JP2010253842A - 熱変色性筆記具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 筆記具に生活温度域で消色する熱変色性インキを収容し、フィルム転写による装飾を施した外装を用いる場合であっても、直射日光によって内蔵インキが不用意に消色することがなく、白色ベタ層を用いずに転写像の色調の再現性を得ることができる、特殊な筆跡性能と優れた装飾性を備えたノベルティー効果の高い筆記具を提供する。
【解決手段】 加熱により消色或いは変色可能なインキ4を収容する熱変色性筆記具1であって、筆記具外装6の明度値が6.3以上であると共に、前記外装表面にフィルム転写による転写層9が積層されてなる。
【選択図】 図2

Description

本発明は熱変色性筆記具に関する。詳細には、筆跡を加熱することにより消色或いは変色が可能であり装飾効果の高い外装を有する熱変色性筆記具に関する。
従来、筆記具の外装装飾や名入れを施す手段として、パッド印刷等による直接印刷や、転写フィルムを用いた熱転写印刷等が用いられている(例えば、特許文献1参照)。
前記転写フィルムによる印刷は、直接印刷に比べて繊細な色彩や画像を大面積に形成でき、曲面への印刷も容易にできることから、近年では広く用いられている。一般に、転写フィルムに写真や図柄等を形成する際、グラビア印刷等の手法が用いられるが、該手法では印刷版を作製する必要があると共に、色替えや位置合わせ等の専門的な印刷技術が要求される。そのため、フィルム製造に時間とコストがかかってしまい、顧客ニーズに対応する名入れ等の少ロット多品種製品への適応には不向きなものであった。
そこで、少ロット多品種製品への適用が可能な、印刷版を必要としない印刷技術として、オンデマンド印刷が注目されており、インクジェット法やトナーを用いた電子写真法等の印刷方法により転写フィルムが作製されている(例えば、特許文献2参照)。
前記オンデマンド方式の印刷では、印刷版の作製や専門的な印刷技術を必要としないため、顧客ニーズに対応して所望の写真、図柄、文字等をデザインした転写フィルムを迅速に作製できるものであるが、オンデマンド印刷に用いられるインキやトナーは、一般的に基本3原色(イエロー、シアン、マゼンダ)と黒に限定されるものである。そのため、被転写材(筆記具外装)の色が濃色の場合には、絵柄が下地の色に消されて色調の再現性が悪くなる。この不具合を解消するために、白色ベタ層が必要となるが、プリンターヘッドの制約によって別工程での塗布が必要になるため、より専門的な印刷技術が必要となってしまい時間とコストがかかってしまう。
これとは別に、前述の装飾を施すことができる筆記具として、熱変色性インキを収容するマーキングペンが開示されている(例えば、特許文献3参照)。
前記筆記具は、体温以上の温度域で温度消色するインキを収容するため、保管時に直射日光が当たる場所に長時間放置していると、軸筒(外装部材)が加温されて軸筒内部の空間(熱変色性インキが収容される部分)の温度が上昇してインキが消色する傾向がある。特に軸筒が黒色や青色等の濃色(即ち、明度が高い色調)に着色されている場合、該軸筒が日光を吸収して内部が短時間で高温化してしまうため、収容するインキが容易に消色し、筆記時に筆跡が視認できないという不具合を生じることがある。
実開平7−12289号公報 特開2000−141992号公報 実公平2−30425号公報
本発明は、筆記具に生活温度域で消色する熱変色性インキを収容し、フィルム転写による装飾を施した外装を用いる場合であっても、直射日光によって内蔵インキが不用意に消色することがなく、白色ベタ層を用いずに転写像の色調の再現性を得ることができる、特殊な筆跡性能と優れた装飾性を備えたノベルティー効果の高い筆記具を提供するものである。
本発明は、加熱により消色或いは変色可能なインキを収容する熱変色性筆記具であって、筆記具外装の明度値が6.3以上であると共に、前記外装表面にフィルム転写による転写層が積層されてなることを要件とする。
更に、前記転写層が、オンデマンド方式の印刷方法によって像形成された転写フィルムを用いて積層されること、前記転写フィルムが、インクジェット方式で像形成されること、前記インキが、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる可逆熱変色性組成物を内包した、加熱により有色から無色に色変化するマイクロカプセル顔料を含むこと、前記マイクロカプセル顔料が、色濃度−温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して有色状態と無色状態の互変性を呈し、両状態が共存できる保持温度域が常温域にある顔料であり、該顔料は有色状態から温度が上昇する過程では、温度Tに達すると消色し始め、温度Tより高い温度T以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、前記温度Tより低い温度Tに達すると着色し始め、温度Tより低い温度T以下の温度域で完全に有色状態となり、前記温度Tと温度Tの間の温度域で有色状態或いは無色状態が保持できるヒステリシス特性を示し、温度Tは−30〜10℃の範囲にあり、温度Tが30〜80℃の範囲にあること、前記筆記具が擦過部材を備えてなることを要件とする。
