JP2010180349A - 新規なジアミン、ポリイミド前駆体およびポリイミドとこれよりなる塗布型光学補償フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

新規なジアミン、ポリイミド前駆体およびポリイミドとこれよりなる塗布型光学補償フィルムおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高い透明性、高いリタデーション(複屈折)、リタデーション(複屈折)の低波長分散性、高い有機溶媒溶解性(ワニスの安定性)、且つ十分な膜靭性を併せ持つ脂環式ポリイミドを製造すること
【解決手段】新規なフルオレニル基含有ジアミン化合物を用いることで、高い透明性、高いリタデーション(複屈折)、リタデーション(複屈折)の低波長分散性、高い有機溶媒溶解性(ワニスの安定性)、且つ十分な膜靭性を併せ持つ脂環式ポリイミドを製造することが可能となり、このポリイミドを使用して光学補償フィルム材料及びその製造方法を提供することができる。この脂環式ポリイミドはその特徴的な自己配向性によりそのワニスを塗付・乾燥するだけで大きなリタデーション(複屈折)と同時にその低波長分散性を発現することから、特にVAモードLCD用位相差(光学補償)フィルムとしてとして極めて有益である。
【選択図】なし

Description

本発明はフルオレニル基を含有する新規なジアミン化合物、これを用いて得られるポリイミド前駆体およびポリイミドとその製造方法、およびこのポリイミドからなる液晶ディスプレー用光学補償フィルムとその製造方法に関する。
テレビに代表される大型フラットパネルディスプレー(FPD)には、これまでプラズマディスプレーが主流であったが、近年液晶ディスプレー(LCD)の大型化技術の進歩により、大型の液晶テレビの需要が急速に拡大している。
大型液晶テレビのようなLCDの使用形態で最も重要な要求特性としてコントラストの視野角依存性の低減が挙げられる。大型液晶テレビでは近年広視野角化に有利なVA(垂直配向)モードやIPS(面内配向スイッチング)モードのLCDが採用されている。
LCD構成部材のうち液晶セルや偏光膜は元来光学異方性を有しているため、広い視野角に渡って高コントラストを維持する目的で、これらの部材ごとに適した光学補償フィルムが用いられている。
VAモードLCDにおける液晶層に対する光学補償用フィルムとして一般にネガティブCプレートとポジティブAプレートを組み合わせて使用されているが、最近、前者は直交同時2軸延伸した高分子フィルムが適用されている。
上記位相差フィルムには斜めから見た時のコントラス低下を防止するだけでなく、リタデーション(複屈折)波長依存性を補償することによる色補償機能も求められる。
液晶セルに使用される液晶分子材料ではリタデーション(複屈折)の波長依存性はしばしば長波長ほどリタデーション(複屈折)値が減少する正常波長分散となる。例えばSTNモードLCDでは液晶材料はしばしば正常分散特性を有するため、波長分散特性が正で大きなポリカーボネート系位相差フィルムが用いられている。一方VAモード液晶セルでは液晶層のリタデーション(複屈折)波長依存性が、使用する液晶材料やカラーフィルタに由来して通常よりもかなり小さくなる場合があり、これを補償するためにはリタデーション(複屈折)の波長依存性の小さい即ち、低波長分散特性を有する位相差フィルムが必要となる。
最近、上記目的のためVAモード液晶セル用位相差フィルムとして2軸延伸したシクロオレフィン系ポリマーフィルムが採用されている。しかしながら、位相差フィルムを偏光フィルムと液晶セルの間に挿入するためには接着剤を用いて積層する工程が必要であるため、パネルの薄型化には不利となる。一方、ポリビニルアルコール/ヨウ素系偏光膜の偏光子保護フィルム(例えばトリアセチルセルロース(TAC)フィルム)の一部に位相差機能を付与したり、偏光膜保護機能を有する位相差フィルムを用いる等の方法でLCD中の部材数を減らす試みも行われている。
上記のように、透明高分子材料を位相差フィルムに適用するべく大きな複屈折を発現させるためには、通常は高分子フィルムを機械的に高倍率で延伸しなければならい。仮に偏光子保護フィルムを浸蝕しない溶媒に溶解した高分子のワニスをその保護フィルム上に塗付・乾燥するだけで、なんら延伸操作をすることなく高いリタデーション(複屈折)且つその低波長分散性を有する透明な高分子材料があれば、LCD製造工程が著しく簡略化され、低コスト化および薄型化に有効な材料を提供しうる。
ポリイミドワニスを塗布・乾燥するだけで、透明で且つ比較的高いリタデーション(複屈折)を発現させてネガティブCプレートを製造する技術が開示されている(例えば特許文献1)が、リタデーション(複屈折)の波長分散特性には改善の余地が残されていた。
特開2008−280417
本発明は高い透明性、高いリタデーション(複屈折)、リタデーション(複屈折)の低波長分散性、偏光子保護フィルムを浸蝕しない溶媒に対する高い溶解性(ワニスの安定性)、且つ十分な膜靭性を併せ持つ、液晶ディスプレー用塗布型光学補償(位相差)フィルム材料として有益な脂環式ポリイミド、その前駆体、これらを製造するための新規なジアミン化合物、このポリイミドを含有してなる光学補償フィルムとその製造方法を提供することを目的とする。
以上の問題を鑑み、鋭意研究を積み重ねた結果、下記一般式(8):
Figure 2010180349
(式(8)中、Aは4価の脂肪族基を表し、Pnは各々独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基を表し、nは置換基の数を表す0から4の整数である。)
で表される繰り返し単位を有するポリイミドとこれを含有する共重合体が偏光子保護フィルムを浸蝕しない溶媒に溶解して安定なワニスを与え、これを偏光子保護フィルム上に塗布・乾燥することで上記産業分野において極めて有益な光学補償フィルム(位相差フィルム)となることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明の要旨は以下に示すものである。
(I)下記一般式(1):
Figure 2010180349
で表されるフルオレニル基含有ジアミン化合物。
(式(1)中、置換基Pnは各々独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基を表し、nは置換基の数を表す0から4の整数である。)
(II)下記一般式(2):
Figure 2010180349
で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体。
(式(2)中、Aは4価の脂肪族基を表し、Pnは各々独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基を表し、nは置換基の数を表す0から4の整数である。)
(III)前記一般式(2)で表されるイミド前駆体単位のモル分率をXとすると、Xが0.01〜0.99の範囲である、(II)記載のポリイミド前駆体共重合体。
(IV)下記一般式(3):
Figure 2010180349
(式(3)中、Aは前記と同義である。Bは下記式(4)〜(7):
Figure 2010180349
Figure 2010180349
Figure 2010180349
Figure 2010180349
からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。)
で表されるイミド前駆体単位をさらに含有することを特徴とする(III)に記載のポリイミド前駆体の共重合体。
(V)下記一般式(8):
Figure 2010180349
で表される繰り返し単位を有するポリイミド。
(式(8)中、Aは4価の脂肪族基を表し、Pnは各々独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基を表し、nは置換基の数を表す0から4の整数である。)
(VI)上記一般式(8)で表されるイミド単位のモル分率をYとすると、Yが0.01〜0.99の範囲である、(V)記載のポリイミド共重合体。
(VII)下記一般式(9):
Figure 2010180349
(式(9)中、Aは4価の脂肪族基を表し、Bは前記式(4)〜(7)からなる群から選ばれる少なくとも1種)で表されるイミド単位をさらに含有することを特徴とする(VI)記載のポリイミド共重合体。
