JP2010037429A - 自動車用フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、耐薬品性および表面硬度に優れた自動車用アクリルフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】
アクリル系樹脂組成物(E)100重量部に対して、酸価が0.3〜5.5mmol/gおよび重量平均分子量が3000〜30000、ガラス転移温度が40〜115℃である可塑剤を1〜15重量部含有する、アクリル樹脂組成物を成形してなる自動車用アクリルフィルムであって、アクリル系樹脂組成物(E)が、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物(A)を重合して得られるアクリル系樹脂(C)からなるアクリル樹脂組成物であることを特徴とする自動車用アクリルフィルムとすることにより、耐薬品性[特に、耐日焼け止め剤性]および表面硬度に優れるフィルムを得ることができる。
【選択図】 なし
【解決手段】
アクリル系樹脂組成物(E)100重量部に対して、酸価が0.3〜5.5mmol/gおよび重量平均分子量が3000〜30000、ガラス転移温度が40〜115℃である可塑剤を1〜15重量部含有する、アクリル樹脂組成物を成形してなる自動車用アクリルフィルムであって、アクリル系樹脂組成物(E)が、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物(A)を重合して得られるアクリル系樹脂(C)からなるアクリル樹脂組成物であることを特徴とする自動車用アクリルフィルムとすることにより、耐薬品性[特に、耐日焼け止め剤性]および表面硬度に優れるフィルムを得ることができる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、自動車用フィルムに好適なアクリル樹脂フィルムに関する。
近年、自動車内外装部品の最外装に、基材の保護や加飾を目的として樹脂フィルムを導入する用途において、高意匠化の要求が高まっており、透明性に優れるアクリルフィルムが関心をもたれている。しかし、従来のアクリルフィルムでは、この用途において必要特性である耐薬品性、耐熱性および耐折り曲げ性、折り曲げ白化性が十分ではなかった。また、従来のアクリル樹脂より得られるフィルムでは、フィルムの表面硬度が不足し、傷つき易い傾向があった。
そこで、これらの特性を付与した樹脂として、アクリル系樹脂をイミド化剤で処理し、高分子鎖中にイミド基を導入することにより得られるポリグルタルイミドが知られており、耐薬品性、耐熱性、熱安定性および硬度に優れる。特に耐熱性、耐薬品性に優れるものとして、メタクリル酸またはメタクリル酸第三ブチルエステル、もしくはその両方とをメタクリル酸メチルと共重合し、加熱処理することにより酸無水物単位を形成させた後、イミド化剤と反応させ、耐熱性、透明性、耐溶剤性を改良したイミド化アクリル樹脂が開示されている(特許文献1参照)。
しかし、該樹脂は非常に脆いため、該樹脂をフィルム化し、基材にラミネートして用いるような場合に、加工特性として必要である耐折曲げ性に劣るという欠点を有していた。
そこで、これらの欠点への対応として、特定組成のメタクリル酸エステル系重合およびアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子からなり、かつ、該架橋弾性体粒子(B)の平均粒子径と多官能性単量体の使用量が特定の関係式を満たすメタクリル系樹脂組成物を、イミド化剤で処理して得られる耐薬品性、耐熱性、熱安定性、硬度に優れ、耐折り曲げ性および折り曲げ白化性を改良したイミド化アクリル樹脂が開示されている(特許文献2参照)。該イミド化アクリル樹脂は耐薬品性に優れるが、近年の自動車部材用途では日焼け止め薬剤[例えば、コパトーン(登録商標)]等にも対応できる耐薬品性を要求されるようになってきており、このような特殊な薬剤に対する耐薬品性において、更なる改良が望まれていた。
他方、予め不飽和カルボン酸を15〜50重量%共重合させた樹脂を加熱処理することによりグルタル酸無水物基を形成させ、耐熱性、耐溶剤性、光学等方性を改良したゴム含有アクリル樹脂が開示されている(特許文献3参照)。しかし、該樹脂のように酸無水物基を多く含む場合、有機溶剤などへの耐性に優れるものの、アルカリ水溶液などへの耐性が悪化するという欠点がある。
よって、各種耐薬品性のバランスや、折り曲げ性、硬度などの多岐にわたる物性を有した自動車用アクリルフィルムは存在せず、開発が望まれていた。
特開昭62−4704号
特開2005−290136号
特開2004−292812号
本発明は、各種薬品に対する耐薬品性、耐折り曲げ白化性に優れ、表面硬度の改善された自動車用アクリルフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、特定の酸価および分子量を有する可塑剤を特定量含有するアクリル樹脂組成物から得られるアクリルフィルムが、耐日焼け止めクリーム性、耐アルカリ性および耐キシレン性に優れ、熱安定性、耐折り曲げ白化性を有する自動車用フィルムを製造することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
アクリル系樹脂組成物(E)100重量部に対して、酸価が0.3〜5.5mmol/gおよび重量平均分子量が3000〜30000、ガラス転移温度が40〜115℃である可塑剤を1〜15重量部含有する、アクリル樹脂組成物を成形してなる自動車用フィルムであって、
アクリル系樹脂組成物(E)が、
アクリル酸アルキルエステル単量体50〜100重量%、メタクリル酸アルキルエステル単量体0〜50重量%を含む単量体混合物100重量部に対し、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体0.5〜5重量部を混合、重合して得られるアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下、
メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物(A)を重合して得られるアクリル系樹脂(C)からなることを特徴とする自動車用アクリルフィルム(請求項1)に関する。
アクリル系樹脂組成物(E)100重量部に対して、酸価が0.3〜5.5mmol/gおよび重量平均分子量が3000〜30000、ガラス転移温度が40〜115℃である可塑剤を1〜15重量部含有する、アクリル樹脂組成物を成形してなる自動車用フィルムであって、
アクリル系樹脂組成物(E)が、
