JP2010225911A - 積層型圧電素子 - Google Patents

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Soji Suzuki
聡司 鈴木
Toshiatsu Nagaya
年厚 長屋
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Abstract

【課題】変位性能を損ねることなくより確実に絶縁抵抗の低下を防止し耐久性に優れた積層型圧電素子を提供すること。
【解決手段】圧電セラミック層10と内部電極層13、14とを交互に積層してなるセラミック積層体15と一対の側面電極17、18とを有する積層型圧電素子1である。セラミック積層体15は、側面151から内方に凹む応力緩和部11を有する。応力緩和部11を含む圧電セラミック層10を応力緩和層10aとし、応力緩和層10aを挟んで隣接する2つの内部電極層13a、14aのうち負極側の側面電極17に電気的に接続された内部電極層を基準電極層13aとし、これを挟んで隣接する2つの圧電セラミック層10a、10bのうち、応力緩和層10aではない方を絶縁低下層10bとすると、応力緩和層10a及び/又は絶縁低下層10bは、その他の圧電セラミック層10に比べてAサイト/Bサイト比が大きなPZT系材料を主成分とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、複数の圧電セラミック層と複数の内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の側面に形成された一対の側面電極とを有し、上記セラミック積層体の側面から内方に凹んだスリット状の応力緩和部が形成された積層型圧電素子に関する。
従来より、燃料噴射弁の駆動源等には、積層型圧電素子が用いられている。積層型圧電素子は、例えば内部電極層と圧電セラミック層とが交互に複数積層されてなるセラミック積層体の側面に、上記内部電極層と交互に電気的に接続される一対の側面電極を接合してなる。
上記積層型圧電素子は、特に燃料噴射弁等の用途においては、過酷な条件の下で長期間に渡って使用される。そのため、例えば、側面の電気的な絶縁性を向上させるため、内部電極の端部の一部が内方に後退した内部電極非形成領域を有するセラミック積層体が広く採用されている。
ところが、絶縁性を向上させるために上記のごとく内部電極非形成領域を形成すると、上記セラミック積層体において、電圧を印加したときに、変形する部分と変形し難い部分とが生じ、その境界部分に応力集中が起こって素子にクラックが発生するおそれがあった。
応力集中によるクラックの発生を回避するために、セラミック積層体の側面に、積層方向に対して所定の間隔で形成された溝部(応力緩和部)を有する積層型圧電素子が開発されている(特許文献1参照)。
また、クラックの発生を回避するために、応力緩和部を挟む内部電極を同一極とした積層型圧電素子が開発されている(特許文献2参照)。
特開昭62−271478号公報 特開2006−216850号公報
しかしながら、特許文献1のように応力緩和部を形成した場合においても、該応力緩和部に電圧が印加されたときに、応力緩和部の先端からクラックが発生するおそれがあった。これを回避するためには、応力緩和部(溝部)における積層方向に対して垂直な方向の深さを内部電極非形成領域の側面からの後退距離よりも大きくする必要があった。ところが、このような構成にすると、応力緩和部(溝部)に大きな電圧が印加されたときに、絶縁性を十分に確保できず、積層型圧電素子としての寿命が短くなるという問題があった。
また、特許文献2のように、応力緩和部を挟む内部電極を同一極とすると、応力緩和部を含む圧電層が圧電不活性層になる。そのため、圧電素子が伸縮した場合に、圧電不活性層に応力を集中させることができる。その結果、万一クラックが生じることがあっても、応力緩和部に選択的(優先的に)クラックが入り、積層体の圧電活性層にクラックが生じることを確実に防止でき、耐久性を向上させることができると考えられていた。
しかし、実際には、応力緩和部にクラックが生じていない状態であっても、十分な絶縁性を得ることはできず、依然として絶縁抵抗が低下してショートが発生してしまうという問題があった。また、同一極の内部電極層に挟まれる応力緩和部を含むセラミック層には電界がかからず、ほとんど変位しない。そのため、積層型圧電素子の変位量が低下してしまうという問題があった。
上記のように、従来の積層型圧電素子では、変位量向上のために上記応力緩和部を含む上記圧電セラミック層を駆動層としつつも、十分な寿命を確保するにはいたらなかった。
本発明はかかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、変位性能を損ねることなく、より確実に絶縁抵抗の低下を防止し、耐久性に優れた積層型圧電素子を提供しようとするものである。
第1の発明は、基本組成式ABO3で表されるPZT系材料を主成分とする複数の圧電セラミック層と複数の内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の積層方向と垂直な方向の側面に形成された一対の側面電極とを有する積層型圧電素子において、
上記内部電極層は、導電性を有する内部電極部と、該内部電極部の外周端部が上記セラミック積層体の外周面よりも内方に所定の後退距離で後退した内部電極非形成領域とを有し、上記内部電極部においていずれか一方の上記側面電極に交互に電気的に接続しており、
上記セラミック積層体は、該セラミック積層体の側面から内方に所定の深さで凹むスリット状の応力緩和部を有し、
該応力緩和部を含む上記圧電セラミック層を応力緩和層とし、上記セラミック積層体の積層方向において上記応力緩和層を挟んで隣接する2つの上記内部電極層のうち負極側の上記側面電極に電気的に接続された上記内部電極層を基準電極層とし、該基準電極層を挟んで隣接する2つの上記圧電セラミック層のうち、上記応力緩和層ではない方を絶縁低下層とすると、上記応力緩和層及び/又は上記絶縁低下層は、その他の上記圧電セラミック層に比べてAサイト/Bサイト比が大きなPZT系材料を主成分とすることを特徴とする積層型圧電素子にある(請求項1)。
第2の発明は、基本組成式ABO3で表されるPZT系材料を主成分とする複数の圧電セラミック層と複数の内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の積層方向と垂直な方向の側面に形成された一対の側面電極とを有する積層型圧電素子において、
上記内部電極層は、導電性を有する内部電極部と、該内部電極部の外周端部が上記セラミック積層体の外周面よりも内方に所定の後退距離で後退した内部電極非形成領域とを有し、上記内部電極部においていずれか一方の上記側面電極に交互に電気的に接続しており、
上記セラミック積層体は、該セラミック積層体の側面から内方に所定の深さで凹むスリット状の応力緩和部を有し、
該応力緩和部は、焼成時に消失する消失材料とPb酸化物とを含有する緩和部形成材料を焼成してなることを特徴とする積層型圧電素子にある(請求項5)。
次に、本発明の効果について説明する。
本願発明者らは、積層型圧電素子の溝部等の応力緩和部を形成する際の不具合に関して鋭意研究した結果、積層型圧電素子の積層方向において応力緩和部を含む圧電セラミック層(応力緩和層)に隣接する−電極層(負極側の側面電極に電気的に接続した内部電極層)と該−電極層に隣接する+電極層(正極側の側面電極に電気的に接続した内部電極層)に挟まれる圧電セラミック層(上記絶縁低下層)が最も早く絶縁抵抗が低下することを見出すに至った。
この詳細に関して、まず、一般的な積層型圧電素子の絶縁抵抗低下について説明する。
一般に、積層型圧電素子に高温で高電界を印加し続けると、−電極層(内部電極部)からその周囲の圧電セラミック層へ低抵抗領域が広がっていく現象が現れる。この原因は、例えば積層型圧電素子を圧電セラミックスと内部電極層との一体焼成により作製した場合において、この一体焼成時に内部電極層から圧電セラミック層へ拡散したイオン状態で存在する導電性金属イオンが、駆動時に−電極層から放出される電子により金属化され低抵抗領域を形成し、さらにこの低抵抗領域が+電極側へ向かって成長することによるものである。この現象により、+電極層と−電極層との間の電界強度が実質的に高くなり、絶縁抵抗の低下を加速させてしまうことになる。この低抵抗領域の広がりは、水分の存在により加速される。
具体的には、例えば、一体焼成時に、AgPd電極等からなる内部電極部からPZT等からなる圧電セラミック層へ拡散したAg+イオンが駆動時に負極側の内部電極部から放出される電子により金属化されることにより低抵抗領域が形成され、さらにこの低抵抗領域が正極側へ向かって成長するという現象が起こる(Ag++e-→Ag金属)。
特に、側面から凹むスリット状の応力緩和部を有する積層型圧電素子の場合、応力緩和部は水分が存在する外部に通ずる通路となりうるため、応力緩和部に最も隣接する負極側の内部電極層(基準電極層)は特に上述の低抵抗領域の広がり現象が顕著となる。さらに、応力緩和部に大きな電圧が印加された場合においては、該応力緩和部に放電が起こり、素子劣化が起こり、低抵抗領域の広がりを加速させる。
