JP2009168897A - 自発光型表示装置およびそのデータ書き込み方法 - Google Patents

自発光型表示装置およびそのデータ書き込み方法 Download PDF

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Abstract

【課題】データ書込時に発光素子の一方電極の電位変動により生じる影響(横クロストーク)を防止または抑制する。
【解決手段】書込走査線WSLおよび映像信号線DTLを介して駆動回路によって制御される画素回路が、一方電極(ソースノードNDs)の電位(Vs)によって印加電圧値が変化する発光素子(有機発光ダイオード)と、制御ノードNDcを有する駆動トランジスタと、サンプリングトランジスタと、保持キャパシタと、を含む。駆動回路は、データ電位Vsigの書込期間において、書込走査線WSLを活性化して映像信号線DTLの一定電位(例えば、データ基準電位Vo)をサンプリングし(時間T19)、所定時間の経過後の(時間T18´に)データ電位Vsigの出現によりこれがサンプリングされた後に、書込走査線WSLを非活性にする(時間T20)。
【選択図】図14

Description

本発明は、複数の画素回路と駆動回路を有し、映像信号線と電源走査線と書込走査線が複数の画素回路に対し配線され、各画素回路が、発光素子、駆動トランジスタ、サンプリングトランジスタおよび保持キャパシタを含む自発光型表示装置と、そのデータ書き込み方法に関する。
発光素子として有機ELデバイスを用いた自発光型表示装置の開発が近年盛んになっている。有機ELデバイスは有機薄膜を有し、有機薄膜に電界をかけると発光する現象を利用したデバイスである。
有機ELデバイスは印加電圧が10[V]以下で駆動するため低消費電力である。有機ELデバイスは自ら光を発する自発光素子であるため、これを有する表示装置は、照明部を必要とせず軽量化及び薄型化が容易である。有機ELデバイスの応答速度は数[μs]程度と非常に高速なので、有機ELデバイスを用いた表示装置は動画表示時の残像が発生しない。
有機ELデバイスを自発光素子として用いる自発光型表示装置の中でも、とりわけ駆動素子として薄膜トランジスタを各画素に集積形成したアクティブマトリクス型の表示装置の開発が盛んである。
自発光素子を有するアクティブマトリクス型の表示装置であって、データ電位に応じた駆動電流が流入する側の自発光素子の一方電極(アノード電極)に対し、補助キャパシタ(追加容量)を接続させた表示装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
図16に、画素回路の基本構成の等価回路図(特許文献1の図8)を、参照符号を一部変更して転記する。
発光素子は、本例では有機発光ダイオードOLEDであり、図16では、有機発光ダイオードOLEDを、その等価容量Coled.により示している。また、特許文献1の図8に示す、電源電圧Vddの供給線と駆動トランジスタの間に接続され(符号Tr4により示す)トランジスタは、画素回路の構成によっては不要であるため、ここでの図示を省略している。
有機発光ダイオードOLEDの他方電極(カソード)の電位がカソード電位Vcathで固定されているため、一方電極(アノード)の電位(アノード電位)Vaによって有機発光ダイオードOLEDに印加される電圧が制御される。有機発光ダイオードOLEDのアノードに対し、駆動トランジスタMdを介して電源電圧Vddの供給線が接続可能となっている。駆動トランジスタMdは、そのゲート(制御ノード)に入力されるデータ電位Vsigに応じてドレイン電流Idsの大きさが制御され、これによりソース電位、即ち有機発光ダイオードOLEDのアノード電位Vaが決まる。
駆動トランジスタMdのゲートとソース間に、データ電位Vsigを保持する目的で保持キャパシタCsが接続されている。駆動トランジスタMdのゲートと映像信号線DTLの間に、映像信号のデータ電位VsigをサンプリングするサンプリングトランジスタMsが接続されている。
サンプリングトランジスタは、そのゲートに接続される書込走査線(不図示)の電位に応じて制御され、書込走査線が活性化されたときにオンして、ドレインに接続されている映像信号線の電位をサンプリングし、サンプリング後の電位を、ソースに接続されている駆動トランジスタの制御ノードに伝達する。
ここで映像信号は一定の基準電位(以下、データ基準電位Voという)の印加と、データ基準電位Voから任意の電位を持つデータパルスDPの印加とが繰り返された波形を有する。データパルスDPの電位がデータ電位Vsigであり、表示階調を決めるデータ電圧Vinは、データ電位Vsigからデータ基準電位Voを差し引いた上記データパルスDPの波高値に該当する。
駆動トランジスタMdのゲートとソース間に保持キャパシタCsが接続されている。
このような構成の画素回路では、駆動トランジスタMdのゲートソース間電圧Vgsが、そのまま保持キャパシタCsの保持電圧となる。言い換えると、駆動トランジスタのソース電位(有機発光ダイオードOLEDのアノード電位Va)を基準として、駆動トランジスタのゲートに与えられる電位“Vsig−Va”の大きさで、保持キャパシタCsの保持電圧値が決められる。
駆動トランジスタMdは、そのゲートソース間電圧Vgsに応じたドレイン電流Idsを流すことから、データ電圧Vin(データパルスDPの波高値)を保持キャパシタCsに正確に入力し、保持させる必要がある。
そのためには、データ電圧Vinの入力に先立って、駆動トランジスタMdのソース(発光素子の一方電極、本例ではアノード)の電位(アノード電位Va)を、映像信号のデータ基準電位Voにより初期化する。そして、サンプリングトランジスタMsによるデータ電位Vsigのサンプリングによって、駆動トランジスタMdの制御ノードにデータ電位Vsigを入力する。
データ電位Vsigの入力によって駆動トランジスタMdの制御ノード(ゲート)の電位が上昇すると、駆動トランジスタMdのソース電位(アノード電位Va)もデータ基準電位Voから上昇する。データ電圧Vinを保持キャパシタCsに100[%]保持させるには、データ電位Vsigを入力する時の駆動トランジスタMdのソース電位(アノード電位Va)の変動量をほぼゼロとする必要がある。
しかしながら、データ電位Vsigの入力によって駆動トランジスタMdが流す電流値が増大し、この電流値の増大によって、駆動トランジスタMdのソース電位(アノード電位Va)が容易に上昇しようとする。
そこで、特許文献1に記載されている画素回路では、駆動トランジスタのソースに接続されている容量値を大きくする目的で、有機発光ダイオードOLEDと並列に補助キャパシタCsubが接続されている。
ドレイン電流Idsは、有機発光ダイオードOLEDの容量Coled.と、補助キャパシタCsubと、駆動トランジスタMd等の寄生容量との合成容量を充電する。ドレイン電流Idsがデータ電位Vsigの入力によって増加し、このとき補助キャパシタCsubがある程度大きいと、ドレイン電流Idsの増加分は上記合成容量を充電するのに費やされ、アノード電位Vaが殆ど上昇しないようにすることできる。この場合、実際に保持キャパシタCsに保持される電圧と、所望のデータ電圧Vinとの比率で定義される“書き込みゲイン”が“1”に近いものとなる。
このように、補助キャパシタCsubはデータ電圧Vinを画素回路に書き込む際に、データ書き込みの効率(書き込みゲイン)を上げる作用効果がある。
特開2007−102046号公報
特許文献1に記載された画素回路に限らないことであるが、データの書き込み時にデータ基準電位Voを維持すべき駆動トランジスタMdのソース電位(アノード電位Va)が、データの書き込み時に発生するノイズの影響で変動することがある。その原因は、画素回路のサイズが小さくなると、サンプリングトランジスタMsのオンするための書込走査線(不図示)の電位上昇が、書込走査線に回路としては直接、接続されていなくても、書込走査線と近接するために電気的に容量結合した回路部分を介して駆動トランジスタMdのソース電位に影響することが考えられる。
本発明者は、上記特許文献1に記載の補助キャパシタCsubを、当該補助キャパシタCsubと同じ画素内の一定電位線ではなく、隣接する他の画素回路が有する電源電圧の供給制御線(電源走査線)に接続させた画素回路構成を提案している(特願平2006−209327号)。
この先に出願された画素回路構成で、サンプリングトランジスタMsのゲートに接続された書込走査線と、隣接画素の電源走査線とが寄生容量で結合していると、書込走査線の電位上昇によって、隣接画素の電源走査線の電位が上昇し、この電位上昇が、さらに補助キャパシタCsubを介して駆動トランジスタMdのソース電位を上昇させることが考えられる。
このようなソース電位の上昇はノイズに因るもので一時的なため、一般には、画質への影響は考え難い。
しかしながら、実際には、ノイズによるソース電位の変動が、いわゆる“横クロストーク”と称される画質の低下の原因となる場合がある。
より詳細には、ノイズによる駆動トランジスタのソース電位変動の影響が、データ電圧を書き込もうとする画素ラインの、ある表示階調パターンで顕在化して画質に影響し、本来は白表示とすべき画素の輝度が低下する現象が観察される。特に表示画素ライン内に、黒表示の画素が比較的多く存在すると、その横に存在する白表示領域で画素の輝度が低下するため、この現象を“横クロストーク”と呼ぶ。
このデータ書き込み時の動作に起因した表示輝度の低下(横クロストーク)は、本発明者の解析によって始めて明らかとなった新たな現象である。補助キャパシタを隣接する画素の電源走査線に接続した画素回路において、横クロストークが、より顕在化しやすい。ただし、補助キャパシタを設けない場合でも、画素回路の面積が縮小されることなどによって、サンプリングトランジスタの活性化が駆動トランジスタのソース電位にノイズを与える場合がある。この場合もノイズによって横クロストークの画質低下が発生する可能性がある。
本発明は、データ書き込み時に発光素子の一方電極の電位変動により生じる影響を防止または抑制する画素回路の駆動手段を有する自発光型表示装置と、その駆動方法を提案するものである。
本発明の一形態(第1形態)に関わる自発光型表示装置は、行列状に配置される複数の画素回路と、書込走査線と映像信号線を含み、行または列の一方向で画素回路を接続する複数の画素接続線と、前記複数の画素接続線の電位を制御する駆動回路と、を有する。
前記画素回路は、一方電極の電位によって印加電圧値が変化する発光素子と、電源供給線と前記一方電極との間に接続される駆動トランジスタと、前記映像信号線と前記駆動トランジスタの制御ノードとの間に接続されるサンプリングトランジスタと、前記制御ノードに結合する保持キャパシタと、を含む。
前記駆動回路は、前記駆動トランジスタに対しデータ電位の書き込みを制御する期間において、前記映像信号線に前記データ電位が出現する時より所定時間だけ前に、前記書込走査線を活性化して前記映像信号線に出現する一定電位をサンプリングし、前記データ電位の出現により当該データ電位がサンプリングされて前記制御ノードに書き込まれた後に、前記書込走査線を非活性にする。
