JP2011059464A - 電子写真装置用シームレスベルトの製造方法及び電子写真装置用シームレスベルト、それを用いた電子写真装置 - Google Patents

電子写真装置用シームレスベルトの製造方法及び電子写真装置用シームレスベルト、それを用いた電子写真装置 Download PDF

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Abstract

【課題】損傷などを発生することなく容易に金型から離型(脱型)でき、かつメンテナンスフリーで金型を繰り返し使用でき、高い効率で生産できる樹脂製のシームレスベルトの製造方法を提供する。
【解決手段】円筒状の型の内面又は外面に樹脂成分を含む塗工液を塗布し、それを乾燥及び/又は硬化させることにより製膜化し、これを脱型する電子写真装置用シームレスベルトの製造方法であって、前記製膜された膜を前記円筒状の型と共に超臨界流体または亜臨界流体で処理し、脱型することを特徴とする電子写真装置用シームレスベルトの製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、コピー・プリンター等の画像形成装置に装備されるシームレスベルトの製造方法及びそれを用いた画像形成装置、特にフルカラー画像形成に好適な中間転写ベルト及びそれを用いた画像形成装置に関する。
従来から、シームレスベルトが電子写真装置において様々な用途で用いられている。特に近年のフルカラー電子写真装置においては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の現像画像を一旦中間転写媒体上に色重ねし、その後一括して紙などの転写媒体に転写する中間転写ベルト方式が用いられている。
このような中間転写ベルト方式は、1つの感光体に対して4色の現像器を用いるシステムがあるがプリント速度が遅いという欠点があった。そのため、高速プリントが可能な方法として、感光体を4色分並べ、各色を連続して紙に直接転写する4連タンデム方式が用いられている。しかし、この方式では紙の環境による変動などもあり、各色画像を重ねる位置精度を合わせることが非常に困難であり、色ずれ画像を引き起こしていた。そこで近年では、前記4連タンデム方式にも中間転写方式を採用することが主流になってきている。
このような情勢の中で中間転写ベルトにおいても、従来よりも要求特性(高速転写、位置精度)が厳しいものとなっており、これらの要求に対応する特性を満足することが必要となってきている。特に、位置精度に対しては、連続使用によるベルト自体の伸び等の変形による変動を抑えることが求められる。また、中間転写ベルトは、装置の広い領域に渡ってレイアウトされ、転写のために高電圧が印加されることから難燃性であることが求められている。このような要求に対応するため、中間転写ベルト材料として主に、高弾性率で高耐熱樹脂であるポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂などが用いられている。
ポリイミド樹脂やポリアミドイミド樹脂製のシームレスベルトは、一般的には、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を溶剤に溶解した溶液、いわゆるワニスと呼ばれる樹脂溶液を金型に塗布し、これを加熱乾燥、硬化することにより成膜化し、この成膜(シームレスベルト)を金型から剥離(脱型)することにより作製される。
上記脱型の際に、シームレスベルトが金型から容易に剥離するように、金型の表面を適度に荒らしたり、金型に離型層を形成させたり、離型剤を塗布する等、種々の処理が行われている。
例えば、特許文献1では、エアーによる脱型の方法が提案され、特許文献2では、離型層を設ける方法が提案され、特許文献3では、金型を適当な表面粗さにする方法が提案され、特許文献4では、離型層を設けてその表面粗さを規定する方法が、提案されている。
しかしながら、上記方法においては、端部隙間からエアーを送風するといったことを行いながら金型から脱型することが必要である。この際、シームレスベルトの密着具合とエアー送付条件によっては、膜が一部破損することが多々生じている。一方、離型層や離型剤は耐久性がなく、定期的にメンテナンスを行う必要があった。
また、特許文献5に記載のように、金型の形状を工夫したり、特許文献6に記載のように、芯となる金型に金属ベルト(可撓性ベルト)をかぶせた成形型を用いる提案がなされている。しかしながら、これらは、金型の精度がばらつきやすかったり、後者の金属ベルトは繰り返し使用により破損するため交換が必要で、結局、型が高価なものとなってしまうという問題がある。
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、損傷などを発生することなく容易に金型から離型(脱型)でき、かつメンテナンスフリーで金型を繰り返し使用でき、高い効率で生産できる樹脂製のシームレスベルトの製造方法を提供する。また、前記方法により、高弾性で耐熱性及び難燃性が優れたシームレスベルト(特に、ポリイミド樹脂製又はポリアミドイミド樹脂製)を製造し、高速転写、位置精度、耐久性が要求されるベルト部材(特に、中間転写ベルト)として電子写真装置に配備することを目的とする。
すなわち、上記シームレスベルトの製造方法、及び電子写真装置に搭載されるシームレスベルト(中間転写ベルト)、シームレスベルト(中間転写ベルト)を搭載する電子写真装置を提供することを目的とする。
なお、以降「電子写真装置」を「画像形成装置」と呼称することがある。

本発明者らは鋭意検討した結果、金型に樹脂成分を含む塗工液を塗布し、これを乾燥、硬化して形成されたシームレスベルト状の成形膜を、超臨界流体又は亜臨界流体下に曝すことによって、樹脂製のシームレスベルトを破損させることなく容易に金型から離型(脱型)させることができることを見出した。すなわち、以下の(1)〜(8)に記載する発明によって上記課題が解決される。
(1)円筒状の型の内面又は外面に樹脂成分を含む塗工液を塗布し、それを乾燥及び/又は硬化させることにより製膜化し、これを脱型する電子写真装置用シームレスベルトの製造方法であって、前記製膜された膜を前記円筒状の型と共に超臨界流体または亜臨界流体で処理し、脱型することを特徴とする電子写真装置用シームレスベルトの製造方法。
(2)該超臨界流体または亜臨界流体が、超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素であることを特徴とする前記(1)に記載の電子写真装置用シームレスベルトの製造方法。
(3)前記樹脂成分がポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体であり、前記成形膜がポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂を含むことを特徴とする前記(1)に記載の電子写真装置用シームレスベルトの製造方法。
(4)前記塗工液中に、電気抵抗調整材を含むことを特徴とする前記(1)乃至(3)のいずれか1に記載の電子写真装置用シームレスベルトの製造方法。
(5)円筒状の型の内面又は外面に、少なくとも樹脂成分を含む塗工液が塗布されて塗膜が形成され、前記塗膜の乾燥及び/又は硬化により電子写真装置用シームレスベルト状の成形膜とされた後に、前記成形膜が前記円筒状の型から脱型されて製造される電子写真装置用シームレスベルトであって、前記(1)乃至(4)のいずれか1に記載の方法により、製造されたことを特徴とする電子写真装置用シームレスベルト。
(6)電子写真装置に装備される前記(5)に記載の電子写真装置用シームレスベルト。
(7)前記電子写真装置用シームレスベルトが、中間転写ベルトであることを特徴とする前記(6)に記載の電子写真装置用シームレスベルト。
(8)電子写真装置用シームレスベルトを装備する電子写真装置において、該電子写真装置用シームレスベルトが前記(5)乃至(7)のいずれか1に記載の電子写真装置用シームレスベルトであることを特徴とする電子写真装置。
本発明の製造方法によれば、離型剤を用いなくとも、接着性が非常に高いポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂の成形膜であっても傷つけることなく容易に金型から離型(脱型)することができ、かつメンテナンスフリーで金型を長期間繰り返し使用でき、高い効率で樹脂製のシームレスベルトを生産することができる。
また、金型に離型(脱型)のための特別な構造を設ける必要がなく、安価な金型を使用することが可能になる。
また、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を樹脂成分とした塗工液を用いて成形膜とすれば、優れた機械強度(高弾性)、耐熱性及び難燃性を備えたポリイミド樹脂製又はポリアミドイミド樹脂製のシームレスベルトが製造でき、このようなシームレスベルトは連続使用に対しても変化が少ないことから、電子写真装置(画像形成装置)の高速転写、位置精度、耐久性が要求される各種ベルト部材として用いることができる。
中でも、像担持体上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、その一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する、いわゆる中間転写ベルト方式の中間転写ベルトとして好適に用いることができる。
