JP2010148708A - 薄型吸収性物品 - Google Patents

Abstract

【課題】比較的薄型の吸収性物品であって、体にフィットしつつ、ヨレにくく、かつ吸収性に優れた吸収性物品を提供する。
【解決手段】少なくとも液透過性シート、液不透過性シート、及び該液透過性シートと該液不透過性シートとの間に挟まれた吸収体を有する吸収性物品であって、
該吸収性物品の肌当接面側には、該液透過性シートと該吸収体とを一体化するために、少なくとも吸収体中央領域の長手方向の両側縁部に圧搾条溝が配置され、かつ複数の点状圧搾部が間隔を空けて配置されている、前記吸収性物品。
【選択図】図１

Description

本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等に使用される吸収性物品であって、比較的薄型で、長時間の使用でもヨレず、かつ吸収性に優れた吸収性物品に関する。

生理用ナプキンでは、一般的に、所望の変形を制御したり、部分的に硬化させることによりヨレの発生を防ぐために、圧搾条溝が設けられている（特許文献１）。

一方、生理用ナプキンにおいては、薄型のタイプが嗜好されている。薄型ナプキンにおいても防漏溝を配置しているものがある（特許文献２）。防漏溝を配置することにより、体へのフィット性は向上するものの、使用材料のトータル目付けや物量が低い薄型ナプキンでは、製品剛性が低くなるために長時間使用ではヨレ（横からの力を受けた時の吸収性物品の変形）が生じて、結果的に経血が漏れるという問題があった。

このような問題を解決するために、吸収性繊維と高吸収性ポリマーとを接合した吸収体が一般的に使われている。このような吸収体を用いると、ウェット状態でも物性が大きく変化しない利点があるが、コストは高くなる（特許文献３）。一方、パルプシートを解繊して積層させた粉砕パルプを薄型の吸収体に加工した場合、安価ではあるが、バインダー等で吸収体内部又は吸収体表面が接合されていないため、ウェット状態になったり、圧力が加わると、ヨレやすい。

特開平９−１０８２６２号公報 特開２００２−６５７４１号公報 特開２００３−２９１２３４号公報

そこで、本発明は、比較的薄型の吸収性物品であって、体にフィットしつつ、ヨレにくく、かつ吸収性に優れた吸収性物品を提供することを目的とする。

本発明者らは、かかる実情に鑑み鋭意検討を行った結果、吸収性物品の肌当接面側に、少なくとも吸収体中央領域長手方向の両側縁部に、該液透過性シートと該吸収体とを一体化するための圧搾条溝を配置し、かつ該液透過性シートと該吸収体とを一体化するための複数の点状圧搾部を間隔を空けて配置することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。

すなわち、（１）本発明は、少なくとも液透過性シート、液不透過性シート、及び該液透過性シートと該液不透過性シートとの間に挟まれた吸収体を有する吸収性物品であって、
該吸収性物品の肌当接面側には、該液透過性シートと該吸収体とを一体化するために、少なくとも吸収体中央領域の長手方向の両側縁部に圧搾条溝が配置され、かつ複数の点状圧搾部が間隔を空けて配置されている、前記吸収性物品を提供する。
（２）本発明は、前記点状圧搾部が、少なくとも、吸収体中央領域よりも長手方向前方又は後方に設けられている、（１）に記載の吸収性物品を提供する。
（３）本発明は、前記点状圧搾部が、少なくとも、吸収性物品の包装折位置をまたぐ領域に設けられている、（１）又は（２）に記載の吸収性物品を提供する。
（４）本発明は、前記吸収体が、粉砕パルプを含む吸収体を更に台紙で包んで成るものである、（１）〜（３）のいずれか１に記載の吸収性物品を提供する。
（５）本発明は、前記吸収体の厚みが８ｍｍ以下であり、かつ点状圧搾部配置領域の吸収体の厚みが該点状圧搾部非配置領域の吸収体の厚みの５０％以下である、（１）〜（４）のいずれか１に記載の吸収性物品を提供する。
（６）本発明は、前記圧搾条溝が低圧搾部と高圧搾部とからなり、かつ前記点状圧搾部の深さが該低圧搾部の深さよりも深い、（１）〜（５）のいずれか１に記載の吸収性物品を提供する。
（７）本発明は、前記点状圧搾部の上面開口の幅が、前記圧搾条溝の上面開口の最大幅よりも小さい、（１）〜（６）のいずれか１に記載の吸収性物品を提供する。
（８）本発明は、前記吸収体が、吸収体中央領域において該中央領域以外の領域よりも高目付けを有し、かつ点状圧搾部間の間隔が吸収体中央付近において該中央付近の前後の領域よりも広くなるように点状圧搾部が配置されている、（１）〜（７）のいずれか１に記載の吸収性物品を提供する。