本発明の他の形態(第2形態)に関わる自発光型表示装置は、上記第1形態において、前記映像信号線に出現する一定のデータ基準電位をサンプリングし、前記駆動トランジスタの閾値電圧補正を行い、当該閾値電圧補正後の、前記駆動トランジスタに対しデータ電位の書き込みを制御する期間において、前記一定電位の前記サンプリングを行う。
本発明の他の形態(第3形態)に関わる自発光型表示装置は、上記第1形態において、前記駆動回路は、前記一定電位の前記サンプリング時に前記書込走査線を活性化することに起因して発生する、前記一方電極の一時的な電位変動の収束を待って、前記データ電位をサンプリングする。
本発明の他の形態(第4形態)に関わる自発光型表示装置は、上記第1形態において、前記一定電位は、前記データ電位との電位差が発光階調に対応するデータ基準電位である。
本発明の他の形態(第5形態)に関わる自発光型表示装置は、上記第1形態において、前記一定電位は、前記データ電位との電位差が発光階調に対応するデータ基準電位と、前記データ電位の最大値(即ち、白発光時のデータ電位)との間の電位である。
本発明の他の形態(第6形態)に関わる自発光型表示装置は、上記第1形態において、前記複数の画素接続線に、隣の画素回路の前記書込走査線と近接して配置され、前記駆動トランジスタの電源供給を制御する電源走査線を含み、前記画素回路は、当該画素回路の前記一方電極と、隣接する他の画素回路を制御する前記電源走査線との間に接続される補助キャパシタを有する。
本発明の他の形態(第7形態)に関わる自発光型表示装置のデータ書き込み方法は、発光素子の一方電極と電源走査線との間に駆動トランジスタが接続され、当該駆動トランジスタの制御ノードと映像信号線との間にサンプリングトランジスタが接続される画素回路を有する自発光型表示装置のデータ書き込み方法である。このデータ書き込み方法において、前記データ電位の書き込みを制御する期間内の処理が、以下の諸ステップを含む。
(1)前記映像信号線にデータ電位が出現する時より所定時間だけ前に、前記書込走査線を活性化して前記サンプリングトランジスタをオンし、前記映像信号線の一定電位をサンプリングするステップ
(2)前記サンプリングトランジスタをオンしたまま、前記映像信号線にデータ電位を出現させることにより、当該データ電位を前記サンプリングトランジスタによってサンプリングし、サンプリング後の前記データ電位を前記制御ノードに書き込むステップ
(3)前記データ電位の書き込み後に、前記書込走査線を非活性にするステップ
本発明の他の形態(第8〜10形態)は、自発光型表示装置に関わる上記第4〜6形態の特徴を、データ書き込み方法に適用したものである。
以上のように構成される第1〜第10形態によれば、以下のような作用がある。
駆動トランジスタに対しデータ電位の書き込みを制御する期間において、映像信号線に一定電位が出現する期間と、その一定電位より高い(低くても可)電位のデータ電位が出現する期間が存在する。最初に、映像信号線にデータ電位が出現する時より所定時間だけ前の一定電位の出現中に、書込走査線が駆動回路によって活性化される。書込走査線はサンプリングトランジスタのゲートに接続されているため、書込走査線の活性化によってサンプリングトランジスタがオンする。すると、このとき映像信号線に出現している一定電位がサンプリングされて、駆動トランジスタの制御ノードに出力される。
書込走査線の活性化時の電位変化が、寄生容量等を介して駆動トランジスタのソース等の電位を変動させる場合がある。たとえば、駆動トランジスタのソースが発光素子の一方電極に接続されていると、この一方電極の電位が変動する。
電位変動は活性化時の電位変化に起因し、寄生容量等を介して伝達されるノイズである場合、所定の時間が立つと収束して消滅する(第3形態参照)。
第1〜第10形態では、一定電位のサンプリングから所定時間経過してから、データ電位のサンプリングが行われる。よって、所定時間の長さにもよるが、発光素子の一方電極の電位変動が消滅してから、あるいは、ある程度、変動が収まってからデータ電位のサンプリングのタイミングを決めることができる。
データ電位のサンプリングは、書込走査線を活性化した状態で、映像信号線にデータ電位のパルスが出現することで開始される。つまり、サンプリングトランジスタがオンの状態で、そのソース電位が一定電位から、これとは異なるデータ電位に変化すると、その変化分であるデータ電圧(一定電位がデータ基準電位の場合は、画素表示の階調値を決める電圧)が、オン状態のサンプリングトランジスタを介して駆動トランジスタの制御ノードに入力され、書き込まれる。このとき、既に発光素子の一方電極の電位変動が消滅しているか、あるいは、ある程度収束して小さくなっているとすると、データの書き込み時のサンプリングに、一方電極の電位変動が実質的に影響しない。よって、画素の表示階調値(発光する場合は発光量)が所望のものとなる。
ところで、発光素子の一方電極の電位を一定電位とする目的で、映像信号線の一定電位(この場合、一定電位はデータ基準電位)は閾値電圧補正の前に初期化時にサンプリングされることがある。第2形態は、第1形態で言う「一定電位のサンプリング」が、この閾値電圧補正前の一定電位のサンプリングとは異なることを示すものである。
第4および第8形態は、サンプリングされる一定電位が発光階調を決めるデータ電圧(データ基準電位とデータ電位との差)の当該データ基準電位であることを規定する。
第5および第9形態は、サンプリングされる一定電位が、データ基準電位とデータ電位の最大値(即ち、白発光時のデータ電位)との間の電位であってもよいことを規定する。
以上の、データ書き込み期間における2度のサンプリングを、時間をずらして行うことで、「発光素子の一方電極の電位変動が、画素の表示階調値に影響しない」という作用は、画素回路が補助キャパシタを有している場合(第6形態参照)に、特に有効である。
第6形態では、補助キャパシタが、発光素子の一方電極と、隣の画素の電源走査線との間に形成されている場合を規定する。この場合に、書込走査線と、隣の画素の電源走査線は共に一方向に配線され、近接して設けられることが多い。仮にそうだとすると、書込走査線の活性化の電位変動が、寄生容量により電気的に結合することになる電源走査線において電位変動を発生させる。発生した電位変動は、電源走査線内を殆ど減衰することなく隣の画素内の補助キャパシタにまで伝送され、さらに、補助キャパシタを介して発光素子の一方電極まで容易に伝わる。このため、本発明を適用しないと、一方電極の大きな電位変動で画素表示にも大きな影響がでる。よって、一方電極に大きな電位変動が生じる第6形態のような場合に、上述した時間をずらした2度のサンプリングの作用も、より大きいものとなる。
本発明によれば、データ書き込み時に発光素子の一方電極の電位変動により生じる影響を防止または抑制する画素回路の駆動手段を有する自発光型表示装置と、その駆動方法を提供できる。
以下、本発明の実施形態を、2T・1C型の画素回路を有する有機ELディスプレイを主な例として、図面を参照して説明する。
<全体構成>
図1に、本発明の実施形態に関わる有機ELディスプレイの主要構成を示す。
図解する有機ELディスプレイ1は、複数の画素回路(PXLC)3(i,j)がマトリクス状に配置されている画素アレイ2と、画素アレイ2を駆動する垂直駆動回路(Vスキャナ)4および水平駆動回路(Hセレクタ:HSEL)5とを含む。
Vスキャナ4は、画素回路3の構成により複数設けられている。ここではVスキャナ4が、水平画素ライン駆動回路(DSCN)41と、書き込み信号走査回路(WSCN)42とを含んで構成されている。Vスキャナ4およびHセレクタ5は「駆動回路」の一部であり、「駆動回路」は、Vスキャナ4とHセレクタ5の他に、これらにクロック信号を与える回路や制御回路(CPU等)など、不図示の回路も含む。
図1に示す画素回路の符号「3(i,j)」は、当該画素回路が垂直方向(縦方向)のアドレスi(i=1,2)と、水平方向(横方向)のアドレスj(j=1,2,3)を持つことを意味する。これらのアドレスiとjは最大値をそれぞれ「n」と「m」とする1以上の整数をとる。ここでは図の簡略化のためn=2、m=3の場合を示す。
このアドレス表記は、以後の説明や図面において画素回路の素子、信号や信号線ならびに電圧等についても同様に適用する。
画素回路3(1,1)、3(2,1)が垂直方向の映像信号線DTL(1)に接続されている。同様に、画素回路3(1,2)、3(2,2)が垂直方向の映像信号線DTL(2)に接続され、画素回路3(1,3)、3(2,3)が垂直方向の映像信号線DTL(3)に接続されている。映像信号線DTL(1)〜DTL(3)は、Hセレクタ5によって駆動される。
第1行の画素回路3(1,1)、3(1,2)および3(1,3)が書込走査線WSL(1)に接続されている。同様に、第2行の画素回路3(2,1)、3(2,2)および3(2,3)が書込走査線WSL(2)に接続されている。書込走査線WSL(1),WSL(2)は、水平画素ライン駆動回路41によって駆動される。
また、第1行の画素回路3(1,1)、3(1,2)および3(1,3)が電源走査線DSL(1)に接続されている。同様に、第2行の画素回路3(2,1)、3(2,2)および3(2,3)が電源走査線DSL(2)に接続されている。電源走査線DSL(1),DSL(2)は、書き込み信号走査回路42によって駆動される。
映像信号線DTL(1)〜DTL(3)を含むm本の映像信号線の何れか1本を、以下、符号「DTL(j)またはDTL」により表記する。同様に、書込走査線WSL(1),WSL(2)を含むn本の書込走査線の何れか1本を符号「WSL(i)またはWSL」により表記し、電源走査線DSL(1),DSL(2)を含むn本の電源走査線の何れか1本を符号「DSL(i)またはDSL」により表記する。
映像信号線DTL(j)に対し、表示画素行(表示ラインともいう)を単位として一斉に映像信号が排出される線順次駆動、あるいは、同一行の映像信号線DTL(j)に順次、映像信号が排出される点順次駆動があるが、本実施形態では、そのどの駆動法でもよい。
<画素回路>
図2に、画素回路3(i,j)の一構成例を示す。
図解する画素回路3(i,j)は、有機発光ダイオードOLEDを制御する回路である。画素回路は、有機発光ダイオードOLEDの他に、NMOSタイプのTFTからなる駆動トランジスタMdおよびサンプリングトランジスタMsと、保持キャパシタCsとを有する。
有機発光ダイオードOLEDは、特に図示しないが、例えば上面発光型の場合、透明ガラス等からなる基板に形成されたTFT構造の上にアノード電極を最初に形成し、その上に、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層等を順次堆積させて有機多層膜を構成する積層体を形成し、積層体の上に透明電極材料からなるカソード電極を形成した構造を有する。アノード電極が正側の電源に接続され、カソード電極が負側の電源に接続される。
