JP2010058476A - ハードコート層付積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡便に作製でき、膜密着性、カール特性に優れ、かつ高い膜強度で優れた耐擦過性を有するハードコート層付積層体を提供する。
【解決手段】基材2の少なくとも一方の面に、ハードコート層を積層したハードコート層付積層体において、該ハードコート層A1、B1、B2は、硬化収縮率が異なる硬化樹脂を含有する2種の層が、交互に3層以上積層された構造であり、硬化収縮率がA%の硬化樹脂Aを含有する層群をA層ユニット、硬化収縮率がB%の硬化樹脂Bを含有する層群をB層ユニットとしたとき、該収縮率A及びBはA>Bの関係にあり、基材に最も近い位置に設けられるハードコート層は該B層ユニットに属し、該B層ユニットは、少なくとも2層で構成され、該A層ユニットの乾燥膜厚の総和ΣAhと該B層ユニットの乾燥膜厚の総和ΣBhとが、ΣAh≧ΣBhの関係を満たすことを特徴とするハードコート層付積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は、硬度が高く、耐擦過性や密着性に優れ、更に詳しくは、薄い基材を用いた場合でもカールが少ない積層構造を有するハードコート層付積層体に関する。本発明は、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、電界放出ディスプレイ(FED)等のディスプレイの表面や家電製品等のタッチパネル、各種窓、例えば、住宅用窓、ショーウインドウ、車両用窓、車両用風防、遊戯機械等のガラス保護フィルム、あるいはガラス代替樹脂製品として利用できる。
近年、プラスチック製品が、加工性、軽量化の観点でガラス製品と置き換わりつつあるが、これらプラスチック製品の表面は傷つきやすいため、耐擦傷性を付与する目的でハードコートフィルムを貼合して用いる。また、従来のガラス製品についても、飛散防止のためにプラスチックフィルムを貼合する場合が増えており、これらのフィルム表面の硬度強化のために、その表面にハードコート層を形成することが広く行われている。
しかしながら、前記従来のハードコートフィルムは、そのハードコート層の硬度が不十分であったこと、また、その塗膜厚みが薄いことに起因して、下地のプラスチック基材フィルムが変形した場合に、それに応じてハードコート層も変形し、ハードコートフィルム全体としての硬度が低下してしまうため、十分に満足できるものではなかった。
上記課題に対し、ハードコート層の硬度を上げるために、該層の樹脂形成成分を多官能性アクリル酸エステル系モノマーとし、これにアルミナ、シリカ、酸化チタン等の粉末状無機充填剤および重合開始剤を含有する被覆用組成物を用いる方法、アルコキシシラン等で表面処理したシリカもしくはアルミナからなる無機質の充填材料を含む光重合性組成物、さらに架橋有機微粒子を充填することも近年検討されている。これらの方法では、ハードコートフィルムの表面硬度を上げる効果は備えてはいるものの、ヘイズ増加、脆性劣化の問題も持っており、これのみでは近年要求されているハードコートフィルムの表面硬度性能に十分に応えうるものではなかった。
また、ハードコート層を2層構成とし、第1層目に微粒子のシリカを添加することで、カールと耐傷性を満足させる方法、ハードコート層を2層構成とし、下層をラジカル硬化性樹脂とカチオン硬化性樹脂のブレンドからなる硬化樹脂層を使用し、上層にラジカル硬化性樹脂のみからなる硬化樹脂層を使用したハードコートフィルムが知られているが、これらも十分満足できる硬度ではなかった。
また、ハードコート層の厚みを通常の3μmから10μmよりも厚くすることが硬度増加に有効であることが知られている。特に、ハードコート層に無機、有機の充填剤を含有した層を厚くすることで、ハードコートフィルムの硬度をさらに向上できるが、厚くすることでヘイズの増加が大きくなり、ハードコート層の割れや剥がれが生じやすくなると同時に硬化収縮によるハードコートフィルムのカールが大きくなるという問題がある。
上記のような課題を解決する手段として、ハードコート層の表面弾性率や硬化組成物の硬化収縮率に関する技術が開示されている。例えば、特許文献1には、基材フィルムの片面にハードコート層を積層し、該ハードコート層の表面弾性率とハードコート層厚みの三乗の積が30kPa・mm以上、700kPa・mm以下に規定したハードコートフィルムが開示されている。また、特許文献2においては、支持体上に、特定配合量の金属酸化物微粒子、紫外線硬化型樹脂として1分子中に3個以上(メタ)アクリロイル基を含有し、かつ硬化後の収縮率が10%未満であるウレタン(メタ)アクリレート(A)、1分子中に3個以上(メタ)アクリロイル基を含有する多官能アクリレート(B)、有機溶剤、及び光重合開始剤から構成される塗料組成物を用いてハードコート層を形成したハードコートフィルムが開示されており、更には、特許文献3においては、ハードコート層が硬化後の体積収縮率が2〜10%である熱硬化性樹脂または活性エネルギー硬化性樹脂を主成分とし、かつ該ハードコート層の厚みが4〜10μmであるハードコートフィルムが開示されている。
これら各特許文献に記載のハードコートフィルムでは、耐擦傷性、表面硬度、カール特性、脆弱性等が改良されるとされているが、本発明者が検討を進めた結果、これらのいずれの技術も、近年、高品位なハードコートフィルムの要望に対しては、耐傷性や耐クラック性、基材との密着性能においてハードコートフィルムとして、未だ満足できるものではないことが判明した。
WO2003/026881号明細書 特開2005−288787号公報 特開2005−288921号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、簡便に作製でき、膜密着性、カール特性に優れ、かつ高い膜強度で優れた耐擦過性を有するハードコート層付積層体を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
1.基材の少なくとも一方の面に、ハードコート層を積層したハードコート層付積層体において、該ハードコート層は、硬化収縮率が異なる硬化樹脂を含有する2種の層が、交互に3層以上積層された構造であり、硬化収縮率がA%の硬化樹脂Aを含有する層群をA層ユニット、硬化収縮率がB%の硬化樹脂Bを含有する層群をB層ユニットとしたとき、該収縮率A及びBはA>Bの関係にあり、基材に最も近い位置に設けられるハードコート層は該B層ユニットに属し、該B層ユニットは、少なくとも2層で構成され、該A層ユニットの乾燥膜厚の総和ΣAhと該B層ユニットの乾燥膜厚の総和ΣBhとが、ΣAh≧ΣBhの関係を満たすことを特徴とするハードコート層付積層体。
2.前記A層ユニットが含有する硬化樹脂Aの収縮率が10%以上、60%以下であり、前記B層ユニットが含有する硬化樹脂Bの収縮率が0%以上、30%以下であることを特徴とする前記1に記載のハードコート層付積層体。
3.前記A層ユニットが含有する硬化樹脂Aの硬化収縮率が10%以上、30%以下であり、前記B層ユニットが含有する硬化樹脂Bの硬化収縮率が0%以上、10%未満であることを特徴とする前記1または2に記載のハードコート層付積層体。
4.前記B層ユニットを構成する各層の乾燥膜厚が、基材に向かって増加することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
5.前記B層ユニットを構成する層のうち、基材から最も遠い位置にある層の乾燥膜厚が、0.1μm以上、2μm以下であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
6.前記A層ユニットを構成する各層の乾燥膜厚が、基材に向かって減少することを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
7.前記A層ユニットを構成する層のうち、基材から最も遠い位置にある層の乾燥膜厚が、3μm以上、10μm以下であることを特徴とする前記1〜6のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
8.前記ハードコート層の少なくとも1層が、無機粒子を含有することを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
9.前記無機粒子の平均粒子径が、5nm以上、1.0μm以下であることを特徴とする前記8に記載のハードコート層付積層体。
10.前記ハードコート層が、湿式塗布法により形成されたことを特徴とする前記1〜9のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
11.前記湿式塗布法が、複数の層を同時に塗布する同時重層塗布方式で形成されることを特徴とする前記10に記載のハードコート層付積層体。
12.前記ハードコート層の最表面に、金属酸化物層を積層した構成であることを特徴とする前記1〜11のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
13.前記金属酸化物層の主成分が、酸化珪素であることを特徴とする前記12に記載のハードコート層付積層体。
14.前記金属酸化物層が、プラズマCVD法により形成されたことを特徴とする前記12または13に記載のハードコート層付積層体。
15.前記プラズマCVD法が、大気圧または大気圧近傍の圧力下でプラズマ処理する大気圧プラズマCVD法であることを特徴とする前記14に記載のハードコート層付積層体。