従って、図31に示すごとく、積層型圧電素子9における複数の圧電セラミック層90のうち、応力緩和部91を含む圧電セラミック層を応力緩和層90aとし、積層方向において応力緩和層90aを挟んで隣接する2つの内部電極層93、94のうち負極側の側面電極97に電気的に接続された内部電極層を基準電極層93aとすると、この基準電極層93aを挟んで隣接する2つの圧電セラミック層90のうち、応力緩和層90aではない方の圧電セラミック層(絶縁低下層90b)の絶縁抵抗が最も早く低下する。特に、電界強度と逆圧電効果による発生応力の両方が集中する圧電層駆動領域端部99においてはさらに絶縁抵抗の低下が早い。ここでいう圧電層駆動領域端部99は、積層型圧電素子9の積層方向において応力緩和層90aに隣接する基準電極層93aにおける内部電極部941の外周端部99、及び基準電極層93aに上記積層方向に最も隣接する+電極側の内部電極層94aにおける内部電極部941の外周端部949から基準電極層93a上に積層方向に降ろした垂線と基準電極層93aとが交わる部位99のことである。
このように、本願発明者らは、応力緩和部を有する積層型圧電素子における絶縁抵抗低下機構を解明した。
かかる絶縁抵抗低下機構に着目し、本願発明らは、応力緩和部周辺における圧電セラミック層の組成のAサイト/Bサイト比を高くすることにより、絶縁抵抗の低下を抑制できることを見出し、本願発明に至った。
即ち、第1の発明においては、上記応力緩和層及び/又は上記絶縁低下層は、その他の上記圧電セラミック層に比べてAサイト/Bサイト比が大きなPZT系材料を主成分とする。即ち、上記応力緩和層の上記PZT系材料の組成におけるAサイト/Bサイト比を、上記応力緩和層を除くその他の上記圧電セラミック層の組成に比べて大きくする。また、上記絶縁低下層の上記PZT系材料の組成におけるAサイト/Bサイト比を、上記絶縁低下層を除くその他の上記圧電セラミック層の組成に比べて大きくする。また、上記応力緩和層及び上記絶縁低下層の上記PZT系材料の組成におけるAサイト/Bサイト比を、上記応力緩和層及び上記絶縁低下層を除くその他の上記圧電セラミック層の組成に比べて大きくする。
このように、上記応力緩和層及び/又は上記絶縁低下層における上記Aサイト/Bサイト比率をより高くすることにより、上記基準電極層の上記内部電極部からAg等の導電性金属が拡散することを抑制することができる。そのため、上記応力緩和部を含む上記応力緩和層を駆動層としつつも、導電性金属の拡散による低抵抗領域の形成及び成長を抑制することができる。それ故、変位量を損ねることなく、絶縁抵抗の低下を抑制し、積層型圧電素子の耐久性を向上させることができる。
また、上記第2の発明においては、上記応力緩和部は、焼成時に消失する上記消失材料と上記Pb酸化物とを含有する上記緩和部形成材料を焼成してなる。そのため、上記第2の発明の上記積層型圧電素子においては、焼成時に上記緩和部形成材料中の上記消失材料が消失してスリット状の上記応力緩和部が形成されると共に、上記緩和部形成材料中のPb酸化物からPbが上記応力緩和部の周囲の圧電セラミック層に拡散し、その組成におけるAサイト/Bサイト比が高くなると考えられる。そのため、上記基準電極層の上記内部電極部からのAg等の導電性金属の拡散を抑制することができる。それ故、変位量を損ねることなく、絶縁抵抗の低下を抑制し、積層型圧電素子の耐久性を向上させることができる。
以上のように、本発明によれば、変位性能を損ねることなく、より確実に絶縁抵抗の低下を防止し、耐久性に優れた積層型圧電素子を提供することができる。
実施例1にかかる、積層型圧電素子の全体構造を示す説明図。 実施例1にかかる、積層型圧電素子の断面構造を示す説明図。 実施例1にかかる、積層型圧電素子の応力緩和部周辺の断面構造を示す説明図。 実施例1にかかる、積層時に積層体の一方の側面に電極材料が露出するようなパターンで電極材料を第1グリーンシート上に形成し、第1電極印刷シートを作製する工程を示す説明図。 実施例1にかかる、積層時に積層体のもう一方の側面に電極材料が露出するようなパターンで電極材料を第1グリーンシート上に形成し、第1電極印刷シートを作製する工程を示す説明図。 実施例1にかかる、積層時に積層体の一方の側面に電極材料が露出するようなパターンで電極材料を第2グリーンシート上に形成し、第2電極印刷シートを作製する工程を示す説明図。 実施例1にかかる、積層時に積層体のもう一方の側面に電極材料が露出するようなパターンで電極材料を第2グリーンシート上に形成し、第2電極印刷シートを作製する工程を示す説明図。 実施例1にかかる、緩和部配設シートを作製する工程を示す説明図。 実施例1にかかる、第1電極印刷シート、第2電極印刷シート及び緩和部配設シートを積層する工程を示す説明図。 実施例1にかかる、予備積層体の上面図。 実施例1にかかる、予備積層体の断面図(図10のA−A線矢視断面図)。 実施例1にかかる、中間積層体の断面構造を示す説明図。 実施例1にかかる、交互に異なる側面に露出する応力緩和部が異なる層に形成された積層型圧電素子の構造を示す説明図。 実施例1にかかる、内部電極部と応力緩和部との形成パターンを示すセラミック積層体の展開説明図。 実施例1にかかる、内部電極部とスリット層との形成パターンのバリエーション(a)〜(c)をセラミック積層体の展開図で示す説明図。 実施例2にかかる、積層型圧電素子の全体構造を示す説明図。 実施例2にかかる、積層型圧電素子の断面構造を示す説明図。 実施例2にかかる、積層型圧電素子の応力緩和部周辺の断面構造を示す説明図。 実施例2にかかる、緩和部配設シートを作製する工程を示す説明図。 実施例2にかかる、第1電極印刷シート、第2電極印刷シート及び緩和部配設シートを積層する工程を示す説明図。 実施例2にかかる、予備積層体の上面図。 実施例2にかかる、予備積層体の断面図(図21のB−B線矢視断面図)。 実施例2にかかる、中間積層体の断面構造を示す説明図。 実施例2にかかる、異なる側面に交互に露出する応力緩和部が内部電極層と略同じ層に形成された積層型圧電素子の断面構造を示す説明図。 実施例3にかかる、積層型圧電素子の全体構造を示す説明図。 実施例3にかかる、積層型圧電素子の断面構造を示す説明図。 実施例3にかかる、積層型圧電素子の応力緩和部周辺の断面構造を示す説明図。 実施例3にかかる、緩和部配設シートを作製する工程を示す説明図。 実施例3にかかる、電極印刷シート及び緩和部配設シートを積層してなる予備積層体の断面構造を示す説明図。 実施例3にかかる、中間積層体の断面構造を示す説明図。 積層型圧電素子における応力緩和部周辺の断面構造を示すと共に、電界強度と逆圧電効果による発生応力の両方が集中しやすい圧電駆動領域端部を示す説明図。 応力緩和部以外のスリット状の溝部が側面に形成された積層型圧電素子の断面構造を示す説明図。
次に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
本発明の積層型圧電素子1は、上記セラミック積層体15と、該セラミック積層体15の側面151に形成された一対の側面電極17、18とを有する(図1〜図3参照)。上記内部電極層13、14は、導電性を有する内部電極部131、141と、該内部電極部131,141の外周端部が上記セラミック積層体15の外周側面151よりも内方に所定の後退距離135で後退した内部電極非形成領域132、142とを有する。外周側面151は、セラミック積層体15においてその積層方向と垂直な方向の側面のことである。内部電極非形成領域132、142は、内部電極部131、141と略同一平面上にある内部電極が形成されていない領域である(図1〜図3及び図14参照)。内部電極非形成領域132、142は、上記内部電極部131、141を挟む上記圧電セラミック層10同士が作製時に圧着されてなり、実際には上記内部電極部131、141と同一平面上にある圧電セラミックスにより形成される。
上記内部電極非形成領域132、142を設けることにより、上記内部電極層13、14は、上記セラミック積層体15の一方の側面(上記内部電極非形成領域側の側面)において確実な絶縁を実現できる。上記後退距離135は、内部電極部131、141の端部とセラミック積層体15の側面151との間において、内部電極非形成領域132、142を跨ぐ最短距離である。
上記セラミック積層体は、上記圧電セラミック層と上記内部電極層とを交互に複数積層してなる。また、上記セラミック積層体は、該セラミック積層体の側面から内方に所定の深さで凹むスリット状の上記応力緩和部を有する。応力緩和部としては、具体的には、スリット状の溝部等である。
本発明において、上記応力緩和部11とは、上記積層型圧電素子1の積層方向の断面において、上記内部電極層13、14における上記内部電極非形成領域132、142の上記後退距離135よりも大きな深さで形成されたスリット状の溝部等を示す(図32参照)。スリット状の溝部としては、その深さにばらつきが考えられるが、少なくとも一部において上記内部電極非形成領域132、142の後退距離135よりも大きな深さで形成された部分を有する溝部が応力緩和部である。
したがって、上記後退距離135よりも小さな深さで形成されたスリット状の溝部199等は、本発明における上記応力緩和部11に該当しない。
より具体的には、積層型圧電素子1の側面から内方に凹むスリット状の溝部11、199のうち、少なくともこの溝部11、199を含む圧電セラミック層10に隣接する2つの内部電極層13、14における内部電極非形成領域132、142の後退距離135よりも大きな深さで形成された溝部が応力緩和部11であり、後退距離135よりも小さな深さで形成された溝部199等は、本発明における応力緩和部11に該当しない。
上記応力緩和部は、上記セラミック積層体において、上記圧電セラミックスを構成する結晶粒子が積層方向に分離され、上記圧電セラミック層よりも形状を容易に変化し得る部分である。
