JP2009200359A - 積層型圧電素子 - Google Patents

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章 藤井
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Abstract

【課題】変位性能の低下を抑制しつつ、絶縁破壊の発生を抑制できる積層型圧電素子を提供する。
【解決手段】複数の圧電セラミック層2と複数の内部電極層3、4とを交互に積層してなるセラミック積層体19と、その側面195に形成された一対の側面電極11、12とを有する積層型圧電素子1である。セラミック積層体19は、その側面195から内方に凹むスリット状のスリット溝部15を有する。スリット溝部15を含む圧電セラミック層をスリットセラミック層25とすると、スリットセラミック層25は、これを除くその他の圧電セラミック層2の厚みの2倍を超える厚みで形成されている。また、スリットセラミック層25に隣接する圧電セラミック層を隣接セラミック層とすると、隣接セラミック層は、これとスリットセラミック層25とを除くその他の圧電セラミック層2よりも大きな厚みで形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、複数の圧電セラミック層と複数の内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の側面に形成された一対の側面電極とを有し、上記セラミック積層体の側面から内方に凹むスリット状の溝部が形成された積層型圧電素子に関する。
従来より、燃料噴射弁の駆動源等には、積層型圧電素子が用いられている。積層型圧電素子は、例えば内部電極と圧電セラミックとが交互に多数枚積層されたセラミック積層体に、上記内部電極と交互に電気的に接続される一対の外部電極を接合してなる。
上記積層型圧電素子は、特に燃料噴射弁等の用途においては、過酷な条件の下で長期間に渡って使用される。そのため、例えば、側面の電気的な絶縁性を向上させるため、内部電極の端部の一部を内方に控えた電極控え部を有するセラミック積層体が広く採用されている。
ところが、絶縁性を向上させるために上記のごとく電極控え部を形成すると、上記セラミック積層体において、電圧を印加したときに、変形する部分と変形し難い部分とが生じ、その境界部に応力集中が起こって素子にクラックが発生するおそれがあった。
応力集中によるクラックの発生を回避するために、セラミック積層体の側面に、積層方向に対して所定の間隔で形成されたスリット状の溝部を有する積層型圧電素子が開発されている。
しかし、溝部を形成した場合においても、該溝部に電圧が印加されたときに、溝部の先端からクラックが発生するおそれがあり、これを回避するためには、溝部の深さを内部電極の電極控え部の距離よりも大きくする必要があった。
また、溝部を挟む内部電極を同一極とした積層型圧電素子が開発されている(特許文献1参照)。
しかしながら、溝部を挟む内部電極を同じ極にすると、溝部にはほとんど電圧がかからなくなり、全く変位しなくなるため、せん断方向に応力が発生し、結局クラックが発生してしまう。
特開2006−216850号公報
上記のように、溝部を挟む2つの内部電極を同一極にすると、溝部に選択的(優先的に)クラックが入るようになる。よって積層型圧電素子の圧電活性層にクラックが生じることを防止でき、耐久性を向上できると考えられていた。
しかしながら、実際には、溝部にクラックが生じていない状態であっても、十分な絶縁性を得ることはできず、依然として絶縁抵抗が低下してショートが発生してしまうという問題があった。
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、変位性能の低下を抑制しつつ、絶縁破壊の発生を抑制できる積層型圧電素子を提供しようとするものである。
第1の発明は、複数の圧電セラミック層と複数の内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の側面に形成された一対の側面電極とを有する積層型圧電素子において、
上記内部電極層は、導電性を有する内部電極部と、該内部電極部の外周端部が上記セラミック積層体の外周面よりも内方に所定の控え距離で控えた控え部とを有し、上記内部電極部においていずれか一方の上記側面電極に交互に電気的に接続しており、
上記セラミック積層体は、該セラミック積層体の側面から内方に凹むスリット状のスリット溝部を有し、
該スリット溝部は、上記セラミック積層体において積層された複数の上記圧電セラミック層のうち一部の上記圧電セラミック層に形成されており、
上記スリット溝部を含む上記圧電セラミック層をスリットセラミック層とすると、該スリットセラミック層は、該スリットセラミック層を除くその他の上記圧電セラミック層の厚みの2倍以上の厚みで形成されていることを特徴とする積層型圧電素子にある(請求項1)。
即ち、本願発明者らは、積層型圧電素子にスリット溝部を形成する際の不具合に関して鋭意研究した結果、スリット溝部に隣接する負極層と該負極層に隣接する正極層に挟まれる圧電セラミック層が最も早く絶縁抵抗が低下することを発見するに至った。
この詳細に関して説明するために、まず、一般的な積層型圧電素子の絶縁抵抗低下について説明する。
一般に、積層型圧電素子に高温で高電界を印加し続けると、負極側から低抵抗領域が広がっていく現象が現れる。この原因は、例えば積層型圧電素子を一体焼成により作製した場合において、この一体焼成時に圧電セラミック層へ拡散したイオン状態で存在する導電性金属イオンが、マイナス電極から放出される電子により金属化されることによるものである。上記現象により、正極層と負極層との間の積層方向の電界強度分布が均一ではなくなってしまう。つまり、低抵抗領域の電界強度が低下し、相対的に低抵抗領域以外の電界強度が上昇する。したがって、この電界強度の上昇が絶縁抵抗の劣化を加速させてしまうことになる。また、上記低抵抗領域の広がりは、水分の存在により加速される。
具体的には、例えば、一体焼成時に、AgPd電極等からなる内部電極形成領域からPZT等からなる圧電セラミック層へ拡散したAg+イオンが駆動時に負極層から放出される電子により金属化されることにより低抵抗領域を形成し、さらにこの低抵抗領域が正極層側へ向かって成長するという現象が起こる(Ag++e-→Ag金属)。
特に、スリット溝部を有する積層型圧電素子の場合、スリット溝部は水分が存在する外部に通ずる通路となりうるため、スリット溝部に最も隣接する負極層は特に低抵抗領域の広がり現象が顕著となる。
従って、スリット溝部に隣接する負極層と該負極層に隣接する正極層に挟まれる圧電セラミック層が最も早く絶縁抵抗が低下する。即ち、絶縁抵抗の低下は、上記スリット溝部を挟んで隣り合う2つの内部電極層のうち少なくとも一方が負極である場合に起こり易い。そして、該負極側の上記内部電極層と、これに近隣する正極側の上記内部電極層との間で絶縁抵抗の低下が起こり、ショート等の不具合が発生し易くなると考えられる。
本願発明者らは、上記のごとく、スリット溝部を有する積層型圧電素子における絶縁抵抗の低下機構を解明し、本願発明に至った。
即ち、上記第1の発明の積層型圧電素子においては、上記スリットセラミック層は、スリットセラミック層は、該スリットセラミック層を除くその他の上記圧電セラミック層の厚みの2倍を超える厚みで形成されている。即ち、上記スリットセラミック層を挟む一対の内部電極層間の距離は、その他の上記圧電セラミック層を挟む一対の内部電極層間の距離の2倍よりも大きくなっている。
そのため、上記積層型圧電素子においては、上記スリット溝部から、上記スリットセラミック層を挟んで該スリットセラミック層に隣接する一対の上記内部電極層(以下、適宜「第1隣接電極層」という)までの距離を大きくすることができる。それ故、上記スリット溝部から水分が進入したときに導電性金属のイオン化が比較的進行しやすい上記第1隣接電極層の上記内部電極部(以下適宜「第1内部電極部」という)における上記導電性金属のイオン化を抑制することができる。また、たとえ上記導電性金属がイオン化したとしても、厚みが大きいため上記スリットセラミック層の絶縁抵抗は低下し難く、絶縁破壊の発生を抑制することができる。そのため、上記積層型圧電素子は、ショートが起こり難くなり、優れた耐久性を示すことができる。
また、上記積層型圧電素子においては、上記スリットセラミック層を挟んで該スリットセラミック層に隣接する一対の上記内部電極層(第1隣接電極層)をそれぞれ異なる上記側面電極に電気的に接続させることができる。そのため、上記スリットセラミック層にも、その他の上記圧電セラミック層と同様に電界を印加させることができ、上記スリットセラミック層も変位させることができる。それ故、変位性能の低下を抑制することができる。
このように、上記第1の発明によれば、変位性能の低下を抑制しつつ、絶縁破壊の発生を抑制できる積層型圧電素子を提供することができる。
第2の発明は、複数の圧電セラミック層と複数の内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の側面に形成された一対の側面電極とを有する積層型圧電素子において、
上記内部電極層は、導電性を有する内部電極部と、該内部電極部の外周端部が上記セラミック積層体の外周面よりも内方に所定の控え距離で控えた控え部とを有し、上記内部電極部においていずれか一方の上記側面電極に交互に電気的に接続しており、
上記セラミック積層体は、該セラミック積層体の側面から内方に凹むスリット状のスリット溝部を有し、
該スリット溝部は、上記セラミック積層体において積層された複数の上記圧電セラミック層のうち一部の上記圧電セラミック層に形成されており、
上記スリット溝部を含む上記圧電セラミック層をスリットセラミック層とし、該スリットセラミック層に上記内部電極層を介して隣接する一対の上記圧電セラミック層を隣接セラミック層とすると、上記隣接セラミック層は、該隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層よりも大きな厚みで形成されていることを特徴とする積層型圧電素子にある(請求項5)。
