JP2011041970A - 鉛フリーはんだ接合材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】母合金1となる鉛フリーはんだ合金に存在するSnマトリックスに対して過剰濃度のCu及びNiが積極的に作用して、はんだ合金中に金属間化合物を形成させ、当該金属間化合物がはんだ合金中に存在するように制御し、はんだ接合部にも金属間化合物が存在するようにして、当該母合金である鉛フリーはんだ合金の液相線温度よりも高い温度での溶融を実現する。また、更にGaを加えることにより、はんだ接合部の伸び性向上効果を併せて有することで過酷な温度変化を伴う使用環境からはんだ付け部の耐久性が重視される車載用のパワーデバイスに用いられるパワーモジュール等に使用が可能となる。
【選択図】図1
Description
特に、車載モータやその他の電動モータの駆動を制御するための発熱量が大きいパワーモジュール等の接合に使用する接合材料として多く用いられてきている。そして、車載用パワーデバイスに用いられるパワーモジュール等は、使用環境面において苛酷な温度変化を伴うためにはんだ接合部の耐久性や信頼性が重視されている。
例えば、ステップ・ソルダリングと称するはんだ付け手法(特許文献1)の提案、プリフォームはんだ及びその製造方法(特許文献2及び3)の提案、線はんだ及びその製造方法の提案(特許文献4)がなされている。
例えば、特許文献1のステップ・ソルダリングと称するはんだ付け手法に関する提案は、2段階のはんだ付け工程を行う必要があり、その上、初回のはんだ付けに使用するはんだ合金の組成と2回目のはんだ付け工程に使用するはんだ合金の組成が異なるため、工程の煩雑さに加えて、使用するはんだ合金も複数になり管理面及びコスト面において課題が残されている。
特許文献2及び3のプリフォームはんだ及びその製造方法に関する提案は、プリフォームはんだ所謂シート状に成型したはんだ接合材料に関する内容であって、特定の処理をした金属粒を均一に所定量混合することによりはんだ付け部間に所定のクリアランスを設けて接合強度を向上させる技術(特許文献2)であり、プリフォームはんだに関する提案であって、はんだ接合部に金属粒子を混入させた際のフラックスの影響を抑え、且つボイドを抑制する内容(特許文献3)である。これらの提案は、プリフォームはんだであるため圧延工程が必要である。そして、はんだ接合部の接合強度向上を目的としたもので、耐熱特性については課題が残されている。
特許文献4の線はんだ及びその製造方法の提案は、線はんだの素となる金属細管に成分の異なる2種以上の金属粉末等を充填して線はんだに加工したものであり、はんだ接合部のボイド抑制効果を目的としたものであり、耐熱特性については課題が残されている。
また、更に本発明の鉛フリーはんだ接合材料にGaを加えることにより、はんだ接合部の伸び性向上効果を併せて有することに成功した。
従来、はんだ合金の耐熱特性を向上させる方法として、はんだ合金に高融点の金属粉末を添加する方法があるが、はんだ合金中に金属粉末を均一に分散させることが困難なため、当該金属粉末をフラックス等でコーティングして分散させていた。また、効果面より分散した金属粉末のはんだ合金中での残存量の確保と均一分散化が課題となっている。
本発明は、上記のような金属粉末によって耐熱特性を向上させるのではなく、はんだ合金中に積極的に金属間化合物を形成、析出させることによってはんだ接合部の耐熱特性を向上させるのである。
例えば、Sn-Cu-Ni系はんだ合金又はSn-Ni系はんだ合金を母合金として、Cu及びNi濃度が母合金のSnに対して過剰となるように制御することにより、当該母合金を主成分とする鉛フリーはんだ合金中に針状結晶構造を有する金属間化合物を形成させ、その後、図1に示すように針状結晶構造を有する金属間化合物をはんだ合金中に均一に分散させるのである。
その際、形成、析出する金属間化合物の組成は、母合金とする鉛フリーはんだ合金の組成によって異なるが、例えば、Cu3Snや(Cu,Ni)6Sn5等が例示できるが、針状結晶構造を有する(Cu,Ni)6Sn5組成の形成が重要であり、はんだ合金中に析出するよう制御するため、過剰な濃度のCu及びNi等が必要となる。