上記応力緩和部は、上記セラミック積層体の積層方向に任意の間隔で複数設けることができ、上記セラミック積層体の積層方向に累積する応力を緩和することができる。積層数が少ないと、電圧を印加したときに発生する累積応力の絶対値が小さくなり、そもそもクラックが発生し難くなる。その結果、上記セラミック積層体にスリット状の上記応力緩和部を形成する必要性自体がほとんどなくなってしまうおそれがある。さらに、上記内部電極部を後退させることによる電極面積の低下が変位性能の低下を招くおそれがある。そのため、上記セラミック積層体は、10層以上の内部電極層を有することが好ましい。また、同様の理由から、上記応力緩和部を形成する積層方向の間隔は、内部電極層10層以上であることが好ましい。上記応力緩和部が内部電極層10層未満の間隔で形成されている場合、内部電極部を後退させることによる電極面積の低下が変位性能の低下を招くおそれがある。また、上記応力緩和部を形成する積層方向の間隔は、内部電極層50層以下であることが好ましい。50層を超える間隔で形成されている場合には、上記応力緩和部による応力緩和効果が十分に得られなくなるおそれがある。
また、上記セラミック積層体は、該セラミック積層体を積層方向に透視した場合に、すべての上記内部電極部が重合する領域である重合部と、少なくとも一部の上記内部電極部しか重合しない、あるいは全く重合しない領域である非重合部とを有し、上記応力緩和部は、少なくとも上記非重合部に形成されていることが好ましい。
この場合には、上記応力緩和部による応力緩和効果を顕著に発揮させることできる。
即ち、上記非重合部は、圧電変位が起こらず、駆動しない部分である。そのため、上記非重合部には、圧電変位に応じて応力(歪み)が集中的に生じ易くなる。上記のごとく、上記非重合部に上記応力緩和部を形成すことにより、上記非重合部にかかる応力を緩和することができる。
上記応力緩和部は、焼成時に消失する消失材料を焼成することにより形成することができる。
上記消失材料としては、例えばパウダー状のカーボン粒子、樹脂粒子、又は、パウダー状の有機物粒子等を炭化させてなる炭化有機物粒子を用いることができる。
特に、上記消失材料として上記カーボン粒子を用いた場合には、熱による形状変化が少ないという上記カーボン粒子の特性を生かして、形状精度良く上記応力緩和部を形成することができる。
また、上記消失材料として上記炭化有機物粒子を用いた場合には、上記応力緩和部を形成するためのコストを抑制することができる。
なお、上記有機物粒子としては、例えば、大豆や、トウモロコシを粉砕してなる粒子や、樹脂材料を粉砕してなる粒子等がある。上記炭化有機物粒子とは、上記有機物粒子が含有する水分の一部を除去することにより、ある程度炭化させて、流動性及び分散性が良好な微粒子の状態となった粒子をいう。
また、上記応力緩和部は、スリット状の上記領域を上記積層型圧電素子の分極又は駆動時に亀裂が生じる材料によって形成し、上記積層型圧電素子の分極又は駆動時に亀裂を生じさせて形成することもできる。
また、上記積層型圧電素子において、上記応力緩和部は、例えば上記内部電極層間の上記圧電セラミック層に形成させることができる。
また、上記応力緩和部は、上記内部電極層と略同じ層に(上記内部電極層と接触するように)形成させることもできる。
上記積層型圧電素子において、上記圧電セラミック層は、基本組成式ABO3で表されるPZT系材料を主成分とする。上記第1の発明においては、上記応力緩和層及び/又は上記絶縁低下層は、その他の上記圧電セラミック層に比べてAサイト/Bサイト比が大きなPZT系材料を主成分とする。
上記応力緩和層及び上記絶縁低下層について、積層型圧電素子の断面図を用いて説明する(図2参照)。図2には、セラミック積層体15と共にこのセラミック積層体15の側面を挟む一対の側面電極17、18を積層方向に切断した積層型圧電素子の断面図を示す。
同図に示すごとく、セラミック積層体15は、その側面から内方に所定の深さで凹むスリット状の応力緩和部11を有している。
ここで、上記応力緩和層10aは、内部電極層13、14に挟まれて複数積層された上記圧電セラミック層10の内、上記応力緩和部11を含む圧電セラミック層である。
また、上記セラミック積層体15の積層方向において上記応力緩和層10aを挟んで隣接する2つの上記内部電極層13a、14aのうち、負極側の上記側面電極17に電気的に接続された上記内部電極層を基準電極層13aとすると、上記絶縁低下層10bは、上記基準電極層13aを挟んで隣接する2つの上記圧電セラミック層10のうち、上記応力緩和層10aではない方の圧電セラミック層である。
上記応力緩和層及び/又は上記絶縁低下層を構成する上記PZT系材料のAサイト/Bサイト比が、その他の上記圧電セラミック層におけるAサイト/Bサイト比以下である場合には、上記基準電極層の内部電極部からAg等の導電性金属が拡散し易くなり、絶縁抵抗が早期に低下するおそれがある。
また、上記積層型圧電素子内のすべての上記圧電セラミック層においては、該圧電セラミック層を構成する上記PZT系材料の上記Aサイト/Bサイト比が1.005以下になっていることが好ましい(請求項2)。即ち、上記積層型圧電素子全体において上記Aサイト/Bサイト比が1.005以下になっていることが好ましい。
Aサイト/Bサイト比率が1.005より大きい場合、Pb等のAサイトを構成する元素が粒界に析出し、上記積層型圧電素子の変位性能を損ねてしまうおそれがある。また、積層型圧電素子の作製時における焼成時に確実に焼結させることができるという観点からは、Aサイト/Bサイト比率は1以上であることが好ましい。
上記応力緩和層及び/又は上記絶縁低下層は、その他の上記圧電セラミック層に比べてAサイト/Bサイト比が少なくとも0.001以上大きくなっていることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記基準電極層の内部電極部からAg等の導電性金属の拡散をより顕著に抑制することができる。
上記基準電極層における上記内部電極非形成領域の上記後退距離は、上記積層型圧電素子の積層方向において上記基準電極層の最も近くに存在する上記応力緩和部の深さよりも小さくなっていることが好ましい(請求項4)。また、より好ましくは、全ての上記内部電極層における上記内部電極非形成領域の上記後退距離は、各内部電極層の最も近くに存在する上記応力緩和部の深さよりも小さくなっていることが好ましい。
この場合には、上記内部電極部の面積が大きくなり、上記積層型圧電素子の変位量を向上させることができる。
次に、上記第2の発明において、上記応力緩和部は、焼成時に消失する消失材料とPb酸化物とを含有する緩和部形成材料を焼成してなる。
上記消失材料としては、上述のごとく例えばパウダー状のカーボン粒子、樹脂粒子、又は、パウダー状の有機物粒子等を炭化させてなる炭化有機物粒子等を用いることができる。
また、Pb酸化物としては、例えばPbO等の他、Pbを含む複合酸化物等を用いることができる。具体的には、例えば、Pb34、あるいはPT(チタン酸鉛)、PZ(ジルコン酸鉛)、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等を用いることができる。
上記緩和部形成材料は、上記Pb酸化物としてPbOを含有することが好ましい(請求項7)。
この場合には、PbOが揮発成分となり、上記応力緩和部内に固体の異物が形成されてしまうことを防止することができる。
上記緩和部形成材料は、上記消失材料100質量部に対してPb酸化物をPbO換算で20質量部以下含有することが好ましい(請求項8)。
Pb酸化物がPbO換算で20質量部を越える場合には、Pbが応力緩和部周辺の粒界に析出し、上記積層型圧電素子の変位性能を損ねてしまうおそれがある。より好ましくは、15質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下がよい。また、Pb添加による上述の導電性金属の拡散抑制効果をより確実に得るという観点からPb酸化物の添加量は1質量部以上がよい。
また、上記セラミック積層体は、セラミックス原料を含有し、焼成後に上記圧電セラミック層となるグリーンシートを形成するシート形成工程と、上記グリーンシート上において上記内部電極部を形成する部分に、電極材料を配設して電極配設シートを作製する電極材料配設工程と、上記グリーンシート上において上記応力緩和部を形成する部分に、上記緩和部形成材料を配設して緩和部配設シートを作製する緩和部形成材料配設工程と、上記電極配設シートを複数積層すると共に、積層方向に任意の間隔を開けて上記電極配設シート間に上記電極配設シートを積層し、中間積層体を作製する積層工程と、上記中間積層体を焼成して上記セラミック積層体を作製する焼成工程とを行うことにより得ることができる(請求項6)。
この場合には、上記焼成工程後に、グリーンシートから上記圧電セラミック層が形成され、上記電極材料を配設した領域に上記内部電極部が形成される。また、上記緩和部形成材料を配設した領域には、上記応力緩和部が形成されると共に、該応力緩和部周辺に上記緩和部形成材料中に含まれるPbを拡散させることができる。
また、上記焼成工程後に上記セラミック積層体の側面に、Ag等からなる導電性金属を焼付けることにより上記側面電極を形成して、上記積層型圧電素子を得ることができる。
また、上記応力緩和部を含む上記圧電セラミック層を応力緩和層とし、上記セラミック積層体の積層方向において上記応力緩和層を挟んで隣接する2つの上記内部電極層のうち負極側の上記側面電極に電気的に接続された上記内部電極層を基準電極層とすると、上記基準電極層における上記内部電極非形成領域の上記後退距離は、上記積層型圧電素子の積層方向において上記基準電極層の最も近くに存在する上記応力緩和部の深さよりも小さくなっていることが好ましい(請求項9)。より好ましくは、全ての上記内部電極層における上記内部電極非形成領域の上記後退距離は、各内部電極層の最も近くに存在する上記応力緩和部の深さよりも小さくなっていることが好ましい。
この場合には、上記内部電極部の面積が大きくなり、上記積層型圧電素子の変位量を向上させることができる。