上記第2の発明の積層型圧電素子において、上記隣接セラミック層は、該隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層よりも大きな厚みで形成されている。即ち、上記隣接セラミック層を挟む一対の上記内部電極層間の距離は、該隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層を挟む一対の上記内部電極層間の距離よりも大きくなっている。
したがって、上記スリット溝部を積層方向に挟んで対向する一対の上記内部電極層のうち、上記スリット溝部の最も近くに形成された一対の内部電極層を第1隣接電極層、該第1隣接電極層の内部電極部を第1内部電極部とし、また、上記スリット溝部に2番目に近い位置に形成された一対の内部電極層を第2隣接電極層、該第2隣接電極層の内部電極部を第2内部電極部とすると、上記積層型圧電素子においては、上記スリット溝部から上記第2内部電極層までの距離を大きくすることができるため、上記スリット溝部から水分が進入したときに導電性金属のイオン化が比較的進行しやすい上記第2内部電極部における上記導電性金属のイオン化を抑制することができる。また、たとえ上記導電性金属がイオン化したとしても、厚みが大きいため上記隣接セラミック層の絶縁抵抗は低下し難く、絶縁破壊の発生を抑制することができる。そのため、上記積層型圧電素子は、ショートが起こり難くなり、優れた耐久性を示すことができる。
また、上記積層型圧電素子においては、上記第1の発明と同様に、上記スリットセラミック層を挟んで該スリットセラミック層に隣接する一対の上記内部電極層(第1隣接電極層)をそれぞれ異なる上記側面電極に電気的に接続させることができる。そのため、上記スリットセラミック層にも、その他の上記圧電セラミック層と同様に電界を印加させることができ、上記スリットセラミック層も変位させることができる。それ故、変位性能の低下を抑制することができる。
このように、上記第2の発明によれば、変位性能の低下を抑制しつつ、絶縁破壊の発生を抑制できる積層型圧電素子を提供することができる。
第3の発明は、複数の圧電セラミック層と複数の内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の側面に形成された一対の側面電極とを有する積層型圧電素子において、
上記内部電極層は、導電性を有する内部電極部と、該内部電極部の外周端部が上記セラミック積層体の外周面よりも内方に所定の控え距離で控えた控え部とを有し、上記内部電極部においていずれか一方の上記側面電極に交互に電気的に接続しており、
上記セラミック積層体は、該セラミック積層体の側面から内方に凹むスリット状のスリット溝部を有し、
該スリット溝部は、上記セラミック積層体において積層された複数の上記圧電セラミック層のうち一部の上記圧電セラミック層に形成されており、
上記スリット溝部を含む上記圧電セラミック層をスリットセラミック層とし、該スリットセラミック層を挟み、上記内部電極層を介して上記スリットセラミック層に隣接する上記圧電セラミック層を隣接セラミック層とすると、上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層は、該隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層よりも絶縁抵抗が高くなっていることを特徴とする積層型圧電素子にある(請求項11)。
上記第3の発明の積層型圧電素子においては、上記のごとく上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層は、該隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層よりも絶縁抵抗が高くなっている。
したがって、上記スリット溝部を積層方向に挟んで対向する一対の上記内部電極層のうち、上記スリット溝部の最も近くに形成された一対の内部電極層を第1隣接電極層、該第1隣接電極層の内部電極部を第1内部電極部とし、また、上記スリット溝部に2番目に近い位置に形成された一対の内部電極層を第2隣接電極層、該第2隣接電極層の内部電極部を第2内部電極部とすると、上記積層型圧電素子においては、たとえ上記スリット溝部から水分が進入して上記第1内部電極部及び/又は上記第2内部電極部における上記導電性金属がイオン化したとしても、上記のごとく絶縁抵抗が高くなっているため、上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層の絶縁抵抗は低下し難く、絶縁破壊の発生を抑制することができる。そのため、上記積層型圧電素子は、ショートが起こり難くなり、優れた耐久性を示すことができる。
また、上記積層型圧電素子においては、上記第1の発明と同様に、上記スリットセラミック層を挟んで該スリットセラミック層に隣接する一対の上記内部電極層(第1隣接電極層)をそれぞれ異なる上記側面電極に電気的に接続させることができる。そのため、上記スリットセラミック層にも、その他の上記圧電セラミック層と同様に電界を印加させることができ、上記スリットセラミック層も変位させることができる。それ故、変位性能の低下を抑制することができる。
このように、上記第3の発明によれば、変位性能の低下を抑制しつつ、絶縁破壊の発生を抑制できる積層型圧電素子を提供することができる。
次に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
上記圧電セラミック層は、例えばPZT等の圧電特性を有するセラミックス材料で形成することができる。
上記内部電極層は、導電性金属を主成分とする内部電極部と、該内部電極部の外周端部が上記セラミック積層体の外周側面よりも内方に所定の距離で控えた控え部とを有する。
上記導電性金属としては、例えば、銀、金、銀パラジウム合金、及び白金等を採用することができる。
また、上記セラミック積層体は、該セラミック積層体の外周側面から内方に凹んだスリット状のスリット溝部を有している。
以下、図面を用いて上記控え部及びスリット溝部について説明する。
図2に、積層型圧電素子の断面図(スリット溝部周囲の断面図)を示す。図2及び後述の積層型圧電素子の断面図(図12、図13、図15、図19、及び図20)においては、セラミック積層体と該セラミック積層体の側面を挟んで形成された一対の側面電極とを積層方向に切断する積層型圧電素子の断面図を示す。即ち、一対の側面電極が形成された側面で積層型圧電素子を積層方向に切断する断面図を示す。
図2に示すごとく、積層型圧電素子1において、セラミック積層体19は、圧電セラミック層2と内部電極層3、4とが交互に複数積層してなる。内部電極層3、4は、導電性を有する内部電極部31、41と、その外周端部315、415がセラミック積層体19の外周面195よりも内方に所定の控え距離aで控えた控え部32、42とを有している。
上記控え距離aは、積層方向と略垂直な方向における控え部32、42の距離であり、セラミック積層体19の断面において、内部電極部31、41の外周端部315、415からセラミック積層体19の側面195までの最短距離で示すことができる。
また、図2に示すごとく、セラミック積層体19は、該セラミック積層体19の側面195から内方に所定の深さで凹むスリット溝部15を有している。
スリット溝部15の深さは、図3に示すごとく、積層方向と略垂直な方向におけるスリット溝部15の距離bであり、セラミック積層体19の断面において、セラミック積層体19の側面195からスリット溝部15の先端155までの距離で示すことができる。
上記スリット溝部は、上記セラミック積層体の積層方向に所定の間隔又は間隔を変えて複数設けることができ、上記セラミック積層体の積層方向に累積する応力を緩和することができる。この間隔内にある積層数が少ないと、電圧を印加したときに発生する累積応力の絶対値が小さくなり、そもそもクラックが発生し難くなる。その結果、上記セラミック積層体にスリット溝部を形成する必要性自体がほとんどなくなってしまうおそれがある。さらに、スリット溝部を形成することによる圧電不活性部の増加が変位性能の低下を招くおそれがある。そのため、上記セラミック積層体は、10層以上の内部電極層を有することが好ましい。また、同様の理由から、上記スリット溝部を形成する積層方向の間隔は、内部電極層10層以上であることが好ましい。即ち、上記スリット溝部を含む上記スリットセラミック層は、少なくとも上記内部電極層10層以上の間隔をあけて複数形成されていることが好ましい(請求項3、請求項9、及び請求項14)。10層未満の間隔で形成されている場合、スリット溝部を形成することによる圧電不活性部の増加が変位性能の低下を招くおそれがある。また、上記スリット溝部を含む上記スリットセラミック層は、内部電極層50層以下の間隔で形成されていることが好ましい。50層を超える間隔で形成されている場合には、上記スリット溝部による応力緩和効果が十分に得られなくなるおそれがある。なお、上記スリットセラミック層を、上記のごとく少なくとも上記内部電極層10層以上の間隔をあけて複数形成することは、結局、上記スリット溝部を上記セラミック積層体の積層方向に少なくとも上記内部電極層10層以上の間隔をあけて形成することと同意である。
また、上記積層型圧電素子の積層方向の断面において、上記スリット溝部は、上記控え距離よりも大きな深さで形成されていることが好ましい(請求項4、請求項10、及び請求項15)。
この場合には、上記スリット溝部が、電圧印加時に上記セラミック積層体における変形し易い部分と変形し難い部分との境界部に生じる応力集中をより充分に緩和することができ、また、スリット溝部の先端に発生する応力も積層型圧電体に印加される圧縮方向の与圧荷重によって低減することができる。
