リード線を有する小型モータでは、小型モータを機器内の部材に固定する際に、リード線の引き出されている方向を機器内の電源端子の位置に合わせる必要があるため、小型モータの取り付け方向が決まってしまう。このため、小型モータを取り付ける際の作業性が悪い。また、リード線を機器内の電源端子に接続する際に、リード線を引き回す作業が必要となることも作業性を悪くする要因となっている。さらに、機器内にはリード線が占有するスペースを確保する必要があるため、機器を小型化しにくいという問題がある。また、リード線をバネ板状の通電端子に変えた例でも、通電端子の位置および方向を機器内の部材に設けられた電源端子の位置に合わせる必要があり、小型モータの取り付け方向が決まってしまう。よって、この例においても、小型モータを取り付ける際の作業性が悪い。
一方、固定手段を別途必要とする小型モータでは、固定手段が占有するスペースを機器内に確保する必要がある。また、リード線をバネ板状の通電端子に変えた例でも、機器内の部材上の端子に小型モータを保持するための構造、すなわち固定手段が別途必要となるため、機器内にはこの構造が占有するスペースを確保する必要があることに変わりはない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、機器内への小型モータの固定と、機器内の電源と小型モータとの接続とを同時に、かつ容易に実現することを目的とする。また、これと同時に、機器内を占める、小型モータの設置に必要なスペースを削減することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、モータ機構を収容するハウジングと、前記ハウジングの表面の少なくとも一部を覆う絶縁層と、前記モータ機構と電気的に接続されるとともに、前記絶縁層上に前記モータ機構の回転軸の軸方向に所定の間隔で配置される第1給電端子および第2給電端子と、を備えたモータであって、前記第1給電端子および前記第2給電端子の各々は、該第1給電端子および該第2給電端子を同一平面に接触させた際の接触部分の面積よりも大きな表面積を有する層形状であることを特徴とする。
また、請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるモータにおいて、前記絶縁層、前記第1給電端子、および前記第2給電端子が、前記回転軸の軸周りにおいて、前記ハウジングの外周の全てに亘って形成されることを特徴とする。
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2にかかるモータにおいて、前記ハウジングが、第1外殻部と、該第1外殻部よりも径が小さく且つその表面に前記絶縁層が覆われる第2外殻部と、を有し、前記第1外殻部の表面と前記第1給電端子の表面と前記第2給電端子の表面とは、略同一面上にあることを特徴とする。
また、請求項4にかかる発明は、請求項3にかかるモータにおいて、前記第1給電端子と前記第2給電端子と前記第1外殻部とのうちの少なくとも一つが、前記モータ機構の回転軸に垂直な方向に所定の間隔で離間する第1突起部および第2突起部を有することを特徴とする。
また、請求項5にかかる発明は、請求項4にかかるモータにおいて、前記第1突起部および前記第2突起部が、当該モータを前記回転軸に略平行な平面上に置いた際に該平面に接触することを特徴とする。
また、請求項6にかかる発明は、請求項4または5にかかるモータにおいて、前記第1突起部および前記第2突起部の各々が、前記モータ機構の回転軸に平行な方向に延びる線形状であることを特徴とする。
また、請求項7にかかる発明は、請求項4〜6のいずれか一つにかかるモータにおいて、前記第1給電端子と前記第2給電端子と前記第1外殻部とのうちの少なくとも一つが、前記第1突起部から前記所定の間隔で離間する第3突起部をさらに有することを特徴とする。
また、請求項8にかかる発明は、請求項7にかかるモータにおいて、前記第3突起部が、前記モータ機構の回転軸に平行な方向に延びる線形状であることを特徴とする。
また、請求項9にかかる発明は、請求項3〜8のいずれか一つにかかるモータにおいて、前記第1外殻部が、半田との濡れ性の高い金属で形成されていることを特徴とする。
また、請求項10にかかる発明は、請求項1または2にかかるモータにおいて、前記絶縁層上に配置されるとともに、前記第1給電端子の表面および前記第2給電端子の表面と同一面上にある表面を有する固定層をさらに備えることを特徴とする。
また、請求項11にかかる発明は、請求項10にかかるモータにおいて、前記第1給電端子と前記第2給電端子と前記固定層とのうちの少なくとも一つが、前記モータ機構の回転軸に垂直な方向に所定の間隔で離間する第1突起部および第2突起部を有することを特徴とする。
また、請求項12にかかる発明は、請求項11にかかるモータにおいて、前記第1突起部および前記第2突起部が、当該モータを前記回転軸に略平行な平面上に置いた際に該平面に接触することを特徴とする。
また、請求項13にかかる発明は、請求項11または12にかかるモータにおいて、前記第1突起部および前記第2突起部の各々が、前記モータ機構の回転軸に平行な方向に延びる線形状であることを特徴とする。
また、請求項14にかかる発明は、請求項11〜13のいずれか一つにかかるモータにおいて、前記第1給電端子と前記第2給電端子と前記第1外殻部とのうちの少なくとも一つが、前記第1突起部から前記所定の間隔で離間する第3突起部をさらに有することを特徴とする。
また、請求項15にかかる発明は、請求項14にかかるモータにおいて、前記第3突起部が、前記モータ機構の回転軸に平行な方向に延びる線形状であることを特徴とする。
また、請求項16にかかる発明は、請求項15にかかるモータにおいて、前記固定層が、半田との濡れ性の高い導電性材料で形成されていることを特徴とする。
また、請求項17にかかる発明は、請求項1または2にかかるモータと、第1配線パターンおよび第2配線パターンを有する基板と、を備えた電子デバイスであって、前記第1給電端子と前記第1配線パターンとの間の半田による接着と、前記第2給電端子と前記第2配線パターンとの間の半田による接着とにより、前記モータと前記基板とが電気的に接続され且つ前記モータが前記基板に固定されることを特徴とする。
また、請求項18にかかる発明は、請求項17にかかる電子デバイスにおいて、前記基板が、前記モータが嵌め込まれるスリットを有し、前記第1配線パターンの一端は、前記スリットの少なくとも1辺の近傍に位置し、前記第2配線パターンの一端は、前記スリットの少なくとも前記1辺または他の1辺の近傍に位置することを特徴とする。
また、請求項19にかかる発明は、請求項3〜9のいずれか一つにかかるモータと、第1配線パターン、第2配線パターン、およびモータ固定用パターンを有する基板と、を備えた電子デバイスであって、前記第1給電端子と前記第1配線パターンとの間の半田による接着と、前記第2給電端子と前記第2配線パターンとの間の半田による接着と、前記第1外殻部と前記モータ固定用パターンとの間の半田による接着とにより、前記モータと前記基板とが電気的に接続され且つ前記モータが前記基板に固定されることを特徴とする。