また、本発明において、上記内部電極部は、AgPd合金を主成分とすることが好ましい(請求項10)。
この場合には、上記内部電極部が優れた導電性を示すことができ、高い変位量の上記積層型圧電素子を構成することができる。
また、この場合には、Agの拡散が起こりやすくなるため、本発明の作用効果をより顕著に発揮することができる。即ち、AgPd合金を主成分とする内部電極部を形成する場合には、焼成時にAgが拡散し易くなる。そのため、上記第1の発明及び上記第2の発明のように、上記応力緩和部の周辺の上記Aサイト/Bサイト比を高くすることによる絶縁抵抗低下に対する抑制効果をより顕著に発揮することができる。
上記積層型圧電素子は、燃料噴射弁に用いられることが好ましい(請求項11)。この場合には、過酷な条件下においても、長期間に渡って絶縁抵抗が低下することなく、安定して作動できるという本発明の積層型圧電素子の作用効果をより顕著に発揮することができる。
(実施例1)
次に、本発明の実施例にかかる積層型圧電素子について、図1〜図12を用いて説明する。
図1〜図3に示すごとく、本例の積層型圧電素子1は、複数の圧電セラミック層10と複数の内部電極層13、14とを交互に積層してなるセラミック積層体15と、その積層方向と垂直な方向の側面151に形成された一対の側面電極17、18とを有する。
圧電セラミック層10は、基本組成式ABO3で表されるPZT系材料を主成分とする。
また、内部電極層13、14は、導電性を有する内部電極部131、141と、その外周端部がセラミック積層体15の外周側面151よりも内方に所定の後退距離135で後退した内部電極非形成領域132、142とを有し、内部電極層13、14は、交互に異なる側面電極17、18に電気的に接続されている(図1〜3及び図14参照)。
図1〜図3に示すごとく、各内部電極層13、14は、その内部電極非形成領域132、142において、その内部電極層13、14を挟む上下の圧電セラミック層10との境界が無くなっている。そのため、圧電セラミック層10と内部電極層13、14とは完全な層状構造で積層しているわけではない。しかし、本明細書においては、便宜上、セラミック積層体15内において、内部電極層13、14の内部電極部131、141を水平方向(積層方向と垂直な方向)に延長させた平面に内部電極非形成領域132、142が存在し、内部電極部131、141と内部電極非形成領域132、142とからなる内部電極層13、14が圧電セラミックス層10と積層構造を形成しているものとして取り扱う。したがって、各圧電セラミック層10は、隣接する2つの内部電極層13、14に挟まれた領域となる。
セラミック積層体15は、その側面から内方に凹むスリット状の領域に、圧電セラミック層10よりも形状を容易に変化し得る応力緩和部11を有する。
本例において、応力緩和部11は、セラミック積層体15の側面から内方に凹んだスリット状の溝部(空間)であり、セラミック積層体15の外周側面151の全周に渡って周方向に形成されている。また、本例において、応力緩和部11は、内部電極層13、14間の圧電セラミック層10内に形成されており、内部電極層13、14とは接触しない位置に形成されている。
図3に示すごとく、積層型圧電素子1の積層方向における断面において、セラミック積層体15の側面151に露出する応力緩和部11の深さ115は、該応力緩和部11と同じ側面151に形成された内部電極非形成領域142(132)の後退距離135よりも大きくなっている。
図1〜図3に示すごとく、各圧電セラミック層10のうち、応力緩和部11を含む圧電セラミック層を応力緩和層10aとし、セラミック積層体15の積層方向において応力緩和層10aを挟んで隣接する2つの内部電極層13a、14aのうち負極側の側面電極17に電気的に接続された内部電極層を基準電極層13aとし、この基準電極層13aを挟んで隣接する2つの圧電セラミック層10a、10bのうち、応力緩和層10aではない方の圧電セラミック層を絶縁低下層10bとすると、絶縁低下層10bは、その他の圧電セラミック層10、10aに比べてAサイト/Bサイト比が大きなPZT系材料を主成分とする。
次に、本例の積層型圧電素子の製造方法につき、図1〜図12を用いて説明する。
本例においては、第1シート形成工程、第2シート形成工程、電極材料配設工程、緩和部形成材料配設工程、積層工程、焼成工程、及び側面電極形成工程を行うことにより、積層型圧電素子を作製する。
第1シート形成工程においては、セラミックス原料を含有し、焼成後に基本組成式ABO3で表されるPZT系材料を主成分とする圧電セラミック層となる第1グリーンシート101を形成する(図4及び図5参照)。具体的には、焼成後に基本組成式ABO3で表されるPZT系材料を生成するスラリー状又はペースト状の第1セラミック原料をシート状に成形して第1グリーンシート101を形成する。
第2シート形成工程においても、セラミックス原料を含有し、焼成後に基本組成式ABO3で表される上記PZT系材料を主成分とする圧電セラミック層となる第2グリーンシート102を形成する(図6及び図7参照)。この第2シート形成工程においては、焼成後の上記PZT系材料のAサイト/Bサイト比が第1グリーンシートよりも大きくなるように第2セラミック原料の組成を調製し、この第2セラミック原料をシート状に成形して第2グリーンシート102を形成する。
電極材料配設工程においては、図4〜図7に示すごとく、第1グリーンシート101及び第2グリーンシート102上の印刷領域103において、上記内部電極部となる部分に電極材料130、140を配設して電極配設シート105、106を作製する。これにより、図4及び図5に示すごとく、第1グリーンシート101上に電極材料130、140が配設された第1電極配設シート105と、図6及び図7に示すごとく、第2グリーンシート102上に電極材料130、140が配設された第2電極配設シート106を得る。
緩和部形成材料配設工程においては、図8に示すごとく、第1グリーンシート101上の印刷領域103において上記応力緩和部を形成する部分に、焼成時に消失する消失材料を含有する緩和部形成材料110を配設して緩和部配設シート107を作製する。
積層工程においては、図9に示すごとく、電極配設シート105、106を複数積層すると共に、積層方向に任意の間隔を開けて電極配設シート間に緩和部配設シート107を積層し、中間積層体10を作製する。このとき、電極配設シートとしては、焼成後に上記絶縁低下層となる位置に第2電極配設シート106を配設し、その他の位置には第1電極配設シート106を配設する。
焼成工程においては、中間積層体10を焼成してセラミック積層体15を作製する(図1〜図3参照)。
また、側面電極形成工程においては、セラミック積層体15の側面に導電性金属を焼付けて側面電極17、18を形成する(図1〜図3参照)。
本例においては、図4〜図8に示すごとく、1枚の幅広のグリーンシート101(102)を積み重ねて複数のセラミック積層体を得るために、グリーンシート101(102)上に複数の電極材料130、140及び緩和部形成材料110をそれぞれ配設し、図9に示すごとく、積層後に積層体100(予備積層体)を切断する積層体切断工程を行うことにより、図12に示すごとく中間積層体10を得る。
以下、本例の製造方法を各工程ごとに詳細に説明する。
<第1シート形成工程及び第2シート形成工程>
まず、圧電材料となるジルコン酸チタン酸鉛(PZT)等のセラミック原料粉末を準備した。具体的には、出発原料としてPb34、ZrO2、TiO2、Y23、及びNb25を準備し、これらの出発原料を目的組成PbZrO3−PbTiO3−Pb(Y1/2Nb1/2)O3のうち、Aサイト/Bサイト比(モル比)、即ちPb/(Zr+Ti+Y+Nb)がそれぞれ1.002、1.003、1.005、1.01になるような比で秤量し、湿式混合し、温度850℃で5時間仮焼した。次に、仮焼粉をパールミルにより湿式粉砕した。この仮焼粉粉砕物(粒径(D50値):0.7±0.05μm)を乾燥した後、溶剤、バインダ、可塑剤、分散剤等を加えてボールミルにより混合し、得られたスラリー状のセラミック原料を真空装置内で撹拌機により撹拌しながら真空脱泡、粘度調整をした。
なお、本例においては、上述のごとくAサイト元素としてPbを含有する目的組成のPZT系材料を採用しているが、例えばAサイト元素としてPbの他にSr、Ba等の複数の元素を含有するPZT系材料を採用することもできる。この場合には、Aサイト/Bサイト比(モル比)は、(Pb+Sr、Ba等のその他の元素)/(Zr+Ti+Y+Nb)という式に基づいて算出することができる。
次に、ドクターブレード法により、スラリー状のセラミック原料をキャリアフィルム上に塗布し、図4〜図7に示すごとく、厚さ80μmの長尺のグリーンシート(第1グリーンシート101及び第2グリーンシート102)を成形した。本例においては、上述のAサイト/Bサイト比が異なる2種類のセラミック原料を用いて2種類のグリーンシート101、102を作製した。これらのグリーンシートのうち、Aサイト/Bサイト比が大きな方を第2グリーンシート102とし、小さい方を第1グリーンシート101とする。これらのグリーンシートを所定の大きさに切断して、幅広の第1グリーンシート101及び第2グリーンシート102(図4〜図7参照)を作製した。
なお、グリーンシートの成形方法としては、本例で用いたドクターブレード法のほか、押出成形法やその他種々の方法を採用することができる。
<電極材料配設工程>
次に、図4及び図5に示すごとく、第1グリーンシート101上の内部電極部を形成する所定の領域に電極材料130、140を印刷し、第1電極配設シート105を作製した。電極材料は、後述の積層及び切断時に積層体の異なる側面に電極材料の端部が露出するように第1グリーンシート110上に異なる2種類のパターン130、140で印刷した。また、同様にして第2グリーンシート102上にも電極材料130、140を印刷し、第2電極配設シート106を作製した(図6及び図7参照)。
