JP2010202030A - 車両用運転支援装置および車両用運転支援方法 - Google Patents

車両用運転支援装置および車両用運転支援方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2010202030A
JP2010202030A JP2009049281A JP2009049281A JP2010202030A JP 2010202030 A JP2010202030 A JP 2010202030A JP 2009049281 A JP2009049281 A JP 2009049281A JP 2009049281 A JP2009049281 A JP 2009049281A JP 2010202030 A JP2010202030 A JP 2010202030A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vehicle
state
travel route
target travel
driver
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009049281A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5267215B2 (ja
Inventor
Hikari Nishira
西羅  光
Yoshitaka Takagi
良貴 高木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2009049281A priority Critical patent/JP5267215B2/ja
Publication of JP2010202030A publication Critical patent/JP2010202030A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5267215B2 publication Critical patent/JP5267215B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)
  • Power Steering Mechanism (AREA)
  • Traffic Control Systems (AREA)

Abstract

【課題】走行操作支援量の急激な変化を抑制して運転者に与える違和感を緩和することが可能な車両用運転支援装置および車両用運転支援方法を提供する。
【解決手段】目標走行経路算出部230で目標走行経路の再計算に係る初期条件設定の根拠を初期条件設定部250より選択的に設定する。この設定は、現在状態検出値と状態予測値の二つの状態量に状況に応じて選択的に依拠して初期条件設定を行うことが可能になる。このため、現在状態の検出誤差等に起因して再計算における目標走行経路の算出値が大幅に変動する虞がある場合には、誤差要因の影響を直接的には受けない状態予測値を計算の初期条件として適用することにより算出値の変動を抑制可能である。これにより、操作支援量が変動することで運転者が感じる違和感を小さくすることができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、運転者の運転操作を支援する車両用運転支援装置および車両用運転支援方法に関する。
近年、操舵操作や制動操作などの運転者の運転操作を支援する運転支援装置を車両に搭載する例が増加しつつある。この種の車両用走行支援装置として、目標走行軌跡に沿って車両を誘導するとともに、目標位置の変更や目標軌跡と実走行軌跡との誤差拡大に目標軌跡を再計算することによって対処するという技術提案も既に存在している(例えば、特許文献1参照)。特許文献1における提案では、目標軌跡の再計算が必要と一旦判断した状態においても、特定の操舵状態にあるときには、目標軌跡の再計算を敢て実行しないというものである。ここに、特定の操舵状態とは、センサ誤差や操舵遅れによる誤差が大きくなりやすい車両において、その車両の操舵状態が切り増し方向の操舵から切り戻し方向の操舵に切り替わったような状態である。上述のような特定の操舵状態にあるときには、目標軌跡の再計算をしないことにより目標軌跡の計算精度を高めるようにしている。
特開2004−338635号公報
特許文献1の提案では、主に駐車支援の場合など目標とする移動先の位置が固定されている場合や、目標位置が変更される場合であっても変更される頻度がさほど高くない場合を想定しており、この想定が該当する場合に限り、相応に有効であると考えられる。
しかしながら、現実に車両の走行を支援するに際しては、多くの場合、自車を取り巻く状況の時々刻々の変化に即応することが要請される。目標軌跡の再計算を短い周期で実行することが、この要請に応えるに効果的である。この場合でも、精度の良い目標軌跡が困難な局面に限り、従来技術の如く目標軌跡の再計算を停止することが考えられる。しかし、目標軌跡の再計算を停止すると、再計算を再開する時点で、それまで保持してきた目標軌跡と再計算の結果得られる目標軌跡との乖離が大きくなる蓋然性が高い。目標軌跡の大きな変化は、必然的に走行操作支援量の急激な変化を招来し、再計算の再開時に運転者に大きな違和感を与えてしまう虞がある。
本発明は上述のような状況に鑑みてなされたものであり、走行操作支援量の急激な変化を抑制して運転者に与える違和感を緩和することが可能な車両用運転支援装置および車両用運転支援方法を提供することを目的としている。
本発明の車両用運転支援装置では、目標走行経路を再計算を逐次実行して算出し、目標走行経路の再計算を実行するに際し、自車状態検出部および運転者操作状態検出部で得た現在の状態を表す現在状態検出値と、過去に算出した目標走行経路から現在時刻に対応する自車状態および運転操作状態を抽出した状態予測値との二つの状態量に選択的に基づいて、現在の目標走行経路算出に用いる初期条件を設定し、目標走行経路に相当する時系列の操作手順に沿った操作が行われるように運転者の運転操作を支援する。
目標走行経路算出部で目標走行経路の再計算を繰り返すに際し、該再計算に係る初期条件として、現在状態検出値と状態予測値の二つの状態量を状況に応じて使い分けることが可能になる。このため、現在状態の検出誤差等に起因して再計算における目標走行経路の算出値が大幅に変動する虞がある場合には、誤差要因の影響を直接的には受けない状態予測値を計算の初期条件として適用することにより算出値の変動を抑制可能である。これにより、操作支援量が変動することで運転者が感じる違和感を小さくすることができる。
本発明の第1の実施の形態としての車両用運転支援装置について説明するための模式図である。 図1の装置に対応する機能ブロック図である。 図2中のマイクロプロセッサにおける処理の詳細を表すフローチャートである。 自車が直線道路を走行している時に、自車前方左側に障害物を検出した場面を示す図である。 図4の場面において導入した座標系と物理量の例を示す図である。 タイヤ横力関数を例示する図である。 道路上に障害物と道路境界との接触リスクを反映したリスクポテンシャル場の傾向を表す図である。 走行経路の予測と予測した走行経路の評価に関する処理を表すフローチャートである。 運転者が右方向への回避操作を始めてから一定の時間が経過した時の状態を表す図である。 図9のような場面において、或る時刻およびその次の目標走行経路演算時刻で起こり得る演算結果を表す図である。 目標操舵角速度指令値が振動的になっている様子を例示する図である。 本発明の第2の実施の形態としての車両用運転支援装置について説明するための模式図である。 図12の装置に対応する機能ブロック図である。 図13中のマイクロプロセッサにおける処理の詳細を表すフローチャートである。 第2の実施の形態の装置が既述の図4の場面に遭遇したときの挙動を表す図である。 図13中の目標走行経路算出部において算出した目標転舵角の履歴を示す図である。 本発明の第3の実施の形態としての車両用運転支援装置について説明するための模式図である。 図17の装置に対応する機能ブロック図である。 自車が道路の曲線部にさしかかった状況を示す図である。 第3の実施の形態の装置における具体的な動作について説明するための図である。 第3の実施の形態の装置における運転支援特性について説明するための図である。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態としての車両用運転支援装置について説明するための模式図である。図1において、車室内前方に取り付けたカメラ1は、自車前方の道路状況を撮影し、障害物、道路境界、白線等を検出する。本例ではカメラを2台設置することにより、物体の方向だけでなく距離も検出可能にしている。一方、ホイールに取り付けたロータリーエンコーダ等による車速センサ2で、ホイールの回転に比例して発生するパルス信号を検出して車速を計測する。また、水晶振動子や半導体を用いる方式のヨーレートセンサ3を設け、車両に発生するヨーレートを検出する。更に、圧電素子等を用いた加速度センサ4により車両に発生する特定の方向の加速度を検出する。ここでは特に車両の横方向に発生する加速度を検出する構成を想定している。また、ステアリングコラム内に操舵角センサ5を設け、ステアリングホイールの回転角度を検出する。操舵トルクセンサ6を同じくステアリングコラム内に設け、運転者の操舵トルクを検出する。一方、マイクロプロセッサ70により、各種センサで検出した信号の処理と目標走行経路、すなわち目標操作量の時系列信号を算出し、モータコントローラ9を介してアシストモータ8を制御して転舵アシストトルクを操舵系に加える。
図2は、図1の装置に対応する機能ブロック図である。
図2において、車速センサ2、操舵角センサ5、ヨーレートセンサ3、加速度センサ4、および、カメラ1といったセンサ群100を、図1を参照して既述のようにして車両に配してある。これらセンサ群により、本発明の実施の形態における構成要素たる自車状態検出部、運転者操作検出部、障害物検出部、および道路境界検出部を具現している。マイクロプロセッサ70は、上述のセンサ群による検出信号を受け、これら検出信号を統合的に処理して、自車両の運動状態、運転者の操作状態、障害物の位置および運動状態、および道路境界を表す各所定形式の情報を得る。
マイクロプロセッサ70では、上述したセンサ信号処理に加えて、回避支援制御を起動するかどうかの判定および回避支援制御を起動した場合の目標操作量の算出と、目標値のアクチュエータ制御系への伝達に関する処理を実行する。マイクロプロセッサ70に格納してある制御プログラムは、いくつかの機能を実装した処理部を組み合わせた構成を有する。
既述のセンサ群100で収集した情報を、センサ信号処理部200によって同一の座標系上に展開した形の情報へと変換すると共に、次に述べるセンサ信号処理部200の各機能部で検出および予測の処理を施して、各所定の検出値および予測値を得る。
センサ信号処理部200は上述の各機能部として、自車状態検出部210、運転者操作状態検出部220、障害物検出部260、障害物挙動予測部270、および、道路境界検出部280を含んでいる。
自車状態検出部210は自車両の走行状態を検出する。運転者操作状態検出部220は運転者の操作状態を検出する。障害物検出部260は自車前方の障害物を検出する。障害物挙動予測部270は障害物検出部260で検出した障害物の運動状態に基づいて、所定時間先までの障害物の挙動を予測する。道路境界検出部280は自車が走行可能な道路の境界を検出する。
以上がセンサ信号処理部200の構成であるが、運転支援起動判定部290では、センサ信号処理部200で得た障害物情報および運転者操作情報に基づいて、回避支援制御の必要性の有無および運転者による回避操作の有無の判定を行う。この判定で、回避支援制御の必要性が高く、運転者による回避操作も行われていると判定した場合に、回避支援制御を起動する処理を行う。
一方、初期条件設定部250では、目標走行経路を算出する際に走行経路の起点となる車両状態および障害物の状態に関する情報の初期値の設定を行う。
目標走行経路算出部230では、初期条件設定部250で設定した自車と障害物の状態、および道路境界に関する情報に基づいて、自車が道路内で障害物を回避する目標走行経路を算出する処理を実行する。目標走行経路算出部230でのこの算出処理では、目標走行経路に沿って走行するために必要な操作を表す時系列の操作手順の情報を得る。