また、請求項20にかかる発明は、請求項10〜16のいずれか一つにかかるモータと、第1配線パターン、第2配線パターン、およびモータ固定用パターンを有する基板と、を備えた電子デバイスであって、前記第1給電端子と前記第1配線パターンとの間の半田による接着と、前記第2給電端子と前記第2配線パターンとの間の半田による接着と、前記固定層と前記モータ固定用パターンとの間の半田による接着とにより、前記モータと前記基板とが電気的に接続され且つ前記モータが前記基板に固定されることを特徴とする。
また、請求項21にかかる発明は、請求項19または20に記載の電子デバイスにおいて、前記基板が、前記モータが嵌め込まれるスリットを有し、前記第1配線パターンの一端は、前記スリットの少なくとも1辺の近傍に位置し、前記第2配線パターンの一端は、前記スリットの少なくとも前記1辺または他の1辺の近傍に位置し、前記モータ固定用パターンの一端は、前記スリットの少なくとも前記1辺または前記他の1辺の近傍に位置することを特徴とする。
また、請求項22にかかる発明は、請求項21にかかる電子デバイスにおいて、前記スリットが、前記ハウジングの前記回転軸の方向の長さよりも長い縦幅と、前記ハウジングの前記回転軸に垂直な方向の最大径よりも小さい横幅とを有することを特徴とする。
請求項1にかかる発明によれば、モータを基板の上に置くと同時に、モータの第1給電端子および第2給電端子を、基板上の配線パターンに接触させることができるため、リード線を使用せずとも、モータと電源との接続が果たされ、従来と比べて作業性が向上し、
機器内を占める、小型モータの設置に必要なスペースを削減することができるという効果を奏する。さらに、第1給電端子および第2給電端子の表面積は、実際に基板と接触する部分の面積よりも大きいため、それだけ遊びができ、第1給電端子および第2給電端子を基板上の配線パターンに配置させる際のモータの位置合わせが容易となるという効果を奏する。
請求項2にかかる発明によれば、モータが任意に転がった状態で基板に対する位置合わせが可能となり、モータの取り付けの際に、給電端子が設けられている周方向の位置を意識しないで作業を行うことができるため、作業性がさらに向上するという効果を奏する。
請求項3にかかる発明によれば、ハウジングの一部である第1外殻部が、筐体としての機能と、基板に半田で接着される部材としての機能とを兼ね備えているため、ハウジングの一部を構成する第1外殻部に特殊な加工をしなくても、第1外殻部をそのまま半田で基板に固定することができ、作業性がさらに向上するという効果を奏する。
請求項4にかかる発明によれば、第1給電端子および第2給電端子が、第1突起部および第2突起部を有するため、モータを基板に配置する際に、モータの転がりを防止し、位置決めをさらに容易にすることができるという効果を奏する。また、第1突起部および第2突起部が基板に接してモータの転がりを防止して支えるため、モータをより安定して基板の上に配置できるという効果を奏する。さらに、スリットを有する基板にモータを配置する際には、スリットの両脇に第1突起部および第2突起部が引っかかるため、モータがスリットから抜け落ちることを防止でき、作業性がより一層向上するという効果を奏する。
請求項5にかかる発明によれば、スリットが無い基板の上にモータを置いた場合にも、モータの転がりを防止し、位置決めをさらに容易に行えるという効果を奏する。また、第1突起部および第2突起部が基板に接してモータの転がりを防止して支えるため、モータをより安定して基板の上に置くことができるという効果を奏する。
請求項6にかかる発明によれば、第1突起部および第2突起部が線形状であるため、モータをさらに安定して基板の上に配置することができるという効果を奏する。また、スリットを有する基板にモータを配置する際には、スリットの両脇の長さに亘って第1突起部および第2突起部を支えることができるため、モータがスリットから抜け落ちることをより確実に防止でき、作業性がさらに向上するという効果を奏する。
請求項7にかかる発明によれば、スリットを有する基板にモータを配置する際には、第3突起部の存在により、モータがスリットから抜け落ちることをより確実に防止することができるため、スリットへの嵌め込みの際に、モータの転がり状態をほとんど意識しないで済むという効果を奏する。
請求項8にかかる発明によれば、第3突起部も線形状であるため、モータがスリットから抜け落ちることを、さらに確実に防止することができ、モータの転がり状態を意識しないで済むという効果を奏する。
請求項9にかかる発明によれば、第1外殻部の基板への接着をより強固にできるという効果を奏する。
請求項10にかかる発明によれば、モータの基板への半田による接着を、より強固にすることができるという効果を奏する。また、ハウジングに特別な成形が不要であるため、給電端子と接続するためにモータ内部から電源供給配線を引き出すための加工を除き、従来の小型モータのハウジングの形状をそのまま流用することができるという効果を奏する。
請求項11にかかる発明によれば、第1給電端子と第2給電端子と固定層とのうち少なくとも一つが、第1突起部および第2突起部を有するため、モータを基板に配置する際に、モータの転がりを防止し、位置決めをさらに容易にすることができるという効果を奏する。また、第1突起部および第2突起部が基板に接してモータの転がりを防止して支えるため、モータをより安定して基板の上に配置できるという効果を奏する。さらに、スリットを有する基板にモータを配置する際には、スリットの両脇に第1突起部および第2突起部が引っかかるため、モータがスリットから抜け落ちることを防止でき、作業性がさらに向上するという効果を奏する。
請求項12にかかる発明によれば、スリットが無い基板の上にモータを置いた場合にも、モータの転がりを防止し、位置決めをさらに容易に行えるという効果を奏する。また、第1突起部および第2突起部が基板に接してモータの転がりを防止して支えるため、モータをより安定して基板の上に置くことができるという効果を奏する。
請求項13にかかる発明によれば、第1突起部および第2突起部が線形状であるため、モータをさらに安定して基板の上に配置することができるという効果を奏する。また、スリットを有する基板にモータを配置する際には、スリットの両脇の長さに亘って第1突起部および第2突起部を支えることができるため、モータがスリットから抜け落ちることをより確実に防止でき、作業性がさらに向上するという効果を奏する。
請求項14にかかる発明によれば、スリットを有する基板にモータを配置する際には、第3突起部の存在により、モータがスリットから抜け落ちることをより確実に防止することができるため、スリットへの嵌め込みの際に、モータの転がり状態をほとんど意識しないで済むという効果を奏する。
請求項15にかかる発明によれば、第3突起部も線形状であるため、モータがスリットから抜け落ちることを、さらに確実に防止することができ、モータの転がり状態を意識しないで済むという効果を奏する。