(VIII) (II)〜(IV)のいずれかに記載のポリイミド前駆体を、加熱あるいは脱水環化試薬を用いてイミド化反応させることを特徴とする、(V)〜(VII)のいずれかに記載のポリイミドの製造方法。
(IX) (V)〜(VII)のいずれかに記載のポリイミドを、ケトン系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒の少なくとも1つに選ばれる溶媒に5重量%以上の濃度で均一に溶解して得られるワニス。
(X) (V)〜(VII)のいずれかに記載のポリイミドからなる光学補償フィルム。
(XI) (IX)に記載のポリイミドワニスを基板上に塗布・乾燥することを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
(XII) 波長400nmにおける光透過率が80%以上、波長450nmおよび550nmにおけるリタデーション(Re)または複屈折(△n)の比(Re450/Re550=△n450/△n550)が1.03以下、且つ引張試験において10%以上の破断伸びを有する、(X)に記載の光学補償フィルム。
(XIII) ナトリウムランプのD線(589nm)における複屈折が0.02以上である(X)に記載の光学補償フィルム。
本発明によれば、新規なフルオレニル基含有ジアミン化合物を用いることで、高い透明性、高いリタデーション(複屈折)、リタデーション(複屈折)の低波長分散性、高い有機溶媒溶解性(ワニスの安定性)、且つ十分な膜靭性を併せ持つ脂環式ポリイミドを製造することが可能となり、このポリイミドを使用して光学補償フィルム材料及びその製造方法を提供することができる。この脂環式ポリイミドはその特徴的な自己配向性によりそのワニスを塗布・乾燥するだけで大きなリタデーション(複屈折)と同時にその低波長分散性を発現することから、特にVAモードLCD用位相差(光学補償)フィルムとしてとして極めて有益である。
実施例2におけるポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを表す。 実施例2における波長と△nの関係を表す。 実施例4におけるポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを表す。
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明するが、これらは本発明の実施形態の一例であり、これらの内容に限定されない。
<要求特性を満たすための分子設計>
まず発明の光学補償フィルムを構成するポリイミドの透明性について説明する。芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンから得られる従来の全芳香族ポリイミド系では、Progress in Polymer Science, 26, 259−335 (2001)に開示されているように、ジイミド部位が電子受容体、ジアミン部位が電子供与体として作用し、分子内および分子間電荷移動相互作用によりポリイミドフィルムが著しく着色する。一方、本発明のポリイミドは脂環式テトラカルボン酸二無水物を用いて製造することに由来してジイミド部位が脂環構造となり、ジイミド部位の電子受容性が著しく低下するため、着色の原因である電荷移動相互作用が妨害され、完全に無色透明とすることが可能である。
本発明の光学補償フィルムは接着剤を使用しないで基板上に本発明のポリイミド層を直接形成することを特徴とするものである。その際、基板が耐熱性の低い偏光子保護フィルム(例えばTACフィルム)である場合はポリイミド前駆体ワニスを偏光子保護フィルム上に塗布・乾燥した後に熱イミド化する250℃以上の高温熱処理工程は偏光子保護フィルムの熱変形を引き起こす恐れがあり、適用困難である。そのため、熱イミド化工程を必要としない工程即ち、ポリイミドのワニスを基板上に塗布・乾燥して光学補償フィルムを形成する方法が好ましい。
偏光子保護フィルムがTACフィルムなどのセルロースアセテートフィルムである場合には、ポリイミドワニスの溶媒として、セルロースアセテートフィルムを浸蝕せず、且つセルロースアセテートフィルムの耐熱上限温度である140ないし150℃より低温でも塗膜を十分乾燥できる溶媒、例えばケトン系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒を選択する必要がある。言い換えると、使用するポリイミドは上記のように優れた透明性に加えて、安定なワニスを形成するために、これらの溶媒に対して室温で高い溶解性を持つことが求められる。
また、上記のようにしてポリイミドワニスから形成された透明ポリイミドフィルムがリタデーション(複屈折)の波長分散を制御するための1つの方策として、カルド型構造を有するフルオレニル基含有モノマーを使用することで、高分子主鎖に対して分子平面が直交するようにフルオレニル基を側差として結合する方法が、例えば特開2007−302719において提案されている。これらは直交するフルオレニル基が負の配向複屈折を持つ成分であり、主にイミド骨格からなる正の配向複屈折を持つ成分を打ち消し、波長分散特性を低波長分散及び逆波長分散へと制御している。
ポリイミド系に適用可能なカルド型フルオレニル基含有モノマーとして、下記式(10):
Figure 2010180349
で表される9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、特開2007−302719で提案されている9,9−ビス(3−アミノプロピル)フルオレンが知られている。しかしながら、ポリイミドの溶媒溶解性、高いリタデーション(複屈折)、リタデーション(複屈折)の低波長分散特性には改善の余地があった。
これに対して下記式(1):
Figure 2010180349
で表される本発明のフルオレニル基含有ジアミンを用いた場合、脂環式テトラカルボン酸二無水物と重合して得られたポリイミドは、様々なケトン系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒及びエステル系溶媒に室温で高い溶解性を示し、且つそのポリイミドワニスから形成されたフィルムは優れた透明性及びリタデーション(複屈折)の低波長分散特性を同時に発現することが可能となる。
ここで、式(1)中、置換基Pnは各々独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基を表し、nは置換基の数を表す0から4の整数である。炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基などがあげられ、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、などがあげられる。Pnは異なる2種類以上であってもよい。
上記のようなリタデーション(複屈折)の低波長分散特性に加えて、複屈折の大きさも重要である。複屈折が正の値をとり且つその絶対値が大きいほど、一定の光学補償機能を得るのに使用する光学補償フィルムをより薄く設定することができ、より好ましい。
以下に本発明に係る光学補償フィルムの複屈折について説明する。フィルム面方向をXおよびY軸、膜厚方向をZ軸とおけば、XおよびY方向の屈折率が等しく(nx=ny=nin)且つ、これらがZ方向の屈折率(nz)より高くなっているネガティブCプレート位相差フィルムを作製するためには通常、高分子フィルムを高倍率で直交同時2軸延伸してポリマー鎖をフィルム面に対してできるだけ平行に配向(以後、面内配向と称する)させる必要がある。
上記のような機械的延伸操作を一切行わず、ワニスの溶液キャスト製膜工程のみで比較的大きな複屈折(△n=nin−nz)を発現させることは通常容易ではないが、式(1)で表される本発明のフルオレニル基含有ジアミンに加えて、下記式(11)〜(14):
Figure 2010180349
Figure 2010180349
Figure 2010180349
Figure 2010180349
で表される剛直な構造のモノマーを共重合成分として併用することで、キャスト製膜工程でポリイミド鎖の面内配向(フィルム面に対して平行な方向への配向)を誘起して高い複屈折を発現させることが可能となる。
共重合するジアミン成分として上記以外に、屈曲結合を有する例えば4,4’−オキシジアニリン等のジアミンモノマーを用いることでポリイミドフィルムの靭性を更に改善することもできる。
<フルオレニル基含有ジアミンの製造方法>