アクリル酸アルキルエステル単量体50〜100重量%、メタクリル酸アルキルエステル単量体0〜50重量%を含む単量体混合物100重量部に対し、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体0.5〜5重量部を混合、重合して得られるアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下、
メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物(A)を重合して得られるアクリル系樹脂(C)からなることを特徴とする自動車用アクリルフィルム(請求項1)に関する。
さらにアクリル系樹脂組成物(E)が、
さらに、酸価が0.7mmol/g未満である熱可塑性樹脂(D)を含む、請求項1記載の自動車用アクリルフィルム(請求項2)に関する。
さらに、酸価が0.7mmol/g未満である熱可塑性樹脂(D)を含む、請求項1記載の自動車用アクリルフィルム(請求項2)に関する。
さらにアクリル系樹脂組成物(E)が、アクリル系樹脂(C)50〜99重量%、熱可塑性樹脂(D)0〜50重量%からなる[(C)と(D)の合計が100重量%]、請求項1〜2のいずれかに記載の自動車用アクリルフィルム(請求項3)に関する。
さらにアクリル系樹脂組成物の酸価が0.2〜0.7mmol/gである、請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用アクリルフィルム(請求項4)に関する。
さらに請求項1〜4のいずれかに記載の自動車内装用アクリルフィルム(請求項5)に関する。
さらに請求項1〜4のいずれかに記載の自動車外装用アクリルフィルム(請求項6)に関する。
さらに請求項1〜4のいずれかに記載の自動車用アクリルフィルムを積層して得られる、積層品(請求項7)に関する。
さらに請求項5記載の自動車内装用アクリルフィルムを積層して得られる、自動車内装用部品(請求項8)に関する。
さらに請求項6に記載の自動車外装用アクリルフィルムを積層して得られる、自動車外装用部品(請求項9)に関する。
本発明によれば、耐薬品性、耐折り曲げ白化性に優れ、表面硬度の改善された自動車用アクリルフィルムを提供することが可能である。
本発明において、「アクリル系樹脂(E)」とは、アクリル系樹脂(C)あるいは、アクリル系樹脂(C)と熱可塑性樹脂(D)とのブレンド樹脂を意味する。
本発明のアクリル樹脂組成物においては、アクリル系樹脂組成物(E)に対して特定の可塑剤を含有することにより、得られるフィルムの耐薬品性を改良することができる。
本発明で用いられる可塑剤は、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基あるいはその無水物が含有されるものが好ましい。また、可塑剤に含まれる他の共重合単量体単位としては、(メタ)アクリル酸単量体と共重合可能なエチレン系不飽和単量体単位であれば、特に制限はない。共重合可能なエチレン系不飽和単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル;塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;ビニルトルエン、ビニルナフタレン、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;塩化ビニリデン、弗化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム等のアクリル酸塩;アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド等のアクリル酸アルキルエステル誘導体;メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カルシウム等のメタクリル酸塩、メタクリルアミド、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸アルキルエステル誘導体等があげられる。これらの単量体は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明に用いられる可塑剤の酸価は、0.3〜5.5mmol/gであることが好ましく、2.0〜4.5mmol/gであることがより好ましい。可塑剤の酸価が0.3mmol/g未満では、得られるアクリル樹脂組成物の耐薬品性が不足する場合があり、酸価が5.5mmol/g超では、得られるフィルムの透明性が悪くなる場合がある。
なお、本発明における酸価とは、溶剤に溶解した樹脂に所定量の水酸化ナトリウム水溶液を加え、その溶液を塩酸水溶液で中和滴定することにより、測定した値である。
なお、本発明における酸価とは、溶剤に溶解した樹脂に所定量の水酸化ナトリウム水溶液を加え、その溶液を塩酸水溶液で中和滴定することにより、測定した値である。
本発明で用いられる可塑剤の重量平均分子量は、3000〜30000の範囲が好ましく、5000〜20000の範囲がより好ましい。可塑剤の重量平均分子量が3000未満では、Tダイ押出法によりフィルム等を成形する際、Tダイリップに目ヤニが付着しやくすくなる傾向があり、重量平均分子量が30000超では、得られるアクリル樹脂組成物の流動性が低くなり、得られるフィルムにダイラインが目立つ傾向がある。
本発明で用いられる可塑剤のガラス転移温度は、40〜115℃の範囲が好ましく、60〜110℃の範囲がより好ましい。可塑剤のガラス転移温度が40℃未満では、得られるアクリル樹脂組成物の耐熱性が不足する場合があり、得られるフィルムの透明性が悪くなる場合がある。
なお、本発明におけるガラス転移温度は、示差走査熱量計[DSC、(株)島津製作所製、DSC−50型]を用いて、窒素雰囲気下で測定することにより、測定した値である。
なお、本発明におけるガラス転移温度は、示差走査熱量計[DSC、(株)島津製作所製、DSC−50型]を用いて、窒素雰囲気下で測定することにより、測定した値である。
本発明のアクリル樹脂組成物における可塑剤の含有量は、アクリル系樹脂組成物(E)100重量部に対して、1〜15重量部であることが好ましく、3〜10重量部であることがより好ましい。可塑剤の含有量が1重量部未満では、得られるアクリル樹脂組成物の耐薬品性が不足する傾向があり、15重量部超では、得られるフィルムの耐アルカリ性が悪化したり、透明性が悪くなる場合がある。
本発明のアクリル樹脂組成物におけるアクリル系樹脂組成物(E)としては、アクリル系樹脂(C)単体のみでも良いが、流動性の点から、アクリル系樹脂(C)と熱可塑性樹脂(D)との混合樹脂であることが好ましい。
本発明におけるアクリル系樹脂(C)は、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体混合物(A)を重合して得られる樹脂であることが、フィルムの透明性や強度の点から、好ましい。
