JP6078767B2 - コンクリート製残存型枠の構造 - Google Patents

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Description

本発明はコンクリートや気泡混合軽量盛土の壁面構築用のコンクリート製残存型枠の構造に関するものである。
コンクリートや気泡混合軽量盛土の壁面を構築する方法は、一般的には現場で型枠を組立てその内側にコンクリートを打設して擁壁などの壁面を構築し、型枠を解体撤去する方法で行われている。またコンクリート、FRPや鋼板などを型枠として現場で組み立てその内側にコンクリートや気泡混合軽量盛土を打設して、型枠を残したまま壁面を構築する残存型枠の方法がある。本発明は後者に関する発明である。
プレキャストコンクリートのパネルやブロックを残存型枠として使用する工法は数多くある。例えば図11に示すように平板形状の残存型枠を段積して、背後にあるアンカーや抵抗部材や支柱などの鋼材を用いて、気泡混合軽量盛土の打設時の側圧に対して抵抗する構造の残存型枠がある(特許文献1参照)。
また、図12に示すように、壁面部と支持部よりなる残存型枠を用いて、支持部に設けた挿通孔にボルトを通して、上段の残存型枠が気泡混合軽量盛土等の打設時の側圧に対して転倒しない構造の壁面パネルがある(特許文献2参照)。
特許第3749424号 特許第4809399号
前記した従来の残存型枠にあっては次のような課題や難点がある。
・ 前記従来の残存型枠においては、現場で残存型枠を組み立てる作業能率に課題がある。前記平板上の残存型枠の場合、面を揃えて背面から支柱で位置や傾斜角を決める作業は手間と時間が掛る作業である。前記壁面部と支持部よりなる残存型枠型枠においては、挿通孔にボルトを通す手間と、ボルトの下端が見えないためにボルトが確実に締め付けられているのか確認が難しい点がある。また、コンクリート二次製品に比較的長い挿通孔を製作することは手間と費用が掛かる。
・ また前記従来の残存型枠の構造は、それぞれの特徴を生かした利点がある。しかし、残存型枠と背面の地山との間隔が狭い場合(例えば、コンクリート張工、もたれ擁壁や気泡混合軽量盛土の最下段などの場合)には問題が生じる。
前記平板形状の残存型枠型枠の場合、背面に支柱や抵抗部材を設置するスペースがない。また、前記従来の残存型枠を積重ねて固定するためには、背面に作業員が立ち入る必要がある。狭い空間では、残存型枠を確実に固定する作業が出来ない。あるいは非常に窮屈な作業姿勢(例えば、パネル下方の取付けや締め付け作業は、頭を下にした逆さ状態で作業する必要がある)を余儀なくされる。前記壁面部と支持部を有する残存型枠においては、図12に表すA部に位置するボルト等を締め付けることは困難である。
・ 残存型枠の長期的耐久性を考えたとき、前記従来の残存型枠はコンクリートや気泡混合軽量盛土の壁面の表面を覆うパネルであって、長期的には、タイルのように壁面から剥がれる恐れがある。
上記のような課題を解決するために、本発明のコンクリート製残存型枠は以下のような構造である。
コンクリート製パネルの型枠部表面を揃えて積重ねることにより構成した積重ね壁体と、この積重ね壁体の外部に在って、この積重ね壁体を上下方向に拘束する引張材を備えた構造である。
パネルは、型枠部とこの型枠部の背面からこの型枠部と直角方法に突出した、この型枠部と同一又は略同一の高さの一体成型された控え壁部を有している。
型枠部又は前記控え壁部の少なくとも一方は、この積重ね壁体の上段の前記パネルが下段の前記パネルより前方に滑動しないためのずれ止め手段を有している。
控え壁部はこの控え壁部の後方上部に前記引張材を固定する引張材固定手段を有している。
また、引張材にネジを切った鋼棒を採用して、この引張材を通す孔又は切欠きのある仮設鋼材に、引張材をナットで固定する手段を有するコンクリート製残存型枠の構造とすることも出来る。
本発明のコンクリート製残存型枠の構造は以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
