JP7333382B2 - 中間膜用コアシェル型重合体、樹脂組成物、合わせガラス用中間膜 - Google Patents

中間膜用コアシェル型重合体、樹脂組成物、合わせガラス用中間膜 Download PDF

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Description

本発明は、中間膜用コアシェル型重合体、樹脂組成物、合わせガラス用中間膜に関する。
自動車等の移動体、建築物、太陽電池などの各種用途において、合わせガラスが用いられている。合わせガラス用中間膜の材料としては、ポリビニルブチラール樹脂、アイオノマー樹脂などが知られている。
特に、アイオノマー樹脂製の膜は、透明性、ガラスとの接着性に優れるほか、ポリビニルブチラール樹脂製の膜と比較して、使用温度範囲における硬度に優れ、自立性を有することから、構造材料用合わせガラスの中間膜として好適に使用することができる。
コアシェル型重合体を、合わせガラス用中間膜用樹脂として使用する試みもなされている。特許文献1では、熱可塑性樹脂及び制振性付与剤を含有する樹脂組成物からなる遮音層を少なくとも有する合わせガラス用中間膜が開示されている。熱可塑性樹脂としては、アクリルコアシェル樹脂が挙げられている。
国際公開第2018/061861号
特許文献1で開示されているコアシェル樹脂は、中間膜の遮音性や透明性の改善を目的としており、ガラスとの接着性や自立性を具備する中間膜を提供するものではない。したがって、構造材料用合わせガラスの中間膜用樹脂として必要な、ガラスとの接着性に優れた、特に、ガラスとの接着性、透明性、及び自立性の全てを十分満足する中間膜を製造することができるコアシェル樹脂はこれまで提案されていない。
本発明は、上記の現状を鑑みてなされたものであり、ガラスとの接着性、好ましくは、ガラスとの接着性、透明性、及び自立性に優れた合わせガラス用中間膜を提供するコアシェル型重合体及び樹脂組成物、並びに、ガラスとの接着性、好ましくは、ガラスとの接着性、透明性、及び自立性に優れた合わせガラス用中間膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、以下に説明するコアシェル型重合体、該コアシェル型重合体を含む樹脂組成物、及び、該コアシェル型重合体又は該樹脂組成物を用いて得られた合わせガラス用中間膜により上記目的が達成されることを見出した。
すなわち、本発明は以下の(1)~(10)に関する。
(1)コア粒子、及びコア粒子の少なくとも一部を被覆するシェルを有するコアシェル型重合体であり、該コアシェル型重合体の全質量に対するアセトン可溶分の含有量X(質量%)とアセトン可溶分の酸価A(mmol/g)が以下の関係を満たす、合わせガラスの中間膜用コアシェル型重合体。
≧75
(2)前記コアシェル型重合体のコア粒子、シェル、又はその双方が、(メタ)アクリレート系重合体を含む(1)の合わせガラスの中間膜用コアシェル型重合体。
(3)前記コア粒子が内層と該内層の表面の少なくとも一部を被覆する重合体被膜を有する被覆コア粒子であり、該重合体被膜が前記(メタ)アクリレート系重合体を含む(2)の合わせガラスの中間膜用コアシェル型重合体。
(4)(1)~(3)のいずれかの合わせガラスの中間膜用コアシェル型重合体を含む樹脂組成物。
(5)前記樹脂組成物の全質量に対するアセトン可溶分の含有量X’(質量%)とアセトン可溶分の酸価A’(mmol/g)が、以下の関係を満たす、(4)の樹脂組成物。
’A’≧75
(6)前記コアシェル型重合体のコア粒子、シェル、又はその双方が、(メタ)アクリレート系重合体を含む(4)又は(5)の樹脂組成物。
(7)前記コア粒子が内層と該内層の表面の少なくとも一部を被覆する重合体被膜を有する被覆コア粒子であり、該重合体被膜が前記(メタ)アクリレート系重合体を含む(4)~(6)のいずれかの樹脂組成物。
(8)電子顕微鏡で観察される、前記樹脂組成物の溶融混練物のモルフォロジーにおいて、前記シェルが連続相、前記コア粒子が分散相を形成し、かつ分散相の平均粒子径が200nm以下である(4)~(7)のいずれかの樹脂組成物。
(9)(4)~(8)のいずれかの樹脂組成物を成形して得られる膜を少なくとも1層含む合わせガラス用中間膜。
(10)2つのガラス板の間に配置された(9)の合わせガラス用中間膜を含む合わせガラス。
本発明によれば、ガラスとの接着性、好ましくは、ガラスとの接着性、透明性、自立性に優れた合わせガラス用中間膜を提供するコアシェル型重合体、樹脂組成物、及び、ガラスとの接着性、好ましくは、ガラスとの接着性、透明性、自立性に優れた合わせガラス用中間膜を得ることができる。
コアシェル型重合体
本発明のコアシェル型重合体は、コア粒子、及びコア粒子表面の少なくとも一部、好ましくは全表面の少なくとも50%(100%を含む)を被覆するシェルを有する。
コア粒子
本発明におけるコア粒子(後述する被覆コア粒子を含む。以下同様。)は、重合体(A)を含有する。重合体(A)は、単量体(a)、及び、多官能性グラフト剤、多官能性架橋剤などの任意の単量体を重合することにより得られる。
前記単量体(a)としては、本発明の効果を損なわない範囲において特に制限はされないが、例えば、(メタ)アクリル酸及びその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸N,N’-ジアルキルアミノアルキルエステル等の(メタ)アクリル酸置換アルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル-(メタ)アクリルアミド;スチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、3-メチルスチレン、4-プロピルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル系化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系化合物;ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチルブタジエン、2-メチル-3-エチルブタジエン、1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、2-エチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、2-メチル-1,3-ヘキサジエン、3,4-ジメチル-1,3-ヘキサジエン、1,3-ヘプタジエン、3-メチル-1,3-ヘプタジエン、1,3-オクタジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン、ミルセン等の共役ジエン系化合物;等が挙げられる。
コアシェル型重合体の生産性の観点から、前記単量体(a)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル系化合物、及び共役ジエン系化合物から選ばれることが好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び芳香族ビニル系化合物から選ばれることがより好ましく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれることがさらに好ましい。
単量体(a)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
多官能性グラフト剤
重合体(A)の形成において、任意成分として多官能性グラフト剤を用いてもよい。すなわち、重合体(A)は、前記単量体(a)由来の構成単位に加えて、多官能性グラフト剤由来の構成単位を含んでいてもよい。
多官能性グラフト剤は、コア粒子とシェルとを化学的に結合させるために用いられる。また、場合により、重合体(A)同士を架橋するために用いられる。コア粒子が後述する被覆コア粒子である場合、多官能性グラフト剤は、内層と重合体被膜を化学的に結合させるため、及び/又は、重合体被膜とシェルを化学的に結合させるために用いられる。
多官能性グラフト剤としては、前記機能を有する多官能性単量体であればいずれも使用可能であり、一般的には異なる重合性基を2個以上有する化合物が好ましく用いられる。多官能性グラフト剤の具体例としては、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸メタリル、桂皮酸アリル、桂皮酸メタリル、マレイン酸モノアリル、マレイン酸ジアリル、フマル酸モノアリル、フマル酸ジアリル、フタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリルなどが挙げられる。これらのうち、コア粒子とシェルとの化学的結合が良好になるのでメタクリル酸アリルが好ましい。