本発明により、生活温度域で消色する熱変色性インキを収容する筆記具外装にフィルム転写による装飾を施した場合であっても、直射日光によって収容するインキが不用意に消色することがなくなると共に、転写フィルムの画像上に白色ベタ層を用いることなく転写像の色調の再現性を得ることができる。そのため、特にオンデマンド方式の印刷方法によって像形成された転写フィルムで有用であり、少ロット多品種製品への適用が可能な、特殊な筆跡性能と優れた装飾性を備えたノベルティー効果の高い筆記具となる。
本発明に用いられる可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。 本発明の熱変色性筆記具の一例を示す縦断面説明図である。 図2の転写部分の要部拡大図である。
本発明の熱変色性筆記具は、加熱により消色或いは変色可能なインキを収容すると共に、外装表面にフィルム転写による転写層が積層されるものである。
前記筆記具は、明度値が6.3以上(上限は10.0)である外装を備えたものであれば、樹脂や金属等の材質からなる外装を用いたマーキングペンやボールペン、更には万年筆等、汎用形態の筆記具が適用できる。尚、筆記具外装とは、軸筒やキャップ等の筆記具外面を構成する部分であり、直接最外面として使用されるものの他、透明フィルムによって転写層を被覆するタイプや、樹脂製透明外筒によって転写層を形成した内筒を被覆する二重筒タイプの軸筒等も含むものである。
前記明度値とするために、樹脂中に着色顔料や酸化チタン等の着色材を添加して成形する他、樹脂成形物や金属加工体表面への塗装やフィルム貼着等の手段が用いられる。特に、樹脂中に酸化チタンを添加して成形したものは、塗装等の後加工を施すことなく筆記具外装の隠蔽性(内部不透過性)を高めることができると共に、成形用樹脂中にメタリック顔料等の大粒径顔料を添加した際のウェルドラインの発生を抑制でき、外装全体が均一的に視認できるため好適である。
明度値が6.3より小さくなると、筆記具外装の日光照射による蓄熱性が高くなるため、内部空間の温度上昇に伴うインキ消色を生じ易くなると共に、画像層と下地の色調とのコントラストが不鮮明となり画像色調の再現性が悪くなる。
前記マーキングペンとしては、例えば、繊維チップ、フェルトチップ、プラスチックチップ等のマーキングペン用ペン先を筆記先端部に装着し、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、筆記先端部にインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させて筆記先端部に所定量のインキを供給する構造、軸筒内部に直接インキを収容し、弁機構により筆記先端部に所定量のインキを供給する構造のマーキングペン等が挙げられる。
ボールペンとしては、例えば、軸筒内にインキ組成物を充填したインキ収容管を有し、該インキ収容管はボールを先端部に装着したチップに連通しており、更にインキの端面にはインキ逆流防止体が密接する構造、チップを軸筒先端に接続し、該軸筒内にインキ組成物を直に充填すると共に、インキの端面にインキ逆流防止体が密接する構造、軸筒内部に収容した繊維束からなるインキ吸蔵体にインキを含浸させ、チップにインキを供給する構造、櫛溝状のインキ流量調節部材や繊維束からなるインキ流量調節部材を介在させてチップに所定量のインキを供給する構造のボールペン等が例示できる。また、チップを軸筒先端に接続してインキを直に充填する構造のボールペンは、インキを充填した外装に転写層を形成した後に透明外軸内に収容した構造であってもよい。
前記ボールペン用部材として、ボールペンチップは、金属製のパイプの先端近傍を外面より内方に押圧変形させたボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属材料をドリル等による切削加工により形成したボール抱持部にボールを抱持してなるチップ、或いは、金属製のパイプや金属材料の切削加工により形成したチップに抱持するボールをバネ体により前方に付勢させたもの等を適用できる。また、チップに用いられるボールは、超硬合金、ステンレス鋼、ルビー、セラミック等が適用できる。
前記インキ収容管としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂からなる成形体が好適に用いられ、インキ色やインキ残量等を確認できることから透明、着色透明、或いは半透明の成形体が好適である。
尚、前記インキ収容管を用いた場合、収容するインキの後端にはインキ逆流防止体が充填される。前記インキ逆流防止体としては、液状または固体のいずれを用いることもでき、前記液状のインキ逆流防止体としては、ポリブテン、シリコーン油等の不揮発性媒体が挙げられ、所望により前記媒体中にシリカ、珪酸アルミニウム等を添加することもできる。また、固体のインキ逆流防止体としては樹脂成形物が挙げられ、前記液状及び固体のインキ逆流防止体を併用することもできる。