このようにして得た時系列の操作手順の情報を、運転操作支援の態様に適合する信号に変換して出力するための運転操作支援部としての指令値出力処理部240を介して、運転操作支援機構400のモータコントローラ9に供給する。従って、このモータコントローラ9を介して転舵アシストモータ8を当該運転操作支援制御の趣旨に沿うように作動させて運転者の回避操作の支援を行うことができる。
一方、既得の情報を評価する予想走行経路評価部310では、過去に算出した時系列の操作手順と現在のセンサ検出情報による現在状態検出値とに基づいて、走行経路の算出方法を評価する。即ち、過去に算出した時系列の操作手順を現在時刻から適用した場合にどの程度好ましい走行経路が得られるかを評価する処理を実行する。この評価結果を初期条件設定部250に伝達して目標走行経路算出の際の初期条件設定に反映させる。
次に図面を参照してマイクロプロセッサ70における処理の詳細について説明する。
図3は、図2中のマイクロプロセッサ70における処理の詳細を表すフローチャートである。ここでは説明に具体性を持たせるために、本実施例では図4に示す場面を想定して処理内容の説明を行う。図4は自車が直線道路を走行している時に、自車前方左側に障害物を検出した場面を想定している。
マイクロプロセッサ70は、以下に説明する一連の処理を所定の時間間隔ごとに繰り返し実行する。
ステップS301では、既述のセンサ群100で検出した信号をマイクロプロセッサ70のメモリ上に読み込み、車両の運動状態および障害物の状態を既定の座標系上の値に変換する。この座標系は適当に定めることができるが、本実施例では、図4に示すように、道路の進行方向に沿ってX軸を、X軸と垂直方向にY軸を設定する。更に、自車の現在位置をX座標の原点、道路の中心線付近にY座標の原点を置くものとして座標系を設定する。上述のように座標系を設定することにより、自車(中心点)の位置を(X,Y=x,y)といった形で表記することができるようになる。
ここで、自車の運動状態を表す状態量として、ヨー角θ、車両速度ν、車体すべり角β、ヨーレートγ、前輪の転舵角δが重要な量であると考えられる。これらの物理量のうち、車両速度νに関しては非駆動輪の車輪速で近似することができるため、非駆動輪に設けた車速センサの測定値を利用することができる。一方、ヨーレートγはヨーレートセンサ3から得ることができる。車両のヨー角θは道路が直線であると仮定すれば、道路境界と自車の向いている方向とのなす角を画像処理によって推定することで取得できる。あるいは、適当な初期値を定めて、ヨーレートセンサ3の出力値を積分することによって算出してもよい。すべり角βは、車両縦方向の速度をνx、横方向の速度をνyとすれば、
Figure 2010202030
で求めることができる。νxをνで近似し、νyを車両横加速度を測定するように設置した加速度センサ4の出力を積分することによって求めれば、(1)式からすべり角の近似値を得ることができる。これ以外にも、車輪速、ヨーレート、横加速度等の信号からオブザーバによってより精度良くすべり角を推定する手法も知られているので、そのような手法を用いてすべり角を得てもよい。前輪舵角δは操舵角センサから取得した操舵角θと操舵系のギア比Kより
Figure 2010202030
という換算式に基づいて得ることができる。
以上に説明した通り、上記で挙げた自車の運動状態を記述する状態量はすべてセンサの検出信号を処理することによって具体的な値を算出することができる。
また、障害物を検出している場合には、その中心点の位置座標Xp=(xp,yp)、および障害物の幅σy、奥行きσxの各値がカメラで取得した画像情報を処理することによって算出される。奥行きσxは撮影方向によっては測定が困難な場合もあるが、その場合には便宜的に幅σyと同じ値を設定しておくことにする。なお、障害物が検出されなかった場合には、障害物に関する物理量の算出は行わない。
さらに、カメラによる道路境界検出によって検出された道路の左端および右端の位置を、上記座標系上の値に変換して、それぞれY=YL、Y=YRとする。
図4の場面において導入した座標系と物理量の例を図5に示す。
以上のように、適当な座標系を導入し、自車、障害物および道路境界に関する情報を、導入した座標系上の値として算出することがステップS301における処理である。
ステップS302では、運転支援制御起動フラグの状態によって処理を分岐する。運転支援制御が起動している場合には(ステップS302:Yes)ステップS305に処理を進める。一方、起動していない場合には(ステップS302:No)ステップS303に進む。
ステップS303では、運転支援制御を起動すべきかどうかを判定し、その判定結果によって処理を分岐する。運転支援制御を起動する条件として例えば
(1)自車前方に自車と衝突する可能性のある障害物が検出されており、衝突するまでの余裕が所定の水準以下になっている。
(2)運転者が回避操作を開始している。
という二つの条件を設定することができる。条件(1)については、次式で定義する自車と障害物とのTTC(Time to Collision)によって障害物回避に関する時間的余裕を評価することができる。
Figure 2010202030
すなわち、TTCが所定の閾値TTCthr(例えば3.0秒程度の値を設定することが考えられる)よりも小さくなった場合には、運転支援制御の必要性があると判定する。条件(2)については、操舵角θsの大きさが所定の閾値θthrよりも大きくなった場合に運転者による回避操作が行われていると判定する。すなわち、
Figure 2010202030
の2条件が両方とも成立した場合に回避支援制御を起動すると判断して、運転支援起動フラグを立てる処理を行なう。
以上で説明した運転支援制御を起動する条件を充足しない場合は、そのまま処理を打ち切ることになるが、条件を充足する場合にはステップS304に処理を進める。
ステップS304では、目標走行経路の算出に先立って演算に関する設定処理を行う。この処理の詳細を説明するために、まず目標走行経路演算の定式化について説明する。
ここでは、任意の走行経路に対する数値的評価を行う評価関数を障害物位置や道路状況等に基づいて定義し、評価関数の値がもっとも良くなる走行経路を目標走行経路として算出する、という枠組みで目標走行経路の演算を行うことにする。
自車の走行経路は自車に対してどのような操作を加えるかによって決まるので、車両の特性を反映した走行経路を算出するためには、自車に対する操作を入力とする自車の運動を記述するモデルが必要である。
車両の運動を記述するモデルとしては、四輪車両の運動を二輪車両の運動で近似する二輪モデルがよく知られている。車両速度が一定であると仮定すると、二輪モデルは以下の微分方程式で記述される。
Figure 2010202030
ただし、m、I、If、Irはそれぞれ車両質量、車両ヨー慣性モーメント、車両重心から前輪軸までの距離、車両重心から後輪軸までの距離を表す。Yf、Yrはタイヤ横力をあらわす関数であり、それぞれ前輪すべり角βf、後輪すべり角βrの関数であると仮定している。なお、βf、βrは次式のように計算することができる。
Figure 2010202030
タイヤ横力関数Yf、Yrは、図6に示すような非線形関数で表現することができる。さらに、前輪の転舵角δとステアリングホイールの操舵角θSとの間には(2)式のような関係があるので、操舵角速度ωと前輪転舵角との関係は、
Figure 2010202030
と表現できる。
以上、(6)〜(14)式をまとめると、操舵角速度ωを入力とする以下の微分方程式モデルが得られる。
Figure 2010202030
任意の走行経路すなわち操舵角の時系列を数値的に評価するために、次式の評価関数を導入する。
Figure 2010202030
ここで、tは現在時刻を表す変数、Tは算出する時系列の長さを表すパラメータであり、障害物回避の問題の場合、障害物の回避から元の直進走行状態に復帰するまでの一連の回避操作を終えられる程度の長さの値を設定する。また、Ψは時刻t+Tにおける車両運動状態の望ましさを評価する評価式、Lは時刻tからt+Tまでの間の各時刻における車両運動状態および操作量の望ましさを評価する評価式、τはtからt+Tまで変化する積分変数である。
評価式LおよびΨは、以下の要請項目を反映する評価項を組み合わせることで構成する。
(1)障害物に近付き過ぎない
(2)道路境界に近付き過ぎない
(3)操舵角速度をなるべく小さくする
(4)回避運動終端での車両ヨー角を道路進行方向に近付ける
要請項目(1)は、自車と障害物との距離が近くなれば近くなるほど値が大きくなる関数によって表現する。具体的には、例えば次式の関数を利用することができる。
Figure 2010202030
障害物の位置xp,ypには、障害物移動軌跡生成部で生成した移動軌跡の情報を割り当てる。
要請項目(2)は、自車と道路境界との距離が近くなれば近くなるほど値が大きくなる関数によって表現する。具体的には、例えば次式の関数を利用することができる。
Figure 2010202030
ただし、△は道路境界への接近の余裕幅を指定するパラメータであり、△の値が大きいほど道路境界との接近余裕を大きくとる回避経路が算出される。
評価式LPとLRは道路上に障害物と道路境界との接触リスクを反映したリスクポテンシャルを定義することになる。
PとLRを足し合わせた関数をX―Y座標上にプロットした図を図7に示す。中央の山が障害物に対応する関数LPによって形成されたポテンシャルであり、両側の山が道路境界に対応する関数LPによって形成されたポテンシャルである。回避経路は、図7に示したリスクポテンシャル場の値の低い領域に可能な限り沿うようにして生成されることになる。
要請項目(3)は、なるべく小さな操舵速度で回避操作をとることによって効率的な回避を行うことを要請するために導入した項目である。評価式としては、例えば次式の関数を利用することができる。
Figure 2010202030
以上の三つの評価式に適当な重みをつけて足し合わせた関数を、評価式Lとして構成する。すなわち、wP、wR、wSをそれぞれ要項項目(1)、(2)、(3)に対する重みとすると、Lは、
Figure 2010202030
という形で構成することができる。
要請項目(4)は、回避運動後の車両姿勢を立て直すために導入した要請項目である。直線道路においては、時刻t+Tにおける車両ヨー角を評価する関数として、例えば、
Figure 2010202030
という関数を用いることができる。この関数に適当な重みパラメータwyawをつけて、
Figure 2010202030
とすることで時刻t+Tにおける評価項を構成する。
以上のように評価関数を定義すると、操舵角速度の時系列の推移態様の計算を既述の(14)式の制御対象および(15)式の評価関数で定義される最適制御問題として定式化することができる。従って、この最適制御問題を解くことによって目標とする操舵角速度の時系列の推移態様が得られる。さらに得られた操舵角速度の時系列の推移態様によって(14)式を積分すれば、目標走行経路を得ることができる。但し、ここで算出する目標走行経路は運転者の操舵操作を支援するためのものなので、入力である操舵角速度ωは、一般的な運転者が操作できる範囲に収まっていることが望まれる。この要請は、一般的な運転者が許容できる最大操舵角速度をωmaxとすると、
Figure 2010202030
という制約条件を最適制御問題として課すという形で定式化することができる。
以上をまとめると、目標走行経路演算を最適制御問題によって定式化して解く際には、
外1
Figure 2010202030
ステップS304では、(1)、(2)、(3)すべての設定処理が行われる。このうち、(1)、(2)については既述の通りセンサの検出情報から具体的な値を得ることができる。(3)は、設計パラメータでありその値を自由に設定することができる。遭遇した場面によって異なる値を設定することもできるし、場面によらずに一定の値を設定することもできる。すべての設定処理が終わったら、ステップS309へ進む。
ステップS309では、(14)、(15)、(23)式で定義される最適制御問題を解いて、最適な操舵角速度の時系列の推移態様を算出する。最適制御問題を解く具体的なアルゴリズムについては、いくつかの公知例が知られているので、ここでは詳細な説明を省略する。
外2
Figure 2010202030
Figure 2010202030
以上の指令値ベクトルは、マイクロプロセッサ内のメモリに書き込んで保持する。もし、過去の演算サイクルにおいて既に指令値ベクトルが生成・保持されていた場合であっても、過去の指令値ベクトルは破棄されて最新の指令値ベクトルで上書きする。
