JP2009511032A - Egfrおよびigf−irに対するナノボディおよびポリペプチド - Google Patents
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Abstract
本発明は、上皮細胞増殖因子受容体(EGFR)および/またはインスリン増殖因子−I受容体(IGF−IR)に対するポリペプチドおよびナノボディに関する。また、本発明は、該ナノボディおよびポリペプチドをコードする核酸;該ナノボディおよびポリペプチドを調製する方法;該ナノボディおよびポリペプチドを発現し、または発現することができる宿主細胞;該ナノボディ、ポリペプチド、核酸、および/または宿主細胞を含む組成物、特に医薬組成物;ならびに特に予防、治療、または診断目的での該ナノボディ、ポリペプチド、核酸、宿主細胞、および/または組成物の使用、にも関する。
【選択図】なし
【選択図】なし
Description
本発明は、上皮細胞増殖因子受容体および/またはインスリン増殖因子−I受容体(それぞれ、「EGFR」および「IGF−IR」)に対するポリペプチドおよびナノボディ(Nanobody(商標))に関する[注:Nanobody(商標)、Nanobodies(商標)およびNanoclone(商標)は、Ablynx社の商標である]。
また、本発明は、該ナノボディおよびポリペプチドをコードする核酸;該ナノボディおよびポリペプチドを調製する方法;該ナノボディおよびポリペプチドを発現し、または発現することができる宿主細胞;該ナノボディ、ポリペプチド、核酸、および/または宿主細胞を含む組成物、特に医薬組成物;ならびに本明細書に記載の予防、治療、または診断目的のような、特に予防、治療、または診断目的での該ナノボディ、ポリペプチド、核酸、宿主細胞、および/または組成物の使用、にも関する。
本発明の別の態様、実施態様、利点および用途については、本明細書にさらに記述することにより明らかとなるであろう。
本出願人による国際特許出願であるWO第05/044858号およびWO第04/041867号には、EGFRに対するナノボディ、それを含むポリペプチド、該ナノボディおよびポリペプチドを含む組成物、ならびに該ナノボディ、ポリペプチドおよび組成物の調製法と使用法が記載されている。
国際特許出願第05/044858号パンフレット
国際特許出願第04/041867号パンフレット
一般に、WO第05/044858号およびWO第04/041867号に記載のナノボディおよびポリペプチドの代替物であり、およびこれらと比較して好ましくは性質が改善されている、EGFRに対するナノボディ、それを含むポリペプチドを提供することが、本発明の目的である。
具体的には、EGFRに対する、様々に改善したナノボディおよびポリペプチドを提供することが、本発明の目的である。例えば、好ましいが非限定的な一実施態様では、本発明は、細胞外ドメインEGFRに結合し、EGFR上のEGF、TGFα結合部位とは拮抗するがエルビタックス結合部位とは拮抗しない、EGFRに対するナノボディを提供する。別の好ましいが非限定的な実施態様では、本発明は、細胞外ドメインEGFRに結合し、EGFR上のEGF、エルビタックス、およびTGFα結合部位と拮抗する、ナノボディを提供する。さらに別の好ましいが非限定的な実施態様では、本発明は、細胞外ドメインEGFRに結合し、EGFR上のTGFα結合部位とは拮抗するがEGFまたはエルビタックス結合部位とは拮抗しない、ナノボディを提供する。本明細書に詳述するように、これらの全ての異なるタイプのナノボディおよびポリペプチドに対して、使用のために望ましい特性に応じて、異なる(治療または診断)用途を見出すことができる。
一般に、本明細書に記載のナノボディおよびポリペプチド、特に本明細書に記載のEGFRに対する改善したナノボディは、WO第05/044858号およびWO第04/041867号に記載の、これらの公報に開示したナノボディおよびポリペプチドについての全ての用途および使途のために使用することができる。したがって、例えば、本明細書に記載のナノボディは、WO第05/044858号およびWO第04/041867号に記載のEGFRに対するナノボディの代わりに、WO第05/044858号およびWO第04/041867号に記載のポリペプチドおよびナノボディコンストラクトの調製時に使用することができる。また、本明細書に記載のナノボディおよびポリペプチドは、WO第05/044858号およびWO第04/041867号の記載と同様に調剤し、使用することもできる。
特に、本明細書に記載のナノボディ、ポリペプチドおよび組成物は、EGFRおよび/またはIGF−IRに関連する病気および疾患、特に、EGFRおよび/またはIGF−IRの(すなわち、ある組織または細胞における)過剰発現に関連し、またはそれによって特徴づけられる病気および疾患の予防、診断および/または治療のために使用することができる。該病気および疾患の例は当業者にとって明白であり、本明細書に述べたもの等の種々の形態のガンおよび腫瘍、およびある種の皮膚の炎症性疾患が挙げられる。
本明細書に記載の抗IGF−IRナノボディは、ガンおよびIGF−IR(の過剰発現)に関連する他の病気および疾患の治療にそれ自体を使用することができるが、任意の抗EGFR治療(抗EGFR化合物、抗EGFR抗体(抗体断片を含む)による治療、または抗EGFRナノボディもしくはポリペプチドによる治療)を促進し、該治療に使用する抗EGFR化合物または抗体の量を減少させ(それにより、例えば、これらに関連する副作用を低減させ)、および/または抗EGFR治療に対する耐性を防止または低減させるために使用することもできる。該抗EGFR治療の例は、例えば、本明細書に引用する関連する先行技術文献より、当業者にとって明白であろう。例えば、Friessら、Clin. Cancer Res, 11(14), 2005, 5300およびThakerら、Clin. Cancer Res., 11(13), 2005, 4923も参照されたい。Imclone systems社製のIMC-C225(エルビタックスまたはセツキシマブ)、Merck社製のEMD7200(マツズマブ)、Abgenix社製のABX-EGF(パニツムマブ)、およびGenmab社製の2F8等の数種類のマウスモノクローナル抗体が、前臨床および臨床用途に導入され、成功を収めている。
また、一般に、本明細書に記載のナノボディおよびポリペプチドのインビトロおよび/またはインビボにおける活性および/または有効性は、インビトロアッセイ、インビボアッセイ、細胞ベースのアッセイ、またはWO第05/044858号およびWO第04/041867号に記載の動物モデルのうち1種類以上を用いて決定することができる。Rooversらによる、「Efficient inhibition of EGFR signalling and of tumor growth by antagonisitic anti-EGFR Nanobodies」(論文発表のための投稿原稿)も参照されたい。本明細書に記載のナノボディ、ポリペプチドおよび組成物の、特に腫瘍の治療および/または腫瘍細胞の成長または増殖の阻害における有効性を評価するための他のアッセイ、モデル、および手法は、例えば、本明細書に記述するEGFRおよびIGF−IRに関する先行技術文献より、当業者にとって明白であろう。
IGF−IRに対するナノボディおよびそれを含むポリペプチドを提供することも、本発明の1つの目的である。
IGF−I受容体の腫瘍における役割およびガンの治療においてIGF−IRを標的とするための戦略については、とりわけ、HofmanおよびGarcia-Echeverria, Drug Discovery Today, Vol. 10, 15, 2005年8月, 1041、Papaら、Cancer Res., 1993, 8月15日, 53(16):3736-40; Arteagaら、J. Clin. Invest., Vol. 84., 1989年11月, 1418-1423; Maloneyら、Cancer Research 63, 5073-5083, 2003、BaehrおよびGroner, Growth Factors, 2005年3月, 23(1) 1-14; Ulfarssonら、Clin. Cancer Res., 2005, 11(13), 2005、Burtrumら、Cancer Research, 63, 8912-8921 (2003)、Miyamotoら、Clin. Cancer Res., 2005, 11(9), 2005、Haileyら、Molecular Cancer Therapeutics, Vol.1, 1349-1353, 2002年12月を参照されたい。
IGF−I受容体が、ハーセプチンに対する耐性の獲得に関与していることについても報告されている(Altundagら、Mol. Cancer Ther., 2005, (4)7, 1136、Monnierら、Bull. Cancer., 2004, Sep; 91(9):685-94、Chakravartiら、Cancer Research 62, 200- 207, 2002)。EGFとIGF−Iとの相乗効果については、例えば、Faisalら、Journal of Surgical Research, 69, 354-358 (1997)、Adamsら、Growth Factors, 2004年6月, Vol. 22(2), 89-95, およびKnowlden, Endocrinology, 2005, 7月21日 (印刷版発行前の電子出版)に記載している。IGFによるEGFRの信号伝達の増強は、Chongら、Biochem. Biophys. Res. Commun., 2004, 322(2):535-41に記載している。乳ガンにおける、EGFRとIGF−IRの発現との関連については、例えば、van den Bergら、Br. J. Cancer, 1996,, 73(4):477-81に記載している。IGF−IRに対するモノクローナル抗体を使用した、ガンに対する複合療法については、例えば、Cohenら、Clinical Cancer Research Vol.11, 2063-2073 (2005)に記載している。Luら、JBC, Vol. 279., No.4, 2856-2865 (2004)には、二特異性モノクローナル抗体を使用した、EGFRおよびIGF−IRの同時ブロッキングがガン細胞の成長におよぼす影響について記載している。Manesら、Endocrinology, Vol. 138, No.3, 905には、IGF−IRのエピトープマッピングについて記載している。
本発明において、一般に、これらの目的は、本発明において提供されるナノボディおよびポリペプチドを使用することにより達成される。
したがって、具体的には、温血動物由来のEGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対する、より具体的には、哺乳類由来のEGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対する、特に、ヒトEGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対する、EGFRに対する優れたナノボディおよび/またはIGF−IRに対するポリペプチドおよびナノボディを提供すること、および少なくとも1個の該ナノボディを含み、またはほぼこれらからなるタンパク質およびポリペプチドを提供することが、本発明の1つの目的である。
具体的には、温血動物、具体的には哺乳類、より具体的にはヒトにおける予防、治療、および/または診断目的に好適である、該ナノボディおよび該タンパク質、および/またはポリペプチドを提供することが、本発明の目的である。
より具体的には、温血動物、具体的には哺乳類、より具体的にはヒトにおいて、EGFRまたはIGF−IRそれぞれに関連し、および/またはEGFRまたはIGF−IRによって媒介される1種類以上の病気、疾患、(本明細書で述べた病気、疾患および症状等の)または症状の予防、治療、軽減および/または診断目的に使用することができる、該ナノボディおよび該タンパク質および/またはポリペプチドを提供することが、本発明の1つの目的である。
また、温血動物、具体的には哺乳類、より具体的にはヒトにおいて、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに関連し、および/またはEGFRまたはIGF−IRによって媒介される(本明細書に述べた病気、疾患および症状等の)1種類以上の病気、疾患、または症状の治療および/または予防のための医薬または獣医薬組成物の調製に使用することができる、該ナノボディおよび該タンパク質および/またはポリペプチドを提供することも、本発明の1つの目的である。
本発明の具体的な、しかし非限定的な目的の1つは、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対する従来の抗体、またはFab'断片、F(ab')2断片、scFvコンストラクト、「ダイアボディー」等のこれらの断片、および/またはWardら(上掲)によって報告された「dAb」等の他の種類の(単一)ドメイン抗体と比較して、また、WO第05/044858号およびWO第04/041867号に記載のEGFRに対するナノボディおよびポリペプチドと比較しても、改善した治療および/または薬理特性、および/または(例えば、調製の容易性が向上し、および/または製品のコストが低減する等の)他の有利な性質を有する、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対するナノボディ、タンパク質および/またはポリペプチドを提供することである。これら向上した有利な性質は、本明細書でのさらなる記述により明らかになろう。
これらの目的は、本明細書に記載のナノボディ、タンパク質およびポリペプチドにより達成される。これらのナノボディは、本明細書では「本発明のナノボディ」とも呼ばれ、これらのタンパク質およびポリペプチドもまた、本明細書では「本発明のポリペプチド」と総称される。
したがって、第1の態様では、本発明は、EGFRに対する優れたナノボディ、具体的には温血動物由来のEGFRに対する優れたナノボディ、より具体的には、哺乳類由来のEGFRに対する優れたナノボディ、特にヒト由来のEGFRに対するナノボディに関し、ここで、優れたナノボディとは、以下に定義するとおりである。
別の態様において、本発明は、分子量が15kDa未満であるIGF−IRに対する結合性タンパク質に関する。一実施態様では、該結合性タンパク質は、IGF−IのIGF−IRとの相互作用を阻害することができる。好ましい実施態様では、該ポリペプチドは、単一ドメイン抗体、ドメイン抗体、「dAb」、VH、VHH、またはナノボディである。
したがって、本発明は、好ましくは、IGF−IRに対するナノボディ、具体的には温血動物由来のIGF−IRに対するナノボディ、より具体的には、哺乳類由来のIGF−IRに対するナノボディ、特にヒト由来のIGF−IRに対するナノボディに関する。
別の態様において、本発明は、該EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対するナノボディのうち少なくとも1種類を含み、またはほぼ該ナノボディからなるタンパク質またはポリペプチドに関する。
別の実施態様によると、本発明は、EGFRに対するナノボディおよびポリペプチド、ならびに特にガンの治療のための複合療法に使用するためのEGFRに対するナノボディを提供する。該複合療法において、本明細書に記載のIGF−IRに対するナノボディおよびポリペプチドを、WO第05/044858号およびWO第04/041867号に記載の抗EGFRナノボディおよびポリペプチド、および/または本明細書に記載の抗EGFRナノボディおよびポリペプチドと共に使用してもよい。
具体的であるが非限定的な一実施態様によると、本明細書に記載のポリペプチドは、EGFRに対する少なくとも1種類のナノボディと、IGF−IRに対する少なくとも1種類のナノボディとを含んでいる。該二特異性ナノボディコンストラクトにおいて、本明細書に記載のIGF−IRに対するナノボディおよびポリペプチドは、WO第05/044858号およびWO第04/041867号に記載の1種類以上の抗EGFRナノボディおよびポリペプチド、および/または本明細書に記載の1種類以上の抗EGFRナノボディおよびポリペプチドと混合していてもよい。
医薬用途のためには、本発明のナノボディおよびポリペプチドは、好ましくはヒトEGFRまたはIGF−IRそれぞれに指向性を有するものであり、獣医薬としての用途のために、本発明のナノボディおよびポリペプチドは、好ましくは治療の対象となる種に由来するEGFRまたはIGF−IRそれぞれに指向性を有するものであることは、当業者には明白であろう。
また、本発明によると、温血動物の第1の種に由来するEGFRまたはIGF−IRのそれぞれに指向性を有するナノボディおよびポリペプチドは、他の1種類以上の温血動物に由来するEGFRまたはIGF−IRと交差反応性を示してもよく、示さなくてもよい。例えば、ヒトEGFRまたはIGF−IRそれぞれに指向性を有するナノボディおよびポリペプチドは、1種類以上の霊長類に由来するEGFRまたはIGF−IRと交差反応性を示しても示さなくてもよく、および/または病気に対する動物モデル、具体的には、EGFRまたはIGF−IRそれぞれに関連する病気および疾患に対する動物モデル(本明細書で論ずる種および動物モデル等の)においてよく使用されている(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ブタ、またはイヌ等の)1種類以上の動物に由来するEGFRまたはIGF−IRに対して交差反応性を示しても示さなくてもよい。該態様において、交差反応性が存在している場合には、交差反応性によってヒトEGFRまたはIGF−IRそれぞれに対するナノボディおよびポリペプチドを該病気モデルで試験することが可能になるため、該交差反応性が、医薬開発の観点から利点を有していることは、当業者には明白であろう。
より一般的には、ナノボディおよび/またはポリペプチドが、治療の対象となる種に対して望ましい効果をもたらす場合において、1種類の動物のEGFRまたはIGF−IRをそれぞれ標的とするナノボディおよびポリペプチド(ヒトEGFRまたはIGF−IRをそれぞれ標的とするナノボディおよびポリペプチド等)を他の種類の動物の治療に使用することも、本発明の範囲内に包含される。
最も広義には、本発明は、本発明のナノボディおよびポリペプチドが標的とするEGFRまたはIGF−IRの特定の抗原決定基、エピトープ、部位、ドメイン、サブユニットまたはコンファメーション(適用可能である場合)によって特には限定されず、またはこれらによって定義されない。しかし、具体的には、本発明のナノボディおよびポリペプチドは、細胞表面に露出したエピトープに指向性を有するものであってよい。
適用可能である場合、本発明のナノボディが、2つ以上のEGFRまたはIGF−IRのそれぞれの抗原決定基、エピトープ、部位、ドメイン、サブユニットまたはコンファメーションに対して結合することができる場合も、本発明の範囲内に包含される。該場合において、本発明のナノボディおよび/またはポリペプチドが結合する、EGFRまたはIGF−IRそれぞれの抗原決定基、エピトープ、部位、ドメイン、サブユニットは、同一であってもよく(例えば、EGFRまたはIGF−IRそれぞれが、反復する構造モチーフを含み、または多量体として存在する場合)、異なっていてもよい(後者の場合において、本発明のナノボディおよびポリペプチドは、同一の、または異なる親和性および/または特異性で、該異なる抗原決定基、エピトープ、部位、ドメイン、サブユニットに結合してよい)。また、例えば、EGFRまたはIGF−IRそれぞれが活性コンフォメーションと不活発コンフォメーションで存在していると、発明のナノボディおよびポリペプチドは、これらのコンファメーションのどちらかに付くか、またはこれらのコンファメーションの両方に結合するかもしれない(すなわち、同じであるか、または異なるかもしれない親和性および/または特異性で)。 また、例えば、発明のナノボディおよびポリペプチドは、適切なリガンドに結合である、EGFRまたはIGF−IRそれぞれのコンフォメーションに結合するかもしれないし、適切なリガンドに結合でない、EGFRまたはIGF−IRそれぞれのコンフォメーションに結合するかもしれないし、そのようなコンフォメーション両方に結合するかもしれない (再び同じであるか、または異なるかもしれない親和性および/または特異性で)。
また、本発明のナノボディおよびポリペプチドが、一般に、EGFRまたはIGF−IRそれぞれの、全ての天然または合成アナログ、変異体、突然変異体、対立遺伝子、部分および断片、またはEGFRまたはIGF−IRそれぞれの、少なくとも該アナログ、変異体、突然変異体、対立遺伝子、部分および断片に結合することも期待される。それはそれぞれ、本発明のナノボディおよびポリペプチドがEGFRまたはIGF−IRそれぞれと結合する抗原決定基またはエピトープとほぼ同一の、1種類以上の抗原決定基またはエピトープを含んでいる(例えば、野生型EGFRまたはIGF−IRのそれぞれ)。また、該場合においても、本発明のナノボディおよびポリペプチドは、本発明のナノボディが(野生型)EGFRまたはIGF−IRそれぞれに結合する場合と同一の、または異なる(高い、または低い)親和性および/または特異性で、該アナログ、変異体、突然変異体、対立遺伝子、部分および断片に結合することができる。本発明のナノボディおよびポリペプチドが、あるアナログ、変異体、突然変異体、対立遺伝子、部分および断片には結合するが、他のものには結合しない場合も、本発明の範囲内に包含される。
EGFRまたはIGF−IRのそれぞれが、単量体、および1個以上の多量体として存在する場合、本発明のナノボディおよびポリペプチドが、単量体として存在するEGFRまたはIGF−IRそれぞれに対してのみ結合する場合、または本発明のナノボディおよびポリペプチドが、さらに1個以上の該多量体にも結合する場合は、本発明の範囲内に包含される。また、EGFRまたはIGF−IRそれぞれが、他のタンパク質またはポリペプチドと会合してタンパク質複合体を形成することができる場合、本発明のナノボディおよびポリペプチドが、非会合状態においてEGFRまたはIGF−IRそれぞれと結合し、会合状態においてEGFRまたはIGF−IRそれぞれと結合し、または両者と結合する場合も本発明の範囲内に包含される。これらの場合の全てにおいて、本発明のナノボディおよびポリペプチドが、単量体または非会合状態でEGFRまたはIGF−IRそれぞれと結合している場合と同一の、または異なる(高い、または低い)親和性および/または特異性で、本発明のナノボディおよびポリペプチドが、該多量体または会合したタンパク質複合体と結合していてもよい。
一般に、本発明のナノボディおよびポリペプチドは、当業者にとって明白であるように、生物学的および/または治療的見地から最も関連深い形態(単量体、多量体、または会合体等)に、少なくとも結合するであろう。
本発明のナノボディおよびポリペプチドの部分、断片、アナログ、突然変異体、変異体、対立遺伝子、および/または誘導体を使用する場合、および/またはこれらを含み、または本質的にこれらからなるタンパク質またはポリペプチドを使用する場合も、本明細書において想定される用途に好適である限りにおいて、本発明の範囲内に包含される。該部分、断片、アナログ、突然変異体、変異体、対立遺伝子、誘導体、タンパク質、および/またはポリペプチドについては、本明細書でさらに記述する。
本明細書でより詳細に論ずるように、本発明のナノボディは、一般に単一のアミノ酸鎖を含み、このアミノ酸鎖は、「フレームワーク配列」または「FR」(本明細書で概説)と、「相補性決定領域」またはCDRとからなると考えられる。本発明のナノボディ中に存在するいくつかの好ましいCDRは、本明細書で説明するものである。
より一般的には、IGF−IRに対するナノボディについて、本明細書でさらに示す定義を参照して、本発明のナノボディ中に存在するCDR配列は、下記の工程を含む方法により得られ/得ることができる:
a)(i)IGF−IRまたはその部分もしくは断片でラクダ科に属する哺乳類に免疫性を与え、IGF−IRに対する免疫反応および/または抗体(より具体的には重鎖抗体)を向上させる工程;(ii)このようにして免疫性を与えた哺乳類より、IGF−IRに指向性を有する重鎖抗体配列および/またはVHH配列を含む生体サンプルを得る工程;および(iii)前記生体サンプルより、IGF−IRに指向性を有する重鎖抗体配列および/またはVHH配列を得る(例えば、単離する)工程を一般に含む方法によって、および/または(i)IGF−IRまたは少なくともその一部分またはその断片に指向性を有する重鎖抗体配列および/またはVHH配列からなるライブラリーをスクリーニングする工程と、(ii)前記ライブラリーより、IGF−IRに指向性を有する重鎖抗体配列および/またはVHH配列を得る(例えば、単離する)工程とを一般に含む方法によって、IGF−IRに指向性を有する少なくとも1つのVHHドメインを提供する工程;
b)IGF−IRに対する重鎖抗体配列および/またはVHH配列を、IGF−IRに対する重鎖抗体配列および/またはVHH配列の親和性および/または特異性を増大させるために、このようにして得られたIGF−IRに対する重鎖抗体配列および/またはVHH配列を、親和性成熟、突然変異誘発(例、ランダム突然変異誘発または部位特異的突然変異誘発等の)、および/または任意の他の手法に、場合によっては供する工程;
c)このようにして得られた、IGF−IRに対する重鎖抗体配列および/またはVHH配列のCDRの配列を決定する工程;および場合によって
d)少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つのCDRの全て(CDR1、CDR2およびCDR3、具体的には、少なくともCDR3)が、工程c)で決定した配列を有する、ナノボディを提供する工程。
a)(i)IGF−IRまたはその部分もしくは断片でラクダ科に属する哺乳類に免疫性を与え、IGF−IRに対する免疫反応および/または抗体(より具体的には重鎖抗体)を向上させる工程;(ii)このようにして免疫性を与えた哺乳類より、IGF−IRに指向性を有する重鎖抗体配列および/またはVHH配列を含む生体サンプルを得る工程;および(iii)前記生体サンプルより、IGF−IRに指向性を有する重鎖抗体配列および/またはVHH配列を得る(例えば、単離する)工程を一般に含む方法によって、および/または(i)IGF−IRまたは少なくともその一部分またはその断片に指向性を有する重鎖抗体配列および/またはVHH配列からなるライブラリーをスクリーニングする工程と、(ii)前記ライブラリーより、IGF−IRに指向性を有する重鎖抗体配列および/またはVHH配列を得る(例えば、単離する)工程とを一般に含む方法によって、IGF−IRに指向性を有する少なくとも1つのVHHドメインを提供する工程;
b)IGF−IRに対する重鎖抗体配列および/またはVHH配列を、IGF−IRに対する重鎖抗体配列および/またはVHH配列の親和性および/または特異性を増大させるために、このようにして得られたIGF−IRに対する重鎖抗体配列および/またはVHH配列を、親和性成熟、突然変異誘発(例、ランダム突然変異誘発または部位特異的突然変異誘発等の)、および/または任意の他の手法に、場合によっては供する工程;
c)このようにして得られた、IGF−IRに対する重鎖抗体配列および/またはVHH配列のCDRの配列を決定する工程;および場合によって
d)少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つのCDRの全て(CDR1、CDR2およびCDR3、具体的には、少なくともCDR3)が、工程c)で決定した配列を有する、ナノボディを提供する工程。
通常、工程d)において、本発明のナノボディ中に存在する全てのCDR配列は、同一の重鎖抗体またはVHH配列より誘導される。しかし、最も広義には、本発明はこれらに限定されない。例えば、(あまり好ましくない場合も多いが)本発明のナノボディにおいて、2つまたは3つの異なるIGF−IRに対する重鎖抗体またはVHH配列に由来するCDRを適切に結合してもよく、および/または本発明のナノボディにおいて、重鎖抗体またはVHH配列より誘導された1つ以上のCDR(具体的には、少なくともCDR3)を、異なる供給源より誘導される1つ以上のCDR(例えば、合成CDRまたはヒト抗体またはVHドメインより誘導されるCDR)と適切に結合してもよい。
非限定的であるが好ましい本発明の実施態様によると、本発明のナノボディ中のCDR配列は、10−5〜10−12モル/リットル以下、好ましくは10−7〜10−12モル/リットル以下、より好ましくは10−8〜10−12モル/リットル以下の解離定数(KD)で、および/または少なくとも107M-1、好ましくは少なくとも108M-1、より好ましくは少なくとも109M-1、例えば少なくとも1012M-1の結合親和性で、および/または500nMよりも低い、好ましくは200nMよりも低い、好ましくは10nMよりも低い、例えば500pMよりも低い親和性で、本発明のナノボディをEGFRまたはIGF−IRのそれぞれに結合させる。本発明のナノボディの、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対する親和性は、例えば、本明細書に記載のアッセイ等のそれ自体公知の方法により決定することができる。
好ましいが非限定的な態様では、本発明は、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1〜FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1〜CDR3)からなる、EGFRに対するナノボディ(本明細書に定義)に関するものであって:
(a)CDR1は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
TYTMA [配列番号42]
SYGMG [配列番号43]
GFAMG [配列番号44]
SNNMG [配列番号45]
GDVMG [配列番号46]
SYVVG [配列番号47]
DYNMA [配列番号48]
TYTMA [配列番号49]
NNAMA [配列番号50]
SYVMG [配列番号51]
SYAMG [配列番号52]
A [配列番号53]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、上記アミノ酸配列と比較してアミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および/または:
(b)CDR2は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
GISRSDGGTYDADSVKG [配列番号54]
GISWRGDSTGYADSVKG [配列番号55]
AISWSGGSLLYVDSVKG [配列番号56]
AIGWGGLETHYSDSVKG [配列番号57]
GFSRSTSTTHYADSVKG [配列番号58]
GIAWGDGITYYADSVKG [配列番号59]
HISWLGGRTYYRDSVKG [配列番号60]
GFSGSGGATYYAHSVEG [配列番号61]
AISWRGGSTYYADSVKG [配列番号62]
AINWSSGSTYYADSVKG [配列番号63]
TIAWDSGSTYYADSVKG [配列番号64]
GLSWSADSTYYADSVKG [配列番号65]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および/または:
(c)CDR3は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
ASVKLVYVNPNRYSY [配列番号66]
AAGSAWYGTLYEYDY [配列番号67]
AAGSTWYGTLYEYDY [配列番号68]
MVGPPPRSLDYGLGNHYEYDY [配列番号69]
SSTRTVIYTLPRMYNY [配列番号70]
NSRSSWVIFTIKGQYDR [配列番号71]
RPGMIITTIQATYGF [配列番号72]
GSPYGTELPYTRIEQYAY [配列番号73]
ANEYWVYVNPNRYTY [配列番号74]
RRKSGEVVFTIPARYDY [配列番号75]
VYRVGAISEYSGTDYYTDEYDY [配列番号76]
GYQINSGNYNFKDYEYDY [配列番号77]
SYNVYYNNYYYPISRDEYDY [配列番号78]
HRRPFASVFTTTRMYDY [配列番号79]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まない。
(a)CDR1は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
TYTMA [配列番号42]
SYGMG [配列番号43]
GFAMG [配列番号44]
SNNMG [配列番号45]
GDVMG [配列番号46]
SYVVG [配列番号47]
DYNMA [配列番号48]
TYTMA [配列番号49]
NNAMA [配列番号50]
SYVMG [配列番号51]
SYAMG [配列番号52]
A [配列番号53]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、上記アミノ酸配列と比較してアミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および/または:
(b)CDR2は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
GISRSDGGTYDADSVKG [配列番号54]
GISWRGDSTGYADSVKG [配列番号55]
AISWSGGSLLYVDSVKG [配列番号56]
AIGWGGLETHYSDSVKG [配列番号57]
GFSRSTSTTHYADSVKG [配列番号58]
GIAWGDGITYYADSVKG [配列番号59]
HISWLGGRTYYRDSVKG [配列番号60]
GFSGSGGATYYAHSVEG [配列番号61]
AISWRGGSTYYADSVKG [配列番号62]
AINWSSGSTYYADSVKG [配列番号63]
TIAWDSGSTYYADSVKG [配列番号64]
GLSWSADSTYYADSVKG [配列番号65]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および/または:
(c)CDR3は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
ASVKLVYVNPNRYSY [配列番号66]
AAGSAWYGTLYEYDY [配列番号67]
AAGSTWYGTLYEYDY [配列番号68]
MVGPPPRSLDYGLGNHYEYDY [配列番号69]
SSTRTVIYTLPRMYNY [配列番号70]
NSRSSWVIFTIKGQYDR [配列番号71]
RPGMIITTIQATYGF [配列番号72]
GSPYGTELPYTRIEQYAY [配列番号73]
ANEYWVYVNPNRYTY [配列番号74]
RRKSGEVVFTIPARYDY [配列番号75]
VYRVGAISEYSGTDYYTDEYDY [配列番号76]
GYQINSGNYNFKDYEYDY [配列番号77]
SYNVYYNNYYYPISRDEYDY [配列番号78]
HRRPFASVFTTTRMYDY [配列番号79]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まない。
別の好ましいが非限定的な態様では、本発明は、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1〜FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1〜CDR3)からなる、IGF−IRに対するナノボディ(本明細書で定義)に関するものであって:
(a)CDR1は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
FNAMG [配列番号94]
INVMA [配列番号95]
NYAMG [配列番号96]
RTAMA [配列番号97]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および/または:
(b)DR2は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
VIISGGSTHYVDSVKG [配列番号98]
EITRSGRTNYVDSVKG [配列番号99]
AINWNSRSTYYADSVKG [配列番号100]
TITWNSGTTRYADSVKG [配列番号101]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書に定義)で
あり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および/または:
(c)CDR3は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
KKFGDY [配列番号102]
IDGSWREY [配列番号103]
SHDSDYGGTNANLYDY [配列番号104]
TAAAVITPTRGYYNY [配列番号105]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まない。
(a)CDR1は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
FNAMG [配列番号94]
INVMA [配列番号95]
NYAMG [配列番号96]
RTAMA [配列番号97]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および/または:
(b)DR2は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
VIISGGSTHYVDSVKG [配列番号98]
EITRSGRTNYVDSVKG [配列番号99]
AINWNSRSTYYADSVKG [配列番号100]
TITWNSGTTRYADSVKG [配列番号101]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書に定義)で
あり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および/または:
(c)CDR3は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
KKFGDY [配列番号102]
IDGSWREY [配列番号103]
SHDSDYGGTNANLYDY [配列番号104]
TAAAVITPTRGYYNY [配列番号105]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まない。
このように、本発明のナノボディ中に存在する特に好ましいが非限定的ないくつかのCDR配列およびCDR配列の組み合わせは、それぞれEGFRまたはIGF−IRについて、表A−1に示すとおりである。
表A−1:EGFRおよびIGF−IRに対するナノボディ
したがって、本発明のナノボディにおいて、存在するCDR1、CDR2およびCDR3配列のうち少なくとも1つは、それぞれEGFRまたはIGF−IRについて表A−1に列挙したCDR1、CDR2およびCDR3のそれぞれからなる群から選択され、もしくはEGFRまたはIGF−IRのそれぞれについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1、CDR2およびCDR3のうち少なくとも1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の「配列同一性」(本明細書で定義)を有するCDR1、CDR2およびCDR3配列からなる群から選択され、および/またはそれぞれEGFRまたはIGF−IRについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1、CDR2およびCDR3のうち少なくとも1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有するそれぞれCDR1、CDR2およびCDR3配列からなる群から選択される。
特に、本発明のナノボディにおいて、少なくとも、存在するCDR3配列は、それぞれEGFRまたはIGF−IRについて表A−1に列挙したCDR3配列からなる群から選択され、もしくはそれぞれEGFRまたはIGF−IRについて表A−1に列挙したCDR3配列の少なくとも1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR3配列からなる群から選択され、および/またはそれぞれEGFRまたはIGF−IRについて表A−1に列挙したCDR3配列の少なくとも1つと、3個、2個または1個のみのアミノ酸の差違を有するCDR3配列からなる群から選択される。
好ましくは、本発明のナノボディにおいて、存在するCDR1、CDR2およびCDR3配列のうち少なくとも2つは、それぞれEGFRまたはIGF−IRについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1、CDR2およびCDR3配列からなる群から選択され、もしくはそれぞれEGFRまたはIGF−IRについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1、CDR2およびCDR3配列のうち少なくとも1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するそれぞれCDR1、CDR2およびCDR3配列からなる群から選択され、および/またはEGFRまたはIGF−IRのそれぞれについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1、CDR2およびCDR3配列のうち少なくとも1つと、3個、2個または1個のみのアミノ酸の差違を有するそれぞれCDR1、CDR2およびCDR3配列からなる群から選択される。
特に、本発明のナノボディにおいて、少なくとも、存在するCDR3配列は、それぞれEGFRまたはIGF−IRについて表A−1に列挙したCDR3配列からなる群から選択され、もしくはそれぞれEGFRまたはIGF−IRについて表A−1に列挙したCDR3の少なくとも1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR3配列の群から選択され;および存在するCDR1およびCDR2配列のうち少なくとも一方は、それぞれEGFRまたはIGF−IRについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1およびCDR2配列からなる群から選択され、もしくはそれぞれEGFRまたはIGF−IRについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1およびCDR2配列の少なくとも1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するそれぞれCDR1およびCDR2配列の群から選択され、および/またはそれぞれEGFRまたはIGF−IRについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1およびCDR2配列少なくとも1つと、3個、2個または1個のみのアミノ酸の差違を有するそれぞれCDR1およびCDR2配列からなる群から選択される。
最も好ましくは、本発明のナノボディにおいて、存在する3つの全てのCDR1、CDR2およびCDR3配列は、それぞれEGFRまたはIGF−IRについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1、CDR2およびCDR3配列からなる群から選択され、またはEGFRまたはIGF−IRのそれぞれについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1、CDR2およびCDR3配列のうち少なくとも1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するそれぞれCDR1、CDR2およびCDR3配列の群から選択され、および/またはそれぞれEGFRまたはIGF−IRについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1、CDR2およびCDR3配列のうち少なくとも1つと、3個、2個または1個のみのアミノ酸の差違を有するそれぞれCDR1、CDR2およびCDR3配列からなる群から選択される。
さらにより好ましくは、本発明のナノボディにおいて、存在するCDR1、CDR2およびCDR3配列のうち少なくとも1つは、EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1、CDR2およびCDR3配列からなる群から選択される。好ましくは、この実施態様では、他の2つのCDR配列の一方、あるいは好ましくは両方共が、EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙した対応するCDR配列のそれぞれのうち少なくとも1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する、対応するCDR配列から選択され、および/またはEGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙した対応する配列の少なくとも1つと、3個、2個または1個のみのアミノ酸の差違を有するCDR配列からなる群から選択される。
特に、本発明のナノボディにおいて、少なくとも、存在するCDR3配列は、EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて、表A−1に列挙したCDR3からなる群から選択される。好ましくは、この実施態様では、存在するCDR1およびCDR2配列の少なくとも一方、あるいは好ましくは両方共が、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1およびCDR2配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するそれぞれCDR1およびCDR2配列の群から選択され、および/またはEGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1およびCDR2配列の少なくとも1つと、3個、2個または1個のみのアミノ酸の差違を有するそれぞれCDR1およびCDR2配列のからなる群から選択される。
さらにより好ましくは、本発明のナノボディにおいて、存在するCDR1、CDR2およびCDR3配列のうち少なくとも2つは、EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1、CDR2およびCDR3配列からなる群から選択される。好ましくは、この実施態様では、存在する残りのCDR配列は、EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙した対応するCDR配列のそれぞれのうち少なくとも1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する、CDR配列の群から選択され、および/またはEGFRまたはIGF−IRのそれぞれについて表A−1に列挙した対応する配列の少なくとも1つと、3個、2個または1個のみのアミノ酸の差違を有するCDR配列からなる群から選択される。
特に、本発明のナノボディにおいて、少なくともCDR3配列は、EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙したCDR3配列からなる群から選択され、CDR1配列またはCDR2配列のいずれも、EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1およびCDR2配列からなる群から選択される。好ましくは、この実施態様では、存在する残りのCDR配列は、EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙した対応するCDR配列の少なくとも1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する、CDR配列の群から選択され、および/またはEGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙した対応するCDR配列と、3個、2個または1個のみのアミノ酸の差違を有するCDR配列からなる群から選択される。
さらにより好ましくは、本発明のナノボディにおいて、存在するCDR1、CDR2およびCDR3配列すべては、EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙したそれぞれCDR1、CDR2およびCDR3配列からなる群から選択される。
また、一般に、EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙したCDRの組み合わせ(表A−1の同一の行内に述べたもの)が好ましい。したがって、本発明において、ナノボディ中の1つのCDRは、表A−1に示したCDR配列であり、またはEGFRまたはIGF−IRのそれぞれについて表A−1に列挙したCDR配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有する、CDR配列の群から選択され、および/またはEGFRまたはIGF−IRのそれぞれについて表A−1に列挙したCDR配列の少なくとも1つと、3個、2個または1個のみのアミノ酸の差違を有するCDR配列からなる群から選択される場合、他のCDRのうち少なくとも一方、好ましくは両方共が、表A−1に列挙した同一の組み合わせ(表A−1の同一の行内に述べたもの)に属しているCDR配列より選択され、または同一の組み合わせに属するCDR配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性を有するCDR配列の群から選択され、および/または同一の組み合わせに属するCDR配列と、3個、2個または1個のみのアミノ酸の差違を有するCDR配列からなる群から選択されることが一般に好ましい。上の段落に示した別の好ましい場合は、表A−1に示したCDRの組み合わせについても当てはまる。
したがって、非限定的な例により、本発明のナノボディは、例えば、表A−1に示したCDR1配列の1つと80%を超えた配列同一性を有するCDR1配列、表A−1に示した(しかし、異なる組み合わせに属する)CDR2配列の1つと、3個、2個または1個のみのアミノ酸の差違を有するCDR2配列、およびCDR3配列とを含むことができる。
ある好ましい本発明のナノボディは、例えば、以下を含んでよい:(1)表A−1に示したCDR1配列の1つと80%を超えた配列同一性を有するCDR1配列;表A−1に示した(しかし、異なる組み合わせに属する)CDR2配列の1つと、3個、2個または1個のみのみのアミノ酸の差違を有するCDR2配列;表A−1に示した(しかし、異なる組み合わせに属する)CDR3配列の1つと80%を超えた配列同一性を有するCDR3配列;または(2)表A−1に示したCDR1配列の1つと80%を超えた配列同一性を有するCDR1配列;CDR2配列と、EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に示したCDR3配列の1つ;または(3)CDR1配列;表A−1に示したCDR2配列の1つと80%を超えた配列同一性を有するCDR2配列;および表A−1に示した、CDR2配列と同一の組み合わせに属するCDR3配列と、3個、2個または1個のみのアミノ酸の差違を有するCDR3配列。
いくつかの特に好ましい本発明のナノボディは、例えば、以下を含んでよい:(1)表A−1に示したCDR1配列の1つと80%を超えた配列同一性を有するCDR1配列;表A−1に示した、同一の組み合わせに属するCDR2配列と、3個、2個または1個のみのアミノ酸の差違を有するCDR2配列;表A−1に示した、同一の組み合わせに属するCDR3配列と80%を超えた配列同一性を有するCDR3配列;(2)CDR1配列;EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙したCDR2配列;およびEGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙したCDR3配列(CDR2配列とCDR3配列とは、異なる組み合わせに属していてよい)。
いくつかのさらにより好ましい本発明のナノボディは、例えば、下記を含んでよい:(1)表A−1に示したCDR1配列の1つと80%を超えた配列同一性を有するCDR1配列;EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙し、同一の組み合わせに属するCDR2配列;および表A−1に示した、異なる組み合わせに属するCDR3配列;または(2)表A−1に示したCDR1配列;表A−1に示し、同一のまたは異なる組み合わせに属するCDR2配列と、3個、2個または1個のみのアミノ酸の差違を有するCDR2配列;およびEGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙し、同一のまたは異なる組み合わせに属するCDR3配列と80%を超えた配列同一性を有するCDR3配列。
特に好ましい本発明のナノボディは、例えば、表A−1に示したCDR1配列;表A−1に示し、同一の組み合わせに属するCDR2配列と80%を超えた配列同一性を有するCDR2配列;および表A−1に示し、同一の組み合わせに属するCDR3配列を含んでいてよい。
本発明の最も好ましいナノボディは、存在するCDR1、CDR2およびCDR3配列は、EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙したCDR1、CDR2およびCDR3配列の組み合わせの1つから選択される。
好ましくは、CDR配列が、EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙したCDR配列の1つと少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するCDR配列の群から選択され、および/またはCDR配列が、EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙したCDR配列の1つと、3個、2個、または1個のみのアミノ酸の差違を有するCDR配列からなる群から選択される場合、
i)全てのアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり、および/または
ii)前記アミノ酸配列は、EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙したCDR配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含んでおり、アミノ酸の欠失または挿入を含んでいない。
i)全てのアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり、および/または
ii)前記アミノ酸配列は、EGFRまたはIGF−IRそれぞれについて表A−1に列挙したCDR配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含んでおり、アミノ酸の欠失または挿入を含んでいない。
非限定的であるが好ましい本発明の実施態様によると、本発明のナノボディ中のCDR配列は、上記ように定義され、また、10−5〜10−12モル/リットル以下、好ましくは10−7〜10−12モル/リットル以下、より好ましくは10−8〜10−12モル/リットル以下の解離定数(KD)で、および/または少なくとも107M-1、好ましくは少なくとも108M-1、より好ましくは少なくとも109M-1、例えば少なくとも1012M-1の結合親和性で、および/または500nMよりも低い、好ましくは200nMよりも低い、好ましくは10nMよりも低い、例えば500pMよりも低い親和性で、本発明のナノボディをEGFRまたはIGF−IRそれぞれに結合する。本発明のナノボディの、EGFRまたはIGF−IRそれぞれに対する親和性は、それ自体公知の方法により、例えば、本明細書に記載のアッセイを用いて決定することができる。
好ましいが非限定的である本発明の別の実施態様によると、(a)CDR1は、1〜12アミノ酸残基、通常2〜9個のアミノ酸残基、例えば、5、6、または7個のアミノ酸残基の長さを有し、および/または(b)CDR2は、13〜24個のアミノ酸残基、通常15〜21個のアミノ酸残基、例えば、16または17個のアミノ酸残基の長さを有し、および/または(c)CDR3は、2〜35個のアミノ酸残基、通常3〜30個のアミノ酸残基、例えば、6〜23個のアミノ酸残基の長さを有している。
上記CDR配列を有するナノボディは、好ましくは、本明細書にさらに定義するフレームワーク配列を有している。
別の態様において、本発明は、配列番号80〜93からなる群から、または配列番号80〜93のアミノ酸配列の1つ以上と、少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは95%、さらにより好ましくは99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するナノボディに関する。
別の態様において、本発明は、配列番号106〜109からなる群から、または配列番号106〜109のアミノ酸配列の1つ以上と、少なくとも80%、好ましくは90%、より好ましくは95%、さらにより好ましくは99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するナノボディに関する。
具体的であるが非限定的な実施態様によると、後者のアミノ酸配列は、本明細書にさらに説明するように「ヒト化」されている。
本発明のポリペプチドは、本発明のナノボディを含み、またはほぼこれらからなる。本発明のポリペプチドの好ましいが非限定的ないくつかの例は、配列番号110〜143に示される。
一般に、単一のナノボディ(本発明のナノボディ等)を含み、またはほぼこれらからなるタンパク質またはポリペプチドは、本明細書において、「一価」タンパク質もしくはポリペプチド、または「一価コンストラクト」と呼ばれる。2個を超えたナノボディ(少なくとも2個の本発明のナノボディ、または少なくとも1個の本発明のナノボディと少なくとも1個の別のナノボディ等)を含み、または本質的にこれらからなるタンパク質およびポリペプチドは、本明細書において、「多価」タンパク質もしくはポリペプチド、または「多価コンストラクト」と呼ばれ、これらは、対応する本発明の一価ナノボディと比べて何らかの利点を与える。該多価コンストラクトに関するいくつかの非限定的な例については、本明細書でさらに説明することにより明らかとなろう。
具体的であるが非限定的なある実施態様によると、本発明のポリペプチドは、2個または3個の本発明のナノボディ等の少なくとも2個の本発明のナノボディを含み、または本本質的にこれらからなる。本明細書でさらに説明するように、該多価コンストラクトは、単一のナノボディを含み、または本質的にこれらからなる本発明のタンパク質またはポリペプチドと比べて、EGFRまたはIGF?IRのそれぞれに対して親和性および/または特異性がはるかに向上している等の、何らかの利点をもたらす。
具体的であるが非限定的な別の実施態様によると、本発明のポリペプチドは、少なくとも1個の本発明のナノボディと、少なくとも1個の他のナノボディ(つまり、別のエピトープ、抗原、標的、タンパク質またはポリペプチドに指向性を有する)とを含み、または本質的にこれらからなる。該タンパク質またはポリペプチドは、本明細書で「多重特異性」タンパク質もしくはポリペプチド、または「多重特異性コンストラクト」とも呼ばれ、これらは、対応する本発明の一価ナノボディに比べて何らかの利点を与える。また、該多重特異性コンストラクトに関するいくつかの非限定的な例についても、本明細書でさらに説明することにより明らかとなろう。
具体的であるが非限定的なさらに別の実施態様によると、本発明のポリペプチドは、少なくとも1個の本発明のナノボディ、必要に応じて他の1個以上の別のナノボディ、および本発明のナノボディおよび/または得られる融合タンパク質に少なくとも1個の所望の性質を付与する、少なくとも1つの他のアミノ酸配列(タンパク質またはポリペプチド等)を含み、または本質的にこれらからなる。また、該融合タンパク質も、対応する本発明の一価ナノボディに対して何らかの利点を与える。また、該アミノ酸配列および融合コンストラクトに関するいくつかの非限定的な例についても、本明細書でさらに説明することにより明らかとなろう。
例えば、2個の本発明のナノボディと、1個の他のナノボディ、および場合によっては1つ以上の別のアミノ酸配列とを含む三価の二特異性コンストラクトを得るために、上記実施態様の2つ以上を組み合わせることもできる。該コンストラクトに関する他の非限定的な例、および本発明との関連において特に好ましいいくつかのコンストラクトは、本明細書でさらに説明することにより明らかとなろう。
上記コンストラクトにおいて、1個以上のナノボディおよび/または他のアミノ酸配列は、直接結合していてもよく、1つ以上のリンカー配列を介して結合していてもよい。該リンカーに関する好ましいが非限定的ないくつかの例は、本明細でさらに説明することにより明らかとなろう。
本発明の好ましい一実施態様では、本発明のポリペプチドは、結果として得られる本発明のポリペプチドが脳血液関門を通過することを可能にする1つ以上(例えば2つ、あるいは好ましくは1つ)のアミノ酸配列に結合した(場合によっては1つ以上の好適なリンカー配列を介して)、1個以上(例えば2個、あるいは好ましくは1個)の本発明のナノボディを含んでいる。具体的には、得られる本発明のポリペプチドが脳血液関門を通過することを可能にする前記1つ以上のアミノ酸配列は、WO第02/057445号に記載のナノボディ等の1つ以上(例えば2つ、あるいは好ましくは1つ)のアミノ酸配列であってよく、そのうち、FC44(配列番号35)およびFC5(配列番号36)が、いくつかの好ましい非限定的な例である。
本発明の別の好ましい実施態様では、本発明のポリペプチドは、結果として得られる本発明のポリペプチドのインビボにおける半減期を増大させる1つ以上(例えば2つ、あるいは好ましくは1つ)のアミノ酸配列に結合した(場合によっては1つ以上の好適なリンカー配列を介して)、1個以上(例えば2個、あるいは好ましくは1個)の本発明のナノボディを含んでいる。具体的には、結果として得られる本発明のポリペプチドのインビボにおける半減期を増大させる前記アミノ酸配列は、1個以上(例えば2個、あるいは好ましくは1個)のナノボディ、および特にヒト血清アルブミン等のヒト血清タンパク質に指向性を有するナノボディであってよく、PMP6A6(「ALB?1」、配列番号32)、ALB?8(ヒト化されたALB?1、配列番号33)、およびPMP6A8(「ALB?2」、配列番号34)が、好ましい非限定的ないくつかの例である。マウスまたはヒト血清アルブミンに対する好ましいナノボディに関する他の例は、下記の本出願人らによる特許申請書中に記載している。
さらに別の好ましい本発明の実施態様では、本発明のポリペプチドは、1個以上(例えば2個、あるいは好ましくは1個)の本発明のナノボディと、得られる本発明のポリペプチドが血液脳関門を通過することを可能にする1つ以上(例えば2つ、あるいは好ましくは1つ)のアミノ酸配列と、得られる本発明のポリペプチドのインビボにおける半減期を増大させる1つ以上(例えば2つ、あるいは好ましくは1つ)の(場合によっては、1つ以上の好適なリンカー配列を介して結合した)アミノ酸配列とを含んでいる。この場合においても、得られる本発明のポリペプチドが血液脳関門を通過することを可能にする前記1つ以上のアミノ酸配列は、WO第02/057445号に記載のナノボディ等の1個以上(例えば2個、あるいは好ましくは1個)のナノボディ(本明細書に記述)であってよく、得られる本発明のポリペプチドのインビボにおける半減期を増大させる前記アミノ酸配列は、1個以上(例えば2個、あるいは好ましくは1個)のナノボディ(本明細書に記述)であってよい。
本発明の好ましいが非限定的である実施態様によると、本発明のポリペプチドは、好ましくは、10−5〜10−12モル/リットル以下、好ましくは10−7〜10−12モル/リットル以下、より好ましくは10−8〜10−12モル/リットル以下の解離定数(KD)で、および/または少なくとも107M-1、好ましくは少なくとも108M-1、より好ましくは少なくとも109M-1、例えば少なくとも1012M-1の結合親和性で、および/または500nMよりも低い、好ましくは200nMよりも低い、好ましくは10nMよりも低い、例えば500pMよりも低い親和性で、本発明のポリペプチドをEGFRまたはIGF−IRのそれぞれに結合させる。本発明のポリペプチドの、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対する親和性は、それ自体公知の方法により、例えば、本明細書に記載のアッセイを使用して決定することができる。
本発明のポリペプチドの好ましいが非限定的ないくつかの例は、配列番号110〜143のポリペプチドであり:
‐配列番号134〜135は、IGF−IRに対する本発明の多価(具体的に二価)ポリペプチドのいくつかの例であり:
‐配列番号110〜133および141〜143は、EGFRに対する本発明の多価(具体的に二価)ポリペプチドのいくつかの例であり:
‐これらのうち、配列番号141〜143は、EGFRに対する本発明の多価(具体的に二価)バイパラトピックなポリペプチドのいくつかの例であり:
‐配列番号136〜140は、EGFRに対する1個のナノボディとIGF−IRに対する1個のナノボディとを含む、本発明の二特異性ポリペプチドのいくつかの例である。
‐配列番号134〜135は、IGF−IRに対する本発明の多価(具体的に二価)ポリペプチドのいくつかの例であり:
‐配列番号110〜133および141〜143は、EGFRに対する本発明の多価(具体的に二価)ポリペプチドのいくつかの例であり:
‐これらのうち、配列番号141〜143は、EGFRに対する本発明の多価(具体的に二価)バイパラトピックなポリペプチドのいくつかの例であり:
‐配列番号136〜140は、EGFRに対する1個のナノボディとIGF−IRに対する1個のナノボディとを含む、本発明の二特異性ポリペプチドのいくつかの例である。
他の本発明のポリペプチドは、例えば、配列番号110〜143のアミノ酸配列のうち1つ以上と、80%よりも大きな、好ましくは90%よりも大きな、より好ましくは95%よりも大きな、例えば99%を超えた「配列同一性」(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択されるものであってよく、前記アミノ酸配列に含まれるナノボディは、好ましくは本明細書に定義するものである。
別の態様において、本発明は、本発明のナノボディおよび/または本発明のポリペプチドをコードする核酸に関する。該核酸は、本明細書において「本発明の核酸」とも呼ばれ、例えば、本明細書に定義する遺伝子コンストラクトであってもよい。
別の態様において、本発明は、本発明のナノボディおよび/または本発明のポリペプチドを発現し、または発現することができ、および/または本発明の核酸を含む宿主または宿主細胞に関する。該宿主または宿主細胞に関する好ましいが非限定的ないくつかの例は、本明細書でさらに説明することにより明らかとなろう。
本発明は、さらに、少なくとも1種類の本発明のナノボディ、少なくとも1種類の本発明のポリペプチド、および/または少なくとも1種類の本発明の核酸を含み、組成物の目的とする用途に応じ、それ自体公知である該組成物の1種類以上の他の成分を場合によっては含んでいる製品または組成物に関する。該製品または組成物は、例えば、医薬組成物(本明細書で定義)、獣医薬組成物、または診断用製品(同様に本明細書で定義)または組成物であってよい。前記製品または組成物の好ましいが非限定的ないくつかの例は、本明細書でさらに説明することにより明らかとなろう。
本発明は、さらに、本明細書に記載のナノボディ、ポリペプチド、核酸、宿主細胞、製品および組成物を製造するか、または生成する方法に関する。該方法の好ましいが非限定的ないくつかの例は、本明細書でさらに説明することにより明らかとなろう。
本発明は、さらに、本明細書に記載のナノボディ、ポリペプチド、核酸、宿主細胞、製品および組成物の用途および使用、ならびにEGFRおよびIGF−IRのそれぞれに関連する病気および疾患を予防および/または治療する方法に関する。好ましいが非限定的ないくつかの用途および使用例は、本明細書でさらに説明することにより明らかとなろう。
本発明の他の態様、実施態様、利点および用途も、以下でさらに説明することにより明らかとなろう。
本発明の詳細な説明
本発明の上記、および他の態様、実施態様、および利点も、以下のさらなる説明から明らかとなろうが、ここで:
a)別段指示または定義がなければ、使用する全ての用語は、当前記技術分野における通常の意味を有し、これらは当業者にとって明白でであろう。例えば、Sambrook ら、 「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」(2nd.Ed.), VoIs. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)、F. Ausubel ら編、「Current protocols in molecular biology」, Green Publishing and Wiley Interscience, New York (1987)、Lewin, 「Genes II」, John Wiley & Sons, New York, N.Y., (1985)、Oldら、「Principles of Gene Manipulation: An Introduction to Genetic Engineering」, 2nd edition, University of California Press, Berkeley, CA (1981)、Roittら、「Immunology」(6th. Ed.), Mosby/Elsevier, Edinburgh (2001)、Roittら、Roitt's Essential Immunology, 10th Ed. Blackwell Publishing, UK (2001)、およびJanewayら、「Immunobiology」(6th Ed.), Garland Science Publishing/Churchill Livingstone, New York(2005)、ならびにこれらにおいて引用されている一般的な背景技術文献等の標準的なハンドブックを参照されたい。
