JP2009202829A - カーテンエアバッグ装置の連結構造、及びカーテンエアバッグ装置 - Google Patents

Abstract

【課題】エアバッグ本体の膨張展開時に、エアバッグ本体とフロントピラー及びリアピラーとを連結するテープ部が捩れることを防いで、エアバッグ本体を所定の形状に安定して展開させることが可能なカーテンエアバッグ装置の連結構造を提供する。
【解決手段】カーテンエアバッグ装置1の連結構造は、車両2の側方窓部7,8の上部から下方に向けてカーテン状に膨張展開可能なエアバッグ本体10と、エアバッグ本体10の前端部及び後端部と車両2のフロントピラー3及びリアピラー4とを連結する連結構造であって、エアバッグ本体10に一端が取着されたテープ部30と、フロントピラー3及びリアピラー4に固設された固設部40とを有し、テープ部30の他端が固設部40に、テープ部30がその長さ方向に平行な軸線周りに固設部40に対して回転可能に連結されてなることに特徴とする。
【選択図】図１

Description

本発明は、車両の衝突時にエアバッグ本体が車両側方の窓部に沿って膨張展開するカーテンエアバッグ装置においてエアバッグ本体とフロントピラー及び／又はリアピラーとを連結する連結構造、及び同連結構造を有するカーテンエアバッグ装置に関する。

従来、カーテンエアバッグ装置は、エアバッグ本体がロール状に折り畳まれた状態で自動車のフロントピラーからルーフサイドレールに亘って収容されており、自動車が側面衝突した際や横転した際に、インフレータから高圧ガスを噴出してエアバッグ本体に導入することにより、エアバッグ本体を車両側方の窓部内面側に沿ってカーテン状に膨張展開させる。これにより、車両の側面衝突時や車両が横転した際に、その衝撃から乗員の頭部側方を効果的に保護している。

このようなカーテンエアバッグ装置の一例が、例えば特開２００６−８８８４４号公報（特許文献１）に開示されている。この特許文献１に記載されているカーテンエアバッグ装置は、車両が一定以上の衝撃力を受けたことを衝撃検出センサで検出し、そのセンサ信号に応じてインフレータがガスを発生させる。更に、このガスをサイドエアバッグ装置のエアバッグ本体に供給することにより、エアバッグ本体をサイドガラスに沿って車室側へ膨張展開させて乗員の頭部等を保護するものである。

このカーテンエアバッグ装置のエアバッグ本体は、ガスが供給されたときに膨張するバッグ部が前部、中間、及び後部の３箇所に設けられている。また、これらの各バッグ部の周囲には、エアバッグ本体前端側の前部非膨張部と、中間の中間非膨張部と、後端の後部非膨張部とがバッグ部と一体に配されている。

また、前部非膨張部には、紐状又はバンド状の前ストラップ（前テープ部）の一端部が取着されているとともに、同前ストラップの他端部が、車両のフロントピラーに前紐固定ブラケットを介して取着されている。同様に、後部非膨張部には、紐状又はバンド状の後ストラップ（後テープ部）の一端部が取着されているとともに、同後ストラップの他端部が、車両のリアピラーに後紐固定ブラケットを介して取着されている。このような前後のストラップを備えていることにより、エアバッグ本体が膨張展開したときに同エアバッグ本体が前後のストラップで引っ張られるため、展開したエアバッグ本体の位置を安定させるとともに、エアバッグ本体に人の頭部が当たったときにその荷重を支えることができる。

更に、前記特許文献１において、前紐固定ブラケット及び後紐固定ブラケットには丸穴が形成されている。この固定ブラケットに形成した丸穴にストラップの他端部側をそれぞれ挿入して折り返し、その折り返した他端部側を同ストラップに重ね合わせて縫着等により固定することによって、前紐固定ブラケット及び後紐固定ブラケットに前及び後ストラップの他端部をそれぞれ捲き付け固定している。