・ 本発明の残存型枠の構造のパネルは、型枠部と型枠部背面直角方向に突出した控え壁部とで、いわば三点支持となって自立し積重ねることができる。そのため容易に速く型枠面を揃えた壁面を構築することが出来る。また、パネルを拘束する引張材は、パネルの外側に配置するため、引張材の取り付けが容易であり、取付け状態を目視で確認することができる。
・ 本発明の残存型枠の構造は、前面からパネルを積重ね、容易に前方あるいは上方から手の届く、控え壁部の後方上部に引張材固定手段が配置されている。残存型枠と地山との間隔が狭い場合にあっては、パネルの背面に立ち入ることなく、積重ね壁体を構築することができる。
・ 本発明の残存型枠の構造のパネルは、型枠部背面直角方向に突出した控え壁部がコンクリートや気泡混合軽量盛土の中にしっかりと埋没して固定される。長期的耐性があるコンクリート製であるため、パネルがコンクリートや気泡混合軽量盛土から剥がれることはない。また残置される引張材は、コンクリートや気泡混合軽量盛土の弱点となる打継面に、打継鉄筋としての効果が期待出来るため、擁壁構造全体の弱点を補う効果がある。
・ 引張材にネジを切った鋼棒を採用した場合には、積重ね壁体の上下方向に一時的に圧縮力を加えることが可能である。その結果、より安定性の強い積重ね壁体を構成することが可能であり、従来の残存型枠より一度により多くのパネルを積重ねることが可能となり、施工が速くなる。
本発明を構成するコンクリート製パネルを背面から見た斜視図。 本発明のパネルを積重ねて構成した積重ね壁体を背面から見た説明図。 本発明の積重ね壁体を横から見た説明図。 本発明の積重ね壁体を横から見た形状変化の想定説明図。 パネルを持上げる力を説明する図。 本願第一の発明の実施例1を説明する側方から見た説明図である。 本願第二の発明の実施例2を説明する背面斜視図である。 本願第三の発明の実施例3を説明する背面斜視図である。 コンクリートの壁面を構築する施工手順を説明する図。 引張材固定手段の説明図。 従来の残存型枠の工法1の説明図。 従来の残存型枠の工法2の説明図。
以下図面を参照にしながら本発明のコンクリート製残存型枠の構造の好適な実施の形態を詳細に説明する。尚、本発明は各種のコンクリート製躯体、例えばダム、砂防堰堤、重力式擁壁、もたれ擁壁、コンクリート張工、護岸、地下構造物の外壁やブロック積のコンクリートブロックに換えて所定の厚みを有したコンクリート壁等を構築することなどに適用できる。また、気泡混合軽量盛土や発泡ウレタンなどの残存型枠として適用できる。
図1は本発明を構成するコンクリート製パネルを背面から見た斜視図である。
パネル2の型枠部2aは、背面に打設するコンクリートや気泡混合軽量盛土を止めるせき板(型枠)の役割をするため平板形状がよい。
型枠部2aの表面である型枠部表面2b(図1では陰になって見えない)は、完成後に人の目に触れる残存型枠の表面であり、平滑面や凹凸のある化粧面であってもよい。
控え壁部2cは、型枠部2aと一体成型で造られるコンクリート製であって、鉄筋等を用いて型枠部と控え壁部とを強固に一体化させるとより良い。
控え壁部は型枠部背面から直角方向に突き出した略平板形状であって、控え壁部には開口部2dがあったり、壁厚に変化があった方がコンクリートや気泡混合軽量盛土としっかりと付着固定してよい。控え壁部の開口部にコンクリートや鉄筋を挿入して、裏込めコンクリートとの一体性の強化や、打設したコンクリート内に配置する横方向鉄筋を貫通させることも出来る。
本発明のパネルを、型枠部表面を揃えて積重ねたとき、上下のパネルが型枠部と控え壁部とで、一辺(型枠部)とその辺の外部の一点(控え壁部の一部)で接した三点支持状態となって、常に安定することが出来る。次々とパネルを積重ねるために控え壁部の高さは控え壁部の全体または一部分を型枠部と同じ高さとすることがよい。あるいは、積重ね壁体が前方に傾斜しないように、わずかに控え壁部を型枠部より低く成型することでもよい。
ずれ止め手段5は、上段に置かれたパネルがコンクリートや気泡混合軽量盛土の打設圧に押し出されて、下段に置かれたパネルより前方に滑動しないための装置であり、図1では型枠部に凹凸を設けたずれ止め手段である。図7や8に示すように鋼板を用いてもよいし、別な形式のずれ止め手段であってもよい。また、ずれ止め手段は控え壁部にあってもよい。