本発明の吸収性物品は、比較的薄型であっても、体にフィットしつつ、ヨレにくく、かつ液状***物を効率良く吸収することができる。

本発明を、以下、図面を用いて説明するが、本発明は図面に示されたものに限定されるものではない。
図１は本発明の代表的な吸収性物品の実施態様の平面図である。

図１に示すように、本発明の吸収性物品１は、少なくとも、液透過性シート２、液不透過性シート３、及び液透過性シートと液不透過性シートとの間に挟まれた吸収体４から構成されている。

本発明の吸収性物品の肌当接面側には、少なくとも吸収体中央領域５の長手方向の両側縁部に、液透過性シートと吸収体とを一体化するための圧搾条溝６が配置される。圧搾条溝は、液透過性シートと吸収体とを一体化するためだけでなく、経血、尿等の体からの液状***物の横への広がりを堰き止め、液状***物を吸収体下方に効率良く移行させる役割も果たす。圧搾条溝は、図１に示すように、必ずしも連続して配置されている必要はないが、吸収体中央領域を囲むように略閉鎖形となるように配置されることが好ましい。吸収体中央領域は、***物のほとんどが吸収される領域であり、仮に吸収層中央領域において***物が幅方向に拡散しても、***物の流れを圧搾条溝に沿って吸収層中央領域に誘導し、***物の漏れを抑えることができる。圧搾条溝は、吸収体の厚みに対して５０％以上が圧搾された高圧搾部と、２０％以上が圧搾された低圧搾部とからなることが好ましい。高圧搾部と低圧搾部とを設けることにより、吸収体との接合力を高め、***物を高圧搾部に集めて***物の拡散を防ぐことができる。

高圧搾部の形状は特に限定されず、例えば、平面視で、ハート形、ダイヤ形、四角形、三角形、ドット状、星形等のいずれでもよい。ハート形、星形等の模様となっている場合には、そのデザイン性から生理時の不快感を低減させることもできる。高圧搾部と低圧搾部とは長手方向に連続して配置されていれば、必ずしも交互に配置されている必要はなく、例えば格子状に配置されていてもよい。

圧搾条溝の上面開口の幅は、１〜１０ｍｍ、好ましくは１．５〜５ｍｍであり、通常約２．０ｍｍである。１ｍｍ未満であると十分な剛性が得られず、吸収性物品を所望の変形に制御できない。１０ｍｍを超えると肌に接触する剛性の高い部分が多くなり、使用時に違和感を感じる。なお、圧搾条溝の上面開口の幅が圧搾条溝の位置によって異なる場合には、上面開口の幅とは、上面開口の最大幅を意味する。

吸収性物品の肌当接面側には、更に、透過性シートと吸収体とを一体化する、複数の点状圧搾部７が一定の間隔を空けて配置される。点状圧搾部は、少なくとも吸収体中央領域よりも長手方向に前方又は後方（好ましくは後方）の領域に配置されることが好ましい。該前方や後方の領域は、歩行時や立ち座り時などの体の動きに左右されやすいが、圧搾条溝に加えて点状圧搾部を設けることにより、吸収体を構成する材料の動きを制御して該材料を吸収性物品全体に均一に存在させることができため、ヨレが起こりにくい。結果的に、吸収性物品の剛性は、同じ目付けであって、圧搾条溝のみ又は点状圧搾部のみしか設けない吸収性物品と比べて高くなる。以下、特に断らない限り、「剛性」とは吸収性物品全体の剛性を意味する。
また、点状圧搾部７を設けることにより、肌との接触面積を減らすことができ、吸収性物品が体に貼り付くことを防止しムレを低減できる。点状圧搾部は、少なくとも吸収性物品の包装折位置（例えば、図１のＸ−Ｘ’）をまたぐ領域に配置されることがより好ましい。通常、吸収性物品は折りたたまれた状態で個包装されているため、使用時には折り位置に対応する部分の吸収体を構成する材料が動きやすくなっており、ヨレが発生しやすい。包装折位置をまたぐように点状圧搾部を配置することにより、包装折位置での吸収体を構成する材料の動きを制御することができるので、吸収体がヨレにくくなる。
場合により、点状圧搾部は、吸収体中央領域を含む吸収体のほぼ全面に配置されてもよい。全面に配置することにより、吸収体を構成する材料の動きをより制御することができるため、よりヨレにくくなる。