このように前紐固定ブラケット及び後紐固定ブラケットに丸穴を形成して前及び後ストラップを捲き付け固定することにより、前及び後ストラップをブラケットの丸穴を中心に回転させることが可能となる。これにより、前及び後ストラップがピラーとブラケットとの間に挟まれることを防ぎ、また、エアバッグ本体が膨張してルーフサイドレールから下方に向けて展開するときに、その展開挙動に合わせて前及び後ストラップを容易に回転させて、エアバッグ本体を円滑に展開させることが可能となるとしている。
特開２００６−８８８４４号公報

一般に、カーテンエアバッグ装置のエアバッグ本体は、その展開挙動等を考慮して、車両に取り付けたときの下端縁部側からロール状に巻き上げるように折り畳まれており、その折り畳み形態を保持した状態で自動車のフロントピラーからルーフサイドレールに渡って収容されている。

従って、前記特許文献１のようにエアバッグ本体の前部や後部に、前及び後ストラップの一端部が取着されている場合には、同ストラップが取着された状態でエアバッグ本体をロール状に折り畳んだ後に、そのストラップの他端部に前述のような前紐固定ブラケットや後紐固定ブラケットを取り付け、更に、同前紐固定ブラケットや後紐固定ブラケットを、ボルト等を用いてフロントピラーやリアピラーに固定する。これによって、カーテンエアバッグ装置が自動車の所定位置に装着されていた。

しかし、このようにカーテンエアバッグ装置のエアバッグ本体をロール状に折り畳んだ後にストラップの他端部側をフロントピラーやリアピラーに固定した場合、同カーテンエアバッグ装置が作動して、ロール状に折り畳まれたエアバッグ本体が膨張展開するときに、エアバッグ本体はロール状の折り畳み形態を開くように回転しながら、車両側方の窓部内面側に沿ってカーテン状に展開する。

このとき、図６に示すように、同エアバッグ本体６１の前部とフロントピラー６２を連結している前ストラップ６３や、エアバッグ本体の後部とリアピラーを連結している後ストラップは、展開するエアバッグ本体６１の回転を受けることによって捩れてしまう。その結果、エアバッグ本体６１の展開挙動に影響を与える虞があり、また、エアバッグ本体６１の前部や後部の非膨張部６１ａに皺６４が生じることや、エアバッグ本体６１が引っ張られることにより、同膨張部６１ｂの位置がずれる虞があるといった問題があった。

更に、カーテンエアバッグ装置は、自動車の衝突時に側方窓部が割れたとしても、エアバッグ本体が乗員の頭部を包み込むことによって、乗員の頭部をガラス破片から効果的に守ることができる。しかし、前述のようにエアバッグ本体の膨張展開時にエアバッグ本体に皺が生じたり、エアバッグ本体が引っ張られたりすると、乗員の頭部をガラス破片から保護するためのエアバッグ本体の保護エリアを適切に確保することができなくなる虞があるといった問題もあった。

本発明は、かかる従来の課題を解消すべくなされたものであり、その具体的な目的は、エアバッグ本体の膨張展開時に、エアバッグ本体とフロントピラー及び／又はリアピラーとを連結するテープ部が捩れることを防いで、エアバッグ本体を所定の形状に安定して展開させて膨張部で乗員の頭部側方を確実に保護することが可能なカーテンエアバッグ装置の連結構造、及び同連結構造を有するカーテンエアバッグ装置を提供することにある。

上記目的を達成するために、本発明により提供されるカーテンエアバッグ装置の連結構造は、基本的な構成として、車両の側方窓部の上部から下方に向けてカーテン状に膨張展開可能なエアバッグ本体と、前記エアバッグ本体の前端部及び／又は後端部と前記車両のフロントピラー及び／又はリアピラーとを連結するカーテンエアバッグ装置の連結構造であって、前記エアバッグ本体に一端が取着されたテープ部と、前記フロントピラー及び／又は前記リアピラーに固設された固設部とを有し、前記テープ部の他端が、前記固設部に、同テープ部がその長さ方向に平行な軸線周りに前記固設部に対して回転可能に連結されてなることを最も主要な特徴とするものである。