なお、本例では、電極材料130、140として、ペースト状のAg/Pd合金を用いた。また、上記以外にも、Ag、Pd、Cu、Ni等の単体、Cu/Ni等の合金を用いることができる。
<緩和部形成材料配設工程>
また、本例では、製造しようとする積層型圧電素子1のセラミック積層体15の側面に
応力緩和部11(図1〜図3参照)を設けるため、図8に示すごとく、緩和部配設シート107を作製する緩和部形成材料配設工程を行った。
同図に示すごとく、第1グリーンシート101上において、最終的に応力緩和部となる所定の領域に、焼成によって消失する消失材料を含有する緩和部形成材料110を印刷した。これにより、緩和部配設シート107を形成した。
なお、本例では、消失材料として、熱変形が小さく、焼成工程によって形成される溝の形状精度を高く維持し得るカーボン粒子よりなる材料を用いた。また、カーボン粒子以外にも、炭化させたパウダー状の炭化有機物粒子を用いることもできる。この炭化有機物粒子は、パウダー状の有機物粒子を炭化して得ることができるほか、炭化させた有機物を粉砕して得ることもできる。さらに、上記有機物としては、樹脂等の高分子材料や、コーン、大豆、小麦粉等の穀物を用いることができる。この場合には、製造コストを抑制することができる。緩和部形成材料110としては、消失材料にバインダー等を適量加えたペースト状の材料を用いた。
また、上述の電極材料配設工程及び緩和部形成材料配設工程では、図2及び図3に示すごとく焼成後に得られるセラミック積層体15において、その側面151からの応力緩和部の深さ115が内部電極非形成領域の後退距離135よりも大きくなるように、電極材料及び緩和部形成材料を配設した(図4〜図8参照)。また、図4〜図8に示すごとく、後工程の積層体切断工程において切断される部分を避けるように間隙104を空けて、電極材料130、140、及び緩和部形成材料110の印刷を行う。つまり、グリーンシート101(102)上の隣接する印刷領域103の間に間隙104を設けて印刷を行う。
<積層工程>
次に、図9に示すごとく、第1電極配設シート105を積層した。このとき、第1電極配設シート105を電極材料のパターン130、140が交互になるように複数積層し、上記応力緩和部を形成したい位置に緩和部配設シート107を挿入して積層した。具体的には、本例においては、第1電極配設シート105の積層構造11層毎に緩和部配設シート107を積層した。また、上述の絶縁低下層に位置する層には、第1電極配設シート105のかわりに第2電極配設シート106を積層した。このようにして、第1電極配設シート105及び第2電極配設シート106とが合計で59枚となるように積層し、さらに積層方向の両端に電極材料及び緩和部形成材料が印刷されていないグリーンシート101(第1グリーンシート)を積層した。
このようにして積層したシートを温度100℃で加熱すると共に、積層方向に50MPaで加圧し、予備積層体100を作製した。なお、図9においては、図面作成の便宜のため、実際の積層数を省略した形式で予備積層体100を示してある。
<積層体切断工程>
次に、図10〜図12に示すごとく、形成した予備積層体100を所定の切断位置190に沿って積層方向に切断し、中間積層体10を形成した。
なお、予備積層体100の切断は、各中間積層体10ごとに切断してもよいし、複数の中間積層体10を含むように切断してもよい。本例においては、各中間積層体10ごとに切断し、各電極材料130、140及び緩和部形成材料110が中間積層体10の側面に露出するように切断を行った。
なお、図11及び図12においては、図面作成の便宜のため、実際の積層数を省略した形式で予備積層体100及び中間積層体10を示してある。
次に、中間積層体10のグリーンシート101(102)に含有されているバインダ樹脂を加熱除去した(脱脂)。加熱は、80時間かけて徐々に500℃まで昇温し、5時間保持することにより行った。
<焼成工程>
次いで、脱脂した中間積層体10を焼成した。焼成は、温度1050℃まで12時間かけて徐々に昇温させ、2時間保持後、徐々に冷却することにより行った。
このようにして、緩和部形成材料110が消失して形成されたスリット状の応力緩和部11を有するセラミック積層体15が作製される(図1〜図3参照)。図1〜図3に示すごとく、応力緩和部11は、セラミック積層体15の側面全周に渡ってスリット状の空間を設けてなる。また、同図に示すごとく、作製されたセラミック積層体15においては、第1グリーンシート101が焼結してなる圧電セラミック層10と電極材料130、140により形成された内部電極部131、141を含む内部電極層13、14とが交互に積層されている。絶縁低下層10bに位置する圧電セラミック層10は、第2グリーンシート102が焼結してなる。
そして、焼成後、全面研磨を行って縦6mm×横6mm×高さ4.4mmのセラミック積層体15を作製した。
<側面電極形成工程>
次いで、セラミック積層体15の両側面を挟むように、Ag電極を焼付け、側面電極17、18を形成した。このとき、各内部電極層13、14は、内部電極部131、141においてそれぞれ交互に異なる側面の側面電極17、18に電気的に接続される。
以上のようにして、図1〜図3に示すごとく、積層型圧電素子1を作製した。
なお、図1及び図2においては、図面作成の便宜のため、実際の積層数を省略した形式で積層型圧電素子1を示してある。
本例においては、絶縁低下層10bとその他の圧電セラミック層10とのAサイト/Bサイト比が異なる10種類の積層型圧電素子(試料X1〜X10)を作製した。
即ち、試料X1は、絶縁低下層10b及びその他の圧電ラミック層10のAサイト/Bサイト比がすべて1.01の積層型圧電素子1である。
試料X2及び試料X3は、絶縁低下層10bのAサイト/Bサイト比がそれぞれ1.005及び1.002で、絶縁低下層10b以外のその他の圧電セラミック層10のAサイト/Bサイト比が1.01の積層型圧電素子1である。
試料X4〜試料X6は、絶縁低下層10bのAサイト/Bサイト比がそれぞれ1.01、1.005、及び1.002で、絶縁低下層10b以外のその他の圧電セラミック層10のAサイト/Bサイト比が1.005の積層型圧電素子1である。
試料X7〜試料X10は、絶縁低下層10bのAサイト/Bサイト比がそれぞれ1.01、1.005、1.003、及び1.002で、絶縁低下層10b以外のその他の圧電セラミック層10のAサイト/Bサイト比が1.002の積層型圧電素子1である。
各試料(試料X1〜X10)における絶縁低下層10bのAサイト/Bサイト比と、その他の圧電セラミック層10のAサイト/Bサイト比を後述の表1に示す。
次に、各試料の積層型圧電素子の耐久性を調べた。
「耐久性試験」
温度200℃の条件下で、各試料の積層型圧電素子に3.1kV/mmの電界を印加し、積層型圧電素子を駆動させた。次いで、各試料を、既知の抵抗値をとる抵抗Rに直列につないで回路を構築した。そして、各試料に電界を印加しながら、抵抗Rにかかる電圧(漏れ電流値)をデジタルメータで読み取った。算出される素子(試料)の絶縁抵抗が10MΩを下回った場合を素子の寿命とし、そのときの時間(寿命)を計測した。その結果を表1に示す。
Figure 2010225911
表1より知られるごとく、絶縁低下層以外の圧電セラミック層のAサイト/Bサイト比が同じもの同士、即ち、試料X1〜試料X3、試料X4〜試料X6、及び試料X7〜試料X10の各グループ内における試料同士をそれぞれ比較すると、絶縁低下層のAサイト/Bサイト比がその他の圧電セラミック層のAサイト/Bサイト比に比べて大きくなっている試料(試料X4、及び試料X7〜試料X9)は、寿命が向上していることがわかる。また、各試料においては、応力緩和層も駆動するため、変位量を損ねることもない。
したがって、本例によれば、絶縁低下層のAサイト/Bサイト比をその他の圧電セラミック層のAサイト/Bサイト比よりも大きくすることにより、変位量を損ねることなく絶縁抵抗の低下を抑制でき、積層型圧電素子の寿命を向上できることがわかる。
また、上述の例においては、応力緩和部11をセラミック積層体15の側面全周に渡って形成したが(図1〜図3参照)、図13に示すごとく、セラミック積層体15の側面151に交互に露出する応力緩和部を、異なる層に形成することもできる。即ち、例えばセラミック積層体15の断面において、その対向する側面151のうち一方の側面に露出する応力緩和部11を交互に形成することができる。この場合においも、内部電極層13、14に挟まれ、応力緩和部11を含む圧電セラミック層が応力緩和層10aとなる。そして、応力緩和層10aを挟んで隣接する2つの内部電極層13、14のうち負極側の側面電極17に電気的に接続された内部電極層を基準電極層14aとすると、この基準電極層14aを挟んで隣接する2つの圧電セラミック層10a、10bのうち、応力緩和層10aではない方の圧電セラミック層が絶縁低下層10bとなる。この場合においても絶縁低下層10bのAサイト/Bサイト比をその他の圧電セラミック層10のAサイト/Bサイト比よりも大きくすることにより、積層型圧電素子の絶縁抵抗の低下を抑制することができ、寿命を向上させることができる。なお、図13においては、図面作成の便宜のため、実際の積層数を省略した形式で積層型圧電素子1を示してある。
