JP2009508822A - 慢性腎症の処置のためのh因子およびその製造 - Google Patents

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Abstract

本発明は、タンパク尿が原因として関連しない慢性腎症およびタンパク尿が原因として関連する慢性腎症の両方の処置のための医薬の製造のためのH因子の使用に関する。本発明はまた、ラージスケールのH因子精製法に関する。

Description

本発明は、タンパク尿が原因として関連しない慢性腎症およびタンパク尿が原因として関連する慢性腎症の両方の処置のための医薬の製造のためのH因子の使用に関する。本発明はまた、ラージスケールのH因子精製法に関する。
40以上の種々のタンパク質を含む補体系は、三つの異なる活性化経路(代替経路、レクチン経路、および古典経路;Rother K et al.(Eds)The Complement System.2nd revised edition,1998;Springer Verlag)を通じて、微生物、外来物質、および変性した自己細胞の攻撃および排除を直接的または間接的に媒介する。このプロセスは、時間的・空間的に高度に制限され、自己(宿主細胞)と異物(例えば微生物)を識別できる。
いくつかのヒト疾患は、これらのカスケード様の活性化経路の活性化を伴うことが明らかになっており、この活性化は、阻害因子-プロテアーゼ複合体を含む補体系の初期から後期にかけての成分を含む典型的な活性化マーカーの高レベル発生に反映される。さらに、ときどき観察される細胞損傷は、通常であれば厳密な制御下にある補体系が少なくとも局所的に脱線している指標として考えられている。量的な側面では、特定のC3転換酵素によるC3のタンパク質分解的切断が補体の活性化に重要な役割を果たす。これらの転換酵素は、新たなC3転換酵素分子の潜在的な成分であるC3b形態を産生し、それによってこのカスケードを刺激する。
自己細胞および組織の保護は、液相におよび/または膜結合形態で存在する特定の調節因子または阻害因子により媒介される。これらの調節因子には、補体受容体1(CR1またはCD35;C3bおよびC4bに結合し、C3転換酵素を分解し、I因子によるC3b/C4bの分解を可能にする)、崩壊促進因子(DAFまたはCD55;C3bに結合し、C3/C5転換酵素を分解する)、および膜補因子タンパク質(MCPまたはCD46;C3bおよびC4bに結合してI因子によるそれらの分解を可能にする)が含まれ、これらは全てもれなく膜アンカー型タンパク質である。
膜アンカー型の制御タンパク質に加えて、可溶性補体調節因子であるH因子(20のショートコンセンサスリピート、SCRで構成される一本鎖糖タンパク質;155kDa;糖質約9.3%)の自己細胞の多陰イオン性表面への結合は、その阻害能を増加させることにより細胞表面を保護する強力な要素である(Joezsi M et al.;Histol Histopathol 2004;19:251-8)。この保護は主として、共有結合したC3bへの結合およびBbの置き換えの両方によって代替のC3転換酵素(C3bBb)の寿命を効果的に減少させ(崩壊の促進)、かつセリンプロテイナーゼであるI因子によるタンパク質分解的切断を介してC3bの恒久的不活性化を触媒(補因子活性:例えばiC3b、C3cの生成; Rother K et al.(2nd revised edition)The Complement System.1998,Springer Verlag;p.28,34-7)することによって達成される。表層の外側相(およそ20〜140nm)におけるH因子のプロテアーゼI因子に対する因子としての活性は、C末端SCRによる表面局在プロテオグリカンへのH因子の結合によって促進される(Joezsi M et al.;Histol Histopathol 2004;19:251-8)。H因子の保護能は、補体カスケードの進行を局部的に制限する。これは、上記膜アンカー型調節因子を少数しか発現しない細胞またはこれらの内因性制御タンパク質を完全に欠失する組織、例えば腎臓の糸球体基底膜にとって特に重要である(Hogasen K et al.;J Clin Invest 1995;95:1054-61)。