すなわち、欠陥のない高品質なシームレスベルト(特に、欠陥による異常画像のない高品質な中間転写ベルト)を配備した高画質画像形成な電子写真装置(画像形成装置)を構成することができる。
本発明に係る成形膜(シームレスベルト)を脱型容易とするための超臨界流体曝露装置を示す模式図である。 本発明に係る製造方法により得られるシームレスベルトをベルト部材として装備する画像形成装置を説明するための要部模式図である。 本発明に係るシームレスベルトからなる1つの中間転写ベルトに沿って複数の感光体ドラムが並設されている画像形成装置の一構成例を示す要部模式図である。 超臨界流体曝露装置の耐圧容器の概略図である。
前述のように本発明におけるシームレスベルトの製造方法は、円筒状の型の内面又は外面に、少なくとも樹脂成分を含む塗工液を塗布して塗膜を形成し、前記塗膜を乾燥及び/又は硬化させてシームレスベルト状の成形膜とした後に、前記成形膜が形成された円筒状の型を超臨界流体又は亜臨界流体雰囲気に曝し、その後に、前記成形膜を前記円筒状の型から脱型することを特徴とするものである。
本発明の製造方法は、シームレスベルトを傷つけることなく容易に金型から離型することができる。このため、作製されるシームレスベルトは欠陥がなく高品質であり、各種用途に用いられるが、とりわけ電子写真装置用のベルト部材として有用である。電子写真装置においてはいくつかの部材にシームレスベルトが用いられるが、高速転写、位置精度、耐久性、及び安定した電気的特性を要求される重要な部材の一つとして、特に中間転写ベルト方式に用いられる中間転写ベルトがあり、本発明の製造方法により作製されるシームレスベルトはこの部材として好適に使用できる。以下、中間転写ベルトを中心に本発明について説明する。
本発明のシームレスベルトは、中間転写ベルト方式の電子写真装置〔いわゆる、像担持体(例えば、感光体ドラム)上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、その一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する方式の装置〕における厚さ20〜500μmの中間転写ベルトとして好適に装備されるものであり、その構成材料としては、樹脂中に電気抵抗を調整する充填材(又は、添加材)、いわゆる電気抵抗調整材を含有してなるものが挙げられる。
このような樹脂としては、難燃性の観点から、例えば、PVDF、ETFEなどのフッ素系樹脂や、ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂等が好ましく、機械強度(高弾性)や耐熱性の点から、特にポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂が好適である。
電気抵抗調整材としては、金属酸化物やカーボンブラック、イオン導電剤、導電性高分子材料などがある。
金属酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素等が挙げられる。また、分散性を良くするため、前記金属酸化物に予め表面処理を施したものも挙げられる。
カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。
イオン導電剤としては、例えば、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルサルフェート、グルセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエステル、アルキルベタイン、過塩素酸リチウム等が挙げられ、これらを併用して用いてもよい。
なお、本発明における電気抵抗調整材は、上記例示化合物に限定されるものではない。
また、本発明のシームレスベルトの製造方法における少なくとも樹脂成分を含む塗工液には必要に応じて、さらに分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加材を含有してもよい。
前記中間転写ベルトとして好適に装備されるシームレスベルトに含有される電気抵抗調整材は、好ましくは表面抵抗で1×108〜1×1013Ω/□、体積抵抗で1×106〜1×1012Ω・cmとなる量とされるが、機械強度の面から成形膜が脆く割れやすくならない範囲の量を選択して添加することが必要である。
つまり、中間転写ベルトとする場合には、前記樹脂成分(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体)と電気抵抗調整材の配合を適正に調整した塗工液を用いて、電気特性(表面抵抗及び体積抵抗)と機械強度のバランスが取れたシームレスベルトを製造して用いるのが好ましい。
本発明における電気抵抗調整材の含有量としては、カーボンブラックの場合には、塗工液中の全固形分の10〜25wt%、好ましくは15〜20wt%である。また、金属酸化物の場合の含有量としては、塗工液中の全固形分の1〜50wt%、好ましくは10〜30wt%である。含有量が前記それぞれの電気抵抗調整材の範囲よりも少ないと効果が十分に得られず、また含有量が前記それぞれの範囲よりも多いと前記中間転写ベルト(シームレスベルト)の機械強度が低下し、実使用上好ましくない。
前記シームレスベルトの材料として好適に用いられるポリイミド樹脂(以下、「ポリイミド」と略称することがある。)又はポリアミドイミド樹脂(以下、「ポリアミドイミド」と略称することがある。)について以下具体的に説明する。
<ポリイミド>
本発明に用いられるポリイミドとしては、限定されるものではないが芳香族系のポリイミドが好ましい例として挙げられる。芳香族系のポリイミドは、一般的に知られている芳香族多価カルボン酸無水物(又はその誘導体)と芳香族ジアミンとの反応によって、ポリアミック酸(ポリイミド前駆体)を経由して得られる。
すなわち、ポリイミド、特に、芳香族系のポリイミドは、その剛直な主鎖構造により溶媒等に対して不溶であり、また不融の性質を有する。そのため、先ず、芳香族多価カルボン酸無水物と芳香族ジアミンとの反応により、有機溶媒に可溶なポリイミド前駆体(ポリアミック酸、又はポリアミド酸)を合成し、このポリアミック酸の段階で様々な方法で成形加工が行われ、その後ポリアミック酸を加熱もしくは化学的な方法で脱水反応させて環化(イミド化)しポリイミドとされる。芳香族系のポリイミドを得る反応を例にその概略を下記式(1)に示す。
Figure 2011059464
[式(1)中、Ar1は少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族残基を示し、Ar2は少なくとも1つの炭素6員環を含む2価の芳香族残基を示す。]
上記少なくとも1つの炭素6員環を含む4価の芳香族カルボン酸無水物(芳香族多価カルボン酸無水物)の具体例としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシルフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらは単独又は2種以上混合して用いてもよい。
また、上記式(1)で表される芳香族多価カルボン酸無水物以外の酸無水物、例えば、エチレンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族多価カルボン酸無水物も使用可能であり、これらは単独又は前記芳香族多価カルボン酸無水物と併用してもよい。
なお、前記式(1)においては、芳香族多価カルボン酸無水物としたが、その誘導体(例えば、エステル誘導体)であってもよい。
次に、上記芳香族多価カルボン酸無水物と反応させる少なくとも1つの炭素6員環を含む2価の芳香族ジアミン(芳香族ジアミン)の具体例としては、例えば、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)スルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−エタン、1,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、4,4’−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4’−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ〕ジフェニルスルホン、ビス〔4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル〕スルホン、1,4−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ〕−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル〕ベンゼン等が挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して使用してもよい。本発明における物性を効果的に発現するために、少なくとも成分の1つとして、4,4’−ジアミノジフェニルエーテルを用いることが特に好ましい。
なお、上記式(1)で表される芳香族ジアミン以外の脂肪族系ジアミンも使用可能であり、芳香族ジアミンと併用してもよい。
芳香族系のポリイミドを得る場合には、上記芳香族多価カルボン酸無水物成分と芳香族ジアミン成分とを略等モル用いて有機極性溶媒中で重合反応させることにより、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を得、その後ポリアミック酸を脱水反応させて環化し、イミド化する。下記にポリアミック酸の製造方法について具体的に説明する。