しかし、上記スリット溝部を上記控え部の上記控え距離よりも大きな深さで形成すると、上述のごとく応力集中をより充分に緩和できる反面、上記スリット溝部に水分が進入した場合に、この水分が積層型圧電素子内に進入することにより、上記第1隣接電極層における上記第1内部電極部の上記外周端部周辺及び/又は上記第2隣接電極層の上記第2内部電極部の上記外周端部周辺等に拡散していた上記導電性金属がよりイオン化し易くなり、絶縁破壊が起こり易くなるという相反する効果が生じる。
このような積層型圧電素子において、上記第1の発明のように上記スリットセラミック層の厚みを大きくしたり、上記第2の発明のように上記隣接セラミック層の厚みを大きくしたり、上記第3の発明のように上記スリットセラミック層の絶縁抵抗及び/又は上記隣接セラミック層の絶縁抵抗を大きくしたりすることによって、上述の絶縁破壊の抑制効果がより顕著になる。
また、上記内部電極層には上記控え部が形成されている。そのため、上記セラミック積層体は、該セラミック積層体を積層方向に透視した場合に、すべての上記内部電極部が重合する領域である圧電活性領域と、少なくとも一部の上記内部電極部しか重合しない、あるいは全く重合しない領域である圧電不活性領域とを有する。
上記スリット溝部は、少なくとも一部の上記内部電極部しか重合しない領域に形成されていることが好ましい。この場合には、電圧印加時に上記セラミック積層体の内部に生じうる応力集中をより充分に緩和することができる。
また、上記スリットセラミック層は、圧電セラミック層の材料となるグリーンシートの間に消失材料を挟み込んで形成されるため、同じ厚みのシートを用いて積層体を製造する一般的な工法においては、その他の上記圧電セラミク層の2倍の厚みで形成されることになる。
上記第1の発明においては、上記スリットセラミック層は、該スリットセラミック層を除くその他の上記圧電セラミック層の厚みの2倍を超える厚みで形成されている。これにより、上記のごとく絶縁破壊の発生を抑制することができる。なお、上記積層型圧電素子においては、上記セラミック積層体の積層方向の両端に内部電極層を含まないダミー層等を形成することができるが、この場合には、上述のスリットセラミック層を除くその他の上記圧電セラミック層に、ダミー層は含まない。即ち、上述のスリットセラミック層を除くその他の上記圧電セラミック層は、一対の内部電極層に挟まれた圧電セラミック層である。
上記スリットセラミック層の厚みが上述のその他の上記圧電セラミック層の厚みの2倍以下の場合には、絶縁破壊の発生を充分に抑制することができなくなるおそれがある。より好ましくは、上記スリットセラミック層の厚みは上述のその他の上記圧電セラミック層の厚みの2.5倍以上がよい。
また、上記スリットセラミック層の厚みは、該スリットセラミック層を除くその他の上記圧電セラミック層の厚みの4倍以下であることが好ましい(請求項2)。
4倍を超える場合には、上記スリットセラミック層が変位し難くなり、上記積層型圧電素子全体の変位性能が低下するおそれがある。より好ましくは、上記スリットセラミック層の厚みは、上述のその他の上記圧電セラミック層の厚みの3.5倍以下がよい。
次に、第2の発明において、上記隣接セラミック層は、該隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層よりも大きな厚みで形成されている。上記隣接セラミック層の厚みがその他の上記圧電セラミック層の厚み以下の場合には、比較的上記絶縁破壊が起こり易くなるおそれがある。より好ましくは、上記隣接セラミック層の厚みは、上述のその他の上記圧電セラミック層の厚み1.2倍以上がよい。
なお、この場合にも、上述の隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層に、上記ダミー層は含まない。即ち、上述の隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層は、一対の内部電極層に挟まれた圧電セラミック層である。
上記隣接電極層の厚みは、該隣接電極層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層の厚みの2倍以下であることが好ましい(請求項6)。
上記隣接電極層の厚みが上述のその他の圧電セラミック層の厚みの2倍を超える場合には、上記隣接電極層が変位し難くなり、上記積層型圧電素子全体の変位性能が低下するおそれがある。より好ましくは、上記隣接電極層の厚みは上述のその他の圧電セラミック層の厚みの1.8倍以下がよい。
また、上記第2の発明においては、上記スリットセラミック層は、該スリットセラミック層及び上記隣接セラミック層を除くその他の上記圧電セラミック層の厚みの2倍を超える厚みで形成されていることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記隣接セラミック層だけでなく、上記スリットセラミック層における絶縁破壊の発生を抑制することができる。そのため、上記積層型圧電素子の耐久性をより向上させることができる。
また、上記スリットセラミック層の厚みは、該スリットセラミック層と上記隣接セラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層の厚みの4倍以下であることが好ましい(請求項8)。その臨界意義については、上記第1の発明と同様であり、より好ましくは、上記スリットセラミック層の厚みは、該スリットセラミック層と上記隣接セラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層の厚みの2.5倍以上、3.5倍以下がよい。
次に、上記第3の発明において、上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層は、該隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層よりも絶縁抵抗が高くなっている。なお、この場合においても、上述の隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層に、上記ダミー層は含まない。即ち、上述の隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層は、一対の内部電極層に挟まれた圧電セラミック層である。
好ましくは、上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層と、該隣接セラミック層及び/又は上記スリットセラミック層を除くその他の上記圧電セラミック層は組成の異なる圧電セラミック材料からなり、上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層は、該隣接セラミック層及び/又は上記スリットセラミック層を除くその他の上記圧電セラミック層よりも絶縁抵抗が高い圧電セラミック材料からなることがよい(請求項12)。
また、好ましくは、上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層は、該隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層よりも高密度の圧電セラミック材料からなることがよい(請求項13)。
これらの場合には、その他の上記圧電セラミック層よりも絶縁抵抗の大きな上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層を簡単に形成することできる。
上記圧電セラミック層の絶縁抵抗は、例えば次のようにして測定することができる。
まず両側面にある側面電極を研磨等の方法にて削除し、それぞれの内部電極層を孤立させる。次に、抵抗を測る層の両側にあたる内部電極層の露出部に、200Vの電源に通じた針状のピンをあて、これと直列に配した抵抗の電流を読むことにより、該当する層の抵抗値を計測することが出来る。この場合、電流値はコンデンサの充電カーブに従って変化するので、例えば2分後の電流値から抵抗値を決める。また温度の影響を受けることから、例えば20℃±2℃などの定温環境で測定した方がよい。
また、上記圧電セラミック層の密度は例えば次のようにして測定することができる。
即ち、該当する部位を切削にて切り出し、重量と寸法を電子天秤、工具顕微鏡等を用い計測し、算出するか、あるいは水銀比重法にて計測する。
上記圧電セラミック層は、一般にPZT材料等からなるグリーンシートを焼結させて形成することができる。
上記のごとく絶縁抵抗が高い上記圧電セラミック材料からなる上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層は、例えば、該隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層をPZT材料で形成し、上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層を、PZT材料の母材にFe、Cr、Ni、Mn等のようにPZT材料をハード化させる材料を添加した圧電材料で形成することにより実現できる。PZT材料をハード化させる材料は、例えばFe、Cr、Ni、Mn等の酸化物から選ばれる少なくとも一種をPZT材料100重量部に対して0.001〜30重量部添加することができる。添加量が0.001重量部未満の場合には、絶縁抵抗を充分に高めることができなくなるおそれがある。一方、30重量部を越える場合には、変位性能に悪影響を及ぼすおそれがある。添加量は、より好ましくは20重量部以下がよく、さらに好ましくは10重量部以下がよい。
また、高密度の圧電セラミック材料からなる上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層は、例えば該隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層の形成に用いるPZT材料よりも粒径が小さく、より低温で焼結させたPZT材料を用いることにより実現できる。具体的には、上記のその他の上記圧電セラミック層の形成に用いるPZT材料よりも、粉砕粒度を0.2〜0.8倍にし、焼成温度を50℃〜200℃低下させても同一の比重で作製できるようなPZT材料を用いることができる。