有機発光ダイオードOLEDのアノードとカソードの電極間に所定の電界が得られるバイアス電圧を印加すると、注入された電子と正孔が発光層において再結合する際に有機多層膜が自発光する。有機発光ダイオードOLEDは、有機多層膜を構成する有機材料を適宜選択することで赤(R),緑(G),青(B)の各色での発光が可能であることから、この有機材料を、例えば各行の画素にR,G,Bの発光が可能に配列することで、カラー表示が可能となる。あるいは、白色発光の有機材料を用いて、フィルタの色でR,G,Bの区別を行ってもよい。R,G,Bの他にW(ホワイト)を加えた4色構成でもよい。
駆動トランジスタMdは、有機発光ダイオードOLEDに流す電流量を制御して表示階調を規定する電流制御手段として機能する。
駆動トランジスタMdのドレインが、電源電圧VDDの供給を制御する電源走査線DSL(i)に接続され、ソースが有機発光ダイオードOLEDのアノードに接続されている。有機発光ダイオードOLEDのアノード電極が「一方電極」に該当する。
サンプリングトランジスタMsは、画素階調を決めるデータ電位Vsigの供給線(映像信号線DTL(j))と駆動トランジスタMdのゲート(制御ノードNDc)との間に接続されている。サンプリングトランジスタMsのソースとドレインの一方が駆動トランジスタMdのゲート(制御ノードNDc)に接続され、もう片方が映像信号線DTL(j)に接続されている。映像信号線DTL(j)に、Hセレクタ5(図1参照)からデータ電位Vsigを持つデータパルスが所定の間隔で供給される。サンプリングトランジスタMsは、データ電位の供給期間(データパルスの持続時間(duration time))の適正なタイミングで、当該画素回路で表示すべきレベルのデータをサンプリングする。これは、サンプリングすべき所望のデータ電位Vsigを持つデータパルスの前部または後部における、レベルが不安定な遷移期間の表示映像に与える影響を排除するためである。
駆動トランジスタMdのゲート(制御ノード)とソース(有機発光ダイオードOLEDのアノードをなす一方電極)との間に、保持キャパシタCsが接続されている。保持キャパシタCsの役割については、後述の動作説明で明らかにする。
図2では、水平画素ライン駆動回路41により、低電位Vcc_Lを基準とした高電位Vcc_Hの波高値が電源電圧VDDとなる電源駆動パルスDS(i)が駆動トランジスタMdのドレインに供給され、駆動トランジスタMdの補正時や有機発光ダイオードOLEDが実際に発光する時の電源供給が行われる。
また、書き込み信号走査回路42により、比較的短い持続時間の書込駆動パルスWS(i)がサンプリングトランジスタMsのゲートに供給され、サンプリング制御が行われる。
なお、電源供給の制御は、駆動トランジスタMdのドレインと電源電圧VDDの供給線との間にトランジスタをもう1つ挿入し、そのゲートを水平画素ライン駆動回路41により制御する構成であってもよい(後述の変形例参照)。
図2では有機発光ダイオードOLEDの一方電極(アノード)が駆動トランジスタMdを介して正側の電源から電源電圧VDDの供給を受ける。有機発光ダイオードOLEDのカソードが、カソード電位Vcathを供給する所定の電圧線(例えば、負側の電源線)に接続されている。
通常、画素回路内の全てのトランジスタはTFTで形成されている。TFTのチャネルが形成される薄膜半導体層は、多結晶シリコン(ポリシリコン)または非晶質シリコン(アモルファスシリコン)等の半導体材料からなる。ポリシリコンTFTは移動度を高くとれるが特性ばらつきが大きいため、表示装置の大画面化に適さない。よって、大画面を有する表示装置では、一般に、アモルファスシリコンTFTが用いられる。ただし、アモルファスシリコンTFTではPチャネル型TFTが形成し難いため、上述した画素回路3(i,j)のように、すべてのTFTをNチャネル型とすることが望ましい。
ここで、以上の画素回路3(i,j)は、本実施形態で適用可能な画素回路の一例、即ち2トランジスタ(2T)・1キャパシタ(1C)型の基本構成例である。よって、本実施形態で用いることができる画素回路は、上記画素回路3(i,j)を基本構成として、さらにトランジスタやキャパシタを付加した画素回路であってもよい(後述の変形例参照)。また、基本構成において、保持キャパシタCsを電源電圧VDDの供給線と駆動トランジスタMdのゲートとの間に接続するものもある。
具体的に、本実施形態で採用可能な2T・1C型以外の画素回路として、後述する変形例で幾つかを簡単に述べるが、例えば、4T・1C型、4T・2C型、5T・1C型、3T・1C型などであってもよい。
図2の構成を基本とする画素回路では、閾値電圧補正時や移動度補正時に有機発光ダイオードOLEDを逆バイアスすると、詳細は後述するが、有機発光ダイオードOLEDの逆バイアス時の等価容量値が保持キャパシタCsの値より十分大きくできるため、有機発光ダイオードOLEDのアノードが電位的に動き難くなるため、補正精度が向上する。このため、逆バイアス状態で補正を行うことが望ましい。
カソード電位Vcathを接地せずに、カソードを所定の電圧線に接続しているのは、逆バイアスを行うためである。有機発光ダイオードOLEDを逆バイアスするには、例えば、電源駆動パルスDS(i)の基準電位(低電位Vcc_L)より、カソード電位Vcathを小さくする。
データの書き込み時に、有機発光ダイオードOLEDのアノード電位を更に動き難くして電位的に固定するには、有機発光ダイオードOLEDのアノードからみた容量値を大きくするとよい。この目的で、有機発光ダイオードOLEDのアノードに補助キャパシタが接続される。この補助キャパシタの有無によって、動作タイミング制御自体が変更されないので、先に動作(表示制御)を説明する。
<表示制御>
図2の回路におけるデータ書き込み時の動作を、閾値電圧と移動度の補正動作と併せて説明する。これらの一連の動作を「表示制御」という。
最初に、補正対象となる駆動トランジスタと有機発光ダイオードOLEDの特性について説明する。
図2に示す駆動トランジスタMdの制御ノードNDcには、保持キャパシタCsが結合されている。映像信号線DTL(j)を伝送するデータパルスの有効電位であるデータ電位VsigがサンプリングトランジスタMsでサンプリングされ、これにより得られた電位が制御ノードNDcに印加され、保持キャパシタCsで保持される。駆動トランジスタMdのゲートに所定の電位が印加された時、そのドレイン電流Idsは、印加電位に応じた値を持つゲートソース間電圧Vgsに応じて決まる。
ここで駆動トランジスタMdのソース電位Vsを、上記データパルスの基準電位(データ基準電位Vo)に初期化してから、サンプリングを行うとする。サンプリング後のデータ電位Vsig、より正確には、データ基準電位Voとデータ電位Vsigとの電位差で規定されるデータ電圧Vinの大きさに応じたドレイン電流Idsが駆動トランジスタMdに流れ、これがほぼ、有機発光ダイオードOLEDの駆動電流Idとなる。
よって、駆動トランジスタMdのソース電位Vsがデータ基準電位Voで初期化されている場合、有機発光ダイオードOLEDがデータ電位Vsigに応じた輝度で発光する。
図3に、有機発光ダイオードOLEDのI−V特性のグラフと、駆動トランジスタMdのドレイン電流Ids(OLEDの駆動電流Idにほぼ相当)の一般式を示す。
有機発光ダイオードOLEDは、よく知られているように、経時変化によりI−V特性が図3のように変化する。このとき、図2の画素回路では、駆動トランジスタMdが一定のドレイン電流Idsを流そうとしても、図3に示すグラフから分かるように有機発光ダイオードOLEDの印加電圧が大きくなるため、有機発光ダイオードOLEDのソース電位Vsが上昇する。このとき駆動トランジスタMdのゲートはフローティング状態であるため、ほぼ一定のゲートソース間電圧Vgsが維持されるように、ソース電位と共にゲート電位も上昇し、ドレイン電流Idsはほぼ一定に保たれ、このことが有機発光ダイオードOLEDの発光輝度を変化させないように作用する。
しかしながら、画素回路ごとに駆動トランジスタMdの閾値電圧Vth、移動度μが異なっているため、図3の式に応じて、ドレイン電流Idsにバラツキが生じ、表示画面内で与えられているデータ電位Vsigが同じ2つの画素であっても、当該2つの画素間で発光輝度が異なる。
なお、図3の式において、符号“Ids”は、飽和領域で動作する駆動トランジスタMdのドレインとソース間に流れる電流を表す。また、当該駆動トランジスタMdにおいて、“Vth”が閾値電圧を、“μ”が移動度を、“W”が実効チャネル幅(実効ゲート幅)を、“L”が実効チャネル長(実効ゲート長)を、それぞれ表す。また、“Cox”が当該駆動トランジスタMdの単位ゲート容量、即ち単位面積当たりのゲート酸化膜容量と、ソースやドレインとゲート間のフリンジング容量との総和を表す。
Nチャネル型の駆動トランジスタMdを有する画素回路は、駆動能力が高く製造プロセスを簡略化できる利点があるが、閾値電圧Vthや移動度μのばらつきを抑えるため、それらの補正動作を、発光可能なバイアス設定に先立って行う必要がある。
つぎに、図4を用いて具体的な制御の説明に移るが、この図4は、本発明が適用される前の制御を示している。
以下、図4における期間を定義し、制御の全体を図4の時間軸に沿って詳しく説明した上で、図4の制御での不具合(横クロストークの発生)、図4の制御に対する本発明の適用(本実施形態の特徴)とその効果の順で説明する。
図4(A)〜図4(F)は、表示制御における各種信号や電圧の波形を示すタイミングチャートである。ここでの表示制御では行単位でデータ書き込みを順次行うものとし、第1行の画素回路3(1,j)が書き込み対象の行(表示行)であり、第2行の画素回路3(2,j)と第3行の画素回路3(3,j)は、図4の時点では書き込み対象でない(非表示行である)。表示行に対し、図4に示し、これから説明する表示制御によってデータが書かれた後は、表示行が第2行に移り同様な表示制御が行われ、同様な表示制御が第3行、第4行、…と繰り返されることによって1画面が表示される。1画面の表示後は、同様にして他の画面表示のための表示制御が、必要な回数繰り返される。
図4(A)は、映像信号Ssigの波形図である。
図4(B1)と図4(B2)は、書込対象の第1行に供給される書込駆動パルスWS(1)と電源駆動パルスDS(1)の波形図である。同様にして、図4(C1)と図4(C2)は、非書込対象の第2行に供給される書込駆動パルスWS(2)と電源駆動パルスDS(2)の波形図、図4(D1)と図4(D2)は、非書込対象の第3行に供給される書込駆動パルスWS(3)と電源駆動パルスDS(3)の波形図である。
図4(E)は、書込対象の第1行の画素回路3(1,j)における駆動トランジスタMdのゲート電位(制御ノードNDcの電位)の波形図である。
図4(F)は、書込対象の第1行の画素回路3(1,j)における駆動トランジスタMdのソース電位(有機発光ダイオードOLEDのアノード電位)の波形図である。
[期間の定義]