図1に表されるパネル2は、控え壁部の後方上部に引張材固定手段6の一部であるインサート6aが埋め込まれている。
図2は本発明のパネルをパネルの型枠部表面を揃えて積重ねた積重ね壁体3を背面から見た説明図である。尚、型枠部表面を揃えてとは必ずしも積重ねられて壁体の表面が垂直な平面とは限らず、パネルを後方に傾けて設置した傾斜のある積重ね壁体を構築することでもあってもよい。また、横方向の隣り合うパネルとは型枠部表面が折れ曲がった配置であってもよい。
図2では、最下段のパネル3dは基礎コンクリートの中に一部分を埋め込まれて、基礎コンクリートに固定されている。最下段のパネルを基礎に固定する方法は別な手段であってもよい。
図2の引張材4はボルト穴を開けた帯状の鉄板を採用している。帯状の鉄板をボルト6bでパネルの控え壁部2cの後方上部外面に設けられた引張材固定手段のインサート6aに固定している。
引張材4は積重ね壁体3の外部に在って、下端を最下段のパネル3dに上方を最上段のパネル3cに引張材固定手段6で固定されている。このため、引張材はこの積重ね壁体3を上下方向に拘束している。ここで上下方向とは必ずしも重力の方向ではなく、パネルを積重ねる方向を言う。パネルを傾けて傾斜壁を構築する場合には、傾斜した方向であっても上下方向と称する。
引張材は鋼棒、鋼板、形鋼あるいは炭素繊維などでよい。引張材固定手段は引張材を控え壁部に固定する装置であり、引張材に合った固定手段を採用することが出来る。また、引張材と引張材固定手段との位置関係で引張材固定手段の構造を選定するとよい。図1と2ではボルト穴を設けた鉄板の引張材を固定するために、ボルト6bと埋め込まれたインサート6aを引張材固定手段としている。図10(A)図で示す引張材固定手段は、控え壁部に埋め込まれたインサート6aにプレート6dとボルト6bを用いて鋼棒の引張材を控え壁部の上部後方に固定する手段である。また(B)図は控え壁部に埋め込まれた鉄板6eに鋼棒の引張材4を溶接6cすることで、引張材4を控え壁部2cに固定している。(C)図は引張材4を通す孔又は切欠きを設けた引張材固定用鋼材6gを介して、引張材(ネジを切った鋼棒4a)を控え壁部2cに固定する引張材固定手段6を表している。
引張材固定手段は別な方法であってもよい。
図3は本発明のコンクリート製パネルの型枠部表面2bを揃えて積重ねた積重ね壁体3を横から見た説明図である。
本発明のパネル2を、型枠部表面2bを揃えて上下に三段積重ねた積重ね壁体3であり、型枠部2aに設けられた凹凸のずれ止め手段5が機能し、引張部材4が控え壁部2cの後方上部にある引張部材固定手段6で固定された状態を表している。
ここで、積重ね壁体背面にコンクリート等を打設すると、背面からの水平方向の力20によって、積重ね壁体3を前方に転倒させる、型枠部2a前面下部を軸とした回転力が作用する。この時、パネルの型枠部2aと控え壁部2cの前方が圧縮部として働き、引張材が引張部として働いて積重ね壁体3の転倒を防ぐことが出来る構造である。言わば力学的に鉄筋が露出した鉄筋コンクリート構造を構成している特徴がある。そのため、引張材は控え壁部の極力後方に配置されることが、てこの原理で作用する引張力が小さくなって有利である。よって、引張材固定手段は、控え壁部の中央より後方にあるのが良い。さらに、後述する仮設鋼材等を用いた場合には控え壁部より離れた後方に在ってもよい。
また、引張材固定手段は控え壁部の上部にあると、引張材を控え壁部に固定する作業が容易となる。ここで上部とは、作業員の手が上から届く範囲で、概ね上から40cm程度までを言う。特に積重ね壁体と地山との間隔が狭い場合には、引張材を控え壁部に固定する作業を作業員が前方または上方にいて作業が出来るように、引張材固定手段は控え壁部の上方に配置することがよい。