粉砕粒度が0.2未満の場合又は焼成温度の下げ幅が200℃を越えるようなPZT材料を用いた場合には、焼成時にはふたつの材料を一体で且つ同一温度で焼成するため、密度が高くなりすぎて、上記隣接セラミック層にクラックが発生し易くなるおそれがある。一方、粉砕粒度が0.8倍を超える場合又は焼成温度の下げ幅が50℃未満の材料を用いた場合には、充分に密度を上げることができなくなるおそれがある。
また、高密度の圧電セラミック材料からなる上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層を形成するその他の方法としては、PZT材料の作製時に、原料にNb25、Mn23、Mn25等の添加剤を加えて作製したPZT材料を用いて上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層を形成する方法がある。添加剤は1種以上を用いることができる。
Nb25を用いる場合には、PZT組成から0.01〜5wt%だけ過剰量のNb25を用いることができる。
Mn23及び/又はMn25を用いる場合には、PZT組成から0.01〜1wt%だけ過剰量のMn23及び/又はMn25を用いることができる。
(実施例1)
次に、本発明の積層型圧電素子の実施例につき、図1〜図7を用いて説明する。
図1及び図2に示すごとく、本例の積層型圧電素子1は、複数の圧電セラミック層2と複数の内部電極層3、4とを交互に積層してなるセラミック積層体19と、その外周側面195に形成された一対の側面電極11、12とを有する。
内部電極層3、4は、導電性を有する内部電極部31、41と、その外周端部315、415がセラミック積層体19の外周面195よりも内方に所定の控え距離で控えた控え部32、42とを有し、内部電極部31、41においていずれか一方の側面電極11、12に交互に電気的に接続している。
セラミック積層体19は、その側面195から内方に凹むスリット状のスリット溝部15を有している。スリット溝部15は、セラミック積層体19において積層された複数の圧電セラミック層のうち一部の上記圧電セラミック層に形成されている。スリット溝部15は、セラミック積層体19の積層方向に所定の間隔で複数形成されている。
本例においては、スリット溝部15を含む圧電セラミック層をスリットセラミック層25とすると、スリットセラミック層25は、このスリットセラミック層25を除くその他の圧電セラミック層2の厚みdの2倍を超える厚みc(c>2×d)で形成されている。
以下、本例の積層型圧電素子1についてさらに詳細に説明する。
図1に示すごとく、本例の積層型圧電素子1において、圧電セラミック層2はジルコン酸チタン酸鉛(PZT)からなり、内部電極部31、41は銀・パラジウム合金(Ag/Pd合金)よりなる。また、側面電極11、12は銀からなる。
本例において、図1及び図2に示すごとく、内部電極層3、4は、セラミック積層体19における一対の側面電極11、12が形成された2側面のうち一方の側面側に控え部32、42を有している。即ち、内部電極部31、41の外周端部315、415は、一対の側面電極11、12のうちの一方が形成された側面には露出しておらず、セラミック積層体19の外周側面195よりも内方に所定の距離aで控えた控え部32、42が形成されている。本例においては、セラミック積層体19の外周側面195からの控え距離aを0.4mmに設定してある。
また、上述のごとく、内部電極層3、4に控え部32、42が形成されているため、図2に示すごとく、すべての内部電極部31、41が重合する領域である圧電活性領域13と、少なくとも一部の内部電極部31、41しか重合しない、あるいは全く重合しない領域である圧電不活性領域14とを有する。セラミック積層体19を積層方向に透視した場合には、図3に示すごとく、セラミック積層体19の外周側面195より内方に圧電活性領域13が形成され、セラミック積層体19の外周側面195側であって、側面電極が形成される側面の近傍に圧電不活性領域14が形成される。同図においては、圧電活性領域13、即ちすべての内部電極部が重合する領域を細かいドットハッチングで示し、圧電活性領域14、即ち少なくとも一部の内部電極部しか重合しない、あるいは全く重合しない領域を粗いドットハッチングで示してある。そして、内部電極部の外周端部315、415の位置を点線で示してある。
また、図4に、セラミック積層体を積層方向に透視して任意の内部電極層3(4)を見た図を示してある。同図においては、内部電極部31(41)が形成された領域を斜線のハッチングで示し、その外周端部315(415)を実線で示してある。また、同図には、セラミック積層体を積層方向に透視したときに、スリット溝部の先端位置155が内部電極層3(4)上に重なる位置を点線で示してある。
図2及び図4に示すごとく、本例において、セラミック積層体19の外周側面195から所定の深さbで内方に凹んだスリット溝部15は少なくとも圧電不活性領域14に形成され、スリット溝部の先端(内方側端部)155は、圧電活性領域13に達している。本例において、スリット溝部15の深さ、即ちセラミック積層体の側面195からスリット溝部15の先端155までの距離bは0.6mmに設定してある。
本例の積層型圧電素子1においては、上記のごとく、控え距離aが0.4mmに設定され、スリット溝部15の深さbが0.6mmに設定されているため、図2及び図4に示すごとく、セラミック積層体19を積層方向に透視した場合には、内部電極部とスリット溝部とがそれぞれ外周端部315、415側及び先端155側で、約0.2mmの幅で重合する重合領域18を有している(図4参照)。
また、本例において、スリット溝部15を含むスリットセラミック層25は、セラミック積層体19の積層方向に所定の間隔で形成されており、内部電極層10層以上50層以下の間隔をあけて積層方向に複数形成されている。
また、本例において、図2に示すごとく、スリットセラミック層25の厚みcは、このスリットセラミック層25を除くその他の圧電セラミック層2の厚みdの2.5倍になっている。
また、図1に示すごとく、セラミック積層体19においては、圧電セラミック層2と内部電極層3、4とが交互に積層されているが、セラミック積層体19の両端には、内部電極層を含まないダミー層29が形成されている。このダミー層29は、圧電セラミック層2と同様のPZTからなる。
以下、本例の積層型圧電素子1の製造方法につき、説明する。
本例においては、グリーンシート作製工程、電極印刷工程、消失材料印刷工程、圧着・切断工程、及び焼成工程を行うことにより、積層型圧電素子を作製する。
以下、製造方法を各工程ごとに説明する。
<グリーンシート作製工程>
まず、圧電材料となるジルコン酸チタン酸鉛(PZT)等のセラミック原料粉末を準備した。具体的には、出発原料としてPb34、SrCO3、ZrO2、TiO2、Y23、及びNb25を準備し、これらの出発原料を目的組成PbZrO3−PbTiO3−Pb(Y1/2Nb1/2)O3となるような化学量論比で秤量し、湿式混合し、温度850℃で5時間仮焼した。次に、仮焼粉をパールミルにより湿式粉砕した。この仮焼粉粉砕物(粒径(D50値):0.7±0.05μm)を乾燥した後、溶剤、バインダ、可塑剤、分散剤等を加えてボールミルにより混合し、得られたスラリーを真空装置内で撹拌機により撹拌しながら真空脱泡、粘度調整をした。
そして、ドクターブレード法により、上記スラリーをキャリアフィルム上に塗布し、厚さ80μm、及び厚さ100μmという厚みの異なる2種類の長尺のグリーンシートを成形した。このグリーンシートを所定の大きさに切断して、厚み80μmの幅広のグリーンシート20、及び厚み100μmの幅広のグリーンシート21(図5及び図6参照)を作製した。
なお、グリーンシート20、21の成形方法としては、本例で用いたドクターブレード法のほか、押出成形法やその他種々の方法を採用することができる。
<電極印刷工程>
次に、図5(a)〜(c)に示すごとく、グリーンシート20、21上に内部電極層となる電極材料310、410を印刷し、第1電極印刷シート201(203)、及び第2電極印刷シート202を形成した。なお、本例においては、便宜上、後述の圧着・切断工程において電極印刷シートを積層し、積層体(未焼成積層体)の対向する一対の側面に電極材料を交互に露出させたときに、同じ一方の側面に露出させる電極材料310が形成された電極印刷シートを第1電極印刷シート201(203)といい、同じもう一方の側面に露出させる電極材料410が形成された電極印刷シートを第2電極印刷シート202という。
以下に、電極印刷シートの形成についてさらに説明する。
第1電極印刷シート201の形成に当たっては、厚さ80μmのグリーンシート20上における最終的に内部電極部となる部分に電極材料310を印刷した(図5(a)参照)。
また、第2電極印刷シート202の形成に当たっては、第1電極印刷シート201と同様に、厚さ80μmのグリーンシート20上における内部電極部となる部分に電極材料410を印刷した(図5(b)参照)。
また、本例においては、積層時に後述の消失材料印刷シート上に配置され、この消失材料印刷シートと共に焼成後にスリットセラミック層を構成する第1電極印刷シート203を作製した(図5(c)参照)。この第1電極印刷シート203は、その他の第1電極印刷シート201とグリーンシートの厚みが異なる点を除いては同様のものである。
図5(c)に示すごとく、第1電極印刷シート203の形成に当たっては、厚さ100μmのグリーンシート21上における内部電極部となる領域にそれぞれ電極材料310を印刷した。
本例においては、電極材料は、図5(a)〜(c)に示すごとく、グリーンシート20、21の一方の面上に所定のパターンで印刷した。