本発明により、簡便に作製でき、膜密着性、カール特性に優れ、かつ高い膜強度で優れた耐擦過性を有するハードコート層付積層体を提供することができた。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、基材の少なくとも一方の面に、ハードコート層を積層したハードコート層付積層体において、該ハードコート層は、硬化収縮率が異なる硬化樹脂を含有する2種の層が、交互に3層以上積層された構造であり、硬化収縮率がA%の硬化樹脂Aを含有する層群をA層ユニット、硬化収縮率がB%の硬化樹脂Bを含有する層群をB層ユニットとしたとき、該収縮率A及びBはA>Bの関係にあり、基材に最も近い位置に設けられるハードコート層は該B層ユニットに属し、該B層ユニットは、少なくとも2層で構成され、該A層ユニットの乾燥膜厚の総和ΣAhと該B層ユニットの乾燥膜厚の総和ΣBhとが、ΣAh≧ΣBhの関係を満たすことを特徴とするハードコート層付積層体により、簡便に作製でき、膜密着性、カール特性に優れ、かつ高い膜強度で優れた耐擦過性を有するハードコート層付積層体が実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明のハードコート層付積層体の詳細について説明する。
《ハードコート層》
〔ハードコート層の構成〕
本発明のハードコート積層体を構成するハードコート層は、基材上に硬化収縮率が異なる硬化樹脂を含有する2種の層が、交互に3層以上積層された構造を有し、硬化収縮率がA%の硬化樹脂を含有する層群をA層ユニットとし、硬化収縮率がB%の硬化樹脂を含有する層群をB層ユニットとしたとき、該収縮率A及びBはA>Bの関係にあり、基材に最も近い位置に設けられるハードコート層は該B層ユニットに属し、該B層ユニットは2層以上で構成されていることを特徴とする。
更に好ましい態様としては、A層ユニットの各ハードコート層を構成する硬化樹脂の硬化収縮率Aとしては、10%以上、60%以下であることが好ましく、更には10%以上、30%以下であることが好ましい。
また、B層ユニットの各ハードコート層を構成する硬化樹脂の硬化収縮率Bとしては、0%以上、30%以下であることが好ましく、更に好ましくは0%以上、10%未満である。
本発明で規定する硬化収縮率とは、ハードコート層を構成する樹脂成分の硬化前後における体積収縮率として表す。具体的な測定方法としては、はじめに、硬化樹脂及び重合開始剤を含む組成物を基材、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリアセチルセルロースフィルム上に、乾燥膜厚が10μm程度となるように液体状態で塗布した後、80℃で所定の時間乾燥させて硬化前の樹脂膜を作製する。この状態で、硬化前の樹脂の密度(比重)を、JIS Z 8807に準拠した固体比重測定方法に記載の体積より測定する方法に従って比重を測定する。あるいは、マイクロメトリック社製のMULTIVOLUME PYCNOMETERを用いて密度を測定する。
次いで、硬化前の樹脂膜を硬化する。例えば、樹脂が紫外線硬化型樹脂を用いた場合には、活性エネルギー線として紫外線を用い、所定の照度で紫外線を照射し、樹脂膜を硬化する。その後、上記と同様の方法により、硬化後の樹脂膜の密度(比重)を測定し、下式(1)に従って、体積収縮率(%)を算出して求めることができる。
式(1)
体積収縮率(%)={1−(硬化前の樹脂の密度/硬化後の樹脂の密度)}×100
なお、目的に応じて、本発明のハードコート層に適用する樹脂及び体積収縮率の詳細については後述する。
本発明のハードコート積層体においては、A層ユニットの乾燥膜厚の総和ΣAhとB層ユニットの乾燥膜厚の総和ΣBhが、ΣAh≧ΣBhの関係を満たすことを特徴とする。
更に、本発明におけるより好ましい膜厚構成としては、
1)B層ユニットを構成する各層の乾燥膜厚が、基材に向かって増加する構成であることが好ましく、更にはB層ユニットを構成する層のうち、基材から最も遠い位置にある層の乾燥膜厚が、0.1μm以上、2μm以下であることが好ましい。
2)A層ユニットが2層以上で構成されている場合、各層の乾燥膜厚が基材に向かって減少する構成であることが好ましく、更には基材から最も遠い位置にある層の乾燥膜厚が、3μm以上、10μm以下であることが好ましい。
更に、本発明に係るハードコート層の層構成の代表例について、図を用いて説明する。
図1に、本発明のハードコート層付積層体の代表的な構成断面図を示すが、本発明はここで例示する構成にのみ限定されるものではない。
図1のa)は、硬化収縮率がA%の硬化樹脂を含有する層A1と、硬化収縮率がB%の硬化樹脂を含有する層B1、B2(B層ユニット)を交互に積層した構成例である。
図1のa)に示すハードコート層付積層体1は、樹脂基材2上に、硬化収縮率がB%の硬化樹脂を含有する層B1を配置し、次いで、硬化収縮率がA%の硬化樹脂を含有する層A1を積層し、最表層として硬化収縮率がB%の硬化樹脂を含有する層B2を形成した構成である。この様な3層構成をとる場合、本発明において、B層ユニットの総膜厚ΣBh(B1の乾燥膜厚+B2の乾燥膜厚)が、A層であるA1の膜厚に対し、同等か薄いことを特徴とする。
図1のb)は、硬化収縮率がA%の硬化樹脂を含有するA層ユニット(3層)と、硬化収縮率がB%の硬化樹脂を含有するB層ユニット(3層)を交互に積層した構成例である。
図1のb)に示すハードコート層付積層体1は、樹脂基材2上に、硬化収縮率がB%の硬化樹脂を含有する層B1を配置し、次いで、硬化収縮率がA%の硬化樹脂を含有する層A1を積層し、続いて、順次B2、A2、B3、A3を積層した6層のハードコート層から構成されている例である。
この様にA層ユニットが3層、B層ユニットが3層で構成した場合、A層ユニットを構成するA1、A2、A3のハードコート層の総膜厚ΣAhが、B層ユニットを構成するB1、B2、B3のハードコート層の総膜厚ΣBhに対し、同等かあるいは厚い構成であることを特徴とする。
図1のb)に示す構成においては、A層ユニットを構成する各層の膜厚が、基材2に向かって減少する構成、すなわち、A3>A2>A1とする構成をとることが好ましい。また、B層ユニットを構成する各層の膜厚が、基材2に向かって増加する構成、すなわち、B3<B2<B1とする構成をとることが好ましい。
更には、図1のb)に示す構成においては、A層ユニットを構成する各層のうち、基材2から最も遠い位置にある層(図1のb)におけるA3)の乾燥膜厚が3μm以上、10μm以下であることが好ましく、また、B層ユニットを構成する各層のうち、基材2から最も遠い位置にある層(図1のb)におけるB3)の乾燥膜厚が0.1μm以上、2μm以下であることが好ましい。
図1のc)は、図1のb)に示したハードコート層の上に、更に金属酸化物層3を形成したハードコート層付積層体の一例を示したものである。
〔ハードコート層の構成材料〕
本発明に係るハードコート層を構成するA層ユニット、B層ユニットの各層は、主に、硬化樹脂で構成されているが、硬化樹脂として活性光線硬化樹脂を用いることが好ましい。
(活性光線硬化樹脂)
本発明に適用可能な活性光線硬化樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂などが代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の活性線照射によって硬化する樹脂でもよいが、特には紫外線硬化樹脂であることが好ましい。
本発明に係るハードコート層においては、A層ユニットを構成するハードコート層は、相対的に硬化収縮率がA%の硬化樹脂を含有することを特徴とし、好ましくは、硬化収縮率が10%以上、60%以下、更に好ましくは10%以上、30%以下である硬化性樹脂を含有する。
一方、本発明に係るハードコート層においては、B層ユニットを構成するハードコート層は、相対的に硬化収縮率がB%の硬化樹脂を含有することを特徴とし、好ましくは、硬化収縮率が0%以上、30%以下であり、更に好ましくは0%以上、10%未満である硬化性樹脂を含有する。
〈A層ユニットに適用する硬化収縮率がA%の硬化樹脂〉
本発明に係るA層ユニットに適用可能な硬化樹脂としては、B層ユニットに適用する硬化樹脂に対し高い硬化収縮率を有する樹脂であれば、特に制限はないが、好ましくは硬化収縮率が10%以上、60%以下の紫外線硬化型樹脂である。
本発明に係るA層ユニットに適用可能な所望の硬化収縮率を達成しうる硬化樹脂の例としては、1分子中に3個以上(メタ)アクリロイル基を含有する多官能(メタ)アクリレートを挙げることができ、例えば、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。なお、前記の多官能(メタ)アクリレートは単独、または2種以上を混合して用いることができる。
〈B層ユニットに適用する硬化収縮率がB%の硬化樹脂〉
本発明に係るB層ユニットに適用可能な硬化樹脂としては、A層ユニットに適用する硬化樹脂に対し低い硬化収縮率を有する樹脂であれば、特に制限はないが、好ましくは硬化収縮率が0%以上、20%未満の紫外線硬化型樹脂である。
本発明に係るB層ユニットに適用可能な所望の硬化収縮率を達成しうる硬化樹脂の例としては、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(以下アクリレートと記載した場合、メタクリレートを包含するものとする)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等の水酸基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭59−151110号等を参照)。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることが出来る(例えば、特開昭59−151112号を参照)。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加し、反応させたものを挙げることができる(例えば、特開平1−105738号)。
具体的には、