請求項16にかかる発明によれば、固定層と基板との接着をより強固にすることができるという効果を奏する。
請求項17にかかる発明によれば、モータの第1給電端子および第2給電端子と基板の第1配線パターンおよび第2配線パターンとの接続および固定を、半田付けにより同時に実現でき、電源接続用のリード線が不要となり、リード線の引き回し作業も不要となるため、モータの基板への取り付けに必要な作業工程の数が減り、従来と比べてモータの取り付けを容易に行うことが可能である。また、電源接続用のリード線が不要なため、モータの取り付けに必要なスペースを、従来と比べて格段に削減することができるという効果を奏する。
請求項18にかかる発明によれば、モータを基板のスリットに嵌め込むと同時に、モータの給電端子と配線パターンとを接触させることができ、モータをスリットに嵌め込めば、基板に対するモータの位置決めがされるため、作業性がさらに向上するという効果を奏する。また、突起部を有するモータの例では、突起部がスリットの両脇に引っかかるため、位置決め後にモータが回転することもなく、スリットの両脇とモータの外面とをより確実に接触させることができるという効果を奏する。
請求項19にかかる発明によれば、モータの第1給電端子および第2給電端子と基板の第1配線パターンおよび第2配線パターンとの接続および固定と、モータの第1外殻部と基板のモータ固定用パターンとの接続および固定とを、同じ半田付けにより同時に実現でき、電源接続用のリード線が不要となり、リード線の引き回し作業も不要となるため、モータの基板への取り付けに必要な作業工程の数が減り、従来と比べてモータの取り付けを容易に行えるという効果を奏する。また、電源接続用のリード線が不要なため、モータの取り付けに必要なスペースを、従来と比べて格段に削減することができるという効果を奏する。さらに、固定が半田付けによって確実に行えるため、モータを基板に固定するための固定手段を別途設ける必要がないため、モータの取り付けに必要なスペースを、さらに削減することができるという効果を奏する。
請求項20にかかる発明によれば、モータの第1給電端子および第2給電端子と基板の第1配線パターンおよび第2配線パターンとの接続および固定と、モータの固定層と基板のモータ固定用パターンとの接続および固定とを、同じ半田付けにより同時に実現でき、電源接続用のリード線が不要となり、リード線の引き回し作業も不要となるため、モータの基板への取り付けに必要な作業工程の数が減り、従来と比べてモータの取り付けを容易に行えるという効果を奏する。また、電源接続用のリード線が不要なため、モータの取り付けに必要なスペースを、従来と比べて格段に削減することができるという効果を奏する。さらに、固定が半田付けによって確実に行えるため、モータを基板に固定するための固定手段を別途設ける必要がないため、モータの取り付けに必要なスペースを、さらに削減することができるという効果を奏する。
請求項21にかかる発明によれば、モータを基板のスリットに嵌め込むと同時に、モータの第1外殻部または固定層とモータ固定用パターンとを接触させ、モータの給電端子と電源配線パターンとを接触させることができ、モータをスリットに嵌め込めば、基板に対するモータの位置決めがされるため、作業性がさらに向上するという効果を奏する。また、突起部を有するモータの例では、突起部がスリットの両脇に引っかかるため、位置決め後にモータが回転することもなく、スリットの両脇とモータの外面とをより確実に接触させることができ、作業性がさらに向上するという効果を奏する。
請求項22にかかる発明によれば、モータのスリットへの嵌め込みの際に、モータがスリットを完全に通り抜けずにスリットの縁により保持され、突起部を有するモータの場合には、スリットへの小型モータの落ち込みを確実に防止することができるため、作業性がさらに向上するという効果を奏する。
以下に、本発明にかかる小型モータおよび電子デバイスの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは現実のものとは異なる。さらに、図面間において同じ部分を指していても、互いの寸法や比率が異なって示されている場合もある。
(第1の実施の形態)
図1−1および図1−2は、本発明の第1の実施の形態にかかる小型モータの概略構成を示す図である。図1−1は、該小型モータの回転軸に垂直な方向から見た該小型モータの側面図である。図1−2は、該回転軸の先端側から見た該小型モータの正面図である。
図1−1および図1−2に示すように、第1の実施の形態にかかる小型モータ1は、第1外殻部2と第2外殻部7とから構成されるハウジング6と、給電端子3a,3bと、絶縁層4と、回転軸5とを備える。
第1外殻部2および第2外殻部7は、ハウジング6として一体的に成形されており、第1外殻部2の外径は、第2外殻部7の外径と比べて大きい。
絶縁層4は、絶縁性材料から成り、第2外殻部7の外周面上に形成される。絶縁層4の形成は、例えば、第2外殻部7の外周面に、エポキシ等の絶縁性樹脂を塗布することや、絶縁テープを巻き付けることなどによってなされる。
給電端子3a,3bはそれぞれ、絶縁層4の上に所定の間隔を置いて所定の幅を有して層状に形成され、小型モータ内部のモータ機構(図示なし)と電気的に接続されている。また、給電端子3a,3bは、例えば、銅やアルミニウム等の金属、または、グラファイト等の金属以外の導電性材料で形成され、金やニッケル等の半田との濡れ性が高い金属がさらにその上にメッキされることが好ましい。給電端子3a,3bおよび第1外殻部2の、回転軸5に垂直な断面の形状は、実質的に同等であり、給電端子3a,3bおよび第1外殻部2の各外面は、略同一面上にある。例えば図1−1および図1−2に示した円筒形の小型モータ1の場合、給電端子3a,3bおよび第1外殻部2は、外径が実質的に同等となるように形成されている。
この構成により、小型モータ1を、回転軸5に平行な平面上に置いたときに、給電端子3a,3bおよび第1外殻部2の外面の一部は、該平面に均一に接触する。また、図示した小型モータ1では、給電端子3a,3bが第2外殻部7上に形成された絶縁層4の全周にわたってリング状に設けられているが、絶縁層4の外周面の一部のみに設けられても良い。言い換えると、給電端子3a,3bの各々は、これらを同一平面に接触させた際の接触部分の面積よりも大きな表面積を有する層形状であれば良い。例えば、給電端子3a,3bは、中心角が360度より小さい円弧状の断面を有してもよい。ただし、一部のみに設けられる場合、後述する小型モータ1の取り付けの際に、給電端子が設けられている周方向の位置を意識しながら作業を行う必要がある。
給電端子3a,3bおよび第1外殻部2の外面は、滑らかな平面であっても良いが、後述する半田付けの際の半田との接触面積が増えるように、微細な凹凸を有する略平面であっても良い。
