JP2010173862A - 微細構造材料の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ナノチューブ、ナノロッドなどの微細構造体からなり、しかも凝集が高度に抑制された微細構造材料、あるいはこのような微細構造体に金属、高分子有機物などが担持された微細構造材料の製造方法を提供すること。
【解決手段】気化性物質と前記気化性物質の良溶媒とを含む第1溶液を、微細構造体に接触させる第1工程と、前記気化性物質の貧溶媒を含む第2溶液を、前記第1溶液に添加する第2工程と、前記良溶媒及び前記貧溶媒を除去し、前記微細構造体と前記気化性物質とを含む複合体を得る第3工程と、前記複合体から前記気化性物質を気化させる第4工程とを備えた微細構造材料の製造方法。前記第1溶液及び/又は前記第2溶液は、金属錯体、金属塩、金属ナノ粒子、高分子有機物及び低分子有機物から選ばれるいずれか1以上をさらに含んでいても良い。
【選択図】図5

Description

本発明は、微細構造材料の製造方法に関し、さらに詳しくは、ナノチューブ、ナノロッドなどの微細構造体からなる微細構造材料、又はこのような微細構造体に金属、高分子有機物などが担持された微細構造材料の製造方法に関する。
導電性を有する有機物又は無機物を素材とし、かつ
(a)ナノメートルレベルのファイバー、ロッド、チューブ、コイル、ウォール、ホーン、ワイヤー、コーン、ピラー、バンブー、若しくは粒子、あるいは、
(b)ナノメートルレベルの細孔を有する多孔体、
などの微細構造を有するナノ材料は、固体燃料電池の電極材料、電子放出材料などに用いられている。ナノ材料を用いることにより、電極材料の場合は反応面積の拡大、電子放出材料の場合は高アスペクト比化による電子放出特性の向上、などの効果が期待される。
ナノ材料を電極材料として応用する場合、ナノ材料に触媒微粒子を担持させる必要がある。また、ナノ材料に金属微粒子を担持させると、電子放出特性が向上することが報告されている。
金属微粒子をナノ材料に担持させる方法としては、液相法、気相法、超臨界状態を用いた方法などが報告されている。それらの中でも液相法を用いた金属担持プロセスは、安価であり、簡単な装置を用いてナノ材料に金属微粒子を均一、かつ高収率で担持することができるため、工業的に最も有望な方法である。
ナノ材料への金属担持プロセスについては、従来から種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、カーボンナノチューブを硝酸+硫酸中に入れて煮沸し、次いでK2PtCl4をエタノールに分散させた分散液にカーボンナノチューブを加え、所定の温度で攪拌する繊維状炭素への触媒担持方法が開示されている。
同文献には、
(1)カーボンナノチューブを硝酸+硫酸中で処理することにより、カーボンナノチューブの表面に凹部が形成され、凹部内にカルボン酸基、水酸基、アルデヒド基などの反応部位が導入される点、及び、
(2)反応部位が導入された凹部内に触媒粒子を担持させると、触媒粒子の凝集を抑制することができる点、
が記載されている。
また、特許文献2には、カーボンナノチューブを形成したSi基板を反応槽に設置し、反応槽内を超臨界CO2で満たし、白金化合物を溶解した超臨界CO2を反応槽に導入するフィールドエミッタの製造方法が開示されている。
同文献には、白金化合物を溶解させた超臨界流体とカーボンナノチューブを接触させると、超臨界流体が0.1μm程度のカーボンナノチューブのバンドル壁間に浸透し、カーボンナノチューブの表面に白金が析出する点が記載されている。
また、特許文献3には、基板表面に垂直配向しているカーボンナノチューブに、微粒子を吹き付けるカーボンナノチューブの製造方法が開示されている。
同文献には、
(1)このような方法により、カーボンナノチューブを凝集させることなく、カーボンナノチューブの表面に微粒子を担持できる点、及び、
(2)ストークス数を大きくすると、カーボンナノチューブのより深いところまで微粒子を侵入させることができる点、
が記載されている。
また、特許文献4には、微粒子の担持方法ではないが、炭素ナノ繊維にエタノールを滴下して湿った状態の凝集体にし、この凝集体を乾燥処理する炭素ナノ繊維からなる成形体の製造方法が開示されている。
同文献には、このような方法により、炭素ナノ繊維からなる成形体の嵩密度が大幅に増加する点が記載されている。
また、特許文献5には、微粒子の担持方法ではないが、
(1)非晶質カーボンを含むカーボンナノチューブに樟脳及びエタノールを加えて乳鉢で混合し、エタノールを蒸発させて凝集体とし、
(2)凝集体から樟脳を昇華除去して多孔体とし、
(3)多孔体を酸化処理する
