JP2010168877A - 残存型枠、およびこれに用いる型枠パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】 軽量化を図るとともに、コンクリート打設時における耐圧強度を確保することができる残存型枠およびこれを用いる型枠パネルを提供する。
【解決手段】 残存型枠19を構成する複数の型枠パネル1を、格子状に形成されたコンクリート製の外側フレーム2と、外周部が外側フレーム2に埋設されたFRP製の内側パネル3とから構成する。内側パネル3の外周部の埋め込み部11には、外側フレーム2の表裏方向に延びる第一の補強部11aと、第一の補強部11aから表裏方向に対して垂直方向に延びる第二の補強部11bとを形成する。
【選択図】図1
【解決手段】 残存型枠19を構成する複数の型枠パネル1を、格子状に形成されたコンクリート製の外側フレーム2と、外周部が外側フレーム2に埋設されたFRP製の内側パネル3とから構成する。内側パネル3の外周部の埋め込み部11には、外側フレーム2の表裏方向に延びる第一の補強部11aと、第一の補強部11aから表裏方向に対して垂直方向に延びる第二の補強部11bとを形成する。
【選択図】図1
Description
本発明は、コンクリート打設後の施工現場にそのまま残される残存型枠、およびこれに用いる型枠パネルに関する。
従来、例えば、擁壁や砂防ダム等の壁体構造物を施工する場合に、コンクリート製パネルよりなる残存型枠を使用することがある。
この残存型枠は、型枠として枠組み施工された後で、当該残存型枠内に生コンクリートを打設して構造物を成型する点で通常の転用型枠と同様であるが、硬化後のコンクリートの表面に固着して施工現場にそのまま残存する点で、転用型枠と相違するものである(特許文献1および2参照)。このため、コンクリートの硬化後における型枠の脱型作業が不要である点で、施工が容易で工期を短縮できるという利点がある。
この残存型枠は、型枠として枠組み施工された後で、当該残存型枠内に生コンクリートを打設して構造物を成型する点で通常の転用型枠と同様であるが、硬化後のコンクリートの表面に固着して施工現場にそのまま残存する点で、転用型枠と相違するものである(特許文献1および2参照)。このため、コンクリートの硬化後における型枠の脱型作業が不要である点で、施工が容易で工期を短縮できるという利点がある。
そして、従来の残存型枠は、複数の型枠パネルによって構成されており、この型枠パネルを順次上方に積み上げることにより、残存型枠が所定高さに構築されるようになっている。その際、隣接する型枠パネル同士は接合金具で接合され、この接合金具には、一端部が設置面のアンカー筋に固定させたセパレータの他端部を溶接で固定するようになっていて、これにより、コンクリート打設時における型枠の耐圧強度が確保される。
しかしながら、この種の残存型枠に用いる型枠パネルは、一般に重量物であるコンクリート製パネル(1枚当たり約50kg程度が通常)により構成されているため、型枠パネルの積み上げ作業では、作業者に重労働を強いることになる。
そこで、上記問題を解決するために、型枠パネルをコンクリートよりも軽量の材料により構成すれば、型枠パネルを軽量化することができるので、積み上げ作業を容易に行うことができる。しかし、型枠パネルを軽量化すると、コンクリート打設時における残存型枠の耐圧強度が低下するという新たな問題が生じる。
そこで、上記問題を解決するために、型枠パネルをコンクリートよりも軽量の材料により構成すれば、型枠パネルを軽量化することができるので、積み上げ作業を容易に行うことができる。しかし、型枠パネルを軽量化すると、コンクリート打設時における残存型枠の耐圧強度が低下するという新たな問題が生じる。
本発明は、上記問題点に鑑み、軽量化を図るとともに、コンクリート打設時における耐圧強度を確保することができる残存型枠およびこれを用いる型枠パネルを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の残存型枠は、コンクリート打設後の施工現場にそのまま残される複数の型枠パネルを備えた残存型枠であって、前記型枠パネルは、格子状に形成されている外側フレームと、前記外側フレームを構成する材料よりも軽量の材料からなるとともに、外周部に前記外側フレームに埋設されている埋め込み部を有する内側パネルと、を備え、前記内側パネルの前記埋め込み部は、前記外側フレームの表裏方向に延びる補強部を有していることを特徴とする。
本発明の残存型枠は、型枠パネルを、格子状の外側フレームと、外側フレームよりも軽量の材料からなる内側パネルとにより構成しているため、型枠パネルを軽量化することができ、型枠パネルの積み上げ作業を容易に行うことができる。