コンクリートは引張力に対して極めて抵抗力が小さい。前述したように積重ね壁体に水平方向の力が作用すると、型枠部内部には圧縮応力が作用し、控え壁部の後部には引張応力が作用するが、引張材がその引張力を受け持つ。それ故に引張材固定手段は控え壁部内部に引張応力が作用しないように、控え壁後方の極力上部に設けることがよい。
図10(C)で表す引張材固定手段や、本願第二、第三の発明では、ネジを切った鋼棒の引張材を引張材固定用鋼材6gや仮設鋼材7を介してナット6fで控え壁部2cに固定する方法を引張材固定手段としている。この手段はナット強く締め付けることによって、引張材には引張力を与え、控え壁部のコンクリートには圧縮力を与えることができる。
つまり、水平方向の力が作用する施工時において、橋梁構造に採用されているアウトプレート工法やアウトケーブル工法の理論で、積重ね壁体の安定を確保することが出来る引張材固定手段である。
引張材が積重ね壁体3の外部にあり、引張材固定手段が控え壁部の外面や外部にあることは、引張材を控え壁部に取付ける作業を外方から行うので、当然引張材を固定する作業が容易かつ確実、目視で確認できる、作業効率が上がるなどの利点がある。
図4は本発明の積重ね壁体3に、コンクリートや気泡混合軽量盛土の打設圧である水平方向の力20を加えた状態の形状変化を想定した説明図である。図4の実線は本発明の積重ね壁体の側面外形図であり、図の点線はコンクリートや気泡混合軽量盛土の打設時の側圧(水平方向の力)が作用した時に、積重ね壁体の形が変化する想定線である。パネル、ずれ止め手段、引張材固定手段や引張材の強度は、それぞれ上記水平方向の力が作用した時に所定の強度を有するものとする。
(A)図は、水平方向の力によって基礎上部の(図のa部分)でパネルが水平方向に滑動する力が作用するが、最下段のパネルは基礎コンクリートに埋設固定されているので、滑動することはない。
(B)図は、水平方向の力によって上下のパネル間(図のb部分)においてパネルが水平方向に滑動する力が作用するが、ずれ止め手段が機能するので、滑動することはない。
(C)図は、水平方向の力によってパネル(図のc部分)が斜めに歪む力が作用するが、パネルはコンクリート製であって、通常の荷重であればこのように歪むことはない。
(D)図は、水平方向の力によって全体のパネル(積重ね壁体)を転倒させる力が作用するが、図のd部分が基礎コンクリートに固定されているので、転倒することはない。また、引張材が力によってわずかに伸びて、積重ね壁体が前方に若干傾くことが想定されるが、その傾き量を予め想定して積重ね壁体を背面方向に傾けておくことで解決できる。
(E)図は、水平方向の力によって上下のパネル間(図のe部分)においてパネルを転倒させる力が作用するが、控え壁後部に引張部材が固定されているので、パネル間部分において転倒することはない。また、引張材の少しの伸びに対しては前記(D)図での説明と同じことが言えて、問題はない。
(F)図は、水平方向の力によってパネル間(図のf部分)が開く力が作用する場合がある。以下で簡単にそれが問題のないことを説明する。
図5の(A),(B),(C)図を参照にして、積重ねた壁体の単位延長当たりでパネルを持上げる力を説明する。
ずれ止め手段が図5で表すように、角度θをなす凹凸の場合に注意を要する。
水平方向の力Fは、凹凸面に直角方向分力のF1と面と平行方向分力のF2に分解される。 このとき、F2=F×cosθ である。
F2はさらに、水平方向分力F3と垂直方向分力F4とに分解される。
このとき、F4=F2×sinθである。
この垂直方向分力F4がパネルを持上げて、積重ね壁体を図4の図(F)の形状で破壊させる力となる。しかし、図5の(C)図に表すように、パネルの控え壁部の後端をモーメントの回転軸として、パネル重量Gによる回転モーメントがF4の回転モーメントより大きければ、パネルが持上げられることはない。つまり、GとFが下記の式を満足すればよい。
G×b > F4×a
G > F×cosθ×sinθ ×a/b
ここに、aはずれ止め手段の凹凸面から控え壁部の後端までの水平距離。
bはパネルの重心線から控え壁部後端までの水平距離である。