特許EP 0 222 611 B1は、H因子が一時的にのみ減少する免疫複合体関連疾患において補体の活性化をダウンレギュレートするためにH因子を使用すること、「脈管系自己免疫疾患の処置に使用するためのH因子および/またはI因子」、「全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、または糸球体腎炎の処置に使用するためのH因子および/またはI因子」、ならびに「H因子および/またはI因子を薬学的に許容されるキャリア、賦形剤、またはアジュバントと混合することを含む、脈管系自己免疫疾患の処置に使用するための薬学的組成物の調製方法」を含む。しかしこの特許の範囲が、腎臓の内外で生じる免疫複合体(IC)の糸球体沈着/形成を伴うIC媒介性腎症のような糸球体腎炎(例えばグッドパスチャー症候群)に関するものであることは明白である。EP 0 222 611 B1においては、抗体非依存性の慢性腎症、例えば尿細管の間の空間(間質)における線維組織の形成を特徴とする尿細管間質性線維症(TIF)の処置に関する教示がない。
本発明の一つの実施態様は、タンパク尿が原因として関連しない抗体非依存性慢性腎症の処置のための医薬の製造のためのH因子の使用である。
機能的に活性な分子の欠失もしくはタンパク質レベルの減少または関連リガンドとの結合によりこの機能を媒介するのに重要な分子領域における各遺伝子の変異のいずれかに起因するH因子の欠失または有意な機能低下が、非定型溶血性***症候群(aHUS)または膜性増殖性糸球体腎炎II型(MPGN II)等の最終的に腎機能を害する疾患において実証されてきた。糸球体膜は内因性の調節因子を有さないので、この部位でC3の連続的な分解が起こり、補体活性化産物が沈着し、恐らく糸球体基底膜ならびに尿細管上皮および内皮細胞がC3転換酵素媒介性の損傷を受け、細胞外マトリクスならびに/または補体系成分(例えば、C3分解産物)および抗体成分の沈着を通じて膜が肥大化し、その結果、濾過不良(タンパク尿)を起こす。
MPGN IIは、「高密度沈着物性疾患(dense deposit disease)」とも呼ばれる、糸球体毛細血管壁の基底膜における補体含有高密度沈着物ならびにそれに続く毛細血管壁の肥大化、メサンギウム細胞の増殖、および糸球体線維症により特徴付けられる稀な疾患である(Ault BH;Pediatr Nephrol 2000;14:1045-53)。
MPGN IIに加えて、MPGN IおよびMPGN IIIと呼ばれるさらに二つのサブタイプがある。三つのサブタイプは全て、メサンギウム細胞の増殖および糸球体毛細血管壁の肥大化を伴うメサンギウムマトリクスの増加により特徴付けられる(MPGN I:基底膜と内皮細胞の間にメサンギウム細胞およびマトリクスが介在し二重構造が形成される;内皮下の高電子密度沈着物。MPGN III;内皮下および上皮下の高電子密度沈着物)。全てのサブタイプにおける沈着物にはC3およびその他の補体因子が含まれる。一部の患者においては、脂肪異栄養症および網膜変性等の腎外症状とMPGNの併発が見られる(Levy Y et al.;Immunol Res 1998;18:55-60)。
MPGNは主に小児および成人(疾患発症時年齢の中央値;約10歳)に影響する。患者の50%はネフローゼ症候群を患い、その他は軽度のタンパク尿を、20%は肉眼的血尿を患う。患者の30%は、疾患の発現と共に高血圧を発症する。MPGNを患った小児の後年の予後は好ましくなく、約8〜16年後に末期腎疾患(ESRD)を発症する(MPGN I:15.3年;MPGN II:8.7年;MPGN III:15.9年;Schwertz R et al.Acta Paediatr 1996;85:308-12)。
最近の知見(Klein RJ et al.Science 2005 Mar 10;10.1126/science.1109557;Haines JL et al.Science 2005 Mar 10;10.1126/science.1110359)は、加齢性黄斑変性(AMD)の危険の増加とH因子の変異(ショートコンセンサスリピート7番、SCR7のアミノ酸402番目におけるチロシン-ヒスチジンの変化)の関連を指摘する。しかし、H因子機能の欠失(SCR7はヘパリン、C反応性タンパク質、およびMタンパク質との結合部位を含む)とAMDの間の因果関係は未だ証明されていない。
H因子関連aHUSおよびMPGN IIの患者に対して考えられる療法は、体重別処置スケジュール(体重1kgあたり10〜40mL、隔週)に基づく新鮮な凍結血漿の投与である。この治療は、欠失した機能性H因子を正常血漿レベルまで回復させる。しかし、H因子タンパク質は減少しているのではなく、細胞膜に結合するがその崩壊促進能および/または補体系をダウンレギュレートする補因子活性を失った変異体である場合、変異H因子は、治療目的で投与された正常H因子が膜に結合するのを競合的にブロックする。従って、機能障害性H因子を膜から置き換えるためには、モル濃度ベースで機能性H因子の生理学的レベルを回復するだけでは不十分であり、H因子のレベルを正常時よりも高める用量を投与する必要がある。