グリーンシート20、21は、後述の積層後に外周が切断されるため、各第1電極印刷シート201(203)及び第2電極印刷シート202における電極材料310、410は、切断部209よりも内側に印刷すると共に、外周端部317、417を切断部209の一部から所定の距離(0.4mm)で内方に控えて印刷を行い、控え部32、42を形成した。このようにして、第1電極印刷シート201(203)と第2電極印刷シート202をそれぞれ必要枚数作製した(図5(a)〜(c)及び図7参照)。
なお、本例では、電極材料として、ペースト状のAg/Pd合金を用いた。また、上記以外にも、Ag、Pd、Cu、Ni等の単体、Cu/Ni等の合金を用いることができる。
<消失材料印刷工程>
次に、製造しようとする積層型圧電素子1のセラミック積層体19の外周側面195から所定の深さ(0.6mm)で内方に凹んだスリット部15を設けるため(図1参照)、消失材料印刷シートを形成する消失材料印刷工程を行った。
図6に示すごとく、厚さ100μmのグリーンシート21上において、最終的にスリット溝部となる部分に焼成によって消失する消失材料150を印刷した。これにより、消失材料印刷シート207を必要枚数作製した。
なお、本例では、消失材料150として、熱変形が小さく、焼成工程によって形成される溝の形状精度を高く維持し得るカーボン粒子よりなる材料を用いた。また、カーボン粒子以外にも、炭化させたパウダー状の炭化有機物粒子を用いることもできる。この炭化有機物粒子は、パウダー状の有機物粒子を炭化して得ることができるほか、炭化させた有機物を粉砕して得ることもできる。さらに、上記有機物としては、樹脂等の高分子材料や、コーン、大豆、小麦粉等の穀物を用いることができる。この場合には、製造コストを抑制することができる。
<圧着・切断工程>
次に、図7に示すごとく、第1電極印刷シート201と第2電極印刷シート202とを交互に積層すると共に、所定の間隔で消失材料印刷シート207を配設した。また、消失材料印刷シート207の上(消失材料印刷面側)には、厚みの大きな第1電極印刷シート203を配設した。
このとき、第1電極印刷シート201(203)と第2電極印刷シート202とは、図7に示すごとく、積層後の積層体を後述のごとく切断部で切断したときに電極材料310と電極材料410とが交互に異なる側面に露出するように積層した。また、各印刷シートを積層した積層体の積層方向の両端には電極材料等の印刷を行っていないグリーンシート20を必要枚数配設した。このようにして積層したシートを温度100℃で加熱すると共に、積層方向に50MPaで加圧し、未焼成積層体190を作製した。
次に、未焼成積層体を切断部209に沿って積層方向に切断した。これにより、電極材料310、410及び消失材料150を積層体の側面に露出させた。
<焼成工程>
次に、切断後の未焼成積層体190を加熱し、脱脂を行った。加熱は、80時間かけて徐々に500℃まで昇温し、5時間保持することにより行った。
次に、脱脂後の未焼成積層体190を焼成した。焼成は、温度1050℃まで12時間かけて徐々に昇温させ、2時間保持後、徐々に冷却することにより行った。この焼成により、消失材料150が消失してスリット溝部15が形成されると共に、グリーンシート20が焼結して圧電セラミック層2、及びダミー部29が形成され、さらに、電極材料310、410を形成した位置には内部電極部31、41が形成される。このようにして、セラミック積層体19を得た(図1及び図2参照)。
そして、焼成後、所望の形状に研削した。この研削の際に角部に面取りを施した。さらに全面研磨を行ってセラミック積層体19を作製した。さらに、セラミック積層体19の両側面を挟むように、側面電極11、12を焼き付けた。このとき、内部電極部31、41をそれぞれ交互に異なる側面の側面電極11、12に電気的に接続させた。
以上のようにして、図1及び図2に示すごとく積層型圧電素子1を作製した。
図1及び図2に示すごとく、本例の積層型圧電素子1は、スリット溝部15を含むスリットセラミック層25を有する。スリットセラミック層25は、これを除くその他の圧電セラミック層2の厚みdに比べて2倍を超える厚みcで形成されている。
そのため、積層型圧電素子1においては、スリット溝部15から、スリットセラミック層25を挟んでこれに隣接する一対の内部電極層(第1隣接電極層)35、45までの距離を大きくすることができる。それ故、スリット溝部15から水分が進入したときに導電性金属のイオン化が比較的進行しやすい第1隣接電極層35、45の内部電極部(第1内部電極部)311、411における導電性金属のイオン化を抑制することができる。
また、たとえ導電性金属がイオン化したとしても、厚みが大きいためスリットセラミック層25の絶縁抵抗は低下し難く、絶縁破壊の発生を抑制することができる。そのため、積層型圧電素子1は、ショートが起こり難くなり、優れた耐久性を示すことができる。
また、積層型圧電素子1においては、スリットセラミック層25を挟んでこのスリットセラミック層25に隣接する一対の内部電極層(第1隣接電極層)35、45をそれぞれ異なる側面電極11、12に電気的に接続させることができる。そのため、スリットセラミック層25にも、その他の圧電セラミック層2と同様に電界を印加させることができ、スリットセラミック層25も変位させることができる。それ故、変位性能の低下を抑制することができる。
また、上述の例においては、電極材料310、410及び消失材料150を図5及び図6に示すパターンでグリーンシート20、21上に印刷し、図1、図2、図4に示すごとく、内部電極層3、4の控え部32、42及びスリット溝部15をセラミック積層体19における対向する一対の側面のみに形成したが、控え部32、42及びスリット溝部15の形成パターンはこれに限定されるものではない。
例えば、側面電極と接続する側面を除くその他すべての側面に控え部32、42を形成し、セラミック積層体19の外周側面全体にスリット溝部15を設けることもできる(図8(a)及び図8(b)参照、これらの図においては、スリット部15の位置をその先端155の位置で表してある)。図8(a)及び図8(b)は、セラミック積層体を積層方向に透視して異なる側面電極に接続する複数の内部電極層3、4のうち、それぞれ任意の内部電極層3及び内部電極層4を見た図を示してある。同図においては、上述の図4と同様に、内部電極部31、41が形成された領域を斜線のハッチングで示し、その外周端部315、415を実線で示してある。また、同図には、セラミック積層体を積層方向に透視したときに、スリット溝部の先端位置155が内部電極層3、4上に重なる位置を点線で示してある。同図に示すごとく、この例においては、互いに異なる側面電極に接続する内部電極層3と内部電極層4とは、それぞれ異なるパターンで形成された内部電極部31、41を有しており、控え部32、42は、側面電極(図示略)と接続する側面を除く全ての側面に形成されている。また、スリット溝部の先端155の位置からわかるように、スリット溝部はセラミック積層体の側面全周に形成されている。
このようなパターンの内部電極部31、41、控え部32、42、スリット溝部15を有する積層型圧電素子は、例えば、図9(a)〜(d)に示すパターンでグリーンシート20、21上に電極材料310、410を印刷してなる第1電極印刷シート201(203)及び第2電極印刷シート202(204)と、図10に示すパターンでグリーンシート21上に消失材料150を印刷してなる消失材料印刷シート207とを用いて、上述の例と同様にして作製できる。なお、先に説明した例においては、厚みの大きなグリーンシート21を有する第2電極印刷シート204は使用していないが、この第2電極印刷シート204は、圧電ラミック層の積層数及びスリットセラミック層を形成する間隔に応じて、各電極シート及び消失材料印刷シートの積層時に、適宜消失材料印刷シート207上に配置して使用することができる。
(実施例2)
本例は、隣接セラミック層の厚みを大きくした積層型圧電素子の例である。
即ち、図11及び図12に示すごとく、本例の積層型圧電素子5は、実施例1と同様に、複数の圧電セラミック層2と複数の内部電極層3、4とを交互に積層してなるセラミック積層体59と、その外周側面595に形成された一対の側面電極11、12とを有する。
。また、実施例1と同様に、内部電極層3、4は、導電性を有する内部電極部31、41と、その外周端部315、415がセラミック積層体59の外周面595よりも内方に所定の控え距離で控えた控え部32、42とを有し、内部電極部31、41においていずれか一方の側面電極11、12に交互に電気的に接続している。さらに実施例1と同様に、セラミック積層体59は、その側面595から内方に凹むスリット状のスリット溝部15を有している。スリット溝部15は、セラミック積層体59において積層された複数の圧電セラミック層2のうち一部の圧電セラミック層2に形成されている。スリット溝部15は、セラミック積層体59の積層方向に所定の間隔で複数形成されている。
本例の積層型圧電素子5において、スリット溝部15を含む圧電セラミック層をスリットセラミック層25とし、スリットセラミック層25に内部電極層3、4(第1隣接電極層35、45)を介して隣接する一対の圧電セラミック層を隣接セラミック層26とすると、隣接セラミック層26は、この隣接セラミック層26とスリットセラミック層25とを除くその他の圧電セラミック層2よりも大きな厚みで形成されている。本例においては、隣接セラミック層26とスリットセラミック層25とを除くその他の圧電セラミック層2を厚みd(d=80μm)で形成し、スリットセラミック層25をその2倍の厚みc(c=160μm)で形成し、隣接セラミック層26を厚みe(e=120μm)で形成した。その他の構成は、実施例1と同様である。
本例の積層型圧電素子5は、隣接セラミック層26用に、厚みの大きなグリーンシート(厚み120μm)を用い、その他の圧電セラミック層用に、厚みの小さなグリーンシート(厚み80μm)用いて、その他は実施例1と同様の工程にしたがって作製することができる。