1)分子中に含有する(メタ)アクリロイル基の数が少ない、すなわち、硬化収縮の小さい樹脂を用いる。具体的には、イソブチル(メタ)アクリレートやヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの単官能(メタ)アクリレートや、1、6−ヘキサンジオール−ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール−ジ(メタ)アクリレートなどの二官能(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレートなどが挙げられる。
2)1分子中に3個以上(メタ)アクリロイル基を含有し、かつ硬化後の収縮率が10%未満であるウレタン(メタ)アクリレートが挙げられ、これらは工業的に入手可能であり、例えば、日本合成化学工業社製UV−7600B、UV−7640B、大日本インキ化学工業社製ユニディック17−806、ユニディック17−813、V−4030、V−4000BA、ダイセルUCB社製EB−1290Kなどが挙げられる。
3)開環重合性環状エーテル化合物しては、エポキシ誘導体、オキセタン誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、オキサゾリン誘導体などの環状イミノエーテル類などが挙げられ、特にエポキシ誘導体、オキセタン誘導体、オキサゾリン誘導体が好ましい。
これらの開環重合性環状エーテル化合物は、上記のような環状構造を2個以上好ましくは3個以上同一分子内に有する化合物が好ましい。例えば3官能グリシジルエーテルとしてはトリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレートなど、4官能以上のグリシジルエーテルとしてはソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど、3官能以上のエポキシ類としてはエポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど、3官能以上のオキセタン類としてはOX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。
4)単官能のモノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアクリル酸のアルキルエステル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの極性基含有のアクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、スチレン、ビニルアセテート、無水マレイン酸などの既存のモノマーが挙げられる。
5)同一分子内に1個もしくは2個の開環重合性基を有する化合物も必要に応じて併用することができ、好ましい化合物としては単官能または2官能のグリシジルエーテル類、単官能または2官能の脂環式エポキシ類、単官能または2官能のオキセタン類が挙げられ、種々の市販もしくは公知の化合物を使用することができる。
本発明のハードコート層付積層体を構成するハードコート層に適用しうる硬化樹脂について、上記では便宜上、A層ユニットに適用する硬化収縮率がA%の硬化樹脂及びB層ユニットに適用する硬化収縮率がB%の硬化樹脂として説明したが、本発明においては、本発明で規定する硬化収縮率がA%の硬化樹脂Aを含有する層群をA層ユニット、硬化収縮率がB%の硬化樹脂Bを含有する層群をB層ユニットにおいて、収縮率A>収縮率Bの関係を満たすため、それぞれのハードコート層で、上記の硬化収縮率が大きな硬化樹脂と硬化収縮率が相対的に低い硬化樹脂とを適宜組み合わせて、所望の硬化収縮率となるように硬化収縮率の異なる樹脂を2種以上組み合わせてもよい。
(光重合開始剤)
本発明に係るハードコート層には、上記光重合性樹脂を光照射により硬化するため、重合開始剤、光酸発生剤等を用いる。
硬化樹脂がラジカル重合型硬化樹脂である場合には、光ラジカル重合開始剤を用い、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのケトン、ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイン類、α−アシロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、およびチオキサントンなどが含まれる。光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の例には、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、およびチオキサントンなどが含まれる。
また、硬化樹脂がカチオン重合型硬化樹脂である場合には、カチオンを発生させる光酸発生剤として、トリアリールスルホニウム塩やジアリールヨードニウム塩やスルホン酸のニトロベンジルエステルなど化合物が挙げられ、有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」ぶんしん出版社刊(1997)などに記載されている化合物など種々の公知の光酸発生剤が使用できる。この中で特に好ましくはジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートなどのスルホニウム塩もしくはジフェニルヨードニウム塩であり、対イオンとしてはPF 、SbF 、AsF 、B(C などが挙げられる。
(無機粒子)
本発明に係るハードコート層群においては、ハードコート層の少なくとも1層が無機微粒子を含有することが好ましい。
本発明に係るハードコート層に適用できる無機粒子としては、例えば、Si、Ti、Mg、Ca、Zr、Sn、Sb、As、Zn、Nb、In、Alから選択される金属の酸化物微粒子が好ましく、具体的には、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、ITO、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。特に、本発明においては、無機粒子として、酸化珪素を用いることが好ましい。
本発明に好ましく適用することができる酸化珪素としては、例えば、好ましく用いられる酸化珪素粒子は、富士シリシア化学(株)製のサイリシア、日本シリカ(株)製のNipsil E、日本アエロジル(株)製のアエロジルシリーズ、日産化学工業(株)製のコロイダルシリカ、オルガノシリカゾル等を適用することができる。
本発明に係るハードコート層に適用できる無機粒子の平均粒子径としては、5nm以上、1.0μm以下であることが好ましく、更に好ましくは5nm以上、500nm以下である。無機粒子の平均粒子径は、無機粒子を電子顕微鏡で観察し、100個の任意の一次粒子の粒径を求め、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子径はその投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。
本発明に係るハードコート層において、無機粒子含有層における無機粒子の含有量は、本発明で規定する条件を満たす範囲であれば特に制限はない。
(基材上へのハードコート層付与方法)
本発明においては、樹脂基材上にA層ユニットを構成する層と、B層ユニットを構成する層とを交互に積層して構成することを特徴とするが、各構成層を樹脂基材上に形成する方法としては、薄膜を形成する公知の方法を適用することができるが、特に、湿式塗布法により形成することが好ましい。
湿式塗布法とは、硬化樹脂、光重合開始剤等を溶媒、例えば、炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、グリコールエーテル類、その他の溶媒に溶解して、ハードコート層塗布液を調製し、この塗布液を用いて、ウェット状態の薄膜を基材上に形成する方法である。
この様な湿式塗布法に用いられる塗布方式としては、例えば、スピンコート塗布、ディップ塗布、エクストルージョン塗布、ロールコート塗布スプレー塗布、グラビア塗布、ワイヤーバー塗布、エアナイフ塗布、スライドポッパー塗布、カーテン塗布等の公知の溶液を用いた塗布方法(塗布装置)を適用することができる。
上記の塗布方式により基材上に形成したハードコート層(無機粒子含有層)は、膜を硬化する目的で、活性光線が照射される。
ハードコート層を硬化するのに使用する活性エネルギー線としては、放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線などが挙げられるが、紫外線が好ましく、紫外線によりラジカルもしくはカチオンを発生させる上記重合開始剤を添加し、紫外線により硬化させる方法が特に好ましい。
硬化樹脂を光硬化反応により硬化皮膜層を形成するための紫外線を発生する光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を挙げることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は20〜10000mJ/cm程度あればよく、好ましくは、50〜2000mJ/cmである。近紫外線領域〜可視光線領域にかけてはその領域に吸収極大のある増感剤を用いることによって使用出来る。
硬化樹脂を含む塗布液は塗布、乾燥された後、紫外線光源による紫外線照射により硬化するが、照射時間は0.5秒〜5分がよく、硬化樹脂の硬化効率、作業効率とから3秒〜2分がより好ましい。
本発明に係るA層ユニットを構成する層とB層ユニットを構成する層とを交互に積層した構成とするケースとして、図1のb)に示す構成を一例として説明する。
基材上に湿式塗布法により、第1の層である層B1を塗設し、次いで活性光線を照射して硬化した後、第1の層B1上に、第2の層A1を塗設した後、活性光線を照射する。そして、同様にして、B2、A2、B3、A3をそれぞれ所定の膜厚となるように塗布、硬化して形成することができる。