図2は、第1の実施の形態にかかる小型モータが取り付けられる基板の概略構成を示す平面図である。図2に示すように、この基板10は、該電子デバイス内の+Vライン(駆動電圧ライン)およびGNDライン(接地ライン)にそれぞれ接続される電源配線パターン11a,11bと、モータ固定用パターン12と、を備える。なお、電源配線パターン11a,11bは、小型モータ1に駆動電圧を供給するモータ駆動回路(図示せず)の出力端子に接続されていても良い。
電源配線パターン11a,11bは導電性材料から成る。モータ固定用パターン12は、電源配線パターン11a,11bと同じ工程で形成できるように、電源配線パターン11a,11bと同じ導電性材料で形成されることが好ましい。また、モータ固定用パターン12は、図示されているようにモータ固定用パターン12の領域の全面に形成されても良いが、材料を節約するために、その一部が欠けて基板の一部が剥き出しとなるように部分的に形成されていても良い。
また、電源配線パターン11a,11bおよびモータ固定用パターン12は、図1−1に示した小型モータ1を基板10の正しい取り付け位置に置いた際に、小型モータ1の給電端子3a,3bおよび第1外殻部2とそれぞれ接触する位置に形成される。より詳しくは、電源配線パターン11a,11bは、それらの間隔および幅が給電端子3a,3bの上記所定の間隔および上記所定の幅にそれぞれ合うように設計される。この構成により、小型モータ1を基板10の上に置くと同時に、小型モータ1の第1外殻部2とモータ固定用パターン12との接触および小型モータ1の給電端子3a,3bと電源配線パターン11a,11bとを接触させることができる。従って、この構成によれば、リード線を使用せずとも、小型モータ1と電源との接続が果たされる。
図3−1および図3−2は、第1の実施の形態にかかる小型モータと上記基板とを備えて構成される電子デバイスの概略構成を示す図である。図3−1は、該電子デバイスが含む小型モータの軸方向に垂直な方向から見た該電子デバイスの側面図である。図3−2は、回転軸5の先端側から見た該電子デバイスの正面図である。なお、図3−1および図3−2において、図1−1、図1−2、および図2と同じ部材には同じ参照符号を付け、それらの説明は省略する。
図3−1に示すように、電子デバイス20は、小型モータ1と、基板10とを備える。小型モータ1は、給電端子3a,3bがそれぞれ半田21a,21bを介して基板10の電源配線パターン11a,11bと接続され、且つ、第1外殻部2が半田21cを介して基板10のモータ固定用パターン12と接続されることにより、基板10上に固定される。なお、第1外殻部2は、小型モータ1のハウジング6の一部を構成するものであるが、モータのハウジングは一般的に金属であるため、半田の濡れ性が非金属材料に比べて高い。よって、半田は、第1外殻部2とモータ固定用パターン12と間の接着剤として十分に機能しうる。
この半田付けの作業を容易にし、かつ、小型モータ1の固定をより安定化させるために、図2に示した電源配線パターン11a,11bの幅は、給電端子3a,3bの上記所定の幅よりも若干大きめであると良いが、半田付けが十分確実に行えるのであれば、上記所定の幅以下であっても構わない。
一方、モータ固定用パターン12は、図3−1および図3−2に示すように、第1外殻部2とモータ固定用パターン12との間に入り込む半田が、第1外殻部2とモータ固定用パターン12にそれぞれ十分接触することで、半田付けによる小型モータ1の固定が確実になされる程度の大きさおよび形状を有していれば良い。よって、小型モータ1の固定をより安定化させるために、例えば、モータ固定用パターン12の軸方向の長さを、第1外殻部2の軸方向の長さと同じ程度にしても構わない。
このようにして、電子デバイス20では、小型モータ1の給電端子3a,3bと基板10の電源配線パターン11a,11bとの接続および固定と、小型モータ1の第1外殻部2の基板10のモータ固定用パターン12への固定とを、同じ半田付け工程により同時に実現することができる。また、電源接続用のリード線が不要なため、リード線の引き回し作業も不要となる。よって、小型モータ1の基板10への取り付けに必要な作業工程の数が減り、従来と比べて小型モータの取り付けを容易に行うことが可能である。また、固定が半田付けによって確実に行えるため、小型モータ1を基板10に固定するための固定手段を別途設ける必要がなく、上述の通り電源接続用のリード線も不要なため、小型モータ1の取り付けに必要なスペースを、従来と比べて格段に削減することができる。さらに、小型モータ1の外周面に第1外殻部2および給電端子3a,3bを形成したため、小型モータ1が任意に転がった状態で基板10に対する位置合わせが可能となる。これは、作業性の向上を意味する。
また、ハウジング6は通常、金属で構成されているため、第1の実施の形態にかかる小型モータ1では、ハウジング6の一部を構成する第1外殻部2に特殊な加工をしなくても、第1外殻部2をそのまま半田で基板10のモータ固定用パターン12に固定することができるという利点がある。
なお、第1の実施の形態は、ハウジングの形状が円筒形の小型モータを例に説明したが、ハウジングの形状は、円筒形に限定されるものではなく、少なくとも部分的に曲面を有するものや、立方体や、多角柱であっても良い。基板と接触する面が平面である立方体や多角柱などの形状を有するハウジングを備えた小型モータの場合、小型モータを基板上に安定しておけるという利点がある。また、小型モータは、偏心振動モータであっても良い。
また、図2に示したモータ固定用パターン12および電源配線パターン11a,11bの形状、位置、および配列は、小型モータ1および小型モータ1が収容される電子デバイスの構造に合わせて、適宜変更可能である。
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態にかかる小型モータについて説明する。第2の実施の形態にかかる小型モータは、ハウジングの表面を絶縁層で覆い、その絶縁層の上に、小型モータを固定させるための固定部と、給電端子とを設けたことを特徴とする。
図4−1および図4−2は、本発明の第2の実施の形態にかかる小型モータの概略構成を示す図である。図4−1は、該小型モータの回転軸に垂直な方向から見た該小型モータの側面図である。図4−2は、該回転軸の先端側から見た該小型モータの正面図である。なお、図4−1および図4−2において、第1の実施の形態と同じ部材には同じ参照符号を付け、それらの説明は省略する。
図4−1および図4−2に示すように、第2の実施の形態にかかる小型モータ30は、ハウジング36と、固定部32と、給電端子3a,3bと、絶縁層34と、回転軸5とを備える。
絶縁層34は、絶縁性材料から成り、ハウジング36の外周面上の全体に形成される。絶縁層34の形成は、例えば、ハウジング36の外周面に、エポキシ等の絶縁性樹脂を塗布することや、絶縁テープを巻き付けることなどによってなされる。
給電端子3a,3bはそれぞれ、第1の実施の形態で説明したような導電性材料から成り、絶縁層34の上に所定の間隔を置いて所定の幅(以下、第1の幅wと称す)を有してリング状に形成され、小型モータ内部の電源供給配線(図示なし)と電気的に接続されている。
