JP2010203327A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Abstract

【課題】旋回スクロールラップの外壁側、内壁側で形成される二つの圧縮室に必要十分な量のオイルを均等に供給できる高効率、高信頼性のスクロール圧縮機を提供すること。
【解決手段】スクロール圧縮機には、旋回スクロールラップ9a及び固定スクロールラップ6bの少なくとも一方のラップ上面に給油孔28が形成され、給油孔28の開口部と第1圧縮室とを結ぶ第1給油通路、及び給油孔の開口部と第2圧縮室とを結ぶ第2給油通路が、給油孔が形成されたラップ上面に形成され、第1給油通路及び前記第2給油通路の出口30a,30bが、給油孔が形成されたラップ上において互いに異なる伸開角の位置に設けられる。
【選択図】図3

Description

本発明は、空調機、冷凍機、ブロワ、給湯機等に使用されるスクロール圧縮機に関する。
一般的なスクロール圧縮機においては、鏡板上に渦巻きラップを形成した固定スクロールと旋回スクロールとをかみ合わせて複数の圧縮室が形成され、この旋回スクロールに偏心部を有するクランク軸が連結される。このようなスクロール圧縮機は、オルダムリングを用いて自転を防止し旋回運動をさせることで、中心に向かって容積を減少させながら圧縮を行っていく。スクロール圧縮機において、圧縮室内に作動流体と混在するオイルは、固定スクロールと旋回スクロールとの接触面の潤滑による摺動損失の低減や磨耗の低減、焼付きの防止に役立つとともに、圧縮室の各シール部を満たしてシール性を向上させることによる漏れ損失の低減にも寄与している。
しかし、そのオイルが吸入付近から供給されると、スクロール圧縮機は、吸入過熱を引き起こして能力の低下を招くため、圧縮途中の圧縮室にオイルを直接供給する方法が採用されることが多い。
そこで、図11に示す特許文献1のスクロール圧縮機においては、旋回スクロール101のラップ上面101aに給油孔102が設けられ、さらに、その開口部周辺に旋回スクロールラップ外壁101bと内壁101cとが通じる周方向溝103が設けられる。これによって、このスクロール圧縮機においては、旋回スクロールラップ外壁101b側で形成される第1圧縮室と旋回スクロールラップ内壁101c側で形成される第2圧縮室の両圧縮室に必要十分な量のオイルが供給されている。
この構成は、非常に簡易的な加工で給油を行うことができるという利点があるものの、周方向溝103が臨んでいる間の第1圧縮室と第2圧縮室の圧力が異なるため、両圧縮室への給油量が不均等になり、一方の圧縮室はオイル過多で粘性損失を引き起こし、他方の圧縮室はオイル過少で漏れ損失や磨耗等を生じて、両圧縮室に適正な給油を行いにくいという問題がある。
その対策として、図12に示す特許文献2のスクロール圧縮機では、固定スクロール201の鏡板201aに、第1圧縮室202と第2圧縮室203の両方に開口可能な給油孔204が設けられるとともに、第2圧縮室203への開口時間が第1圧縮室202への開口時間よりも長く設定されている。
すなわち、給油孔204が臨む両圧縮室202、203の圧力については、常に第2圧縮室203の方が高く、単位時間当たりの給油量は第2圧縮室203の方が小さくなる。その分開口時間を長くすることで、両圧縮室202、203へ均等な量のオイルが供給される。
特開2005−139997号公報 特開平3−88988号公報
上記特許文献1の従来の構成は、第1圧縮室の閉じ込み容積と第2圧縮室の閉じ込み容積が等しい対称スクロールでは、給油孔から給油される区間が第1圧縮室と第2圧縮室と
で180度ずれるため、閉じ込んでからより早く開口する第1圧縮室の給油量が第2圧縮室の給油量よりも多くなる。
一方、第1圧縮室の閉じ込み容積が第2圧縮室の閉じ込み容積よりも大きい非対称スクロールでも、第2圧縮室の圧力上昇速度が第1圧縮室の圧力上昇速度よりも大きいため、給油孔から給油される間の第1圧縮室の圧力は第2圧縮室の圧力よりも小さくなり、対称スクロールと同様に第1圧縮室の給油量が第2圧縮室の給油量よりも多くなる。