重合体(A)の形成における多官能性グラフト剤の使用量は、成形時のコアシェル型重合体の構造維持の観点から、さらに、後述するアセトン可溶分の含有量を適切な範囲に調整する観点から、重合体(A)の形成に用いる単量体(a)の全質量に対して、0.01~5質量%が好ましく、0.1~3質量%がより好ましい。多官能性グラフト剤の含有率が0.01質量%以上であると、コア粒子とシェルとの結合が十分であり、成形時にコアシェル型重合体が破壊することを防止することができる。5質量%以下であると、コアシェル型重合体の耐衝撃性が良好である。
多官能性架橋剤
重合体(A)の形成において、必要に応じて、多官能性架橋剤を用いることができる。多官能性架橋剤は、コア粒子中の重合体(A)同士、被覆コア粒子の場合は、内層中の重合体(A)同士、又は、重合体被膜中の重合体(A)同士を架橋して、成形時にコアシェル構造が破壊することを防ぐために用いる。すなわち、重合体(A)は、前記単量体(a)由来の構成単位に加えて、多官能性グラフト剤由来の構成単位及び多官能性架橋剤由来の構成単位の一方又は双方を含んでもよい。
多官能性架橋剤としては、前述の多官能性グラフト剤のほか、重合時に重合体(A)を架橋し得る多官能性単量体であればいずれも使用できる。例えば、ジ(メタ)アクリル化合物、ジアリル化合物、ジビニル化合物、トリビニル化合物などの従来既知の多官能性架橋剤を用いることができる。より具体的には、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、エチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどを挙げることができ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記の通り、多官能性グラフト剤によって重合体(A)の架橋もある程度なされるので、多官能性架橋剤は必ずしも使用する必要はない。多官能性架橋剤を使用する場合は、単量体(a)の全質量に対して、0.5質量%以下であることが好ましい。0.5質量%以下であると、重合体(A)が過度に架橋されることがなく、耐衝撃性を良好に保つことができる。
多官能性架橋剤により高度に架橋されている重合体(A)は溶媒に溶解しないため、重量平均分子量は測定できない。架橋されていない重合体(A)の重量平均分子量は本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは5,000~1,000,000、より好ましくは10,000~900,000、さらに好ましくは30,000~800,000、特に好ましくは70,000~700,000である。重量平均分子量は、標準ポリスチレンによる検量を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
他の重合体
コア粒子は、上記重合体(A)のみから形成されていてもよく、上記重合体(A)と他の重合体を含む混合物から形成されていてもよい。他の重合体としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカルボン酸ビニル樹脂、オレフィン-カルボン酸ビニル共重合体、ポリエステルエラストマー樹脂、ハロゲン化ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。
コア粒子の構造
上記のコア粒子は、単層の粒子であってもよく、複数の層からなる粒子、例えば、内層と、該内層の表面の少なくとも一部を被覆する重合体被膜を有するコア粒子であってもよい。本明細書において、該内層と該重合体被膜を有するコア粒子を「被覆コア粒子」と称すことがある。また、本明細書において、「被覆」とは、重合体被膜が内層を形成する重合体粒子の表面を少なくとも一部、好ましくは全表面の少なくとも50%(100%を含む)を被覆している状態をいい、該表面の全部を被覆していてもよい。
内層及び重合体被膜は、上記重合体(A)のみから形成されていてもよく、上記重合体(A)と上述の他の重合体を含む混合物から形成されていてもよい。内層を形成する重合体(A)と重合体被膜を形成する重合体(A)は同一でも異なっていてもいいが、異なっていることが好ましい。
内層及び重合体被膜の形成において、成形時のコアシェル型重合体の構造維持の観点から、前記多官能性グラフト剤を使用することが好ましい。多官能性グラフト剤の例示及び好ましい例示は上述と同様である。
また、内層及び重合体皮膜の形成において、必要に応じて、使用する多官能性グラフト剤の量は、成形時のコアシェル型重合体の構造維持の観点から、単量体(a)の全質量(内層及び重合体被膜の形成に用いる単量体(a)の合計)に対して、0.01~5質量%が好ましく、0.1~3質量%がより好ましい。
内層と重合体被膜の質量比は1:(0.01~100)が好ましく、1:(0.02~90)がより好ましく、1:(0.04~80)がさらに好ましく、1:(0.05~50)が特に好ましい。
シェル
本発明のコアシェル型重合体のシェルは重合体(B)を含有する。
本発明の重合体(B)を形成する単量体(b)は、本発明の効果を損なわない範囲において特に制限はされず、単量体(a)に関して記載した単量体から選ばれる。従って、重合体(B)はコア粒子(被覆コア粒子も含む)を形成する重合体(A)と同一でも異なっていてもいいが、異なっていることが好ましい。好ましくは(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸の塩、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル系化合物、及び共役ジエン系化合物から選ばれ、より好ましくは(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸の塩、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び芳香族ビニル系化合物から選ばれ、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸の塩、及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれ、特に好ましくは(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれる。単量体(b)は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明のコアシェル型重合体のシェルは、重合体(B)を形成する単量体(b)として、酸性官能基を有する単量体を含むことが好ましい。後述するアセトン可溶分の酸価を適切な範囲に調整する観点から、コアシェル型重合体の全質量に対して、酸性官能基を有する単量体を7質量%以上含むことが好ましく、10質量%以上含むことがより好ましく、15質量%以上含むことがさらに好ましい。上限は特に制限されないが、例えば、50質量%以下であってもよい。なお、酸性官能基を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸などが挙げられる。
連鎖移動剤
重合体(B)の形成において、連鎖移動剤を用いることが好ましい。連鎖移動剤を添加して重合体(B)の分子量を調節することによって、最終的に得られるコアシェル型重合体の成形時の流動性が向上し、成形性に優れたものとなる。連鎖移動剤の種類は特に制限されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-ヘキサデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン類;ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィドなどのキサントゲンジスルフィド類;テトラチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類;四塩化炭素、臭化エチレンなどのハロゲン化炭化水素などを挙げることができる。
連鎖移動剤の使用量は、コアシェル型重合体の成形時の流動性と、耐衝撃性の両立の観点から、さらに、後述するアセトン可溶分の含有量を適切な範囲に調整する観点から、単量体(b)の全質量に基づいて、0.01~5質量%が好ましく、0.025~3質量%がより好ましい。
多官能性架橋剤により高度に架橋されている重合体(B)は溶媒に溶解しないため、重量平均分子量は測定できない。架橋されていない重合体(B)の重量平均分子量は本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、好ましくは5,000~1,000,000、より好ましくは10,000~900,000、さらに好ましくは30,000~800,000、特に好ましくは70,000~700,000である。重量平均分子量は、標準ポリスチレンによる検量を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
他の重合体
シェルは、上述の重合体(B)のみから形成されていてもよく、重合体(B)と他の重合体を含む混合物から形成されていてもよい。該他の重合体は、コア粒子に関して記載した他の重合体と同様である。