本発明に係るカーテンエアバッグ装置の連結構造において、前記テープ部の他端は、円柱状のピン本体部及び同ピン本体部の少なくとも一端に配されたフランジ部を有する連結ピンと、前記フランジ部を回転可能に保持するピン保持部とを介して、前記固設部に連結されていること、或いは、前記テープ部の他端は、球面部と、同球面部を摺動可能に保持する凹部とを介して、前記固設部に連結されていることが好ましい。

また、本発明に係るカーテンエアバッグ装置の連結構造において、前記固設部は、前記フロントピラー及び／又は前記リアピラーに固設された固設本体部と、同固設本体部と一体に形成されたリング部と、同リング部に遊動可能に係着し、前記テープ部の他端が連結される固設部側連結部とを有していることが好ましい。

更に、本発明によれば、前述のような構成を有するカーテンエアバッグ装置の連結構造を用いて、前記エアバッグ本体の前端部及び／又は後端部と前記車両のフロントピラー及び／又はリアピラーとが連結されたカーテンエアバッグ装置を提供することができる。

本発明に係るカーテンエアバッグ装置の連結構造は、カーテン状に膨張展開可能なエアバッグ本体に一端が取着されたテープ部と、車両のフロントピラー及び／又はリアピラーに固設された固設部とを有している。また、テープ部がその長さ方向に平行な軸線周りに前記固設部に対して回転可能に、テープ部の他端が固設部に連結されている。

このような本発明に係る連結構造によれば、テープ部の他端が固設部に対して回転可能に連結されているため、エアバッグ本体がロール状の折り畳み形態を開くように回転するときに、エアバッグ本体の回転に合わせてテープ部も容易に回転させることができる。このため、エアバッグ本体の展開時にテープ部自体に捩れが生じることを防止でき、エアバッグ本体を所定の形状に円滑に安定して展開させて乗員の頭部側方を安定して保護することが可能となる。

このような本発明に係る連結構造において、前記テープ部の他端は、円柱状のピン本体部及び同ピン本体部の少なくとも一端に配されたフランジ部を有する連結ピンと、そのフランジ部を回転可能に保持するピン保持部とを介して、固設部に連結されている。これにより、連結構造を複雑に構成することなく、テープ部を固設部に対して円滑に回転できるように連結することができる。

また本発明では、前記テープ部の他端は、球面部と、同球面部を摺動可能に保持する凹部とを介して、固設部に連結されていても良い。これによっても、連結構造を複雑に構成することなく、テープ部を固設部に対して円滑に回転できるに連結することができる。

更に本発明において、前記固設部が、フロントピラー及び／又はリアピラーに固設された固設本体部と、同固設本体部と一体に形成されたリング部と、同リング部に遊動可能に係着し、テープ部他端が連結される固設部側連結部とを有している。

カーテンエアバッグ装置においてエアバッグ本体が下方に向けて展開するときに、テープ部の一端がエアバッグ本体に取着されているため、同テープ部は固設部を中心として回動するものの、同固設部が前述のように構成されていることによって、前記固設部側連結部がリング部に係着した状態で可動する。これにより、エアバッグ本体の展開時に、テープ部を固設部に対してテープ部の長さ方向に平行な軸線周りに安定して回転させることができ、テープ部に捩れが生じることをより確実に防止することができる。

そして、前述のような本発明に係る連結構造を用いて、エアバッグ本体の前端部及び／又は後端部と車両のフロントピラー及び／又はリアピラーとが連結されたカーテンエアバッグ装置であれば、エアバッグ本体の膨張展開時にエアバッグ本体の回転に伴ってテープ部も回転させることができる。

これにより、テープ部に捩れが生じることを防止して、エアバッグ本体を所定の形状に円滑に安定して展開させるとともに、エアバッグ本体の保護エリアも安定して確保することができるため、乗員の頭部側方を確実に保護することができる。

以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載した構成と実質的に同一な構成を有し、且つ、同様な作用効果を奏する範囲において多様な変更が可能である。

