JP2007532486A - 組織因子経路インヒビターの投与による重度の市中肺炎の処置 - Google Patents

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Abstract

本発明は、重度の肺炎を治療または予防する方法を提供し、この方法は、重度の肺炎を有するか、または重度の肺炎を有する危険性のある患者に、約1.0mg/kg/時未満の投与速度での参照ala−TFPIの投与と等価な投与速度での、連続的な静脈内注入により、TFPIまたはTFPIアナログを投与する工程を包含し、その患者はTFPIまたはTFPIアナログの投与の24時間以内に抗凝固剤を受けていない。本方法は、好ましくは有害な副作用を避けるために低用量でのTFPIまたはTFPIアナログの連続的な静脈内注入の使用をともなう。

Description

(発明の分野)
本発明は、重度の市中肺炎の治療的処置の方法に関する。さらに具体的には、重度の肺炎に関連する、過増殖の生理学的経路または増幅された生理学的経路を減弱させるための、組織因子経路インヒビタータンパク質の投与に関する。
(発明の背景)
肺炎は、肺(肺胞腔および間質組織を含む)の一つ以上の機能エレメントの急性感染から生じる。米国において、毎年約200万人の人々が肺炎を発症し、これらの人々のうち40,000〜70,000人が死亡する。肺炎は、すべての疾患分類の中で死因として6番目に位置付けられ、最も一般的な致命的な院内で始まる(院内)感染症である。市中肺炎(CAP)は、米国におケル医療費にかなりの影響を有し、直接費で毎年推計140億ドル、逸失賃金で90億ドルを占める(非特許文献1)。発展途上国においては、下気道感染は主要な死因であるか、または伝染性下痢症に次いで2番目に位置する。(非特許文献2)。
「重度の肺炎」として知られる状態は、多様な組織(例えば、アメリカ胸部学会(ATS))により示される指針に従って特徴付けられる(非特許文献3)。例えば、このATSは、重度の肺炎の診断の他の基準に加えて、少なくとも一つの主要な基準(例えば、機械的人工換気の必要性または敗血性ショック)を要求している。一般的に、重度の肺炎は、急性肺疾患、肺の炎症性疾患、または炎症もしくは凝固のような要因に起因する肺機能の任意の混乱から生じうる。重度のCAPの診断は、特に肺炎にためにICUに収容されている患者に基づく。疫学的には、この患者集団は、すべてのICU入院患者の約10%を構成する。肺炎のICU患者は、CAPを有する一般的な入院患者の死亡率の15%未満と比較して、全てのCAP患者の最大の死亡率(30%〜40%)を有する。
米国では毎年、約4百万人の成人において市中肺炎(CAP)と診断されており、600,000もの多くの人が入院を必要とする(非特許文献4)。全体として、CAPの発生率は年齢とともに増加し、最大の罹患率が65歳以上の人に見られる(非特許文献5)。この発生率は、併存症(例えば、慢性閉塞性肺疾患、喘息、糖尿病、アルコール依存症、免疫抑制、腎不全、慢性肝疾患および心臓病)を有する患者でも増加する。非特許文献6;非特許文献7。
肺炎は米国において感染による死亡の主要原因で、全体的な死亡の6番目の主要原因である。肺炎関連死亡率は1979年から1992年までに22%増加し、高齢患者(65歳以上)は1992年のすべての肺炎関連死亡の89%を占めている。肺炎およびインフルエンザ死亡率−米国、1979年〜1994年[公開された訂正はMMWR.1995;44:782にある]を参照されたい。MMWR.1995;44:535−537。Fineおよびその共同研究者ら(1997年)は、ある共存する病気(腫瘍性疾患、鬱血性心不全(CHF)、脳血管疾患、腎疾患および肝疾患)およびある種の健康診断での知見(精神状態の異常、心拍数の増加、呼吸数の増加、収縮期血圧の減少および異常な低温または異常な高温)もまた、CAP関連死亡率の増加に関連することを報告した。さらに、CAPは米国において医療費に対して著しい影響を有し、直接費で毎年推測140億ドルおよび逸失賃金で90億ドルを占める(非特許文献8)。
組織因子経路インヒビター(TFPI)は、タンパク質であり、そして哺乳動物の血漿に存在するセリンプロテアーゼインヒビターである。非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11。TFPIは組織因子インヒビター、組織トロンボプラスチンインヒビター、第III因子インヒビター、外因経路インヒビター(EPI)、およびリポタンパク質関連凝固阻止剤(LACI)としても知られている。「組織因子経路インヒビター」(TFPI)との名称は、1991年6月30日に血栓症および止血に関する国際学会(International Society on Thrombosis and Hemostasis)により承認された。
血液凝固活性化は、液体血液の固体ゲルまたは凝血塊への変換である。さらに、凝固プロテアーゼの消費は過剰な出血を導く。主要な事象は、可溶性フィブリノーゲンの、フィブリン不溶性ストランドへの変換であるが、フィブリン自体は全血液凝塊のわずかに0.15%を形成するだけである。この変換は、複合的な酵素カスケードの最終工程である。成分(因子)は、チモーゲン(タンパク質分解酵素の不活性前駆体)として存在し、これは特定部位でのタンパク質分解切断により活性酵素に変換される。1つの因子の少量の活性化が、より大量の次のものの形成を触媒し、その結果フィブリンの著しく迅速な形成をもたらす増幅をもたらす。
凝固は、内皮細胞下の細胞に発現される第VIIaを組織因子(TF)に曝す血管損傷により開始されると考えられている。第VIIa因子−TF複合体は第X因子を第Xa因子に切断し、第IX因子を第IXa因子に切断する。TFPIは第VIIa因子と第Xa因子の両方に結合する。TFPIと、(結合TFを伴う)第VIIa因子と、第Xa因子との間に形成される複合体は、持続した止血に必要とされる第Xa因子および第IXa因子のさらなる形成を阻害する(非特許文献12)。
血流に直接導入される内毒素等の細菌産物による凝固カスケードの活性化は、動脈表面上の広範なフィブリン堆積、ならびにフィブリノーゲン、プロトロンビン、第V因子および第VIII因子、および血小板の減少をもたらし得る。さらに、フィブリン溶解系が促進され、フィブリン分解産物のさらなる形成をもたらす。
凝固活性化が明らかに細菌産物(例えば、内毒素)により開始されるのと同時に、相反する機構も凝固により活性されるようである(すなわちフィブリン溶解系の活性化)。活性化第XIII因子はプラスミノーゲンプロアクチベータをプラスミノーゲンアクチベーターに変換し、このアクチベータは続いて、プラスミノーゲンをプラスミンに変換することにより血塊溶解を媒介する。しがたって、血漿フィブリン溶解系はまた、出血傾向にも寄与し得る。
内毒血症は、組織プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター(PAI)の血中濃度の増加に関連する。このインヒビターは、組織プラスミノーゲンアクチベーター(TPA)を迅速に不活化することにより、プラスミノーゲンのプラスミンへの活性化による繊維素溶解を促進するTPAの能力を妨げる。繊維素溶解の欠陥は、血管のフィブリン堆積を引き起こし、それゆえ敗血症ショックに関連するDICに寄与し得る。
重篤な肺炎および関連する血液凝固障害の予防または処置のための、満足できる介入を同定する努力が進行している。凝固経路を遮断する因子は、重度の肺炎の治療上の処置または予防的治療として必ずしも効果的ではない。例えば、ヘパリンは一般的に使用される抗凝血剤である。しかし、ヘパリンは過剰な出血を誘発し、凝固異常は緩和するが、延命効果を提供しないことがわかったため、ヘパリンの使用の運用は困難である。例えば、非特許文献13を参照されたい。主に、激症DICが際立った特徴である髄膜炎菌内毒血症におけるいくつかの臨床試験はヘパリン治療による敗血症の死亡率の減少を示すことはできなかった。例えば、非特許文献14;非特許文献15;非特許文献16を参照。
重度の市中肺炎にかかりやすい患者は、集中治療室(ICU)への入院を必要とする市中肺炎を有する患者である。市中肺炎を有する患者は、肺実質の感染を有すると臨床的に同定され、そして/またはX線写真および臨床的徴候によって確認される。重度の肺炎は、重度の市中肺炎を包含し、代表的には十分に規定されている病原体(S.Pneumonae、legionella、H.influenaeまたは多様なグラム陰性桿菌が挙げられる)を有する。重度の市中肺炎を有する患者の大部分は、CAP症状の発見前は地域社会に住み、わずかに約20%の患者のみが病院、養護施設または長期医療からの移動を承認される。重度CAPを有する米国の患者は、約50%が男性であり、約50%が女性であるが、年上である傾向がある。米国における重度CAPを有する約17%の患者が50歳未満であり、約24%が50歳〜64歳であり、約21%が65歳〜74歳であり、約38%が75歳を超える。重度CAPを有するほとんどの患者は、1種類以上の顕著な共存症を有する。2003年にICU介護治療を受けた米国のCAP患者のうち、これらの患者は、代表的に、対応する心臓病、COPD/嚢胞性線維症、糖尿病、腎疾患、癌、アルコール依存症および/または薬物乱用を有する。
組換えヒトala−TFPI(TFPIアナログ)の投与は、敗血症の動物モデルにおいて、生存率を向上させることが示されている。例えば、特許文献1を参照されたい。内在性タンパク質として、TFPIは良好な耐容性を示す。静脈内注射または皮下注射によるTFPI投与は、凝固能力を減少させることが示された。この減少は、プロトロンビン時間(PT)の増加として現れる。動物およびヒトの研究において、PTの延長は、血漿TFPIの増加に対して直線的に関連した。非特許文献17。
重度の肺炎の致死的な影響を阻害し、同時に潜在的に深刻な副作用を最小化する治療方法に対する必要性が、当該分野においてなお存在している。