本例の積層型圧電素子5においては、図11及び図12に示すごとく、隣接セラミック層26は、この隣接セラミック層26とスリットセラミック層25とを除くその他の圧電セラミック層2の厚みdよりも大きな厚みeで形成されている。即ち、隣接セラミック層26を挟む一対の内部電極層3(第1隣接電極層35)と内部電極層4(第2隣接電極層46)との間の積層方向の距離eは、隣接セラミック層26とスリットセラミック層25とを除くその他の圧電セラミック層2を挟む一対の内部電極層3と内部電極層4との間の距離dよりも大きくなっている。
したがって、スリット溝部15を積層方向に挟んで対向する一対の内部電極層3、4のうち、積層方向においてスリット溝部15の最も近くに形成された一対の内部電極層を第1隣接電極層35、45、この第1隣接電極層35、45の内部電極部を第1内部電極部311、411とし、また、スリット溝部15に2番目に近い位置に形成された一対の内部電極層を第2隣接電極層36、46、この第2隣接電極層36、46の内部電極部を第2内部電極部312、412とすると、積層型圧電素子5においては、積層方向におけるスリット溝部15から第2内部電極層36、46までの距離を大きくすることができるため、スリット溝部15から水分が進入したときに導電性金属のイオン化が比較的進行しやすい第2内部電極部312、412における導電性金属のイオン化を抑制することができる。また、たとえ導電性金属がイオン化したとしても、厚みが大きいため隣接セラミック層26の絶縁抵抗は低下し難く、絶縁破壊の発生を抑制することができる。そのため、積層型圧電素子5は、ショートが起こり難くなり、優れた耐久性を示すことができる。
また、実施例1と同様に、本例の積層型圧電素子5においては、スリットセラミック層25を挟んでこのスリットセラミック層25に隣接する一対の内部電極層3、4(第1隣接電極層35、45)をそれぞれ異なる側面電極11、12に電気的に接続させることができる。そのため、スリットセラミック層25にも、その他の圧電セラミック層2と同様に電界を印加させることができ、スリットセラミック層25も変位させることができる。それ故、変位性能の低下を抑制することができる。
また、上述の例においては、隣接セラミック層26の厚みだけを大きくしたが、図13に示すごとく、隣接セラミック層26の厚みとスリットセラミック層25の厚みとの両方を大きくすることもできる。
即ち、図13に示すごとく、積層型圧電素子5において、隣接セラミック層26の厚みeをこの隣接セラミック層26とスリットセラミック層25とを除くその他の圧電セラミック層2の厚みdよりも大きする(e>d)と共に、スリットセラミック層25の厚みcをこのスリットセラミック層25と隣接セラミック層26とを除くその他の圧電セラミック層2の厚みの2倍よりも大きくした(c>2×d)。
具体的には、例えばスリットセラミック層25と隣接セラミック層26とを除くその他の圧電セラミック層2を厚みd=80μmで形成し、隣接セラミック層を厚みe=100μmで形成し、スリットセラミック層を厚みc=200μmで形成することができる。その他の構成は本例における先述の例と同様である。
この場合には、積層方向におけるスリット溝部15から第2内部電極層36、46までの積層方向における距離だけでなく、スリット溝部15から第1内部電極層35、45までの距離も大きくすることができるため、スリット溝部15から水分が進入したときに導電性金属のイオン化が比較的進行しやすい第1内部電極部311、411及び第2内部電極部312、412における導電性金属のイオン化を抑制することができる。また、たとえ導電性金属がイオン化したとしても、厚みが大きいためスリットセラミック層25及び隣接セラミック層26の絶縁抵抗は低下し難く、絶縁破壊の発生を抑制することができる。そのため、積層型圧電素子5は、ショートが起こり難くなり、優れた耐久性を示すことができる。
(実施例3)
本例は、スリットセラミック層をその他の圧電セラミック層とは異なる圧電材料で形成した積層型圧電素子の例である。
図14及び図15に示すごとく、本例の積層型圧電素子6は、実施例1と同様に、複数の圧電セラミック層2と複数の内部電極層3、4とを交互に積層してなるセラミック積層体69と、その外周側面695に形成された一対の側面電極11、12とを有する。
内部電極層3、4は、導電性を有する内部電極部31、41と、その外周端部315、415がセラミック積層体69の外周面695よりも内方に所定の控え距離で控えた控え部32、42とを有し、内部電極部31、41においていずれか一方の側面電極11、12に交互に電気的に接続している。
セラミック積層体69は、その側面695から内方に凹むスリット状のスリット溝部15を有している。スリット溝部15は、セラミック積層体69において積層された複数の圧電セラミック層のうち一部の上記圧電セラミック層に形成されている。スリット溝部15は、セラミック積層体69の積層方向に所定の間隔で複数形成されている。
本例においては、スリット溝部15を含む圧電セラミック層をスリットセラミック層25とし、このスリットセラミック層25を挟み、内部電極層3、4を介してスリットセラミック層25に隣接する圧電セラミック層を隣接セラミック層26とすると、スリットセラミック層25及び/又は上記隣接セラミック層26は、これら隣接セラミック層26とスリットセラミック層25とを除くその他の圧電セラミック層2よりも絶縁抵抗が高くなっている。
以下、本例の積層型圧電素子6についてさらに詳細に説明する。
図14及び図15に示すごとく、本例の積層型圧電素子6において、スリットセラミック層25を除く圧電セラミック層2、内部電極部31、41、側面電極11、12は、実施例1と同様の材料からなる。
本例において、内部電極層3、4は、セラミック積層体69における一対の側面電極11、12が形成された2側面のうち一方の側面側に控え部32、42を有している。即ち、内部電極部31、41の外周端部315、415は、一対の側面電極11、12のうちの一方が形成された側面には露出しておらず、セラミック積層体69の外周側面695よりも内方に所定の距離aで控えた控え部32、42が形成されている。本例においては、実施例1と同様に、セラミック積層体69の外周側面695からの控え距離aを0.4mmに設定してある。
また、実施例1と同様に、内部電極層3、4に控え部32、42が形成されているため、図15に示すごとく、すべての内部電極部31、41が重合する領域である圧電活性領域13と、少なくとも一部の内部電極部31、41しか重合しない、あるいは全く重合しない領域である圧電不活性領域14とを有する。セラミック積層体69を積層方向に透視した場合には、実施例1における図3で示したように、セラミック積層体の外周側面より内方に圧電活性領域13が形成され、セラミック積層体の外周側面側であって、側面電極が形成される側面の近傍に圧電不活性領域14が形成される。
また、セラミック積層体69を積層方向に透視して任意の内部電極層3(4)を見た場合には、実施例1における図4と同様になる。図15に示すごとく、セラミック積層体69の外周側面695から所定の深さbで内方に凹んだスリット溝部15は少なくとも圧電不活性領域14に形成され、スリット溝部15の先端(内方側端部)155は、圧電活性領域13に達している。本例において、スリット溝部15の深さ、即ちセラミック積層体69の側面695からスリット溝部15の先端155までの距離bは、実施例1と同様に0.6mmに設定してある。
本例の積層型圧電素子1においては、上記のごとく、控え距離aが0.4mmに設定され、スリット溝部15の深さbが0.6mmに設定されているため、実施例1と同様に、セラミック積層体を積層方向に透視した場合には、内部電極部とスリット溝部とがそれぞれ外周端部及び先端側で、約0.2mmの幅で重合する重合領域18を有する。
また、本例において、スリット溝部15を含むスリットセラミック層25は、セラミック積層体69の積層方向に所定の間隔で形成されており、内部電極層10層以上50層以下の間隔をあけて積層方向に複数形成されている。
本例において、スリットセラミック層25を除く他の圧電セラミック層2は、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)からなる。これに対し、スリットセラミック層25は、PZTに
Mn(ハード化剤)を添加した圧電材料からなる。これにより、スリットセラミック層25は、その他の圧電セラミック層25よりも絶縁抵抗が高くなっている。
以下、本例の積層型圧電素子1の製造方法につき、説明する。
本例においては、実施例1と同様に、グリーンシート作製工程、電極印刷工程、消失材料印刷工程、圧着・切断工程、及び焼成工程を行うことにより、積層型圧電素子を作製する。
<グリーンシート作製工程>
実施例1と同様にして、厚み80μmの幅広のグリーンシート20(図16(a)及び(b)参照)を作製した。
また、本例のグリーンシート作製工程においては、ハード化剤を用いることにより、より絶縁抵抗の高いグリーンシート22を作製した。
具体的には、まず、Pb34、SrCO3、ZrO2、TiO2、Y23、Nb25、及びMn25を準備した。これらの出発原料をPZTの目的組成PbZrO3−PbTiO3−Pb(Y1/2Nb1/2)O3となるように秤量すると共に、目的組成100重量部に対してMn25(ハード化剤)が0.05重量部となる化学量論比で秤量し、湿式混合し、温度850℃で5時間仮焼した。次に、仮焼粉をパールミルにより湿式粉砕し、その後の操作を、実施例1の上記グリーンシート作製工程と同様に行って、グリーンシート20よりも絶縁抵抗の高いグリーンシート22(厚み80μm)を作製した。
<電極印刷工程>
次に、図16(a)〜(c)に示すごとく、グリーンシート20、22上に内部電極層となる電極材料310、410を印刷し、第1電極印刷シート201(205)、及び第2電極印刷シート202を形成した。なお、実施例1と同様に、便宜上、後述の圧着・切断工程において電極印刷シートを積層し、積層体の対向する一対の側面に電極材料を交互に露出させたときに、一方の同じ側面に露出させる電極材料310が形成された電極印刷シートを第1電極印刷シート201(205)といい、他方の同じ側面に露出させる電極材料410が形成された電極印刷シートを第2電極印刷シート202という。