H因子の変異は、以下の通り分類できる:(1)H因子の分泌、例えば肝細胞からの分泌をブロックして血漿中からH因子を完全になくす変異、(2)(a)このタンパク質の調節ドメイン(SCR1〜4)、(b)このタンパク質の認識ドメイン(SCR19〜20)、または(c)その他の機能、例えばヘパリンへの結合に影響するこのタンパク質の種々の部分におけるH因子機能の欠陥をもたらす変異。認識ドメインにおける変異(2b)はH因子タンパク質が表面に結合するのを妨げ、調節ドメインにおける変異(2a)はそのタンパク質を表面に結合できるが機能的に欠陥のあるH因子を生じる。
FFP注入を介したH因子の補充は、(1)の場合(血漿中H因子の欠失)および(2b)の場合(H因子の結合に影響する変異)にのみ正常範囲の血漿レベルを達成するのに必要とされる。しかし、(2a)および(2c)の場合(H因子の結合に影響しないがH因子の機能に影響する変異)の場合においては、内因性の不活性なH因子分子が注入された活性なH因子分子と表面結合部位において競合するため、正常値以上の血漿中H因子レベルが必要とされる。
従って本発明の一つの側面は、aHUSまたはMPGN II等の抗体非依存性慢性腎症を、新たに加えらたH因子の血漿濃度を自然H因子濃度と比較して超生理学的な濃度にする用量の機能性H因子によって処置することである。好ましくは、H因子の濃度は、処置患者の正常血漿レベルより10%以上増加した濃度である。より好ましくは、H因子の濃度は処置患者の正常血漿レベルの50%以上、さらにより好ましくは100%以上、またはさらにより好ましくは200%以上、最も好ましくは300%以上増加した濃度である。
本発明の別の実施態様は、タンパク尿と原因として関係する抗体非依存性慢性腎症の処置のための医薬の製造のためのH因子の使用である。
前向き無作為化臨床試験は、糸球体の不十分なタンパク質濾過がタンパク尿と関係し、間質性線維症および進行性腎不全の両方の発症および進行の大きな危険となることを示している(Jerums G et al.Kidney Int Suppl 1997;63:87-92)。疾患における糸球体から尿細管区画への組織損傷の拡大に関与する機構についてはほとんど知られておらず、間質性線維症がどのようにして誘導されるかについて取り組まれてこなかった。
代替経路を通じた補体の活性化は、近位尿細管上皮細胞の部位で本質的に抗体非依存性であることが公知の機構と関連することが示されている(Tang S et al.Kidney Blood Press Res.2002;25:120-6において概説されている)。
別のより最近の刊行物では、補体の代替経路の抗体非依存性の活性化が急性尿細管壊死と同時に起こることが実証されている(Thurman JM et al.Kidney Int 2005;67:524-30)。
抗体沈着の不存在下でのタンパク質過負荷は近位尿細管の頂端膜における補体成分の活性化に関連することが実証されている。提唱された機構は、終末補体カスケードを含み、C3を活性化できる求核物質であるアンモニアの腎臓内レベルの上昇(アンモニア生成)を伴うものであった(I-Hong Hsu S,Couser WG.J Am Soc Nephrol 2003;14:186-91において概説されている)。可溶性補体受容体1、CR1、崩壊促進因子、DAF、およびその他の分子等の様々な天然および人工補体阻害剤が、薬理学的介入のための潜在的治療標的として議論されている(同概説を参照のこと)。しかし、H因子の使用については言及されていない。
このように内因性の膜アンカー型調節因子を欠く細胞膜の保護のための治療剤としてのH因子の使用は新規なものであり、これまでインビトロまたはインビトロモデルで調査されてこなかった。一般的に、H因子の利益を享受する、タンパク尿と原因として関連する抗体非依存性慢性腎症の患者は、正常なH因子レベルを有する。その治療効果は、好ましくは、H因子濃度を超生理学的レベルまで引き上げることによって達成される。この特定の側面がこれまで調査されてこなかった理由は、基質のようには消費されないプロテアーゼ関連補因子としてのH因子の機能に起因するのであろう。