図4(F)の下部に記載している通り、図4は、NTSC映像信号規格の1水平期間(1H)に対し、その約4倍強のスパンで波形図を表示している。そして、その最後の1水平期間(1H)で、最終的な3回目の第3閾値補正(VTC3)と、移動度の補正および実際のデータ書き込み(W&μ)とを連続して実行する(本動作)。その最後の1水平期間(1H)に行われる本動作より前の3水平期間((1H)×3)は、専ら、初期化のためと、最終的な閾値補正では時間が短くて補正しきれない場合を考慮して、ある程度まで閾値補正を予め2度行うために費やされる(予備動作)。
図4のような表示制御は、表示画像の高解像度化が進展し、表示パネルの駆動周波数が非常に高くなっている現状では、短い1水平期間(1H)で閾値電圧補正からデータ書き込みまで一挙に行うことができず、とくに閾値補正の時間が不足することに鑑み、閾値補正を数回に分けて行うものである。ただし、駆動周波数が余り高くない小型から中型の表示パネル等で、本動作の時間が1水平期間(1H)で十分なら、初期化のために1水平期間(1H)もあれば予備動作としては十分な場合もある。もちろん、予備動作が2水平期間(2H)であってもよいし、4水平期間(4H)以上であってもよい。
ある行に対して本動作を行っているときは、次の行(および、その次以降の行、…、)について予備動作を並列に実行できるため、予備動作時間の長短は全体の表示期間にほとんど影響しない。むしろ、閾値電圧補正を確実に行う意味で、予備動作を十分に行ったほうが望ましい。
以上は1水平期間(1H)という一定尺度で見た期間の区分であるが、図4(F)に記載した大よそ4水平期間を機能的に把握することも可能である。
具体的に図4(A)の上部に記載しているように、(1フィールドまたは1フレーム)前画面の発光期間(LM0)の後に時系列の順で、放電期間(D−CHG)、初期化期間(INT)、第1閾値補正期間(VTC1)、第1待機期間(WAT1)、第2閾値補正期間(VTC2)、第2待機期間(WAT2)を経て「予備動作」が実行される。また、続いて、第3閾値補正(VTC3)、第3待機期間(WAT3)、書込み&移動度補正期間(W&μ)を経て、当該第1行の画素回路3(1,j)の発光期間(LM1)に推移することによって「本動作」が実行される。
[駆動パルスの概略]
また、図4では、波形図の適当な箇所に時間表示を符号“T0”〜“T21”により示している。つぎに、この時間表示を参照して映像信号や駆動パルスの概略を説明する。
第1行に供給される書込駆動パルスWS(1)では、図4(B1)に示すように、“L”レベルで非アクティブ、“H”レベルでアクティブの4つのサンプリングパルス(SP0〜SP3)が周期的に出現する。このとき4つのサンプリングパルス(SP0〜SP3)の周期は、予備動作(時間T0〜時間T15)および本動作(時間T15以後)を通じて一定である。ただし、本動作における書込駆動パルスWS(1)は、4つ目のサンプリングパルス(SP3)の後に書き込みパルス(WP)が重畳された波形となる。
これに対し、m本(数百〜千数百本)の映像信号線DTL(j)(図1および図2参照)に供給される映像信号Ssigは、線順次表示ではm本の映像信号線DTL(j)に同時に供給される。そして、映像信号Ssigをサンプリング後に得られるデータ電圧を反映した信号振幅(Vin)は、図4(A)に示すように、1水平期間(1H)の前半部分で繰り返し出現するデータ基準電位Voを基準とした、1水平期間(1H)の後半部分に繰り返し出現する映像信号パルス(PP)の波高値に相当する。以下、信号振幅(Vin)をデータ電圧Vinと呼ぶ。
図4(A)に示す幾つかの映像信号パルス(PP)のうち、第1行にとって重要な映像信号パルスは、書き込みパルス(WP)と時間的に重なる本動作時の映像信号パルス(PPx)である。本動作時の映像信号パルス(PPx)のデータ基準電位Voからの波高値が、図4で表示させたい(書き込みたい)階調値、即ちデータ電圧Vinの大きさに該当する。この階調値(=Vin)は、第1行の各画素で同じ場合(単色表示の場合)もあるが、通常、表示画素行の階調値に応じて変化している。図4は、主として、第1行内における1つの画素についての動作を説明するためのものであるが、同一行の他の画素では、この表示階調値が異なることがある以外、制御自体は、図示の画素駆動制御と並列に実行される。
駆動トランジスタMdのドレイン(図2参照)に供給される電源駆動パルスDS(1)は、図4(B2)に示すように、時間T0から最初の第1閾値補正期間(VTC1)の開始(時間T6)直前まで非アクティブの低電位Vcc_Lで保持され、第1閾値補正期間(VTC1)の開始とほぼ同時に(時間T6)、アクティブの高電位Vcc_Hに推移する。高電位Vcc_Hの保持は、発光期間(LM1)が終了するまで続く。
第2行(の画素回路3(2,j))、第3行(の画素回路3(3,j))については、それぞれ、図4(C1)と図4(C2)、図4(D1)と図4(D2)に示すように、1水平期間(1H)ずつ各パルスが遅れて印加される。
具体的には、第1行の第1閾値補正期間(VTC1)に対応する2つ目のサンプリングパルス(SP1)が印加される時間T5〜T7の期間に、第2行では、初期化期間(INT)に対応する1つ目のサンプリングパルス(SP0)が印加される。
このパルス印加の途中、即ち時間T6で第1行の電源駆動パルスDS(1)がハイレベル(電源電位Vcc_H)に立ち上がりアクティブとなる。
その後、第1行の第2閾値補正期間(VTC2)に対応する3つ目のサンプリングパルス(SP2)が印加される時間T10〜T12の期間に、第2行では、第1行から1水平期間(1H)遅れて上記2つ目のサンプリングパルス(SP1)が印加され、第3行では、第1行から2水平周期((1H)×2)遅れて上記1つ目のサンプリングパルス(SP0)が印加される。
このパルス印加の途中、即ち時間T11で第2行の電源駆動パルスDS(2)が高電位Vcc_Hに立ち上がりアクティブとなる。
その後、第1行の第3閾値補正期間(VTC3)に対応する4つ目のサンプリングパルス(SP3)が印加される時間T15〜T17の期間に、第2行では、第1行から1水平期間(1H)遅れて上記3つ目のサンプリングパルス(SP2)が印加され、第3行では、第1行から2水平周期((1H)×2)遅れて上記2つ目のサンプリングパルス(SP1)が印加される。
このパルス印加の途中、即ち時間T16で第3行の電源駆動パルスDS(3)が高電位Vcc_Hに立ち上がりアクティブとなる。
以上のようにしてパルス印加のタイミング設計を行うと、ある行の本動作を行っている期間に、その1〜数水平期間後に本動作を行う他の数行分の予備動作を並列に実行することから、本動作に限ってみると行単位でシームレスに、その実行がなされる。よって、最初の数水平期間以外は無駄な期間は発生しない。
表示画面は通常、数百〜千数百の行を有するため、1画面表示中における1〜数水平期間という時間は無視できるほど短い。したがって、閾値電圧補正を数回に分けても時間的な損失は実質的に生じない。
つぎに、以上のパルス制御の下における、図4(E)および図4(F)に示す駆動トランジスタMdのソースやゲートの電位変化と、それに伴う動作を、図4(A)に示す期間ごとに説明する。
なお、ここでは図5(A)〜図7(B)に示す第1行の画素回路3(1,j)の予備動作説明図、図8に示すソース電位Vsの時間推移のグラフ、図9(A)〜図9(C)に示す第1行の画素回路3(1,j)の本動作説明図、ならびに、図2等を適宜参照する。
[前画面の発光期間(LM0)]
第1行の画素回路3(1,j)について、時間T0以前の1フィールドまたは1フレームだけ前の画面(以下、前画面という)についての発光期間(LM0)では、図4(B1)に示すように書込駆動パルスWS(1)が“L”レベルであるため、サンプリングトランジスタMsがオフしている。また、図4(B2)に示すように、電源駆動パルスDS(1)が高電位Vcc_Hの印加状態にある。
このとき、図5(A)に示すように、前画面のデータ書き込み動作によって駆動トランジスタMdのゲートに入力され保持されているデータ電圧Vin0に応じて、有機発光ダイオードOLEDが発光状態にあるとする。駆動トランジスタMdは飽和領域で動作するように設定されているため、有機発光ダイオードOLEDに流れる駆動電流Id(=Ids)は、保持キャパシタCsに保持されている駆動トランジスタMdのゲートソース間電圧Vgsに応じて、前述した図3に示す式から算出される値をとる。
[放電期間(D−CHG)]
図4において時間T0から、線順次走査の新しい画面表示に関する処理が開始される。
時間T0になると、水平画素ライン駆動回路41(図2参照)が、図4(B2)に示すように、電源駆動パルスDS(1)を高電位Vcc_Hから低電位Vcc_Lに切り替える。駆動トランジスタMdは、今までドレインとして機能していたノードの電位が低電位Vcc_Lにまで急激に落とされ、ソースとドレインの電位が逆転するため、今までドレインであったノードをソースとし、今までソースであったノードをドレインとして、当該ドレインの電位(ただし、図の表記ではソース電位Vsのままとする)を引き抜くディスチャージ動作が行われる。
したがって、図5(B)に示すように、今までとは逆向きのドレイン電流Idsが駆動トランジスタMdに流れる。この駆動トランジスタMdに逆向きの電流が流れる期間を、図4や図5(B)では「放電期間(D−CHG)」と表記している。
放電期間(D−CHG)が開始されると、図4(F)に示すように、時間T0を境に駆動トランジスタMdのソース電位Vs(現実の動作上はドレイン電位)が急激に放電され、ほぼ低電位Vcc_Lの近くまで低下する。
このとき、低電位Vcc_Lが有機発光ダイオードOLEDの発光閾値電圧Vth_oled.とカソード電位Vcathの和よりも小さいとき、つまり“Vcc_L<Vth_oled.+Vcath”であれば有機発光ダイオードOLEDは消光する。
なお、放電期間(D−CHG)の終了(時間T1)の前までには、図4(A)に示すように、映像信号Ssigの電位が、データ電位Vsigからデータ基準電位Voにまで下げられている。
時間T0において、図5(B)に示すように、サンプリングトランジスタMsがオフし、制御ノードNDcがフローティング状態にある。このため、図4(E)に示すように、時間T0を境に駆動トランジスタMdのゲート電圧Vgが低下する。
[初期化期間(INT)]
次に、書き込み信号走査回路42(図2参照)が、図4(B1)に示すように、時間T1にて書込駆動パルスWS(1)を“L”レベルから“H”レベルに遷移させて1つ目のサンプリングパルス(SP0)を、サンプリングトランジスタMsのゲートに与える。
この時間T1にて放電期間(D−CHG)が終了し、ここから初期化期間(INT)が開始する。
時間T1での、サンプリングパルス(SP0)の印加に応答して、図5(C)に示すように、サンプリングトランジスタMsがオンする。前述したように時間T1までには、映像信号Ssigの電位がデータ基準電位Voに切り替えられている。したがって、サンプリングトランジスタMsは、映像信号Ssigのデータ基準電位Voをサンプリングして、サンプリング後のデータ基準電位Voを駆動トランジスタMdのゲートに伝達する。
このサンプリング動作によって、図4(E)に示すように、時間T0を境に低下した駆動トランジスタMdのゲート電圧Vgが、データ基準電位Voに収束する。