米国特許第6,063,764号明細書 Lynch J P,Martinez F J.Community−acquired pneumonia.Curr Opin Pulm Med.1998年;4:p.162−172 The Merck Manual,2000年、Sec.6,Ch.73,Pneumonia Am J Respir Crit Care Med 2001年;163:p.1730−1754 Fine et al.,N.Engl.J.Med.1997年、336,p.243−50 Marston et al.,Arch Intern Med.1997年;157:p.1709−1718 Marrie,Curr Opin Pulm Med.1996年;2:p.192−197 Niedermann et al.,Am Rev Respir Dis.1993年;148:p.1418−1426 Lynch & Martinez,Curr Opin Pulm Med.1998年;4:p.162−172 Thomas,Bull.Johns Hopkins Hos 1947年、26、p.81 Schneider,Am.J.Physiol.1947年、149,p.123 Broze & Miletich,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 1987年、84,p.1886 Broze,Jr.,Ann.Rev.Med.1995年、46:p.103 Aokiら,Int.J.Hematol.「A Comparative Double−BLIND randomized Trial of Activated Protein C and Unfractionated Heparin in the Treatment of Disseminated Intravascular Coagulation」、2002年、75,p.540−47 Corriganら,N.Engl.J.Med.,「Heparin Therapy in Septacemia with Disseminated Intravascular Coagulation.Effect on Morality and on Correction of Hemostatic Defects」、1970年、283:p.778−782 Laschら,Thrombos.Diathes.Haemorrh.,「Heparin Therapy of Diffuse Intravascular Coagulation(DIC)」,1974年、33:p.105 Straub,Thrombos.Diathes.Haemorrh.,「A Case Against Heparin Therapy of Intravascular Coagulation」,1974年,33:p.107 A.A.Creasey,Sepsis 1999年、3:p.173
(発明の要約)
本発明の一実施態様は、重度の肺炎を治療または予防する方法である。この方法は、重度の肺炎を有するか、または重度の肺炎を有する危険性のある患者に、TFPIまたはTFPIアナログを投与する工程を包含する。いくつかの実施態様において、患者は実証可能な感染を有する。
本発明の別の実施態様は、TFPIまたはTFPIアナログからなる群から選択される因子の連続的な静脈内注入液を患者に投与する工程を包含する、重度の肺炎を処置する方法である。いくつかの実施態様において、患者は実証可能な感染を有する。
他の実施態様としては、TFPIまたはTFPIアナログが、参照ala−TFPIの約2.0mg/kg/時未満の投与速度での投与と等価な投与速度で連続的な静脈内注入により投与される、上記実施態様のいずれかが挙げられる。好ましい実施態様において、その投与速度は、参照ala−TFPIの約0.00025mg/kg/時〜約2.0mg/kg/時、もしくは約0.001mg/kg/時〜約1.75mg/kg/時での投与速度での投与と等価である。別の好ましい実施態様において、その投与速度は、参照ala−TFPIの約0.005mg/kg/時〜約1.50mg/kg/時での投与と等価である。さらに好ましい実施態様において、その投与速度は、参照ala−TFPIの約0.010mg/kg/時〜約0.75mg/kg/時の投与と等価である。さらに好ましい実施態様において、TFPIまたはTFPIアナログは、参照ala−TFPIの約0.2mg/kg/時〜約0.8mg/kg/時での投与と等価な投与速度で投与される。別の好ましい実施態様において、投与速度は、参照ala−TFPIの約0.024〜約4.8mg/kgでの総用量での投与と等価な総用量を提供するように投与される。別の好ましい実施態様において、投与速度は、参照ala−TFPIの少なくとも約0.006mg/kgおよび約1.2mg/kg未満での一日の用量での投与と等価な一日の用量を提供するように投与される。
他の実施態様としては、TFPIまたはTFPIアナログが少なくとも72時間投与される上記実施態様のいずれかが挙げられる。好ましい実施態様において、TFPIまたはTFPIアナログは、少なくとも96時間投与される。
他の実施態様としては、TFPIアナログが非グリコシル化ala−TFPIである上記実施態様のいずれかが挙げられる。
他の実施態様としては、TFPIアナログが配列番号1のアミノ酸19〜89からなる第1のKunitzドメインを含む上記実施態様のいずれかが挙げられる。好ましい実施態様において、TFPIアナログが、さらに配列番号1のアミノ酸90〜160からなる第2のKunitzドメインを含む。
他の実施態様としては、TFPIアナログが配列番号1のアミノ酸1〜160からなるか、またはTFPIアナログが配列番号1のアミノ酸90〜160からなる第2のKunitzドメインを含む上記実施態様のいずれかが挙げられる。
他の実施態様としては、TFPIまたはTFPIアナログがTFPIまたはTFPIアナログを含む凍結乾燥組成物から調製される上記実施態様のいずれかが挙げられる。
他の実施態様としては、TFPIまたはTFPIアナログがアルギニンを含む処方物として投与される上記実施態様のいずれかが挙げられる。
他の実施態様として、TFPIまたはTFPIアナログがシトレートを含む処方物として投与される上記実施態様のいずれかが挙げられる。
他の実施態様として、TFPIまたはTFPIアナログが、約300mM塩酸アルギニンおよび約20mMクエン酸ナトリウムを含み、約5.5のpHを有する処方物中に約0.15mg/mlの濃度を有する上記実施態様のいずれかが挙げられる。
他の実施態様としては、さらに、抗生物質、抗体、内毒素アンタゴニスト、抗凝固活性を有する組織因子アナログ、免疫抑制剤、細胞接着ブロッカー、ヘパリン、BPIタンパク質、IL−1アンタゴニスト、パファーゼ(PAF酵素インヒビター)、TNFインヒビター、IL−6インヒビター、および補体のインヒビターからなる群から選択されるさらなる物質を、TFPIまたはTFPIアナログの投与と同時またはその24時間以内に投与する工程を包含する、上記実施態様のいずれかが挙げられる。好ましい実施態様において、さらなる物質がTNF、IL−6およびM−CSFからなる群から選択される抗原に特異的に結合する抗体である。
本発明のさらなる実施態様は、詳細な説明とともに添付の参考図面を考慮すれば明らかである。
(発明の詳細な説明)
TFPIまたはTFPIのアナログの投与は、重度の肺炎の予防および治療に効果的である。TFPIまたはTFPIのアナログの連続低用量投与(以下、「低用量TFPI投与」と称する)もまた、重度の肺炎の予防および処置に効果的である。TFPIまたはTFPIアナログ投与、特に低用量投与は、急性炎症または慢性炎症(特に重度の肺炎)を阻害または軽減する。低用量TFPI投与が少なくとも3日間続けられた場合に、重度の肺炎による死亡の危険性が減少する一方で、有害な副作用による合併症(特に出血性疾患)発生率が最小化され得る。低用量TFPI投与のさらなる利点は、十分に高い用量でTFPIの血漿濃度を減少させうる許容効果の回避である。許容効果は、約850ng/mlの血漿TFPI濃度で最大の半分促進されるが、低用量TFPI投与では血漿レベルは一般的には500ng/ml以下にある。低用量TFPI投与は、一般的にはTFPIまたはTFPIアナログの連続的な静脈注入により実施される。
(TFPIおよびTFPIアナログ)
本明細書中で用いられる場合、「TFPI」とは、配列番号1に示される276アミノ酸残基の配列と約38,000ダルトンの分子量を有する成熟した血清糖タンパク質をいう。それは組織因子活性(すなわち凝固活性化)の天然のインヒビターである。米国特許第5,110,730号は組織因子(TF)を記載し、米国特許第5,106,833号はTFPIを記載する。TFPIのcDNAのクローニングは、Wunらの米国特許第4,966,852号に記載されている。TFPIはプロテアーゼインヒビターであり、3つのKunitzドメインを有し、そのうちの2ドメインはそれぞれ第VII因子と第Xa因子と相互作用することが知られている。第3ドメインの機能は、未知のままである。TFPIはインビボで機能して、第X因子:TFPI:第II因子:組織因子の4成分からなる不活性な複合体を形成することにより凝固の開始を制限すると考えられている。Rapaport,Blood 73:359−365(1989)およびBroze et al.,Biochemistry 29:7539−7546(1990)の概説を参照されたい。TFPIの構造的特徴の多くは、他のよく研究されたプロテアーゼインヒビターとの相同性から推定することができる。TFPIは酵素ではないので、おそらくそのプロテアーゼ標的を化学量論的に阻害する(すなわち、TFPIのKunitzドメインの一つが、一つのプロテアーゼ分子を阻害する)。好ましくは、Kunitzドメイン1および/またはKunitzドメイン2は、本発明のTFPI分子中に存在し得る。Kunitzドメイン3の機能は、未知である。