例えば、以下の実施例では、カーテンエアバッグにおけるエアバッグ本体の前端部のみに連結テープ部を配設してフロントピラーと連結する場合について説明しているが、本発明では、エアバッグ本体の後端部のみに、又は、エアバッグ本体の前端部及び後端部の両方に連結テープ部を配設してリアピラーに連結すること、又は、フロントピラー及びリアピラーの両方に連結することも可能である。

図１は、本発明の実施例１に係るカーテンエアバッグ装置を車体に取り付けて展開したときの状態を模式的に示す要部側面図であり、図２は、同カーテンエアバッグ装置におけるエアバッグ本体の折り畳み方法を説明する説明図である。また、図３は、同カーテンエアバッグ装置のエアバッグ本体の前端部とフロントピラーとを連結した連結構造を模式的に示す要部斜視図であり、図４は、同連結構造を拡大して模式的に示す拡大図である。
なお、以下の説明において、前後方向、上下方向、左右方向とは、それぞれカーテンエアバッグ装置を搭載した自動車の前後方向、上下方向、左右方向をそれぞれ指すものとする。

本実施例１のカーテンエアバッグ装置１は、自動車２のフロントピラー３の上部からルーフサイドレール６に沿って、ルーフヘッドライニングのような内装材の内側に折り畳まれた状態で収容されて搭載される。

なお、カーテンエアバッグ装置１が搭載される自動車２は、その車室内に乗員が着座可能な図示しない前席と後席とを備えており、車体の左右両側には、前席及び後席の位置に対応して側方窓部７，８がそれぞれ設けられている。また、同自動車２は、車体前部に配されたフロントピラー３と、車体後部に配されたリアピラー４と、フロント及びリアピラー３，４間に配されたセンターピラー５とを有し、これらの各ピラー３，４，５の上端にルーフサイドレール６が配されている。

前記カーテンエアバッグ装置１は、保護エリアとなるエアバッグ本体１０と、そのエアバッグ本体１０の後方側に配され、同エアバッグ本体１０内にガスを供給するインフレータ２０と、エアバッグ本体１０の前端部に一端が取着された連結テープ部３０と、同連結テープ部３０の他端が連結されるとともにフロントピラー３に固設された固設部４０と、エアバッグ本体１０の上端縁に突設され、エアバッグ本体１０をルーフサイドレール６に取り付けるための複数の取付片２１とを備えている。

前記エアバッグ本体１０は、気密性を備えた互いに形状の異なる左右の基布パネル１０ａ，１０ｂを重ね合わせて縫製することによって、前後方向に細長く形成されている。本実施例１において、これらの基布パネル１０ａ，１０ｂは、例えば３１５デニールのナイロン６６糸を用いて織製された目付が２００ｇ／ｍ²の織布から構成されており、更に、そのパネル表面にはゴム、シリコン系樹脂等の樹脂がコーティングされている。なお、本発明において基布パネルの材質等は特に限定されず、適宜変更することが可能である。

このエアバッグ本体１０は、前後方向に配されて前席及び後席に着座した乗員の頭部を保護する前席側膨張部１１及び後席側膨張部１２と、前席側及び後席側膨張部１１，１２間の上部を連通する連通部１３と、エアバッグ本体１０の後端側上部に形成したガス導入部１４と、前席側膨張部１１の前方に配された前非膨張部１５と、前席側及び後席側膨張部１１，１２間にて連通部１３の下方に配された中間非膨張部１６とを有している。

前席側及び後席側膨張部１１，１２は中空の気室に形成されており、それぞれの膨張部１１，１２の上部が連通部１３を介して連通されている。また、前席側及び後席側膨張部１１，１２には、エアバッグ本体１０の膨張展開時にエアバッグ本体１０に導入されたガスの流れを制御し、且つ、各膨張部１１，１２の左右方向の幅寸法を規制する規制部１７が、２枚の基布パネル１０ａ，１０ｂを縫着する縫着線により形成されている。

更に、前記ガス導入部１４の内側には、インフレータ２０から発生させた高圧のガスによりエアバッグ本体１０が損傷を受けるのを防止するための筒状の保護布１８が取り付けられている。なお、前記規制部１７等の配設位置や形状、保護布１８の寸法等は、エアバッグ本体の形態や大きさなどに応じて適宜変更することが可能である。