本発明の一つの実施態様は、その発症が抗体媒介性のIC形成に依存しない、タンパク尿と原因として関連する慢性腎症の処置のためにH因子を提供することである。タンパク尿は、主として濾過という細胞機構に関与する構造タンパク質の変性に起因する。しかし、その後の血漿タンパク質の存在は、H因子が正常レベルであったとしても内因性膜調節因子(例えばCR1、DAF)の非存在下で起こると思われる補体媒介性、IC非依存性の細胞損傷を促進すると考えられる。タンパク尿の病態生理学的原因は以下の主要なグループに分けることができる:(1)糸球体基底膜、有足突起、またはスリット膜(slit diaphragm)等の「糸球体濾過ユニット」を形成する構造の遺伝的障害、(2)自己免疫プロセスに直接起因するかまたは微生物により間接的に誘発されるかのいずれかによる炎症プロセス、(3)作用因子による糸球体の損傷、または(4)最終的にネフロン全体の機能の喪失をもたらす進行性尿細管間質性傷害の最終結果として。より具体的には、本発明は、タンパク尿が最終的にTIFを引き起こす事象(炎症および線維症)のカスケードを誘導する場合に尿細管上皮細胞のレベルでTIFを処置するためのH因子の使用に関する。新たに加えられたH因子の血漿濃度を自然H因子濃度と比較して超生理学的な濃度にする用量のH因子が本発明の好ましい実施態様である。好ましくは、H因子の濃度は、患者の個々の正常血漿レベルより10%以上増加した濃度である。より好ましくは、H因子の濃度は患者の個々の正常血漿レベルの50%以上、さらにより好ましくは100%以上、またはさらにより好ましくは200%以上、最も好ましくは300%以上増加した濃度である。
H因子は、ヒト血漿もしくは血清からまたは組換えにより獲得できる。本発明において使用する場合、「H因子」は、天然のヒトH因子のアミノ酸配列を有するタンパク質を含む。「H因子」はまた、H因子の活性を実質的に保持する限り、若干修飾されたアミノ酸配列、例えばN末端アミノ酸の欠失または付加を含む修飾N末端を有するタンパク質を含む。上記定義内の「H因子」はまた、存在し得る、かつ個体毎に生じ得る天然の対立遺伝子変異体を含む。上記定義内の「H因子」はさらに、H因子を含む。このような変異体は野生型配列と一つまたはそれ以上のアミノ酸残基が異なる。このような相違の例には、N末端および/もしくはC末端における一つまたはそれ以上のアミノ酸残基(例えば1〜10個のアミノ酸残基)の短縮、またはN末端および/もしくはC末端における一つまたはそれ以上の余分な残基の付加、例えばN末端におけるメチオニン残基の付加、ならびに保存的アミノ酸置換、すなわち類似の特性を有するアミノ酸グループ、例えば(1)小型のアミノ酸、(2)酸性アミノ酸、(3)極性アミノ酸、(4)塩基性アミノ酸、(5)疎水性アミノ酸、(6)芳香族アミノ酸、の中で行われる置換が含まれ得る。このような保存的置換の例を以下の表に示す。
Figure 2009508822
本発明で使用する場合、「機能性H因子」は、代替C3転換酵素の崩壊促進および/またはI因子によるC3bの恒久的タンパク質分解を触媒する補因子活性のような、溶液中および/または細胞表面上のいずれかにおいて活性を示すH因子分子を含む。
用語「組換え」は、例えば、その変異体が遺伝子操作技術によって宿主生物において産生されていることを意味する。
本発明の宿主細胞は、ヒトH因子の産生方法において使用され得る。この方法は、(a)ヒトH因子を発現するような条件下で本発明の宿主細胞を培養し、および(b)場合により宿主細胞または培養培地からヒトH因子を回収する、ことを含む。
グリコシル化またはその他の翻訳後修飾の程度および位置は、選択される宿主細胞および宿主の細胞環境の性質に依存して変化し得る。特定のアミノ酸配列を言及する場合、そのような配列の翻訳後修飾は本願に包含される。
適する宿主細胞において組換えタンパク質を高レベルで産生させるには、当業者に公知の方法に従う様々な発現系で繁殖できる組換え発現ベクターの効率的な転写ユニットに、上記の修飾されたcDNAを適切な調節エレメントと共に組み込むこと必要がある。効率的な転写調節エレメントは、動物細胞を天然の宿主とするウイルスまたは動物細胞の染色体DNAから誘導できる。好ましくは、シミアンウイルス40、アデノウイルス、BKポリオーマウイルス、ヒトサイトメガロウイルス、もしくはラウス肉腫ウイルスの長い末端反復から誘導されたプロモーター・エンハンサー組、またはベータアクチンもしくはGRP78のような動物細胞において高度に構成的に転写される遺伝子を含むプロモーター・エンハンサー組が使用できる。cDNAから転写されるmRNAの安定な高レベルを達成するために、転写ユニットはその3’近位部分に転写終結ポリアデニル化配列をコードするDNA領域を含むべきである。好ましくは、この配列は、シミアンウイルス40初期転写領域、ウサギベータグロビン遺伝子、またはヒト組織プラスミノゲン活性化因子遺伝子から得られる。