固定部32は、給電端子3a,3bと同じ工程で形成できるように、給電端子3a,3bと同じ導電性材料で形成しても良いが、さらに半田の濡れ性の高い別の材料で形成しても良い。固定部32は、回転軸5の先端側の絶縁層34上であって、かつ給電端子3bから離間した位置に、所定の幅(以下、第2の幅fと称す)を有してリング状に形成される。固定部32の第2の幅fは、図4−1に示すように、後述する基板との接触面積を大きくするためにも、給電端子3a,3bの第1の幅wと比べて大きいことが好ましい。なお、固定部32を、それぞれが所定の幅を有し且つ互いに所定の間隔を置いて配置された複数のリング状部材として構成してもよい。
給電端子3a,3bおよび固定部32の、回転軸5に垂直な断面の形状は、実質的に同等であり、給電端子3a,3bおよび固定部32の各外面は、略同一面上にある。例えば図4−1および図4−2に示した円筒形の小型モータ30の場合、給電端子3a,3bおよび固定部32は、外径が実質的に同等となるように形成されている。この構成により、小型モータ30を、回転軸5に平行な平面上に置いたときに、給電端子3a,3bおよび固定部32の外面の一部は、該平面に均一に接触する。また、図示した小型モータ30では、給電端子3a,3bおよび固定部32がハウジング36上に形成された絶縁層34の全周にわたってリング状に設けられているが、絶縁層34の外周面の一部のみに設けられても良い。例えば、給電端子3a,3bおよび固定部32は、中心角が360度より小さい円弧状の断面を有してもよい。ただし、このように絶縁層34の外周面の一部のみに設けられる場合、小型モータ30の取り付けの際に、給電端子および固定部が設けられている周方向の位置を意識しながら作業を行う必要がある。
給電端子3a,3bおよび固定部32の外面は、滑らかな平面であっても良いが、後述する基板への半田付けの際の半田との接触面積が増えるように、微細な凹凸を有する略平面であっても良い。
なお、第2の実施の形態にかかる小型モータ30が取り付けられる基板の概略構成と、小型モータ30と上記基板とを備えて構成される電子デバイスの概略構成は、図2、図3−1、および図3−2と同様であるため、その図示を省略し、異なる部分のみに関して説明する。
第2の実施の形態にかかる小型モータ30が取り付けられる基板では、図2に示す電源配線パターン11a,11bおよびモータ固定用パターン12が、図4−1に示した小型モータ30を基板10の正しい取り付け位置に置いた際に、小型モータ30の給電端子3a,3bおよび固定部32とそれぞれ接触する位置に形成される。より詳しくは、電源配線パターン11a,11bは、それらの間隔および幅が給電端子3a,3bの上記所定の間隔および第1の幅wにそれぞれ合うように設計される。この構成により、小型モータ30を基板10の上に置くと同時に、小型モータ30の固定部32とモータ固定用パターン12との接触および小型モータ30の給電端子3a,3bと電源配線パターン11a,11bとを接触させることができる。従って、この構成によれば、リード線を使用せずとも、小型モータ30と電源との接続が果たされる。
小型モータ30は、給電端子3a,3bがそれぞれ半田を介して基板10の電源配線パターン11a,11bと接続され、且つ、固定部32が半田を介して基板10のモータ固定用パターン12と接続されることにより、基板10上に固定される。
モータ固定用パターン12は、固定部32とモータ固定用パターン12との間に入り込む半田が、固定部32とモータ固定用パターン12にそれぞれ十分接触することで、半田付けによる小型モータ30の固定が確実になされる程度の大きさおよび形状を有していれば良い。よって、小型モータ30の固定をより安定化させるために、例えば、モータ固定用パターン12の軸方向の長さを、固定部32の軸方向の長さ、すなわち第2の幅fと同じ程度にしても構わない。また、固定部32が複数のリング状部材で構成される場合には、モータ固定用パターン12は、複数のリング状部材間の間隔と各リング状部材の幅に合わせて設計されてもよい。
このようにして、第2の実施の形態にかかる小型モータ30と上記基板とを備えて構成される電子デバイスでは、第1の実施の形態と同様の効果が得られる。
加えて、第1の実施の形態にかかる小型モータ1では、ハウジング6の一部である第1外殻部2が、筐体としての機能と、基板10のモータ固定用パターン12に半田で接着される部材としての機能とを兼ね備えていたが、第2の実施の形態にかかる小型モータ30では、ハウジング36の材料と比べて、半田の濡れ性が高い材料で固定部32を形成できるため、基板10への半田による接着を、より強固にすることが可能になる。
また、第1の実施の形態では、給電端子3a,3bを設けるために、ハウジング6の第1外殻部2と比べて第2外殻部7の外径を小さくする必要があるが、第2の実施の形態では、そのようなハウジングの成形が不要である。具体的に言えば、給電端子3a,3bと接続するために小型モータ1内部から電源供給配線を引き出すための加工(例えば、電源供給配線引き出し用の穴の作成)を除き、従来の小型モータのハウジングを流用することができる。
なお、第2の実施の形態でも、ハウジングの形状が円筒形の小型モータを例に説明したが、第1の実施の形態と同様に、ハウジングの形状および小型モータの種類は、これに限定されるものではない。
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態にかかる小型モータについて説明する。第3の実施の形態にかかる小型モータは、小型モータの外周面に複数の突起部を設けたことを特徴とする。
図5−1および図5−2は、本発明の第3の実施の形態にかかる小型モータの概略構成を示す図である。図5−1は、該小型モータの回転軸に垂直な方向から見た該小型モータの側面図である。図5−2は、該回転軸の先端側から見た該小型モータの正面図である。なお、図5−1および図5−2において、第1および第2の実施の形態で説明した部材と同じ部材には同じ参照符号を付け、それらの説明は省略する。
図5−1および図5−2に示すように、第3の実施の形態にかかる小型モータ40は、複数の突起48a,48bを有するハウジング46と、固定部42と、給電端子43a,43bと、絶縁層44と、回転軸5と、突起部47a,47bを備える。換言すれば、小型モータ40は、第2の実施の形態にかかる小型モータ30と同様に構成される小型モータのハウジングに複数の突起を設け、これら突起が設けられたハウジングの上に、絶縁層と固定部および給電端子とを重ねて設けることにより形成される、突起部47a,47bを、該小型モータに追加したものである。