前記連結テープ部３０は、図３及び図４に示すように、その一端がエアバッグ本体１０の前非膨張部１５の前端部に縫着された帯状のテープ本体部３１と、同テープ本体部３１の他端に取着された第１連結部（テープ部側連結部）３２とを有しており、この第１連結部３２は、テープ本体部３１を挿通させるための環状部３２ａと、後述する連結ピン５０のフランジ部を保持するピン保持部３２ｂとを備えている。この連結テープ部３０は、テープ本体部３１を第１連結部３２の環状部３２ａに挿通して折り返した状態で、同テープ本体部３１のテープ縁部をエアバッグ本体１０に縫着することによって取り付けられている。

前記固設部４０は、図示しないボルトを用いて車体のフロントピラー３に固設する固設本体部４１と、同固設本体部４１の端縁部から立設されたリング部４２と、同リング部４２に遊動可能に係着した第２連結部（固設部側連結部）４３とを有しており、第２連結部４３は、リング部４２に沿って移動することが可能に、且つ、リング部４２を軸としてその周りを回転することが可能に係着している。

また、本実施例１において、前記固設本体部４１には、同固設本体部４１をフロントピラー３にボルト固定するための孔部４１ａが形成されている。更に、前記第２連結部４３には、前記第１連結部３２と同様に、後述する連結ピン５０のフランジ部を保持するピン保持部４３ａが形成されている。

そして、連結テープ部３０の第１連結部３２と固設部４０の第２連結部４３とは、円柱状のピン本体部５０ａ及び同ピン本体部５０ａの両端に配された図示しないフランジ部を有する連結ピン５０を介して、固設部４０に対して連結テープ部３０がその長さ方向に平行な軸線周りに回転可能に連結されている。なお、本発明において、第１及び第２連結部３２，４３と連結ピン５０の材質は特に限定されず、これらの部材は金属製でも、合成樹脂製でも良い。

前記取付片２１は、車体のルーフサイドレール６に突設された図示しない複数のブラケットの位置に対応して、エアバッグ本体１０の上辺部分に沿って複数個所に配されている。また、各取付片２１には、ビス等の固着具を挿入するための図示しない取付孔が穿設されている。

このような本実施例のカーテンエアバッグ装置１を自動車２に装着するときには、エアバッグ本体１０をその下端縁部側から上部に向けてロール状に折り畳み、更に、その折り畳み形態を保持した状態で車体のフロントピラー３からルーフサイドレール６に沿って収容される。

ここで、カーテンエアバッグ装置１のエアバッグ本体１０の折り畳み方法について、より具体的に説明する。
エアバッグ本体１０の折り畳みを行う場合、先ず、図２（ａ），（ａ’）に示すように、エアバッグ本体１０を平坦に広げた状態に保持する。次に、例えばエアバッグ本体１０の膨張部１１，１２及び連通部１３の上部側に空気を送り込んで、その膨張部１１，１２及び連通部１３の上部側の左右基布パネル１０ａ，１０ｂを左右に離間させ、更に、その左右に離間させた基布パネルの部分を上下に折り畳むことにより、エアバッグ本体１０の上部側に左右の腕部２５を形成する（図２（ｂ），（ｂ’）を参照）。

続いて、左右の腕部２５が形成されたエアバッグ本体１０の下端部を、例えば図示しない長尺の挟持部材で挟み込み、更に、その挟持部材を回転させながら同挟持部材にエアバッグ本体１０を捲き付けることにより、エアバッグ本体１０をロール状に折り畳む（図２（ｃ），（ｃ’）を参照）。エアバッグ本体１０をロール状に折り畳んだ後、前記挟持部材をエアバッグ本体１０の前方又は後方側から抜き出す。これにより、エアバッグ本体１０の左右腕部２５よりも下方側には、ロール状に折り畳まれた集合体２６が形成される（図２（ｄ），（ｄ’）を参照）。