点状圧搾部が配置されることにより、ヨレを低減又はなくすだけでなく、吸収性物品表面を流れた液状***物を捕らえやすくなる。すなわち、点状圧搾部の配置により、吸収体には、高密度箇所（点状圧搾部配置箇所）、及び該高密度箇所より多くの空間を有する低密度箇所（点状圧搾部非配置箇所）が形成されることになるが、該低密度箇所は、一度の多量***物に対する瞬間的な吸収性に優れ、該高密度箇所は、吸収した***物を引き寄せ、該低密度箇所に吸収の余力を与えることができる。

点状圧搾部の上面開口の幅は、０．３〜５ｍｍの範囲、好ましくは０．５〜３ｍｍの範囲であり、通常約１．２ｍｍである。点状圧搾部の上面開口の幅が０．３ｍｍ未満であると、穴があくだけで、剛性を高める圧縮部にならず、ヨレを防ぐことができない。５ｍｍを超えると、肌に接触する剛性部分が多くなり、使用時に違和感を感じる。なお、点状圧搾部の上面開口の形状が多角形である場合には、内接円の直径を該上面開口の幅と定義する。点状圧搾部の形状は特に限定されず、例えば、平面視で、ハート形、ダイヤ形、四角形、三角形、ドット状、星形等のいずれでもよい。ハート形、星形等の模様となっている場合には、そのデザイン性から生理時の不快感を低減させることもできる。

圧搾条溝と点状圧搾部との間隔、及び点状圧搾部間の間隔は、２０ｍｍ以下、好ましくは１５ｍｍ以下、より好ましくは１０ｍｍ以下である。圧縮部間が２０ｍｍを超えると圧縮部間の剛性が低下し、そこを起点として吸収体がヨレることがある。また、点状圧搾部の上面開口の幅は、圧搾条溝の上面開口の幅よりも小さいことが好ましい。圧搾条溝の上面開口の幅以上になると、点状圧搾部の剛性の方が強くなり、横からの力を受けた時に体にフィットするように吸収体の形状を制御する圧搾条溝の挙動を阻害するおそれがある。また、点状圧搾部は、圧搾条溝をまたぐように形成することが好ましい。圧搾条溝付近は吸収体が大きくヨレやすくなるが、体の動きに追従するための変形は確保しつつ、必要以上に吸収体を構成するパルプや繊維が移動しないように点状圧搾部を設ける。

点状圧搾部の深さは、圧搾条溝の低圧搾部の深さよりも深いことが好ましい。低圧搾部の深さよりも浅いと、液透過性シートと吸収体とを一体化するという点状圧搾部の効果が得られない。一方、圧搾条溝の高圧搾部の深さよりも深いと、剛性が強くなりすぎ、圧搾条溝の挙動を阻害するおそれもある。

吸収体は、シート状の木材パルプを粉砕した粉砕パルプと高吸収性ポリマーとを混合し、粉粒体としたものが使用される。木材パルプの代わりに、例えば、化学パルプ、セルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維を使用できる。また、高吸収性ポリマーとしては、例えば、デンプン系、アクリル酸系、アミノ酸系の粒子状又は繊維状のポリマーが挙げられる。この粉粒体に、粉粒体を熱融着させるための、熱融着材を更に加えてもよい。

吸収体は通常、ティッシュ等の台紙８によって包まれている。吸収体の厚みは、８ｍｍ以下、好ましくは５ｍｍ以下である。吸収体の厚みが８ｍｍを超えると、点状圧搾部は間隔をあけて配置されているため、点状圧搾部を形成する際に液透過性シートが伸びきれずに破れてしまい、圧搾部を形成できない。仮に圧搾部を形成できたとしても、吸収性物品が硬くなってしまい、使用感が悪くなる。点状圧搾部が配置された領域の吸収体の厚みは、点状圧搾部非配置領域の吸収体の厚みの５０％以下であることが好ましい。５０％を超えると、十分な剛性が得られない。