カーボンナノチューブの精製方法が開示されている。
同文献には、樟脳を昇華除去後の空洞は連続気孔となっているので、多孔体の内部への酸素の拡散が容易となり、非晶質カーボンの酸化除去が容易化する点が記載されている。
また、特許文献6には、微粒子の担持方法ではないが、
(1)白金担持カーボン、電解質、樟脳及び溶媒を含むインクを調製し、
(2)このインクを電解質膜上にスクリーン印刷法により塗布して電極形成部材を形成し、
(3)電極形成部材から溶媒を蒸発させて樟脳を析出させ、
(4)電解質と電極形成部材を接合し、
(5)樟脳を昇華させる
電極の製造方法が開示されている。
同文献には、このような方法により電極内に細孔を形成することができる点、及び、溶媒の状態変化の速度を調節することにより細孔のサイズを調節することができる点が記載されている。
さらに、特許文献7には、微粒子の担持方法ではないが、
(1)4−BCMU(5,7−(ビス−1,12−n−ブチルカルボキシメチレン−ウレタン)ドデカジイン)をエタノール(4−BCMUの良溶媒)に溶解し、
(2)攪拌した純水(4−BCMUの貧溶媒)中に4−BCMU溶液を滴下して、白色の沈殿が分散した分散液とし、
(3)分散液に高圧水銀灯を照射し光重合させる、
ポリジアセチレン微粒子の製造方法が開示されている。
同文献には、このような方法により、有機物を良溶媒に溶解した溶液を、有機物の貧溶媒に混合することを利用して、有機超微粒子を製造することができる点が記載されている。
特開2004−253224号公報 特開2007−95580号公報 特開2006−104022号公報 特許第4003476号公報 特開2002−121014号公報 特開平9−199138号公報 特開平6−79168号公報
カーボンナノチューブなどのナノ材料は、製造後、不純物を除去するために液体を用いて洗浄する場合がある。また、ナノ材料の表面に触媒を担持するために、ナノ材料と触媒分散液とを接触させる場合がある。このような場合、液体を用いた処理が終了した後、液体に濡れたナノ材料から液体を除去し、ナノ材料を乾燥させる必要がある。
しかしながら、この乾燥過程において液体の表面張力がナノ材料に働き、ナノ材料中の微細構造の凝集が生ずるという問題がある。例えば、ナノ材料を電極材料として応用する場合、凝集は反応界面を減少させ、反応効率を低下させる原因となる。
これに対し、超臨界流体を用いた方法は、表面張力による微細構造の凝集が起きにくいという利点がある。しかしながら、超臨界流体を用いた方法は、大掛かりな装置を必要とするため、高コストである。また、金属化合物を溶解させた超臨界流体を用いてナノ材料に金属を担持させる方法は、金属の担持率が悪いので、白金などの高価な貴金属を担持する場合は問題となる。
一方、キャリアガスと共に微粒子を吹き付ける方法は、微細構造体が複雑形状、高密度、高アスペクト比を有する場合などには、ストークス数を制御しても、微粒子の担持状態の均一性に限界がある。
さらに、特別な装置を用いることなく、微細構造の凝集を抑制することができ、しかもナノ材料の形状によらず微細構造の内部まで均一に微粒子を担持させることが可能な方法が提案された例は、従来にはない。
本発明が解決しようとする課題は、ナノチューブ、ナノロッドなどの微細構造体からなり、しかも凝集が高度に抑制された微細構造材料の製造方法を提供することにある。
また、本発明が解決しようとする他の課題は、凝集が高度に抑制された微細構造体に金属、高分子有機物などが担持された微細構造材料の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明に係る微細構造材料の製造方法は、
気化性物質と前記気化性物質の良溶媒とを含む第1溶液を、微細構造体に接触させる第1工程と、
前記気化性物質の貧溶媒を含む第2溶液を、前記第1溶液に添加する第2工程と、
前記良溶媒及び前記貧溶媒を除去し、前記微細構造体と前記気化性物質とを含む複合体を得る第3工程と、
前記複合体から前記気化性物質を気化させる第4工程と
を備えている。
前記第1溶液及び/又は前記第2溶液は、金属錯体、金属塩、金属ナノ粒子、高分子有機物及び低分子有機物から選ばれるいずれか1以上をさらに含んでいても良い。
気化性物質を溶解させた第1溶液と微細構造体とを接触させると、微細構造体の間隙に第1溶液が侵入する。次いで第1溶液に、貧溶媒を含む第2溶液を添加すると、微細構造体の間隙に気化性物質が析出した複合体が得られる。この状態から良溶媒及び貧溶媒を除去すると、微細構造体の間隙に析出した気化性物質が、溶媒の表面張力に起因する微細構造体の凝集を抑制する。溶媒除去後、気化性物質を気化させれば、凝集が高度に抑制された微細構造材料が得られる。また、第1溶液及び/又は第2溶液として金属錯体等を含むものを用いると、金属錯体等が表面に均一に担持され、しかも凝集が高度に抑制された微細構造材料が得られる。