b)別段指示がない限り、「免疫グロブリン配列」という用語を、本明細書において重鎖抗体または従来の4本鎖抗体のいずれを示すために用いようとも、全長抗体、これらの個々の分子鎖、およびこれらの任意の部分、ドメインまたは断片(抗原結合ドメイン、またはVHHドメインまたはVH/VLドメインのそれぞれが挙げられるが、これらに限定されない)のいずれをも含む一般的な用語として用いる。さらに、「配列」という用語には、本明細書において(例えば、「免疫グロブリン配列」、「抗体配列」、「可変領域配列」、「VHH配列」、または「タンパク質配列」等の用語において)使用する場合、文脈から限定解釈する必要がない場合、関連するアミノ酸配列、およびそれをコードする核酸配列またはヌクレオチド配列の両者が含まれると一般的に理解されたい。
c)別段指示がない限り、具体的に詳述しない全ての方法、工程、手法および操作は、当業者にとって明白である方法により実施することができる。この場合においても、本明細書で示した標準的なハンドブックおよび一般的な背景技術文献、およびこれらに引用している他の参考文献を参照されたい。
d)アミノ酸残基は、表A−2に示した、通常の3文字または1文字のアミノ酸略号を使用して表わす。
本発明の上記、および他の態様、実施態様、および利点も、以下のさらなる説明から明らかとなろうが、ここで:
a)別段指示または定義がなければ、使用する全ての用語は、当前記技術分野における通常の意味を有し、これらは当業者にとって明白でであろう。例えば、Sambrook ら、 「Molecular Cloning: A Laboratory Manual」(2nd.Ed.), VoIs. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)、F. Ausubel ら編、「Current protocols in molecular biology」, Green Publishing and Wiley Interscience, New York (1987)、Lewin, 「Genes II」, John Wiley & Sons, New York, N.Y., (1985)、Oldら、「Principles of Gene Manipulation: An Introduction to Genetic Engineering」, 2nd edition, University of California Press, Berkeley, CA (1981)、Roittら、「Immunology」(6th. Ed.), Mosby/Elsevier, Edinburgh (2001)、Roittら、Roitt's Essential Immunology, 10th Ed. Blackwell Publishing, UK (2001)、およびJanewayら、「Immunobiology」(6th Ed.), Garland Science Publishing/Churchill Livingstone, New York(2005)、ならびにこれらにおいて引用されている一般的な背景技術文献等の標準的なハンドブックを参照されたい。
b)別段指示がない限り、「免疫グロブリン配列」という用語を、本明細書において重鎖抗体または従来の4本鎖抗体のいずれを示すために用いようとも、全長抗体、これらの個々の分子鎖、およびこれらの任意の部分、ドメインまたは断片(抗原結合ドメイン、またはVHHドメインまたはVH/VLドメインのそれぞれが挙げられるが、これらに限定されない)のいずれをも含む一般的な用語として用いる。さらに、「配列」という用語には、本明細書において(例えば、「免疫グロブリン配列」、「抗体配列」、「可変領域配列」、「VHH配列」、または「タンパク質配列」等の用語において)使用する場合、文脈から限定解釈する必要がない場合、関連するアミノ酸配列、およびそれをコードする核酸配列またはヌクレオチド配列の両者が含まれると一般的に理解されたい。
c)別段指示がない限り、具体的に詳述しない全ての方法、工程、手法および操作は、当業者にとって明白である方法により実施することができる。この場合においても、本明細書で示した標準的なハンドブックおよび一般的な背景技術文献、およびこれらに引用している他の参考文献を参照されたい。
d)アミノ酸残基は、表A−2に示した、通常の3文字または1文字のアミノ酸略号を使用して表わす。
表A−2:1文字または3文字のアミノ酸略号
注:
(1)極性の電荷を有しないアミノ酸と考えられる場合もある。
(2)非極性の電荷を有しないアミノ酸と考えられる場合もある。
(3)当業者にとって明白であるように、アミノ酸残基が、pH6.0〜7.0において電荷を有するものとして、または電荷を有しないものとしてこの表に示しているという事実は、6.0よりも低いpH、および/または7.0よりも高いpHにおいて該アミノ酸が有する電荷をいかなる意味においても反映しておらず、当業者にとって明白であるように、表内に示したアミノ酸残基は、このような高いpHまたは低いpHにおいて、電荷を有していてもよく、電荷を有していなくてもよい。
(4)当技術分野で周知であるように、His残基の電荷はわずかなpHの変化にも非常に依存するが、His残基は、通常、pH約6.5において本質的に電荷を有していないと考えることができる。
(1)極性の電荷を有しないアミノ酸と考えられる場合もある。
(2)非極性の電荷を有しないアミノ酸と考えられる場合もある。
(3)当業者にとって明白であるように、アミノ酸残基が、pH6.0〜7.0において電荷を有するものとして、または電荷を有しないものとしてこの表に示しているという事実は、6.0よりも低いpH、および/または7.0よりも高いpHにおいて該アミノ酸が有する電荷をいかなる意味においても反映しておらず、当業者にとって明白であるように、表内に示したアミノ酸残基は、このような高いpHまたは低いpHにおいて、電荷を有していてもよく、電荷を有していなくてもよい。
(4)当技術分野で周知であるように、His残基の電荷はわずかなpHの変化にも非常に依存するが、His残基は、通常、pH約6.5において本質的に電荷を有していないと考えることができる。
e)2つ以上のヌクレオチド配列の比較のために、[第1のヌクレオチド配列において、第2のヌクレオチド配列中の対応する位置にあるヌクレオチドと同一であるヌクレオチドの数]を[第1のヌクレオチド配列中の全ヌクレオチド数]で割り、[100%]を乗じることにより、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列との間の「配列同一性」の割合を計算することができ、ここで、第1のヌクレオチド配列と比較した第2のヌクレオチド配列中のヌクレオチドの欠失、挿入、置換、または付加は、それぞれ単一のヌクレオチド(位置)における差違であると考えられる。
あるいは、2つ以上のヌクレオチド配列の間の配列同一性の割合は、通常の設定を使用したNCBI Blast v2.0等の、配列のアラインメントのための公知のコンピュータアルゴリズムを使用して計算することができる。
配列同一性の割合を決定するための別のいくつかの手法、コンピュータアルゴリズムおよび設定については、例えば、WO第04/037999号、欧州特許第0 967 284号、欧州特許第1 085 089号、WO第00/55318号、WO第00/78972号、WO第98/49185号、英国特許出願公開第2 357 768号に記載されている。
通常、上で概説した計算方法により2つのヌクレオチド配列間の「配列同一性」の割合を決定するためには、最もヌクレオチド数の多いヌクレオチド配列を「第1の」ヌクレオチド配列とし、別のヌクレオチド配列を「第2の」ヌクレオチド配列とする。
f)2つ以上のアミノ酸配列の比較のために、[第1のアミノ酸配列において、第2のアミノ酸配列中の対応する位置にあるアミノ酸残基と同一であるアミノ酸残基の数]を[第1のアミノ酸配列中の全アミノ酸残基数]で割り、[100%]を乗じることにより、第1のアミノ酸配列と第2のアミノ酸配列との間の「配列同一性」の割合を計算することができ、ここで、第1のアミノ酸配列と比較した第2のアミノ酸配列中のアミノ酸残基の欠失、挿入、置換、または付加は、それぞれ単一のアミノ酸残基(位置)における差違であると考えられ、本明細書において、「アミノ酸の差違」と定義される。
あるいは、2つのアミノ酸配列の間の配列同一性の割合も、通常の設定を使用した、上記ヌクレオチド配列同一性の決定のための公知のコンピュータアルゴリズムを使用して計算することができる。
通常、上で概説した計算方法により2つのアミノ酸配列間の「配列同一性」の割合を決定するためには、最もアミノ酸残基数の多いアミノ酸配列を「第1の」アミノ酸配列とし、他のアミノ酸配列を「第2の」アミノ酸配列とする。
また、2つのアミノ酸配列の間の配列同一性の決定において、当業者は、アミノ酸残基が、同様の化学構造を有し、ポリペプチドの機能、活性、または他の生物学的性質にわずかな影響しか及ぼさず、または殆ど影響を及ぼさない他のアミノ酸残基に置換された、いわゆる「保存」アミノ酸の置換を考慮することができる。該保存アミノ酸の置換は、例えば、
WO第04/037999号、英国特許出願公開第2 357 768号、WO第98/49185号、WO第00/46383号、およびWO第01/09300号により当業者に周知であり、該置換の(好ましい)タイプおよび組み合わせは、WO第04/037999号、ならびにWO第98/49185号および本明細書に引用した他の参考文献による関連する教示に基づいて選択することができる。
該保存置換は、好ましくは、以下の群(a)〜(e)に属する1個のアミノ酸が、同一の群に属する別のアミノ酸によって置換されている置換である:(a)小さな脂肪族であって、非極性またはわずかに極性を有する基:Ala、Ser、Thr、ProおよびGly;(b)極性を有し、負電荷を有する基またはその(電荷を有しない)アミド:Asp、Asn、GluおよびGln;(c)極性を有し、正電荷を有する基:His、ArgおよびLys;(d)大きな脂肪族であって、非極性の基:Met、Leu、He、ValおよびCys;および(e)芳香族基:Phe、TyrおよびTrp。
特に好ましい保存置換は、下記のとおりである:AlaのGlyまたはSerへの置換;ArgのLysへの置換;AsnのGlnまたはHisへの置換;AspのGluへの置換;CysのSerへの置換;GlnのAsnへの置換;GluのAspへの置換;GlyのAlaまたはProへの置換;HisのAsnまたはGlnへの置換;IleのLeuまたはValへの置換;LeuのIleまたはValへの置換;LysのArg,のGInまたはGluへの置換;MetのLeu,のTyrまたはIleへの置換;PheのMet、LeuまたはTyrへの置換;SerのThrへの置換;ThrのSerへの置換;TrpのTyrへの置換;TyrのTrpへの置換;および/またはPheのVal、IleまたはLeuへの置換。
本明細書に記載のポリペプチドに適用される任意のアミノ酸の置換は、Schulzら、Principles of Protein Structure, Springer- Verlag, 1978によって開発された、異なる種に由来する同種のタンパク質間におけるアミノ酸の変異頻度の解析、ChouおよびFasman, Biochemistry 13: 211, 1974、およびAdv. Enzymol., 47: 45-149, 1978によって開発された構造形成ポテンシャルの解析、およびEisenbergら、Proc. Nad. Acad Sci. USA 81 : 140-144, 1984、KyteおよびDoolittle; J Molec. Biol. 157: 105-132, 198 1、およびGoldmanら、Ann. Rev. Biophys. Chem. 15: 321-353, 1986によって開発されたタンパク質における疎水性パターンの解析に基づいていてもよく、これらの文献は全て参照によりその全文が本明細書に援用される。ナノボディの1次構造、2次構造、および3次構造に関する情報は、本明細書の記載および上で引用した一般的な背景技術文献に記載している。また、この目的のために、例えば、Desmyterら、Nature Structural Biology, Vol. 3, 9, 803 (1996)、Spinelliら、Natural Structural Biology (1996); 3, 752-757、およびDecanniereら、Structure, Vol. 7, 4, 361 (1999)に、ラマ由来VHHドメインの結晶構造を記載している。従来のVHドメインにおける、VH/VLインターフェースを形成するアミノ酸残基、およびこれらのタンパク質についてラクダ化を起こす可能性のある置換に関する他の情報は、WO第94/04678号、WO第96/34103号、WO第03/035694号、Muyldermansら、Protein Eng. 1994 Sep; 7(9): 1129-3、DaviesおよびRiechmann(1994年および1996年)に記載している。
g)アミノ酸配列および核酸配列は、全長にわたって100%の配列同一性(本明細書で定義)を有する場合、「全く相同である」と言われる。
h)2つのアミノ酸配列を比較する場合、「アミノ酸の差違」という用語は、第2のアミノ酸配列と比較した、第1のアミノ酸の位置における単一のアミノ酸の挿入、欠失または置換を指し、2つのアミノ酸配列は、1個、2個またはそれを超えた該アミノ酸の差違を含んでいてもよいことが理解される。
i)核酸配列またはアミノ酸配列は、例えば、天然の生体資源および/またはこれらが得られた反応媒体もしくは培地と比較して、該資源または媒体中で通常共存している、他の核酸、他のタンパク質/ポリペプチド、他の生体成分もしくは高分子、または少なくとも1種類の混入物、不純物、または微量成分等の少なくとも1種類の他の成分から分離されている場合、「ほぼ単離した(形態である)」と考えられる。具体的には、核酸配列またはアミノ酸配列を、少なくとも2倍、具体的には少なくとも10倍、より具体的には少なくとも100倍、および最大1000倍以上に精製する場合、「ほぼ単離した」と考えられる。「ほぼ単離した形態の」核酸配列またはアミノ酸配列は、好ましくは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動等の好適なクロマトグラフィー手法のような好適な手法により決定された場合において、ほぼ均一である。
j)本明細書において使用する場合、「ドメイン」という用語は、一般に、抗体分子鎖の球状領域、具体的には重鎖抗体の球状領域、または殆ど該球状領域のみからなるポリペプチドを指す。通常、該ドメインは、例えば、シートとして、またはジスルフィド結合によって安定化されたペプチドループ(例えば、3つまたは4つのペプチドループ)を含んでいる。
k)「抗原決定基」という用語は、抗原結合性分子(本発明のナノボディまたはポリペプチド等の)、具体的には該分子の抗原結合部位によって認識される抗原上のエピトープを指す。「抗原決定基」および「エピトープ」という用語は、本明細書において交換可能に使用することができる。
l)特異性抗原決定基、エピトープ、抗原またはタンパク質(または少なくとも1つのこれらの部位、断片またはエピトープ)に結合することができ、親和性および/または特異性を有するアミノ酸配列(本発明のナノボディ、抗体、ポリペプチド、または抗原結合性タンパク質もしくはポリペプチドまたはこれらの断片)は、これらの抗原決定基、エピトープ、抗原またはタンパク質「に対する」、またはこれら「に対して指向性を有する」と言われる。
m)「特異性」という用語は、特定の抗原結合性分子または抗原結合性タンパク質(本発明のナノボディまたはポリペプチド等)が結合することができる、異なるタイプの抗原または抗原決定基の数を指す。抗原結合性タンパク質の特異性は、親和性および/または結合性に基づいて決定することができる。抗原と抗原結合性タンパク質の解離の平衡定数(KD)によって表される親和性は、抗原決定基と抗原結合性タンパク質上の抗原結合部位との結合強度の尺度であり、KDの数値が小さいほど、抗原決定基と抗原結合性分子との間の結合強度は強い(あるいは、親和性は、1/KDである親和性定数(KA)によっても表される)。当業者にとって(例えば、本明細書の他の開示より)自明であるように、親和性は、対象となる特異性抗原に応じてそれ自体公知の方法により決定することができる。結合性は、(本発明のナノボディまたはポリペプチド等の)抗原結合性分子と適切な抗原との結合強度の尺度である。結合性は、抗原決定基と、その抗原結合性分子上の抗原結合性分子との間の親和性、および抗原結合性分子上に存在する適切な結合部位の数の両者に関係する。通常、(本発明のナノボディまたはポリペプチド等の)抗原結合性タンパク質は、10−5〜10−12モル/リットル以下、好ましくは10−7〜10−12モル/リットル以下、より好ましくは10−8〜10−12モル/リットル以下の解離定数(KD)で、および/または少なくとも107M-1、好ましくは少なくとも108M-1、より好ましくは少なくとも109M-1、例えば少なくとも1012M-1の結合親和性で結合する。10−4リットル/モルよりも大きな任意のKDの値は、非特異的な結合の尺度であると考えられる。好ましくは、本発明のナノボディまたはポリペプチドは、500nMよりも低い、好ましくは200nMよりも低い、好ましくは10nMよりも低い、例えば500pMよりも低い親和性で、所望の抗原に結合する。抗原結合性タンパク質の抗原または抗原決定基に対する特異的な結合は、例えば、Scatchard分析および/または放射線免疫アッセイ(RIA)、酵素免疫アッセイ(EIA)およびサンドイッチ拮抗アッセイおよび当業者にそれ自体公知のこれらの種々の変法等の拮抗結合アッセイ等の任意の好適なそれ自体公知の方法により決定することができる。
n)本明細書にさらに記載しているように、ナノボディのアミノ酸配列および構造は、これらに限定されないが、4つのフレームワーク領域または「FR」を含んでおり、当該技術分野および本明細書において、それぞれ、「フレームワーク領域1」または「FR1」、「フレームワーク領域2」または「FR2」、「フレームワーク領域3」または「FR3」、および「フレームワーク領域4」または「FR4」と呼ばれ、フレームワーク領域は、3つの相補性決定領域または「CDR」によって遮断されており、当該技術分野において、それぞれ、「相補性決定領域1」または「CDR1」、「相補性決定領域2」または「CDR2」、「相補性決定領域3」または「CDR3」と呼ばれている。
o)同様に、本明細書でさらに説明するように、ナノボディにおける全アミノ酸残基の総数は、110〜120の範囲であってよく、好ましくは112〜115であり、最も好ましくは113である。しかし、ナノボディの部分、断片、アナローグまたは誘導体(本明細書に記載)は、これらの部分、断片、アナローグまたは誘導体が本明細書で概述する他の要求を満たし、好ましくは本明細書に記載の目的に好適である限りにおいて、これらの長さおよび/またはサイズに限定されない。
p)ナノボディのアミノ酸残基は、本明細書で引用したRiechmannおよびMuyldermansの文献(例えば、前記参考文献の図2を参照されたい)においてラクダ科由来のVHHドメインに適用した、Kabatらによる(「Sequence of proteins of immunological interest」、US Public Health Services, NIH Bethesda, MD, Publication No. 91)一般的な番号付けによって、番号付けがなされる。この番号付けによると、ナノボディのFR1は、1〜30位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR1は、31〜35位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR2領域は、36〜49位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR2は、50〜65位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR3は、66〜94位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR3は、95〜102位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR4領域は、103〜113位のアミノ酸残基を含む。[この態様において、VHドメインおよびVHHドメインにおいて周知であるように、CDRのそれぞれにおいて、全アミノ酸残基数は、変化してもよいし、Kabatの番号付けによって示された全アミノ酸残基数に対応しなくてもよい(すなわち、Kabatの番号付けによる1つ以上の位置は、実際の配列において満たされていなくてもよく、あるいは実際の配列は、Kabatの番号付けにより許容される数よりも多くのアミノ酸残基を含んでいてもよい)。このことは、一般に、Kabatによる番号付けは、実際のアミノ酸配列における実際のアミノ酸残基の番号付けと対応していてもいなくてもよいことを意味する。しかし、一般に、Kabatの番号付けによると、CDRにおけるアミノ酸残基の番号に関わりなく、Kabatによる1位は、FR1の開始位置に相当すると共にその逆も成り立ち、Kabatによる36位は、FR2の開始位置に相当すると共にその逆も成り立ち、Kabatによる66位は、FR3の開始位置に相当すると共にその逆も成り立ち、Kabatによる103位は、FR4の開始位置に相当すると共にその逆も成り立つ。]
ラクダ科由来のVHHドメインおよびナノボディに対しても適用可能であるVHドメインのアミノ酸残基に番号付けを行う他の方法は、Chothiaらが報告した、(Nature 342, 877-883(1989))、いわゆる「AbM定義」、およびいわゆる「接触定義」と呼ばれる方法である。しかし、本明細書、特許請求の範囲、および図面において、別段指示のない限り、RiechmannおよびMuyldermansによりVHHドメインに適用されたKabatの番号付けに従う。
q)図面、配列表、および実験の部/実施例は、本発明をさらに説明する目的のみのために提供され、本明細書で別段明示的な指示のない限り、いかなる意味においても本明細書および特許請求の範囲を限定するように解釈または理解してはならない。
あるいは、2つ以上のヌクレオチド配列の間の配列同一性の割合は、通常の設定を使用したNCBI Blast v2.0等の、配列のアラインメントのための公知のコンピュータアルゴリズムを使用して計算することができる。
配列同一性の割合を決定するための別のいくつかの手法、コンピュータアルゴリズムおよび設定については、例えば、WO第04/037999号、欧州特許第0 967 284号、欧州特許第1 085 089号、WO第00/55318号、WO第00/78972号、WO第98/49185号、英国特許出願公開第2 357 768号に記載されている。
通常、上で概説した計算方法により2つのヌクレオチド配列間の「配列同一性」の割合を決定するためには、最もヌクレオチド数の多いヌクレオチド配列を「第1の」ヌクレオチド配列とし、別のヌクレオチド配列を「第2の」ヌクレオチド配列とする。
f)2つ以上のアミノ酸配列の比較のために、[第1のアミノ酸配列において、第2のアミノ酸配列中の対応する位置にあるアミノ酸残基と同一であるアミノ酸残基の数]を[第1のアミノ酸配列中の全アミノ酸残基数]で割り、[100%]を乗じることにより、第1のアミノ酸配列と第2のアミノ酸配列との間の「配列同一性」の割合を計算することができ、ここで、第1のアミノ酸配列と比較した第2のアミノ酸配列中のアミノ酸残基の欠失、挿入、置換、または付加は、それぞれ単一のアミノ酸残基(位置)における差違であると考えられ、本明細書において、「アミノ酸の差違」と定義される。
あるいは、2つのアミノ酸配列の間の配列同一性の割合も、通常の設定を使用した、上記ヌクレオチド配列同一性の決定のための公知のコンピュータアルゴリズムを使用して計算することができる。
通常、上で概説した計算方法により2つのアミノ酸配列間の「配列同一性」の割合を決定するためには、最もアミノ酸残基数の多いアミノ酸配列を「第1の」アミノ酸配列とし、他のアミノ酸配列を「第2の」アミノ酸配列とする。
また、2つのアミノ酸配列の間の配列同一性の決定において、当業者は、アミノ酸残基が、同様の化学構造を有し、ポリペプチドの機能、活性、または他の生物学的性質にわずかな影響しか及ぼさず、または殆ど影響を及ぼさない他のアミノ酸残基に置換された、いわゆる「保存」アミノ酸の置換を考慮することができる。該保存アミノ酸の置換は、例えば、
WO第04/037999号、英国特許出願公開第2 357 768号、WO第98/49185号、WO第00/46383号、およびWO第01/09300号により当業者に周知であり、該置換の(好ましい)タイプおよび組み合わせは、WO第04/037999号、ならびにWO第98/49185号および本明細書に引用した他の参考文献による関連する教示に基づいて選択することができる。
該保存置換は、好ましくは、以下の群(a)〜(e)に属する1個のアミノ酸が、同一の群に属する別のアミノ酸によって置換されている置換である:(a)小さな脂肪族であって、非極性またはわずかに極性を有する基:Ala、Ser、Thr、ProおよびGly;(b)極性を有し、負電荷を有する基またはその(電荷を有しない)アミド:Asp、Asn、GluおよびGln;(c)極性を有し、正電荷を有する基:His、ArgおよびLys;(d)大きな脂肪族であって、非極性の基:Met、Leu、He、ValおよびCys;および(e)芳香族基:Phe、TyrおよびTrp。
特に好ましい保存置換は、下記のとおりである:AlaのGlyまたはSerへの置換;ArgのLysへの置換;AsnのGlnまたはHisへの置換;AspのGluへの置換;CysのSerへの置換;GlnのAsnへの置換;GluのAspへの置換;GlyのAlaまたはProへの置換;HisのAsnまたはGlnへの置換;IleのLeuまたはValへの置換;LeuのIleまたはValへの置換;LysのArg,のGInまたはGluへの置換;MetのLeu,のTyrまたはIleへの置換;PheのMet、LeuまたはTyrへの置換;SerのThrへの置換;ThrのSerへの置換;TrpのTyrへの置換;TyrのTrpへの置換;および/またはPheのVal、IleまたはLeuへの置換。
本明細書に記載のポリペプチドに適用される任意のアミノ酸の置換は、Schulzら、Principles of Protein Structure, Springer- Verlag, 1978によって開発された、異なる種に由来する同種のタンパク質間におけるアミノ酸の変異頻度の解析、ChouおよびFasman, Biochemistry 13: 211, 1974、およびAdv. Enzymol., 47: 45-149, 1978によって開発された構造形成ポテンシャルの解析、およびEisenbergら、Proc. Nad. Acad Sci. USA 81 : 140-144, 1984、KyteおよびDoolittle; J Molec. Biol. 157: 105-132, 198 1、およびGoldmanら、Ann. Rev. Biophys. Chem. 15: 321-353, 1986によって開発されたタンパク質における疎水性パターンの解析に基づいていてもよく、これらの文献は全て参照によりその全文が本明細書に援用される。ナノボディの1次構造、2次構造、および3次構造に関する情報は、本明細書の記載および上で引用した一般的な背景技術文献に記載している。また、この目的のために、例えば、Desmyterら、Nature Structural Biology, Vol. 3, 9, 803 (1996)、Spinelliら、Natural Structural Biology (1996); 3, 752-757、およびDecanniereら、Structure, Vol. 7, 4, 361 (1999)に、ラマ由来VHHドメインの結晶構造を記載している。従来のVHドメインにおける、VH/VLインターフェースを形成するアミノ酸残基、およびこれらのタンパク質についてラクダ化を起こす可能性のある置換に関する他の情報は、WO第94/04678号、WO第96/34103号、WO第03/035694号、Muyldermansら、Protein Eng. 1994 Sep; 7(9): 1129-3、DaviesおよびRiechmann(1994年および1996年)に記載している。
g)アミノ酸配列および核酸配列は、全長にわたって100%の配列同一性(本明細書で定義)を有する場合、「全く相同である」と言われる。
h)2つのアミノ酸配列を比較する場合、「アミノ酸の差違」という用語は、第2のアミノ酸配列と比較した、第1のアミノ酸の位置における単一のアミノ酸の挿入、欠失または置換を指し、2つのアミノ酸配列は、1個、2個またはそれを超えた該アミノ酸の差違を含んでいてもよいことが理解される。
i)核酸配列またはアミノ酸配列は、例えば、天然の生体資源および/またはこれらが得られた反応媒体もしくは培地と比較して、該資源または媒体中で通常共存している、他の核酸、他のタンパク質/ポリペプチド、他の生体成分もしくは高分子、または少なくとも1種類の混入物、不純物、または微量成分等の少なくとも1種類の他の成分から分離されている場合、「ほぼ単離した(形態である)」と考えられる。具体的には、核酸配列またはアミノ酸配列を、少なくとも2倍、具体的には少なくとも10倍、より具体的には少なくとも100倍、および最大1000倍以上に精製する場合、「ほぼ単離した」と考えられる。「ほぼ単離した形態の」核酸配列またはアミノ酸配列は、好ましくは、ポリアクリルアミドゲル電気泳動等の好適なクロマトグラフィー手法のような好適な手法により決定された場合において、ほぼ均一である。
j)本明細書において使用する場合、「ドメイン」という用語は、一般に、抗体分子鎖の球状領域、具体的には重鎖抗体の球状領域、または殆ど該球状領域のみからなるポリペプチドを指す。通常、該ドメインは、例えば、シートとして、またはジスルフィド結合によって安定化されたペプチドループ(例えば、3つまたは4つのペプチドループ)を含んでいる。
k)「抗原決定基」という用語は、抗原結合性分子(本発明のナノボディまたはポリペプチド等の)、具体的には該分子の抗原結合部位によって認識される抗原上のエピトープを指す。「抗原決定基」および「エピトープ」という用語は、本明細書において交換可能に使用することができる。
l)特異性抗原決定基、エピトープ、抗原またはタンパク質(または少なくとも1つのこれらの部位、断片またはエピトープ)に結合することができ、親和性および/または特異性を有するアミノ酸配列(本発明のナノボディ、抗体、ポリペプチド、または抗原結合性タンパク質もしくはポリペプチドまたはこれらの断片)は、これらの抗原決定基、エピトープ、抗原またはタンパク質「に対する」、またはこれら「に対して指向性を有する」と言われる。
m)「特異性」という用語は、特定の抗原結合性分子または抗原結合性タンパク質(本発明のナノボディまたはポリペプチド等)が結合することができる、異なるタイプの抗原または抗原決定基の数を指す。抗原結合性タンパク質の特異性は、親和性および/または結合性に基づいて決定することができる。抗原と抗原結合性タンパク質の解離の平衡定数(KD)によって表される親和性は、抗原決定基と抗原結合性タンパク質上の抗原結合部位との結合強度の尺度であり、KDの数値が小さいほど、抗原決定基と抗原結合性分子との間の結合強度は強い(あるいは、親和性は、1/KDである親和性定数(KA)によっても表される)。当業者にとって(例えば、本明細書の他の開示より)自明であるように、親和性は、対象となる特異性抗原に応じてそれ自体公知の方法により決定することができる。結合性は、(本発明のナノボディまたはポリペプチド等の)抗原結合性分子と適切な抗原との結合強度の尺度である。結合性は、抗原決定基と、その抗原結合性分子上の抗原結合性分子との間の親和性、および抗原結合性分子上に存在する適切な結合部位の数の両者に関係する。通常、(本発明のナノボディまたはポリペプチド等の)抗原結合性タンパク質は、10−5〜10−12モル/リットル以下、好ましくは10−7〜10−12モル/リットル以下、より好ましくは10−8〜10−12モル/リットル以下の解離定数(KD)で、および/または少なくとも107M-1、好ましくは少なくとも108M-1、より好ましくは少なくとも109M-1、例えば少なくとも1012M-1の結合親和性で結合する。10−4リットル/モルよりも大きな任意のKDの値は、非特異的な結合の尺度であると考えられる。好ましくは、本発明のナノボディまたはポリペプチドは、500nMよりも低い、好ましくは200nMよりも低い、好ましくは10nMよりも低い、例えば500pMよりも低い親和性で、所望の抗原に結合する。抗原結合性タンパク質の抗原または抗原決定基に対する特異的な結合は、例えば、Scatchard分析および/または放射線免疫アッセイ(RIA)、酵素免疫アッセイ(EIA)およびサンドイッチ拮抗アッセイおよび当業者にそれ自体公知のこれらの種々の変法等の拮抗結合アッセイ等の任意の好適なそれ自体公知の方法により決定することができる。
n)本明細書にさらに記載しているように、ナノボディのアミノ酸配列および構造は、これらに限定されないが、4つのフレームワーク領域または「FR」を含んでおり、当該技術分野および本明細書において、それぞれ、「フレームワーク領域1」または「FR1」、「フレームワーク領域2」または「FR2」、「フレームワーク領域3」または「FR3」、および「フレームワーク領域4」または「FR4」と呼ばれ、フレームワーク領域は、3つの相補性決定領域または「CDR」によって遮断されており、当該技術分野において、それぞれ、「相補性決定領域1」または「CDR1」、「相補性決定領域2」または「CDR2」、「相補性決定領域3」または「CDR3」と呼ばれている。
o)同様に、本明細書でさらに説明するように、ナノボディにおける全アミノ酸残基の総数は、110〜120の範囲であってよく、好ましくは112〜115であり、最も好ましくは113である。しかし、ナノボディの部分、断片、アナローグまたは誘導体(本明細書に記載)は、これらの部分、断片、アナローグまたは誘導体が本明細書で概述する他の要求を満たし、好ましくは本明細書に記載の目的に好適である限りにおいて、これらの長さおよび/またはサイズに限定されない。
p)ナノボディのアミノ酸残基は、本明細書で引用したRiechmannおよびMuyldermansの文献(例えば、前記参考文献の図2を参照されたい)においてラクダ科由来のVHHドメインに適用した、Kabatらによる(「Sequence of proteins of immunological interest」、US Public Health Services, NIH Bethesda, MD, Publication No. 91)一般的な番号付けによって、番号付けがなされる。この番号付けによると、ナノボディのFR1は、1〜30位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR1は、31〜35位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR2領域は、36〜49位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR2は、50〜65位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR3は、66〜94位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのCDR3は、95〜102位のアミノ酸残基を含み、ナノボディのFR4領域は、103〜113位のアミノ酸残基を含む。[この態様において、VHドメインおよびVHHドメインにおいて周知であるように、CDRのそれぞれにおいて、全アミノ酸残基数は、変化してもよいし、Kabatの番号付けによって示された全アミノ酸残基数に対応しなくてもよい(すなわち、Kabatの番号付けによる1つ以上の位置は、実際の配列において満たされていなくてもよく、あるいは実際の配列は、Kabatの番号付けにより許容される数よりも多くのアミノ酸残基を含んでいてもよい)。このことは、一般に、Kabatによる番号付けは、実際のアミノ酸配列における実際のアミノ酸残基の番号付けと対応していてもいなくてもよいことを意味する。しかし、一般に、Kabatの番号付けによると、CDRにおけるアミノ酸残基の番号に関わりなく、Kabatによる1位は、FR1の開始位置に相当すると共にその逆も成り立ち、Kabatによる36位は、FR2の開始位置に相当すると共にその逆も成り立ち、Kabatによる66位は、FR3の開始位置に相当すると共にその逆も成り立ち、Kabatによる103位は、FR4の開始位置に相当すると共にその逆も成り立つ。]
ラクダ科由来のVHHドメインおよびナノボディに対しても適用可能であるVHドメインのアミノ酸残基に番号付けを行う他の方法は、Chothiaらが報告した、(Nature 342, 877-883(1989))、いわゆる「AbM定義」、およびいわゆる「接触定義」と呼ばれる方法である。しかし、本明細書、特許請求の範囲、および図面において、別段指示のない限り、RiechmannおよびMuyldermansによりVHHドメインに適用されたKabatの番号付けに従う。
q)図面、配列表、および実験の部/実施例は、本発明をさらに説明する目的のみのために提供され、本明細書で別段明示的な指示のない限り、いかなる意味においても本明細書および特許請求の範囲を限定するように解釈または理解してはならない。
重鎖抗体およびそれらの可変領域に関する一般的な説明については、特に、一般的な背景技術として言及している下記の参考文献を参照されたい:ブリュッセル自由大学(Vrije Universiteit Brussel)によるWO第94/04678号、WO第95/04079およびWO第96/34103号;UnileverによるWO第94/25591号、WO第99/37681号、WO第00/40968号、WO第00/43507号、WO第00/65057号、WO第01/40310号、WO第01/44301号、欧州特許第1134231号およびWO第02/48193号;フランダース大学共同バイオテクノロジー研究所(Vlaams Instituut voor Biotechnologie)(VIB)によるWO第97/49805号、WO第01/21817号、WO第03/035694号、WO第03/054016およびWO第03/055527号;Algonomics社および本出願人によるWO第03/050531号、カナダ国立研究協会によるWO第01/90190号、株式会社抗体研究所によるWO第03/025020号(=欧州特許第1 433 793号)、ならびに本出願人によるWO第04/041867号、WO第04/041862号、WO第04/041865号、WO第04/041863号、WO第04/062551号および別の特許出願公開公報、Hamers-Castermanら、Nature 1993年6月3日; 363 (6428): 446-8、DaviesおよびRiechmann, FEBS Lett. 1994年2月21日; 339(3): 285-90、Muyldermansら、Protein Eng. 1994年9月; 7(9): 1129-3、DaviesおよびRiechmann, Biotechnology (NY) 1995年5月; 13(5): 475-9、Gharoudiら、9th Forum of Applied Biotechnology, Med. Fac. Landbouw Univ. Gent. 1995; 60/4a part I: 2097-2100、DaviesおよびRiechmann, Protein Eng. 1996年6月; 9(6): 531-7、Desmyterら、Nat Struct Biol. 1996年9月; 3(9): 803-11; Sheriffら、Nat Struct Biol. 1996年9月; 3(9): 733-6、Spinelliら、Nat Struct Biol. 1996年9月; 3(9): 752-7、Arbabi Ghahroudiら、FEBS Lett. 1997年9月15日; 414(3): 521-6、Vuら、MoI Immunol. 1997年11〜12月; 34(16-17): 1121-31、Atarhouchら、Journal of Camel Practice and Research 1997; 4: 177-182、Nguyenら、J. Mol. Biol. 1998年1月23日; 275(3): 413-8、Lauwereysら、EMBO J. 1998年7月1日; 17(13): 3512-20、Frenkenら、Res Immunol. 1998年7〜8月; 149(6): 589-99、Transueら、Proteins 1998年9月1日; 32(4): 515-22、MuyldermansおよびLauwereys, J. Mol. Recognit. 1999年3〜4月; 12 (2): 131-40、van der Lindenら、Biochim. Biophys. Acta 1999年4月12日; 1431(1): 37-46、Decanniereら、Structure Fold. Des. 1999年4月15日; 7(4): 361-70、Ngyuenら、Mol. Immunol. 1999年6月; 36(8): 515-24、Woolvenら、Immunogenetics 1999年10月; 50 (1-2): 98- 101、RiechmannおよびMuyldermans, J. Immunol. 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上掲の参考文献で使用している用語法によると、天然に存在する重鎖抗体中に存在する可変領域は、従来の4本鎖抗体中に存在する重鎖可変領域(以下、本明細書では「VHドメイン」と呼ぶ)、および従来の4本鎖抗体中に存在する軽鎖可変領域(以下、本明細書において「VLドメイン」と呼ぶ)と区別するために、「VHHドメイン」とも呼ばれる。
上で引用した先行技術文献に記載したように、VHHドメインは、単離VHHドメイン(前記ドメインに基づいており、これらの構造上の特徴および機能的な性質を天然に存在するVHHドメインと共有するナノボディも同様である)およびこれを含むタンパク質を機能性抗原結合性ドメインまたはタンパク質として使用する上で非常に有利にする、多くの独特な構造上の特徴および機能的な性質を有している。具体的には、これらに限定されることなく、(自然によって、軽鎖可変領域、およびこれとの相互作用が存在しない状態で抗原に機能的に結合するように「設計」された)VHHドメインおよびナノボディは、単一の、比較的低分子量の、機能性抗原結合性構造単位、ドメイン、またはタンパク質として作用することができる。この点において、VHHドメインは、一般に、単独では単一の抗原結合性タンパク質としての実際の応用には適しておらず、抗原結合性単位としての機能をもたらすために、(例えば、Fab断片等の従来の抗体断片、VLドメインに共有結合したVHドメインよりなるscFv断片のように)ある形態または他の分子と結合させる必要のある従来の4本鎖抗体のVHおよびVLドメインと区別される。
これらの独特の性質のために、(より大きなタンパク質またはポリペプチドの一部としての)単一の抗原結合性タンパク質または抗原結合性ドメインとしてのVHHドメインまたはナノボディの使用は、従来のVHおよびVLドメイン、scFv断片または(FabまたはF(ab')2断片等の)従来の抗体断片の使用に対して、種々の顕著な利点を有する:
‐高い親和性および高い選択性で抗原と結合するために単一のドメインのみしか必要としないため、2つの別個のドメインが存在する必要も、これらの2つのドメインを(scFvのように、特別に設計されたリンカーを使用することにより)正確な空間配座および配置に存在させる必要もない;
‐VHHドメインおよびナノボディは、単一の遺伝子より発現させることができ、翻訳後の折り畳みまたは修飾を必要としない;
‐VHHドメインおよびナノボディは、容易に多価および多重特異性の形態(本明細書でさらに論ずる)に改変することができる;
‐VHHドメインおよびナノボディは、溶解性が高く、凝集する傾向を有しない(Wardら、Nature, Vol. 341, 1989, p. 544に記載された、マウスより誘導された抗原結合性ドメインと同様である);
‐VHHドメインおよびナノボディは、加熱、pH、タンパク質分解酵素、および変性剤または条件に対して非常に安定である(例えば、Ewertら、上掲を参照されたい);
‐VHHドメインおよびナノボディは、生産に必要とされるスケールにおいても、調製が容易かつ比較的安価である。例えば、VHHドメイン、ナノボディ、およびこれらを含むタンパク質/ポリペプチドは、(例えば、以下において詳述するような)微生物培養を使用して生産することができ、例えば、従来の抗体断片において必要とされるような哺乳類発現系の使用を必要としない;
‐VHHドメインおよびナノボディは、従来の4本鎖抗体およびこれらの抗原結合性断片と比較して、より低分子量であり(約15kDaであり、従来のIgGの約1/10である)、そのため、従来の4本鎖抗体およびこれらの抗原結合性断片と比較して、組織(固形腫瘍および別の高密度の組織が挙げられるがこれらに限定されない)内へのより高い浸透性を示す;
‐VHHドメインおよびナノボディは、(特に、従来のVHドメインと比較して伸びたCDR3ループに起因する)いわゆる空孔結合性質を示し、そのため、従来の4本鎖抗体およびこれらの抗原結合性断片が接近することができない標的およびエピトープに接近することができる。例えば、VHHドメインおよびナノボディが、酵素を阻害することが示されている(例えば、WO第97/49805号、Transueら、(1998)、上掲、Lauwereysら、(1998)、上掲を参照されたい)。
‐高い親和性および高い選択性で抗原と結合するために単一のドメインのみしか必要としないため、2つの別個のドメインが存在する必要も、これらの2つのドメインを(scFvのように、特別に設計されたリンカーを使用することにより)正確な空間配座および配置に存在させる必要もない;
‐VHHドメインおよびナノボディは、単一の遺伝子より発現させることができ、翻訳後の折り畳みまたは修飾を必要としない;
‐VHHドメインおよびナノボディは、容易に多価および多重特異性の形態(本明細書でさらに論ずる)に改変することができる;
‐VHHドメインおよびナノボディは、溶解性が高く、凝集する傾向を有しない(Wardら、Nature, Vol. 341, 1989, p. 544に記載された、マウスより誘導された抗原結合性ドメインと同様である);
‐VHHドメインおよびナノボディは、加熱、pH、タンパク質分解酵素、および変性剤または条件に対して非常に安定である(例えば、Ewertら、上掲を参照されたい);
‐VHHドメインおよびナノボディは、生産に必要とされるスケールにおいても、調製が容易かつ比較的安価である。例えば、VHHドメイン、ナノボディ、およびこれらを含むタンパク質/ポリペプチドは、(例えば、以下において詳述するような)微生物培養を使用して生産することができ、例えば、従来の抗体断片において必要とされるような哺乳類発現系の使用を必要としない;
‐VHHドメインおよびナノボディは、従来の4本鎖抗体およびこれらの抗原結合性断片と比較して、より低分子量であり(約15kDaであり、従来のIgGの約1/10である)、そのため、従来の4本鎖抗体およびこれらの抗原結合性断片と比較して、組織(固形腫瘍および別の高密度の組織が挙げられるがこれらに限定されない)内へのより高い浸透性を示す;
‐VHHドメインおよびナノボディは、(特に、従来のVHドメインと比較して伸びたCDR3ループに起因する)いわゆる空孔結合性質を示し、そのため、従来の4本鎖抗体およびこれらの抗原結合性断片が接近することができない標的およびエピトープに接近することができる。例えば、VHHドメインおよびナノボディが、酵素を阻害することが示されている(例えば、WO第97/49805号、Transueら、(1998)、上掲、Lauwereysら、(1998)、上掲を参照されたい)。
上記のように、本発明は、一般的にEGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対して指向性を有するナノボディ、および該ナノボディを1個以上含み、またはこれらから本質的になり、本明細書に記載の予防、治療および/または診断目的のために使用することができるポリペプチドに関する。
これも本明細書にさらに記述するように、本発明は、さらに、該ナノボディおよびポリペプチドをコードする核酸、該ナノボディおよびポリペプチドを調製する方法、該ナノボディおよびポリペプチドを発現させる宿主細胞、該ナノボディ、ポリペプチド、核酸、宿主細胞を含む組成物、および該ナノボディ、ポリペプチド、核酸、宿主細胞または組成物の使用に関する。
一般的に、本明細書でナノボディという用語を最も広義に使用する場合、特定の生体資源または特定の調製方法に限定されないことに注意されたい。例えば、以下に詳細に論ずるように、本発明のナノボディは、通常、以下により得ることができる:(1)天然に存在する重鎖抗体のVHHドメインを単離することにより;(2)天然に存在するVHHドメインをコードするヌクレオチド配列を発現させることにより;(3)天然に存在するVHHドメインを「ヒト化」(本明細書に記載)し、該ヒト化VHHドメインをコードする核酸を発現させることにより;(4)任意の動物種、特にヒト等の哺乳類の種に由来する天然に存在するVHドメインを「ラクダ化」(本明細書に記載)し、または該ラクダ化VHドメインをコードする核酸を発現させることにより;(5)「ドメイン抗体」またはWardらが記述(上掲)した「Dab」の「ラクダ化」、または該ラクダ化VHドメインをコードする核酸を発現させることにより;(6)タンパク質、ポリペプチド、および他の、それ自体公知のアミノ酸配列の調製のための合成または半合成手法を用いることにより、(7)それ自体公知の核酸合成の手法によりナノボディをコードする核酸を調製し、得られた核酸を発現させることにより;および/または(8)上記方法の1種類以上の任意の組み合わせにより。上記方法を実行するために好適な方法および手法は、本明細書での開示により当業者には明白であり、例えば、本明細書で詳述する方法および手法を含む。
好ましい種類のナノボディの1個は、EGFRまたはIGF−IRそれぞれに対して指向性を有する天然に存在する重鎖抗体のVHHドメインに対応するものである。本明細書にさらに記述するように、該VHH配列は、EGFRまたはIGF−IRそれぞれによってラクダ科の種に(免疫反応および/またはEGFRまたはIGF−IRそれぞれに対して指向性を有する重鎖抗体を増大させるために)適切に免疫性を与え、前記ラクダ科より適切な生体サンプル(血液サンプル、血清サンプル、またはB細胞のサンプル等)を採取し、および任意のそれ自体公知の手法を用いて、前記サンプルよりEGFRまたはIGF−IRのそれぞれ対して指向性を有するVHH配列を生成することにより、生成し、または得ることができる。該手法は、当業者に明白あろうし、および/または本明細書にさらに記述する。
あるいは、EGFRまたはIGF−IRそれぞれに対して指向性を有する該天然に存在するVHHドメインは、ラクダ科のVHH配列のナイーブライブラリーから、例えば、1種類以上のそれ自体公知のスクリーニング方法を使用し、それぞれEGFRまたはIGF−IR、または少なくともその一部、断片、抗原決定基、またはエピトープを使用してスクリーニングを行うことにより得ることができる。該ライブラリーおよび手法は、例えば、WO第99/37681号、WO第01/90190号、WO第03/025020およびWO第03/035694号に記載している。あるいは、例えばWO第00/43507号に記載のように、ランダム突然変異誘発および/またはCDRシャッフリング等の手法により、ナイーブVHHライブラリーから得られるVHHライブラリーのような、ナイーブVHHライブラリー由来の改良合成または改良半合成ライブラリーを使用してもよい。
EGFRまたはIGF−IRそれぞれに対して指向性を有するVHH配列を得るためのさらに別の手法は、(免疫応答および/またはEGFRまたはIGF−IRそれぞれに対する重鎖抗体を増大させるために)重鎖抗体を発現することができるトランスジェニック動物に適切に免疫性を与える工程と、前記トランスジェニック動物より好適な生体サンプル(血液サンプル、血清サンプル、またはB細胞のサンプル等)を採取し、任意のそれ自体公知の手法を用いて、前記サンプルよりEGFRまたはIGF−IRそれぞれに対して指向性を有するVHH配列を生成することにより、生成する工程を含んでいる。例えば、この目的のために、WO第02/085945号およびWO第04/049794号に記載の、重鎖抗体を発現するマウスならびに別の方法および手法を使用することができる。
天然に存在するVHHドメインのアミノ酸配列に対応するが、前記天然に存在するVHH配列(特にフレームワーク配列)のアミノ酸配列中の1個以上のアミノ酸残基を、ヒトの従来の4本鎖抗体(上記等)由来のVHドメインの対応する位置において見られる1個以上のアミノ酸残基によって置換することにより「ヒト化」された、アミノ酸配列を有するナノボディを、特に好ましい種類の本発明のナノボディは含んでいる。これは、例えば、本明細書でのさらなる記述、および本明細書に引用するヒト化に関する先行技術に基づき、当業者にとって明白であるそれ自体公知の方法により実行することができる。この場合においても、本発明の該ヒト化ナノボディは、任意のそれ自体公知の適切な方法(上記(1)〜(8)で示す方法)を用いて得ることができ、したがって、天然に存在するVHHドメインを含むポリペプチドを出発物質として用いることにより得られるポリペプチドに厳密には限定されないことに注意されたい。
天然に存在するVHドメインのアミノ酸配列に対応するが、従来の4本鎖抗体由来の天然に存在するVHドメインのアミノ酸配列中の1個以上のアミノ酸残基を、重鎖抗体のVHHドメインの対応する位置において見られる1個以上のアミノ酸残基によって置換することにより「ラクダ化」された、アミノ酸配列を有するナノボディを、別の特に好ましい種類の本発明のナノボディは含んでいる。これは、例えば、本明細書でのさらなる記述に基づき、当業者にとって明白であるそれ自体公知の方法により実行することができる。該「ラクダ化」置換は、好ましくは、VH−VLインターフェースを形成し、またはVH−VLインターフェースに存在するアミノ酸の位置、および/または、本明細書に定義する(例えば、WO第94/04678号、DaviesおよびRiechmann(1994年、および1996年)、上掲を参照されたい)、いわゆるラクダ化の特徴配列の位置に挿入される。好ましくは、ラクダ化ナノボディの生成または設計のための出発物質または出発点として使用するVH配列は、好ましくは哺乳類由来のVH配列、より好ましくはヒト由来の、VH3配列等のVH配列である。しかし、本発明の該ラクダ化ナノボディは、任意のそれ自体公知の適切な方法(上記(1)〜(8)で示す方法)を用いて得ることができ、したがって、天然に存在するVHドメインを含むポリペプチドを出発物質として用いることにより得られるポリペプチドに厳密には限定されないことに注意されたい。
例えば、この場合についても本明細書でさらに記載するように、「ヒト化」および「ラクダ化」はいずれも、天然に存在するVHHドメインまたはVHドメインそれぞれをコードするヌクレオチド配列を準備し、新たなヌクレオチド配列が、それぞれ、本発明の「ヒト化」または「ラクダ化」ナノボディをコードするように前記ヌクレオチド配列中の1個以上のコドンをそれ自体公知の方法により、変更することにより実行することができる。本発明の所望のナノボディを得るために、それ自体公知の方法によりこの核酸を発現させることができる。あるいは、天然に存在するVHHドメインまたはVHドメインそれぞれのアミノ酸配列に基づいて、本発明の所望のヒト化またはラクダ化ナノボディのそれぞれのアミノ酸配列を設計し、それ自体公知のペプチド合成手法を用いて新規合成することができる。また、天然に存在するVHHドメインまたはVHドメインそれぞれのアミノ酸配列またはヌクレオチド配列に基づいて、本発明の所望のヒト化またはラクダ化ナノボディのそれぞれをコードするヌクレオチド配列を設計し、それ自体公知の核酸合成手法を使用して新規合成し、その後、本発明の所望のナノボディを得るために、このようにして得られた核酸をそれ自体公知の方法により発現させることができる。
天然に存在するVH配列、または好ましくはVHH配列を出発物質として、本発明のナノボディおよび/またはこれをコードする核酸を得るための他の好適な方法および手法は、当業者にとって明白であり、例えば、本発明のナノボディ、またはこれをコードするヌクレオチド配列もしくは核酸配列を得るために、天然に存在する1種類以上のVH配列の1つ以上の部位(1種類以上のFR配列および/またはCDR配列等)、天然に存在する1種類以上のVHH配列の1つ以上の部位(1種類以上のFR配列および/またはCDR配列等)、および/または1種類以上の合成または半合成配列を、適切な方法により結合する工程を含んでいてよい。
好ましいが非限定的な本発明の一態様によると、ナノボディは、最も広義には、一般的に下記のものを含むポリペプチドであると定義できる:
(a)3つの相補性決定領域/配列によって遮断された4つのフレームワーク領域/配列からなり、Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基がQであるアミノ酸配列、
および/または;
(b)3つの相補性決定領域/配列によって遮断された4つのフレームワーク領域/配列からなり、Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基が電荷を有するアミノ酸(本明細書で定義)またはシステイン残基であり、44位が好ましくはEであるアミノ酸配列、
および/または;
(c)3つの相補性決定領域/配列によって遮断された4つのフレームワーク領域/配列からなり、Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基がP、R、およびSからなる群から選択され、特にRおよびSからなる群から選択されるアミノ酸配列。
(a)3つの相補性決定領域/配列によって遮断された4つのフレームワーク領域/配列からなり、Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基がQであるアミノ酸配列、
および/または;
(b)3つの相補性決定領域/配列によって遮断された4つのフレームワーク領域/配列からなり、Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基が電荷を有するアミノ酸(本明細書で定義)またはシステイン残基であり、44位が好ましくはEであるアミノ酸配列、
および/または;
(c)3つの相補性決定領域/配列によって遮断された4つのフレームワーク領域/配列からなり、Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基がP、R、およびSからなる群から選択され、特にRおよびSからなる群から選択されるアミノ酸配列。
このように、第1の好ましいが非限定的な一態様では、本発明のナノボディは、下記の構造を有することができ、
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4を示し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3を示し:
(a)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基がQであり;
および/または:
(b)Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基が電荷を有するアミノ酸またはシステインであり、Kabatの番号付けによる44位が好ましくはEであり;
および/または:
(c)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基がP、R、およびSからなる群から選択され、特にRおよびSからなる群から選択され;
および:
(d)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4を示し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3を示し:
(a)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基がQであり;
および/または:
(b)Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基が電荷を有するアミノ酸またはシステインであり、Kabatの番号付けによる44位が好ましくはEであり;
および/または:
(c)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基がP、R、およびSからなる群から選択され、特にRおよびSからなる群から選択され;
および:
(d)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
具体的には、最も広義には、ナノボディは、一般的に下記のものを含むポリペプチドであると定義できる:
(a)3つの相補性決定領域/配列によって遮断された4つのフレームワーク領域/配列からなり、Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基がQであるアミノ酸配列;
および/または:
(b)3つの相補性決定領域/配列によって遮断された4つのフレームワーク領域/配列からなり、Kabatの番号付けによる44位のアミノ酸残基がEであり、Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基がRであるアミノ酸配列;
および/または:
(c)3つの相補性決定領域/配列によって遮断された4つのフレームワーク領域/配列からなり、Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基がP、R、およびSからなる群から選択され、特にRおよびSからなる群から選択されるアミノ酸配列。
(a)3つの相補性決定領域/配列によって遮断された4つのフレームワーク領域/配列からなり、Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基がQであるアミノ酸配列;
および/または:
(b)3つの相補性決定領域/配列によって遮断された4つのフレームワーク領域/配列からなり、Kabatの番号付けによる44位のアミノ酸残基がEであり、Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基がRであるアミノ酸配列;
および/または:
(c)3つの相補性決定領域/配列によって遮断された4つのフレームワーク領域/配列からなり、Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基がP、R、およびSからなる群から選択され、特にRおよびSからなる群から選択されるアミノ酸配列。
このように、好ましいが非限定的な一態様では、本発明のナノボディは、下記の構造を有することができ、
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれ、フレームワーク領域1〜4を示し、CDR1〜CDR3は、それぞれ、相補性決定領域1〜3を示し:
(a)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基がQであり;
および/または:
(b)Kabatの番号付けによる44位のアミノ酸残基がEであり、Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基がRであり;
および/または:
(c)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基がP、R、およびSからなる群から選択され、特にRおよびSからなる群から選択され;
および:
(d)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1個に、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1個に定義するものである。
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれ、フレームワーク領域1〜4を示し、CDR1〜CDR3は、それぞれ、相補性決定領域1〜3を示し:
(a)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基がQであり;
および/または:
(b)Kabatの番号付けによる44位のアミノ酸残基がEであり、Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基がRであり;
および/または:
(c)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基がP、R、およびSからなる群から選択され、特にRおよびSからなる群から選択され;
および:
(d)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1個に、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1個に定義するものである。
具体的には、本発明による、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対するナノボディは、下記の構造を有することができ、
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4を示し、CDR1〜CDR3は、それぞれ、相補性決定領域1〜3を示し、
(a)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基がQであり;
および/または:
(b)Kabatの番号付けによる44位のアミノ酸残基がEであり、Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基がRであり;
および/または:
(c)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基がP、R、およびSからなる群から選択され、特にRおよびSからなる群から選択され;
および:
(d)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4を示し、CDR1〜CDR3は、それぞれ、相補性決定領域1〜3を示し、
(a)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基がQであり;
および/または:
(b)Kabatの番号付けによる44位のアミノ酸残基がEであり、Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基がRであり;
および/または:
(c)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基がP、R、およびSからなる群から選択され、特にRおよびSからなる群から選択され;
および:
(d)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
具体的には、好ましいが非限定的な本発明の一態様によると、ナノボディは、一般的には、一般的に3つの相補性決定領域/配列によって遮断された4つのフレームワーク領域/配列からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドであると定義され;
(a−1)Kabatの番号付けによる44位のアミノ酸残基が、A、G、E、D、G、Q、R、S、Lからなる群から、好ましくは、G、E、またはQからなる群から選択され;および
(a−2)Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基が、L、R、またはCからなる群から選択され、好ましくは、LまたはRからなる群から選択され;および
(a−3)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基が、W、R、またはSからなる群から選択され、好ましくは、WまたはRより選択され、最も好ましくはWであり;
(a−4)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基がQであり;
または:
(b−1)Kabatの番号付けによる44位のアミノ酸残基が、EおよびQからなる群から選択され、
(b−2)Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基がRであり;および
(b−3)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基が、W、RおよびSからなる群から選択され;好ましくはWであり;
(b−4)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基が、QおよびLからなる群から選択され;好ましくはQであり;
または:
(c−1)Kabatの番号付けによる44位のアミノ酸残基が、A、G、E、D、Q、R、SおよびLからなる群から;好ましくは、G、EおよびQからなる群から選択され;および
(c−2)Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基が、L、RおよびCからなる群から選択され;好ましくは、LおよびRからなる群から選択され;および
(c−3)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基が、P、RおよびSからなる群から選択され;好ましくは、RおよびSからなる群から選択され;および
(c−4)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基がQおよびLからなる群から選択され;好ましくはQであり;
および
(d)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
(a−1)Kabatの番号付けによる44位のアミノ酸残基が、A、G、E、D、G、Q、R、S、Lからなる群から、好ましくは、G、E、またはQからなる群から選択され;および
(a−2)Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基が、L、R、またはCからなる群から選択され、好ましくは、LまたはRからなる群から選択され;および
(a−3)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基が、W、R、またはSからなる群から選択され、好ましくは、WまたはRより選択され、最も好ましくはWであり;
(a−4)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基がQであり;
または:
(b−1)Kabatの番号付けによる44位のアミノ酸残基が、EおよびQからなる群から選択され、