液透過性シートは、その全部又は一部が液透過性であり、液透過域は、多数の液透過孔が形成された樹脂フィルム、多数の網目を有するネット状シート、液透過性の不織布、又は織布などで形成される。前記樹脂フィルムやネット状シートは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等で形成されたものを使用できる。また不織布としては、レーヨン等のセルロース繊維、合成樹脂繊維などから形成されたスパンレース不織布、該合成樹脂繊維で形成されたエアースルー不織布などを用いることができる。液透過性シートの目付けは、１５〜１００ｇ／ｍ^２の範囲が好ましく、２０〜５０ｇ／ｍ^２の範囲がより好ましく、１０〜４０ｇ／ｍ^２の範囲が特に好ましい。目付けが１５ｇ／ｍ^２未満では表面強度が十分に得られず、使用中に破けるおそれがある。１００ｇ／ｍ^２を超えると、過度のごわつきが生じ、使用中に違和感を感じる。また、密度は、０．１２ｇ／ｃｍ^２以下で液透過性であれば特に限定されない、密度がこれを超える場合、液透過性の繊維間をスムーズに透過することが難しい。***物が経血の場合、尿などに比べて粘性が高いので密度が低いものが好ましい。

液不透過性シートは、液状***物を透過しない液難透過性である。具体的には、低密度ポリエチレン樹脂を主体として目付け１５〜３０ｇ／ｍ^２で調整したフィルムなど従来より用いられる素材が挙げられる。

液不透過性シートの肌非当接面には、ショーツ等の下着に固定するため、接着材などズレ止め部材が液不透過性シートの肌非当接面側に設けられていることが好ましい。点状圧搾部は、厚み方向においてズレ止め部材が設けられていない位置に配置されていることが好ましい。通常、液不透過性シートは吸収体と接着剤等で固定されているため、液不透過性シートにズレ止め部材が設けられている位置に対応する部分の吸収体は、体の動きに合わせてショーツの股の部分が動いても、ショーツと一緒に動くことができる。一方、液不透過性シートにズレ止め部材が設けられていない位置に対応する部分の吸収体は、ショーツの股の部分が動いた場合に、ショーツと液不透過性シートの間に空間ができてしまうことがあり、その部分に対応する吸収体を構成する材料の動きを制御できず、ヨレやすくなってしまうためである。ズレ止め部材としては、例えばホットメルト接着剤が挙げられる。ズレ止め部材は、線状や帯状のように連続して塗工されていても、あるいは断続的に塗工されていてもよい。上記の理由からズレ止め部材が断続的に設けられる箇所があっても、点状圧搾部の配置により吸収性物品の面形状を維持しやすい。

吸収体及び／又は液不透過性シートには、着色された領域が配置されていてもよい。着色領域の配置は部分的であってもよいが、その場合には、前記の点状圧搾部が設けられる領域に配置される必要がある。
着色領域を配置すると、点状圧搾部では吸収体の厚みが薄くなることにより、着色領域の色が透けて見える。また、使用前に点状圧搾部の位置が明瞭に視認でき、着用者に吸収力についての安心感や良好な通気性の印象を与えやすい。また、使用中又は使用後には、点状圧搾部の位置とそれ以外の位置とで吸収された液状***物の見え方が異なるため、着用者に吸収力を実感させやすい。

着色領域は、着色領域が設けられる吸収体や液不透過性シートとは異なる色である必要がある。この色味は心理的効果も考慮するなどして選択できるが、何色でもよい。着色領域を構成する材料としては、インク、塗料、着色剤を含有する樹脂、着色剤を練りこんだ不織布又は着色剤を表面にコーティングした不織布、着色剤を練り込んだフィルム又は着色剤を表面にコーティングしたフィルムなど、色のついた材料であれば特に限定されないが、着色剤を含有するホットメルト接着剤が好ましい。例えば、液透過性シートと吸収体との間、又は吸収体と液不透過性シートとの間には、着色剤を含有するホットメルト接着剤を塗工してそれぞれの部材を接合したり、フィルム又はシート状に成形したものを配置できる。あるいは、着色した液不透過性シートを設けても、点状圧搾部を通じて液不透過性シートの色を視認することができる。