「TFPIアナログ」は、一つ以上のアミノ酸付加または置換(一般的には、本質的に保存的である)、一つ以上のアミノ酸欠失(例えば、TFPIフラグメント)、または一つ以上のアミノ酸に対する一つ以上の化学的部分の付加により修飾された、TFPIの誘導体である(ただし、TFPIへの修飾がTFPI生物活性を破壊しない限り)。ポリペプチドアナログを作製する方法は当該分野において公知であり、以下にさらに詳しく説明され,る。好ましいTFPIアナログはN−L−アラニル−TFPIアナログ(ala−TFPI)であり、そのアミノ酸配列は配列番号2に示される。TFPIアナログは、下記で説明するように、生物活性アッセイにより決定されたTFPIの活性をいくぶんか有する。TFPIおよびアナログの好ましい生物活性アッセイはプロトロンビン時間(PT)アッセイである(下記を参照)。
TFPIとTFPIアナログはグリコシル化されていてもよいし、グリコシル化されていなくてもよい。TFPIのアナログは、米国特許第5,106,833号に記載されている。Ala−TFPIは、国際的薬物名「チファコギン」(tifacogin)としても知られるTFPIアナログである。Ala−TFPIは、アミノ酸末端にさらにアラニン残基が付加された成熟した完全長のヒトTFPIの全アミノ酸配列を含む。Ala−TFPIのアミノ酸末端のアラニン残基は、大腸菌での発現を向上させ、かつ本来はアミノ末端メチオニン残基であるものの切断を達成するように、TFPI配列へと設計したものである。米国特許第5,212,091号を参照されたい。
特に好ましいTFPIアナログとしては、本質的に保存的である置換体、すなわち、側鎖において関連しているアミノ酸のファミリー内で起こる置換体が挙げられる。具体的には、アミノ酸は、一般的に、4つのファミリー、すなわち、(1)酸性…アスパラギン酸およびグルタミン酸;(2)塩基性…リジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性…アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性…グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニンおよびチロシンに分けられる。ファニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンはしばしば芳香族アミノ酸と分類される。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンへの単独置換、アスパラギン酸のグルタミン酸への単独置換、スレオニンのセリンへの単独置換、またはあるアミノ酸の構造的に関連するアミノ酸への類似の保存的置換は、生物活性に対して主要な効果を持たないことは合理的に予測可能である。その分子の望ましい機能が損なわれない限り、目的のポリペプチドは、例えば約1〜70の保存的または非保存的アミノ酸置換、例えば、1、2、3、4、5、6〜50、15〜25、5〜10、または1〜70のいずれかの整数のアミノ酸置換を含み得る。当業者は、ここに定義された生物活性を保持する適度な可能性を有する修飾を行なうことができる目的分子の領域を容易に決定するだろう。
「相同性」とは、2つのポリヌクレオチド間、または2つのポリペプチド部分間の類似性パーセントをいう。2つのポリペプチド配列は、それらの配列が、分子の規定された長さにわたって、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約75%、さらに好ましくは少なくとも約80%〜85%、好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは少なくとも95%〜98%の配列相同性か、またはこれらの具体的な範囲間のいずれかの相同性パーセントを示す場合に、互いに「実質的に相同」である。本明細書中で用いられる場合、「実質的に相同」とはまた、特定されたポリペプチド配列に完全な同一性を示す配列もいう。
一般的に、「同一性」は二つのポリペプチド配列間のそれぞれのアミノ酸の一対一での正確な一致をいう。同一性パーセントは、二つの分子の配列を並べて、二つの並べられた配列間で合致した部分の正確な数を数え、短い方の配列の長さで除算し、その結果に100を掛けることによって、二分子間の配列情報を直接的に比較することにより決定され得る。
好ましくは、天然または非天然のTFPIアナログは、配列番号1に由来するTFPIに対して少なくとも70%、80%、85%、90%または95%以上相同であるアミノ酸配列を有する。それら分子は、98%または99%相同であるのがより好ましい。相同性パーセントは、ギャップオープンペナルティー12およびギャップ伸張ペナルティー2およびBLOSUMマトリックス62のアフィンギャップ検索(affine gap search)を用いるSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムを使用して決定される。Smith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、Smith and Waterman,Adv.Appln.Math.2:482−489(1981)において教示される。
TFPIおよびTFPIアナログの生物活性は、プロトロンビンアッセイにより決定され得る。適当なプロトロンビンアッセイは、米国特許第5,888,968号およびWO96/40784に記載されている。簡単に説明すれば、プロトロンビン時間は凝固測定器(例えば、Organon Teknika社のCoag−A−Mate MTX II)を用いて決定することができる。適当なアッセイ緩衝液は、1mg/mlウシ血清アルブミンを含む100mM NaCl、50mMトリス(pH7.5に調節)である。必要とされるさらなる試薬は正常なヒト血漿(例えば、Organon Teknika社の“Verify 1”)、トロンボプラスチン試薬(例えば、Organon Teknika社の“Simplastin Excel”)およびTFPI標準溶液(例えば、アッセイ緩衝液1mlあたり20μgの100%の純粋なala−TFPI(またはその同等物))である。標準曲線は、例えば1〜5μg/mlの範囲の最終濃度までのTFPI標準溶液の一連の希釈物の凝固時間を分析することにより得られる。凝固時間の決定のために、最初に、試料またはTFPI標準をアッセイ緩衝液に希釈する。次に、正常なヒト血漿を加える。凝固反応はトロンボプラスチン試薬を加えることにより開始させる。次に、装置は凝固時間を記録する。対数TFPI濃度に対する対数凝固時間のプロットから、直線的なTFPI標準曲線を得る。標準曲線は、100%純粋な標準の等価TFPI濃度に対応するTFPI標準の純度に基づいて調節する。例えば、標準が97%生化学的に純粋である(すなわち、TFPIの生物活性のない3重量%の分子種を含む)ala−TFPI調製物である場合、標準の各希釈物の濃度に0.97を掛けてTFPIの実際の濃度を得る。例えば、97%純粋である調製物1mlあたりの実際の重量に基づく1.0μg/mlであるTFPI標準は、1.0×0.97、すなわち0.97μg/mlの濃度と等価であり、0.97μg/mlとして処理される。
(TFPIおよびTFPIアナログの取得)
本発明の方法に用いられるTFPIおよびTFPIのアナログは、細胞または組織から単離、精製され得、化学合成され得、または原核細胞か真核細胞のいずれかにおいて組換え生産され得る。
TFPIはいくつかの方法により単離することができる。例えば、TFPIを分泌する細胞として、加齢した内皮細胞、約3〜4日間TNFで処理された幼若内皮細胞、肝細胞および肝癌細胞が挙げられる。TFPIは、慣習的な方法(Pedersen et al.,1990,J.Biol.Chem.265,16786−93,Novotny et al.,1989,J.Biol.Chem.264,18832−37,Novotny et al.,1991,Blood 78, 394−400,Wun et al.,1990,J.Biol.Chem.265,16096−101およびBronze et al.,1987,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84,1886−90のクロマトグラフィー方法)により精製することができる。TFPIは血流に現れ、血液から精製することができる(Pedersen et al.,1990を参照)。
TFPIまたはTFPI変異体は、アミノ酸配列を合成する化学的方法、例えば、固相法を用いる直接ペプチド合成(Merrifield,J.Am.Chem.Soc.85,2149−2154,1963;Roberge et al.,Science 269,202−204,1995)により製造することができる。タンパク質合成は手動による技術を用いるか、自動化により実施することができる。自動化された合成は、例えば、Applied Biosystems 431A Peptide Synthesizer(Perkin Elmer)を用いて達成することができる。状況に応じて、化学的方法を用いてTFPIまたはTFPI変異体のフラグメントを別々に合成し、それらを結合させて全長分子を作ることができる。
TFPIとTFPIアナログは米国特許第4,966,852号に示されているように組換え産生され得る。例えば、所望のタンパク質のcDNAを、原核生物または真核生物発現用のプラスミドに組み込むことができる。米国特許第4,847,201号は、微生物を特定のDNA配列で形質転換し、そのDNA配列を発現するための詳細を提供する。微生物を用いるタンパク質発現に関する詳細を提供する、当業者に公知の多くの他の参考文献が存在する。これらの多く(例えば、Maniatas et al.,1982,Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Press)が、米国特許第4,847,201号に引用されている。