その後、左右腕部２５を集合体２６に被せるように捲き付ける（図２（ｅ），（ｅ’）を参照）。最後に、左右腕部２５が被せられた集合体２６に、スリーブ２７を被せてエアバッグ本体１０の折り畳み形態を保持する。これによって、エアバッグ本体１０がフロントピラー３からルーフサイドレール６に沿って収容可能にロール状に折り畳まれたカーテンエアバッグ装置１が得られる。

なお、前記スリーブ２７には、エアバッグ本体１０が膨張展開するときに破断する破断部を形成する複数の短いスリット（不図示）が設けられている。また、このスリットの反対側の位置には、カーテンエアバッグ装置１の取付片２１を外部に引き出すための孔部２７ａが複数形成されており（図３を参照）、エアバッグ本体１０にスリーブ２７を被せても、各取付片２１はスリーブ２７から外部に突出した状態となる。更に、カーテンエアバッグ装置１の連結テープ部３０と、同連結テープ部３０に連結ピン５０を介して連結した固設部４０は、スリーブ２７の前端から外部に突出した状態となる。

その後、前述のようにしてエアバッグ本体１０が折り畳まれたカーテンエアバッグ装置１は、エアバッグ本体１０の上端縁に突設された取付片２１を、フロントピラー３及びルーフサイドレール６に配した各被取付部９にビス等を用いて固定し、更に、固設部４０をフロントピラー３に配した被固設部４０にボルトを用いて固設することによって、車体に装着される。

このとき、連結テープ部３０には張力がかかっており、同連結テープ部３０は、捩れやたるみが生じてなく直線状に引っ張られた状態となる。なお、カーテンエアバッグ装置１の装着後、フロントピラー３やルーフサイドレール６には、フロントピラー３ガーニッシュやルーフヘッドライニングのような内装材が取り付けられる。

前述のようにして車体に装着されたカーテンエアバッグ装置１は、自動車２が衝突して図示しない衝撃検出センサが一定以上の衝撃を検出したときに、その衝撃検出センサからインフレータ２０に信号を発信してインフレータ２０から高圧のガスを発生させ、その高圧のガスをエアバッグ本体１０のガス導入部１４から前席側膨張部１１と後席側膨張部１２に供給する。

これにより、エアバッグ本体１０の各膨張部１１，１２が膨張して図示しないスリーブ２７を破断し、更に、フロントピラーガーニッシュやルーフヘッドライニングを変形させて、エアバッグ本体１０を側方窓部７，８の内面側に沿ってカーテン状に展開させる。このとき、エアバッグ本体１０は、膨張展開前にロール状に折り畳まれた状態で収容されていたため、その折り畳み形態を広げるように回転しながら展開する。

この場合、本実施例１のカーテンエアバッグ装置１では、前述のように、連結テープ部３０と固設部４０とが、固設部４０に対して連結テープ部３０がその長さ方向に平行な軸線周りに回転するように連結されているため、エアバッグ本体１０の前端部に取着した連結テープ部３０を、エアバッグ本体１０の回転に合わせて容易に回転させることができる。その結果、本実施例１のカーテンエアバッグ装置１は、従来のカーテンエアバッグ装置のように連結テープ部３０やエアバッグ本体１０の前端部に捩れや皺が生じることを防止して、エアバッグ本体１０を図１に示すような所定の形状に適切に安定して展開させることができる。

特に、本実施例１のカーテンエアバッグ装置１は、固設部４０の第２連結部４３がリング部４２に対して遊動可能に係着している。これにより、エアバッグ本体１０が回転しながら下方に展開するときに、第１及び第２連結部３２，４３に回転可能に連結されている連結ピン５０の軸方向を、連結テープ部３０の長さ方向と平行な方向に容易に向けることができる。