すなわち、スクロール形状の如何に関わらず、第1圧縮室への給油量は第2圧縮室への給油量よりも多く、概ね不均等であるために第1圧縮室はオイル過多、第2圧縮室はオイル過少になりやすい。
また、特許文献2の従来の構成は、第1圧縮室と第2圧縮室への給油量は概ね均等となるものの、1回転中に両圧縮室に開口している時間の割合が大きいため、給油量が過多になりやすく、オイルの粘性による機械損失が増大してしまうという問題がある。
また、1回転当たりの給油量を適正な量まで低減させるためには給油孔を非常に小さくして絞りを設ける必要があるが、加工性に問題が残る。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、必要最小限の適正量のオイルを供給することができるとともに、摺動損失と漏れ損失の低減、磨耗や焼付きの防止を実現するとともに、過剰な給油による粘性損失の増加を抑制することも可能な高効率、高信頼性のスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明は、渦巻き状の固定スクロールラップ及び旋回スクロールラップを互いに噛み合わせて、両スクロール間に少なくとも第1圧縮室及び第2圧縮室を形成し、旋回スクロールの旋回により、旋回スクロールラップの外壁側の第1圧縮室及び旋回スクロールラップの内壁側の第2圧縮室のそれぞれが容積変化するスクロール圧縮機に向けられており、旋回スクロールラップ及び固定スクロールラップの少なくとも一方のラップ上面に給油孔が形成され、給油孔の開口部と第1圧縮室とを結ぶ第1給油通路、及び給油孔の開口部と第2圧縮室とを結ぶ第2給油通路が、給油孔が形成されたラップ上面に形成され、第1給油通路及び第2給油通路の出口が、給油孔が形成されたラップ上において互いに異なる伸開角の位置に設けられることを特徴とする。
従来の構成では給油量過多によってオイル粘性損失が増大して効率の低下を招いていたものが、本構成によれば、第1給油通路と第2給油通路が給油の絞りとして作用し、必要最小限の適正量のオイルを第1圧縮室と第2圧縮室に均等に供給することができ、摺動損失と漏れ損失の低減、磨耗や焼付きの防止を実現するとともに、過剰な給油による粘性損失の増加を抑制することも可能である。これにより、信頼性の高いスクロール圧縮機を実現することが可能となる。
第1の発明は、渦巻き状の固定スクロールラップ及び旋回スクロールラップを互いに噛み合わせて、両スクロール間に少なくとも第1圧縮室及び第2圧縮室を形成し、前記旋回スクロールの旋回により、前記旋回スクロールラップの外壁側の第1圧縮室及び前記旋回スクロールラップの内壁側の第2圧縮室のそれぞれが容積変化するスクロール圧縮機であって、前記旋回スクロールラップ及び前記固定スクロールラップの少なくとも一方のラップ上面に給油孔が形成され、前記給油孔の開口部と前記第1圧縮室とを結ぶ第1給油通路
、及び前記給油孔の開口部と前記第2圧縮室とを結ぶ第2給油通路が、前記給油孔が形成されたラップ上面に形成され、前記第1給油通路及び前記第2給油通路の出口が、前記給油孔が形成されたラップ上において互いに異なる伸開角の位置に設けられる。これにより、両給油通路が給油絞りとして作用し、必要最小限の適正量のオイルを供給することができる。さらに、上記のような伸開角の位置、例えば、開口する両圧縮室の圧力が概ね同一となるような位置に各給油通路の出口が設定されることにより、1つの給油孔で両圧縮室に均等にオイルを供給することができるため、摺動損失と漏れ損失の低減、磨耗や焼付きの防止、過剰な給油による粘性損失の増加の抑制を同時に実現することが可能である。
第2の発明は、特に、第1の発明のスクロール圧縮機において、第1給油通路が第1圧縮室に開口し始めるときの第1圧縮室の容積比が、第2給油通路が第2圧縮室に開口し始めるときの第2圧縮室の容積比以上とすることにより、両給油通路が両圧縮室に開口している間の両圧縮室の圧力が概ね同じとなるため、1つの給油孔で両圧縮室に均等な量の給油を行うことが可能である。