本発明の式(1)で表されるジアミンの製造方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。具体的には下記式(15):
Figure 2010180349
(式(15)中、Rは水素原子またはアセトキシを表し、Pnは各々独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基を表し、nは置換基の数を表す0から4の整数である。)
で表されるフルオレニル基含有ジオールまたはその誘導体と下記式(16):
Figure 2010180349
(式(16)中、Xはヒドロキシ基、塩素原子、または臭素原子を表す。)
で表されるニトロ安息香酸またはその誘導体を反応させて下記式(17):
Figure 2010180349
で表されるジニトロ体とし、次いでニトロ基を還元することで、本発明の下記式(1):
Figure 2010180349
で表されるジアミンを製造することができる。
一般式(1)で表されるジアミンのうち、一例として、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(以下BPFLと称する)またはその誘導体と、2当量の4−ニトロ安息香酸(以下4−NBAと称する)またはその誘導体を出発原料としてエステル化反応を行って下記式(18):
Figure 2010180349
で表されるジニトロ体(以下NBBPFLと称する)を合成し、ついで得られたジニトロ体のニトロ基を還元することで下記式(19):
Figure 2010180349
で表されるジアミン(以下ABBPFLと称する)を製造する方法について以下に説明する。
上記エステル化反応の際適用できる方法として、例えば、BPFLのヒドロキシ基と4−NBAのカルボキシル基を高温で直接脱水反応させるか、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド等の脱水試薬を用いて脱水縮合させる方法、あるいはBPFLのジアセテート化体と4−NBAとを高温で反応させ脱酢酸してエステル化する方法(エステル交換法)、4−NBAのカルボキシル基を酸ハライドに変換し、これとBPFLとを脱酸剤(塩基)の存在下で反応させる方法(酸ハライド法)、トシルクロリド/N,N−ジメチルホルムアミド/ピリジン混合物を用いて4−NBA中のカルボキシル基を活性化してエステル化する方法等が挙げられる。上述の方法の中でもエステル交換法や酸ハライド法、特に酸ハライド法が経済性、反応性の点で好ましく適用できる。
一例として酸ハライド法即ち、4−ニトロ安息香酸クロリド(以下4−NBCと称する)とBPFLをエステル化反応させて式(13)で表されるジニトロ体を合成する方法について具体的に説明する。
4−ニトロ安息香酸クロリド(以下4−NBCと称する)(A mol)をよく脱水した溶媒に溶解し、セプタムキャップ等で密栓する。この溶液に、BPFL(0.5×A mol)および適当量の脱酸剤を同一溶媒に溶解したものをシリンジまたは滴下ロートにてゆっくりと滴下する。滴下終了後、反応混合物を1〜24時間撹拌する。合成に用いた溶媒に対する目的物の溶解度が高い場合は、反応混合物からまず副生成物である塩基の塩酸塩を濾別し、濾液をエバポレーターで溶媒留去し、50〜150℃で1〜24時間真空乾燥して粉末状の粗生成物を得る。目的物の溶解度が低いかまたは溶質濃度が極めて高い場合には、目的物は副生成物である塩基の塩酸塩と共に析出するので、その混合物を濾別し、これを大量の水で洗浄して塩酸塩のみ溶解除去する。このようにして得られた生成物をそのまま次の還元工程に使用しても差し支えないが、適当な溶媒で再結晶することによりあらかじめ精製してもよい。
上記エステル化反応の際、4−NBCの添加量はBPFLに対して2倍モル量が好ましいが、4−NBCの分離のしやすさから、過剰量の4−NBCを添加して反応させても差し支えない。
上記エステル化反応の際、使用可能な溶媒は、原料である4−NBCおよびBPFLと反応せず、これらをよく溶解するものであればよく、特に限定されないが、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、酢酸エチル、酢酸メチル、γ-ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、ジグライム、トリグライム、ピコリン、ピリジン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、トルエン、キシレン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン性溶媒等が挙げられる。またこれらの溶媒を単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。反応試薬の溶解性、反応後の溶媒留去、乾燥除去のしやすさの観点からテトラヒドロフランが好適に用いられる。
上記エステル化反応は、−10〜50℃で行われるが、生産性および製造コストの観点から0〜30℃で行うことが好ましい。反応温度が50℃よりも高いと一部副反応が起こり、収率が低下する恐れがあり、好ましくない。
上記エステル化反応に使用可能な脱酸剤として特に限定されないが、ピリジン、トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン等の有機3級アミン類、プロピレンオキサイド等のエポキシ類、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基が挙げられる。製造コストおよび分離のしやすさの観点からピリジンが好適に用いられる。
上記エステル化反応は、溶質濃度5〜50重量%の範囲で行うことができる。副反応の制御、収率の向上、沈殿物の濾過工程および過剰の脱酸剤や副生成物である塩酸塩の分離・除去工程を考慮して、10〜40重量%の範囲で反応を行うことが好ましく、20〜40重量%の範囲で行うことがより好ましい。このように高濃度で反応を行うことで、より高い収率で目的物を反応溶液から析出させることができる。
脱酸剤としてピリジンを使用した場合、ピリジン塩酸塩が副生成物として生成するが、これはテトラヒドロフランのような溶媒に対して溶解度が低いために、目的物と共に析出する。目的物は水に不溶であるがピリジン塩酸塩は水に易溶であるので、沈殿物を十分水洗することで、ピリジン塩酸塩のみ溶解・除去することができる。その際、洗浄液を随時採取し、1%硝酸銀水溶液を滴下して塩化銀の白色沈殿の生成の有無を目視することで、ピリジン塩酸塩が完全に除去されたかどうかを容易に判断することができる。
次に得られたジニトロ体(NBBPFL)の末端の2つのニトロ基を還元して、式(19)で表されるジアミン(ABBPFL)を得る。この際、還元反応の方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。例えばジニトロ体がエタノール等の水素供与性溶媒に可溶である場合、触媒として塩化錫を使用することで容易に還元することができる。また、ジニトロ体を溶媒に溶かし、パラジウム/カーボンを触媒として、水素雰囲気中で攪拌する方法も適用することができる。この際使用可能な溶媒はジニトロ体を溶解すればよく、特に制限されない。またその際、使用した溶媒に対するジニトロ体の溶解度が低い場合には反応溶液を30〜200℃に加熱しても差し支えない。またエタノールの存在下、水素の代わりに包水ヒドラジンを用いる方法も適用可能である。ジニトロ体を溶解するための溶媒の種類や反応温度の適用範囲の幅が広さおよび後処理の容易さという観点から、水素雰囲気下でパラジウム/カーボンを触媒として還元する方法が好適に用いられる。
例えばパラジウム/カーボンを用いてNBBPFLを還元する場合は、以下のようにして行う。まず3口フラスコ中、NBBPFLを溶媒に溶解し、これに触媒量のパラジウム/カーボン粉末を添加する。次に反応溶液を水素を吹き込んでバブリングするかまたは水素雰囲気とし、1〜24時間反応させる。反応終了後、パラジウム/カーボンを濾過により除去し、濾液の溶媒をエバポレーターで留去する。得られた析出物を50〜180℃で1〜24時間真空乾燥して粗生成物が得られる。これを適当な溶媒から再結晶して精製し、最後に50〜180℃で1〜24時間真空乾燥して重合反応に供することのできる高純度の該フルオレニル基含有ジアミンが得られる。