前記マーキングペンやボールペンや万年筆は、ペン先(チップ)を覆うキャップを備えたキャップ式形態の他、ノック式、回転式、スライド式等の出没機構を有し、軸筒内にペン先を収容可能な出没式形態であってもよい。出没式形態とする場合、レフィルを一本収容するタイプだけでなく、二本以上収容して所望のレフィルを選択的に出没できる複式タイプとすることもできる。
また、相異なる形態のペン先を装着させたり、相異なる色調のインキを導出させるペン先を装着させた両頭式形態であってもよい。
前記筆記具に収容される、加熱により消色或いは変色可能なインキとしては、従来汎用のものが用いられ、特に、インキ中に配合される着色剤としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む可逆熱変色性組成物をマイクロカプセル中に内包させた顔料が有効である。
前記可逆熱変色性組成物のうち、加熱により消色する組成物としては、特公昭51−44706号公報、特公昭51−44707号公報、特公平1−29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する組成物を例示できる。
また、特公平4−17154号公報、特開平7−179777号公報、特開平7−33997号公報、特開平8−39936号公報、特開2005−1369号公報等に記載されている大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜70℃)を示し、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、低温域での発色状態、又は、高温域での消色状態が、特定温度域で記憶保持できる可逆熱変色性組成物を用いることもできる。
前記組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について詳しく説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する最低温度T(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは完全発色状態を保持できる最高温度T(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは完全消色状態を保持できる最低温度T(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する最高温度T(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
変色温度域は前記TとT間の温度域であり、第1色相と第2色相の両相が共存でき、色濃度の差の大きい領域であるTとTの間の温度域が実質変色温度域(二相保持温度域)である。
また、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きいと変色前後の各状態の保持が容易となる。
前記した組成物のうち、色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を用いることにより、第1の状態(有色)から第2の状態(無色)に色彩を簡易に変色させることができ、常態と異なる色彩を互変的に視覚させることができる。
具体的には、完全発色温度Tを冷凍室、寒冷地等でしか得られない温度、即ち−30〜10℃、好ましくは−30〜0℃、より好ましくは−30〜−10℃、且つ、完全消色温度Tを摩擦体による摩擦熱、ヘアドライヤー等身近な加熱体から得られる温度、即ち30〜80℃、好ましくは50〜80℃、より好ましくは60〜80℃の範囲に特定し、ΔH値を40〜60℃に特定することにより、常態(日常の生活温度域)で呈する色彩の保持に有効に機能させることができる。
本発明で適用される筆記具は、有色状態の可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料を含むインキを収容したものであり、前記筆記具により形成された筆跡が指触等では容易に消色されない構成であることが好ましく、しかも、消色した筆跡は再び現出しないことが好ましい。従って、前述したTとTの温度設定は極めて重要な要件となる。
前記各成分のうち、(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物としては、従来公知のジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられる。
成分(ロ)の電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
前記(ハ)成分として好ましくは、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性組成物を形成できる5℃以上50℃未満のΔT値(融点−曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が用いられる。また、前記(ハ)成分としてより好適には、特開2006−137886号公報や、特開2006−188660号公報に記載される化合物が用いられる。
