するばね下制御出力演算部と、
    前記連結機構の伝達特性を表す伝達関数と前記ばね下制御出力演算部により演算されたばね下制御出力とを用いて、前記電動モータが出力すべき要求アクチュエータ力を演算する要求アクチュエータ力演算部と、
    前記電動モータと前記ばね下部との間に介在している慣性体が前記電動モータの回転駆動により移動することによって生じる慣性力を、前記ばね下加速度検出手段により検出されたばね下加速度を用いて演算する慣性力演算部と、を備え、
    前記要求アクチュエータ力と前記慣性力とを用いて、前記目標アクチュエータ力を決定するように構成されたサスペンション装置。
  2. 請求項1に記載のサスペンション装置において、
    前記振動中心周波数は、前記フィルタ処理部がバンドパスフィルタ処理を施さない場合におけるサスペンション装置の制御系モデルの極が、振動域に移動したときの周波数と一致するように設定されることを特徴とするサスペンション装置。
  3. 請求項1または2に記載のサスペンション装置において、
    前記フィルタ処理部は、二次系の多項式を分母に有する伝達関数を用いて、バンドパスフィルタ処理を施すことを特徴とするサスペンション装置。
  4. 請求項1ないし3の何れか一項に記載のサスペンション装置において、
    前記ばね上部のばね上加速度を検出するばね上加速度検出手段が設けられ、
    前記目標アクチュエータ力決定部は、前記ばね上加速度検出手段により検出されたばね上加速度を用いて前記ばね上部に作用させる力であるばね上制御出力を演算するばね上制御出力演算部を備え、前記要求アクチュエータ力と前記慣性力と前記ばね上制御出力演算部により演算されたばね上制御出力とを用いて前記目標アクチュエータ力を決定することを特徴とするサスペンション装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013170980A (ja) * 2012-02-22 2013-09-02 Kayaba Ind Co Ltd 振動レベル検知方法及び振動レベル検知装置
CN111716976A (zh) * 2020-05-25 2020-09-29 常州机电职业技术学院 一种基于虚拟电网络的车辆机电悬架控制方法
CN111806184A (zh) * 2019-04-12 2020-10-23 本田技研工业株式会社 电动悬挂装置

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