即ち、エアバッグ本体１０が下方に向けて展開するときに、エアバッグ本体１０の前端部において連結テープ部３０の一端が取着されている部位も下方に移動するため、連結テープ部３０は固設部４０を中心として回動する。このとき、固設部４０の第２連結部４３がリング部４２に対して遊動可能に係着していれば、連結テープ部３０が固設部４０を中心として回動しても、連結ピン５０の軸方向の向きを、常に連結テープ部３０の長さ方向と平行な方向に向けることができる。これにより、エアバッグ本体１０が展開するときの同エアバッグ本体１０の回転に合わせて、連結テープ部３０をより確実に回転させることが可能となり、エアバッグ本体１０の展開を一層安定して行うことができる。

以上のように、本実施例１のカーテンエアバッグ装置１によれば、自動車２の衝突時に、連結テープ部３０やエアバッグ本体１０の前端部に捩れや皺を生じさせることなく、エアバッグ本体１０を所定の形状に安定して円滑に展開させることができる。更に、エアバッグ本体１０が展開したときに、同エアバッグ本体１０に連結テープ部３０及び固設部４０が適度な張力を与えて、エアバッグ本体１０の位置を安定させることができる。

図５は、本発明の実施例２に係るカーテンエアバッグ装置のエアバッグ本体の前端部とフロントピラーとを連結する連結構造を模式的に示す要部斜視図である。
本実施例２のカーテンエアバッグ装置１’は、エアバッグ本体と、そのエアバッグ本体の後方側に配され、同エアバッグ本体内にガスを供給するインフレータと、エアバッグ本体の前端部に一端が取着された連結テープ部３０’と、同連結テープ部３０’の他端が連結されるとともにフロントピラーに固設された固設部４０’と、エアバッグ本体の上端縁に突設され、エアバッグ本体をルーフサイドレールに取り付けるための複数の取付片とを備えている。

なお、本実施例２のカーテンエアバッグ装置１’において、エアバッグ本体の前端部とフロントピラーとを連結する連結構造以外の構成は前記実施例１と同様であるため、本実施例２ではその連結構造を中心にして説明を行うものとする。

本実施例２の連結テープ部３０’は、その一端がエアバッグ本体の前端部に縫着された帯状のテープ本体部３１’と、同テープ本体部３１’の他端に取着された第１連結部（連結テープ部側連結部）３２’とを有しており、この第１連結部３２’は、テープ本体部３１’を挿通させるための環状部３２ａ‘と、後述する第２連結部４３’の球面部４３ａ’を摺動可能に保持するための凹部３２ｃ’が形成された保持部３２ｂ’とを備えている。

本実施例２の固設部４０’は、図示しないボルトを用いて車体のフロントピラーに固設する固設本体部４１’と、同固設本体部４１’の端縁部から立設されたリング部４２’と、同リング部４２’に遊動可能に係着した第２連結部（固設部側連結部）４３’とを有している。また、第２連結部４３’には、前記第１連結部３２’の凹部３２’に保持される球面部４３ａ’が設けられており、第１連結部３２’の凹部３２’に第２連結部４３’の球面部４３ａ’を嵌着させて、同球面部４３ａ’を摺動可能に保持することによって、連結テープ部３０’が固設部４０’に対してその長さ方向に平行な軸線周りに回転可能に連結されている。

このような連結構造を有する本実施例２のカーテンエアバッグ装置１’であっても、前記実施例１のカーテンエアバッグ装置１と同様の効果を得ることができる。即ち、例えば自動車が衝突してエアバッグ本体が下方に向けて回転しながら展開するときに、連結テープ部３０’をエアバッグ本体の回転に合わせて容易に回転させることができる。

その結果、連結テープ部３０’及びエアバッグ本体の前端部に捩れや皺が生じることを防止して、エアバッグ本体を所定の形状に安定して円滑に展開させることができるとともに、展開したエアバッグ本体を所定の位置で安定させることができる。従って、エアバッグ本体の膨張した前席側及び後席側膨張部によって、乗員の頭部側方を大きな衝撃から確実に保護することができるとともに、ガラス破片に対するエアバッグ本体の保護エリアを適切に確保でき、乗員の安全性を大幅に向上させることができる。