前記可逆熱変色性組成物のマイクロカプセル化は、界面重合法、界面重縮合法、in Situ重合法、コアセルベート法等の公知の手段が適用できるが、凝集や合一化が生じ難いことから界面重合法又は界面重縮合法の適用が効果的である。
本願で適用される可逆熱変色性インキは、有色状態を示すマイクロカプセル顔料をビヒクル中に分散させたインキが有効であり、前記ビヒクルとしては水性ビヒクルが好ましいが、油性ビヒクルであってもよい。
具体的な水性インキとしては、剪断減粘性付与剤を含む剪断減粘性インキや、水溶性高分子凝集剤により可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を緩やかな凝集状態に懸濁させた凝集性インキが挙げられる。更には、可逆熱変色性顔料とビヒクルと比重差を0.05以下になるよう調節したインキが挙げられる。
前記剪断減粘性付与剤を添加することによって、マイクロカプセル顔料の凝集・沈降を抑制することができると共に、筆跡の滲みを抑制することができるため、紙面は勿論、浸透性の高い布帛等の繊維材料に筆記しても筆跡は滲むことなく良好な筆跡を形成できる。
更に、前記インキを充填する筆記具がボールペン形態の場合、不使用時のボールとチップの間隙からのインキ漏れだしを防止したり、筆記先端部を上向き(正立状態)で放置した場合のインキの逆流を防止することができる。
前記剪断減粘性付与剤としては、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100乃至800万)、グアーガム、ローカストビーンガム及びその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万〜15万の重合体、グルコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトール及びベンジリデンキシリトール又はこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8〜12のノニオン系界面活性剤、ジアルキル又はジアルケニルスルホコハク酸の塩類。N−アルキル−2−ピロリドンとアニオン系界面活性剤の混合物、ポリビニルアルコールとアクリル系樹脂の混合物を例示できる。
前記水溶性高分子凝集剤としては、非イオン性水溶性高分子化合物が好適に用いられ、具体的にはポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド、水溶性多糖類、非イオン性水溶性セルロース誘導体等が挙げられる。このうち水溶性多糖類の具体例としてはトラガントガム、グアーガム、プルラン、サイクロデキストリンが挙げられ、また非イオン性水溶性セルロース誘導体の具体例としてはメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。
前記水溶性高分子凝集剤はインキ中において顔料粒子間の緩い橋架け作用を示す水溶性高分子であればすべて適用することができるが、非イオン性水溶性セルロース誘導体が最も有効に作用する。
その他、必要に応じて汎用の水溶性有機溶剤や、高級脂肪酸、ノニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、リン酸エステル等の潤滑剤の添加や、アクリル樹脂、ポリビニルピロリドン等の樹脂を添加して紙面への固着性や粘性を付与することもできる。
また、炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等のpH調整剤、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、石炭酸、1、2−ベンズチアゾリン3−オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン等の防腐剤或いは防黴剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元又は非還元デンプン加水分解物、トレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリム等の湿潤剤、消泡剤、分散剤、インキの浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤やノニオン系の界面活性剤を添加してもよい。
更に、汎用の非変色性着色剤を添加することにより変色性インキを構成することができる。
前記熱変色性インキにより形成される筆跡は、指による擦過や加熱具等の加熱手段の適用により有色状態から無色状態に色調を変色させることができるが、筆記と消去を一本の筆記具で簡便且つ確実に行うために、筆記具に擦過部材(摩擦体)を設けることが好ましい。
前記擦過部材としては、弾性感に富み、擦過時に適度な摩擦を生じて摩擦熱を発生させることのできるエラストマー、プラスチック発泡体等の弾性体が好適であるが、プラスチック成形体、石材、木材、金属、布帛であってもよい。