以下に、電極印刷シートの形成についてさらに説明する。
第1電極印刷シート201の形成に当たっては、厚さ80μmのグリーンシート20上における最終的に内部電極部となる部分に電極材料310を印刷した(図16(a)参照)。
また、第2電極印刷シート202の形成に当たっては、第1電極印刷シート201と同様に、厚さ80μmのグリーンシート20上における内部電極部となる部分に電極材料410を印刷した(図16(b)参照)。
また、本例においては、積層時に後述の消失材料印刷シート上に配置され、この消失材料印刷シートと共に焼成後にスリットセラミック層を構成する第1電極印刷シート205を作製した(図16(c)参照)。この第1電極印刷シート205は、Mn25(ハード化剤)が配合されたグリーンシート22を有する点を除いては第1電極印刷シート201と同様のものである。
図16(c)に示すごとく、第1電極印刷シート205の形成に当たっては、Mn25が配合されたグリーンシート22上における内部電極部となる領域にそれぞれ電極材料310を印刷した。
本例においては、電極材料は、実施例1と同様のパターンで印刷した。
グリーンシート20、22は、後述の積層後に外周が切断されるため、各第1電極印刷シート201(205)及び第2電極印刷シート202における電極材料310、410は、切断部209よりも内側に印刷すると共に、外周端部317、417を切断部209の一部から所定の距離(0.4mm)で内方に控えて印刷して控え部32、42を形成した(図16(a)〜(c)及び図18参照)。このようにして、第1電極印刷シート201(205)と第2電極印刷シート202をそれぞれ必要枚数作製した。
なお、本例では、電極材料として、ペースト状のAg/Pd合金を用いた。
<消失材料印刷工程>
次に、製造しようとする積層型圧電素子1のセラミック積層体19の外周側面195から所定の深さ(0.6mm)で内方に凹んだスリット部15を設けるため(図14及び図15参照)、消失材料印刷シートを形成する消失材料印刷工程を行った。
図17に示すごとく、グリーンシート22(厚さ80μm)上において、最終的にスリット溝部となる部分に焼成によって消失する消失材料150を印刷した。これにより、消失材料印刷シート208を必要枚数作製した。本例においては、グリーンシートとして、ハード化剤が添加されたグリーンシート22を用いた点を除いては、実施例1と同様にして消失材料印刷シート208を作製した。
<圧着・切断工程>
次に、図18に示すごとく、第1電極印刷シート201と第2電極印刷シート202とを交互に積層すると共に、所定の間隔で消失材料印刷シート208を配設した。また、消失材料印刷シート208の上(消失材料印刷面側)には、ハード化剤が添加されたグリーンシート22を有する第1電極印刷シート205を配設した。
このとき、第1電極印刷シート201(205)と第2電極印刷シート202とは、図18に示すごとく、積層後の積層体を後述のごとく切断部209で切断したときに電極材料310と電極材料410とが交互に異なる側面に露出するように積層した。また、各印刷シートを積層した積層体の積層方向の両端には電極材料等の印刷を行っていないグリーンシート20を必要枚数配設した。このようにして積層したシートを温度100℃で加熱すると共に、積層方向に50MPaで加圧し、未焼成積層体190を作製した。
次に、未焼成積層体を切断部209に沿って積層方向に切断した。これにより、電極材料310、410及び消失材料150を積層体の側面に露出させた。
<焼成工程>
次に、実施例1と同様に、脱脂及び焼成を行った。焼成後、実施例1と同様に、所望の形状に研削し、セラミック積層体69を作製した(図14及び図15参照)。さらに、実施例1と同様に、セラミック積層体69の両側面を挟むように、側面電極11、12を焼き付けた。
以上のようにして、図14及び図15に示すごとく積層型圧電素子6を作製した。
図14及び図15に示すごとく、本例の積層型圧電素子6は、スリット溝部15を含むスリットセラミック層25を有する。スリットセラミック層25は、ハード化剤が添加されたPZT材料からなり、ハード化材が添加されていないその他の圧電セラミック層2よりも絶縁抵抗が高くなっている。
したがって、スリット溝部15を積層方向に挟んで対向する一対の内部電極層3、4のうち、スリット溝部15の最も近くに形成された一対の内部電極層を第1隣接電極層35、45、その内部電極部を第1内部電極部311、411とし、また、スリット溝部15に2番目に近い位置に形成された一対の内部電極層を第2隣接電極層36、46、その内部電極部を第2内部電極部312、412とすると、積層型圧電素子6においては、たとえスリット溝部15から水分が進入して第1内部電極部311、411及び/又は第2内部電極部312、412における導電性金属がイオン化したとしても、上記のごとく絶縁抵抗が高くなっているため、スリットセラミック層25の絶縁抵抗は低下し難く、絶縁破壊の発生を抑制することができる。そのため、積層型圧電素子6は、ショートが起こり難くなり、優れた耐久性を示すことができる。
また、積層型圧電素子6においては、実施例1と同様に、スリットセラミック層25を挟んでこのスリットセラミック層25に隣接する一対の内部電極層(第1隣接電極層)35、45をそれぞれ異なる側面電極11、12に電気的に接続させることができる。そのため、スリットセラミック層25にも、その他の圧電セラミック層2と同様に電界を印加させることができ、スリットセラミック層25も変位させることができる。それ故、変位性能の低下を抑制することができる。
上述の例においては、スリットセラミック層25だけの絶縁抵抗を高くしたが、図19に示すごとく、スリットセラミック層の代わりに隣接電極層26の絶縁抵抗を高くすることもできる。
即ち、図19に示すごとく、複数の圧電セラミック層2と複数の内部電極層3、4とを交互に積層してなるセラミック積層体69と、その外周側面695に形成された一対の側面電極11、12とを有する積層型圧電素子6において、スリット溝部15を含む圧電セラミック層をスリットセラミック層25とし、スリットセラミック層25に内部電極層3、4(第1隣接電極層35、45)を介して隣接する一対の圧電セラミック層を隣接セラミック層26とすると、隣接セラミック層26は、この隣接セラミック層26を除くその他の圧電セラミック層2よりも絶縁抵抗が高くなっている。
このような積層型圧電素子6は、上述のごとく、ハード化剤を添加した上述のグリーンシート22(図16(c)参照)を用いて隣接セラミック層26を形成することにより作製することができる。
また、スリットセラミック層25と隣接電極層26の絶縁抵抗を高くすることもできる。
即ち、図20に示すごとく、複数の圧電セラミック層2と複数の内部電極層3、4とを交互に積層してなるセラミック積層体69と、その外周側面695に形成された一対の側面電極11、12とを有する積層型圧電素子6において、スリット溝部15を含む圧電セラミック層をスリットセラミック層25とし、スリットセラミック層25に内部電極層3、4(第1隣接電極層35、45)を介して隣接する一対の圧電セラミック層を隣接セラミック層26とすると、スリットセラミック層25と、隣接セラミック層26とは、これらのスリットセラミック層及び隣接セラミック層26を除くその他の圧電セラミック層2よりも絶縁抵抗が高くなっている。
このような積層型圧電素子6は、上述のごとく、ハード化剤を添加した上述のグリーンシート22(図16(c)参照)を用いてスリットセラミック層25と隣接セラミック層26とを形成することにより作製することができる。
また、上述の例においては、スリットセラミック層及び/又は隣接セラミック層の形成に、ハード化剤を添加した圧電セラミック材料(PZT材料)を用い、その他の圧電セラミック層の形成に、ハード化剤を添加していない圧電セラミック材料(PZT材料)を用いたが、スリットセラミック層及び/又は隣接セラミック層の形成に、その他の上記圧電セラミック層よりも高密度の圧電セラミック材料を用いることにより、スリットセラミック層及び/又は隣接セラミック層の絶縁抵抗をその他の圧電セラミック層の絶縁抵抗より高くすることもできる。
具体的には、圧電セラミック材料(PZT材料)の作製時に、スリットセラミック層及び/又は隣接セラミック層を除くその他の圧電セラミック層の形成に用いるPZT材料に比べて、粉砕粒度を0.2〜0.8倍にし、さらに焼成温度を通常の1060℃から950℃まで低下させても同一比重となるようなPZT材料を用いることができる。この場合には、上記スリットセラミック層及び/又は隣接セラミック層の焼成比重は、通常のPZT材料を用いたその他の層の7.6から7.8に上昇する。
このような高密度化するPZT材料を用いてスリットセラミック層及び/又は隣接セラミック層を形成しても、スリットセラミック層及び/又は隣接セラミック層の絶縁抵抗をその他の圧電セラミック層の絶縁抵抗より高くすることができる。