(b−2)Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基がRであり;および
(b−3)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基が、W、RおよびSからなる群から選択され;好ましくはWであり;
(b−4)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基が、QおよびLからなる群から選択され;好ましくはQであり;
または:
(c−1)Kabatの番号付けによる44位のアミノ酸残基が、A、G、E、D、Q、R、SおよびLからなる群から;好ましくは、G、EおよびQからなる群から選択され;および
(c−2)Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基が、L、RおよびCからなる群から選択され;好ましくは、LおよびRからなる群から選択され;および
(c−3)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基が、P、RおよびSからなる群から選択され;好ましくは、RおよびSからなる群から選択され;および
(c−4)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基がQおよびLからなる群から選択され;好ましくはQであり;
および
(d)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
したがって、別の好ましいが非限定的な態様では、本発明のナノボディは、下記の構造を有することができ、
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれ、フレームワーク領域1〜4を示し、CDR1〜CDR3は、それぞれ、相補性決定領域1〜3を示し:
(a)Kabatの番号付けによる44位が、A、G、E、D、G、Q、R、S、Lからなる群から;好ましくは、G、E、またはQからなる群から選択され;
および:
(b)Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基が、L、R、またはCからなる群から選択され;好ましくは、LまたはRからなる群から選択され;
および:
(c)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基が、W、RまたはSからなる群から選択され;好ましくは、WまたはRより選択され、最も好ましくはWであり;
および
(d)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基がQであり;
および:
(e)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1個に、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1個に定義するものである。
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれ、フレームワーク領域1〜4を示し、CDR1〜CDR3は、それぞれ、相補性決定領域1〜3を示し:
(a)Kabatの番号付けによる44位が、A、G、E、D、G、Q、R、S、Lからなる群から;好ましくは、G、E、またはQからなる群から選択され;
および:
(b)Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基が、L、R、またはCからなる群から選択され;好ましくは、LまたはRからなる群から選択され;
および:
(c)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基が、W、RまたはSからなる群から選択され;好ましくは、WまたはRより選択され、最も好ましくはWであり;
および
(d)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基がQであり;
および:
(e)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1個に、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1個に定義するものである。
したがって、別の好ましいが非限定的な態様では、本発明のナノボディは、下記の構造を有することができ、
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4であり、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3であり、
(a)Kabatの番号付けによる44位が、EおよびQからなる群から選択され;
および:
(b)Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基Rであり;
および:
(c)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基がW、RおよびSからなる群から選択され;好ましくはWであり;
および:
(d)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基が、QおよびLからなる群から選択され;好ましくはQであり;
および:
(e)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4であり、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3であり、
(a)Kabatの番号付けによる44位が、EおよびQからなる群から選択され;
および:
(b)Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基Rであり;
および:
(c)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基がW、RおよびSからなる群から選択され;好ましくはWであり;
および:
(d)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基が、QおよびLからなる群から選択され;好ましくはQであり;
および:
(e)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
別の好ましいが非限定的な態様では、本発明のナノボディは、下記の構造を有することができ、
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4であり、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3であり、
(a)Kabatの番号付けによる44位が、A、G、E、D、Q、R、SおよびLからなる群から選択され;好ましくは、G、EおよびQからなる群から選択され;
および:
(b)Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基が、L、RおよびCからなる群から、好ましくは、LおよびRからなる群から選択され;
および:
(c)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基が、P、RおよびSからなる群から、好ましくは、RおよびSからなる群から選択され;
および:
(d)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基が、QおよびLからなる群から選択され、好ましくはQであり;
および:
(e)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4であり、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3であり、
(a)Kabatの番号付けによる44位が、A、G、E、D、Q、R、SおよびLからなる群から選択され;好ましくは、G、EおよびQからなる群から選択され;
および:
(b)Kabatの番号付けによる45位のアミノ酸残基が、L、RおよびCからなる群から、好ましくは、LおよびRからなる群から選択され;
および:
(c)Kabatの番号付けによる103位のアミノ酸残基が、P、RおよびSからなる群から、好ましくは、RおよびSからなる群から選択され;
および:
(d)Kabatの番号付けによる108位のアミノ酸残基が、QおよびLからなる群から選択され、好ましくはQであり;
および:
(e)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
本発明のナノボディの、特に好ましいが非限定的な2つのグループは、上記a)にしたがうもの、(a−1)〜(a−4)にしたがうもの、b)にしたがうもの、(b−1)〜(b−4)にしたがうもの、c)にしたがうもの、および/または(c−1)〜(c−4)にしたがうものであり、
a)Kabatの番号付けによる44〜47位のアミノ酸残基が、配列GLEW(または、本明細書に定義するGLEW様の配列)を形成しており、108位のアミノ酸残基がQまたはLであり;
および:
b)Kabatの番号付けによる43〜46位のアミノ酸残基が、配列KEREまたはKQRE(または、本明細書に定義するKERE様の配列)を形成し、108位のアミノ酸残基がQまたはLであり、好ましくはQである。
a)Kabatの番号付けによる44〜47位のアミノ酸残基が、配列GLEW(または、本明細書に定義するGLEW様の配列)を形成しており、108位のアミノ酸残基がQまたはLであり;
および:
b)Kabatの番号付けによる43〜46位のアミノ酸残基が、配列KEREまたはKQRE(または、本明細書に定義するKERE様の配列)を形成し、108位のアミノ酸残基がQまたはLであり、好ましくはQである。
したがって、別の好ましいが非限定的な態様では、本発明のナノボディは、下記の構造を有することができ、
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4であり、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3であり:
(a)Kabatの番号付けによる44〜47位のアミノ酸残基が、配列GLEW(または、本明細書に定義するGLEW様の配列)を形成しており、108位のアミノ酸残基がQまたはLであり;
および:
(b)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4であり、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3であり:
(a)Kabatの番号付けによる44〜47位のアミノ酸残基が、配列GLEW(または、本明細書に定義するGLEW様の配列)を形成しており、108位のアミノ酸残基がQまたはLであり;
および:
(b)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
別の好ましいが非限定的な態様では、本発明のナノボディは、下記の構造を有することができ、
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4であり、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3であり:
(a)Kabatの番号付けによる43〜46位のアミノ酸残基が、配列KEREまたはKQRE(または、本明細書に定義するKERE様の配列)を形成しており、108位のアミノ酸残基がQまたはLであり、好ましくはQであり;
および:
(b)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4であり、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3であり:
(a)Kabatの番号付けによる43〜46位のアミノ酸残基が、配列KEREまたはKQRE(または、本明細書に定義するKERE様の配列)を形成しており、108位のアミノ酸残基がQまたはLであり、好ましくはQであり;
および:
(b)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
Kabatの番号付けによる43〜46位のアミノ酸残基が、配列KEREまたはKQREを形成している本発明のナノボディにおいて、37位のアミノ酸残基は、好ましくはFである。Kabatの番号付けによる44〜47位のアミノ酸残基が、配列GLEWを形成している本発明のナノボディにおいて、37位のアミノ酸残基は、Y、H、I、L、VまたはFからなる群から選択され、最も好ましくはVである。
したがって、いかなる意味においても本明細書の記載に限定されることなく、上記位置に存在するアミノ酸残基に基づき、一般的に以下の3つのグループを基にして本発明のナノボディを分類することができる:
a)「GLEWグループ」:Kabatの番号付けによる44〜47位にアミノ酸配列GLEWを、およびKabatの番号付けによる108位にQまたはLを有するナノボディ。本明細書にさらに記載するように、このグループに属するナノボディは、通常、37位にVを有し、103位にW、P、R、またはSを有していてもよく、好ましくは103位にWを有している。また、GLEWグループは、以下の表A−3に示すようないくつかのGLEW様配列も含む;
b)「KEREグループ」:Kabatの番号付けによる43〜46位にアミノ酸配列KEREまたはKQREを、およびKabatの番号付けによる108位にQまたはLを有するナノボディ。本明細書に記載するように、このグループに属するナノボディは、通常、37位にFを有し、47位にLまたはFを有し、103位にW、P、R、またはSを有していてもよく、好ましくは103位にWを有している;
c)「103 P,R,Sグループ」:103位にP、RまたはSを有するナノボディ。これらのナノボディは、Kabatの番号付けによる44〜47位にアミノ酸配列GLEWを、またはKabatの番号付けによる43〜46位にアミノ酸配列KEREまたはKQREのいずれかを有することができ、後者は、最も好ましくは、(KEREグループについて定義さしたように)37位におけるFおよび47位におけるLまたはFとの組み合わせを有しており、Kabatの番号付けによる108位に、QまたはLを有することができ、好ましくはQを有することができる。
a)「GLEWグループ」:Kabatの番号付けによる44〜47位にアミノ酸配列GLEWを、およびKabatの番号付けによる108位にQまたはLを有するナノボディ。本明細書にさらに記載するように、このグループに属するナノボディは、通常、37位にVを有し、103位にW、P、R、またはSを有していてもよく、好ましくは103位にWを有している。また、GLEWグループは、以下の表A−3に示すようないくつかのGLEW様配列も含む;
b)「KEREグループ」:Kabatの番号付けによる43〜46位にアミノ酸配列KEREまたはKQREを、およびKabatの番号付けによる108位にQまたはLを有するナノボディ。本明細書に記載するように、このグループに属するナノボディは、通常、37位にFを有し、47位にLまたはFを有し、103位にW、P、R、またはSを有していてもよく、好ましくは103位にWを有している;
c)「103 P,R,Sグループ」:103位にP、RまたはSを有するナノボディ。これらのナノボディは、Kabatの番号付けによる44〜47位にアミノ酸配列GLEWを、またはKabatの番号付けによる43〜46位にアミノ酸配列KEREまたはKQREのいずれかを有することができ、後者は、最も好ましくは、(KEREグループについて定義さしたように)37位におけるFおよび47位におけるLまたはFとの組み合わせを有しており、Kabatの番号付けによる108位に、QまたはLを有することができ、好ましくはQを有することができる。
したがって、別の好ましいが非限定的な態様では、本発明のナノボディは、GLEWグループ(本明細書に定義)に属するナノボディであり、この場合において、CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
別の好ましいが非限定的な態様において、本発明のナノボディは、KEREグループ(本明細書に定義)に属するナノボディであり、この場合において、CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
したがって、別の好ましいが非限定的な態様では、本発明のナノボディは、103 P,R,Sグループ(本明細書に定義)に属するナノボディであり、この場合において、CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
また、より一般的には、上記108Q、43E/44R、および103P,R,S残基に加えて、本発明のナノボディは、従来のVHドメインにおいてVH/VLインターフェース(の一部)を形成する1つ以上の位置に、対応する天然に存在するVH配列における同一の位置に存在する天然型のアミノ酸残基よりも大きな電荷を有する1個以上のアミノ酸残基、具体的には、(表A−2に述べたような)電荷を有する1個以上のアミノ酸を含んでいてよい。該置換としては、以下の表A−3において言及するGLEW様配列、および例えば、44〜47位のKLEWと共に108位にQを有するナノボディを得るための、いわゆる「ミクロ抗体」に関するWO第00/29004号に記載の置換が挙げられるがこれらに限定されない。これらの位置における他に可能な置換は、本明細書の開示に基づいて、当業者には明白であろう。
本発明のナノボディの一実施態様では、83位におけるアミノ酸残基は、L、M、S、VおよびWからなる群から選択され;好ましくはLである。
また、本発明のナノボディの一実施態様では、83位におけるアミノ酸残基は、R、K、N、E、G、I、TおよびQからなる群から選択され;最も好ましくは、KまたはE(天然に存在するVHHドメインに対応するナノボディの場合);またはR(本明細書に記載の「ヒト化」ナノボディの場合)のいずれかである。84位におけるアミノ酸残基は、一実施態様ではP、A、R、S、D、T、およびVからなる群から選択され、最も好ましくは、P(天然に存在するVHHドメインに対応するナノボディの場合)、またはR(本明細書に記載の「ヒト化」ナノボディの場合)のいずれかである。
さらに、本発明のナノボディの一実施態様では、104位におけるアミノ酸残基は、GおよびDからなる群から選択され;最も好ましくはGである。
総称的に、上記ナノボディ中の11、37、44、45、47、83、84、103、104、および108位におけるアミノ酸残基は、本明細書で「特徴残基」とも呼ばれる。特徴残基および最も緊密に関連するヒトVHドメインであるVH3の対応する位置におけるアミノ酸残基を、表A−3にまとめて示す。
天然に存在するVHHドメインにおいて見られる、特に好ましいが非限定的な特徴残基のいくつかの組み合わせを、表A−4に示す。比較のために、DP-47と呼ばれるヒトVH3の対応するアミノ酸残基をイタリックで示した。
表A−3:ナノボディにおける特徴残基
注:
(1) 特に、これらに限定されないが、43〜46位におけるKEREまたはKQREと共に。
(2) 通常、44〜47位におけるGLEWとして。
(3) 通常、43〜46位におけるKEREまたはKQREとして、例えば、43〜47位におけるKEREL、KEREF、KQREL、KQREFまたはKEREGとして。あるいは、TERE(例えば、TEREL)、KECE(例えば、KECELまたはKECER)、RERE(例えば、REREG)、QERE(例えば、QEREG)、KGRE(例えば、KGREG)等の配列も可能である。可能であるが、あまり好ましくない他の配列として、例えばDECKLおよびNVCELが挙げられる。
(4) 44〜47位におけるGLEWおよび43〜46位におけるKEREまたはKQREの両者と共に。
(5) 天然に存在するVHHドメインの83〜84位において、多くの場合KPまたはEPとして。
(6) 特に、これらに限定されないが、44〜47位におけるGLEWと共に。
(7) GLEWグループには、例えば、44〜47位におけるGVEW、EPEW、GLER、DQEW、DLEW、GIEW、ELEW、GPEW、EWLP、GPER、GLERおよびELEW等のGLEW様配列が含まれる。
(1) 特に、これらに限定されないが、43〜46位におけるKEREまたはKQREと共に。
(2) 通常、44〜47位におけるGLEWとして。
(3) 通常、43〜46位におけるKEREまたはKQREとして、例えば、43〜47位におけるKEREL、KEREF、KQREL、KQREFまたはKEREGとして。あるいは、TERE(例えば、TEREL)、KECE(例えば、KECELまたはKECER)、RERE(例えば、REREG)、QERE(例えば、QEREG)、KGRE(例えば、KGREG)等の配列も可能である。可能であるが、あまり好ましくない他の配列として、例えばDECKLおよびNVCELが挙げられる。
(4) 44〜47位におけるGLEWおよび43〜46位におけるKEREまたはKQREの両者と共に。
(5) 天然に存在するVHHドメインの83〜84位において、多くの場合KPまたはEPとして。
(6) 特に、これらに限定されないが、44〜47位におけるGLEWと共に。
(7) GLEWグループには、例えば、44〜47位におけるGVEW、EPEW、GLER、DQEW、DLEW、GIEW、ELEW、GPEW、EWLP、GPER、GLERおよびELEW等のGLEW様配列が含まれる。
表A−4:天然に存在するナノボディにおける特徴残基に関する好ましいが非限定的ないくつかの組み合わせ
これらの組み合わせのヒト化については、本明細書を参照されたい。
これらの組み合わせのヒト化については、本明細書を参照されたい。
ナノボディにおいて、特徴残基以外の位置におけるそれぞれのアミノ酸残基は、天然に存在するVHHドメインの対応する位置(Kabatの番号付けによる)で自然に存在する任意のアミノ酸残基であってよい。
該アミノ酸残基は、当業者にとって明白であろう。表A−5〜A−8に、天然に存在するVHHドメインのFR1、FR2、FR3、およびFR4の(Kabatの番号付けによる)それぞれの位置に存在できる非限定的ないくつかの残基を示す。それぞれの位置について、天然に存在するVHHドメインの各位置において最も頻繁に見られるアミノ酸残基(ナノボディの前記位置について最も好ましいアミノ酸残基でもある)を太字で示し、それぞれの位置について好ましい他のアミノ酸残基には、下線を付した(注:天然に存在するVHHドメインの26〜30位に存在するアミノ酸残基の数は、これらの位置にあるアミノ酸残基が、既にCDR1の一部を形成しているという、Chothia(上掲)の番号付けの基礎となる仮説を支持している)。
表A−5〜A−8に、ヒトVH3ドメインの各位置に存在できる非限定的ないくつかの残基についても示した。この場合においても、各位置について、天然に存在するヒトVH3ドメインの各位置において最も頻繁に見られるアミノ酸残基を太字で示し、好ましい他のアミノ酸残基には、下線を付した。
単に参考のために、表A−5には、代表的な1118のVHH配列のサンプルについて、各アミノ酸の位置におけるVHHエントロピー(「VHH Ent」)およびVHH変動(「VHH Var」)のデータも含まれる(データは、Utrecht大学のDavid Lutje Hulsing氏およびTheo Verrips教授の好意により提供された)。VHHエントロピーおよびVHH変動の値は、解析を行った1118のVHH配列間でアミノ酸残基の保存のばらつきと程度に関する目安を与え、低い数値(<1、例えば<0.5)は、アミノ酸残基が、VHH配列間で非常に保存されている(ばらつきが小さい)ことを示す。例えば、8位におけるGおよび9位におけるGは、それぞれ0.1および0のVHHのエントロピーの値を有しており、これは、これらの残基が非常に保存されており、ばらつきがほとんどない(9位については、解析した1118の配列の全てにおいてGである)ことを示しているが、CDRの一部分を形成している残基の場合には、一般的に1.5を超えた値が観測される(データは示さず)。(1)表A−5の第2列に列挙したアミノ酸残基は、最後の2列に示したVHHエントロピーおよびVHH変動を決定するために解析した1118のVHH配列よりも多数のサンプルに基づいており、(2)以下に示すデータは、27〜30位のアミノ酸残基、そしておそらくは93および94位のアミノ酸残基も、CDR領域の一部を形成しているという仮説を支持している(本発明は、特定の仮説または説明に限定されないが、上記ように、本明細書において、Kabatによる番号付けを用いている)ことに注意が必要である。配列のエントロピー、配列の変動、およびこれらを決定する方法論に関する一般的な説明については、Oliveiraら、PROTEINS: Structure, Function and Genetics, 52: 544-552 (2003)を参照されたい。
表A−5:FR1におけるアミノ酸残基の非限定的な例(脚注については、表A−3の脚注を参照されたい)
表A−6:FR2におけるアミノ酸残基の非限定的な例(脚注については、表A−3の脚注を参照されたい)
表A−7:FR3におけるアミノ酸残基の非限定的な例(脚注については、表A−3の脚注を参照されたい)
表A−8:FR4におけるアミノ酸残基の非限定的な例(脚注については、表A−3の脚注を参照されたい)
したがって、別の好ましいが非限定的な態様では、本発明のナノボディは、下記の構造を有することができ、
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4を示し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3を示し:
(a)特徴残基は、本明細書に定義するものであり;
および:
(b)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4を示し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3を示し:
(a)特徴残基は、本明細書に定義するものであり;
および:
(b)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
別の好ましいが非限定的な態様では、本発明のナノボディは、下記の構造を有することができ、
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4を示し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3を示し:
(a)FR1は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[1]QVQLQESGGGXVQAGGSLRLSCAASG[26] [配列番号1]
または、上記アミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず、
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず、
および:
(b)FR2は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[36]WXRQAPGKXXEXVA[49] [配列番号2]
または、上記のアミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−6に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず、
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−6に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および:
(c)FR3は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[66]RFTISRDNAKNTVYLQMNSLXXEDTAVYYCAA[94] [配列番号3]
または、上記のアミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−7に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず、
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−7に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および:
(d)FR4は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[103]XXQGTXVTVSS[113] [配列番号4]
または、上記のアミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず、
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
(e)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものであり;
特徴残基は、「X」によって示されており、上に定義したとおりであり、カッコ内の数字は、Kabatの番号付けによるアミノ酸の位置を示す。
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4を示し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3を示し:
(a)FR1は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[1]QVQLQESGGGXVQAGGSLRLSCAASG[26] [配列番号1]
または、上記アミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず、
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず、
および:
(b)FR2は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[36]WXRQAPGKXXEXVA[49] [配列番号2]
または、上記のアミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−6に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず、
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−6に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および:
(c)FR3は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[66]RFTISRDNAKNTVYLQMNSLXXEDTAVYYCAA[94] [配列番号3]
または、上記のアミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−7に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず、
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−7に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および:
(d)FR4は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[103]XXQGTXVTVSS[113] [配列番号4]
または、上記のアミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず、
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
(e)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものであり;
特徴残基は、「X」によって示されており、上に定義したとおりであり、カッコ内の数字は、Kabatの番号付けによるアミノ酸の位置を示す。
別の好ましいが非限定的な態様では、本発明のナノボディは、下記の構造を有することができ、
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4であり、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3であり:
(a)FR1は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[1]QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASG[26] [配列番号5]
または、上記のアミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)11位における特徴残基は、上記の配列に示すとおりであり;
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)11位における特徴残基は、上記の配列に示すとおりであり;
および:
(b)FR2は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[36]WFRQAPGKERELVA[49] [配列番号6]
[36]WFRQAPGKEREFVA[49] [配列番号7]
[36]WFRQAPGKEREGA[49] [配列番号8]
[36]WFRQAPGKQRELVA[49] [配列番号9]
[36]WFRQAPGKQREFVA[49] [配列番号10]
[36]WYRQAPGKGLEWA[49] [配列番号11]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(明細書に定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択され、
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−6に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含ままず;および
iii)37、44、45、および47位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書に定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−6に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)37、44、45、および47位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(c)FR3は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[66]RFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAA[94] [配列番号12]
または、上記のアミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−7に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)83および84位における特徴残基は、上記の配列に示すとおりであり;
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−7に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)83および84位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(d)FR4は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[103]WGQGTQVTVSS[113] [配列番号13]
[103]WGQGTLVTVSS[113] [配列番号14]
または、上記のアミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)103、104、および108位における特徴残基は、上記の配列に示すとおりであり;
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)103、104、および108位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(e)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4であり、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3であり:
(a)FR1は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[1]QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASG[26] [配列番号5]
または、上記のアミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)11位における特徴残基は、上記の配列に示すとおりであり;
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)11位における特徴残基は、上記の配列に示すとおりであり;
および:
(b)FR2は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[36]WFRQAPGKERELVA[49] [配列番号6]
[36]WFRQAPGKEREFVA[49] [配列番号7]
[36]WFRQAPGKEREGA[49] [配列番号8]
[36]WFRQAPGKQRELVA[49] [配列番号9]
[36]WFRQAPGKQREFVA[49] [配列番号10]
[36]WYRQAPGKGLEWA[49] [配列番号11]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(明細書に定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択され、
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−6に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含ままず;および
iii)37、44、45、および47位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書に定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−6に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)37、44、45、および47位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(c)FR3は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[66]RFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAA[94] [配列番号12]
または、上記のアミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−7に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)83および84位における特徴残基は、上記の配列に示すとおりであり;
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−7に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)83および84位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(d)FR4は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[103]WGQGTQVTVSS[113] [配列番号13]
[103]WGQGTLVTVSS[113] [配列番号14]
または、上記のアミノ酸配列と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)103、104、および108位における特徴残基は、上記の配列に示すとおりであり;
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)103、104、および108位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(e)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
別の好ましいが非限定的な態様では、本発明のナノボディは、下記の構造を有することができ、
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4であり、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3であり:
(a)FR1は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[1]QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASG[26] [配列番号5]
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)11位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(b)FR2は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[36]WFRQAPGKERELVA[49] [配列番号6]
[36]WFRQAPGKEREFVA[49] [配列番号7]
[36]WFRQAPGKEREGA[49] [配列番号8]
[36]WFRQAPGKQRELVA[49] [配列番号9]
[36]WFRQAPGKQREFVA[49] [配列番号10]
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−6に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)37、44、45、および47位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(c)FR3は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[66]RFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAA[94] [配列番号12]
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−7に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)83および84位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(d)FR4は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[103]WGQGTQVTVSS[113] [配列番号13]
[103]WGQGTLVTVSS[113] [配列番号14]
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)103、104、および108位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(e)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4であり、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3であり:
(a)FR1は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[1]QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASG[26] [配列番号5]
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)11位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(b)FR2は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[36]WFRQAPGKERELVA[49] [配列番号6]
[36]WFRQAPGKEREFVA[49] [配列番号7]
[36]WFRQAPGKEREGA[49] [配列番号8]
[36]WFRQAPGKQRELVA[49] [配列番号9]
[36]WFRQAPGKQREFVA[49] [配列番号10]
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−6に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)37、44、45、および47位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(c)FR3は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[66]RFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAA[94] [配列番号12]
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−7に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)83および84位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(d)FR4は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[103]WGQGTQVTVSS[113] [配列番号13]
[103]WGQGTLVTVSS[113] [配列番号14]
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)103、104、および108位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(e)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1つに、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1つに定義するものである。
別の好ましいが非限定的な態様において、本発明のナノボディは、下記の構造を有することができ、
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4を示し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3でを示し、
(a)FR1は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[1]QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASG[26] [配列番号5]
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)11位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(b)FR2は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[36]WYRQAPGKGLEWA[49] [配列番号11]
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−6に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)37、44、45、および47位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(c)FR3は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[66]RFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAA[94] [配列番号12]
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−7に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)83および84位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(d)FR4は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[103]WGQGTQVTVSS[113] [配列番号13]
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)103、104、および108位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(e)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1個に、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1個に定義するものである。
本発明のナノボディ中に存在することができる他のいくつかのフレームワーク配列は、上記欧州特許第656 946号に見ることができる(同一の発明に対する米国特許第5,759,808号も参照されたい)。
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4を示し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3でを示し、
(a)FR1は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[1]QVQLQESGGGLVQAGGSLRLSCAASG[26] [配列番号5]
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)11位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(b)FR2は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[36]WYRQAPGKGLEWA[49] [配列番号11]
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−6に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)37、44、45、および47位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(c)FR3は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[66]RFTISRDNAKNTVYLQMNSLKPEDTAVYYCAA[94] [配列番号12]
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−7に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)83および84位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(d)FR4は、下記のアミノ酸配列からなる群から選択され:
[103]WGQGTQVTVSS[113] [配列番号13]
および/または、上記のアミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)103、104、および108位における特徴残基は、上記の配列のそれぞれに示すとおりであり;
および:
(e)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1個に、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1個に定義するものである。
本発明のナノボディ中に存在することができる他のいくつかのフレームワーク配列は、上記欧州特許第656 946号に見ることができる(同一の発明に対する米国特許第5,759,808号も参照されたい)。
別の好ましいが非限定的な態様では、本発明のナノボディは、下記の構造を有することができ、
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4を示し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3を示し:
(a)FR1は、それぞれ配列番号80〜93、または106〜109のナノボディに存在するFR1からなる群から選択され、
または、前記FR1の1個と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR1配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)11位における特徴残基は、前記FR1配列に示すとおりであり;
および/または、前記FR1配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR1配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)11位における特徴残基は、前記FR1配列に示すとおりであり;
および:
(b)FR2は、それぞれ配列番号80〜93、または106〜109のナノボディに存在するFR2からなる群から選択され、
または、前記前記FR2の1個と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−6に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR2配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)37、44、45、および47位における特徴残基は、前記FR2配列に示すとおりであり;
および/または、前記FR2配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−6に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR2配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)37、44、45、および47位における特徴残基は、前記FR2配列に示すとおりであり;
および:
(c)FR3は、それぞれ配列番号80〜93、または106〜109のナノボディに存在するFR3からなる群から選択され、
または、前記前記FR3の1個と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−7に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR3配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)83および84位における特徴残基は、前記FR3配列に示すとおりであり;
および/または、前記FR3配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−7に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR3配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)83および84位における特徴残基は、前記FR3配列に示すとおりであり;
および:
(d)FR4は、それぞれ配列番号80〜93、または106〜109のナノボディに存在するFR4からなる群から選択され、
または、前記前記FR4の1個と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR4配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)103、104、および108位における特徴残基は、前記FR3配列に示すとおりであり;
および/または、前記FR4配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR4配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)103、104、および108位における特徴残基は、前記FR4配列に示すとおりであり;
および:
(e)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1個に、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1個に定義するものである。
FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4
ここで、FR1〜4は、それぞれフレームワーク領域1〜4を示し、CDR1〜CDR3は、それぞれ相補性決定領域1〜3を示し:
(a)FR1は、それぞれ配列番号80〜93、または106〜109のナノボディに存在するFR1からなる群から選択され、
または、前記FR1の1個と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR1配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)11位における特徴残基は、前記FR1配列に示すとおりであり;
および/または、前記FR1配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR1配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)11位における特徴残基は、前記FR1配列に示すとおりであり;
および:
(b)FR2は、それぞれ配列番号80〜93、または106〜109のナノボディに存在するFR2からなる群から選択され、
または、前記前記FR2の1個と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−6に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR2配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)37、44、45、および47位における特徴残基は、前記FR2配列に示すとおりであり;
および/または、前記FR2配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−6に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR2配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)37、44、45、および47位における特徴残基は、前記FR2配列に示すとおりであり;
および:
(c)FR3は、それぞれ配列番号80〜93、または106〜109のナノボディに存在するFR3からなる群から選択され、
または、前記前記FR3の1個と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−7に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR3配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)83および84位における特徴残基は、前記FR3配列に示すとおりであり;
および/または、前記FR3配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−7に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR3配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)83および84位における特徴残基は、前記FR3配列に示すとおりであり;
および:
(d)FR4は、それぞれ配列番号80〜93、または106〜109のナノボディに存在するFR4からなる群から選択され、
または、前記前記FR4の1個と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置におけるアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR4配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)103、104、および108位における特徴残基は、前記FR3配列に示すとおりであり;
および/または、前記FR4配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択され:
i)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり;および/または
ii)前記アミノ酸配列は、前記FR4配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;および
iii)103、104、および108位における特徴残基は、前記FR4配列に示すとおりであり;
および:
(e)CDR1、CDR2およびCDR3は、本明細書に、好ましくは本明細書の好ましい実施態様の1個に、より好ましくは本明細書のより好ましい実施態様の1個に定義するものである。
特に好ましい本発明のいくつかのナノボディは、それぞれ配列番号80〜93、または106〜109のアミノ酸配列からなる群から選択することができ、または、前記アミノ酸配列の1個と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択することができ;
i)特徴残基は、上記の表A−3に示すとおりであり、
ii)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5〜A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり、および/または
iii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まない。
i)特徴残基は、上記の表A−3に示すとおりであり、
ii)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5〜A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり、および/または
iii)前記アミノ酸配列は、上記アミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まない。
特により好ましい本発明のいくつかのナノボディは、それぞれ配列番号80〜93、または106〜109のアミノ酸配列からなる群から選択することができ、または、前記アミノ酸配列の1個と、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有するアミノ酸配列からなる群から選択することができ;
(1)特徴残基は、配列番号80〜93、または106〜109に由来する該当する配列に示すとおりであり、
(2)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5〜A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり、および/または
(3)前記アミノ酸配列は、配列番号80〜93、または106〜109から選択される該当する配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まない。
(1)特徴残基は、配列番号80〜93、または106〜109に由来する該当する配列に示すとおりであり、
(2)特徴残基以外の任意の位置における任意のアミノ酸の置換は、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)、および/または表A−5〜A−8に定義するアミノ酸置換のいずれかであり、および/または
(3)前記アミノ酸配列は、配列番号80〜93、または106〜109から選択される該当する配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まない。
EGFRおよびIGF−IRそれぞれに対する最も好ましい本発明のナノボディのいくらかは、それぞれ配列番号80〜93、または106〜109のアミノ酸配列からなる群から選択することができる。
好ましくは、本発明のナノボディ中のCDR配列およびFR配列は、10−5〜10−12モル/リットル以下、好ましくは10−7〜10−12モル/リットル以下、より好ましくは10−8〜10−12モル/リットル以下の解離定数(KD)で、および/または少なくとも107M-1、好ましくは少なくとも108M-1、より好ましくは少なくとも109M-1、例えば少なくとも1012M-1の結合親和性で、および/または500nMよりも低い、好ましくは200nMよりも低い、好ましくは10nMよりも低い、例えば500pMよりも低い親和性で、本発明のナノボディをEGFRまたはIGF−IRそれぞれに結合するものである。本発明のナノボディの、EGFRまたはIGF−IRそれぞれに対する親和性は、それ自体公知の方法により、例えば、本明細書に記載のアッセイを用いて決定することができる。
本発明の非限定的な一態様によると、ナノボディを本明細書で定義してもよいが、天然に存在するヒトVHドメインの対応するフレームワーク領域と比較した場合、具体的には、DP-47の対応するフレームワーク領域と比較した場合、少なくとも1個のフレームワーク領域において少なくとも「1個のアミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有するという条件においてである。より具体的には、本発明の非限定的な一態様によると、ナノボディを本明細書で定義してもよいが、天然に存在するヒトVHドメインの対応するフレームワーク領域と比較した場合、具体的には、DP-47の対応するフレームワーク領域と比較した場合、少なくとも1個の特徴残基(108、103、および/または45位におけるもの等)において少なくとも「1個のアミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有するという条件においてである。通常、ナノボディは、FR2および/またはFR4の少なくとも1個において、具体的には、FR2および/またはFR4における特徴残基の少なくとも1個(この場合においても、108、103、および/または45位における特徴残基を含み)において、天然に存在するVHドメインと少なくとも1個の該アミノ酸の差違を有している。
また、本発明のヒト化ナノボディを、本明細書で定義してもよいが、天然に存在するVHHドメインの対応するフレームワーク領域と比較した場合、フレームワーク領域の少なくとも1個において少なくとも「1個のアミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有するという条件においてである。より具体的には、本発明の非限定的な一態様によると、本発明のヒト化ナノボディを、本明細書で定義してもよいが、天然に存在するVHHドメインの対応するフレームワーク領域と比較した場合、特徴残基の少なくとも1個(108、103、および/または45位における特徴残基を含み)において少なくとも「1個のアミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有するという条件においてである。通常、ナノボディは、FR2および/またはFR4の少なくとも1個において、具体的には、FR2および/またはFR4における特徴残基の少なくとも1個(この場合においても、108、103、および/または45位における特徴残基を含み)において、該天然に存在するVHHドメインと少なくとも1個のアミノ酸の差違を有している。
本明細書での開示より明らかであるように、本明細書で定義する本発明のナノボディの天然または合成アナローグ、突然変異体、変異体、対立遺伝子、ホモローグおよびオルソログ(本明細書で「アナローグ」と総称)、および具体的には、配列番号80〜93または配列番号106〜109のナノボディのアナローグの使用も、本発明の範囲内である。したがって、本発明の一実施態様によると、「本発明のナノボディ」という用語には、最も広義には、これらのアナローグも含まれる。
一般に、該アナローグにおいて、本明細書に定義する本発明のナノボディと比較した場合、1個以上のアミノ酸残基を、置換、欠失、および/または付加していてもよい。該置換、挿入または欠失を、フレームワーク領域の1個以上で、および/またはCDRの1個以上について行ってもよい。該置換、挿入または欠失を、フレームワーク領域1個以上で行う場合、特徴残基における置換、挿入または欠失は普通、あまり好ましくないが(本明細書に記載の適切なヒト化置換である場合を除き)、それらを特徴残基の1個以上で、および/またはフレームワーク残基の他の位置の1個以上で行ってもよい。