ここで、ポリアミック酸を得る際の重合反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、ブチルセロソルブなどのセロソルブ系、又はヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどを挙げることができ、これらを単独又は混合溶媒として用いるのが望ましい。
溶媒は、前記ポリアミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
ポリイミド前駆体を製造する場合の例として、先ず、アルゴン、窒素などの不活性ガス雰囲気下において、1種又は複数種のジアミンを上記の有機溶媒に溶解するか、又はスラリー状に分散させる。この溶液に前記した少なくとも1種の芳香族多価カルボン酸無水物(又はその誘導体)を添加(固体状態のままでも、有機溶媒に溶解した溶液状態でも、スラリー状態でもよい)すると、発熱を伴って開環重付加反応が起こり、急速に溶液の粘度増大が見られ、高分子量のポリアミック酸溶液が得られる。この際の反応温度は、通常−20℃〜100℃、望ましくは60℃以下に制御することが好ましい。反応時間は、30分〜12時間程度である。
上記は一例であり、反応における上記添加手順とは逆に、先ず、芳香族多価カルボン酸無水物(芳香族テトラカルボン酸二無水物)又はその誘導体を有機溶媒に溶解又は分散させておき、この溶液中に前記芳香族ジアミン(略、「ジアミン」)を添加させてもよい。ジアミンの添加は、固体状態のままでも、有機溶媒に溶解した溶液状態でも、スラリー状態でもよい。すなわち、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分との混合順序は限定されない。さらには、芳香族テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを同時に有機極性溶媒中に添加して反応させてもよい。
上記のようにして、芳香族多価カルボン酸無水物又はその誘導体と、芳香族ジアミン成分とをおよそ等モル、有機極性溶媒中で重合反応することにより、ポリアミック酸が有機極性溶媒中に均一に溶解した状態でポリイミド前駆体溶液が得られる。
本発明におけるポリイミド前駆体溶液(ポリアミック酸溶液:「ポリイミド樹脂前駆体を含む塗工液」)は、上記のようにして合成したものを使用することが可能であるが、簡便には有機溶媒にポリアミック酸組成物が溶解された状態の、いわゆるポリイミドワニスとして上市されているものを入手して使用することもできる。
このような例としては、トレニース(東レ社製)、U−ワニス(宇部興産社製)、リカコート(新日本理化社製)、オプトマー(JSR社製)、SE812(日産化学社製)、CRC8000(住友ベークライト社製)等が代表的なものとして挙げられる。
合成又は入手したポリアミック酸溶液に、必要に応じて充填剤(例えば、電気抵抗調整材、あるいは分散助剤、補強材、潤滑材、熱伝導材、酸化防止剤などの添加剤)を混合・分散して塗工液が調製される。塗工液を後述のように支持体(成形用の型)に塗布した後、加熱等の処理することにより、ポリイミド前駆体であるポリアミック酸からポリイミドへの転化(イミド化)が行われる。
ポリアミック酸は、前述のように加熱する方法(1)、又は化学的方法(2)によってイミド化することができる。
加熱する方法(1)は、ポリアミック酸を、例えば、200〜350℃に加熱処理することによってポリイミドに転化する方法であり、ポリイミド(ポリイミド樹脂)を得る簡便かつ実用的な方法である。
一方、化学的方法(2)は、ポリアミック酸を脱水環化試薬(例えば、カルボン酸無水物と第3アミンの混合物など)により反応した後、加熱処理して完全にイミド化する方法であり、(1)の加熱する方法に比べると煩雑でコストのかかる方法であるため、通常(1)の方法が多く用いられている。
なお、ポリイミドの本来的な性能を発揮させるためには、相当するポリイミドのガラス転移温度以上に加熱して、イミド化を完結させることが好ましい。
イミド化の進行状況(イミド化の程度)は、通常行われているイミド化率の測定手法により評価することができる。
このようなイミド化率の測定方法としては、例えば、9〜11ppm付近のアミド基に帰属される1Hと、6〜9ppm付近の芳香環に帰属される1Hとの積分比から算出する核磁気共鳴分光法(NMR法)、フーリエ変換赤外分光法(FT-IR法)、イミド閉環に伴う水分を定量する方法、カルボン酸中和滴定法など種々の方法が用いられているが、中でもフーリエ変換赤外分光法(FT-IR法)は最も一般的な方法である。
フーリエ変換赤外分光法(FT-IR法)では、イミド化率を、例えば、下記式(a)のように定義する。
すなわち、焼成段階(イミド化処理段階)でのイミド基のモル数を(A)とし、100%イミド化された場合(理論的)のイミド基のモル数を(B)とすると、次により表される。
イミド化率(%)=[(A)/(B)]×100 ・・・ (a)
この定義におけるイミド基のモル数は、FT-IR法により測定されるイミド基の特性吸収の吸光度比から求めることができる。例えば、代表的な特性吸収として、以下の吸光度比を用いてイミド化率を評価することができる。
(1)イミドの特性吸収の1つである725cm-1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,015cm-1との吸光度比
(2)イミドの特性吸収の1つである1,380cm-1(イミド環C−N基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm-1との吸光度比
(3)イミドの特性吸収の1つである1,720cm-1(イミド環C=O基の変角振動帯)と、ベンゼン環の特性吸収1,500cm-1との吸光度比
(4)イミドの特性吸収の1つである1,720cm-1とアミド基の特性吸収1,670cm-1(アミド基N−H変角振動とC−N伸縮振動の間の相互作用)との吸光度比
また、3000〜3300cm-1にかけてのアミド基由来の多重吸収帯が消失していることを確認すればさらにイミド化完結の信頼性は高まる。
次に、ポリアミドイミドについて説明する。
<ポリアミドイミド>
ポリアミドイミドは、分子骨格中に剛直なイミド基と柔軟性を付与するアミド基を有する樹脂であり、本発明に用いられるポリアミドイミドとしては一般的に知られている構造のものを使用することができ、限定されるものではないが芳香族系のポリアミドイミドが特に好ましい例として挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂を合成する方法としては、公知の下記酸クロライド法(a)やイソシアネート法(b)が適用できる。
(a)酸クロライド法:酸無水物基とハロゲン化カルボニル基を有する3価のカルボン酸化合物の誘導体[以下、「酸無水物基を有する3価のカルボン酸化合物の誘導体ハライド」と称することがある。](最も代表的には当該誘導体の酸クロライド化合物が挙げられる。)とジアミンとを溶媒中で反応させ、ポリアミド−アミック酸(ポリアミドイミド樹脂前駆体)を経由してポリアミドイミドを製造する。例えば、特公昭42−15637号公報に記載の方法が知られている。
(b)イソシアネート法:酸無水物基とカルボキシラト基を有する3価のカルボン酸化合物[以下、「酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体」と呼称することがある。]とイソシアネート化合物(特に、芳香族イソシアネート化合物が好ましい。)とを溶媒中で反応させてポリアミドイミドを製造する。例えば、特公昭44−19274号公報に記載の方法が知られている。
本発明においては酸クロライド法(a)及びイソシアネート法(b)のいずれも使用することができる。好ましく用いられる芳香族系のポリアミドイミドを例として各製造方法について以下に説明する。
(a)酸クロライド法:
酸無水物基を有する3価のカルボン酸化合物の誘導体ハライドとしては、例えば、下記構造式(2)及び構造式(3)に示す化合物を使用することができる。
Figure 2011059464
[式(2)中、Xはハロゲン原子を示す。]
Figure 2011059464
[式(3)中、Xはハロゲン原子を示し、Yは単結合、−CH2−、−CO−、−SO2−又は−O−を示す。]
前記構造式(2)又は構造式(3)において、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられるが、塩素原子が好ましい。最も代表的には、無水トリメリット酸クロライドが挙げられる。
前記構造式(2)又は構造式(3)に示す酸無水物基を有する3価のカルボン酸化合物の誘導体ハライドは芳香族系のポリアミドイミドを得るための原料の一例であって、これらに限られるものではない。
上記構造式(2)又は構造式(3)に示す芳香族系の3価のカルボン酸化合物以外に、脂肪族系の酸無水物基を有する3価のカルボン酸化合物の誘導体ハライドも使用可能であり、芳香族系の誘導体と併用することもできる。
一方、酸クロライド法において芳香族多価カルボン酸無水物と反応させるジアミンとしては特に限定されないが、芳香族ジアミン、脂肪族ジアミン、及び脂環族ジアミンのいずれも用いられるが、芳香族ジアミンが好ましく用いられる。