尚、消しゴムを使用して筆跡を擦過することもできるが、擦過時に消しカスが発生するため、好ましくは前述のような擦過部材が用いられる。
前記擦過部材の材質としては、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体)等が好適に用いられるが、シリコーン樹脂は擦過により消去した部分に樹脂が付着し易く、繰り返し筆記した際に筆跡がはじかれることがあるため、SBS樹脂やSEBS樹脂がより好適に用いられる。また、前記擦過部材としては、JIS K6253Aにおけるショア硬度Aが55度以上のものがより好適である。
前記筆記具の外装表面(軸筒やキャップの外側から視認される面)に積層される転写層は、写真や図柄や文字等の画像が形成された転写フィルムを用いて熱転写等の汎用の転写(印刷)方法で形成されるものである。
前記転写フィルムによる印刷は、直接印刷に比べて繊細な色彩や画像を大面積に形成でき、曲面への印刷も容易にできることから装飾性の高い加飾手段として有用なものである。
前記転写フィルムへの画像形成方法としては、一般的なグラビア印刷等の印刷版を用いた方法であってもよいが、名入れ等の少ロット多品種製品への適応が可能な印刷版を用いずに行うことができるオンデマンド方式の印刷方法が好適である。
前記オンデマンド方式の印刷方法として具体的には、インクジェット方式、電子写真方式(湿式や乾式のトナーを用いる方式)、熱溶融型もしくは染料昇華型の熱転写方式、磁気ヘッド記録や熱磁気記録のマグネトグラフィ方式等の印刷方法を挙げることができる。中でも、インクジェット方式やトナー方式が好適であり、特に画像形成性が高く、製造コストが安価である点からインクジェット法が最適である。
前記インクジェット方式やトナー方式に用いられる着色剤としては、汎用の基本3原色(イエロー、シアン、マゼンダ)と黒色に適用できる有機顔料や無機顔料、更には染料が使用できる。
黒色系の着色剤としては、例えば、カーボンブラックや四三酸化鉄等の無機系着色剤、シアニンブラック等の有機系着色剤を使用できる。
イエロー系着色剤としては、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタン黄、オーカー等の無機系顔料を使用できる。また、アセト酢酸アリリド系モノアゾ顔料、アセト酢酸アリリド系ジスアゾ顔料、縮合アゾ顔料、ベンズイミダゾロン系モノアゾ顔料、イソインドリノン系顔料等の難溶性金属塩(アゾレーキ)を使用できる。
更に、スレン系顔料や、アゾ系ニッケル錯体顔料、ニトロソ系ニッケル錯体顔料、アゾメチン系銅錯体顔料等の金属錯体顔料、キノフタロン顔料であるフタルイミドキノフタロン顔料等を使用できる。
マゼンタ系着色剤としては、カドミウムレッド、ベンガラ、銀朱、鉛丹、アンチモン朱などの無機系顔料を使用できる。
また、アゾレーキ系顔料や不溶性アゾ系顔料(モノアゾ系、ジスアゾ系、及び縮合アゾ系)の他、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、キナクリドン系顔料、ピロコリン系顔料、赤色系フルオルビン系顔料等の縮合多環系顔料を使用できる。
シアン系着色剤としては、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルーなどの無機系顔料を使用できる。また、フタロシアニン系顔料、スレン系顔料、塩基性染料レーキ顔料等を使用できる。
その他、必要に応じて光輝性顔料やマット顔料を用いることも可能である。
前記光輝性顔料としては、例えば、貝殻の内側の部分や真珠の粉砕物、マイカの微粒子に酸化チタンや酸化鉄を焼き付けてなる鱗片状箔片(二酸化チタン被覆雲母)等のパール顔料、アルミニウム、真鍮、青銅、金、銀等の金属粉が挙げられる。
また、マット顔料としては、カオリナイト、ハロサイト、白雲母、タルク等の粘土鉱物、無水シリカ、無水アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム等の合成無彩色顔料が挙げられる。
染料としては、水溶性の直接染料、酸性染料、塩基性染料、食用染料、反応性染科、水不溶性の油溶性染料、分散染料を溶媒に分散或いは溶解した形で用いることができる。
前記水溶性の染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレツド1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,29,45,92,249、C.I.アシッドブラツク1,2,7,24,26,94、C.I.フードイエロー3,4、C.I.フードレッド7,9,14、C.I.フードブラック2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,26,33,44,50,142,144,86、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227、C.I.ダイレクトオレンジ26,29,62,102、C.I.