以上の書き込み処理が終了したら、ステップS310へ進む。
ステップS310では、マイクロプロセッサ内のメモリに書き込んだ制御指令値ベクトルのうち現在時刻に対応する指令値を読み出す。現在時刻との対応をとりやすくするため、例えばマイクロプロセッサ内の指令値の時系列の推移態様を保持するメモリにシフト操作を施して、常にメモリの先頭アドレスに格納されている指令値を読み出す方式をとることが考えられる。その場合、ステップS3010を実行する前のメモリ状態が、
Figure 2010202030
となっていた場合には、制御目標値としてω(t1)が読み出された後、メモリ状態が、
Figure 2010202030
となるようにシフト操作を行うことになる。以上のような操作を終えた後で、ステップS311に処理を進める。
ステップS311では、ステップS310で読み出した操舵指令値に基づいて転舵アシストモータ18を駆動する指令値を算出する。操舵補助トルクの制御則としては様々な方式が考えられるが、例えば操舵指令値と実際の操舵状態との偏差をフィードバックする(28)式のような制御則を用いることができる。
Figure 2010202030
ここで、Ta *は操舵補助トルクの目標値、θsは現在の操舵角、ωは現在の操舵角速度を表す。(28)式では操舵角偏差の項と操舵角速度偏差の項の二項から制御則を構成しているが、どちらか一項だけで構成することも考えられる。操舵補助トルクと転舵アシストモータ電流iMとの間には、比例定数をKMとすると、
Figure 2010202030
という関係式があるので、(29)式から操舵アシストモータ電流指令値を算出した上で、モータコントローラ9に電流指令値を送出して、処理を終了する。
以上、目標走行経路が初めて算出される演算周期における処理の流れを説明した。目標走行経路が算出されると、次の演算周期からはステップS302における分岐により、ステップS305の処理が行われる。
ステップS305では、目標経路を更新するための条件が成立しているかどうかを判定する。例えば、自車が障害物の後方まで進んだ場合や障害物がセンサの検出範囲外に出た場合などは、それ以上目標経路を更新する必要性が低いと判断して、ステップS312へ進む。それ以外の場合は、ステップS306へ進む。
ステップS306では、現在時刻が目標経路を更新する時刻にあたっているかどうかを判定する。目標走行経路算出部230では目標操作量を時系列で算出しており、運転操作支援部240の制御周期よりも目標走行経路算出部230の周期を長くすることができる。そうすると、運転操作支援部240の制御指令値は出力しても目標走行経路の算出は行わない制御周期が発生するので、そのような演算周期ではステップS312へ進む。目標走行経路の算出を行う演算周期にあたっている場合にはステップS307へ進む。
ステップS307では、現在マイクロプロセッサのメモリに保持されている指令値の時系列の推移態様に基づいて操作を行う場合の走行経路の予測と予測した走行経路の評価に関する処理を実行する。ステップS307は図8に示す三つの処理から構成される。
外3
Figure 2010202030
評価方法は、(15)式の評価関数をそのまま用いて現在の評価関数値を算出する方法が考えられる他、評価関数の一部の項(例えば障害物に関する項)だけに注目して評価値を算出したり、自車と障害物との距離の最小値といった別の評価指標を用いることもできる。
スステップS803では、ステップS802で算出された評価指標から目標経路を修正する必要性を表す指標を算出する処理が行われる。例えば、自車と障害物との距離の最小値を評価指標に用いた場合、自車と障害物の幅に対して予想される距離の最小値が十分に大きいものと想定する。この想定に該当する場合には、現在保持している操作の時系列の推移態様に基づく走行経路と当初の目標走行経路との間に誤差が生じていたとしても、障害物回避という目的を考えた場合には大きな問題にならないと考えられる。そのような場合には、目標走行経路を再計算するとしても運転者になるべく違和感を与えないように現在の操作の時系列の推移態様を踏襲するような目標走行経路となることが望ましい。他方、自車と障害物の幅に対して予想される距離の最小値が不十分な大きさまで減少している場合には、現在保持している操作の時系列の推移態様に従って操作を続けていると障害物との接触のリスクが当初の予想よりも大きくなってしまう。従って、このような場合には、目標走行経路を最新の情報に基づいて再計算することが望ましい。
そこで、0から1までの値をとる目標経路を修正する必要性を表す指標を導入し、自車と障害物との距離の最小値dminに基づいて、αを以下のように算出する。
Figure 2010202030
ただし、d0は適当な距離に関する閾値である。ここでは、α=0は目標走行経路修正の必要性が低いという判定結果を意味し、α=1は目標走行経路修正の必要性が高いという判定結果を意味するものと定義する。また、指標を連続化して、
Figure 2010202030
のように定義することも考えられる。
外4
Figure 2010202030
目標走行経路の変化は(28)式のような操舵補助トルク制御を通して運転者に操舵補助トルクの変化として伝達する。従って、目標走行経路を無闇に更新してしまうと運転者に違和感を与えてしまう虞がある。一方、運転者が当初算出した目標経路に正確に追従して走行した場合には、目標走行経路を再計算しても時間の経過による目標操作時系列の算出時間区間の変化に伴う小さな変化に留まると予想される。従って、操作補助トルクの変化も小さくなるので運転者に違和感を与える虞も小さくなると期待される。
外5
Figure 2010202030
以上のように、2回目以降の目標経路算出においては2通りの目標経路算出方法が考えられるが、ステップS803において目標走行経路修正の必要性の評価を実施している。このため、そこでの評価結果を反映した目標走行経路とするために、時刻tにおける目標経路算出に用いる初期状態ベクトルを(32)式のように設定する。
Figure 2010202030
以上の設定のもとでステップS309に進み、目標経路算出の処理が行われる。
ステップS305において目標走行経路更新条件が成立しなかった場合(ステップS305:No)、ステップS312においてマイクロプロセッサのメモリに目標操作時系列が残っているかどうかのチェックを実行する。また、ステップS306において目標経路更新時刻でないと判定した場合にも(ステップS306:No)、ステップS312においてマイクロプロセッサのメモリに目標操作時系列が残っているかどうかのチェックを実行する。目標操作量が残っている場合にはステップS310に進み、メモリの先頭アドレスに記録されている指令値の読み出しと実行の処理が行われる。目標操作量が残っていない場合には、ステップS313に進み、運転支援制御起動フラグをクリアして処理を終了する。
外6
Figure 2010202030
図9は図4の場面で本実施の形態の装置が起動して運転者が右方向への回避操作を始めてから一定の時間が経過した時刻t0での状態を示している。運転支援装置からは目標操舵角速度の上限値であるωmaxでの転舵が指令され、運転者もそれに追従して操舵角速度を上げていく操作を行っている状態である。この先の操作に関しては、目標走行経路算出部230は、徐々に操舵角速度を下げて逆方向への操舵に移行することを想定した目標操舵角時系列を算出している。即ち、時刻t0は操舵角加速度がちょうど反転する場面を示している。
図10は図9のような場面において、時刻t0およびその次の目標走行経路演算時刻である時刻t1で起こりうる演算結果を示している。図10左側の図では、時刻t0で想定した目標走行経路に対し、時刻t1における実車両状態が目標走行経路よりもやや左寄りにずれた状況を示している。このようなずれは運転者の操舵が目標操舵に十分に追従していない場合や車両のモデル化誤差の影響などによりしばしば起こり得るずれである。
この時、時刻t1で目標走行経路が再計算されることになる。この場合、時刻t1における測定値で構成した状態ベクトルを用いて目標走行経路を算出すると、当初の目標走行経路からのずれを補正するために右方向への操舵を再度強めてから操舵角加速度を反転させるといった目標操舵時系列を得ることになる。そのため、もし運転者が時刻t0における目標操舵に沿って操舵を行っていた場合には、操舵速度目標との誤差が発生するので、それまでほとんど補助力が作用していなかった状態から急に補助力が発生するように感じる。逆に、運転者の操舵角加速度の反転操作が遅れて補助力が発生し始めていた場合には、遅れにより発生していた操舵の誤差が急に小さくなるために補助力も抜けてしまったかのように感じる。
図11は、このような状態が時刻t1以降も継続した場合における目標操舵角速度の経時的推移を例示する図である。図11ではセンサ検出値に基づく状態ベクトルを使い続けた場合には目標走行経路を算出するたびに目標操舵角速度が修正されるために、全体として目標操舵角速度指令値がかなり振動的になっている様子を示している。これに対して、予測状態量を用いた場合には、時間の経過による評価時間区間の遡及に伴う操作時系列の延長が行われるだけである。従って、モデル化誤差等の影響を受けることがなく、操舵指令値の出力は図示のように整ったものとなる。実際の車両挙動はモデル化誤差の影響を受けるため当初想定した目標走行経路よりも障害物寄りの経路を走行することになるが、障害物との間に十分な回避余裕が保たれているのであれば回避操作の支援としては問題はないと言える。むしろ、操舵補助トルクの変動が少ない分、運転者には違和感がなく受け入れられ易い動作になると期待される。
尚、図9から図11では、主に(30)式の目標走行経路の修正必要性指標を用いることを想定した説明を行ったが、(31)式の指標を用いることも可能である。その場合、若干の操舵補助トルクの変動と引き換えに実際の走行経路が障害物寄りにずれていくことを抑える効果が期待できる。従って、違和感の抑制と回避余裕の確保との間のバランスを(31)式の指標の定義を変えることによって調整することができる。
以上説明した本発明の第1の実施の形態では、目標走行経路算出部で目標走行経路の再計算を繰り返すに際し、該再計算に係る初期条件として、現在状態検出値と状態予測値の二つの状態量を状況に応じて使い分けることが可能になる。このため、現在状態の検出誤差等に起因して再計算における目標走行経路の算出値が大幅に変動する虞がある場合には、誤差要因の影響を直接的には受けない状態予測値を計算の初期条件として適用することにより算出値の変動を抑制可能である。これにより、操作支援量が変動することで運転者が感じる違和感を小さくすることができる。また、再計算の続行により現在状態検出値を用いた目標経路算出を再開した場合に算出される目標走行経路が大きく変化することを防止できる。このため、操作支援量が急激に変化することが少なく運転者に与える違和感を緩和できる。
(第1の実施の形態の効果)
(1)第1の実施の形態としての運転支援装置では、自車状態検出部210が自車両の走行状態を検出し、運転者操作状態検出部220で運転者の操作状態を検出する。また、目標走行経路算出部230が任意の自車状態および運転操作状態を初期条件として、所定時間先までの自車が走行すべき目標走行経路を該目標走行経路に沿って走行するために必要な操作を時系列の操作手順として所定の演算周期ごとに再計算を実行して算出する。一方、目標走行経路算出部230が目標走行経路の再計算を実行するに際し、自車状態検出部210および運転者操作状態検出部220で得た現在の状態を表す現在状態検出値を当該再計算の初期条件設定の一つの根拠とする。また、過去の演算周期において算出した目標走行経路から現在時刻に対応する自車状態および運転操作状態を抽出した状態予測値を当該再計算の初期条件設定の他の一つの根拠とする。そして、これら二つの状態量に選択的に基づいて、初期条件設定部250が目標走行経路算出部230で現在の目標走行経路算出に用いる初期条件を設定する。運転操作支援部240が目標走行経路算出部230で算出した時系列の操作手順に沿った操作が行われるように運転者の運転操作を支援する。
上記(1)の車両用運転支援装置では、目標走行経路算出部230で目標走行経路の再計算に係る初期条件設定の根拠を初期条件設定部250より選択的に設定する。即ち、現在状態検出値と状態予測値の二つの状態量に状況に応じて選択的に依拠して初期条件設定を行うことが可能になる。このため、現在状態の検出誤差等に起因して再計算における目標走行経路の算出値が大幅に変動する虞がある場合には、誤差要因の影響を直接的には受けない状態予測値を計算の初期条件として適用することにより算出値の変動を抑制可能である。これにより、操作支援量が変動することで運転者が感じる違和感を小さくすることができる。また、再計算の続行により現在状態検出値を用いた目標経路算出を再開した場合に算出される目標走行経路が大きく変化することを防止できる。このため、操作支援量が急激に変化することが少なく運転者に与える違和感を緩和できる。