次いでcDNAをH因子の発現に適した宿主細胞株のゲノムに組み込む。好ましくはこの細胞株は、正確なフォールディング、Glaドメインの合成、ジスルフィド結合の形成、アルギニン結合型グリコシル化、O結合型グリコシル化、およびその他の翻訳後修飾ならびに培養培地への分泌を確実にするため脊椎動物起源の動物細胞株であるべきである。その他の翻訳後修飾の例は、新生ポリペプチド鎖の水酸化およびタンパク質分解プロセシングである。使用できる細胞株の例は、サルCOS細胞、マウスL細胞、マウスC127細胞、ハムスターBHK-21細胞、ヒト胎児腎臓293細胞、および好ましくはハムスターCHO細胞である。その複雑な翻訳後修飾のため、組換えH因子はヒト細胞株において発現させるのが好ましい。
対応するcDNAをコードする組換え発現ベクターは、いくつかの異なる方法で動物細胞株に導入できる。例えば、組換え発現ベクターは、種々の動物ウイルスに基づくベクターから作出できる。これらの例は、バキュロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、および好ましくはウシパピローマウイルスに基づくベクターである。
対応するDNAをコードする転写ユニットは、組換えDNAがゲノムに組み込まれている特定の細胞クローンの単離を容易にするため、これらの細胞において優性選択マーカーとして機能し得る別の組換え遺伝子と共に動物細胞に導入することもできる。このタイプの優性選択マーカー遺伝子の例は、ジェネティシン(G418)に対する耐性を付与するTn5アミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ、ハイグロマイシンに対する耐性を付与するハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ、およびピューロマイシンに対する耐性を付与するピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼである。このような選択マーカーをコードする組換え発現ベクターは、所望のタンパク質のcDNAをコードするベクターと同一ベクターに組み込むこともできるし、宿主細胞のゲノムに同時に導入されて組み込まれ、多くの場合異なる転写ユニット間で緊密な物理的結合を形成する別ベクターにそれをコードすることもできる。
所望のタンパク質のcDNAと共に使用できるその他のタイプの選択マーカー遺伝子は、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dhfr)をコードする様々な転写ユニットに基づくものである。このタイプの遺伝子を内因性dhfr活性を欠く細胞、好ましくはCHO細胞(DUKX-B11、DG-44)に導入した後、これらをヌクレオシドを欠く培地で培養することが可能になる。このような培地の例は、ヒポキサンチン、チミジン、およびグリシンを含まないHam's F12である。これらのdhfr遺伝子は、同一ベクター上で連結されたまたは異なるベクター上にある凝固因子cDNA転写ユニットと共に上記タイプのCHO細胞に導入し、組換えタンパク質を産生するdhfr陽性細胞株を作出することができる。
上記細胞株を細胞毒性のdhfr阻害剤であるメトトレキサートの存在下で培養する場合、メトトレキサートに耐性の新たな細胞株が出現することになる。これらの細胞株は、dhfrおよび所望タンパク質を連結した転写ユニットの数の増加により高収率で組換えタンパク質を産生し得る。これらの細胞株を漸増濃度のメトトレキサート(1〜10000nM)下で培養すると、所望のタンパク質を超高収率で産生する新規細胞株が獲得できる。
所望のタンパク質を産生する上記細胞株は、懸濁培養物または様々な固体支持体のいずれにおいてもラージスケールで培養できる。これらの支持体の例は、デキストランもしくはコラーゲンマトリクスに基づくマイクロキャリア、または中空繊維もしくは様々なセラミック材料の形態の固体支持体である。細胞懸濁培養またはマイクロキャリア下で培養する場合、上記細胞株の培養は、浴培養または長期間にわたって条件培地を連続的に生成する灌流培養のいずれかとして行うことができる。従って、本発明に従う上記細胞株は、所望の組換えタンパク質の製造のための工業的プロセスの開発に十分適している。