また、外側フレームの表裏方向に延びる補強部によって、内側パネルの埋め込み部を外側フレームに強固に付着させることができるので、コンクリート打設時における残存型枠の耐圧強度を確保することができる。
また、外側フレームの表裏方向に延びる補強部によって、内側パネルの埋め込み部を外側フレームに強固に付着させることができるので、コンクリート打設時における残存型枠の耐圧強度を確保することができる。
また、前記埋め込み部は、前記補強部から前記表裏方向に対して垂直方向に延びる第二の補強部をさらに有することが好ましい。
この場合、補強部から上記表裏方向に対して垂直方向に延びる第二の補強部によって、内側パネルの埋め込み部を外側フレームにさらに強固に付着させることができるので、コンクリート打設時における残存型枠の耐圧強度を向上させることができる。
この場合、補強部から上記表裏方向に対して垂直方向に延びる第二の補強部によって、内側パネルの埋め込み部を外側フレームにさらに強固に付着させることができるので、コンクリート打設時における残存型枠の耐圧強度を向上させることができる。
また、前記埋め込み部が、その外縁に形成された複数の凹溝を有することが好ましい。
この場合、埋め込み部の外縁に形成された凹溝によって、外側フレームに対する埋め込み部の付着力を増大させることができる。
この場合、埋め込み部の外縁に形成された凹溝によって、外側フレームに対する埋め込み部の付着力を増大させることができる。
また、前記埋め込み部が、その厚さ方向に貫通された複数の貫通孔を有することが好ましい。
この場合、埋め込み部の厚さ方向に貫通された貫通孔によって、外側フレームに対する埋め込み部の付着力を増大させることができる。
この場合、埋め込み部の厚さ方向に貫通された貫通孔によって、外側フレームに対する埋め込み部の付着力を増大させることができる。
また、前記型枠パネルが、前記外側フレームに複数の内側パネルを埋設可能であるとともに、隣接する内側パネルを連結する連結部材をさらに備えていることが好ましい。
この場合、隣接する内側パネルが連結部材により連結されるため、隣接する内側パネルを一体化することができるとともに、外側フレームも連結部材により補強されるため、残存型枠の耐圧強度を向上させることができる。
この場合、隣接する内側パネルが連結部材により連結されるため、隣接する内側パネルを一体化することができるとともに、外側フレームも連結部材により補強されるため、残存型枠の耐圧強度を向上させることができる。
本発明の残存型枠によれば、型枠パネルを、格子状の外側フレームと、外側フレームよりも軽量の材料からなる内側パネルとにより構成しているため、型枠パネルを軽量化することができ、型枠パネルの積み上げ作業を容易に行うことができる。
また、外側フレームの表裏方向に延びる補強部によって、内側パネルの埋め込み部を外側フレームに強固に付着させることができるので、コンクリート打設時における残存型枠の耐圧強度を確保することができる。
また、外側フレームの表裏方向に延びる補強部によって、内側パネルの埋め込み部を外側フレームに強固に付着させることができるので、コンクリート打設時における残存型枠の耐圧強度を確保することができる。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る残存型枠の構成部材となる型枠パネルの正面図,側面図および断面図を示すものであり、図2は、その型枠パネルの背面図を示すものである。
本実施形態の型枠パネル1は、コンクリート打設後の施工現場にそのまま残して使用する残存型枠を構築するためのものである。この残存型枠は、例えば、擁壁や、砂防ダム等の壁体構造物を施工する場合に、施工現場の設置面に構築されるものである。
図1(a)および図2において、上記型枠パネル1は、格子状に形成されている外側フレーム2と、この外側フレーム2の内側に配置されている一対の内側パネル3とを備えている。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る残存型枠の構成部材となる型枠パネルの正面図,側面図および断面図を示すものであり、図2は、その型枠パネルの背面図を示すものである。
本実施形態の型枠パネル1は、コンクリート打設後の施工現場にそのまま残して使用する残存型枠を構築するためのものである。この残存型枠は、例えば、擁壁や、砂防ダム等の壁体構造物を施工する場合に、施工現場の設置面に構築されるものである。
図1(a)および図2において、上記型枠パネル1は、格子状に形成されている外側フレーム2と、この外側フレーム2の内側に配置されている一対の内側パネル3とを備えている。