非限定的な例により、置換は、例えば、保存置換(本明細書で定義)であってよく、および/またはアミノ酸残基は、他のVHHドメインにおいて同一の位置に天然に存在する別のアミノ酸残基に置換されていてもよいが(該置換の非限定的ないくつかの例については、表A−5〜A−8を参照されたい)、本発明は、一般的にはこれらに限定されない。したがって、本発明のナノボディの性質を改善し、あるいは本発明のナノボディの望ましい性質、または望ましい性質の組み合わせもしくはバランスを少なくとも(本発明のナノボディが、目的とする用途に適さなくなるような程度まで)損なわない、1つ以上の任意の置換、欠失、もしくは挿入、またはこれらの任意の組み合わせは、本発明の範囲内に包含される。通常、当業者は、本明細書での開示に基づき、および場合によっては、例えば、限られた数の可能な置換を行い、このようにして得られるナノボディの性質に及ぼすこれらの影響を検討すること等のわずかな通常の実験を行った後に、好適な置換、欠失または挿入を決定および選択することができる。
例えば、本発明のナノボディまたはポリペプチドの発現に使用する宿主生物に応じて、当業者の能力の範囲内において、翻訳後修飾のための1つ以上の部位(1つ以上のグリコシル化部位)が除去されるように、該欠失および/または置換を設計してもよい。あるいは、例えば、官能基(本明細書に記載)の1つ以上の結合部位を導入して、位置特異的なPEG化(同様に、本明細書に記載)が可能となるように置換または挿入を設計することができる。
上記表A−5〜A−8に示したVHHのエントロピーおよびVHHの変動に関するデータから判るように、フレームワーク領域におけるいくつかのアミノ酸残基は、他の領域のものよりも保存的である。一般に、本発明は最も広義にはこれらに限定されないが、任意の置換、欠失または挿入は、好ましくはより保存的でない位置において行われる。また、一般に、アミノ酸の置換は、アミノ酸の欠失または挿入よりも好ましい。
アナローグは、好ましくは、10−5〜10−12モル/リットル以下、好ましくは10−7〜10−12モル/リットル以下、より好ましくは10−8〜10−12モル/リットル以下の解離定数(KD)で、および/または少なくとも107M-1、好ましくは少なくとも108M-1、より好ましくは少なくとも109M-1、例えば少なくとも1012M-1の結合親和性で、および/または500nMよりも低い、好ましくは200nMよりも低い、好ましくは10nMよりも低い、例えば500pMよりも低い親和性で、本発明のナノボディをEGFRまたはIGF−IRそれぞれに好ましくは結合するものである。本発明のナノボディの、EGFRまたはIGF−IRそれぞれに対する親和性は、それ自体公知の方法により、例えば、本明細書に記載のアッセイを用いて決定することができる。
また、アナローグは、好ましくは、これらが、本明細書に記載のナノボディの好ましい性質を保持するようなものでもある。
また、ある好ましい実施態様によると、アナローグは、配列番号80〜93、または配列番号106〜109のナノボディの1個と、少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、例えば少なくとも95%または99%を超えた配列同一性を有し、および/または多くて20、好ましくは多くて10、さらにより好ましくは多くて5個、例えば、4個、3個、2個、または1個のみのアミノ酸の差違(本明細書で定義)を有している。
また、アナローグのフレームワーク配列およびCDRは、好ましくは、アナローグを本明細書に記載の好ましい実施態様にしたがわせるようなものである。より一般的には、本明細書に記載のように、アナローグは、(a)108位にQを有し、および/または(b)45位に電荷を有するアミノ酸またはシステイン残基を有し、好ましくは44位にEを有し、より好ましくは44位にE、45位にRを有し、および/または(c)103位にP、R、またはSを有している。
ある好ましい種類の本発明のナノボディのアナローグは、(天然に存在する本発明のナノボディと比較して)ヒト化されたナノボディを含んでいる。本明細書に引用した背景技術文献に記載しているように、該ヒト化は、通常、天然に存在するVHHの配列中に存在する1個以上のアミノ酸残基を、ヒトVH3ドメイン等のヒトVHドメイン中の同一の位置に見られる他のアミノ酸によって置換することを含んでいる。可能なヒト化置換またはヒト化置換の組み合わせは、例えば、本明細書の表、本明細書に引用した背景技術文献に示した可能なヒト化置換、および/またはナノボディの配列と、天然に存在するヒトVHドメインの配列との比較より、当業者には明白であろう。
得られるヒト化ナノボディが、本明細書に記載のナノボディの好ましい性質を保持するようにヒト化置換を選択する必要があり、より好ましくは、得られるヒト化ナノボディが、上の段落でアナローグについて記載したようなものである必要がある。通常、当業者であれば、本明細書での開示に基づき、および場合によっては、例えば、限られた数の可能なヒト化置換を導入し、このようにして得られるナノボディの性質に及ぼすこれらの影響を検討すること等のわずかな通常の実験を行った後に、好適なヒト化置換またはヒト化置換の組み合わせを決定および選択することができるであろう。
一般に、ヒト化の結果として、本発明のナノボディは、本明細書に記載の本発明のナノボディの好ましい性質を保持しつつ、より「ヒト類似」にすることができる。結果として、該ヒト化ナノボディは、対応する天然に存在するVHHドメインと比較して、より低い免疫原性等のいくつかの利点を有している。この場合においても、本明細書での開示に基づき、および場合によってはわずかな通常の実験を行った後に、当業者であれば、一方でヒト化置換によってもたらされる好ましい性質と、他方で天然に存在するVHHドメインの有する好ましい性質との間の所望のまたは好適なバランスを最適化し、または達成するヒト化置換または好適なヒト化置換の組み合わせを選択することができるであろう。
ヒト化アナローグおよび他のアナローグ、およびこれらをコードする核酸配列は、任意のそれ自体公知の方法により提供することができる。例えば、アナローグは、天然に存在するVHHドメインをコードする核酸を準備し、置換対象となる1個以上のアミノ酸残基に対するコドンを、対応する所望のアミノ酸残基に対するコドンに(例えば、位置特異的な突然変異誘発、または適切なミスマッチを有するプライマーを使用したPCRにより)変更し、このようにして得られた核酸および/またはヌクレオチド配列を好適な宿主または発現系中で発現させ、このようにして得られたアナローグを、ほぼ単離した形態(例えば、本明細書に記載)であるために場合によっては単離および/または精製することにより得ることができる。このことは、一般にそれ自体公知の方法を使用して実行することができ、これらの方法は、例えば、本明細書に引用したハンドブックおよび参考文献、本明細書に引用した背景技術文献、および/または本明細書のさらなる記載より、当業者にとって明白であろう。あるいは、所望のアナローグをコードする核酸は、それ自体公知の方法を使用して(例えば、所定のアミノ酸配列を有する核酸配列の自動合成装置を使用して)合成することができ、次いで、本明細書の記載にしたがって発現させることができる。さらに他の方法は、それぞれ所望のアナローグの一部分をコードする1つ以上の天然に存在する核酸配列および/または合成核酸配列を結合し、次いで、結合した核酸配列を、本明細書の記載にしたがって発現させることを含んでいてもよい。また、アナローグは、本明細書に記載のもの等のそれ自体公知のペプチド合成手法を使用した、対応するアミノ酸配列の化学合成法によっても提供することができる。
この態様において、例えば、DP-47、DP-51、またはDP-29等のヒトVH3配列のようなヒトVH配列(アミノ酸配列または対応するヌクレオチド配列)を出発物質として、本発明のナノボディの配列を提供し、および/またはこのようにして得られる配列に、ナノボディの好ましい性質を付与するために、1つ以上のラクダ化置換(前記ヒトVH配列中の1個以上のアミノ酸残基を、VHHドメイン中の対応する位置において天然に存在するアミノ酸残基に変更すること)を導入することにより、本発明のナノボディ(これらのアナローグも含む)を設計および/または調製することができることも当業者には明白でろう。この場合においても、このことは、一般に、上の段落で説明した種々の方法および手法を使用し、ヒトVH配列についてのアミノ酸配列および/またはヌクレオチドを出発点として使用して実行することができる。
ラクダ化置換の好ましいが非限定的ないくつかの例は、表A−5〜A−8より誘導することができる。1個以上の特徴残基におけるラクダ化置換は、1つ以上の他のアミノ酸の位置における置換よりも、一般に、所望の性質に及ぼす影響が大きいことは、当業者にとって明白であるが、両者およびこれらの任意の好適な組み合わせは、本発明の範囲内に包含される。例えば、少なくとも1つのある所望の性質が既に付与された1つ以上のラクダ化置換を導入し、次いで、前記性質を向上させ、および/または他の好ましい性質を付与する他のラクダ化置換を導入することもできる。この場合においても、当業者は、一般に、本明細書での開示に基づき、および場合によっては、例えば、限られた数の可能なラクダ化置換を導入し、(元のVHドメインと比較して)ナノボディの好ましい性質が得られ、または改善したか否かを検討すること等のわずかな通常の実験を行った後に、好適なラクダ化置換またはラクダ化置換の組み合わせを決定および選択することができる。
しかし、一般に、該ラクダ化置換は、好ましくは、少なくとも、(a)108位にQを有し、および/または(b)45位に電荷を有するアミノ酸またはシステイン残基を有し、好ましくは44位にEを有し、より好ましくは44位にE、45位にRを有し、および/または(c)103位にP、R、またはSを有し、1つ以上の別のラクダ化置換を、場合によってはさらに含むようなものである。より好ましくは、ラクダ化置換は、本発明のナノボディおよび/またはヒト化アナローグ、および/または好ましくは上の段落に定義したアナローグ等の、これらのアナローグ(本明細書に記載)をもたらすような置換である。
同様に本明細書での開示より明白であるように、本明細書に定義した本発明のナノボディの部分または断片、あるいは2つまたはそれ以上の部分または断片、具体的には、配列番号80〜93、または配列番号106〜109のナノボディの部分または断片を使用することも、本発明の範囲内に包含される。したがって、本発明のある実施態様によると、「本発明のナノボディ」という用語は、最も広義には、該部分または断片を包含する。
一般に、該本発明のナノボディの部分または断片(これらのアナローグを含む)は、対応する本発明の全長ナノボディ(またはこれらのアナローグ)と比較して、N末端の1個以上のアミノ酸残基、C末端の1個以上のアミノ酸残基、1個以上の隣接する内部アミノ酸残基、またはこれらの任意の組み合わせが欠失し、および/または除去されたアミノ酸配列を有している。
部分または断片は、好ましくは、10−5〜10−12モル/リットル以下、好ましくは10−7〜10−12モル/リットル以下、より好ましくは10−8〜10−12モル/リットル以下の解離定数(KD)で、および/または少なくとも107M-1、好ましくは少なくとも108M-1、より好ましくは少なくとも109M-1、例えば少なくとも1012M-1の結合親和性で、および/または500nMよりも低い、好ましくは200nMよりも低い、好ましくは10nMよりも低い、例えば500pMよりも低い親和性で、本発明のナノボディをEGFRまたはIGF−IRそれぞれに好ましくは結合するものである。EGFRまたはIGF−IRそれぞれに対する親和性は、それ自体公知の方法により、例えば、本明細書に記載のアッセイを用いて決定することができる。
任意の部分または断片は、好ましくは、対応する本発明の全長ナノボディのアミノ酸配列のうち、少なくとも10個の隣接するアミノ酸残基を含み、好ましくは少なくとも20個の隣接するアミノ酸残基を含み、より好ましくは少なくとも30個の隣接するアミノ酸残基、例えば少なくとも40個の隣接するアミノ酸残基を含むものである。
また、任意の部分または断片は、好ましくは、CDR1、CDR2および/またはCDR3のうち少なくとも1つ、あるいはこれらのうち少なくとも一部分(具体的には、少なくともCDR3または少なくともその一部分)を含むようなものである。より好ましくは、任意の部分または断片は、好ましくは適切なフレームワーク配列または少なくともその一部分によって結合された、CDRのうち少なくとも1つ(好ましくは、少なくともCDR3またはその一部分)と、他のCDRのうち少なくとも1つ(CDR1またはCDR2)または少なくともその一部分とを含むようなものである。より好ましくは、任意の部分または断片は、好ましくは、同様に適切なフレームワーク配列または少なくともその一部分によって結合された、CDRのうち少なくとも1つ(好ましくは、少なくともCDR3またはその一部分)と、残りの2つのCDRまたは少なくともその一部分とを含むものである。
別の特に好ましいが非限定的な実施態様によると、該部分または断片は、例えば、国際公開WO第03/050531号(Lastersら)に記載のように、本発明の対応する全長ナノボディのうち少なくともCDR3、例えば、FR3、CDR3、およびFR4を含んでいる。
前記のように、本発明のナノボディの(本明細書に定義するような)アナローグを提供し、および/または本発明のナノボディの他の部分または断片(本明細書に定義するような)を提供するために、2つ以上の該部分または断片(同一または異なる本発明のナノボディに由来する)を結合させることも可能である。本発明のナノボディの1個以上の部分または断片とヒトVHドメインの1個以上の部分または断片を結合することも例えば可能である。
ある好ましい実施態様によると。部分または断片は、配列番号80〜93、または106〜109のナノボディの1個と、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、95%または99%あるいはそれ以上の配列同一度を有している。
部分および断片、ならびにこれらをコードする核酸配列は、それ自体公知の任意の方法により、場合によってはそれらを組み合わせることにより提供することができる。例えば、該部分または断片は、本発明の全長ナノボディをコードする核酸に停止コドンを挿入し、このようにして得られた核酸をそれ自体公知の方法(本明細書に記載の方法等)により発現させることにより得ることができる。あるいは、該部分または断片をコードする核酸は、本発明の全長ナノボディをコードする核酸を適切に制限することにより、または該核酸をそれ自体公知の方法により合成することにより得ることができる。部分または断片は、それ自体公知のペプチド合成手法を使用して提供することもできる。
また、本発明は、最も広義には、本発明のナノボディの誘導体も含んでいる。該誘導体は、一般に、本発明のナノボディ、および/または本発明のナノボディを形成する1個以上のアミノ酸残基の修飾によって、具体的には化学的および/または生物学的(酵素によるもの等)修飾によって得ることができる。
該修飾の例、および該方法で修飾することができるナノボディ配列中の(タンパク質骨格上のものであってもよいが、好ましくは側鎖上の)アミノ酸残基の例、該修飾を施すのに使用することができる方法および手法、ならびに該修飾の利用の可能性および利点は、当業者にとって明白であろう。
例えば、該修飾は、1個以上の官能基、残基または部分の(例えば、共有結合または他の好適な方法による)本発明のナノボディへの導入、具体的には1つ以上の望ましい特性または機能性を本発明のナノボディに付与する1個以上の官能基、残基または部分の導入、を含んでいてよい。該官能基の例は当業者にとって明白であろう。
例えば、該修飾は、本発明のナノボディの半減期、溶解性、および/または吸収を増大させ、本発明のナノボディの免疫原性および/または毒性を低減させ、本発明のナノボディの任意の望ましくない副作用を除去もしくは低減させ、および/または本発明のナノボディおよび/またはポリペプチドに他の有利な性質を付与し、および/または望ましくない性質を低減させ、あるいは前述のうち2つ以上の組み合わせを与える、1個以上の官能基の(例えば、共有結合または他の好適な方法による)導入を含んでよい。該官能基およびこれらを導入するための手法の例は当業者にとって明白であり、一般に、本明細書の上記記載において引用した一般背景技術文献およびに述べた全ての官能基および手法、ならびに医薬用タンパク質の修飾、具体的には抗体または(scFvおよび単一ドメイン抗体等の)抗体断片の修飾について、それ自体公知の官能基および手法を含んでいてよく、これらについては、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 第16版, Mack Publishing Co., Easton, PA (1980)を参照されたい。該官能基は、(例えば、共有結合により)直接、あるいは、これも当業者にとって明白であるように、場合によっては適切なリンカーまたはスペーサーを介して本発明のナノボディに結合していてもよい。
医薬用タンパク質の半減期の増大および/または免疫原性の低減のために最も広く使用されている手法の1つは、ポリ(エチレングリコール)(PEG)等の好適な薬理学的に許容されるポリマーまたは(メトキシポリ(エチレングリコール)またはmPEG等の)その誘導体を結合させることを含んでいる。一般に、抗体および抗体断片((単一)ドメイン抗体およびscFvが挙げられるがこれらに限定されない)等の技術分野において使用されているPEG化等の任意の好適な形態のPEG化を使用することができ、例えば、Chapman, Nat. Biotechnol., 54, 531-545 (2002)、VeroneseおよびHarrisによる、Adv. Drug Deliv. Rev. 54, 453-456 (2003)、HarrisおよびChessによる、Nat. Rev. Drug. Discov., 2, (2003)、ならびにWO第04/060965号を参照されたい。タンパク質のPEG化のための種々の試薬は、例えば、米国Nektar Therapeutics社が市販している。
好ましくは、具体的にはシステイン残基を介して位置特異的なPEG化を用いる(例えば、Yangら、Protein Engineering, 16, 10, 761-770 (2003)を参照されたい)。例えば、この目的のために、全て、当業者にとってそれ自体公知のタンパク質工学の手法を使用して、本発明のナノボディにおいて天然に存在するシステイン残基にPEGを結合させてもよく、PEGを結合させるための1個以上のシステイン残基を好適に導入するために本発明のナノボディを修飾してもよく、あるいはPEGを結合させるための1個以上のシステイン残基を含むアミノ酸配列は、本発明のナノボディのN末端またはC末端に融合していてもよい。
好ましくは、本発明のナノボディおよびタンパク質のために、分子量が5000よりも大きな、分子量が10,000よりも大きく200,000未満であるもの等、分子量が100,000未満の、例えば20,000〜80,000の範囲内のもの等のPEGを使用する。
別の、通常あまり好ましくない修飾は、本発明のナノボディまたはポリペプチドを発現させるために使用する宿主細胞に応じて、通常、翻訳時および/または翻訳後修飾の一部として行われるN−結合型またはO−結合型グリコシル化を含んでいる。
さらに別の修飾は、標識化されたナノボディの使用目的に応じた1つ以上の検知可能な標識またはシグナル発生基もしくは部位の導入を含んでいてよい。好適な標識およびそれらの結合方法、使用方法および検出方法は当業者にとって明白であり、例えば、蛍光標識(フルオレセイン、イソシアナート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o−フタアルデヒド、およびフルオレスカミン、ならびに152Euまたはランタニド系列に属する他の金属等の蛍光性金属等)、リン光標識、化学発光標識もしくは生体発光標識(ルミナール、イソルミノール、テロマティックアクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、シュウ酸エステル、ジオキセタン、またはGFPおよびそのアナローグ等)、放射性同位元素(3H、125I、32P、35S、14C、51Cr、36Cl、57Co、58Co、59Fe、および75Se等)、金属、金属キレートもしくは金属陽イオン(例えば、99mTc、123I、111In、131I、97Ru、67Cu、67Ga、および68Ga等の金属陽イオン)、またはインビボ、インビトロもしくはその場における診断もしくはイメージングに好適な他の金属または金属陽イオン(157Gd、55Mn、162Dy、52Cr、および56Fe等)、ならびに発色団および酵素(リンゴ酸脱水素酵素、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、デルタ−V−ステロイドイソメラーゼ、酵母アルコール脱水素酵素、α−グリセロリン酸脱水素酵素、トリオースリン酸イソメラーゼ、ビオチンアビジンペルオキシダーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、アスパラギナーゼ、グルコースオキシダーゼ、β−ガラクトシダーゼ、リボヌクレアーゼ、ウレアーゼ、カタラーゼ、グルコース−6−リン酸ホスファターゼ、グルコアミラーゼおよびアセチルコリンエステラーゼ等)が挙げられるがこれらに限定されない。別の好適な標識は当業者にとって明白であり、例えば、NMRまたはESR分光法を使用して検出することが可能な部位が挙げられる。
該標識された本発明のナノボディおよびポリペプチドは、選択した具体的な標識に応じて、例えば、インビボ、インビトロ、またはその場におけるアッセイ(ELISA、RIA、EIA、および他の「サンドイッチアッセイ」等の、それ自体公知の免疫アッセイ等)、およびインビボにおける診断およびイメージングの目的のために使用することができる。
当業者にとって明白であるように、別の修飾は、例えば、上記金属または金属陽イオンのうち1個をキレートするためのキレート基の導入を含んでいてよい。好適なキレート基としては、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)またはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が挙げられるがこれらに限定されない。
さらに別の修飾は、ビオチン−(ストレプト)アビジン結合対等の特異的な結合対のうち一方の部位である官能基の導入を含んでいてよい。該官能基を、結合対の形成を介して、本発明のナノボディを、結合対のうち他方に結合する別のタンパク質、ポリペプチド、または化合物に結合させるために使用することができる。例えば、本発明のナノボディをビオチンと複合化させ、アビジンまたはストレプトアビジンと複合化した別のタンパク質、ポリペプチド、化合物または担体に結合させることができる。例えば、該複合化ナノボディは、例えば、検出可能な信号発生剤をアビジンまたはストレプトアビジンと複合化させた診断システムにおいて、リポーターとして使用することができる。該結合対を、例えば、本発明のナノボディを、薬学的用途に好適な担体等の担体に結合させるために使用することもできる。ある非限定的な例は、CaoおよびSuresh, Journal of Drug Targetting, 8, 4, 257 (2000)において報告されたリポソーム製剤である。該結合対を、本発明のナノボディを、治療効果を有する薬剤と結合させるために使用することもできる。
いくつかの用途、具体的には、(例えば、ガンの治療において)本発明のナノボディが標的とする標的を発現する細胞を殺し、または該細胞の成長および/または増殖を抑制し、もしくは遅らせることを目的とする用途のために、本発明のナノボディを、毒素または毒性を有する残基または部位と結合させてもよい。例えば、細胞毒性を有する化合物を提供するために、本発明のナノボディと結合させることができる毒性部位、化合物または残基の例は、当業者にとって明白であり、例えば、上記において引用されている先行技術文献および/または本明細書のさらなる記載より見い出すことができる。その一例は、WO第03/055527号に記載の、いわゆるADEPT(商標)手法である。
別の可能な化学および酵素修飾は、当業者にとって明白である。該修飾を、(例えば、機能と活性との関係の検討等の)研究目的のために導入することができる。例えば、LundbladおよびBradshaw, Biotechnol. Appl. Biochem., 26, 143-151 (1997)を参照されたい。
好ましくは、誘導体は、10−5〜10−12モル/リットル以下、好ましくは10−7〜10−12モル/リットル以下、より好ましくは10−8〜10−12モル/リットル以下の解離定数(KD)で、および/または少なくとも107M-1、好ましくは少なくとも108M-1、より好ましくは少なくとも109M-1、例えば少なくとも1012M-1の結合親和性で、および/または500nMよりも低い、好ましくは200nMよりも低い、好ましくは10nMよりも低い、例えば500pMよりも低い親和性で、本発明のナノボディをEGFRまたはIGF−IRのそれぞれに結合させる。本発明のナノボディの、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対する親和性は、例えば、本明細書に記載のアッセイ等のそれ自体公知の方法により決定することができる。
上記ように、本発明は、ほぼ少なくとも1個の本発明のナノボディからなるタンパク質またはポリペプチドにも関する。「ほぼ〜からなる」という用語により、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列が、本発明のナノボディのアミノ酸配列と全く同一であるか、ナノボディのアミノ酸配列のアミノ末端側、カルボキシ末端側、あるいはアミノ末端およびカルボキシ末端側の両者に付加された、1〜20個のアミノ酸残基、例えば、1〜10個のアミノ酸残基、好ましくは、1、2、3、4、5、または6個のアミノ酸残基等の1〜6個のアミノ酸残基といった、限られた数のアミノ酸残基を有する本発明のナノボディのアミノ酸配列に相当することを意味する。
前記アミノ酸残基は電荷を有していてもいなくてもよく、ナノボディの(生物学的)性質を改変し、あるいは他の方法により影響を及ぼしてもよく、ナノボディに他の機能性を付加してもよい。例えば、該アミノ酸残基は:
a)例えば、異種宿主細胞または宿主生物中での発現の結果として、N−末端にMet残基を含んでいてよく;
b)宿主細胞で合成されると、ナノボディを分泌させるシグナル配列またはリーダー配列を形成していてもよい。好適な分泌リーダーペプチドは当業者にとって明白であり、本明細書においてさらに説明されるものであってもよい。通常、該リーダー配列は、ナノボディのN−末端に結合しているが、本発明は、最も広義にはそれに限定されない;
c)特定の器官、組織、細胞、または細胞の部位もしくは区画にナノボディを導きおよび/または浸透もしくは侵入させ、および/または細胞膜、上皮細胞層等の細胞層、固形腫瘍等の腫瘍、または血液−脳−関門等の生物学的障壁に、ナノボディを侵入または透過させる配列またはシグナルを形成していてもよい。該アミノ酸配列は、当業者にとって明白である。いくつかの非限定的な例は、WO第03/026700号およびTemsamaniら、Expert Opin. Biol. Then, 1, 773 (2001)、TemsamaniおよびVidal, Drug Discov. Today, 9, 1012 (2004)、およびRousselle, J. Pharmacol. Exp. Then, 296, 124-131 (2001)に記載の低分子量ペプチドベクター(「Pep-transベクター」)、およびZhaoら、Apoptosis, 8, 631-637 (2003)に記載の膜輸送配列である。抗体断片の細胞内ターゲッティングのためのC−末端およびN−末端配列は、例えば、Cardinaleら、Methods, 34, 171 (2004)に記載されている。細胞内ターゲッティングのための他の好適な手法は、後述のような、本発明のナノボディを含む、いわゆる「細胞内抗体」の発現および/または使用を含んでいる;
d)例えば、そのような配列または残基に指向性を有するアフィニティー手法によりナノボディの精製を可能にし、または促進するアミノ酸配列または残基等である「タグ」を形成していてもよい。その後、前記配列または残基は除去されてもよい(化学的または酵素的切断)(この目的のために、タグは、場合によっては切断可能なリンカー配列を介してナノボディに結合し、または切断可能な構造を含んでいてよい)。該残基のいくつかの好ましいが非限定的な例は、多重ヒスチジン残基、グルタチオン残基およびAAAEQKLISEEDLNGAA [配列番号31]等のmyc−タグである;
e)官能基化され、および/または官能基の結合部位として作用しうる1個以上のアミノ酸残基であってもよい。好適なアミノ酸残基および官能基は当業者にとって明白であり、本発明のナノボディの誘導体について本明細書に記載したアミノ酸残基および官能基が挙げられるがこれらに限定されない。
a)例えば、異種宿主細胞または宿主生物中での発現の結果として、N−末端にMet残基を含んでいてよく;
b)宿主細胞で合成されると、ナノボディを分泌させるシグナル配列またはリーダー配列を形成していてもよい。好適な分泌リーダーペプチドは当業者にとって明白であり、本明細書においてさらに説明されるものであってもよい。通常、該リーダー配列は、ナノボディのN−末端に結合しているが、本発明は、最も広義にはそれに限定されない;
c)特定の器官、組織、細胞、または細胞の部位もしくは区画にナノボディを導きおよび/または浸透もしくは侵入させ、および/または細胞膜、上皮細胞層等の細胞層、固形腫瘍等の腫瘍、または血液−脳−関門等の生物学的障壁に、ナノボディを侵入または透過させる配列またはシグナルを形成していてもよい。該アミノ酸配列は、当業者にとって明白である。いくつかの非限定的な例は、WO第03/026700号およびTemsamaniら、Expert Opin. Biol. Then, 1, 773 (2001)、TemsamaniおよびVidal, Drug Discov. Today, 9, 1012 (2004)、およびRousselle, J. Pharmacol. Exp. Then, 296, 124-131 (2001)に記載の低分子量ペプチドベクター(「Pep-transベクター」)、およびZhaoら、Apoptosis, 8, 631-637 (2003)に記載の膜輸送配列である。抗体断片の細胞内ターゲッティングのためのC−末端およびN−末端配列は、例えば、Cardinaleら、Methods, 34, 171 (2004)に記載されている。細胞内ターゲッティングのための他の好適な手法は、後述のような、本発明のナノボディを含む、いわゆる「細胞内抗体」の発現および/または使用を含んでいる;
d)例えば、そのような配列または残基に指向性を有するアフィニティー手法によりナノボディの精製を可能にし、または促進するアミノ酸配列または残基等である「タグ」を形成していてもよい。その後、前記配列または残基は除去されてもよい(化学的または酵素的切断)(この目的のために、タグは、場合によっては切断可能なリンカー配列を介してナノボディに結合し、または切断可能な構造を含んでいてよい)。該残基のいくつかの好ましいが非限定的な例は、多重ヒスチジン残基、グルタチオン残基およびAAAEQKLISEEDLNGAA [配列番号31]等のmyc−タグである;
e)官能基化され、および/または官能基の結合部位として作用しうる1個以上のアミノ酸残基であってもよい。好適なアミノ酸残基および官能基は当業者にとって明白であり、本発明のナノボディの誘導体について本明細書に記載したアミノ酸残基および官能基が挙げられるがこれらに限定されない。
別の実施態様によると、本発明のポリペプチドは、前記本発明のナノボディと、1つ以上の別のアミノ酸配列とを含む融合タンパク質を提供するために、アミノ末端側、カルボキシ末端側、あるいはアミノ末端およびカルボキシ末端側の両者で少なくとも1つの他のアミノ酸配列と融合した本発明のナノボディを含んでいる。該融合体を、本明細書において、「ナノボディ融合体」とも呼ぶ。
1個以上の他のアミノ酸配列は、任意の好適な、および/または所望のアミノ酸配列であってよい。他のアミノ酸配列は、電荷を有していてもいなくてもよく、ナノボディの(生物学的)性質を改変し、あるいは他の方法により影響を及ぼしてもよく、本発明のナノボディまたはポリペプチドに他の機能を付加してもしなくてもよい。好ましくは、他のアミノ酸配列は、本発明のナノボディまたはポリペプチドに、1個以上の望ましい特性を付与するようなものである。
該アミノ酸配列の例は当業者にとって明白であり、一般に、従来の抗体およびそれらの断片(scFvおよび単一ドメイン抗体が挙げられるがこれらに限定されない)に基づくペプチド融合に使用する全てのアミノ酸配列を含んでいてよい。例えば、HolligerおよびHudsonによる総説である、Nature Biotechnology, 23, 9, 1126-1136 (2005)を参照されたい。
例えば、該アミノ酸配列は、本発明のナノボディ自体と比較した場合における本発明のポリペプチドの半減期、溶解性、または吸収を増大させ、免疫原性または毒性を低減させ、望ましくない副作用を除去もしくは低減させ、および/または他の有利な性質を付与し、および/または望ましくない性質を低減させるアミノ酸配列であってよい。該アミノ酸配列のいくつかの非限定的な例は、ヒト血清アルブミン等の血清タンパク質(例えば、WO第00/27435号を参照されたい)、またはハプテン性分子である(例えば、循環抗体によって認識されるハプテンについては、例えば、WO第98/22141号等を参照されたい)。
他のアミノ酸配列は、第2の結合部位を提供してもよく、該結合部位は、任意の所望のタンパク質、ポリペプチド、抗原、抗原決定基、またはエピトープ(本発明のナノボディが標的とするものと同一のタンパク質、ポリペプチド、抗原、抗原決定基、またはエピトープ、または異なるタンパク質、ポリペプチド、抗原、抗原決定基、またはエピトープが挙げられるがこれらに限定されない)に指向性を有するものであってよい。例えば、別のアミノ酸配列は、血清中における半減期を増大させるために、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン、またはIgG等の別の血清タンパク質)に指向性を有する第2の結合部位を提供してもよい。例えば、欧州特許第0 368 684号、WO第91/01743号、WO第01/45746号およびWO第04/003019号(種々の血清タンパク質について言及されている)、WO第06/040153号、ならびにHarmsenら、Vaccine, 23 (41); 4926-42を参照されたい。
別の実施態様によると、1つ以上のアミノ酸配列は、従来の4本鎖抗体(具体的にはヒト抗体)および/または重鎖抗体の1つ以上の部分、断片、またはドメインを含んでいてよい。例えば、通常あまり好ましくないが、本発明のナノボディは、従来の(好ましくはヒト)VHもしくはVLドメイン、またはVHまたはVLドメインの天然または合成アナローグに、この場合においても、場合によってはリンカー配列(Wardらによって報告されたdAb等の別の(単一)ドメイン抗体が挙げられるがこれらに限定されない)を介して結合していてもよい。
少なくとも1個のナノボディは、場合によってはリンカー配列を介して、(好ましくはヒト)CH1、CH2および/またはCH3ドメインのうち1つ以上に結合していてもよい。例えば、好適なCH1ドメインに結合したナノボディは、例えば、好適な軽鎖と共に、従来のFab断片またはF(ab')2断片と類似しているが、従来のVHドメインのうち一方(F(ab')2断片の場合)、または一方もしくは双方が本発明のナノボディによって置換された抗体断片/構造を形成するために使用することができる。また、インビボにおける半減期が増大したコンストラクトを提供するために、2個のナノボディを(場合によってはリンカーを介して)CH3ドメインに結合させることもできる。
本発明のポリペプチドの具体的な実施態様によると、1個以上の本発明のナノボディは、本発明のポリペプチドに、1つ以上のエフェクター機能を付与することができ、および/または1つ以上のFc領域に結合する能力を付与することができる、1個以上の抗体の部分、断片、またはドメインに結合していてもよい。例えば、この目的のために、これらに限定されることなく、1つ以上の他のアミノ酸配列は、1つ以上の、重鎖抗体(本明細書に記載)の等に由来の、より好ましくは従来のヒト4本鎖抗体由来の抗体のCH2および/またはCH3ドメインを含んでいてよく、および/または、例えば、IgG由来、IgE由来、または別のヒトIg由来のFc領域(の一部分)を形成していてもよい。例えば、WO第94/04678号には、ラクダ科VHHドメインまたはそのヒト化誘導体(ナノボディ)を含み、それぞれナノボディとヒトCH2およびCH3ドメインとを含む(しかし、CH1ドメインは含まない)2本の重鎖からなり、CH2およびCH3ドメインによりもたらされるエフェクター機能を有し、軽鎖が全く存在しなくても機能することができる免疫グロブリンを提供するために、ラクダ科CH2および/またはCH3ドメインがヒトCH2およびCH3ドメインに置換されている重鎖抗体について記載されている。エフェクター機能をもたらすために本発明のナノボディに好適に結合させることができる他のアミノ酸配列は、当業者にとって明白であり、所望のエフェクター機能に基づいて選択することができる。例えば、WO第04/058820号、WO第99/42077号およびWO第05/017148ならびに上掲のHolligerおよびHudsonによる総説を参照されたい。本発明のナノボディをFc部位に結合させることによっても、対応する本発明のナノボディと比較して半減期を増大させることができる。いくつかの用途のために、生物学的に顕著なエフェクター機能を有さずに半減期を増大させるFc部位および/または定常領域(CH2および/またはCH3ドメイン)を使用することは、好適でありさらに好ましい。1つ以上のナノボディと1個以上の定常領域とを含み、インビボにおける半減期が増大した他の好適なコンストラクトは当業者にとって明白であり、例えば、場合によってはリンカー配列を介してCH3ドメインに結合した2個のナノボディを含んでいてよい。一般に、半減期が増大した任意の融合タンパク質または誘導体は、好ましくは、腎吸収に対するカットオフ値である50kDよりも大きな分子量を有する。
他のアミノ酸配列は、宿主細胞から合成されると、(例えば、本発明のポリペプチドを発現させるのに使用する宿主細胞に応じて、本発明のポリペプチドのプレ体、プロ体、またはプレプロ体を提供するための)本発明のナノボディまたはポリペプチドを分泌させるシグナル配列またはリーダー配列を形成していてもよい。
また、他のアミノ酸配列は、特定の器官、組織、細胞、または細胞の部位もしくは区画にナノボディを導きおよび/または浸透もしくは侵入させ、および/または細胞膜、上皮細胞層等の細胞層、固形腫瘍等の腫瘍、または血液−脳−関門等の生物学的障壁に、ナノボディまたはポリペプチドを侵入または透過させる配列またはシグナルを形成していてもよい。該アミノ酸配列の好適な例は当業者には明白であり、例えば、上記「Peptrans」ベクター、Cardinaleらによって報告された配列、ならびに本発明のナノボディおよびポリペプチドを、いわゆる「細胞内抗体」として発現させ、または製造するために使用することができ、例えば、WO第94/02610号、WO第95/22618号、米国特許第6004940号、WO第03/014960号、WO第99/07414号、WO第05/01690号、欧州特許第1 512 696号、およびCattaneo, A. & Biocca, S. (1997) Intracellular Antibodies: Development and Applications. Landes and Springer- Verlag、およびKontermann, Methods 34, (2004), 163- 170、ならびにこれらに記載の別の参考文献に記載の、それ自体公知のアミノ酸配列および抗体断片が挙げられるがこれらに限定されない。
いくつかの用途、具体的には、(例えば、ガンの治療において)本発明のナノボディが標的とする標的を発現する細胞を殺し、または該細胞の成長および/または増殖を抑制し、もしくは遅らせることを目的とする用途のために、本発明のナノボディを、(細胞)毒性を有するタンパク質またはポリペプチドと結合させてもよい。例えば、本発明の細胞毒性ポリペプチドを提供するために、本発明のナノボディと結合させることができる該毒性タンパク質またはポリペプチドの例は当業者にとって明白であり、例えば、上記において引用されている先行技術文献および/または本明細書のさらなる記載より見い出すことができる。その一例は、WO第03/055527号に記載の、いわゆるADEPT(商標)手法である。
好ましいが非限定的な一実施態様によると、前記1つ以上の別のアミノ酸配列は、少なくとも2個、例えば3個、4個、5個またはそれ以上のナノボディを含み、前記ナノボディが、場合によっては1つ以上のリンカー配列(本明細書で定義)を介して結合している本発明のポリペプチドを提供するために、少なくとも1個の他のナノボディを含む。2個を超えたナノボディを含み、そのうち少なくとも1個が本発明のナノボディである本発明のポリペプチドは、本明細書で、本発明の「多価」ポリペプチドとも呼ばれ、該ポリペプチド中に存在するナノボディは、本明細書で「多価形態」にあるとも呼ばれる。例えば、本発明の「二価」ポリペプチドは、場合によってはリンカー配列を介して結合した2個のナノボディを含み、本発明の「三価」ポリペプチドは、場合によっては2つのリンカー配列を介して結合した3個のナノボディを含み、4価以上についても同様であり、ポリペプチド中に存在する少なくとも1個のナノボディ、およびポリペプチド中に存在する最大で全てのナノボディは、本発明のナノボディである。
本発明の多価ポリペプチドにおいて、2個を超えたナノボディは同一であっても異なっていてもよく、(例えば、同一の部分またはエピトープに対し、または異なる部分またはエピトープに対する)同一の抗原または抗原決定基に指向性を有するものであってもよく、あるいは異なる抗原または抗原決定基に指向性を有するものであってもよく、これらの任意の好適な組み合わせであってもよい。例えば、本発明の二価ポリペプチドは、(a)2個の同一のナノボディ、(b)タンパク質または抗原の第1の抗原決定基に指向性を有する第1のナノボディと、前記タンパク質または抗原の同一の抗原決定基に指向性を有する、第1のナノボディとは異なる第2のナノボディ、(c)タンパク質または抗原の第1の抗原決定基に指向性を有する第1のナノボディと、前記タンパク質または抗原の他の抗原決定基に指向性を有する第2のナノボディ、または(d)第1のタンパク質または抗原に指向性を有する第1のナノボディと、(前記第1の抗原と異なる)第2のタンパク質または抗原に指向性を有する第2のナノボディを含んでいてよい。同様に、本発明の三価ポリペプチドは、例えば、これらに限定されることなく、(a)3個の同一のナノボディ、(b)抗原の第1の抗原決定基に指向性を有する2個の同一のナノボディと、同一の抗原の別の抗原決定基に指向性を有する第3のナノボディ、(c)抗原の第1の抗原決定基に指向性を有する2個の同一のナノボディと、前記第1の抗原と異なる第2の抗原に指向性を有する第3のナノボディ、(d)第1の抗原の第1の抗原決定基に指向性を有する第1のナノボディと、前記第1の抗原の第2の抗原決定基に指向性を有する第2のナノボディと、前記第1の抗原と異なる第2の抗原に指向性を有する第3のナノボディ、または(e)第1の抗原に指向性を有する第1のナノボディと、前記第1の抗原と異なる第2の抗原に指向性を有する第2のナノボディと、前記第1および第2の抗原と異なる第3の抗原に指向性を有する第3のナノボディとを含んでいてよい。
好ましい実施態様では、本発明は、EFGRに対する2個の同一のナノボディを含み、または本質的にそれらからなる二価ポリペプチドを提供する。該二価ポリペプチドの非限定的な例を、配列番号122〜123に示す。別の好ましい実施態様では、本発明は、IGF−IRに対する2個の同一のナノボディを含み、または本質的にそれらからなる二価ポリペプチドを提供する。該二価ポリペプチドの非限定的な例を、配列番号134〜135に示す。
少なくとも2個のナノボディを含み、少なくとも1個のナノボディが第1の抗原に対して(すなわち、EGFRまたはIGF−IRそれぞれに対して)指向性を有し、少なくとも1個のナノボディが第2の抗原に指向性を有する(EGFRまたはIGF−IRそれぞれとは異なる)本発明のポリペプチドは、本発明の「多重特異性」ポリペプチドとも呼ばれ、該ポリペプチド中に存在するナノボディは、本明細書において「多価形態」にあるとも呼ばれる。このように、例えば、本発明の「二特異性」ポリペプチドは、第1の抗原(すなわち、EGFRまたはIGF−IRそれぞれ)に指向性を有する少なくとも1個のナノボディと、(EGFRまたはIGF−IRそれぞれと異なる)第2の抗原に指向性を有する少なくとも1個の別のナノボディとを含むポリペプチドであり、本発明の「三特異性」ポリペプチドは、第1の抗原(EGFRまたはIGF−IRそれぞれ)に指向性を有する少なくとも1個のナノボディと、(EGFRまたはIGF−IRそれぞれと異なる)第2の抗原に指向性を有する少なくとも1個の別のナノボディと、(EGFRまたはIGF−IRそれぞれ、および第2の抗原と異なる)第3の抗原に指向性を有する少なくとも1個の他のナノボディとを含むポリペプチドであり、その他の場合についても同様である。
したがって、最も単純な形態において、本発明の二特異性ポリペプチドは、EGFRまたはIGF−IRをそれぞれ標的とする第1のナノボディと、第2の抗原に指向性を有する第2のナノボディとを含み、前記第1および第2のナノボディが、リンカー配列(本明細書で定義)を介して場合によっては結合してもよい本発明の二価ポリペプチド(本明細書で定義)であり、本発明の三価ポリペプチドは、最も単純な形態において、EGFRまたはIGF−IRそれぞれに指向性を有する第1のナノボディと、第2の抗原に指向性を有する第2のナノボディと、第3の抗原に指向性を有する第3のナノボディとを含み、前記第1、第2、および第3のナノボディが、1個以上の、具体的には2個のリンカー配列を介して、場合によっては結合していてもよい本発明の三特異性ポリペプチド(本明細書で定義)である。
しかし、上記記載より明白であるように、本発明の多重特異性ポリペプチドが、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対する少なくとも1個のナノボディ、およびEGFRまたはIGF−IRのそれぞれと異なる1個以上の抗原に指向性を有する任意の数のナノボディを含んでいてもよいという意味において、本発明はこれらに限定されない。
具体的であるが非限定的な一実施態様によると、本明細書に記載のポリペプチドは、1個以上の好適なリンカーを使用して場合によっては結合された、少なくとも1個のEGFRに対するナノボディと、少なくとも1個のIGF−IRに対するナノボディとを含んでいる。該二特異性ナノボディコンストラクトにおいて、IGF−IRに対する本明細書に記載のナノボディおよびポリペプチドは、WO第05/044858号およびWO第04/041867号記載の1個以上のEGFRに対するナノボディおよびポリペプチド、および/または本明細書に記載の1個以上のEGFRに対するナノボディおよびポリペプチドと結合していてもよい。該二特異性ナノボディコンストラクトの非限定的な例としては、配列番号136〜140が挙げられる。
2個の結合部位を含み、それぞれの結合部位が腫瘍関連抗原(腫瘍細胞上で発現する抗原で、「腫瘍マーカー」とも呼ばれる)に特異的である二特異性ポリペプチドは、腫瘍のターゲッティングにおいて非常に有利である。該二特異性ポリペプチドは、2個の腫瘍関連抗原を同時に標的にすることができ、その結果、腫瘍特異性が増大する。殆どの腫瘍関連抗原は、真に腫瘍特異的ではなく、(殆どの場合低レベルではあるが)通常の組織または細胞においても見られることが知られている。したがって、1つのみの腫瘍マーカーに対する単特異的結合部位、ナノボディまたはポリペプチドは、それらの正常組織または細胞も認識する結果として、非特異的に細胞を捕捉し、または殺してしまう。1つ以上の腫瘍細胞上の2つを超えたマーカーに特異性を有するポリペプチドは、はるかに高い腫瘍特異性を有し、より特異的な結合をもたらす。したがって、それらは、同時に複数の受容体の活性化および下流の信号伝達を阻害し、より優れた腫瘍細胞の増殖の阻害、捕捉および殺傷をもたらす。
したがって、本発明は、少なくとも2つの結合部位を含み、またはほぼこれらからなり、前記少なくとも2つの結合部位は、それぞれ、腫瘍関連抗原またはエピトープに指向性を有する二特異性または多重特異性ポリペプチドにも関する。ある実施態様では、それぞれの結合部位は、同一の腫瘍関連抗原上の異なるエピトープに指向性を有するものである(二重パラトープ結合部位とも呼ばれる)。別の実施態様では、それぞれの結合部位は、異なる腫瘍関連抗原に指向性を有するものである。それぞれの結合部位は、単一のまたは隣接する腫瘍細胞上の異なる腫瘍関連抗原に指向性を有するものであってよい。好ましい実施態様では、前記少なくとも2つの結合部位は、それらの個々の腫瘍関連抗原またはエピトープに対し、低い、または中程度の親和性を有し、したがって、腫瘍関連抗原の1個を発現する正常組織または細胞上には、わずかしか保持されない。しかし、それらの少なくとも2つの結合部位は、好ましくは、二特異性または多重特異性ポリペプチドによって認識される両方の抗原を発現する腫瘍細胞を標的とする(高い結合性を有する)。
本発明による結合部位は、少なくとも1個の抗原に対して既知の結合親和性を有する部位を含む任意のペプチドまたはヌクレオチドであってよい。結合部位は、タンパク質、ポリペプチド、(抗体断片等の)タンパク質断片、または任意のタンパク質の1つもしくは複数のサブユニットであってよい。結合部位の典型例は、酵素、受容体または輸送タンパク質である。また、結合部位は、アルブミンまたは抗体等のキャリアタンパク質であってもよい。結合部位は、DNAまたはRNAの配列であってもよく、またはこれらを含んでいてもよい。
好ましい実施態様では、本発明の二特異性または多重特異性ポリペプチドの1つ以上の結合部位は、15kDa未満のポリペプチドである。さらにより好ましい実施態様では、本発明の二特異性または多重特異性ポリペプチドの1つ以上の結合部位は、VH、VHH、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体、「dAb」、またはナノボディである。最も好ましい実施態様では、本発明の二特異性または多重特異性ポリペプチドの結合部位は、ナノボディである。
例えば、EGFRファミリーの種々の構成要素(EGFR、HER2、HER3、HER4)が、乳ガン、大腸ガン、卵巣ガン、肺ガン、および頭頸部ガンにおける腫瘍上に過剰発現している。これらの腫瘍関連抗原の2個、または1個もしくは複数のこれらの腫瘍関連抗原上の異なるエピトープをを同時にターゲッティングすることにより、はるかに高選択的および/または増大したターゲッティングが得られる。
したがって、好ましい実施態様では、本発明は、EGFRに指向性を有するナノボディと、EGFRファミリーの別の構成要素に指向性を有するナノボディとを含み、または本質的にこれらからなる二特異性ポリペプチドも提供する。本発明のポリペプチドは、EGFRに指向性を有するナノボディと、HER2に指向性を有するナノボディとを含み、または本質的にこれらからなっていてもよい。別の実施態様では、本発明のポリペプチドは、EGFRに指向性を有するナノボディと、HER3に指向性を有するナノボディとを含み、または本質的にこれらからなっていてもよい。別の実施態様では、本発明のポリペプチドは、EGFRに指向性を有するナノボディと、HER4に指向性を有するナノボディとを含み、または本質的にこれらからなっていてもよい。さらなる実施態様では、本発明のポリペプチドは、HER2に指向性を有するナノボディと、EGFRの別の構成要素に指向性を有するナノボディとを含み、または本質的にこれらからなっていてもよい。本発明のポリペプチドは、HER2に指向性を有するナノボディと、HER3に指向性を有するナノボディとを含み、または本質的にこれらからなっていてもよい。別の実施態様では、本発明のポリペプチドは、HER2に指向性を有するナノボディと、HER4に指向性を有するナノボディとを含み、または本質的にこれらからなっていてもよい。別のさらなる実施態様では、ポリペプチドは、HER3に指向性を有するナノボディと、EGFRの別の構成要素に指向性を有するナノボディとを含み、または本質的にこれらからなっていてもよい。本発明のポリペプチドは、HER3に指向性を有するナノボディと、HER4に指向性を有するナノボディとを含み、または本質的にこれらからなっていてもよい。
別の好ましい実施態様では、本発明は、EGFRのある特異的エピトープに指向性を有するナノボディと、EGFRの他の特異的エピトープに指向性を有するナノボディとを含み、またはほぼこれらからなる二特異性ポリペプチドを提供する。該二特異性/二重パラトープ性ポリペプチドの非限定的な例は、配列番号141〜143である。
別の非限定的な例は、多発性骨髄腫細胞上に発現したCD138およびCD38腫瘍マーカーである。CD138およびCD38の同時ターゲッティングにより、それらの多発性骨髄腫細胞に対しはるかに選択的なターゲッティングが得られる。
本発明の二特異性または多重特異性ポリペプチドを介して同時ターゲッティングを行うことができる腫瘍マーカーとしては、EGFR、IGF−IR、HER2、HER3、HER4、CEA、VEGF、CD38、およびCD138が挙げられるがこれらに限定されない。
別の好ましい実施態様では、本発明は、少なくとも3つの結合部位を有し、またはほぼこれらからなり、前記少なくとも3つの結合部位のうち2つは腫瘍関連抗原またはエピトープを対象とし、他の結合部位は他の標的または抗原に指向性を有する、三特異性または多重特異性ポリペプチドに関する。好ましくは、この標的または抗原は、ポリペプチドのインビボにおける半減期(本明細書で定義)を増大させる分子、またはCD3、Fc受容体、もしくは補体タンパク質等のエフェクター効果を有する分子である。ある実施態様では、腫瘍関連抗原またはエピトープに指向性を有する2つの結合部位は、同一の腫瘍関連抗原上の異なるエピトープに指向性を有する(二重パラトープ結合部位とも呼ばれる)。別の実施態様では、腫瘍関連抗原またはエピトープに指向性を有する2つの結合部位は、異なる腫瘍関連抗原に指向性を有する。これらの結合部位は、それぞれ、単一または隣接する腫瘍細胞上の異なる腫瘍関連抗原に指向性を有するものであってよい。
好ましい実施態様では、本発明の三特異性または多重特異性ポリペプチド上の1つ以上の結合部位は、15kDa未満のポリペプチドである。さらにより好ましい実施態様では、本発明の三特異性または多重特異性ポリペプチドの1つ以上の結合部位は、VH、VHH、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体、「dAb」、またはナノボディである。最も好ましい実施態様では、本発明の三特異性または多重特異性ポリペプチドの結合部位は、ナノボディである。
ある実施態様では、本発明は、EGFRに対するナノボディと、IGF−IRに対するナノボディと、ヒト血清アルブミンに対するナノボディとを含み、またはほぼこれらからなる、非限定的な例である配列番号138〜140等の三特異性ポリペプチドを提供する。別の実施態様では、本発明は、EGFR上の特異的エピトープに対するナノボディと、EGFR上の他の特異的エピトープに対するナノボディと、ヒト血清アルブミンに対するナノボディとを含み、またはほぼこれらからなる、非限定的な例である配列番号142〜143等の三特異性ポリペプチドを提供する。
さらに、本発明のポリペプチド中における種々のナノボディの特定の順序または配置が、最終的に得られる本発明のポリペプチド性質(EGFRもしくはIGF−IRそれぞれ、または1個もしくは複数の他の抗原に対する親和性、特異性、または結合性が挙げられるがこれらに限定されない)に何らかの影響を及ぼしうる点は、本発明の範囲内に包含されるが、通常、前記順序または配置は決定的なものではなく、当業者により、場合によっては本明細書の開示に基づきわずかな通常の実験を行った後に好適に選択することができる。したがって、特定の本発明の多価または多重特異性ポリペプチドが参照される場合、明示的にそうでない旨が示されない限り、これは関連するナノボディの任意の順序または配置を包含するものであることに注意しなければならない。
また、少なくとも2個のナノボディを含み、またはほぼこれらからなり、前記少なくとも2個のナノボディのうち一方は、もう一方のナノボディがその抗原に結合すると、その抗原に対する親和性が増大または減少する二特異性または多重特異性ポリペプチドも、本発明の範囲内に包含される。該結合は、「条件付き二特異性または多重特異性結合」と呼ばれる。該二特異性または多重特異性ポリペプチドは、「本発明の条件付き二特異性または多重特異性ポリペプチド」とも呼ばれる。
前記少なくとも2個のナノボディのうち第1のものによる抗原への結合は、前記少なくとも2個のナノボディのうち第2のものによる抗原への結合を調節、例えば、促進、低減、または阻害することができる。ある実施態様では、前記少なくとも2個のナノボディのうち第1のものによる抗原への結合は、前記少なくとも2個のナノボディのうち第2のものによる抗原への結合を刺激する。別の実施態様では、前記少なくとも2個のナノボディのうち第1のものによる抗原への結合は、前記少なくとも2個のナノボディのうち第2のものによる抗原への結合を少なくとも部分的に阻害する。別の実施態様では、前記少なくとも2個のナノボディのうち第1のものによる抗原への結合は、前記少なくとも2個のナノボディのうち第2のものによる抗原への結合を阻害する。該実施態様では、本発明のポリペプチドは、例えば、ポリペプチドの半減期を増大させるタンパク質との結合を介して、その第2の標的抗原と結合した状態となり、半減期を増大させるタンパク質から解離するまで、宿主生物の体内においてインビボで維持されてもよい。
上記の状況における結合の調節は、ナノボディの抗原結合部位の構造が互いに近接している結果として達成される。該構造上の近接性は、例えば、抗原結合部位を近接した位置に保持する、比較的硬い構造を有するリンカーを導入することにより2つ以上の抗原結合部位を結合する構造成分の性質によって達成することができる。有利には、2つ以上の抗原結合部位が、立体障害および/またはポリペプチド内部のコンホメーション変化を含む過程によって、一方の部位が他方の部位における抗原との結合を調節することができるように、物理的に互いに近接している。
したがって、ある態様において、本発明は、下記の工程を含む、本発明の条件付き結合性二特異性または多重特異性ポリペプチドを製造する方法にも関する:
a)第1のエピトープに対する結合能により第1のナノボディを選択する工程、
b)第2のエピトープに対する結合能により第2のナノボディを選択する工程、
c)場合によってはリンカー配列を介して、ナノボディを結合させる工程、および
d)前記第1のエピトープおよび前記第2のエピトープに対する結合能により、本発明の条件付き結合性二特異性または多重特異性ポリペプチドを選択する工程。
a)第1のエピトープに対する結合能により第1のナノボディを選択する工程、
b)第2のエピトープに対する結合能により第2のナノボディを選択する工程、
c)場合によってはリンカー配列を介して、ナノボディを結合させる工程、および
d)前記第1のエピトープおよび前記第2のエピトープに対する結合能により、本発明の条件付き結合性二特異性または多重特異性ポリペプチドを選択する工程。
ある実施態様では、本発明の条件付き結合性二特異性または多重特異性ポリペプチドは、前記第1のエピトープおよび前記第2のエピトープに対する結合能により選択でき、前記エピトープの一方への結合が、別のエピトープへの結合を増大させる。有利には、結合は25%以上、有利には、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上、好ましくは100%以上増大する。
別の実施態様では、本発明の条件付き結合性二特異性または多重特異性ポリペプチドは、前記第1のエピトープおよび前記第2のエピトープに対する結合能により選択されてもよく、前記エピトープの一方への結合が、他のエピトープへの結合を低減させる。本実施態様の好ましい態様において、本発明の条件付き結合性二特異性または多重特異性ポリペプチドは、前記第1のエピトープおよび前記第2のエピトープに対する結合能により選択され、前記第1および第2のエピトープの両者に同時に結合することはできない。この場合において、第1および第2のナノボディは、エピトープへの結合について拮抗する。有利には、結合は25%以上、有利には、40%、50%、60%、70%、80%、90%以上、好ましくは、結合が完全に阻害されるように、最大100%、またはそれに近い値まで低減させられる。エピトープへの結合は、ELISA等の従来の抗原結合アッセイにより、FRET等の蛍光を用いた手法により、または分子の質量を測定する表面プラズモン共鳴等の手法により測定することができる。
上記方法のさらなる実施態様では、第3のさらなるエピトープへの結合能により第3のさらなるナノボディを選択するさらなる工程が提供される。このようにして、製造する多重特異性ポリペプチドは、2個を越えるナノボディを含んでいる。本発明の本態様において、少なくとも2個の前記ナノボディは、条件付き二特異性結合(前記少なくとも2個のナノボディのうち第1のものによる抗原への結合が、前記少なくとも2個のナノボディのうち第2のものによる抗原への結合を調節、例えば、増大、低減、または阻害すること)をもたらす。他の1個以上のナノボディも、条件付き結合(条件付き多重特異性結合とも呼ばれる)をもたらし、または自由にそのエピトープと独立して結合することができる。
好ましい実施態様では、二特異性条件付き結合性ポリペプチドは、標的分子と結合する第1のナノボディと、ポリペプチドの半減期を増大させる分子または基(該分子または基の例は、以下において説明する)と結合する第2のナノボディとを含んでいてよい。ある実施態様では、第1のナノボディは、半減期を増大させる分子または基が第2のナノボディに結合した場合にのみ標的分子と結合することができる。別の実施態様では、第1のナノボディは、半減期を増大させる分子または基が第2のナノボディから脱離した場合にのみ標的分子と結合することができる。したがって、二特異性条件付き結合性ポリペプチドは、HSA等の嵩高い分子によって、被験体の血流中を循環し続ける。標的分子と接近した場合、二特異性条件付き結合性ポリペプチドの結合部位との間の拮抗の結果、HSAの解離および標的との結合が起こる。
最後に、本発明のポリペプチドが2個以上のナノボディと、1つ以上の他のアミノ酸配列(本明細書で記述)を含んでいることも本発明の範囲内に包含される。
1つ以上のVHHドメインを含む多価および多重特異性ポリペプチドならびにそれの製剤については、Conrathら、J. Biol. Chem., Vol. 276, 10. 7346-7350, 2001、ならびに、例えば、WO第96/34103号およびWO第99/23221号も参照されたい。いくつかの具体的な本発明の多重特異性および/または多価ポリペプチドのいくつかの別の例は、本明細書に記載した本出願人による出願に見出すことができる。
本発明の多重特異性ポリペプチドの好ましいが非限定的な一例は、少なくとも1個の本発明のナノボディと、半減期の増大をもたらす少なくとも1個のナノボディとを含んでいる。該ナノボディの好ましいが非限定的ないくつかの例としては、ヒト血清アルブミン、チロキシン結合タンパク質、(ヒト)トランスフェリン、フィブリノゲン、IgG、IgEもしくはIgM等の免疫グロブリン、またはWO第04/003019号に列挙された別の血清タンパク質の1個等の血清タンパク質に対するナノボディが挙げられる。
例えば、マウスにおける実験のためには、マウス血清アルブミン(MSA)に指向性を有するナノボディを用いることができ、医薬用途のためには、ヒト血清アルブミンに指向性を有するナノボディを用いることができる。
本発明の別の実施態様は、前記少なくとも1個の(ヒト)血清タンパク質が、任意の(ヒト)血清アルブミン、(ヒト)血清免疫グロブリン、(ヒト)チロキシン結合タンパク質、(ヒト)トランスフェリン、(ヒト)フィブリノゲン等である、本明細書に記載のポリペプチドコンストラクトである。
具体的であるが非限定的な本発明の態様によると、本発明のポリペプチドは、1個以上の本発明のナノボディ以外に、少なくとも1個のヒト血清アルブミンに対するナノボディを含んでいる。これらのヒト血清アルブミンに対するナノボディは、上で引用した本出願人による申請書(例えば、WO第04/062551号を参照)に一般的に記載されたものであってよいが、特に好ましいが非限定的な実施態様によると、前記ヒト血清アルブミンに対するナノボディは、4個のフレームワーク領域(それぞれFR1〜FR4)と、3個の相補性決定領域(それぞれCDR1〜CDR3)とを含み、
i)CDR1は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
SFGMS [配列番号15]
LNLMG [配列番号16]
INLLG [配列番号17]
NYWMY [配列番号18]
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(1)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書に定義)で
あり;および/または
(2)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および:
ii)CDR2は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
SISGSGSDTLYADSVKG [配列番号19]
TITVGDSTNYADSVKG [配列番号20]
TITVGDSTSYADSVKG [配列番号21]
SINGRGDDTRYADSVKG [配列番号22]
AISADSSTKNYADSVKG [配列番号23]
AISADSSDKRYADSVKG [配列番号24]
RISTGGGYSYYADSVKG [配列番号25]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(1)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(2)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(1)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(2)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および/または:
iii)CDR3は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
DREAQVDTLDFDY [配列番号26]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(1)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(2)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(1)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(2)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
または以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
GGSLSR [配列番号27]
RRTWHSEL [配列番号28]
GRSVSRS [配列番号29]
GRGSP [配列番号30]
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(1)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(2)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まない。
i)CDR1は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
SFGMS [配列番号15]
LNLMG [配列番号16]
INLLG [配列番号17]
NYWMY [配列番号18]
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(1)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書に定義)で
あり;および/または
(2)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および:
ii)CDR2は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
SISGSGSDTLYADSVKG [配列番号19]
TITVGDSTNYADSVKG [配列番号20]
TITVGDSTSYADSVKG [配列番号21]
SINGRGDDTRYADSVKG [配列番号22]
AISADSSTKNYADSVKG [配列番号23]
AISADSSDKRYADSVKG [配列番号24]
RISTGGGYSYYADSVKG [配列番号25]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(1)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(2)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(1)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(2)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および/または:
iii)CDR3は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
DREAQVDTLDFDY [配列番号26]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(1)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(2)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(1)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(2)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
または以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
GGSLSR [配列番号27]
RRTWHSEL [配列番号28]
GRSVSRS [配列番号29]
GRGSP [配列番号30]
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(1)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(2)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まない。