ダイレクトブルー1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202、C.I.ダイレクトプラック19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168、C.I.べーシックイエローl,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,65,67,70,73,77,87,91、C.I.ベ−シックレッド1,2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,14,109,112、C.I.ベ−シックブルー1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155、C.I.ベーシックブラック2,8等のカラーインデックスで示す染料が用いられる。
水不溶性の染料としては、例えば、ジアリールメタン系、トリアリールメタン系、チアゾ−ル系、メチン系、アゾメチン系、キサンチン系、オキサジン系、アゾおよびアゾ系誘導体、アントラキノン誘導体、キノフタロン誘導体、スピロジピラン系、イソドリノスビロピラン系、フルオラン系の染料が好適に用いられる。具体的には、カラーインデックスで示すC.I.ディスパースイエロー51,3,54,79,60,23,7,141、C.I.デイスパースブルー24,56,14,301,334,165,19,72,87,287,154,26,359、C.I.ディスパースレッド135,146,59,1,73,60,167、C.I.ディスパースバイオレット4,13,26,36,56,31、C.I.ソルベントバイオレット13、C.I.ソルベントブラック3、C.I.ソルベントグリーン3、C.I.ソルベントイエロー66,14,16,29,105、C.I.ソルベントブルー70,35,63,36,50,49,111,105,97,11、C.I.ソルレベントレッド135,81,18,25,19,23,24,143,146,182等である。
前記インキにより画像形成される転写フィルムの基材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタラート等の汎用の樹脂フィルムが挙げられ、特に、転写時の加熱処理に耐えられるものであればいずれも適用できる。
前記転写フィルムの画像形成面(即ち、フィルムとインキ画像の間となる位置)には、透明な剥離層が設けられており、該剥離層は、転写時にフィルムから剥がれ、転写後には画像層を保護するものである。前記剥離層としては、例えば、(メタ)アクリル酸樹脂、スチレンと(メタ)アクリル酸低級アルキルエステルとの共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ゴム、ニトロセルローズ等、既知の材料で形成することができる。また、これらの剥離層に、ワックス、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の離型物質を添加してもよい。
前記剥離層上に画像層を印刷した後、フィルム上には接着層が塗布される。前記接着層としては、例えば、ホットメルト型接着剤により構成され、具体的には、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ゴム系樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ジアリルフタレート樹脂、塩素化ポリオレフィン、ポリアミド樹脂及びこれらの混合物の中から選んで使用することができる。
以下に実施例を示すが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
尚、実施例中の部は重量部である。また、明度値については、東京電飾社製の色差計TC−3600を用いて各外装を構成する樹脂組成物のプレートを測定した。
実施例1(図1乃至3参照)
可逆熱変色性インキの調製
(イ)成分として2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン4.5部、(ロ)成分として1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン4.5部、2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン7.5部、(ハ)成分としてカプリン酸4−ベンジルオキシフェニルエチル50.0部からなる可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T:−20℃、T:−9℃、T:40℃、T:57℃、ΔH:63℃、平均粒子径:2.5μm、黒色から無色に色変化する)12.5部、サクシノグリカン(剪断減粘性付与剤)0.33部、尿素10部、グリセリン10部、ノニオン系浸透性付与剤0.6部、変性シリコーン系消泡剤0.1部、防黴剤0.1部、水66.37部からなる可逆熱変色性インキを調製した。
可逆熱変色性筆記具1の作製