上記還元反応の際に使用可能な溶媒としては、特に限定されないが、例えばテトラヒドロフラン、酢酸エチル、エタノール、1,4−ジオキサン、ピコリン、ピリジン、アセトン、クロロホルム、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジグライム、トリグライム等が挙げられる。またこれらの溶媒を単独でも、2種類以上混合して用いてもよい。反応試薬の溶解性、反応後の溶媒留去や乾燥除去のしやすさの観点からN,N−ジメチルホルムアミドが好適に用いられる。
<ポリイミド前駆体の製造方法>
本発明に係る光学補償フィルムを構成するポリイミドの前駆体は下記一般式(2):
Figure 2010180349
(式(2)中、Aは4価の脂肪族基を表し、Pnは各々独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基を表し、nは置換基の数を表す0から4の整数である。)
で表すイミド前駆体単位を含有する。
また、本発明に係るポリイミドの前駆体は下記一般式(3):
Figure 2010180349
(式(3)中、Aは前述の通りである。Bは下記式(4)〜(7)からなる群より選ばれる少なくとも1つである)で表される少なくとも1種のイミド前駆体単位をさらに含有していてもよい。
一般式(4);
Figure 2010180349
一般式(5);
Figure 2010180349
一般式(6);
Figure 2010180349
一般式(7);
Figure 2010180349
ポリイミド前駆体を構成する前記一般式(2)で表される単位と前記一般式(3)で表される単位のモル比、一般式(2)/一般式(3)=1/99〜99/1である。特に好ましくは5/95〜80/20である。
本発明に係る光学補償フィルムを構成するポリイミドの前駆体を製造する方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。より具体的には、以下の方法により得られる。まずジアミンを重合溶媒に溶解し、この溶液にジアミンと実質的に等モルの該脂環式テトラカルボン酸二無水物粉末を徐々に添加し、メカニカルスターラーを用い、0〜100℃、好ましくは20〜60℃で0.5〜150時間好ましくは1〜48時間攪拌する。この際モノマー濃度は5〜50重量%、好ましくは10〜40重量%である。このモノマー濃度範囲で重合を行うことにより均一で高重合度のポリイミド前駆体溶液を得ることができる。ポリイミド前駆体の重合度が増加しすぎて、重合溶液が攪拌しにくくなった場合は、適宜同一溶媒で希釈することもできる。
ポリイミドフィルムの靭性の観点からポリイミド前駆体の重合度はできるだけ高いことが望ましい。上記モノマー濃度範囲で重合を行うことによりポリマーの重合度が十分高く、モノマー及びポリマーの溶解性も十分確保することができる。上記範囲より低い濃度で重合を行うと、ポリイミド前駆体の重合度が十分高くならない場合があり、また、上記モノマー濃度範囲より高濃度で重合を行うと、モノマーや生成するポリマーの溶解が不十分となる場合がある。また、脂肪族ジアミンを使用した場合、重合初期にしばしば塩形成が起こり、重合が妨害されるが、塩形成を抑制しつつできるだけ重度を上げるためには、重合時のモノマー濃度に注意を払うべきである。
また、ポリイミドフィルムの靭性およびワニスのハンドリングの観点から、ポリイミド前駆体の固有粘度は好ましくは0.1〜5.0dL/gの範囲であり、0.3〜3.0dL/gの範囲であることがより好ましい。
本発明に係る光学補償フィルムを構成するポリイミドの要求特性およびポリイミド前駆体の重合反応性を損なわない範囲で、重合の際に使用可能な脂肪族テトラカルボン酸二無水物としては、特に限定されないが、(1S,2R,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(シス、シス、シス−1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物)、(1S,2S,4R,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(ジオキソテトラヒドロフリル−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,4−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−n−ブタンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。上記の脂肪族テトラカルボン酸二無水物の内、重合反応性、ポリイミドの溶解性および製膜工程における面内配向性の観点から1S,2S,4R,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物および1,4−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物が好適に用いられる
ポリイミドの着色を抑制する観点からテトラカルボン酸二無水物成分としては上記の脂肪族テトラカルボン酸二無水物を用いるべきであるが、透明性等の要求特性を著しく損なわない範囲で芳香族テトラカルボン酸二無水物も共重合成分として部分的に使用することもできる。特に限定されないが、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物、2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ハイドロキノン−ビス(トリメリテートアンハイドライド)、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物等が例として挙げられる。またこれらを2種類以上用いてもよい。共重合する場合、これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物の使用量(含有率)は全テトラカルボン酸二無水物使用量に対して0〜30モル%である。
本発明に係る光学補償フィルムを構成するポリイミドの要求特性およびポリイミド前駆体の重合反応性を損なわない範囲で、本発明の式(1)で表されるフルオレニル基含有ジアミンの共重合成分として併用可能な脂肪族ジアミンとしては、特に限定されないが、例えば、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4'−メチレンビス(2−メチルシクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、シス−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3−ジアミノアダマンタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン等が挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。
本発明に係る光学補償フィルムを構成するポリイミドの要求特性およびポリイミド前駆体の重合反応性を損なわない範囲で、本発明の式(1)で表されるフルオレニル基含有ジアミンの共重合成分として併用可能な芳香族ジアミンとしては、特に限定されないが、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノデュレン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレンビス(2−メチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−エチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルアニリン)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルアニリン)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、ベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、p−ターフェニレンジアミン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノ-3-クロロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−フルオロフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)フルオレン等が挙げられる。またこれらを2種類以上併用することもできる。