図1(a)は、液体の含浸・乾燥によるCNTの凝集過程を示す模式図である。図1(b)は、本発明に係る方法を用いたときのCNTの凝集抑制過程を示す模式図である。 図2(a)〜図2(e)は、それぞれ、無処理の垂直配向CNT膜、並びに、実施例1及び比較例1〜3で得られた処理後の膜の光学顕微鏡像である。 図3(a)〜図3(e)は、それぞれ、無処理の垂直配向CNT膜、並びに、実施例1及び比較例1〜3で得られた処理後の膜の低倍率FESEM二次電子像である。 図4(a)〜図4(e)は、それぞれ、無処理の垂直配向CNT膜、並びに、実施例1及び比較例1〜3で得られた処理後の膜の高倍率FESEM二次電子像である。 図5(a)及び図5(b)は、それぞれ、実施例2及び比較例4で得られた処理後の膜のFESEM二次電子像である。図5(c)及び図5(d)は、実施例2で得られた処理後の膜の高倍率FESEM二次電子像、及びこれと同じ領域から得られた反射電子像である。
以下に、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
[1. 微細構造材料の製造方法]
本発明に係る微細構造材料の製造方法は、第1工程と、第2工程と、第3工程と、第4工程とを備えている。
[1.1 第1工程]
第1工程は、気化性物質と気化性物質の良溶媒とを含む第1溶液を、微細構造体に接触させる工程である。
[1.1.1 気化性物質]
「気化性物質」とは、減圧や加熱によって固体から気体に変化する物質をいう。気化性物質には、分子構造を維持したまま固体から気体になる昇華性物質と、固体が熱分解することによって気体となる熱分解性物質とがある。気化性物質は、後述する良溶媒、微細構造体、及び貧溶媒に応じて最適なものを選択する。
昇華性物質としては、例えば、ナフタレン、パラジクロロベンゼン、樟脳、カンフェン、アントラセン、カフェイン、よう素などがある。
熱分解性物質としては、例えば、ポリメチルメタクリレートなどがある。
これらの熱分解性物質は、いずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
[1.1.2 良溶媒]
良溶媒とは、(a)微細構造体との濡れ性が高く、(b)気化性物質を溶解することが可能で、かつ(c)貧溶媒と相溶する又は均一に混合するもの、をいう。
「微細構造体との濡れ性が高い」とは、
(a)良溶媒を含む第1溶液と微細構造体とを接触させたときに、微細構造体の間隙に空気の層が形成されず、微細構造体の表面全体を濡らすことができ、かつ
(b)接触中に、液中にて微細構造体間の相互作用により生じる微細構造体の凝集が起きにくいもの、
をいう。
「気化性物質を溶解可能」とは、微細構造体の凝集を抑制することが可能な量の気化性物質を溶解させることができることをいう。良溶媒は、気化性物質の溶解度が高いものほど良い。良溶媒は、具体的には、第2溶液を添加する時の第1溶液の温度における気化性物質の溶解度が0.2質量%以上であるものが好ましい。良溶媒に対する気化性物質の溶解度は、さらに好ましくは、0.5質量%以上である。
「貧溶媒と相溶する又は均一に混合する」とは、良溶媒と貧溶媒とを混合したときに2層に分離せず、均一な溶液又は分散液になることをいう。
良溶媒は、微細構造体及び気化性物質に応じて最適なものを選択する。
例えば、微細構造体が炭素系材料からなり、気化性物質がナフタレン、パラジクロロベンゼン等の昇華性物質である場合、良溶媒は、
(1)メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなどの1価又は多価のアルコール系有機溶媒、
(2)アセトンなどのケトン系有機溶媒、
(3)カルボン酸系有機溶媒、
(4)アルデヒド系有機溶媒、
などが好ましい。
また、例えば、微細構造体が炭素系材料であり、気化性物質がポリメチルメタクリレートである場合、良溶媒は、
(1)アセトンなどのケトン系有機溶媒、
(2)ベンゼン、トルエンなどの芳香族系有機溶媒、
(3)クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化アルキル系有機溶媒、
(4)テトラヒドロフランなどのエーテル系有機溶媒、
などが好ましい。
いずれの場合においても、良溶媒には、上述したいずれか1種の溶媒を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
[1.1.3 第1溶液]
第1溶液とは、良溶媒に気化性物質を溶解させた溶液をいう。