本発明のコアシェル型重合体において、コア粒子(被覆コア粒子を含む)とシェルの質量比は1:(0.1~100)が好ましく、1:(0.02~90)がより好ましく、1:(0.04~80)がさらに好ましく、1:(0.05~50)が特に好ましい。
本発明のコアシェル型重合体の平均粒子径は、好ましくは10~500nmであり、より好ましくは25~300nm、さらに好ましくは50~200nm、特に好ましくは60~160nmである。
本発明において、該平均粒子径は、コアシェル型重合体の乳化液中における粒度分布を、動的光散乱測定装置を用いて体積基準で測定した際の、メディアン径を採用した。
本発明のコアシェル型重合体中のコア粒子(被覆コア粒子を含む)の平均粒子径は、好ましくは5~300nmであり、より好ましくは10~250nm、さらに好ましくは15~200nm、特に好ましくは20~150nmである。
コア粒子の平均粒子径は、透過型電子顕微鏡にて観察した10個以上のコアシェル型重合体中のコア粒子の粒子径の平均値から算出した。
コアシェル型重合体の製造方法(単層コア粒子の場合)
コアシェル型重合体の製造方法は特に限定されないが、例えば乳化重合や懸濁重合により製造することができる。
コアシェル型重合体は、製造容易性の観点から、下記工程1及び工程2を有する乳化重合により製造することが好ましい。
工程1:1種又は2種以上の単量体(a)を水中で乳化重合して、コア粒子を含む乳化液1を得る工程。
工程2:工程1で得られた乳化液1中に、さらに1種又は2種以上の単量体(b)を添加して水中で乳化重合してシェルを形成し、コアシェル型重合体を含む乳化液2を得る工程。
コアシェル型重合体の製造方法(被覆コア粒子の場合)
コアシェル型重合体のコア粒子が被覆コア粒子である場合には、下記工程1’、工程2’、工程3’を含む製造方法により得ることが好ましい。
工程1’:1種又は2種以上の単量体(a)を水中で乳化重合して、単層コア粒子(被覆コア粒子の内層)を含む乳化液1’を得る工程。
工程2’:工程1’で得られた乳化液1’中に、さらに1種又は2種以上の単量体(a)を添加して水中で乳化重合して重合体被膜を形成し、被覆コア粒子を含む乳化液2’を得る工程。
工程3’:工程2’で得られた乳化液2’中に、さらに1種又は2種以上の単量体(b)を添加して水中で乳化重合してシェルを形成し、コアシェル型重合体を含む乳化液3’を得る工程。
コア粒子が3層以上からなる場合には、上記工程2’を繰り返すことにより製造することができる。
前記乳化重合においては、通常乳化剤を用いる。該乳化剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、高級脂肪酸ナトリウム、ロジン系ソープ等のアニオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ノニルフェノールエトキシレート等のノニオン系界面活性剤;塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム等のカチオン系界面活性剤;コカミドプロピルベタイン、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン等の両性界面活性剤等を用いることができる。また、部分けん化ポリビニルアルコール(けん化度70~90mol%)、メルカプト基変性ポリビニルアルコール(けん化度70~90mol%)、β-ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物塩、(メタ)アクリル酸エチルコポリマーなどの高分子界面活性剤を用いることも可能である。これら乳化剤は1種を単独で又は2種以上を併用してもよい。前記乳化剤の使用量は、分散媒として用いる水に対して0.01~40質量%が好ましく、0.05~20質量%がより好ましい。
前記乳化重合においては、通常ラジカル重合開始剤を用いる。該ラジカル重合開始剤としては、水溶性無機系重合開始剤、水溶性アゾ系重合開始剤、油溶性アゾ系重合開始剤、有機過酸化物等が挙げられる。また、ラジカル重合開始剤としてレドックス系重合開始剤を用いてもよい。
水溶性無機系重合開始剤としては、過酸化水素、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸カリウム等が挙げられる。
水溶性アゾ系重合開始剤としては、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス(1-イミノ-1-ピロリジノ-2-メチルプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等が挙げられる。
油溶性アゾ系重合開始剤としては、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、ジメチル-2,2-アゾビス(イソブチレート)等が挙げられる。
有機過酸化物としては、ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、ジベンジルパーオキシド等のジアシルパーオキシド;1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t-ブチルヒドロパーオキシド等のヒドロパーオキシド;ジクミルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、t-ブチルクミルパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3等のジアルキルパーオキシド;2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2-ジ-t-ブチルパーオキシブタン等のパーオキシケタール;1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、α-クミルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t-アミルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーオキシエステル;ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、1,6-ビス(t-ブチルパーオキシカルボニルオキシ)ヘキサン等のパーオキシカーボネートなどが挙げられる。
前記ラジカル重合開始剤の使用量は、分散媒として用いる水に対して0.0001~1質量%が好ましく、0.001~0.5質量%がより好ましい。
また、生産性の観点から、レドックス系重合開始剤を用いてもよく、該レドックス系重合開始剤としては、前記有機過酸化物と遷移金属塩の併用が好ましい。
有機過酸化物と併用する遷移金属塩としては、例えば、硫酸鉄(II)、チオ硫酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、ヨウ化鉄(II)、水酸化鉄(II)、酸化鉄(II)等の鉄化合物;硫酸銅(I)、チオ硫酸銅(I)、炭酸銅(I)、塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、水酸化銅(I)、酸化銅(I)等の銅化合物、又はそれらの水和物などが使用できる。これらのうち、生産性の観点から、クメンヒドロパーオキシドと鉄化合物とを併用してもよく、クメンヒドロパーオキシドと硫酸鉄(II)の水和物とを併用してもよい。
また、前記ラジカル重合開始剤とともに還元剤を用いてもよい。該還元剤としては、塩化鉄(II)、硫酸鉄(II)等の鉄化合物;硫酸水素ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のナトリウム塩;アスコルビン酸、ロンガリット、亜ジオチン酸ナトリウム、トリエタノールアミン、グルコース、フルクトース、グリセルアルデヒド、ラクトース、アラビノース、マルトース等の有機系還元剤などが挙げられる。前記鉄化合物と前記有機系還元剤とを併用してもよい。
前記還元剤の使用量は、分散媒として用いる水に対して0.0001~1質量%が好ましく、0.001~0.5質量%がより好ましい。
前記製造方法において、必要に応じて乳化重合の系内に金属イオンキレート剤を添加してもよい。具体的には、エチレンジアミン四酢酸二水素二ナトリウム等の金属イオンキレート剤が挙げられる。
前記製造方法において、必要に応じて乳化重合の系内に増粘抑制剤として電解質を添加してもよい。具体的には、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム等の電解質が挙げられる。前記製造方法において、乳化剤と増粘抑制剤とを併用する場合、増粘抑制剤の使用量は、乳化液中のミセルの安定性の観点から、乳化剤に対して20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。
前記還元剤、金属イオンキレート剤及び電解質は、重合反応中に添加してもよいが、乳化重合当初から水中に添加しておくことが好ましい。