液透過性シート２と吸収体４とは、接着層によって更に一体化することが好ましい。接着層による一体化により、吸収性物品のヨレをより低減できる。接着層としては、例えば、ホットメルト樹脂又はホットメルト接着剤からなる層が例示できる。接着層を設けた上で熱エンボス加工、圧搾条溝及び点状圧搾部を形成することにより、液透過性シートと吸収体の接合力を高めるとともに、これら積層体の強度や耐久性を高めることができるため、より一層ヨレを低減することができる。必要に応じて、液透過性シートと吸収体との間には、親水性繊維を含む不織布をセカンドシートとして挿入してもよい。

吸収性物品の幅方向縁部には、液透過性シート２の左右両側の少なくとも一部に接合された透過性のサイドシート１０が配置されてもよい。
また、吸収体中央付近の両側縁部には、該サイドシートと液不透過性シート３とが幅方向外側に張り出したウイング部が形成されてもよい。

本発明の吸収性物品は、生理ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等に使用することができる。

本発明の吸収性物品の製造方法は、少なくとも、液透過性シート２と吸収体４とを重ね、厚さ方向に圧搾するエンボス加工工程を含む。圧搾条溝と点状圧搾部とは、エンボス加工により同時に形成してもよく、あるいはいずれかの順で別個に形成してもよい。例えば、同時に形成する場合には、ローラ面に圧搾条溝の全体形状に対応する凸条及び点状圧搾部の全体形状に対応する凸部が形成されたロール（第１ロール）と、平滑なロール（第２ロール）との間に、液透過性シートと吸収体とを重ねた吸収性材料を、液透過性シートが第１ロールに接するように配置し、該吸収性材料を圧搾する。液透過性シートと吸収体との間にホットメルト接着剤等の接着剤を塗工してもよい。なお、本発明の吸収性物品では、エンボス加工により圧搾条溝と点状圧搾部とが形成されるため、接着剤を使用しなくても液透過性シートと吸収体とを一体化することができる。また、仮に使用する場合でも使用量を減らすことができ、安価に製造できる。

最後に、エンボス加工された吸収性材料の吸収体４の肌非当接面側に液不透過性シート３を供給して、吸収体４と液不透過性シート３とを接合する。吸収体と液不透過性シートとの接合には、例えばホットメルト接着剤を使用してもよい。

上記実施形態においては、生理用ナプキンの製造方法を例に説明したが、この方法は、他の吸収性物品、例えばパンティライナー、失禁パッド等の製造にも適用することができる。

次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。

実施例１
図２は、本発明の生理用ナプキンの１つの実施形態を示す平面図、及びＡ−Ａ’断面図を示す。図２では、圧搾条溝６が吸収体中央領域５、及び長手方向に向かって該中央領域の前後に該中央領域に連続して配置され、かつ、点状圧搾部７が吸収体４のほぼ全面に同一の間隔で配置されている。図２の生理用ナプキンを次のようにして製造した。
まず、以下の部材を用意した。
（１）吸収体４
粉砕パルプ（目付け１８０ｇ／ｍ^２）及び高吸収性ポリマー（目付け３０ｇ／ｍ^２）をほぼ均一に分散したものを、ティッシュ（目付け１５ｇ／ｍ^２）で包み、更に、ほぼ全面を厚さが２ｍｍ程度になるようにプレスをかけた。プレス後の吸収体は、長さ１９５ｍｍ、幅７５ｍｍであった。
（２）液透過性シート２
液透過性シートは、エアースルー不織布（目付け３０ｇ／ｍ^２、長さ２３０ｍｍ、幅８０ｍｍ）とした。
（３）セカンドシート（図示せず）
セカンドシートは、エアースルー不織布（目付け３０ｇ／ｍ^２、長さ２３０ｍｍ、幅８０ｍｍ）とした。
（４）液不透過性シート３
着色剤を含有するフィルム。