尚、GとFが上記式を満足しない場合には、パネル型枠部の浮き上がりを防止する措置を施せばよい(型枠部の上下方向を拘束する金具等を取付ける等の措置、あるいは本願第三の発明である引張材と引張材固定手段を用いてパネルに圧縮力を加える措置)。
また、ずれ止め手段5が図7や8で表すように、水平方向の力に対して直角方向の面(θ=90°)を持つずれ止め手段であれば、パネルを持上げる力は発生しない。
以上説明したように、それぞれの部材や手段がコンクリートや気泡混合軽量盛土の打設時の側圧(水平方向の力)に耐えうる強度を有していれば、壁面構築は安全に可能である。尚、積重ね壁体がコンクリートや気泡混合軽量盛土の打設時の側圧に耐えた後は、コンクリートや気泡混合軽量盛土は硬化するため、パネルは硬化したコンクリートや気泡混合軽量盛土と一体となり、有害な荷重は作用しない。
図6は本発明のコンクリート製残存型枠の構造の実施例1を説明する側方から見た説明図である。
図6で表す本発明のコンクリート製残存型枠は以下の様である。
コンクリート製パネル2の型枠部表面2bを揃えて積重ねることにより構成した積重ね壁体3と、この積重ね壁体3の外部に在って、この積重ね壁体を上下方向に拘束する引張材4を備えている。このパネル2は、型枠部2aとこの型枠部2aの背面からこの型枠部2aと直角方法に突出した、この型枠部2aと同一又は略同一の高さの一体成型された控え壁部2cを有している。この型枠部2a又はこの控え壁部2cの少なくとも一方は、この積重ね壁体の上段の前記パネル3aが下段の前記パネル3bより前方に滑動しないためのずれ止め手段5を有している。この控え壁部2cはこの控え壁部の後方上部に引張材4を固定する引張材固定手段6を有している。本発明は以上のことを特徴とするコンクリート製残存型枠の構造である。
図6の実施例1の場合の引張材固定手段6とは控え壁部2c後方上部に埋め込まれたインサートとそこに引張材4を止めるボルトである。
図6で表す積重ね壁体3は、もたれ擁壁やコンクリートブロック積に模した擁壁を構築するコンクリート製残存型枠の施工時の状況を表現した図である。以下にこの施工方法に関して説明する。
下段のパネル3bは既に打設されて硬化したコンクリートに埋設されて固定された状態である。引張材4を上方に長く伸ばした状態で、上段のパネル3aを、型枠部表面2bを揃えてクレーンや人力で積重ねて積重ね壁体3構築する。このとき、地山13と積重ね壁体3の間の狭い空間15に作業員が身を入れることなく、安全に容易に積重ね壁体3の上方から引張材4を引張材固定手段6でパネルの控え壁部2cに固定することができる。その時、必要に応じて束ジャッキ14等を用いて上段のパネルの傾斜角度を調整することができる。
その後、積重ね壁体と地山との間の空間15にコンクリートを打設する。コンクリートが硬化することで、上段のパネル3aは控え壁部2cがしっかりとコンクリートに埋没し固定される。コンクリートに固定された上段のパネル3aを下段のパネルとして、その上にパネルを積重ねて、上記同様の作業を繰り返すことで、もたれ擁壁やブロック積擁壁をさらに上方に構築することが出来る施工方法である。
図7本願第二の発明のコンクリート製残存型枠の構造の実施例2を説明する背面斜視図である。
本願第一の発明のコンクリート製残存型枠1の構造における前記引張材4がネジを切った鋼棒4aである。また、前記引張材固定手段6が、この引張材4aを通す孔又は切欠きのある仮設鋼材7を、この孔又は切欠きが前記控え壁部2cの後方上部に位置するように前記控え壁部2cに固定して、
この引張材4aをナット6fでこの仮設鋼材7に固定する引張材固定手段であることを特徴とするコンクリート製残存型枠の構造である。
ここでこの仮設鋼材7を用いる場合は、引張材4はネジを切った鋼棒4aである。引張材固定手段6は、引張材4を仮設鋼材7に固定する引張材固定用ナット6f及び附属のワッシャーや座金等と仮設鋼材7に設けられた引張材4を通す孔又は切欠きである。仮設鋼材7を控え壁部に固定するボルト6b、そのボルト6bをはめ込む控え壁部2cに埋め込まれたインサート6aなどは、仮設鋼材の形状と寸法次第であって、控え壁部のどこにあってもよい。
仮設鋼材7には引張材4の鋼棒を通す孔が開いている。あるいは引張材を横からはめ込むように切欠きが設けられている。