前記製造方法において、必要に応じて乳化重合の系内に連鎖移動剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、n-オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、ヘキサデシルメルカプタン、n-オクタデシルメルカプタン等のメルカプタン;メルカプト酢酸、メルカプト酢酸2-エチルヘキシル、メルカプト酢酸3-メトキシブチル、β-メルカプトプロピオン酸、β-メルカプトプロピオン酸メチル、β-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル、β-メルカプトプロピオン酸3-メトキシブチル、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール等のチオール類;α-メチルスチレンダイマー等の連鎖移動定数の大きい炭化水素化合物などが使用できる。
水溶性のラジカル重合開始剤を用いる場合は水溶液として添加すればよいが、水に難溶なラジカル重合開始剤を用いる場合は、水及び乳化剤を用いてラジカル重合開始剤の乳化液をあらかじめ調製し、これを添加してもよい。この場合、使用する乳化剤は乳化重合で用いるものと同じでもよいし、異なっていてもよい。また、2種以上の乳化剤を組み合わせてもよい。
前記乳化重合で用いる水(分散媒)の量は、乳化液の粘度や安定性の観点から、コアシェル型重合体の製造に用いる単量体の総量、すなわち、コアシェル型重合体のコア粒子(被覆コア粒子を含む)の製造に用いる単量体(単量体(a)、及び、任意の多官能性グラフト剤と多官能性架橋剤)とシェルの製造に用いる単量体(単量体(b)、及び、任意の多官能性グラフト剤と多官能性架橋剤)の総量100質量部に対して、50~1,500質量部が好ましく、80~1,000質量部がより好ましく、100~800質量部が更に好ましい。
乳化重合の重合温度は、0~100℃が好ましく、重合率を高める観点から、50~90℃が好ましい。
本発明において、乳化重合後の乳化液をそのまま使用してもよいし、塩析、酸析、凍結、溶剤添加等の公知の方法によりコアシェル型重合体を回収して用いてもよい。また、回収したコアシェル型重合体をさらに洗浄、再沈殿、スチームストリッピング等の公知の方法によって精製してもよい。
本発明において、コアシェル型重合体の劣化を抑制する観点から、乳化重合後の乳化液、又は回収処理後や精製処理後のコアシェル型重合体に老化防止剤、酸化防止剤、熱劣化防止剤から選ばれる少なくとも一つを添加してもよい。これらの防止剤は、重合反応後のコアシェル型重合体の回収処理や精製処理における劣化を抑制する観点からは、乳化重合後の乳化液にこれらの防止剤を添加した後、コアシェル型重合体を回収処理又は精製処理をしてもよい。
老化防止剤としては、公知の材料を使用することができる。具体的には、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,5-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ(t-ブチル)-4-メチルフェノール、モノ(又はジ、又はトリ)(α-メチルベンジル)フェノール等のフェノール系化合物;2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)等のビスフェノール系化合物;2-メルカプトベンズイミダゾール、2-メルカプトメチルベンズイミダゾール等のベンズイミダゾール系化合物;6-エトキシ-1,2-ジヒドロ-2,2,4-トリメチルキノリン、ジフェニルアミンとアセトンの反応物、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体等のアミン-ケトン系化合物;N-フェニル-1-ナフチルアミン、アルキル化ジフェニルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、4,4’-ビス(α,α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、p-(p-トルエンスルホニルアミド)ジフェニルアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン等の芳香族二級アミン系化合物;1,3-ビス(ジメチルアミノプロピル)-2-チオ尿素、トリブチルチオ尿素等のチオウレア系化合物などが使用できる。
酸化防止剤は、酸素存在下においてそれ単体で樹脂の酸化劣化防止に効果を有するものである。例えば、リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。中でも、着色による光学特性の劣化防止効果の観点から、リン系酸化防止剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく、リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤との併用がより好ましい。
リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを併用する場合、リン系酸化防止剤の使用量:ヒンダードフェノール系酸化防止剤の使用量は、質量比で、(1:5)~(2:1)が好ましく、(1:2)~(1:1)がより好ましい。
リン系酸化防止剤としては、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイト((株)ADEKA製;商品名:アデカスタブHP-10)、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(BASF社製;商品名:IRGAFOS168)、3,9-ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサー3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン((株)ADEKA製;商品名:アデカスタブPEP-36)などが好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕(BASF社製;商品名IRGANOX1010)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート(BASF社製;商品名IRGANOX1076)などが好ましい。
熱劣化防止剤は、実質上無酸素の状態下で高熱にさらされたときに生じるポリマーラジカルを捕捉することによって樹脂の熱劣化を防止できるものである。
該熱劣化防止剤としては、2-t-ブチル-6-(3’-t-ブチル-5’-メチル-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製;商品名スミライザーGM)、2,4-ジ-t-アミル-6-(3’,5’-ジ-t-アミル-2’-ヒドロキシ-α-メチルベンジル)フェニルアクリレート(住友化学(株)製;商品名スミライザーGS)などが好ましい。
本発明においては、コアシェル型重合体に必要に応じて、上記した老化防止剤、酸化防止剤、熱劣化防止剤以外にも紫外線吸収剤、光安定剤、膠着防止剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、有機色素、艶消し剤、蛍光体などの各種の添加剤を加えても良い。このような各種の添加剤の配合量は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜に決定することができるものであり、その合計量は、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。
各種の添加剤は、コアシェル型重合体を製造する際の重合反応液に添加してもよいし、重合反応により製造されたコアシェル型重合体に添加してもよいし、成形体の製造時に添加してもよい。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する能力を有する化合物であり、主に光エネルギーを熱エネルギーに変換する機能を有すると言われる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類などが挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ベンゾトリアゾール類は紫外線被照による着色などの光学特性低下を抑制する効果が高いので、紫外線吸収剤として好ましい。ベンゾトリアゾール類としては、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(BASF社製;商品名TINUVIN329)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(BASF社製;商品名TINUVIN234)、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-t-オクチルフェノール]((株)ADEKA製;LA-31)、2-(5-オクチルチオ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノールなどが好ましい。