第1溶液は、良溶媒と気化性物質のみを含むものでも良く、あるいは、これら以外の第3成分を含むものでも良い。第1溶液に含まれる気化性物質の濃度及び第3成分の濃度は、特に限定されるものではなく、目的に応じて任意に選択することができる。
第1溶液に第3成分が含まれる場合、第3成分は、良溶媒に溶解するものでも良く、あるいは、溶解せずに単に分散するものでも良い。
第3成分としては、具体的には、金属錯体、金属塩、金属ナノ粒子、高分子有機物、低分子有機物などがある。第3成分には、これらのいずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
第3成分の用途としては、例えば、
(1)触媒、
(2)熱分解、還元等により触媒となる触媒の前駆体、
(3)微細構造体に担持させた触媒にプロトンを供給するためのプロトン伝導体、
(4)微細構造体表面を修飾するための低分子有機物、
などがある。
第3成分が触媒又はその前駆体である場合、第3成分は、Pt、Rh、Irなどの貴金属を含む金属錯体、金属塩、金属ナノ粒子などが好ましい。
また、第3成分として、Ptを含む金属錯体を用いる場合、金属錯体は、白金ジニトロジアンミン錯体、白金アンミン錯体、白金アセチルアセトナート錯体などが好ましい。
[1.1.4 微細構造体]
微細構造体は、マイクロメートルレベル又はナノメートルレベルの微細構造を有するものをいう。このような微細構造体としては、
(1)ナノチューブ、ナノロッド、ナノファイバー、ナノコイル、ナノホーン、ナノワイヤー、ナノコーン、ナノピラー、ナノバンブーなどの繊維状物、
(2)マイクロメートルサイズ又はナノメートルサイズの細孔を有する多孔質体、
(3)ナノウォールなどのシート状物、
(4)マイクロメートルサイズ又はナノメートルサイズの微粒子、
などがある。
微細構造体を構成する材料も、特に限定されるものではない。
微細構造体を構成する材料としては、例えば、
(1)カーボンナノチューブ、カーボンナノウォール、カーボンナノコイル、カーボンナノホーン、カーボンナノファイバー、カーボンナノピラー、カーボンナノバンブーなどの炭素系材料、
(2)シリコンナノロッド、シリコンナノピラー、シリコンナノワイヤーなどのSi系材料、
(3)チタニアナノチューブ、チタニアナノロッド、酸化亜鉛ナノロッド、酸化亜鉛ナノバンブー、酸化亜鉛ナノワイヤー、酸化タングステンナノチューブなどの酸化物系材料、
(4)銅ナノロッド、タングステンナノピラー、金ナノワイヤー、金ナノロッドなどの金属系材料、
(5)窒化ホウ素ナノチューブ、窒化ホウ素ナノロッド、窒化ホウ素ナノコーン、窒化インジウムナノロッド、窒化ガリウムナノワイヤーなどの窒化物系材料、
などがある。
さらに、微細構造体は、繊維状物、シート状物等のみからなるものでも良く、あるいは、これらが適当な基板上に固定されたものでも良い。特に、基板上に繊維状物が固定された微細構造体(例えば、垂直配向カーボンナノチューブ膜)は、アスペクト比が極めて高く、かつ弾性変形しやすいので、液体が揮発する際に表面張力の影響を受けやすい。そのため、このような微細構造体に対して本発明を適用すると、凝集を高度に抑制することができる。
[1.1.5 第1溶液と微細構造体との接触]
第1溶液と微細構造体との接触方法は、特に限定されるものではなく、微細構造体の間隙に第1溶液を侵入させることが可能な方法であれば良い。
第1溶液と微細構造体との接触方法としては、例えば、
(1)第1溶液中に微細構造体を浸漬する方法、
(2)第1溶液中に微細構造体を分散させる方法、
(3)微細構造体の上に第1溶液を滴下する方法、
などがある。
微細構造体と接触させる際の第1溶液の温度は、気化性物質の性質に応じて、最適な温度を選択すれば良い。
[1.2 第2工程]
第2工程は、気化性物質の貧溶媒を含む第2溶液を、第1溶液に添加する工程である。
[1.2.1 貧溶媒]
貧溶媒とは、(a)気化性物質の溶解度が低く、かつ(b)良溶媒と相溶する又は均一に混合するものをいう。
貧溶媒は、良溶媒に比べて気化性物質の溶解度が低いものほど良い。貧溶媒は、具体的には、第1溶液に第2溶液を添加することにより生成される、第1溶液と第2溶液の混合液の温度における気化性物質の溶解度が、第1溶液中の気化性物質の濃度の1/2以下であるものが好ましい。貧溶媒に対する気化性物質の溶解度は、さらに好ましくは、第1溶液中の気化性物質の濃度の1/10以下、さらに好ましくは、1/100以下である。
「良溶媒と相溶する又は均一に混合する」とは、良溶媒と貧溶媒とを混合したときに2層に分離せず、均一な溶液又は分散液になることをいう。
貧溶媒は、微細構造体、良溶媒及び気化性物質に応じて最適なものを選択する。