第3の発明は、特に、第2の発明のスクロール圧縮機において、前記第1圧縮室の閉じ込み容積が前記第2圧縮室の閉じ込み容積よりも大きい非対称スクロールとすることにより、吸入口から圧縮が開始されるまでの流体通路の距離、すなわち吸入室の長さが対称スクロールよりも短くなることで、作動流体が高温の固定スクロールから受熱する吸入加熱現象による体積効率の低下を抑制することができ、圧縮機の高効率化が可能である。
第4の発明は、特に、第2または3の発明のスクロール圧縮機において、第2給油通路の長さが第1給油通路の長さよりも長い。対称スクロールと非対称スクロールのいずれにおいても、両給油通路が両圧縮室に開口している間の両圧縮室の圧力は第2圧縮室の方が高くなりやすいため、過渡運転時や異常運転時に液戻りやオイル圧縮が発生した場合、圧縮室の圧力が吐出圧力よりもかなり大きくなる現象は第2圧縮室の方が発生しやすく、第2給油通路と給油孔をオイルや作動流体が逆流してオイル不足や温度上昇等によって信頼性を損なう恐れがある。そこで、第4の発明の構成とすることにより、第2圧縮室から給油孔までの距離を確保して上記リスクを少なからず抑制することが可能である。
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明のスクロール圧縮機において、給油孔および給油通路を旋回スクロールラップに設けることにより、特に、クランクシャフトを経由して圧縮機構部へ給油される構成を持つ圧縮機において、圧縮機下部のオイル溜まりから旋回スクロールラップに設けられた給油孔までの給油の経路を容易に構成することができる。
第6の発明は、特に、第1〜4のいずれか1つの発明のスクロール圧縮機において、旋回スクロールが固定スクロールに押し付けられて圧縮運転されるとともに、給油孔および給油通路を固定スクロールラップに設けることにより、旋回スクロールを固定スクロールに押し付けて漏れ損失を抑制すると同時に、旋回スクロールの荷重を受ける固定スクロールのラップ上面に直接給油できるため、このスラスト摺動面の潤滑性を向上し、摺動損失の低減や磨耗、焼付きの抑制を実現することが可能である。
また、圧縮機構部が圧縮機下部のオイル溜まりに一部または全部浸漬された構成を持つ圧縮機において、オイル溜まりから固定スクロールラップに設けられた給油孔までの給油の経路を容易に構成することもできる。ただし、圧縮機構部がオイルに浸漬されている圧縮機は、オイル溜まりの高温オイルから圧縮機構部への熱の移動量が非常に大きく吸入過熱を引き起こすため、圧縮機構部がオイルに浸漬されていない圧縮機に比べて体積効率がやや劣る。
なお、横型スクロール圧縮機の場合は、クランクシャフトを経由して圧縮機構部に給油する構成と、オイル溜まりに一部浸漬した固定スクロールから給油する構成のいずれの構成もとれるため、旋回スクロールと固定スクロールのどちらに給油孔を設けてもよいし、両方に設けてもよい。また、クランクシャフトの軸受部やオルダムリング摺動部等にはクランクシャフトを経由した給油を行い、圧縮室への給油は固定スクロールに設けた給油孔で行うような構成をとってもよい。
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか1つの発明のスクロール圧縮機において、作動流体として二酸化炭素を用いている。二酸化炭素冷媒は高温度差加熱に有利であることからヒートポンプ給湯機に適しており、80℃以上の高温の出湯温度を確保するために圧縮機の吐出温度を90℃以上の非常に高い温度に設定する必要があるため、圧縮機構部の温度は非常に高い。加えて、二酸化炭素は高圧冷媒であるため、圧縮機構部の各部品に加わる負荷は非常に高い。
このように、高温、高負荷の運転状態で圧縮機構部、特に圧縮室付近の高効率と信頼性を確保するためには、本発明の構成は特に効果的である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機の縦断面図である。
図1において、鉄製の密閉容器1の内部全体は、吐出管2に連通する高圧雰囲気となる。密閉容器1の略中央部分には電動機3が、また電動機3の上部に圧縮機構が配置される。電動機3の回転子3aに固定されたクランク軸4の一端を支承する圧縮機構の本体フレーム5が密閉容器1に固定されており、その本体フレーム5に固定スクロール6が取り付けられている。