また、トリアジン類の紫外線吸収剤としては、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン((株)ADEKA製;LA-F70)や、その類縁体であるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASF社製;TINUVIN477やTINUVIN460)、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジンなどを挙げることができる。
光安定剤は、主に光による酸化で生成するラジカルを捕捉する機能を有すると言われる化合物である。好適な光安定剤としては、2,2,6,6-テトラアルキルピペリジン骨格を持つ化合物などのヒンダードアミン類が挙げられる。
膠着防止剤としては、脂肪酸の塩もしくはエステル、多価アルコールのエステル、無機塩、無機酸化物、粒子状の樹脂が好ましい。具体例としては、ステアリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、二酸化ケイ素(エボニック社製;商品名アエロジル)、粒子状のアクリル樹脂などが挙げられる。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアロアミド酸、メチレンビスステアロアミド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、パラフィンワックス、ケトンワックス、オクチルアルコール、硬化油などが挙げられる。
離型剤としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステルなどが挙げられる。
高分子加工助剤としては、通常、乳化重合法によって製造できる、0.05~0.5μmの粒子径を有する重合体粒子を用いる。該重合体粒子は、単一組成比及び単一極限粘度の重合体からなる単層粒子であってもよいし、また組成比又は極限粘度の異なる2種以上の重合体からなる多層粒子であってもよい。この中でも、内層に低い極限粘度を有する重合体層を有し、外層に5dl/g以上の高い極限粘度を有する重合体層を有する2層構造の粒子が好ましいものとして挙げられる。高分子加工助剤は、極限粘度が3~6dl/gであることが好ましい。極限粘度が小さすぎると成形性の改善効果が低い傾向がある。極限粘度が大きすぎると共重合体の成形加工性の低下を招く傾向がある。
有機色素としては、紫外線を可視光線に変換する機能を有する化合物が好ましく用いられる。
蛍光体としては、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤などが挙げられる。
本発明のコアシェル型重合体は合わせガラス用中間膜の製造に有用である。従って、本発明は合わせガラスの中間膜用コアシェル型重合体にも関する。
樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、前記コアシェル型重合体を好ましくは50質量%以上(100%を含む)、より好ましくは70質量%以上(100%を含む)、さらに好ましくは90質量%以上(100%を含む)含む。
本発明の樹脂組成物は、前記コアシェル型重合体に加えて、他の熱可塑性樹脂を任意に含有してよい。前記その他の熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルブチラール系樹脂、アイオノマー系樹脂などが挙げられる。
樹脂組成物が前記その他の熱可塑性樹脂を含む場合、その含有量は、樹脂組成物の全質量に対して、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。樹脂組成物におけるその他の熱可塑性樹脂の含有量が50質量%以下であると、ガラス等の基材への接着性が良好である。
本発明の樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、前記コアシェル型重合体及び任意に含まれるその他の熱可塑性樹脂に加えて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、接着力調整剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料等の種々の添加剤を含有してよい。
本発明の樹脂組成物の製造方法は特に限定されず、前記コアシェル型重合体と前記他の熱可塑性樹脂、添加剤などの任意成分を公知の製造方法に従って混合することにより得られる。
本発明の樹脂組成物は合わせガラス用中間膜の製造に有用である。従って、本発明は合わせガラスの中間膜用樹脂組成物にも関する。
コア粒子のガラス転移温度
被覆コア粒子を含まないコア粒子のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは-100~40℃、より好ましくは-70~20℃、さらに好ましくは-60~0℃である。前記ガラス転移温度が上記範囲内であると、コア粒子がゴム弾性を示し、得られる中間膜の耐衝撃性、耐貫通性が良好である。
コア粒子のガラス転移温度は、例えば、コア粒子を形成するモノマーを選択することにより調整することができる。
ガラス転移温度は、JIS K6240(2011年)に記載の方法で、示差走査熱量計により測定することができる。
被覆コア粒子の場合、内層および重合体被覆の少なくとも一方のガラス転移温度は、好ましくは-100~40℃、より好ましくは-70~20℃、さらに好ましくは-60~0℃である。
アセトン可溶分
本発明のコアシェル型重合体のアセトン可溶分の含有量は、特に限定されないが、コアシェル型重合体の全質量に対して10質量%以上であることが好ましく、より好ましくは10~90質量%、さらに好ましくは12.5~87.5質量%、よりさらに好ましくは15~85質量%、よりさらに好ましくは17.5~82.5質量%、特に好ましくは20~80質量%である。
また、本発明の樹脂組成物のアセトン可溶分の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物の全質量に対して10質量%以上であることが好ましく、好ましくは10~90質量%、より好ましくは12.5~87.5質量%、さらに好ましくは15~85質量%、よりさらに好ましくは17.5~82.5質量%、特に好ましくは20~80質量%である。アセトン可溶分の含有量が上述の範囲にあることにより、得られる中間膜がガラス等の基材への良好な接着性を有する。
アセトン可溶分の含有量は、
コアシェル型重合体又は樹脂組成物をアセトンに浸漬し、
遠心分離機にてアセトン不溶分とアセトン可溶分を遠心分離し、
アセトン可溶分を除去し、
得られたアセトン不溶分の質量を測定し、
下記式(1)より算出した値である。
詳細は下記の実施例に記載する。
アセトン可溶分の含有量=(Mc-Ma)/Mc×100 (1)
式中、Mcはコアシェル型重合体又は樹脂組成物の質量(g)であり、Maはアセトン不溶分の質量(g)である。
前記アセトン可溶分の含有量は、例えば、コアシェル型重合体中のシェルの量を変更すること、及び/又は、コア粒子(被覆コア粒子を含む)とシェルとの化学的結合の程度を変更することにより調整することができる。なお、コアシェル型重合体に含まれるシェルを構成する単量体に、前記多官能性グラフト剤及び多官能性架橋剤を含まない場合、及び/又は、シェルの重合において連鎖移動剤を用いることによって、アセトンへ可溶しやすくなる。
アセトン可溶分の酸価
前記アセトン可溶分の酸価は、特に限定されないが、0.5~10.0mmol/gであることが好ましく、0.55~9.50mmol/gであることがより好ましく、0.6~9.0mmol/gであることがさらに好ましく、0.65~8.5mmol/gであることがよりさらに好ましく、0.7~8.25mmol/gであることがよりさらに好ましく、0.75~8.0mmol/gであることが特に好ましい。アセトン可溶分の酸価が上述の範囲にあることで、得られる中間膜のガラス等の基材への接着性をさらに改善することができる。
アセトン可溶分の酸価は、
コアシェル型重合体又は樹脂組成物をアセトンに浸漬し、
遠心分離機にてアセトン不溶分とアセトン可溶分を遠心分離し、
アセトン不溶分を除去し、
得られたアセトン可溶分の溶液を塩基性溶液にて中和滴定することによって求めることができる。
詳細は下記の実施例に記載する。
前記アセトン可溶分の酸価の調整方法は、特に限定されないが、例えば、コアシェル型重合体又は樹脂組成物を構成する重合体に、酸性官能基を有する単量体単位(例えば、(メタ)アクリル酸単位)を導入する量によって調整することができる。