(2)上記車両用運転支援装置において、障害物検出部260が自車前方の障害物を検出する。また、初期条件設定部250が、障害物検出部260から得られる障害物測定値を含んだ当該現在状態検出値、および、過去の演算周期において測定した障害物位置を含んだ当該状態予測値との二つの状態量に選択的に基づいて、前目標走行経路算出部230における初期条件の設定を行う。
上記(2)の車両用運転支援装置では、自車前方の障害物を考慮した回避支援が可能になる。
(3)上記車両用運転支援装置において、障害物検出部260が障害物の運動状態を検出する。障害物挙動予測部270が該検出した運動状態に基づいて、所定時間先までの障害物の挙動を予測する。
上記(3)の車両用運転支援装置では、動きのある障害物を効果的に回避する支援が可能になる。即ち、移動することも想定して障害物の運動状態も含め目標経路算出時の初期条件の設定を行うため、障害物の運動状態の検出精度が状況によって変化する場合でも、検出精度が操作支援量に与える影響を小さくすることができる。
(4)上記車両用運転支援装置において、道路境界検出部280が、自車が走行可能な道路の境界を検出する。
上記(4)の車両用運転支援装置では、検出した道路境界内に収まるように目標走行経路を算出でき、道路幅が制限されている状況でも適切な目標走行経路に基づいて運転操作を支援することができる。
(5)上記車両用運転支援装置において、運転支援起動判定部290が運転支援の必要性を判断する。そして、運転支援起動判定部290が運転支援が必要であると判定した場合に、運転操作支援部240が、運転操作の支援を実行する。
上記(5)の車両用運転支援装置では、運転支援が必要とされている場面でのみ運転者の操作に対する装置からの働きかけが行われる。このため、支援が不要な場面で運転者の操作に介入して運転者に違和感を与えることを防止することができる。
(6)上記車両用運転支援装置において、初期条件設定部250が、当該現在状態検出値と過去の演算周期において算出した当該状態予測値との何れか一方を、各成分ごとに選択して初期条件設定を行う。
上記(6)の車両用運転支援装置では、状態測定値と状態予測値をそれら両者の各成分ごとに比較して、適切な値を初期条件に設定する。このため、状態量を構成する各信号ごとに与えられた状況に適した値を選択して目標走行経路演算に適用できる。従って、各信号の性質およびその検出部の性能に合わせた最適な処理が可能になり、特定の信号の性質やその検出部の性能が、目標経路の算出結果に与える影響を適応的に低減できる。
(7)上記車両用運転支援装置において、初期条件設定部250が、当該現在状態検出値と過去の演算周期において算出された当該状態予測値との二つの状態量に、各成分ごとに適当な重みをつけた上で平均値を算出することにより初期条件設定を行う。
上記(7)の車両用運転支援装置では、目標走行経路演算の初期条件を、状態測定値と状態予測値の加重平均に基づいて算出する。これにより、二つの状態量を切り替える場合に初期条件設定を連続的に変化させることが可能になり、目標走行経路や操作支援量の変化をより滑らかにすることができる。従って、運転者により違和感なく受け入れられやすい操作支援を行うことができる。
(8)上記車両用運転支援装置において、予想走行経路評価部310が、過去の演算周期において算出した目標走行経路に対応する時系列の操作手順を現在時刻以降も入力し続けた場合に予想される自車走行経路の妥当性に関する評価値を得る。そして、初期条件設定部250が、予想走行経路評価部310による当該評価値が低いほど現在の状態測定値を重視した初期条件を設定し、当該評価値が高いほど過去の演算周期において算出した状態予測値を重視した初期条件を設定する。
上記(8)の車両用運転支援装置では、現在の時刻において予想される走行経路を予測・評価して、新たに検出した状態量に基づいて目標走行経路を再計算する必要性を判定しながら目標走行経路の再計算を行う。これにより、障害物回避等の本来の走行目的に大きな影響を与えない程度の目標走行経路からの逸脱に対しては、誤差要因の影響を受けにくい状態量に基づいて目標経路の再計算を行う。従って、目標走行経路が変動しにくくなり、運転者にとって自然でわかり易い操作支援を行うことができる。
(9)上記車両用運転支援装置において、初期条件設定部250は、現在の状態予測値と過去の演算周期において算出した状態予測値との乖離が所定値以上に大きくなった場合には、初期条件設定における加重平均演算の重みを、その後の時間の経過と共に状態予測値を重視した設定から現在の状態測定値を重視した設定へと段階的に変化させる。
上記(9)の車両用運転支援装置では、状態測定値と状態予測値との誤差が大きくなった場合に、初期条件設定を段階的に状態測定値に切り替えていく。これにより、目標走行経路からの逸脱が大きくなった場合に本来の目標走行経路への復帰を運転者に働きかける場面において、操作支援量が急激に変化することで運転者に与える違和感を緩和できる。
(10)上記車両用運転支援装置において、運転者操作状態検出部220は、運転者の操舵操作を検出する。
上記(10)の車両用運転支援装置では、運転者の操舵操作を検出して目標走行経路の算出を行っているので、車両の横方向運動を含む走行経路の算出とそれに追従して走行するための操作の支援を行うことができる。
(11)上記車両用運転支援装置において、運転者操作状態検出部220は、運転者のアクセル操作およびブレーキ操作を検出する。
上記(11)の車両用運転支援装置では、運転者のアクセル操作とブレーキ操作を検出して目標走行経路の算出を行っているので、車両の加減速運動を含む走行経路の算出とそれに追従して走行するための操作の支援を行うことができる。
(12)上記車両用運転支援装置において、運転操作支援部240は、目標走行経路算出部230で算出した目標操作量と、運転者操作状態検出部220で検出した運転者操作量との偏差に基づいて、運転者の操作に対する操作補助力を制御する。
上記(12)の車両用運転支援装置では、目標走行経路算出部230で算出した目標操作量と運転者の実際の操作量との偏差を検出して、偏差に応じた操作補助力を作用させる。このため、操作補助力の作用する方向や大きさによって、必要な操作を運転者に効果的に伝達することができる。
(13)上記車両用運転支援装置において、運転操作支援部240は、目標走行経路算出部230で算出した操作量を自車の操作系を自動制御することによって実現する。
上記(13)の車両用運転支援装置では、目標走行経路算出部で算出した目標操作量を自動制御によって実現する。このため、自車を目標走行経路に確実に追従させることができる。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態を、図12ないし図16を参照して以下に説明する。
図12は本発明の第2の実施の形態としての車両用運転支援装置について説明するための模式図である。また、図13は、図12の装置に対応する機能ブロック図である。
図12および図13において、既述の図1および図2との対応部は同一の符号を附して示し、それら各部の説明は既述の該当部を援用する。センサ群102については、運転者のブレーキ操作によって発生するブレーキ圧を測定するブレーキ圧センサ12が追加されている点以外は図1のセンサ群100と略同様である。
一方、第2の実施の形態では運転操作支援部として前輪操舵系の自動制御システムを備えており、このシステムに関係する要素としてクラッチ17、転舵角センサ15、転舵アシストモータ18、転舵角サーボコントローラ10を備えている。障害物の回避支援が必要であると判断した場合、クラッチ7を切ってステアリングホイールと操舵機構を切り離す。そしてマイクロプロセッサ72からの転舵角指令をもとに転舵角サーボコントローラ10が転舵角センサと転舵モータを用いて操舵系のサーボ制御を行う。これにより、車両を自動制御して回避を行うモードに移行する構成である。
図13の機能ブロック図を図2のものと比較すると、多くの点で軌を一にしているが、予測走行経路評価部310が検出情報評価部320に置き換わっている。また、出力部の処理がクラッチのオン・オフを切り替える指令を出力する処理および転舵角の目標値を出力する処理に置き換わっている点が異なっている。検出情報評価部320は、自車状態検出部210、運転者操作状態検出部220、および障害物検出部260において検出した情報の信頼度を評価する。
次に図面を参照してマイクロプロセッサ72における処理の詳細について説明する。
図14は、図13中のマイクロプロセッサ72における処理の詳細を表すフローチャートである。処理の流れ自体は図3を参照して説明した第1の実施の形態との共通部分も多いため、以下、図3との相違点を中心に具体的な処理内容を説明する。また、第2の実施の形態でも既述の図4に示す場面を想定した説明を行うが、第1の実施の形態と異なりここでは障害物が移動することも想定した処理について説明する。
ステップS1401は第1の実施の形態とほぼ同じ処理であるが、上述した通り障害物が移動することも想定して、障害物の位置情報だけでなく速度情報も算出する処理を実行する。速度情報については、例えば一つ前のサンプリング時刻における位置検出結果と現在時刻における位置検出結果との差分をとるなどして算出することができる。
ここでは、障害物のX軸方向の速度をνp x、Y軸方向の速度をνp yと表記する。
ステップS1402およびステップS1403の処理は図3のステップS302およびステップS303の処理と同じである。
ステップS1404では、運転支援制御の開始に伴いクラッチ17の切断を指令する制御信号を生成し、クラッチ制御系に伝達する処理を実行する。
ステップS1405では、目標走行経路演算に必要な設定を行う点は既述の第1の実施の形態におけるステップS304と同じであるが、目標走行経路演算の定式化が異なるので、それに伴なって設定内容も異なる。以下に定式化の部分も含めて説明を行う。
車両モデルに関しては、本実施例でも二輪モデルを用いた定式化を行うが、第1の実施の形態と比較して、以下の二点に対応した修正が加えられる。
(1)運転者によるブレーキ操作に伴う減速挙動を考慮する。
(2)転舵角サーボ系のモデルを組み込んでいる。
このうち、(1)については(9)式を以下の(33)式で置き換える。
Figure 2010202030
ただし、αはブレーキによって車体に作用している減速度である。αについては、ブレーキ圧センサで検出したブレーキ圧信号から車体に作用している減速度を推定することができるので、ここでは既知信号として扱うことができる。
また、(2)については(14)式を転舵角サーボ系を1次系モデルで近似した(34)式で置き換える。
Figure 2010202030
ここで、Tsは転舵角サーボ系の応答時定数、δcomは転舵角サーボ系に入力される転舵角指令値を表している。以上の置き換えを行うことにより、車両モデルは転舵角指令値δcomを入力とする
Figure 2010202030
また、転舵角指令値δcomについては、転舵角サーボ系の最大転舵角をδmaxとして、(36)式の入力制限が課せられているものとする。
Figure 2010202030
評価関数については、第1の実施の形態における評価関数(16)式と同様の評価関数を使用する。要請項目(1)、(2)、(4)については、それぞれ(17)、(19)、(21)式をそのまま利用することができる。ただし、(17)式における障害物位置を表すxp、ypは障害物の移動を考慮しているので、
Figure 2010202030
という予測式と組み合わせた形で組み込まれることになる。
要請項目(3)については、
(3′)転舵角指令値をなるべく小さくする
という要請項目で置き換える。この要請項目は、
Figure 2010202030
という評価式で表現することができる。
外7
Figure 2010202030
ステップS1410、ステップS1411については、操舵角速度の指令値時系列ではなく転舵角指令値の時系列を算出するという相違点以外は、第1の実施の形態のステップS309、ステップS310と同じである。
ステップS1412では、転舵角サーボコントローラ10に転舵角指令値を伝達するという処理を実行する。