実施例1にかかる、積層型圧電素子の構造を示す部分断面説明図。 実施例1にかかる、積層型圧電素子のスリット溝部周辺の断面構造を示す説明図。 実施例1にかかる、セラミック積層体を積層方向に透視した図であって、圧電活性領域と圧電不活性領域との位置を示す説明図。 実施例1にかかる、セラミック積層体を積層方向に透視して任意の内部電極層を見た様子を示す説明図。 実施例1にかかる、厚みの小さなグリーンシート上に電極材料を印刷してなる第1電極印刷シートを示す説明図(a)、厚みの小さなグリーンシート上に電極材料を印刷してなる第2電極印刷シートを示す説明図(b)、厚みの大きなグリーンシート上に電極材料を印刷してなる第1電極印刷シートを示す説明図(c)。 実施例1にかかる、厚みの大きなグリーンシート上に消失材料を印刷してなる消失材料印刷シートを示す説明図。 実施例1にかかる、未焼成積層体の断面構造を示す説明図。 実施例1にかかる、セラミック積層体を積層方向に透視して一方の側面電極に電気的に接続する内部電極層を見た様子を示す説明図(a)、セラミック積層体を積層方向に透視してもう一方の側面電極に電気的に接続する内部電極層を見た様子を示す説明図(b)。 実施例1にかかる、厚みの小さなグリーンシート上に電極材料を印刷してなる第1電極印刷シートを示す説明図(a)、厚みの小さなグリーンシート上に電極材料を印刷してなる第2電極印刷シートを示す説明図(b)、厚みの大きなグリーンシート上に電極材料を印刷してなる第1電極印刷シートを示す説明図(c)、厚みの大きなグリーンシート上に電極材料を印刷してなる第2電極印刷シートを示す説明図(d)。 実施例1にかかる、厚みの大きなグリーンシート上に消失材料を印刷してなる消失材料印刷シートを示す説明図。 実施例2にかかる、積層型圧電素子の構造を示す部分断面説明図。 実施例2にかかる、隣接セラミック層の厚みを大きくした積層型圧電素子のスリット溝部周辺の断面構造を示す説明図。 実施例2にかかる、スリットセラミック層の厚みと隣接セラミック層の厚みを大きくした積層型電素子のスリット溝部周辺の断面構造を示す説明図。 実施例3にかかる、積層型圧電素子の構造を示す部分断面説明図。 実施例3にかかる、スリットセラミック層を絶縁抵抗の大きな圧電セラミック材料で形成した積層型圧電素子のスリット溝部周辺の断面構造を示す説明図。 実施例3にかかる、絶縁抵抗の小さな圧電セラミック材料からなるグリーンシート上に電極材料を印刷してなる第1電極印刷シートを示す説明図(a)、絶縁抵抗の小さな圧電材料からなるグリーンシート上に電極材料を印刷してなる第2電極印刷シートを示す説明図(b)、絶縁抵抗の大きな圧電セラミック材料からなるグリーンシート上に電極材料を印刷してなる第1電極印刷シートを示す説明図(c)。 実施例3にかかる、絶縁抵抗の大きな圧電セラミック材料からなるグリーンシート上に消失材料を印刷してなる消失材料印刷シートを示す説明図。 実施例3にかかる、未焼成積層体の断面構造を示す説明図。 実施例3にかかる、隣接セラミック層を絶縁抵抗の大きな圧電セラミック材料で形成した積層型圧電素子のスリット溝部周辺の断面構造を示す説明図。 実施例3にかかる、スリットセラミック層と隣接セラミック層とを絶縁抵抗の大きな圧電セラミック材料で形成した積層型電素子のスリット溝部周辺の断面構造を示す説明図。
符号の説明
1 積層型圧電素子
11、12 側面電極
15 スリット溝部
155 先端
18 重合領域
19 セラミック積層体
195 外周側面
2 圧電セラミック層
25 スリットセラミック層
26 隣接セラミック層
3、4 内部電極層
31、41 内部電極部
315、415 外周端部
32、42 控え部

Claims (15)

  1. 複数の圧電セラミック層と複数の内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の側面に形成された一対の側面電極とを有する積層型圧電素子において、
    上記内部電極層は、導電性を有する内部電極部と、該内部電極部の外周端部が上記セラミック積層体の外周面よりも内方に所定の控え距離で控えた控え部とを有し、上記内部電極部においていずれか一方の上記側面電極に交互に電気的に接続しており、
    上記セラミック積層体は、該セラミック積層体の側面から内方に凹むスリット状のスリット溝部を有し、
    該スリット溝部は、上記セラミック積層体において積層された複数の上記圧電セラミック層のうち一部の上記圧電セラミック層に形成されており、
    上記スリット溝部を含む上記圧電セラミック層をスリットセラミック層とすると、該スリットセラミック層は、該スリットセラミック層を除くその他の上記圧電セラミック層の厚みの2倍を超える厚みで形成されていることを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 請求項1において、上記スリットセラミック層の厚みは、該スリットセラミック層を除くその他の上記圧電セラミック層の厚みの4倍以下であることを特徴とする積層型圧電素子。
  3. 請求項1又は2において、上記スリット溝部を含む上記スリットセラミック層は、少なくとも上記内部電極層10層以上の間隔をあけて複数形成されていることを特徴とする積層型圧電素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、上記積層型圧電素子の積層方向の断面において、上記スリット溝部は、上記控え距離よりも大きな深さで形成されていることを特徴とする積層型圧電素子。
  5. 複数の圧電セラミック層と複数の内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の側面に形成された一対の側面電極とを有する積層型圧電素子において、
    上記内部電極層は、導電性を有する内部電極部と、該内部電極部の外周端部が上記セラミック積層体の外周面よりも内方に所定の控え距離で控えた控え部とを有し、上記内部電極部においていずれか一方の上記側面電極に交互に電気的に接続しており、
    上記セラミック積層体は、該セラミック積層体の側面から内方に凹むスリット状のスリット溝部を有し、
    該スリット溝部は、上記セラミック積層体において積層された複数の上記圧電セラミック層のうち一部の上記圧電セラミック層に形成されており、
    上記スリット溝部を含む上記圧電セラミック層をスリットセラミック層とし、該スリットセラミック層に上記内部電極層を介して隣接する一対の上記圧電セラミック層を隣接セラミック層とすると、上記隣接セラミック層は、該隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層よりも大きな厚みで形成されていることを特徴とする積層型圧電素子。
  6. 請求項5において、上記隣接電極層の厚みは、該隣接電極層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層の厚みの2倍以下であることを特徴とする積層型圧電素子。
  7. 請求項5又は6において、上記スリットセラミック層は、該スリットセラミック層及び上記隣接セラミック層を除くその他の上記圧電セラミック層の厚みの2倍を超える厚みで形成されていることを特徴とする積層型圧電素子。
  8. 請求項7において、上記スリットセラミック層の厚みは、該スリットセラミック層と上記隣接セラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層の厚みの4倍以下であることを特徴とする積層型圧電素子。
  9. 請求項5〜8のいずれか一項において、上記スリット溝部を含む上記スリットセラミック層は、少なくとも上記内部電極層10層以上の間隔をあけて複数形成されていることを特徴とする積層型圧電素子。
  10. 請求項5〜9のいずれか一項において、上記積層型圧電素子の積層方向の断面において、上記スリット溝部は、上記控え距離よりも大きな深さで形成されていることを特徴とする積層型圧電素子。
  11. 複数の圧電セラミック層と複数の内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の側面に形成された一対の側面電極とを有する積層型圧電素子において、
    上記内部電極層は、導電性を有する内部電極部と、該内部電極部の外周端部が上記セラミック積層体の外周面よりも内方に所定の控え距離で控えた控え部とを有し、上記内部電極部においていずれか一方の上記側面電極に交互に電気的に接続しており、
    上記セラミック積層体は、該セラミック積層体の側面から内方に凹むスリット状のスリット溝部を有し、
    該スリット溝部は、上記セラミック積層体において積層された複数の上記圧電セラミック層のうち一部の上記圧電セラミック層に形成されており、
    上記スリット溝部を含む上記圧電セラミック層をスリットセラミック層とし、該スリットセラミック層を挟み、上記内部電極層を介して上記スリットセラミック層に隣接する上記圧電セラミック層を隣接セラミック層とすると、上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層は、該隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層よりも絶縁抵抗が高くなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
  12. 請求項11において、上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層と、該隣接セラミック層及び/又は上記スリットセラミック層を除くその他の上記圧電セラミック層は組成の異なる圧電セラミック材料からなり、上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層は、該隣接セラミック層及び/又は上記スリットセラミック層を除くその他の上記圧電セラミック層よりも絶縁抵抗が高い圧電セラミック材料からなることを特徴とする積層型圧電素子。
  13. 請求項11又は12において、上記スリットセラミック層及び/又は上記隣接セラミック層は、該隣接セラミック層と上記スリットセラミック層とを除くその他の上記圧電セラミック層よりも高密度の圧電セラミック材料からなることを特徴とする。
  14. 請求項11〜13のいずれか一項において、上記スリット溝部を含む上記スリットセラミック層は、少なくとも上記内部電極層10層以上の間隔をあけて複数形成されていることを特徴とする積層型圧電素子。
  15. 請求項11〜14のいずれか一項において、上記積層型圧電素子の積層方向の断面において、上記スリット溝部は、上記控え距離よりも大きな深さで形成されていることを特徴とする積層型圧電素子。
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