本発明のコアシェル型重合体において、前記アセトン可溶分の含有量X(質量%)と、アセトン可溶分の酸価A(mmol/g)との積Xは、75以上であり、80以上であることが好ましく、85以上であることがより好ましく、90以上であることがさらに好ましく、95以上であることがよりさらに好ましく、100以上であることがよりさらに好ましく、110以上であることがよりさらに好ましく、120以上であることがよりさらに好ましく、140以上であることが特に好ましい。
前記積Xの上限は、好ましくは900、より好ましくは800、よりさらに好ましくは700、よりさらに好ましくは600、よりさらに好ましくは500、よりさらに好ましくは400、よりさらに好ましくは300、よりさらに好ましくは250、特に好ましくは200である。
前記積Xの上記した下限値と上記した上限値は任意に組み合わせることができる。
本発明の一態様において、前記積Xが上記範囲内であり、かつ、アセトン可溶分の含有量X及びアセトン可溶分の酸価Aが、それぞれ、上記した範囲内であることが好ましい。
アセトン可溶分の含有量と酸価の積が上記範囲にあることにより、得られる中間膜がガラス等の基材への良好な接着性を有する。
さらに、本発明のコアシェル型重合体を含む樹脂組成物において、前記アセトン可溶分の含有量X’(質量%)と、アセトン可溶分の酸価A’(mmol/g)との積X’A’は、75以上であることが好ましく、80以上であることがより好ましく、85以上であることがよりさらに好ましく、90以上であることがよりさらに好ましく、95以上であることがよりさらに好ましく、100以上であることがよりさらに好ましく、110以上であることがよりさらに好ましく、120以上であることがよりさらに好ましく、140以上であることが特に好ましい。
前記積X’A’の上限は、好ましくは900、より好ましくは800、よりさらに好ましくは700、よりさらに好ましくは600、よりさらに好ましくは500、よりさらに好ましくは400、よりさらに好ましくは300、よりさらに好ましくは250、特に好ましくは200である。
前記積X’A’の上記した下限値と上記した上限値は任意に組み合わせることができる。
本発明の一態様において、前記積X’A’が上記範囲内であり、かつ、アセトン可溶分の含有量X’及びアセトン可溶分の酸価A’が、それぞれ、上記した範囲内であることが好ましい。
アセトン可溶分の含有量と酸価の積が上記範囲にあることにより、得られる中間膜がガラス等の基材への良好な接着性を有する。この理由については、下記のように考えられる。
中間膜のガラス等の基材への接着性は、基材と中間膜との界面において、基材側の官能基と、中間膜側の酸性官能基とが相互作用することにより、向上する。そこで、本発明者らは、基材への接着性向上に寄与し得る有効酸性官能基量に着目した。
該有効酸性官能基量は下記式:
有効酸性官能基量=X×Y
X:基材と接する中間膜表面における酸性官能基含有樹脂の面積分率
Y:酸性官能基含有樹脂の酸性官能基の面密度
で表すことができ、該有効酸性官能基量が高い方が、基材への接着性が良好である。
該酸性官能基含有樹脂の面積分率は、酸性官能基含有樹脂の体積分率に比例し、該体積分率は、アセトン可溶分の含有量(X)に比例する。
該酸性官能基の面密度は、酸性官能基含有樹脂の酸性官能基の体積密度に比例し、該体積密度は、アセトン可溶分の酸価(A)に比例する。
したがって、該有効酸性官能基量は、アセトン可溶分の含有量(X)とアセトン可溶分の酸価(A)の積に比例する。上記の着想に基づき、鋭意検討を重ねた結果、中間膜のガラス等の基材への接着性がアセトン可溶分の含有量(X)とアセトン可溶分の酸価(A)の積Xに依存することを見出し、この知見に基づいて、該積Xの好適な範囲を前記の通り見出した。
アセトン可溶分のガラス転移温度
前記アセトン可溶分のガラス転移温度(Tg)は、40℃以上であることが好ましく、40~200℃であることがより好ましく、50~180℃であることがさらに好ましく、60~160℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度が上記範囲であると、得られる中間膜の自立性が良好となる。
アセトン可溶分のガラス転移温度は、例えば、シェルを形成する単量体を選択することにより調整することができる。
ガラス転移温度は、上記した方法により測定することができる。
アセトン可溶分の重量平均分子量
前記アセトン可溶分の重量平均分子量(Mw)は、5,000~1,000,000であることが好ましく、10,000~900,000であることがより好ましく、30,000~800,000であることがよりさらに好ましく、70,000~700,000であることが特に好ましい。重量平均分子量が上記の範囲内にある場合、成形加工性と得られる中間膜の機械物性が良好となる。重量平均分子量は、標準ポリスチレンによる検量を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。
樹脂組成物の溶融混練物のモルフォロジー
本発明の樹脂組成物の溶融混練物を電子顕微鏡で観察したときのモルフォロジーにおいて、コアシェル型重合体のシェルは連続相、コア粒子(被覆コア粒子を含む)は分散相を形成する。分散相の平均粒子径は、200nm以下であることが好ましく、10~200nmであることがより好ましく、20~180nmであることがさらに好ましく、30~160nmであることが特に好ましい。分散相の平均粒子径が上記範囲であると、得られる中間膜の透明性が良好になる。分散相の平均粒子径は、例えば、コア粒子の質量、コアシェル型重合体製造時の乳化剤の使用量を変更することにより調整することができる。
本発明において、該平均粒子径は以下の方法により求めた。
樹脂組成物を200℃、回転数100rpmにて3分間溶融混練して樹脂組成物の溶融混練物を得た。
得られた溶融混練物を210℃で50kgf/cmの圧力で5分間圧縮成形して厚さ0.8mmの樹脂シートを得た。
得られた樹脂シートを電子顕微鏡(SEM)により観察した。
分散相の短径と長径の測定値から、下記式(2)により粒子径を求めた。
粒子径=(短径+長径)/2 (2)
100個の分散相の粒子径を求め、その平均値を分散相の平均粒子径とした。
樹脂組成物の溶融混練物の貯蔵弾性率(E’)
本発明の樹脂組成物の溶融混練物の貯蔵弾性率(E’)は、50~1,000MPaであることが好ましく、より好ましくは75~900MPa、さらに好ましくは100~800MPaである。貯蔵弾性率(E’)が上記範囲であると、自立性がさらに良好になる。
本発明において、貯蔵弾性率(E’)は実施例に記載した方法により測定した。
樹脂組成物の溶融混練物のヘイズ
本発明の樹脂組成物の溶融混練物のヘイズは、0~10%であることが好ましく、より好ましくは0~7.5%、さらに好ましくは0~5%である。
本発明においてヘイズは以下の方法により求めた。
樹脂組成物を200℃、回転数100rpmにて3分間溶融混練して樹脂組成物の溶融混練物を得た。
得られた溶融混練物を210℃で50kgf/cmの圧力で5分間圧縮成形して厚さ0.8mmの樹脂シートを得た。
得られた樹脂シートのヘイズをヘイズメーターHZ-1(スガ試験機(株)製)を用いてJIS K7136:2000に準拠して測定した。
合わせガラス用中間膜
本発明の合わせガラス用中間膜は、上記コアシェル型重合体又は樹脂組成物を含む層(x)のみから構成されていてもよく、層(x)を少なくとも1層含む多層膜であってもよい。前記多層膜としては、特に限定されないが、例えば、層(x)とその他の層が積層した2層膜や、2つの層(x)の間にその他の層が配置されている膜などが挙げられる。
前記その他の層としては、公知の樹脂を含む層が挙げられる。該樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエステルのうちポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン、ポリフェニレンスルファイド、ポリテトラフロロエチレン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリイミドなどを用いることができる。また、その他の層も、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料、遮熱材料(例えば、赤外線吸収能を有する、無機遮熱性微粒子又は有機遮熱性材料)、機能性無機化合物などの添加剤を含有してよい。
本発明の合わせガラス用中間膜の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、樹脂組成物を均一に混練した後、押出法、カレンダー法、プレス法、溶液キャスト法、溶融キャスト法、インフレーション法等の公知の製膜方法により層(x)にすることにより得られる。層(x)は単独で中間膜として使用してもよい。必要に応じて、層(x)をその他の層とプレス成形等で積層させて積層中間膜にしてもよいし、層(x)とその他の層とを共押出法により成形して積層中間膜としてもよい。