ポリイミドフィルムの複屈折発現という観点から、キャスト製膜工程におけるポリイミド鎖の面内配向を誘起するのに有効な剛直・直線性の高い構造を有するジアミン即ち、p−フェニレンジアミン、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、ベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、p−ターフェニレンジアミン、トランス−1,4−ジアミノシクロヘキサン等をジアミン成分として使用することができるが、ポリイミドフィルムのリタデーション(複屈折)、その低波長分散性および溶媒溶解性の観点から2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3'−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンジアミン等が特に好適に用いられる。また、上記剛直構造のジアミンの含有量は全ジアミン使用量の10〜99モル%、好ましくは30〜99モル%の範囲である。
ポリイミド前駆体を重合する際に使用可能な重合溶媒は、重合反応時にモノマーおよびポリマーを十分溶解するものであればよく、特に限定されないが、例えばN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド等のアミド溶媒、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン等の環状エステル溶媒が好適に用いられる。また上記以外にもシクロペンタノン、シクロへキサノン等の環状ケトン系溶媒、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート溶媒、ジグライム、トリグライム、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、m−クレゾール、P−クレゾール等のフェノール系溶媒、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド等も使用可能である。
上記のようにして得られたポリイミド前駆体はその重合溶液を、大量の水やメタノール等の貧溶媒中に滴下・濾過・乾燥し、粉末として単離することもできる。
<ポリイミドの製造方法>
本発明に係る光学補償フィルムを構成するポリイミドは下記一般式(8):
Figure 2010180349
(式中、A及びPnは前記の通り)で表すイミド単位を含有する。
また、本発明に係るポリイミドは下記一般式(9):
Figure 2010180349
(式中、A及びBは前記の通り)で表される少なくとも1種のイミド単位をさらに含有していてもよい。
本発明のポリイミドを構成する前記一般式(2)で表される単位と前記一般式(3)で表される単位のモル比、一般式(2)/一般式(3)は1/99〜99/1である。特に好ましくは5/95〜80/20である。
前記一般式(8)及び(9)で表されるイミド単位は2種以上を含有していてもよい。
本発明の光学補償材料を構成するポリイミドは、上記の方法で得られたポリイミド前駆体を脱水閉環反応(イミド化反応)することで製造することができる。イミド化の方法は特に限定されず、公知の方法を適用することができる。
まずポリイミドフィルムを製造する方法について述べる。用いる基板がガラスや石英、銅、アルミニウム、ステンレス、シリコン等、耐熱性が極めて高い場合は、ポリイミド前駆体膜を形成した後、熱イミド化する工程を適用できる。その際まずポリイミド前駆体の重合溶液(ワニス)をこれらの基板上に流延し、オーブン中40〜180℃、好ましくは50〜150℃で乾燥する。次に得られたポリイミド前駆体フィルムを基板上で真空中、窒素等の不活性ガス中、あるいは空気中200〜400℃、より好ましくは250〜350℃で加熱することでポリイミドフィルムを製造することができる。加熱温度はイミド化の閉環反応を十分に行なうという観点から200℃以上、生成したポリイミドフィルムの熱安定性の観点から400℃以下が好ましい。またイミド化は真空中あるいは不活性ガス中で行うことが望ましいが、イミド化温度が高すぎなければ空気中でイミド化を行っても差し支えない。
またイミド化反応は、上記のような熱処理に代えて、基板上に形成されたポリイミド前駆体フィルムをピリジンやトリエチルアミン等の3級アミン存在下、無水酢酸等の脱水環化試薬を含有する溶液に浸漬することによって行うことも可能である。また、これらの脱水環化試薬をあらかじめポリイミド前駆体ワニス中に投入・攪拌し、それを上記基板上に塗布・乾燥することで、部分的またはほぼ完全にイミド化したポリイミド前駆体フィルムを作製することもでき、これを更に上記のように熱処理することでポリイミドフィルムが得られる。
また、上記脱水環化試薬をポリイミド前駆体ワニス中に投入し、−20〜150℃、好ましくは20〜80℃で0.5〜48時間攪拌し化学イミド化を完結させることも可能である。反応溶液にポリイミドが可溶である場合、反応溶液を大量の水やメタノール等の貧溶媒中に滴下・濾過しポリイミドを粉末として単離することもできる。また、ポリイミド粉末を上記重合溶媒に再溶解してポリイミドワニスとすることができる。
ポリイミド前駆体の重合溶液をそのままあるいは同一の溶媒で適度に希釈した後、その溶液を150〜250℃に加熱することで、ポリイミド自体が用いた溶媒に溶解する場合、本発明のポリイミドのワニスを容易に製造することができる。溶媒に不溶な場合は、ポリイミド粉末を沈殿物として得ることができる。この際、イミド化の副生成物である水等を共沸留去するために、トルエンやキシレン等を添加しても差し支えない。また触媒としてγ―ピコリン等の塩基を添加することができる。得られたワニスを大量の水やメタノール等の貧溶媒中に滴下・濾過・乾燥し、ポリイミドを粉末として単離することもできる。
ポリイミドの分子量低下をできるだけ抑制するという観点から、ポリイミド前駆体ワニスを加熱してイミド化する方法より、ワニス中に化学イミド化試薬を投入・攪拌し加熱せずにイミド化するほうが望ましい。
ポリイミド粉末を溶媒に再溶解してワニスとする際に使用可能な溶媒として、特に限定されないが、上記重合溶媒を使用することができる。また、偏光子保護フィルム上にポリイミドワニスを塗布・乾燥してポリイミドフィルムを形成する場合は、偏光子保護フィルムを浸蝕しない溶媒が好適に用いられる。例えば、偏光子保護フィルムとして代表的なTACフィルムを用いる場合は、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、α−メチルーγ−ブチロラクトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶媒、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロへキサノン、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒が好適に用いられる。特に、入手性、製膜性(TACへの浸蝕の程度、製膜条件のウインドウ幅確保)及び生産性の点から、メチルイソブチルケトン、トルエンが好適に用いられる。
また、該ポリイミドは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンを溶媒中高温で反応させることにより、ポリイミド前駆体を一旦形成することなく、一段階で重合することができる。この際、反応溶液は反応促進の観点から、130〜250℃、好ましくは150〜200℃の温度範囲に保持するとよい。また該ポリイミドが用いた溶媒に不溶な場合、ポリイミドは沈殿として得られ、可溶な場合はポリイミドのワニスとして得られる。重合溶媒は特に限定さないが、使用可能な溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性溶媒が例として挙げられが、より好ましくはm−クレゾール等のフェノール系溶媒やNMP等のアミド系溶媒が用いられる。これらの溶媒にイミド化反応の副生成物である水を共沸留去するために、トルエンやキシレン等を添加することができる。またイミド化触媒としてγ―ピコリン等の塩基を添加することができる。得られたワニスを大量の水やメタノール等の貧溶媒中に滴下・濾過・乾燥しポリイミドを粉末として単離することができる。またポリイミドが溶媒に可溶である場合はその粉末を上記溶媒に再溶解してポリイミドワニスとすることができる。
上記ポリイミドワニスを基板上に塗布し、40〜400℃、好ましくは100〜350℃で乾燥するによってもポリイミドフィルムを形成することができる。特に偏光子保護フィルムをTACフィルムとする場合は、TACフィルム上に該ポリイミドフィルムを形成する際、TACフィルムの耐熱性の観点から乾燥は40〜150℃、好ましくは50〜140℃で行う。
ポリイミド前駆体溶液中にN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドやトリフルオロ無水酢酸等の脱水試薬を添加・撹拌して0〜150℃、好ましくは20〜100℃で反応させることにより、ポリイミドの異性体であるポリイソイミドが生成する。イソイミド化反応は上記脱水試薬を含有する溶液中にポリイミド前駆体フィルムを浸漬することでも可能である。ポリイソイミドワニスを上記と同様な手順で製膜した後、250〜400℃、好ましくは270〜350℃で熱処理することにより、ポリイミドへ容易に変換することができる。
ポリイミドおよびその前駆体中に、必要に応じて酸化安定剤、フィラー、接着促進剤、シランカップリング剤、感光剤、光重合開始剤、増感剤、末端封止剤、架橋剤等の添加物を加えてもよい
<ポリイミドの要求特性>
本発明のポリイミドフィルムを溶液キャスト法で基板上に形成するためには、使用するポリイミドの有機溶媒溶解性が必要である。基板が偏光子保護フィルム例えばTACフィルムの場合、ポリイミドワニスの溶媒として、TACフィルムを侵食しないケトン系溶媒、エステル系溶媒及び芳香族系溶媒を使用する必要がある。即ち使用するポリイミドにはこれらの溶媒に対する高い溶解性が求められる。
また、偏光子保護フィルムの耐熱性や、キャスト製膜工程時のポリイミド鎖の配向緩和を抑制する観点から、キャスト製膜(乾燥)温度はできるだけ低いことが望ましい。そのため溶液キャスト製膜に用いる溶媒の沸点は低い方が望ましい。例えば偏光子保護フィルムがTACフィルムの場合、熱変形を防止するために乾燥温度は150℃以下に制限される。この観点からポリイミドワニス用溶媒の沸点は180℃以下であれば塗膜の乾燥工程に支障は無いが、150℃以下であればより好ましい。生産性を考慮すると、130℃以下であれば、さらに好ましい。
本発明のポリイミドフィルムは目視上完全に無着色であるが、透明性の高さをより定量的に表すならば、透明性の指標として膜厚20μmのフィルムの波長400nmにおける光透過率が80%以上であれば実用上支障はないが、85%以上であればより好ましい。
上記ポリイミドフィルムは十分な膜靭性を示すことが望ましい。その指標として180°折曲試験によりフィルムが破断しないことが必要である。より定量的に表すならば、引張試験において試験片の破断伸びが5%以上であれば実用上支障はないが、10%以上であればより好ましい。
上記ポリイミドフィルムはリタデーション(複屈折)の波長分散特性がより低いことが望ましい。その指標として450nmおよび550nmにおけるリタデーション(Re)または複屈折(△n)の比(Re450/Re550=△n450/△n550)が1.00〜1.04の範囲であれば実用上支障はないが、1.00〜1.03の範囲であればより好ましい。
本発明のポリイミドフィルムはより高いリターデーション(複屈折)値を有することが望ましい。リタデーション(複屈折)の指標としてナトリウムランプの波長589nmにおける複屈折値△n(nin−nz)が0.01以上であれば実用上支障は無いが、0.02以上であればより好ましい。リタデーションRe=△n×d(dは膜厚)の関係からポリイミドフィルムの複屈折値が高いほど光学補償フィルムをより薄く設定できる点で有利である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における物性値は、次の方法により測定した。
<赤外吸収スペクトル>
フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製FT−IR5300)を用い、KBr法にてフルオレニル基含有ジアミンの赤外線吸収スペクトルを測定した。また透過法にてポリイミド薄膜(約5μm厚)の赤外線吸収スペクトルを測定した。
1H−NMRスペクトル>
日本電子社製NMR分光光度計(ECP400)を用い、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6)中でフルオレニル基含有ジアミンの1H−NMRスペクトルを測定した。
<示差走査熱量分析(融点および融解曲線)>
フルオレニル基含有ジアミンの融点および融解曲線は、ブルカーエイエックスエス社製示差走査熱量分析装置(DSC3100)を用いて、窒素雰囲気中、昇温速度5℃/分で測定した。
<固有粘度>
0.5重量%のポリイミド前駆体またはポリイミドの溶液を、オストワルド粘度計を用いて30℃で測定して得られた還元粘度を固有粘度とみなした。
<カットオフ波長(透明性)>
日本分光社製紫外可視分光光度計(V−530)を用いて、200nmから900nmの可視・紫外線透過率を測定した。透過率が0.5%以下となる波長(カットオフ波長)を透明性の指標とした。カットオフ波長が短い程、ポリイミド膜の透明性が良好であることを意味する。
<光透過率(透明性)>
日本分光社製紫外可視分光光度計(V−530)を用いて、ポリイミドフィルム(膜厚約20μm)の波長400nmにおける光透過率を測定した。透過率が高い程、ポリイミド膜の透明性が良好であることを意味する。
<複屈折:△n、およびその波長分散>
アタゴ社製偏光子付アッベ屈折計(NAR−1T SOLID)を用いて、ポリイミドフィルム(膜厚約20μm)のフィルム面に平行な方向(nin)と垂直な方向(nout)の一定波長における屈折率(ナトリウムランプの波長589nm)を測定し、これらの屈折率の差から複屈折(△n=nin−nout)を求めた。また、複屈折の波長分散を求める場合は、光源としてナトリウムランプの代わりにキセノンランプ光源からの光を回折格子(バンドパス10nm)で分光した単色光を光ファイバーケーブルを介して上記屈折計に導入して各波長(450、486、546、550、587、656nm)における複屈折を測定した。
[実施例1]
<フルオレニル基含有ジアミン(ABBPFL)の合成>
本発明のフルオレニル基含有ジアミン(ABBPFL)は以下のように合成した。まず4−NBC11.13g(60 mol)をモレキュラーシーブス4Aで十分脱水したテトラヒドロフラン(THF)38mLに溶解し、セプタムキャップで密栓しA液とした。次にBPFL10.51g(30 mol)をTHF28mLに溶解し、これにピリジン7.3mL(90mmol)を加えてセプタムキャップで密栓しB液とした。A液を氷浴中で冷却しながら、A液にB液をシリンジを用いて滴下し、3時間攪拌した。その後更にTHFを15mL追加して室温で12時間攪拌した。析出した沈殿を濾別してTHF次いで水で洗浄した。水洗は洗中に塩素イオンが塩化銀白色沈殿として確認されなくなるまで、水で繰り返し洗浄してピリジン塩酸塩を溶解除去した。これを100℃で12時間真空乾燥して淡黄色の粉末状生成物を得た(収率:55%)。FT−IRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルより、得られた生成物は目的とする下記式(18)で表されるジニトロ体(NBBPFL)であることが確認された。DSC測定によるシャープな融解ピークが見られたことから、生成物は高純度であり、そのまま次の還元工程に用いた。
Figure 2010180349
FT−IR(KBr): 1740cm-1(エステルC=O伸縮振動吸収帯)、1528cm-1(ニトロ基非対称伸縮振動吸収帯)、1346cm-1(ニトロ基対称伸縮振動吸収帯)、1265cm-1(C−O−Ph伸縮振動)
1H−NMR(DMSO−d6): δ8.42ppm(末端ベンゼン環上のプロトン、d、4H、相対積分強度4.06)、δ8.34ppm(末端ベンゼン環上のプロトン、d、4H、相対積分強度4.06),δ8.00ppm(d、2H、相対積分強度2.00)、δ7.55ppm(d、2H、相対積分強度2.02)、δ7.45ppm(t、2H、相対積分強度2.02)、δ7.38ppm(t、2H、相対積分強度2.02)、δ7.2〜7.3ppm(m、8H、相対積分強度8.06)
DSC: 融点290.4℃。
次にNBBPFLのニトロ基を還元した。水素導入管およびコンデンサー付3口フラスコにNBBPFL5.00g(7.71mmol)およびパラジウム/カーボン粉末0.17gを入れ、DMF15mLを加えて80℃に加熱し、NBBPFLを溶解させた。次に水素を導入し、80℃で5時間攪拌した。反応後、パラジウム/カーボン濾別・除去し、濾液の溶媒をエバポレーターで留去し、析出した沈殿を水で洗浄して灰色の粗生成物を得た(収率96%)。これを1,4−ジオキサン/トルエン混合溶液(体積比:1/6)から2回再結晶して得られた薄黄色結晶を130℃で12時間真空乾燥して生成物を得た。FT−IRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルより、得られた生成物は目的とする下記式(19)で表されるフルオレニル基含有ジアミン(ABBPFL)であることが確認された。DSC測定によるシャープな融解ピークが見られたことから、生成物は高純度であることがわかった。
Figure 2010180349
FT−IR(KBr): 3482、3374cm-1(アミノ基N−H伸縮振動)、1711cm-1(エステル基C=O伸縮振動)、1269cm-1(C−O−Ph伸縮振動)
1H−NMR(DMSO−d6): δ6.3ppm(アミンプロトン、s、4H、相対積分強度4.00)、δ6.62ppm(アミノ基のオルト位の芳香族プロトン、d、4H、相対積分強度4.00)、δ7.75ppm(カルボニル基のオルト位の芳香族プロトン、d、4H、相対積分強度4.00)、δ7.97ppm(d、2H、相対積分強度2.00)、δ7.35〜7.55ppm(6H、相対積分強度6.00)、δ7.05〜7.20ppm(8H、相対積分強度8.00)、
DSC: 融点281.1℃。
[実施例2]
<ポリイミド前駆体の重合、イミド化およびポリイミドフィルム特性の評価>
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中に2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(以下、TFMBと称する)3.5mmolおよび本発明の式 (19)で表されるフルオレニル基含有ジアミン(ABBPFL)1.5mmolを入れ、モレキュラーシーブス4Aで十分に脱水したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解した後、この溶液に(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物粉末(岩谷瓦斯社製、以下PMDA−HSと称する)5mmolを一度に加えた。この時全モノマー濃度は30重量%である。溶液粘度が高くなり攪拌しにくくなったため、DMAcを適宜追加して、最終的には全モノマー濃度21重量%まで希釈した。最終的に72時間撹拌し透明、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。DMAc中で測定したこのポリイミド前駆体の固有粘度は0.654dL/gであった。このポリイミド前駆体溶液に過剰量の無水酢酸/ピリジン(体積比7/3)を攪拌しながら滴下し、室温で24時間攪拌して化学イミド化を行った。この際反応溶液はゲル化しなかった。化学イミド化終了後、反応溶液を大量のメタノール中に滴下してポリイミドを沈殿・濾過してメタノールで十分洗浄した後、100℃で真空乾燥してポリイミド粉末を得た。DMAc中で測定したこのポリイミドの固有粘度は0.699dL/gであった。製膜するためにポリイミド粉末をシクロペンタノンに溶解し(10重量%)、ガラス基板に塗布して60℃で1時間、100℃で10分、更に150℃で15分間乾燥して膜厚約10μmの透明なポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムは180°折曲げ試験によっても破断せず、十分な可撓性を示した。また同様にして別途5μm厚の薄膜を作製し、透過法にて赤外吸収スペクトルを測定したところ、化学イミド化はほぼ完結していることが確認された。ポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを図1に示す。
ポリイミドフィルムの透明性を評価したところ、400nmにおける光透過率は86.5%、カットオフ波長は313nmであり極めて高い透明性を示した。ナトリウムランプを光源として測定した複屈折は0.0203であり、比較的高い複屈折値を示した。また、Re450/Re550=1.02であり、極めて低い波長分散性を示した。広範囲の波長に対して複屈折(△n)をプロットしたものを図2示す。
[実施例3]
<フルオレニル基含有ジアミン(ABBCFL)の合成>
本発明のフルオレニル基含有ジアミン(ABBCFL)は以下のように合成した。まず4−NBC18.56g(100 mol)をモレキュラーシーブス4Aで十分脱水したテトラヒドロフラン(THF)39mLに溶解し、セプタムキャップで密栓しA液とした。次に下記式(20):
Figure 2010180349
で表される9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(東京化成製、以下BCFLと称する)19.02g(50 mol)をTHF32mLに溶解し、これにピリジン11.9mL(150mmol)を加えてセプタムキャップで密栓しB液とした。A液を氷浴中で冷却しながら、A液にB液をシリンジを用いて滴下し、3時間攪拌し更に室温で12時間攪拌した。析出した沈殿を濾別してTHF次いで水で洗浄した。水洗は洗液中に塩素イオンが塩化銀白色沈殿として確認されなくなるまで、水で繰り返し洗浄してピリジン塩酸塩を溶解除去した。これを100℃で12時間真空乾燥して黄白色の粉末状生成物を得た(収率:71%)。FT−IRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルより、得られた生成物は目的とする下記式(21)で表されるジニトロ体(NBBCFL)であることが確認された。これをそのまま次の還元工程に用いた。
Figure 2010180349
FT−IR(KBr): 3111cm-1、3054cm-1(芳香族C−H伸縮振動吸収帯)、2953cm-1、2924cm-1(脂肪族C−H伸縮振動吸収帯)、1742cm-1(エステル基C=O伸縮振動吸収帯)、1530cm-1(ニトロ基非対称伸縮振動吸収帯)、1346cm-1(ニトロ基対称伸縮振動吸収帯)、1267cm-1(C−O−Ph伸縮振動)
1H−NMR(DMSO−d6): δ8.3〜8.45ppm(末端ベンゼン環上ニトロ基のo−およびm−位のプロトン、8H、相対積分強度8.34)、δ7.97ppm(フロオレン基上4および5位のプロトン、2H、相対積分強度2.04)、δ7.56ppm(2H、相対積分強度2.00)、δ7.35〜7.5ppm(d、4H、相対積分強度4.28)、δ7.05〜7.35ppm(t、6H、相対積分強度6.18)、δ2.1ppm(メチル基プロトン、6H、相対積分強度6.08)
DSC: 融点302.8℃。
次にNBCPFLのニトロ基を以下のようにして還元した。水素導入管およびコンデンサー付3口フラスコにNBBPFL6.83g(10.1mmol)およびパラジウム/カーボン粉末0.23gを入れ、DMF105mLを加えて80℃に加熱し、NBBCFLを溶解させた。次に水素を導入し、80℃で4時間攪拌した。反応後、パラジウム/カーボン濾別・除去し、濾液の溶媒をエバポレーターで留去・濃縮し、反応液を大量の水中に滴下し、析出した沈殿を水でよく洗浄して灰色の粗生成物を得た(収率95%)。これを1,4−ジオキサン/トルエン混合溶液(体積比:2/5)から再結晶して得られた白色粉末を80℃で12時間真空乾燥して生成物を得た。FT−IRスペクトルおよび1H−NMRスペクトルより、得られた生成物は目的とする下記式(22)で表されるフルオレニル基含有ジアミン(ABBCFL)であることが確認された。DSC測定によるシャープな融解ピークが見られたことから、生成物は高純度であることがわかった。
Figure 2010180349
FT−IR(KBr): 3474cm-1、3372cm-1および3221cm-1(アミノ基N−H伸縮振動吸収帯)、3063cm-1(芳香族C−H伸縮振動吸収帯)、2961cm-1(脂肪族C−H伸縮振動吸収帯)、1701cm-1(エステル基C=O伸縮振動)、1275cm-1(C−O−Ph伸縮振動)
1H−NMR(DMSO−d6):δ2.1ppm(メチル基プロトン、6H、相対積分強度5.98) δ6.2ppm(アミノ基プロトン、s、4H、相対積分強度3.96)、δ6.63ppm(アミノ基のオルト位の芳香族プロトン、d、4H、相対積分強度3.98)、δ6.95〜7.1ppm(芳香族プロトン、6H、相対積分強度6.00)、δ6.95〜7.1ppm(芳香族プロトン、6H、相対積分強度6.00)、δ7.3〜7.6ppm(芳香族プロトン、6H、相対積分強度5.98)、δ7.77ppm(カルボニル基のオルト位の芳香族プロトン、d、4H、相対積分強度3.98)、δ7.96ppm(フロオレン基上4および5位のプロトン、2H、相対積分強度2.00)
DSC: 融点288.4℃。
[実施例4]
よく乾燥した攪拌機付密閉反応容器中にTFMBと称する)4mmolおよび本発明の式(22)で表されるフルオレニル基含有ジアミン(ABBCFL)1mmolを入れ、モレキュラーシーブス4Aで十分に脱水したN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解した後、この溶液にPMDA−HS5mmolを一度に加えた。この時全モノマー濃度は30重量%である。溶液粘度が高くなり攪拌しにくくなったため、DMAcを適宜追加して、最終的には全モノマー濃度19重量%まで希釈した。最終的に90時間撹拌し透明、均一で粘稠なポリイミド前駆体溶液を得た。このポリイミド前駆体溶液に過剰量の無水酢酸/ピリジン(体積比7/3)を攪拌しながら滴下し、室温で24時間攪拌して化学イミド化を行った。この際反応溶液はゲル化しなかった。化学イミド化終了後、反応溶液を大量のメタノール中に滴下してポリイミドを沈殿・濾過してメタノールで十分洗浄した後、100℃で真空乾燥してポリイミド粉末を得た。DMAc中で測定したこのポリイミドの固有粘度は0.72dL/gであった。このポリイミド粉末をシクロペンタノンに溶解したワニス(17重量%)は均一であり室温で高い安定性を示した。このワニスをガラス基板に塗布して熱風乾燥器中60℃で1時間、100℃で10分、更に150℃で15分間乾燥して膜厚約15μmの透明なポリイミドフィルムを得た。このポリイミドフィルムは180°折曲げ試験によっても破断せず、十分な可撓性を示した。また同様にして別途5μm厚の薄膜を作製し、透過法にて赤外吸収スペクトルを測定したところ、イミド化はほぼ完結していることが確認された。ポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを図3に示す。このポリイミドフィルムの透明性を評価したところ、400nmにおける光透過率は88.6%、カットオフ波長は312nmであり極めて高い透明性を示した。ナトリウムランプを光源として測定した複屈折は0.020であり、比較的高い複屈折値を示した。また、Re450/Re550=1.025であり、極めて低い波長分散性を示した。
[比較例1]
TFMB(4mmol)と式(10)で表されるジアミン即ち9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(1mmol)をDMAcに溶解し(モノマー濃度:15.9重量%)、この溶液に(1S,2S,4R,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物粉末(岩谷瓦斯社製)2.5mmolおよび1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物粉末(シトラコン酸無水物に紫外線照射して2量化反応により合成)2.5mmolを順次加えて室温で72時間攪拌して重合を行った。得られたポリイミド前駆体の固有粘度は0.659dL/gであった。実施例2に記載した方法と同様に化学イミド化・単離・シクロペンタノンに再溶解およびキャスト製膜を行いポリイミドフィルムを作製した。ポリイミドフィルムの400nmにおける光透過率は89.6%、カットオフ波長は291nmであり極めて高い透明性を示した。ナトリウムランプを光源として測定した複屈折は0.0265であり、比較的高い複屈折値を示した。しかしながらリタデーションの波長分散を示す値Re450/Re550は1.08であり、波長分散性はそれほど低い値にはならなかった。これはジアミン成分に本発明のフルオレニル基含有ジアミンを使用しなかったためである。

Claims (13)

  1. 下記一般式(1):
    Figure 2010180349
    で表されるフルオレニル基含有ジアミン化合物。
    (式(1)中、置換基Pnは各々独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基を表し、nは置換基の数を表す0から4の整数である。)
  2. 下記一般式(2):
    Figure 2010180349
    で表される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体。
    (式(2)中、Aは4価の脂肪族基を表し、Pnは各々独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基を表し、nは置換基の数を表す0から4の整数である。)
  3. 前記一般式(2)で表されるイミド前駆体単位のモル分率をXとすると、Xが0.01〜0.99の範囲である、請求項2記載のポリイミド前駆体共重合体。
  4. 下記一般式(3):
    Figure 2010180349
    (式(3)中、Aは前記と同義である。Bは下記式(4)〜(7):
    Figure 2010180349
    Figure 2010180349
    Figure 2010180349
    Figure 2010180349
    からなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。)表されるイミド前駆体単位をさらに含有することを特徴とする請求項3に記載のポリイミド前駆体の共重合体。
  5. 下記一般式(8):
    Figure 2010180349
    で表される繰り返し単位を有するポリイミド。
    (式(8)中、Aは4価の脂肪族基を表し、Pnは各々独立に、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分岐状アルコキシ基を表し、nは置換基の数を表す0から4の整数である。)
  6. 上記一般式(8)で表されるイミド単位のモル分率をYとすると、Yが0.01〜0.99の範囲である、請求項5記載のポリイミド共重合体。
  7. 下記一般式(9):
    Figure 2010180349
    (式(9)中、Aは4価の脂肪族基を表し、Bは下記式(4)〜(7)
    Figure 2010180349
    Figure 2010180349
    Figure 2010180349
    Figure 2010180349
    からなる群から選ばれる少なくとも1種)で表されるイミド単位をさらに含有することを特徴とする請求項6記載のポリイミド共重合体。
  8. 請求項2〜4のいずれかに記載のポリイミド前駆体を、加熱あるいは脱水環化試薬を用いてイミド化反応させることを特徴とする、請求項5〜7のいずれかに記載のポリイミドの製造方法。
  9. 請求項5〜7のいずれかに記載のポリイミドを、ケトン系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、エステル系溶媒の少なくとも1つに選ばれる溶媒に5重量%以上の濃度で均一に溶解して得られるワニス。
  10. 請求項5〜7のいずれかに記載のポリイミドからなる光学補償フィルム。
  11. 請求項9に記載のポリイミドワニスを基板上に塗付・乾燥することを特徴とする光学補償フィルムの製造方法。
  12. 波長400nmにおける光透過率が80%以上、波長450nmおよび550nmにおけるリタデーション(Re)または複屈折(△n)の比(Re450/Re550=△n450/△n550)が1.03以下、且つ引張試験において10%以上の破断伸びを有する、請求項10に記載の光学補償フィルム。
  13. ナトリウムランプのD線(589nm)における複屈折が0.02以上である請求項10に記載の光学補償フィルム。
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