また、本発明に係る積層したハードコート層を形成する湿式塗布法として、例えば、図1のb)で示した構成を例にとると、計6層のハードコート層を同時に塗布する同時重層塗布方式を適用することが、高い生産性が得られる観点で好ましい。
同時重層塗布方式に適用可能な塗布装置としては、複数の塗布液を供給できる供給口あるいは供給スリットを備え、所望の乾燥膜厚となるように各供給口あるいは供給スリットへの塗布液の供給量を制御する手段を備えた装置であり、例えば、エクストルージョン塗布、スライドホッパー塗布、カーテン塗布等の塗布装置を適用することができる。
《金属酸化物層》
本発明のハードコート層付積層体においては、上記方法に従って基材上にハードコート層を形成した後、金属酸化物層をその上に形成することが好ましい。
本発明に係る金属酸化物層は、その構成材料の主成分が金属酸化物により構成されていることが、高い硬度を備えた最表層を形成できる観点から好ましい。
本発明でいう主成分とは、金属酸化物層の80質量%以上が金属酸化物で構成されていることであり、好ましくは90質量%以上が金属酸化物で構成されていることであり、特に好ましくは95質量%以上が金属酸化物で構成されていることである。
本発明に係る金属酸化物層を構成する金属酸化物としては、特に制限はなく、例えば、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、酸化チタン、酸化窒化チタン、窒化チタン、酸化ホウ素又は酸化アルミニウム等の金属酸化物膜が挙げられるが、これらの中でも、高い硬度を備えた表面層が得られる観点から酸化珪素膜であることが、特に好ましい。
本発明に係る金属酸化物層は、例えば、原材料をスプレー法、スピンコート法、スパッタリング法、イオンアシスト法、プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下での大気圧プラズマCVD法等を適用して形成することができる。
しかしながら、スプレー法やスピンコート法等の湿式塗布方式では、分子レベル(nmレベル)の平滑性を得ることが難しく、また溶剤を使用するため、本発明に適用する樹脂基材が有機材料であることから、使用可能な樹脂基材または溶剤が限定されるという欠点がある。そこで、本発明のハードコート層付積層体においては、酸化物層の形成方法としては、プラズマCVD法を適用することが好ましく、特に、大気圧または大気圧近傍の圧力下での大気圧プラズマCVD法は、減圧チャンバー等が不要で、高速製膜ができ生産性の高い製膜方法である点から好ましい。本発明に係る金属酸化物層を大気圧プラズマCVD法で形成することにより、均一かつ表面の平滑性を有する膜を比較的容易に形成することが可能となるからである。尚、大気圧プラズマCVD法の層形成条件の詳細については、後述する。
プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法により得られる金属酸化物層は、原材料(原料ともいう)である有機金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を選ぶことで、様々な特性を備えた各種金属酸化物を生成することができるため好ましい。例えば、珪素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、珪素酸化物が生成する。これは、プラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
このような無機物の原料としては、典型または遷移金属元素を有していれば、常温常圧下で気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合にはそのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、バブリング、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用する。又、溶媒によって希釈して使用してもよく、溶媒は、メタノール,エタノール,n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用できる。尚、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解されるため、影響は殆ど無視することができる。
本発明においては、金属酸化物の形成に用いる有機金属化合物は、
珪素化合物としては、例えば、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51等が挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトライソポロポキシド、チタンn−ブトキシド、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−エチルアセトアセテート)、チタンジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンアセチルアセトネート、ブチルチタネートダイマー等が挙げられる。
ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド、ジルコニウムトリ−n−ブトキシドアセチルアセトネート、ジルコニウムジ−n−ブトキシドビスアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムヘキサフルオロペンタンジオネート等が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、アルミニウムエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、トリエチルジアルミニウムトリ−s−ブトキシド等が挙げられる。
硼素化合物としては、ジボラン、テトラボラン、フッ化硼素、塩化硼素、臭化硼素、ボラン−ジエチルエーテル錯体、ボラン−THF錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体、三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体、トリエチルボラン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリ(イソプロポキシ)ボラン、ボラゾール、トリメチルボラゾール、トリエチルボラゾール、トリイソプロピルボラゾール、等が挙げられる。
錫化合物としては、テトラエチル錫、テトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、テトラエトキシ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、トリイソプロピルエトキシ錫、ジエチル錫、ジメチル錫、ジイソプロピル錫、ジブチル錫、ジエトキシ錫、ジメトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ錫、錫ジブチラート、錫ジアセトアセトナート、エチル錫アセトアセトナート、エトキシ錫アセトアセトナート、ジメチル錫ジアセトアセトナート等、錫水素化合物等、ハロゲン化錫としては、二塩化錫、四塩化錫等が挙げられる。
また、その他の有機金属化合物としては、例えば、アンチモンエトキシド、ヒ素トリエトキシド、バリウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、ベリリウムアセチルアセトナート、ビスマスヘキサフルオロペンタンジオネート、ジメチルカドミウム、カルシウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、クロムトリフルオロペンタンジオネート、コバルトアセチルアセトナート、銅ヘキサフルオロペンタンジオネート、マグネシウムヘキサフルオロペンタンジオネート−ジメチルエーテル錯体、ガリウムエトキシド、テトラエトキシゲルマン、テトラメトキシゲルマン、ハフニウムt−ブドキシド、ハフニウムエトキシド、インジウムアセチルアセトナート、インジウム2,6−ジメチルアミノヘプタンジオネート、フェロセン、ランタンイソプロポキシド、酢酸鉛、テトラエチル鉛、ネオジウムアセチルアセトナート、白金ヘキサフルオロペンタンジオネート、トリメチルシクロペンタジエニル白金、ロジウムジカルボニルアセチルアセトナート、ストロンチウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、タンタルメトキシド、タンタルトリフルオロエトキシド、テルルエトキシド、タングステンエトキシド、バナジウムトリイソプロポキシドオキシド、マグネシウムヘキサフルオロアセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、ジエチル亜鉛、などが挙げられる。
また、これらの金属を含む原料ガスを分解して金属酸化物を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、などが挙げられる。
金属元素を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで、各種の金属酸化物を得ることができる。
これらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合し、プラズマ放電発生装置にガスを送りこむ。
このような放電ガスとしては、窒素ガスおよび/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素がコストも安く好ましい。
上記放電ガスと反応性ガスを混合し、混合ガスとしてプラズマ放電発生装置(プラズマ発生装置)に供給することで膜形成を行う。放電ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し、放電ガスの割合を50%以上として反応性ガスを供給する。