例えば、微細構造体が炭素系材料からなり、良溶媒がアルコール系有機溶媒又はケトン系有機溶媒であり、気化性物質が昇華性物質である場合、貧溶媒は、水が好ましい。
また、例えば、微細構造体が炭素材料からなり、良溶媒がケトン系有機溶媒又はエーテル系有機溶媒であり、気化性物質がポリメチルメタクリレートである場合、貧溶媒は、
(1)水、
(2)アルコール系有機溶媒、
(3)ヘキサンなどのアルカン系有機溶媒、
などが好ましい。
また、例えば、微細構造体が炭素材料からなり、良溶媒がハロゲン化アルキル系有機溶媒又は芳香族系有機溶媒であり、気化性物質がポリメチルメタクリレートである場合、貧溶媒は、アルコール系有機溶媒、アルカン系有機溶媒などが好ましい。
[1.2.2 第2溶液]
第2溶液は、貧溶媒を含む。第2溶液は、貧溶媒のみからなるものでも良く、貧溶媒以外の第3成分が含まれていても良い。
第2溶液に第3成分が含まれる場合、第3成分は、貧溶媒に溶解するものでも良く、あるいは、溶解せずに単に分散するものでも良い。
第3成分としては、具体的には、金属錯体、金属塩、金属ナノ粒子、高分子有機物、低分子有機物などがある。第3成分には、これらのいずれか1種を用いても良く、あるいは、2種以上を組み合わせて用いても良い。
また、第3成分は、第1溶液又は第2溶液のいずれか一方に含まれていても良く、あるいは、双方に含まれていても良い。第1溶液と第2溶液の双方に第3成分が含まれる場合、第2溶液に含まれる第3成分は、第1溶液に含まれる第3成分と同一であっても良く、あるいは、異なっていても良い。
第3成分の詳細については、上述した通りであるので、説明を省略する。
[1.2.3 第2溶液の添加方法]
第2溶液は、微細構造体と接触している第1溶液が流れ出さないように、第1溶液に添加するのが好ましい。
例えば、垂直配向カーボンナノチューブ膜の表面に第1溶液を滴下した場合、この第1溶液の上からさらに第2溶液を滴下するのが好ましい。
繊維状物、シート状物、又は粉末のみからなる微細構造体を第1溶液中に分散、浸漬、滴下等を行った場合も同様であり、微細構造体と接触している第1溶液中に第2溶液を滴下するのが好ましい。
第2溶液の添加量及び添加速度は、目的に応じて任意に選択することができる。一般に、第2溶液の添加量が多くなるほど、気化性物質の析出量が多くなる。微細構造体の種類、気化性物質の性質、第1溶液の温度等に応じて、微細構造体中の間隙に入り込むことによって微細構造体の凝集抑制効果をもたらすのに十分な量の気化性物質の微粒子が生成されるまで、第2溶液を添加するのが好ましい。
第2溶液を添加するときの第1溶液の温度は、特に限定されるものではなく、気化性物質の性質に応じて、最適な温度を選択する。
同様に、第1溶液に添加する第2溶液の温度は、特に限定されるものではなく、気化性物質の性質、第1溶液の温度等に応じて、最適な温度を選択する。
[1.3 第3工程]
第3工程は、良溶媒及び貧溶媒を除去し、微細構造体と気化性物質とを含む複合体を得る工程である。
第1溶液に第2溶液を添加すると、微細構造体の間隙に気化性物質が析出する。気化性物質が析出した後、良溶媒及び貧溶媒を除去する。
良溶媒及び貧溶媒の除去方法としては、例えば、
(1)第1溶液、第2溶液及び微細構造体の混合物を常温常圧下で大気中に放置する方法、
(2)混合物を加熱する方法、
(3)混合物を減圧下で保持する方法、
(4)(2)及び(3)の組み合わせ、
などがある。特に、(2)〜(4)の方法は、良溶媒及び貧溶媒の除去に要する時間が短いため、実用的には好ましい。
[1.4 第4工程]
第4工程は、複合体から気化性物質を気化させる工程である。
気化性物質を気化させる方法としては、例えば、
(1)微細構造体と気化性物質の複合体を加熱する方法、
(2)複合体を減圧下で保持する方法、
(3)(1)及び(2)の組み合わせ、
などがある。
なお、微細構造体の凝集を抑制するためには、先に良溶媒及び貧溶媒を除去し、次いで気化性物質を除去する必要がある。従って、貧溶媒及び良溶媒の揮発速度が気化性物質の気化速度に比べて著しく大きいときには、第1溶液、第2溶液及び微細構造体の混合物に対して単に加熱、減圧等の処理を施すだけで良い。
一方、良溶媒及び貧溶媒の揮発速度が気化性物質の気化速度に比べて著しく大きくないときには、先に良溶媒及び貧溶媒が除去され、次いで気化性物質が除去されるように、第3工程及び第4工程の条件を最適化するのが好ましい。
さらに、気化性物質が溶融状態となると、溶融した気化性物質から微細構造体に表面張力が働き、微細構造体の凝集が生じる。従って、気化性物質が溶融状態にならないように、気化性物質の性質に応じて、第3工程及び第4工程の条件を最適化するのが好ましい。