前記インキ4(予め0℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を黒色に発色させた後、室温下で放置したもの)をポリプロピレン製パイプ(インキ収容筒21)に吸引充填し、樹脂製ホルダー22を介してボールペンチップ3と連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプ21の後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体5(液栓)を充填し、更に尾栓23をパイプの後部に嵌合させ、先軸筒、後軸筒(軸筒6)を組み付け、キャップ7を嵌めた後、遠心処理により脱気処理を行なって可逆熱変色性ボールペンを得た。
前記ボールペンチップ3は、金属材料を切削加工により形成したボール抱持部に直径0.5mmのステンレス鋼ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。また、後軸筒6の後部には、擦過部材8として凸曲面状頂部を有するSEBS樹脂部材が装着されている。
尚、前記筆記具外装である軸筒6は、ポリカーボネート樹脂中に酸化チタンを添加したものを射出成形することで得られる白色の外観を有するものであり、明度値は9.52であった。
得られたボールペンを用いて紙面に筆記したところ黒色の筆跡が得られ、該筆跡上を擦過部材8を用いて擦過すると、筆跡は消色して視認されなくなった。この状態は室温で維持することができたので、擦過消去した箇所に再び文字を書き込むことができた。更に、前記ボールペンを直射日光の当たる場所で2時間放置した後、再度紙面に筆記したところ、先の筆跡と同様の黒色筆跡が得られ、該筆跡は擦過消去可能なものであった。
更に、前記可逆熱変色性ボールペンの軸筒6表面を径方向に一周するように、フィルム転写印刷を用いて転写層9を積層(熱転写)することで可逆熱変色性筆記具1を得た。
尚、前記転写用フィルムは、剥離層91を備えたPETフィルム(支持体)に対して、剥離層91側に、オンデマンド方式のインクジェット印刷により画像層92を形成し、更に接着層93を設けた積層体である。そのため、印刷版の作製や専門的な印刷技術を必要とせず所望デザインの転写フィルムを迅速に作製できることから、顧客ニーズに対応した少ロットで可逆熱変色性筆記具1を作成できる。
前記転写層9を形成した可逆熱変色性筆記具1では、画像層92と軸筒6の色調とのコントラストが鮮明であり、画像色調の再現性が高いものであった。
そのため、特殊な筆跡性能と優れた装飾性を備えたノベルティー効果の高い筆記具となった。
実施例2(図1、3参照)
可逆熱変色性インキの調製
(イ)成分として1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン1.0部、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン2.0部、(ロ)成分として1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)2−エチルヘキサン8.0部、(ハ)成分としてパルミチン酸−4−メチルベンジル50.0部からなる色彩記憶性を有する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料(T:−2℃、T:10℃、T:35℃、T:48℃、ΔH:38℃、平均粒子径:2.5μm赤色から無色に色変化する)12.5部、サクシノグリカン0.33部、尿素10部、グリセリン10部、ノニオン系浸透性付与剤0.6部、変性シリコーン系消泡剤0.1部、防黴剤0.1部、水66.37部からなる可逆熱変色性インキを調製した。
可逆熱変色性筆記具1の作製
前記インキ4(予め−2℃以下に冷却してマイクロカプセル顔料を赤色に発色させた後、室温下で放置したもの)をポリプロピレン製パイプ(インキ収容筒21)に吸引充填し、樹脂製ホルダー22を介してボールペンチップ3と連結させた。
次いで、前記ポリプロピレン製パイプ21の後部より、ポリブテンを主成分とする粘弾性を有するインキ逆流防止体5(液栓)を充填し、尾栓23をパイプの後部に嵌合させた後、遠心処理により脱気処理を行なってボールペンレフィルを得た。
更に、得られたボールペンレフィルを後端ノック型の出没式機構(後端押圧によりペン先を軸筒前部の口金部分から出没するもの)を備えた軸筒6内に組み付けることで可逆熱変色性ボールペンを得た。
前記ボールペンチップ3は、金属材料を切削加工により形成したボール抱持部に直径0.5mmのステンレス鋼ボールを抱持させてなり、且つ、前記ボールはバネ体により前方に付勢させたものである。また、軸筒6の前部(口金部分)は、SEBS樹脂により形成されており、ペン先没入時に擦過部材として使用できるものである。
尚、前記筆記具外装である軸筒6は、ポリカーボネート樹脂中に赤色顔料と酸化チタンを添加したものを射出成形することで得られるパステルピンク調の外観を有するものであり、明度値は8.45であった。