以上のように、上記のような原料ガスを放電ガスと共に使用することにより様々な無機薄膜を形成することができる。
次いで、本発明のハードコート層付積層体の製造方法において、本発明に係る金属酸化物層の形成に好適に用いることのできるプラズマCVD法及び大気圧プラズマCVD法について、更に詳細に説明する。
プラズマCVD法(化学的気相成長法)は、揮発・昇華した有機金属化合物が高温の基材表面に付着し、熱により分解反応が起き、熱的に安定な無機物の薄膜が生成されるというものである。このような通常のCVD法(熱CVD法とも称する)では、通常500℃以上の基板温度が必要であるため、プラスチック基材への製膜には使用することが難しい。
一方、プラズマCVD法は、基材近傍の空間に電界を印加し、プラズマ状態となった気体が存在する空間(プラズマ空間)を発生させ、揮発・昇華した有機金属化合物がこのプラズマ空間に導入されて分解反応が起きた後に基材上に吹きつけられることにより、金属酸化物の薄膜を形成するというものである。プラズマ空間内では、数%の高い割合の気体がイオンと電子に電離しており、ガスの温度は低く保たれるものの、電子温度は非常な高温のため、この高温の電子、あるいは低温ではあるがイオン・ラジカルなどの励起状態のガスと接するために無機膜の原料である有機金属化合物は低温でも分解することができる。したがって、金属酸化物を製膜する樹脂基材についても低温化することができ、樹脂基材上へも十分製膜することが可能な製膜方法である。
しかしながら、プラズマCVD法においては、ガスに電界を印加して電離させ、プラズマ状態とする必要があるため、通常は、0.10kPa〜10kPa程度の減圧空間で製膜していたため、大面積のフィルムを製膜する際には設備が大きく操作が複雑であり、生産性の課題を抱えている方法である。
これに対し、大気圧近傍でのプラズマCVD法では、真空下のプラズマCVD法に比べ、減圧にする必要がなく生産性が高いだけでなく、プラズマ密度が高密度であるために製膜速度が速く、更にはCVD法の通常の条件に比較して、大気圧下という高圧力条件では、ガスの平均自由工程が非常に短いため、極めて平坦な膜が得られ、そのような平坦な膜は、光学特性が良好である。以上のことから、本発明においては、大気圧プラズマCVD法を適用することが、真空下のプラズマCVD法よりも好ましい。
また、この方法によれば、樹脂基材上、更に詳しくはハードコート層上に金属酸化物膜を形成させたときの膜密度が緻密であり、安定した性能を有する薄膜が得られる。また残留応力が圧縮応力で、0.01MPa以上、100MPa以下という範囲の金属酸化物膜が安定に得られることが特徴である。
以下、大気圧あるいは大気圧近傍での大気圧プラズマCVD法を用いた金属酸化物層の形成方法について述べる。
先ず、本発明に係る金属酸化物層の形成に使用されるプラズマ製膜装置の一例について、図2、図3に基づいて説明する。図中、符号Fはハードコート層を有する基材樹脂の一例としての長尺フィルムである。
図2または図3に述べるプラズマ放電処理装置においては、ガス供給手段から、前記金属を含む原料ガス、分解ガスを適宜選択して、またこれらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合してプラズマ放電発生装置にガスを送りこむことで、セラミック膜を得ることができる。
放電ガスとしては、前記のように窒素ガスおよび/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素がコストも安く好ましい。
図2はジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置であり、プラズマ放電処理装置、二つの電源を有する電界印加手段の他に、図2では図示してない(後述の図3に図示してある)が、ガス供給手段、電極温度調節手段を有している装置である。
プラズマ放電処理装置10は、第1電極11と第2電極12から構成されている対向電極を有しており、該対向電極間に、第1電極11からは第1電源21からの周波数ω、電界強度V、電流Iの第1の高周波電界が印加され、また第2電極12からは第2電源22からの周波数ω、電界強度V、電流Iの第2の高周波電界が印加されるようになっている。第1電源21は第2電源22より高い高周波電界強度(V>V)を印加出来、また第1電源21の第1の周波数ωは第2電源22の第2の周波数ωより低い周波数を印加出来る。
第1電極11と第1電源21との間には、第1フィルタ23が設置されており、第1電源21から第1電極11への電流を通過しやすくし、第2電源22からの電流をアースして、第2電源22から第1電源21への電流が通過しにくくなるように設計されている。
また、第2電極12と第2電源22との間には、第2フィルタ24が設置されており、第2電源22から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源21からの電流をアースして、第1電源21から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
第1電極11と第2電極12との対向電極間(放電空間)13に、後述の図4に図示してあるようなガス供給手段からガスGを導入し、第1電極11と第2電極12から高周波電界を印加して放電を発生させ、ガスGをプラズマ状態にしながら対向電極の下側(紙面下側)にジェット状に吹き出させて、対向電極下面と基材Fとで作る処理空間をプラズマ状態のガスG°で満たし、図示してない基材の元巻き(アンワインダー)から巻きほぐされて搬送して来るか、あるいは前工程から搬送して来る基材Fの上に、処理位置14付近で薄膜を形成させる。薄膜形成中、後述の図4に図示してあるような電極温度調節手段から媒体が配管を通って電極を加熱または冷却する。プラズマ放電処理の際の基材樹脂の温度によっては、得られる金属酸化物膜の物性や組成等は変化することがあり、これに対して適宜制御することが望ましい。温度調節の媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材樹脂の温度ムラが出来るだけ生じないように電極の内部の温度を均等に調節することが望まれる。
図3は、本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
本発明に係る大気圧プラズマ放電処理装置は、少なくとも、プラズマ放電処理装置30、二つの電源を有する電界印加手段40、ガス供給手段50、電極温度調節手段60を有している装置である。
図3は、ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との対向電極間(放電空間)32で、基材Fをプラズマ放電処理して薄膜を形成するものである。
ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との間の放電空間(対向電極間)32に、ロール回転電極(第1電極)35には第1電源41から周波数ω、電界強度V、電流Iの第1の高周波電界を、また角筒型固定電極群(第2電極)36には第2電源42から周波数ω、電界強度V、電流Iの第2の高周波電界をかけるようになっている。
ロール回転電極(第1電極)35と第1電源41との間には、第1フィルタ43が設置されており、第1フィルタ43は第1電源41から第1電極への電流を通過しやすくし、第2電源42からの電流をアースして、第2電源42から第1電源への電流を通過しにくくするように設計されている。また、角筒型固定電極群(第2電極)36と第2電源42との間には、第2フィルタ44が設置されており、第2フィルタ44は、第2電源42から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源41からの電流をアースして、第1電源41から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
本発明の大気圧プラズマ放電処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
A1 神鋼電機 3kHz SPG3−4500
A2 神鋼電機 5kHz SPG5−4500
A3 春日電機 15kHz AGI−023
A4 神鋼電機 50kHz SPG50−4500
A5 ハイデン研究所 100kHz* PHF−6k
A6 パール工業 200kHz CF−2000−200k
A7 パール工業 400kHz CF−2000−400k
等の市販のものを挙げることが出来、何れも使用することが出来る。
また、第2電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
B1 パール工業 800kHz CF−2000−800k
B2 パール工業 2MHz CF−2000−2M
B3 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
B4 パール工業 27MHz CF−2000−27M
B5 パール工業 150MHz CF−2000−150M
等の市販のものを挙げることが出来、何れも好ましく使用出来る。
ここで高周波電界の波形としては、特に限定されない。連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モード等があり、そのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側(第2の高周波電界)は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
本発明に適用できる大気圧プラズマ放電処理装置としては、上記説明し以外に、例えば、特開2004−68143号公報、同2003−49272号公報、国際特許第02/48428号パンフレット等に記載されている大気圧プラズマ放電処理装置を挙げることができる。