クランク軸4に設けられた軸方向の油通路7は、その一端が給油ポンプ装置8に通じ、他端が最終的に旋回スクロール9の偏心軸受10に通じている。固定スクロール6と噛み合って、少なくとも2つの圧縮室11を形成する旋回スクロール9は、渦巻き状の旋回スクロールラップ9aと偏心軸受10とを直立させた旋回鏡板9bとからなり、固定スクロール6と本体フレーム5との間に配置されている。なお、図1では、図示の都合上、1つの圧縮室にのみ参照番号11が付されている。
固定スクロール6は、固定鏡板6aと渦巻き状の固定スクロールラップ6bとからなる。固定スクロールラップ6bの中央部には、吐出口12と吐出口12に通じる吐出室13が、また、その外周部には、吸入口14および圧縮が開始されるまでの作動流体通路である吸入室15が配置されている。ここで、作動流体の例としては、二酸化炭素がある。
クランク軸4の主軸から偏心してクランク軸4の上端部に配置された偏心軸16は、旋回スクロール9の偏心軸受10と係合摺動する。旋回鏡板9bの背面9cと、旋回スクロール9の軸方向への移動を規制する本体フレーム5に設けられたスラスト拘束面5aとの間は、微小な隙間が設けられている。本体フレーム5のスラスト拘束面5aには環状シール部材17が遊合状態で装着されており、その環状シール部材17はその内側の背面室18と外側の背圧室19とを仕切っている。
給油ポンプ装置8によって吸い上げられたオイルは、クランク軸4の油通路7を通り旋回スクロール9の偏心軸受10と偏心軸16との間に形成された軸方向の内部空間20へ
導かれる。導かれたオイルの一部は、旋回スクロール9の旋回鏡板背面9cに設けられた絞り部21を経由して固定スクロール6と本体フレーム5とによって囲まれて形成される背圧室19へと通じ、旋回スクロール9を固定スクロールラップ6bに押さえつける機能を持った背圧調整弁22、オイル供給通路22aを通って吸入室15へと導かれる。一方、他のオイルは、偏心軸受10、背面室18及び主軸受23を通り、圧縮機構外部へ排出される。
吐出口12の出口側を開閉する逆止弁装置24が固定スクロール6の固定鏡板6aの平面上に取り付けられており、その逆止弁装置24は薄鋼板製のリード弁24aと弁押さえ24bとからなる。
クランク軸4の下端は、密閉容器1内に溶接や焼き嵌めして固定された副軸受け25により軸受けされ、安定に回転することができる。副軸受け25は、例えばジャーナル軸受け構成となっており、給油ポンプ装置8によって吸い上げられたオイルの一部が副軸受け25へと供給される。
圧縮機構にて、圧縮されて吐出口12から吐出された直後のガスと、吐出管2から吐出される直前のガスはマフラー26によって仕切られ、吐出口12から吐出された直後のガスはマフラー26の内部空間を経由して、圧縮機構外周部付近に設けられた下向きガス流路27を通り、図示された点線矢印のごとく回転子3a上部へと導かれる。ここで主軸受け23などを潤滑後排出されたオイルと合流し、回転子3aの内部に設けられた回転子通路3bを介して回転子3a下部へと到達後、ガスとオイルの混合流が遠心力によって固定子3cの下部コイルエンドに衝突し、気液分離される。気液分離後のガスは固定子3cの外周に設けられた固定子通路3dを介して電動機3上部へと導かれ、圧縮機構に設けられた図示されていない上向きガス流路を通って圧縮機構上側空間へ到達後、吐出管2から密閉容器1外部へと吐出される。
図2は、図1に示す旋回スクロール9の一例の正面図で、図3は、図2に示す旋回スクロール9と、図1に示す固定スクロール6とを組み合わせて旋回スクロールの背面9c側から見た図である。図1から図3に示すように、旋回スクロールラップ9aには、その高さ方向に沿って給油孔28が設けられ、ほぼ吐出圧力である偏心軸受10の内部空間20と連通している。旋回スクロールラップ9aの上面9dには給油孔28の開口部を含む上面溝29が旋回スクロールラップ9aの伸開方向に設けられている。旋回スクロールラップ外壁9eと固定スクロールラップ内壁6cにより、圧縮室11の1つである第1圧縮室11aが形成され、旋回スクロールラップ内壁9fと固定スクロールラップ外壁6dとにより、圧縮室11の他の1つである第2圧縮室11bが形成される。上面溝29の両端には、第1圧縮室11aに通じる第1給油通路出口30aと、第2圧縮室11bに通じる第2給油通路出口30bとが設けられている。ここで、出口30aと出口30bとは、上面9d上で異なる伸開角の位置に設けられる。
