JP2010094667A - アンモニア分解触媒およびその製造方法、ならびに、アンモニア処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】アンモニア分解触媒は、モリブデン、タングステンおよびバナジウムよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。このアンモニア分解触媒は、例えば、特定の遷移金属を含有する酸化物を調製した後、前記酸化物を、300〜800℃の温度にて、アンモニアガスまたは窒素−水素混合ガスで処理することにより製造される。このアンモニア分解触媒を用いて、アンモニアを含有するガスを処理すれば、前記アンモニアは窒素と水素とに分解され、水素を取得できる。
【選択図】なし
Description
本発明のアンモニア分解触媒(以下「本発明の触媒」ということがある)は、アンモニアを窒素と水素とに分解する触媒であって、触媒活性成分が、モリブデン、タングステンおよびバナジウムよりなる群から選択される少なくとも1種(以下「A成分」という)を含有することを特徴とする。
触媒活性成分は、A成分として、モリブデン、タングステンおよびバナジウムよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する。これらのA成分のうち、モリブデンおよびタングステンが好ましく、モリブデンがより好ましい。
触媒活性成分は、B成分として、コバルト、ニッケル、マンガンおよび鉄よりなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。これらのB成分のうち、コバルトおよびニッケルが好ましく、コバルトがより好ましい。
触媒活性成分は、C成分として、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属よりなる群から選択される少なくとも1種を含有していてもよい。これらのC成分のうち、アルカリ金属およびアルカリ土類金属が好ましく、アルカリ金属がより好ましい。
本発明の触媒は、比表面積が好ましくは1〜300m2/g、より好ましくは5〜260m2/g、さらに好ましくは18〜200m2/gである。
本発明の触媒は、触媒活性成分をそのまま触媒とするか、あるいは、従来公知の方法を用いて、触媒活性成分を担体に担持してもよい。担体としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、セリアなどの金属酸化物が挙げられる。
以下に、本発明のアンモニア分解触媒を製造する方法の好適な具体例を示すが、本発明の課題が達成される限り、下記の製造方法に限定されるものではない。
(2)(1)の焼成物を、さらに、300〜800℃の温度にて、アンモニアガスまたは窒素−水素混合ガスで処理(窒化処理)をする方法;
(3)A成分を含有する塩の水溶液を焼成して酸化物とし、この酸化物を触媒として用いる方法;
(4)(3)の酸化物を、さらに、300〜800℃の温度にて、アンモニアガスまたは窒素−水素混合ガスで処理(窒化処理)をする方法;
(5)A成分を含有する塩とB成分を含有する塩との水溶液を焼成して酸化物とし、この酸化物を触媒として用いる方法;
(6)(5)の酸化物を、さらに、300〜800℃の温度にて、アンモニアガスまたは窒素−水素混合ガスで処理(窒化処理)をする方法;
(7)A成分を含有する塩の酸性水溶液をアルカリ金属の水溶液またはアンモニア水で中和したゲルを焼成して酸化物とし、この酸化物を触媒として用いる方法;
(8)(7)の酸化物を、さらに、300〜800℃の温度にて、アンモニアガスまたは窒素−水素混合ガスで処理(窒化処理)をする方法;
(9)A成分を含有する塩とB成分を含有する塩との酸性水溶液をアルカリ金属の水溶液またはアンモニア水で中和したゲルを焼成して酸化物とし、この酸化物を触媒として用いる方法;
(10)(9)の酸化物を、さらに、300〜800℃の温度にて、アンモニアガスまたは窒素−水素混合ガスで処理(窒化処理)をする方法。
本発明のアンモニア処理方法は、上記のようなアンモニア分解触媒を用いて、アンモニアを含有するガスを処理して、前記アンモニアを窒素と水素とに分解して水素を取得することを特徴とする。処理対象となる「アンモニアを含有するガス」としては、特に限定されるものではないが、アンモニアガスやアンモニア含有ガスだけでなく、尿素などのように熱分解によりアンモニアを生じる物質を含有するガスであってもよい。また、アンモニアを含有するガスは、触媒毒にならない程度であれば、他の成分を含有していてもよい。