芳香族ジアミンとしては、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、オキシジアニリン、ジアミノ−m−キシリレン、ジアミノ−p−キシリレン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレンジアミン、2,2’−ビス−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス−(4−アミノフェニル)へキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノジフェニルエーテル、イソプロピリデンジアニリン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、1,3−ビス−(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス−(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス−[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、4,4’−ビス−(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,2’−ビス−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]へキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィドなどが挙げられる。
脂肪族系ジアミンとしてはメチレンジアミン、ヘキサフルオロイソプロピリデンジアミンなどが挙げられる。
また、ジアミンとして両末端にアミノ基を有するシロキサン系化合物、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシメチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノフェノキシメチル)ポリジメチルシロキサン、1,3,−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)エチル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(2−(3−アミノフェノキシ)エチル)ポリジメチルシロキサン、1,3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)プロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)プロピル)ポリジメチルシロキサン等を用いればシリコーン変性ポリアミドイミドを得ることができる。
酸クロライド法により本発明におけるポリアミドイミド(ポリアミドイミド樹脂)を得るためには、前記ポリイミド樹脂の製造の場合と同様に、上記した酸無水物基を有する3価のカルボン酸化合物の誘導体ハライドとジアミンとを有機極性溶媒に溶解した後、低温(0〜30℃)で反応させ、ポリアミドイミド樹脂前駆体(ポリアミド−アミック酸)とした後、イミド化する。
使用することのできる有機極性溶媒としては前記ポリイミドの場合と同様であり、スルホキシド系溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等)、ホルムアミド系溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド等)、アセトアミド系溶媒(例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等)、ピロリドン系溶媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン等)、フェノール系溶媒(例えば、フェノール、o−、m−、又はp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコール等)、エーテル系溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等)、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール、ブタノール等)、セロソルブ系溶媒(例えば、ブチルセロソルブ等)、又はヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
これらを単独又は混合溶媒として用いるのが望ましい。溶媒は、ポリアミド−アミック酸を溶解するものであれば特に限定されないが、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
上記により得たポリアミド−アミック酸溶液を所望の支持体、例えば、成形用の型に塗布して塗膜を形成し、この塗膜を加熱等により処理することで、イミド化が行われてポリアミド−アミック酸からポリアミド−イミド(ポリアミドイミド)へ転化する。
イミド化の方法としては、前記ポリイミドの場合と同様に加熱処理によりアミック酸を脱水閉環させる方法、及び脱水閉環触媒を用いて化学的に閉環させる方法が用いられる。
加熱処理により脱水閉環させる場合、例えば、反応温度は150〜400℃、好ましくは180〜350℃であり、加熱処理時間は30秒間〜10時間、好ましくは5分間〜5時間である。また、脱水閉環触媒を用いる場合、反応温度は0〜180℃、好ましくは10〜80℃であり、反応時間は数十分間〜数日間、好ましくは2時間〜12時間である。脱水閉環触媒の例としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、安息香酸等の酸無水物等が挙げられる。
(b)イソシアネート法:
イソシアネート法の場合に用いる酸無水物基とカルボキシラト基を有する3価のカルボン酸化合物(酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体)としては、例えば、下記構造式(4)及び構造式(5)に示す化合物を使用することができる。
Figure 2011059464
[式(4)中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を示す。]
Figure 2011059464
[式(5)中、Rは水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はフェニル基を示し、Yは単結合、−CH2−、−CO−、−SO2−又は−O−を示す。]
上記一般式で表される誘導体は何れも使用することができるが、最も代表的には無水トリメリット酸が挙げられる。また、これらの酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体は、目的に応じて単独または混合して用いることができる。
前記構造式(4)又は構造式(5)に示す酸無水物基とカルボキシラト基を有する3価のカルボン酸化合物の誘導体は芳香族系のポリアミドイミドを得るための原料の一例であって、これらに限られるものではない。
上記構造式(4)又は構造式(5)に示す芳香族系の3価のカルボン酸化合物以外に、脂肪族系の3価のカルボン酸化合物も使用可能であり、例えば、芳香族系のカルボン酸化合物と併用することもできる。
次に、イソシアネート法において酸無水物基とカルボキシラト基を有する3価のカルボン酸化合物と反応させる一方のイソシアネート化合物としては、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4′−〔2,2−ビス(4−フェノキシフェニル)プロパン〕ジイソシアネート、ビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、ビフェニル−3,3′−ジイソシアネート、ビフェニル−3,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジエチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジエチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、2,2′−ジメトキシビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート等が挙げられる。
イソシアネート化合物としては、特に芳香族イソシアネート化合物(芳香族ポリイソシアネート)が好ましく用いられる。これらの芳香族ポリイソシアネートは単独で使用することもできるし、組み合わせて使用することもできる。
また、必要に応じてこの一部としてヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水添m−キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族、脂環式イソシアネート及び3官能以上のポリイソシアネートを使用することもできる。
イソシアネート法により本発明におけるポリアミドイミドを得るためには、前記ポリイミドの製造の場合と同様に、上記した酸無水物基を有する3価のカルボン酸の誘導体と、芳香族ポリイソシアネートとを有機極性溶媒に溶解、調整して得られるポリアミドイミド前駆体を含む溶液を支持体に塗布した後、加熱処理することにより、ポリアミドイミド前駆体からポリアミドイミドへの転化が行われる。このイソシアネート法によるポリアミドイミドへの転化の際、概略ポリアミック酸を経由することなく、炭酸ガスを発生してポリアミドイミドを生成する。