以上の様な方法に従って、ハードコート層を有する樹脂基材に設けられる金属酸化物層の膜厚は、構成する金属酸化物の種類により異なるが、概ね、50〜2000nmの範囲であることが好ましい。
《基材》
本発明のハードコート層付積層体を構成する基材としては、特に制限はないが、エチレン、プロピレン、ブテン等の単独重合体または共重合体等のポリオレフィン(PO)樹脂、環状ポリオレフィン等の非晶質ポリオレフィン樹脂(APO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン2,6−ナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン12、共重合ナイロン等のポリアミド系(PA)樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等のポリビニルアルコール系樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリサルホン(PS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリビニルブチラート(PVB)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、エチレン−四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、三フッ化塩化エチレン(PFA)、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(FEP)、フッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニル(PVF)、パーフルオロエチレン−パーフロロプロピレン−パーフロロビニルエーテル−共重合体(EPA)等のフッ素系樹脂等を用いることができる。
また、上記に挙げた樹脂以外にも、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物によりなる樹脂組成物や、上記アクリルレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物よりなる樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート等のオリゴマーを多官能アクリレートモノマーに溶解せしめた樹脂組成物等の光硬化性樹脂およびこれらの混合物等を用いることも可能である。
上記例示した樹脂基材は、市販品として入手することができ、例えば、ゼオネックスやゼオノア(日本ゼオン(株)製)、非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルムのARTON(ジェイエスアール(株)製)、ポリカーボネートフィルムのピュアエース(帝人(株)製)、セルローストリアセテートフィルムのコニカタックKC4UX、KC8UX(コニカミノルタオプト(株)製)などを挙げることができる。
さらに、これらの樹脂の1または2種以上をラミネート、コーティング等の手段によって積層させたものを樹脂フィルム基材として用いることも可能である。
また、本発明に係る樹脂基材は、シート状であってもフィルム状であっても、あるいはその他の形態であってもよく、特にその形態には制限はない。また、樹脂基材の膜厚は、使用する樹脂の種類や、目的用途等の各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常10μm〜10mm、好ましくは100μm〜5mmの範囲である。
《適用分野》
以上の方法に従って作製されるハードコート層付積層体は、高い硬度、耐擦過性、耐久性(密着性)、カールに優れた特性を備えており、例えば、ブラウン管(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、電界放出ディスプレイ(FED)等のディスプレイの表面材料や家電製品等のタッチパネル、各種の建築用の窓、例えば、住宅用窓、ショーウインドウ、車両用窓、車両用風防、遊戯機械等のガラス保護フィルム、あるいはガラス代替樹脂製品して、広い分野に適用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
《ハードコート層付積層体の作製》
〔試料101の作製〕
(樹脂基材)
樹脂基材としては、厚さ100μmのポリカーボネート樹脂フィルム(帝人化成(株)製)を用いた。
(ハードコート層用塗布液の調製)
〈A層ユニット用塗布液1の調製:第2層〉
活性エネルギー線硬化樹脂1(A−TMMT、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、新中村化学工業社製、硬化収縮率:35%) 80.0g
光反応開始剤(イルガキュア184、チバ・ジャパン社製) 5.0g
メチルエチルケトン 90.0g
上記各添加剤を順次混合して30分間撹拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルタで濾過して、A層ユニット用塗布液1を調製した。
上記組み合わせによる硬化樹脂の収縮率は、20%である。
〈B層ユニット用塗布液1の調製:第1層、第3層〉
活性エネルギー線硬化樹脂1(A−TMMT、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、新中村化学工業社製、硬化収縮率:35%) 37.0g
活性エネルギー線硬化樹脂2(RS27−921、ウレタンアクリレート、DIC株式会社製、体積収縮率:2%) 63.0g
光反応開始剤(イルガキュア184、チバ・ジャパン社製) 5.0g
メチルエチルケトン 55.0g
上記各添加剤を順次混合して30分間撹拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルタで濾過して、B層ユニット用塗布液1を調製した。
上記組み合わせによる硬化樹脂の収縮率は、5.0%である。
(ハードコート層の形成)
上記樹脂基材上に、B層ユニット用塗布液1を用いて、乾燥膜厚が3.0μmとなる条件で、ワイヤーバーで塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cm、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第1層(B層ユニット)を形成した。次いで、その上に、A層ユニット用塗布液1を用いて、乾燥膜厚が6.0μmとなる条件で、ワイヤーバーで塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第2層(A層ユニット)を形成した。次いで、その上に、B層ユニット用塗布液1を用いて、乾燥膜厚が3.0μmとなる条件で、ワイヤーバーで塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第3層(B層ユニット)を形成し、A層及びB層が交互に積層した3層構成からなる試料101を作製した。
〔試料102の作製〕
上記試料101の作製において、A層ユニット(第2層)の乾燥膜厚を8.0μm、B層ユニット(第1層、第3層)の乾燥膜厚を、それぞれ2.0μmに変更した以外は同様にして、試料102を作製した。
〔試料103の作製〕
上記試料101の作製において、A層ユニット(第2層)単独の構成とし、乾燥膜厚を12.0μmとした以外は同様にして、試料103を作製した。
〔試料104の作製〕
上記試料101の作製において、B層ユニット(第1層)単独の構成とし、乾燥膜厚を12.0μmとした以外は同様にして、試料104を作製した。
〔試料105の作製〕
上記試料101の作製において、B層ユニットの第3層を除き、A層ユニット(第2層)の乾燥膜厚を6.0μm、B層ユニット(第1層)の乾燥膜厚を、6.0μmに変更した以外は同様にして、試料105を作製した。
〔試料106の作製〕
上記試料101の作製において、A層ユニット(第2層)の乾燥膜厚を4.0μm、B層ユニット(第1層、第3層)の乾燥膜厚を、それぞれ4.0μmに変更した以外は同様にして、試料106を作製した。
〔試料107の作製〕
上記試料101の作製において、下記のハードコート層の形成方法に変更した以外は同様にして、試料107を作製した。
(ハードコート層の形成)
上記樹脂基材上に、A層ユニット用塗布液1を用いて、乾燥膜厚が3.0μmとなる条件で、ワイヤーバーで塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cm、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第1層(A層ユニット)を形成した。次いで、その上に、B層ユニット用塗布液1を用いて、乾燥膜厚が3.0μmとなる条件で、ワイヤーバーで塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第2層(B層ユニット)を形成した。次いで、その上に、A層ユニット用塗布液1を用いて、乾燥膜厚が3.0μmとなる条件で、ワイヤーバーで塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第3層(A層ユニット)を形成し、次いで、その上に、B層ユニット用塗布液1を用いて、乾燥膜厚が3.0μmとなる条件で、ワイヤーバーで塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第4層(B層ユニット)を形成し、A層及びB層が交互に積層した4層構成からなる試料107を作製した。
〔試料108の作製〕
上記試料107の作製において、A層ユニットとB層ユニットの配置を逆にして、基材側より、第1層(B層ユニット、3.0μm)、第2層(A層ユニット、3.0μm)、第3層(B層ユニット、3.0μm)、第4層(A層ユニット、3.0μm)の構成に変更した以外は同様にして、試料108を作製した。