微生物を形質転換し、その微生物を用いてTFPIおよびTFPIアナログを発現するために、種々の技術が利用可能である。以下は、可能な方法の単なる例示である。TFPI DNA配列は単離され、適当な制御配列に連結されなければならない。TFPI DNA配列は米国特許第4,966,852号に示されており、Boehringer−Mannheim等の会社から利用可能な市販のpUNC13やpBR3822等のプラスミドに組み込むことができる。TFPI DNAがいったんベクターに挿入されたら、それを適当な宿主にクローニングすることができる。DNAは、Mullisの米国特許第4,683,202号およびMullisらの米国特許第4,683,195号に示された技術等により増幅することができる。TFPI cDNAを得るために、TFPI mRNAを生成するように肝癌細胞(例えば、HepG2およびSKHep)等の細胞を誘導し、次いてそのmRNAを同定、単離し、それを逆転写して、TFPIのcDNAを得ることができる。その発現ベクターで大腸菌等の宿主を形質転換した後、その細菌は発酵され得、タンパク質が発現させる。細菌は、好ましい原核微生物であり、大腸菌が特に好ましい。本発明に有用な好ましい微生物は、ブダペスト条約の規則に基づいて、1984年2月14日にATCCに寄託された大腸菌K−12、MM294株(寄託番号39607)である。
勿論、多細胞生物から得られた真核宿主細胞培養物にポリペプチドをコードする遺伝子を発現させることもできる。例えば、Tissue Culture,1973,Cruz and Patterson,eds.,Academic Pressを参照されたい。有用な哺乳動物の細胞系として、マウスミエローマN51、VERO、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、COS、C127、Hep G2およびSK Hepが挙げられる。TFPIおよびTFPIアナログはバキュロウイルス感染昆虫細胞でも発現させることができる(上記引用の米国特許第4,847,201号も参照)。Pedersen et al.,1990,J.of Biological Chemistry,265:16786−16793も参照されたい。通常、真核細胞用の発現ベクターとしては、哺乳動物細胞に適合するプロモーターと制御配列、例えば、シミアンウイルス40(SV40)由来のよく使われる初期プロモーターと後期プロモーター(Fiers,et al.,1978,Nature,273:113)または他のウイルスプロモーター、例えば、ポリオーマ、アデノウイルス2、ウシパピローマウイルスまたはトリ肉腫ウイルスに由来するプロモーターまたは免疫グロブリンプロモーターおよび熱ショックプロモーターが挙げられる。哺乳動物細胞宿主系の形質転換の一般的な側面、はAxelの米国特許第4,399,216号に記載されている。現在では、「エンハンサー」領域は発現を最適化するために重要であるとも考えられている。これらは通常はプロモーター領域の上流に見られる配列である。必要に応じて、複製開始点はウイルス源から得ることができる。しかし、染色体への組み込みは、真核生物におけるDNA複製の共通するメカニズムである。植物細胞も現在は、宿主として利用することができ、植物細胞と適合性のある制御配列、例えば、ノパリンシンターゼプロモーターおよびポリアデニル化シグナル配列(Depicker,A.,et al.,1982,J.Mol.Appl.Gen.,1:561)が利用可能である。植物細胞の形質転換の方法とベクターはWO85/04899に開示されている。
哺乳動物細胞で発現したTFPIおよびTFPIアナログの精製に用いることのできる方法としては、ヘパリン−セファロース、モノQ、モノSおよび逆相HPLCクロマトグラフィーの連続的な適用が挙げられる。上記Pedersen et al.;Novotny et al.,1989,J.Biol.Chem.264:18832−18837;Novotny et al.,1991,Blood,78:394−400;Wun et al.,1990,J.Biol.Chem.265:16096−16101;Broze et al.,1987,PNAS(USA),84:1886−1890;米国特許第5,106,833号;および米国特許第5,466,783号を参照されたい。これらの参考文献は、哺乳動物産生TFPIの多様な精製方法を記載する。
TFPIは、哺乳動物細胞宿主、例えば、マウスC127細胞(Day et al.,Blood 76,1538−45,1990)、ベビーハムスター腎臓細胞(Pedersen et al.,1990)、チャイニーズハムスター卵巣細胞およびヒトSK肝癌細胞を用いて、組換えグリコシル化タンパク質として発現させることもできる。C127 TFPIは動物研究に用いられ、ウサギにおける組織因子誘導血管内凝固の阻害に効果的であること(上記のDay et al)、イヌにおける血栓溶解後の動脈再閉塞の予防に効果的であること(Haskel et al.,Circulation 84:821−827(1991))、およびヒヒにおける大腸菌敗血症モデルの死亡率減少に効果的である(Creasey et al.,J.Clin.Invest.91:2850(1993))ことが示されている。Ala−TFPIは大腸菌宿主細胞を用いて組換え非グリコシル化タンパク質として発現させることができる。大腸菌で作られた組換えタンパク質のインビトロでのリフォールディングにより高活性ala−TFPIを作る方法が記載されている。例えば、WO96/40784を参照されたい。
また、TFPIおよびTFPIアナログは細菌または酵母で作り、引き続いて精製することができる。一般的に、米国特許第5,212,091号、米国特許第6,063,764号、米国特許第6,103,500号またはWO96/40784に示された操作を用いることができる。本明細書中に参考として援用されるWO96/40784およびGustafson et al.,Prot.Express.Pur.5:233(1994)に従って、Ala−TFPIおよび他のTFPIアナログを精製し、可溶化し、リフォールディングさせることができる。例えば、WO96/40784の実施例9に従って調製した場合、約85重量%〜90重量%の全タンパク質を含むala−TFPIの調製物を、成熟し、適切にフォールディングされ、生物活性のあるala−TFPIとして得ることができ、その約10〜15%が一つ以上の酸化メチオニン残基を有する。これらの酸化型は、非誘導体化ala−TFPIの生物活性と等しい生物活性を有するとプロトロンビンアッセイにより決定され、本明細書中に開示される発明において活性があることが予測される。残りの物質は、種々の改変形態(例えば、2量体化形態、凝集形態、およびアセチル化形態)のala−TFPIを含む。
TFPIおよびTFPIアナログは、かなりの数のシステイン残基を有し、米国特許第4,929,700号に示された操作はTFPIリフォールディングに関連する。TFPIおよびアナログは、上記のような種々のクロマトグラフィー法により緩衝溶液から精製することができる。必要に応じて、米国特許第4,929,700号に示された方法を用いてもよい。ヒト投与に適する純度と活性度をもたらすTFPIおよびTFPIアナログを精製するために、任意の方法を用いてもよい。
(治療方法および組成物)
一般的に、TFPIおよびTFPIアナログは、組織因子発現の上方調節(よってTNF、IL−1または他のサイトカインによりもたらされるTF活性)のために引き起こされる疾患を、処置または予防するために有用である。TFPI投与、特に低用量TFPI投与は、患者においてIL−6等のサイトカインの濃度を低下させ得る。低用量TFPI投与は、一般的に重度の肺炎等の急性と慢性の両方の炎症状態を含む、炎症および凝固異常を処置するために有用である。
「重度の肺炎」は、アメリカ胸部学会により示された指針にしたがって定義される。具体的には、重度の肺炎は、肺炎の診断、およびa)2つの主要な基準の一つ、b)3つのマイナーな基準の2つ、またはc)英国胸部学会からの4つの基準(Thorax 2001;56[suppl IV]:1−64)の2つ、のいずれかの存在を必要とする。主要な基準は、1)機械的人工換気の必要性および2)敗血性ショックまたは4時間を超える昇圧剤の必要性である。マイナーな基準は、1)最大血圧90mmHg以下、2)多大葉性肺炎、および3)(PaO/FiO)<250である低酸素血の基準である。英国胸部学会の基準は、1)呼吸数30呼吸/分以上、2)最低血圧60mmHg以下、3)血中尿素窒素(BUN)>7.0mM(>19.6mg/dL)および4)混乱状態である。当該分野において公知であるように、低酸素血基準(PaO/FiO)は吸入酸素に対する動脈酸素の分圧をいい、ガス交換の障害レベルを示す。
好ましくは、重度の肺炎を有する患者は、従来知られている手段により実証可能な感染を有する。これらの方法としては、例えば、グラム染色、培養、組織化学染色、免疫化学アッセイまたは核酸アッセイによる血液または他の正常に無菌の体液または組織の培養物中の病原生物の検出が挙げられるが、これらに限定されない。実証可能な感染は、全身性抗炎症治療のための理由を構成する肺炎の診断と一致する胸部X線検査、ならびに感染の任意の臨床的症状(呼吸数30/分以上またはPaCO/FiO<250における増加、血圧の減少、および体温の上昇が挙げられるが、これらに限定されない)により証拠付けられ得る。
(TFPIとTFPIアナログの処方物)
TFPIとTFPIアナログの処方物は、好ましくは静脈内注入により投与される。本質的に連続的静脈内注入が好ましい。この投与を達成する方法は、当業者に公知である。中心線または周辺線を経て注入を実施することができる。投与速度の大きな変動を避けられるべきであるが、投与されたTFPIによる血漿レベルが、本発明の好ましい実施態様による一定の投与速度での連続的注入から予測されるものの20%以内であるという条件で、本発明の投与速度からの短期的な逸脱が許容される。