図4(B1)に示すサンプリングパルス(SP0)は、時間T1から、この電位収束に十分な時間が経過した時間T2にて終了し、サンプリングトランジスタMsがオフする。よって、次にサンプリングトランジスタMsがオンする時間T5までは、駆動トランジスタMdのゲートが電気的なフローティング状態となる。
この時間T5でサンプリングトランジスタMsを再度オンさせるタイミングは、最初の1水平期間(1H)の終了とほぼ同じに制御され、かつ、時間T2〜T5の期間内に、当該1水平期間(1H)における映像信号パルス(PP)が収まるようにタイミング設計されている(図4(A)と図4(B1)参照)。
このことをサンプリングパルス(SP0)から見ると、書込駆動パルスWS(1)を“H”レベルにするサンプリングパルス(SP0)の持続時間(時間T1〜T2)は、1水平期間(1H)の前半部分である、映像信号Ssigがデータ基準電位Voをとる期間(時間T0〜T3)内となっている。
そして、時間T2でサンプリングトランジスタMsをオフさせた状態で、映像信号パルス(PP)による映像信号線DTL(j)の電位変動が終了する時間T4の経過を待ち、その後の時間T5で、データ基準電位Voを再度サンプリングするための2つ目のサンプリングパルス(SP1)を立ち上げる。
この制御の結果、2つ目のサンプリングパルス(SP1)を立ち上げた時間T5で、映像信号Ssigのデータ電位Vsigを誤ってサンプリングすることは回避される。
なお、時間T5における2度目のサンプリング開始時には、図4(E)に示すように、既にゲート電圧Vgがデータ基準電位Voを保持している。したがって、2度目のサンプリングによってリーク電流等による微小な損失を補うことがあるにせよ、一般には、ゲート電圧Vgは殆ど変動しない。
時間軸上での説明を若干前に戻すと、時間T1で1つ目のサンプリングパルス(SP0)が印加されることによってサンプリングトランジスタMsがオンし、図4(E)に示すように、駆動トランジスタMdのゲート電圧Vgがデータ基準電位Voに収束すると、これに連動して保持キャパシタCsの保持電圧が低下し、“Vo−Vcc_L”となる(図4(F))。これは、図5(B)のディスチャージによってソース電位Vsが低電位Vcc_Lになり、低電位Vcc_Lを基準にしたゲート電圧Vgで保持キャパシタCsの保持電圧が規定されるためである。つまり、図5(C)において、ゲート電圧Vgがデータ基準電位Voに下がると、これに連動して保持キャパシタCsの保持電圧が下がり、当該保持電圧が“Vo−Vcc_L”に収束する。なお、この保持電圧“Vo−Vcc_L”はゲートソース間電圧Vgsそのものであり、ゲートソース間電圧Vgsが駆動トランジスタMdの閾値電圧Vthよりも大きくないと、その後に閾値補正動作を行なうことができないために、“Vo−Vcc_L>Vth”とするように電位関係が決められている。
このようにして、駆動トランジスタMdのゲート電圧Vgおよびソース電位Vsを初期化することで、閾値補正動作の準備が完了する。
[第1閾値補正期間(VTC1)]
時間T5でサンプリングトランジスタMsが2度目のVoサンプリングを開始した後、図4(B2)に示すように、時間T6で電源駆動パルスDS(1)が低電位Vcc_Lから高電位Vcc_Hに立ち上がると、当該初期化期間(INT)が終了し、第1閾値補正期間(VTC1)が開始する。
第1閾値補正期間(VTC1)の開始時(時間T6)の直前において、オン状態のサンプリングトランジスタMsがデータ基準電位Voをサンプリング中であるため、駆動トランジスタMdのゲート電圧Vgは、一定のデータ基準電位Voで電気的に固定された状態にある。
この状態で時間T6にて、水平画素ライン駆動回路41(図2参照)が、図4(B2)に示すように、電源駆動パルスDS(1)を低電位Vcc_Lから高電位Vcc_Hに立ち上げる。水平画素ライン駆動回路41は、時間T6以降は、次のフレーム(あるいはフィールド)の処理開始まで、駆動トランジスタMdへの電源供給線の電位を高電位Vcc_Hに保持しておく。
電源駆動パルスDS(1)の立ち上げによって駆動トランジスタMdのソースとドレイン間に“Vcc_H−Vcc_L”の電源電圧VDDが印加される。そのため、駆動トランジスタMdに電源からドレイン電流Idsが流れるようになる。
ドレイン電流Idsによって駆動トランジスタMdのソースが充電され、図4(F)に示すようにソース電位Vsが上昇するため、それまで“Vo−Vcc_L”という値をとっていた駆動トランジスタMdのゲートソース間電圧Vgs(保持キャパシタCsの保持電圧)は、徐々に小さくなっていく(図4(E)および図4(F))。
このときのドレイン電流Idsによる駆動トランジスタMdのソース充電速度は余り大きくない。その理由を、図6(A)を参照しつつ述べる。
図6(A)に示すように、駆動トランジスタMdのゲート電圧Vgに印加されているゲートバイアス電圧がデータ基準電位Voで規定され、当該バイアス電圧が余り大きくないため、駆動トランジスタMdは浅いオン状態、すなわち駆動能力が余り大きくない状態でオンする(第1の理由)。
また、ドレイン電流Idsは保持キャパシタCsに流れ込むが、有機発光ダイオードOLEDの容量Coled.の充電にもドレイン電流Idsが消費されるため、ソース電位Vsが上がりにくい(第2の理由)。
さらに、サンプリングパルス(SP1)を、次に映像信号Ssigがデータ電位Vsigに遷移する時間T8より前の時間T7で終了させる必要があるため(図4(B1)参照)、ソース電位Vsの充電時間が不十分である(第3の理由)。
仮に、図4(B1)に示す2つ目のサンプリングパルス(SP1)が時間T7を越えて十分長くまで持続可能であるとすると、駆動トランジスタMdのソース電位Vs(有機発光ダイオードOLEDのアノード電位)は、図8に示すように、時間T6を起点として時間とともに上昇し、“Vo−Vth”で収束する(図8の破線により示す曲線CV)。つまり、ゲートソース間電圧Vgs(保持キャパシタCsの保持電圧)が丁度、駆動トランジスタMdの閾値電圧Vthとなったところでソース電位Vsの上昇がほぼ終了するはずである。
[第1待機期間(WAT1)]
しかしながら、現実には、その収束点に達する前に時間T7が来るため、サンプリングパルス(SP1)の持続時間が終了し、これによって、第1閾値補正期間(VTC1)が終了し、第1待機期間(WAT1)が開始する。
具体的には、駆動トランジスタMdのゲートソース間電圧VgsがVx1(>Vth)になったとき、つまり、図8に示すように、駆動トランジスタMdのソース電位Vsが低電位Vcc_Lから“Vo−Vx1”に上昇した時点(時間T7)で、第1閾値補正期間(VTC1)が終了する。このとき(時間T7)では、電圧値Vx1が保持キャパシタCsに保持される。
第1閾値補正期間(VTC1)が終了すると、サンプリングトランジスタMsがオフするため、駆動トランジスタMdのゲートがデータ基準電位Voで電気的に固定された状態から、電気的なフローティング状態に推移する。
したがって、時間T7以後は、ソース電位Vsが上昇すると、それに伴って、ソースに容量結合したフローティング状態のゲートの電位(Vg)も上昇する(図4(E)と図4(F))。その結果、本例では、第1待機期間(WAT1)の終了時点(時間T10)において、ソース電位Vsが収束目標の“Vo−Vth”よりも大きくなる(図8参照)一方で、図4(E)および(F)に示すようにゲートソース間電圧Vgsは縮まらない。
第1待機期間(WAT1)は、先に説明した初期化期間(INT)と同様、映像信号パルス(PP)の通過を待つ必要があり、その意味で“待機期間”と称している。しかし、時間T7〜T10といった比較的長い待機期間は、ゲート電圧Vgの上昇を許してしまい、また、上記のようにゲートソース間電圧Vgsの閾値電圧Vthへの収束が進まない。
図4(E)では、第1待機期間(WAT1)中におけるゲート電圧Vgの上昇分を“Va1”で表している。なお、結合容量(保持キャパシタCs)を介した、このゲート電圧Vgの上昇をブートストラップ動作により引き起こす原因となるソース電位Vsの上昇分も“Va1”で同じとすると、ソース電位Vsは第1待機期間(WAT1)の終了時点(時間T10)で“Vo−Vx1+Va1”となる(図6(B)参照)。
このため、ゲート電位を、初期化レベルであるデータ基準電位Voに戻すとともに閾値電圧補正を再度行う必要がある。
[第2閾値補正期間(VTC2)]
そこで本実施形態の動作例では、次の1水平期間(1H)(時間T10〜T15)において、前の1水平期間(1H)(時間T5〜T10)で行った第1閾値補正期間(VTC1)と第1待機期間(WAT1)と同様な処理、即ち、第2閾値補正期間(VTC2)と第2待機期間(WAT2)を実行する。
ただし、第1閾値補正期間(VTC1)が開始された時間T5においてはゲートソース間電圧Vgs(保持キャパシタCsの保持電圧)が“Vo−Vcc_L”と比較的大きい値であったのに対し、第2閾値補正期間(VTC2)が開始される時間T10において当該保持電圧が、より小さい“Vx1”に縮まっている。
図4(B1)に示すように時間T10でサンプリングパルス(SP2)が立ち上がり、サンプリングトランジスタMsがオンすると、駆動トランジスタMdのゲート電圧Vg(=“Vo+Va1”)がより低い電位(データ基準電位Vo)の映像信号線DTL(j)に接続される。このため、その差分(Va1)に相当する電流が駆動トランジスタMdのゲートから映像信号線DTL(j)に流れ、図6(C)に示すようにゲート電圧Vgがデータ基準電位Voにまで強制的に下げられる。
この駆動トランジスタMdのゲートにおける電位(Va1)の変動は、保持キャパシタCs、および、駆動トランジスタMdのゲートソース間寄生容量Cgsを介して駆動トランジスタMdのソースに入力され、ソース電位Vsがプルダウンされる。
このときのソース電位Vsのプルダウン量は、容量結合比gを用いて“g*Va1”と表される。ここで容量結合比gは、上記ゲートソース間寄生容量Cgs、保持キャパシタCsと同一符号のその容量値(Cs)、有機発光ダイオードOLEDの容量Coled.を用いて、g=(Cgs+Cs)/(Cgs+Cs+Coled.)と表される。よって、ソース電位Vsは、直前の“Vo−Vx1+Va1”から“g*Va1”だけ低下し、“Vo−Vx1+(1−g)Va1”となる。
容量結合比gは定義式から明らかなように1より小さい値をとるため、ソース電位Vsの変化量“g*Va1”は、ゲート電圧Vgの変化量(Va1)より小さい。
ここで、駆動トランジスタのゲートソース間電圧Vgs(=“Vx1−(1−g)Va1”)が駆動トランジスタMdの閾値電圧Vthよりも大きければ、図6(C)のように、ドレイン電流Idsが流れる。ドレイン電流Idsは、駆動トランジスタMdのソース電位Vsが“Vo−Vth”となって駆動トランジスタMdがカットオフするまで流れようとする。しかし、本実施形態の動作例では、図4(E)および図4(F)に示すように、ゲートソース間電圧Vgsが“Vx2”(但しVx2は、Vx1>Vx2>Vthを満たす大きさを有する)となった時間T12でサンプリングパルス(SP2)が終了するため、サンプリングトランジスタMsがオフする。時間T12における、保持キャパシタCsの保持電圧は“Vx2”である。