得られたボールペンを用いて紙面に筆記したところ赤色の筆跡が得られ、該筆跡上を擦過部材(ペン先没入後の口金部分)を用いて擦過すると、筆跡は消色して視認されなくなった。この状態は室温で維持することができたので、擦過消去した箇所に再び文字を書き込むことができた。更に、前記ボールペンを直射日光の当たる場所で2時間放置した後、再度紙面に筆記したところ、先の筆跡と同様の赤色筆跡が得られ、該筆跡は擦過消去可能なものであった。
更に、前記可逆熱変色性ボールペンの軸筒6表面を径方向に一周するように、フィルム転写印刷を用いて転写層9を積層(熱転写)することで可逆熱変色性筆記具1を得た。
尚、前記転写用フィルムは、剥離層91を備えたPETフィルム(支持体)に対して、剥離層91側に、オンデマンド方式のインクジェット印刷により画像層92を形成し、更に接着層93を設けた積層体である。そのため、印刷版の作製や専門的な印刷技術を必要とせず所望デザインの転写フィルムを迅速に作製できることから、顧客ニーズに対応した少ロットで可逆熱変色性筆記具1を作成できる。
前記転写層9を形成した可逆熱変色性筆記具1では、画像層92と軸筒6の色調とのコントラストが鮮明であり、画像色調の再現性が高いものであった。
そのため、特殊な筆跡性能と優れた装飾性を備えたノベルティー効果の高い筆記具となった。
比較例1
軸筒6として、ポリカーボネート樹脂中に黒色顔料を添加したペレットを射出成形することで得られる明度値5.17の黒色軸筒とした以外は同様の構成で熱変色性筆記具1(ボールペン)を形成した。
得られた筆記具を用いて紙面に筆記したところ黒色の筆跡が得られ、該筆跡上を擦過部材8を用いて擦過すると、筆跡は消色して視認されなくなった。しかし、前記ボールペンを直射日光の当たる場所で1時間放置した後、再度紙面に筆記したところ、インキが透明化しており、筆跡は視認できなかった。
また、軸筒6上に積層される転写層9は、オンデマンド方式のインクジェット印刷による画像層92の下面に白色層が無く透過性を有するため、画像層92と軸筒6の色調とのコントラストが不鮮明なものとなり、画像色調の再現性が得られなかった。
比較例2
軸筒6として、ポリカーボネート樹脂中に添加する赤色顔料を増加して明度値が6.10の赤色軸筒とした以外は同様の構成で熱変色性筆記具1(ボールペン)を形成した。
得られた筆記具を用いて紙面に筆記したところ赤色の筆跡が得られ、該筆跡上を擦過部材(口金部分)を用いて擦過すると、筆跡は消色して視認されなくなった。しかし、前記ボールペンを直射日光の当たる場所で1時間放置した後、再度紙面に筆記したところ、インキが透明化しており、筆跡は視認できなかった。
また、軸筒6上に積層される転写層9は、オンデマンド方式のインクジェット印刷による画像層92の下面に白色層が無く透過性を有するため、画像層92と軸筒6の色調とのコントラストが不鮮明なものとなり、画像色調の再現性が得られなかった。
完全発色温度
発色開始温度
消色開始温度
完全消色温度
ΔH ヒステリシス幅
1 熱変色性筆記具(ボールペン)
2 レフィル
21 インキ収容筒
22 ホルダー
23 尾栓
3 ボールペンチップ
4 熱変色性インキ
5 インキ逆流防止体
6 軸筒
7 キャップ
8 擦過部材
9 転写層
91 剥離層
92 画像層
93 接着層

Claims (6)

  1. 加熱により消色或いは変色可能なインキを収容する熱変色性筆記具であって、筆記具外装の明度値が6.3以上であると共に、前記外装表面にフィルム転写による転写層が積層されてなる熱変色性筆記具。
  2. 前記転写層が、オンデマンド方式の印刷方法によって像形成された転写フィルムを用いて積層される請求項1記載の熱変色性筆記具。
  3. 前記転写フィルムが、インクジェット方式で像形成される請求項2記載の熱変色性筆記具。
  4. 前記インキが、(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)の呈色反応をコントロールする反応媒体とから少なくともなる可逆熱変色性組成物を内包した、加熱により有色から無色に色変化するマイクロカプセル顔料を含む請求項1乃至3のいずれかに記載の熱変色性筆記具。
  5. 前記マイクロカプセル顔料が、色濃度−温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して有色状態と無色状態の互変性を呈し、両状態が共存できる保持温度域が常温域にある顔料であり、該顔料は有色状態から温度が上昇する過程では、温度Tに達すると消色し始め、温度Tより高い温度T以上の温度域で完全に無色状態となり、無色状態から温度が下降する過程では、前記温度Tより低い温度Tに達すると着色し始め、温度Tより低い温度T以下の温度域で完全に有色状態となり、前記温度Tと温度Tの間の温度域で有色状態或いは無色状態が保持できるヒステリシス特性を示し、温度Tは−30〜10℃の範囲にあり、温度Tが30〜80℃の範囲にある請求項4記載の熱変色性筆記具。
  6. 擦過部材を備えてなる請求項1乃至5のいずれかに記載の熱変色性筆記具。
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