患者への投与前に、処方物はTFPIおよびTFPIアナログに加えてよい。液体処方物が好ましい。TFPIおよびTFPIアナログは、異なる濃度で、異なる処方物を用いて、TFPIタンパク質の投与経路、溶解性および安定性に適合する生理学的に適当なpHで配合してよい。静脈内注入の好ましい処方物は、約0.6mg/mlまでのala−TFPI、300mMまでの塩酸アルギニンおよびpH5.0〜6.0のクエン酸ナトリウムを含む。アルギニン、NaCl、スクロースおよびマンニトール等の特定の溶質は、ala−TFPIを溶解および/または安定化するように機能する。WO96/40784を参照のこと。静脈内注入用の特に好ましい処方物は、約0.15mg/mlのala−TFPI、300mM塩酸アルギニンおよび20mMクエン酸ナトリウム(pH5.5)を含む。TFPIおよびTFPIアナログは、必要に応じて0.005%または0.01%(w/v)ポリソルベート80(Tween80)を有する150mMのNaClおよび20mMのリン酸ナトリウムまたはpH5.5〜7.2の別の緩衝液中に約0.15mg/mlまでの濃度で配合することもできる。他の処方物は、150mMのNaCl、8%(w/v)スクロース、または4.5%(w/v)マンニトールのいずれかを含む10mM酢酸ナトリウム(pH5.5)中に約0.5mg/mlまでのTFPIまたはTFPIアナログを含有する。TFPIおよびTFPIアナログは、高塩分を用いる数mg/mlまでの高濃度で配合することもできる。例えば、ある処方物は500mMのNaClおよび20mMリン酸ナトリウム(pH7.0)中に約6.7mg/mlまでのala−TFPIを含有する。さらに、TFPI処方物はメチオニンを、好ましくは約1〜約10mMメチオニン範囲で含有してよい。
TFPI処方物の好ましい実施態様は、約0.1〜約0.7mg/mlのala−TFPI、200〜500mMのL−アルギニン、1〜7mMメチオニン、5〜50mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.0〜6.0)である。TFPI処方物の好ましい実施態様は約0.1〜約0.5mg/mlのala−TFPI、250〜400mMのL−アルギニン、3〜6.5mMメチオニン、15〜30mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.0〜6.0)である。TFPI処方物の好ましい実施態様は約0.15mg/mlのala−TFPI、約300mMの塩酸L−アルギニン、5mMメチオニン、20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)である。TFPI処方物の別の好ましい実施態様は約0.45mg/mlのala−TFPI、約300mMの塩酸L−アルギニン、5mMメチオニン、20mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.5)である。
TFPIおよびTFPIアナログの処方物のさらなる例としては、オイル、ポリマー、ビタミン、炭水化物、アミノ酸、塩、緩衝液、アルブミン、界面活性剤または充填剤が挙げられる。好ましくは、炭水化物としては、糖または糖アルコール、例えば、単糖、二糖または多糖、または水溶性グルカンが挙げられる。糖類またはグルカンとしては、フルクトース、デキストロース、ラクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、スクロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、アルファおよびベータシクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプンおよびカルボキシメチルセルロース、またはそれらの混合物が挙げられる。スクロースが最も好ましい。糖アルコールは、−OH基を有するC〜C炭化水素と定義され、ガラクトース、イノシトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、グリセロールおよびアラビトールが挙げられる。マンニトールが最も好ましい。上記のこれらの糖または糖アルコールは、個々に使用されても良いし、組合せて使用されてもよい。糖または糖アルコールが水性調製物に可溶である限り、使用される量に一定の制限はない。好ましくは、糖または糖アルコール濃度は1.0w/v%〜7.0w/v%、さらに好ましくは2.0〜6.0w/v%の範囲にある。
好ましくは、アミノ酸として、左旋性(L)形のカルニチン、アルギニンおよびベタインが挙げられる。しかし、他のアミノ酸を加えてよい。好ましいポリマーとして、2,000〜3,000の平均分子量を有するポリビニルピロリドン(PVP)または3,000〜5,000の平均分子量を有するポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。凍結乾燥前または再構築後に溶液のpH変化を最小化するために、組成物中に緩衝液を使用することも好ましい。ほとんどの生理学的緩衝液を使用され得るが、クエン酸塩、リン酸塩、コハク酸塩およびグルタミン酸塩緩衝液またはそれらの混合物が好ましい。好ましくは、緩衝液の濃度は0.01〜0.3モルである。処方物に加えることができる界面活性剤は、EP第270,799号およびEP第268,110号に示されている。
さらに、TFPIおよびTFPIアナログは、その循環半減期を高めるために、例えばポリマーに共有結合体化させることによって化学的に修飾することができる。好ましいポリマーおよびそれらをペプチドに結合させる方法は、米国特許第4,766,106号、同4,179,337号、同4,495,285号および同4,609,546号に教えられている。好ましいポリマーは、ポリオキシエチル化ポリオールおよびポリエチレングリコール(PEG)である。PEGは室温で水溶性であり、一般式:R(O−CH−CH−O−R(式中、Rは水素、またはアルキルまたはアルカノール基等の保護基であり得る)を有する。好ましくは、保護基は1〜8炭素を有し、さらに好ましくはメチルである。記号nは正の整数、好ましくは1〜1,000、さらに好ましくは2〜500である。PEGは1000〜40,000、さらに好ましくは2000〜20,000、最も好ましくは3,000〜12,000の好ましい平均分子量を有する。好ましくは、PEGは少なくとも一つのヒドロキシ基を有し、さらに好ましくは、それは末端ヒドロキシ基である。インヒビター上の遊離アミノ基に反応させるために、このヒドロキシ基が好ましくは活性化される。しかし、反応性基の種類と量は、本発明の共有結合体化PEG/TFPIを得るために変動され得ることが理解される。
水溶性ポリオキシエチル化ポリオールも本発明で有用である。それらはポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、ポリオキシエチル化グリセロール(POG)等を含む。POGが好ましい。一つの理由は、ポリオキシエチル化グリセロールのグリセロール骨格は、例えば動物およびヒトにおいてモノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド中に天然に存在する同一の骨格であるためである。したがって、この枝分かれは体内で必ずしも外来物質と見なされない。POGは、PEGと同じ範囲の好ましい分子量を有する。POGに関する構造はKnauf et al.,1988,J.Bio.Chem.263:15064−15070に示され、POG−タンパク質複合体の議論は米国特許第4,766,106号に見られる。
TFPIまたはTFPIアナログの液体医薬組成物を調製した後は、この組成物は、分解を妨げ、無菌を保つために凍結乾燥され得る。液体組成物の凍結乾燥方法は、当業者に公知である。使用直前に、組成物を、追加成分を含み得る滅菌希釈剤(例えば、リンガー溶液、蒸留水または滅菌食塩水)で再構築され得る。再構築したら、組成物は好ましくは連続的な静脈内注入により対象に投与する。
(TFPIとTFPIアナログの用量)
TFPIまたはTFPIアナログは、重度の肺炎を処置および予防するのに治療的に有効な濃度で投与する。そのような用量は、他の急性または慢性の炎症、および一般的には、サイトカインが組織因子発現を上方調節する疾患にも効果的である。この目標を達成するために、TFPIまたはTFPIアナログは好ましくは静脈内に投与される。この投与を達成する方法は、当業者に公知である。一般的に、TFPIまたはTFPIアナログは1μg/kg〜30mg/kg、より好ましくは20μg/kg〜25mg/kg、最も好ましくは1〜15mg/kgの用量で与えられる。
上記の投与量は一般的に少なくとも約150時間にわたって、さらに好ましくは少なくとも約100時間にわたって投与される。一実施態様において、TFPIの投与は約99〜約90時間、好ましくは約97〜約94時間、さらに好ましくは約96時間継続させる。ホストに単回投与または分割投与で投与される一日の総用量は、例えば、毎日、体重1kg当たり約2mg〜約20mg、好ましくは体重1kg当たり約2mg〜約15mg、毎日体重1kg当たり約4mg〜約10mgの量であり得る。用量単位組成物は、この一日の投与量を構成するそのような量またはその約数量を含んでよい。毎日の低用量は、予防または他の目的のために有用である、例えば1μg/kg〜2mg/kgであってよい。単一用量形態を生成するためにキャリア物質と組合せられ得る有効成分の量は、処置される患者および特定の投与様式に基づいて変動する。