[2. 微細構造材料の製造方法の作用]
図1(a)に、液体の含浸及び乾燥に伴うカーボンナノチューブ(CNT)の凝集過程を示す。また、図1(b)に、本発明に係る方法を用いたCNTの凝集抑制過程を示す。
微細構造体の一種である垂直配向CNT膜10は、CNT10a、10a…が基板20に対して垂直に生成し、かつCNT10a、10a…同士が平行に配列した構造を有している。このような垂直配向CNT膜10は、各種の用途に用いる過程で、液体の含浸・乾燥処理が行われることが多い。
図1(a)に示すように、垂直配向CNT膜10の上からCNT10a、10a…に対して濡れの良い液体30を滴下すると、液体30がCNT10a、10a…の隙間に入り込む。このような状態から垂直配向CNT膜10の乾燥処理を行うと、液体30が揮発する過程で液体30からCNT10a、10a…に表面張力が作用する。CNT10a、10a…は、アスペクト比が極めて高く、弾性変形しやすいので、表面張力によって容易にCNT10a、10a…同士が引きつけられ、凝集が生じる。例えば、垂直配向CNT膜10を固体燃料電池の電極として応用する場合、CNT10a、10a…の凝集は反応界面を減少させ、発電効率を低下させる原因となる。
これに対し、図1(b)に示すように、気化性物質を溶解させた第1溶液(例えば、ナフタレン溶解エタノール溶液)40を垂直配向CNT膜10の上から滴下すると、第1溶液40がCNT10a、10a…の隙間に入り込む。次いで、第1溶液40に、気化性物質の貧溶媒(例えば、気化性物質がナフタレンであるときは、水)を含む第2溶液を滴下すると、気化性物質の微粒子42、42…がCNT10a、10a…の隙間に析出する。このような状態から垂直配向CNT膜10の乾燥処理を行うと、CNT10a、10a…の隙間に入った微粒子42、42…が、液体の表面張力によってCNT10a、10a…同士が近づくのを妨げる。その結果、CNT10a、10a…の凝集が抑制されると考えられる。引き続き、微粒子42、42…の気化を行うと、高度に凝集が抑制された垂直配向CNT膜10が得られる。
なお、貧溶媒を滴下することによって気化性物質の微粒子がCNTの隙間に入る段階は、
(1)貧溶媒添加時に気化性物質の微粒子がCNTの隙間に析出する段階、
(2)第1溶液中で気化性物質の微粒子が晶析した後、微粒子がCNTの隙間に沈降する段階、
(3)乾燥処理時に気化性物質の微粒子が、溶媒の減少とともにCNTのの隙間に入り込みながら凝集する段階、
の三段階があると考えられる。
垂直配向CNT膜以外の微細構造体の場合も同様であり、良溶媒に気化性物質を溶解させた第1溶液と微細構造体とを接触させると、微細構造体の間隙に第1溶液が侵入する。次いで第1溶液に、貧溶媒を含む第2溶液を添加すると、微細構造体の間隙に気化性物質が析出した複合体が得られる。この状態から良溶媒及び貧溶媒を除去すると、微細構造体の間隙に析出した気化性物質が、溶媒の表面張力に起因する微細構造体の凝集を抑制する。溶媒除去後、気化性物質を気化させれば、凝集が高度に抑制された微細構造材料が得られる。
また、第1溶液及び/又は第2溶液に、さらに、金属塩、金属錯体、金属微粒子、高分子有機物、低分子有機物などを添加すると、微細構造体の凝集を抑制しながら、微細構造体の表面を金属、有機物などで修飾することができる。
例えば、第1溶液に白金錯体を添加し、これを垂直配向CNT膜に添加すると、CNTの凝集を抑制しながら、白金を垂直配向CNTの根元まで均一かつ高収率に担持することができる。貧溶媒添加による晶析では、微粒子が高純度に析出するため、貧溶媒添加時に白金錯体は気化性物質の微粒子に取り込まれないと推測される。
特許文献5に記載されているように、昇華性物質を溶解させた液体を微細構造体に接触させた後、溶媒を蒸発させ、続いて昇華性物質を昇華させると、昇華性物質が昇華除去された箇所が空隙になり、微細構造体の凝集体が多孔質になる。しかしながら、単に乾燥処理により溶媒を除去するだけでは、液体中における昇華性物質の核発生密度が小さい。それらの核発生点から昇華性物質の析出が続き、結晶粒が成長し、粗大化する。そのため、微細構造体の間隙に昇華性物質を析出させて、微細構造体の凝集自体を抑制することは困難である。このことは、後述する比較例3にも示されている。
これに対し、本発明では、貧溶媒添加によって気化性物質の過飽和状態を急峻に形成することができ、これによって気化性物質を析出させている。そのため、貧溶媒を添加せずに良溶媒を気化させて気化性物質を析出させた場合と比較すると、核発生密度がより高くなり、気化性物質の析出物が微細化される。従って、微細構造体の間隙に気化性物質が析出する、あるいは入り込むことが容易である。