図2に示すように、外側フレーム2は、横長の長方形状となる外枠を構成するコンクリート製のリブ材4,5,6,7と、内枠を構成するコンクリート製の補強リブ8とを有している。このうち、リブ材4,6および補強リブ8は、鉛直方向(図2の上下方向)に平行に配置され、リブ材5,7は、水平方向(図2の左右方向)に平行に配置されており、各リブ材4〜7および補強リブ8は、各端部で互いに一体に連結されている。また、補強リブ8は、リブ材5,7の長手方向の中央部を支持するように取り付けられている。
外側フレーム2の両側面は、図1(b)に示すように、鉛直方向に平坦に形成されており、また、外側フレーム2の上面および底面は、図示しないが、水平方向に平坦に形成されている。
外側フレーム2の両側面は、図1(b)に示すように、鉛直方向に平坦に形成されており、また、外側フレーム2の上面および底面は、図示しないが、水平方向に平坦に形成されている。
図2に示すように、外側フレーム2の裏面側には、その四つの角部およびリブ材5,7の長手方向の中央部に、それぞれ外側フレーム2の表側方向に凹ませたねじ穴9が形成されている。各ねじ穴9は、後述する角部連結具14や補助連結具16を外側フレーム2に取り付ける際に用いられる。なお、各ねじ穴9は、それぞれ外側フレーム2の表面側まで貫通することがないように形成されている。
図3(a)は、上記型枠パネル1の内側パネル3の正面図であり、図3(b)は、その内側パネル3の側面図である。
図3(a)において、内側パネル3は、外側フレーム2の材料であるコンクリートよりも軽量の材料となるFRP(繊維強化プラスチック)製のパネルから構成されている。また、内側パネル3は、正面視で略四角形状に形成されているパネル本体部10と、このパネル本体部10の外周部である四辺にそれぞれ形成された埋め込み部11とを有し、各埋め込み部11は外側フレーム2に埋め込まれている(図1(c)参照)。
図3(a)において、内側パネル3は、外側フレーム2の材料であるコンクリートよりも軽量の材料となるFRP(繊維強化プラスチック)製のパネルから構成されている。また、内側パネル3は、正面視で略四角形状に形成されているパネル本体部10と、このパネル本体部10の外周部である四辺にそれぞれ形成された埋め込み部11とを有し、各埋め込み部11は外側フレーム2に埋め込まれている(図1(c)参照)。
パネル本体部10は、図3(b)に示すように、側面視においてく字形状をなし、鉛直方向(図3(b)の上下方向)の中央部を頂点として外周部に向かって緩やかに傾斜するようにテーパ状に形成されている。
また、図1(c)に示すように、パネル本体部10の厚さt2は、外側フレーム2の厚さt1よりも短く設定されており、外側フレーム2の表面側寄り(図1(c)の左側)にパネル本体部10の外周部が埋め込まれ、その外周部の表面が外側フレーム2の表面と面一になっている。このため、外側フレーム2の裏面側には、外側フレーム2の各内側面と内側パネル3の裏面とにより凹部12が形成されている。つまり、型枠パネル1の裏面には、二つの凹部12が形成されており、後述する残存型枠の施工におけるコンクリート打設時に、凹部12に生コンクリートが充填されることにより、堤体コンクリートと残存型枠との一体性を向上させることができる。なお、パネル本体部10の表面には意匠を施すことが可能であり、型枠パネル1を化粧型枠として使用することができる。
また、図1(c)に示すように、パネル本体部10の厚さt2は、外側フレーム2の厚さt1よりも短く設定されており、外側フレーム2の表面側寄り(図1(c)の左側)にパネル本体部10の外周部が埋め込まれ、その外周部の表面が外側フレーム2の表面と面一になっている。このため、外側フレーム2の裏面側には、外側フレーム2の各内側面と内側パネル3の裏面とにより凹部12が形成されている。つまり、型枠パネル1の裏面には、二つの凹部12が形成されており、後述する残存型枠の施工におけるコンクリート打設時に、凹部12に生コンクリートが充填されることにより、堤体コンクリートと残存型枠との一体性を向上させることができる。なお、パネル本体部10の表面には意匠を施すことが可能であり、型枠パネル1を化粧型枠として使用することができる。
図1(a)において、左右一対の内側パネル3の各埋め込み部11は、それぞれ外側フレーム2の各リブ材4〜7の内部および補強リブ8の内部に埋設されている。各埋め込み部11は、図1(c)に示すように、各リブ材4〜7および補強リブ8の表裏方向(図1(c)の左右方向)に延びる第一の補強部11aと、上記表裏方向に対して垂直方向に延びる第二の補強部11bとを有している。