投薬レジメンは、患者のタイプ、年齢、体重、性別、食事および病状、疾患の重症度、投与経路、活性、有効性、薬物動態および毒物学特徴等の薬理学的な検討、薬物送達系を利用するかどうか、化合物が医薬組合せの一部として投与されるかどうか等、多様な要因に従って選択される。従って、実際に用いられる投薬レジメンは広範に変動し得、それゆえ上記の好ましい投薬レジメンから逸脱してよい。好ましくは、TFPIまたはTFPIアナログの投与量は、約0.66mg/kg/時でのala−TFPIの投与速度と等価な投与速度よりも高くすべきではない。
(低用量投与)
TFPIまたはTFPIアナログが、少なくとも約0.00025mg/kg/時(0.00417μg/kg/分)および約2.00mg/kg/時(0.833μg/kg/分)未満の投与速度でのala−TFPIの投与と等価な投与速度で与えられる場合、重度の肺炎を処置する有効性が保持され、出血等の有害な副作用が最小化される。一つの好ましい実施態様において、ala−TFPIは少なくとも約0.02mg/kg/時〜約1.0mg/kg/時、さらに好ましくは約0.24mg/kg/時〜約0.8mg/kg/時の投与速度で投与される。改善された組み合せの有効性および安全性のために、投与速度は、好ましくは少なくとも約0.010mg/kg/時(0.167μg/kg/分)および約0.045mg/kg/時(0.833μg/kg/分)未満でのala−TFPIの投与速度と等価であるか、または少なくとも約0.020mg/kg/時および約0.040mg/kg/時未満でのala−TFPIの投与速度と等価であるか、最も好ましくは約0.025mg/kg/時(0.417μg/kg/分)のala−TFPIの投与速度と等価である。投与経路は、一般的に静脈内投与により、連続的な静脈内注入が好ましい。注入は、少なくとも約72時間、96時間、120時間または240時間投与することができる。好ましくは、連続的な注入は、3〜8日間、さらに好ましくは3〜6日間、最も好ましくは約4日間投与される。
「連続的な注入により」投与するとは、その注入が、所定の継続時間のほとんどで実質的に中断することなくほぼ所定の速度に維持されることを意味する。あるいは、間欠的な静脈内注入を使用することができる。間欠的な注入が用いられる場合、上記の連続的な注入の投与速度と等価な時間平均投与速度を用いなければならない。さらに、間欠的な注入のプログラムは、連続的な注入を用いて得られる最大濃度から約20%は超えない最大血清濃度をもたらすものでなければならない。患者における有害な反応、特に出血をともなう副作用を避けるために、投与速度は約0.050mg/kg/時のala−TFPIの連続的な静脈内注入に等価な投与速度よりも低いものでなければならない。
投与速度および総用量等、ここに記載される全ての用量は、プロトロンビンアッセイによるタンパク質濃度および生物活性を決定する際の誤差のために、実際は10%以内の変動を受けやすい。よって、ここで述べられた用量よりも最大10%高いかまたは最大10%低い実際の投与用量は、述べられた用量と等しいとみなされる。この理由から、すべての用量が「おおよその」具体的な用量として述べられている。例えば、「約0.025mg/kg/時」と記載される用量は0.0225〜0.0275mg/kg/時の範囲の実際の用量と等しいとみなされる。
TFPIまたはTFPIのアナログのボーラス注入または短時間での高注入速度も、低用量TFPI投与が引き続いてなされる場合は、本発明の実施に用いてもよい。例えば、ボーラス注入または高注入速度は、患者の血液循環中の投与TFPIまたはTFPIアナログの平衡時間を減じるために用いることができる。そうすることで、TFPIの最終的な定常状態血漿レベルに速く到達し、TFPIのレセプターが早く飽和できる。約0.025mg/kg/時で2時間のala−TFPIのヒトへの投与は、TFPI(プラスala−TFPI)の血漿レベルを約80ng/mlから約125ng/mlへ増加させる(すなわちおおよそ50%の増加)。投与速度を上げるか、またはボーラス注入が使用される場合に同一のレベルにさらに速く到達する。高い注入速度は定常状態が得られるまで注入を続ける場合に高いレベルをもたらす。約0.050mg/kg/時でのala−TFPIの投与での定常状態レベルは約300ng/mlであることがわかり、約0.33または約0.66mg/kg/時でのala−TFPIの投与での定常状態レベルは敗血症で苦しむ患者で少なくとも約2μg/mlであることがわかった。
単回連続注入または分割注入投与でホストに投与された一日の総用量は、例えば、ala−TFPIの少なくとも約0.006mg/kg/日〜約1.2mg/kg/日未満の投与に等価な量、さらに一般的にはala−TFPIの少なくとも約0.24mg/kg/日〜約1.2mg/kg/日未満の投与に等価な量、好ましくはala−TFPIの約0.6mg/kg/日に等価な量であってよい。この範囲内での低い量は予防または他の目的のために有用である。この範囲を超える高用量は、重度のCAPの治療に有用である。本発明の投与プロトコールは、患者に投与される総用量として表現することもできる。総用量は、注入速度と注入の全時間との数学積としてもまた表され得る。例えば、ala−TFPIの約0.025mg/kg/時の好ましい投与速度および96時間の好ましい注入時間の場合、総用量は体重1kgあたり約2.4mgのala−TFPIである。一実施態様において、ala−TFPIの約0.25mg/kg/時の好ましい投与速度および96時間の好ましい注入時間の場合、総用量は体重1kgあたり約24mgのala−TFPIである。一実施態様において、ala−TFPIの約0.75mg/kg/時の好ましい投与速度および96時間の好ましい注入時間の場合、総用量は体重1kgあたり約72mgのala−TFPIである。別の実施態様において、本発明にしたがって投与されるTFPIの総用量は少なくとも約0.75μg/kgおよび約4.8mg/kg未満のala−TFPIと等価である。好ましくは、総用量は少なくとも約1mg/kgおよび約4.8mg/kg未満のala−TFPIと等価である。さらに好ましくは、総用量は約2.4mg/kgのala−TFPIと等価である。
投薬レジメンを調節するために用いることのできる一つの因子は、通常はプロトロンビン時間(PT)アッセイを用いて測定される個々の患者の凝固機能、すなわち国際標準比(INR)である。INRは、アッセイが国際参照トロンボプラスチン試薬に対して較正されたRTアッセイの標準化である。例えば、R.S.Riley et al.,J.Clin.Lab.Anal.14:101−114(2000)を参照されたい。健常なヒトボランティアにおいて、ala−TFPIに対するINR応答は、観察される血漿濃度の範囲にわたってほぼ直線的である(図3)。INRの全体的な変化は、血漿ala−TFPI濃度の1μg/ml増加あたり1.2単位である。
薬力学モデルにおいて、ala−TFPIに対するINR応答は、対数INRがala−TFPI血漿濃度に対して直線的に関連する対数線形モデルによって最もよく表現される。応答の対数線形性は、ベースライン時に増加INRを有する被験体が、循環ala−TFPLの類似のレベルを有する低ベースライン値を有する被験体よりも、高い抗凝固応答を経験する可能性が高いことを意味する。
mg/kg/時に基づく投与速度および毎日の総用量等の上記の投薬レジメンは、「参照ala−TFPIの投与に等価な」用量として表される。これは、成熟し、100%純粋(タンパク質レベルで)で、適切にフォールディングされ、生物活性があり、非グリコシル化ala−TFPIとして定義される「参照ala−TFPI」の用量に対する標準化を行なうことにより、投薬レジメンが定量的に決定されることを意味する。ala−TFPIは、配列番号2に示されるアミノ酸配列を有するTFPIアナログである。成熟した全長TFPIおよびそのアナログ等の他の形態のTFPIもまた、本発明で用いることができる。ala−TFPI以外の形のTFPIを用いて、そして純度が100%未満のala−TFPIまたは別のTFPIアナログの調製物を用いて、本発明を実施するための適当な用量範囲を決定するために、参照ala−TFPIについてここに記載された用量範囲は、TFPIの具体的な形態の固有の生物活性に基づいて調節され得、さらにその調製物の生化学的純度に基づいて調節され得る。
好ましい実施態様において、患者は、TFPIの最初の投与を受けて10日以内に抗凝固剤を受けない。好ましい実施態様において、患者は、TFPIの最初の投与を受けて7日以内に抗凝固剤を受けない。好ましくは、患者は、TFPIの最初の投与を受けて24時間以内にある形のヘパリンを受けない。一実施態様において、患者は、TFPIの最初の投与を受けて10時間以内、好ましくは12時間以内に、分画されていないヘパリンを受けない。一実施態様において、患者は、TFPIの最初の投与を受けて20時間以内、好ましくは24時間以内に低分子ヘパリンを受けない。一実施態様において、患者は、TFPIの最初の投与を受けて10時間以内、好ましくは12時間以内にドロトレコギン−αを受けない。
TFPIまたはTFPIアナログの固有生物活性とは、成熟し、100%純粋で、適切にフォールディングされたTFPIまたはTFPIアナログのプロトロンビンアッセイにより定義される比活性をいう。例えば、等価用量は(参照ala−TFPI用量)/((相対固有活性)×(生化学的純度))として計算される一方で、相対固有活性は、(アナログの固有活性)/(参照ala−TFPIの固有活性)をいう。例えば、ある特定のTFPIアナログが参照ala−TFPIの80%の固有生物活性を有する場合、この特定のTFPIアナログの等価用量は、参照ala−TFPIの用量値を0.8で除算することにより得られる。さらに、患者に投与される処方物が、例えばわずかに90%生物学的純度を有する(すなわち、TFPIの生物活性を欠如する10%の分子種を含む)場合、ala−TFPIの参照用量値のさらなる補正が、その用量値を0.9で割ることにより実施される。例えば、ala−TFPIの固有活性の80%を有し、かつ90%の生化学的純度を有する投与された仮定上のTFPIアナログについて、0.025mg/kg/時での参照ala−TFPIの投与に等価な投与速度は0.0347mg/kg/時(すなわち、0.025/(0.8×0.9))であろう。