図5−1および図5−2に示すハウジング46の突起48a,48bは、ハウジング46と一体的に成形加工されている。図5−1および図5−2では、ハウジング46の外周面から突出し、互いに離隔した2本の突起48a,48bが、ハウジング46の軸方向の長さ全体に亘り、回転軸5と平行に線状に設けられている。なお、ハウジング46に設けられる突起の形状、位置、配列、および数は、これに限定されない。小型モータを平面に置いたときに、少なくとも2本の突起が軸方向に均一に着面するような間隔および突出高さで、該2本の突起を設ければ良い。また、複数の突起をハウジング46の軸方向の長さ全体に亘り線状に設けずに、同一の線上または異なる線上に部分的に、且つハウジング46の外周面の同心円上に少なくとも一対の突起を軸方向の複数位置に設けても良い。この場合も、小型モータを平面に置いたときに、同心円上に形成された一対の突起が、別の軸方向の位置にある別の同心円上に形成された一対の突起と共に、着面すれば良い。また、ハウジング46に突起を設けずに、絶縁層44、または固定部42および給電端子43a,43bに突起を設けることにより、突起部を形成しても良い。さらに、突起は、突起が設けられる表面の部材と一体的に設けられても、別の材料で形成されて該表面に接合されても良いが、工程数を減らすためには、図5−2に示すように、ハウジング46と一体的に成形されることが好ましい。
絶縁層44、給電端子43a,43b、および固定部42は、それぞれ第2の実施の形態で説明した絶縁層34、給電端子3a,3b、および固定部32と同様の材料および方法により形成される。ただし、図5−1および図5−2の例では、ハウジング46の外周面上に突起48a,48bが設けられているため、突起48a,48bの上に、それぞれが略均一の厚さとなるように絶縁層44、給電端子43a,43b、および固定部42を形成すると、図5−2に示すように、突起部47a,47bが突起48a,48bの形状に沿って形成されることになる。
突起部47a,47bを含む、給電端子43a,43bおよび固定部42の、回転軸5に垂直な断面の形状は、実質的に同等であり、給電端子43a,43bおよび固定部42の各外面は、略同一面上にある。この構成により、小型モータ40を、回転軸5に平行な平面上に置いたときに、給電端子43a,43bおよび固定部42に位置する突起部47a,47bを、該平面に均一に接触させることができる。図示した小型モータ40では、給電端子43a,43bおよび固定部42がハウジング46上に形成された絶縁層44の全周にわたってリング状に設けられているが、絶縁層44の外周面の一部のみに設けられても良い。例えば、給電端子43a,43bおよび固定部42は、中心角が360度より小さく、且つ突起部を少なくとも2本分含む、略円弧状の断面を有してもよい。ただし、絶縁層44の外周面の一部のみに設けられる場合、小型モータ40の取り付けの際に、給電端子と固定部と突起部が設けられている周方向の位置をより意識しながら作業を行う必要がある。
なお、給電端子43a,43bおよび固定部42の外面は、滑らかな平面であっても良いが、後述する基板への半田付けの際の半田との接触面積が増えるように、微細な凹凸を有する略平面であっても良い。
第3の実施の形態にかかる小型モータ40が取り付けられる基板の概略構成は、図2と同様であるため、その図示を省略する。該基板の電源配線パターンおよびモータ固定用パターンは、図5−1に示した小型モータ40を該基板の正しい取り付け位置に置いた際に、少なくとも、小型モータ40の給電端子43a,43bおよび固定部42に位置する突起部47a,47bに接触する位置に形成される。より詳しくは、2本の電源配線パターンは、それらの間隔および各幅が第2の実施の形態で説明した通りに設計され、且つ、モータ固定用パターンおよび電源配線パターンの、軸方向に垂直な方向の長さは、基板に接する突起部47a,47bの軸方向に垂直な方向の間隔S(図5−2参照)に合うように、第2の実施の形態におけるモータ固定用パターン12および電源配線パターン11a,11bの軸方向に垂直な方向の長さと比べて大きく設計される。
この構成により、小型モータ40を基板の上に置くと同時に、小型モータ40の固定部42に位置する突起部47a,47bとモータ固定用パターンとの接触、および小型モータ40の給電端子43a,43bに位置する突起部47a,47bと電源配線パターンとの接触を実現することができる。従って、この構成によれば、リード線を使用せずとも、小型モータ40と電源との接続が果たされる。
図6は、第3の実施の形態にかかる小型モータと上記基板とを備えて構成される電子デバイスの概略構成を示す図である。図6は、該電子デバイスが含む小型モータの回転軸の先端側から見た該電子デバイスの正面図である。なお、図6において、第1および第2の実施の形態と図5−1および図5−2で説明した部材と同じ部材には、同じ参照符号を付け、それらの説明は省略する。
図6に示すように、電子デバイス50は、小型モータ40と、基板100とを備える。小型モータ40は、給電端子43a,43bに位置する突起部47a,47bがそれぞれ半田51a,51bを介して基板100の電源配線パターン110a,110bと接続され、且つ、固定部42に位置する突起部47a,47bが半田51cを介して基板100のモータ固定用パターン120と接続されることにより、基板100上に固定される。
モータ固定用パターン120は、図6に示すように、固定部42に位置する突起部47a,47bとモータ固定用パターン120との間に入り込む半田が、該突起部47a,47bの外面とモータ固定用パターン120にそれぞれ十分接触することで、半田付けによる小型モータ40の固定が確実になされる程度の大きさおよび形状を有していれば良い。なお、突起部47a,47bの形状および突出高さと、突起部47a,47bを設ける間隔次第では、図6に示す通り、突起部47a,47bを基板100のモータ固定用パターン120および電源配線パターン110a,110bに接触させると同時に、固定部42および給電端子43a,43bの底部42',43a',43b'をモータ固定用パターン120および電源配線パターン110a,110bに接触させることが可能となるため、小型モータ40と基板100との接触面がより大きくなり、小型モータ40の電源への接続をより確実にすることができる。
このようにして、第3の実施の形態にかかる小型モータ40と基板100とを備えて構成される電子デバイス50でも、第1および第2の実施の形態と同様の効果が得られる。
加えて、第3の実施の形態にかかる小型モータ40は、突起部47a,47bを有するため、小型モータ40を基板の上に置く際に、小型モータの転がりを防止し、位置決めをさらに容易にすることができる。また、突起部47a,47bが基板に接して小型モータ40の転がりを防止して支えるため、小型モータ40をより安定して基板の上に置くことができる。
さらに、図6に示すように、突起部47a,47bの外面と固定部42の外面および給電端子43a,43bの外面とが、半田を介してモータ固定用パターン120および電源配線パターン110a,110bに接着されるため、小型モータ40の基板100への固定が確実になされる。特に、突起部47aと突起部47bとの間の空間を満たすように半田が入り込むため、突起がない場合と比べて、半田の濡れ面積が増大し、小型モータ40の基板100への接着をより強固にすることができる。