ステップS1406、ステップS1407については、第1の実施の形態におけるステップS305、ステップS306と同じ処理である。
ステップS1408では、センサ検出情報の評価を行う。
外8
Figure 2010202030
しかし、各センサの検出精度・信頼性は必ずしも同じではないため、センサ検出情報だけでこれらの情報の設定を行うと、検出精度・信頼性の低い検出値が目標走行経路演算に影響を与えることが懸念される。例えば、障害物の位置・移動速度に関する情報は、自車が直進状態にある場合には比較的精度の高い検出値が得られるが、自車にヨーレートが発生している旋回状態では検出精度が低下する傾向がある。そのような場合には、0から1までの値をとるセンサ検出情報の信頼性を表す指標αを導入し、自車に発生しているヨーレート検出値γによって、信頼性指標を以下のように算出する。
Figure 2010202030
ただし、γ0は検出情報の信頼性を判定する閾値である。ここでは、α=0はセンサ検出情報の信頼性が低いという判定結果を意味し、α=1は信頼性が高いという判定結果を意味するものと定義する。また、指標を連続化して、
Figure 2010202030
のように定義することも考えられる。本実施例では簡単のため、検出したヨーレートの値だけで信頼性評価指標を算出する構成としている。しかし、装置に実装したセンサの検出特性に応じて、例えばカメラの視野角内における障害物の検出位置に応じて信頼性を定義するなど、(40)、(41)式とは異なる指標を定義することもできる。また、例えば位置検出情報と速度検出情報とで異なる信頼性評価指標を算出するといった構成をとることもできる。
ステップS1409では、第1の実施の形態のステップS308と同様に、目標走行経路の再計算のために必要な初期条件の設定が行われる。第一実施例では特に自車の状態ベクトルの設定に関する処理が中心であったが、本実施の形態では障害物の位置・運動状態の設定に関する処理を実行する。
外9
Figure 2010202030
Figure 2010202030
以上の設定のもとでステップS1410に進み、目標経路算出の処理を実行する。
ステップS1413、ステップS1415における処理は、それぞれ第1の実施の形態におけるステップS312、ステップS313と同一の処理である。また、第2の実施の形態では運転支援制御の起動中は操舵系のクラッチ17を切り離し、運転者の操舵角と自車の前輪舵角が独立に動ける構成を採る。そして、運転者の操舵角と前輪舵角を本来の関係に復帰させた上でクラッチ17を締結する。この場合、通常の運転モードに復帰させる制御ルーチンを用意しておき、ステップS1414でその制御ルーチンを起動する処理を実行する。
外10
Figure 2010202030
図15は、第2の実施の形態の装置が既述の図4の場面に遭遇したときの挙動を表す図である。即ち、本装置が時刻t0において起動して運転者が右方向への回避操作を始め、時刻t1に到達した時の自車および障害物の配置、自車のヨーレートおよび障害物の横位置検出結果の履歴を示している。
ここでは障害物は静止しているものとする。回避操作が始まる前の時刻t0までは、車両が直進状態にあるので自車のヨーレートはほほ0であり、障害物の横位置(y座標)の検出結果はほぼ真値と一致している。時刻t0で回避経路の算出結果を得て、回避経路に沿って走行を始めて車両にヨーレートが発生すると、障害物の横位置の検出値の誤差が次第に増加してくる。それに伴って目標走行経路も徐々に当初の目標走行経路よりも右寄りに修正される傾向を呈するような再計算結果を得ることになるが、車両に発生するヨーレートがγ0を超えるあたりから急激に検出値の誤差が大きくなってくる。
これにより、障害物が急に右方向に移動してきているという誤まった情報が目標走行経路演算部230に伝達されることになり、それに対応して右方向に大きく回避するような目標走行経路を描くような再計算結果を得ることになる。従って、一層大きなヨーレートが発生するという悪循環に陥る可能性が出てくる。
これは、運転者に、障害物が静止しているにも関わらず車両がどんどん右方向に流れていく走行経路を辿っているに等しい感覚を覚えさせ、強い違和感を与えることになる。
図16に、目標走行経路算出部230において算出した目標転舵角の履歴を示す。センサ情報を用いて再計算を続けた場合には、一度右に操舵した後、再度大きく右に操舵してから操舵を戻すという不自然な操舵パターンとなってしまう。一方、センサ情報を用いずに予測状態ベクトルを用いた場合には、障害物がほぼ静止状態にあることを想定して目標走行経路の再計算を実行するので、滑らかで安定した操舵パターンが得られる。
(第2の実施の形態による効果)
第2の実施の形態としての車両用運転支援装置では、検出情報評価部320が、自車状態検出部210、運転者操作状態検出部220、および障害物検出部260において検出した情報の信頼度を評価する。そして、初期条件設定部250が、検出情報の信頼度が高いほど当該現在状態検出値を重視した初期条件を設定する。
上記の構成によって、検出情報の信頼度評価に応じて初期条件に用いる状態量の設定を変える。このため、信頼度の低い情報を用いることにより目標走行経路が乱れることを防止することができる。
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態を、図17ないし図21を参照して以下に説明する。
本第3の実施の形態では、既述の第1の実施の形態および第2の実施の形態におけるような障害物回避操作の支援ではなく、道路に沿って走行する操作の支援を想定した車両用運転支援装置を構成している。
図17は本発明の第3の実施の形態としての車両用運転支援装置について説明するための模式図である。また、図18は、図17の装置に対応する機能ブロック図である。
図17および図18において、既述の図1および図2との対応部は同一の符号を附して示し、それら各部の説明は既述の該当部に関する言及を援用する。第3の実施の形態では、人工衛星からの測位信号を受信するGPS信号受信機13と道路情報が収録された記録媒体である地図情報データベース120が追加されている。他の点では、図1および図2の第1の実施の形態と同様である。尚、後述するように、マイクロプロセッサ73における処理は図2の第1の実施の形態におけるマイクロプロセッサ70とは異なる。例えば、センサ信号処理部200の位置・方位・道路情報取得部283が、GPS信号受信機13および地図情報データベース120から受けた情報に基づいて自車の位置および進行方向ならびに道路情報を取得する。しかし他の点では、この機能ブロック図での見掛け上の差異はない。
以下、図19に示す場面を想定して、第3の実施の形態の装置における具体的な処理内容および動作について説明する。図19は、自車が道路の曲線部にさしかかった状況を示している。マイクロプロセッサにおける処理の流れは既述の図3の第1の実施の形態について説明した内容と概ね同じであるため、フローチャートとしては既述の図3を援用する。但し、各ステップにおける処理内容は第1の実施の形態とは異なる箇所があるので、以下、図3との相違点を中心に具体的な処理内容を説明する。
ステップS301では、カメラ、センサ信号に加えて、GPS信号の受信と道路情報データベースとの照合に関する処理も行い、自車の道路上の位置および前方の道路形状に関する情報を取得する。またここでは座標系の設定も行うが、この第3の実施の形態でも既述の第1の実施の形態と同様に、まず直交座標系としてX軸、Y軸を設定する。本実施の形態ではこれに加えて、道路の中心線上に進行方向に沿ってs座標軸およびs座標軸と直交するr座標軸を図示のように設定する。道路の進行方向は道路情報記録部のデータを参照することによって得ることができるので、X、Y座標とs、r座標間の変換式を次式のように構成することができる。
Figure 2010202030
ステップS302の処理では、第1の実施の形態と同様の処理に加えて、位置・方位・道路情報取得部283が、GPS信号受信機13および地図情報データベース120から受けた情報に基づいて自車の位置および進行方向ならびに道路情報を取得する。
ステップS303では運転支援の起動判定を行う。運転支援の起動条件として、例えば道路曲線部の走行の支援を目的として、現在走行中の道路または所定領域内における前方の道路の曲率が所定の値よりも大きくなっている場合に運転支援を起動するといった条件を設定することができる。或いは、道路の直線部を含むより広い場面で支援することを目的として、自車の走行速度が所定の値よりも大きくなっている場合にはすべて支援の対象とするといった条件設定も考えられる。
ステップS304では目標走行経路演算の設定処理を実行する。以下に、第3の実施の形態における目標経路演算の定式化について説明する。車両モデルについては、第1の実施の形態と同じモデルを利用することができる。評価関数については、要請項目(1)に対応する評価項は除外する。また、要請項目(2)に対応する評価項は、基本的には既述の(18)式を踏襲するが、図19のような道路曲線部分においては、道路の中心からの距離はY座標ではなく、r座標で表される。従って、(18)式に相当する評価式は次式のように表される。
Figure 2010202030
ただし、γL、γRはそれぞれ道路の左端、右端のr座標値である。
(46)式のrに(45)式の変換式、r=hγ(x,y)を代入することにより、LRをx,y座標で表現した式LR(x,y)が得られるので、これを評価式として用いる。
要請項目(4)については、自車が一定速度で道路中心線に沿って走行した場合に到達するs座標値における道路進行方向を道路情報データベースから読み出してその値をθ*とすると、
Figure 2010202030
という関数で表現することができる。
以上のような設定変更を行えば、ステップS309で第1の実施の形態と同様の最適化演算に基づいて道路に沿って走行するための目標走行経路を算出することができる。
目標走行経路を算出した後の他のステップにおける処理は第1の実施の形態について既述の処理と同じである。但し、図19に示すような場面は、図4に代表される障害物回避の場面と比較してとり得る走行経路の自由度が高くなることを反映して、ステップS308における初期条件設定で以下で説明する処理を追加する。即ち、ステップS308の初期条件設定では、(32)式に従って、目標走行経路演算に用いられる初期条件が算出されていた。
外11
Figure 2010202030
Figure 2010202030
以上で説明した目標走行経路算出演算を適用した第3の実施の形態の装置における具体的な動作について図20および図21に基づいて説明する。
図20は運転操作支援を開始した時刻t0における車両位置および目標走行経路、検出状態と予測状態との誤差が許容水準を超えた時刻tAにおける車両位置および目標走行経路を示している。ここでは、運転者は時刻t0で算出した目標走行経路よりも右側の経路を辿りながら走行している状況を考えている。その結果、時刻tAにおいて検出状態と予測状態が一致していれば目標走行経路Aが算出される状況で、実際の車両状態に対して時系列の操作手順に基づく操作を行った場合の目標走行経路は目標走行経路Bのようになる。即ち、図示のように道路の右端に近い領域を通過していく経路になる。一方、時刻tAにおいて検出状態を用いて目標走行経路を算出した場合、目標走行経路Cのように補正した目標走行経路が得られる。目標走行経路Bは評価関数の評価値を大きく悪化させるほどではないが、運転者の操作を支援する際の目標経路として用いるのに適当な走行経路であるとは言えない。しかし、直ちに目標走行経路Cに切り替えると、図21に示すように操舵角目標値に段差が生じるために、操舵補助力にも段差が生じて運転者に違和感を与えることが懸念される。そこで、(48)式、および、(49)式に示した方法によって初期状態ベクトルを段階的に検出状態に近付けるという演算方法を用いる。
以上の第3の実施の形態では、図21に示すように操舵角目標値を連続的に変えることができるので、運転者に与える違和感を抑えながら運転支援制御を継続することができる。
(第3の実施の形態による効果)
(1)第3の実施の形態としての車両用運転支援装置では、自車状態検出部210は、GPS信号および地図情報データベースの情報に基づいて自車両の走行状態を検出する。
上記(1)の車両用運転支援装置では、GPS信号および地図情報データベースの情報により、広範囲を俯瞰するようにして自車両の走行状態を認識可能であり、より適切な運転支援を行うことが可能になる。