さらに、本発明は、微細構造体の中でも高いアスペクト比形状を有する垂直配向CNT膜の凝集を抑制することができる。従って、本発明は、他の様々な微細構造体の凝集抑制にも十分に適用することができる。
(実施例1、比較例1〜3)
[1. 試料の作製]
[1.1 垂直配向CNTの作製]
垂直配向CNTは、文献(特開2007−268319号公報)に記載されている手法に従って作製した。Fe−Ti−O触媒微粒子を担持した1cm四方のSi基板を触媒基板とし、熱化学気相成長法(CVD)により垂直配向CNT膜を作製した。CVD条件は、水素流量:45sccm、アセチレン流量:30sccm、温度:600℃、圧力:400MPa、成長時間:10分とした。得られた垂直配向CNT膜は、チューブ径:約5nm、成長高さ:約50μmであった。
[1.2 液体の添加及び乾燥]
[1.2.1 実施例1]
70℃に加熱したエタノール(良溶媒)にナフタレン(昇華性物質)を溶解させた。ナフタレン濃度は、0.06g/mLとした。このナフタレン溶解エタノール(第1溶液)の液滴30μLを、垂直配向CNT膜の表面に滴下し、第1溶液を垂直配向CNT膜に含浸させた。続いて、垂直配向CNT膜に滴下した第1溶液に、ナフタレンの貧溶媒である水(第2溶液、温度:室温)を50μL滴下し、液体中でCNTの隙間にナフタレンの微粒子を析出させた。
次に、容器に試料を入れ、ロータリーポンプを用いて容器内を10kPa以下に減圧し、室温にて垂直配向CNT膜からエタノールと水を優先的に蒸発させた。その後、ナフタレン結晶を昇華させた。
[1.2.2 比較例1]
エタノール30μLを、垂直配向CNT膜の表面に滴下した。滴下後、室温にて大気雰囲気中でエタノールを自然蒸発させた。
[1.2.3 比較例2]
90℃に加熱した溶融ナフタレンを、垂直配向CNT膜の表面全体が溶融ナフタレンに濡れるまで滴下した。続いて、室温にて大気雰囲気中に試料を放置し、試料を室温まで冷却することにより、垂直配向CNT膜上でナフタレンを結晶化させた。
次に、容器に試料を入れ、ロータリーポンプを用いて容器内を10kPa以下に減圧し、室温にて垂直配向CNT膜からナフタレン結晶を昇華させた。
[1.2.4 比較例3]
70℃に加熱したエタノールにナフタレンを溶解させた。ナフタレン濃度は、0.06g/mLとした。このナフタレン溶解エタノール溶液の液滴30μLを、垂直配向CNT膜の表面に滴下し、溶液を垂直配向CNT膜に含浸させた。続いて、室温にて大気雰囲気中でエタノールを自然乾燥させ、ナフタレン結晶を垂直配向CNT膜上に析出させた。
次に、容器に試料を入れ、ロータリーポンプを用いて容器内を10kPa以下に減圧し、室温にて垂直配向CNT膜からナフタレン結晶を昇華させた。
[2. 評価]
[2.1 無処理の垂直配向CNT膜]
図2(a)に、無処理の垂直配向CNT膜の光学顕微鏡像を示す。また、図3(a)及び図4(a)に、それぞれ、無処理の垂直配向CNT膜の低倍率及び高倍率の電界放射型走査型電子顕微鏡(FESEM)二次電子像を示す。光学顕微鏡像及び二次電子像より、Si基板表面が垂直配向CNT膜で均一に被覆されていることがわかる。
[2.2 処理後の垂直配向CNT膜]
図2(b)〜(e)に、それぞれ、実施例1及び比較例1〜3で得られた処理後の垂直配向CNT膜の光学顕微鏡像を示す。
エタノールで処理した比較例1の場合、図2(c)に示すように、CNTが凝集した結果、CNTが高密度になった光反射率の低い領域と、CNTが低密度になり、下地のSi基板の表面からの光反射の影響が大きい領域とが形成され、明暗模様が観察された。貧溶媒を用いることなくナフタレンを昇華させた比較例2(図2(d))及び比較例3(図2(e))も同様であり、明暗模様が観察された。
これに対し、貧溶媒を用いてナフタレンを析出させた実施例1の場合、図2(b)に示すように、明暗模様が少ない。
図3(b)〜(e)に、それぞれ、実施例1及び比較例1〜3で得られた処理後の垂直配向CNT膜の低倍率のFESEM二次電子像を示す。また、図4(b)〜(e)に、それぞれ、実施例1及び比較例1〜3で得られた処理後の垂直配向CNT膜の高倍率のFESEM二次電子像を示す。
エタノールで処理した比較例1の場合、図3(c)及び図4(c)に示すように、CNT同士が凝集により接近していることが分かる。貧溶媒を用いることなくナフタレンを昇華させた比較例2(図3(d)、図4(d))及び比較例3(図3(e)、図4(e))も同様であり、CNT同士が凝集により接近した。
これに対し、貧溶媒で処理した実施例1の場合、図3(b)及び図4(b)に示すように、ナノメートルレベルにおいてもCNTの凝集が抑制されていることがわかった。