また、第3の実施の形態では、その成形加工が比較的容易であるため、突起部を第2の実施の形態にかかる小型モータ30に設ける例を説明したが、第1の実施の形態にかかる小型モータ10に設けても構わない。その場合には、例えば、ハウジング6の第1外殻部2に複数の線状の第1の突起部を設け、第2外殻部7において該複数の第1の突起部の延長線上に、複数の第2の突起部を設ければ良い。
なお、第3の実施の形態でも、ハウジングの形状が円筒形の小型モータを例に説明したが、第1および第2の実施の形態と同様に、ハウジングの形状および小型モータの種類は、これに限定されるものではない。
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態にかかる、小型モータと基板とを備えて構成される電子デバイスについて説明する。第4の実施の形態にかかる電子デバイスは、該小型モータが取り付けられる該基板にスリットを設けたことを特徴とする。なお、該小型モータとしては、第1の実施の形態から第3の実施の形態で説明した小型モータ1,30,40と同様の小型モータや、次に説明する別の小型モータを用いることができる。
図7−1および図7−2は、本発明の第4の実施の形態にかかる電子デバイスに用いることができる別の小型モータの概略構成を示す図である。該小型モータは、第3の実施の形態にかかる小型モータ50の突起48a,48bおよび突起部47a,47bを、4本の突起および4本の突起部にそれぞれ変えたことを特徴とする。図7−1は、該小型モータの回転軸に垂直な方向から見た該小型モータの側面図である。図7−2は、該回転軸の先端側から見た該小型モータの正面図である。なお、図7−1および図7−2において、第1の実施の形態から第3の実施の形態で説明した部材と同じ部材には同じ参照符号を付け、それらの説明は省略する。
図7−1および図7−2に示すように、小型モータ60は、4本の突起68a,68b,68c,68dを有するハウジング66と、固定部62と、給電端子63a,63bと、絶縁層64と、回転軸5と、4本の突起部67a,67b,67c,67dを備える。突起68a,68cと、突起68b,68dは、それぞれ小型モータの直径に沿う直線上に対を成して設けられる。図7−1および図7−2では、突起および突起部の本数がそれぞれ4本となっているが、ハウジング66の外面上に位置する突起の数は、3つ以上であればよい。その理由については後述する。なお、突起の数を多くすれば、小型モータ60を基板に対して位置決めする際に、小型モータ60の転がり状態をさほど意識しないで済むため、作業性がより改善される。なお、小型モータ60の構成の詳細は、実施の形態3にかかる小型モータ40と同様であるため、その説明を省略する。ただし、図7−1および図7−2に示す小型モータ60は、回転軸5に平行な平面上に置いたとしても、給電端子63a,63bおよび固定部62に位置する対を成す2本の突起部67a,67c(または67b,67d)を、該平面に共に接触させることはできない。
図8は、本発明の第4の実施の形態にかかる電子デバイスが備える基板の概略構成を示す平面図である。
図8に示すように、基板70は、該電子デバイス内の+Vライン(駆動電圧ライン)およびGNDライン(接地ライン)にそれぞれ接続される電源配線パターン71a,71bと、モータ固定用パターン72と、スリット73を備える。なお、電源配線パターン71a,71bは、小型モータに駆動電圧を供給するモータ駆動回路(図示せず)の出力端子に接続されていても良い。
電源配線パターン71a,71bおよびモータ固定用パターン72は、第1の実施の形態から第3の実施の形態において説明した電源配線パターンおよびモータ固定用パターンと同様の材料で同様に形成される。但し、電源配線パターン71a,71bおよびモータ固定用パターン72の中途において、スリット73が形成されているため、電源配線パターン71a,71bおよびモータ固定用パターン72の各端部がスリット73の1辺に接触してまたは近傍に位置している。
スリット73は、そこに小型モータが取り付けられた場合のその軸方向の長さH(縦幅)および軸方向と垂直な方向の幅D(横幅)が小型モータの寸法および形状に合わせて設計される。より詳しくは、第1または第2の実施の形態にかかる小型モータ1,30を取り付ける場合、スリット73の長さHは、図1−1に示す小型モータ1の長さhまたは図4−1に示す小型モータ30の長さh’よりも若干大きく、スリット73の幅Dは、図1−1に示す小型モータ1の直径dまたは図4−1に示す小型モータ30の直径d’よりも小さくなるように設計される。一方、第3の実施の形態にかかる小型モータ40を取り付ける場合、スリット73の長さHは、図5−1に示す小型モータ40の長さh’よりも若干大きく、スリット73の幅Dは、図5−2に示す小型モータ40の突起部47a,47bの軸方向と垂直な方向の間隔Sよりも若干小さくなるように設計される。図7−1および図7−2に示す小型モータ60を取り付ける場合、スリット73の長さHは、図7−1に示す小型モータ60の長さh’よりも若干大きく、スリット73の幅Dは、図7−1に示す小型モータ60の突起部を含まない直径d’と同程度か若干小さくなるように設計される。スリット73の寸法をこのように設計することにより、後述する小型モータのスリット73への嵌め込みの際に、小型モータがスリット73を完全に通り抜けずにスリット73の縁により保持される。突起部を有する小型モータの場合には、スリット73への小型モータの落ち込みを確実に防止することができる。
また、第1または第2の実施の形態にかかる小型モータ1,30を基板70に取り付ける場合、電源配線パターン71a,71bおよびモータ固定用パターン72は、基板70のスリット73が小型モータ1,30を受け入れて保持した際に、スリット73の両脇で、小型モータ1,30の給電端子3a,3b,および第1外殻部2または固定部32にそれぞれ接触する位置に形成される。
一方、第3の実施の形態にかかる小型モータ40または図7−1および図7−2に示す小型モータ60を基板70に取り付ける場合、電源配線パターン71a,71bおよびモータ固定用パターン72は、基板70のスリット73が小型モータ40または小型モータ60を受け入れて保持した際に、スリット73の両脇で、小型モータ40の給電端子43a,43bおよび固定部42に位置する突起部47a,47bまたは小型モータ60の給電端子63a,63bおよび固定部62に位置する突起部67a,67c(または67b,67d)にそれぞれ接触する位置に形成される。
より詳しくは、電源配線パターン71a,71bは、それらの間隔および各幅が小型モータの給電端子の上記所定の間隔および上記所定の幅にそれぞれ合うように設計され、モータ固定用パターン72および電源配線パターン71a,71bは、スリット73の軸方向の両縁から少なくとも一定の長さを有するように設計される。
この構成により、小型モータ1,30,40,60を基板70のスリット73に嵌め込むと同時に、小型モータ1,30の第1外殻部2または固定部32、または小型モータ40,60の固定部42,62に位置する突起部47b,47dまたは突起部67a,67c(または67b,67d)と、モータ固定用パターン72とを接触させ、小型モータ1,30の給電端子3a,3bまたは小型モータ40,60の給電端子43a,43bまたは給電端子63a,63bに位置する突起部47b,47dまたは突起部67a,67c(または67b,67d)と電源配線パターン71a,71bとを接触させることができる。