第一の補強部11aの一端は、パネル本体部10の外縁に一体形成されており、第一の補強部11aの他端には、第二の補強部11bが外側フレーム2の外側へ延びるように一体形成されている。第二の補強部11bの外縁には、長手方向に五つの凹溝11cが所定間隔で形成されている(図3(a)参照)。
第一の補強部11aの一端は、パネル本体部10の外縁に一体形成されており、第一の補強部11aの他端には、第二の補強部11bが外側フレーム2の外側へ延びるように一体形成されている。第二の補強部11bの外縁には、長手方向に五つの凹溝11cが所定間隔で形成されている(図3(a)参照)。
図1(a)において、左右の内側パネル3は、補強リブ8の長手方向に所定間隔で埋設された六つの連結部材13により連結されている。連結部材13は、図4に示すように、コ字形状に形成されており、その両端部は、各内側パネル3の隣接する第二の補強部11bを表面側(図4の上側)から裏面側へ貫通した状態で、各第二の補強部11bに取り付けられている。
図7は、残存型枠の施工途中の状態を示す背面側斜視図である。図において、上下左右に配列される外側フレーム2を連結するものとして、相互に隣接する四つの外側フレーム2の角部同士を連結する角部連結具14が使用されている。
角部連結具14は、外側フレーム2の裏面側に当接させる略正方形の連結プレート14aと、この連結プレート14aの四角にそれぞれ形成されたボルト挿通孔14bと、連結プレート14aの中央部に取付けられた支持バー14cとを備えている。そして、連結プレート14aを外側フレーム2の裏面側に当接させた状態で、各ボルト挿通孔14bに挿通した締結ボルト15を四つの外側フレーム2の互いに隣接する角部の各ねじ穴9にねじ込むことにより、四つの外側フレーム2の角部を互いに連結することができるようになっている。
角部連結具14は、外側フレーム2の裏面側に当接させる略正方形の連結プレート14aと、この連結プレート14aの四角にそれぞれ形成されたボルト挿通孔14bと、連結プレート14aの中央部に取付けられた支持バー14cとを備えている。そして、連結プレート14aを外側フレーム2の裏面側に当接させた状態で、各ボルト挿通孔14bに挿通した締結ボルト15を四つの外側フレーム2の互いに隣接する角部の各ねじ穴9にねじ込むことにより、四つの外側フレーム2の角部を互いに連結することができるようになっている。
また、図7に示すように、上下に配列される外側フレーム2のうち、一段下の外側フレーム2上部のリブ材5の中央部と、次段の外側フレーム2下部のリブ材7の中央部とを連結する補助連結具16が使用されている。
補助連結具16は、外側フレーム2の裏面側に当接させる長方形の連結プレート16aと、この連結プレート16aの長手方向の両端部にそれぞれ形成されたボルト挿通孔16bとを備えている。そして、外側フレーム2の裏面側に連結プレート16aを当接させた状態で、各ボルト挿通孔16bに挿通した締結ボルト15を二つの外側フレーム2の互いに隣接するねじ穴9にねじ込むことにより、二つの外側フレーム2の中央部を互いに連結することができるようになっている。
補助連結具16は、外側フレーム2の裏面側に当接させる長方形の連結プレート16aと、この連結プレート16aの長手方向の両端部にそれぞれ形成されたボルト挿通孔16bとを備えている。そして、外側フレーム2の裏面側に連結プレート16aを当接させた状態で、各ボルト挿通孔16bに挿通した締結ボルト15を二つの外側フレーム2の互いに隣接するねじ穴9にねじ込むことにより、二つの外側フレーム2の中央部を互いに連結することができるようになっている。
なお、上記の角部連結具14および補助連結具16を各外側フレーム2に取り付ける際には、各外側フレーム2の裏面を各連結プレート14a、16aの取り付ける側の面に合わせることにより、各外側フレーム2の表裏方向の位置調整を行うことができる。これにより、積み上げた外側フレーム2を既設の外側フレーム2に面一に連結する作業を簡単に行うことができる。
図5〜図7は、上記型枠パネル1を用いて行う、本発明の残存型枠の施工方法を示している。以下、この図5〜図7を参照しつつ、その施工方法を詳述する。図5に示すように、まず、捨てコンクリート等で平坦化された施工現場の設置面に所定数の型枠パネル1を水平方向に並べて立設させ、隣接する型枠パネル1の外側フレーム2の角部を角部連結具14で互いに連結する。
次に、一端部が設置面のアンカーボルト17に固定されたセパレータ18(図8参照)の他端部を、角部連結具14の支持バー14cに溶接等で固定し、各型枠パネル1の設置位置を決定する。ついで、予め設置面に組み立ててある丁張り(図示せず)に併せて型枠パネル1の傾斜角度を決定する。なお、本実施形態では、各型枠パネル1を設置面に対して垂直に立設させている。