硝酸コバルト六水和物80.00gを蒸留水400.00gに溶解させた。別途、沸騰させた蒸留水250gにモリブデン酸アンモニウム48.53gを徐々に添加して溶解させた。両方の水溶液を混合した後、加熱攪拌し、蒸発乾固させた。得られた固形物を120℃で10時間乾燥させた後、窒素気流下、350℃で5時間焼成し、空気気流下、500℃で3時間焼成した。X線回折測定により、α−CoMoO4であることを確認した。
硝酸コバルト六水和物80.00gを蒸留水400.00gに溶解させた。別途、沸騰させた蒸留水250gにモリブデン酸アンモニウム48.53gを徐々に添加して溶解させた。両方の水溶液を混合した後、加熱攪拌し、蒸発乾固させた。得られた固形物を120℃で10時間乾燥させた後、窒素気流下、350℃で5時間焼成し、空気気流下、500℃で3時間焼成した。X線回折測定により、α−CoMoO4であることを確認した。
実験例2において、硝酸セシウム0.089gを蒸留水3.23gに溶解させた水溶液に代えて、硝酸セシウム0.18gを蒸留水3.21gに溶解させた水溶液を用いたこと以外は、実験例2と同様にして、アンモニア分解触媒(以下「2%Cs−CoMoO4」と表示する)を得た。なお、硝酸セシウムを均一に浸透させ、90℃で10時間乾燥させた後の状態は、X線回折測定により、α−CoMoO4であることを確認した。
実験例2において、硝酸セシウム0.089gを蒸留水3.23gに溶解させた水溶液に代えて、硝酸セシウム0.46gを蒸留水3.20gに溶解させた水溶液を用いたこと以外は、実験例2と同様にして、アンモニア分解触媒(以下「5%Cs−CoMoO4」と表示する)を得た。なお、硝酸セシウムを均一に浸透させ、90℃で10時間乾燥させた後の状態は、X線回折測定により、α−CoMoO4であることを確認した。
実験例1において、硝酸コバルト六水和物およびモリブデン酸アンモニウムの量を適宜変更したこと以外は、実験例1と同様にして、コバルトとモリブデンとのモル比(Co/Mo)が、実験例5では、1.05であるアンモニア分解触媒(以下「Co/Mo=1.05」と表示する)、実験例6では、1.10であるアンモニア分解触媒(以下「Co/Mo=1.10」と表示する)、実験例7では、0.90であるアンモニア分解触媒(以下「Co/Mo=0.90」と表示する)を得た。なお、窒素気流下、350℃で5時間焼成し、空気気流下、500℃で3時間焼成した後の状態は、X線回折測定により、それぞれ、α−CoMoO4であることを確認した。
実験例1において、硝酸コバルト六水和物を硝酸ニッケル六水和物に変更したこと以外は、実験例1と同様にして、アンモニア分解触媒(以下「NiMoO4」と表示する)を得た。なお、窒素気流下、350℃で5時間焼成し、空気気流下、500℃で3時間焼成した後の状態は、X線回折測定により、α−CoMoO4型を示すNiMoO4であることを確認した。
実験例8において、窒素気流下、350℃で5時間焼成し、空気気流下、500℃で3時間焼成した後の状態を、X線回折測定により、α−CoMoO4型を示すNiMoO4であることを確認してから、このα−CoMoO4型を示すNiMoO4に、硝酸セシウム0.075gを蒸留水1.55gに溶解させた水溶液を、滴下して均一に浸透させ、90℃で10時間乾燥させた後、窒化処理を行ったこと以外は、実験例8と同様にして、アンモニア分解触媒(以下「1%Cs−NiMoO4」と表示する)を得た。なお、窒化処理の前段階の状態は、X線回折測定により、α−CoMoO4型を示すNiMoO4であることを確認した。
実験例9において、硝酸セシウム0.075gを蒸留水1.55gに溶解させた水溶液に代えて、実験例10では、硝酸セシウム0.15gを蒸留水1.55gに溶解させた水溶液を用いたこと、実験例11では、硝酸セシウム0.40gを蒸留水1.55gに溶解させた水溶液を用いたこと以外は、実験例9と同様にして、それぞれ、アンモニア分解触媒(以下「2%Cs−NiMoO4」と表示する)およびアンモニア分解触媒(以下「5%Cs−NiMoO4」と表示する)を得た。
SUS316製の反応管に、市販の酸化モリブデン(MoO3)0.5〜1.0mLを充填し、窒素30〜50mL/minを流しながら、400℃まで昇温した。次いで、アンモニア50〜100mL/minを流しながら、700℃まで昇温し、700℃で5時間保持する処理(窒化処理)を行って、アンモニア分解触媒(以下「MoO3」と表示する)を得た。