従って、この構成によれば、少なくとも第1の実施の形態から第3の実施の形態と同様の効果が得られる。さらに、小型モータをスリット73に嵌め込めば、基板70に対する小型モータの位置決めがされるため、第1の実施の形態から第3の実施の形態と比べて、作業性がさらに向上する。また、突起部を有する小型モータの例では、突起部がスリット73の両脇に引っかかるため、位置決め後に小型モータが回転することもなく、スリット73の両脇と小型モータの外面とをより確実に接触させることができる。
図9は、第4の実施の形態にかかる電子デバイスの一例として、第1の実施の形態にかかる小型モータ1と基板70とを備えて構成される電子デバイスの概略構成を示す図である。図10は、第4の実施の形態にかかる電子デバイスの別の例として、第3の実施の形態にかかる小型モータ40と基板70とを備えて構成される電子デバイスの概略構成を示す図である。図11は、第4の実施の形態にかかる電子デバイスのまた別の例として、図7−1および図7−2に示した小型モータ60と基板70とを備えて構成される電子デバイスの概略構成を示す図である。なお、いずれの図面も、小型モータの回転軸5の先端側から見た電子デバイスの正面図である。また、これらの図面において、第1の実施の形態から第3の実施の形態と図7−1および図7−2と図8で説明した部材と同じ部材には同じ参照符号を付け、それらの説明は省略する。また、第4の実施の形態にかかる電子デバイスのさらに別の例として、第2の実施の形態にかかる小型モータ30と基板60とを備えて構成される電子デバイスの構成が考えられるが、それについては、図9と類似するため、その図示および説明を省略する。
図9から図11に示すように、電子デバイス80,90,110は、それぞれ小型モータ1,40,60と、基板70とを備える。図9の例において、小型モータ1は、スリット73内にその一部が嵌め込まれた状態で、給電端子3a,3bがそれぞれ半田81a,81bを介して基板70の電源配線パターン71a,71bと接続され、且つ、第2外殻部2が半田81cを介して基板70のモータ固定用パターン72と接続されることにより、基板70の上に固定される。特に、この例では、スリット73への小型モータ1の嵌め込みは、小型モータ1の外面がスリット73の両脇に引っ掛かることによりなされる。
図10の例では、小型モータ40は、スリット73内にその一部が嵌め込まれた状態で、給電端子43a,43bに位置する突起部47a,47bがそれぞれ半田91a,91bを介して基板70の電源配線パターン71a,71bと接続され、且つ、固定部42が半田91cを介して基板70のモータ固定用パターン72と接続されることにより、基板70の上に固定される。特に、この例では、スリット73への小型モータ40の嵌め込みは、小型モータ40の突起部47a,47bがスリット73の両脇に引っ掛かることによりなされる。
図11の例では、小型モータ60は、スリット73内にその一部が嵌め込まれた状態で、給電端子63a,63bに位置する突起部67a,67c(または67b,67d)がそれぞれ半田111a,111bを介して基板70の電源配線パターン71a,71bと接続され、且つ、固定部62が半田111cを介して基板70のモータ固定用パターン72と接続されることにより、基板70の上に固定される。この例では、スリット73への小型モータ60の嵌め込みは、小型モータ60の突起部67a,67c(または67b,67d)がスリット73の両脇に引っ掛かることによりなされる。
ここで、図11の例について、突起部の数を3つ以上とする理由について説明する。上述したように、図11に示す電子デバイス110において、基板70のスリット73の幅D(図8参照)は、小型モータ60の突起部を含まない直径d’(図7−2参照)と同程度か若干小さくなるように設計される。仮に、小型モータ60の直径d’がスリット73の幅Dと比べて僅かにでも小さく、且つ小型モータ60の外面に設けられる突起部の数が2つの場合、小型モータ60をスリット73に嵌め入れる際の小型モータ60の転がり状態によっては、小型モータ60がスリット73から抜け落ちてしまう可能性がある。より具体的には、小型モータ60の2つの突起部が回転軸の先端側から見て上下に並んだ状態で小型モータ60をスリット73に嵌め入れた場合、小型モータ60の突起部がスリット73の両脇に引っかからずに、そのままスリット73から小型モータ60が下へ抜け落ちてしまうおそれがある。ここで、小型モータ60の突起部を、ある程度の間隔を置いて3つ以上設け、且つ、突起の高さをある程度大きくしておけば、小型モータ60を無造作にスリット73に嵌め入れたとしても、小型モータ60がスリット73から抜け落ちることを防止できる。なお、3つ以上の突起を設ける場合、それらのうち、隣り合う2つの突起であれば、どの突起の組み合わせであっても、スリット73の両脇に引っかかるように、3つ以上の突起を等間隔に設けることが好ましい。
モータ固定用パターン72は、図9から図11に示すように、第1外殻部2、または固定部42に位置する突起部47a,47b、または固定部62に位置する突起部67a,67cと、モータ固定用パターン72との間に入り込む半田が、第1外殻部2の外面または突起部の外面とモータ固定用パターン72にそれぞれ十分接触することで、半田付けによる小型モータの固定が確実になされる程度の大きさおよび形状を有していれば良い。
なお、スリット73の幅Dおよび突起部の間隔は、スリットのない基板の上に小型モータを置いた例である図3−2および図6の構成と比べて、図9から図11に示す通り、スリット73に嵌め込まれた状態で固定された小型モータと基板とが占有する全体的な高さy,y’,y’’を、最大で基板の厚みxの分だけ減らすことができるように設計することが好ましい。従って、第4の実施の形態にかかる電子デバイスでは、第1の実施の形態から第3の実施の形態と比べて、小型モータの基板への取り付けに必要なスペースをさらに削減することができる。ただし、図11の例では、突起部の突出高さと基板の厚みとの関係次第で、その全体的な高さが変わる。ただし、スリットの幅Dが小さいほど、スリットを設けるために必要な基板表面の面積を削減することができるため、基板表面の面積を有効利用することが可能である。
このようにして、第4の実施の形態にかかる、小型モータと基板70とを備えて構成される電子デバイスでは、上述の効果に加えて、第1の実施の形態から第3の実施の形態と同様の効果が得られる。
なお、第4の実施の形態でも、ハウジングの形状が円筒形の小型モータを例に説明したが、第1の実施の形態から第3の実施の形態と同様に、ハウジングの形状および小型モータの種類は、これに限定されるものではない。また、小型モータの形状に合わせて、図8では矩形であるスリット72を別の形状にしても構わない。