公知の製膜方法の中でも、特に押出機を用いて合わせガラス用中間膜を製造する方法が好適に用いられる。押出時の樹脂温度は150℃以上が好ましく、170℃以上がより好ましい。また、押出し時の樹脂温度は250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましい。樹脂温度が高くなりすぎると、用いる樹脂が分解し、樹脂の劣化が懸念される。逆に温度が低すぎると、押出機からの吐出が安定せず、機械的トラブルの要因になる。揮発性物質を効率的に除去するためには、押出機のベント口から減圧により、揮発性物質を除去することが好ましい。
また、本発明の合わせガラス用中間膜は表面にメルトフラクチャーやエンボスなど、従来公知の方法で凹凸構造を形成することが好ましい。メルトフラクチャー及びエンボスの形状は、従来公知のものを採用することができる。本発明の合わせガラス用中間膜の表面に凹凸構造を形成すると、合わせガラス用中間膜とガラス等の基材とを熱圧着する際の泡抜け性に優れるため好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜の厚さの下限は、好ましい順に(一番目の下限が好ましく、最後の下限が最も好ましい)、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、及び0.75mmである。またその上限は、好ましい順に(一番目の上限が好ましく、最後の上限が最も好ましい)、5mm、4mm、2mm、1.6mm、1.2mm、1.1mm、1mm、及び0.79mmである。合わせガラス用中間膜の厚さは従来公知の方法、例えば接触式又は非接触式の厚み計などを用いて測定される。
本発明の合わせガラス用中間膜は、本発明の樹脂組成物の溶融混練物に関して記載したモルフォロジー、貯蔵弾性率(E’)、及びヘイズを有する。
本発明の合わせガラス用中間膜と積層させるガラスは、例えば、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、網入り板ガラス、熱線吸収板ガラスなどの無機ガラスのほか、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネートなどの従来公知の有機ガラス等を制限なく使用できる。これらは無色又は有色のいずれであってもよい。これらは1種を使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、ガラスの厚さは、100mm以下であることが好ましい。
本発明の合わせガラス用中間膜を2枚のガラスに挟んでなる合わせガラスは、従来公知の方法で製造できる。例えば真空ラミネーター装置を用いる方法、真空バッグを用いる方法、真空リングを用いる方法、ニップロールを用いる方法等が挙げられる。また上記方法により仮圧着した後に、オートクレーブに投入して本接着する方法も挙げられる。
真空ラミネーター装置を用いる場合、例えば1×10-6~3×10-2MPaの減圧下、60~200℃、特に80~160℃で無機ガラス板、合わせガラス用中間膜、接着性樹脂層、有機ガラス板がラミネートされる。真空バッグ又は真空リングを用いる方法は例えば欧州特許第1235683号明細書に記載されており、約2×10-2MPaの圧力下、100~160℃でラミネートされる。
ニップロールを用いる製造方法としては、合わせガラス用中間膜の流動開始温度以下の温度でロールにより脱気した後、さらに流動開始温度に近い温度で圧着を行う方法が挙げられる。具体的には、例えば赤外線ヒーターなどで30~70℃に加熱した後、ロールで脱気し、さらに50~120℃に加熱した後ロールで圧着させる方法が挙げられる。
上述の方法を用いて圧着させた後にオートクレーブに投入してさらに圧着を行う場合、オートクレーブ工程の運転条件は合わせガラスの厚さや構成により適宜選択されるが、例えば0.5~1.5MPaの圧力下、100~160℃にて0.5~3時間処理することが好ましい。
合わせガラスは透明性に優れるものであることが好ましく、例えばそのヘイズは1%以下であることが好ましく、0.8%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。なお本発明においてヘイズは、ヘイズメーターHZ-1(スガ試験機(株)製)を用いてJIS K7136:2000に準拠して測定した。
上記したように、本発明のコアシェル型重合体又は樹脂組成物を成形して得られる膜は、合わせガラス用中間膜として有用である。該合わせガラス用中間膜は、ガラス等の基材への接着性、透明性、自立性に優れる点から、特に、構造材料用合わせガラスの中間膜として好ましい。また、構造材料用合わせガラスの中間膜に限らず、自動車等の移動体、建築物、太陽電池、などの各種用途における合わせガラス用中間膜としても好適であるが、これらの用途に限定されるものではない。
従って、本発明は、合わせガラス用中間膜の形状にしたコアシェル型重合体、合わせガラス用中間膜の形状にした樹脂組成物、コアシェル型重合体の合わせガラス用中間膜としての用途、及び樹脂組成物の合わせガラス用中間膜としての用途をも含む。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において使用した各材料を以下に示す。
(単量体)
・メタクリル酸メチル:(株)クラレ製
・アクリル酸メチル:東京化成工業(株)製
・アクリル酸n-ブチル:東京化成工業(株)製
・アクリル酸2-エチルヘキシル:東京化成工業(株)製
・メタクリル酸n-ブチル:東京化成工業(株)製
・メタクリル酸アリル:東京化成工業(株)製
・スチレン:和光純薬工業(株)製
・メタクリル酸:和光純薬工業(株)製
(連鎖移動剤)
・n-オクチルメルカプタン:東京化成工業(株)製
(乳化剤)
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム:花王(株)製、製品名「ネオペレックスG-15」(有効成分16%の水溶液)
(ラジカル重合開始剤)
・ペルオキソ二硫酸ナトリウム:和光純薬工業(株)製
(分散媒)
・イオン交換水:電気伝導率0.08×10-4S/m以下のイオン交換水
(可塑剤)
・トリエチレングリコールジ-2-エチルヘキサノエート:Alfa Aesar社製
本実施例では、メタクリル酸メチルをMMA、アクリル酸メチルをMA、アクリル酸n-ブチルをnBA、アクリル酸2-エチルヘキシルを2EHA、メタクリル酸n-ブチルをBMA、メタクリル酸アリルをALMA、スチレンをSt、メタクリル酸をMAA、n-オクチルメルカプタンをnOMと表記する。
実施例及び比較例における各種分析条件を以下に示す。
[単量体転化率]
重合開始から1時間毎にサンプリングした乳化液(1mL)をメタノール(20mL)に滴下することで、粒子を沈降させた。粒子の沈降後、上澄み液を除去した後に得られた固形分を、真空乾燥機(角型真空定温乾燥器 型式:DP23、ヤマト科学(株)製)を用いて0.1kPa、60℃の条件にて質量変化がなくなるまで真空乾燥を行った。
サンプリングした乳化液の質量、サンプリング時点までに添加した単量体の質量、乾燥後の固形分の質量から単量体転化率(質量%)を算出した。
[製造時の乳化液中の平均分散粒子径]
製造例で得られた乳化液(0.1mL)とイオン交換水(10mL)の混合液を動的光散乱測定装置(装置名:SZ-100、(株)堀場製作所製)を用いて粒子の粒度分布を体積基準で測定し、メディアン径を平均分散粒子径とした。
[アセトン可溶分の含有量]
後述する方法にて得られたコアシェル型重合体の溶融混練物(1.25g)をアセトン(25g)に浸漬して24時間振とうさせたのち、遠心分離機(装置名:hymac CR 22GII、日立工機(株)製)を用いて20,000rpmで3時間処理し、固液分離した。膨潤体を含む固層を取り出し、質量変化がなくなるまで上記真空乾燥機を用いて0.1kPa、70℃の条件にて真空乾燥を行い、乾燥後の質量を測定し、アセトン不溶分の質量とした。下記式(1)よりアセトン可溶分の質量分率を算出した。
アセトン可溶分の質量分率=(Mc-Ma)/Mc×100 (1)
式中、Mcは樹脂組成物の質量(g)であり、Maはアセトン不溶分の質量(g)である。
[アセトン可溶分の酸価]
上記アセトン浸漬処理後、固液分離した液層を、0.1mol/L水酸化カリウムエタノール溶液(0.1N塩酸及び1%フェノールフタレイン溶液にて力価(F)を標定したもの)で滴定し、その中和量から次式に従って酸価を算出した。
酸価(mmol/g)=(KOH滴定量(mL)×0.1×F)/(Mc-Ma)
式中、Mc及びMaは上記したとおりである。
[アセトン可溶分の重量平均分子量]
上記アセトン浸漬処理後、固液分離した液層を、質量変化がなくなるまで上記真空乾燥機を用いて0.1kPa、70℃の条件にて真空乾燥を行った。乾燥後の固体10mgをテトラヒドロフラン1mLに溶解後、不溶分をメンブレンフィルター(13JP020AN、東洋濾紙(株)製)でろ過して除いた。ろ液を用いて、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンで検量した重量平均分子量を求めた。
装置:HLC-8320GPC、東ソー(株)製
溶離液:THF