以上のように構成されたスクロール圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
旋回スクロール9の内部空間20から給油孔28に導かれた高圧オイルは、給油孔28から第1給油通路出口30aまでの間の第1給油通路を通って減圧しながら第1圧縮室11aに供給される。同様に、給油孔28から第2給油通路出口30bまでの間の第2給油通路を通って減圧したオイルは第2圧縮室11bに供給される。そして、このときの両圧縮室11a、11bへの給油量は、両給油通路出口30a、30bが両圧縮室11a、11bに臨んでいる間の圧縮室11a、11bの圧力によって概ね決定される。
図4は、第1圧縮室11aと第2圧縮室11bの閉じ込み容積が等しい対称スクロール
の場合の両圧縮室11a、11bの閉じ込みから吐出までの圧力変化のグラフであり、このグラフの横軸はクランク角を示す。第1圧縮室11aと第2圧縮室11bについて、クランク角と圧力とはほぼ等しい。第1給油通路出口30aはクランク角θ11からθ12の間、第1圧縮室11aに開口し、そのときの第1圧縮室11aの圧力はP11からP12まで上昇する。同様に第2給油通路出口30bはクランク角θ21からθ22の間に圧力P21からP22の第2圧縮室11bに開口する。(θ12−θ11)および(θ22−θ21)はいかなる構成でも概ね360度である。
図5は、図11に示した従来の構成における、対称スクロールの場合の圧力変化と周方向溝103が開口するタイミングを示すグラフであり、旋回スクロールラップ外壁101b側の第1圧縮室に周方向溝103が開口するクランク角θ11は、旋回スクロールラップ内壁101c側の第2圧縮室に開口するクランク角θ21よりも概ね180度早く、開口中の圧力は第1圧縮室の方が小さい。そのため、第2圧縮室よりも第1圧縮室の方が給油量が多くなり、第1圧縮室は給油過多によって粘性損失が増加、第2圧縮室は給油過少によって漏れ損失が増加するという問題が同時に発生し、給油孔102からの総給油量を最適化することが困難であるという問題がある。
一方で、図4に示す例では、第2給油通路出口30bの開口開始を第1給油通路出口30aの開口開始と同等か、早めに設定することで、両圧縮室11a、11bの圧力を概ね同等として両圧縮室11a、11bへ均等に給油することができる。したがって、給油孔28からの総給油量を最適化することで両圧縮室11a、11bの粘性損失および漏れ損失を最小限に低減しながら、磨耗や焼付き等が発生しない必要十分な給油量を実現することが可能である。
図6は、第1圧縮室11aの閉じ込み容積が第2圧縮室11bの閉じ込み容積よりも大きい非対称スクロールの場合の両圧縮室11a、11bの閉じ込みから吐出までの圧力変化のグラフであり、このグラフの横軸はクランク角を示す。第1圧縮室11aは第2圧縮室11bよりも180度早いクランク角から圧縮を開始し、圧力上昇速度は第2圧縮室11bの方が大きい。図4と同様に、第1給油通路出口30aの開口クランク角はθ11からθ12で、そのときの第1圧縮室11aの圧力はP11からP12まで上昇する。第2給油通路出口30bの開口クランク角はθ21からθ22で、そのときの第2圧縮室11bの圧力はP21からP22まで上昇する。(θ12−θ11)および(θ22−θ21)はいかなる構成でも概ね360度である。
図7は、図11に示した従来の構成における、非対称スクロールの場合の圧力変化と周方向溝103が開口するタイミングを示すグラフであり、周方向溝103が開口する間の第1圧縮室と第2圧縮室の圧力は、対称スクロールの場合に比べて差が小さいものの、やはり第1圧縮室の方が小さい。それが、図6の本実施の形態の構成では、両圧縮室11a、11bの圧力を概ね同等とすることができ、対称スクロールの場合と同様に給油量を均等化することで高効率と高信頼性を実現することが可能である。