また、本例において、内部電極部131、141及び応力緩和部11は、図14に示す組み合わせのパターンで形成した。同図は、セラミック積層体15の各圧電セラミック層10を部分的に展開した図を示す。ただし、本発明はこのパターンに限定されるものではない。セラミック積層体15は、これを積層方向に透視した場合に、すべての内部電極部131が重合する領域である重合部と、少なくとも一部の内部電極部131しか重合しない、あるいは全く重合しない領域である非重合部とを有するが、応力緩和部11は、少なくとも上記非重合部に形成することができる。
内部電極部131、141と応力緩和部1との組み合わせパターンのバリエーションを図15(a)〜(c)に示す。いずれのパターンで形成しても、本発明の効果は十分に発揮される。
(実施例2)
本例は、応力緩和層のAサイト/Bサイト比をその他の圧電セラミック層のAサイト/Bサイト比よりも大きくした積層型圧電素子の例である。本例の積層型圧電素子は、応力緩和層のAサイト/Bサイト比を大きくした点を除いては、実施例1の積層型圧電素子と同様の構成を有している。
即ち、図16〜図18に示すごとく、本例の積層型圧電素子2は、実施例1と同様に、複数の圧電セラミック層20と複数の内部電極層23、24とを交互に積層してなるセラミック積層体25と、その積層方向と垂直な方向の側面に形成された一対の側面電極27、28とを有する。圧電セラミック層20は、基本組成式ABO3で表されるPZT系材料を主成分とする。内部電極層23、24は、導電性を有する内部電極部231、241と、その外周端部がセラミック積層体25の外周面よりも内方に所定の後退距離235で後退した内部電極非形成領域232、242とを有し、内部電極層23、24は、交互に異なる側面電極27、28に電気的に接続されている。また、セラミック積層体25は、その側面から内方に凹むスリット状の領域に、圧電セラミック層20よりも形状を容易に変化し得る応力緩和部21を有する。本例においても、実施例1と同様に、応力緩和部21は、セラミック積層体25の側面251から内方に凹んだスリット状の溝部(空間)であり、セラミック積層体25の外周面全周に渡って周方向に形成されている。
本例の積層型圧電素子2において、応力緩和部21を含む圧電セラミック層20を応力緩和層20aとすると、応力緩和層20aは、その他の圧電セラミック層20に比べてAサイト/Bサイト比が大きなPZT系材料を主成分とする。
次に、本例の積層型圧電素子の製造方法につき、図4〜図7及び図16〜図23を用いて説明する。
本例においては、実施例1と同様に、第1シート形成工程、第2シート形成工程、電極材料配設工程、緩和部形成材料配設工程、積層工程、焼成工程、及び側面電極形成工程を行うことにより、積層型圧電素子を作製する。
第1シート形成工程においては、セラミックス原料を含有し、焼成後に基本組成式ABO3で表されるPZT系材料を主成分とする圧電セラミック層となる第1グリーンシート101を形成する(図4及び図5参照)。具体的には、焼成後に基本組成式ABO3で表されるPZT系材料を生成するスラリー状又はペースト状の第1セラミック原料をシート状に成形して第1グリーンシート101を形成する。
第2シート形成工程においても、セラミックス原料を含有し、焼成後に基本組成式ABO3で表される上記PZT系材料を主成分とする圧電セラミック層となる第2グリーンシート102を形成する(図6及び図7参照)。この第2シート形成工程においては、第1グリーンシートに比べて焼成後の上記PZT系材料のAサイト/Bサイト比が大きくなるように第2セラミック原料の組成を調製し、この第2セラミック原料をシート状に成形して第2グリーンシート102を形成する。
電極材料配設工程においては、図4〜図7に示すごとく、第1グリーンシート101及び第2グリーンシート102上の印刷領域103において上記内部電極部を形成する部分に、電極材料130、140を配設して電極配設シート105、106を作製する。これにより、図4及び図5に示すごとく、第1グリーンシート101上に電極材料130、140が配設された第1電極配設シート105と、図6及び図7に示すごとく、第2グリーンシート102上に電極材料130、140が配設された第2電極配設シート106を得る。
次に、緩和部形成材料配設工程においては、図19に示すごとく、第2グリーンシート102上において上記応力緩和部を形成する部分に、焼成時に消失する消失材料を含有する緩和部形成材料110を配設して緩和部配設シート107を作製する。
積層工程においては、図20に示すごとく、電極配設シート105、106を複数積層すると共に、積層方向に任意の間隔を開けて電極配設シート間に緩和部配設シート107を積層し、中間積層体20(予備積層体200)を作製する。このとき、緩和部配設材料110を挟む2つのグリーンシートがいずれも第2グリーンシート102となるように、緩和部配設シート107上には、第2電極配設シート106を積層配置し、その他の位置には第1電極配設シート105を配設する。
焼成工程においては、中間積層体20を焼成してセラミック積層体25を作製する(図16〜図18参照)。
また、側面電極形成工程においては、セラミック積層体25の側面に導電性金属を焼付けて側面電極27、28を形成する(図16〜図18参照)。
以下、本例の製造方法を各工程ごとに詳細に説明する。
<第1シート形成工程及び第2シート形成工程>
実施例1と同様にして、Aサイト/Bサイト比が異なる第1グリーンシートと第2グリーンシートを作製した。
<電極材料配設工程>
次に、実施例1と同様に、第1グリーンシート101及び第2グリーンシート102上に、電極材料130、140を印刷し、第1電極配設シート105及び第2電極配設シート106を作製した(図4〜図7参照)。
<緩和部形成材料配設工程>
次に、図19に示すごとく、第2グリーンシート102上において、最終的に応力緩和部となる所定の領域に、焼成によって消失する消失材料を含有する緩和部形成材料110を印刷し、緩和部配設シート107を形成した。緩和部形成材料配設工程は、第2グリーンシート102を用いた点を除いては、実施例1と同様にして行った。
<積層工程>
次に、図20に示すごとく、第1電極配設シート105を積層した。このとき、第1電極配設シート上に形成された電極材料のパターン130、140が交互になるように第1電極配設シート105を複数積層し、上記応力緩和部を形成したい位置に緩和部配設シート107を挿入して積層した。具体的には、本例においては、第1電極配設シート105の積層構造11層毎に緩和部配設シート107を積層した。また、積層時には、緩和部配設材料110を挟む2つのグリーンシートがいずれも第2グリーンシート102となるように、緩和部配設シート107上には第1電極配設シート105の代わりに第2電極配設シート106を積層配置した。
このようにして、第1電極配設シート105及び第2電極配設シート106とが合計で59枚となるように積層し、さらに積層方向の両端に電極材料及び緩和部形成材料が印刷されていないグリーンシート101(第1グリーンシート)を積層した。
次いで、積層したシートを温度100℃で加熱すると共に、積層方向に50MPaで加圧し、予備積層体200を作製した。なお、図20においては、図面作成の便宜のため、実際の積層数を省略した形式で予備積層体200を示してある。
<積層体切断工程>
次に、実施例1と同様に予備積層体200を所定の切断位置290に沿って積層方向に切断し、中間積層体20を作製した(図21〜図23)。本例においては、各中間積層体20ごとに切断し、各電極材料130、140及び緩和部形成材料110が中間積層体20の側面に露出するように切断を行った。なお、図22及び図23においては、図面作成の便宜のため、実際の積層数を省略した形式で予備積層体200及び中間積層体20を示してある。
次に、中間積層体20のグリーンシート101(102)に含有されているバインダ樹脂を加熱除去した(脱脂)。加熱は、80時間かけて徐々に500℃まで昇温し、5時間保持することにより行った。
<焼成工程>
次いで、脱脂した中間積層体20を焼成した。焼成は、実施例1と同様に、温度1050℃まで12時間かけて徐々に昇温させ、2時間保持後、徐々に冷却することにより行った。
このようにして、緩和部形成材料110が消失して形成されたスリット状の応力緩和部21を有するセラミック積層体25が作製される(図16〜図18参照)。図16〜図18に示すごとく、応力緩和部21は、セラミック積層体25の側面全周に渡ってスリット状の空間を設けてなる。また、同図に示すごとく、作製されたセラミック積層体25においては、第1グリーンシート101が焼結してなる圧電セラミック層20と電極材料130、140により形成された内部電極部231、241を含む内部電極層23、24とが交互に積層されている。また、内部電極層23、24に挟まれた圧電セラミック層20のうち、応力緩和部21を含む圧電セラミック層20a(応力緩和層20a)は、第2グリーンシート102が焼結してなる。
そして、焼成後、全面研磨を行って縦6mm×横6mm×高さ4.4mmのセラミック積層体15を作製した。
<側面電極形成工程>
次いで、実施例1と同様に、セラミック積層体25の両側面を挟むように、Ag電極を焼付け、側面電極27、28を形成した。このとき、各内部電極層23、24は、内部電極部231、241においてそれぞれ交互に異なる側面の側面電極27、28に電気的に接続される。
以上のようにして、図16〜図18に示すごとく、積層型圧電素子2を作製した。
なお、図16及び図17においては、図面作成の便宜のため、実際の積層数を省略した形式で積層型圧電素子2を示してある。
本例においては、応力緩和層20aとその他の圧電セラミック層20とのAサイト/Bサイト比が異なる10種類の積層型圧電素子(試料Y1〜Y10)を作製した。
即ち、試料Y1は、応力緩和層及びその他の圧電ラミック層のAサイト/Bサイト比がすべて1.01の積層型圧電素子2である。