このようにして、所定の傾斜角度で複数の型枠パネル1を設置面に並設する作業が完了すると、次に、二段目以降の型枠パネル1の積み上げ作業を行う。
図6は、二段目以降の型枠パネル1の積み上げ作業を示している。二段目以降の型枠パネル1の積み上げでは、まず、一段下の型枠パネル1の外側フレーム2の上面部に、次段の型枠パネル1の外側フレーム2の底面部を合わせながら、次段の型枠パネル1の積み上げを行う。そして、一段下の外側フレーム2の上部側の両角部の位置に合わせて、次段の外側フレーム2の下部側の両角部の位置決めを行う。
その際、次段の型枠パネル1を構成する内側パネル3はFRP製の軽量パネルにより構成されているため、次段の型枠パネル1は、従来のコンクリート製の型枠パネルと比べて、その重量が軽いので、上記の積み上げ作業および位置決めが、従来の型枠パネルを用いる場合よりも容易に行うことができる。
図6は、二段目以降の型枠パネル1の積み上げ作業を示している。二段目以降の型枠パネル1の積み上げでは、まず、一段下の型枠パネル1の外側フレーム2の上面部に、次段の型枠パネル1の外側フレーム2の底面部を合わせながら、次段の型枠パネル1の積み上げを行う。そして、一段下の外側フレーム2の上部側の両角部の位置に合わせて、次段の外側フレーム2の下部側の両角部の位置決めを行う。
その際、次段の型枠パネル1を構成する内側パネル3はFRP製の軽量パネルにより構成されているため、次段の型枠パネル1は、従来のコンクリート製の型枠パネルと比べて、その重量が軽いので、上記の積み上げ作業および位置決めが、従来の型枠パネルを用いる場合よりも容易に行うことができる。
上記位置決めが完了すると、図7に示すように、一段下の外側フレーム2の上部側の両角部に取付けられた各角部連結具14を、次段の外側フレーム2の下部側の両角部にそれぞれ取付ける。また、一段下の外側フレーム2のリブ材5の中央部と、次段の外側フレーム2のリブ材7の中央部とに補助連結具16を取り付ける。これによって、一段下の外側フレーム2と次段の外側フレーム2とを角部連結具14および補助連結具16で互いに連結される。
この場合、一段下の外側フレーム2の上部側の両角部に取付けられた各角部連結具14の連結プレート14aの取り付ける側の面に合わせて次段の外側フレーム2の表裏方向の位置調整を行うことにより、次段の外側フレーム2を一段下の外側フレーム2に面一に連結させることができる。
この場合、一段下の外側フレーム2の上部側の両角部に取付けられた各角部連結具14の連結プレート14aの取り付ける側の面に合わせて次段の外側フレーム2の表裏方向の位置調整を行うことにより、次段の外側フレーム2を一段下の外側フレーム2に面一に連結させることができる。
次に、次段の外側フレーム2の上部側の両角部に角部連結具14を取り付ける。そして、一端部が設置面のアンカーボルト17に固定されたセパレータ18(図8参照)の他端部を、角部連結具14の支持バー14cに溶接等で固定する。
その後は、所定の施工高さの残存型枠19が得られるまで、上記型枠パネル1の積み上げ作業を繰り返すようにすればよい。
その後は、所定の施工高さの残存型枠19が得られるまで、上記型枠パネル1の積み上げ作業を繰り返すようにすればよい。
図8は、上記施工方法で組み立てられた残存型枠を示す側面図である。この種の残存型枠19で構築されるコンクリート構造物は、生コンクリートの打設作業を設計高さまで一気に行うのではなく、生コンクリートの打設作業を複数回に分けて行う打ち継ぎ作業となり、一回毎のコンクリート打設高さhは概ね1mである。
図8に示す残存型枠41は、初回のコンクリート打設後であって、その打設高さは、二段目の型枠パネル1よりも低い高さに設定される。そして、この初回打ちのコンクリートが硬化すれば、三段目および四段目の型枠パネル1を積み上げたあと、二回目の生コンクリートの打設作業が行われる。なお、初回の生コンクリートの上面には、二回目に打設される生コンクリートの面圧を支持するためのアンカーボルト17が埋設される。
図8に示す残存型枠41は、初回のコンクリート打設後であって、その打設高さは、二段目の型枠パネル1よりも低い高さに設定される。そして、この初回打ちのコンクリートが硬化すれば、三段目および四段目の型枠パネル1を積み上げたあと、二回目の生コンクリートの打設作業が行われる。なお、初回の生コンクリートの上面には、二回目に打設される生コンクリートの面圧を支持するためのアンカーボルト17が埋設される。
以上のように、本実施形態によれば、残存型枠19の構成部材となる型枠パネル1を、格子状に形成されているコンクリート製の外側フレーム2と、この外側フレーム2の材料(コンクリート)よりも軽量の材料であるFRP製の内側パネル3とにより構成したので、型枠パネル1を軽量化することができ、型枠パネル1の積み上げ作業や位置決め作業を容易に行うことができる。