そして、はんだ合金中に形成、析出した(Cu,Ni)6Sn5組成の針状結晶構造を有する金属間化合物は、母合金となるSn-Cu-Ni系はんだ合金又はSn-Ni系はんだ合金の液相線温度に比べて著しく高い溶融温度であるため、当該金属間化合物の存在による溶融温度上昇効果が高い。
また、従来のCuやNi金属粉末添加に比べて、当該金属間化合物ははんだ合金中での溶解性が低いため、はんだ接合部の耐熱特性の向上がより期待できる。
何れの方法も母合金である鉛フリーはんだ合金中のSnマトリックスに対してCu及びNiが過剰濃度となるように制御して、(Cu,Ni)6Sn5組成の針状結晶構造を有する金属間化合物を形成、析出させても構わない。
また、析出した針状結晶構造を有する金属間化合物をはんだ合金中に均一に分散させる方法としては、Snに対してCu及びNi濃度が過剰となった状態で当該母合金の液相線温度以上で加熱溶融した後、固相線付近まで冷却して当該金属間化合物を形成、析出させた後、再度、当該はんだ接合材料を当該母合金液相線温度以上、且つ、金属間化合物の融点以下にて攪拌混合して均一に当該金属間化合物を分散させた後、冷却する方法等が例示できる。
例えば、本発明の鉛フリーはんだ接合材料を作成する具体的な方法として、本発明の母合金であるSn-Cu-Ni鉛フリー合金を加熱溶解し溶湯状態とした後、固相線温度付近まで1℃/分程度で徐冷し、固相線温度付近で一定時間維持し金属間化合物を晶出させた後、260℃〜300℃になるまで再加熱して溶湯状態にして流動性が向上させ、晶出した金属間化合物を均一に分散させる。その後、10℃〜30℃/分で急冷して本発明の鉛フリーはんだ接合材料インゴット中に金属間化合物を分散させてものを作成することが出来る。
また、上記鉛フリーはんだ合金にNi、Co、Ge、Ga、Cr、P、Si、Ti、V、Mn、Fe、Zr、Nb、Mo、Pd,Te、Pt、Au等を適宜添加しても構わない。
また、Sn-Cu-Ni系及びSn-Ni系鉛フリーはんだ合金を母合金とする場合、Cu濃度がCu-Sn共晶濃度(Sn:約99.1,Cu:約0.9重量%)以下でも問題なく、その場合、例示の方法にてSnに対するCu濃度を過剰濃度に調整することが可能であり、Niに関しても同様である。
そして、Sn-Cu-Ni系及びSn-Ni系鉛フリーはんだ合金を母合金として用いる場合、溶融したはんだ合金中にCuがSnに対して約0.9重量%以上に、NiがCu濃度より高濃度となるように調整すれば良く、CuとNiとの比率に関しては、Cuの添加量に比べNiの添加量が多くなるように調整すると(Cu,Ni)6Sn5組成の針状結晶構造を有する金属間化合物の形成、析出が起こりやすく、所謂Niリッチな状態にすることが好ましい。
例えば、長径方向の長さが0.1〜20μm程度の針状結晶であれば問題ないが、本発明の鉛フリーはんだ接合材料の溶解時に形成した金属間化合物の量が多量になった場合、外観的にシャーベット状を成すため、その際にははんだ付けの作業性や外観が悪くなる場合があるのでCu及びNiの量を調整することにより、作業性や外観を向上させることが可能である。
2 針状結晶構造を有する金属間化合物
Claims (6)
- 鉛フリーはんだ接合材料であって、鉛フリーはんだ合金中に金属間化合物が存在することを特徴とする金属間化合物を含有した鉛フリーはんだ接合材料。
- 母合金となる鉛フリーはんだ合金が、Sn−Cu−Ni系はんだ合金又はSn−Ni系はんだ合金であることを特徴とする請求項1記載の金属間化合物を含有した鉛フリーはんだ接合材料。
- 請求項1及び請求項2記載のはんだ接合材料において、更にGaを加えたことを特徴とする金属間化合物を含有した鉛フリーはんだ接合材料。
- 請求項1〜請求項3記載のはんだ接合材料において、鉛フリーはんだ合金中に金属間化合物が存在すること、及びそれを用いてはんだ付けを行なったはんだ接合部が当該母合金の液相線温度より高融点となることを特徴とする金属間化合物を含有した鉛フリーはんだ接合材料。
- 請求項1〜請求項4の何れかの金属間化合物を含有した鉛フリーはんだ接合材料を用いたはんだ継手。
- 請求項1〜請求項4記載の鉛フリーはんだ接合材料であって、母合金となる鉛フリーはんだ合金中Cu及びNi濃度を過剰にして金属間化合物を形成させる方法。
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