[第2待機期間(WAT2)]
時間T12から第2待機期間(WAT2)が開始する。
第2待機期間(WAT2)では、前回の第1待機期間(WAT1)と同様に、サンプリングトランジスタMsがオフしてゲート電圧Vgが電気的にフローティング状態となるため、ソース電位Vsの上昇に応じてゲート電圧Vgも上昇する(図7(A)参照)。
しかし、ゲート電圧Vgの電位上昇効果(ブートストラップ効果)は、その開始時点のゲートソース間電圧Vgsが制御目標“Vth”に近いため余り大きくなく、図4(E)および図4(F)の時間T12〜T15に見られるように、ソース電位Vsおよびゲート電圧Vgの電位上昇幅は僅かである。
より詳細には、図7(A)の第2待機期間(WAT2)において、ドレイン電流Idsが流れることによるソース電位Vsの上昇分を“Va2”とすると、待機期間終了時(図4の時間T15)におけるソース電位Vsは“Vo−Vx2+Va2”となる。このソース電位が“Va2”だけ上昇することは、ゲートソース間寄生容量Cgsおよび保持キャパシタCsを介して、フローティング状態のゲートに伝達され、その結果、ゲート電圧Vgもほぼ同じ電位“Va2”だけ上昇する。ただし、ゲート電圧Vgの電位上昇分“Va2”は、図4(E)に示すように、第1待機期間(WAT1)における電位上昇分“Va1”より遥かに小さいものである。
[第3閾値補正(VTC3)]
時間T15から「本動作」に入り、第3閾値補正(VTC3)が開始する。
第3閾値補正(VTC3)(時間T15〜T17)では、第2閾値補正期間(VTC2)と同様な処理を実行する。
ただし、第2閾値補正期間(VTC2)が開始された時間T10においてはゲートソース間電圧Vgs(保持キャパシタCsの保持電圧)が“Vx1”と比較的大きい値であったのに対し、第3閾値補正期間(VTC3)が開始される時間T15においては、さらに小さい“Vx2”に縮まっている。
動作の基本は[第2閾値補正期間(VTC2)]の繰り返しになるので割愛する。[第2閾値補正期間(VTC2)]の説明は、“Va1”を“Va2”に、“Vx1”を“Vx2”に置き換えることによって、当該第3閾値補正(VTC3)に適用できる。このことは図6(C)と図7(B)との対比でも明らかである。
ただし、第2閾値補正期間(VTC2)と異なるのは、第3閾値補正(VTC3)が終了する時間T17までには、図4(E)および図4(F)に示すように、駆動トランジスタMdのゲートソース間電圧Vgs(保持キャパシタCsの保持電圧)が、閾値電圧Vthと等しくなることである。このため、駆動トランジスタMdは、ゲートソース間電圧Vgsが閾値電圧Vthと等しくなったところでカットオフし、それ以後、ドレイン電流Idsが流れなくなる。このときの駆動トランジスタMdのソース電位Vsは“Vo−Vth”である。
以上のように待機期間を間に挟んだ複数回(本例では3回)に亘る閾値電圧補正によって、保持キャパシタCsの保持電圧は、これが一定となる待機期間を間に挟んでステップ状に収束し、最終的には閾値電圧Vthとなる。
ここで仮に、駆動トランジスタのゲートソース間電圧が“Vin”だけ大きくなったとすると、ゲートソース間電圧は“Vin+Vth”となる。また、閾値電圧Vthが大きい駆動トランジスタと、これが小さい駆動トランジスタを考える。
前者の閾値電圧Vthが大きい駆動トランジスタは、閾値電圧Vthが大きい分だけゲートソース間電圧が大きく、逆に閾値電圧Vthが小さい駆動トランジスタは、閾値電圧Vthが小さいためゲートソース間電圧が小さくなる。よって、閾値電圧Vthに関していえば、閾値電圧補正動作により、そのバラツキをキャンセルして、同じデータ電圧Vinなら同じドレイン電流Idsを駆動トランジスタに流すことができる。
なお、3回に亘る閾値補正期間、すなわち、第1閾値補正期間(VTC1)、第2閾値補正期間(VTC2)および第3閾値補正(VTC3)においては、ドレイン電流Idsが専ら保持キャパシタCsの一方電極側、有機発光ダイオードOLEDの容量Coled.の一方電極側に流入することにのみ消費され、有機発光ダイオードOLEDがオンしないようにする必要がある。有機発光ダイオードOLEDのアノード電圧を“Voled.”、その閾値電圧を“Vth_oled.”、そのカソード電位を“Vcath”と表記すると、有機発光ダイオードOLEDをオフ状態に維持する条件は、“Voled.≦Vcath+Vth_oled.”が常に成り立つことである。
ここで有機発光ダイオードOLEDのカソード電位Vcathを基準電圧VSS(例えば接地電圧GND)で一定とした場合、発光閾値電圧Vth_oled.が非常に大きいときは、この式を常に成立させることも可能である。しかし、発光閾値電圧Vth_oled.は有機発光ダイオードOLEDの作製条件で決まり、また、低電圧で効率的な発光のためには発光閾値電圧Vth_oled.を余り大きくできない。よって、望ましくは、3度の閾値補正期間、および、次に述べる移動度補正期間が終了するまでは、カソード電位Vcathを低電位Vcc_Lより小さく設定することによって、有機発光ダイオードOLEDを逆バイアスさせておくとよい。
[第3待機期間(WAT3)]
以上は閾値電圧補正についての説明であるが、本動作例では、続いて“書き込み&移動度補正”のための待機期間(第3待機期間(WAT3))が開始する。第3待機期間(WAT3)は、今までの閾値電圧補正のための第1待機期間(WAT1)および第2待機期間(WAT2)とは異なり、単に、その後に行う“書込み&移動度補正”時に、映像信号Ssigの電位変化の不安定な箇所を誤ってサンプリングしないように待機する短い待機期間である。
図4(B1)に示すように、時間T17でサンプリングパルス(SP3)が“H”レベルから“L”レベルに遷移すると、ここから第3待機期間(WAT3)が開始する。
第3待機期間(WAT3)では、その途中の時間T18で、図4(A)に示すように、当該画素回路3(1、j)で表示すべきデータ電位Vsigをもつ映像信号パルス(PPx)が、映像信号Ssigとして映像信号線DTL(j)に供給される(図9(A)参照)。映像信号Ssigにおいて、データ電位Vsigとデータ基準電位Voの差分が、当該画素回路で表示すべき階調値に対応するデータ電圧Vinに相当する。つまり、データ電位Vsigは“Vo+Vin”に等しい。
時間T18で行われた電位変化から時間が経って、映像信号Ssigがデータ電位Vsigで安定した時間T19で、当該第3待機期間(WAT3)が終了する。
[書込み&移動度補正期間(W&μ)]
時間T19から、書込み&移動度補正期間(W&μ)が開始する。
図4(B1)に示すように、本動作時の映像信号パルス(PPx)を印加中の時間T19で、書き込みパルス(WP)がサンプリングトランジスタMsのゲートに供給される。すると、図9(B)に示すように、サンプリングトランジスタMsがオンし、映像信号線DTL(j)のデータ電位Vsig(=Vo+Vin)のうち、ゲート電圧Vg(=Vo)との差分、すなわち、データ電圧Vinが、駆動トランジスタMdのゲートに入力される。この結果、ゲート電圧Vgが“Vo+Vin”となる。
ゲート電圧Vgがデータ電圧Vinだけ上昇すると、これに連動してソース電位Vsも上昇する。このとき、データ電圧Vinがそのままソース電位Vsに伝達される訳ではなく、前述した容量結合比gに応じた比率の変化分、すなわち、“g*Vin”だけソース電位Vsが上昇する。よって、変化後のソース電位Vsは、“Vo−Vth+g*Vin”となる。その結果、駆動トランジスタMdのゲートソース間電圧Vgsは、“(1−g)Vin+Vth”となる。
ここで、移動度μによるバラツキについて説明する。
今までの3度の閾値電圧補正で、実は、ドレイン電流Idsを流すたびに移動度μによる誤差が含まれていたものの、閾値電圧Vthのバラツキが大きいため移動度μによる誤差成分を厳密に議論しなかった。このとき容量結合比gを用いずに、単に結果だけを示す電圧を新たに“Va1”や“Va2”により表記して説明したのは、移動度のバラツキを説明することによる煩雑さを回避するためである。
一方、既に説明したことであるが、厳密に閾値電圧補正が行われた後は、そのとき保持キャパシタCsに閾値電圧Vthが保持されているため、その後、駆動トランジスタMdをオンさせると、閾値電圧Vthの大小によってドレイン電流Idsが変動しない。そのため、この閾値電圧補正後の駆動トランジスタMdの導通で、仮に、当該導通時の駆動電流Idによって保持キャパシタCsの保持電圧(ゲートソース間電圧Vgs)の値に変動が生じたとすると、その変動量ΔV(正または負の極性をとることが可能)は、駆動トランジスタMdの移動度μのバラツキ、より厳密には、半導体材料の物性パラメータである純粋な意味での移動度のほかに、トランジスタの構造上あるいは製造プロセス上で電流駆動力に影響を与える要因の総合的なバラツキを反映したものとなる。
以上のことを踏まえた上で説明を戻すと、図9(B)において、サンプリングトランジスタMsがオンしてゲート電圧Vgにデータ電圧Vinが加わったときに、駆動トランジスタMdは、そのデータ電圧Vin(階調値)に応じた大きさのドレイン電流Idsをソースドレイン間に流そうとする。このときドレイン電流Idsが移動度μに応じてばらつき、その結果、ソース電位Vsは、“Vo−Vth+g*Vin”に上記移動度μによる変動量ΔVを加えた“Vo−Vth+g*Vin+ΔV”となる。
このとき有機発光ダイオードOLEDを発光させないためには、“Vs(=Vo−Vth+g*Vin+ΔV)<Vth_oled.+Vcath”が満たされるように、データ電圧Vinや容量結合比g等に応じたカソード電位Vcathを予め設定するとよい。
この設定を予め行っていると、有機発光ダイオードOLEDは逆バイアスされ、ハイインピーダンス状態にあるため発光することはなく、また、ダイオード特性ではなく単純な容量特性を示すようになる。
このとき上記条件式が満たされている限り、ソース電位Vsが、有機発光ダイオードOLEDの発光閾値電圧Vth_oled.とカソード電位Vcathとの和を越えないため、ドレイン電流Ids(駆動電流Id)は保持キャパシタCsの容量値Csと、有機発光ダイオードOLEDの逆バイアス時等価容量値Coled.と、駆動トランジスタMdのゲートソース間に存在する寄生容量(Cgsと表記)とを加算した容量“C=Cs+Coled.+Cgs”を充電するために用いられる。これにより、駆動トランジスタMdのソース電位Vsは上昇していく。このとき、駆動トランジスタMdの閾値補正動作は完了しているため、駆動トランジスタMdが流すドレイン電流Idsは移動度μを反映したものとなる。
図4(E)および図4(F)で“(1−g)Vin+Vth−ΔV”の式により示しているように、保持キャパシタCsに保持されるゲートソース間電圧Vgsにおいては、ソース電位Vsに加わる変動量ΔVが閾値補正後のゲートソース間電圧Vgs(=(1−g)Vin+Vth)から差し引かれることになるため、負帰還がかかるように当該変動量ΔVが保持キャパシタCsに保持される。よって、以下、変動量ΔVを「負帰還量」ともいう。