(2)上記車両用運転支援装置において、目標走行経路算出部230は、当該再計算によって得る目標走行経路に変化が生じる場合に該変化が連続的変化となる演算を行って目標走行経路に関する情報を算出する。
上記(2)の車両用運転支援装置では、目標走行経路に不連続な変化が生じないため、運転支援における操舵角目標値を連続的に変えることができるので、運転者に与える違和感を抑えながら運転支援制御を継続することができる。
(本発明の実施の形態における効果)
以上に説明した本発明の実施の形態における車両用運転支援装置による効果をその構成との関連において以下に列記する。
(1)本発明の一つの実施の形態では、自車状態検出部210が自車両の走行状態を検出し、運転者操作状態検出部220で運転者の操作状態を検出する。また、目標走行経路算出部230が任意の自車状態および運転操作状態を初期条件として、所定時間先までの自車が走行すべき目標走行経路を該目標走行経路に沿って走行するために必要な操作を時系列の操作手順として所定の演算周期ごとに再計算を実行して算出する。一方、目標走行経路算出部230が目標走行経路の再計算を実行するに際し、自車状態検出部210および運転者操作状態検出部220で得た現在の状態を表す現在状態検出値を当該再計算の初期条件設定の一つの根拠とする。また、過去の演算周期において算出した目標走行経路から現在時刻に対応する自車状態および運転操作状態を抽出した状態予測値を当該再計算の初期条件設定の他の一つの根拠とする。そして、これら二つの状態量に選択的に基づいて、初期条件設定部250が目標走行経路算出部230で現在の目標走行経路算出に用いる初期条件を設定する。運転操作支援部240が目標走行経路算出部230で算出した時系列の操作手順に沿った操作が行われるように運転者の運転操作を支援する。
上記(1)の車両用運転支援装置では、目標走行経路算出部230で目標走行経路の再計算に係る初期条件設定の根拠を初期条件設定部250より選択的に設定する。即ち、現在状態検出値と状態予測値の二つの状態量に状況に応じて選択的に依拠して初期条件設定を行うことが可能になる。このため、現在状態の検出誤差等に起因して再計算における目標走行経路の算出値が大幅に変動する虞がある場合には、誤差要因の影響を直接的には受けない状態予測値を計算の初期条件として適用することにより算出値の変動を抑制可能である。これにより、操作支援量が変動することで運転者が感じる違和感を小さくすることができる。また、再計算の続行により現在状態検出値を用いた目標経路算出を再開した場合に算出される目標走行経路が大きく変化することを防止できる。このため、操作支援量が急激に変化することが少なく運転者に与える違和感を緩和できる。
(2)上記(1)の車両用運転支援装置において更に、自車前方の障害物を検出する障害物検出部260を備え、初期条件設定部250が、障害物検出部260から得られる障害物測定値を含んだ当該現在状態検出値、および、過去の演算周期において測定した障害物位置を含んだ当該状態予測値との二つの状態量に選択的に基づいて、前目標走行経路算出部230における初期条件の設定を行う。
上記(2)の車両用運転支援装置では、上記(1)の車両用運転支援装置における効果に加えて、自車前方の障害物を考慮した回避支援が可能になる。
(3)上記(2)の車両用運転支援装置において更に、障害物検出部260で検出した障害物の運動状態に基づいて、障害物挙動予測部270が所定時間先までの障害物の挙動を予測する。
上記(3)の車両用運転支援装置では、上記(2)の車両用運転支援装置における効果に加えて、動きのある障害物を効果的に回避する支援が可能になる。即ち、移動することも想定して障害物の運動状態も含め目標経路算出時の初期条件の設定を行うため、障害物の運動状態の検出精度が状況によって変化する場合でも、検出精度が操作支援量に与える影響を小さくすることができる。
(4)上記(3)の車両用運転支援装置において更に、道路境界検出部280が、自車が走行可能な道路の境界を検出する。
上記(4)の車両用運転支援装置では、上記(3)の車両用運転支援装置における効果に加えて、検出した道路境界内に収まるように目標走行経路を算出でき、道路幅が制限されている状況でも適切な目標走行経路に基づいて運転操作を支援することができる。
(5)上記(1)〜(4)の何れか一の車両用運転支援装置において更に、運転支援起動判定部290が運転支援の必要性を判断する。そして、運転支援起動判定部290が運転支援が必要であると判定した場合に、運転操作支援部240が、運転操作の支援を実行する。
上記(5)の車両用運転支援装置では、運転支援が必要とされている場面でのみ運転者の操作に対する装置からの働きかけが行われる。このため、支援が不要な場面で運転者の操作に介入して運転者に違和感を与えることを防止することができる。
(6)上記(1)〜(5)の何れか一の車両用運転支援装置において更に、初期条件設定部250が、当該現在状態検出値と過去の演算周期において算出した当該状態予測値との何れか一方を、各成分ごとに選択して初期条件設定を行う。
上記(6)の車両用運転支援装置では、状態測定値と状態予測値をそれら両者の各成分ごとに比較して、適切な値を初期条件に設定する。このため、状態量を構成する各信号ごとに与えられた状況に適した値を選択して目標走行経路演算に適用できる。従って、各信号の性質およびその検出部の性能に合わせた最適な処理が可能になり、特定の信号の性質やその検出部の性能が、目標経路の算出結果に与える影響を適応的に低減できる。
(7)上記(1)〜(5)の何れか一の車両用運転支援装置において更に、初期条件設定部250は、当該現在状態検出値と過去の演算周期において算出された当該状態予測値との二つの状態量に、各成分ごとに適当な重みをつけた上で平均値を算出することにより初期条件設定を行う。
上記(7)の車両用運転支援装置では、目標走行経路演算の初期条件を、状態測定値と状態予測値の加重平均に基づいて算出する。これにより、二つの状態量を切り替える場合に初期条件設定を連続的に変化させることが可能になり、目標走行経路や操作支援量の変化をより滑らかにすることができる。従って、運転者により違和感なく受け入れられやすい操作支援を行うことができる。
(8)上記(6)〜(7)の何れか一の車両用運転支援装置において更に、検出情報評価部320が、自車状態検出部210、運転者操作状態検出部220、および障害物検出部260において検出した情報の信頼度を評価する。そして、初期条件設定部250が、検出情報の信頼度が高いほど当該現在状態検出値を重視した初期条件を設定する。
上記(8)の車両用運転支援装置では、検出情報の信頼度評価に応じて初期条件に用いる状態量の設定を変える。このため、信頼度の低い情報を用いることにより目標走行経路が乱れることを防止することができる。
(9)上記(6)〜(8)の何れか一の車両用運転支援装置において更に、予想走行経路評価部310が、過去の演算周期において算出した目標走行経路に対応する時系列の操作手順を現在時刻以降も入力し続けた場合に予想される自車走行経路の妥当性に関する評価値を得る。そして、初期条件設定部250が、予想走行経路評価部310による当該評価値が低いほど現在の状態測定値を重視した初期条件を設定し、当該評価値が高いほど過去の演算周期において算出した状態予測値を重視した初期条件を設定する。
上記(9)の車両用運転支援装置では、現在の時刻において予想される走行経路を予測・評価して、新たに検出した状態量に基づいて目標走行経路を再計算する必要性を判定しながら目標走行経路の再計算を行う。これにより、障害物回避等の本来の走行目的に大きな影響を与えない程度の目標走行経路からの逸脱に対しては、誤差要因の影響を受けにくい状態量に基づいて目標経路の再計算を行う。従って、目標走行経路が変動しにくくなり、運転者にとって自然でわかり易い操作支援を行うことができる。
(10)上記(6)〜(9)の何れか一の車両用運転支援装置において更に、初期条件設定部250は、現在の状態予測値と過去の演算周期において算出した状態予測値との乖離が所定値以上に大きくなった場合には、初期条件設定における加重平均演算の重みを、その後の時間の経過と共に状態予測値を重視した設定から現在の状態測定値を重視した設定へと段階的に変化させる。
上記(10)の車両用運転支援装置では、状態測定値と状態予測値との誤差が大きくなった場合に、初期条件設定を段階的に状態測定値に切り替えていく。これにより、目標走行経路からの逸脱が大きくなった場合に本来の目標走行経路への復帰を運転者に働きかける場面において、操作支援量が急激に変化することで運転者に与える違和感を緩和できる。
(11)上記(1)〜(10)の何れか一の車両用運転支援装置において更に、運転者操作状態検出部220は、運転者の操舵操作を検出する。
上記(11)の車両用運転支援装置では、運転者の操舵操作を検出して目標走行経路の算出を行っているので、車両の横方向運動を含む走行経路の算出とそれに追従して走行するための操作の支援を行うことができる。
(12)上記(1)〜(11)の何れか一の車両用運転支援装置において更に、運転者操作状態検出部220は、運転者のアクセル操作およびブレーキ操作を検出する。
上記(12)の車両用運転支援装置では、運転者のアクセル操作とブレーキ操作を検出して目標走行経路の算出を行っているので、車両の加減速運動を含む走行経路の算出とそれに追従して走行するための操作の支援を行うことができる。
(13)上記(1)〜(12)の何れか一の車両用運転支援装置において更に、運転操作支援部240は、目標走行経路算出部230で算出した目標操作量と、運転者操作状態検出部220で検出した運転者操作量との偏差に基づいて、運転者の操作に対する操作補助力を制御する。
上記(13)の車両用運転支援装置では、目標走行経路算出部230で算出した目標操作量と運転者の実際の操作量との偏差を検出して、偏差に応じた操作補助力を作用させる。このため、操作補助力の作用する方向や大きさによって、必要な操作を運転者に効果的に伝達することができる。
(14)上記(1)〜(12)の何れか一の車両用運転支援装置において更に、運転操作支援部240は、目標走行経路算出部230で算出した操作量を自車の操作系を自動制御することによって実現する。
上記(14)の車両用運転支援装置では、目標走行経路算出部で算出した目標操作量を自動制御によって実現する。このため、自車を目標走行経路に確実に追従させることができる。
(15)上記(1)〜(5)の何れか一の車両用運転支援装置において更に、自車状態検出部210は、GPS信号および地図情報データベースの情報に基づいて自車両の走行状態を検出する。
上記(15)の車両用運転支援装置では、GPS信号および地図情報データベースの情報により、広範囲を俯瞰するようにして自車両の走行状態を認識可能であり、より適切な運転支援を行うことが可能になる。
(16)上記(1)〜(5)の何れか一の車両用運転支援装置において更に、目標走行経路算出部230は、当該再計算によって得る目標走行経路に変化が生じる場合に該変化が連続的変化となる演算を行って目標走行経路に関する情報を算出する。
上記(16)の車両用運転支援装置では、目標走行経路に不連続な変化が生じないため、運転支援における操舵角目標値を連続的に変えることができるので、運転者に与える違和感を抑えながら運転支援制御を継続することができる。
1……………………………カメラ
2……………………………車速センサ
3……………………………ヨーレートセンサ
4……………………………加速度センサ
5……………………………操舵角センサ
6……………………………操舵トルクセンサ
8……………………………操舵アシストモータ
9……………………………モータコントローラ
10…………………………転舵角サーボコントローラ
11…………………………ブレーキ
12…………………………ブレーキ圧センサ
13…………………………GPS受信機
15…………………………転舵角センサ
17…………………………クラッチ
18…………………………転舵モータ
70,72,73…………マイクロプロセッサ
100………………………センサ群
200………………………センサ信号処理部
210………………………自車状態検出部
220………………………運転者操作状態検出部
230………………………目標走行経路算出部
240………………………運転操作支援部
250………………………初期条件設定部
260………………………障害物検出部
270………………………障害物挙動予測部
280………………………道路境界検出部
290………………………運転支援起動判定部
310………………………予測走行経路評価部
320………………………検出情報評価部
400,402,403…運転操作支援機構