本発明のアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)は、アクリル酸アルキルエステル単量体50〜100重量%、メタクリル酸アルキルエステル単量体0〜50重量%を含む単量体混合物100重量部に対し、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体0.5〜5重量部を、1段以上で共重合させてなるものである(多段階に、単量体組成または反応条件を調整することも可能である。)。より好ましい単量体混合物の組成は、アクリル酸アルキルエステル単量体60〜100重量%、メタクリル酸アルキルエステル単量体0〜40重量%を含むものである。メタクリル酸アルキルエステル単量体が50重量%以下であれば、得られるアクリル樹脂組成物から形成しうる成形体、フィルムの耐折曲げ性の視点から、好ましい。
架橋弾性体粒子(B)に用いられる単量体混合物のアクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル等の反応性単量体としては、重合反応性やコストの点から、アルキル基の炭素数が1〜12であるものが好ましい。その具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル等があげられ、これらの単量体は単独で使用してもよく、2種以上を組合せて使用してもよい。
また、本発明の架橋弾性体粒子(B)の単量体混合物には、必要に応じて、アクリル酸アルキルエステル単量体、メタアクリル酸エステル単量体と共重合可能なエチレン系不飽和単量体等を共重合してもかまわない。共重合可能なエチレン系不飽和単量体としては、例えば、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、塩化ビニリデン、弗化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カルシウム等のアクリル酸およびその塩、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリルアミド、N−メチロ−ルアクリルアミド等のアクリル酸アルキルエステル誘導体、メタクリル酸、メアクリル酸ナトリウム、メタアクリル酸カルシウム等のメタクリル酸およびその塩、メタクリルアミド、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル等のメタクリル酸アルキルエステル誘導体等があげられる。これらの単量体は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明のアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)は、1分子あたり2個以上の非共役な反応性二重結合を有する多官能性単量体が共重合されているため、通常、得られる重合体が架橋弾性を示す。また、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の重合時に反応せずに残った多官能性単量体の一方の反応性官能基(二重結合)がグラフト交叉点となって、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体混合物(A)の一部が、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)にグラフト化されるものと考えられる。
本発明において用いられる多官能性単量体としては、例えば、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼンエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼンエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレートおよびジプロピレングリコールジアクリレート等があげられる。これらの多官能性単量体は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明のアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)における多官能性単量体の共重合量は、単量体混合物100重量物に対して、0.5〜5重量部が好ましく、1.0〜4重量部がより好ましい。多官能性単量体の共重合量が0.5〜5重量部であれば、耐折り曲げ性、耐折り曲げ白化性および樹脂の流動性の視点から好ましい。
本発明のアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の平均粒子径は、500〜2000Åが好ましく、500〜1600Åがより好ましく、500〜1200Åがさらに好ましく、600〜1200Åが特に好ましい。平均粒子径が500〜2000Åであれば、耐折り曲げ性、耐折り曲げ白化性および透明性の視点から好ましい。
本発明で用いられるアクリル系樹脂(C)は、前記アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下に、メタクリル酸アルキルエステルを主成分とする単量体混合体(A)を重合させて得られるものである。好ましくは、前記アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)5〜75重量部の存在下に、後述する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体混合物(A)95〜25重量部を少なくとも1段階以上で重合させることより得られるものである。
本発明のアクリル系樹脂(C)における単量体混合物(A)の組成は、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%が好ましく、メタクリル酸アルキルエステル60〜100重量%およびアクリル酸アルキルエステル0〜40重量%がより好ましい。アクリル酸アルキルエステルが50重量%を超えると、得られるメタクリル系樹脂組成物から形成しうるフィルムの耐熱性および硬度が低下する傾向がある。また、必要に応じて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能なエチレン系不飽和単量体等を共重合してもかまわない。共重合可能なエチレン系不飽和単量体の具体例は、前記架橋弾性体粒子(B)で用いたものが使用可能である。
この際、単量体混合物(A)においては、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)にグラフト反応せずに、未グラフトの重合体となる成分(フリーポリマー)が生じる。
アクリル系樹脂(C)の一部[(B)およびグラフトされた(A)]は、メチルエチルケトンに不溶となる。