上記タイプの分泌細胞の培地に蓄積される組換えタンパク質は、所望のタンパク質とその他の細胞培養培地中の物質との間の大きさ、電荷、疎水性、溶解性、特異的親和性等の差を利用する方法を含む様々な生化学的方法およびクロマトグラフィ法によって濃縮および精製できる。
このような精製法の例は、固体支持体に固定されたモノクローナル抗体への組換えタンパク質の吸着である。タンパク質は脱離後に上記特性に基づく様々なクロマトグラフィ技術によってさらに精製できる。
本発明のH因子は、高分子、特に他のタンパク質および核酸の混入に関して≧60%の純度まで精製するのが好ましく、より好ましくは≧80%の純度まで精製され、95%超の純度の薬学的に純粋な状態でありかつ感染因子および発熱因子を含まないことが特に好ましい。
EP 0 222 611 B1において言及される使用可能な精製手順は全て、もっぱらヒト血漿または血清から単一のタンパク質を精製するために開発された典型的な実験室方法論であり、通常アルブミン、免疫グロブリン、および凝固因子を意識した多成分使用を基本とする工業的利用のために構築された技術を無視している。既に確立された型どおりの処理工程に適合させた工業スケールの手順は未だ存在しない。
従って、本発明の別の目的は、血漿由来の治療用ヒトH因子のラージスケールに適した生産方法を提供することである。ラージスケールは、本発明に関して、少なくとも200Lの血漿、好ましくは少なくとも500L、さらにより好ましくは少なくとも2000Lのヒト血漿に基づく生産手順を意味する。生産に関して、ヒト血漿から出発する本発明の方法は、例えば冷エタノールによる分別沈殿により得られる典型的な工業中間体の補助精製(subfractionation)に基づく(Schultze HE,Heremans JF;Molecular Biology of Human Proteins.Volume I:Nature and Metabolism of Extracellular Proteins 1966,Elsevier Publishing Company;p.236-317に概説されている)。このような精製の好ましい実施態様は、医薬品規制当局の管理下にある抗トロンビン(AT)または免疫グロブリンのような血漿製品の確立され承認された製造工程に影響を与えない様式での、工業スケールの血漿分画の副画分(side fraction)からの機能性H因子の精製である。8%エタノール沈殿物の上清(コーンらの方法;上記引用文献、p251)は、工業スケールの血漿分画から得られるH因子の供給源の一例である。ATはH因子と共にヘパリン系アフィニティクロマトグラフィによってこの上清から吸着され得、H因子はATを含まない溶出液の精製画分であり得る。沈殿物III(オンクレーらの方法;上記引用文献、p253)または沈殿物B(キストラー・ニッチマンの方法;上記引用文献、p253)は、ATの吸着が型どおりに行えない場合のこのようなH因子の工業的供給源の他の例である。当該分野で公知の精製手順が、これらの副画分から出発してH因子を精製するのに使用できる。これらは、ポリエチレングリコールによる沈殿(Nagasawa S,Stroud RM;Mol Immunol 1980;17:1365-72)、固定したヘパリンを通じたアフィニティクロマトグラフィ(前出)、イオン交換クロマトグラフィ(Crossley LG,Porter RR;Biochem J 1980;191:173-82)、および疎水性相互作用クロマトグラフィ(Ripoche J,Al Salihi A,Rousseaux J,Fontaine M;Biochem J 1984;221,89-96)に基づき得る。
本発明において記載されるH因子は、治療用途の薬学的製剤に処方され得る。薬学的製剤を提供するため、精製されたタンパク質は、場合により薬学的添加剤を添加され得る従来の生理学的に適合する緩衝水溶液に溶解され得る。
このような薬学的担体および添加剤ならびに適切な薬学的処方物は当該分野でよく知られている(例えば、“Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins”,Frokjaer et al.,Taylor & Francis(2000)または“Handbook of Pharmaceutical Excipients”,3rd edition,Kibbe et al.,Pharmaceutical Press(2000)を参照のこと)。特に、本発明のポリペプチド変異体を含む薬学的組成物は、凍結乾燥形態または安定な溶解形態で処方され得る。ポリペプチド変異体は、当該分野で公知の様々な手順により凍結乾燥され得る。凍結乾燥処方物は、使用前に一つまたはそれ以上の薬学的に許容される希釈剤、例えば注射用滅菌水または滅菌生理的塩類溶液の添加により再構成される。