Claims (17)

  1. 自車両の走行状態を検出する自車状態検出部と、
    運転者の操作状態を検出する運転者操作状態検出部と、
    自車が走行すべき目標走行経路の算出開始時または該算出開始時以降における自車状態および運転操作状態を初期条件として、前記目標走行経路を、該目標走行経路に沿って走行するために必要な時系列の操作手順として、再計算を逐次実行して算出する目標走行経路算出部と、
    前記目標走行経路算出部が目標走行経路の再計算を実行するに際し、前記自車状態検出部および前記運転者操作状態検出部で得た現在の状態を表す現在状態検出値と、過去に算出した目標走行経路から現在時刻に対応する自車状態および運転操作状態を抽出した状態予測値との二つの状態量に選択的に基づいて、前記目標走行経路算出部で現在の目標走行経路算出に用いる初期条件を設定する初期条件設定部と、
    前記目標走行経路算出部で算出した時系列の操作手順に沿った操作が行われるように運転者の運転操作を支援する運転操作支援部と、
    を備えていることを特徴とする車両用運転支援装置。
  2. 自車前方の障害物を検出する障害物検出部を更に備え、
    前記初期条件設定部は、前記障害物検出部から得られる障害物測定値を含んだ当該現在状態検出値、および、過去に測定した障害物位置を含んだ当該状態予測値との二つの状態量に選択的に基づいて、前記目標走行経路算出部における初期条件の設定を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援装置。
  3. 前記障害物検出部で検出した障害物の運動状態に基づいて、将来の障害物の挙動を予測する障害物挙動予測部を更に備え、
    前記初期条件設定部は、前記障害物検出部から得られる障害物運動状態の測定値を含んだ当該現在状態検出値、および、前記障害物挙動予測部によって過去に算出した障害物挙動予測情報から現在時刻に対応する障害物位置および運動状態を抽出した状態量を含んだ状態予測値との二つの状態量に選択的に基づいて、前記目標走行経路算出部における初期条件の設定を行うことを特徴とする請求項2に記載の車両用運転支援装置。
  4. 自車が走行可能な道路の境界を検出する道路境界検出部を更に備え、
    前記目標走行経路算出部は、検出した道路境界内に収まるように目標走行経路を算出することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の車両用運転支援装置。
  5. 運転支援の必要性を判断する運転支援起動判定部を更に備え、
    前記運転操作支援部は、前記運転支援起動判定部において運転支援が必要であると判定した場合に運転操作の支援を実行することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の車両用運転支援装置。
  6. 前記初期条件設定部は、当該現在状態検出値と過去に算出した当該状態予測値との何れか一方を、各成分ごとに選択して初期条件設定を行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の車両用運転支援装置。
  7. 前記初期条件設定部は、当該現在状態検出値と過去に算出した当該状態予測値との二つの状態量に、各成分ごとに適当な重みをつけた上で平均値を算出することにより初期条件設定を行うことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の車両用運転支援装置。
  8. 前記自車状態検出部、運転者操作状態検出部、および障害物検出部において検出した情報の信頼度を評価する検出情報評価部を更に備え、
    前記初期条件設定部は、検出情報の信頼度が高いほど当該現在状態検出値を重視した初期条件を設定することを特徴とする請求項6〜7の何れか一項に記載の車両用運転支援装置。
  9. 過去に算出した目標走行経路に対応する時系列の操作手順を現在時刻以降も入力し続けた場合に予想される自車走行経路の妥当性に関する評価値を得る予想走行経路評価部を更に備え、
    前記初期条件設定部は、前記予想走行経路評価部による当該評価値が低いほど現在の状態測定値を重視した初期条件を設定し、当該評価値が高いほど過去に算出した状態予測値を重視した初期条件を設定することを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載の車両用運転支援装置。
  10. 前記初期条件設定部は、現在の状態予測値と過去に算出した状態予測値との乖離が所定値以上に大きくなった場合には、初期条件設定における加重平均演算の重みを、その後の時間の経過と共に状態予測値を重視した設定から現在の状態測定値を重視した設定へと段階的に変化させることを特徴とする請求項6〜9の何れか一項に記載の車両用運転支援装置。
  11. 前記運転者操作状態検出部は、運転者の操舵操作を検出することを特徴とする請求項1〜10の何れか一項に記載の車両用運転支援装置。
  12. 前記運転者操作状態検出部は、運転者のアクセル操作およびブレーキ操作を検出することを特徴とする請求項1〜11の何れか一項に記載の車両用運転支援装置。
  13. 前記運転操作支援部は、前記目標走行経路算出部で算出した目標操作量と、前記運転者操作状態検出部で検出した運転者操作量との偏差に基づいて、運転者の操作に対する操作補助力を制御することを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の車両用運転支援装置。
  14. 前記運転操作支援部は、前記目標走行経路算出部で算出した操作量を自車の操作系を自動制御することによって実現することを特徴とする請求項1〜12の何れか一項に記載の車両用運転支援装置。
  15. 前記自車状態検出部は、GPS信号および地図情報データベースの情報に基づいて自車両の走行状態を検出することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の車両用運転支援装置。
  16. 前記目標走行経路算出部は、当該再計算によって得る目標走行経路に変化が生じる場合に該変化が連続的変化となる演算を行って目標走行経路に関する情報を算出することを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の車両用運転支援装置。
  17. 自車両の走行状態を検出する自車状態検出ステップと、
    運転者の操作状態を検出する運転者操作状態検出ステップと、
    自車が走行すべき目標走行経路の算出開始時または該算出開始時以降における自車状態および運転操作状態を初期条件として、前記目標走行経路を、該目標走行経路に沿って走行するために必要な時系列の操作手順として、再計算を逐次実行して算出する目標走行経路算出ステップと、
    目標走行経路算出ステップによって算出した時系列の操作手順に沿った操作が行われるように運転者の運転操作を支援する運転操作支援ステップと、
    目標走行経路の再計算を実行するに際し、前記自車状態検出ステップおよび前記運転者操作状態検出ステップで得た現在の状態を表す現在状態検出値と、過去の演算周期において算出した目標走行経路から現在時刻に対応する自車状態および運転操作状態を抽出した状態予測値との二つの状態量に選択的に基づいて、前記目標走行経路算出ステップで現在の目標走行経路算出に用いる初期条件を設定する初期条件設定ステップと、
    を含むことを特徴とする車両用運転支援方法。
JP2009049281A 2009-03-03 2009-03-03 車両用運転支援装置および車両用運転支援方法 Expired - Fee Related JP5267215B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009049281A JP5267215B2 (ja) 2009-03-03 2009-03-03 車両用運転支援装置および車両用運転支援方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009049281A JP5267215B2 (ja) 2009-03-03 2009-03-03 車両用運転支援装置および車両用運転支援方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010202030A true JP2010202030A (ja) 2010-09-16
JP5267215B2 JP5267215B2 (ja) 2013-08-21