仮設鋼材7は控え壁部2cの上面に置かれて控え壁部2cにボルト6bで固定されている。この場合の力学的に重要な点は、仮設鋼材7と引張材4が固定される位置であって、仮設鋼材7と引張材4が固定される引張材固定手段6が控え壁部2cの後方上部外面に固定されていることである。仮設鋼材は控え壁部の側面上部に在ってもよい。しかし、控え壁部の上面に在る方が、仮設鋼材を置いてボルト6bで固定するという作業が安全で早くて確実に仮設鋼材を控え壁部に固定することができる。
積重ね壁体の背面にコンクリートや気泡混合軽量盛土が打設されて硬化した後、水平方向の力はなくなる。コンクリートあるいは気泡混合軽量盛土の中にパネルの控え壁部が埋まることによって、パネルはしっかりとコンクリ―トや気泡混合軽量盛土の中に固定され、仮設鋼材を撤去しても、積重ね壁体は固定された安定状態である。
仮設鋼材は転用が可能であるため、引張材固定手段のコストダウンとなる。
図8は本願第三の発明のコンクリート製残存型枠の構造の実施例3を説明する背面斜視図である。(A)図は仮設鋼材7をパネルの控え壁部2cの後方上部上面に、(B)図は仮設鋼材7をパネルの控え壁部2cの後方上部背面に配置した構造を表している。
本願第三の発明のコンクリート製残存型枠の構造は本願第一と二の発明のコンクリート製残存型枠の構造に加えて、仮設鋼材7が隣り合うパネル2の控え壁部2cの間隔を保持するように、隣り合うパネルの前記控え壁部の後方上部にそれぞれ((A)図ではボルト6bによって)固定されている仮設鋼材であることを特徴するコンクリート製残存型枠の構造である。
前述までは、積重ね壁体3がコンクリートや気泡混合軽量盛土の打設時の側圧(水平方向の力)に対して、転倒や滑動せず安定であることを説明した。本願第三の発明は、打設時の側圧が不均衡に発生した場合に、積上げた壁体は左右の方向でねじれる回転力が作用する。本願第三の発明のコンクリート製残存型枠の構造は、仮設鋼材7が積重ねた壁体3の転倒や滑動を防ぐことに加えて、隣合う控え壁部2cの間隔を保持することで、その横方向の回転力に抵抗することが出来る構造である。
また、引張材固定手段6の引張材固定用ナット6fをより強く締め付けることで、積重ね壁体3の上下のパネルを上下方向に拘束することに加えて、上下方向に圧縮力を加えることが可能な構造である。この手段によって、積重ね壁体の転倒に対する強度が増し、かつ多数のパネルを一度に積重ねることが出来るようになる。また中間に積重ねられたパネルは上下方向に圧縮力が作用しているため、引張材固定手段で固定する必要がなくなる。
図9は、図8の(A)図に表されたパネルと引張材固定手段を使って、本発明のコンクリート製残存型枠の構造を用いてコンクリートまたは気泡混合軽量盛土の壁面を構築する施工手順を説明する図である。図は、パネルを二段ずつ積重ねて、その積重ね壁体の背面にコンクリートを打設することを2回繰り返した後、さらにパネルを二段を積重ねて積重ね壁体3を構築した状態を側面から見た説明図である。
ここで、図のA部とB部には引張材固定手段が在ったが、コンクリート打設後に転用して現在はC部に引張材固定手段が在る状態である。
基礎12に最下段となるパネル2−1を固定し、引張材4の下端を基礎12に固定する第一の工程。
第一の工程で固定した最下段のパネル2−1の上に、上段となるパネル2−2の型枠部表面2bを揃えて、ずれ止め手段5を機能させて、積重ね壁体3を構築する第二の工程。
この積重ね壁体3の最上段のパネル2−2の控え壁部2c後方上部の引張材固定手段(この時点でA部に仮設鋼材7が在った)に、積重ね壁体3を上下方向に拘束する引張材4の上方を固定する第三の工程。具体的には、まず仮設鋼材7を控え壁部2cにボルト6bで固定する。次に仮設鋼材7の孔に引張材4(ネジを切った鋼棒4a)を通し引張材固定ナット6fで締め引張材を仮設鋼材に固定する工程である。
第一、二と三の工程を経た積重ね壁体3の背面に、積重ね壁体のその時点での最上段のパネル2−2が埋まる高さまで、コンクリート10−1を打設する第四の工程。