組成物の処方物は、任意の薬学的に適する投与手段により個体に送達される。様々な送達系が公知であり、任意の従来の経路により組成物を投与するのに使用できる。好ましくは、本発明の組成物は全身投与される。全身的使用のために、本発明のH因子は、従来方法に従う非経口的(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、脳内、肺内、鼻腔内、もしくは経皮的)または経腸的(例えば、経口、経膣、または直腸)送達用に処方される。最も好ましい投与経路は静脈内投与および皮下投与である。処方物は、注入により連続的にまたはボーラス注射により投与できる。一部の処方物は徐放系を包含する。
本発明のH因子は、治療有効量で患者に投与される。治療有効量は、所望の効果を生じ、処置されている状態または適応症の重症度または拡散を予防または軽減するのに十分な用量でありかつ許容できない有害な副作用を生じる用量の達していないことを意味する。正確な用量は多くの要因、例えば適応症、処方、投与様式に依存し、個々の適応症各々についての前臨床および臨床試験において決定される必要がある。
本発明の薬学的組成物は、単独でまたは他の治療剤と組み合わせて投与され得る。これらの薬物は、同一薬剤の一部として包含され得る。
H因子の作用様式の実験による確認
アルポート症候群(AS)を模倣するCOL4α3ノックアウトマウスは、糸球体基底膜の欠陥の原因となる4型コラーゲンの欠陥性α3鎖を発現する。これにより産後4.5週で糸球体性タンパク尿および進行性尿細管間質性線維症が発症し、およそ10週後に腎不全および死を招く。「ブレンナー仮説」(Brenner et al.;N Engl J Med 1982;307:652-9)によれば、管内タンパク質(intraluminal protein)が尿細管上皮細胞により再吸収され、それによってこの細胞が活性化される。活性化された上皮細胞は、(1)炎症性もしくは(2)プロフィブロティックな(profibrotic)セカンドメッセンジャー経路を誘導するか、または(3)自ら「上皮間葉移行」(EMT)を起こす。
上記のように、H因子は、活性化された補体系における重要な血漿/体液性調節因子である。H因子の欠損は、aHUSまたはMPGN IIのような腎疾患の原因となることが公知である。H因子の欠損は、内皮細胞表面レベルまたは糸球体基底膜内での補体の活性化を誘導/引き起こし、少なくとも一部が糸球体のフィルターを通過し得るH因子の補充は、尿細管上皮細胞レベルで補体の活性化を軽減でき、従って糸球体性タンパク尿により引き起こされる慢性/進行性腎疾患の治療選択肢となり得る。
H因子の投与の効果は、COL4α3ノックアウトマウスを産後4.5週(マウスの離乳後の可能な限り最も早い時点)から、マウス血清から精製された超生理学的レベルのH因子で処置することによって試験できる。H因子はs.c.、i.p.、またはi.m.から適用する。処置グループの結果は、媒体(NaCl 0.9%)処置コントロールと比較する。マウスは、死亡するまで(第一グループ)または7.5および9.5週後に屠殺するまで(第二グループ)まで処置する。第二グループの動物は麻酔し、尿サンプルおよび血液サンプルを収集し、腎臓を素早く採取し、一方の腎臓をホルムアルデヒド固定して免疫組織学に使用し、もう一方の腎臓からはRNA抽出およびその後のリアルタイムリバーストランスクリプターゼPCR(RT-PCR)分析のために皮質を単離する。
この結果は、慢性糸球体性タンパク尿のマウスモデルにおいて、(1)H因子による継続的処置が尿細管上皮細胞レベルで補体の活性化を軽減すること、(2)尿細管上皮細胞により開始される炎症性およびプロフィブロティックな二次経路の活性化が軽減されること、(3)細管間質性線維症の程度が軽減されること、および(4)COL4α3ノックアウトマウスの寿命が延びることを示す。
これらの結果は、一般的な慢性腎疾患の最後の共通の重要な特徴である慢性タンパク尿の処置のためのH因子の使用を強く支持する。