別の態様において、本発明は、4つのフレームワーク領域(それぞれFR1〜FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1〜CDR3)とを含み、下記のそれぞれCDR1、CDR2、およびCDR3の組み合わせのうち1つを有するナノボディからなる群から選択されるヒト血清アルブミンに対するナノボディに関する:
‐CDR1:SFGMS;CDR2:SISGSGSDTLYADSVKG;CDR3:GGSLSR;
‐CDR1:LNLMG;CDR2:TITVGDSTNYADSVKG;CDR3:RRTWHSEL;
‐CDR1:INLLG;CDR2:TITVGDSTSYADSVKG;CDR3:RRTWHSEL;
‐CDR1:SFGMS;CDR2:SINGRGDDTRYADSVKG;CDR3:GRSVSRS;
‐CDR1:SFGMS;CDR2:AISADSSDKRYADSVKG;CDR3:GRGSP;
‐CDR1:SFGMS;CDR2:AISADSSDKRYADSVKG;CDR3:GRGSP;
‐CDR1:NYWMY;CDR2:RISTGGGYSYYADSVKG;CDR3:DREAQVDTLDFDY。
‐CDR1:SFGMS;CDR2:SISGSGSDTLYADSVKG;CDR3:GGSLSR;
‐CDR1:LNLMG;CDR2:TITVGDSTNYADSVKG;CDR3:RRTWHSEL;
‐CDR1:INLLG;CDR2:TITVGDSTSYADSVKG;CDR3:RRTWHSEL;
‐CDR1:SFGMS;CDR2:SINGRGDDTRYADSVKG;CDR3:GRSVSRS;
‐CDR1:SFGMS;CDR2:AISADSSDKRYADSVKG;CDR3:GRGSP;
‐CDR1:SFGMS;CDR2:AISADSSDKRYADSVKG;CDR3:GRGSP;
‐CDR1:NYWMY;CDR2:RISTGGGYSYYADSVKG;CDR3:DREAQVDTLDFDY。
上記CDRの組み合わせを含む本発明のナノボディにおいて、それぞれのCDRは、上記CDRと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるCDRにより置換可能であり;
(1)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(2)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるCDRにより置換可能であり;
(1)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(2)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まない。
(1)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(2)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるCDRにより置換可能であり;
(1)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)で
あり;および/または
(2)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ
酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まない。
しかし、上記CDRの組み合わせを含む本発明のナノボディのうち、上に列挙した1個以上のCDRを含むナノボディが特に好ましく;上に列挙した2つ以上のCDRを含むナノボディが特により好ましく;上に列挙した3つのCDRを含むナノボディが特に最も好ましい。
これらのヒト血清アルブミンに対するナノボディにおいて、フレームワーク領域FR1〜FR4は、好ましくは、本発明のナノボディについて上で定義するとおりである。
本発明のポリペプチドに使用することができるヒト血清アルブミンに対して指向性を有するナノボディの好ましいが非限定的ないくつかの例は、以下の表A−9に列挙する。ALB−8は、ヒト化されたALB−1である。
表A−9:アルブミン結合性ナノボディの好ましいが非限定的な例
一般に、半減期の増大した任意の本発明の誘導体および/またはポリペプチド(例えば、全て本明細書に記載されたとおりである、PEG化された本発明のナノボディまたはポリペプチド、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対する多重特異性ナノボディ、Fc領域に融合した(ヒト)血清アルブミンまたはナノボディ)は、対応する本発明のナノボディの少なくとも1.5倍、好ましくは少なくとも2倍、例えば、少なくとも5倍、例えば、少なくとも10倍または20倍よりも大きな半減期を有する。
また、半減期の増大した任意の本発明の誘導体またはポリペプチドは、好ましくは、1時間よりも長い、好ましくは2時間よりも長い、より好ましくは6時間よりも長い、例えば、12時間よりも長い、例えば約1日、2日、1週間、2週間または3週間、および好ましくは2ヶ月以上半減期を有するが、後者は決定的に重要であるとは限らない。
半減期は、一般に、インビボにおいて、例えば、リガンドの分解および/または天然のメカニズムによるリガンドの排出もしくは捕捉により、ポリペプチドの血清濃度が50%に減少するのに要する時間として定義される。薬物動態解析および半減期の決定は、当業者によく知られている。詳細については、Kenneth, Aら、Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook for PharmacistsおよびPetersら、Pharmacokinete analysis: A Practical Approach (1996)に記載されている。「Pharmacokinetics」, M GibaldiおよびD Perron, Marcel Dekker社刊, 第2増補版(1982)も参照されたい。
本発明の一態様によると、ポリペプチドは、インビボにおいてポリペプチドの半減期を増大させる1個以上の分子と結合することができる。
本発明のポリペプチドは、インビボにおいて安定化され、それらの半減期は、分解耐性および/または排出耐性もしくは捕捉耐性のある分子への結合により増大する。通常、該分子は、それ自体がインビボにおいて長い半減期を有する天然に存在するタンパク質である。
本発明の多重特異性ポリペプチドの別の好ましいが非限定的な例は、少なくとも1個の本発明のナノボディ、および本発明のポリペプチドを特定の器官、組織、細胞、または細胞の部位もしくは区画に向け、および/または本発明のポリペプチドを特定の器官、組織、細胞、または細胞の部位もしくは区画に浸透もしくは侵入させ、および/またはナノボディを細胞膜、上皮細胞層等の細胞層、固形腫瘍等の腫瘍、または血液−脳−関門等の生物学的障壁に侵入させ、またはそれらを通過させる、少なくとも1個のナノボディを含んでいる。該ナノボディの例としては、所望の臓器、組織または細胞(例えば、腫瘍細胞に関連する細胞表面マーカー)に特有の細胞表面タンパク質、マーカーまたはエピトープ、およびWO第02/057445号に記載の単一ドメインの脳に指向性を有する抗体断片に指向性あるナノボディが挙げられ、そのうち、FC44(配列番号35)およびFC5(配列番号36)が好ましい例である。
表A−10:FC44およびFC5の配列リスト
本発明のポリペプチドにおいて、1個以上のナノボディ、および1個以上の別のポリペプチドが、(例えば、WO第99/23221号に記載のように)互いに直接結合していてもよく、および/または1個以上の好適なスペーサーもしくはリンカー、またはこれらの任意の組み合わせを介して結合していてもよい。
多価および多重特異性ポリペプチドにおいて使用するために好適なスペーサーまたはリンカーは当業者にとって明白であり、一般に、アミノ酸配列を結合させる当該技術分野で使用する任意のリンカーまたはスペーサーであってよい。好ましくは、前記リンカーまたはスペーサーは、医薬用途を意図するタンパク質またはポリペプチドを構築するための使用に好適である。
いくつかの特に好ましいスペーサーとしては、抗体断片または抗体ドメインを結合させる当該技術分野で使用するスペーサーおよびリンカーが挙げられる。これらは、上で引用した一般的な背景技術文献に記載したリンカーと共に、例えば、ダイアボディーまたはscFv断片を構築するため当該技術分野で使用するリンカーを含む(しかし、この点で、ダイアボディーおよびscFv断片において、使用するリンカー配列は、関連するVHおよびVLドメインが一体となって、完全な抗原結合部位を形成することができるような長さ、柔軟性の程度、および別の性質を有している必要があるが、それぞれのナノボディは、それ自体が完全な抗原結合部位を形成するため、本発明のポリペプチドにおいて使用するリンカーの長さまたは柔軟性に関しては特に制限が存在しない点に留意されたい)。
例えば、リンカーは、好適なアミノ酸配列、具体的には1〜50、好ましくは1〜30、例えば1〜10アミノ酸残基のアミノ酸配列であってよい。該アミノ酸配列のいくつかの好ましい例としては、(WO第99/42077号に記載の(gly4ser)3または(gly3ser2)3)等の例えば、(glyxsery)z型のgly−serリンカー、天然に存在する重鎖抗体のヒンジ領域等のヒンジ類似領域、または(94/04678号に記載のもの等の)同様の配列が挙げられる。
いくつかの別の特に好ましいリンカーは、ポリアラニン(AAA等)、および表A−11に記載したリンカーであり、それらのうち、AAA、GS−7およびGS−9が特に好ましい。
表A−11:リンカーの配列リスト
別の好適なリンカーは、一般に有機化合物またはポリマー、具体的には医薬用のタンパク質に使用するのに好適な有機化合物またはポリマーを含んでいる。例えば、ポリ(エチレングリコール)残基が、抗体ドメインを結合させるために使用されており、例えば、WO第04/081026号を参照されたい。
使用するリンカーの長さ、柔軟性の程度および/または別の性質(scFv断片に使用するリンカーにおいて通常そうである程、決定的に重要ではないが)は、EGFRもしくはIGF−IRのそれぞれ、または1個以上の別の抗原に対する親和性、特異性、または結合性を含むがこれらに限定されない、最終的に得られる本発明のポリペプチドの性質に何らかの影響を及ぼしうる点は、本発明の範囲内に包含される。本明細書での開示に基づき、場合によっては限定された通常実験をいくつか実施した後に、当業者であれば、本発明の特定のポリペプチドに使用するために好適なリンカーを決定できるであろう。
例えば、(多量体受容体または別のタンパク質等の)多量体抗原に指向性を有するナノボディを含む本発明の多価のポリペプチドにおいて、リンカーは、好ましくは、ポリペプチド中に存在する本発明のそれぞれのナノボディを、多量体のそれぞれのサブユニット上に存在する抗原決定基に結合することができるような長さおよび柔軟性を有している。同様に、同一の抗原上の2個以上の異なる抗原決定基に指向性を有する(例えば、抗原の異なるエピトープを対象とし、および/または多量体受容体、チャネルもしくはタンパク質の異なるサブユニットに指向性を有する)ナノボディを含む本発明の多重特異性ポリペプチドにおいて、リンカーは、好ましくは、それぞれのナノボディを、目的の抗原決定基に結合させるような長さおよび柔軟性を有している。この場合においても、本明細書での開示に基づき、場合によっては限定された通常実験をいくつか実施した後に、当業者であれば、本発明の特定のポリペプチドに使用するために好適なリンカーを決定できるであろう。
使用するリンカーが、本発明のポリペプチドに、1つ以上の別の望ましい性質または機能を付与し、および/または(本発明のナノボディの誘導体について本明細書に記載の)誘導体の形成および/または官能基の結合のための1つ以上の部位をもたらすことも、本発明の範囲内に包含される。例えば、1つ以上の電荷を有するアミノ酸(上記の表A−2を参照されたい)を含むリンカーは、優れた親水性をもたらすが、低分子量のエピトープまたはタグを形成し、または含んでいるリンカーは、検出、同定および/または精製の目的のために使用することができる。この場合においても、本明細書での開示に基づき、場合によっては限定された通常実験をいくつか実施した後に、当業者であれば、本発明の特定のポリペプチドに使用するために好適なリンカーを決定することができるであろう。
最後に、本発明のポリペプチドにおいて2つを超えたリンカーを使用する場合、これらのリンカーは同一であっても異なっていてもよい。この場合においても、本明細書での開示に基づき、場合によっては限定された通常実験をいくつか実施した後に、当業者であれば、本発明の特定のポリペプチドに使用するために好適なリンカーを決定することができるであろう。
通常、発現および産生を容易にするため、本発明のポリペプチドは直鎖ポリペプチドである。しかし、本発明は、最も広義にはこれらに限定されない。例えば、本発明のポリペプチドが3個を超えたナノボディを含む場合、「星型」のコンストラクトを得るために、各「アーム」がナノボディに結合する3本を超えた「アーム」を有するリンカーを使用することによってこれらを結合させることも可能である。通常あまり好ましくないが、環状のコンストラクトを使用することも可能である。
また、本発明には、本発明のポリペプチドの誘導体が含まれ、これは本発明の、つまり本明細書に記載のナノボディの誘導体に本質的に類似していてよい。
また、本発明には、本発明のポリペプチドから「本質的になる」タンパク質またはポリペプチドが含まれる(「本質的に〜からなる」という用語は、上で示したのと本質的に同じ意味を有する)。
本発明の一実施態様によると、本発明のポリペプチドは、本明細書に定義するように、本質的に単離された形にある。
本発明のナノボディ、ポリペプチドおよび核酸は、それ自体公知であり、本明細書の以下の記載より当業者にとって明白である方法で調製することができる。例えば、本発明のナノボディおよびポリペプチドは、抗体の生成、具体的には抗体断片((単一)ドメイン抗体およびscFv断片が挙げられるがこれらに限定されない)の生成のためのそれ自体公知の任意の方法を用いて調製することができる。ナノボディ、ポリペプチドおよび核酸を製造するための、好ましいが非限定的ないくつかの方法としては、本明細書に記載の方法および手法が挙げられる。
当業者にとって明白であるように、本発明のナノボディおよび/またはポリペプチドの生成に特に有用な1つの方法は、通常、以下の工程を含んでいる:
・適切な宿主細胞または宿主生物(「本発明の宿主」と本明細書でもいう)において、または本発明の前記ナノボディまたはポリペプチドをコードする核酸(「本発明の核酸」と本明細書でもいう)を発現するのに適切な別の発現系において、発現する工程:場合によっては、その後:
・このようにして得られる本発明のナノボディまたはポリペプチドを単離および/または精製する工程
具体的には、該方法は、以下の工程を含んでいてよい:
・本発明の宿主が少なくとも1種類の本発明のナノボディおよび/またはポリペプチドを発現および/または産生するような条件下で、本発明の宿主を培養および/または維持する工程;場合によっては、その後:
・このようにして得られる本発明のナノボディまたはポリペプチドを単離および/または精製する工程。
・適切な宿主細胞または宿主生物(「本発明の宿主」と本明細書でもいう)において、または本発明の前記ナノボディまたはポリペプチドをコードする核酸(「本発明の核酸」と本明細書でもいう)を発現するのに適切な別の発現系において、発現する工程:場合によっては、その後:
・このようにして得られる本発明のナノボディまたはポリペプチドを単離および/または精製する工程
具体的には、該方法は、以下の工程を含んでいてよい:
・本発明の宿主が少なくとも1種類の本発明のナノボディおよび/またはポリペプチドを発現および/または産生するような条件下で、本発明の宿主を培養および/または維持する工程;場合によっては、その後:
・このようにして得られる本発明のナノボディまたはポリペプチドを単離および/または精製する工程。
本発明の核酸は、一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAの形態を取ることができ、好ましくは二本鎖DNAの形態を取る。例えば、本発明のヌクレオチド配列はゲノムDNA、cDNAまたは合成DNA(目的とする宿主細胞または宿主生物での発現に特異的に適合するコドンを使用したDNA等)であってよい。
本発明の一実施態様によると、本発明の核酸は、本明細書に記載のように、本質的に単離した形態にある。
本発明の核酸は、例えば、プラスミド、コスミド、またはYAC等のベクターの一部の形態をとり、その一部で存在し、および/またはその一部であってもよく、同様に本質的に単離した形態を取ることができる。
本発明の核酸は、本明細書に記載の本発明のポリペプチドのアミノ酸配列に関する情報に基づいて、それ自体公知の方法により調製し、または得ることができ、および/または適切な天然資源より単離することができる。アナローグを得るためには、天然に存在するVHH領域をコードするヌクレオチド配列に、例えば、部位特異的な突然変異誘発を起こさせ、前記アナローグをコードする本発明の核酸を得ることができる。また、当業者にとって明白であるように、本発明の核酸を調製するために、例えば、ナノボディをコードする少なくとも1個のヌクレオチド配列、および例えば、1種類以上のリンカーをコードする核酸等のいくつかのヌクレオチド配列は適切な方法で結合していることができる。
本発明の核酸を生成するための手法は、当業者にとって明白であり、例えば、自動DNA合成、部位特異的突然変異誘発、2つを超えた天然および/または合成配列(またはこれらのうち2つを超えた部分)の結合、切断された遺伝子産物を発現させる変異の導入、(例えば、適切な制限酵素を用いて容易に消化および/または切断することができるカセットおよび/または部位を生成するための)1つ以上の制限部位の導入、および/または1つ以上の「ミスマッチ」プライマーを使用し、天然に存在するGPCRの配列をテンプレートとして使用するPCR反応による変異の導入が挙げられるがこれらに限定されない。これらの方法および他の方法は当業者にとって明白であり、上記Sambrookら、およびAubuselらによる通常のハンドブックや、以下の実施例等を参照されたい。
本発明の核酸は、当業者にとって明白であるように、遺伝子コンストラクトの一部としての形態を取り、その一部で存在し、および/またはその一部であってもよい。該遺伝子コンストラクトは、一般に、例えば、1種類以上の適切な制御要素(適切なプロモーター、エンハンサー、ターミネーター等)、および本明細書に記載の遺伝子コンストラクトの別の要素等の、1つ以上のそれ自体公知の遺伝子コンストラクトの要素に、場合によっては結合している少なくとも1個の本発明の核酸を含んでいる。少なくとも1個の本発明の核酸を含む該遺伝子コンストラクトは、本明細書において「本発明の遺伝子コンストラクト」とも呼ばれる。
本発明の遺伝子コンストラクトは、DNAであってもRNAであってもよく、好ましくは二本鎖DNAである。また、本発明の遺伝子コンストラクトは、目的とする宿主細胞または宿主生物の形質転換に好適な形態、目的とする宿主細胞または宿主生物のゲノムDNAへの組み込みに好適な形態、または目的とする宿主細胞または宿主生物における単独での複製、保持および/または継代に好適な形態を取ることができる。例えば、本発明の遺伝子コンストラクトは、例えば、プラスミド、コスミド、YAC、ウィルスベクターまたはトランスポゾン等のベクターの形態を取ることができる。具体的には、ベクターは、インビトロおよび/またはインビボ(例えば、好適な宿主細胞、宿主生物および/または発現系)での発現のために提供されるベクターである発現ベクターであってよい。
好ましいが非限定的な一実施態様では、本発明の遺伝子コンストラクトは、
a)b)と動作可能に結合している少なくとも1個の本発明の核酸と、
b)プロモーター、および場合によっては好適なターミネーター等の、1種類以上の制御要素を含み、
場合によっては、さらに
c)1つ以上のそれ自体公知の遺伝子コンストラクトの他の要素を含んでおり;
ここで、「制御要素」、「プロモーター」、「ターミネーター」、および「動作可能に結合した」という語句は、本技術分野における(本明細書において詳述するような)通常の意味を有しており、遺伝子コンストラクト中に存在する前記「他の要素」は、例えば、3'−または5'−UTR配列、リーダー配列、選択マーカー、発現マーカー/レポーター遺伝子、および/または形質転換もしくは組み込み(の効率)を促進または増大させる要素であってよい。該遺伝子コンストラクトに好適なこれらおよび他の要素は当業者にとって明白であり、例えば、用いるコンストラクトの種類、目的とする宿主細胞または宿主生物、対象となる本発明のヌクレオチド配列が発現される方法(例えば、構成的発現、一時的発現、または誘導性発現等を介するもの)、および/または用いる形質転換手法に依存する。例えば、抗体および抗体断片((単一)ドメイン抗体およびscFvが挙げられるがこれらに限定されない)の発現および産生のための、それ自体公知の制御配列、プロモーター、およびターミネーターを、ほぼ同様の方法で使用することができる。
a)b)と動作可能に結合している少なくとも1個の本発明の核酸と、
b)プロモーター、および場合によっては好適なターミネーター等の、1種類以上の制御要素を含み、
場合によっては、さらに
c)1つ以上のそれ自体公知の遺伝子コンストラクトの他の要素を含んでおり;
ここで、「制御要素」、「プロモーター」、「ターミネーター」、および「動作可能に結合した」という語句は、本技術分野における(本明細書において詳述するような)通常の意味を有しており、遺伝子コンストラクト中に存在する前記「他の要素」は、例えば、3'−または5'−UTR配列、リーダー配列、選択マーカー、発現マーカー/レポーター遺伝子、および/または形質転換もしくは組み込み(の効率)を促進または増大させる要素であってよい。該遺伝子コンストラクトに好適なこれらおよび他の要素は当業者にとって明白であり、例えば、用いるコンストラクトの種類、目的とする宿主細胞または宿主生物、対象となる本発明のヌクレオチド配列が発現される方法(例えば、構成的発現、一時的発現、または誘導性発現等を介するもの)、および/または用いる形質転換手法に依存する。例えば、抗体および抗体断片((単一)ドメイン抗体およびscFvが挙げられるがこれらに限定されない)の発現および産生のための、それ自体公知の制御配列、プロモーター、およびターミネーターを、ほぼ同様の方法で使用することができる。
好ましくは、本発明の遺伝子コンストラクトにおいて、前記少なくとも1種類の本発明の核酸、および前記制御要素、および場合によっては前記1種類以上の別の要素は、互いに「動作可能に結合」しており、これにより、これらは通常互いに機能的な関係にあることが意図されている。例えば、プロモーターが、コーディング配列の転写および/または発現を、開始または他の方法により制御/調節することができる場合(前記コーディング配列は、前記プロモーターに「制御されている」と理解されたい)、コーディング配列に「動作可能に結合」していると考えられる。一般に、2つのヌクレオチド配列が動作可能に結合している場合、これらは同一の配向を有し、通常同一のリーディングフレームの内部にある。必ずしも必要ではないが、通常、それらは本質的に隣接している。
好ましくは、本発明の遺伝子コンストラクトの制御要素および他の要素は、このようにして、目的とする宿主細胞または宿主生物において所望の生物学的機能を付与することができるほどのものである。
例えば、プロモーター、エンハンサーまたはターミネーターは、目的とする宿主細胞または宿主生物において「動作可能」である必要があり、これにより(例えば)、前記プロモーターが、形質転換および/または(上で定義されたように)動作可能に結合した、例えばコーディング配列等のヌクレオチド配列の転写および/または発現を、開始、または他の方法により制御/調節することができる。
特に好ましいいくつかのプロモーターとしては、本明細書に述べた宿主細胞における発現のためのそれ自体公知のプロモーター、具体的には、本明細書で述べた、および/または下記の実施例において使用しているもの等の、細菌細胞における発現のためのプロモーターが挙げられるがこれらに限定されない。
選択マーカーは、適切な選択条件下で、本発明のヌクレオチド配列による形質転換が(うまく)起こった宿主細胞および/または宿主生物を、形質転換が(うまく)起こらなかった宿主細胞および/または宿主生物と区別できるようなものでなければならない。該マーカーの、いくつかの好ましいが非限定的な例としては、抗生物質(カナマイシンまたはアンピシリン等)に対する耐性を付与する遺伝子、温度耐性を付与する遺伝子、形質転換されていない細胞または生物が生存する上で不可欠な、培地中のある種の因子、化合物および/または(食品)成分がない状態で宿主細胞または生物を生存させる遺伝子がある。
リーダー配列は、目的とする宿主細胞または宿主生物において、所望の翻訳後修飾を可能にし、および/または転写されたmRNAを細胞の所望の部位またはオルガネラに配向させるような配列である。また、リーダー配列は、前記細胞から発現生成物を分泌させてもよい。そのようなものとして、リーダー配列は、宿主細胞または宿主生物中で動作可能な任意のプロ配列、プレ配列、またはプレプロ配列であってよい。リーダー配列は、細菌細胞中で発現する必要はない。例えば、抗体および抗体断片(単一ドメイン抗体およびscFv断片が挙げられるがこれらに限定されない)の発現および産生のための、それ自体公知であるリーダー配列を、ほぼ同様の方法で使用することができる。
発現マーカーまたはレポーター遺伝子は、宿主細胞または宿主生物中で、遺伝子コンストラクトの発現(遺伝子またはヌクレオチド配列の存在)を検出できるようなものでなければならない。発現マーカーは、場合によっては、発現産物を、細胞の特定の部位またはオルガネラ、および/または多細胞生物における特定の細胞、組織、臓器、または部位に局在化させてもよい。該レポーター遺伝子は、本発明のアミノ酸配列との融合タンパク質として発現されてもよい。好ましいが非限定的ないくつかの例としては、GFP等の蛍光性タンパク質が挙げられる。
好適なプロモーター、ターミネーター、および他の要素の好ましいが非限定的ないくつかの例としては、本明細書に記載した宿主細胞における発現に使用することができるもの、および具体的には本明細書で論じ、および/または下記の実施例で用いているもの等の細菌細胞における発現に好適であるものが挙げられる。ターミネーター、転写および/または翻訳エンハンサーおよび/または組込み因子等の、本発明の遺伝子コンストラクト中に存在する/使用することができるプロモーター、選択マーカー、リーダー配列、発現マーカー、及び他の要素についての(他の)非限定的ないくつかの例については、上記Sambrookら、およびAubuselらによるハンドブック、およびWO第95/07463号、WO第96/23810号、WO第95/07463号、WO第95/21191号、WO第97/11094号、WO第97/42320号、WO第98/06737号、WO第98/21355号、米国特許第6,207,410号、米国特許第5,693,492、および欧州特許第1 085 089号に示されたものを参照されたい。他の例は当業者にとって明白であろう。上記一般的な背景技術に関する参考文献および後述する参考文献も参照されたい。
本発明の遺伝子コンストラクトは、通常、例えば、上記Sambrookら、およびAusubelらによる一般的なハンドブックに記載の方法を用いて、本発明のヌクレオチド配列を、1個以上の上記他の要素と適切に連結させることにより得ることができる。
多くの場合、本発明の遺伝子コンストラクトは、本発明のヌクレオチド配列を、それ自体公知の好適な(発現)ベクターに挿入することによって得る。好適な発現ベクターの好ましいが非限定的ないくつかの例としては、以下の実施例において使用するもの、および後述するものがある。
本発明の核酸および/または本発明の遺伝子コンストラクトは、本発明のナノボディまたはポリペプチドを発現および/または産生させるための、宿主細胞または宿主生物の形質転換に使用することができる。好適な宿主または宿主細胞は、当業者にとって明白であり、例えば、任意の好適な真菌、原核、または真核細胞もしくは細胞株、または、例えば下記の任意の好適な真菌、原核、または真核生物であってよく、例えば:
‐大腸菌の菌株、ミラビリス変形菌等のプロテウス属の菌株、蛍光菌等のシュードモナス属の菌株等のグラム陰性菌株、枯草菌またはブレビス菌等のバチルス属の菌株、ストレプトミセスリビダンス等のストレプトミセス属の菌株、スタフィロコッカスカルノザス等のブドウ球菌の菌株、および乳酸連鎖球菌等のラクトコッカス属の菌株等のグラム陽性菌が挙げられるがこれらに限定されない細菌株
‐トリコデルマリーゼイ等のトリコデルマ属、ニューロスポラクラッサ等のニューロスポラ属、ソルダリアマクロスポラ等のソルダリア属、アスペルギルスニガーまたはアスペルギルスソーヤ等のアスペルギルス属、または別の糸状菌由来の細胞が挙げられるがこれらに限定されない真菌細胞
‐出芽酵母等のサッカロミセス属、シゾサッカロミセスポンベ等のシゾサッカロミセス属、ピチアパストリスまたはピチアメタノリカ等のピチア属、ハンセヌラポリモルファ等のハンセヌラ属、クルイベロミセスラクティス等のクルイベロミセス属、Arxula adeninivorans等のArxula属、ヤロウィアリポリチカ等のヤロウィア属由来の細胞が挙げられるがこれらに限定されない酵母細胞
‐アフリカツメガエル卵母細胞等の両生類細胞
‐シロイチモンジヨトウSF9およびSF21細胞等の鱗翅目より誘導された細胞/細胞株、またはシュナイダー細胞およびKc細胞等のショウジョウバエより誘導された細胞/細胞株等の昆虫より誘導された細胞または細胞株
‐タバコ等の植物または植物細胞、および/または
‐CHO細胞、BHK細胞(BHK−21細胞等)、およびHeLa細胞、COS細胞(COS−7細胞等)、およびPER.C6細胞等のヒトから誘導された細胞または細胞株が挙げられるがこれらに限定されない、ヒト、哺乳類から誘導された細胞または細胞株等の哺乳類細胞または細胞株
および抗体および抗体断片((単一)ドメイン抗体およびscFv断片が挙げられるがこれらに限定されない)を発現および産生することが公知な別の宿主または宿主細胞であってよく、これらは当業者に明白であろう。上で引用した一般背景技術に関する文献および、例えば、WO第94/29457号、WO第96/34103号、WO第99/42077号、Frenkenら、(1998)、上掲、RiechmannおよびMuyldermans、(1999)、上掲、van der Linden、(2000)、上掲、Thomassen ら(2002)、上掲、Joostenら、(2003)、上掲、Joostenら、(2005)、上掲、および本明細書でさらに引用した文献を参照されたい。
‐大腸菌の菌株、ミラビリス変形菌等のプロテウス属の菌株、蛍光菌等のシュードモナス属の菌株等のグラム陰性菌株、枯草菌またはブレビス菌等のバチルス属の菌株、ストレプトミセスリビダンス等のストレプトミセス属の菌株、スタフィロコッカスカルノザス等のブドウ球菌の菌株、および乳酸連鎖球菌等のラクトコッカス属の菌株等のグラム陽性菌が挙げられるがこれらに限定されない細菌株
‐トリコデルマリーゼイ等のトリコデルマ属、ニューロスポラクラッサ等のニューロスポラ属、ソルダリアマクロスポラ等のソルダリア属、アスペルギルスニガーまたはアスペルギルスソーヤ等のアスペルギルス属、または別の糸状菌由来の細胞が挙げられるがこれらに限定されない真菌細胞
‐出芽酵母等のサッカロミセス属、シゾサッカロミセスポンベ等のシゾサッカロミセス属、ピチアパストリスまたはピチアメタノリカ等のピチア属、ハンセヌラポリモルファ等のハンセヌラ属、クルイベロミセスラクティス等のクルイベロミセス属、Arxula adeninivorans等のArxula属、ヤロウィアリポリチカ等のヤロウィア属由来の細胞が挙げられるがこれらに限定されない酵母細胞
‐アフリカツメガエル卵母細胞等の両生類細胞
‐シロイチモンジヨトウSF9およびSF21細胞等の鱗翅目より誘導された細胞/細胞株、またはシュナイダー細胞およびKc細胞等のショウジョウバエより誘導された細胞/細胞株等の昆虫より誘導された細胞または細胞株
‐タバコ等の植物または植物細胞、および/または
‐CHO細胞、BHK細胞(BHK−21細胞等)、およびHeLa細胞、COS細胞(COS−7細胞等)、およびPER.C6細胞等のヒトから誘導された細胞または細胞株が挙げられるがこれらに限定されない、ヒト、哺乳類から誘導された細胞または細胞株等の哺乳類細胞または細胞株
および抗体および抗体断片((単一)ドメイン抗体およびscFv断片が挙げられるがこれらに限定されない)を発現および産生することが公知な別の宿主または宿主細胞であってよく、これらは当業者に明白であろう。上で引用した一般背景技術に関する文献および、例えば、WO第94/29457号、WO第96/34103号、WO第99/42077号、Frenkenら、(1998)、上掲、RiechmannおよびMuyldermans、(1999)、上掲、van der Linden、(2000)、上掲、Thomassen ら(2002)、上掲、Joostenら、(2003)、上掲、Joostenら、(2005)、上掲、および本明細書でさらに引用した文献を参照されたい。
本発明のナノボディおよびポリペプチドは、予防および/または治療(遺伝子治療等)のために、多細胞生物の1種類以上の細胞、組織、または臓器に導入し、発現させることができる。このために、本発明のヌクレオチド配列を、例えば、このように(例えば、リポソームを用いて)、または適切な(例えば、アデノウィルス、アデノ随伴ウィルス等のパルボウィルス等のレトロウィルスより誘導された)遺伝子治療用ベクターに挿入後、任意の好適な方法を用いて細胞または組織に導入することができる。当業者にとって明白であるように、該遺伝子治療は、本発明の核酸または本発明の核酸をコードする適切な遺伝子治療用ベクターを、患者または患者の特定の細胞または特定の組織もしくは臓器、に投与することにより患者の体内において、in vivoおよび/またはin situで行うことができ、または好適な(多くの場合、外植リンパ球、骨髄吸引物または組織生検試料等の、治療対象となる患者より採取された)細胞を、本発明のヌクレオチド配列をインビトロで治療し、次いで患者の体内に好適に(再)導入することができる。これらは全て、Culver, K. W., 「Gene Therapy」, 1994, p. xii, Mary Ann Liebert, Inc., Publishers, New York, N.Y)、Giordano, Nature F Medicine 2 (1996), 534-539、Schaper, Circ. Res. 79 (1996), 911-919、Anderson, Science 256 (1992),808-813、Verma, Nature 389 (1994),239、Isner, Lancet 348 (1996),370-374、Muhlhauser, Circ. Res. 77 (1995),1077-1086、Onodera, Blood 91; (1998),30- 36、Verma, Gene Ther. 5 (1998),692-699、Nabel, Ann. N.Y. Acad. Sci.: 811 (1997), 289-292、Verzeletti, Hum. Gene Ther. 9 (1998), 2243-51、Wang, Nature Medicine 2 (1996),714-716、WO第94/29469号、WO第97/00957号、米国特許第5,580,859号、米国特許第5,5895466、またはSchaper, Current Opinion in Biotechnology 7 (1996), 635-640によって当業者に周知の遺伝子治療用ベクター、手法、およびデリバリーシステムを用いて行うことができる。例えば、scFv断片(Afanasievaら、, Gene Ther., 10, 1850-1859 (2003))およびダイアボディー(Blancoら、J. Immunol, 171, 1070-1077 (2003))のin situ発現について報告がなされている。
細胞中でのナノボディの発現のために、これらは、例えば、WO第94/02610号、WO第95/22618号、および米国特許第6004940号、WO第03/014960号、Cattaneo, A.およびBiocca, S. (1997) Intracellular Antibodies: Development and Applications. Landes and Springer-Verlag; and in Kontermann, Methods 34, (2004), 163-170に記載の、いわゆる「細胞内抗体」として発現させることができる。
産生のために、本発明のナノボディまたはポリペプチドを、例えば、ウサギ、ウシ、ヤギまたはヒツジの母乳等のトランスジェニック哺乳動物の母乳中(トランス遺伝子を哺乳類に導入する一般的な手法については、例えば、米国特許第5,741,957号、米国特許第5,304,489号、および米国特許第5,849,992号を参照されたい)、または植物もしくは葉、花、果実、種、根、塊茎等の植物の一部分(例えば、タバコ、トウモロコシ、大豆、またはアルファルファ)で、しかしこれらに限定されず、または、例えば、カイコガの蛹中で産生することができる。
さらに、本発明のナノボディおよびポリペプチドを、細胞を含まない発現系で発現および/または産生してもよく、該系の好適な例は当業者にとって明白であろう。好ましいが非限定的ないくつかの例としては、小麦麦芽系、ウサギ網状赤血球溶解物、またはZubayの方法による大腸菌を用いた系での発現が挙げられる。
上記ように、ナノボディを使用する利点の1つは、それに基づくポリペプチドを、適切な細菌系における発現によって調製することができる点であり、および適切な細菌発現系、ベクター、宿主細胞、調節要素等は、例えば上述した参考文献によって当業者とって明白であろう。しかし、本発明は、最も広義には細菌系における発現に限定されないことに注意されたい。
好ましくは、本発明では、本発明のポリペプチドを医薬用途に適した形態で提供する細菌発現系等の(インビボまたはインビトロ)発現系を使用し、該発現系も当業者にとって明白であろう。当業者にとって明白であるように、医薬用途に適した本発明のポリペプチドは、ペプチド合成法を用いて調製することもできる。
工業的スケールでの製造において、ナノボディまたはナノボディを含むタンパク質治療剤の(工業的)製造のために好ましい非相同性宿主としては、大スケールでの発現/産生/培養、特に大スケールでの医薬の発現/産生/培養に適した大腸菌、ピチアパストリス、出芽酵母の菌株が挙げられる。該菌株の好適な例は、当業者とって明白であろう。該菌株および産生/発現系は、Biovitrum社(スウェーデン、ウプサラ)等の企業が市販している。
あるいは、哺乳類細胞株、特にチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を、大スケールでの発現/産生/培養、特に大スケールでの医薬の発現/産生/培養のために用いる
ことができる。該菌株および産生/発現系も、上記いくつかの企業が市販している。
ことができる。該菌株および産生/発現系も、上記いくつかの企業が市販している。
特定の発現系の選択は、ある翻訳後修飾、より具体的にはグリコシル化に一部依存する。グリコシル化が望ましいか必要であるナノボディを含む組換えタンパク質の産生には、発現したタンパク質をグリコシル化する能力を有する哺乳類宿主細胞の使用が必要である。これに関連して、得られるグリコシル化パターン(種類、数、及び残基が結合する位置)が、発現に用いた細胞又は細胞株に依存することは、当業者には明白であろう。好ましくは、ヒト細胞もしくは細胞株(本質的にヒトのグリコシル化パターンを有するタンパク質を与える)、または本質的に、および/または機能的にヒトのグリコシル化パターンと同一、または少なくともヒトのグリコシル化を模倣したグリコシル化パターンを与える別の哺乳類の細胞もしくは細胞系が用いられる。一般に、大腸菌等の原核細胞はタンパク質をグリコシル化する能力を有しておらず、酵母等の下等原核細胞を使用すると、通常、ヒトのグリコシル化と異なるグリコシル化パターンとなる。それにもかかわらず、上記宿主細胞および発現系を、得ようとする所望のナノボディまたはタンパク質に応じて、本発明において用いることができることが理解されたい。
したがって、本発明の非限定的な一実施態様により、本発明のナノボディまたはポリペプチドはグリコシル化される。本発明の別の非限定的な実施態様により、本発明のナノボディおよびポリペプチドはグリコシル化されない。
本発明の好ましいが非限定的な一実施態様によると、本発明のナノボディまたはポリペプチドは、細菌細胞中、具体的には大スケールでの薬剤の製造に適した上記細胞株等の細菌細胞中で産生する。
本発明の別の好ましいが非限定的な実施態様によると、本発明のナノボディまたはポリペプチドは、酵母細胞中、具体的には大スケールでの薬剤の製造に適した上記細胞株等の酵母細胞中で産生する。
好ましいが非限定的な本発明のさらに別の実施態様によると、本発明のナノボディまたはポリペプチドは、哺乳類細胞中、具体的にはヒト細胞またはヒト細胞株中で、さらに具体的には大スケールでの薬剤の製造に適した上記細胞株等のヒト細胞またはヒト細胞株中で産生する。
宿主細胞中での発現が、本発明のナノボディおよびタンパク質の製造に使用する場合、本発明のナノボディおよびタンパク質は、細胞内(例えば、細胞質中、ペリプラズム中、又は封入体中)で産生し、次いで宿主細胞から単離し、場合によってはさらに精製してもよく、または細胞外(例えば、宿主細胞を培養する培地中)で産生し、次いで培地から単離し、場合によってはさらに精製してもよい。真核宿主細胞を使用する場合、得られるナノボディおよびタンパク質のさらなる単離および下流工程での処理が大幅に容易になるため、通常、細胞外産生が好ましい。通常、大腸菌の菌株等の上記細菌細胞は、毒素および血液毒等の数種のタンパク質を除き、タンパク質を細胞外に分泌せず、大腸菌における分泌物産生とは、内膜を通してペリプラズム空間へタンパク質を転移させることを意味する。ペリプラズムでの産生は、細胞質での産生に対して、いくつかの利点がある。例えば、分泌タンパク質のN−末端のアミノ酸配列は、特異的シグナルペプチダーゼによる分泌シグナル配列の切断後の天然遺伝産物と同一であってよい。また、ペリプラズムにおいて、細胞質中よりもプロテアーゼ活性がはるかに低いと思われる。さらに、ペリプラズム中においては、混入するタンパク質が少ないため、タンパク質の精製がより容易である。別の利点は、ペリプラズムは細胞質よりもより酸化的な環境をもたらすため、正しい位置にジスルフィド結合を形成することができるという点である。大腸菌中で過剰発現されたタンパク質は、封入体と呼ばれる不溶性の凝集物中に見られることが多い。これらの封入体は、細胞質中にもペリプラズム中にも存在させることができ、これらの封入体からの生理活性タンパク質の回収は、変性/リフォールディング過程を必要とする。治療効果を有するタンパク質等の多くの組換えタンパク質は、封入体より回収される。あるいは、当業者には明白であるように、所望のタンパク質、具体的には本発明のナノボディまたはポリペプチドを分泌するように遺伝的に改変された細菌の組換え菌株を用いることができる。
したがって、本発明の非限定的な実施態様によると、本発明のナノボディまたはポリペプチドは、細胞内で産生され、宿主細胞より、具体的には細菌細胞または細菌細胞中の封入体より単離したナノボディまたはポリペプチドである。本発明の別の非限定的な実施態様によると、本発明のナノボディまたはポリペプチドは、細胞外で産生され、宿主細胞を培養する培地から単離されたナノボディまたはポリペプチドであってよい。
これらの宿主細胞で用いるためのプロモーターの、好ましいが非限定的ないくつかの例としては、
‐大腸菌中での発現のための:lacプロモーター(lacUV5プロモーター等のこれらの誘導体)、アラビノースプロモーター、λファージの左側(PL)および右側(PR)プロモーター、trpオペロンのプロモーター、ハイブリッドlac/trpプロモーター(tacおよびtrc)、T7−プロモーター(より具体的にはT7−ファージ遺伝子10のプロモーター)、および別のT−ファージプロモーター、Tn10テトラサイクリン耐性遺伝子のプロモーター、1個以上の外来制御オペレーター配列を含む上記プロモーターの組換え変異体;
‐出芽酵母中での発現のための:ADH1(アルコール脱水素酵素1)、ENO(エノラーゼ)、CYC1(チトクロームc異性化酵素1)、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水酵素)、PGK1(ホスホグリセリン酸キナーゼ)、PYK1(ピルビン酸キナーゼ)の構成的プロモーター、GAL1,10,7(ガラクトース代謝酵素)、ADH2(アルコール脱水素酵素2)、PHO5(酸ホスファターゼ)、CUP1(銅メタロチオネイン)の制御的プロモーター、CaMV(カリフラワーモザイクウィルス35Sプロモーター)の外来プロモーター;
‐ピチアパストリスでの発現のための:AOX1プロモーター(アルコール酸化酵素I)
‐哺乳類細胞での発現のための:ヒトサイトメガロウィルス(hCMV)前初期エンハンサー/プロモーター、プロモーターがTetリプレッサーによって制御可能なように2個のテトラサイクリンオペレーター配列を含むヒトサイトメガロウィルス(hCMV)前初期プロモーター変異体、単純ヘルペスウィルスチミジンキナーゼ(TK)プロモーター、ラウス肉腫ウィルスの末端反復配列(RSV LTR)エンハンサー/プロモーター、ヒト、チンパンジー、マウス、またはラット由来の伸長因子1α(hEF−1α)プロモーター、SV40初期プロモーター、HIV−1の末端反復配列プロモーター、βアクチンプロモーター
が挙げられる。
これらの宿主細胞で用いるためのベクターの、好ましいが非限定的ないくつかの例としては、
‐哺乳類細胞中での発現のためのベクター:pMAMneo(Clontech)、pcDNA3(Invitrogen)、pMC1neo(Stratagene)、pSG5 (Stratagene)、EBO−pSV2−neo(ATCC 37593)、pBPV−1(8−2)(ATCC 37110)、pdBPV−MMTneo(342−12)(ATCC 37224)、pRSVgpt (ATCC37199)、pRSVneo(ATCC37198)、pSV2−dhfr(ATCC 37146)、pUCTag(ATCC 37460)および1ZD35(ATCC 37565)、ならびにアデノウィルスに基づくもの等のウィルスに基づく発現系
‐細菌細胞中での発現のためのベクター:pETベクター(Novagen)およびpQEベクター(Qiagen)
‐酵母または別の真菌細胞中での発現のためのベクター:pYES2(Invitrogen)およびピチア発現ベクター(Invitrogen)
‐昆虫細胞中での発現のためのベクター:pBlueBacII(Invitrogen)および別のバキュロウゥルスベクター
‐植物または植物細胞中での発現のためのベクター:例えば、カリフラワーモザイクウィルスまたはタバコモザイクウィルス、アグロバクチリウムの好適な菌株またはTi-プラスミドに基づくベクター
が挙げられる。
これらの宿主細胞で使用するための分泌配列の、好ましいが非限定的ないくつかの例としては、
‐大腸菌等の細菌細胞中での発現のための:PelB、Bla、OmpA、OmpC、OmpF、OmpT、StII、PhoA、PhoE、MalE、Lpp、LamB等、TATシグナルペプチド、ヘモリシンC−末端分泌シグナル
‐酵母中での発現のための:α−接合因子プレプロ配列、ホスファターゼ(pho1)、インベルターゼ(Suc)
‐哺乳類細胞での発現のための:標的タンパク質が真核細胞由来である場合には、固有シグナル、マウスIgκ鎖V−J2−Cシグナルペプチド等
が挙げられる。
‐大腸菌中での発現のための:lacプロモーター(lacUV5プロモーター等のこれらの誘導体)、アラビノースプロモーター、λファージの左側(PL)および右側(PR)プロモーター、trpオペロンのプロモーター、ハイブリッドlac/trpプロモーター(tacおよびtrc)、T7−プロモーター(より具体的にはT7−ファージ遺伝子10のプロモーター)、および別のT−ファージプロモーター、Tn10テトラサイクリン耐性遺伝子のプロモーター、1個以上の外来制御オペレーター配列を含む上記プロモーターの組換え変異体;
‐出芽酵母中での発現のための:ADH1(アルコール脱水素酵素1)、ENO(エノラーゼ)、CYC1(チトクロームc異性化酵素1)、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸脱水酵素)、PGK1(ホスホグリセリン酸キナーゼ)、PYK1(ピルビン酸キナーゼ)の構成的プロモーター、GAL1,10,7(ガラクトース代謝酵素)、ADH2(アルコール脱水素酵素2)、PHO5(酸ホスファターゼ)、CUP1(銅メタロチオネイン)の制御的プロモーター、CaMV(カリフラワーモザイクウィルス35Sプロモーター)の外来プロモーター;
‐ピチアパストリスでの発現のための:AOX1プロモーター(アルコール酸化酵素I)
‐哺乳類細胞での発現のための:ヒトサイトメガロウィルス(hCMV)前初期エンハンサー/プロモーター、プロモーターがTetリプレッサーによって制御可能なように2個のテトラサイクリンオペレーター配列を含むヒトサイトメガロウィルス(hCMV)前初期プロモーター変異体、単純ヘルペスウィルスチミジンキナーゼ(TK)プロモーター、ラウス肉腫ウィルスの末端反復配列(RSV LTR)エンハンサー/プロモーター、ヒト、チンパンジー、マウス、またはラット由来の伸長因子1α(hEF−1α)プロモーター、SV40初期プロモーター、HIV−1の末端反復配列プロモーター、βアクチンプロモーター
が挙げられる。
これらの宿主細胞で用いるためのベクターの、好ましいが非限定的ないくつかの例としては、
‐哺乳類細胞中での発現のためのベクター:pMAMneo(Clontech)、pcDNA3(Invitrogen)、pMC1neo(Stratagene)、pSG5 (Stratagene)、EBO−pSV2−neo(ATCC 37593)、pBPV−1(8−2)(ATCC 37110)、pdBPV−MMTneo(342−12)(ATCC 37224)、pRSVgpt (ATCC37199)、pRSVneo(ATCC37198)、pSV2−dhfr(ATCC 37146)、pUCTag(ATCC 37460)および1ZD35(ATCC 37565)、ならびにアデノウィルスに基づくもの等のウィルスに基づく発現系
‐細菌細胞中での発現のためのベクター:pETベクター(Novagen)およびpQEベクター(Qiagen)
‐酵母または別の真菌細胞中での発現のためのベクター:pYES2(Invitrogen)およびピチア発現ベクター(Invitrogen)
‐昆虫細胞中での発現のためのベクター:pBlueBacII(Invitrogen)および別のバキュロウゥルスベクター
‐植物または植物細胞中での発現のためのベクター:例えば、カリフラワーモザイクウィルスまたはタバコモザイクウィルス、アグロバクチリウムの好適な菌株またはTi-プラスミドに基づくベクター
が挙げられる。
これらの宿主細胞で使用するための分泌配列の、好ましいが非限定的ないくつかの例としては、
‐大腸菌等の細菌細胞中での発現のための:PelB、Bla、OmpA、OmpC、OmpF、OmpT、StII、PhoA、PhoE、MalE、Lpp、LamB等、TATシグナルペプチド、ヘモリシンC−末端分泌シグナル
‐酵母中での発現のための:α−接合因子プレプロ配列、ホスファターゼ(pho1)、インベルターゼ(Suc)
‐哺乳類細胞での発現のための:標的タンパク質が真核細胞由来である場合には、固有シグナル、マウスIgκ鎖V−J2−Cシグナルペプチド等
が挙げられる。
本発明の宿主または宿主細胞の形質転換のために好適な手法は当業者にとって明白であり、目的とする宿主細胞/宿主生物および使用する遺伝子コンストラクトに依存することもある。同様に、上記ハンドブックおよび特許出願書を参照されたい。
形質転換後、本発明のヌクレオチド配列/遺伝子コンストラクトによってうまく形質転換された宿主細胞または宿主生物を検出および選択する工程を実行することができる。この工程は、例えば、本発明の遺伝子コンストラクトに含まれる選択可能なマーカーに基づいて選択する工程、または、例えば、特異的抗体を使用する本発明のアミノ酸配列の検出を含む工程であってよい。
形質転換された宿主細胞(安定な細胞株の形態を取ることができる)または宿主生物(安定な変異体系列または株の形態を取ることができる)は、本発明の他の態様をなす。
好ましくは、これらの宿主細胞または宿主生物は、(宿主生物の場合には、その少なくとも1個の細胞、部位、組織または臓器において)本発明のアミノ酸配列を発現し、または(少なくとも)(例えば、好適な条件下で)発現することができる。本発明はまた、本発明の宿主細胞または宿主生物のさらなる世代、子孫および/または次の世代を含んでおり、それらは、例えば、細胞***または有性もしくは無性生殖により得られるものであってよい。
本発明のアミノ酸配列を発現させ/その発現を得るために、形質転換された宿主細胞または宿主生物は、(所望の)アミノ酸配列が発現/産生されるような条件下で飼育、維持および/または培養される。好適な条件は当業者にとって明白であり、通常、使用する宿主細胞/宿主生物、および(関連する)本発明のヌクレオチド配列の発現を制御する制御因子に依存する。この場合にも、本発明の遺伝子コンストラクトに関連する上の段落に記載したハンドブックおよび特許出願書を参照されたい。
一般に、好適な条件には、好適な培地の使用、好適な食餌および/または好適な栄養源の存在、好適な温度の使用、および場合によっては好適な誘導因子または化合物の存在(例えば、本発明のヌクレオチド配列が誘導因子により制御される場合)が含まれ、これらは全て当業者が選択することができる。この場合にも、該条件下で、本発明のアミノ酸配列は、連続的、一時的、または適切に誘導された場合にのみ発現することができる。
本発明のアミノ酸配列は、(まず)未成熟型(上記)として発現され、次いで、使用する宿主細胞/宿主生物に応じて翻訳後修飾されてもよいことは、当業者にとって明白であろう。また、本発明のアミノ酸配列は、この場合にも、使用する宿主細胞/宿主生物に応じてグリコシル化されてもよい。
本発明のアミノ酸配列は、次いで、宿主細胞/宿主生物から、および/または前記宿主細胞もしくは宿主生物が培養される培地から、(分取)クロマトグラフィー法、および/または電気泳動法、分別沈殿法、アフィニティー法(例えば、本発明のポリペプチドに融合した特定の切断可能なアミノ酸配列を用いる)、および/または分取免疫法(単離対象のアミノ酸配列に対する抗体を用いる)等の、それ自体公知のタンパク質の単離および/または精製手法を用いて単離することができる。
通常、医薬用途のために、本発明のポリペプチドは、少なくとも1種類の本発明のポリペプチド、および少なくとも1種類の医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤、および/またはアジュバントを含み、1種類以上の他の薬理活性ポリペプチドおよび/または化合物を場合によっては含む医薬品として製剤することができる。非限定的な例により、該製剤は、経口投与のため、非経口投与(静脈内、筋内もしくは皮下注射、または静脈内点滴等による)のため、全身投与のため、吸入、経皮パッチ、インプラント、座剤等による投与のために適した形態を取ることができる。該好適な投与形態は、投与の方法、およびその製剤で用いるための方法および担体に応じて、固体、半固体または液体であってよく、当業者にとって明白であり、本明細書でさらに記述する。
したがって、他の態様において、本発明は、少なくとも1種類の本発明のナノボディまたは本発明のポリペプチドおよび少なくとも1種類の好適な担体、希釈剤、または賦形剤(医薬用途に好適な)を含み、場合によっては1種類以上の別の活性物質を含む医薬組成物に関する。
一般に、本発明のナノボディおよびポリペプチドは、それ自体公知の任意の好適な方法により製剤化し、および投与することができ、これらについては、例えば、上で引用した一般的な背景技術文献(特に、WO第04/041862号、WO第04/041863号、WO第04/041865号およびWO第04/041867号)、およびRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack Publishing Company, 米国特許第A (1990)、またはRemington, the Science and Practice of Pharmacy, 21th Edition, Lippincott Williams and Wilkins (2005)等の標準的なハンドブックを参照されたい。
例えば、本発明のナノボディおよびポリペプチドは、従来の抗体および抗体断片(scFvおよびダイアボディー等)および別の薬理活性タンパク質のための、それ自体公知の方法により製剤および投与することができる。該製剤およびそれを調製する方法は当業者にとって明白であり、例えば、非経口(例えば、静脈内、腹腔内、皮下、筋内、管腔内、動動脈内または髄腔内投与)または局所(経皮または皮内)投与に好適な製剤が挙げられる。
非経口投与のための製剤は、例えば、点滴または注射に好適な滅菌液剤、懸濁剤、分散剤または乳剤であってよい。該製剤のために好適な担体または希釈剤としては、例えば、限定されることなく、滅菌水および緩衝水溶液、ならびにリン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、およびHank's液等の溶液、水性油、グリセロール、エタノール、プロピレングリコール等のグリコール、または鉱物油、動物油、および植物油、例えば、落花生油、大豆油、ならびに好適なこれらの混合物が挙げられる。通常、水溶液剤または懸濁剤が好ましい。
本発明はさらに、ガンの診断、治療または予防のための本明細書に記載のナノボディ、ポリペプチドおよび組成物の使用に関する。本発明は、単一ドメイン抗体、より正確には、EGFR(EGFR)およびインスリン増殖因子受容体(IGF−IR)等の腫瘍特異的または腫瘍関連抗原に指向性を有するナノボディを提供する。本発明はさらに、診断および治療におけるそれらの使用に関する。該抗体は、ヒトフレームワーク配列に対して高い相同性を有するフレームワーク配列を有していてよい。IGF−IRおよびEGFRに対する抗体を単独で、または他の薬剤と組み合わせて含有する組成物について説明する。
EGFRは、ERBB受容体ファミリーの一部であり、4つの緊密に関連する構成要素であるEGFR(ErbB−1)、HER2(ErbB−2またはNeu)、HER3(ErbB−3)、およびHER4(ErbB−4)を有している。これらの構成要素は、それぞれ、細胞外リガンド結合領域、膜貫通領域および細胞内チロシンキナーゼ領域からなる(Yardenら、2001, Nature Rev. Mol. Cell Biol. 2, 127- 137)。
上皮細胞の***刺激における第1段階は、上皮細胞増殖因子(EGF)または形質転換因子α(TGFα)等のリガンドの、EGFR(EGF受容体)として知られている膜糖タンパク質への特異的な結合である(Carpenterら、1979, Epidermal Growth Factor, Annual Review Biochem., Vol. 48, 193-216)。成熟したEGF受容体は、23残基の単一の膜貫通セグメントによって接続された、621残基の細胞外部分と、542残基の細胞質部分とに分けられる1186アミノ酸からなる(Ullrichら、 1986, Nature, Vol. 309, 418-425)。
EGF受容体の細胞外領域は、4個のドメインに細分割することができる。システインを豊富に含む領域に挟まれたドメインIおよびIIIは、受容体のEGF結合部位を含む可能性があることが実証されている(Ogisoら、2002. Crystal structure of the complex of human epidermal growth factor and receptor extracellular domains. Cell 110, 775- 787、Garrettら、2002. Crystal structure of a truncated EGFR extracellular domain bound to transforming growth factor alpha. Cell 110, 763-773.)。リガンドを受容体に結合させないと、受容体は、ドメインII−ドメインIV分子内相互作用によって不活性で連結された状態に保たれる(Ferguson KM, Berger MB, Mendrola JM, Cho HS, Leahy DJ, Lemmon MA 2003. EGF activates its receptor by removing interactions that autoinhibit ectodomain dimerization. Mol. Cell. 11:507-17)。
一価リガンドがEGFRのドメインIおよびIIIに結合することにより、ドメインIIが露出し、隣接する受容体のドメインIIとの分子間接触による受容体の2量化が起こる。細胞質領域におけるチロシンキナーゼの活性化には、受容体の2量化状態が必要となる。これにより、細胞内領域中のチロシン残基のリン酸転移が起こり、無数のシグナル伝達カスケードが開始され、その結果、DNA合成、さらには細胞の増殖および分化が起こる。EGFRの活性化は、クラスリン被覆ピットとして知られる構造にて多数のアダプタータンパク質が会合して、細胞膜の陥入および出芽後に、クラスリン被覆小胞体(CCV)と呼ばれる小胞体を生じる一連の事象を開始させる。
その後、活性化された受容体はエンドソーム、および最終的にはタンパク質分解のためのリソソーム内に振り分けられ、その結果、受容体の下方制御または封入が起こる(Vieira AV, Lamaze C, Schmid SL, 1996. Control of EGF receptor signaling by clathrin-mediated endocytosis. Science 274:2086-2089)。正常細胞において、該フィードバック機構が、受容体による異常なシグナル伝達を制御している。
EGFRの異常な活性化は、腫瘍細胞の増殖、血管新生、転移、アポトーシスの阻害、および放射線または化学療法に対する耐性等の、腫瘍の成長および進行にかかわる過程に関与している(Gruenwald V, Hidalgo M 2003. Developing inhibitors of the EGFR for cancer treatment. J. Natl. Cancer Inst. 95:851- 867、および引用文献)。EGF受容体の調節異常は、i)リガンドまたは受容体の(例えば、遺伝子重複後の)過剰発現、またはii)ヘテロ2量体またはEGFRvIII等のEGFR変異体の生成による、構成的な受容体シグナル伝達の結果である。例えば、EGFR−HER2ヘテロ2量体は、EGFRホモ2量体と比較して、シグナル伝達活性がより持続的であるという特徴を有している(Arteaga CL 2001. The EGFR: from mutant oncogene in nonhuman cancers to therapeutic target in human neoplasia. J. Clin. Oncol. 19:32S-40S)。
EGFRは、NSCLC(非小細胞肺癌)の40%超、頭頸部ガンの95%超、膵臓ガンの30%超、腎臓ガンの90%超、卵巣ガンの35%超、グリオーマの40%超、および膀胱ガンの31%超等の広範な上皮由来の腫瘍において発現している(Salomonら、1995. Crit. Review Oncol. Hematol, 19, 183-232)。乳ガン細胞は、EGF受容体密度と腫瘍サイズとの間に正の相関を示し、分化の程度については負の相関を示す(Sainsburyら、1985, EGFRs and Oestrogen Receptors in Human Breast Cancer, Lancet, Vol. 1, 364-366、Sainsburyら、1985, Presence of EGFR as an Indicator of Poor Prognosis in Patients with Breast Cancer, J. Clin. Path., Vol. 38, 1225-1228、Sainsburyら、1987. Epidermal-Growth-Factor Receptor Status as Predictor of Early Recurrence and Death From Breast Cancer, Lancet, Vol. 1, 1398-1400)。高レベルのEGFRの発現は、疾患の進行、転移の増大、および不良な予後と相関しており、このことは、種々の固形腫瘍の治療のための、効果的なEGFR標的抗原の開発に対する強い根拠をもたらす。
滑膜線維芽細胞およびケラチン生成細胞は、同様にEGF受容体発現細胞種であるため、これらの細胞は、それぞれ、炎症性関節炎および乾癬の治療のための候補標的細胞である。また、EGFRは、炎症性関節炎(米国特許第5906820号、米国特許第5614488号)、咽頭乳頭腫(Johnston D, Hall H, DiLorenzo TP, Steinberg BM 1999. Elevation of the EGFR and dependent signaling in human papillomavirus-infected laryngeal papillomas. Cancer Res. 59:968-74.)および肺における粘液の分泌過多(Barnes PJ, Hansel TT 2003. Prospects for new drugs for chronic obstructive pulmonary disease. Lancet 364:985-996、米国特許第6566324号および米国特許第6551989号)等のいくつかの他の疾患にも関与している。
EGFRを阻害するMAbの同定は、悪性新生物におけるEGFRの異常なシグナル伝達を標的とする臨床開発において使用されているアプローチである。該EGFRを標的とする抗体の例には、IMC-C225(エルビタックス、Imclone)、EMD72000(Merck、ダルムシュタット)、ABX-EGF(Abgenix)、h-R3(theraCIM、YM Biosciences)およびhumax-EGFR(Genmab)がある。これらの抗体の作用機構は、リガンドの受容体への結合、ならびにその後の受容体のリン酸転移および下流のシグナル伝達カスケードを阻害することによる阻害に依存している。Mab225(エルビタックスは、これのキメラ誘導体である)、225より誘導されたF(ab')2断片は、EGFR発現細胞と長期間インキュベートした後でのみ、EGFRの内在化および適度な受容体の捕捉を誘導することができる。しかし、225より誘導された一価のFab'断片は、ウサギ抗マウス抗体とプレインキュベート後に、受容体の下方制御のみを誘導する(Fan Z, Mendelsohn J, Masui H, Kumar R 1993. Regulation of EGFR in NIH3T3/Her-14 cells by antireceptor monoclonal antibodies. J. Biol. Chem. 268:21073-21079、Fan Z, Lu Y, Wu X, Mendelsohn J 1994. Antibody-induced EGFR dimerization mediates inhibition of autocrine proliferation of A431 squamous carcinoma cells. J. Biol. Chem. 269:27595-27602)。これらの抗体は、ヒト腫瘍異種移植片の広範なパネルに対して抗腫瘍活性を示す(総説として、Grunwald V, Hidalgo M 2003. Developing inhibitors of the EGFR for cancer treatment. J. Natl. Cancer Inst. 95:851-867)。
腫瘍治療の主な目標は、全ての腫瘍細胞を殺すことである。細胞を殺す治療薬は、細胞毒性であると定義される。細胞を殺さずに、細胞の複製を妨げる治療薬は、細胞増殖抑制性であると定義される。EGF受容体に結合する、抗体に基づく既知の治療剤は、細胞の複製を抑制するのみであるため、該従来の抗体は、細胞増殖抑制剤として作用している(欧州特許第667165号、欧州特許第359282号、米国特許第5844093)。しかし、これらの抗体には、現在のところ、低分子量の医薬として得られるものはなく、腫瘍の治療に完全に有効なものもなく、ほとんどは、高い毒性という制約を有している。さらに、該標的配列に対する十分な活性および選択性を有する新規化合物(NCE)を開発することは、著しく困難かつ長時間を要する過程である。抗体は、それらの標的に対し優れた選択性を有すると共に固有の毒性が低いため、抗体は薬剤としての高い可能性を与える。さらに、新規化合物(NCE)の開発と比較して、開発時間を大幅に減少させることができる。
マウス、ヒツジ、ヤギ、ウサギ等の供給源より誘導された抗体、およびこれらのヒト化誘導体の、細胞毒性効果または細胞増殖抑制効果を必要とするガンの治療剤としての使用には、いくつかの理由により問題がある。従来の抗体は室温において安定ではないため、開発および治療における使用に際し余分なコストが加わる、(製造から患者の治療に至る)連続的なコールドチェーンの必要性から離れることができない。発展途上国において、冷蔵が不可能である場合がある。さらに、無傷で、機能性抗体を発現させるために必要な哺乳類細胞系は、時間および装置の観点から高いレベルの補助を必要とし、収率が非常に低いため、前記抗体の製造または小スケールでの産生は高価である。従来の抗体は、限られたpHウインドウの範囲内でのみ機能的な抗原結合活性を示す場合が多い。したがって、これらは、消化管内等の極端なpH条件を有する環境下における応用には不適切である。さらに、従来の抗体は、低pHおよび高pHにおいて不安定であり、したがって、経口投与には好適でない。さらに、従来の抗体は、結合活性が温度に依存するため、生体活性な温度範囲(例えば、37±20℃)外で実行されるアッセイまたはキットにおける使用には不適切である。
ポリペプチド治療薬、具体的には抗体に基づく治療薬は、それらの標的に対し優れた選択性を有すると共に固有の毒性が低いため、薬剤として大きな可能性を有する。しかし、治療上有用な標的のために得られた抗体は、投与した際に、ヒトの治療用として調剤するために、ヒト個人における望ましくない免疫反応を回避するための改変をさらに行う必要があることが、当業者によって知られている。改変過程は、一般に「ヒト化」と呼ばれている。ヒト以外の種より得られた抗体は、ヒトにおいてその抗体を治療上有用なものにするためにヒト化が必要であることは、当業者に知られている((1)CDRの移植:Protein Design Labs:米国特許第6180370号、米国特許第5693761号;Genentech 米国特許第6054297号;Celltech:第460167号、欧州特許第626390号、米国特許第5859205号;(2)ベニアリング:Xoma:米国特許第5869619号、米国特許第5766886号、米国特許第5821123)。根本的なヒト化の必要を回避し、またはヒト化の必要性を完全に除去する抗体の産生方法が求められている。明確なフレームワーク領域またはアミノ酸残基を有し、実質的にヒト化を必要とせず、または全くヒト化を必要とせずにヒト被験体に投与することができる新たな種類の抗体が求められている。