本発明におけるアクリル系樹脂(C)のグラフト率は、100〜160%が好ましく、120〜140%がより好ましい。グラフト率が上記範囲であれば、得られる(メタ)アクリル系樹脂フィルムの無色透明性、折り曲げ白化性の面から好ましい。
なお、本発明のアクリル系樹脂(C)のグラフト率とは、以下の方法で算出したものである。
すなわち、アクリル系樹脂(C)1gをメチルエチルケトン40mlに溶解させ、遠心分離機(日立工機(株)製、CP60E)を用い、回転数3000rpmにて、1時間遠心分離し、デカンテーションにより、メチルエチルケトンに対する不溶分と可溶分とに分離する。得られたメチルエチルケトン不溶分を、アクリル酸エステル系架橋弾性体含有グラフト共重合体として、得られた次式により算出した。
グラフト率(%)={(メチルエチルケトン不溶分の重量−アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の重量)/アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の重量}×100
すなわち、アクリル系樹脂(C)1gをメチルエチルケトン40mlに溶解させ、遠心分離機(日立工機(株)製、CP60E)を用い、回転数3000rpmにて、1時間遠心分離し、デカンテーションにより、メチルエチルケトンに対する不溶分と可溶分とに分離する。得られたメチルエチルケトン不溶分を、アクリル酸エステル系架橋弾性体含有グラフト共重合体として、得られた次式により算出した。
グラフト率(%)={(メチルエチルケトン不溶分の重量−アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の重量)/アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の重量}×100
本発明のアクリル系樹脂(C)の製造方法は特に限定されず、公知の乳化重合法、乳化−懸濁重合法、懸濁重合法などが適用可能であるが、乳化重合法が特に好ましい。
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の重合、および(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体混合物(A)の重合における開始剤としては、公知の有機系過酸化物、無機系過酸化物、アゾ化合物などの開始剤を使用することができる。具体的には、第三ブチルハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、パーオキシマレイン酸第三ブチルエステル、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物や、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物、さらにアゾビスイソブチロニトリル等の油溶性開始剤も使用される。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。これらの開始剤は亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルフォキシレート、アスコルビン酸、ヒドロキシアセトン酸、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸2ナトリウムの錯体なとの還元剤と組み合わせた通常のレドックス型開始剤として使用してもよい。
前記有機系過酸化物は、重合系にそのまま添加する方法、単量体に混合して添加する方法、乳化剤水溶液に分散させて添加する方法など、公知の添加法で添加することができるが、透明性の点から、単量体に混合して添加する方法あるいは乳化剤水溶液に分散させて添加する方法が好ましい。
また、前記有機系過酸化物は、重合安定性、粒子径制御の点から、2価の鉄塩等の無機系還元剤および/またはホルムアルデヒドスルホキシル酸ソーダ、還元糖、アスコルビン酸等の有機系還元剤と組み合わせたレドックス系開始剤として使用するのが好ましい。
前記乳化重合に使用される界面活性剤にも特に限定はなく、通常の乳化重合用の界面活性剤であれば使用することができる。具体的には、例えば、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤や、アルキルフェノール類、脂肪族アルコ−ル類とプロピレンオキサイド、エチレンオキサイドとの反応生成物等の非イオン性界面活性剤等が示される。これらの界面活性剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。更に要すれば、アルキルアミン塩等の陽イオン性界面活性剤を使用してもよい。
アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)における単量体混合物および単量体混合物(A)の重合における開始剤の添加量は、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)または(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体混合物(A)100重量部に対し、0.03〜3.5重量部の範囲が好ましく、0.1〜2.5重量部がより好ましく、0.2〜1.5重量部がさらに好ましい。開始剤の添加量が上記範囲であれば、得られるアクリル樹脂組成物の機械強度、成形加工性の視点から好ましい。
本発明においては、単量体混合物(A)を重合して得られるポリマーの分子量を制御するために、連鎖移動剤を使用することが可能である。連鎖移動剤としては、例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、第三ブチルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、エチルチオグリコレート、メルカプトエタノール、チオ−β−ナフトール、チオフェノール、ジメチルジスルフィド等が用いられる。連鎖移動剤の使用量としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体混合物(A)100重量部に対し、0.02〜2.2重量部の範囲が好ましく、0.1〜1.5重量部がより好ましく、0.2〜1.0重量部がさらに好ましい。連鎖移動剤の使用量がこの範囲にあれば、得られるアクリル樹脂組成物の機械強度、成形加工性の視点から好ましい。
本発明においては、アクリル系樹脂(C)中のアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量は、アクリル系樹脂組(C)全体を100重量%とした場合、5〜40重量%が好ましく、10〜35%がより好ましい。アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の含有量が上記範囲であれば、得られる(メタ)アクリル組成物の成形加工性、耐折曲性の視点から好ましい。