また、内側パネル3の埋め込み部11は、外側フレーム2の表裏方向に延びる第一の補強部11aと、当該表裏方向に対して垂直方向に延びる第二の補強部11bとを有しているため、内側パネル3を外側フレーム2に強固に付着させることができる。したがって、コンクリート打設時における生コンクリートからの面圧に対する残存型枠19の耐圧強度を確保することができる。
さらに、埋め込み部11の第二の補強部11bの外縁には、凹溝11cが形成されているため、外側フレーム2に対する埋め込み部11の付着力を増大させることができる。
また、隣接する内側パネル3は、外側フレーム2の補強リブ8内に埋設された連結部材13により連結されているため、隣接する内側パネル3を一体化することができるとともに、外側フレーム2も連結部材13により補強されるため、残存型枠19の耐圧強度を向上させることができる。
また、内側パネル3の埋め込み部11は、外側フレーム2の表裏方向に延びる第一の補強部11aと、当該表裏方向に対して垂直方向に延びる第二の補強部11bとを有しているため、内側パネル3を外側フレーム2に強固に付着させることができる。したがって、コンクリート打設時における生コンクリートからの面圧に対する残存型枠19の耐圧強度を確保することができる。
さらに、埋め込み部11の第二の補強部11bの外縁には、凹溝11cが形成されているため、外側フレーム2に対する埋め込み部11の付着力を増大させることができる。
また、隣接する内側パネル3は、外側フレーム2の補強リブ8内に埋設された連結部材13により連結されているため、隣接する内側パネル3を一体化することができるとともに、外側フレーム2も連結部材13により補強されるため、残存型枠19の耐圧強度を向上させることができる。
図9(a)は、本発明の第2の実施形態に係る残存型枠の構成部材となる型枠パネルの内側パネルの正面図であり、図9(b)は、図9(a)のC−C断面図である。第2の実施形態は、上記第1の実施形態における内側パネル3の埋め込み部11に形成される凹溝12の変形例を示すものである。
図9(a)において、第2の実施形態に係る内側パネル3は、その四辺に形成されている各埋め込み部11の第二の補強部11bに、その厚さ方向(図9(b)の左右方向)に貫通された五つの貫通孔20が所定間隔で形成されている。この貫通孔20によって、外側フレーム2に対する埋め込み部11の付着力を増大させることができる。なお、貫通孔20は、第一の補強部11bの厚さ方向に貫通形成させるようにしてもよい。
図9(a)において、第2の実施形態に係る内側パネル3は、その四辺に形成されている各埋め込み部11の第二の補強部11bに、その厚さ方向(図9(b)の左右方向)に貫通された五つの貫通孔20が所定間隔で形成されている。この貫通孔20によって、外側フレーム2に対する埋め込み部11の付着力を増大させることができる。なお、貫通孔20は、第一の補強部11bの厚さ方向に貫通形成させるようにしてもよい。
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。
例えば、内側パネル3は、FRPにより構成されているが、アルミニウム合金等の軽金属材料により構成したものや、スチール製の複数の線材をメッシュ状に形成したものでもよく、外側フレーム2を構成する材料(コンクリート)よりも軽量の材料を用いていればよい。
また、第二の補強部11bは、第一の補強部11aから外側フレーム2の外側へ延びるように形成されているが、第一の補強部11aの外側フレーム2の内側へ延びるように形成してもよい。
さらに、埋め込み部11には、第一の補強部11aと第二の補強部11bとを形成しているが、コンクリート打設時における残存型枠の耐圧強度を確保できる場合は、第一の補強部11aだけでもよい。
また、第1の実施形態では、凹溝11cを、第二の補強部11bに形成しているが、第一の補強部11aのみが形成される場合は、第一の補強部11aに形成してもよい。
例えば、内側パネル3は、FRPにより構成されているが、アルミニウム合金等の軽金属材料により構成したものや、スチール製の複数の線材をメッシュ状に形成したものでもよく、外側フレーム2を構成する材料(コンクリート)よりも軽量の材料を用いていればよい。
また、第二の補強部11bは、第一の補強部11aから外側フレーム2の外側へ延びるように形成されているが、第一の補強部11aの外側フレーム2の内側へ延びるように形成してもよい。