試料Y2及び試料Y3は、応力緩和層20aのAサイト/Bサイト比がそれぞれ1.005及び1.002で、応力緩和層20a以外のその他の圧電セラミック層20のAサイト/Bサイト比が1.01の積層型圧電素子2である。
試料Y4〜試料Y6は、応力緩和層20aのAサイト/Bサイト比がそれぞれ1.01、1.005、及び1.002で、応力緩和層20a以外のその他の圧電セラミック層20のAサイト/Bサイト比が1.005の積層型圧電素子2である。
試料Y7〜試料Y10は、応力緩和層20aのAサイト/Bサイト比がそれぞれ1.01、1.005、1.003、及び1.002で、応力緩和層20a以外のその他の圧電セラミック層20のAサイト/Bサイト比が1.002の積層型圧電素子2である。
各試料(試料X1〜X10)における応力緩和層20aのAサイト/Bサイト比と、その他の圧電セラミック層20のAサイト/Bサイト比を後述の表2に示す。
各試料Y1〜Y10についても実施例1と同様に耐久性試験を行って、寿命を計測した。その結果を表2に示す。
Figure 2010225911
表2より知られるごとく、応力緩和層以外の圧電セラミック層のAサイト/Bサイト比が同じもの同士、即ち、試料Y1〜試料Y3、試料Y4〜試料Y6、及び試料Y7〜試料Y10の各グループ内の試料同士をそれぞれ比較すると、応力緩和層のAサイト/Bサイト比がその他の圧電セラミック層のAサイト/Bサイト比よりも大きくなっている試料(試料Y4、及び試料Y7〜試料Y9)は、寿命が向上していることがわかる。また、各試料においては、応力緩和層も駆動するため、変位量を損ねることもない。
したがって、本例によれば、応力緩和層のAサイト/Bサイト比をその他の圧電セラミック層のAサイト/Bサイト比よりも大きくすることにより、変位量を損ねることなく絶縁抵抗の低下を抑制でき、積層型圧電素子の寿命を向上できることがわかる。
上述の積層型圧電素子の例においては、応力緩和部21をセラミック積層体15の側面全周に渡って形成し、応力緩和部21を、内部電極層23、24間の圧電セラミック層20(20a)内に、内部電極層23、24に接触しないように形成したが(図16〜図18参照)、例えば図24に示すごとく、応力緩和部21は、内部電極層23、24と略同じ層に、これに接触するように形成することもできる。この場合には、内部電極層23、24における控え部232、242に応力緩和部21を形成するのではなく、内部電極部231、241と側面電極27、28とが電気的に接続する側の側面に露出する応力緩和部21を形成することができる。
この場合においも、内部電極層23、24に挟まれ、応力緩和部11を含む圧電セラミック層が応力緩和層20aとなり、この場合においても応力緩和層20aのAサイト/Bサイト比をその他の圧電セラミック層20のAサイト/Bサイト比よりも大きくすることにより、積層型圧電素子の絶縁抵抗の低下を抑制することができ、寿命を向上させることができる。なお、図24においては、図面作成の便宜のため、実際の積層数を省略した形式で積層型圧電素子2を示してある。
(実施例3)
本例は、Pb酸化物を含有する緩和部形成材料を用いて応力緩和部を形成してなる積層型圧電素子の例である。本例の積層型圧電素子は、Pb酸化物を含有する緩和部形成材料を用いて応力緩和部を形成し、絶縁低下層とその他の圧電セラミック層とを同じ組成のPZT系材料で形成した点を除いては、実施例1と同様の構成を有している。
即ち、図25〜図27に示すごとく、本例の積層型圧電素子3は、実施例1と同様に、複数の圧電セラミック層30と複数の内部電極層33、34とを交互に積層してなるセラミック積層体35と、その積層方向と垂直な方向の側面に形成された一対の側面電極37、38とを有する。圧電セラミック層30は、基本組成式ABO3で表されるPZT系材料を主成分とする。内部電極層33、34は、導電性を有する内部電極部331、341と、その外周端部がセラミック積層体35の外周面351よりも内方に所定の後退距離で後退した内部電極非形成領域332、342とを有し、内部電極層33、34は、内部電極部331、341が積層体35の外周面351に露出する部分で、交互に異なる側面電極37、38に電気的に接続されている。また、セラミック積層体35は、その側面から内方に凹むスリット状の領域に、圧電セラミック層30よりも形状を容易に変化し得る応力緩和部21を有する。本例においても、実施例1と同様に、応力緩和部31は、セラミック積層体35の側面351から内方に凹んだスリット状の溝部(空間)であり、セラミック積層体35の外周面全周に渡って周方向に形成されている。
本例の積層型圧電素子2において、応力緩和部31は、消失材料の他にPb酸化物を含む緩和部形成材料を焼成してなる。焼成時には、消失材料が消失してスリット状の溝部(応力緩和部)が形成されると共にその周囲にPbが拡散する。そのため、応力緩和部31の周辺には、周囲よりもPb濃度が高いPBリッチ領域315が形成されていると考えられる。
次に、本例の積層型圧電素子の製造方法につき、図4、図5、及び図25〜図30を用いて説明する。
本例においては、シート形成工程と、電極材料配設工程、緩和部形成材料配設工程、積層工程、焼成工程、及び側面電極形成工程を行うことにより、積層型圧電素子を作製する。
シート形成工程においては、セラミックス原料を含有し、焼成後に上記圧電セラミック層となるグリーンシートを形成する。具体的には、焼成後に基本組成式ABO3で表されるPZT系材料を生成するスラリー状又はペースト状のセラミック原料をシート状に成形してグリーンシート101を形成する(図4及び図5参照)。
電極材料配設工程においては、図4及び図5に示すごとく、グリーンシート101上の印刷領域103において内部電極部を形成する部分に、電極材料130、140を配設して電極配設シート105を作製する。
緩和部形成材料配設工程においては、図28に示すごとく、グリーンシート101上の印刷領域103において上記応力緩和部を形成する部分に、緩和部形成材料310を配設して緩和部配設シート307を作製する。本例においては、緩和部形成材料310として、消失材料とPb酸化物とを含有するものを採用する。
次に、積層工程においては、図29及び図30に示すごとく、電極配設シート105を複数積層すると共に、積層方向に任意の間隔を開けて電極配設シート105間に緩和部配設シート307を積層し、中間積層体30(予備積層体300)を作製する。
焼成工程においては、中間積層体30を焼成してセラミック積層体35を作製する(図30及び図25〜図27参照)。
また、側面電極形成工程においては、セラミック積層体35の側面に導電性金属を焼付けて側面電極37、38を形成する(図25〜図27参照)。
以下、本例の製造方法を各工程ごとに詳細に説明する。
<シート形成工程>
実施例1の第1グリーンシートと同様にしてグリーンシート101を作製した(図4及び図5参照)。
<電極材料配設工程>
次に、実施例1と同様に、グリーンシート101上に、電極材料130、140を印刷し、電極配設シート105を作製した(図4及び図5参照)。
<緩和部形成材料配設工程>
次に、図29に示すごとく、第1グリーンシート101上の印刷領域103において、最終的に応力緩和部となる所定の領域に緩和部形成材料310を印刷した。これにより、緩和部配設シート307を形成した。本例においては、緩和部形成材料130として、カーボン粒子よりなる消失材料と、酸化鉛(PbO)とを含有するペースト状の材料を用いた。
<積層工程>
次に、図29に示すごとく、第1電極配設シート105を積層し、温度100℃で加熱すると共に、積層方向に50MPaで加圧し、予備積層体300を作製した。積層時には、第1電極配設シート105を電極材料のパターン130、140が交互になるように複数積層し、上記応力緩和部を形成したい位置に緩和部配設シート307を挿入して積層した。具体的には、本例においては、第1電極配設シート105の積層構造11層毎に緩和部配設シート307を積層した。このようにして、第1電極配設シート105が合計で59枚となるように積層し、さらに積層方向の両端に電極材料及び緩和部形成材料が印刷されていないグリーンシート101を積層した。
<積層体切断工程>
次に、実施例1と同様に、予備積層体300を所定の切断位置390に沿って積層方向に切断し、中間積層体30を形成した(図29及び図30参照)。
なお、図29及び図30においては、図面作成の便宜のため、実際の積層数を省略した形式で予備積層体300及び中間積層体30を示してある。
次に、中間積層体30のグリーンシート101等に含有されているバインダ樹脂を加熱除去した(脱脂)。加熱は、80時間かけて徐々に500℃まで昇温し、5時間保持することにより行った。
<焼成工程>
次いで、脱脂した中間積層体30を焼成した。焼成は、実施例1と同様に、温度1050℃まで12時間かけて徐々に昇温させ、2時間保持後、徐々に冷却することにより行った。この焼成により、グリーンシート101が焼結して圧電セラミック層30が形成され、電極材料130、140から内部電極部331、341が形成される(図25〜図27参照)。また、緩和部形成材料310の消失材料が焼成により消失してスリット状の応力緩和部31が形成されると共に、緩和部形成材料310中に含まれるPbOからPbが応力緩和部31周辺の圧電セラミック層30に拡散する。
そして、焼成後、全面研磨を行って、図25〜図27に示すごとく、縦6mm×横6mm×高さ4.4mmのセラミック積層体35を作製した。
<側面電極形成工程>
次いで、実施例1と同様に、セラミック積層体35の両側面を挟むように、Ag電極を焼付け、側面電極37、38を形成した。このとき、各内部電極層33、34は、内部電極部331、341においてそれぞれ交互に異なる側面の側面電極37、38に電気的に接続される。