アクリル系樹脂(C)が、乳化重合等により、ラテックスとして得られた場合は、凝固、洗浄および乾燥の操作により、または、スプレー乾燥、凍結乾燥などによる処理により、アクリル系樹脂(C)を分離、回収することができる。
本発明におけるアクリル系樹脂組成物(E)にブレンドされる熱可塑性樹脂(D)の酸価は、0.7mmol/g未満が好ましく、0.6mmol/g未満がより好ましい。熱可塑性樹脂(D)の酸価が0.7mmol/g未満であれば、得られる(メタ)アクリル系樹脂組成物の耐アルカリ性の視点から好ましい。
本発明における熱可塑性樹脂(D)としては、例えば、ポリグルタルイミド、無水グルタル酸樹脂、ラクトン環化メタクリル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等があげられる。これらの中では、メタクリル系樹脂がアクリル系樹脂(C)との相溶性、耐候性、透明性の点から好ましい。本発明における熱可塑性樹脂(D)として(メタ)アクリル系樹脂を用いる場合、メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、アクリル酸アルキルエステル0〜50重量%および(メタ)アクリル酸0〜6重量%を含有する単量体混合物を、少なくとも1段以上で共重合させてなるものが好ましく、より好ましくは、メタクリル酸アルキルエステル60〜100重量%、アクリル酸アルキルエステル0〜40重量%および(メタ)アクリル酸0〜4重量%を含有するものがより好ましい。特に、得られるフィルムの硬度、剛性を重視する場合には、メタクリル系重合体(D)の単量体混合物組成としては、メタクリル酸メチルを80重量%以上含有するものが好ましく、85重量%以上含有するものがより好ましく、90重量%以上含有するものがさらに好ましく、92重量%以上含有するものが特に好ましい。
熱可塑性樹脂(D)の配合比は、耐衝撃性、折り曲げ白化性の観点から、アクリル系樹脂(C)50〜100重量部および熱可塑性樹脂(D)0〜50重量部の範囲が好ましく、アクリル系樹脂(C)50〜90重量部および熱可塑性樹脂(D)10〜50重量部の範囲がより好ましく、アクリル系樹脂(C)60〜80重量部および熱可塑性樹脂(D)20〜40重量部の範囲がさらに好ましい。ブレンドの方法は特に限定されず、公知の方法を用いることが可能である。
アクリル樹脂組成物を加熱処理する際には、一般に用いられる酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤などの耐候性安定剤や、触媒、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、収縮防止剤、抗菌・脱臭剤等を、単独または2種以上組み合わせて、本発明の目的が損なわれない範囲で添加してもよい。また、これらの添加剤は、アクリル樹脂組成物を成形加工する際に添加することも可能である。
本発明におけるアクリル樹脂組成物の酸価は、0.2〜0.7mmol/gが好ましく、0.3〜0.6mmol/gがより好ましい。アクリル樹脂組成物の酸価が0.2〜0.7mmol/gであると、得られるフィルムの耐日焼け止めクリーム性と耐アルカリ性とのバランスがとれるため、好ましい。
本発明のアクリル樹脂組成物のガラス転移温度は、110〜140℃であることが好ましく、115〜135℃であることがより好ましい。ガラス転移温度がこの範囲内であれば、成型加工性、耐熱性の点から好ましい。
本発明の自動車用アクリルフィルムは、上記(メタ)アクリル樹脂組成物を成形してなるフィルムである。
本発明の自動車用アクリルフィルムの製造方法(成形方法)としては、例えば、通常の溶融押出法であるインフレーション法やTダイ押出法、あるいはカレンダー法、更には溶剤キャスト法等があげられる。また、必要に応じて、メタクリル系樹脂組成物からフィルムを成形する際、フィルム両面をロールまたは金属ベルトに同時に接触させることにより、特に、ガラス転移温度以上の温度に加熱したロールまたは金属ベルトに同時に接触させることにより、表面性のより優れたフィルムを得ることも可能である。また、目的に応じて、フィルムの積層成形や二軸延伸によるフィルムの改質も可能である。
本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物より得られる自動車用アクリルフィルムは、金属、プラスチックなどに積層して用いることができる。積層の方法としては、鋼板などの金属板に接着剤を塗布した後、金属板にフィルムを載せて乾燥させ貼り合わせるウエットラミネートや、ドライラミネート、エキストルージョンラミネート、ホットメルトラミネートなどが挙げられる。
本発明の自動車用アクリルフィルムは、フィルムの表面硬度がH以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましい。フィルム表面硬度がH未満であると、従来のアクリル同様に傷つき易い傾向を示す。 プラスチック部品にフィルムを積層する方法としては、フィルムを金型内に配置しておき、射出成形にて樹脂を充填するフィルムインサート成形、ラミネートインジェクションプレス成形や、フィルムを予備成形した後金型内に配置し、射出成形にて樹脂を充填するフィルムインモールド成形などがあげられる。
本発明の(メタ)アクリル樹脂組成物を成形してなる自動車用アクリルフィルムのラミネート積層品としては、自動車内外装材などに使用することができる。自動車内装材としてはインストルメントパネルの加飾部位などに用いられ、透明性、高度な耐薬品性、折り曲げ性、表面硬度が要求される。他方、自動車外装材としてはバンパー、サイドガーニッシュなどに用いられ、透明性、耐薬品性、耐候性、折り曲げ性、表面硬度が要求される。また、自動車内装材、外装材に用いられるフィルムではダイラインと呼ばれる表面傷が少ないことが要求される。
本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
以下の製造例、実施例および比較例中の「部」は重量部、「%」は重量%を表す。略号は、それぞれ下記の物質を表す。
BA:アクリル酸ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
EHA:2−エチルへキシルアクリレート
AlMA:アリルメタクリレート
CHP:クメンハイドロパーオキサイド
tDM:ターシャリードデシルメルカプタン
BA:アクリル酸ブチル
MMA:メタクリル酸メチル
EHA:2−エチルへキシルアクリレート
AlMA:アリルメタクリレート
CHP:クメンハイドロパーオキサイド
tDM:ターシャリードデシルメルカプタン
なお、以下の実施例および比較例で測定した物性の各測定方法は、次のとおりである。
(1)重合転化率の評価)