吸収体４、セカンドシート及び液透過性シート２をこの順に積み重ね、各層間にホットメルト接着剤を塗工し、次いで熱エンボスロールを用いて熱エンボス加工により、液透過性シート、セカンドシート及び吸収体を一体化した。
該熱エンボス加工により、図２に示すような位置に圧搾条溝及６及び点状圧搾部７を形成した。圧搾条溝の幅は２．０ｍｍとした。点状圧搾部は、吸収体の厚みに対して５０％〜９９％圧縮して形成した。点状圧搾部の径は１．２ｍｍ、点状圧搾部間の間隔は１０ｍｍとした。

一体化した積層体の幅方向縁部にサイドシート１０を配置し、積層体の非肌当接面側には液不透過性シート３を配置した。更に、長手方向の吸収体中央付近には、サイドシートと液不透過性シートとを貼り合わせ、製品形状に裁断した。なお、液不透過性シート及びウイング部の肌非当接面側には、ショーツに固定するためのズレ止め部材９（ホットメルト接着剤）を塗工した。

本実施例の生理用ナプキンでは、点状圧搾部が吸収体のほぼ全面に配置されているため、ヨレにくい。

実施例２
図３は、本発明の生理用ナプキンの１つの実施形態を示す平面図、及びＡ−Ａ’断面図を示す。図３では、圧搾条溝６が吸収体中央領域５、及び長手方向に向かって該中央領域の前後に該中央領域に連続して配置されている。また、点状圧搾部７は、吸収体４のほぼ全面に、吸収体中央付近が疎で、該中央付近の前後の領域が密となるような間隔で配置されている。図４に、図３のＡ−Ａ’断面の一部の拡大図の一例を示す。図４では、吸収体中央付近における点状圧搾部７のある部分の厚み（すなわち、距離ｂ）と、該中央付近の前後の領域の点状圧搾部７のある部分厚み（すなわち、距離ｂ’）は同一であり、かつ、これらの点状圧搾部の深さは、圧搾条溝６の高圧搾部の深さ（すなわち、距離ａ）より浅くなっている。

本実施例に示す生理用ナプキンを製造するために使用した部材は、吸収体を除いて実施例１と同様である。本実施例において使用した吸収体は、吸収体中央領域における目付け２６０ｇ／ｍ^２、該中央領域以外の領域における目付け１３０ｇ／ｍ^２、長さ１９５ｍｍ、幅７５ｍｍであった。

実施例１と同様にして熱エンボス加工を行い、図３に示すような位置に圧搾条溝６及び点状圧搾部７を形成した。圧搾条溝の幅は２．０ｍｍとした。点状圧搾部の径は１．２ｍｍ、点状圧搾部の間隔は、吸収体中央付近において１０ｍｍ、該中央付近の前後の領域においては５ｍｍとした。

本実施例の生理用ナプキンでは、液状***物液を直接吸収する吸収体中央領域は高目付けであるが、吸収体中央付近に点状圧搾部を配置することにより、ヨレにくい。更に、吸収体中央付の近点状圧搾部の配置を疎とすることにより瞬間的な吸収性を高め、吸収体中央付近の前後領域の点状圧搾部の配置を密にすることにより肌との接触面積を減らすことにより、吸収性物品が体にはりつきにくくすることができる。

実施例３
図５は、本発明の生理用ナプキンの１つの実施形態を示す平面図を示す。図５では、圧搾条溝６が吸収体中央領域５、及び長手方向に向かって該中央領域の前後に該中央領域に連続して配置され、点状圧搾部７は、吸収体中央付近の前後の領域のみに同一間隔で配置されている。

本実施例に示す生理用ナプキンを製造するために使用した部材は、実施例２とすべて同様である。

実施例１と同様にして熱エンボス加工を行い、図５に示すような位置に圧搾条溝６及び点状圧搾部７を形成した。点状圧搾部は、吸収体の厚みに対して５０％〜９９％圧縮して形成した。圧搾条溝の幅は２．０ｍｍとした。点状圧搾部の径は１．２ｍｍ、点状圧搾部の間隔は８ｍｍとした。

本実施例の生理用ナプキンでは、吸収体中央領域の高目付けにより体への接触性が高い。また、吸収体中央付近の前後の領域は、吸収体中央領域よりもヨレにくい。但し、吸収体中央付近に点状圧搾部が全く配置されていないため、実施例２の生理用ナプキンに比べて、使用時に液透過性シートと吸収体とが分離するおそれがある。