従来の抗体の重要な欠点は、それら抗体が複雑で巨大な分子であり、そのために比較的不安定であり、タンパク質分解酵素による分解を受けやすいという点である。このことは、従来の抗体医薬の経口投与、舌下投与、局所投与、経鼻投与、経膣投与、直腸内投与、または吸入による投与が、これらの部位において低pH耐性を有しないこと、これらの部位もしくは血液中におけるタンパク質分解酵素の作用、および/またはこれらの大きなサイズのために不可能であることを意味する。これらの問題のうちいくつかを克服するために、これらは注射(静脈内、皮下等)により投与しなければならない。注射による投与は、皮下注射器または針を正確かつ安全に使用するための専門家による訓練を必要とする。それはさらに、滅菌した器具、治療用ポリペプチドの液体製剤、無菌の安定した形態の外ポリペプチドのバイアル容器、および針を刺すのに好適な被験体の部位を必要とする。さらに、被験体は、注射を受ける前、および受けている際に物理的および心理的ストレスを通常、受ける。したがって、注射の必要を回避し、費用および時間を節減できるだけでなく、被験体にとってより簡便かつより快適な治療用ポリペプチドの送達方法が必要である。
固形腫瘍は、密集し増殖能の高い細胞からなる。固形腫瘍の治療のためには、腫瘍の再発を防止するために、治療用抗体が腫瘍の最深部まで浸透し、迅速かつ均一に分布することが非常に重要である。完全型の従来の抗体(150kDa)を、F(ab')2、Fab'およびscFv断片(重鎖および軽鎖の可変領域をコードし、短いリンカー配列によって区切られた遺伝子セグメントの遺伝子融合によって形成される最小の抗原結合単位)等の誘導された免疫グロブリンの形態と比較すると、scFvが、腫瘍塊中に最も迅速かつ均一な分布を示すことが示された(Yokota T, Milenic DE, Whitlow M, Schlom J 1992. Rapid tumor penetration of a single-chain Fv and comparison with other immunoglobulin forms)。
これらの目的および別の目的は、本発明のナノボディの使用により達成される。
本発明において記載されている、ラクダ科の重鎖抗体より誘導されたナノボディは、キャビティに結合する傾向を有することが知られている(WO第97/49805号、Lauwereysら、EMBO J. 17, 5312, 1998)。したがって、該ナノボディは、受容体上のリガンド結合部位を認識し、従来の抗体に対し感受性がより少ないエピトープに結合するのに本質的に適しており、そのため、異なる作用機構を介して機能し、腫瘍細胞への細胞毒性効果を引き起こすことができる。
重鎖抗体は軽鎖を含んでいない。したがって、重鎖および軽鎖の可変領域(ドメイン)の機能的折畳みを必要とする従来の抗体の結合領域とは対照的に、その結合領域は、単一のドメインであるVHH(約15kDa)によって形成されている。機能を有するVHHの発現には単一の遺伝子セグメントしか必要としないことより、これらのVHHは、構成要素として好適である(Conrath KE, Lauwereys M, Wyns L, Muyldermans S 2001. Camel single-domain antibodies as modular building units in bispecific and bivalent antibody constructs. J. Biol. Chem. 276:7346-7350)。該重鎖抗体断片(または多量体誘導体)は、酵母、大腸菌、または他の微生物等の、哺乳類細胞発酵培養と比較して安価な発現系を使用して、発酵槽中で容易に「一斉に」産生させることができる(欧州特許第0 698 097号)。
さらに、ラクダ科ナノボディは、Tmが60℃〜80℃の範囲で、予想外に高い熱安定性および極端なpHおよび変性剤等の過酷な条件に対する耐性を有することが示され(Ewert Sら、Biochemistry 2002 Mar 19; 41(11):3628- 36、Perezら、Biochemistry, 2001, 40: 74-83)、そのため、それらは経口投与による送達に好適である。これは、特に、従来の抗体およびそれらの誘導体(scFv等)と比較してより優れた標識効率を可能にする。それ自体、優れた画像化の結果または治療効率をもたらす、より高い特異的な活性を得ることができる。さらに、ラクダ化ナノボディは、保存安定性がより高い(Perezら、Biochemistry, 40, 74, 2001)。VHHは、最小の抗原結合部位(15kDa)であるため、それらは、固形腫瘍塊中における最適な分布を得るために非常に適している。VHHは、すでにインビボにおける成熟を受けている、天然に存在する重鎖抗体に由来するものであるため、時間と手間を要するインビトロにおける親和性成熟を全く必要としない。EGFR(EGFR)およびインスリン増殖因子受容体(IGF−IR)等の腫瘍特異的または腫瘍関連抗原に結合する1個以上の単一ドメイン抗体(特にナノボディ)を含むポリペプチド、前記ポリペプチドのホモローグおよび機能性部位を提供することが本発明の目的である。前記ポリペプチドは、i)天然のリガンドの受容体への結合を阻害し、および/またはii)受容体の下方制御を誘導し、および/またはiii)受容体のホモおよびヘテロ2量化を阻害し、および/またはiv)ヒト細胞におけるアポトーシスを誘導し、それにより結合時のEGFRの生体活性を改変し、v)標識化したポリペプチドを使用することによりIGF−IRおよび/またはEGFRを発現した腫瘍細胞を検出し、vi)その腫瘍抗原への結合により細胞に対する細胞毒性効果を有することが可能である。該ポリペプチドは、EGFRのリガンド結合溝の中に結合してもよく、リガンド結合溝の中に結合しなくてもよい。該ポリペプチドは、単一ドメイン抗体である。
抗ガン剤等の治療効果を有する化合物と結合し、あるいはMRIまたはCAT−スキャンにおける可視化に好適な造影剤と結合したナノボディまたはポリペプチドを提供することが、本発明の他の目的である。
本発明の一実施態様は、EGFRまたはIGF−IRにそれぞれ指向性のある少なくとも1個の単一ドメイン抗体を含む、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、少なくとも1個の単一ドメイン抗体が重鎖可変領域である、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、少なくとも1個の単一ドメイン抗体がVHHまたはナノボディである、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、少なくとも1個の単一ドメイン抗体が、抗原結合能を実質的に変化させずに1個以上のアミノ酸残基が置換されたVHHである、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、少なくとも1個の単一ドメイン抗体が、抗原結合能を実質的に変化させずに1個以上のアミノ酸残基が置換された、具体的にはラクダ化されたVHである、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、少なくとも1個の単一ドメイン抗体がヒト化VHHである、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、前記少なくとも1個の単一ドメイン抗体が、全長単一ドメイン抗体の相同配列、機能性部位、または相同配列の機能性部位である、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、少なくとも1個の、共有結合をした、または半減期を増大させるために組み換えによって融合した物質をさらに含む、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、前記半減期を増大させるための物質が、ポリエチレングリコール、血清タンパク質のいずれかである、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、前記物質が血清タンパク質に指向性を有する単一ドメイン抗体である、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、前記血清タンパク質が、血清アルブミン、血清免疫グロブリン、チロキシン結合タンパク質、トランスフェリンまたはフィブリノゲンのいずれかである、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、前記血清タンパク質がヒト由来である、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、前記単一ドメイン抗体が、全長単一ドメイン抗体の相同配列、機能性部位、または相同配列の機能性部位である、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、前記ポリペプチドが、全長単一ドメイン抗体の相同配列、機能性部位、または相同配列の機能性部位である、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、EGFRまたはIGF−IRに指向性を有する単一ドメイン抗体の数が少なくとも2である、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、前記少なくとも2個の単一ドメイン抗体が、リンカー配列を用いずに頭尾結合されている、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、前記少なくとも1個の単一ドメイン抗体が、EGFRに結合でき、受容体を内在化することができるが、トランスフェリンと共局在化することはできない、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、1個以上の放射性同位元素をさらに含む、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、少なくとも1個の放射性同位元素が、188Re、131Iまたは211Atのいずれかである、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、1個以上の抗ガン剤をさらに含む、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、前記少なくとも1個の抗ガン剤が、アントラサイクリン、メトトレキセート、ビンデシン、シスプラチン、リシン、カリケアマイシン、またはサイトカインのいずれかである、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、プロドラッグを活性化することができる1個以上の酵素をさらに含む、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドをコードする核酸である。
本発明の別の実施態様は、炎症過程に関連する疾患を治療および/または予防および/または軽減するための、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチド、または前記ポリペプチドをコードする核酸である。
本発明の別の実施態様は、悪性腫瘍に関連する疾患を治療および/または予防および/または軽減するための、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチド、または前記ポリペプチドをコードする核酸である。
本発明の別の実施態様は、悪性腫瘍に関連する疾患を治療および/または予防および/または軽減する薬剤を調製するための、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチド、または前記ポリペプチドをコードする核酸の使用である。
本発明の別の実施態様は、前記腫瘍が、乳ガン、卵巣ガン、睾丸ガン、肺ガン、大腸ガン、直腸ガン、膵臓ガン、肝ガン、中枢神経系のガン、頭頸部ガン、腎臓ガン、骨ガン、血液およびリンパ系のガンからなる群から選択される、上記抗EGFRポリペプチド、抗IGF−IRポリペプチドまたは核酸である。
本発明の別の実施態様は、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチド、または前記ポリペプチドをコードする核酸と、好適な賦形薬とを含む組成物である。
本発明の別の実施態様は、下記の工程を含む、EGFRの疾患なシグナル伝達またはIGF−IRの存在を特徴とする疾患の診断方法である:
(a)サンプルを、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドと接触させる工程、
(b)前記ポリペプチドの前記サンプルへの結合を検出する工程、および
(c)前記サンプルと比べて結合の差が、それぞれ、EGFRの異常なシグナル伝達またはIGF−IRの存在を特徴とする疾患の診断に役立つ標準と、工程(b)において検出した結合とを比較する工程。
(a)サンプルを、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドと接触させる工程、
(b)前記ポリペプチドの前記サンプルへの結合を検出する工程、および
(c)前記サンプルと比べて結合の差が、それぞれ、EGFRの異常なシグナル伝達またはIGF−IRの存在を特徴とする疾患の診断に役立つ標準と、工程(b)において検出した結合とを比較する工程。
本発明の別の実施態様は、上記方法を用いて上記の疾患をスクリーニングするためのキットである。
本発明の別の実施態様は、単離した上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを含む、上記の疾患をスクリーニングするためのキットである。
本発明の別の実施態様は、それぞれ、EGFと1個以上のEGFR受容体との間の、またはIGF−IRと1個以上のIGF−IR受容体との間の相互作用を阻害するための上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの使用である。
本発明の別の実施態様は、下記の工程を含む、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを産生する方法である:
(a)上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドをコードすることができる核酸を含む宿主細胞を、ポリペプチドを発現させる条件下で培養する工程、および
(b)産生されたポリペプチドを培養物より回収する工程。
(a)上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドをコードすることができる核酸を含む宿主細胞を、ポリペプチドを発現させる条件下で培養する工程、および
(b)産生されたポリペプチドを培養物より回収する工程。
本発明の別の実施態様は、前記宿主細胞が細菌または酵母である、上記方法である。
本発明の別の実施態様は、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを含む、ガンをスクリーニングするためのキットである。
本発明の別の実施態様は、1個以上の造影剤をさらに含む、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、前記造影剤が、放射性標識、酵素標識、磁気共鳴常磁性キレート、および/または光学色素のいずれかである、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、画像化のための上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの使用である。
本発明の別の実施態様は、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを投与する工程を含む、EGFRまたはIGF−IR標的を画像化する方法である。
組成物、より好ましくは画像化のための診断用組成物を調製するための、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの使用。
本発明の別の実施態様は、抗EGFRまたは抗IGF−IR単一ドメイン抗体の数が少なくとも2である、上記方法である。
本発明の別の実施態様は、前記ポリペプチドが、微粒子、超音波バブル、ミクロスフェア、乳剤またはリポソーム中で被験体に投与される、上記方法である。
本発明の別の実施態様は、血清タンパク質に指向性を有する1個以上の単一ドメイン抗体に前記ポリペプチドを融合させる工程を含む、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドのそれぞれの受容体上への滞留時間を増大させる方法である。
本発明の別の実施態様は、前記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドが上記ポリペプチドである、上記方法である。
本発明の別の実施態様は、以下の工程を含む、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドのEGFRまたはIGF−IRへの結合を調節する薬剤を同定する方法である:
(a)候補調節剤の存在下または非存在下にて、前記ポリペプチドと対応する標的との間の結合が可能な条件下で、上述のポリペプチドを、EGFRまたはIGF−IR、もしくはこれらの断片である標的と接触させる工程、および
(b)前記候補調節剤の非存在下での結合に対する、前記候補調節剤の存在下での結合の減少により、前記候補調節剤が、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの、それぞれ、EGFRまたはIGF−IRへの結合を調節する薬剤であると同定される、ポリペプチドと工程(a)の標的との結合を測定する工程。
(a)候補調節剤の存在下または非存在下にて、前記ポリペプチドと対応する標的との間の結合が可能な条件下で、上述のポリペプチドを、EGFRまたはIGF−IR、もしくはこれらの断片である標的と接触させる工程、および
(b)前記候補調節剤の非存在下での結合に対する、前記候補調節剤の存在下での結合の減少により、前記候補調節剤が、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの、それぞれ、EGFRまたはIGF−IRへの結合を調節する薬剤であると同定される、ポリペプチドと工程(a)の標的との結合を測定する工程。
本発明の別の実施態様は、以下の工程を含む、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチド、もしくは抗IGF−IRポリペプチドのそれぞれの、EGFRまたはIGF−IRへの結合を介して、EGFRまたはIGF−IRが介在する疾患を調節する薬剤を同定する方法である:
(a)候補調節剤の存在下または非存在下にて、前記ポリペプチドと対応する標的との間の結合が可能な条件下で、上述のポリペプチドを、EGFRまたはIGF−IR、もしくはこれらの断片である標的と接触させる工程、および
(b)前記候補調節剤の非存在下での結合に対する、前記候補調節剤の存在下での結合の減少により、前記候補調節剤が、EGFRまたはIGF−IRが介在する疾患を調節する薬剤であると同定される、ポリペプチドと工程(a)の標的との結合を測定する工程。
(a)候補調節剤の存在下または非存在下にて、前記ポリペプチドと対応する標的との間の結合が可能な条件下で、上述のポリペプチドを、EGFRまたはIGF−IR、もしくはこれらの断片である標的と接触させる工程、および
(b)前記候補調節剤の非存在下での結合に対する、前記候補調節剤の存在下での結合の減少により、前記候補調節剤が、EGFRまたはIGF−IRが介在する疾患を調節する薬剤であると同定される、ポリペプチドと工程(a)の標的との結合を測定する工程。
本発明の別の実施態様は、下記の工程を含む、上述の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドのEGFRへの結合を介して、上皮細胞増殖因子のその受容体への結合を調節する薬剤を同定する方法である:
(a)候補調節剤の存在下または非存在下にて、前記ポリペプチドと対応する標的との間の結合が可能な条件下で、上述の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを、EGFR、またはこれらの断片、もしくはこれらの相同配列である標的と接触させる工程、および
(b)前記候補調節剤の非存在下での結合に対する、前記候補調節剤の存在下での結合の減少により、前記候補調節剤が、EGFRの天然のリガンドの結合を調節する薬剤であると同定される、ポリペプチドと工程(a)の標的との結合を測定する工程。
(a)候補調節剤の存在下または非存在下にて、前記ポリペプチドと対応する標的との間の結合が可能な条件下で、上述の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを、EGFR、またはこれらの断片、もしくはこれらの相同配列である標的と接触させる工程、および
(b)前記候補調節剤の非存在下での結合に対する、前記候補調節剤の存在下での結合の減少により、前記候補調節剤が、EGFRの天然のリガンドの結合を調節する薬剤であると同定される、ポリペプチドと工程(a)の標的との結合を測定する工程。
本発明の別の実施態様は、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドと、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれ、もしくはこれらの断片とを含む、EGFRが介在する、または抗IGF−IRが介在する疾患を調節する薬剤をスクリーニングするためのキットである。
本発明の別の実施態様は、上記ポリペプチドのEGFRまたはIGF−IRへの結合を調節し、上記方法によって同定される未知の薬剤である。
本発明の別の実施態様は、EGFRが介在する、または抗IGF−IRが介在する疾患を調節し、上記方法によって同定される未知の薬剤である。
本発明の別の実施態様は、前記疾患が、ガン、関節リウマチ、乾癬、または肺における粘液の分泌過多のうち1個以上である、上記未知の薬剤である。
本発明の別の実施態様は、不活性化なしに胃の環境を通過することが可能な、EGFRまたはIGF−IRアンタゴニストを送達することによる調節の影響を受けやすい疾患を治療および/または予防および/または軽減するための上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、不活性化なしに胃の環境を通過することが可能な、EGFRまたはIGF−IRアンタゴニストを送達することによる調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための薬剤を調製するための、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの使用である。
本発明の別の実施態様は、EGFRまたはIGF−IRアンタゴニストを膣および/または消化管へ不活性化なしに送達することによる調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療および/または予防および/または軽減するための、上記ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、EGFRまたはIGF−IRアンタゴニストを膣および/または消化管へ不活性化なしに送達することによる調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための薬剤を調製するための、上記ポリペプチドの使用である。
本発明の別の実施態様は、EGFRまたはIGF−IRアンタゴニストを上気道または肺へ不活性化なしに送達することによる調節の影響を受けやすい疾患を治療および/または予防および/または軽減するための上記ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、上気道または肺へ治療化合物を送達することが必要な疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための薬剤を調製するための、上記ポリペプチドの使用である。
本発明の別の実施態様は、EGFRまたはIGF−IRアンタゴニストを腸粘膜へ不活性化なしに送達することよる調節の影響を受けやすい、腸粘膜の透過性を増大させる疾患を治療および/または予防および/または軽減するための上記ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、EGFRまたはIGF−IRアンタゴニストを不活性化なしに送達することによる調節の影響を受けやすい、腸粘膜の透過性を増大させる疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための薬剤を調製するための、上記ポリペプチドの使用である。
本発明の別の実施態様は、EGFRまたはIGF−IRアンタゴニストを舌下組織へ不活性化なしに送達することによる調節の影響を受けやすい疾患を治療および/または予防および/または軽減するための上記ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、EGFRまたはIGF−IRアンタゴニストを舌下組織へ不活性化なしに送達することによる調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための薬剤を調製するための、上記ポリペプチドの使用である。
本発明の別の実施態様は、EGFRまたはIGF−IRアンタゴニストを不活性化なしに皮膚を通して送達することによる調節の影響を受けやすい疾患を治療および/または予防および/または軽減するための上記ポリペプチドである。
本発明の別の実施態様は、EGFRまたはIGF−IRアンタゴニストを不活性化なしに皮膚を通して送達することによる調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための薬剤を調製するための、上記ポリペプチドの使用である。
本発明の別の実施態様は、上記ポリペプチド、核酸または薬剤、上記ポリペプチド、核酸または薬剤の使用、上記ポリペプチド、前記疾患が、ガン、関節リウマチ、乾癬、または肺における粘液の分泌過多である上記ポリペプチドの使用、である。
本発明の別の実施態様は、EGFと1個以上のEGFRとの間の相互作用を阻害するための上記ポリペプチドの使用である。
本発明の別の実施態様は、下記のものを含む治療用組成物である。
(a)前記VHHが前記腫瘍細胞のEGFRまたはIGF?IRに結合することにより、ヒト腫瘍細胞の成長を阻害するVHH
(b)抗腫瘍剤
本発明の別の実施態様は、下記のものを含む治療用組成物である。
(a)前記VHHが前記腫瘍細胞のEGFRまたはIGF?IRに結合することにより、ヒト腫瘍細胞の成長を阻害するVHH
(b)抗腫瘍剤
本発明の別の実施態様は、成分の個別投与のための上記治療用組成物である。
本発明は、EGFRに指向性を有する少なくとも1個の単一ドメイン抗体を含む抗EGFR(EGFR)ポリペプチドに関する。また、本発明は、IGF?IRに指向性を有する少なくとも1個の単一ドメイン抗体を含む抗IGF?IR受容体にも関する。また、本発明は、前記ポリペプチドをコードすることができる核酸にも関する。
EGFRは、多くのガン細胞の表面上に過剰発現しており、この過剰発現は、予後の不良、進行、生存期間の短縮、および化学療法またはホルモン療法に対する耐性に関連している。また、EGFRの過剰発現は、細胞周期の調節を改変し(腫瘍細胞の増殖を増大させ)、アポトーシスを阻害すると共に血管新生を促進する。したがって、腫瘍細胞におけるEGFRに関連するシグナル伝達の遮断により、(i)腫瘍細胞の増殖の阻害、(ii)細胞周期の阻害、(iii)アポトーシスの誘導、および(iv)血管新生の阻害が生じる。
本発明の医薬組成物は、EGFの受容体への結合を遮断し、EGFの結合によって誘導される受容体チロシンキナーゼの活性化を阻害(チロシンのリン酸転移を阻害)し、受容体の内在化を刺激し、インビトロの細胞培養物においてEGFによる細胞増殖を阻害し、顕著なアポトーシス促進効果を有し、VEGF産生の下方制御および微細血管数の減少を起こす、強力な抗血管新生活性を有している。これらの効果は、医薬組成物が他の抗腫瘍治療と組み合わされた場合に増大する。
本発明の一実施態様は、少なくとも1個の本発明のポリペプチドと、少なくとも1個の医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とを含む医薬組成物に関する。
好ましいが非限定的な実施態様によると、前記医薬組成物は、経口投与に好適である。
本発明の一態様によると、ナノボディは、重鎖抗体より誘導されるポリペプチドであり、そのフレームワーク領域および相補性決定部位は、単一ドメインポリペプチドの一部である。該重鎖抗体の例としては、天然に存在する、軽鎖を欠く免疫グロブリンが挙げられるがこれらに限定されない。該免疫グロブリンは、例えば、WO第94/04678号に開示している。
この独特な種類の重鎖抗体の抗原結合部位は、単一の可変領域を含む独自の構造を有する。明確性という理由により、自然に軽鎖を欠く重鎖抗体より誘導される可変領域は、本明細書において、VHHまたはVHHドメインまたはナノボディとして知られている。該VHHドメインペプチドは、例えば、ラクダ、ヒトコブラクダ、ラマ、アルパカ、およびグアナコ等のラクダ科の種より得られる抗体より誘導することができる。ラクダ科以外の他の種(例えば、サメ、フグ)にも、自然に軽鎖を欠く機能性抗原結合性重鎖抗体を産生するものがある。該重鎖抗体より誘導されるVHHドメインは、本発明の範囲内に包含される。
ラクダ科抗体は、独自かつ広範な、軽鎖を欠く機能性重鎖抗体を発現する。ラクダ科抗体より誘導されるVHH分子は、既知の完全な結合性領域のうち最小のものであり(約15kDa、または従来のIgGよりも10倍小さい)、そのため、密集した組織への送達および高分子間の限られた空間への到達に非常に適している。
ナノボディの他の例としては、1個以上のアミノ酸残基をラクダ科特有の残基に置換すること(いわゆる重鎖抗体のラクダ化、WO第94/04678号)により改変された、従来の4本鎖抗体のVHドメインより誘導されるナノボディが挙げられる。該位置は、37、44、45、47、103、および108位を含むVH−VLインターフェースにおいて、およびいわゆるラクダ科特徴残基(WO第94/04678号)において優先的に起こりうる。
ナノボディは、単一の免疫グロブリン(Ig)領域により形成される、小さく、頑強で効率的な認識単位に相当する。
本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドおよびそれらの誘導体は、低い毒性および高い選択性等の従来の抗体に対する有利な特徴を有するだけでなく、他の性質も示す。これらは溶解性がより高く、そのため、従来の抗体と比較して高濃度で保存および/または投与することができる。
従来の抗体は室温で安定ではなく、調製および保存のために冷蔵しなければならず、冷却が必要な実験設備、保存および輸送手段を要し、時間および費用を要する一因となっている。本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、室温で安定であり、そのため、それらは冷蔵設備を用いることなく調製、保存および/または輸送することができ、費用、時間および環境負荷を低減することができる。さらに、従来の抗体は、生体活性な温度範囲(例えば、37±20℃)外において実行されるアッセイまたはキットにおける使用には好適でない。
従来の抗体と比較した場合における、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの別の有利な性質としては、本発明にしたがい、例えば、アルブミンとの結合、または、例えば血清アルブミン等の血清タンパク質に指向性を有する1個以上のナノボディとの結合によって調節することができる循環時の半減期の調節が挙げられる。本発明のある態様は、血清アルブミン等の血清タンパク質に対する特異性と、参照により本明細書に組み入れられるWO第04/041865号に開示した標的に対する特異性とを有する二特異性抗EGFRポリペプチドである。半減期を増大させるための別の手段としては、本発明のポリペプチドの、Fcもしくは他のEGFRに指向性を有するナノボディとのカップリング(二価、三価等の多価ナノボディの創製)またはポリエチレングリコールとのカップリングが挙げられる。半減期が制御可能であることは、即効性を有する用量を調節する上で望ましい。
従来の抗体は、通常の生理的pH範囲外の環境における使用のためには好適でない。それらは、低および高pHにおいて不安定であり、そのため、経口投与に適していない。ラクダ化抗体は、極端なpH、変性剤、および高温等の過酷な条件に対する耐性を有しており、そのため、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは経口投与による送達に好適である。ラクダ化抗体は、タンパク質分解酵素に対して耐性を示すが、従来の抗体は耐性が低い。
従来の抗体の発現収率は非常に低く、その産生方法は、非常に手間がかかる。さらに、完全であり、機能を有する抗体を発現させるために必要な哺乳類細胞系は、時間および装置の観点から高いレベルの補助を必要とし、収率が非常に低いため、前記抗体の製造または小スケールでの産生は高価である。本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、高価な哺乳類細胞培養設備を必要とする従来の抗体とは異なり、大腸菌および酵母等の便利な組換え宿主生物中において、発酵により安価に産生させることができ、達成可能な発現レベルが高い。本発明のポリペプチドの収率の例は、1〜10mg/ml(大腸菌)および最大1g/l(酵母)である。
本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、広範な、異なった抗原タイプに対する高い結合親和性、従来の抗体によって認識されないエピトープに対する結合能を示し、例えば、それらは、キャビティ内に侵入する可能性を有する長いCDR3ループを示す。
本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、WO第96/34103号(参照により本明細書に援用される)に開示した(頭尾)融合によって、容易に二官能性または多官能性分子を生成することができる。
サイズが小さいことにより、本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを、従来の抗体よりも、組織への浸透性が良く、および身体のあらゆる部位に到達する能力に優れたものとすることができる。
サイズが小さいことにより、本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを、従来の抗体よりも、組織への浸透性が良く、および身体のあらゆる部位に到達する能力に優れたものとすることができる。
ラマ単一ドメイン抗体は、脳−血液関門を通過することができる。本発明の一実施態様では、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、血液脳関門を通り抜けることができる。本発明の別の実施態様では、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、脳−血液関門を通り抜けることができない。
本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、従来の抗体よりも免疫原性が低い。ヒトVHフレームワーク領域に対して95%のアミノ酸相同性を示すラクダ化抗体のサブクラスが発見されている。このことは、ヒト患者への投与時に免疫原性は低いか全く存在しないことが期待できることを示唆している。あるいは、そういう必要がある場合、ナノボディのヒト化は、驚くべきことに、置換が必要なわずか数個の残基の置換しか必要としない。
好ましいが非限定的な一実施態様によると、本発明のポリペプチドは、4〜11の等電点を有している。好ましくは、本発明のポリペプチドは、5〜10の等電点を有している。
好ましいが非限定的な一実施態様によると、本発明のポリペプチドは、共有結合している2本のアミノ酸鎖(本明細書において「重鎖」と呼ばれる)を含んでいる。
本発明の重鎖は、好ましくはジスルフィド結合を介して結合している。より好ましくは、本発明の重鎖は、ジスルフィド結合を形成しているシステイン残基を介して結合している。
好ましいが非限定的な一実施態様によると、本発明の重鎖は、約35kDa〜50kDaの分子量を有する。分子量は、Hamers-Castermanら(Nature 1993)の記載にしたがって決定する。好ましくは、本発明の重鎖は、40kDa〜50kDaの分子量を有する。
より好ましくは、本発明の重鎖は、41kDa〜49kDa、42kDa〜48kDa、43kDa〜47kDa、または44kDa〜46kDaの分子量を有する。最も好ましくは、本発明の重鎖は、43kDa〜46kDaの分子量を有する。
好ましいが非限定的な一実施態様によると、本発明の重鎖は、43kDaの分子量を有する。
好ましいが非限定的な別の実施態様によると、本発明の重鎖は、46kDaの分子量を有する。
単一ドメイン抗体とは、その相補性決定領域が単一ドメインポリペプチドの一部である抗体である。例としては、重鎖または軽鎖抗体、自然に軽鎖を欠く抗体、従来の4本鎖抗体より誘導される単一ドメイン抗体、従来の抗体由来のVHドメイン、これらの一部をコードするそれぞれのヒト生殖細胞系配列、これらの抗体より誘導されるもの以外の組換え抗体および単一ドメイン骨格が挙げられるがこれらに限定されない。単一ドメイン抗体は、任意の従来のまたは任意の将来の単一ドメイン抗体であってよい。単一ドメイン抗体は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、サメ、フグ、ヤギ、ウサギ、ウシ等が挙げられるがこれらに限定されない任意の種より誘導することができる。本発明の一実施態様によると、本発明で使用する単一ドメイン抗体は、天然に存在する軽鎖を欠く免疫グロブリンである。該単一ドメイン抗体は、例えば、WO第94/04678号において開示されている。明確性の理由により、自然に軽鎖を欠く重鎖抗体より誘導される可変領域は、本明細書において、4本鎖免疫グロブリンの従来のVHに由来するものと区別するために、VHHまたはまたはナノボディとして知られている。該VHH分子は、例えば、ラクダ、ヒトコブラクダ、ラマ、ビクーニャ、アルパカおよびグアナコ等のラクダ科の種より得られた抗体より誘導することができる。ラクダ科以外の別の種(例えば、サメ、フグ)にも、自然に軽鎖を欠く機能性抗原結合性重鎖抗体を産生するものがあり、該重鎖抗体より誘導されるVHHは、本発明の範囲内に包含される。
本発明によるナノボディは、WO第94/04678号に記載の、ラクダ科より誘導されたもの等の、自然に軽鎖を欠く免疫グロブリンより誘導される重鎖可変領域(以下、VHHドメインまたはナノボディと呼ぶ)である。VHH分子は、IgG分子よりも10倍小さい。これらは単一のポリペプチドで、非常に安定であり、極端なpHおよび温度条件に耐久性を有する。さらに、微生物宿主中における発現により、高収率で、適切に折り畳まれた機能性VHHが産生される。したがって、哺乳類宿主における発現を避けることができる。
さらに、これらは、タンパク質分解酵素に対して耐性を示すが、従来の抗体は耐性が低い。本発明のVHHは、一般に、従来の抗体よりも、消化管のタンパク質分解酵素による消化に対し高い抵抗性を示す。このため、該VHHを、経口経路による取り込みを介して治療に使用することが可能になる。さらに、本発明のVHHは、ヒト血清中37℃でインキュベートした場合、数ヶ月にわたって安定であることが示されている。
さらに、ラクダ科において生成された抗体は、インビトロにおいて、抗体ライブラリーの使用によって、またはラクダ科以外の哺乳類を免疫することによって生成された抗体によって認識されるもの以外のエピトープを認識する(WO第97/49805号)。したがって、抗EGFRまたは抗IGF−IRVHHは、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれと結合する際に、従来の抗体よりも効率的に相互作用し、または独自の生体効果を誘導することができ、それにより、それぞれの受容体上において、より効率的にEGFRリガンドとの相互作用をブロックし、またはIGF−IR抗原の活性をブロックすることができる。VHHは、キャビティまたは溝等の「普通でない」エピトープと結合することが知られているため(WO第97/49805号)、該VHHの親和性は、治療のためにより好適である。
IMC-C225、ABX-EGF、Humax-EGFR、hR3およびEMD72000等の、EGFRに指向性を有する抗体が、ヒトのガン細胞において増殖抑制効果を示すことが報告されている。これらの生物学的機構は、これらのEGFRに指向性を有する抗体が、リガンドのEGF受容体の細胞外領域への結合を阻害し、そのため、細胞増殖に必要な、受容体に媒介される下流のシグナル伝達を阻止する能力によって説明される。細胞増殖抑制効果を示す市販のEGFR抗体の1つは、最近、イリノテカンとの複合療法における結腸直腸ガンの治療について承認されたエルビタックス(キメラ化されたマウスモノクローナル抗体225)である。細胞がEGF受容体を介するシグナル伝達を低下させる機構の1つは、受容体の捕捉または下方制御の機構である。リガンドの受容体への結合後、細胞は、リガンド−受容体複合体を内在化させ、リソソーム中でリガンド−受容体複合体を分解することにより、受容体のシグナル伝達を下方制御することができる。
本発明者らは、ある抗EGFRナノボディが、驚くべきことに、EGF、TGFαおよび/またはエルビタックスと拮抗しうることを見出した。新規な抗EGFRナノボディは、3個のタイプのリガンド拮抗性ナノボディに機能上分類することができる。異なる種類のナノボディの非限定的な例は、下記のとおりである:
‐タイプAのナノボディ(EGFRの細胞外領域に結合し、EGFR上のEGF、TGFα結合部位と拮抗するが、エルビタックス結合部位とは拮抗しない。該ナノボディの例は、27-10-E8(配列番号80:ファミリーI)およびPMP7A5(配列番号84;ファミリーIII)である)。
‐タイプBのナノボディ(EGFRの細胞外領域に結合し、EGFR上のEGF、エルビタックス、およびTGFα結合部位と拮抗する。該ナノボディの例は、PMP7D12およびPMP7C12(配列番号81〜82:ファミリーII)である)。
‐タイプCのナノボディ(EGFRの細胞外領域に結合し、EGFRの下方制御において、TGFα結合部位と拮抗するが、EGFまたはエルビタックス結合部位とは拮抗しない。該ナノボディの例は、PMP8C7(配列番号90:ファミリーXIII)である)。
‐タイプAのナノボディ(EGFRの細胞外領域に結合し、EGFR上のEGF、TGFα結合部位と拮抗するが、エルビタックス結合部位とは拮抗しない。該ナノボディの例は、27-10-E8(配列番号80:ファミリーI)およびPMP7A5(配列番号84;ファミリーIII)である)。
‐タイプBのナノボディ(EGFRの細胞外領域に結合し、EGFR上のEGF、エルビタックス、およびTGFα結合部位と拮抗する。該ナノボディの例は、PMP7D12およびPMP7C12(配列番号81〜82:ファミリーII)である)。
‐タイプCのナノボディ(EGFRの細胞外領域に結合し、EGFRの下方制御において、TGFα結合部位と拮抗するが、EGFまたはエルビタックス結合部位とは拮抗しない。該ナノボディの例は、PMP8C7(配列番号90:ファミリーXIII)である)。
したがって、本発明の一実施態様は、特異的にEGFRの細胞外領域に結合し、EGFR上のEGF、TGFα結合部位と拮抗するが、EGFR上のエルビタックス結合部位とは拮抗しない単一ドメイン抗体またはナノボディを含む抗EGFRポリペプチドである。本発明の別の実施態様は、特異的にEGFRの細胞外領域に結合し、EGFR上のEGF、エルビタックス、およびTGFα結合部位と拮抗する単一ドメイン抗体またはナノボディを含む抗EGFRポリペプチドである。本発明のさらに別の実施態様では、特異的にEGFRの細胞外領域に結合し、EGFR上のTGFα結合部位と拮抗するが、EGFR上のEGFまたはエルビタックス結合部位とは拮抗しない単一ドメイン抗体またはナノボディを含む抗EGFRポリペプチドである。
本発明の一態様は、少なくとも1個の抗EGFRナノボディを含む抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。該ポリペプチドが他の成分を含んでいることは、本発明の一態様である。該成分は、例えば、1個以上の抗EGFRナノボディ、1個以上の抗体IGF−IRナノボディ、1個以上の抗血清アルブミンナノボディ等のポリペプチド配列であってよい。他の融合タンパク質は、本発明の範囲内に包含され、例えば、担体タンパク質、シグナリング分子、タグ、および酵素との融合タンパク質が挙げられる。他の成分としては、例えば、放射性標識、有機色素、蛍光化合物が挙げられる。
本発明の一実施態様は、EGFRまたはIGF−IRそれぞれ、または密接に関係するファミリーの構成要素に指向性を有するラクダ科VHHに対応する配列からなる、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
本発明の単一ドメイン抗体は、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれ、または密接に関係するファミリーの構成要素に指向性を有する。
本発明の別の実施態様は、EGFRに指向性を有する少なくとも2個の単一ドメイン抗体を含む、本明細書に開示する、多価抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。本発明の別の実施態様は、IGF−IRに指向性を有する少なくとも2個の単一ドメイン抗体を含む、本明細書に開示する、多価抗IGF−IRポリペプチドである。該多価抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、標的に対する異常に高い機能的親和性、一価の類縁体と比較して期待されるよりもはるかに高い阻害性を示すという利点を有する。
多価抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、母体となる一価抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドそれぞれよりも、数桁大きい機能的親和性を有する。本発明者らは、これらの多価ポリペプチドの機能的親和性が、従来報告されている二価および多価抗体よりもはるかに高いことを見出した。驚くべきことに、直接、または短いリンカー配列を介して互いに結合した単一ドメイン抗体を含む本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、従来の多価4本鎖抗体で理論的に予測される程度の、高い機能的親和性を示す。
本発明者らは、このように大きな機能的活性の増大は、好ましくは、多重ドメインおよび多量体タンパク質よりなる抗原を用いて、直接的な結合アッセイ、または細胞毒性アッセイ等の機能アッセイのいずれにおいても決定できることを見出した。
また、本発明者らは、多価ポリペプチドが、それらの標的であるIGF−IRおよび/またはEGFRのそれぞれに対し、滞留時間および/または親和性/結合性を増大させたことを見出した。これらの多量体ポリペプチドは改変して、放射性標識、酵素標識、もしくは磁気共鳴常磁性キレートによる標識、もしくは微粒子、超音波バブル、ミクロスフェア、乳剤またはリポソーム中への封入、もしくは結合部位を光学色素と結合させることにより、IGF−IRまたはEGFR特異的な造影剤を提供することができる。
本明細書で使用する多価抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドとは、共有結合により結合した2つ以上の抗EGFR単一ドメイン抗体を含むポリペプチドを指す。本明細書で使用する多価抗IGF−IRポリペプチドとは、共有結合により結合した2つ以上の抗IGF−IR単一ドメイン抗体を含むポリペプチドを指す。抗EGFRまたはIGF−IR単一ドメイン抗体は、配列において同一であってもよく、配列において異なっていてもよいが、同一の標的またはそれらの同一の抗原またはエピトープに対して指向性を有している。あるいは、該多価コンストラクトは、同一の標的の異なるエピトープをに対して指向性を有してもよい。
結合した抗EGFRまたはIGF−IR単一ドメイン抗体の数に応じて、多価抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、二価(2つの抗EGFR単一ドメイン抗体または2個の抗IGF−IR単一ドメイン抗体)、三価(3つの抗EGFRまたは抗IGF−IR単一ドメイン抗体)、4価(4つの抗EGFRまたは抗IGF−IR単一ドメイン抗体)、またはより価数の高い分子であってよい。
本発明の別の態様によると、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、少なくとも2個の抗EGFRナノボディを含んでいてよい。該ポリペプチドが上記他の成分を含んでいてよいことは、本発明の一態様である。
2個の抗EGFRナノボディまたは2個の抗IGF−IRナノボディを含む本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの例は、以下の表4(配列番号122〜133、および141〜143)、および表6(配列番号134〜135)それぞれに記載のポリペプチドである。
本発明のさらなる一態様によると、本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに指向性を有する1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15または15以上のナノボディを含んでいてよい。
本発明の一態様によると、本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、少なくとも2つの同一の、または同一でない抗EGFRナノボディ配列を含んでいてよい。上記配列のうち少なくとも2つがEGFRに対し等しい親和性を有しておらず、そのため、親和性の低い結合性配列と高い結合性配列とを結合させた抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを形成することは、本発明の一態様であってよい。
EGFRまたはIGF−IRそれぞれに指向性を有する2個の同一のナノボディを含む本発明の二価抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの例としては、以下の表4(配列番号122〜133)、および表6(配列番号134〜135)のそれぞれに記載のポリペプチドが挙げられる。
後述のように、ナノボディは、リンカー配列と、またはリンカー配列なしに結合していてよい。
二価ポリペプチドを構築する方法は当技術分野で周知であると共に(例えば、米国特許出願公開第2003/0088074号)、以下に説明する。
治療効果を増大させるために、エフェクター機能に関して本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを改変することが望ましい。例えば、あるFc領域とのナノボディ融合体、特にヒト由来のFc領域との融合体は、有利であり得る。
また、本発明は、本明細書に開示した、被験体の血清タンパク質に指向性を有する1個以上のナノボディをさらに含む抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドが、驚くべきことに、前記被験体の循環において、前記ポリペプチドの一部でない場合に抗EGFRまたはIGF−IRナノボディの半減期と比較して、大幅に長い半減期を有するという発見に関する。さらに、前記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、例えば、マウス中で完全な状態を維持する高い安定性、極端なpHに対する耐久性、高温安定性、ならびに高い標的特異性および親和性等の、上記ナノボディと同様の望ましい性質を有することが見出された。
このように、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに指向性を有する1個以上のナノボディ、および血清タンパク質に対する特異性を有する1個以上のナノボディを含む、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれのみを標的にするポリペプチドよりもはるかに効率が高い。
例えば、EGFRに対する1個のナノボディと、血清アルブミンに対する1個のナノボディとを含む二特異性抗EGFRポリペプチドの例は、本質的にWO第05/044858号およびWO第04/041867号に記載のものであってよい。
血清タンパク質は、被験体の血清中に見られる任意の好適なタンパク質またはそれらの断片であってよい。本発明の一態様において、血清タンパク質は、血清アルブミン、血清免疫グロブリン、チロキシン結合タンパク質、トランスフェリンまたはフィブリノゲンのいずれかである。被験体は、例えば、ウサギ、ヤギ、マウス、ラット、ウシ、子ウシ、ラクダ、ラマ、サル、ロバ、モルモット、ニワトリ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、および好ましくはヒトであってよい。効果的な治療のために必要な半減期、および/または標的抗原の局在化等の使用目的に応じて、対となるナノボディは、上記血清タンパク質の1個に指向性を有するものであってよい。
本発明の一態様によると、本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチド中の血清タンパク質に指向性を有するナノボディの数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、または15以上である。
本発明の別の態様は、ポリペプチドのインビボにおける半減期を増大させるために、共有結合により(結合)、または非共有結合により結合した少なくとも1個の物質をさらに含む抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。半減期を増大させる物質の例は当技術分野で周知であり、例えば、ポリエチレングリコールおよび血清アルブミンが挙げられる。
二特異性および多重特異性ポリペプチドを形成するためにナノボディと他の物質とを結合させる方法は、当業者に公知であり、以下において説明する。
半減期を増大させるために、本発明による改変を受けていない本発明のポリペプチドは、身体より迅速に排出されるという特徴を有している。逆に、EGFRに指向性を有する1個以上のナノボディと、1個以上の抗血清タンパク質ナノボディとを含む二特異性ポリペプチドは、被験体の体内を数日間にわたって循環することができ、治療頻度を減少させ、体内における機能的活性の持続時間を増大させ、被験体に対する不便さを低減させ、それにより治療コストを低減させることができる。同様の有利な特徴は、半減期を増大させるための他の物質を含む本発明のポリペプチドについても見られる。
さらに、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの半減期が、ポリペプチド中に存在する抗血清タンパク質ナノボディの数によって制御できることは、本発明の一態様である。制御可能な半減期は、いくつかの状況、例えば、治療用抗EGFRポリペプチドの定期投与への応用において望ましい。
薬物動態解析および半減期の決定は、当業者によく知られている。詳細については、Kenneth, Aら、Chemical Stability of Pharmaceuticals: A Handbook for PharmacistsおよびPetersら、Pharmacokinete analysis: A Practical Approach (1996)に記載されている。「Pharmacokinetics」, M GibaldiおよびD Perron, Marcel Dekker社刊, 第2増補版(1982)も参照されたい。
本発明の一態様によると、ポリペプチドは、ポリペプチドのインビボにおける半減期を増大させることができる1個以上の分子に結合することができる。
半減期は、インビボにおいて、例えば、リガンドの分解および/または天然のメカニズムによるリガンドの排出もしくは捕捉により、ポリペプチドの血清濃度が50%に減少するのに要する時間である。本発明のポリペプチドは、インビボにおいて安定化されており、リガンドの分解および/または排出もしくは捕捉に抵抗性を有する分子との結合により、その半減期が増大している。通常、該分子は、それ自体インビボにおける長い半減期を有する天然に存在するタンパク質である。
インビボにおいて、その機能的活性が、半減期を増大させる分子に対して特異的でない同様のポリペプチドよりも長期間持続する場合、本発明のポリペプチドの半減期は増大する。したがって、HSAおよび標的分子に特異的な本発明のポリペプチドは、HSAに対する特異性が存在せず、HSAとは結合しないが他の分子と結合する同様のポリペプチドと比較される。例えば、それは標的分子の第2のエピトープに結合する。典型的には、半減期は10%、20%、30%、40%、50%以上増加する。2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、40倍、50倍またはそれを超えた範囲内の半減期の増大が可能である。それに代わり、またはそれに加えて、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、150倍の範囲内の半減期の増大が可能である。
通常、インビボにおいてポリペプチドの半減期を増大させることができる分子は、インビボにおいて天然に存在し、望ましくない物質を生体内より除去する内在的機構による分解または除去に対し抵抗性を有するポリペプチドである。例えば、生体における半減期を増大させる分子は、下記のものより選択することができる:
細胞外マトリックス由来のタンパク質;例えば、コラーゲン、ラミニン、インテグリンおよびフィブロネクチン。コラーゲンは、細胞外マトリックスの主要なタンパク質である。約15種類の、体内の異なる部位より見出されたコラーゲン、例えば、骨、皮膚、腱、靱帯、角膜、内臓において見られるI型コラーゲン(体内コラーゲンの約90%を占める)、または軟骨、椎間板、脊索、眼球の硝子体液中に見られるII型コラーゲンが、現在のところ知られている;
血液中に見られるタンパク質:フィブリン、α−2−マクログロブリン、血清アルブミン、フィブリノゲンA、フィブリノゲンB、血清アミロイドタンパク質A、ヘプタグロビン、プロフィリン、ユビキチン、子宮内グロブリンおよびβ−2−マクログロブリン等の血漿タンパク質等;
プラスミノーゲン、リソザイム、シスタチンC、α−1−アンチトリプシンおよび膵臓トリプシンインヒビター等の酵素および阻害剤。プラスミノーゲンは、トリプシン様のセリンプロテアーゼであるプラスミンの不活性前駆体である。これは、通常血流を介して循環していることが見出されている。プラスミノーゲンが活性化され、プラスミンに変換されると、血液細胞を凝集させ血栓を生成するフィブリノゲン繊維を分解する活性酵素領域を広げる。これは、線維素溶解と呼ばれる。
細胞外マトリックス由来のタンパク質;例えば、コラーゲン、ラミニン、インテグリンおよびフィブロネクチン。コラーゲンは、細胞外マトリックスの主要なタンパク質である。約15種類の、体内の異なる部位より見出されたコラーゲン、例えば、骨、皮膚、腱、靱帯、角膜、内臓において見られるI型コラーゲン(体内コラーゲンの約90%を占める)、または軟骨、椎間板、脊索、眼球の硝子体液中に見られるII型コラーゲンが、現在のところ知られている;
血液中に見られるタンパク質:フィブリン、α−2−マクログロブリン、血清アルブミン、フィブリノゲンA、フィブリノゲンB、血清アミロイドタンパク質A、ヘプタグロビン、プロフィリン、ユビキチン、子宮内グロブリンおよびβ−2−マクログロブリン等の血漿タンパク質等;
プラスミノーゲン、リソザイム、シスタチンC、α−1−アンチトリプシンおよび膵臓トリプシンインヒビター等の酵素および阻害剤。プラスミノーゲンは、トリプシン様のセリンプロテアーゼであるプラスミンの不活性前駆体である。これは、通常血流を介して循環していることが見出されている。プラスミノーゲンが活性化され、プラスミンに変換されると、血液細胞を凝集させ血栓を生成するフィブリノゲン繊維を分解する活性酵素領域を広げる。これは、線維素溶解と呼ばれる。
IgE、IgG、IgM等の免疫系タンパク質。
レチノール結合タンパク質、α−1マクログロブリン等の輸送タンパク質。
β−ディフェンシン1、抗中球ディフェンシン1、2、および3等のディフェンシン。
メラノコルチン受容体、ミエリン、アスコルビン酸塩輸送体の、脳血液関門または神経組織に存在するタンパク質。
トランスフェリン受容体特異的リガンド−神経治療剤融合タンパク質(米国特許第 5977307号参照);
脳毛細血管上皮細胞受容体、トランスフェリン、トランスフェリン受容体、インスリン、インスリン様増殖因子1(IGF1受容体)、インスリン様増殖因子2(IGF2受容体)、インスリン受容体。
ポリシスチン、IV型コラーゲン、有機アニオン輸送体KI、Heymann抗原等の、腎臓に局在化したタンパク質。
アルコール脱水素酵素、G250等の肝臓に局在化したタンパク質。
血液凝集要素X、α−1アンチトリプシン、HNF1α。
(IgAに結合した)分泌成分等の、肺に局在化したタンパク質。
HSP27等の、心臓に局在化したタンパク質。これは、拡張型心筋症に関連している。
ケラチン等の、皮膚に局在化したタンパク質。
骨形成活性を示す形質転換成長因子βスーパーファミリーの部分集合である骨形成タンパク質(BMP)等の、骨特異的タンパク質。
例としては、BMP−2、−4、−5、−6、−7(骨形成タンパク質(OP−1)、および−8(OP−2)とも呼ばれる)が挙げられる。
例としては、BMP−2、−4、−5、−6、−7(骨形成タンパク質(OP−1)、および−8(OP−2)とも呼ばれる)が挙げられる。
ヒトトロボブラスト抗原、ハーセプチン受容体、エストロゲン受容体、カテプシン類、例えばカテプシンB(肝臓および脾臓において見られる)等の腫瘍特異的タンパク質。
活性化T細胞においてのみ発現する抗原等の、疾患特異的タンパク質:LAG−3(リンパ球活性化遺伝子)、オステオプロテゲリンリガンド(OPGL)、OX40(活性化T細胞上で発現し、I型ヒトT細胞白血病ウィルス(HTLV−I)産生細胞において特異的に上方制御されることが知られている唯一の共刺激T細胞分子である、TNF受容体ファミリーの構成要素)、CG6512 Drosophila、ヒトパラプレギン、ヒトFtsH、ヒトAFG3L2、マウスftsH等の、(関節炎/ガンに関連する)メタロプロテアーゼ、酸性線維芽細胞増殖因子(FGF−1)、アルカリ性線維芽細胞増殖因子(FGF−2)、血管上皮増殖因子/血管透過因子(VEGF/VPF)、形質転換成長因子α(TGFα)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、アンジオゲニン、インターロイキン−3(IL−3)、インターロイキン−8(IL−8)、血小板由来上皮増殖因子(PD−ECGF)、胎盤増殖因子(PlGF)、ミッドカイン血小板由来増殖因子−BB(PDGF)、フラクタリン等の血管新生成長因子等。
ストレスタンパク質(熱ショックタンパク質):HSPは、細胞内に普通に見られる。細胞外部において見られる場合、細胞が死んで内容物が漏出していることを示す。このプログラム化されていない細胞死(ネクローシス)は、外傷、疾患または傷害の結果としてのみ、インビボにおいて起こり、細胞外のHSPは、感染または疾患と戦う免疫系からの応答を誘発する。細胞外のHSPと結合する二特異性により、疾患部位への局在化が可能である。
Fcの輸送に関与するタンパク質:Brambell受容体(FcRBとしても知られている)。このFc受容体は2つの機能を有し、共に送達のために非常に有用である。機能は、胎盤を通した母体から胎児へのIgGの輸送、およびIgGの分解からの保護による、血清中でのIgGの半減期の延長である。この受容体は、IgGをエンドソームより回収していると考えられる。
本発明によるポリペプチドは、インビボにおける半減期を増大させる必要がなく、または増大させずに、上記の標的に対して特異的であるようにデザインすることができる。例えば、本発明によるポリペプチドは、組織特異的である上記標的より選択される標的に対して特異的であってよく、それにより、結果的にそうなるにせよ、半減期の増大に関わりなく、ポリペプチドの組織特異的なターゲッティングが可能になる。さらに、ポリペプチドが腎臓または肝臓に指向性を有する場合、これにより、ポリペプチドを、インビボにおける別の排出経路に移行させることができる(例えば、ポリペプチドを、肝臓からの排出経路より、腎臓からの排出経路に変更することができる)。
本発明の別の実施態様は、1個以上のナノボディがヒト化された本明細書に記載の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。ヒト化されたナノボディは、抗EGFRナノボディであっても、抗IGF−IRナノボディであっても、抗血清アルブミンであっても、本発明により有用な別のナノボディであってもよく、またはこれらの組み合わせであってもよい。
本発明の一実施態様は、1個以上のヒト化抗EGFRまたはIGF−IRナノボディと、1個以上のヒト化抗ヒト血清アルブミンナノボディとを含む抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
ヒト化されたとは、ヒト患者への投与時の免疫原性の可能性が低いか全く存在しないような変異を受けていることを意味する。本発明によりポリペプチドをヒト化することは、非ヒト免疫グロブリンの1個以上のアミノ酸を、ヒトコンセンサス配列またはヒト生殖細胞系遺伝子配列において見られる、それらのヒト同族体によってポリペプチドがその通常の性質を失わないように、すなわち、ヒト化が得られるポリペプチドの抗原結合能に顕著な影響を与えないように置換する工程を含んでいてよい。
本発明の一態様によると、ヒト化ナノボディは、ヒトフレームワーク領域と、少なくとも50%の相同性(例えば、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、100%)を有する、上で定義するようなナノボディである。
本発明者らは、非相同性の種に対する免疫原性を低減させるために、天然の親和性を失わないように改変されている場合もあるナノボディのアミノ酸配列を決定した。
本発明者らは、ナノボディポリペプチドのヒト化には、劇的に結合性および/または阻害活性を失うことなく、単一のポリペプチド鎖においてわずかな数のアミノ酸の導入または突然変異誘発しか必要としないことを見出した。これは、軽鎖および重鎖の2本の分子鎖へのアミノ酸の変更の導入、および両者の分子鎖の会合の維持を必要とする、scFv、Fab、(Fab)2およびIgGのヒト化と対照的である。
本発明者らは、驚くべきことに、DP29、DP47およびDP51等のヒト生殖細胞系配列と高い相同性を有するフレームワーク領域を含む本発明者のナノボディが非常に効果的であることを見出した。これらは、ラクダ科に属する種等のいくつかの種において天然に見られる。該ナノボディは、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、メチオニン、セリン、スレオニン、アスパラギン、またはグルタミンからなる群に属するアミノ酸を、45位、例えばL45位に有することを特徴とする。さらに、それらは、ヒト生殖細胞系「J」トリプトファンを、Kabatの番号付けによる103位に有していてよい。この種類のラクダ科VHH、またはこの種類のフレームワーク配列のうち1個以上を有する変異ナノボディは、本発明の範囲内に包含される。
上記種類に属するナノボディ、またはこの種類の突然変異を有するナノボディは、ヒトVHフレームワーク領域と高いアミノ酸の相同性を示し、これらを含む本発明のポリペプチドは、それによる望ましくない免疫応答を起こすおそれなく、かつさらにヒト化する必要もなく、ヒトに直接投与することができる。また、本発明は、前記ポリペプチドをコードすることができる核酸にも関する。
ヒト化の手法は、任意のナノボディの残基を、単独で、または組み合わせで、生殖細胞系列VH遺伝子の対応するフレームワーク1、2、3(FR1、FR2、FR3)残基(DP47、DP29、およびDP51)で置換する工程を含む方法により実施してもよい。
本発明の一態様によると、ナノボディのヒト化は、前記ナノボディにおいて、後述の位置における1個以上のアミノ酸を、生殖細胞系列VH遺伝子のフレームワークに由来する対応するアミノ酸で置換することにより実行し、番号付けは、Kabatの番号付けによる。
本発明の一態様によると、非置換のナノボディのフレームワーク領域が、元のナノボディのフレームワークとして残っている。
本発明の一態様によると、FR1、FR2、およびFR3のうち1個以上の残基が、上記スキームにより置換されている。
本発明の一態様によると、FR1の、少なくとも1個、2個、3個、または全ての残基が、上記スキームにより置換されている。
本発明の一態様によると、FR2の、少なくとも1個、2個、3個、または全ての残基が、上記スキームにより置換されている。
本発明の一態様によると、FR3の、少なくとも1個、2個、3個、4個、5個、6個、または全ての残基が、上記スキームにより置換されている。
本発明の一態様によると、FR4の、少なくとも1個、2個、3個、または全ての残基が、上記スキームにより置換されている。
本発明の別の実施態様では、ヒト化ナノボディは、ナノボディのCDR領域の全部または一部を生殖細胞系列ヒトVHフレームワーク領域骨格に移植することによって得る。
本発明の一態様によると、ナノボディのヒト化は、前記ナノボディのCDR1、CDR2、およびCDR3のうち1つ以上を、生殖細胞系列ヒトVHフレームワーク領域骨格上に置換することにより実行される。好適なフレームワーク骨格の例としては、DP47、DP29、およびDP51のこれらが挙げられる。
上記ヒト化の方法により得られる本発明のナノボディは、本発明の一部である。
EGFRまたはIGF−IRに指向性を有する従来の4本鎖抗体には、軽鎖を除去し、1個以上のアミノ酸残基をラクダ科特有の残基で置換するように突然変異させるラクダ化がなされてもよい(例えば、参照により本明細書に援用されるWO第94/04678号を参照されたい)。該位置は、37、44、45、47、103、および108位を含むVH−VLインターフェース、およびいわゆるラクダ科特徴残基において優先的に見られる。該ラクダ化された抗体は、本発明によるナノボディである。少なくとも1個のナノボディが、1個以上のアミノ酸残基がナノボディの特異的な配列またはアミノ酸残基によって部分的に置換されているVHであるポリペプチドは、本発明によるナノボディである。