得られたメタクリル系樹脂組成物(C)ラテックスを、熱風乾燥機内にて120℃で1時間乾燥して固形成分量を求め、重合転化率(%)=100×固形成分量/仕込み単量体の式により、重合転化率を算出した。
得られたメタクリル系樹脂組成物(C)ラテックスを、熱風乾燥機内にて120℃で1時間乾燥して固形成分量を求め、重合転化率(%)=100×固形成分量/仕込み単量体の式により、重合転化率を算出した。
(2)ラテックスの平均粒子径の評価)
得られたアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)ラテックスを、LEED&NORTHRUP INSTRUMENTS社のMICROTRAC UPA150を用い、光散乱法により体積平均粒子径(μm)を測定した。
得られたアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)ラテックスを、LEED&NORTHRUP INSTRUMENTS社のMICROTRAC UPA150を用い、光散乱法により体積平均粒子径(μm)を測定した。
(3)酸価の測定
以下の手順に沿って酸価測定を行った。
1)樹脂の滴定:得られた樹脂ペレット0.3gを塩化メチレン37.5mlに溶解後、メタノール37.5mlを添加した。この溶液に、フェノールフタレイン/エタノール溶液(1wt%)を2滴添加した。0.1N水酸化ナトリウム水溶液5mlを添加し、1時間攪拌した。この溶液に0.1N塩酸を滴下して溶液の赤紫色が消失するまでの0.1N−塩酸の滴下量A(ml)を測定した。
2)ブランクの滴定:塩化メチレン37.5mlおよびメタノール37.5mlにフェノールフタレイン/エタノール溶液(1重量%)を2滴添加した。これに0.1N水酸化ナトリウム水溶液5mlを添加した。この溶液に、0.1N塩酸を滴下して溶液の赤紫色が消失するまでの0.1N塩酸の滴下量B(ml)を測定した。
3)樹脂中の酸価(酸および酸無水物量の総量)をC(mmol/g)とし、次式で求めた。
C=0.1×(5−A−B)/0.3
以下の手順に沿って酸価測定を行った。
1)樹脂の滴定:得られた樹脂ペレット0.3gを塩化メチレン37.5mlに溶解後、メタノール37.5mlを添加した。この溶液に、フェノールフタレイン/エタノール溶液(1wt%)を2滴添加した。0.1N水酸化ナトリウム水溶液5mlを添加し、1時間攪拌した。この溶液に0.1N塩酸を滴下して溶液の赤紫色が消失するまでの0.1N−塩酸の滴下量A(ml)を測定した。
2)ブランクの滴定:塩化メチレン37.5mlおよびメタノール37.5mlにフェノールフタレイン/エタノール溶液(1重量%)を2滴添加した。これに0.1N水酸化ナトリウム水溶液5mlを添加した。この溶液に、0.1N塩酸を滴下して溶液の赤紫色が消失するまでの0.1N塩酸の滴下量B(ml)を測定した。
3)樹脂中の酸価(酸および酸無水物量の総量)をC(mmol/g)とし、次式で求めた。
C=0.1×(5−A−B)/0.3
(4)ガラス転移温度(Tg)
得られた樹脂ペレット10mgを用いて、示差走査熱量計(DSC、(株)島津製作所製、DSC−50型)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minで測定し、中点法により決定した。
得られた樹脂ペレット10mgを用いて、示差走査熱量計(DSC、(株)島津製作所製、DSC−50型)を用いて、窒素雰囲気下、昇温速度20℃/minで測定し、中点法により決定した。
(5)重量平均分子量
各種可塑剤メーカーのカタログ値を採用した。
各種可塑剤メーカーのカタログ値を採用した。
(6)耐折り曲げ性、折り曲げ白化性
得られたフィルムを180度折り曲げて、折り曲げ部の変化を目視で評価した。
○:折り曲げ部に白化が認められない。
×:折り曲げ部に白化が認められる。
−:折り曲げ部に割れが生じる。
得られたフィルムを180度折り曲げて、折り曲げ部の変化を目視で評価した。
○:折り曲げ部に白化が認められない。
×:折り曲げ部に白化が認められる。
−:折り曲げ部に割れが生じる。
(7)黄色度
得られたフィルムから、50mm×50mmの試験片を切り出し、JIS K7105−1981の6.3記載の方法により、日本電色工業(株)製分光式色差計SE−2000を用いて測定した。
また、熱プレス法にて作成したシートの黄色度は、厚み125μmに換算して用いた。
得られたフィルムから、50mm×50mmの試験片を切り出し、JIS K7105−1981の6.3記載の方法により、日本電色工業(株)製分光式色差計SE−2000を用いて測定した。
また、熱プレス法にて作成したシートの黄色度は、厚み125μmに換算して用いた。
(8)耐薬品性
<耐アルカリ性>
得られたフィルムを、0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、55℃で4時間放置し、目視で試験片の変化を観測した。
○:変化が認められない
△:微小な劣化が認められる
×:樹脂の劣化、変色が認められる
<耐キシレン性>
得られたフィルム上にキシレンを1滴(0.02g)滴下し、室温で乾くまで放置して、目視で滴下部の変化を観測した。
○:変化が認められない。
△:微小な塗布跡が認められる。
×:樹脂の劣化、変色が認められる。
<耐トルエン性>
得られたフィルム上にトルエンを1滴(0.02g)滴下し、室温で乾くまで放置して、目視で滴下部の変化を観察した。
○:変化が認められない。
△:微小な塗布跡が認められる。
×:樹脂の劣化、変色が認められる。
<耐日焼け止め剤[コパトーン(登録商標)]性 (試験法1)>
得られたフィルムに日焼け止め剤(コパトーン ウォーター・ベイビーズ・ローションSPF50)を少量塗布し、その上にガーゼを押し当て、500gの加重をかける。そのまま室温で1時間放置した後、オーブンで74℃、64℃または54℃で1時間加熱して付着した日焼け止め剤をガーゼでふき取り、目視で塗布部の変化を観察した。
○:変化が認められない。
△:微小な塗布跡が認められる。
×:樹脂の劣化、変色が認められる。
<耐日焼け止め剤[コパトーン(登録商標)]性 (試験法2)>
得られたフィルムに日焼け止め剤(コパトーン ウォーター・ベイビーズ・ローションSPF50)を一滴(0.005g)滴下し、2×3cmの範囲に刷毛を用いて延ばし、90℃で24時間放置して付着した日焼け止め剤をガーゼでふき取り、目視で塗布部の変化を観測した。
○:変化が認められない。
△:微小な塗布跡が認められる。
×:樹脂の劣化、変色が認められる。
<耐アルカリ性>
得られたフィルムを、0.1Mの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、55℃で4時間放置し、目視で試験片の変化を観測した。
○:変化が認められない
△:微小な劣化が認められる