硝酸セシウム0.21gを蒸留水1.62gに溶解させた水溶液を、市販の酸化モリブデン(MoO3)7.00gに滴下して均一に浸透させ、120℃で10時間乾燥させた後、窒素気流下、350℃で5時間焼成し、空気気流下、500℃で3時間焼成した。
実験例13において、硝酸セシウム0.21gを蒸留水1.62gに溶解させた水溶液に代えて、実験例14では、硝酸セシウム0.54gを蒸留水1.62gに溶解させた水溶液を用いたこと、実験例15では、硝酸セシウム1.14gを蒸留水1.62gに溶解させた水溶液を用いたこと以外は、実験例13と同様にして、それぞれ、アンモニア分解触媒(以下「5%Cs−MoO3」と表示する)およびアンモニア分解触媒(以下「10%Cs−MoO3」と表示する)を得た。
硝酸コバルト六水和物9.49gを蒸留水41.18gに溶解させ、メタタングステン酸アンモニウム水溶液(略称「MW−2」、日本無機化学工業株式会社製;酸化タングステンとして、50質量%含有)15.13gを添加した。両方の溶液を混合した後、加熱攪拌し、蒸発乾固させた。得られた固形物を120℃で10時間乾燥させた後、窒素気流下、350℃で5時間焼成し、空気気流下、500℃で3時間焼成した。
硝酸マンガン六水和物13.36gを蒸留水67.08gに溶解させた。別途、沸騰させた蒸留水41.04gにモリブデン酸アンモニウム8.22gを徐々に添加して溶解させた。両方の水溶液を混合した後、加熱攪拌し、蒸発乾固させた。得られた固形物を120℃で10時間乾燥させた後、窒素気流下、350℃で5時間焼成し、空気気流下、500℃で3時間焼成した。X線回折測定により、α−MnMoO4であることを確認した。
硝酸カルシウム四水和物11.81gを蒸留水60.10gに溶解させた。別途、沸騰させた蒸留水45.06gにモリブデン酸アンモニウム8.83gを徐々に添加して溶解させた。両方の水溶液を混合した後、加熱攪拌し、蒸発乾固させた。得られた固形物を120℃で10時間乾燥させた後、窒素気流下、350℃で5時間焼成し、空気気流下、500℃で3時間焼成した。
硝酸マグネシウム六水和物13.92gを蒸留水70.02gに溶解させた。別途、沸騰させた蒸留水48.03gにモリブデン酸アンモニウム9.58gを徐々に添加して溶解させた。両方の水溶液を混合した後、加熱攪拌し、蒸発乾固させた。得られた固形物を120℃で10時間乾燥させた後、窒素気流下、350℃で5時間焼成し、空気気流下、500℃で3時間焼成した。
実験例1〜19で得られた各触媒、および、純度99.9体積%以上のアンモニアを用いて、アンモニア分解反応を行い、アンモニアを窒素と水素とに分解した。
Claims (8)
- アンモニアを窒素と水素とに分解する触媒であって、触媒活性成分が、モリブデン、タングステンおよびバナジウムよりなる群から選択される少なくとも1種(以下「A成分」という)を含有することを特徴とするアンモニア分解触媒。
- 前記触媒活性成分が、さらに、コバルト、ニッケル、マンガンおよび鉄よりなる群から選択される少なくとも1種(以下「B成分」という)を含有する請求項1に記載のアンモニア分解触媒。
- A成分とB成分とが複合酸化物の形態である請求項1または2に記載のアンモニア分解触媒。
- 前記触媒活性成分が、さらに、アルカリ金属、アルカリ土類金属および希土類金属よりなる群から選択される少なくとも1種(以下「C成分」という)を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のアンモニア分解触媒。
- 前記触媒活性成分の一部または全部が、アンモニアガスまたは窒素−水素混合ガスで処理されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のアンモニア分解触媒。
- A成分を含有する酸化物またはA成分とB成分とを含有する酸化物を調製した後、前記酸化物を、300〜800℃の温度にて、アンモニアガスまたは窒素−水素混合ガスで処理することを特徴とするアンモニア分解触媒の製造方法。
- 前記酸化物を調製した後、さらにC成分の化合物を添加する請求項6に記載のアンモニア分解触媒の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のアンモニア分解触媒を用いて、アンモニアを含有するガスを処理して、前記アンモニアを窒素と水素とに分解して水素を取得することを特徴とするアンモニア処理方法。
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