また、過渡運転時や異常運転時等に液圧縮やオイル圧縮が生じた場合、第2圧縮室11bの圧力の方が異常上昇しやすく、第2圧縮室11bから給油孔28への逆流が発生して給油不足によって信頼性を損ない易いが、図2に示すとおり、給油孔28から第1給油通路出口30aまでの距離が第2給油通路出口30bまでの距離よりも小さくすることで、つまり、第2給油通路の長さが第1給油通路の長さよりも長くすることで、第2圧縮室11bから給油孔28への逆流のリスクが減少し、高信頼性を維持することが可能である。
本実施の形態は旋回スクロールラップ上面9dに給油孔28及び各給油通路を設けて圧縮室11a、11bへの給油を行っているが、これらは固定スクロールラップ上面6eに
設けても、上記と同様の効果が得られる。同時に、旋回スクロール9は固定スクロール6に押し付けられて運転されると固定スクロールラップ上面6eでスラスト摺動するが、そこに直接給油することができるため、摺動面の潤滑性改善によって摺動損失の低減や磨耗、焼付きの抑制も実現することが可能である。
なお、本実施の形態では、第1給油通路出口30aの開口開始容積比を第2給油通路出口30bの開口開始容積比以上にすることで両圧縮室11a、11bへの給油量を均等化して高効率と高信頼性を実現しているが、両圧縮室11a、11bの間の漏れ等によって実際の圧力は理論圧力とは異なることが多いため、逆に第2給油通路出口30bの開口開始容積比の方を若干大きくしても給油量の均等化は可能である。
図2の例では、両給油通路出口30a、30bは上面溝29の幅よりも大きい直径の円弧で形成している。この構成により、旋回スクロールラップ9aの仕上げ加工の時に同時に同じ工具で給油通路出口30a、30bを加工できるため、その深さを高精度に管理することができ、給油量のばらつきを抑制することが可能である。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2における旋回スクロール9、言い換えると、図1に示す旋回スクロール9の他の一例の正面図である。図8において、旋回スクロールラップ9aにはその高さ方向に沿って給油孔28が設けられ、旋回スクロールラップ9aの上面9dには給油孔28の開口部を含む上面溝29が旋回スクロールラップ9aの伸開方向に設けられている。第1圧縮室11aに通じる第1給油通路出口30aと、第2圧縮室11bに通じる第2給油通路出口30bの二つの出口が上面溝29の両端部に設けられており、その幅は上面溝29の幅と等しい。また、図8の例でも、出口30aと出口30bとは、上面9d上で異なる伸開角の位置に設けられる。
この構成により、上面溝29と給油通路出口30a、30bを同じ工具で同時に加工することができるため、加工タクトが短くなり、低コスト化を図ることが可能である。
(実施の形態3)
図9及び図10は、本発明の実施の形態3における旋回スクロール9、言い換えると、図1に示す旋回スクロール9についてさらに他の例の正面図である。図9、10において、旋回スクロールラップ9aにはその高さ方向に給油孔28が設けられ、旋回スクロールラップ9aの上面9dには給油孔28の開口部を含む円弧状および直線状の上面溝29が第1圧縮室11aと第2圧縮室11bに通じるように設けられている。また、図9、10の例でも、出口30aと出口30bとは、上面9d上で異なる伸開角の位置に設けられる。
この構成により、上面溝29を複雑な形状に加工する必要がないため、より一層加工タクトが短くなり、低コスト化を図ることが可能である。