×:樹脂の劣化、変色が認められる
<耐キシレン性>
得られたフィルム上にキシレンを1滴(0.02g)滴下し、室温で乾くまで放置して、目視で滴下部の変化を観測した。
○:変化が認められない。
△:微小な塗布跡が認められる。
×:樹脂の劣化、変色が認められる。
<耐トルエン性>
得られたフィルム上にトルエンを1滴(0.02g)滴下し、室温で乾くまで放置して、目視で滴下部の変化を観察した。
○:変化が認められない。
△:微小な塗布跡が認められる。
×:樹脂の劣化、変色が認められる。
<耐日焼け止め剤[コパトーン(登録商標)]性 (試験法1)>
得られたフィルムに日焼け止め剤(コパトーン ウォーター・ベイビーズ・ローションSPF50)を少量塗布し、その上にガーゼを押し当て、500gの加重をかける。そのまま室温で1時間放置した後、オーブンで74℃、64℃または54℃で1時間加熱して付着した日焼け止め剤をガーゼでふき取り、目視で塗布部の変化を観察した。
○:変化が認められない。
△:微小な塗布跡が認められる。
×:樹脂の劣化、変色が認められる。
<耐日焼け止め剤[コパトーン(登録商標)]性 (試験法2)>
得られたフィルムに日焼け止め剤(コパトーン ウォーター・ベイビーズ・ローションSPF50)を一滴(0.005g)滴下し、2×3cmの範囲に刷毛を用いて延ばし、90℃で24時間放置して付着した日焼け止め剤をガーゼでふき取り、目視で塗布部の変化を観測した。
○:変化が認められない。
△:微小な塗布跡が認められる。
×:樹脂の劣化、変色が認められる。
(9)透明性(ヘイズ)
得られた試験片上を、JIS K7105−1981の6.4記載の方法により、日本電色工業(株)製濁度計NDH−300Aを用いて測定した。
得られた試験片上を、JIS K7105−1981の6.4記載の方法により、日本電色工業(株)製濁度計NDH−300Aを用いて測定した。
(10)フィルム表面硬度
得られた試験片上を、JIS K5600−5−4記載の方法に準じて測定した。
得られた試験片上を、JIS K5600−5−4記載の方法に準じて測定した。
(製造例1)(メタ)アクリル系樹脂(C)の製造
アクリル系樹脂(C)の製造
攪拌機付き8L重合装置に、以下の物質を仕込んだ。
脱イオン水 200部
ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム 0.25部
ソジウムホルムアルデヒドスルフォキシレート 0.15部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.005部
硫酸第一鉄 0.0015部
重合機内を窒素ガスで充分に置換し実質的に酸素のない状態とした後、内温を60℃にし、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の原料となる単量体混合物[すなわち、BA90%およびMMA10%からなる単量体混合物100部に対し、AlMA2.1部およびCHP0.2部からなる単量体混合物]30部を10部/時間の割合で連続的に添加し、添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)を得た。重合転化率は99.5%であり、平均粒子径は800Åであった。その後、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム0.3部を仕込んだ後、内温を60℃にし、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体混合物(A)[すなわち、BA1%、MMA99%からなる単量体混合物100部に対し、tDM0.34部およびCHP0.34部からなる単量体混合物]70部を10部/時間の割合で連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、アクリル系樹脂(C)を得た。重合転化率は99.0%であった。得られたラテックスを塩化カルシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥して粉末状のアクリル系樹脂(C)を得た。
アクリル系樹脂(C)の製造
攪拌機付き8L重合装置に、以下の物質を仕込んだ。
脱イオン水 200部
ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム 0.25部
ソジウムホルムアルデヒドスルフォキシレート 0.15部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.005部
硫酸第一鉄 0.0015部
重合機内を窒素ガスで充分に置換し実質的に酸素のない状態とした後、内温を60℃にし、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の原料となる単量体混合物[すなわち、BA90%およびMMA10%からなる単量体混合物100部に対し、AlMA2.1部およびCHP0.2部からなる単量体混合物]30部を10部/時間の割合で連続的に添加し、添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)を得た。重合転化率は99.5%であり、平均粒子径は800Åであった。その後、ジオクチルスルフォコハク酸ナトリウム0.3部を仕込んだ後、内温を60℃にし、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体混合物(A)[すなわち、BA1%、MMA99%からなる単量体混合物100部に対し、tDM0.34部およびCHP0.34部からなる単量体混合物]70部を10部/時間の割合で連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、アクリル系樹脂(C)を得た。重合転化率は99.0%であった。得られたラテックスを塩化カルシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥して粉末状のアクリル系樹脂(C)を得た。
実施例および比較例で用いた可塑剤の物性を、表1に示す。なお、JONCRYL(登録商標)シリーズはBASF製であり、ARUFON(登録商標)シリーズは東亞合成(株)製である。
また、ブレンドする熱可塑性樹脂(D)としては、以下のものを使用した。
・メタクリル系樹脂 HT121[ALTUGLASS製、酸価0.45mmol/g]
・メタクリル系樹脂スミペックスLG[住友化学(株)製、酸価0mmol/g]。
・メタクリル系樹脂 HT121[ALTUGLASS製、酸価0.45mmol/g]
・メタクリル系樹脂スミペックスLG[住友化学(株)製、酸価0mmol/g]。
(実施例1〜15)