この負帰還量ΔVは、有機発光ダイオードOLEDに逆バイアスをかけた状態では、“Coled.>>Cs+Cgs”が成り立つので、ΔV=t*Ids/(Coled.+Cs+Cgs)という概算式で表すことができる。この概算式から、変動量ΔVは、ドレイン電流Idsの変動に比例して変化するパラメータであることが分かる。
上記負帰還量ΔVの概算式から、ソース電位Vsに付加される負帰還量ΔVは、ドレイン電流Idsの大きさ(この大きさは、データ電圧Vinの大きさ、即ち階調値と正の相関関係にある)と、ドレイン電流Idsが流れる時間、すなわち、図4(B1)に示す、移動度補正に要する時間T19から時間T20までの時間(t)に依存している。つまり、階調値が大きいほど、また、時間(t)を長くとるほど、負帰還量ΔVが大きくなる。
したがって、移動度補正の時間(t)は必ずしも一定である必要はなく、逆にドレイン電流Ids(階調値)に応じて調整することが好ましい場合がある。たとえば、白表示に近くドレイン電流Idsが大きい場合、移動度補正の時間(t)は短めにし、逆に、黒表示に近くなりドレイン電流Idsが小さくなると、移動度補正の時間(t)を長めに設定するとよい。この階調値に応じた移動度補正時間の自動調整は、その機能を図2に示す書き込み信号走査回路42等に予め設けることにより実現可能である。
[発光期間(LM1)]
時間T20で書込み&移動度補正期間(W&μ)が終了すると、発光期間(LM1)が開始する。
時間T20で書き込みパルス(WP)が終了するためサンプリングトランジスタMsがオフし、駆動トランジスタMdのゲートが電気的にフローティング状態となる。
ところで、発光期間(LM1)より前の書込み&移動度補正期間(W&μ)においては、駆動トランジスタMdはデータ電圧Vinに応じたドレイン電流Idsを流そうとするが、実際に流せるとは限らない。その理由は、有機発光ダイオードOLEDに流れる電流値(Id)が駆動トランジスタMdに流れる電流値(Ids)に比べて非常に小さいなら、サンプリングトランジスタMsがオンしているため、駆動トランジスタMdのゲート電圧Vgが“Vo+Vin”に固定され、そこから閾値電圧Vth分下がった電位(“Vo+Vin−Vth”)にソース電位Vsが収束しようとするからである。よって、移動度補正の時間(t)を幾ら長くしてもソース電位Vsは上記収束点を超える電位にはなれない。移動度補正は、その収束までの速さの違いで移動度μの違いをモニタし、補正するものである。このため、最大輝度の白表示のデータ電圧Vinが入力された場合でも、上記収束になる前に移動度補正の時間(t)の終点が決められる。
発光期間(LM1)が開始して駆動トランジスタMdのゲートがフローティングとなると、そのソース電位Vsは、さらに上昇可能となる。よって、駆動トランジスタMdは、入力されたデータ電圧Vinに応じた駆動電流Idを流すように動作する。
その結果、ソース電位Vs(有機発光ダイオードOLEDのアノード電位)が上昇し、やがて、有機発光ダイオードOLEDの逆バイアス状態が解消され、図9(C)に示すように、ドレイン電流Idsが駆動電流Idとして有機発光ダイオードOLEDに流れ始めるため、有機発光ダイオードOLEDが実際に発光を開始する。発光が開始して暫くすると、駆動トランジスタMdは、入力されたデータ電圧Vinに応じたドレイン電流Idsで飽和し、ドレイン電流Ids(=Id)が一定となると、有機発光ダイオードOLEDがデータ電圧Vinに応じた輝度の発光状態となる。
発光期間(LM1)の開始から輝度が一定となるまでの間に生じる有機発光ダイオードOLEDのアノード電位の上昇は、駆動トランジスタMdのソース電位Vsの上昇に他ならず、これを、有機発光ダイオードOLEDのアノード電圧Voled.の上昇量という意味で“ΔVoled.”とする。駆動トランジスタMdのソース電位Vsは、“Vo−Vth+g*Vin+ΔV+ΔVoled.”となる(図4(F)参照)。
一方、ゲート電圧Vgは、図4(E)に示すように、フローティング状態であるためソース電位Vsに連動して、その上昇量ΔVoled.と同じだけ上昇し、ドレイン電流Idsの飽和に伴ってソース電位Vsが飽和すると、ゲート電圧Vgも飽和する。
その結果、ゲートソース間電圧Vgs(保持キャパシタCsの保持電圧)について、移動度補正時の値(“(1−g)Vin+Vth−ΔV”)が、発光期間(LM1)中も維持される。
発光期間(LM1)においては、駆動トランジスタMdが定電流源として動作することから、有機発光ダイオードOLEDのI−V特性が経時変化し、これに伴って駆動トランジスタMdのソース電位Vsが変化することがある。
しかしながら、有機発光ダイオードOLEDのI−V特性が経時変化の有無に関係なく、保持キャパシタCsの保持電圧が“(1−g)Vin+Vth−ΔV”に保たれる。そして、保持キャパシタCsの保持電圧は、駆動トランジスタMdの閾値電圧Vthを補正する成分(+Vth)と、移動度μによる変動を補正する成分(−ΔV)とを含むことから、閾値電圧Vthや移動度μが、異なる画素間でばらついても駆動トランジスタMdのドレイン電流Ids、つまり、有機発光ダイオードOLEDの駆動電流Idが一定に保たれる。
具体的には、駆動トランジスタMdは、閾値電圧Vthが大きいほど、上記保持電圧の閾値電圧補正成分(+Vth)によってソース電位Vsを下げて、ドレイン電流Ids(駆動電流Id)をより流すようにソースドレイン間電圧を大きくする。このため閾値電圧Vthの変動があってもドレイン電流Idsは一定となる。
また、駆動トランジスタMdは、移動度μが小さくて上記変動量ΔVが小さい場合は、保持キャパシタCsの保持電圧の移動度補正成分(−ΔV)によって当該保持電圧の低下量も小さくなるため、相対的に、大きなソースドレイン間電圧が確保され、その結果、ドレイン電流Ids(駆動電流Id)をより流すように動作する。このため移動度μの変動があってもドレイン電流Idsは一定となる。
以上より、画素間で駆動トランジスタMdの閾値電圧Vthや移動度μがばらついても、さらに、駆動トランジスタMdの特性が経時変化しても、データ電圧Vinが同じである限り、有機発光ダイオードOLEDの発光輝度も一定に保たれる。
<補助キャパシタ>
以上の発光制御の書込み&移動度補正期間(W&μ)において、図4(E)および図4(F)に示すように、駆動トランジスタMdのゲート電圧Vgに書き込まれたデータ電圧Vinがそのまま保持キャパシタCsの保持電圧に追加されるのではなく、データ電圧Vinから(g*Vin)だけ下がったデータ電圧“(1−g)Vin”が保持キャパシタCsの保持電圧に追加される。このため容量結合比gに相当する書き込みゲインのロスが発生し、これが表示画面で所望の明るさが得られない原因となる。
容量結合比gは“g=(Cgs+Cs)/(Cgs+Cs+Coled.)”と表されるが、その分母が大きいほうが書き込みゲインのロスも小さくなり好ましい。そこで、特開2007−102046号公報(特許文献1)では、有機発光ダイオードOLEDと並列に補助キャパシタCsubを接続した画素回路構成を提案している。十分大きな補助キャパシタCsubを付加すると容量結合比gは、“g=(Cgs+Cs)/(Cgs+Cs+Coled.+Csub)”となってゼロに近づき、その分、書き込みゲインが向上する。
ところで、移動度補正で駆動トランジスタMdのソースにおける容量を大きくすると、ソース電位Vsの充電がゆっくりとなる。駆動トランジスタMdの駆動能力は高く設定されているため、所定の時間(t)内にソース電位Vsの充電が早すぎる場合がある。この充電が早すぎると時間(t)内にソース電位Vsの上昇カーブが飽和してしまい、移動度補正の精度が低下する。この所定時間内の飽和を防止して移動度補正精度を高くする意味でも、補助キャパシタCsubの追加は望ましい。
特許文献1では、補助キャパシタCsubを、駆動トランジスタMdのソースとカソード電位Vcathの供給線との間に接続している。通常、カソード電位Vcathは有機発光ダイオードOLEDを逆バイアスする程度に低い負電位に設定されるが、補助キャパシタCsubの一方電極をカソード電位Vcathで固定するよりも、電源走査線DSL(i)の高電位Vcc_Hで固定する方が、補助キャパシタCsubの実使用時の容量値(電荷蓄積能力)を高くできるため好ましい。しかし、同じ画素回路内の電源走査線DSL(i)に補助キャパシタCsubを接続すると、閾値電圧補正に支障をきたすため、本願発明者は、特願平2006−209327号の画素回路構成(以下、単に先願という)を提案している。
図10に、先願の画素回路を、列方向に隣接する2つの画素において示す。
図10に図解する画素回路3(2,j)は、図2に示す画素回路3(i,j)と比較すると、補助キャパシタCsubが追加されていることが異なる。補助キャパシタCsubは、画素回路3(2,j)における駆動トランジスタMdのソース(以下、ソースノードNDsとも言う)と、隣接する1行前の画素回路3(1,j)の電源走査線DSL(1)との間に接続されている。このことは1行前の画素回路3(1,j)においても同様である。なお、有機発光ダイオードOLEDの容量Coled.は逆バイアス時のダイオード等価容量であるため回路素子でないが、便器上、当該回路に記載している。
図11(A)に、2つの画素回路における配線の配置図を示す。図11(B)は、図10から2つの画素回路を転記した対応図である。
画素回路3(2,j)において、書込走査線WSL(2)が、画素回路3(1,j)寄り位置を行方向に配置されている。書込走査線WSL(2)は、TFTのゲートメタル(GM)、例えばモリブデンMo等の高融点金属と同じ材料から形成されている。ゲートメタル(GM)の上層にはTFT層などが配置された後に層間絶縁膜によって平坦化され、層間絶縁膜の上にアルミニウム(AL)から配線が形成される。
アルミニウム(AL)によって電源走査線DSL(2)が形成されている。電源走査線DSL(2)は、書込走査線WSL(2)と反対側の画素辺に沿って形成されている。
以上の構成は、画素回路3(1,j)でも同様であり、従って、画素回路3(1,j)の書込走査線WSL(1)と、画素回路3(2,j)の電源走査線DSL(1)とが、画素境界を挟んで近接して設けられている。
画素回路3(2,j)内の補助キャパシタCsubが、書込走査線WSL(2)と交差して画素回路3(1,j)内の電源走査線DSL(1)に接続されている。画素回路3(1,j)内の補助キャパシタCsubは、同様にして、不図示の更に1行前の画素回路の電源走査線に接続される。
画素回路3(1,j)と3(2,j)に共通な列方向の映像信号線DTL(j)は、主としてアルミニウム(AL)で、一部がゲートメタル(GM)により形成されている。より詳細には、電源走査線DSL(1)やDSL(2)と交差する部分の映像信号線がゲートメタル(GM)から形成され、その部分が下方ブリッジ構造となっている。
<横クロストーク>
以上の画素回路構成を例として、横クロストークと呼ばれる画質低下現象を説明する。