〔試料109〜114の作製〕
上記試料101の作製において、A層ユニット用塗布液(第2層)の構成を、表1に記載のA層ユニット用塗布液2〜7(第2層用)にそれぞれ変更した以外は同様にして、試料109〜114を作製した。
Figure 2010058476
〔試料115〜118の作製〕
上記試料101の作製において、B層ユニット用塗布液(第1層、第3層)の構成を、表2に記載のB層ユニット用塗布液2〜5(第1層、第3層用)に変更した以外は同様にして、試料115〜118を作製した。
Figure 2010058476
なお、表1、表2に略称で記載の各活性エネルギー線硬化樹脂の詳細は、以下の通りである。
A−TMMT:ペンタエリスリトールテトラアクリレート、新中村化学工業社製
RS27−921:ウレタンアクリレート、DIC株式会社製
〔試料119〜122の作製〕
上記試料101の作製において、第1層〜第3層の各層乾燥膜厚を、表3に記載の様に変更した以外は同様にして、試料121〜122を作製した。
〔試料123〜126の作製〕
上記試料108の作製において、第1層〜第4層の各層乾燥膜厚を、表3に記載の様に変更した以外は同様にして、試料123〜126を作製した。
〔試料127の作製〕
上記試料126の作製において、A層ユニット用塗布液(第2層、第4層)の形成を、下記のA層ユニット用塗布液8(第2層、第4層用)に変更した以外は同様にして、試料127を作製した。
〈A層ユニット用塗布液8の調製:第2層、第4層〉
活性エネルギー線硬化樹脂1(A−TMMT、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、新中村化学工業社製) 80.0g
活性エネルギー線硬化樹脂2(RS27−921、ウレタンアクリレート、DIC株式会社製) 20.0g
光反応開始剤(イルガキュア184、チバ・ジャパン社製) 5.0g
無機粒子分散液(30質量%酸化珪素含有、メチルエチルケトン分散シリカゾル(日産化学(株)製、商品名MEK−ST)、平均粒径:15nm) 570g
上記各添加剤を順次混合して30分間撹拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルタで濾過して、A層ユニット用塗布液8を調製した。
上記組み合わせによる硬化樹脂の収縮率は、20%である。また、A層ユニット用塗布液8における乾燥膜中の無機粒子(酸化珪素)の充填率(固形分比率)は50体積%である。
なお、乾燥膜中の無機粒子の充填率は、A層ユニット用塗布液8を用いてハードコート層を形成した後、樹脂基材よりハードコート層を剥離して全体積を測定し、次いで、樹脂成分を溶解して無機粒子の体積を測定し、それらの測定値より求めた。
〔試料128の作製〕
上記試料127の作製において、B層ユニット用塗布液(第1層、第3層)の形成を、下記のB層ユニット用塗布液6(第1層、第3層用)に変更した以外は同様にして、試料128を作製した。
〈B層ユニット用塗布液6の調製:第1層、第3層〉
活性エネルギー線硬化樹脂1(A−TMMT、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、新中村化学工業社製) 37.0g
活性エネルギー線硬化樹脂2(RS27−921、ウレタンアクリレート、DIC株式会社製) 63.0g
光反応開始剤(イルガキュア184、チバ・ジャパン社製) 5.0g
無機粒子分散液(30質量%酸化珪素含有、メチルエチルケトン分散シリカゾル(日産化学(株)製、商品名MEK−ST)、平均粒径:15nm) 25.0g
メチルエチルケトン 45.0g
上記各添加剤を順次混合して30分間撹拌した後、孔径1μmのポリプロピレン製フィルタで濾過して、B層ユニット用塗布液6を調製した。
上記組み合わせによる硬化樹脂の収縮率は、5%である。また、B層ユニット用塗布液6における乾燥膜中の無機粒子(酸化珪素)の充填率(固形分比率)は5体積%である。
なお、乾燥膜中の無機粒子の充填率は、B層ユニット用塗布液6を用いてハードコート層を形成した後、樹脂基材よりハードコート層を剥離して全体積を測定し、次いで、樹脂成分を溶解して無機粒子の体積を測定し、それらの測定値より求めた。
〔試料129の作製〕
上記試料127の作製において、A層ユニット(第2層、第4層)の形成に用いたA層ユニット用塗布液8(第2層、第4層用)の酸化珪素粒子を、一次平均粒子径が15nmの酸化チタン粒子に変更した以外は同様にして、試料129を作製した。
〔試料130の作製〕
上記試料127の作製において、A層ユニット(第2層、第4層)の形成に用いたA層ユニット用塗布液8(第2層、第4層用)の酸化珪素粒子を、一次平均粒子径が15nmの酸化ジルコニウム粒子に変更した以外は同様にして、試料130を作製した。
〔試料131〜134の作製〕
上記試料127の作製において、A層ユニット(第2層、第4層)の形成に用いたA層ユニット用塗布液8(第2層、第4層用)の酸化珪素粒子(一次平均粒子径15nm)を、それぞれ一次平均粒径が7nm、200nm、450nm、850nmの酸化珪素粒子に変更した以外は同様にして、試料131〜134を作製した。
〔試料135の作製〕
上記試料101の作製において、下記のハードコート層の形成方法に変更した以外は同様にして、試料135を作製した。
(ハードコート層の形成)
上記樹脂基材上に、B層ユニット用塗布液1を用いて、乾燥膜厚が3.0μmとなる条件で、ワイヤーバーで塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cm、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第1層(B層ユニット)を形成した。次いで、その上に、A層ユニット用塗布液1を用いて、乾燥膜厚が1.0μmとなる条件で、ワイヤーバーで塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第2層(A層ユニット)を形成した。次いで、その上に、B層ユニット用塗布液1を用いて、乾燥膜厚が2.0μmとなる条件で、ワイヤーバーで塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第3層(B層ユニット)を形成し、次いで、その上に、A層ユニット用塗布液1を用いて、乾燥膜厚が2.0μmとなる条件で、ワイヤーバーで塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第4層(A層ユニット)を形成した。次いで、その上に、B層ユニット用塗布液1を用いて、乾燥膜厚が1.0μmとなる条件で、ワイヤーバーで塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第5層(B層ユニット)を形成し、次いで、その上に、A層ユニット用塗布液1を用いて、乾燥膜厚が3.0μmとなる条件で、ワイヤーバーで塗布し、90℃で乾燥した後、紫外線ランプを用い、照射部の照度が100mW/cmで、照射量を80mJ/cmとして硬化させ、ハードコート層の第6層(A層ユニット)を形成し、A層及びB層が交互に積層した6層構成からなる試料135を作製した。
〔試料136の作製〕
上記試料135の作製において、各層(第1層から第6層)の乾燥膜厚を、表4に記載のように変更した以外は同様にして、試料136を作製した。
〔試料137の作製〕
上記試料136の作製において、第1層〜第6層の各塗布液を、6層同時重層塗布可能なスライドホッパー方式の塗布装置を用いて、基材上に塗布し、10秒間その状態を維持した後、試料136に記載の方法と同様にして乾燥及び硬化を行った以外は同様にして、試料137を作製した。
〔試料138の作製〕
(ハードコート層の形成)
上記試料137の作製において、A層ユニット用塗布液1を、試料127の作製に用いたA層ユニット用塗布液8(乾燥後の膜中に無機微粒子を充填率50%で含有)に代えた以外は同様にして、基材上に6層構成のハードコート層を同時重層塗布方式で形成した。
(金属酸化物層の形成)
上記形成したハードコート層上に、下記に示すプラズマCVD法に従って金属酸化物層を形成し、試料138を得た。
薄膜形成装置として、サムコ社製プラズマCVD装置Model PD−270STPを用いて、金属酸化物層の形成を行った。
製膜条件は以下の通りである。
酸素圧力:40Pa
反応ガス:テトラエトキシシラン(TEOS)5sccm(standard cubic centimeter per minute)
電力:13.56MHzで100W
基材保持温度:120℃
〔試料139の作製〕
上記試料138の作製において、金属酸化物層の形成に用いる原料をテトラエトキシシラン(TEOS)に代えて、テトライソプロポキシチタンに変更して、酸化チタンから構成される金属酸化物層に変更した以外は同様にして、試料139を作製した。
〔試料140の作製〕
上記試料139の作製において、金属酸化物層の形成方法を、プラズマCVD法に代えて、下記に示す大気圧プラズマCVD法に変更した以外は同様にして、試料140を作製した。
(プラズマCVD法)
図3に示すロール電極型放電処理装置を用いて、大気圧プラズマ放電処理により、上記基材上にハードコート層を形成した試料の第6層上に、膜厚が150nmで,酸化チタンのみで構成される金属酸化物層を形成して、ハードコート層付積層体である試料142を作製した。
図3に示す放電処理装置は、ロール電極に対向して棒状電極を複数個フィルムの搬送方向に対し平行に設置し、各電極部に原料(下記放電ガス、反応ガス1、2)及び電力を投入出来る構造を有する。
ここで各電極を被覆する誘電体は対向する電極共に、セラミック溶射加工のものに片肉で1mm被覆した。被覆後の電極間隙は、1mmに設定した。また誘電体を被覆した金属母材は、冷却水による冷却機能を有するステンレス製ジャケット仕様であり、放電中は冷却水による電極温度コントロールを行いながら実施した。ここで使用する電源は、応用電機製高周波電源(80kHz)、パール工業製高周波電源(13.56MHz)を使用した。その他処理条件は以下の通りである。