アクリル系樹脂(C)樹脂粉末、熱可塑性樹脂(D)および可塑剤を、表2に示す種類および比率にてドライブレンドした後、40mmφベント付き単軸押出機を用いてシリンダ温度を260℃に設定して溶融混練を行い、ペレット化されたアクリル樹脂組成物を得た。
得られたアクリル樹脂組成物の特性を評価し、その結果をアクリル樹脂組成物の酸価と合わせて、表2に示した。
さらに、得られた(メタ)アクリル系樹脂組成物を、Tダイ付き40mmφ押出機を用いて、ダイス温度260℃にて成形し、厚み125μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの特性を評価し、その結果を表2に示した。
酸価の値が0.3〜5.5mmol/gであり、かつ重量平均分子量が3000〜30000であり、さらにTgが40〜115℃である可塑剤を用いた実施例1〜15のアクリル樹脂組成物を成形してなるフィルムでは、耐薬品性が改良され、フィルム表面硬度も高い。
アクリル系樹脂(C)樹脂粉末、熱可塑性樹脂(D)および可塑剤を、表2に示す種類および比率にてドライブレンドした後、40mmφベント付き単軸押出機を用いてシリンダ温度を260℃に設定して溶融混練を行い、ペレット化されたアクリル樹脂組成物を得た。
得られたアクリル樹脂組成物の特性を評価し、その結果をアクリル樹脂組成物の酸価と合わせて、表2に示した。
さらに、得られた(メタ)アクリル系樹脂組成物を、Tダイ付き40mmφ押出機を用いて、ダイス温度260℃にて成形し、厚み125μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの特性を評価し、その結果を表2に示した。
酸価の値が0.3〜5.5mmol/gであり、かつ重量平均分子量が3000〜30000であり、さらにTgが40〜115℃である可塑剤を用いた実施例1〜15のアクリル樹脂組成物を成形してなるフィルムでは、耐薬品性が改良され、フィルム表面硬度も高い。
(比較例1〜8)
アクリル系樹脂(C)樹脂粉末、熱可塑性樹脂(D)および可塑剤を表2に示す種類、割合でドライブレンドし、40ミリφベント付き単軸押出機を用いてシリンダ温度を260℃に設定して溶融混練を行い、ペレット化されたアクリル樹脂組成物を得た。
得られたアクリル樹脂組成物の特性を評価し、その結果をアクリル樹脂組成物の酸価と合わせて、表3に示した。
酸価の値が0.3〜5.5mmol/gであり、かつ重量平均分子量が3000〜30000であり、さらにTgが40〜115℃の条件を満たさない可塑剤を用いたアクリル樹脂組成物(比較例1〜7)を成形してなるフィルムは、耐キシレン性、耐日焼け止めクリーム性が劣る。また、上記条件の可塑剤を1〜15重量部の範囲外でブレンドしたアクリル樹脂組成物(比較例8)は、透明性、耐アルカリ性、耐芳香剤性が劣る。
また耐薬品性が改良され、かつフィルム表面硬度が高いフィルムは得られなかった。
アクリル系樹脂(C)樹脂粉末、熱可塑性樹脂(D)および可塑剤を表2に示す種類、割合でドライブレンドし、40ミリφベント付き単軸押出機を用いてシリンダ温度を260℃に設定して溶融混練を行い、ペレット化されたアクリル樹脂組成物を得た。
得られたアクリル樹脂組成物の特性を評価し、その結果をアクリル樹脂組成物の酸価と合わせて、表3に示した。
酸価の値が0.3〜5.5mmol/gであり、かつ重量平均分子量が3000〜30000であり、さらにTgが40〜115℃の条件を満たさない可塑剤を用いたアクリル樹脂組成物(比較例1〜7)を成形してなるフィルムは、耐キシレン性、耐日焼け止めクリーム性が劣る。また、上記条件の可塑剤を1〜15重量部の範囲外でブレンドしたアクリル樹脂組成物(比較例8)は、透明性、耐アルカリ性、耐芳香剤性が劣る。
また耐薬品性が改良され、かつフィルム表面硬度が高いフィルムは得られなかった。
Claims (9)
- アクリル系樹脂組成物(E)100重量部に対して、酸価が0.3〜5.5mmol/g、重量平均分子量が3000〜30000およびガラス転移温度が40〜115℃である可塑剤を1〜15重量部含有する、アクリル樹脂組成物を成形してなる自動車用フィルムであって、
アクリル系樹脂組成物(E)が、
アクリル酸アルキルエステル単量体50〜100重量%、メタクリル酸アルキルエステル単量体0〜50重量%を含む単量体混合物100重量部に対し、1分子あたり2個以上の非共役二重結合を有する多官能性単量体0.5〜5重量部を混合、重合して得られるアクリル酸エステル系架橋弾性体粒子(B)の存在下、
メタクリル酸アルキルエステル50〜100重量%、およびアクリル酸アルキルエステル0〜50重量%を含む単量体混合物(A)を重合して得られるアクリル系樹脂(C)からなることを特徴とする、自動車用アクリルフィルム。 - アクリル系樹脂組成物(E)が、
さらに、酸価が0.7mmol/g未満である熱可塑性樹脂(D)を含むことを特徴とする、請求項1記載の自動車用アクリルフィルム。 - アクリル系樹脂組成物(E)が、アクリル系樹脂(C)50〜99重量%および、熱可塑性樹脂(D)0〜50重量%からなる[(C)と(D)の合計が100重量%] ことを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の自動車用アクリルフィルム。
- アクリル系樹脂組成物の酸価が0.2〜0.7mmol/gであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用アクリルフィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の自動車内装用アクリルフィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の自動車外装用アクリルフィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の自動車用アクリルフィルムを積層して得られる、積層品。
- 請求項5記載の自動車内装用アクリルフィルムを積層して得られる、自動車内装用部品。
- 請求項6に記載の自動車外装用アクリルフィルムを積層して得られる、自動車外装用部品。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012053190A1 (ja) * | 2010-10-20 | 2012-04-26 | 株式会社カネカ | (メタ)アクリル系樹脂フィルム |
JP2016186081A (ja) * | 2013-04-12 | 2016-10-27 | 株式会社クラレ | アクリル系樹脂フィルム |
-
2008
- 2008-08-05 JP JP2008201696A patent/JP2010037429A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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