カラム:TSKguardcolumn HXL-H(6.0mmI.D.×4cm)、東ソー(株)製を1本、TSKgel GMHXL(7.8mmI.D.×30cm)、東ソー(株)製を1本の計2本を直列で接続
カラム温度:40℃
検出器:RI
送液量:1.0mL/min
[分散相の平均粒子径]
後述する方法にて得られたコアシェル型重合体の溶融混練物を210℃加熱下、50kgf/cmの圧力にて5分間圧縮成形し、厚さ0.8mmの樹脂シートを得た。該シートを電子顕微鏡により観察した。観察像から分散相の短径と長径の長さを測定し、下記式(2)により分散粒子径を求めた。100個の分散相の数平均値を分散相の平均粒子径とした。
分散粒子径=(短径+長径)/2 (2)
[高温環境下自立性]
後述する方法にて得られたコアシェル型重合体又は樹脂組成物の溶融混練物を210℃加熱下、50kgf/cmの圧力にて5分間圧縮成形し、厚さ0.8mmの樹脂シートを得た。該シートから縦40mm×横5mmの試験片を切り出し、(株)UBM製動的粘弾性測定装置を用いて、測定温度50℃、周波数1Hzの条件で、貯蔵弾性率(E’)を測定し、その値を高温環境下における合わせガラス用中間膜の自立性の指標とした。
[透明性]
後述する方法にて得られたコアシェル型重合体又は樹脂組成物の溶融混練物を210℃加熱下、50kgf/cmの圧力にて5分間圧縮成形し、厚さ0.8mmの樹脂シートを得た。該シートのヘイズをヘイズメーターHZ-1(スガ試験機(株)製)を用いてJIS K7136:2000に準拠して測定した。
[ガラス接着性]
後述する方法にて得られたコアシェル型重合体又は樹脂組成物の溶融混練物を210℃加熱下、50kgf/cmの圧力にて5分間圧縮成形し、厚さ0.8mmの樹脂シートを得た。得られた樹脂シートを厚さ2.7mmのフロートガラス2枚に挟み、真空ラミネーター(日清紡メカトロニクス(株)製 1522N)を使用し100℃で真空ラミネーター内を1分減圧し、減圧度、温度を保持したまま30kPaで5分プレスして、仮接着体を得た。得られた仮接着体をオートクレーブに投入し140℃、1.2MPaで30分処理して、合わせガラスを得た。得られた合わせガラスを25mm×25mmの大きさに切断して試験サンプルを得た。得られた試験サンプルをWO1999―058334号公報に記載の圧縮せん断強度試験(Compression shear strength test)により評価した。合わせガラスが剥離した際の最大せん断応力を、ガラス接着性の指標とした。
[徐冷耐久性]
上述の方法にて得られた合わせガラスを150℃まで加熱したのち、0.1℃/分の速度で23℃まで徐冷した。作製直後と徐冷操作後の合わせガラスのヘイズを測定し、ヘイズ値の増加分(ΔHaze)を徐冷耐久性の指標とした。
<製造例1:コアシェル型重合体の製造>
(工程1’)
乾燥させた0.5Lの耐圧重合槽にイオン交換水145g、乳化剤(ネオぺレックスG-15)1.3gを添加した後、内容物を撹拌しながら30分間窒素ガスを通気することで脱酸素処理した。70℃に昇温した後、水溶液中に、重合開始剤(過硫酸カリウム)0.1gをイオン交換水5gに溶解させた水溶液を添加した。その後、nBA(29.46g)、St(6.25g)、ALMA(0.21g)からなる単量体混合物(i’)を脱酸素処理した後、2mL/分の速度で水溶液に連続的に添加し、乳化液を得た。
(工程2’)
MMA(0.71g)、nBA(11.29g)、St(2.28g)、ALMA(0.23g)からなる混合物を脱酸素処理して単量体混合物(ii’)を得た。工程1’で加えた単量体の転化率が99質量%を超えたことを確認した時点で、前記工程1’で得られた乳化液に、単量体混合物(ii’)を2mL/分の速度で連続的に添加して、乳化液を得た。
(工程3’)
MMA(10.83g)、nBA(19.17g)、MAA(20g)、nOM(0.5g)からなる混合物を脱酸素処理して単量体混合物(iii’)を得た。工程2’で加えた単量体の転化率が99質量%を超えたことを確認した時点で、工程2’で得られた乳化液に単量体混合物(iii’)を1mL/分の速度で連続的に添加した。総単量体添加率が99質量%を超えたことを確認した時点で、重合槽を25℃まで冷却して、コアシェル型重合体の乳化液を取り出した。
該乳化液を―20℃にて24時間冷却して凍結させたのち、80℃の熱水250gへ投入し、30分撹拌することで、コアシェル型重合体を凝固させた。吸引ろ過により固形分をろ取し、イオン交換水500mL中に投入して30分撹拌して水洗した。水洗を繰り返し計3回実施した後、ろ取した固形分を真空乾燥機で0.1kPa、70℃にて重量変化がなくなるまで乾燥し、コアシェル型重合体CS-1を得た。
<製造例2~13:コアシェル型重合体の製造>
単量体の種類と使用量及び乳化剤の使用量を表1、2に示す通り変更した以外は、製造例1と同様の方法で各コアシェル型重合体を得た。
なお、コアシェル型重合体CS-10(製造例13)は、特許文献1に記載のアクリルコアシェル樹脂ACS-1(製造例4)に相当する。
各コアシェル型重合体の製造に用いた各成分の配合量を表1、2に示す。
Figure 0007333382000001
Figure 0007333382000002
≪実施例1≫
コアシェル型重合体CS-1をラボプラストミル(装置名:4M150、(株)東洋精機製作所製)を用いてチャンバー温度200℃、回転数100rpmにて3分間溶融混練し、チャンバー内容物を取り出し、冷却して溶融混練物を得た。得られた溶融混練物を用いて各種物性評価を行った。結果を表3に示す。
≪実施例2~10、比較例1~3≫
コアシェル型重合体を表3,4に示す通り変更した以外は、実施例1と同様の方法で溶融混練物を得た。得られた溶融混練物を用いて各種物性評価を行った。
≪比較例4≫
平均重合度約1700、アセタール化度69モル%のポリビニルブチラール樹脂を合成し、ポリビニルブチラール樹脂100質量部に対して、可塑剤としてトリエチレングリコールジ2-エチルヘキサノエートを20質量部加え、圧力100Kgf/cm、温度140℃にて10分プレス成形し、厚さ0.8mmのポリビニルブチラールシート(PVB-1)を作製した。作製したポリビニルブチラールシートを用いて各種物性評価を行った。
≪比較例5≫
平均重合度約1700、アセタール化度69モル%のポリビニルブチラール樹脂を合成し、ポリビニルブチラール樹脂100質量部に対して、可塑剤としてトリエチレングリコールジ2-エチルヘキサノエートを35質量部加え、圧力100Kgf/cm、温度140℃にて10分プレス成形し、厚さ0.8mmのポリビニルブチラールシート(PVB-2)を作製した。作製したポリビニルブチラールシートを用いて各種物性評価を行った。
≪比較例6≫
アイオノマー樹脂(ハイミラン1601、デュポン社製)を、圧力100Kgf/cm、温度200℃にて10分プレス成形し、厚さ0.8mmのアイオノマー樹脂シートを作製した。作製したアイオノマー樹脂シートを用いて各種物性評価を行った。
Figure 0007333382000003
Figure 0007333382000004
実施例1~10と比較例4~6の比較から、本発明のコアシェル型重合体を含む中間膜は、従来使用されているポリビニルブチラール樹脂膜、アイオノマー樹脂膜に比べると、ガラス接着性だけではなく、透明性、高温環境下自立性においても良好であることが分かる。
XsAs≧75を満たす実施例1~10の中間膜は、この条件を満たさない比較例1~3の中間膜と比べると、ガラス接着性が著しく改善されたことが分かる。さらに、高温環境下自立性も著しく改善されたことが分かる。
このように、本発明のコアシェル型重合体又はこれを含む樹脂組成物を成形して得られる膜は、合わせガラス用中間膜に要求される良好なガラス接着性、好ましくは、良好なガラス接着性に加えて、良好な透明性及び良好な自立性を併せ持つ。
本発明のコアシェル型重合体及び樹脂組成物を用いることにより、ガラスとの接着性、透明性、自立性に優れた樹脂膜が得られる。該樹脂膜は合わせガラス用中間膜、特に、構造材料用合わせガラスの中間膜として有用である。さらに、構造材料用合わせガラスの中間膜に限らず、自動車等の移動体、建築物、太陽電池などの各種用途における合わせガラス用の中間膜として好適に使用することができる。従って、本発明のコアシェル型重合体及び樹脂組成物は各種用途における合わせガラス用の中間膜の製造に有用である。

Claims (1)

  1. コア粒子、及びコア粒子の少なくとも一部を被覆するシェルを有するコアシェル型重合体であり、該コアシェル型重合体の全質量に対するアセトン可溶分の含有量X (質量%)とアセトン可溶分の酸価A (mmol/g)が以下の関係を満たす合わせガラスの中間膜用コアシェル型重合体を含む樹脂組成物であって、前記樹脂組成物の全質量に対するアセトン可溶分の含有量X ’(質量%)とアセトン可溶分の酸価A ’(mmol/g)が、以下の関係を満たす、合わせガラスの中間膜用コアシェル型重合体を含む樹脂組成物。
    ≧75
    ’A ’≧75
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