〈金属酸化物層(酸化チタン)の形成条件〉
放電ガス:Nガス
反応ガス1:酸素ガスを全ガスに対し5%
反応ガス2:テトライソプロポキシチタンを全ガスに対し0.1%
低周波側電源電力:80kHz、10W/cm
高周波側電源電力:13.56MHz、10W/cm
〔試料141の作製〕
上記試料140の作製において、金属酸化物層の形成で用いる反応ガス2に含有する原料をテトライソプロポキシチタンに代えて、テトラエトキシシラン(TEOS)を用いた以外は同様にして、試料141を作製した。
〔試料142の作製〕
上記試料141の作製において、ハードコート層ユニットの形成を、6層同時重層塗布方式に代えて、試料136と同様に、各層を順次塗布、乾燥、硬化を繰り返して、各層を形成した以外は同様にして、試料142を作製した。
〔試料143の作製〕
上記試料142の作製において、ハードコート層ユニットの構成を、試料137のハードコート層ユニットと同様の構成に変更した以外は同様にして、試料143を作製した。
〔試料144の作製〕
上記試料143の作製において、ハードコート層ユニットの形成を、6層同時重層塗布方式に代えて、試料136と同様に、各層を順次塗布、乾燥、硬化を繰り返して、各層を形成した以外は同様にして、試料144を作製した。
以上により作製した試料101〜144の主要構成を、表3、表4に示す。
Figure 2010058476
Figure 2010058476
なお、表4において、金属酸化物層の形成方法を略号で記載したが、詳細は以下の通りである。
〈金属酸化物層の形成方法〉
方法1:プラズマCVD法、酸化珪素膜
方法2:プラズマCVD法、酸化チタン膜
方法3:大気圧プラズマCVD法、酸化チタン膜
方法4:大気圧プラズマCVD法、酸化珪素膜
〔試料119の作製〕
上記試料101の作製において、B層ユニット用塗布液(第1層、第3層)の構成を、下記のB層ユニット用塗布液6(第1層、第3層用)に変更した以外は同様にして、試料116を作製した。
《ハードコート層付積層体の評価》
上記作製したハードコート層付積層体(試料101〜144)について、下記の各評価を行った。
〔密着性の評価〕
上記作製した各ハードコート層付積層体を、JIS K 5400に準拠した碁盤目試験により、密着性の評価を行った。
各ハードコート層付積層体を形成した面に、片刃のカミソリの刃で表面に対して90度の切り込みを1mm間隔で縦横に11本ずつ入れ、1mm角の碁盤目を100個作成した。この碁盤目上に市販のセロファンテープを貼り付け、その一端を手でもって垂直にはがし、切り込み線からの貼られたテープ面積に対するハードコート層が剥がされた面積の割合を測定し、下記の評価基準に従って密着性を評価した。
◎:全く剥離が認められない
○:剥がれた層の面積が1%以上、5%未満であった
△:剥がれた層の面積が5%以上、10%未満であった
×:剥がれた層の面積が、10%以上、20%未満であった
××:剥がれた層の面積が、20%以上である
〔硬度の評価〕
(評価1:鉛筆硬度試験)
JIS S 6006が規定する試験用鉛筆を用いて、JIS K 5400が規定する鉛筆硬度評価方法に従い測定した。試験には、鉛筆硬度試験機(HA−301 クレメンス型引掻硬度試験機)を使用した。硬度のランクは(軟)6B〜B、HB、F、H〜9H(硬)の順に6Bが最も柔らかく、9Hが最も硬い。
(評価2:耐擦過性の評価)
上記作製した各ハードコート層付積層体表面(ハードコート層形成面側)を、摩擦試験機HEIDON−14DRで、スチールウール(ボンスター #0000)を用い、荷重:65kPa、移動速度:15mm/分の条件で、20回の擦過処理を行った後、1cm×1cmの範囲をルーペで観察し、下記の基準に従って、耐擦過性の評価を行った。
5:全く擦り傷の発生が認められない
4:擦り傷の発生が1本以上、5本以下である
3:擦り傷の発生が6本以上、15本以下である
2:擦り傷の発生が16本以上、25本以下である
1:擦り傷の発生が26本以上である
〔カールの評価〕
各試料を20cm×25cmに裁断し、ハードコート層形成面を上にして23℃、55%RHの環境下で24時間放置した後、4隅に浮き上がり高さを測定し、下記の基準に従ってカールを評価した。
◎:カール平均値が、2mm未満である
○:カール平均値が、2mm以上、4mm未満である
△:カール平均値が、4mm以上、6mm未満である
×:カール平均値が、6mm以上、10mm未満である
××:カール平均値が、10mm以上である
以上により得られた結果を、表5に示す。
Figure 2010058476
表5に記載の結果より明らかな様に、本発明で規定する構成からなるハードコート層を有する本発明のハードコート層付積層体は、比較例に対し、基材との密着性に優れ、かつ最表面の鉛筆硬度試験、耐擦過性に優れ、高い硬度を備え、かつカール特性に優れていることが分かる。
本発明のハードコート層付積層体の代表的な層構成の一例を示す断面図である。 本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。 本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 ハードコート層付積層体
2 基材
A1〜A3、B1〜B3 ハードコート層
3 金属酸化物層
10、30 プラズマ放電処理装置
11 第1電極
12 第2電極
14 処理位置
21、41 第1電源
22、42 第2電源
32 放電空間(対向電極間)
40 電界印加手段
50 ガス供給手段
52 給気口
53 排気口
F 基材
G ガス
G° プラズマ状態のガス

Claims (15)

  1. 基材の少なくとも一方の面に、ハードコート層を積層したハードコート層付積層体において、該ハードコート層は、硬化収縮率が異なる硬化樹脂を含有する2種の層が、交互に3層以上積層された構造であり、硬化収縮率がA%の硬化樹脂Aを含有する層群をA層ユニット、硬化収縮率がB%の硬化樹脂Bを含有する層群をB層ユニットとしたとき、該収縮率A及びBはA>Bの関係にあり、基材に最も近い位置に設けられるハードコート層は該B層ユニットに属し、該B層ユニットは、少なくとも2層で構成され、該A層ユニットの乾燥膜厚の総和ΣAhと該B層ユニットの乾燥膜厚の総和ΣBhとが、ΣAh≧ΣBhの関係を満たすことを特徴とするハードコート層付積層体。
  2. 前記A層ユニットが含有する硬化樹脂Aの収縮率が10%以上、60%以下であり、前記B層ユニットが含有する硬化樹脂Bの収縮率が0%以上、30%以下であることを特徴とする請求項1に記載のハードコート層付積層体。
  3. 前記A層ユニットが含有する硬化樹脂Aの硬化収縮率が10%以上、30%以下であり、前記B層ユニットが含有する硬化樹脂Bの硬化収縮率が0%以上、10%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載のハードコート層付積層体。
  4. 前記B層ユニットを構成する各層の乾燥膜厚が、基材に向かって増加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
  5. 前記B層ユニットを構成する層のうち、基材から最も遠い位置にある層の乾燥膜厚が、0.1μm以上、2μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
  6. 前記A層ユニットを構成する各層の乾燥膜厚が、基材に向かって減少することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
  7. 前記A層ユニットを構成する層のうち、基材から最も遠い位置にある層の乾燥膜厚が、3μm以上、10μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
  8. 前記ハードコート層の少なくとも1層が、無機粒子を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
  9. 前記無機粒子の平均粒子径が、5nm以上、1.0μm以下であることを特徴とする請求項8に記載のハードコート層付積層体。
  10. 前記ハードコート層が、湿式塗布法により形成されたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
  11. 前記湿式塗布法が、複数の層を同時に塗布する同時重層塗布方式で形成されることを特徴とする請求項10に記載のハードコート層付積層体。
  12. 前記ハードコート層の最表面に、金属酸化物層を積層した構成であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のハードコート層付積層体。
  13. 前記金属酸化物層の主成分が、酸化珪素であることを特徴とする請求項12に記載のハードコート層付積層体。
  14. 前記金属酸化物層が、プラズマCVD法により形成されたことを特徴とする請求項12または13に記載のハードコート層付積層体。
  15. 前記プラズマCVD法が、大気圧または大気圧近傍の圧力下でプラズマ処理する大気圧プラズマCVD法であることを特徴とする請求項14に記載のハードコート層付積層体。
JP2008229407A 2008-09-08 2008-09-08 ハードコート層付積層体 Pending JP2010058476A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20140059702A (ko) 2012-11-08 2014-05-16 닛토덴코 가부시키가이샤 광전기 혼재 기판

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