等価用量は、固有活性や生化学的純度を知ることなく、相対生物活性を決定することにより決定することもできる。相対生物活性は、プロトロンビン時間アッセイを用いて、特定のTFPIアナログをTFPI生物活性標準と比較することにより決定することができる。例えば、約85%の生物活性のあるTFPI分子種を含有する、WO96/40784の実施例9の方法に従って生成されたala−TFPIを、TFPI生物活性標準として用いることができる。WO96/40784の実施例9の方法に従って生成されるala−TFPIは、プロトロンビンアッセイにおいて、参照ala−TFPIの活性の約85%を有する。プロトロンビン時間標準曲線をプロットする際に、凝固時間の対数をTFPI濃度の対数に対してプロットする。TFPI生物活性標準が参照ala−TFPIの活性の85%を有する場合で、BFPI生物活性標準の濃度をプロットする前に0.85を掛けることでプロットされた活性が100%純粋な参照ala−TFPIの活性と等しくしているのであれば、参照ala−TFPIと等しい標準曲線を作成することができる。特定のTFPIアナログの凝固時間を標準曲線と比較する場合、参照ala−TFPIの等価濃度を曲線から読み取ることができる。もしくは、標準曲線の直線部分の傾きが線形回帰分析によって得られる場合、その傾きは参照ala−TFPIに対するTFPI生物活性標準の活性に基づいて補正できる。よって、特定のTFPIアナログの相対生物活性は、該アナログの活性に対する参照ala−TFPI活性の比率に等しい。例えば、特定のアナログが参照ala−TFPIの1.00μgと同じプロトロンビン時間活性を作るために1.43μgを必要とする場合、該アナログの相対生物活性は1.00/1.43、すなわち0.7である。このアナログに関して、参照ala−TFPI用量と等価な用量(等価用量)は、リファレンスala−用量をアナログの相対生物活性で割ることにより得られる。例えば、参照ala−TFPIの0.025mg/kg/時の用量はアナログの0.0357mg/kg/時(すなわち、0.025/0.7)と等価であろう。
TFPIまたはTFPIアナログは、単一の活性抗凝固薬剤として投与することができる一方で、これらの分子を1種類以上の追加治療剤と組合せて用いて、重度の肺炎の治療のための併用療法を提供することもできる。そのような追加治療剤としては、例えば、抗内毒素、モノクローナル抗体(例えば、内毒素結合性モノクローナル抗体)等の抗体および抗TNFマウスモノクローナル抗体等の抗TNF産物等が挙げられる。TFPIおよびTFPIアナログは、インターロイキン−1レセプターアンタゴニスト、殺菌性/透過性(BPI)タンパク質、免疫賦活剤、PAFアンタゴニスト等の抗炎症活性を有する化合物および細胞接着ブロッカー(例えば、GPIIb/IIIaインヒビター)と組合せることもできる。組合せて投与する場合、各治療剤は同時または異なる時間で施される別々の組成物として配合することができる。好ましくは、追加の各治療剤は同時(すなわち、TFPIまたはTFPIアナログの投与時間中)またはTFPIまたはTFPIアナログの投与時間の24時間以内(すなわち、TFPIまたはTFPIアナログの投与時間の開始前の24時間以内、または投与時間の終了後の24時間以内)に施される。追加治療剤は、TFPIまたはTFPIアナログとともに単一組成物として施すこともできる。
TFPIまたはTFPIアナログは、重度の肺炎を治療するために効果的と思われる他の物質と組合せて施すこともできる。例えば、TFPIまたはTFPIアナログと組合せて投与してよいのは、内在する細菌感染を治療することのできる抗生物質、細菌細胞壁成分に対するモノクローナル抗体、重度の肺炎の経路にかかわるサイトカインと複合することができるレセプター、および一般的に、サイトカイン、または重度肺炎および/またはその症状を軽減する補体タンパク質等の他の活性化または増幅生理学的経路に相互作用することのできる物質またはタンパク質である。
有用な抗生物質として、ベータ−ラクタム環(ペニシリン)、グリコシド結合のアミノ糖(アミノグリコシド類)、大環状ラクトン環(マクロライド類)、ナフタセンカルボキサニドの多環誘導体(テトラサイクリン類)、ジクロロ酢酸のニトロベンゼン誘導体、ペプチド(バシトラシン、グラミシジンおよびポリミキシン)、共役二重結合系を有する大きな環(ポリエン類)、スルファニルアミドに由来するサルファ剤(スルホンアミド類)、5−ニトロ−2−フラニル基(ニトロフラン類)、キノロンカルボン酸(ナリジクス酸)の一般的分類のものなどが挙げられる。他の抗生物質および上記の特定抗生物質のさらなる変形が、Encyclopedia of Chemical Technology,3rd Edition,Kirk−Othymer(ed.),Vol.2,pages 782−1036(1978)and Vol.3,pages 1−78,Zinsser,MicroBiology,17th Edition W.Joldik et al.,(eds.),pages 235−277(1980)またはDorland’s Illustrated Medical Dictionary,27th Edition,W.B.Saunders Company(1988)において見ることができる。
TFPIまたはTFPIアナログに組合せられ得る他の因子としては、内毒素アンタゴニスト、例えばE5531(リピドAアナログ、Asai et al.,Biol.Pharm.Bull.22:432(1999)を参照)、抗凝固活性を有するTFアナログ(例えば、Kelley et al.,Blood 89:3219(1997)およびLee & Kelley,J.Biol.Chem.237:4149(1998))、サイトカインに対するモノクローナル抗体、例えば、IL−6またはM−CSFに対するモノクローナル抗体(例えば、1989年12月15日出願の米国特許出願第07/451,218号を参照)およびTNFに対するモノクローナル抗体(Ceramiらの米国特許第4,603,106号を参照)、成熟したTNFプロホルモンを細胞(この細胞内でそのTNFプロホルモンが生成された)から切断するタンパク質のインヒビター(1989年8月16日出願の米国特許出願第07/395,253号を参照)、IL−1のアンタゴニスト(1990年5月1日出願の米国特許出願第07/517,276号を参照)、IL−6サイトカイン発現のインヒビン等のインヒビター(米国特許第5,942,220号を参照)、およびIL−1等の多様なサイトカインのレセプター系インヒビターが挙げられる。さらに、補体に対する抗体または補体のタンパク質インヒビター、例えばCR、DAFおよびMCPを用いることもできる。
本開示において列挙された全ての特許、特許出願および引用文献は、本明細書中にその全体が参考として援用される。
本発明は、特に有利な実施態様を示す下記実施例により、以下に詳しく説明される。しかし、これらの実施態様は例示的なものであって、本発明を決して限定するものと解釈すべきでないことに注意されたい。
(実施例1 重度の肺炎患者のala−TFPI処置)
ala−TFPIによる処置の潜在的な効果を検討するために、比較的均一な集団中の重度の肺炎患者を評価した。治験責任医師により記録された敗血症の一因が肺炎とコードされた場合に、肺炎患者を同定した。感染の他の部位もまた、存在し得た。感染続発症を薬物続発症から区別することは困難であるため、吸引性肺炎の患者は含めなかった。次いで肺炎を有すると同定された患者を、培養陽性(培養物またはグラム染色等の任意の感染の証拠あり)、または培養陰性(陰性培養物または培養がなされない)と分類した。患者は、300mMのL−アルギニン、20mMクエン酸ナトリウム(pH5.5、浸透圧560+/−100mOsm)を含む緩衝液中に配合した用量0.025mg/kg/時の大腸菌発現の非グリコシル化ala−TFPI調製物の連続的な静脈内注入により処置した。プラシーボは、ala−TFPIを含まない同一の緩衝液からなり、研究医薬と同じ速度で注入した。これらの分析の結果は、培養陽性肺炎を有する患者においてala−TFPI処置のプラスの効果を示している(表1)。感染源の所見のない患者は、陰性の効果を示した。
Figure 2007532486
Figure 2007532486
高INRの培養陰性群における増加死亡率は、ヘパリンの加えられた投与なし、またはありの患者集団に存在するように見えたが、肺炎培養陰性の非ヘパリン群での被験体の数は比較的少ないことに注意されたい(表3)。強い陽性の処置効果が、培養陽性/非ヘパリン集団において観察された。
Figure 2007532486
(実施例2 疾病変数のベースライン重症度の検討)
多数の疾病変数のベースライン重症度を評価して、観察された結果を説明できる集団不安定性が存在かするか否かを決定した。これらのデータは、培養物の状態に関連する結果の違いが、ベースライン不安定性によるものではないことを示している。従って、これらの結果は、感染がある患者と感染のない患者との生物学的差異によるTFPI治療の示差効果を示すようである。重症度の指標(例えば、APACHE IIスコアまたは器官機能不全スコア)は、プラシーボと等しいかまたはTFPI処置肺炎培養陰性群よりも低いのにもかかわらず、培養陰性群は全体的に最も高い死亡率を示した(表4)。
Figure 2007532486
IL−6は、敗血症で初期に上昇し、炎症応答の強さを反映し、予後に関連する炎症性サイトカインである。ベースラインでは、IL−6レベルは、感染の所見なしに肺炎を有していると臨床的に同定された患者において低い(表5)。これは、肺炎の記録された感染源を有する患者と明らかな感染源のない患者との間に生物学的な違いが存在することを示す。逆説的に言えば、培養陰性TFPI群は、最も低いベースラインIL−6レベルを有するが、最も高い死亡率を有する。敗血症集団において、IL−6レベルは経時的に減少する。IL−6の減少速度は、TFPI処置肺炎培養陰性対象で減少する(表5)。これは、TPPIの生物学的な効果が感染を有する患者と有さない患者とで異なることを示唆する。