本明細書に開示した、2個以上のナノボディを含む任意の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを形成するために、公知の方法を用いて、上記ナノボディを結合させることができる。例えば、それらは、アミノ酸残基を、Blattlerらが報告したもの等(Biochemistry 24, 1517-1524、欧州特許第294703号)の有機誘導体化剤と反応させることによる化学的な架橋により融合することができる。あるいは、ナノボディは、DNAレベルで、すなわち、1個以上の抗EGFRまたは抗IGF−IRナノボディと、場合によっては1個以上の抗血清タンパク質ナノボディとを含む完全な抗EGFRまたはIGF−IRポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを形成することにより、遺伝学的に融合することができる。二価または多価ナノボディを製造する方法は、PCT国際出願であるWO第96/34103号に開示している。
本発明の別の態様によると、ナノボディは、直接、またはリンカー配列を介して互いに結合していてよい。該コンストラクトは、嵩高いサブユニットの立体障害のため、従来の抗体を用いて産生することは困難であり、機能が失われ、または大幅に減少する。本発明のナノボディについて見ると、それらが結合すると、一価抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドと比較して、機能が大幅に増大する。
本発明の一態様によると、ナノボディは、リンカーを用いずに直接互いに結合している。2個のサブユニットにおいて結合活性を維持するためにリンカー配列を必要とする嵩高い従来の抗体を結合させる場合とは対照的に、本発明のポリペプチドは、直接結合することができ、それにより、ヒト被験体に投与した場合における免疫原性、またはサブユニットの解離を引き起こすリンカー配列の不安定性等の、リンカー配列の問題の可能性を回避することができる。
本発明の別の態様によると、ナノボディは、ペプチドリンカー配列を介して互いに結合している。該リンカー配列は、天然に存在する配列、または天然に存在しない配列であってよい。リンカー配列は、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドが投与される被験体において、免疫原性でないことが期待される。リンカー配列は、多価抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドに対して十分な柔軟性を付与し、同時にタンパク質分解酵素による分解に対する抵抗性を有するものであってよい。リンカー配列の非限定的な例は、WO第96/34103号において開示されているような、ナノボディのヒンジ領域より誘導されうるものである。他の例は、リンカー配列3a(Ala−Ala−Ala)である。
本発明者らによって、二特異性および二価抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの融合のために構築された別のリンカー配列は、出願中の国際出願であるWO第06/040153号において列挙されている。あるリンカー配列は、ラマ上側長鎖ヒンジ領域である。他のリンカーは、種々の長さのGly/Serリンカーである。前記配列リンカーを、本発明の一価配列のうち任意の2つを結合するのに使用できることは、当業者にとって明白である。
本発明の一態様によると、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、全長抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの相同配列であってよい。本発明の別の態様によると、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、全長抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの機能的部分であってよい。本発明の別の態様によると、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、全長抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの相同配列の機能的部分であってよい。本発明の一態様によると、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの配列を含んでいてよい。
本発明の一態様によると、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを形成するために用いるナノボディは、全長ナノボディまたはそれらの相同配列であってよい。本発明の別の態様によると、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを形成するために用いるナノボディは、全長ナノボディの機能的部分であってよい。本発明の別の態様によると、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを形成するために用いるナノボディは、全長ナノボディの相同配列であってよい。本発明の別の態様によると、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを形成するために用いるナノボディは、全長ナノボディの相同配列の機能的部分であってよい。
本発明において使用する場合、本発明の相同配列は、本発明のポリペプチドの機能的特徴を本質的に変化させない、1個以上のアミノ酸の付加、欠失、または置換を含んでいてよい。アミノ酸の欠失または付加の数は、好ましくは、1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個または70個のアミノ酸までである。
本発明による相同配列は、アミノ酸の付加、欠失または置換により改変され、前記改変は、改変を受けていないポリペプチドと比較して機能的特徴を本質的に変化させないものである抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドであってよい。
本発明による相同配列は、例えば、ラクダ、ヒトコブラクダ、ラマ、アルパカ、グアナコ等の他のラクダ科の種において存在する配列であってよい。
相同配列が配列同一性を示す場合、それは、母体となった配列と高い配列同一性(70%、75%、80%、85%、90%、95%を上回る、または98%の配列同一性)を示す配列を意味し、好ましくは、母体となった配列と同様の性質、すなわち、同一の標的に対する結合性を特徴とする。
本発明による相同なヌクレオチド配列とは、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件(Sambrookら、Molecular Cloning, Laboratory Manuel, Cold Spring, Harbor Laboratory press, New Yorkに記載のもの等)下で、母体となった配列をコードすることができるヌクレオチド配列の相補的配列とハイブリダイズすることができる、50、100、200、300、400、500、600、800または1000ヌクレオチドを上回るヌクレオチド配列を指すことができる。
本明細書で使用する場合、機能的部分とは、対象となる相互作用が1×10−6Mかそれ以上の親和性で維持されるような十分なサイズのナノボディの配列を指す。
あるいは、機能性部分は、完全なアミノ酸配列の部分的な欠失を含んでおり、結合部位、ならびに標的との結合および相互作用に必要なタンパク質の領域を依然保持している。
あるいは、本発明のナノボディの機能的部分は、完全なアミノ酸配列の部分的な欠失を含おり、結合部位、ならびに標的との結合および相互作用に必要なタンパク質の領域を依然保持している。
あるいは、機能性部分は、完全なアミノ酸配列の部分的な欠失を含んおり、結合部位、ならびにEGFRの他のEGFRへの結合を阻害するために必要なタンパク質の領域を依然保持しているポリペプチドである。
あるいは、機能性部分は、完全なアミノ酸配列の部分的な欠失を含んでおり、結合部位、ならびにEGFRとの結合および相互作用に必要なタンパク質の領域を依然保持しているポリペプチドである。
あるいは、機能性部分は、完全なアミノ酸配列の部分的な欠失を含んでおり、結合部位、ならびに標的とする抗原との結合および相互作用に必要なタンパク質の領域を依然保持しているポリペプチドである。それは、ナノボディを含むが限定されない。
本明細書において使用する場合、機能性部分とは、完全な配列の100%未満(例えば、99%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%等)を指すが、5個以上のアミノ酸または15個以上のヌクレオチドを含む。
本発明の相同配列は、ヒト化された抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを含んでいてよい。新しい種類のナノボディの抗体のヒト化は、投与時のヒト対象における望ましくない免疫反応の可能性をさらに低減させる。
ナノボディのさらに別の例は、抗原への結合機能を有する断片を意味する、(WO第03/035694号に記載の)「機能性断片」を含んでいる。該断片は、活性な抗原結合領域を含んでいる。該断片は、上記ような機能性ナノボディの断片、機能性ナノボディの様な挙動を示す分子の断片、機能化された抗体の断片、または1個以上のアミノ酸残基をラクダ科特有の残基で置換することにより改変した、従来の4本鎖抗体より誘導されたナノボディの断片であってよい。
「機能的」とは、重鎖抗体、ナノボディ、VHドメインまたはそれらの断片に関しては、インビボにおける結合と比較した場合、エピトープに対する十分な結合(マイクロモルレベル、またはそれ以上の解離定数)を保持し、凝集を全く示さないか、または限られた範囲の凝集しか示さず(可溶性であり、1mg/mlを超えても凝集しない)、そのため、結合体として抗体を使用することが可能になることを意味する。
「機能化された」とは、重鎖抗体、ナノボディ、またはそれらの断片に関しては、前記重鎖抗体、ナノボディ、またはそれらの断片に機能性を付与することを意味する。「それらの断片」とは、機能的断片に関して使用する場合、配列の95%を上回る、配列の90%を上回る、配列の85%を上回る、配列の80%を上回る、配列の75%を上回る、配列の70%を上回る、配列の65%を上回る、配列の60%を上回る、配列の55%を上回る、配列の50%を上回る部分に対応する部分を意味する。
本発明によると、標的は、EGFR、IGF−IR、または血清タンパク質のいずれかである。前記標的は哺乳類であり、ウサギ、ヤギ、マウス、ラット、ウシ、子ウシ、ラクダ、ラマ、サル、ロバ、モルモット、ニワトリ、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウマ、および好ましくはヒト等の種より誘導される。
本明細書に述べた、EGFR、IGF−IRおよび血清タンパク質(例えば、血清アルブミン、血清免疫グロブリン、チロキシン結合タンパク質、トランスフェリン、フィブリノゲン)等の標的は、前記標的の断片であってよい。したがって、標的は、免疫応答を引き起こすことができる前記標的の断片でもある。標的は、全長標的に対して生成されたナノボディに結合することができる前記標的の断片でもある。
ある標的に指向性を有するナノボディとは、好ましくは、その標的に、1×10−6Mまたはそれ以上の親和性で結合することができるナノボディを意味する。
EGFRとは、全長EGFRまたはEGFRの任意の断片であると理解されたい。また、本発明のポリペプチドおよびナノボディは、一般に、すべて天然に存在する、または合成された、EGFRのアナローグ、変異体、突然変異体、対立遺伝子、部分または断片に通常、結合するか、またはEGFRにおいて(例えば、野生型EGFRにおいて)、本発明のナノボディおよびポリペプチドが結合する抗原決定基またはエピトープと本質的に同一である1個を超えた抗原決定基またはエピトープを含むEGFRの、少なくとも1個のそれらのアナローグ、変異体、突然変異体、対立遺伝子、部分または断片に通常、結合することも期待されている。
IGF−IR(IGF−1Rとも呼ばれる)は、全長IGF−IRまたはIGF−IRの任意の断片であると理解されたい。また、本発明のポリペプチドおよびナノボディは、一般に、すべて天然に存在する、または合成された、IGF−IRのアナローグ、変異体、突然変異体、対立遺伝子、部分または断片通常、結合するか、またはIGF−IRにおいて(例えば、野生型IGF−IRにおいて)、本発明のナノボディおよびポリペプチドが結合する抗原決定基またはエピトープと本質的に同一である1個もしくは複数の抗原決定基またはエピトープを含むIGF−IRの、少なくとも1個のそれらのアナローグ、変異体、突然変異体、対立遺伝子、部分または断片に結合することも通常、期待されている。
本明細書で使用する断片とは、配列の100%未満(例えば、99%、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%等)を指すが、5個、6個、7個、8個、9個、10個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個またはそれを超えたアミノ酸を含む。断片は、好ましくは、対象となる相互作用が、1×10−6Mまたはそれ以上の親和性で保持されるのに十分な長さを有している。
本明細書において使用する断片とは、野生型の標的に対し生成されたナノボディに対する標的の結合能を実質的に変化させない、1個以上のアミノ酸に対する任意の挿入、欠失および置換も指す。アミノ酸の挿入、欠失または置換の数は、好ましくは1個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、35個、36個、37個、38個、39個、40個、41個、42個、43個、44個、45個、46個、47個、48個、49個、50個、51個、52個、53個、54個、55個、56個、57個、58個、59個、60個、61個、62個、63個、64個、65個、66個、67個、68個、69個または70個のアミノ酸以下である。
本発明の一実施態様は、抗原結合能を実質的に変化させずに1個以上のアミノ酸残基が置換されている少なくとも1個のナノボディを含むポリペプチドに関する。
EGFR、IGF−IRおよび血清タンパク質等の本明細書に述べた標的は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、サメ、フグ、ヤギ、ウサギ、ウシが挙げられるがこれらに限定されない任意の種に存在する配列であってよい。
EGFR、IGF−IRおよび血清タンパク質等の本明細書に述べた標的は、マウス、ヒト、ラクダ、ラマ、サメ、フグ、ヤギ、ウサギ、ウシが挙げられるがこれらに限定されない任意の種に存在する配列であってよい。
標的は、完全な標的の相同配列であってよい。標的は、完全な標的の相同配列の断片であってよい。
当業者は、本発明の抗EGFRおよび抗IGF−IRポリペプチドが改変されていてもよく、該改変は本発明の範囲内に包含されることを認識する。例えば、ポリペプチドは薬剤の担体として使用することができ、この場合、それらは治療活性を有する薬剤に融合していてよく、また、イオン性/極性基への融合によりそれらの溶解性を変化させることができ、また、適切なイメージング用マーカーに融合させることにより、それらを画像化に使用することができ、また、それらは修飾アミノ酸等を含んでいてもよい。それらは、塩として調製してもよい。EGFRおよび/またはIGF−IRに対する結合を本質的に保持する該改変は、本発明の範囲内に包含される。
本発明の一態様によると、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、経口投与のために使用することができる。従来の抗体に基づく治療薬は、それらの標的に対する優れた特異性を有し、固有の毒性が低いため、薬剤として有望であるが、それらには重要な欠点が1個存在する:それらは、比較的不安定であり、タンパク質分解酵素による分解を受けやすい。このことは、従来の抗体薬剤の経口投与、舌下投与、局所投与、経鼻投与、経膣投与、直腸内投与、または吸入による投与が、これらの部位における低pH耐性を有しないこと、これらの部位もしくは血液中におけるタンパク質分解酵素の作用、および/またはこれらの大きなサイズのために不可能であることを意味する。これらの問題のうちいくつかを克服するために、これらを注射(静脈内、皮下等)により投与しなければならない。注射による投与は、皮下注射器または針を正確かつ安全に使用するための専門家による訓練を必要とする。それはさらに、滅菌した器具、治療用ポリペプチドの液体製剤、無菌の安定した形態の外ポリペプチドのバイアル容器、および針を刺すのに好適な被験体の部位を必要とする。さらに、多くの場合、被験体は、注射を受ける前、および受ける際に物理的および心理的ストレスを通常、受ける。しかし、本発明のポリペプチドは、注射による投与のために使用することができる。
本発明の一態様は、本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを提供することにより、従来技術のこれらの問題を克服する。前記ポリペプチドは十分に小さく、経口投与、舌下投与、局所投与、経鼻投与、経膣投与、直腸内投与または吸入による投与するために、実質的に活性の損失を伴わず、耐性を有し安定である。また、本発明のポリペプチドは、注射を回避することができ、コスト/時間を節約できるだけでなく、被験体にとってより簡便かつより快適である。
本発明の一実施態様は、それぞれEGFRまたはIGF−IRを制御し、不活性化されずに胃の環境を通過することが可能な、物質による調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するのに使用するための、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
当業者に公知であるように、一旦前記ポリペプチドが得られると、製剤手法を適用してポリペプチドの最大量を正確な位置(胃、大腸等において)に放出させることができる。この送達方法は、標的が消化器系統にある疾患の症状を治療、予防および/または軽減するために重要である。
本発明の一態様は、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを被験体に経口投与することによる、それぞれEGFRまたはIGF−IRを制御し、不活性化されずに胃の環境を通過することが可能な、物質による調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための方法である。
本発明の別の実施態様は、それぞれEGFRまたはIGF−IRを制御し、不活性化されずに胃の環境を通過することが可能な、物質による調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための薬剤を調製するための、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの使用である。
本発明の一態様は、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを被験体に経口投与することにより、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれを制御する物質を、前記物質が不活性化されずに消化器系統に送達するための方法である。
本発明の一態様は、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを被験体に経口投与することにより、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれを制御する物質を、前記物質が不活性化を受けずに被験体の血流に送達するための方法である。
本発明の別の実施態様は、膣および/または消化管に送達された本発明のナノボディまたはポリペプチドによる調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するのに使用するための、本明細書に開示したナノボディまたはポリペプチドである。
疾患の例としては、関節リウマチ、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸症候群、および多発性硬化症が挙げられるが、これらに限定されない、炎症を起こす任意のものがある。非限定的な例では、本発明による製剤は、ゲル、クリーム、座薬、フィルム、またはスポンジの形態で、または活性成分を長時間にわたって徐々に放出する膣リングとして本明細書に開示したナノボディまたはポリペプチドを含む(該製剤については、欧州特許第707473号、欧州特許第684814号、米国特許第5629001号に記載している)。
本発明の一態様は、本明細書に開示したナノボディまたはポリペプチドを、被験体に経膣および/または直腸内投与することによる、膣および/または消化管に送達された本明細書に記載したナノボディまたはポリペプチドによる調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための方法である。
本発明の別の実施態様は、膣および/または消化管に送達された本明細書に記載したナノボディまたはポリペプチドによる調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための薬剤を調製するための、本明細書に開示したナノボディまたはポリペプチドの使用である。
本発明の一態様は、本明細書に開示したナノボディまたはポリペプチドを、被験体の膣および/または直腸内に投与することにより、前記物質が不活性化されずに本明細書に記載したナノボディまたはポリペプチドを膣および/または直腸内に送達するための方法である。
本発明の一態様は、本明細書に開示したナノボディまたはポリペプチドを、被験体の膣および/または直腸内に投与することにより、前記物質が不活性化されずに本明細書に記載したナノボディまたはポリペプチドを被験体の血流に送達するための方法である。
本発明の別の実施態様は、鼻、上気道および/または肺に送達された、それぞれEGFRまたはIGF−IRを制御する物質による調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するために使用するための、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。
非限定的な例では、本発明による製剤は、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを、経鼻スプレー(例えば、エアロゾル)または吸入器の形態で含んでいる。ポリペプチドは低分子量であるため、治療用IgG分子よりもはるかに効率的に標的に到達することができる。
本発明の一態様は、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを、口または鼻からの吸入により被験体に投与することにより、上気道および肺に送達された、それぞれEGFRまたはIGF−IRを制御する物質による調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための方法である。
本発明の別の実施態様は、鼻、上気道および/または肺に、前記ポリペプチドが不活性化されずに送達された、それぞれEGFRまたはIGF−IRを制御する物質による調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための薬剤の調製のための、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの使用である。
本発明の一態様は、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを、被験体の鼻、上気道および/または肺に投与することにより、前記物質が不活性化されずにそれぞれEGFRまたはIGF−IRを制御する物質を、鼻、上気道および肺に送達するための方法である。
本発明の一態様は、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを、被験体の鼻、上気道および/または肺に投与することにより、前記物質が不活性化されずにそれぞれEGFRまたはIGF−IRを制御する物質を被験体の血流に送達するための方法である。
本発明の一実施態様は、それぞれEGFRまたはIGF−IRを制御し、舌下組織を効率的に透過することができる物質による調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するのに使用するための、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。本明細書に開示した前記ポリペプチドの製剤、例えば、錠剤、スプレー、ドロップは、舌下投与され、粘膜を通して舌の下の毛細血管網内に吸着される。
本発明の一態様は、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを被験体に舌下投与することにより、それぞれEGFRまたはIGF−IRを制御し、舌下組織を効率的に透過することができる物質による調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための方法である。
本発明の別の実施態様は、それぞれEGFRまたはIGF−IRを制御し、舌下組織を過することができる物質による調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための薬剤を調製するための、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの使用である。
本発明の一態様は、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを被験体に舌下投与することにより、それぞれEGFRまたはIGF−IRを制御する物質を、不活性化されずに舌下組織に送達するための方法である。
本発明の一態様は、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを被験体に経口投与することにより、それぞれEGFRまたはIGF−IRを制御する物質を、不活性化されずに被験体の血流に送達するための方法である。
本発明の一実施態様は、皮膚を効率的に透過することができる、本明細書に記載したナノボディまたはポリペプチドによる調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するために使用するための、本明細書に開示したナノボディまたはポリペプチドである。
疾患の例としては、関節リウマチ、乾癬、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸症候群、および多発性硬化症が挙げられるがこれらに限定されない、炎症を起こす任意のものがある。前記ポリペプチドコンストラクトの製剤、例えば、クリーム、フィルム、スプレー、ドロップ、パッチは、皮膚に投与され、透過する。
本発明の一態様は、本明細書に開示したナノボディまたはポリペプチドを、被験体に経皮投与することにより皮膚を効率的に透過することができる、本明細書に記載したナノボディまたはポリペプチドによる調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための方法である。
本発明の別の実施態様は、皮膚を効率的に透過することができる、本明細書に記載したナノボディまたはポリペプチドによる調節の影響を受けやすい疾患の症状を治療、予防および/または軽減する薬剤を調製するための、本明細書に開示したナノボディまたはポリペプチドの使用である。
本発明の一態様は、本明細書に開示したナノボディまたはポリペプチドを被験体に局所投与することにより、本明細書に記載したナノボディまたはポリペプチドを、不活性化されずに皮膚に送達するための方法である。
本発明の一態様は、本明細書に開示したナノボディまたはポリペプチドを被験体に局所投与することにより、本明細書に記載したナノボディまたはポリペプチドを、不活性化されずに被験体の血流に送達するための方法である。
本発明の一実施態様は、腸粘膜に送達された、それぞれEGFRまたはIGF−IRを制御する物質による調節の影響を受けやすい、腸粘膜の透過性を増大させる疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。その小さなサイズのため、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、腸粘膜の透過性の増大を引き起こす疾患を患っている被験体に、より効率的に腸粘膜を透過し、血流に到達することができる。
本発明の一態様は、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを被験体に経口投与することにより、腸粘膜に送達された、それぞれEGFRまたはIGF−IRを制御する物質による調節の影響を受けやすい、腸粘膜の透過性を増大させる疾患の症状を治療、予防および/または軽減するための方法である。
この方法は、本発明のさらなる態様である能動輸送担体の使用により、さらに促進することができる。本発明のこの態様では、ナノボディは、腸粘膜壁を通した血流中への輸送を促進する担体に融合されている。非限定的な例では、この「担体」は、治療用のナノボディに融合した第2のナノボディである。該融合ポリペプチドは、当技術分野で周知の方法を用いて製造される。「担体」ナノボディは、腸粘膜壁上の、壁を通して能動輸送を誘導する受容体に特異的に結合する。
本発明の別の実施態様は、腸粘膜に送達された、それぞれEGFRまたはIGF−IRを制御する物質による調節の影響を受けやすい、腸粘膜の透過性を増大させる疾患の症状を治療、予防および/または軽減する薬剤を調製するための、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの使用である。
本発明の一態様は、本明細書の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを被験体に経口投与することにより、それぞれEGFRまたはIGF−IRを制御する物質を、不活性化されずに腸粘膜に送達するための方法である。
本発明の一態様は、本明細書の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを被験体に経口投与することにより、それぞれEGFRまたはIGF−IRを制御する物質を、不活性化されずに被験体の血流に送達するための方法である。この方法は、本発明のさらなる態様である能動輸送担体の使用により、さらに促進することができる。本発明のこの態様では、本明細書に記載の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、腸粘膜壁を通して血流中への輸送を促進する担体に融合している。非限定的な例では、この「担体」は、前記ポリペプチドに融合したナノボディである。該融合ポリペプチドは、当技術分野で周知の方法を使用して製造することができる。「担体」ナノボディは、腸粘膜壁上の、壁を通して能動輸送を誘導する受容体に特異的に結合する。
本発明の別の実施態様では、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、肺の内腔を通して血液に前記ポリペプチドを輸送するための能動輸送担体として作用する担体ナノボディ(例えば、ナノボディ)をさらに含んでいる。
抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、粘膜表面(気管支上皮細胞)上に存在する受容体に特異的に結合し、肺の内腔から血液への能動輸送を起こす担体をさらに含んでいてよい。担体ナノボディは、ポリペプチドに融合していてよい。該融合ポリペプチドは、公知の本明細書に記載の方法を使用して製造することができる。「担体」ナノボディは、粘膜表面上の、表面を介した能動輸送を誘導する受容体に特異的に結合する。
本発明の別の態様は、どのナノボディ(例えば、ナノボディ)が、経鼻投与時に血流中に能動輸送されるかを決定する方法である。同様に、未成熟または免疫ナノボディファージライブラリーを経鼻投与し、投与後の複数の時点において、血流中に能動輸送されたファージを回収するために、血液または臓器を単離することができる。肺の内腔から血流に能動輸送するための受容体の非限定的な例は、Fc受容体N(FcRn)である。本発明の一態様は、この方法により同定されたナノボディを含んでいる。該ナノボディは、その後、経鼻投与時に、治療用のナノボディを血流中から対応する標的へ送達するための担体ナノボディとして使用することができる。
本発明の別の態様は、どのナノボディ(例えば、ナノボディ)が、経鼻投与時に血流中に能動輸送されるかを決定する方法である。同様に、未成熟または免疫ナノボディファージライブラリーを経鼻投与し、投与後の複数の時点において、血流中に能動輸送されたファージを回収するために、血液または臓器を単離することができる。肺の内腔から血流に能動輸送するための受容体の非限定的な例は、Fc受容体N(FcRn)である。本発明の一態様は、この方法により同定されたナノボディを含んでいる。該ナノボディは、その後、経鼻投与時に、治療用のナノボディを血流中から対応する標的へ送達するための担体ナノボディとして使用することができる。
本発明のポリペプチドは、以下の投与剤として使用することができる:従来の化学療法および放射線療法と併用した反復投与剤として;脳腫瘍の治療等の定位手術による腔内投与剤として;またはEGFRを過剰発現する腫瘍の患者を同定するための診断薬として。
本発明の一実施態様は、炎症過程に関連する疾患の症状、またはガンの治療、予防および/または軽減において使用するための、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチド、または前記ポリペプチドをコードすることができる核酸である。
本発明の別の実施態様は、ガンに関連する疾患の症状の治療、予防および/または軽減において使用するための、本明細書に開示した抗IGF−IRポリペプチド、または前記ポリペプチドをコードすることができる核酸である。
本発明の別の実施態様は、炎症過程に関連する疾患、またはガンを治療する薬剤を調製するための、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチド、または前記ポリペプチドをコードすることができる核酸の使用である。
EGFRは、炎症過程に関与しており、EGFRの作用の遮断は抗炎症効果を有することがあり、例えば炎症性関節炎または乾癬等の一定の病状においては非常に望ましい。さらに、EGFRおよびIGF−IRの遮断は、ヒトの腫瘍の成長を阻害することができ、そのため、本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、腫瘍に対する細胞増殖抑制効果または細胞毒性効果を有することができる。我々の実施例は、EGFRに結合し、さらに、EGFRへのリガンド結合を遮断する本発明によるVHHが、受容体の(ヘテロ)2量化を阻害し、および/またはアポトーシスを誘導することを実証している。
本発明のポリペプチドおよび方法は、肺ガン、肝ガン、中枢神経系腫瘍、骨ガン、血液およびリンパ系ガン、大腸ガン、乳ガン、前立腺ガン、直腸ガン、膀胱ガン、頭頸部ガン、卵巣ガン、精巣ガン、膵臓ガン、精巣ガン、腎臓ガン、および偏平上皮ガン等の上皮ガンの治療および診断に応用することができる。このヒトの腫瘍の一覧は、包括的なものではなく例示であることを意図している。
また、本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドおよび方法は、EGFRおよび/またはIGF−IR(の過剰発現)に関連する他の疾患にも応用することができる。該病気および疾患の例は、当業者には明白であろう。
本発明は、抗腫瘍薬または化学療法剤単独で、もしくは抗腫瘍薬または化学療法剤との組み合わせで、前記VHHが腫瘍細胞のヒトEGFRまたはIGF−IRそれぞれに結合することによって、ヒト腫瘍細胞を阻害する、または殺す抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを含む、治療用組成物を提供する。ドキソルビシンまたはシスプラチン等の抗腫瘍薬または化学療法剤は当技術分野で公知である。抗EGFRおよび抗IGF−IR単一ドメイン抗体の両者を含む治療用の組成物も、本発明の範囲内に包含される。
また、本発明は、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを、対応する状態の検出のために使用する診断方法を提供する。診断方法は当技術分野で周知であり、スクリーニングアッセイおよびイメージング手法(以下に詳細に論じる)が挙げられる。
本発明の別の実施態様は、下記の工程を含む、EGFRの異常なシグナル伝達を特徴とする疾患の診断方法である:
(a)サンプルを、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドと接触させる工程、
(b)前記ポリペプチドの前記サンプルへの結合を検出する工程、および
(c)前記サンプルに比べて結合の差が、EGFRの異常なシグナル伝達を特徴とする疾患の診断に役立つ標準と、工程(b)において検出した結合とを比較する工程。
(a)サンプルを、上記抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドと接触させる工程、
(b)前記ポリペプチドの前記サンプルへの結合を検出する工程、および
(c)前記サンプルに比べて結合の差が、EGFRの異常なシグナル伝達を特徴とする疾患の診断に役立つ標準と、工程(b)において検出した結合とを比較する工程。
本発明の別の実施態様は、下記の工程を含む、IGF−IRの存在を特徴とする疾患の診断方法である:
(a)サンプルを、上記抗IGF−IRポリペプチドと接触させる工程、
(b)前記ポリペプチドの前記サンプルへの結合を検出する工程、および
(c)前記サンプルに比べて結合の差が、IGF−IRの存在を特徴とする疾患の診断に役立つ標準と、工程(b)において検出した結合とを比較する工程。
(a)サンプルを、上記抗IGF−IRポリペプチドと接触させる工程、
(b)前記ポリペプチドの前記サンプルへの結合を検出する工程、および
(c)前記サンプルに比べて結合の差が、IGF−IRの存在を特徴とする疾患の診断に役立つ標準と、工程(b)において検出した結合とを比較する工程。
本発明の一態様において、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを、前記ポリペプチドのそれぞれEGFRまたはIGF−IRへの結合を調節する薬剤をスクリーニングするために使用することができる。結合または前記ポリペプチド置換を単独で測定するアッセイにおいて同定する場合、薬剤が、インビボにおいてEGFRまたはIGF−IRの作用を調節するか否かを決定するために、薬剤を機能試験に供することができる。
一般に、「治療上有効な量」、「治療上有効な用量」、および「有効量」とは、所望の効果(EGFRまたはIGF−IRの結合の調節、ガンまたは炎症の治療または予防)を達成するために必要な量を意味する。当業者であれば、効能、したがって「有効量」が、本発明に使用するEGFRまたはIGF−IRの結合を調節する種々の化合物について変動しうることを認識するであろう。当業者は、化合物の効能を容易に評価することができる。
本明細書において使用する場合、「化合物」という用語は、本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRナノボディまたはポリペプチド、もしくは前記ポリペプチドをコードすることができる核酸、もしくは本明細書に記載のスクリーニング方法により同定された薬剤、もしくは1個を超えた誘導体化アミノ酸を含む前記ポリペプチドを意味する。
「医薬的に許容される」とは、生物学的に、またはその他の点でも望ましくないことはない物質を意味し、すなわち、望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、またはそれを含む医薬組成物中の他の成分のいずれとも有害な相互作用を起こすことなく、他の化合物と共にその物質を個人に投与できる。
本明細書に開示した、ヒト配列に類似する種類のVHHのポリペプチドは、被験体における身体状態の治療または予防に有用であり、治療上有効な量の化合物または組成物を投与することを含む。
本明細書のポリペプチドは、被験体における、ガン、関節リウマチおよび乾癬に関連する疾患の治療または予防に有用であり、EGFR、またはIGF−IR、または両者に結合する化合物または組成物の治療上有効量を投与することを含む。
本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、被験体における、ガン、関節リウマチおよび乾癬に関連する疾患の治療または予防に有用であり、治療上有効な量の混合化合物を、例えば、ドキソルビシン等の別のものと共に投与することを含む。
本発明は、単一の本発明の化合物のみを含む製剤の投与に限定されない。2種類を超えた本発明の化合物を含む製剤を、それを必要とする患者に投与する複合療法を提供することも、本発明の範囲内に包含される。
EGFRおよび/またはIGF−IRが介在する疾患としては、ガン、関節リウマチおよび乾癬が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明において有用な化合物は、医薬組成物として製剤することができ、およびヒトの患者または家畜等の哺乳類宿主に対し、経口または非経口、吸入による経鼻、静脈内、筋内、局所または皮下経路といった、選択された投与経路に適合する様々な形で投与することができる。本発明の医薬組成物は、以下に列挙する化合物および好適な賦形薬を含んでいてよい。
本発明の化合物は、遺伝子治療の送達方法を使用して投与することもできる。例えば、その全文が参照により本明細書に援用される米国特許第5,399,346号を参照されたい。遺伝子治療の送達方法を使用して、本発明の化合物のための遺伝子によりトランスフェクトされた初代細胞を、特定の臓器、組織、移植片、腫瘍または細胞を標的とするための組織特異的プロモーターによりトランスフェクトすることができ、細胞内に局在化した発現のためのシグナルおよび安定化配列によりトランスフェクトすることもできる。
このように、本化合物は、不活性希釈剤または吸収可能な食用の担体と組み合わせて、例えば、経口的に全身投与することができる。それらを、ハードまたはソフトゼラチンカプセルに封入してもよく、錠剤として打錠してもよく、患者の食事中の食品に直接加えてもよい。経口治療用の投与のために、活性化合物を1個以上の賦形剤と組み合わせ、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ剤、カプセル剤、エリキシル剤、懸濁液剤、シロップ剤、ウェハー剤等の形態で使用することができる。該組成物および製剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含んでいなければならない。組成物および製剤の割合は、勿論変えることができ、所定の単位投薬形態の重量の約2〜約60%であるのが便利である。該治療上有用な組成物中の活性化合物の量は、有効な用量レベルが得られるような量である。
また、錠剤、トローチ剤、丸剤、カプセル剤等は、以下の成分を含んでいてもよい:トラガカントガム、アラビアゴム、コーンスターチまたはゼラチン等の結着剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;およびスクロース、フルクトース、ラクトースまたはアスパルテーム等の甘味料、またはペパーミント、冬緑油、チェリー香料等の香料を加えてもよい。単位投薬形態がカプセル剤である場合、上記ような種類の物質以外に、植物油またはポリエチレングリコール等の液体担体を含んでいてもよい。種々の他の物質が、コーティングとして、または固体状の単位投薬形態の物理的形態を他の方法により変化させるために存在していてもよい。例えば、錠剤、丸剤またはカプセル剤は、ゼラチン、ロウ、シェラックまたは砂糖等でコーティングされていてもよい。シロップ剤またはエリキシル剤は、活性化合物、甘味料としてのスクロースまたはフルクトース、保存料としてのメチルまたはプロピルパラベン、色素、およびチェリーまたはオレンジ香料等の香料を含んでいてもよい。勿論、単位投薬形態の調製に使用する全ての物質は、医薬的に許容され、使用する量において殆ど無毒でなければならない。さらに、活性化合物は、徐放剤および装置中に封入されていてもよい。
活性化合物は、点滴または注射により、静脈内または腹腔内投与することもできる。活性化合物またはその塩の溶液は、毒性のない界面活性剤を場合によっては混合した水中で調製することができる。分散液剤は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、およびこれらの混合物中、ならびに油中で調製することができる。通常の保存および使用条件下において、これらの製剤は、微生物の繁殖を防ぐための保存料を含んでいる。
注射または点滴に好適な薬剤投薬形態としては、滅菌された注射または点滴可能な溶液剤または分散液剤の即時調製に適合し、場合によってはリポソームに封入された活性成分を含む、滅菌水溶液剤または分散液剤または滅菌粉末が挙げられる。全ての場合において、最終的な投薬形態は、滅菌されており、流体であり、製造および保存条件下で安定でなければならない。液体の担体または溶媒は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、植物油、非毒性グリセリルエステル、およびこれらの好適な混合物を含む溶媒または液体の分散媒であってよい。例えば、リポソームの形成により、分散液剤の場合には必要な粒子サイズを維持することにより、または界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持することができる。例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等の種々の抗菌剤および抗真菌剤の使用により微生物の作用を妨害することができる。多くの場合において、等張剤、例えば、砂糖、緩衝剤、または塩化ナトリウムを含んでいることが好ましい。組成物において、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを使用することにより、注射用組成物の長時間にわたる吸収をもたらすことができる。
滅菌された注射用溶液は、所望の量の活性化合物を、必要に応じ、上に列挙した種々の別の成分を含む適切な溶媒中に混合し、フィルターで滅菌することにより調製される。滅菌された注射用溶液を調製するための滅菌された粉末の場合、好ましい調製方法は、減圧乾燥および凍結乾燥手法であり、活性成分の粉末、およびフィルターで滅菌された溶液中に存在する任意の他の望ましい成分が得られる。
局所投与のためには、本化合物が液体の場合には、純粋な形態で適用することができる。しかし、一般に、それらは、固体であっても液体であってもよい皮膚科学的に許容される担体と共に、組成物または製剤として皮膚に投与されることが望ましい。
有用な固体担体としては、タルク、粘土、微結晶セルロース、シリカ、アルミナ等の微粉砕された固体が挙げられる。有用な液体担体としては、水、ヒドロキシアルキルまたはグリコールまたは水−アルコール/グリコール混合物が挙げられ、本化合物は、場合によっては、非毒性の界面活性剤の作用により、有効な濃度で溶解または分散することができる。所定の用途のための性質を最適化するために、芳香剤および他の抗菌剤等のアジュバントを加えてもよい。得られる液体組成物は、薬剤含浸ばんそうこうおよび他の包帯に使用する吸収パッドより塗布することができ、またはポンプ型またはエアロゾルスプレーを使用して患部の上に噴霧することができる。
使用者の皮膚に直接塗布するための塗布用ペースト、ゲル、軟膏、石鹸等を形成するために、合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩およびエステル、脂肪アルコール、修飾セルロースまたは無機物質等の増粘剤を液体担体と共に使用することができる。
化合物を皮膚に送達するために使用することができる有用な皮膚科用組成物の例は公知であり、例えば、Jacquetら(米国特許第4,608,392号)、Geria(米国特許第4,992,478号)、Smithら(米国特許第4,559,157号)およびWortzman(米国特許第4,820,508号)を参照されたい。
化合物の有用な用量は、それらのインビトロにおける活性、および動物モデルにおけるインビボにおける活性を比較することにより決定することができる。マウスおよび別の動物における有効用量をヒトに外挿するための方法は公知であり、例えば、米国特許第4,938,949号を参照されたい。
一般に、ローション等の液体組成物中の化合物の濃度は、約0.1〜25重量%、好ましくは、約0.5〜10重量%である。ゲルまたは粉末等の半固形または固形組成物中の濃度は、約0.1〜5重量%、好ましくは、約0.5〜2.5重量%である。
治療における使用において必要な化合物、またはその塩もしくは誘導体の量は、選択された特定の塩だけでなく、投与経路、治療する身体状態の性質、ならびに患者の年齢および状態によっても変動し、最終的には担当する医師または臨床医の判断に委ねられる。また、化合物の用量は、標的となる細胞、腫瘍、組織、移植片または臓器によっても変動する。
望ましい用量は、単回投与において、または例えば、1日2回、3回、4回またはそれを超えた部分用量として、適切な間隔での分割投与で存在してよい。部分用量自体を、例えば、吸入器からの複数回の吸入または複数滴の点眼投与等の、個別で、大まかな間隔の数多くの投与にさらに分割してもよい。
投与計画は、長期間の1日投与を含んでいてよい。「長期間」とは、少なくとも2週間、好ましくは数週間、数ヶ月、または数年の期間を意味する。この用量範囲における必要な改変は、本明細書に記述した通常の実験のみを利用して、当業者が決定することができる。Remington's Pharmaceutical Sciences(Martin, E.W.、第4版), Mack Publishing Co., Easton, PAを参照されたい。用量は、何らかの合併症が発生した場合には、個々の医師が調節することもできる。
本発明の医薬化合物は、通常の化学療法および放射線療法と組み合わせて投与することができる。
本発明のハイスループットスクリーニングキットは、好ましくは1μM〜1mMの範囲内の濃度のポリペプチドの存在下で、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれ、またはそれらの断片と相互作用することにより、EGFR/リガンドまたはIGF−IR/リガンド相互作用を調節する薬剤の検出を実行するために必要な全ての手段および媒体を含んでいる。
キットは、以下のものを含んでいる。特にWO第00/02045号に記載した当業者に周知の方法により、マイクロタイタープレート、より好ましくは96ウェルマイクロタイタープレート等の固体担体上で、キットに従い生育し、EGFRまたはその断片をコードするヌクレオチド配列を含み、かつ発現する、本発明の組換え細胞。あるいは、EGFRまたはその断片は、当業者によって、例えば、96ウェルマイクロタイタープレート上に固定化されるように、精製形態で供給する。あるいは、キットにおいて、例えば、96ウェルマイクロタイタープレート上に予め固定化されたEGFRまたはその断片が供給される。EGFRは、完全なEGFRまたはその断片であってよい。IGF−IRに対する同様のキットを作製することもできる。
本発明による調節剤を、約1μM〜1mMの範囲内またはそれを超えた濃度で、適切な濃度の、好ましくは1μM〜1mMの範囲内の濃度の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチド、それらの相同配列、それらの機能性部分またはそれらの相同配列の機能性部分の存在下で、所定のウェルに加える。キットは、本明細書に記載の1個以上の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを含んでいてよい。
本発明者らは、本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドが、適切な造影剤で標識された場合、インビボイメージングのための優れたマーカーを提供することを見出した。インビボにおいて腫瘍への優れた局在化を伴う、IGF−IRナノボディの高い抗IGF−IR親和性を損なわない優れた特異性が得られた。6時間という短い半減期を有する標識化剤として、放射性核種99mTcを、速やかに***される本発明のナノボディと共に使用することにより、現在入手可能な従来抗体の代替品と比較して、低いバックグラウンド放射、およびそれゆえに優れたイメージングの結果が得られた。
本発明の一態様は、1個以上の造影剤をさらに含む、本明細書に開示した抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドである。造影剤は、99mTc、111インジウム、123ヨウ素が挙げられるがこれらに限定されない、任意のインビボにおける使用に好適なものである。磁気共鳴イメージングのために好適な別の造影剤としては、常磁性化合物、磁気共鳴常磁性キレートが挙げられる。別の造影剤としては、光学色素が挙げられる。
本発明の別の態様は、1個以上の造影剤をさらに含む抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドの、インビボ撮像のための使用である。抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドは、公知の方法を使用して、造影剤により標識することができる。
標識されたポリペプチドが、微粒子、超音波バブル、ミクロスフェア、乳剤またはリポソーム中に封入されていることは、本発明の一態様である。該製剤は、より効率的な送達が可能である。
本発明の抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドを放射線療法の線量を腫瘍に直接的に向けるために使用することができる。ポリペプチドは、腫瘍の損傷または破壊を起こす1個以上の放射性同位元素で標識される。好適な放射性同位元素の例としては、188Re、131I、および211Atが挙げられるがこれらに限定されない。これらの同位元素は、従来の手法または本発明のポリペプチドに融合したタグ(例えば、Hisタグ)を使用して、ポリペプチドに結合できる。
本発明のポリペプチドを、抗EGFRまたは抗IGF−IRポリペプチドが、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに結合した際に、腫瘍の損傷または破壊を起こす1個以上の抗ガン剤に結合していてもよい。好適な化学療法剤は当業者に公知であり、アントラサイクリン、メトトレキセート、ビンデシン、シスプラチン、リシンおよびカリケアマイシンが挙げられる。
また、本発明のポリペプチドに結合した抗ガン剤は、プロドラッグを活性化する酵素であってもよい。これは、不活性なプロドラッグを活性化して、活性な細胞毒性を有する形態にさせる。また、本発明のポリペプチドに結合した抗ガン剤は、インターロイキン−2、インターロイキン−4、または腫瘍壊死因子α等のサイトカインであってもよい。
治療のために標識されたポリペプチドが、微粒子、超音波バブル、ミクロスフェア、乳剤、またはリポソーム中に封入されていることは、本発明の一態様である。該製剤は、標識されたポリペプチドのより効率的な送達を可能にする。
さらなる態様において、本発明は、本明細書に定義したナノボディをコードする1個以上の核酸分子を提供する。
多価または多重特異性ナノボディは、単一の核酸分子上でコードされていてもよく、あるいは、それぞれのナノボディは、別個の核酸分子上でコードされていてもよい。多価または多重特異性ナノボディが単一の核酸分子によってコードされている場合、その一部を形成しているナノボディは、scFv分子のように融合ポリペプチドとして発現してもよく、別個に発現後、例えば化学結合剤を使用することにより結合していてもよい。別個の核酸分子より発現される多価または多重特異性ナノボディは、適切な手段によって結合しているであろう。
核酸は、発現時に宿主細胞よりポリペプチドを放出させるためのシグナル配列をさらにコードしていてよく、発現時に糸状バクテリオファージ粒子の表面成分(または選択提示系の他の成分)と融合していてもよい。
さらなる一態様において、本発明は、本発明によるポリペプチドをコードする核酸を含むベクターを提供する。
さらに別の一態様において、本発明は、本発明によるポリペプチドをコードするベクターによりトランスフェクトされた宿主細胞を提供する。
該ベクターからの発現は、例えば、バクテリオファージ粒子の表面上で、選択ナノボディを産生するように設定することができる。これにより、提示されたナノボディを選択し、このように、本発明の方法を使用してポリペプチドを選択することが可能になる。
本発明はさらに、少なくとも本発明によるポリペプチドを含むキットを提供する。
本発明により有用な細胞は、例えば、大腸菌などの任意の細菌細胞、例えば、S.出芽酵母とピチアパストリス等の酵母細胞、昆虫細胞、哺乳類細胞、またはアスペルギルス属またはトリコデルマ属に属するものを含むカビである。
本明細書に定義するように、天然のレベルで、または天然のレベルを超えてポリペプチドが発現するように、本発明に記載の有用な細胞は、本発明によるナノボディまたはポリペプチドをコードする核酸配列を導入することができる任意の細胞であってよい。好ましくは、細胞中において発現される本発明のポリペプチドは、本明細書に定義するように、天然の薬理作用、または天然に近い薬理作用を示す。
本発明の好ましい一実施態様によると、細胞は、COS7細胞、CHO細胞、LM(TK−)細胞、NIH−3T3細胞、HEK−293細胞、K−562細胞、または1321N1星状細胞腫からなる群から、また別のトランスフェクト可能な細胞系列より選択される。
最後に、(本明細書に定義したような)本発明のナノボディおよび本発明のポリペプチドの使用がはるかに好ましいが、本明細書の記載に基づき、当業者であれば、同様の方法で、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対する他の(単一)ドメイン抗体、および該(単一)ドメイン抗体を含むポリペプチド(「ドメイン抗体」および「単一ドメイン抗体」という用語は、当前記技術分野における通常の意味を有しており、例えば、本明細書に記載の先行技術文献を参照されたい)を設計および/または生成することができることは明白であろう。
したがって、本発明のさらなる一態様は、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対するドメインまたは単一ドメイン抗体、および少なくとも1個の該(単一)ドメイン抗体を含み、および/または本質的に該(単一)ドメイン抗体からなるポリペプチドに関する。
具体的には、該EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対する(単一)ドメイン抗体は、3つのCDRを含んでいてよく、前記CDRは、本発明のナノボディについて上で定義されたようなものである。例えば、該(単一)ドメイン抗体は、「dAb」として知られている単一ドメイン抗体であってよく、例えば、Wardら、上掲に記載のものであるが、本発明のナノボディについて上で定義されたようなCDRを有する。しかし、上述したように、該「dAb」の使用は、対応する本発明のナノボディの使用と比較して、通常いくつかの欠点を有している。したがって、本発明の本態様によるEGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対する任意の(単一)ドメイン抗体は、好ましくは、それらの性質を本発明のナノボディとほぼ同等とする、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対するこれらの(単一)ドメイン抗体を提供するフレームワーク領域を有している。
また、本発明の本態様は、該(単一)ドメイン抗体および/またはポリペプチドをコードする核酸、該(単一)ドメイン抗体、ポリペプチドまたは核酸を含む組成物、該(単一)ドメイン抗体またはポリペプチドを発現する宿主細胞、および該(単一)ドメイン抗体、ポリペプチドまたは核酸を調製するための方法も包含し、それらは、本発明のナノボディについて上述したポリペプチド、核酸、組成物、宿主細胞、方法および使用と殆ど同様である。
さらに、本発明のナノボディについて上述した1つ以上のCDRを、ヒト骨格または非免疫グロブリン骨格が挙げられるがこれらに限定されない他の「骨格」上に「移植」することが可能であることは、当業者にとって明白である。該CDRの移植のために好適な骨格および手法は当業者にとって明白であると共に周知であり、例えば、米国特許第6,180,370号、WO第01/27160号、欧州特許第0 605 522号、欧州特許第0 460 167号、米国特許第6,054,297号、Nicaiseら、Protein Science (2004), 13:1882-1891、Ewertら、Methods, 2004年10月、34(2): 184-199、Kettleboroughら、Protein Eng. 1991年10月、4(7): 773-783、O'BrienおよびJones, Methods Mol. Biol. 2003: 207: 81-100、およびSkerra, J. Mol. Recognit. 2000: 13: 167-187、およびSaerensら、J. Mol. Biol. 2005年9月、23;352(3):597-607、およびそれらにおいて引用した他の参考文献を参照されたい。例えば、マウスまたはラットのCDRをヒトのフレームワークおよび骨格上に移植するためのそれ自体公知の手法を、1つ以上の本発明のナノボディのCDRと、1つ以上のヒトフレームワーク領域または配列とを含むキメラタンパク質を提供するために、同様に使用することができる。
したがって、別の実施態様では、本発明は、本発明のナノボディについて本明細書に記載したCDR1配列、CDR2配列、およびCDR3配列からなる群から選択される少なくとも1つのCDR配列を含むキメラポリペプチドを含んでいる。好ましくは、該キメラポリペプチドは、本発明のナノボディについて本明細書に記載したCDR3配列からなる群から選択される少なくとも1つのCDR配列を含み、また、本発明のナノボディについて本明細書に記載したCDR1配列およびCDR2配列からなる群から選択される少なくとも1つのCDR配列を、場合によっては含んでいる。例えば、該キメラポリペプチドは、本発明のナノボディについて本明細書に記載したCDR3配列からなる群から選択される1つのCDR配列と、本発明のナノボディについて本明細書に記載したCDR1配列からなる群から選択される1つのCDR配列と、本発明のナノボディについて本明細書に記載したCDR2配列からなる群から選択される1つのCDR配列とを含んでいてよい。本発明のナノボディについて好ましいものとして本明細書に記載したCDRの組み合わせは、通常、これらのキメラポリペプチドについても好ましい。
前記キメラポリペプチドにおいて、CDRは他のアミノ酸配列の配列に結合していてもよく、および/またはアミノ酸配列を介して互いに結合していてもよく、前記アミノ酸配列は、好ましくはフレームワーク配列またはフレームワーク配列として作用するアミノ酸配列であり、またはCDRを提示するための骨格を共に形成する。これらについても、上の段落に記載した先行技術文献を参照されたい。好ましい本発明の一態様によると、アミノ酸配列は、ヒトフレームワーク配列、例えば、VH3フレームワーク配列である。しかし、非ヒト合成、半合成、または非免疫グロブリンフレームワーク配列を使用することもできる。好ましくは、フレームワーク配列は、(1)キメラポリペプチドが、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対して、対応する本発明のナノボディの少なくとも1%、好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、例えば、少なくとも25%かつ50%以下、または90%を超えた親和性で結合することができ、(2)キメラポリペプチドが医薬用途に好適であり、(3)キメラポリペプチドが、好ましくは、それらの医薬用途に対して意図されている(本発明のナノボディの使用について本明細書に記載の条件と殆ど同様であってよい)条件下(適応、投与形態、投与および治療計画)において殆ど免疫原性を有しないようなものである。
ある非限定的な実施態様によると、キメラポリペプチドは、少なくとも1つのフレームワーク配列に結合された少なくとも2つのCDR配列(上に記述)を含んでおり、好ましくは、2つのCDR配列のうち少なくとも1つがCDR3配列であり、別のCDR配列がCDR1またはCDR2配列である。好ましいが非限定的な実施態様によると、キメラポリペプチドは、少なくとも2つのフレームワーク配列に結合された少なくとも3つのCDR配列(上に記述)を含んでおり、好ましくは、3つのCDR配列のうち少なくとも1つがCDR3配列であり、別の2つのCDR配列がCDR1またはCDR2配列であり、好ましくは、1つのCDR1と1つのCDR2配列である。特に好ましいが非限定的な一実施態様によると、キメラポリペプチドは、FR1'−CDR1−FR2'−CDR2−FR3'−CDR3−FR4'の構造を有し、CDR1、CDR2、およびCDR3は、本発明のナノボディのCDRについて、本明細書に定義するとおりであり、FR1'、FR2'、FR3'およびFR4'は、フレームワーク配列である。FR1'、FR2'、FR3'およびFR4'は、具体的には、それぞれ、ヒト抗体(VH3配列等)のフレームワーク領域1、フレームワーク領域2、フレームワーク領域3、フレームワーク領域4、および/または該フレームワーク配列の一部または断片であってもよい。FR1'−CDR1−FR2'−CDR2−FR3'−CDR3−FR4'の構造を有するキメラポリペプチドの一部分または断片を使用することもできる。好ましくは、該一部分または断片は、上の段落において示したような基準に適合するようなものである。
また、本発明は、該キメラポリペプチドを含み、および/または殆どこれらよりなるタンパク質およびポリペプチド、該タンパク質またはポリペプチドをコードする核酸、該タンパク質およびポリペプチドを調製するための方法、該タンパク質またはポリペプチドを発現し、または発現することができる宿主細胞、該タンパク質またはポリペプチド、核酸または宿主細胞を含む組成物、特に医薬組成物、および該タンパク質またはポリペプチド、該核酸、該宿主細胞、および/または該組成物の、特に、本明細書に記載した予防、治療、または診断等の予防、治療、または診断目的での使用にも関する。例えば、該タンパク質、ポリペプチド、核酸、方法、宿主細胞、組成物および使用は、本発明のナノボディについて、本明細書に記載のタンパク質、ポリペプチド、核酸、方法、宿主細胞、組成物および使用と同様であってよい。
本発明のナノボディが、上に述べた好ましいCDR配列と異なる1つ以上の別のCDR配列を含んでいる場合、これらのCDR配列は、例えば、(好ましくは)ナノボディ、従来の抗体(具体的にはヒト抗体)由来のVHドメイン、重鎖抗体、従来の4本鎖抗体(具体的にはヒト4本鎖抗体)、またはEGFRまたはIGF−IRのそれぞれに指向性を有する別の免疫グロブリン配列より、それ自体公知の任意の方法により得ることができることに注意が必要である。EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに指向性を有する該免疫グロブリン配列は、当業者にとって明白である、任意のそれ自体公知の方法、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれによる免疫、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれを使用した、免疫グロブリン配列の好適なライブラリーのスクリーニング、またはこれらの任意の好適な組み合わせにより生成することができる。場合によっては、その後に、ランダムまたは位置特異的な突然変異誘発、および/または、それ自体公知の親和性成熟のための別の手法等の手法を実行してもよい。該免疫グロブリン配列を生成するために好適な手法は当業者にとって明白であり、例えば、Hoogenboomによる総説であるNature Biotechnology, 23, 9, 1105-1116 (2005)に記載のスクリーニング手法が挙げられる。特定の標的に対する免疫グロブリンを生成するための別の手法としては、例えば、ナノクローン手法(例えば、未公開の国際出願PCT/EP2005/011819に記載されている)、いわゆるSLAM手法(例えば、欧州特許出願第0 542 810号に記載されている)、ヒト免疫グロブリンを発現するトランスジェニックマウスの使用、または周知のハイブリドーマ手法(例えば、Larrickら、Biotechnology, Vol.7, 1989, p. 934を参照されたい)が挙げられる。これらの手法は全て、EGFRまたはIGF−IRのそれぞれに対する免疫グロブリンを生成するために使用することができ、該免疫グロブリンのCDRは、上において概述した本発明のナノボディにおいて使用することができる。例えば、全て、本明細書に記載のもの等のそれ自体公知の手法を使用して、該CDRの配列を決定し、合成および/または単離し、(例えば、対応する天然のCDRを置換するために)本発明のナノボディの配列中に挿入することができ、または該CDRを含む本発明のナノボディ(またはこれをコードする核酸)を、同様に本明細書に述べた手法を使用して新規に合成することもできる。
実施例1:ラマにおける、αEGFR重鎖依存性の免疫応答の誘導
無傷のヒト偏平上皮ガン細胞(A431;ATCC CRL 1555、Giard DJ, Aaronson SA, Todaro GJ, Arnstein P, Kersey JH, Dosik H, Parks WP 1973. In vitro cultivation of human tumors: establishment of cell lines derived from a series of solid tumors. J. Natl. Cancer Inst. 51:1417-1423)、A431より誘導された膜小胞体(Cohen S, Ushiro H, Stoscheck C, Chinkers M, 1982. A native 170,000 epidermal growth factor receptor-kinase complex from shed plasma membrane vesicles. J. Biol. Chem. 257:1523-31により調製した)、または精製したEGFR(Sigma)の注射による、4頭のラマにおける重鎖依存性の免疫反応は、WO第05/044858号に記載している。Panayotouら(Receptor Purification 1990; 1: 289)による固定化抗体アフィニティー樹脂を使用して、EGFR(Sigma)は、EGFRを過剰発現した腫瘍細胞(A431)から調製する。