さらに、埋め込み部11には、第一の補強部11aと第二の補強部11bとを形成しているが、コンクリート打設時における残存型枠の耐圧強度を確保できる場合は、第一の補強部11aだけでもよい。
また、第1の実施形態では、凹溝11cを、第二の補強部11bに形成しているが、第一の補強部11aのみが形成される場合は、第一の補強部11aに形成してもよい。
また、第2の実施形態では、貫通孔20を、第二の補強部11bに形成しているが、第一の補強部11aに形成していもよい。
また、上記貫通孔20を、第1の実施形態とは別の実施形態として説明したが、第1の実施形態において凹溝11cとともに形成するようにしてもよい。
また、外側フレーム2に二つの内側パネル3が埋設される構成を示したが、内側パネル3の数は、使用条件等に応じて適宜変更することができる。
また、外側フレーム2の形状は、正四角形であってもよいし、また、内側パネル3の形状は、長方形や三角形状もしくは丸形状であってもよい。これら外側フレーム2および内側パネル3は、使用条件等に応じて、その大きさ、配置および形状を適宜変更することができる。
また、本発明の残存型枠19は、設置面に対して垂直に立設するだけでなく、傾斜して立設する場合もある。
また、上記貫通孔20を、第1の実施形態とは別の実施形態として説明したが、第1の実施形態において凹溝11cとともに形成するようにしてもよい。
また、外側フレーム2に二つの内側パネル3が埋設される構成を示したが、内側パネル3の数は、使用条件等に応じて適宜変更することができる。
また、外側フレーム2の形状は、正四角形であってもよいし、また、内側パネル3の形状は、長方形や三角形状もしくは丸形状であってもよい。これら外側フレーム2および内側パネル3は、使用条件等に応じて、その大きさ、配置および形状を適宜変更することができる。
また、本発明の残存型枠19は、設置面に対して垂直に立設するだけでなく、傾斜して立設する場合もある。
以下、コンクリートの補強構造を検証するための曲げ強度試験の内容とその結果について説明する。
図10は、上記曲げ強度試験の概略説明図である。試験に使用されるテストピース21は、断面が100mm×100mmの正四角形であって、長さが400mmの角柱のコンクリートブロックである。テストピース21の内部には、その長手方向に各種補強部材が埋設されており、合計6種類のテストピース21(図11参照)について試験を行った。
各テストピース21の曲げ強度試験は、テストピース21の長手方向の両端を下方から支持した状態で、テストピース21の略中央部に上方から荷重Fを徐々に増大させるように作用させ、テストピース21のコンクリートブロックにひび割れが生じたときの荷重(以下、ひび割れ荷重という。)を測定した。さらに、ひび割れ後のテストピースについて上記荷重を作用させ、補強部材が破断したときの荷重(以下、最大荷重という)を測定した。上記測定は、2回ずつ行い、ひび割れ荷重および最大荷重の各平均値を算出した。
図10は、上記曲げ強度試験の概略説明図である。試験に使用されるテストピース21は、断面が100mm×100mmの正四角形であって、長さが400mmの角柱のコンクリートブロックである。テストピース21の内部には、その長手方向に各種補強部材が埋設されており、合計6種類のテストピース21(図11参照)について試験を行った。
各テストピース21の曲げ強度試験は、テストピース21の長手方向の両端を下方から支持した状態で、テストピース21の略中央部に上方から荷重Fを徐々に増大させるように作用させ、テストピース21のコンクリートブロックにひび割れが生じたときの荷重(以下、ひび割れ荷重という。)を測定した。さらに、ひび割れ後のテストピースについて上記荷重を作用させ、補強部材が破断したときの荷重(以下、最大荷重という)を測定した。上記測定は、2回ずつ行い、ひび割れ荷重および最大荷重の各平均値を算出した。
図11は、上記曲げ強度試験の試験結果を示す表である。
Aタイプの補強部材を有しないテストピース21A、Bタイプの鉄筋22を埋設したテストピース21B、Cタイプの平板状のFRPパネル23を埋設したテストピース21C、DタイプのL字型のプラスチック製のパネル24を埋設したテストピース21D、Eタイプの水平部が短いL字型のプラスチック製のパネル25を埋設したテストピース21E、Fタイプの凹溝を有するL字型のプラスチック製のパネル26を埋設したテストピース21Fは、いずれもひび割れ荷重(平均値)は、15.3kN〜17.8kNであり、コンクリートブロックのひび割れ荷重は、それほど差はなかった。