Figure 2007532486
(実施例3 感染記録の種類による重度肺炎患者の分析)
上記のように、ala−TFPI処置の全体的な利点が、感染の最大の確実性を有する患者、すなわち、陽性血液培養物を示す患者に観察された。感染記録の種類による重度肺炎患者の分析において、ala−TFPI処置の利点が陽性血液培養物を示す患者と他の所見を有する患者との両方において見られた(表6)。この効果は、菌血症群(すなわち、感染の最大の確率を有するか、または実証可能な感染源を有する患者群)で最も強かった。
Figure 2007532486
既に示したように、感染の記録(血液+「他」)を有する患者は、ヘパリンなしのTFPI処置から利益を得た。この結果は、大部分が肺炎群から得られる利益に起因する(表7)。この発見は、内因性抗凝固剤の利点が重度の肺感染を有する患者で最も高いことを示す。
Figure 2007532486
不均一性をさらに限定するために、今後の治験は、市中肺炎(CAP)に焦点が合わされ得る。入院中に肺炎を発症する患者(院内肺炎)は、病原体の侵入をより受けやすく、感染性肺炎の診断をより困難にする他の肺疾患を有しやすい。さらに、CAPを有する患者は、院内肺炎を有する患者よりもヘパリンに曝されている可能性が少ない。データを処置前の病院滞在の長さにより分析すると、同様な利点が、2日間を超えて入院した患者(院内感染)に対して2日間以下の入院培養陽性患者(市中感染)で認められた。培養陰性患者での陰性の効果は、主に院内群で見られた(表8)。
Figure 2007532486
本発明が、具体的な実施態様を参照して説明された。しかし、本願は、添付の特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく当業者によってなされ得る変更または置換を包含することが意図される。
Figure 2007532486
Figure 2007532486

Claims (42)

  1. 重度の肺炎を治療または予防する方法であって、該方法は、以下:
    重度の肺炎を有するか、または重度の肺炎を有する危険性のある患者に、約1.0mg/kg/時未満の投与速度での参照ala−TFPIの投与と等価な投与速度での、連続的な静脈内注入により、TFPIまたはTFPIアナログを投与する工程
    を包含し、該患者はTFPIまたはTFPIアナログの投与の24時間以内に抗凝固剤を受けていない、方法。
  2. 前記TFPIアナログが、非グリコシル化ala−TFPIである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記患者が実証可能な感染を有する、請求項1に記載の方法。
  4. 前記TFPIまたはTFPIアナログが、約0.80mg/kg/時未満の投与速度での参照ala−TFPIの投与と等価な投与速度での、連続的な静脈内注入により投与される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記投与速度が、約0.025mg/kg/時〜約0.10mg/kg/時の投与速度での参照ala−TFPIの投与と等しく、かつ該TFPIまたはTFPIアナログが少なくとも約72時間投与される、請求項4に記載の方法。
  6. 前記投与速度が、約0.010mg/kg/時〜約0.10mg/kg/時の投与速度での参照ala−TFPIの投与と等価である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記TFPIアナログが、非グリコシル化ala−TFPIである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記投与速度が、約0.020mg/kg/時〜約0.08mg/kg/時の投与速度での参照ala−TFPIの投与と等価である、請求項6に記載の方法。
  9. 前記TFPIアナログが、非グリコシル化ala−TFPIである、請求項8に記載の方法。
  10. 前記TFPIまたはTFPIアナログが、少なくとも約96時間投与される、請求項1に記載の方法。
  11. 前記TFPIアナログが、非グリコシル化ala−TFPIである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記TFPIまたはTFPIアナログが、約0.025mg/kg〜約2.5mg/kgの総用量での参照ala−TFPIの投与と等価な総用量を提供するように連続的な静脈内注入により投与される、請求項10に記載の方法。
  13. 前記TFPIアナログが、非グリコシル化ala−TFPIである、請求項12に記載の方法。
  14. 前記TFPIまたはTFPIアナログが、約0.02mg/kg/時〜約0.09mg/kg/時の投与速度での参照ala−TFPIの投与と等価な投与速度での連続的な静脈内注入により投与される、請求項10に記載の方法。
  15. 前記TFPIアナログが、非グリコシル化ala−TFPIである、請求項14に記載の方法。
  16. 前記TFPIまたはTFPIアナログが、約0.06mg/kg〜約4mg/kgの1日用量での参照ala−TFPIの投与と等価な1日用量を提供するように連続的な静脈内注入により投与される、請求項1に記載の方法。
  17. 前記TFPIアナログが、非グリコシル化ala−TFPIである、請求項16に記載の方法。
  18. 前記TFPIアナログが、配列番号1のアミノ酸19〜89からなる第1のKunitzドメインを含む、請求項1に記載の方法。
  19. 前記TFPIアナログが、さらに配列番号1のアミノ酸90〜160からなる第2のKunitzドメインを含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記TFPIアナログが、配列番号1のアミノ酸1〜160を含む、請求項1に記載の方法。
  21. 前記TFPIアナログが配列番号1のアミノ酸90〜160からなる第2のKunitzドメインを含む、請求項1に記載の方法。
  22. 前記TFPIアナログが、非グリコシル化ala−TFPIである、請求項21に記載の方法。
  23. 前記TFPIまたはTFPIアナログが、TFPIまたはTFPIアナログを含む凍結乾燥組成物から調製される、請求項1に記載の方法。
  24. 前記TFPIアナログが、非グリコシル化ala−TFPIである、請求項23に記載の方法。
  25. 前記TFPIまたはTFPIアナログが、アルギニンを含む処方物として投与される、請求項1に記載の方法。
  26. 前記TFPIアナログが、非グリコシル化ala−TFPIである、請求項25に記載の方法。
  27. 前記TFPIまたはTFPIアナログが、クエン酸塩を含む処方物として投与される、請求項1に記載の方法。
  28. 前記TFPIアナログが、非グリコシル化ala−TFPIである、請求項27に記載の方法。
  29. 前記TFPIまたはTFPIアナログが、約300mM塩酸アルギニンおよび約20mMクエン酸ナトリウムを含み、かつ約5.5のpHを有する処方物において、約0.15mg/mlの濃度を有する、請求項1に記載の方法。
  30. 前記TFPIアナログが、非グリコシル化ala−TFPIである、請求項29に記載の方法。
  31. さらに、抗生物質、抗体、内毒素アンタゴニスト、抗凝固活性を有する組織因子アナログ、免疫抑制剤、細胞接着ブロッカー、ヘパリン、BPIタンパク質、IL−1アンタゴニスト、パファーゼ(PAF酵素インヒビター)、TNFインヒビター、IL−6インヒビター、および補体のインヒビターからなる群から選択される追加物質を、TFPIまたはTFPIアナログの投与と同時またはその24時間以内に投与する工程を包含する、請求項1に記載の方法。
  32. 前記TFPIアナログが、非グリコシル化ala−TFPIである、請求項31に記載の方法。
  33. 前記追加物質が抗体であり、該抗体がTNF、IL−6およびM−CSFからなる群から選択される抗原に特異的に結合する、請求項31に記載の方法。
  34. 前記TFPIアナログが、非グリコシル化ala−TFPIである、請求項33に記載の方法。
  35. 重度の肺炎を処置する方法であって、該方法は、以下:
    患者に、
    (i)TFPIまたはTFPIアナログ、および
    (ii)抗生物質、モノクローナル抗体、サイトカインインヒビターおよび補体インヒビターからなる群から選択される追加物質、
    を投与する工程を包含する、方法。
  36. 前記TFPIアナログが、非グリコシル化ala−TFPIである、請求項35に記載の方法。
  37. 前記患者が、実証可能な感染を有する、請求項35に記載の方法。
  38. 前記TFPIまたはTFPIアナログが、約1.0mg/kg/時未満の投与速度での参照ala−TFPIの投与と等価な投与速度での連続的な静脈内注入により投与される、請求項35に記載の方法。
  39. 前記投与速度が、約0.001mg/kg/時〜約0.090mg/kg/時の投与速度での参照ala−TFPIの投与と等価である、請求項38に記載の方法。
  40. 前記投与速度が、約0.002mg/kg/時〜約0.050mg/kg/時の投与速度での参照ala−TFPIの投与と等価である、請求項39に記載の方法。
  41. 前記投与速度が、約0.002mg/kg/時〜約0.010mg/kg/時の投与速度での参照ala−TFPIの投与と等価である、請求項40に記載の方法。
  42. 前記投与速度が、約0.0025〜約0.075mg/kg/時の投与速度での参照ala−TFPIの投与と等価である、請求項41に記載の方法。
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