無傷のヒト偏平上皮ガン細胞(A431;ATCC CRL 1555、Giard DJ, Aaronson SA, Todaro GJ, Arnstein P, Kersey JH, Dosik H, Parks WP 1973. In vitro cultivation of human tumors: establishment of cell lines derived from a series of solid tumors. J. Natl. Cancer Inst. 51:1417-1423)、A431より誘導された膜小胞体(Cohen S, Ushiro H, Stoscheck C, Chinkers M, 1982. A native 170,000 epidermal growth factor receptor-kinase complex from shed plasma membrane vesicles. J. Biol. Chem. 257:1523-31により調製した)、または精製したEGFR(Sigma)の注射による、4頭のラマにおける重鎖依存性の免疫反応は、WO第05/044858号に記載している。Panayotouら(Receptor Purification 1990; 1: 289)による固定化抗体アフィニティー樹脂を使用して、EGFR(Sigma)は、EGFRを過剰発現した腫瘍細胞(A431)から調製する。
実施例2:EGFR−Fcγ1の発現および精製
EGFRの細胞外領域のN末端618アミノ酸残基と、ヒトIgG1ヒンジ−CH2−CH3をコードする配列との遺伝的融合配列(EGFR−Fcγ1)を使用した。プラスミドは、140kDaのEGFR−Fc融合タンパク質を発現させ、培養上清に輸送させる。チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)を、EGFR−Fcγ1コンストラクトにより一過性にトランスフェクトし、さらに処理するために培養上清を回収した。EGFR−Fcγ1融合体を、プロテインGアフィニティクロマトグラフィーにより上清から精製した。ELISAにおいて、EGFR−Fcγ1の機能を評価した。EGFR特異的mAb528およびビオチン化EGFは、ELISAにおいて、ウサギ抗ヒトIgGに捕捉されたEGFR−Fcγ1融合体に十分に結合し、このことは、EGFリガンドおよびEGFRの細胞外領域上のmAb528結合部位のコンホメーションは、劇的な影響を受けていないことを示している。
EGFRの細胞外領域のN末端618アミノ酸残基と、ヒトIgG1ヒンジ−CH2−CH3をコードする配列との遺伝的融合配列(EGFR−Fcγ1)を使用した。プラスミドは、140kDaのEGFR−Fc融合タンパク質を発現させ、培養上清に輸送させる。チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)を、EGFR−Fcγ1コンストラクトにより一過性にトランスフェクトし、さらに処理するために培養上清を回収した。EGFR−Fcγ1融合体を、プロテインGアフィニティクロマトグラフィーにより上清から精製した。ELISAにおいて、EGFR−Fcγ1の機能を評価した。EGFR特異的mAb528およびビオチン化EGFは、ELISAにおいて、ウサギ抗ヒトIgGに捕捉されたEGFR−Fcγ1融合体に十分に結合し、このことは、EGFリガンドおよびEGFRの細胞外領域上のmAb528結合部位のコンホメーションは、劇的な影響を受けていないことを示している。
実施例3:エルビタックスの一価Fab断片の生成
エルビタックスは、マウスモノクローナルmAb225より誘導された、抗EGFR治療用のキメラ抗体である(Sato JD, Kawamoto T, Le AD, Mendelsohn J, Polikoff J, Sato GH 1983. Biological effects in vitro of monoclonal antibodies to human epidermal growth factor receptors. Mol. Biol. Med. 1 :511-529)。エルビタックス由来のFab断片は、Fanらによるパパイン消化法(Fan Z, Mendelsohn J, Masui H, Kumar R, 1993. Regulation of Epidermal Growth Factor Receptor in NIH3T3/HER14 Cells by Antireceptor Monoclonal Antibodies. J. Biol. Chem. 268:21073-21079)により調製した。パパイン消化されたFab断片は、プロテインAカラム上でのアフィニティクロマトグラフィー、次いでサイズ排除クロマトグラフィーにより、未消化のIgGおよびFc断片から精製した。
エルビタックスは、マウスモノクローナルmAb225より誘導された、抗EGFR治療用のキメラ抗体である(Sato JD, Kawamoto T, Le AD, Mendelsohn J, Polikoff J, Sato GH 1983. Biological effects in vitro of monoclonal antibodies to human epidermal growth factor receptors. Mol. Biol. Med. 1 :511-529)。エルビタックス由来のFab断片は、Fanらによるパパイン消化法(Fan Z, Mendelsohn J, Masui H, Kumar R, 1993. Regulation of Epidermal Growth Factor Receptor in NIH3T3/HER14 Cells by Antireceptor Monoclonal Antibodies. J. Biol. Chem. 268:21073-21079)により調製した。パパイン消化されたFab断片は、プロテインAカラム上でのアフィニティクロマトグラフィー、次いでサイズ排除クロマトグラフィーにより、未消化のIgGおよびFc断片から精製した。
実施例4:EGFR細胞外領域および受容体結合タンパク質のビオチン化
バキュロウィルス中で産生され、固定化金属アフィニティクロマトグラフィー法(IMAC)により精製した、EGFRのアミノ酸残基1〜614をコードする組換えヒトEGFR細胞外領域(EGFR−ECD)は、K.M. Ferguson博士の好意により提供された(Ferguson KM, Darling PJ, Mohan MJ, Macatee TL, Lemmon MA, 2000. Extracellular domains drive homo- but not hetero-dimerization of erbB receptors. EMBO J. 19:4632-4643)。FabエルビタックスおよびEGFR−ECDは、活性ビオチン誘導体であるビオチンアミドヘキサン酸3−スルホ−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(ナトリウム塩;Sigma)を使用して、製造業者の推奨条件にしたがい、それぞれ、5または3倍モル過剰量のビオチン試薬を適用してビオチン化した。未反応のビオチンを、透析により除去した。二価抗体であるエルビタックスおよびその一価誘導体であるFabエルビタックスは、共に、ELISAにおいてニュートラアビジンに捕捉されたビオチン化EGFR−ECDに結合することができ、このことは、ビオチンの取り込みによって、EGFR−ECD上のエルビタックスまたはFabエルビタックスとの相互作用部位は劇的な影響を受けていないことを示している。ビオチン化EGFおよびTGFαは、PeprotechまたはInvitrogenより入手した。
バキュロウィルス中で産生され、固定化金属アフィニティクロマトグラフィー法(IMAC)により精製した、EGFRのアミノ酸残基1〜614をコードする組換えヒトEGFR細胞外領域(EGFR−ECD)は、K.M. Ferguson博士の好意により提供された(Ferguson KM, Darling PJ, Mohan MJ, Macatee TL, Lemmon MA, 2000. Extracellular domains drive homo- but not hetero-dimerization of erbB receptors. EMBO J. 19:4632-4643)。FabエルビタックスおよびEGFR−ECDは、活性ビオチン誘導体であるビオチンアミドヘキサン酸3−スルホ−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(ナトリウム塩;Sigma)を使用して、製造業者の推奨条件にしたがい、それぞれ、5または3倍モル過剰量のビオチン試薬を適用してビオチン化した。未反応のビオチンを、透析により除去した。二価抗体であるエルビタックスおよびその一価誘導体であるFabエルビタックスは、共に、ELISAにおいてニュートラアビジンに捕捉されたビオチン化EGFR−ECDに結合することができ、このことは、ビオチンの取り込みによって、EGFR−ECD上のエルビタックスまたはFabエルビタックスとの相互作用部位は劇的な影響を受けていないことを示している。ビオチン化EGFおよびTGFαは、PeprotechまたはInvitrogenより入手した。
実施例5:ナノボディはリガンドのEGFRへの結合を阻害することができる
重鎖抗体断片(VHH)レパートリーのクローニング、およびその後のEGFR特異的ナノボディの単離は、ほぼWO第05/044858号の記載のとおりに実行した。個々のナノボディのペリプラズム抽出物は、固相をコーティングしたEGFR(Sigma)上でのELISAにより、EGFRの特異性についてスクリーニングを行った。配列解析の結果、13の別個のナノボディのファミリー(表2)に属する14のEGFRナノボディのパネル(配列番号80〜93:表1)が同定される。ナノボディのファミリーとは、同一のCDR3を有し、またはCDR3において限られた数の残基の突然変異しか有しないナノボディのパネルとして定義される。
重鎖抗体断片(VHH)レパートリーのクローニング、およびその後のEGFR特異的ナノボディの単離は、ほぼWO第05/044858号の記載のとおりに実行した。個々のナノボディのペリプラズム抽出物は、固相をコーティングしたEGFR(Sigma)上でのELISAにより、EGFRの特異性についてスクリーニングを行った。配列解析の結果、13の別個のナノボディのファミリー(表2)に属する14のEGFRナノボディのパネル(配列番号80〜93:表1)が同定される。ナノボディのファミリーとは、同一のCDR3を有し、またはCDR3において限られた数の残基の突然変異しか有しないナノボディのパネルとして定義される。
EGFRと相互作用するタンパク質(リガンドEGF、TGFαまたは抗EGFR中和抗体)と拮抗することができるナノボディを同定するために、数種類のアッセイが実施されている。ELISAに基づく第1のアッセイのために、実施例1の記載によりA431誘導小胞体を調製し、Pierce製のBCA protein assay kitを使用して、製造業者のプロトコールにより、全タンパク質含有量を分光学的に決定した。A431小胞体を、Maxisorpマイクロタイタープレート(Nunc)中で、濃度5μg/mlのPBS中4℃で、終夜固定化した。プレートをPBS−Tween(登録商標)0.05%で洗浄後、PBS−カゼイン1%を使用して、室温で2時間ブロッキングした。洗浄後、同体積の1.6nMのビオチン化EGF(EGFbiot)を、IMACにより精製された各種の希釈度の可溶性ナノボディ(最終濃度160〜0.009nM)の存在下、PBS−カゼイン1%中に同時に加え、1時間室温(rt)でインキュベートした。受容体に結合したEGFbiotを、エクストラアビジン−アルカリホスファターゼ複合体(Sigma)により、次いでリン酸p−ニトロフェニル(Sigma)を使用した呈色反応により検出した。その結果、EGFRを発現するA431小胞体へのEGFの結合と拮抗する8種類のナノボディのファミリーが同定された(表2にまとめられたファミリーI〜VIおよびXI〜XII)。例として、ナノボディ PMP7A5、PMP7C12、PMP7D12および27-10-E8のEGF阻害能を、図1に示す。しかし、2種類のナノボディ(それぞれ、ナノボディファミリーXおよびXIIIに属するPMP9C1およびPMP8C7)は、このアッセイにおいて、EGFR上のEGFエピトープに対して拮抗することができなかった(図1)。
EGF阻害能を評価するために、他の拮抗ELISAを実行した。ポリクローナル抗ヒトIgG(Dako、カタログ番号A0424)を、PBS中1:1000に希釈し、4℃で一晩コーティングした。翌日、200μlのPBSでプレートを3回洗浄し、200μlの2%BSAのPBS溶液でブロッキングした。EGFR−Fcγ1融合体(実施例2)を、3μg/mlの1%BSAのPBS溶液中、1時間室温で捕捉させた。プレートを再度洗浄後、順次希釈した種々のナノボディを、個別のプレートに、50μlの1%BSAのPBS溶液中で作製した。次いで、50μlの20ng/ml EGFbiotを、それぞれのウェルに加え(最終濃度10ng/ml)、ナノボディおよびEGFbiotの混合物を、固定化されたEGFR−Fcγ1に加えた。1.5時間室温でインキュベート後、プレートを4回洗浄し、結合したEGFを、ペルオキシダーゼと結合したストレプトアビジン(Jackson Immuno-research Laboratories、1%BSAのPBS溶液中1:5000に希釈)を使用して検出し、o−フェニレンジアミン(OPD)/H2O2による染色を実行した。吸光度を490nmで測定した。このスクリーニング法およびその後の配列解析により、ナノボディファミリーIX(典型例27−1−H7)が、EGFR阻害能を有すると同定された(表2)。
EGF阻害能を評価するために、他の拮抗ELISAを実行した。ポリクローナル抗ヒトIgG(Dako、カタログ番号A0424)を、PBS中1:1000に希釈し、4℃で一晩コーティングした。翌日、200μlのPBSでプレートを3回洗浄し、200μlの2%BSAのPBS溶液でブロッキングした。EGFR−Fcγ1融合体(実施例2)を、3μg/mlの1%BSAのPBS溶液中、1時間室温で捕捉させた。プレートを再度洗浄後、順次希釈した種々のナノボディを、個別のプレートに、50μlの1%BSAのPBS溶液中で作製した。次いで、50μlの20ng/ml EGFbiotを、それぞれのウェルに加え(最終濃度10ng/ml)、ナノボディおよびEGFbiotの混合物を、固定化されたEGFR−Fcγ1に加えた。1.5時間室温でインキュベート後、プレートを4回洗浄し、結合したEGFを、ペルオキシダーゼと結合したストレプトアビジン(Jackson Immuno-research Laboratories、1%BSAのPBS溶液中1:5000に希釈)を使用して検出し、o−フェニレンジアミン(OPD)/H2O2による染色を実行した。吸光度を490nmで測定した。このスクリーニング法およびその後の配列解析により、ナノボディファミリーIX(典型例27−1−H7)が、EGFR阻害能を有すると同定された(表2)。
TGFαとEGFRとの相互作用を阻害することができるナノボディをスクリーニングするために、同様の拮抗ELISAを実行した。この拮抗ELISAにおいて、各種の希釈度のナノボディ(ペリプラズム抽出物またはIMACによる精製物)の存在下において、4nMのビオチン化TGFαのA431小胞体への結合を評価した。驚くべきことに、既に同定され、受容体へのEGFの結合を阻害することができなかったナノボディファミリーXおよびXIIIが、TGFαがEGFRに結合するのを阻害する(表2、図2)。
いわゆるアルファスクリーンと呼ばれる、EGFRの阻害をスクリーニングするためのさらに他のアッセイを実施した。増幅ルミネッセンス近接均一アッセイ(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay)スクリーンは、2種類の生体相互作用する分子の定量的な検出を可能にする、近接ビーズに基づく均一アッセイである。それぞれ、アクセプターおよびドナービーズに結合した相互作用パートナーにより、これらのビーズが接近すると、680nmでの励起により生成する一重項酸素分子の移動により、蛍光発色団による、520〜620nmにおける、Envision(Perkin Elmer)によって検地されるアクセプタービーズの発光が起こる。この自動化されたハイスループットスクリーニング法により、384ウェルフォーマットでの相互作用対の阻害に対するスクリーニングが可能になる。ストレプトアビジンと結合し、EGFbiotを捕捉するドナービーズ、または別のスクリーニング法におけるビオチン化Fabエルビタックスを、製造業者(Perkin Elmer)の取扱説明書にしたがって調製したEGFR−Fcγ1と結合したアクセプタービーズと共に、それぞれ、EGFまたはエルビタックスの阻害を同定するための2つのアルファスクリーンアッセイにおいて使用した。EGFまたはFabエルビタックスを、それぞれ、1および0.4nMで加えた。第1のスクリーンにおいて、合計3000のナノボディについて、ペリプラズムナノボディによるEGF−EGFR−Fcγ1相互作用の阻害を測定した。試験したナノボディのうち約10パーセントが、EGFのEGFR−Fcγ1融合体への結合の阻害を示した。このスクリーニング法およびその後の配列解析により、さらに2つのEGF拮抗性ナノボディファミリー(VIIおよびVIII)が同定された(表2)。得られた阻害曲線の例として、ナノボディPMP9G8の(エルビタックスおよびFabエルビタックスに対する)濃度依存性のEGF阻害能を、図3に示す。その後のアルファスクリーンにおいて、全てのEGF拮抗性ナノボディが、FabエルビタックスのEGFR−Fcとの相互作用に対する阻害能についてスクリーニングされ、その結果、EGFおよびFabエルビタックスの両者についてEGFRとの相互作用を阻害するわずか1つのナノボディファミリー(ファミリーII、典型例PMP7D12)のみが同定された(図4)。
まとめると、詳細なスクリーニングおよび配列解析の結果、WO第05/044858号において公開されたEGFRナノボディと比較して、リガンドのEGFRへの結合を阻害することができる、従来未同定であった13のEGFR特異的ナノボディファミリー(ファミリーI〜XIII)が同定された。これらの13のナノボディファミリーのうち、11がEGFのEGFRへの結合を阻害することができる。驚くべきことに、残りの2つのナノボディファミリー(XおよびXIII)は、TGFαのみを阻害するが、EGFのEGFRとの相互作用を阻害しない。13のαEGFRナノボディファミリーの全ての概観を、表2に示す。
新規の抗EGFRナノボディは、機能的に、3個のタイプのリガンド拮抗性ナノボディに分類される。異なるクラスのナノボディの非限定的な例は、下記のとおりである:
・タイプAナノボディ(EGFRの細胞外領域に結合し、EGFR上のEGF、TGFα結合部位と拮抗するが、エルビタックス結合部位と拮抗しない。該ナノボディの例は、27-10-E8(ファミリーI)およびPMP7A5(ファミリーIII)である。
・タイプBナノボディ(EGFRの細胞外領域に結合し、EGFR上のEGF、エルビタックスおよびTGFα結合部位と拮抗する。該ナノボディの例は、PMP7D12およびPMP7C12(ファミリーII)である。
・タイプCナノボディ(EGFRの細胞外領域に結合し、EGFR上のTGFα結合部位と拮抗するが、EGFRの下方制御において、EGFまたはエルビタックス結合部位と拮抗しない。該ナノボディの例は、PMP8C7(ファミリーXIII)である。
・タイプAナノボディ(EGFRの細胞外領域に結合し、EGFR上のEGF、TGFα結合部位と拮抗するが、エルビタックス結合部位と拮抗しない。該ナノボディの例は、27-10-E8(ファミリーI)およびPMP7A5(ファミリーIII)である。
・タイプBナノボディ(EGFRの細胞外領域に結合し、EGFR上のEGF、エルビタックスおよびTGFα結合部位と拮抗する。該ナノボディの例は、PMP7D12およびPMP7C12(ファミリーII)である。
・タイプCナノボディ(EGFRの細胞外領域に結合し、EGFR上のTGFα結合部位と拮抗するが、EGFRの下方制御において、EGFまたはエルビタックス結合部位と拮抗しない。該ナノボディの例は、PMP8C7(ファミリーXIII)である。
実施例6:表面プラズモン共鳴(BIAcore)による解離速度定数のスクリーニング
表面プラズモン共鳴センサーチップ(CM5)を、製造業者の取扱説明書にしたがって、密度5500RU以下で、精製したEGFR(Sigma)によりコーティングした。チップ表面の再生は、50mM NaOHを3秒間流すことにより行った。まず、解離速度を決定するために、ペリプラズムナノボディ抽出物をスクリーニングした。EGFの結合を阻害し、拮抗小胞体ELISAにおいて最も高いIC50を示す最適なナノボディファミリー(I〜IIIおよびVI〜IX)について、同一のファミリーに属する複数のナノボディの代表例をスクリーニングし、最も低い解離速度を示すナノボディを、ナノボディファミリーの典型例として表示する。関連するファミリーの典型例の解離速度は、IMACにより精製したナノボディにより確認し、表3に示す。
表面プラズモン共鳴センサーチップ(CM5)を、製造業者の取扱説明書にしたがって、密度5500RU以下で、精製したEGFR(Sigma)によりコーティングした。チップ表面の再生は、50mM NaOHを3秒間流すことにより行った。まず、解離速度を決定するために、ペリプラズムナノボディ抽出物をスクリーニングした。EGFの結合を阻害し、拮抗小胞体ELISAにおいて最も高いIC50を示す最適なナノボディファミリー(I〜IIIおよびVI〜IX)について、同一のファミリーに属する複数のナノボディの代表例をスクリーニングし、最も低い解離速度を示すナノボディを、ナノボディファミリーの典型例として表示する。関連するファミリーの典型例の解離速度は、IMACにより精製したナノボディにより確認し、表3に示す。
試験した7つのナノボディファミリーのうち、5つのナノボディファミリーの典型例である27-10-E8、PMP7A5、PMP7E12、PMP9G8およびPMP3867(表3)が、Fabエルビタックス(kd=1.7×10−3s-1)と比較して、等しい、または低い解離速度を示した。
実施例7:ナノボディによる起源の異なる細胞の細胞表面に発現したEGFRエピトープの認識
フローサイトメトリー分析により、細胞表面に発現したEGFRの検出が可能になる。ナノボディの結合評価に使用したEGFR細胞系列は、EGFRをトランスフェクトしたマウス線維芽細胞系列HER14(受容体密度の推定値約1×105)、トランスフェクトを受けていない、母体となったマウス線維芽細胞系列NIH3T3、およびヒト偏平上皮ガン細胞系列であるA431腫瘍細胞(受容体密度の推定値約1.2×106)であった。1×105個の細胞(100μl)を、1μgのナノボディと混合し、ポリクローナルウサギ抗ナノボディフィコエリスリン(PE)標識抗血清(R23−PE)を用いて、検出を行った。実験は全て、FACSarray(BD Biosciences)上で行った。リガンドのEGFRへの結合を阻害することが知られており、フローサイトメトリーにおいて試験されたタイプA、BおよびCのナノボディ(実施例5に記載)は、27-10-E8(タイプA)、PMP7D12(タイプB)、PMP7A5(タイプA)およびPMP9C1(タイプC)である(それぞれ、ナノボディファミリーI、II、III、およびXと表す)。例外なく、試験した全ての拮抗性ナノボディは、図5に示すように、A431およびHER14については、バックグラウンド蛍光と比較してシフトを示したが(R23−PE複合体を用いて検出)、EGFRを発現していないNIH3T3についてはシフトを示さず、このことは、これらのナノボディが、表面に発現したEGFRを特異的に認識することを示している。
フローサイトメトリー分析により、細胞表面に発現したEGFRの検出が可能になる。ナノボディの結合評価に使用したEGFR細胞系列は、EGFRをトランスフェクトしたマウス線維芽細胞系列HER14(受容体密度の推定値約1×105)、トランスフェクトを受けていない、母体となったマウス線維芽細胞系列NIH3T3、およびヒト偏平上皮ガン細胞系列であるA431腫瘍細胞(受容体密度の推定値約1.2×106)であった。1×105個の細胞(100μl)を、1μgのナノボディと混合し、ポリクローナルウサギ抗ナノボディフィコエリスリン(PE)標識抗血清(R23−PE)を用いて、検出を行った。実験は全て、FACSarray(BD Biosciences)上で行った。リガンドのEGFRへの結合を阻害することが知られており、フローサイトメトリーにおいて試験されたタイプA、BおよびCのナノボディ(実施例5に記載)は、27-10-E8(タイプA)、PMP7D12(タイプB)、PMP7A5(タイプA)およびPMP9C1(タイプC)である(それぞれ、ナノボディファミリーI、II、III、およびXと表す)。例外なく、試験した全ての拮抗性ナノボディは、図5に示すように、A431およびHER14については、バックグラウンド蛍光と比較してシフトを示したが(R23−PE複合体を用いて検出)、EGFRを発現していないNIH3T3についてはシフトを示さず、このことは、これらのナノボディが、表面に発現したEGFRを特異的に認識することを示している。
実施例8:ナノボディはEGFが介在する受容体のシグナル伝達を阻害する
HER14細胞を、12ウェル組織培養プレート中の、10%(v/v)血清を含むDMEM(Gibco Life Technologies)中に、各ウェルあたり100,000細胞ずつ播種し、37℃、5%CO2中で培養した。8時間後、0.5%(v/v)FCSを含むDMEMで細胞を1回洗浄し、同一の培地中で一晩血清飢餓培養を行った。アッセイ当日、培地を、2%スキムミルクを加えた培地に交換した。リガンド(8nM)または過剰のナノボディ(1μM)を、37℃で加えた。15分後、細胞を氷で急速冷却し、氷例したPBSで2回洗浄した。50μlのLaemmliタンパク質サンプルバッファー中で、プレートから細胞を削り取ることにより、全細胞溶解物を調製した。タンパク質は、6%(w/v)ポリアクリルアミドゲル(2個の並列のゲル上の各ゲルあたり20μlの溶解物を充填した)上でサイズにより分離され、次いで、PVDF膜(Roche)上にブロットした。EGFRの合計量については、受容体に対するウサギポリクローナル抗血清(Santa Cruz Biotechnology)を、リン酸化された受容体については、マウスモノクローナル抗ホスホチロシン抗体TyrlO68(Cell signalling)を使用して、その後、ペルオキシダーゼと結合したそれぞれに対する二次抗体(ロバ抗ウサギおよびロバ抗マウス抗体)によりブロットを染色した。ローディングコントロールとして、アクチンの存在のために、並列ブロットをモノクローナル抗アクチン抗体(ICN Biomedicals Inc)で染色した。結合した抗体を、Western Lightning(商標) substrate (Perkin Elmer Life Sciences)を使用した増幅化学発光により可視化した。外因性のEGFリガンドの存在は、明確なEGFRのチロシンリン酸化、およびそれによる受容体を活性化するが(図6、レーン1)、受容体のリン酸化の残留レベルは、外因性のリガンドの非存在下で検出された(図6、レーン2)。ナノボディ PMP7C12またはPMP7D12 (ファミリーII)は、受容体のチロシンリン酸化が起こらなかったことにより示されるように、EGFの非存在下ではHER14上に発現したEGFRを活性化しない(図6、レーン3および4)。しかし、バックグラウンドの受容体のリン酸化のレベルと比較すると、ナノボディ PMP9C1(ファミリーX)(図6、レーン5)は、適用した条件下においてEGFRのリン酸化状態の増大を示した。
HER14細胞を、12ウェル組織培養プレート中の、10%(v/v)血清を含むDMEM(Gibco Life Technologies)中に、各ウェルあたり100,000細胞ずつ播種し、37℃、5%CO2中で培養した。8時間後、0.5%(v/v)FCSを含むDMEMで細胞を1回洗浄し、同一の培地中で一晩血清飢餓培養を行った。アッセイ当日、培地を、2%スキムミルクを加えた培地に交換した。リガンド(8nM)または過剰のナノボディ(1μM)を、37℃で加えた。15分後、細胞を氷で急速冷却し、氷例したPBSで2回洗浄した。50μlのLaemmliタンパク質サンプルバッファー中で、プレートから細胞を削り取ることにより、全細胞溶解物を調製した。タンパク質は、6%(w/v)ポリアクリルアミドゲル(2個の並列のゲル上の各ゲルあたり20μlの溶解物を充填した)上でサイズにより分離され、次いで、PVDF膜(Roche)上にブロットした。EGFRの合計量については、受容体に対するウサギポリクローナル抗血清(Santa Cruz Biotechnology)を、リン酸化された受容体については、マウスモノクローナル抗ホスホチロシン抗体TyrlO68(Cell signalling)を使用して、その後、ペルオキシダーゼと結合したそれぞれに対する二次抗体(ロバ抗ウサギおよびロバ抗マウス抗体)によりブロットを染色した。ローディングコントロールとして、アクチンの存在のために、並列ブロットをモノクローナル抗アクチン抗体(ICN Biomedicals Inc)で染色した。結合した抗体を、Western Lightning(商標) substrate (Perkin Elmer Life Sciences)を使用した増幅化学発光により可視化した。外因性のEGFリガンドの存在は、明確なEGFRのチロシンリン酸化、およびそれによる受容体を活性化するが(図6、レーン1)、受容体のリン酸化の残留レベルは、外因性のリガンドの非存在下で検出された(図6、レーン2)。ナノボディ PMP7C12またはPMP7D12 (ファミリーII)は、受容体のチロシンリン酸化が起こらなかったことにより示されるように、EGFの非存在下ではHER14上に発現したEGFRを活性化しない(図6、レーン3および4)。しかし、バックグラウンドの受容体のリン酸化のレベルと比較すると、ナノボディ PMP9C1(ファミリーX)(図6、レーン5)は、適用した条件下においてEGFRのリン酸化状態の増大を示した。
EGFに誘導された受容体のリン酸化により、下流における、受容体が介在する活性化が起こる。EGF受容体が介在するシグナル伝達に関与する下流エフェクタータンパク質の1個は、マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)である。リン酸化後に、MAPKは、静止細胞を細胞***される事象を誘発する(Well A, 1999. Molecules in focus: EGF receptor. Int. J. Biochem. Cell Biol. 31:637-643)。下流のMAPKによるリン酸化は、上記ブロットを、マウスモノクローナル抗リン酸MAPK抗体(Cell Signalling)により染色することにより評価した。外因性のEGFによる誘導により(図6、レーン1)、程度は低いがPMP9C1により(図6、レーン5)、HER14におけるMAPKリン酸化の明確な誘導が検出されるが、外因性のEGFの非存在下、またはPMP7C12、PMP7D12の存在下においては検出されなかった(図6、それぞれ、レーン2、3、および4)。
次に、外因性のリガンドの存在下でナノボディが受容体の活性化を阻害する能力を、上述したのと同様な実験条件により評価した。この実験において、希釈したナノボディ(1、10、100、または1000nM)を、8nMのEGFリガンドの存在下でHER14細胞に加えた。受容体のリン酸化を、リン酸化されたEGFRのTyr1068に結合するマウスモノクローナル抗体(Cell Signalling)を使用したウェスタンブロットにより評価した。外因性のEGFリガンドを加えると、Tyr1068の明確なリン酸化が起こっただけだが(図7A、レーンEGF)、受容体のリン酸化の残留レベルは、外因性のリガンドを添加しない場合においても観測された(図7A、レーンn.c)。この細胞EGF拮抗アッセイにおいて、ナノボディファミリーI(27-10-E8)、II(PMP7D12)、III(PMP7A5)、VII(PMP9G8)、VIII(PMP38G7)およびX(PMP9C1)を試験した。EGFが介在する受容体のリン酸化の濃度依存性の阻害は、ナノボディファミリーI、II、III、VII、VIIIによって誘導されるが、ナノボディファミリーX(PMP9C1、図示しない)によって誘導されず、このことは、実施例5に記載したナノボディファミリーI、II、III、VII、VIIIのEGF阻害能を証明する(表2)。図7は、ナノボディPMP9G8、27-10-E8(パネルB)およびPMP7D12(パネルA)によるEGFが介在する受容体のリン酸化の濃度依存性の阻害を示す。
実施例9:ナノボディはインビトロにおけるEGFR発現腫瘍細胞の細胞増殖を阻害する
培養物で処理した96ウェルプレート中で、100μlの、ペニシリンおよびストレプトマイシンを加えた炭酸緩衝DMEM(Gibco)+10%FCS中に1000個のA431細胞/ウェルを播種し、37℃、5%CO2中で48時間インキュベートした。インキュベート後、t=0における阻害を受けない(100%)成長を決定するために、1枚の完全な96ウェルのA431を播種したプレートを、Skenらによる(Skehan P, Storeng R, Scudiero D, Monks A, McMahon J, Vistica D, Warren JT, Bokesch H, Kenney S, Boyd MR, 1990. New colorimetric cytotoxicity assay for anticancer-drug screening. J. Natl Cancer Inst 82: 1107- 1112)スルホローダミンB染色(SRB)により、対照プレートとして保持した。その後、外因性のリガンドを加えずに、一連の希釈したナノボディまたは増殖調節制御成分(0〜1000nM)を、1%FCSを含む培地に加えた。その後、プレートを37℃、5%CO2中でインキュベートした。72時間インキュベートした後、比色アッセイにより細胞数を評価した。細胞タンパク質をトリクロロ酢酸で固定後、SRBで染色した。未結合の色素を洗浄により除去し、タンパク質に結合した色素を、10mMの非緩衝Tris塩基溶液により抽出した。光学密度を564nmで測定した。試験したナノボディの相対活性を、種々のナノボディのエルビタックス(完全体またはFab断片)に対する用量−応答曲線と比較することにより検証した。
培養物で処理した96ウェルプレート中で、100μlの、ペニシリンおよびストレプトマイシンを加えた炭酸緩衝DMEM(Gibco)+10%FCS中に1000個のA431細胞/ウェルを播種し、37℃、5%CO2中で48時間インキュベートした。インキュベート後、t=0における阻害を受けない(100%)成長を決定するために、1枚の完全な96ウェルのA431を播種したプレートを、Skenらによる(Skehan P, Storeng R, Scudiero D, Monks A, McMahon J, Vistica D, Warren JT, Bokesch H, Kenney S, Boyd MR, 1990. New colorimetric cytotoxicity assay for anticancer-drug screening. J. Natl Cancer Inst 82: 1107- 1112)スルホローダミンB染色(SRB)により、対照プレートとして保持した。その後、外因性のリガンドを加えずに、一連の希釈したナノボディまたは増殖調節制御成分(0〜1000nM)を、1%FCSを含む培地に加えた。その後、プレートを37℃、5%CO2中でインキュベートした。72時間インキュベートした後、比色アッセイにより細胞数を評価した。細胞タンパク質をトリクロロ酢酸で固定後、SRBで染色した。未結合の色素を洗浄により除去し、タンパク質に結合した色素を、10mMの非緩衝Tris塩基溶液により抽出した。光学密度を564nmで測定した。試験したナノボディの相対活性を、種々のナノボディのエルビタックス(完全体またはFab断片)に対する用量−応答曲線と比較することにより検証した。
ファミリーI、II、III、VII、VIIIおよびXIIIのナノボディを、(一価または二価のエルビタックスと比較した)それらの阻害能について評価し、結果を図8に図示する。受容体に結合するリガンドに対する顕著な阻害を示すナノボディ(実施例5および8を参照されたい)と、A431のインビトロにおける細胞の生育増殖を阻害する活性との間には、強い正の相関が存在する。
実施例10:ナノボディは細胞表面からの受容体の内在化を誘導する
EGFRの細胞表面からの内在化(下方制御)を検出するために、Hela細胞を、アッセイの前日に、10%(v/v)FCSおよび2mM L−グルタミンを加えたDMEM中に、10000細胞/ウェルずつ播種した。24時間後、細胞を、37℃で、組換えヒトEGF(8nM)または過剰の抗体もしくはナノボディ(両者共1μM)のいずれかの存在下、120分以下の間隔の種々の時間インキュベートした。所定の時間間隔の後、細胞を氷で急速に冷却し、実施例8と同様に、全細胞溶解物を調製し、サイズにより分離後ブロットした。その後、EGFRの合計量を測定するために、ポリクローナルウサギEGFR抗血清(Santa Cruz Biotechnologies)で染色した。ローディングコントロールとして、同一のブロットを、アクチンの測定のために染色した。結合した抗体の可視化は、増幅化学発光(実施例8)により実行した。
EGFRの細胞表面からの内在化(下方制御)を検出するために、Hela細胞を、アッセイの前日に、10%(v/v)FCSおよび2mM L−グルタミンを加えたDMEM中に、10000細胞/ウェルずつ播種した。24時間後、細胞を、37℃で、組換えヒトEGF(8nM)または過剰の抗体もしくはナノボディ(両者共1μM)のいずれかの存在下、120分以下の間隔の種々の時間インキュベートした。所定の時間間隔の後、細胞を氷で急速に冷却し、実施例8と同様に、全細胞溶解物を調製し、サイズにより分離後ブロットした。その後、EGFRの合計量を測定するために、ポリクローナルウサギEGFR抗血清(Santa Cruz Biotechnologies)で染色した。ローディングコントロールとして、同一のブロットを、アクチンの測定のために染色した。結合した抗体の可視化は、増幅化学発光(実施例8)により実行した。
予想どおり、8nMの外因性のEGFによるHela細胞の刺激により、2時間後にほぼ完全なEGFRの分解が起こったが(図9、パネルA)、エルビタックスおよび試験されたナノボディファミリーI、II、およびIII(それぞれ、27-10-E8、PMP7D12、およびPMP7A5と表示した)については、Hela細胞における受容体の分解は検出されなかった。ナノボディファミリーXIII(PMP8C7)のみについて、Hela細胞において120分後にわずかな受容体の内在化が検出された(図9)。以前、Fanらが(Fan Z, Mendelsohn J, Masui H, Kumar R 1993. Regulation of epidermal growth factor receptor in NIH3T3/HER14 cells by antireceptor monoclonal antibodies. J. Biol. Chem. 268:21073-21079、Fan Z, Lu Y, Wu X, Mendelsohn J 1994. Antibody-induced epidermal growth factor receptor dimerization mediates inhibition of autocrine proliferation of A431 squamous carcinoma cells. J. Biol. Chem. 269:27595-27602)、彼らの実験条件下において、わずかなmAb225依存性のEGFRの内在化を示すことができた。我々の実験を繰り返し実行したが、EGF阻害性のマウスmAb225(データは示さない)、またはそのキメラ誘導体であるエルビタックス(図9)との2時間のインキュベーションにより、検出可能なEGF受容体の下方制御効果は、我々の実験条件下では起こらなかった。
実施例11:血清半減期および阻害活性を増大させるためのナノボディの形態の最適化
構築された多価/多重特異性ナノボディを、表4に示す(配列番号110〜133および141〜143)。選択されたナノボディが、動物モデルにおける抗ガン剤としての可能性を有するか否かについて試験するためには、一価または二価ナノボディ(それぞれ、約15または30kDa)の血清半減期は、この治療適用のために最適ではないため、(例えば、WO第04/041865号に記載のように)血清半減期を増大させるための戦略が好ましい。ここでは、N−末端に位置し、血清アルブミン特異性を有する第3のナノボディに融合した2個の抗EGFR分子からなり、全て9(GS)アミノ酸リンカーペプチドによって区分された三価、二特異性ナノボディの構築および評価について説明する。マウス血清アルブミンに交叉反応性を有するヒト血清アルブミン特異的ナノボディALB8(表A−9:配列番号33)を選択した。ナノボディ PMP7D12またはPMP7A5およびALB8をコードするDNAセグメントを頭尾融合させ、2個のαEGFRナノボディが9(GS)アミノ酸リンカーによって区分されたコンストラクト7D12-GS-7D12-GS-ALB8および7A5-GS-7A5-GS-ALB8(表4;それぞれ、配列番号126および124)を得た。2個のナノボディを大腸菌中で発現させ、アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)により、NiNTAマトリックス上で純度レベル約95%まで精製した。
構築された多価/多重特異性ナノボディを、表4に示す(配列番号110〜133および141〜143)。選択されたナノボディが、動物モデルにおける抗ガン剤としての可能性を有するか否かについて試験するためには、一価または二価ナノボディ(それぞれ、約15または30kDa)の血清半減期は、この治療適用のために最適ではないため、(例えば、WO第04/041865号に記載のように)血清半減期を増大させるための戦略が好ましい。ここでは、N−末端に位置し、血清アルブミン特異性を有する第3のナノボディに融合した2個の抗EGFR分子からなり、全て9(GS)アミノ酸リンカーペプチドによって区分された三価、二特異性ナノボディの構築および評価について説明する。マウス血清アルブミンに交叉反応性を有するヒト血清アルブミン特異的ナノボディALB8(表A−9:配列番号33)を選択した。ナノボディ PMP7D12またはPMP7A5およびALB8をコードするDNAセグメントを頭尾融合させ、2個のαEGFRナノボディが9(GS)アミノ酸リンカーによって区分されたコンストラクト7D12-GS-7D12-GS-ALB8および7A5-GS-7A5-GS-ALB8(表4;それぞれ、配列番号126および124)を得た。2個のナノボディを大腸菌中で発現させ、アフィニティクロマトグラフィー(IMAC)により、NiNTAマトリックス上で純度レベル約95%まで精製した。
二特異性コンストラクトがEGFRおよびMSAに同時に結合することができるか否かを検証するために、サンドウィッチELISAを実行した。A431小胞体(5μg/ml)の固定化およびプレートのブロッキングは、実施例5に記載のとおり実行した。一連の希釈したナノボディを加えた後、実施例5に記載のように、ビオチン化MSA、次いでエクストラアビジン−アルカリホスファターゼ複合体(Sigma)およびその後の呈色反応により、小胞体に結合したナノボディを検出した。予想どおり、二特異性三価コンストラクト(図10)のみがA431小胞体および血清アルブミンに同時に結合し、アルブミン特異性ナノボディを有しない二価コンストラクト(データは示さない)は同時に結合しないことを示した。
次いで、EGF−A431小胞体拮抗ELISA(実施例9)により、リガンドの阻害能について、ナノボディ7D12-GS-7D12-GS-ALB8および7A5-GS-7A5-GS-ALB8を評価した。図11に図示したように、7D12-GS-7D12-GS-ALB8および7A5-GS-7A5-GS-ALB8のIC50値は、それぞれの一価抗EGFRナノボディと比較して、それぞれ1/5および1/10に減少した。
我々のナノボディが、インビトロにおいてEGFRを発現する腫瘍細胞の増殖を阻害できることを明確に示すために、実施例9に記載のように、ナノボディ7D12-GS-7D12-GS-ALB8および7A5-GS-7A5-GS-ALB8を、増殖中のA431腫瘍細胞に加えた。図12に図示したように、7D12-GS-7D12-GS-ALB8および7A5-GS-7A5-GS-ALB8のIC50値は、一価EGFRナノボディ PMP7A5およびPMP7D12(図8)の値よりも明らかに低い。
血清半減期を増大させるための化合物の非存在下または存在下で、EGFR上の個別のパラトープに指向性を有するナノボディ(二重パラトープナノボディ)を製造することができる。例として、EGFRナノボディ PMP7D12およびPMP7A5(それぞれ、タイプBおよびタイプAに属する)を組み合わせ、血清半減期を増大させるナノボディALB8を含むナノボディ(EGFRPMP7D12-GS-EGFRPMP7A5-GS-ALB8;配列番号142およびEGFRPMP7D12-GS-ALB8-GS-EGFRPMP7A5;配列番号143、表4)、または血清半減期を増大させる基を含まないナノボディ(EGFRPMP7D12-GS-EGFRPMP7A5;配列番号141、表4)が製造される。抗EGFR二重パラトープ標的ナノボディは、阻害ELISA(実施例5に記載)においてリガンドの結合を阻害し、EGFRを発現する腫瘍細胞の増殖を阻害する。半減期を増大させるための基は、アルブミン特異性ナノボディまたはFc受容体特異的ナノボディであってよい。同一のコンストラクトにおいて、例えば、免疫エフェクター機能(例えば、抗CD3ナノボディまたは補体タンパク質に結合するナノボディ)を補充するために、血清半減期機能を、さらに他の生物学的機能を有する結合性タンパク質で置き換えることができる。
実施例12:ナノボディのフォーマットはEGFRへの条件付き結合に関与する
単一のαEGFRナノボディ(PMP7D12またはPMP7A5)、およびαアルブミンナノボディ(ALB8)を結合させ、3(3A)、5(GGGGS)、9(GS)、または25(GS5)アミノ酸リンカーで区分された12の二特異性ナノボディコンストラクトのパネルを構築し、表4に示す(配列番号110〜121)。
単一のαEGFRナノボディ(PMP7D12またはPMP7A5)、およびαアルブミンナノボディ(ALB8)を結合させ、3(3A)、5(GGGGS)、9(GS)、または25(GS5)アミノ酸リンカーで区分された12の二特異性ナノボディコンストラクトのパネルを構築し、表4に示す(配列番号110〜121)。
A431腫瘍細胞への結合を評価する3つの並列なフローサイトメトリー実験を、別個の検出方法を使用し、等モル量のナノボディを加え、14の二特異性ナノボディについて実行した。第1の実験において、ポリクローナルウサギαナノボディ−PE複合体(R23−PE)により、ナノボディを検出した。第2の実験において、ナノボディをA431細胞と共にインキュベートした後、Alexa-647と結合したマウスアルブミン(mSA-647)により検出した。この検出法により、アルブミンが、A431に結合したナノボディとも相互作用することが可能であるか否かについて評価することができる。第3の実験において、ナノボディとmSA-647とを30分間プレインキュベートし(EGFRとの相互作用の前に、アルブミンと結合させる)、その後、アルブミンと結合した二特異性ナノボディが、表面に発現したEGFRにも結合することができるか否かについて検証するために、A431細胞に加える。得られたFACSの結果を、図13に示す。
ALB8が、二特異性コンストラクトにおいてC−末端に位置している場合、αEGFRナノボディに関わりなく、A431細胞の表面に対する最大の結合が、R23−PEによって検出される(平均蛍光強度>5×104)。同様のR23−PEによる検出を実行すると、N−末端に位置するALB8は、リンカーの長さを増大させると顕著ではなくなるが、A431への結合に負の影響を及ぼす(ALB8-EGFRコンストラクトと比較した平均蛍光強度の減少により示される)。ALB8-EGFRフォーマットにおいて試験した両方のナノボディについて、明確なA431への結合が検出されたが、N−末端へのALB8の融合は、PMP7A5よりもPMP7D12について、EGFRへの結合により大きな影響を及ぼすようである。このことは、
ALB8-PMP7D12二特異性ナノボディが、PMP7D12-ALB8フォーマットと比較してEGFRへの結合が顕著に減少している(データは示さない)ことを示す表面プラズモン共鳴実験によって支持される。プレインキュベーションを行わずに、mSA-647によるA431への結合の検出を実行する場合、二特異性コンストラクトの平均蛍光強度は(EGFRの種類およびALB8の位置に関わりなく)低く、このことは、A431への結合に負の影響を及ぼしていることを示唆している。この検出方法を適用すると、ALB8-PMP7D12について、リンカーの長さは、二特異性コンストラクトのA431への結合に対して正の影響を及ぼしていると思われる(図13)。
ALB8-PMP7D12二特異性ナノボディが、PMP7D12-ALB8フォーマットと比較してEGFRへの結合が顕著に減少している(データは示さない)ことを示す表面プラズモン共鳴実験によって支持される。プレインキュベーションを行わずに、mSA-647によるA431への結合の検出を実行する場合、二特異性コンストラクトの平均蛍光強度は(EGFRの種類およびALB8の位置に関わりなく)低く、このことは、A431への結合に負の影響を及ぼしていることを示唆している。この検出方法を適用すると、ALB8-PMP7D12について、リンカーの長さは、二特異性コンストラクトのA431への結合に対して正の影響を及ぼしていると思われる(図13)。
しかし、驚くべきことに、mSA-647と共にプレインキュベーションを行うと、試験したEGFRナノボディ、ALB8の位置またはリンカーの長さに関わりなく、A431への結合が劇的に増大し、このことは、アルブミンとの結合後のEGFRとの条件付き相互作用を示唆している。事実、アルブミンとの相互作用は、mSA-647とのプレインキュベーションを行わない場合と比較して、二特異性ナノボディコンストラクトの平均蛍光強度を大幅に増大させる(図13)。
実施例13:ナノボディはIGF−IリガンドのIGF−IRへの結合を阻害することができる
実施例5に記載され、A431細胞で免疫されたラマを起源とする、クローニングされたVHHレパートリーを、IGF−IR特異的ナノボディの同定のために使用した。組換えヒトIGF−IR(rhIGFIR)およびIGF−Iは、Peprotechより入手した。IGF−IR特異的ナノボディの単離は、少なくともリガンド結合部位と重なり合うエピトープ上でIGF−IRに結合するナノボディを選択するために、IGF−Iリガンドを用いて、ほぼWO第05/044858号に記載のとおり実行した。IGF−IRおよびrhIGF−IRを封入したA431小胞体の両者を、抗原フォーマットとして選択のために使用した。選択後に、個々のナノボディのペリプラズム抽出物を、IGF−IR選択性について、固相をコーティングした受容体上でのELISAによりスクリーニングした。配列解析により、4つの異なるファミリーに属する4個の個別のナノボディPMP4B11、PMP3G7、PMP2C7、およびPMP1C7(それぞれ、配列番号106〜109;表5)のパネルが同定された。
実施例5に記載され、A431細胞で免疫されたラマを起源とする、クローニングされたVHHレパートリーを、IGF−IR特異的ナノボディの同定のために使用した。組換えヒトIGF−IR(rhIGFIR)およびIGF−Iは、Peprotechより入手した。IGF−IR特異的ナノボディの単離は、少なくともリガンド結合部位と重なり合うエピトープ上でIGF−IRに結合するナノボディを選択するために、IGF−Iリガンドを用いて、ほぼWO第05/044858号に記載のとおり実行した。IGF−IRおよびrhIGF−IRを封入したA431小胞体の両者を、抗原フォーマットとして選択のために使用した。選択後に、個々のナノボディのペリプラズム抽出物を、IGF−IR選択性について、固相をコーティングした受容体上でのELISAによりスクリーニングした。配列解析により、4つの異なるファミリーに属する4個の個別のナノボディPMP4B11、PMP3G7、PMP2C7、およびPMP1C7(それぞれ、配列番号106〜109;表5)のパネルが同定された。
IGF−IのIGF−IRとの相互作用を阻害することができるナノボディをスクリーニングするために、実施例5に記載のものと同様な拮抗ELISAを実行した。実施例4の記載のように、5倍モル過剰のビオチン試薬を適用して、IGF−Iをビオチン化した。過剰な未反応のビオチンを透析により除去した。rhIGFIRを固相に固定化(1μg/ml)し、ビオチン化IGF−I(50ng/ml)の結合を、エクストラアビジン−アルカリホスファターゼ複合体により、阻害剤の非存在下または存在下において検出した。図14に示すように、PMP1C7のみが、IGF−IのrhIGFIRとの相互作用を顕著に阻害することができる。その後の表面プラズモン共鳴分析(BIAcore)は、固定化したIGF−IR上におけるPMP1C7の解離定数が1.9×10−3s-1であることを示した。
9(GS)または25(GS5)アミノ酸リンカーにより区分された二特異性抗IGF−IRナノボディが構築され(配列番号134〜135、表6)、これらのナノボディは、一価IGF−IRナノボディと比較して、IGF−Iの阻害(阻害ELISA)、およびIGF−IRを発現する腫瘍細胞の増殖の阻害を劇的に増大させた。
実施例14:二特異性αEGFR−αIGF−IRナノボディはIGF−IRおよびEGFRによるシグナル伝達カスケードを阻害することができる
血清半減期を増大させる化合物の非存在下または存在下において、EGFRおよびIGF−IR上のエピトープを同時に標的とするナノボディを製造することができる。例として、EGFRナノボディPMP7D12およびIGF−IRナノボディPMP1C7を組み合わせ、血清半減期を増大させるナノボディALB8を含む、または含まないナノボディ(配列番号136〜140、表7)が製造される。EGFR−IGF−IRに指向性を有するナノボディは、阻害ELISA(実施例5に記載)においてリガンドのそれぞれの受容体への結合を阻害し、EGFR/IGF−IRを発現する腫瘍細胞の増殖を阻害する。半減期を増大させるための基は、アルブミン特異性ナノボディまたはFc受容体特異的ナノボディであってよい。同一のコンストラクトにおいて、例えば、免疫エフェクター機能(例えば、抗CD3ナノボディまたは補体タンパク質に結合するナノボディ)を補充するために、血清半減期機能を、さらに他の生物学的機能を有する結合性タンパク質で置き換えることができる。
血清半減期を増大させる化合物の非存在下または存在下において、EGFRおよびIGF−IR上のエピトープを同時に標的とするナノボディを製造することができる。例として、EGFRナノボディPMP7D12およびIGF−IRナノボディPMP1C7を組み合わせ、血清半減期を増大させるナノボディALB8を含む、または含まないナノボディ(配列番号136〜140、表7)が製造される。EGFR−IGF−IRに指向性を有するナノボディは、阻害ELISA(実施例5に記載)においてリガンドのそれぞれの受容体への結合を阻害し、EGFR/IGF−IRを発現する腫瘍細胞の増殖を阻害する。半減期を増大させるための基は、アルブミン特異性ナノボディまたはFc受容体特異的ナノボディであってよい。同一のコンストラクトにおいて、例えば、免疫エフェクター機能(例えば、抗CD3ナノボディまたは補体タンパク質に結合するナノボディ)を補充するために、血清半減期機能を、さらに他の生物学的機能を有する結合性タンパク質で置き換えることができる。
表1:好ましいEGFRに対するナノボディ
表2:抗EGFRナノボディファミリー
表3:EGFの結合を阻害するEGFR特異的ナノボディの解離速度
表4:多価/多重特異性EGFRナノボディの配列
表5:好ましいIGF−IRに対するナノボディ
表6:多価/多重特異性IGF−IRナノボディの配列
表7:好ましいEGFRおよびIGF−IRに対するナノボディ
表8:配列番号1〜41
表9:EGFRに対するナノボディの好ましいCDR
表10:IGF−IRに対するナノボディの好ましいCDR
Claims (37)
- 4つのフレームワーク領域(それぞれFR1〜FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1〜CDR3)とを含む、またはこれらからなる、EGFRに対するナノボディであって:
CDR1は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
TYTMA [配列番号42]
SYGMG [配列番号43]
GFAMG [配列番号44]
SNNMG [配列番号45]
GDVMG [配列番号46]
SYVVG [配列番号47]
DYNMA [配列番号48]
TYTMA [配列番号49]
NNAMA [配列番号50]
SYVMG [配列番号51]
SYAMG [配列番号52]
A [配列番号53]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および/または:
CDR2は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
GISRSDGGTYDADSVKG [配列番号54]
GISWRGDSTGYADSVKG [配列番号55]
AISWSGGSLLYVDSVKG [配列番号56]
AIGWGGLETHYSDSVKG [配列番号57]
GFSRSTSTTHYADSVKG [配列番号58]
GIAWGDGITYYADSVKG [配列番号59]
HISWLGGRTYYRDSVKG [配列番号60]
GFSGSGGATYYAHSVEG [配列番号61]
AISWRGGSTYYADSVKG [配列番号62]
AINWSSGSTYYADSVKG [配列番号63]
TIAWDSGSTYYADSVKG [配列番号64]
GLSWSADSTYYADSVKG [配列番号65]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および/または:
CDR3は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
ASVKLVYVNPNRYSY [配列番号66]
AAGSAWYGTLYEYDY [配列番号67]
AAGSTWYGTLYEYDY [配列番号68]
MVGPPPRSLDYGLGNHYEYDY [配列番号69]
SSTRTVIYTLPRMYNY [配列番号70]
NSRSSWVIFTIKGQYDR [配列番号71]
RPGMIITTIQATYGF [配列番号72]
GSPYGTELPYTRIEQYAY [配列番号73]
ANEYWVYVNPNRYTY [配列番号74]
RRKSGEVVFTIPARYDY [配列番号75]
VYRVGAISEYSGTDYYTDEYDY [配列番号76]
GYQINSGNYNFKDYEYDY [配列番号77]
SYNVYYNNYYYPISRDEYDY [配列番号78]
HRRPFASVFTTTRMYDY [配列番号79]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まない、
ナノボディ。 - 分子量15kDa未満である、IGF−IRに指向性を有するポリペプチド。
- IGF−IとIGF−IRとの相互作用を阻害することが可能である、請求項2記載のポリペプチド。
- 少なくとも107M-1の結合親和性でIGF−IRに結合する、請求項2または3のいずれかに記載のポリペプチド。
- 単一ドメイン抗体、ドメイン抗体、「dAb」、VH、VHH、またはナノボディより選択される、請求項2〜4のいずれかに記載のポリペプチド。
- IGF−IRに対するナノボディ。
- 4つのフレームワーク領域(それぞれFR1〜FR4)と、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1〜CDR3)とを含み、またはこれらからなる、請求項6記載のナノボディであって:
CDR1は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
FNAMG [配列番号94]
INVMA [配列番号95]
NYAMG [配列番号96]
RTAMA [配列番号97]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および/または:
CDR2は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
VIISGGSTHYVDSVKG [配列番号98]
EITRSGRTNYVDSVKG [配列番号99]
AINWNSRSTYYADSVKG [配列番号100]
TITWNSGTTRYADSVKG [配列番号101]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まず;
および/または:
CDR3は、以下からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
KKFGDY [配列番号102]
IDGSWREY [配列番号103]
SHDSDYGGTNANLYDY [配列番号104]
TAAAVITPTRGYYNY [配列番号105]
または、上記アミノ酸配列の1つと、少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の配列同一性(本明細書で定義)を有する、アミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり、
(i)任意のアミノ酸の置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列は、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸の置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入をを含まず;
および/または、上記アミノ酸配列の1つと、3個、2個または1個のみの「アミノ酸の差違」(本明細書で定義)を有しているアミノ酸配列からなる群から選択されるアミノ酸配列であり:
(i)任意のアミノ酸置換が、好ましくは保存アミノ酸の置換(本明細書で定義)であり;および/または
(ii)前記アミノ酸配列が、上記のアミノ酸配列と比較した場合、好ましくはアミノ酸置換のみを含み、アミノ酸の欠失または挿入を含まない、
ナノボディ。 - 下記の工程を含む、請求項6記載のナノボディを得る方法:
a)(i)IGF−IRまたはその部分もしくはその断片でラクダ科に属する哺乳類に免疫性を与え、IGF−IRに対する免疫反応および/または抗体(より具体的には重鎖抗体)を向上させる工程;(ii)このようにして免疫性を与えた哺乳類より、IGF−IRに指向性を有する重鎖抗体配列および/またはVHH配列を含む生体サンプルを得る工程;および(iii)前記生体サンプルより、IGF−IRに指向性を有する重鎖抗体配列および/またはVHH配列を得る(例えば、単離する)工程を、一般に含む方法によって、および/または(i)IGF−IRまたは少なくともその一部分もしくはその断片に指向性を有する重鎖抗体配列および/またはVHH配列からなるライブラリーをスクリーニングする工程と、(ii)前記ライブラリーより、IGF−IRに指向性を有する重鎖抗体配列および/またはVHH配列を得る(例えば、単離する)工程を、一般に含む方法によって、IGF−IRに指向性を有する少なくとも1つのVHHドメインを提供する工程;
b)IGF−IRに対する重鎖抗体配列および/またはVHH配列の親和性および/または特異性を増大させるために、このようにして得られたIGF−IRに対する重鎖抗体配列および/またはVHH配列を、親和性成熟、突然変異誘発(例、ランダム突然変異誘発または部位特異的突然変異誘発等の)、および/または任意の他の手法に、場合によっては供する工程;
c)このようにして得られた、IGF−IRに対する重鎖抗体配列および/またはVHH配列のCDRの配列を決定する工程;および
d)少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは3つのCDRの全て(CDR1、CDR2およびCDR3、具体的には、少なくともCDR3)が、工程c)で決定した配列を有する、ナノボディを提供する工程。 - 請求項1または6〜7のいずれかに記載の少なくとも1種類のナノボディ、または請求項2〜5のいずれかに記載の少なくとも1種類のポリペプチド、またはこれらのEGFRまたはIGF−IR結合性部分もしくは断片を含むポリペプチド。
- 少なくとも2つの結合部位を含み、前記少なくとも2個の結合部位のそれぞれが腫瘍関連抗原またはエピトープに指向性を有するポリペプチド。
- 前記少なくとも2つの結合部位のそれぞれが異なる腫瘍関連抗原に指向性を有する、請求項10記載のポリペプチド。
- 前記少なくとも2つの結合部位のそれぞれが同一の腫瘍関連抗原上の異なるエピトープに指向性を有する、請求項10記載のポリペプチド。
- 前記結合部位のうち少なくとも1つが、VH、VHH、ドメイン抗体、単一ドメイン抗体、「dAb」またはナノボディから選択される、請求項10〜12のいずれかに記載のポリペプチド。
- 前記結合部位のそれぞれがナノボディである、請求項10〜13のいずれかに記載のポリペプチド。
- EGFRに対する少なくとも1個のナノボディと、HER2、HER3、およびHER4からなる群から選択されるEGFRファミリーメンバーに対する少なくとも1個のナノボディとを含む、請求項10記載のポリペプチド。
- EGFRに対する少なくとも1個のナノボディと、IGF−IRに対する少なくとも1個のナノボディとを含む、請求項10記載のポリペプチド。
- 少なくとも2個のナノボディを含み、前記少なくとも2個のナノボディの1個の結合が、前記少なくとも2個のナノボディのうち第2のものにより該結合を調節するポリペプチド。
- 前記少なくとも2個のナノボディのうち第2のものによる結合が増大する、請求項17記載のポリペプチド。
- 前記少なくとも2個のナノボディのうち第2のものによる結合が減少する、請求項17記載のポリペプチド。
- 前記少なくとも2個のナノボディのうち第2のものによる結合が阻害される、請求項17記載のポリペプチド。
- 請求項1または6〜7のいずれかに記載のナノボディ、もしくは請求項2〜5または9〜20のいずれかに記載のポリペプチドをコードする核酸。
- 請求項1または6〜7のいずれかに記載のナノボディを発現させ、もしくは請求項2〜5または9〜20のいずれかに記載のポリペプチドを発現させ、もしくは請求項21記載の核酸を含む、宿主細胞。
- 請求項1または6〜7のいずれかに記載のナノボディ、もしくは請求項2〜5または9〜20のいずれかに記載のポリペプチドを調製する方法であって、以下の工程からなる、方法:
適切な宿主細胞、または宿主生物において、もしくは別の適切な請求項21記載の核酸の発現系における、発現させる工程と、次いで、場合によっては;
このようにして得られたナノボディまたはポリペプチドを単離および/または精製する工程。 - 請求項1または6〜7のいずれかに記載の少なくとも1個のナノボディ、請求項2〜5または9〜20のいずれかに記載の少なくとも1個のポリペプチド、および/または請求項21記載の少なくとも1個の核酸を含む組成物。
- 請求項1または6〜7のいずれかに記載の少なくとも1個のナノボディ、請求項2〜5または9〜20のいずれかに記載の少なくとも1個のポリペプチド、および/または請求項21記載の少なくとも1個の核酸、および場合によっては少なくとも1種類の医薬的に許容される担体を含む医薬組成物。
- 請求項1または6〜7のいずれかに記載の少なくとも1個のナノボディ、請求項2〜5または9〜20のいずれかに記載の少なくとも1個のポリペプチド、および/または請求項21記載の少なくとも1個の核酸、および場合によっては少なくとも1種類の造影剤を含む診断用組成物。
- 予防および/または治療において使用するための、請求項1もしくは6〜7のいずれかに記載のナノボディ、請求項2〜5または9〜20のいずれかに記載のポリペプチド、請求項21記載の核酸および/または請求項25記載の医薬組成物。
- 治療上有効量の請求項1もしくは6〜7のいずれかに記載のナノボディ、請求項2〜5もしくは9〜20のいずれかに記載のポリペプチド、および/または請求項25記載の医薬組成物を投与する工程を含む、EGFRおよび/またはIGF−IRに関連する病気または疾患を予防および/または治療するための方法。
- 前記病気または疾患が、EGFRおよび/またはIGF−IRの過剰発現に関連するか、またはこれらを特徴とする、請求項28記載の方法。
- 前記病気または疾患がガンまたは腫瘍である、請求項29記載の方法。
- 前記病気または疾患が炎症過程に関連する、請求項28記載の方法。
- 前記病気または疾患が、関節リウマチ、乾癬、または肺における粘液分泌過多である請求項31記載の方法。
- 請求項1記載のナノボディ、または請求項9〜20のいずれかに記載のポリペプチド、または請求項25記載の医薬組成物を投与する工程を含む、EGFとEGFRの間の相互作用を阻害する方法。
- 請求項6〜7のいずれかに記載のナノボディ、請求項2〜5あるいは9〜20のいずれかに記載のポリペプチド、または請求項25記載の医薬組成物を投与する工程を含む、抗EGFR治療を強化する方法。
- EGFRおよび/またはIGF−IRに関連する病気または疾患を診断する方法であって、以下の工程からなる、方法:
(a)サンプルを、請求項1または6〜7のいずれかに記載のナノボディ、もしくは請求項2〜5または9〜20のいずれかに記載のポリペプチドと接触させる工程、
(b)前記ナノボディまたはポリペプチドと、前記サンプルとの結合を検出する工程、および
(c)前記サンプルと比べて結合の差が、EGFRおよび/またはIGF−IRのそれぞれと関連する病気または疾患の診断に役立つ標準と、工程(b)において検出した結合とを比較する工程。 - 請求項1または6〜7のいずれかに記載のナノボディ、請求項2〜5または9〜20のいずれかに記載のポリペプチド、または請求項26記載の診断用組成物を投与する工程を含む、EGFRまたはIGF−IR標的をイメージングする方法。
- ガン、腫瘍、炎症過程に関連する疾患、関節リウマチ、乾癬、または肺における粘液分泌過多を治療するための薬剤を調製するための、請求項1または6〜7のいずれかに記載のナノボディ、請求項2〜5または9〜20のいずれかに記載のポリペプチドの使用。
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