以上のように、本発明にかかるスクロール圧縮機は、漏れ損失と摺動損失、粘性損失の低減による高効率化と磨耗や焼付きの防止による高信頼性化が可能であり、HFC(Hydro Fluoro Carbon)系冷媒やHCFC(Hydro Chloro Fluoro Carbon)系冷媒を用いたエアーコンディショナーやヒートポンプ式給湯機のほかに、自然冷媒の二酸化炭素を用いたエアーコンディショナーやヒートポンプ式給湯機などの用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1におけるスクロール圧縮機の縦断面図 図1に示す旋回スクロール9の一例の正面図 図2に示す旋回スクロール9と、図1に示す固定スクロール6とを組み合わせて旋回スクロールの背面9c側から見た図 第1圧縮室11aと第2圧縮室11bの閉じ込み容積が等しい対称スクロールの場合の両圧縮室11a、11bの閉じ込みから吐出までの圧力変化のグラフ 図11に示した従来の構成における、対称スクロールの場合の圧力変化と周方向溝103が開口するタイミングを示すグラフ 第1圧縮室11aの閉じ込み容積が第2圧縮室11bの閉じ込み容積よりも大きい非対称スクロールの場合の両圧縮室11a、11bの閉じ込みから吐出までの圧力変化のグラフ 図11に示した従来の構成における、非対称スクロールの場合の圧力変化と周方向溝103が開口するタイミングを示すグラフ 本発明の実施の形態2における旋回スクロール9の正面図 本発明の実施の形態3における旋回スクロール9の正面図 本発明の実施の形態3における別の旋回スクロール9の正面図 特許文献1のスクロール圧縮機における旋回スクロール正面図 特許文献2のスクロール圧縮機におけるスクロールラップの組み合わせを示す正面図
6 固定スクロール
6b 固定スクロールラップ
9 旋回スクロール
9a 旋回スクロールラップ
11 圧縮室
28 給油口
29 上面溝
30a 第1給油通路出口
30b 第2給油通路出口

Claims (7)

  1. 渦巻き状の固定スクロールラップ及び旋回スクロールラップを互いに噛み合わせて、両スクロール間に少なくとも第1圧縮室及び第2圧縮室を形成し、前記旋回スクロールの旋回により、前記旋回スクロールラップの外壁側の第1圧縮室及び前記旋回スクロールラップの内壁側の第2圧縮室のそれぞれが容積変化するスクロール圧縮機であって、
    前記旋回スクロールラップ及び前記固定スクロールラップの少なくとも一方のラップ上面に給油孔が形成され、
    前記給油孔の開口部と前記第1圧縮室とを結ぶ第1給油通路、及び前記給油孔の開口部と前記第2圧縮室とを結ぶ第2給油通路が、前記給油孔が形成されたラップ上面に形成され、
    前記第1給油通路及び前記第2給油通路の出口が、前記給油孔が形成されたラップ上において互いに異なる伸開角の位置に設けられることを特徴とする、スクロール圧縮機。
  2. 前記第1給油通路が前記第1圧縮室に開口し始めるときの前記第1圧縮室の容積比が、前記第2給油通路が前記第2圧縮室に開口し始めるときの前記第2圧縮室の容積比以上である、請求項1記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記第1圧縮室の閉じ込み容積が前記第2圧縮室の閉じ込み容積よりも大きい非対称スクロールである、請求項2記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記第2給油通路の長さが前記第1給油通路の長さよりも長い、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  5. 前記給油孔および前記給油通路は旋回スクロールラップに設けられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  6. 前記旋回スクロールが前記固定スクロールに押し付けられて圧縮運転されるとともに、前記給油孔および前記給油通路が前記固定スクロールラップに設けられている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  7. 作動流体として二酸化炭素を用いた、請求項1〜6のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
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