下記式(6)に無水トリメリット酸と芳香族ジイソシアネートとを用いた場合のポリアミドイミド化による芳香族ポリアミドイミドの生成例を示す。
Figure 2011059464
[式(6)中、Arは2価の芳香族基を示す。]
前述したポリイミド(ポリイミド樹脂)又はポリアミドイミド(ポリアミドイミド樹脂)へ転化する前駆体は、通常単一の組成分を原料として反応したものが使用されるが、必要に応じて相溶性等を考慮して選択された別の組成分を原料として反応した前駆体を組み合せ併用することも可能である。また、ポリイミド繰返単位とポリアミドイミド繰返単位を有する共重合体であってもよい。
次に、本発明の少なくとも樹脂成分を含む塗工液、すなわち前記ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液を用いてシームレスベルトを製造する方法について説明する。
本発明において、前記ポリイミド樹脂前駆体またはポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液を用いてシームレスベルトを製造する方法としては、塗工液を遠心成形のように金型(円筒状の型)の内面に塗布する方法と、ノズルやディスペンサーによって金型(円筒状の型)の外面に塗布する方法があり、金型の内面又は外面に形成した塗膜を乾燥及び/又は硬化させてシームレスベルト状の成形膜とした後に、この成形膜が形成された円筒状の型を超臨界流体又は亜臨界流体雰囲気に曝し、その後で成形膜を円筒状の型から脱型することにより、目的のシームレスベルトが得られる。ただし、遠心成形の場合には、得られるベルトの表面が金型側に接する面となるため、表面特性(表面状態)が金型面の状態によって影響を受ける。このため、金型の内面精度が厳しく管理されるため、金型コストが非常に高くなる傾向がある。
そこで以下では、金型の外面に塗工液を塗布する方法を例に挙げ説明する。なお、下記説明は一例であり、条件などこれに限定されるものではない。
円筒状の型、例えば、円筒状の金属金型をゆっくりと回転させながら、少なくとも樹脂成分を含む塗工液(例えば、ポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体を含む塗工液)をノズルやディスペンサーのような液供給装置にて円筒の外面全体に均一になるように塗布・流延(塗膜を形成)する。その後、回転速度を所定速度まで上げ、所定速度に達したら一定速度に維持し、所望の時間回転を継続する。そして、回転させつつ徐々に昇温させながら、約80〜150℃の温度で塗膜中の溶媒を蒸発させていく。この過程では、雰囲気の蒸気(揮発した溶媒等)を効率よく循環して取り除くことが好ましい。自己支持性のある膜が形成されたところで金型ごと高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に移し、段階的に昇温し、最終的に250℃〜450℃程度の高温加熱処理(焼成)し、十分にポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体のイミド化又はポリアミドイミド化を行う。イミド化が完了後、徐冷して成形膜が形成された円筒状の型を取り出し、これを超臨界流体又は亜臨界流体雰囲気に曝し、その後に、成形膜(略「膜」)を円筒状の型から離型(脱型)する。なお、金型は、脱型しやすいように、離型剤または離型層を形成しておいてもよいが、超臨界流体または亜臨界流体が入り込みやすい粗面化処理したものが好ましい。
従来一般的には、脱型に際して、形成された型面上の膜の両端部を一部カットし、そのカット部からエアーをゆっくりと送風しながら型と膜の間に隙間を形成し、薄膜を抜き取る方法が行われている。しかしながら、従来法では、金型の繰り返し使用によって、金型表面に形成する離型層が劣化したり、一部汚れが付着していたりすると離型ができず、膜が破損してしまうことがしばしば発生する問題があった。近年、コストダウンの要求から、さらに膜厚の薄膜化が要請されており、従来法による脱型方法では金型からの脱型時の不良が増加している。
すなわち、本発明の成形膜が形成された円筒状の型を超臨界流体又は亜臨界流体雰囲気に曝し、その後に、成形膜を円筒状の型から離型(脱型)することにより、成形膜(シームレスベルト)を傷つけることなく容易に金型から離型することができ、メンテナンスフリーで金型を長期間繰り返し使用でき、生産性の高いシームレスベルトの製造が可能となる。
そこで、次には本発明の超臨界流体または亜臨界流体による脱型方法について説明する。
まずは、超臨界流体または亜臨界流体について説明する。
超臨界流体とは、気体と液体が共存できる限界の温度・圧力(臨界点)を超えた状態にある流体を指す。超臨界流体の特徴としては、高密度状態において、一般に物質を溶かす能力がその流体の常温での溶解力よりも非常に大きいといった特徴を有する。これは当該流体が高圧力下にあるため、流体の運動エネルギーが大きいこと、また、粘性が小さいためと考えられている。また、温度・圧力による密度の調整によって溶解性の制御ができるため、適用範囲が広いことも特筆すべき特性である。一般には密度0.2g・cm以上の超臨界流体が化学物質に対する溶媒として用いられることが多い。また、超臨界流体は前述の通り、流体の運動エネルギーが大きいこと、また、粘性が小さいことから媒質への拡散が早い。このため一般に用いられる溶媒では多孔質体へ浸透しにくいが、超臨界流体を用いれば比較的容易に多孔質体へ浸透することが知られている。さらに、熱伝導度は液体よりも大きいため、超臨界中で生じた化学反応による反応熱は速やかに除去することが可能である。
前記超臨界流体としては、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度・圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮を起こさず、臨界温度以上、かつ、臨界圧力以上の状態にある流体である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、超臨界流体の臨界温度および臨界圧力としては特に制限はない。これらの流体としては、たとえば一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、クロロトリフロロメタン、ジメチルエーテルなどが挙げられる。前記臨界温度としては、−273〜300℃が好ましく、0〜1400℃が特に好ましい。超臨界中に対する媒質が熱により変性するようなものを用いる場合には臨界温度が低いものが好ましい。たとえば、二酸化炭素(臨界温度31.0℃)、エタン(臨界温度32.2℃)、プロパン(臨界温度96.6℃)、アンモニア(臨界温度132.3℃)などが挙げられる。また、前記亜臨界流体としては、前記臨界点近傍の温度・圧力領域において高圧液体として存在する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。超臨界流体として挙げられる各種材料は、前記亜臨界流体としても好適に使用することができる。本発明に対しては超臨界流体または亜臨界流体を単独で使用しても良いし、2種類以上混合して用いても良い。
本発明に記載するような有機材料に対して超臨界流体または亜臨界流体を適用する場合、媒体として二酸化炭素を主媒体として用いることが好ましい。二酸化炭素は超臨界圧力が7.3MPa、超臨界温度が31.0℃と比較的容易に超臨界状態を作り出せ、有機材料に対する熱ダメージが小さいこと、さらに不燃性・低毒性で取り扱いが容易であることが利点として挙げられるため、食品工業の分野では広く用いられている。
次に、前述のようにして作製される塗膜を形成した金型の超臨界二酸化炭素による処理について説明する。
塗膜を形成した金型を超臨界二酸化炭素場にシームレスベルトを置くことにより、その流体の種類・圧力・温度条件により、塗膜中および塗膜と金型の界面に超臨界二酸化炭素が侵入する。これにより、塗膜と金型との密着性をなくすことができる。
超臨界二酸化炭素は、超臨界流体の中でも臨界温度が低く好ましい。
超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素処理の好ましい条件としては、温度は、30〜200℃が好ましく30℃〜60℃がさらに好ましい、圧力としては、7.1〜60MPaが好ましく、20〜40MPaがさらに好ましい。
また、必要に応じて、超臨界二酸化炭素へ溶解可能な潤滑剤などを投入していても良い。これを投入しておくことにより、超臨界に二酸化炭素に溶解した潤滑剤が塗膜と金型の界面に侵入し、塗膜を金型から取り外す際に、より容易に取り外すことが可能となる。
超臨界二酸化炭素に溶解しやすい潤滑剤としては、フッ素系またはシリコン系の官能基を有する界面活性剤やワックスなどが好適である。
また、二酸化炭素以外の他の液体(エントレイナー)を併用しても良い。
処理に用いられる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、図1に示す、処理を施すための耐圧容器(4)と、超臨界二酸化炭素を供給する加圧ポンプ(1)と、抽出した残留物を含むガスを抽出物と溶媒とに分離する減圧バルブ(7)とを有する分離槽(図示略)と、を備えた装置が好適に挙げられる。該装置を用いた処理方法としては、まず、前記耐圧容器(4)に塗膜を形成した金型を投入する。次に、該耐圧容器(4)内に加圧ポンプ(1)により前記超臨界二酸化炭素を供給し、超臨界二酸化炭素にて金型を処理する。この時の圧力・温度条件は、前述した範囲の任意の条件にて行う。