Aタイプの補強部材を有しないテストピース21A、Bタイプの鉄筋22を埋設したテストピース21B、Cタイプの平板状のFRPパネル23を埋設したテストピース21C、DタイプのL字型のプラスチック製のパネル24を埋設したテストピース21D、Eタイプの水平部が短いL字型のプラスチック製のパネル25を埋設したテストピース21E、Fタイプの凹溝を有するL字型のプラスチック製のパネル26を埋設したテストピース21Fは、いずれもひび割れ荷重(平均値)は、15.3kN〜17.8kNであり、コンクリートブロックのひび割れ荷重は、それほど差はなかった。
しかし、補強部材(鉄筋22,パネル23〜26)の最大荷重(平均値)は、BおよびCタイプでは3〜5kNであるのに対して、DおよびEタイプ(本発明の第1の補強部11aを有するものに相当)では10〜20kNであり、最大荷重が上昇することが判明した。また、Fタイプ(本発明の凹溝11cを有するものに相当)の最大荷重は約30kNとなり、さらに最大荷重が上昇することが判明した。
以上の試験結果より、コンクリートブロックに埋設される軽量パネルにL字型の補強部や凹溝等を形成することにより、コンクリートブロックと軽量パネルとの付着力を増大させることができ、残存型枠の耐圧強度に匹敵する強度を得ることができる。
以上の試験結果より、コンクリートブロックに埋設される軽量パネルにL字型の補強部や凹溝等を形成することにより、コンクリートブロックと軽量パネルとの付着力を増大させることができ、残存型枠の耐圧強度に匹敵する強度を得ることができる。
1 型枠パネル
2 外側フレーム
3 内側パネル
11 埋め込み部
11a 第一の補強部
11b 第二の補強部
11c 凹溝
13 連結部材
19 残存型枠
20 貫通孔
2 外側フレーム
3 内側パネル
11 埋め込み部
11a 第一の補強部
11b 第二の補強部
11c 凹溝
13 連結部材
19 残存型枠
20 貫通孔
Claims (6)
- コンクリート打設後の施工現場にそのまま残される複数の型枠パネルを備えた残存型枠であって、
前記型枠パネルは、格子状に形成されている外側フレームと、
前記外側フレームを構成する材料よりも軽量の材料からなるとともに、外周部に前記外側フレームに埋設されている埋め込み部を有する内側パネルと、を備え、
前記内側パネルの前記埋め込み部は、前記外側フレームの表裏方向に延びる補強部を有していることを特徴とする残存型枠。 - 前記埋め込み部は、前記補強部から前記表裏方向に対して垂直方向に延びる第二の補強部をさらに有する請求項1に記載の残存型枠。
- 前記埋め込み部が、その外縁に形成された複数の凹溝を有する請求項1または2に記載の残存型枠。
- 前記埋め込み部が、その厚さ方向に貫通された複数の貫通孔を有する請求項1〜3に記載の残存型枠。
- 前記型枠パネルが、前記外側フレームに複数の内側パネルを埋設可能であるとともに、隣接する内側パネルを連結する連結部材をさらに備えている請求項1〜4に記載の残存型枠。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の残存型枠の構成部材として使用される型枠パネル。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009031943A JP2010168877A (ja) | 2009-01-20 | 2009-01-20 | 残存型枠、およびこれに用いる型枠パネル |
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ID=42701266
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014211068A (ja) * | 2013-04-22 | 2014-11-13 | 藤村ヒューム管株式会社 | 連結治具及びこの連結治具で連結された連結壁並びに連結治具を用いた鋼矢板の補修工法 |
JP2017014861A (ja) * | 2015-07-06 | 2017-01-19 | 海洋土木株式会社 | 残存型枠施工用治具及びその治具を用いた残存型枠施工方法 |
JP2020105750A (ja) * | 2018-12-26 | 2020-07-09 | ハイアス・アンド・カンパニー株式会社 | 型枠パネル及び型枠 |
JP6960704B1 (ja) * | 2021-05-30 | 2021-11-05 | 株式会社ライズ | コンクリート擁壁に使用する枠体、その枠体を備える残存型枠及び施工方法 |
-
2009
- 2009-01-20 JP JP2009031943A patent/JP2010168877A/ja active Pending
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