打設したコンクリート10−1が硬化することによって、最上段の前記パネル2−2がコンクリート10−1の中に埋まって固定される第五の工程。
最上段の前記パネル2−2はコンクリート10−1の中で固定されて、前記の第一の工程の最下段のパネルと同様の状態となる。
引張材4の上方が短い場合には、引張材を長ナット4bを使って継ぎ足して延長することが出来る。
引張材4はコンクリート10−1に固定された部分が引張材の下端となって、前記の第一の工程の引張材と同様の状態となる。
この積重ね壁体とこの引張材の状態を前記第一の工程として、前記の第二、三、四と五の工程を繰り返して、積重ね壁体を次々と上方に積重ねて、コンクリート擁壁などの壁面にコンクリート製残存型枠を構築する施工方法である。
尚、上記文中のコンクリートに替えて気泡混合軽量盛土を用いても、同様の施工方法で気泡混合軽量盛土の外壁を構築することができる。
1:コンクリート製残存型枠
2:パネル
2a:型枠部
2b:型枠部表面
2c:控え壁部
2d:控え壁部の開口部
3:積重ね壁体
3a:上段のパネル
3b:下段のパネル
3c:最上段のパネル
3d:最下段のパネル
4:引張材
4a:ネジを切った鋼棒
4b:長ナット
5:ずれ止め手段
6:引張材固定手段
6a:インサート
6b:ボルト
6c:溶接
6d:プレート
6e:埋め込まれた鉄板
6f:引張材固定用ナット
6g:引張材固定用鋼材
7:仮設鋼材
7a:孔又は切欠き
10:コンクリート
10a:コンクリート打設打継面
11:気泡混合軽量盛土
12:基礎コンクリート
13:地山
14:束ジャッキ
15:積重ね壁体と地山との間の空間
20:水平方向の力






Claims (2)

  1. コンクリート製パネルの型枠部表面を揃えて積重ねることにより構成した積重ね壁体と、
    この積重ね壁体の外部に在って、この積重ね壁体を上下方向に拘束する引張材を備え、
    前記パネルは、型枠部とこの型枠部の背面からこの型枠部と直角方法に突出した、この型枠部と同一又は略同一の高さの一体成型された控え壁部を有し、
    前記型枠部又は前記控え壁部の少なくとも一方は、この積重ね壁体の上段の前記パネルが下段の前記パネルより前方に滑動しないためのずれ止め手段を有し、
    前記控え壁部はこの控え壁部の後方上部に前記引張材を固定する引張材固定手段を有し、
    前記引張材がネジを切った鋼棒であって、
    前記張材固定手段が、
    この引張材を通す孔又は切欠きのある仮設鋼材を、この孔又は切欠きが前記控え壁部の後方上部に位置するように前記控え壁部に固定して、
    この引張材をナットでこの仮設鋼材に固定する手段であり、
    前記仮設鋼材が隣り合う前記パネルの前記控え壁部の間隔を保持するように、
    隣り合う前記パネルの前記控え壁部の後方上部にそれぞれ固定されている仮設鋼材であることを特徴とするコンクリート製残存型枠の構造。
  2. コンクリート製パネルの型枠部表面を揃えて積重ねることにより構成した積重ね壁体と、
    この積重ね壁体の外部に在って、この積重ね壁体を上下方向に拘束する引張材を備え、
    前記パネルは、型枠部とこの型枠部の背面からこの型枠部と直角方法に突出した、この型枠部と同一又は略同一の高さの一体成型された控え壁部を有し、
    前記型枠部又は前記控え壁部の少なくとも一方は、この積重ね壁体の上段の前記パネルが下段の前記パネルより前方に滑動しないためのずれ止め手段を有し、
    前記控え壁部はこの控え壁部の後方上部に前記引張材を固定する引張材固定手段を有し、
    前記引張材がネジを切った鋼棒であって、
    前記引張材固定手段が、
    この引張材を通す孔又は切欠きを有した仮設鋼材を、前記控え壁部の後方上部上面に位置するように前記控え壁部に固定して、この引張材のネジをナットで締めて該仮設鋼材に固定し、かつ前記積重ね壁体の上下のパネルを上下方向に圧縮力を加える手段であることを特徴とするコンクリート製残存型枠の構造。
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