この条件にて処理する時間は、ごく短時間で良く、1〜10分程度で十分である。
前記超臨界二酸化炭素を、常温及び常圧下に戻し、耐圧容器(4)内からシームレスベルトを取り出し、塗膜を金型から取り外す。
上記方法によれば、塗膜を容易に、傷つけることなく、金型から取り外すことができる。
また、超臨界二酸化炭素を用いている為、装置から金型を取り出して、直ぐに塗膜を取り出すことができ、かつ、金型表面も洗浄された状態となっているため、洗浄することなく、そのまま繰り返し、製造ラインへ投入することが可能である。
ここで、図1の耐圧容器(4)であるが、当然ながらシームレスベルトの金型が入る大きさが必要になるが、シームレスベルトの金型は、一般的に円筒形状である。
これを投入する円筒容器にすると、内部の空間体積部分が大きい。
特に、シームレスベルトの大きさかが大きくなるほどこの空間が大きくなり、超臨界状態を作る時間が長くかかり、無駄が大きい。
そこで、耐圧容器(4)は、金型形状に相当するドーナツ形状にすることが好ましい。
図4に、その概略を示した。
前述の方法により製造された欠陥がなく高品質なシームレスベルトは、例えば、像担持体上に順次形成される複数のカラートナー現像画像を中間転写ベルト上に順次重ね合わせて一次転写を行い、その一次転写画像を被記録媒体に一括して二次転写する、いわゆる中間転写方式の電子写真装置の中間転写ベルトとして好適に用いられ、高画質画像形成な電子写真装置(画像形成装置)を構成することができる。
本発明における電子写真装置(以降、「画像形成装置」と呼称する。)に装備されるベルト構成部に用いられるシームレスベルトについて、要部模式図を参照しながら以下に詳しく説明する。なお、模式図は一例であって本発明はこれに限定されるものではない。
図2は、本発明に係る製造方法により得られるシームレスベルトをベルト部材として装備する画像形成装置を説明するための要部模式図である。
図2に示すベルト部材を含む中間転写ユニット(500)は、複数のローラに張架された中間転写体である中間転写ベルト(501)などにより構成されている。この中間転写ベルト(501)の周りには、2次転写ユニット(600)の2次転写電荷付与手段である2次転写バイアスローラ(605)、中間転写体クリーニング手段であるベルトクリーニングブレード(504)、潤滑剤塗布手段の潤滑剤塗布部材である潤滑剤塗布ブラシ(505)などが対向するように配設されている。
また、位置検知用マークが中間転写ベルト(501)の外周面または内周面に図示しない位置検知用マークが設けられる。ただし、中間転写ベルト(501)の外周面側については位置検知用マークがベルトクリーニングブレード(504)の通過域を避けて設ける工夫が必要であり、配置上の困難さを伴うことがあるので、その場合には位置検知用マークを中間転写ベルト(501)の内周面側に設けてもよい。マーク検知用センサとしての光学センサ(514)は、中間転写ベルト(501)が架け渡されている1次転写バイアスローラ(507)とベルト駆動ローラ(508)との間の位置に設けられる。
この中間転写ベルト(501)は、1次転写電荷付与手段である1次転写バイアスローラ(507)、ベルト駆動ローラ(508)、ベルトテンションローラ(509)、2次転写対向ローラ(510)、クリーニング対向ローラ(511)、及びフィードバック電流検知ローラ(512)に張架されている。各ローラは導電性材料で形成され、1次転写バイアスローラ(507)以外の各ローラは接地されている。1次転写バイアスローラ(507)には、定電流または定電圧制御された1次転写電源(801)により、トナー像の重ね合わせ数に応じて所定の大きさの電流または電圧に制御された転写バイアスが印加されている。
中間転写ベルト(501)は、図示しない駆動モータによって矢印方向に回転駆動されるベルト駆動ローラ(508)により、矢印方向に駆動される。
このベルト部材である中間転写ベルト(501)は、通常、半導体、又は絶縁体で、単層または多層構造となっているが、本発明においてはシームレスベルトが好ましく用いられ、これによって耐久性が向上すると共に、優れた画像形成が実現できる。また、中間転写ベルトは、感光体ドラム(200)上に形成されたトナー像を重ね合わせるために、通紙可能最大サイズより大きく設定されている。
2次転写手段である2次転写バイアスローラ(605)は、2次転写対向ローラ(510)に張架された部分の中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して、後述する接離手段としての接離機構によって、接離可能に構成されている。2次転写バイアスローラ(605)は、2次転写対向ローラ(510)に張架された部分の中間転写ベルト(501)との間に被記録媒体である転写紙(P)を挟持するように配設されており、定電流制御される2次転写電源(802)によって所定電流の転写バイアスが印加されている。
レジストローラ(610)は、2次転写バイアスローラ(605)と2次転写対向ローラ(510)に張架された中間転写ベルト(501)との間に、所定のタイミングで転写材である転写紙(P)を送り込む。また、2次転写バイアスローラ(605)には、クリーニング手段であるクリーニングブレード(608)が当接している。該クリーニングブレード(608)は、2次転写バイアスローラ(605)の表面に付着した付着物を除去してクリーニングするものである。
このような構成のカラー複写機において、画像形成サイクルが開始されると、感光体ドラム(200)は、図示しない駆動モータによって矢印で示す半時計方向に回転され、該感光体ドラム(200)上に、Bk(ブラック)トナー像形成、C(シアン)トナー像形成、M(マゼンタ)トナー像形成、Y(イエロー)トナー像形成が行われる。中間転写ベルト(501)はベルト駆動ローラ(508)によって矢印で示す時計回りに回転される。この中間転写ベルト(501)の回転に伴って、1次転写バイアスローラ(507)に印加される電圧による転写バイアスにより、Bkトナー像、Cトナー像、Mトナー像、Yトナー像の1次転写が行われ、最終的にBk、C、M、Yの順に中間転写ベルト(501)上に各トナー像が重ね合わせて形成される。
例えば、上記Bkトナー像形成は次のように行われる。
図2において、帯電チャージャ(203)は、コロナ放電によって感光体ドラム(200)の表面を負電荷で所定電位に一様に帯電する。上記ベルトマーク検知信号に基づき、タイミングを定め、図示しない書き込み光学ユニットにより、Bkカラー画像信号に基づいてレーザ光によるラスタ露光を行う。このラスタ像が露光されたとき、当初一様帯電された感光体ドラム(200)の表面の露光された部分は、露光光量に比例する電荷が消失し、Bk静電潜像が形成される。このBk静電潜像に、Bk現像器(231K)の現像ローラ上の負帯電されたBkトナーが接触することにより、感光体ドラム(200)の電荷が残っている部分にはトナーが付着せず、電荷の無い部分つまり露光された部分にはトナーが吸着し、静電潜像と相似なBkトナー像が形成される。
このようにして感光体ドラム(200)上に形成されたBkトナー像は、感光体ドラム(200)と接触状態で等速駆動回転している中間転写ベルト(501)のベルト外周面に1次転写される。この1次転写後の感光体ドラム(200)の表面に残留している若干の未転写の残留トナーは、感光体ドラム(200)の再使用に備えて、感光体クリーニング装置(201)で清掃される。この感光体ドラム(200)側では、Bk画像形成工程の次にC画像形成工程に進み、所定のタイミングでカラースキャナによるC画像データの読み取りが始まり、そのC画像データによるレーザ光書き込みによって、感光体ドラム(200)の表面にC静電潜像を形成する。
そして、先のBk静電潜像の後端部が通過した後で、且つC静電潜像の先端部が到達する前にリボルバ現像ユニット(230)の回転動作が行われ、C現像機(231C)が現像位置にセットされ、C静電潜像がCトナーで現像される。以後、C静電潜像領域の現像を続けるが、C静電潜像の後端部が通過した時点で、先のBk現像機(231K)の場合と同様にリボルバ現像ユニットの回転動作を行い、次のM現像機(231M)を現像位置に移動させる。これもやはり次のY静電潜像の先端部が現像位置に到達する前に完了させる。なお、M及びYの画像形成工程については、それぞれのカラー画像データ読み取り、静電潜像形成、現像の動作が上述のBk、Cの工程と同様であるので説明は省略する。
このようにして感光体ドラム(200)上に順次形成されたBk、C、M、Yのトナー像は、中間転写ベルト(501)上の同一面に順次位置合わせされて1次転写される。これにより、中間転写ベルト(501)上に最大で4色が重ね合わされたトナー像が形成される。一方、上記画像形成動作が開始される時期に、転写紙(P)が転写紙カセット又は手差しトレイなどの給紙部から給送され、レジストローラ(610)のニップで待機している。
そして、2次転写対向ローラ(510)に張架された中間転写ベルト(501)と2次転写バイアスローラ(605)によりニップが形成された2次転写部に、上記中間転写ベルト(501)上のトナー像の先端がさしかかるときに、転写紙(P)の先端がこのトナー像の先端に一致するように、レジストローラ(610)が駆動されて、転写紙ガイド板(601)に沿って転写紙(P)が搬送され、転写紙(P)とトナー像とのレジスト合わせが行われる。