溶融ナフタレンを用いた場合及びナフタレン溶解エタノール溶液のみを用いた場合のいずれも、CNTの凝集を抑制することができなかった。これは、いずれの場合も、ナフタレンがCNTの間隙に析出しなかったためと考えられる。
一方、貧溶媒を用いることによってCNTの凝集が抑制されたのは、貧溶媒の添加によってCNTの隙間にナフタレンの微粒子が析出したためと考えられる。
(実施例2、比較例4)
[1. 試料の作製]
[1.1 実施例2]
白金ジニトロジアンミン錯体(Pt(NO2)2(NH3)2)を溶解させ、70℃に加熱したエタノール溶液(第1溶液;0.989g−Pt/L)に、ナフタレンを溶解させた。ナフタレン濃度は、0.06g/mLとした。この第1溶液の液滴30μLを、実施例1で作製した垂直配向CNT膜の表面に滴下し、溶液を垂直配向CNT膜に含浸させた。続いて、垂直配向CNT膜に滴下した第1溶液に、ナフタレンの貧溶媒である水(第2溶液、温度:室温)を50μL滴下し、液体中でCNTの隙間にナフタレンの微粒子を析出させた。
次に、容器に試料を入れ、ロータリーポンプを用いて10kPa以下に減圧し、エタノールと水の蒸発、及びナフタレンの昇華を行った。その後、白金を還元するため、アルゴンと水素の混合ガス雰囲気中(水素:4%)で、200℃にて4時間熱処理を施した。
[1.2 比較例4]
白金ジニトロジアンミン錯体(Pt(NO2)2(NH3)2)のみを溶解させたエタノール溶液を、実施例1で得られた垂直配向CNT膜に滴下した。これを常温で数時間放置し、エタノールを蒸発させた。その後、白金を還元するため、アルゴンと水素の混合ガス雰囲気中(水素:4%)で、200℃にて4時間熱処理を施した。
[2. 評価]
図5(a)及び図5(b)に、それぞれ、実施例2及び比較例4で得られた熱処理後の垂直配向CNT膜のFESEM二次電子像を示す。図5(a)及び図5(b)より、比較例4はCNTの凝集が顕著に観察されるのに対し、実施例2はCNTの凝集が抑制されていることが分かる。
図5(c)及び図5(d)に、それぞれ、実施例2で得られた熱処理後の垂直配向CNT膜の高倍率FESEM二次電子像、及びこれと同じ領域から得られた反射電子像を示す。反射電子像にて明るく見える部分がPt微粒子である。図5(c)及び図5(d)より、Pt微粒子がCNTに均一に分散担持されていることが分かる。
以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
本発明に係る微細構造材料の製造方法は、微細構造体の高比表面積状態を維持しながら、微細構造体の表面に金属や有機物を担持できる。そのため、本発明は、
(1)固体燃料電池、センサーなどの電極材料の製造方法、
(2)熱電子放出あるいは電界電子放出を利用する平面型ディスプレイ、電子顕微鏡、オージェ電子分光装置、プラズマ発生装置、X線発生装置、電子線リソグラフィー装置、サージ吸収装置などの電子放出材料の製造方法
などに応用できる。

Claims (8)

  1. 気化性物質と前記気化性物質の良溶媒とを含む第1溶液を、微細構造体に接触させる第1工程と、
    前記気化性物質の貧溶媒を含む第2溶液を、前記第1溶液に添加する第2工程と、
    前記良溶媒及び前記貧溶媒を除去し、前記微細構造体と前記気化性物質とを含む複合体を得る第3工程と、
    前記複合体から前記気化性物質を気化させる第4工程と
    を備えた微細構造材料の製造方法。
  2. 前記微細構造体は、ナノチューブ、ナノロッド、ナノファイバー、ナノコイル、ナノホーン、多孔質体、ナノウォール、ナノワイヤー、ナノコーン、ナノピラー、ナノバンブー、及び微粒子から選ばれるいずれか1以上を含む請求項1に記載の微細構造材料の製造方法。
  3. 前記微細構造体は、垂直配向カーボンナノチューブ膜である請求項1に記載の微細構造材料の製造方法。
  4. 前記良溶媒は、アルコール系有機溶媒及びケトン系有機溶媒から選ばれるいずれか1種以上である請求項1から3までのいずれかに記載の微細構造材料の製造方法。
  5. 前記気化性物質は、昇華性物質である請求項1から4までのいずれかに記載の微細構造材料の製造方法。
  6. 前記昇華性物質は、ナフタレンである請求項5に記載の微細構造材料の製造方法。
  7. 前記貧溶媒は、水である請求項1から6までのいずれかに記載の微細構造材料の製造方法。
  8. 前記第1溶液及び/又は前記第2溶液は、金属錯体、金属塩、金属ナノ粒子、高分子有機物及び低分子有機物から選ばれるいずれか1以上をさらに含む請求項1から7までのいずれかに記載の微細構造材料の製造方法。
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