本発明の実施例１に係るカーテンエアバッグ装置を車体に取り付けて展開したときの状態を模式的に示す要部側面図である。 同カーテンエアバッグ装置におけるエアバッグ本体の折り畳み方法を説明する説明図である。 同カーテンエアバッグ装置のエアバッグ本体の前端部とフロントピラーとを連結した連結構造を模式的に示す要部斜視図である。 同連結構造を拡大して模式的に示す拡大図である。 本発明の実施例２に係るカーテンエアバッグ装置のエアバッグ本体の前端部とフロントピラーとを連結する連結構造を模式的に示す要部斜視図である。 従来のカーテンエアバッグ装置におけるエアバッグ本体の要部を拡大して示す要部拡大図である。

符号の説明

１，１’ カーテンエアバッグ装置
２ 自動車
３ フロントピラー
４ リアピラー
５ センターピラー
６ ルーフサイドレール
７，８ 側方窓部
９ 被取付部
１０ エアバッグ本体
１０ａ，１０ｂ 基布パネル
１１ 前席側膨張部
１２ 後席側膨張部
１３ 連通部
１４ ガス導入部
１５ 前非膨張部
１６ 中間非膨張部
１７ 規制部
１８ 保護布
２０ インフレータ
２１ 取付片
２５ 腕部
２６ 集合体
２７ スリーブ
２７ａ 孔部
３０，３０’ 連結テープ部
３１，３１’ テープ本体部
３２，３２’ 第１連結部（テープ部側連結部）
３２ａ，３２ａ’ 環状部
３２ｂ ピン保持部
３２ｂ’ 保持部
３２ｃ’ 凹部
４０，４０’ 固設部
４１，４１’ 固設本体部
４１ａ，４１ａ’ 孔部
４２，４２’ リング部
４３，４３’ 第２連結部（固設部側連結部）
４３ａ ピン保持部
４３ａ’ 球面部
５０ 連結ピン

Claims (5)

1. 車両(2) の側方窓部(7,8) の上部から下方に向けてカーテン状に膨張展開可能なエアバッグ本体(10)と、前記エアバッグ本体(10)の前端部及び／又は後端部と前記車両(2) のフロントピラー(3) 及び／又はリアピラー(4) とを連結するカーテンエアバッグ装置(1,1')の連結構造であって、
   前記エアバッグ本体(10)に一端が取着されたテープ部(30,30')と、前記フロントピラー(3) 及び／又は前記リアピラー(4) に固設された固設部(40,40')とを有し、
   前記テープ部(30,30')の他端が、前記固設部(40,40')に、同テープ部(30,30')がその長さ方向に平行な軸線周りに前記固設部(40,40')に対して回転可能に連結されてなる、
   ことを特徴とするカーテンエアバッグ装置の連結構造。
2. 前記テープ部(30)の他端は、円柱状のピン本体部(50a) 及び同ピン本体部(50a) の少なくとも一端に配されたフランジ部を有する連結ピン(50)と、前記フランジ部を回転可能に保持するピン保持部(32b,43a) とを介して、前記固設部(40)に連結されてなる請求項１記載のカーテンエアバッグ装置の連結構造。
3. 前記テープ部(30') の他端は、球面部(43a')と、同球面部(43a')を摺動可能に保持する凹部(32c')とを介して、前記固設部(40') に連結されてなる請求項１記載のカーテンエアバッグ装置の連結構造。
4. 前記固設部(40,40')は、前記フロントピラー(3) 及び／又は前記リアピラー(4) に固設された固設本体部(41,41')と、同固設本体部(41,41')と一体に形成されたリング部(42,42')と、同リング部(42,42')に遊動可能に係着し、前記テープ部(30,30')の他端が連結される固設部側連結部(43,43')とを有してなる請求項１〜３のいずれかに記載のカーテンエアバッグ装置の連結構造。
5. 請求項１〜４のいずれかに記載のカーテンエアバッグ装置(1,1')の連結構造を用いて、前記エアバッグ本体(10)の前端部及び／又は後端部と前記車両(2) のフロントピラー(3) 及び／又はリアピラー(4) とが連結されてなるカーテンエアバッグ装置。

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