すでに概説したように、タンパク尿は急性的または慢性的な糸球体フィルターの機能の欠陥(例えば腎炎症候群またはネフローゼ症候群)を示すだけでなく、尿細管間質における炎症性およびプロフィブロティックプロセスの誘導を通じて慢性腎疾患の進行を促進する。誇張なしに、タンパク尿は慢性腎疾患(CRD)の最後の共通の経路と見ることができ、タンパク尿の軽減またはタンパク尿によって誘導される作用の軽減は、慢性腎疾患の効率的な処置のための鍵であることを証明し得る。
尿細管上皮細胞の先端面における補体系の活性化が、タンパク尿により引き起こされるCRDの事象の病原性カスケードにおける主要なメディエーターの一つであるというコンセプトの下、H因子を通じた処置(例えば、一回の処置あたり最大80ml FFP/kg体重の注入または80ml FFP/kg体重相当のH因子のi.v.もしくはs.c.もしくはi.m.投与)は血漿中H因子を生理学的レベル以上(例えば2倍)に引き上げ、(a)尿細管上皮細胞の先端面におけるH因子の利用性を向上し、次いで(2)この側面における補体系の活性化を軽減する。
機能的欠陥を有するが細胞結合性が無傷のタンパク質の発現をもたらすH因子遺伝子の変異により疾患が引き起こされた患者(例えばH因子のSCR4の変異によるMPGN II;Licht et al,Kidney Int 2006)においては、血漿中H因子レベルを最大2倍または3倍に引き上げることを目的とするFFPを通じた処置(例えば、一回の処置あたり最大80〜120ml FFP/kg体重の注入または80〜120ml FFP/kg体重相当のH因子のi.v.もしくはs.c.もしくはi.m.投与)は、無傷のH因子分子の細胞表面への競合的結合およびそれに続く補体活性化の軽減をもたらす。
治療の成功は、(a)補体活性化の軽減(C3の増加、C3bの減少)、(b)血尿およびタンパク尿の軽減(または少なくともさらなる進行の防止)、および(c)腎機能の安定化-可能ならば改善により示される。

Claims (13)

  1. タンパク尿が原因として関連しない抗体非依存性慢性腎症の進行の処置および/もしくは阻害ならびに/または予防のための医薬の製造のための、機能性H因子の使用。
  2. 機能性H因子の用量は、治療時に患者の血漿中で超生理学的レベルの機能性H因子が達成される用量である、請求項1に記載のタンパク尿が原因として関連しない抗体非依存性慢性腎症の進行の処置および/もしくは阻害ならびに/または予防のための医薬の製造のための、機能性H因子の使用。
  3. H因子が膜への結合能を保持しつつ膜結合機能以外の機能的欠陥を有する患者における、請求項1および2に記載のタンパク尿が原因として関連しない抗体非依存性慢性腎症の進行の処置および/もしくは阻害ならびに/または予防のための医薬の製造のための、機能性H因子の使用。
  4. 機能性H因子の投与が、内因性の変異型H因子のレベルを少なくとも10%上回る血漿レベルを達成するよう行われる、請求項3に記載の機能性H因子の使用。
  5. aHUSおよび/またはMPGN IIを処置するための、請求項1〜4のいずれかに記載のH因子の使用。
  6. 正常なH因子レベルを有する患者における、タンパク尿が原因として関連する慢性腎症の進行の処置および/もしくは阻害ならびに/または予防のための医薬の製造のための、機能性H因子の使用。
  7. 機能性H因子の投与が、各患者の正常な血漿中H因子濃度を少なくとも10%上回る血漿レベルを注射後に達成するよう行われる、請求項6に記載の機能性H因子の使用。
  8. 尿細管間質性線維症(TIF)および/または進行性腎不全を処置するための、請求項6または7に記載の機能性H因子の使用。
  9. エタノールを用いるヒト血漿または血清のラージスケールの分別沈殿により得られる中間体に基づく機能性H因子の精製方法。
  10. 血漿から商業目的で得られる他の治療用タンパク質の規制認可に影響を及ぼさない、請求項9に記載のエタノールを用いるヒト血漿または血清のラージスケールの分別沈殿により得られる中間体に基づく機能性H因子の精製方法。
  11. 精製が、コーン法による8%エタノール沈殿物の上清またはオンクレー法による沈殿物IIIまたはキストラー・ニッチマン法による沈殿物Bに基づく、請求項9または10に記載の機能性H因子の精製方法。
  12. エタノールを用いるヒト血漿または血清のラージスケールの分別沈殿とクロマトグラフィ手順の組み合わせにより得られる中間体に基づく、請求項9〜11のいずれかに記載の機能性H因子の精製方法。
  13. 抗トロンビンIIIからH因子を分離する溶離液からの、請求項9〜11のいずれかに記載の機能性H因子の精製方法。
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