このようにして、転写紙(P)が2次転写部を通過すると、2次転写電源(802)によって2次転写バイアスローラ(605)に印加された電圧による転写バイアスにより、中間転写ベルト(501)上の4色重ねトナー像が転写紙(P)上に一括転写(2次転写)される。この転写紙(P)は、転写紙ガイド板(601)に沿って搬送されて、2次転写部の下流側に配置した除電針からなる転写紙除電チャージャ(606)との対向部を通過することにより除電された後、ベルト構成部であるベルト搬送装置(210)により定着装置(270)に向けて送られる(図2参照)。そして、この転写紙(P)は、定着装置(270)の定着ローラ(271)、(272)のニップ部でトナー像が溶融定着された後、図示しない排出ローラで装置本体外に送り出され、図示しないコピートレイに表向きにスタックされる。なお、定着装置(270)は必要によりベルト構成部を備えた構成とすることもできる。
一方、上記ベルト転写後の感光体ドラム(200)の表面は、感光体クリーニング装置(201)でクリーニングされ、上記除電ランプ(202)で均一に除電される。また、転写紙(P)にトナー像を2次転写した後の中間転写ベルト(501)のベルト外周面に残留した残留トナーは、ベルトクリーニングブレード(504)によってクリーニングされる。該ベルトクリーニングブレード(504)は、図示しないクリーニング部材離接機構によって、該中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して所定のタイミングで接離されるように構成されている。
このベルトクリーニングブレード(504)の上記中間転写ベルト(501)の移動方向上流側には、該中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して接離するトナーシール部材(502)が設けられている。このトナーシール部材(502)は、上記残留トナーのクリーニング時に上記ベルトクリーニングブレード(504)から落下した落下トナーを受け止めて、該落下トナーが上記転写紙(P)の搬送経路上に飛散するのを防止している。このトナーシール部材(502)は、上記クリーニング部材離接機構によって、上記ベルトクリーニングブレード(504)とともに、該中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して接離される。
このようにして残留トナーが除去された中間転写ベルト(501)のベルト外周面には、上記潤滑剤塗布ブラシ(505)により削り取られた潤滑剤(506)が塗布される。該潤滑剤(506)は、例えば、ステアリン酸亜鉛などの固形体からなり、該潤滑剤塗布ブラシ(505)に接触するように配設されている。また、この中間転写ベルト(501)のベルト外周面に残留した残留電荷は、該中間転写ベルト(501)のベルト外周面に接触した図示しないベルト除電ブラシにより印加される除電バイアスによって除去される。ここで、上記潤滑剤塗布ブラシ(505)及び上記ベルト除電ブラシは、それぞれの図示しない接離機構により、所定のタイミングで、上記中間転写ベルト(501)のベルト外周面に対して接離されるようになっている。
ここで、リピートコピーの時は、カラースキャナの動作及び感光体ドラム(200)への画像形成は、1枚目の4色目(Y)の画像形成工程に引き続き、所定のタイミングで2枚目の1色目(Bk)の画像形成工程に進む。また、中間転写ベルト(501)は、1枚目の4色重ねトナー像の転写紙への一括転写工程に引き続き、ベルト外周面の上記ベルトクリーニングブレード(504)でクリーニングされた領域に、2枚目のBkトナー像が1次転写されるようにする。その後は、1枚目と同様動作になる。以上は、4色フルカラーコピーを得るコピーモードであったが、3色コピーモード、2色コピーモードの場合は、指定された色と回数の分について、上記同様の動作を行うことになる。また、単色コピーモードの場合は、所定枚数が終了するまでの間、リボルバ現像ユニット(230)の所定色の現像機のみを現像動作状態にし、ベルトクリーニングブレード(504)を中間転写ベルト(501)に接触させたままの状態にしてコピー動作を行う。
上記実施形態では、感光体ドラム1を一つだけ備えた複写機について説明したが、本発明は、例えば、図3の要部模式図に一構成例を示すような、複数の感光体ドラムをシームレスベルトからなる一つの中間転写ベルトに沿って並設した画像形成装置にも適用できる。
図3は、4つの異なる色(ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン)のトナー像を形成するための4つの感光体ドラム(21BK、21Y、21M、21C)を備えた4ドラム型のデジタルカラープリンタの一構成例を示す。
図3において、プリンタ本体(10)は電子写真方式によるカラー画像形成を行うための、画像書込部(12)、画像形成部(13)、給紙部(14)、から構成されている。画像信号を元に画像処理部で画像処理して画像形成用の黒(BK)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)の各色信号に変換し、画像書込部(12)に送信する。画像書込部(12)は、例えば、レーザ光源と、回転多面鏡等の偏向器と、走査結像光学系、及びミラー群、からなるレーザ走査光学系であり、上記の各色信号に対応した4つの書込光路を有し、画像形成部(13)の各色毎に設けられた像坦持体(感光体)(21BK、21M、21Y、21C)に各色信号に応じた画像書込を行う。
画像形成部(13)は黒(BK)用、マゼンタ(M)用、イエロー(Y)用、シアン(C)用の各像坦持体である感光体(21BK、21M、21Y、21C)を備えている。この各色用の各感光体としては、通常OPC感光体が用いられる。各感光体(21BK、21M、21Y、21C)の周囲には、帯電装置、上記書込部(12)からのレーザ光の露光部、黒、マゼンタ、イエロー、シアンの各色用の現像装置(20BK、20M、20Y、20C)、1次転写手段としての1次転写バイアスローラ(23BK、23M、23Y、23C)、クリーニング装置(表示略)、及び図示しない感光体除電装置等が配設されている。なお、上記現像装置(20BK、20M、20Y、20C)には、2成分磁気ブラシ現像方式を用いている。ベルト構成部である中間転写ベルト(22)は、各感光体(21BK、21M、21Y、21C)と、各1次転写バイアスローラ(23BK、23M、23Y、23C)との間に介在し、各感光体上に形成された各色のトナー像が順次重ね合わせて転写される。
一方、転写紙(P)は、給紙部(14)から給紙された後、レジストローラ(16)を介して、ベルト構成部である転写搬送ベルト(50)に担持される。そして、中間転写ベルト(22)と転写搬送ベルト(50)とが接触するところで、上記中間転写ベルト(22)上に転写されたトナー像が、2次転写手段としての2次転写バイアスローラ(60)により2次転写(一括転写)される。これにより、転写紙(P)上にカラー画像が形成される。このカラー画像が形成された転写紙(P)は、転写搬送ベルト(50)により定着装置(15)に搬送され、この定着装置(15)により転写された画像が定着された後、プリンタ本体外に排出される。
なお、上記2次転写時に転写されずに上記中間転写ベルト(22)上に残った残留トナーは、ベルトクリーニング部材(25)によって中間転写ベルト(22)から除去される。このベルトクリーニング部材(25)の下流側には、潤滑剤塗布装置(27)が配設されている。この潤滑剤塗布装置(27)は、固形潤滑剤と、中間転写ベルト(22)に摺擦して固形潤滑剤を塗布する導電性ブラシとで構成されている。前記導電性ブラシは、中間転写ベルト(22)に常時接触して、中間転写ベルト(22)に固形潤滑剤を塗布している。固形潤滑剤は、中間転写ベルト(22)のクリーニング性を高め、フィルミィングの発生を防止し耐久性を向上させる作用がある。
以下、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、これら実施例によって制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りこれらの実施例を適宜改変したものも本件の発明の範囲内である。
下記により塗工液を調製し、この塗工液を用いてシームレスベルトを製造した。
<塗工液の調製>
先ず、ポリイミド樹脂前駆体を主成分とするポリイミドワニス(U−ワニスA;宇部興産社製)に、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(SpecialBlack4;エボニックデグサ社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の17重量%になるように調合し、よく攪拌混合して塗工液を調製した。
〔シームレスベルトの製造〕
次に、外径100mm、長さ300mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製円筒を型として用い、この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、上記塗工液を円筒外面に均一に流延するようにディスペンサーにて塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転数を100rpmに上げ、熱風循環乾燥機に導入して、110℃まで徐々に昇温して60分加熱した。さらに昇温して200℃で20分加熱し、回転を停止、徐冷して成形膜が形成された円筒型を取り出し、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に320℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。