本発明の吸収性物品の別実施形態として、点状圧搾部を設ける際に、凸部を設けた第２ロールを使用し、液不透過性シート側から吸収体を圧縮し、液不透過性シート側にも圧搾部を設けてもよい。特に、吸収体の目付けや厚みの大きい中央領域においては、平滑な第２ロールを用いると、第１ロールの凸部により吸収体を押し込む距離が大きくなることにより、凸部に当接する部分の表面シートに破れが発生する可能性がある。しかし、液不透過性シート側からも吸収体を圧縮することにより、上下のロールの凸部それぞれにより押し込まれるため、一方側が押し込まれる距離が短くなり、シート破れが起こりにくい。

本発明の吸収性物品は、液不透過性シート側から吸収性物品を見ると、高圧搾部と点状圧搾部を光が透過して見える態様であってもよい。これは、点状圧搾部が圧搾条溝の低圧搾部よりも深く形成されていることや、点状圧搾部、高圧搾部の上面開口の幅の大きさなどによるものである。そのため、液不透過性シート側からも、使用前に着用者が点状圧搾部の位置及び高圧搾部の位置を明確に視認でき、吸収力や良好な通気性の印象を与えることができる。更に、点状圧搾部や高圧搾部の上面開口幅の大きさにもよるが、それらの形状がハート形、星形等の模様になっている場合には、液不透過性シート側からもそれらの模様を明確に視認でき、そのデザイン性から生理時の不快感を低減させることもできる。

図１は、本発明の代表的な吸収性物品の実施態様の平面図である。 図２は、本発明の生理用ナプキンの１つの実施形態を示す平面図、及びＡ−Ａ’断面図を示す。 図３は、本発明の生理用ナプキンの１つの実施形態を示す平面図、及びＡ−Ａ’断面図を示す。 図４は、図３のＡ−Ａ’断面の一部の拡大図を示す。 図５は、本発明の生理用ナプキンの１つの実施形態を示す平面図である。

符号の説明

１ 吸収性物品
２ 液透過性シート
３ 液不透過性シート
４ 吸収体
５ 吸収体中央領域
６ 圧搾条溝
７ 点状圧搾部
８ 台紙
９ ズレ止め部材
１０ サイドシート

Claims (8)

1. 少なくとも液透過性シート、液不透過性シート、及び該液透過性シートと該液不透過性シートとの間に挟まれた吸収体を有する吸収性物品であって、
   該吸収性物品の肌当接面側には、該液透過性シートと該吸収体とを一体化するために、少なくとも吸収体中央領域の長手方向の両側縁部に圧搾条溝が配置され、かつ複数の点状圧搾部が間隔を空けて配置されている、前記吸収性物品。
2. 前記点状圧搾部が、少なくとも、吸収体中央領域よりも長手方向前方又は後方に設けられている、請求項１に記載の吸収性物品。
3. 前記点状圧搾部が、少なくとも、吸収性物品の包装折位置をまたぐ領域に設けられている、請求項１又は２に記載の吸収性物品。
4. 前記吸収体が、粉砕パルプを含む吸収体を更に台紙で包んで成るものである、請求項１〜３のいずれか１項に記載の吸収性物品。
5. 前記吸収体の厚みが８ｍｍ以下であり、かつ点状圧搾部配置領域の吸収体の厚みが該点状圧搾部非配置領域の吸収体の厚みの５０％以下である、請求項１〜４のいずれか１項に記載の吸収性物品。
6. 前記圧搾条溝が低圧搾部と高圧搾部とからなり、かつ前記点状圧搾部の深さが該低圧搾部の深さよりも深い、請求項１〜５のいずれか１項に記載の吸収性物品。
7. 前記点状圧搾部の上面開口の幅が、前記圧搾条溝の上面開口の最大幅よりも小さい、請求項１〜６のいずれか１項に記載の吸収性物品。
8. 前記吸収体が、吸収体中央領域において該中央領域以外の領域よりも高目付けを有し、かつ点状圧搾部間の間隔が吸収体中央付近において該中央付近の前後の領域よりも広くなるように点状圧搾部が配置されている、請求項１〜７のいずれか１項に記載の吸収性物品。

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