以上のようにして、、図25〜図27に示すごとく、積層型圧電素子3を作製した。
なお、図25及び図26においては、図面作成の便宜のため、実際の積層数を省略した形式で積層型圧電素子3を示してある。
本例においては、上記緩和部形成材料配設工程において、緩和部形成材料におけるPbOの配合割合を変えて複数の積層型圧電素子(試料Z2〜試料Z6)を作製した。また、比較用としてPbOの代わりにZrO2を所定の配合割合で含有する緩和部形成材料を用いて積層型圧電素子(試料Z7及び試料Z8)を作製した。また、比較用として、消失材料のみを含有し、酸化物の添加剤を含まない緩和部形成材料を用いて積層型圧電素子(試料Z1)を作製した。
即ち、試料Z1は、酸化物からなる添加剤を含有せず、カーボンからなる消失材料のみを含有するペースト状の緩和部形成材料を用いて応力緩和部を形成してなる積層型圧電素子である。
試料Z2〜試料Z6は、カーボンからなる消失材料100質量部に対してPbOをそれぞれ0.5、1、5、10、20質量部含有するペースト状の緩和部形成材料を用いて応力緩和部を形成してなる積層型圧電素子である。
試料Z7及び試料Z8は、カーボンからなる消失材料100質量部に対してZrO2をそれぞれ5及び20質量部含有するペースト状の緩和部形成材料を用いて応力緩和部を形成してなる積層型圧電素子である。
各試料(試料Z1〜試料Z8)について、その作製に用いたPbO及びZrO2の添加量を後述の表3に示す。表3において、PbO又はZrO2の添加量は、消失材料100質量部に対する添加量(質量部)を示す。
各試料Z1〜Z8について、実施例1と同様に耐久性試験を行って、寿命を計測した。その結果を表3に示す。
Figure 2010225911
表3より知られるごとく、PbOを添加して作製した試料Z2〜試料Z6は、試料Z1に比べて寿命が向上していることがわかる。特にPbOを消失材料100質量部に対して1〜10質量部添加して作製した試料Z3〜試料Z5は、試料Z1に比べて、寿命が2.5倍になっており、大きく向上していた。
これに対し、ZrO2を添加して作製した試料Z7及び試料Z8においては、試料Z1に比べて寿命が低下していた。
また、本例の積層型圧電素子3において、各圧電セラミック層30は、異なる二つの側面電極37、38に電気的に接続する内部電極層33、34に挟まれており、電圧印加により駆動することができ、変位量を損ねることもない(図25〜図27参照)。
したがって、本例によれば、消失材料にPbOを添加した緩和部形成材料を用いて応力緩和部を形成することにより、変位量を損ねることなく絶縁抵抗の低下を抑制でき、積層型圧電素子の寿命を向上できることがわかる。
また、本例においては、Pb酸化物としてPbOを用いたが、その他にもPb34、あるいはPT(チタン酸鉛)、PZ(ジルコン酸鉛)、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等のようなPbの複合酸化物等を用いることもできる。
1 積層型圧電素子
10 圧電セラミック層
10a 応力緩和層
10b 絶縁低下層
11 応力緩和部
13 内部電極層
13a 基準電極層
131 内部電極部
132 内部電極非形成領域
14 内部電極層
141 内部電極部
142 内部電極非形成領域
15 セラミック積層体
17 側面電極
18 側面電極

Claims (11)

  1. 基本組成式ABO3で表されるPZT系材料を主成分とする複数の圧電セラミック層と複数の内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の積層方向と垂直な方向の側面に形成された一対の側面電極とを有する積層型圧電素子において、
    上記内部電極層は、導電性を有する内部電極部と、該内部電極部の外周端部が上記セラミック積層体の外周面よりも内方に所定の後退距離で後退した内部電極非形成領域とを有し、上記内部電極部においていずれか一方の上記側面電極に交互に電気的に接続しており、
    上記セラミック積層体は、該セラミック積層体の側面から内方に所定の深さで凹むスリット状の応力緩和部を有し、
    該応力緩和部を含む上記圧電セラミック層を応力緩和層とし、上記セラミック積層体の積層方向において上記応力緩和層を挟んで隣接する2つの上記内部電極層のうち負極側の上記側面電極に電気的に接続された上記内部電極層を基準電極層とし、該基準電極層を挟んで隣接する2つの上記圧電セラミック層のうち、上記応力緩和層ではない方を絶縁低下層とすると、上記応力緩和層及び/又は上記絶縁低下層は、その他の上記圧電セラミック層に比べてAサイト/Bサイト比が大きなPZT系材料を主成分とすることを特徴とする積層型圧電素子。
  2. 請求項1において、上記積層型圧電素子内のすべての上記圧電セラミック層においては、該圧電セラミック層を構成する上記PZT系材料の上記Aサイト/Bサイト比が1.005以下になっていることを特徴とする積層型圧電素子。
  3. 請求項1又は2において、上記応力緩和層及び/又は上記絶縁低下層は、その他の上記圧電セラミック層に比べてAサイト/Bサイト比が少なくとも0.001以上大きくなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項において、上記基準電極層における上記内部電極非形成領域の上記後退距離は、上記積層型圧電素子の積層方向において上記基準電極層の最も近くに存在する上記応力緩和部の深さよりも小さくなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
  5. 基本組成式ABO3で表されるPZT系材料を主成分とする複数の圧電セラミック層と複数の内部電極層とを交互に積層してなるセラミック積層体と、該セラミック積層体の積層方向と垂直な方向の側面に形成された一対の側面電極とを有する積層型圧電素子において、
    上記内部電極層は、導電性を有する内部電極部と、該内部電極部の外周端部が上記セラミック積層体の外周面よりも内方に所定の後退距離で後退した内部電極非形成領域とを有し、上記内部電極部においていずれか一方の上記側面電極に交互に電気的に接続しており、
    上記セラミック積層体は、該セラミック積層体の側面から内方に所定の深さで凹むスリット状の応力緩和部を有し、
    該応力緩和部は、焼成時に消失する消失材料とPb酸化物とを含有する緩和部形成材料を焼成してなることを特徴とする積層型圧電素子。
  6. 請求項5において、上記セラミック積層体は、セラミックス原料を含有し、焼成後に上記圧電セラミック層となるグリーンシートを形成するシート形成工程と、上記グリーンシート上において上記内部電極部を形成する部分に、電極材料を配設して電極配設シートを作製する電極材料配設工程と、上記グリーンシート上において上記応力緩和部を形成する部分に、上記緩和部形成材料を配設して緩和部配設シートを作製する緩和部形成材料配設工程と、上記電極配設シートを複数積層すると共に、積層方向に任意の間隔を開けて上記電極配設シート間に上記緩和部配設シートを積層し、中間積層体を作製する積層工程と、上記中間積層体を焼成して上記セラミック積層体を作製する焼成工程とを行うことにより得られることを特徴とする積層型圧電素子。
  7. 請求項5又は6において、上記緩和部形成材料は、上記Pb酸化物としてPbOを含有することを特徴とする積層型圧電素子。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項において、上記緩和部形成材料は、上記消失材料100質量部に対してPb酸化物をPbO換算で20質量部以下含有することを特徴とする積層型圧電素子。
  9. 請求項5〜8のいずれか一項において、上記応力緩和部を含む上記圧電セラミック層を応力緩和層とし、上記セラミック積層体の積層方向において上記応力緩和層を挟んで隣接する2つの上記内部電極層のうち負極側の上記側面電極に電気的に接続された上記内部電極層を基準電極層とすると、上記基準電極層における上記内部電極非形成領域の上記後退距離は、上記積層型圧電素子の積層方向において上記基準電極層の最も近くに存在する上記応力緩和部の深さよりも小さくなっていることを特徴とする積層型圧電素子。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項において、上記内部電極部は、AgPd合金を主成分とすることを特徴とする積層型圧電素子。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項において、上記積層型圧電素子は、燃料噴射弁に用いられることを特徴とする積層型圧電素子。
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CN104350765A (zh) * 2012-11-30 2015-02-11 京瓷株式会社 压电致动器、压电振动装置以及便携终端
WO2024101849A1 (ko) * 2022-11-09 2024-05-16 주식회사 아모센스 압전 세라믹 대량생산 방법 및 압전 세라믹 대량 소성용 분리용 시트

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CN104350765A (zh) * 2012-11-30 2015-02-11 京瓷株式会社 压电致动器、压电振动装置以及便携终端
WO2024101849A1 (ko) * 2022-11-09 2024-05-16 주식회사 아모센스 압전 세라믹 대량생산 방법 및 압전 세라믹 대량 소성용 분리용 시트

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