加熱を停止し、常温まで徐冷した後、成形膜が形成された円筒型を図1に示す超臨界流体曝露装置(装置300)に設置した。次いで二酸化炭素を供給ボンベにより前記耐圧セルに供給し、加圧ポンプと温度調整手段で30MPa、40℃に調節し、温度および圧力が安定した後は耐圧セルを封じきり、3分間静置した。静置後、温度・圧力を徐々に大気雰囲気まで低下させ、金型を取り出し、塗膜を金型より取り外し、膜厚60μmのシームレスベルトを得た。脱型の際、成形膜の端部を持ち円筒型からスライドさせるだけで成形膜(シームレスベルト)を傷つけることなく、容易に取り外すことができた。
同様に複数の円筒型50個を用いてそれぞれ20個ずつ1000個のシームレスベルトを連続で製造したが、不良は0個であった。
下記により塗工液を調製し、この塗工液を用いてシームレスベルトを製造した。
<塗工液の調製>
先ず、ポリアミドイミド樹脂前駆体を主成分とするポリアミドイミドワニス(HR16NN;東洋紡績社製)に、予めビーズミルにてN−メチル−2−ピロリドン中に分散させたカーボンブラック(MA77;三菱化学社製)の分散液を、カーボンブラック含有率がポリアミック酸固形分の20重量%になるように調合し、よく攪拌混合して塗工液を調製した。
〔シームレスベルトの作製〕
次に、外径100mm、長さ300mmの外面をブラスト処理にて粗面化した金属製円筒を型として用い、この円筒型を50rpm(回/分)で回転させながら、上記塗工液を円筒外面に均一に流延するようにディスペンサーにて塗布した。所定の全量を流し終えて塗膜がまんべんなく広がった時点で、回転数を100rpmに上げ、熱風循環乾燥機に導入して、110℃まで徐々に昇温して60分加熱した。さらに昇温して200℃で20分加熱し、回転を停止、徐冷して成形膜が形成された円筒型を取り出し、これを高温処理の可能な加熱炉(焼成炉)に導入し、段階的に260℃まで昇温して60分加熱処理(焼成)した。
加熱を停止し、常温まで徐冷した後、成形膜が形成された円筒型を図1に示す超臨界流体曝露装置(装置300)に設置した。次いで二酸化炭素を供給ボンベにより前記耐圧セルに供給し、加圧ポンプと温度調整手段で30MPa、40℃に調節し、温度および圧力が安定した後は耐圧セルを封じきり、3分間静置した。静置後、温度・圧力を徐々に大気雰囲気まで低下させ、金型を取り出し、塗膜を金型より取り外し、膜厚60μmのシームレスベルトを得た。円筒型からの脱型は、実施例1と同様、成形膜の端部を持ち円筒型からスライドさせるだけで成形膜(シームレスベルト)を傷つけることなく、容易に取り外すことができた。
同様に複数の円筒型50個を用いてそれぞれ20個ずつ1000個のシームレスベルトを連続で製造したが、不良は0個であった。
[比較例1]
実施例1において、外面にフッ素系の離型層を形成した金型(円筒型)を用い、実施例1と同様に塗膜を形成後、加熱処理により成形膜とし、この成形膜の剥離(脱型)の際に、図1に示す装置は用いず、以下の方法で脱型を行った。
上記加熱処理により得られた成形膜の端部を一部カットし、金型との隙間へエアーを送風しながら成形膜の端部を保持しながら金型からスライドさせ、成形膜を金型から取り外した。
同様に複数の円筒型50個を用いてそれぞれ20個ずつ1000個のシームレスベルトを連続で製造したが、送風したエアーにより、成形膜の端部の一部が傷ついたもの、又はエアー送風によって急速に剥離する部分があったため塗膜にひずみが生じ塗膜の一部に折れ目のような筋が入ったもの等、不良品が100個発生した。
実施例1と全く同様にして、調製した塗工液を用いて成形膜(シームレスベルト)の製造、成形膜(シームレスベルト)の離型(脱型)を、同一の金型(円筒型)を用いて繰り返し100回実施した。
その結果、100回とも良好な成形膜(シームレスベルト)を得ることができ、不良品は0個であった。すなわち、金型(円筒型)の耐久性に問題はなく、定期的なメンテナンスを行う必要はなかった。
[比較例2]
比較例1において良品が得られた金型を用いて、比較例1と同様にして、成形膜(シームレスベルト)の製造、成形膜(シームレスベルト)の離型(脱型)を、繰り返し100回実施した。
その結果、20回目辺りから金型の剥離性能が低下し、成形膜(シームレスベルト)の離型(脱型)に要する時間が増加した。また、30回目から一部が金型に貼り付き離型(脱型)できず、成形膜(シームレスベルト)に穴が発生する不良が生じた。
実施例1〜3で製造したシームレスベルトから選択したベルトを、図3に示す構成の電子写真装置(画像形成装置)の中間転写ベルトとして配備し、カラー画像の高速転写を行った結果、いずれも位置精度も良好であり、異常画像のない高品質な画像が得られた。
すなわち、本発明の製造方法によれば、金型のメンテナンスが不要でも不良の発生しない高い生産性を実現でき、欠陥のない高品質なシームレスベルトが容易、かつ高効率で得られる。特に、ポリイミド樹脂製又はポリアミドイミド樹脂製のシームレスベルトは優れた機械強度(高弾性)、耐熱性及び難燃性を備えているため、高速転写、位置精度、耐久性が要求される電子写真装置(画像形成装置)における中間転写ベルトとして好適に用いることができる。
(図1の符号)
1:高圧送液ポンプ
2:ストップバルブ
3:フィルター
4:耐圧容器
5:スターラー
6:フィルター
7:減圧バルブ
8:流量計
T;温度計
P;圧力計

(図2の符号)
P 転写紙
L レーザー光
70 除電ローラ
80 アースローラ
200 感光体ドラム
201 感光体クリーニング装置
202 除電ランプ
203 帯電チャージャ
204 表面電位センサー
205 画像濃度センサー
210 ベルト搬送装置
230 リボルバ現像ユニット
231Y Y現像機
231K Bk現像機
231C C現像機
231M M現像機
270 定着装置
271、272 定着ローラ
500 中間転写ユニット
501 中間転写ベルト
502 トナーシール部材
503 帯電チャージャ
504 ベルトクリーニングブレード
505 潤滑剤塗布ブラシ
506 潤滑剤
507 1次転写バイアスローラ
508 ベルト駆動ローラ
509 ベルトテンションローラ
510 2次転写対向ローラ
511 クリーニング対向ローラ
512 フィードバッグ電流検知ローラ
513 トナー画像
514 光学センサ
600 2次転写ユニット
601 転写紙ガイド板
605 2次転写バイアスローラ
606 転写紙除電チャージャ
608 クリーニングブレード
610 レジストローラ
801 1次転写電源
802 2次転写電源

(図3の符号)
P 転写紙
10 プリンタ本体
12 画像書込部
13 画像形成部
14 給紙部
15 定着装置
16 レジストローラ
20BK、20M、20Y、20C 現像装置
21BK、21M、21Y、21C 感光体
22 中間転写ベルト
23BK、23M、23Y、23C 1次転写バイアスローラ
25 ベルトクリーニング部材
26 駆動ローラ
27 潤滑剤塗布装置
50 転写搬送ベルト
60 2次転写バイアスローラ

(図4の符号)
41 耐圧容器
42 シームレスベルト金型
特許第4044417号公報 特開2006−264187号公報 特開2005−14443号公報 特開2009−12307号公報 特開2006−301196号公報 特開2006−116821号公報

Claims (8)

  1. 円筒状の型の内面又は外面に樹脂成分を含む塗工液を塗布し、それを乾燥及び/又は硬化させることにより製膜化し、これを脱型する電子写真装置用シームレスベルトの製造方法であって、前記製膜された膜を前記円筒状の型と共に超臨界流体または亜臨界流体で処理し、脱型することを特徴とする電子写真装置用シームレスベルトの製造方法。
  2. 該超臨界流体または亜臨界流体が、超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置用シームレスベルトの製造方法。
  3. 前記樹脂成分がポリイミド樹脂前駆体又はポリアミドイミド樹脂前駆体であり、前記成形膜がポリイミド樹脂又はポリアミドイミド樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置用シームレスベルトの製造方法。
  4. 前記塗工液中に、電気抵抗調整材を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の電子写真装置用シームレスベルトの製造方法。
  5. 円筒状の型の内面又は外面に、少なくとも樹脂成分を含む塗工液が塗布されて塗膜が形成され、前記塗膜の乾燥及び/又は硬化により電子写真装置用シームレスベルト状の成形膜とされた後に、前記成形膜が前記円筒状の型から脱型されて製造される電子写真装置用シームレスベルトであって、請求項1乃至4のいずれか1に記載の方法により、製造されたことを特徴とする電子写真装置用シームレスベルト。
  6. 電子写真装置に装備される請求項5に記載の電子写真装置用シームレスベルト。
  7. 前記電子写真装置用シームレスベルトが、中間転写ベルトであることを特徴とする請求項6に記載の電子写真装置用シームレスベルト。
  8. 電子写真装置用シームレスベルトを装備する電子写真装置において、該電子写真装置用シームレスベルトが請求項5乃至7のいずれか1に記載の電子写真装置用シームレスベルトであることを特徴とする電子写真装置。
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