Family

ID=42963951

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009049281A Expired - Fee Related JP5267215B2 (ja) 2009-03-03 2009-03-03 車両用運転支援装置および車両用運転支援方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5267215B2 (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014115924A (ja) * 2012-12-12 2014-06-26 Toyota Central R&D Labs Inc 経路修正装置
US20160355185A1 (en) * 2014-01-16 2016-12-08 Robert Bosch Gmbh Method for operating a vehicle
WO2016194168A1 (ja) * 2015-06-03 2016-12-08 日産自動車株式会社 走行制御装置及び方法
JP2017224168A (ja) * 2016-06-15 2017-12-21 国立大学法人東京農工大学 運転支援装置及び運転支援方法
JP2018070134A (ja) * 2016-10-25 2018-05-10 スズキ株式会社 電動車両の操舵装置
JP2019043191A (ja) * 2017-08-30 2019-03-22 マツダ株式会社 車両制御装置
JP2019513617A (ja) * 2016-04-07 2019-05-30 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングRobert Bosch Gmbh 車両を運転する方法
JP2020045024A (ja) * 2018-09-20 2020-03-26 日立オートモティブシステムズ株式会社 電子制御装置
KR20200084955A (ko) * 2018-12-27 2020-07-14 현대자동차주식회사 차량 및 그 제어방법
CN111806426A (zh) * 2019-04-03 2020-10-23 丰田自动车株式会社 车辆控制装置
CN112334377A (zh) * 2018-07-03 2021-02-05 三菱电机株式会社 车辆控制装置
US20220194422A1 (en) * 2020-12-22 2022-06-23 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Vehicle control system

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004114954A (ja) * 2002-09-27 2004-04-15 Nissan Motor Co Ltd 車両用運転操作補助装置
JP2004338635A (ja) * 2003-05-16 2004-12-02 Toyota Motor Corp 車両用走行支援装置
WO2007018188A1 (ja) * 2005-08-05 2007-02-15 Honda Motor Co., Ltd. 車両の制御装置
JP2009018623A (ja) * 2007-07-10 2009-01-29 Toyota Motor Corp 走行制御装置

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004114954A (ja) * 2002-09-27 2004-04-15 Nissan Motor Co Ltd 車両用運転操作補助装置
JP2004338635A (ja) * 2003-05-16 2004-12-02 Toyota Motor Corp 車両用走行支援装置
WO2007018188A1 (ja) * 2005-08-05 2007-02-15 Honda Motor Co., Ltd. 車両の制御装置
JP2009018623A (ja) * 2007-07-10 2009-01-29 Toyota Motor Corp 走行制御装置

Cited By (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014115924A (ja) * 2012-12-12 2014-06-26 Toyota Central R&D Labs Inc 経路修正装置
US20160355185A1 (en) * 2014-01-16 2016-12-08 Robert Bosch Gmbh Method for operating a vehicle
US9862383B2 (en) * 2014-01-16 2018-01-09 Robert Bosch Gmbh Method for operating a vehicle based on one or more setpoint trajectories
WO2016194168A1 (ja) * 2015-06-03 2016-12-08 日産自動車株式会社 走行制御装置及び方法
US10787171B2 (en) 2016-04-07 2020-09-29 Robert Bosch Gmbh Method for operating a vehicle
JP2019513617A (ja) * 2016-04-07 2019-05-30 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングRobert Bosch Gmbh 車両を運転する方法
JP2017224168A (ja) * 2016-06-15 2017-12-21 国立大学法人東京農工大学 運転支援装置及び運転支援方法
JP2018070134A (ja) * 2016-10-25 2018-05-10 スズキ株式会社 電動車両の操舵装置
JP2019043191A (ja) * 2017-08-30 2019-03-22 マツダ株式会社 車両制御装置
CN112334377B (zh) * 2018-07-03 2023-02-14 三菱电机株式会社 车辆控制装置
CN112334377A (zh) * 2018-07-03 2021-02-05 三菱电机株式会社 车辆控制装置
JP7076348B2 (ja) 2018-09-20 2022-05-27 日立Astemo株式会社 電子制御装置
CN112351925A (zh) * 2018-09-20 2021-02-09 日立汽车***株式会社 电子控制装置
WO2020059350A1 (ja) * 2018-09-20 2020-03-26 日立オートモティブシステムズ株式会社 電子制御装置
JP2020045024A (ja) * 2018-09-20 2020-03-26 日立オートモティブシステムズ株式会社 電子制御装置
CN112351925B (zh) * 2018-09-20 2024-06-21 日立安斯泰莫株式会社 电子控制装置
US12030488B2 (en) 2018-09-20 2024-07-09 Hitachi Astemo, Ltd. Electronic control device
KR20200084955A (ko) * 2018-12-27 2020-07-14 현대자동차주식회사 차량 및 그 제어방법
KR102674597B1 (ko) * 2018-12-27 2024-06-14 현대자동차주식회사 차량 및 그 제어방법
CN111806426A (zh) * 2019-04-03 2020-10-23 丰田自动车株式会社 车辆控制装置
US20220194422A1 (en) * 2020-12-22 2022-06-23 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Vehicle control system
JP2022099047A (ja) * 2020-12-22 2022-07-04 トヨタ自動車株式会社 車両制御システム
JP7380541B2 (ja) 2020-12-22 2023-11-15 トヨタ自動車株式会社 車両制御システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP5267215B2 (ja) 2013-08-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5267215B2 (ja) 車両用運転支援装置および車両用運転支援方法
CN106080598B (zh) 实时预期速度控制
US10345813B2 (en) Method for the at least semi-autonomous manoeuvring of a motor vehicle, driver assistance system and motor vehicle
JP6055525B1 (ja) 車両の走行制御装置
JP6082415B2 (ja) 車両の走行制御装置
JP5463971B2 (ja) 移動体走行経路生成装置
JP2007253745A (ja) 回避操作算出装置、回避制御装置、各装置を備える車両、回避操作算出方法および回避制御方法
US20150346723A1 (en) Vehicle trajectory planning for autonomous vehicles
JP5205997B2 (ja) 車両用運転操作支援装置
JP6630443B2 (ja) 車両制御装置
JP6315107B2 (ja) 目標経路生成装置および走行制御装置
JP5556029B2 (ja) 運転操作支援装置及び運転操作支援方法
US20120283913A1 (en) System and method for adjusting smoothness for lane centering steering control
CN105189255A (zh) 用于驾驶员辅助功能的基于三阶多项式的行程预测
JP6784223B2 (ja) 車両の操舵支援装置および操舵支援制御方法
EP2426034A2 (en) Control system and control method for vehicles
JP6610799B2 (ja) 車両の走行制御方法および走行制御装置
JP2012216069A (ja) 車両および車両制御プログラム
JP2018192954A (ja) 運転支援装置
JP4853068B2 (ja) 車両用支援制御装置
US12030518B2 (en) Lane changing based only on local information
US20160031321A1 (en) Predicted arrival point presentation device and computer readable medium
JP2010162927A (ja) 車両用運転支援装置
CN116080754B (zh) 一种车辆自主驾驶横向控制方法
JP2019066444A (ja) 位置演算方法、車両制御方法及び位置演算装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20100917

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120131

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130314

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130409

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130422

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 5267215

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees