JP6905227B2 - ジアミンおよびポリイミド、並びにそれらの利用 - Google Patents

ジアミンおよびポリイミド、並びにそれらの利用 Download PDF

Info

Publication number
JP6905227B2
JP6905227B2 JP2017099643A JP2017099643A JP6905227B2 JP 6905227 B2 JP6905227 B2 JP 6905227B2 JP 2017099643 A JP2017099643 A JP 2017099643A JP 2017099643 A JP2017099643 A JP 2017099643A JP 6905227 B2 JP6905227 B2 JP 6905227B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyimide
bis
film
group
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017099643A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018193343A (ja
Inventor
長谷川 匡俊
匡俊 長谷川
淳一 石井
淳一 石井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kaneka Corp
Toho University
Original Assignee
Kaneka Corp
Toho University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kaneka Corp, Toho University filed Critical Kaneka Corp
Priority to JP2017099643A priority Critical patent/JP6905227B2/ja
Publication of JP2018193343A publication Critical patent/JP2018193343A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6905227B2 publication Critical patent/JP6905227B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Description

本発明は、ジアミンおよびポリイミド、並びにそれらの利用に関する。
現在、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の各種表示機器において、ガラス基板が用いられている。ガラス基板は耐熱性が高く、線熱膨張係数が低く、透明性が高いという点において優れた材料である。一方、これらのディスプレイに対しては、軽量化およびフレキシブル化が求められており、ガラスに代わる材料が強く求められている。これらの要求を満足する材料として種々のポリイミド材料が検討されている。
さて、ポリイミドはその化学構造ゆえに高い耐熱性を有する。しかしながら、ポリイミドの多くは、溶媒に不溶であり、ポリイミド溶液の塗工プロセスを用いての均一なフィルム化が困難である。それゆえ、溶媒に可溶なポリイミド前駆体であるポリアミド酸を均一にフィルム化し、ポリイミドフィルムへと変換する方法が広く採用されている。
しかし、かかる方法によれば、ポリアミド酸からポリイミドへと変換する工程は、300℃以上での加熱を必要とし、大きな反応収縮を伴う。そのため、かかる方法では、無機材料基板とポリイミドフィルムとの線熱膨張係数のミスマッチにより反りが生じるばかりでなく、場合によっては副生する水によりフィルム欠陥が生じるという問題があった。
上記の課題に対し、例えば、特許文献1および2には、可溶性であり、かつ、透明なポリイミドが開示されている。
国際公開第2013/121917号 特開2015−214597号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載のポリイミドとは別の構造を有するポリイミドであって、溶液加工性に優れるポリイミドが求められていた。
本発明の一態様は、溶液加工性に優れるポリイミドを提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明者が鋭意研究を行った結果、特定の構造を有するジアミンを用いることによって、溶液加工性に優れるポリイミドを調製できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一態様に係るジアミンは、下記式(1):
Figure 0006905227
で表される(式(1)中、置換基Rは独立して、炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を表し、nは置換基Rの数を表し、1〜4の整数である)。
また、本発明の一態様に係るポリイミドは、下記式(3):
Figure 0006905227
で表される繰り返し単位を有する(式(3)中、置換基Rは独立して、炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を表し、nは置換基Rの数を表し、1〜4の整数であり、Xは4価の脂肪族基および芳香族基の少なくともいずれか一方を表す)。
本発明の一態様によれば、溶液加工性に優れるポリイミドを提供することができるという効果を奏する。
実施例3において測定されたポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
以下に本発明の実施形態について詳細に説明するが、これらは本発明の一態様であり、本発明はこれらの内容に限定されない。
なお、本明細書において「溶液加工性」とは、有機溶媒への溶解性が優れるため加工性に優れることをいう。例えばポリイミドをフィルム化する際、ポリイミドを任意の有機溶媒に溶解して得られた溶液を支持体に塗布し、乾燥するという方法などが取られるため、溶液加工性に優れることは非常に重要な特性である。
<1.ジアミン>
本発明の一実施形態に係るジアミンは、下記式(1):
Figure 0006905227
で表される(式(1)中、置換基Rは独立して、炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を表し、nは置換基Rの数を表し、1〜4の整数である)。
上記ジアミンは、分子内にアミド結合を有する。そのため、上記ジアミンを用いて得られるポリイミドは、主鎖構造が直線状になりやすく、且つ、分子間水素結合が形成されやすい。よって、当該ポリイミドから、線熱膨張係数が低いフィルムを得ることができると考えられる。
また、上記ジアミンは、トリフルオロメチル基を有する。トリフルオロメチル基は立体的に嵩高いため、トリフルオロメチル基の導入により、高分子鎖の凝集および結晶化が妨げられる。これにより、ポリイミドの分子鎖間に溶媒分子が容易に侵入することができ、その結果、溶媒に可溶なポリイミドを得ることができると考えられる。
さらに、当該ジアミンを用いて得られたポリイミドは、後述の実施例にて示すように、置換基Rを含まないジアミンを用いて得られたポリイミドと比べて、有機溶媒に対する溶解性が顕著に改善される。これは、ポリマー鎖の緻密な凝集が妨害されるためであると推測される。
各置換基Rは同一であってもよく、異なっていてもよい。炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基およびtert−ブチル基等が挙げられる。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基およびtert−ブトキシ基等が挙げられる。なかでも、置換基Rがメチル基である場合、溶液加工性および耐熱性の両立が可能となるため好ましい。
上記ジアミンは、下記式(2):
Figure 0006905227
で表されるものであってもよい。当該ジアミンを用いて得られるポリイミドは、トリフルオロメチル基の結合位置に起因し、透明性がより向上したフィルムを提供できる。また、置換基Rがメチル基である場合、溶液加工性および耐熱性の両立が可能となる観点から、好ましい。
当該ジアミンの合成方法は、これに限定されないが、一例として、前駆体となるジニトロ化合物を得て、当該ジニトロ化合物を触媒存在下において水素還元する方法などが挙げられる。例えば、式(7)で示される方法によって、上記式(1)で表されるジアミンを得ることができる。
Figure 0006905227
前駆体となるジニトロ化合物は、例えば、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンと、置換基Rを有する4−ニトロ安息香酸誘導体の塩素化体とを反応させることにより得ることができる。例えば、式(2)のジアミンを得る場合は、4−ニトロ安息香酸誘導体として、3−メチル−4−ニトロ安息香酸を用いることができる。上記塩素化体は、例えば、3−メチル−4−ニトロ安息香酸を塩化チオニルに加え、さらに触媒としてN,N−ジメチルホルムアミドを加えて還流を行った後、ベンゼンを加えて過剰の塩化チオニルを共沸留去することによって得ることができる。
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジンと、4−ニトロ安息香酸誘導体の塩素化体との反応は、例えば、これらを脱水済のテトラヒドロフランに溶かして混合することによって行うことができる。この際、脱塩化水素剤としてピリジンまたはトリエチルアミン等の塩基を共存させることにより、反応時に発生する塩化水素を除去できる。
得られたジニトロ化合物をジアミンに還元するには様々な手法があり、特に限定されるものではないが、Pd/CまたはNi等の金属触媒存在下に水素ガスを反応させる接触還元法が簡便である。その際に用いる溶媒としては1,4−ジオキサン、エタノールおよびテトラヒドロフラン等が挙げられる。
<2.ポリイミド>
本発明の一実施形態に係るポリイミドは、下記式(3):
Figure 0006905227
で表される繰り返し単位を有する(式(3)中、置換基Rは独立して、炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を表し、nは置換基Rの数を表し、1〜4の整数であり、Xは4価の脂肪族基および芳香族基の少なくともいずれか一方を表す)。換言すれば、Xは、4価の脂肪族基であってもよく、4価の芳香族基であってもよく、4価の脂肪族基および芳香族基を両方含む構造(例えば、4価の脂肪族基と4価の芳香族基とが連結した構造)であってもよい。
当該ポリイミドは、上述のように式(1)で表されるジアミンに由来する構造を有するために、溶液加工性に優れ、且つ、フィルムにした場合に線熱膨張係数が低い。また、当該ポリイミドは、その化学構造に起因して高い耐熱性を示す。
上記ポリイミドは、下記式(4):
Figure 0006905227
で表される繰り返し単位を有するものであってもよい(式(4)中、Xは4価の脂肪族基および芳香族基の少なくともいずれか一方を表す)。
4価の脂肪族基は、例えば、下記の脂環式テトラカルボン酸二無水物に由来する構造であり得る:(1S,2R,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物(シス、シス、シス−1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物)、(1S,2S,4R,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、(1R,2S,4S,5R)−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、5−(ジオキソテトラヒドロフリル−3−メチル)−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水物、テトラヒドロフラン−2,3,4,5−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物または1,4−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物等。すなわち、4価の脂肪族基は、これらの脂環式テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基に挟まれた構造に由来し得る。
ポリイミドが黄色または茶色に着色する原因は、ポリイミド分子内および/または分子間の電荷移動相互作用である。透明なポリイミドを得るためには、これらの電荷移動相互作用を抑制する必要がある。そのための一つの手段として、式(4)中、Xとして、4価の脂肪族基を選択することが有効である。
なかでも、ポリイミドの主鎖をより剛直な構造とすることができるという観点からは、Xが下記式(5):
Figure 0006905227
で表される4価の脂肪族基であることが好ましい。式(5)で表される構造は、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物を用いることにより、ポリイミドに導入することができる。
4価の芳香族基は、例えば、下記の芳香族テトラカルボン酸二無水物に由来する構造であり得る:4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物または1,4−ビス(フロロメチル−2,3,5,6−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物)等。すなわち、4価の芳香族基は、これらの芳香族テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基に挟まれた構造に由来し得る。4価の芳香族基としては、例えば、芳香環と、ヘキサフルオロイソプロピリデン基、スルホニル基、エーテル結合およびエステル結合からなる群より選択される少なくとも1種とを含むものが挙げられる。ポリイミドが4価の芳香族基を含む場合、溶液加工性を向上させることができる。
なかでも、耐熱性を損なわずに溶液加工性をより向上させることができるという観点からは、Xが下記式(6):
Figure 0006905227
で表される4価の芳香族基であることが好ましい。式(6)で表される構造は、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物を用いることにより、ポリイミドに導入することができる。
当該ポリイミドにおいて、総繰り返し単位を100mol%とした場合に、式(3)で表される繰り返し単位の含有量は、70mol%以上であることが好ましく、80molル%以上であることがより好ましく、90mol%以上であることがさらに好ましく、100mol%であること(当該ポリイミドが式(3)で表される繰り返し単位からなること)が特に好ましい。式(3)で表される繰り返し単位の含有量が70mol%以上であれば、より溶液加工性が優れ、透明で耐熱性が高く、線熱膨張係数の低いポリイミドを提供することができる。
上記ポリイミドは、上記式(3)で表される繰り返し単位であって、Xが式(5)で表される4価の脂肪族基である繰り返し単位(以下、繰り返し単位(a)とも称する)と、上記式(3)で表される繰り返し単位であって、Xが式(6)で表される4価の芳香族基である繰り返し単位(以下、繰り返し単位(b)とも称する)との少なくとも2種類の繰り返し単位を含むものであってもよい。この場合、繰り返し単位(a)の4価の脂肪族基に基づいて透明性を向上させることができるとともに、繰り返し単位(b)の4価の芳香族基に基づいて溶液加工性を向上させることができるため、好ましい。
繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)との総モル数を100mol%とした場合に、繰り返し単位(a)と繰り返し単位(b)との組成比(モル比)、すなわち、[(a)]/[(b)]は、95/5〜5/95であることが好ましく、90/10〜10/90であることがより好ましく、80/20〜20/80であることがさらに好ましく、70/30〜50/50であることが特に好ましい。上記組成比であれば、繰り返し単位(a)の4価の脂肪族基に起因する透明性の向上と、繰り返し単位(b)の4価の芳香族基に起因する溶液加工性の向上とのバランスが良い。また、例えば、透明性の向上を優先させる場合は、[(a)]/[(b)]は、95/5〜55/45であることが好ましく、90/10〜60/40であることがより好ましく、85/15〜65/35であることがさらに好ましい。一方、溶液加工性の向上を優先させる場合は、[(a)]/[(b)]は、5/95〜50/50であることが好ましく、10/90〜40/60であることがより好ましく、15/85〜35/65であることがさらに好ましい。
上記ポリイミドを製造する際、式(1)で表されるジアミン以外にその他のジアミンを用いてもよい。その他のジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6'−ビス(3−アミノフェノキシ)−3,3,3',3'−テトラメチル−1,1'−スピロビインダン、6,6'−ビス(4−アミノフェノキシ)−3,3,3',3'−テトラメチル−1,1'−スピロビインダン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス[(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロポキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、trans−1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、1,4−ジアミノ−2−フルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,6−ジフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5−トリフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン、1,4−ジアミノ−2−(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,6−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ジアミノ−2,3,5,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、2−フルオロベンジジン、3−フルオロベンジジン、2,3−ジフルオロベンジジン、2,5−ジフルオロベンジジン、2,6−ジフルオロベンジジン、2,3,5−トリフルオロベンジジン、2,3,6−トリフルオロベンジジン、2,3,5,6−テトラフルオロベンジジン、2,2’−ジフルオロベンジジン、3,3’−ジフルオロベンジジン、2,3’−ジフルオロベンジジン、2,2’,3−トリフルオロベンジジン、2,3,3’−トリフルオロベンジジン、2,2’,5−トリフルオロベンジジン、2,2’,6−トリフルオロベンジジン、2,3’,5−トリフルオロベンジジン、2,3’,6,−トリフルオロベンジジン、2,2’,3,3’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,5,5’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,6,6’−テトラフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,6,6’−ヘキサフルオロベンジジン、2,2’,3,3’,5,5’、6,6’−オクタフルオロベンジジン、2−(トリフルオロメチル)ベンジジン、3−(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2、6−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,5,6−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3,3’−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,5−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,3’,6−トリス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,3,3’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’,5,5’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジンおよび2,2’,6,6’−テトラキス(トリフルオロメチル)ベンジジン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記ポリイミドの重量平均分子量は、その用途にもよるが、20,000〜500,000の範囲であることが好ましく、30,000〜300,000の範囲であることがより好ましく、40,000〜200,000の範囲であることがさらに好ましい。重量平均分子量が20,000以上であれば、十分な強度のフィルムを得ることができる。一方、重量平均分子量が500,000以下であれば、溶液粘度の上昇に伴う塗工時のハンドリングの著しい悪化もなく、良好な溶液加工性を保つことができるため、表面が平滑で膜厚が均一なフィルムを得ることができる。本明細書において、重量平均分子量分子量とは、ゲルパーミレーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換算の値のことをいう。またポリイミドがGPC測定に用いる溶媒に不溶である場合は、ポリイミドそのものの分子量の代わりにその前駆体であるポリアミド酸の分子量を用いることができる。
また、ポリイミドの固有粘度は、0.3〜10dL/gであることが好ましく、0.5〜10dL/gであることがより好ましい。固有粘度が0.3dL/g以上であれば、十分な分子量を有するため、十分な強度のフィルムを得ることができる。一方、固有粘度が10dL/g以下であれば、溶液粘度の上昇に伴う塗工時のハンドリングの著しい悪化もなく、良好な溶液加工性を保つことができるため、表面が平滑で膜厚が均一なフィルムを得ることができる。なお、固有粘度は、後述の実施例に記載の方法にて測定することができる。
上記ポリイミドの製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いて得ることができる。例えば式(8)で表されるテトラカルボン酸二無水物と式(1)で表されるジアミンとを溶媒中において撹拌して重合させることによって前駆体であるポリアミド酸を得て、さらにイミド化することによって上記ポリイミドを得ることができる。
Figure 0006905227
式(8)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、上述の脂環式テトラカルボン酸二無水物および/または芳香族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
式(1)で表されるジアミンと他のジアミンとを併用(すなわち、共重合)する場合は、ジアミンの総量を100mol%としたときに、式(1)で表されるジアミンの含有量は、10mol%以上、50mol%以上、70mol%以上、80mol%以上、90mol%以上、95mol%以上、100mol%の順に、含有量が高いほど好ましい。
重合時の溶媒は、ポリアミド酸およびポリイミドが均一に溶解できるものであればよく、反応を阻害するものでなければ、限定されるものではない。当該溶媒としては、例えば、アミド系溶媒および環状エステル系溶媒が挙げられる。アミド系溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびヘキサメチルホスホルアミド等が挙げられる。環状エステル系溶媒としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンおよびα−メチル−γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
イミド化の方法は特に限定されず、公知の方法(化学イミド化法および熱イミド化法)を適用することが出来る。
まず化学イミド化によるポリイミドの製造方法について説明する。重合して得られたポリイミド前駆体ワニス、または重合時に用いる溶媒と同一の溶媒で適度に希釈したポリイミド前駆体ワニスに、攪拌下で、有機酸無水物と、触媒としての3級アミンとからなる化学イミド化剤を滴下する。そして、このワニスを0〜100℃、好ましくは20〜50℃で0.5時間〜48時間攪拌することで容易にイミド化反応を完結することができる。
有機酸無水物としては特に限定されないが、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水マレイン酸および無水フタル酸等が挙げられる。このうち、コストおよび後処理(除去)のしやすさの観点から無水酢酸が好適に用いられる。また3級アミンとしては特に限定されず、ピリジン、トリエチルアミンおよびN,N−ジメチルアニリン等が挙げられる。このうち、安全性の観点から好ましくはピリジンが用いられる。
投入する化学イミド化剤中の有機酸無水物量は、特に限定されないが、ポリイミド前駆体の理論脱水量の1〜10倍モルの範囲であり、反応の完結、反応速度および後処理の観点から2〜5倍モルの範囲であることが好ましい。また触媒としての3級アミンの使用量は、特に限定されないが、反応の完結、反応速度および後処理(除去のしやすさ)の観点から有機酸無水物量に対して0.1〜1倍モルの範囲であることが好ましい。
上記ポリイミドは、熱的手法によるイミド化(熱イミド化)によっても得ることができる。熱的手法によるイミド化は、ポリアミド酸溶液を加熱して行えばよい。あるいは、ガラス板、金属板またはPET(ポリエチレンテレフタレート)等の支持体に、ポリアミド酸溶液を流延または塗布した後、80℃〜500℃の範囲内で熱処理を行えばよい。さらに、フッ素系樹脂によるコーティング等の離型処理を施した容器に直接ポリアミド酸溶液を入れ、減圧下で加熱乾燥することによって、ポリアミド酸の脱水閉環を行うこともできる。このような熱的手法によるポリアミド酸の脱水閉環により、ポリイミド樹脂を得ることができる。なお、上記各処理の加熱時間は、脱水閉環を行うポリアミド酸溶液の処理量および加熱温度により異なるが、一般的には、処理温度が最高温度に達してから1分〜5時間の範囲で行うことが好ましい。
また、共沸溶媒を用いた共沸法を用いる場合は、ポリアミド酸溶液にトルエンまたはキシレン等の水と共沸する溶媒を加え、170〜200℃に昇温して、脱水閉環により生成する水を積極的に系外へ除去しながら、1時間〜5時間程度反応させればよい。反応終了後、反応溶液をアルコール等の貧溶媒中に滴下して、ポリイミドを沈殿させ、必要に応じてアルコール等で洗浄を行ったのち、乾燥を行ってポリイミド樹脂を得ることができる。
上記の沈殿析出操作で使用する貧溶媒としては、ポリイミドを溶解しないものであれば特に限定されない。貧溶媒としては、例えば、反応溶媒および化学イミド化剤との混和性および乾燥による除去のしやすさの観点から水、メタノール、エタノール、n−プロパノールもしくはイソプロパノール等、またはこれらの混合溶媒が好適に用いられる。
ポリイミド、化学イミド化剤または共沸剤を含有するポリイミド溶液を貧溶媒中に滴下する際、ポリイミド溶液の固形分濃度は、撹拌が可能な粘度であるならば特に制限されないが、粒径を小さくするという観点から濃度は希薄である方が好ましい。しかし、当該濃度が希薄すぎる場合、ポリイミドを析出させるために、大量の貧溶媒を使用することとなり、好ましくない。これらの観点より、ポリイミド溶液の固形分濃度が15重量%以下、好ましくは10重量%以下の濃度になるように希釈を行った後に、ポリイミド溶液に貧溶媒を滴下することが好ましい。使用する貧溶媒量はポリイミド溶液の等量以上の量を使用することが好ましく、2〜3倍量がより好ましい。ここで得られたポリイミドは、少量の化学イミド化剤および/または共沸剤を含んでいるため、上記貧溶媒で数回洗浄することが好ましい。
こうして化学イミド化法または熱イミド化法で得られたポリイミドの乾燥方法は、真空乾燥でも、熱風乾燥でもよい。樹脂に含まれる溶媒を完全に乾燥させるためには、真空乾燥が望ましい。乾燥温度は、残留溶媒の分解および残留溶媒による樹脂の劣化を防ぐ観点から80〜200℃の範囲が好ましい。また乾燥時間は樹脂に含まれる溶媒を完全に乾燥できる時間であれば任意であるが、製造プロセスコストの観点から15時間以下であることが好ましく、残留溶媒を十分に乾燥させるという観点から8時間以上であることが好ましい。
<3.ワニス>
本発明の一実施形態に係るワニスは、本発明の一実施形態に係るポリイミドを固形分濃度5重量%以上含む。固形分濃度が5重量%以上であれば、ワニスの塗工によって得られるフィルムの平滑性を確保することができる。上記固形分濃度は、5〜40重量%が好ましく、10〜25重量%であることがさらに好ましい。
当該ワニスは、上述のポリイミドを有機溶媒に均一に溶解させることによって得ることができる。当該有機溶媒は特に限定されないが、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ジメチルスルホキシド、対称グリコールジエーテル類およびエーテル類等を挙げることができる。また、これらの有機溶媒は混合して用いられてもよい。
アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソランおよび1,4−ジオキサン等が挙げられる。エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトンおよびδ−バレロラクトン等が挙げられる。対称グリコールジエーテル類としては、メチルモノグライム(1,2−ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2−メトキシエチル)エーテル)、メチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)、メチルテトラグライム(ビス[2−(2−メトキシエトキシエチル)]エーテル)、エチルモノグライム(1,2−ジエトキシエタン)、エチルジグライム(ビス(2−エトキシエチル)エーテル)およびブチルジグライム(ビス(2−ブトキシエチル)エーテル)等が挙げられる。エーテル類としては、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルおよびエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
有機溶媒はこれらの中から少なくとも1つ選択されることが好ましい。またさらに、上記ポリイミドは、アミド系溶媒、ケトン系溶媒およびエーテル系溶媒の全てに溶解することが、塗工する基板に合わせた溶媒を都度選定できるという点で特に好ましい。この中で、有機溶媒としては、塗工中、乾燥途上の塗膜が吸湿することにより、白化、不均一化および固化等の不具合が生じることを防止するという観点から、アミド系溶媒と、ケトン系溶媒またはエーテル系溶媒との混合溶媒が好ましく、更には、ケトン系溶媒またはエーテル系溶媒単体か、またはそれらの混合溶媒での使用がより好ましい。その中でも特に好ましいアミド系溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドおよびN−メチルピロリドンが挙げられる。特に好ましいケトン系溶媒としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノンが挙げられる。特に好ましいエーテル系溶媒としてはメチルモノグライム(1,2−ジメトキシエタン)、メチルジグライム(ビス(2−メトキシエチル)エーテル)およびメチルトリグライム(1,2−ビス(2−メトキシエトキシ)エタン)等が挙げられる。
ワニスの粘度は塗工する厚みおよび塗工環境に応じて、随時選択されるが、0.1〜50Pa・sであることが好ましく、0.5〜30Pa・sであることがさらに好ましい。ワニスの粘度が0.1Pa・s以上であれば、十分な粘度を確保でき、その結果、十分な膜厚精度を確保することができる。また、ワニスの粘度が50Pa・s以下であれば、膜厚精度を確保できるとともに、塗工後すぐに乾燥する部分が発生することによるゲル欠陥等の外観欠陥の発生をより確実に防ぐことができる。上記粘度は、23℃における動粘度を、E型粘度計を用いて測定したものである。
上記ワニスは、さらに、光硬化性成分もしくは熱硬化性成分、ポリイミド以外の非重合性バインダー樹脂、またはその他の成分が配合されていてもよい。
上記ワニスに加工特性または各種機能性を付与するために、様々な有機または無機の低分子化合物または高分子化合物を配合してもよい。例えば、染料、界面活性剤、レベリング剤、可塑剤、微粒子、または増感剤等を用いることができる。微粒子には、ポリスチレンおよびポリテトラフルオロエチレン等の有機微粒子、コロイダルシリカ、カーボンおよび層状珪酸塩等の無機微粒子等が包含される。それらは多孔質または中空構造であってもよい。また、上記低分子または高分子化合物の機能としては、顔料またはフィラーが挙げられる。上記低分子または高分子化合物の形態は繊維であってもよい。
<4.フィルム>
本発明の一実施形態に係るフィルム(ポリイミドフィルム)は、本発明の一実施形態に係るワニス(ポリイミドワニス)を乾燥して得られる。上記フィルムは、基板上にワニスを塗工し、乾燥することで製造することができる。また、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を基板に塗工し、得られた膜を加熱してイミド化および乾燥することでもフィルムを得ることができる。得られるフィルムの熱膨張特性および寸法安定性の観点から、上述のポリイミドワニスを塗工し、乾燥する方法がより好ましい。
上記ワニスを塗工する基板としては、ガラス基板;SUS等の金属基板あるいは金属ベルト;ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエチレンナフタレートおよびトリアセチルセルロース等のプラスチックフィルム等が使用されるが、これらに限定されるものではない。現行のバッチタイプのデバイス製造プロセスに適応させるためには、ガラス基板を用いることが好ましい。
フィルム製造時の乾燥温度に関しては、プロセスに合わせた条件を選択することが可能であり、特性に影響を与えない限り、特に制限されない。
上記フィルムの表面には、金属酸化物または透明電極等の各種無機薄膜が形成されていてもよい。これら無機薄膜の製膜方法は特に限定されるものではなく、例えばCVD法、並びに、スパッタリング法、真空蒸着法およびイオンプレーティング法等のPVD法等が挙げられる。
<5.ポリイミドの利用>
本発明の一実施形態に係るポリイミドは、耐熱性および絶縁性等のポリイミド本来の特性に加えて、線熱膨張係数が低く、しかも溶液加工性および透明性に優れるという極めて有用な特性を示す。
そのため、本発明の一実施形態に係るポリイミドは、これらの特性が有効とされる分野および製品、例えば、基板、カラーフィルター、印刷物、光学材料、電子デバイス、画像表示装置などに使用されることが好ましく、さらには現在ガラスまたは透明材料が使用されている部分の代替材料とすることがさらに好ましい。これにより、ガラスにはない軽量性およびフレキシブル性を示し、かつ高精細であるという特性を備えた基板、画像表示装置、光学材料、電子デバイスを提供することができる。
上記基板は、画像表示装置用プラスチック基板(例えば、フレキシブルディスプレイ基板)、TFT基板および透明導電膜基板などである。画像表示装置は、フレキシブルディスプレイ、液晶表示装置、有機EL、電子ペーパーおよび3−Dディスプレイ等である。光学材料は、光学フィルム等である。電子デバイスは、タッチパネルおよび太陽電池等である。例えば、本発明の一実施形態に係る画像表示装置用プラスチック基板は、本発明の一実施形態に係るフィルムを含むものであってもよく、本発明の一実施形態に係るフィルムからなるものであってもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、以下のように構成することも可能である。
<1>下記式(1):
Figure 0006905227
で表されるジアミン
(式(1)中、置換基Rは独立して、炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を表し、nは置換基Rの数を表し、1〜4の整数である)。
<2>下記式(2):
Figure 0006905227
で表される<1>に記載のジアミン。
<3>下記式(3):
Figure 0006905227
で表される繰り返し単位を有するポリイミド
(式(3)中、置換基Rは独立して、炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を表し、nは置換基Rの数を表し、1〜4の整数であり、Xは4価の脂肪族基および芳香族基の少なくともいずれか一方を表す)。
<4>下記式(4):
Figure 0006905227
で表される繰り返し単位を有する<3>に記載のポリイミド
(式(4)中、Xは4価の脂肪族基および芳香族基の少なくともいずれか一方を表す)。
<5>Xが下記式(5):
Figure 0006905227
で表される4価の脂肪族基であることを特徴とする<3>または<4>に記載のポリイミド。
<6>Xが下記式(6):
Figure 0006905227
で表される4価の芳香族基であることを特徴とする<3>または<4>に記載のポリイミド。
<7><3>〜<6>のいずれか1つに記載のポリイミドを固形分濃度5重量%以上にて含むワニス。
<8><7>に記載のワニスを乾燥して得られるフィルム。
<9><8>に記載のフィルムを含む画像表示装置用プラスチック基板。
〔物性の評価〕
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における物性値は、次の方法により測定した。
<赤外線吸収(FT−IR)スペクトル>
ジアミンの赤外線吸収スペクトルは、フーリエ変換赤外分光光度計(日本分光社製、FT−IR4100)を用い、KBr法で測定した。またポリイミド前駆体およびポリイミドの赤外線吸収スペクトルは、別途約4〜5μm厚の薄膜を作製し、透過法で測定した。
H−NMRスペクトル>
ジアミンおよびポリイミド粉末のH−NMRスペクトルは、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d)を溶媒として、NMR分光光度計(日本電子社製、ECP400)を用いて測定した。
<示差走査熱量分析(融点および融解曲線)>
ジアミンの融点および融解曲線は、示差走査熱量分析装置(ネッチ・ジャパン社製、DSC3100)を用い、窒素雰囲気中、昇温速度5℃/分で測定した。
<固有粘度(ηinh)>
ポリイミド前駆体(PAA)およびポリイミド(PI)の還元粘度は、固形分濃度0.5重量%、30℃においてオストワルド粘度計を用いて測定した。この値は固有粘度と見なすことができ、この値が高い程分子量が高いことを表す。
<ガラス転移温度(T)>
ポリイミドフィルム(約20μm厚)のガラス転移温度(T)は、熱機械分析装置(ネッチ・ジャパン社製、TMA4000)を用い、周波数0.1Hz、昇温速度5℃/分における損失エネルギー曲線のピーク温度から求めた。Tが高いほど、物理的耐熱性が高いことを表す。
<線熱膨張係数(CTE)>
ポリイミドフィルム(約20μm厚)のCTEは、熱機械分析装置(ネッチ・ジャパン社製、TMA4000)を用い、荷重0.5g/膜厚1μm当たり、昇温速度5℃/分における試験片の伸びより、100〜200℃の範囲での平均値として求めた。CTE値が0に近いほど熱寸法安定性に優れていることを表す。
<5%重量減少温度(T )>
ポリイミドフィルム(約20μm厚)の5%重量減少温度(T )は、ネッチ・ジャパン社製熱重量分析装置(TG−DTA2000)を用いて、窒素中(N)および空気中(air)、昇温速度10℃/分での昇温過程において、ポリイミドフィルム(20μm厚)の重量が、初期重量の5%減少した時の温度から求めた。T 値が高いほど化学的耐熱性(熱安定性)が高いことを表す。
<引張弾性率、破断伸び、破断強度>
ポリイミドフィルム(約20μm厚)の機械的特性はエー・アンド・ディー社製引張試験機(テンシロンUTM−II)を用いて評価した。試験片(30mm長×3mm幅×約20μm厚)を作製し、引張試験(延伸速度:8mm/分)を実施して、応力−歪曲線の初期勾配から引張弾性率(E)、破断点応力から破断強度(σ)、破断時の伸び率から破断伸び(ε)を求めた。破断伸びが高いほどフィルムの靭性が高いことを表す。なお、破断伸びは、平均値(ave)と最大値(max)とを示した。
<ポリイミドフィルムの透明性:光透過率、カット・オフ波長、黄色度指数、ヘイズ>
ポリイミドフィルムの透明性は以下の光学特性から評価した。日本分光社製紫外−可視分光光度計(V−530)を用いて波長200〜800nmの範囲でポリイミドフィルム(約20μm厚)の光透過率曲線を測定し、波長400nmにおける光透過率(T400)、および、光透過率が事実上ゼロとなる波長(カット・オフ波長(λcut))を求めた。またこのスペクトルを基に、色彩計算プログラム(日本分光)を用い、ASTM E313規格に基づいて黄色度指数(YI値)を求めた。更に、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH4000)を用い、JIS K7361−1およびJIS K7136規格に基づき、全光線透過率(Ttot)および濁度(ヘイズ)を求めた。
<厚み方向複屈折(Δnth)>
偏光板付接眼鏡付Abbe屈折計4T(ATAGO社製)を用い、光源としてNaD線(589.3nm)、中間液としてヨウ化メチレン溶液に硫黄を飽和させた溶液(n=1.72〜1.80)、および、テストピース(n=1.72)を用いて、ポリイミドフィルムの面内屈折率ninと面外屈折率noutとを測定し、厚み方向複屈折Δnth(=nin−nout)を求めた。
<溶液加工性>
溶液加工性を、溶媒への溶解性に基づいて評価した。ポリイミドの粉末を99倍重量の溶媒に加え、試験管ミキサーを用いて5分間撹拌して溶解状態を目視で確認した。ここで、ポリイミドの粉末が溶媒に均一に溶解した場合、「優れた溶解性を示す」と評価した。
〔略称〕
3−メチル−4−ニトロ安息香酸=3M4NB
3M4NB塩素化体=3M4NBC
N,N−ジメチルホルムアミド=DMF
テトラヒドロフラン=THF
2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン=TFMB
N,N−ジメチルアセトアミド=DMAc
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物=CBDA
N−メチル−2−ピロリドン=NMP
ジメチルスルホキシド=DMSO
4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物=6FDA
γ−ブチロラクトン=GBL。
〔実施例1〕
<ジアミンの合成>
上記式(2)で表される本発明の一実施形態に係るジアミン(以下、M−ABMBと称する)は、M−ABMBの前駆体であるジニトロ化合物(以下、M−NBMBと称する)を合成し、ニトロ基を還元することで合成した。具体的には以下のような手順で行った。
まずM−NBMBを以下のようにして合成した。三つ口フラスコ中に3M4NB(東京化成製)10.86g(60mmol)および塩化チオニル50mLを入れた。上記フラスコへ更に触媒としてDMFを3滴加え、80℃で3時間還流した。この溶液にベンゼンを加え、過剰の塩化チオニルを減圧下で共沸留去し、更に室温で12時間真空乾燥して黄色の3M4NBCを得た(融点32℃)。
次にナスフラスコ中、上記3M4NBC5.15g(27mmol)を脱水済みのTHFに溶かし、セプタムキャップでシールしてA液とした。次に別のナスフラスコ中、TFMB3.20g(10mmol)を脱水THF(15mL)に溶かし、更に脱塩化水素剤としてピリジン2.5mL(31mmol)を加え、セプタムキャップでシールしてB液とした。B液を氷浴で冷却しながら、B液にA液をシリンジにてゆっくり加えた。得られたA液とB液との混合液を更に室温で12時間攪拌した。その後、得られた反応溶液に大量の水を注いで黒味がかった黄色沈殿物を析出させた。これを濾別し、水で洗浄後、120℃で12時間真空乾燥して粗生成物を得た。黒色残渣を除くため、この粗生成物を酢酸エチルに溶かしてシリカゲルカラムに通し、溶出液を得た。この溶出液をエバポレーターで濃縮して沈殿を析出させた。この沈殿を濾別して酢酸エチルで洗浄し、120℃で12時間乾燥して薄黄色生成物を収率76%で得た(融点:236℃)。FT−IRおよびH−NMRスペクトルより、得られた生成物は目的とするジニトロ化合物(M−NBMB)であることが確認された。
次にM−NBMBを以下のようにして還元した。三つ口フラスコ中、M−NBMB4.69g(7.25mmol)を1,4−ジオキサンに溶解し、触媒としてPd/C(0.475g)を添加し、水素雰囲気中、80℃で10時間還流した。還元反応の完結は薄層クロマトグラフィーにより確認した。反応終了後、反応混合物を熱濾過して触媒を除去し、濾液を大量のイオン交換水中に滴下して沈殿を析出させた。この沈殿を濾別して120℃12時間真空乾燥し、還元反応収率85%で白色生成物を得た。
この白色生成物の分析結果は以下の通りである。FT−IR(KBr、cm−1):3368/3226(アミン、N−H)、3111/3050(芳香族C−H)、2959(CH、C−H)、1627/1525(アミド、C=O)、1500(1,4−フェニレン)、1320/1255(CF、C−F)。H−NMR(400MHz、DMSO−d、δ、ppm):10.15(s、2H、NHCO)、8.52(dd、2H、J=8.4、2.0Hz、中央ビフェニル基の5,5’−プロトン)、8.33(sd、2H、J=2.1Hz、中央ビフェニル基の3,3’−プロトン)、7.68−7.64(m、4H、末端アニリノ基の3,3’−プロトン+5,5’−プロトン)、7.32(d、2H、J=8.5Hz、中央ビフェニル基の6,6’−プロトン)、6.68(d、2H、J=8.5Hz、末端アニリノ基の6,6’−プロトン)、5.62(s、4H、NH)、2.14(s、6H、CH)。元素分析(C3024、分子量586.54):推定値C;61.43%、H;4.12%、N;9.55%、分析値C;61.35%、H;4.26%、N;9.53%。これらの分析結果より、この生成物は目的とする式(1)で表されるジアミン(M−ABMB)であることが確認された。
〔実施例2〕
<ポリイミド前駆体の重合、化学イミド化、製膜および膜物性>
反応容器中、実施例1に記載のジアミン(M−ABMB)1.1731g(2mmol)を脱水済みのDMAcに溶解した。得られた溶液にCBDA粉末0.3922g(2mmol)を少しずつ加え、密閉した。反応初期の固形分濃度は30重量%であった。室温で攪拌を続けたところ、重合反応が進み、溶液粘度が増加して十分に攪拌しにくくなった。そのため、反応容器へ徐々にDMAcを添加していき、72時間攪拌後は固形分濃度が18重量%になるまで溶液を希釈した。72時間攪拌後、粘性のある均一なポリイミド前駆体溶液を得た。得られたポリイミド前駆体の固有粘度は1.75dL/gであった。
ポリイミド前駆体溶液をDMAcで適度に希釈(この場合は6.0重量%に希釈)した。この希釈したポリイミド前駆体溶液を攪拌しながら、化学イミド化剤として無水酢酸(20mmol)とピリジンとの混合溶液(無水酢酸とピリジンとの体積比:7/3)を室温でゆっくりと滴下し、滴下完了後更に24時間密閉容器中で攪拌した。この反応溶液をDMAcで適度に希釈後、大量の水に滴下して白色沈殿を析出させた。この白色沈殿を濾別して水およびメタノールで十分洗浄し、100℃で12時間真空乾燥した。得られた粉末を重水素化DMSOに溶かしてH−NMRスペクトルを測定した。その結果、ポリイミド前駆体に由来するNHCOプロトンおよびCOOHプロトンシグナルが共に完全に消失していたことから、化学イミド化の完結が確認された。
得られた繊維状のポリイミド粉末をDMAcに固形分濃度10重量%で再溶解して、均一な溶液を得た。これをガラス基板上に流延し、60℃で2時間、熱風乾燥器中で乾燥した。更に真空中200℃で1時間、次いで300℃で1時間乾燥した。その後得られたフィルムを基板から剥がし、真空中330℃で1時間熱処理して可撓性で白濁したポリイミドフィルムを得た。このフィルムについて物性評価を実施したところ、極めて低いCTE値(3.6ppm/K)および高い耐熱性(T=325℃)を示した。その他の物性値は表1に示す。化学イミド化したポリイミド粉末はNMPおよびDMAcに室温で優れた溶解性を示した。なお、実施例2は、テトラカルボン酸二無水物として、CBDAを100mol%使用した実施例に相当する。
〔実施例3〕
テトラカルボン酸二無水物として、CBDAを95mol%、6FDAを5mol%用いた以外は実施例2に記載した方法と同様にしてポリイミド前駆体を重合し、化学イミド化およびキャスト製膜を行ってポリイミドフィルムを得た。図1に別途作製したポリイミド薄膜の赤外線吸収スペクトルを示す。当該赤外線吸収スペクトルは、フーリエ変換赤外分光光度計FT/IR−4100 type A(日本分光株式会社製)を用いて測定した。また表1に物性値を示す。このフィルム(膜厚約20μm)は、実施例2のフィルムより高いT400値、より低いYI値およびより低いヘイズ値を示すことから、透明性が改善されていることがわかる。これは6FDAを5mol%共重合することで、溶媒溶解性が改善され、製膜時の溶媒蒸発過程において主鎖の凝集が妨げられた結果であると考えられる。また、低いCTE値(16.9ppm/K)に加えて高い耐熱性(T=348℃)を示した。化学イミド化したポリイミド粉末はDMAc、DMAc/GBLの混合溶媒(体積比1/1)およびDMAc/CPNの混合溶媒(体積比1/1)に対して優れた溶解性を示し、固形分濃度約10重量%のワニスを得ることが可能であった。
〔実施例4〕
テトラカルボン酸二無水物として、CBDAを70mol%、6FDAを30mol%用いた以外は実施例2に記載した方法と同様にしてポリイミド前駆体を重合し、化学イミド化およびキャスト製膜を行ってポリイミドフィルムを得た。表1に物性値を示す。このフィルムは高いT400値、低いYI値および低いヘイズ値で示されるように、優れた透明性を有していた。また、低いCTE値(17.9ppm/K)に加えて高い耐熱性(T=334℃)を示した。化学イミド化したポリイミド粉末はNMP、DMAcおよびDMFに室温で優れた溶解性を示した。
〔実施例5〕
テトラカルボン酸二無水物として、CBDAを50mol%、6FDAを50mol%用いた以外は実施例2に記載した方法と同様にしてポリイミド前駆体を重合し、化学イミド化およびキャスト製膜を行ってポリイミドフィルムを得た。表1に物性値を示す。このフィルムは高いT400値、低いYI値、低いヘイズ値より、優れた透明性を有していた。また、比較的低いCTE値(23.6ppm/K)に加えて高い耐熱性(T=349℃)を示した。化学イミド化したポリイミド粉末はNMP、DMAc、DMFおよびDMSOに室温で優れた溶解性を示した。
〔実施例6〕
テトラカルボン酸二無水物として、CBDAの代わりに6FDAを用いた以外は実施例2に記載した方法と同様にしてポリイミド前駆体を重合し、化学イミド化およびキャスト製膜を行ってポリイミドフィルムを得た。表1に物性値を示す。このフィルムは高いT400値、低いYI値、低いヘイズ値より、優れた透明性を有していた。また、化学イミド化したポリイミド粉末はNMP、DMAc、DMF、DMSO、GBL、トリグライム、シクロペンタノン、アセトンおよびTHFに室温で優れた溶解性を示した。GBLを溶媒として固形分濃度15重量%の濃度で安定なワニスが得られた。THFを溶出溶媒としてゲル浸透クロマトグラフィーにより分子量を測定したところ、数平均分子量(M)=2.3×10、重量平均分子量(M)=5.7×10であった。
Figure 0006905227
〔比較例1〕
本発明の一実施形態に係るジアミンにおけるメチル置換基の効果を調査するために、メチル置換基のないジアミン(ABMB)を用い、実施例2に記載した方法によりCBDAと重付加反応させてポリイミド前駆体を得た。なお、ABMBは下記式(9)で表される。
Figure 0006905227
上記ポリイミド前駆体の溶液に実施例2に記載した方法と同様にして化学イミド化剤を滴下したところ、反応溶液がゲル化したため、化学イミド化を実施することは困難であった。これはCBDAとABMBとから得られるポリイミドの溶媒溶解性が不十分であるためである。この結果は、本発明の一実施形態に係るジアミンを使用した結果(実施例2)とは対照的であり、本発明の一実施形態に係るジアミンにおけるメチル置換基の存在がポリイミドの溶解性に大きく寄与していることを示唆している。
〔比較例2〕
ジアミンとしてM−ABMBの代わりにTFMBを用いた以外は、実施例2に記載した方法と同様にしてポリイミド前駆体を重合した。その溶液に実施例2に記載した方法と同様にして化学イミド化剤を滴下したところ、反応溶液がゲル化したため、化学イミド化を実施することは困難であった。これはCBDAとTFMBとから得られるポリイミドの溶媒溶解性が不十分であるためである。
本発明の一実施形態に係るポリイミドは、例えば、フィルムとして、基板、カラーフィルター、印刷物、光学材料、電子デバイス、画像表示装置などに好適に使用される。よって、これらの産業分野に広く利用することが可能である。

Claims (9)

  1. 下記式(1):
    Figure 0006905227
    で表されるジアミン
    (式(1)中、置換基Rは独立して、炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を表し、nは置換基Rの数を表し、1〜4の整数である)。
  2. 下記式(2):
    Figure 0006905227
    で表される請求項1に記載のジアミン。
  3. 下記式(3):
    Figure 0006905227
    で表される繰り返し単位を有するポリイミド
    (式(3)中、置換基Rは独立して、炭素数1〜4のアルキル基またはアルコキシ基を表し、nは置換基Rの数を表し、1〜4の整数であり、Xは4価の脂肪族基および芳香族基の少なくともいずれか一方を表す)。
  4. 下記式(4):
    Figure 0006905227
    で表される繰り返し単位を有する請求項3に記載のポリイミド
    (式(4)中、Xは4価の脂肪族基および芳香族基の少なくともいずれか一方を表す)。
  5. が下記式(5):
    Figure 0006905227
    で表される4価の脂肪族基であることを特徴とする請求項3または4に記載のポリイミド。
  6. が下記式(6):
    Figure 0006905227
    で表される4価の芳香族基であることを特徴とする請求項3または4に記載のポリイミド。
  7. 請求項3〜6のいずれか1項に記載のポリイミドを固形分濃度5重量%以上にて含むワニス。
  8. 請求項7に記載のワニスを乾燥して得られるフィルム。
  9. 請求項8に記載のフィルムを含む画像表示装置用プラスチック基板。
JP2017099643A 2017-05-19 2017-05-19 ジアミンおよびポリイミド、並びにそれらの利用 Active JP6905227B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017099643A JP6905227B2 (ja) 2017-05-19 2017-05-19 ジアミンおよびポリイミド、並びにそれらの利用

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017099643A JP6905227B2 (ja) 2017-05-19 2017-05-19 ジアミンおよびポリイミド、並びにそれらの利用

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018193343A JP2018193343A (ja) 2018-12-06
JP6905227B2 true JP6905227B2 (ja) 2021-07-21

Family

ID=64569941

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017099643A Active JP6905227B2 (ja) 2017-05-19 2017-05-19 ジアミンおよびポリイミド、並びにそれらの利用

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6905227B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20220016917A (ko) * 2019-06-04 2022-02-10 가부시키가이샤 가네카 폴리이미드 수지 및 그의 제조 방법, 그리고 폴리이미드 필름 및 그의 제조 방법
JP7346146B2 (ja) * 2019-08-06 2023-09-19 三菱瓦斯化学株式会社 ポリイミド及びポリイミドフィルム

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS49106599A (ja) * 1973-02-08 1974-10-09
JPH0455432A (ja) * 1990-06-25 1992-02-24 Sumitomo Bakelite Co Ltd 溶剤可溶性ポリイミドオリゴマー及びそれを含有する組成物
WO2013121917A1 (ja) * 2012-02-16 2013-08-22 株式会社カネカ ジアミン、ポリイミド、ならびに、ポリイミドフィルムおよびその利用
EP2847250B1 (en) * 2012-05-11 2020-03-18 Akron Polymer Systems, Inc. Thermally stable, flexible substrates for electronic devices
JP6236349B2 (ja) * 2014-05-07 2017-11-22 株式会社カネカ ポリイミドおよびその利用

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018193343A (ja) 2018-12-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5581463B2 (ja) ジアミン、ポリイミド、ならびに、ポリイミドフィルムおよびその利用
JP5757876B2 (ja) 光学フィルム、光学フィルムの製造方法、透明基板、画像表示装置及び太陽電池
JP6236349B2 (ja) ポリイミドおよびその利用
KR102062939B1 (ko) 폴리이미드 및 그의 성형체
JP7323522B2 (ja) ポリイミド樹脂およびその製造方法、ならびにポリイミドフィルムおよびその製造方法
JP5182886B2 (ja) 新規なジアミン、ポリイミド前駆体およびポリイミドとこれよりなる塗布型光学補償フィルムおよびその製造方法
TWI570158B (zh) 聚醯亞胺前驅體水溶液組成物及聚醯亞胺前驅體水溶液組成物之製造方法
JP6545111B2 (ja) ポリイミド、ポリイミド溶液、ポリイミドフィルムおよびポリイミドフィルムを含有するプラスチック基板材料
JP5909391B2 (ja) ポリイミド溶液およびその溶液から得られるポリイミド膜
JP2020189918A (ja) ポリイミド樹脂、ポリイミド溶液およびポリイミドフィルムの製造方法
JP6905227B2 (ja) ジアミンおよびポリイミド、並びにそれらの利用
TWI708769B (zh) 新穎四羧酸二酐、及由該四羧酸二酐所衍生的聚醯亞胺,以及由該聚醯亞胺所構成之成形體
JP2010039032A (ja) 新規な塗布型光学補償フィルムおよびその製造方法
JP2016196630A (ja) 新規なポリイミド共重合体
JP7359662B2 (ja) ポリイミド樹脂、ポリイミド溶液、ポリイミドフィルム
CN112079743B (zh) 一种二胺、聚酰亚胺及聚酰亚胺薄膜
Li et al. Synthesis and properties of novel soluble and high T g poly (ether imide) s from diamine containing 4, 5‐diazafluorene and trifluoromethyl units
JP5015070B2 (ja) 新規な塗布型光学補償フィルムおよびその製造方法
US11306182B2 (en) Oligomer, composition including oligomer, article prepared from the composition, method for preparing article, and display device including the article
JP2022103036A (ja) ポリイミドおよびそれから形成されたフィルム
JP2024031304A (ja) 樹脂組成物およびフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200415

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200623

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20200623

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210210

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210224

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210608

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210616

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6905227

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250