図12は、横クロストークの発生原因を説明するための図である。図12において、(A1)〜(A4)に走査線やノードの電位の波形図、(B)に図11(B)と同様な対応回路図、(C)に横クロストークの模式図を、それぞれ示す。
図12(C)において、画素アレイ2に表示パターンを重ねて示している。
例えば図12(C)に示すように、全ての画素が白表示を行う表示ラインL1と、その次の行であり、白表示を行う画素に、ある程度の割合で黒表示を行う画素が混ざった表示ラインL2とを想定する。図12(C)に示す例では、表示ラインL2の両側、それぞれ1/3程度を占める部分の画素が白表示、その間の部分が黒表示となっている。
ここで図12(B)に示す画素回路3(1,j)が表示ラインL1に属し、画素回路3(2,j)が表示ラインL2に属すると仮定する。
図12(A1)〜図12(A4)は、時間符号“T19,T20”が図4と対応し、書込み&移動度補正期間(W&μ)の発光制御を示している。
表示ラインL1の表示制御では、時間T19にて書込走査線WSL(1)の電位が“L”レベルから“H”レベルに遷移すると(図12(A2))、画素回路3(1,j)のサンプリングトランジスタMsがオンし、データ電圧Vinが制御ノードNDcに入力され(図12(A3))、駆動トランジスタMdが、データ電圧Vinに応じたドレイン電流Idsを流す。このため、図12(A4)に示すように、画素回路3(1,j)のソースノードNDsの電位が上昇する。
図11(A)に示すように、書込走査線WSL(2)と電源走査線DSL(1)が近接配置され、その間に寄生容量Cpが存在する。このことは、図12(B)に示すように、書込走査線WSL(1)と電源走査線DSL(0)においても同様である。
よって、図12(A2)のように書込走査線WSL(1)の電位が“H”レベルに遷移すると、寄生容量Cpを介して(Pass1を通って)、図12(A1)に示すように比較的大きな電位変動が電源走査線DSL(0)に発生する。この電位変動は暫くすると収束して消滅する。
ところが、電源走査線DSL(0)は補助キャパシタCsubを介して、隣接する画素回路3(1,j)のソースノードNDsと結合しているため、上記電位変動がPass2を通ってソースノードNDsに伝達される。
従って、図12(A4)に示すように、画素回路3(1,j)のソース電位Vsは、オーバーシュートを持った立ち上がり波形となる。
その後、図4と同様に表示ラインL1が実際に発光して、白ラインが画面に表示される。
つぎに、表示ラインL1の発光途中(時間T19から1水平期間(1H)後)に、同様な書込み&移動度補正が次の表示ラインL2に対して行われる。
電源走査線に電位変化が寄生容量Cpを介して生じ、これが補助キャパシタCsubを介してソースノードNDsに伝達されることは、上述した画素回路3(1,j)でも、表示ラインL2に属する画素回路3(2,j)でも変わらない。そして、同様な制御によってデータの書き込みと移動度補正が行われ、発光可能な状態となる。
先に説明した全画素が白表示の表示ラインL1に属する画素回路3(1,j)の場合、図12(A1)に示す電位変動(ノイズ)が発生すると同時に、図12(A3)に示すようにゲート電圧Vgの電位が、白に対応した高い電位のデータ電位Vsigに遷移し、このことは表示ラインL1内の全ての画素で同様である。
よって、表示ラインL1内の全ての画素において、サンプリングトランジスタMsのドレインとゲート間の電位差が比較的小さく、サンプリングトランジスタMsのドレインとゲート間の容量(寄生容量)が相対的に小さい。また、表示ラインL1内の全ての画素において、サンプリングトランジスタMsのソース電位が急激に上昇するため、ソースとゲート間の容量(寄生容量)も相対的に小さい。ゲートから見たドレイン側とソース側の容量が小さいことは、チャネル容量の増加に比べて、ゲート容量の低減に大きく寄与し、その結果、ノイズが発生している時間帯の書込走査線WSL(1)の負荷容量は、その寄生容量が低下する分だけ小さくなり、図12(A2)に示すように、書込走査線WSL(1)の立ち上がりは比較的スムーズである。
これに対し、一部の画素が黒表示する表示ラインL2の場合、事情が異なってくる。
より詳細には、黒表示の画素では時間T19を過ぎてもデータ基準電位Voに近い電位までにしか映像信号線DTL(j)の電位が変化しない。そのため、表示ラインL2では、サンプリングトランジスタMsのゲートとドレイン間の平均的な電位差が表示ラインL1の場合より大きくなり、その結果、ゲートとドレイン間の平均的な寄生容量も相対的に大きい。また、表示ラインL2内の黒表示の画素では、ゲート電圧Vgが、図12(A3)に示すデータ電位Vsig(白)にまで上がらないで、それより低い黒表示レベルに落ち着く。このため、表示ラインL2内の平均的なゲートとソース間の電位差が、表示ラインL1に比べると大きく、その結果、ゲートとソース間の平均的な寄生容量も相対的に大きい。表示ラインL2の平均的なチャネル容量は表示ラインL1の場合より若干小さいが、ドレイン側とソース側の寄生容量が大きい結果、表示ラインL2を制御する書込走査線WSL(2)は、図12(A2)に破線によって示すように、その電位の立ち上がりが遅くなる。
書込走査線における電位の立ち上がりの違いは、図12(A1)に示すノイズの高さの違いとなって現れ、電源走査線DSL(1)のノイズ(電位変動)は、電源走査線DSL(0)のノイズより小さい。
この高さが小さいノイズが、電源走査線DSL(1)から画素回路3(2,j)内の補助キャパシタCsubを介してソースノードNDsに伝達される。このため、画素回路3(2,j)においては、図12(A4)に破線で示すように、ソース電位Vsの電位が、オーバーシュートが発生しないまま上昇する。
以上の理由から、ラインの表示パターンが白一色の場合と、白に黒が混じる場合で、ソース電位Vsの電位が立ち上がる速度に違いが生じる。
このことは、同じ階調表示を行う画素が、その画素が属するラインの平均的な表示画素階調の違いにより影響を受け、移動度補正の補正量ΔVが異なる場合があることを意味する。従って、補正にバラツキが発生し、所望の階調表示ができないという不都合が生じる。
具体的には、同じ白表示を行う画素でも、図12(C)に示す表示ラインL1とL2では、表示ラインL2の白表示画素が、実際には白表示できずに、白よりレベル的に低い灰色の表示となってしまい、横クロストークが発生する。
<横クロストーク改善のための表示制御手法>
本実施形態における表示制御は、「駆動トランジスタMdに対しデータ電位Vsigの書き込みを制御する期間において、映像信号線にデータ電位Vsigが出現する時より所定時間だけ前に、書込走査線を活性化して映像信号線に出現する一定電位をサンプリングし、データ電位Vsigの出現によりデータ電位Vsigがサンプリングされて制御ノードNDcに書き込まれた後に、書込走査線を非活性にする」制御を含む。
以下、この制御を図4に適用して変更した図13を用いて、本実施形態の表示制御の一例を説明する。
図13は、書込み&移動度補正期間(W&μ)における、書き込みパルスWPの立ち上がり(時間T19)より後に映像信号パルスPPxの立ち上がり(時間18´)を位置させている点で、図4と異なる。
よって、時間18´からデータ書き込みと移動度補正が開始されるため、1水平期間(1H)における書き込みパルスPP,PPxの幅が図4より狭い。しかし、駆動トランジスタMdの駆動能力が高いため、データ書き込みと移動度補正の時間は十分確保されている。
書き込みパルスPPが1水平期間(1H)の後方端側を短い時間だけ通過するため、初期化期間(INT)に1水平期間(1H)を確保する必要がない。図13では、最初の1水平期間(1H)内に初期化と第1閾値補正を連続して行っている点が、図4の場合と異なる。
その他の基本的な制御は図13と図4で共通し、同じ符号を付して表示する。なお、符号“T1´”は、時間T1より若干前であることを意味する。また、符号“T18´”は、図4で時間T19より前の時間T18を、図13では時間T19より後にずらしたことを意味する。
図13に示す表示制御では、書込み&移動度補正期間(W&μ)が時間T19で開始されると、図13(B2)に示すように、書き込みパルスWPが立ち上がる。このときは、図13(A)に示すように、映像信号パルスPPxが立ち上がる時間T18´より前であるため、映像信号Ssigはデータ基準電位Voを維持している。
時間T19で書き込みパルスWPが立ち上がり、図12(B)に示すサンプリングトランジスタMsがオンすると、データ基準電位Voがサンプリングされて制御ノードNDcに書き込まれる。
時間T19から所定時間が経過した時間T18´にて、図13(A)に示すように、映像信号パルスPPxが立ち上がる。このとき書き込みパルスWPは“H”レベルを維持しているためサンプリングトランジスタMsがオン状態である。よって、サンプリングトランジスタMsのドレイン電位変動(Vo→Vsig)がほぼそのまま、ソースに伝達され、これによりデータ電位Vsigのサンプリングが行われる。
この2度のサンプリングでは、最初に「一定電位」としてのデータ基準電位Voがサンプリングされ、所定時間の経過後にデータ電位Vsigのサンプリングが行われる。
このため2度のサンプリングの間に、図12に示す、隣の電源走査線DSLに寄生容量Cpを介して重畳される電位変動(ノイズ)の影響を排除または低減することが可能である。
1度目のサンプリングで書込走査線WSLをハイレベルに立ち上げることに起因して生じる上記ノイズが補助キャパシタCsubを介してソースノードNDsに伝達され、そこで収束(消滅)する長さに、上記所定期間を設定することが最も望ましい。ただし、ノイズのピークより後で、ある程度ノイズレベルが低下した段階で2度目のサンプリングを始めてもよい。所定時間に課せられる最低の要件は、ソースノードNDsにおけるノイズピークより後に所定時間が終了し、2度目のサンプリングが開始することである。
図14(A)〜図14(E)は、図12(C)に示す表示ラインL2を表示制御しているときの走査線、信号線あるいはノードの電位の波形図である。
表示ラインL2のように白表示画素と黒表示画素が混在している場合、書込走査線WSL(2)の負荷容量が大きいため、図14(B)に示すように、書込駆動パルスWSの立ち上がりの遅延が生じて時定数が大きくなっている。このとき図14(A)に示す電位変動(ノイズ)の波高値は比較的小さいが、これが補助キャパシタCsub(図12(B))を介して伝達されると、図14(E)に示すように、駆動トランジスタMdのソース電位Vsを揺らすため、ソース重畳ノイズが発生している。
本実施形態では書込駆動パルスWSを立ち上げた時間T19より所定時間だけ経った時間T18´で、図14(C)に示すように映像信号線DTL(2)に、所望のデータ電位Vsigをもつ映像信号パルスPPxが立ち上がる。よって時間T18´からデータ電位Vsigのサンプリングが始まるが、このときソース電位Vsのソース重畳ノイズは収束しているため(図14(E))、データサンプリング後のソース電位Vsは、ノイズの影響を受けることなく上昇し、書込み&移動度補正期間(W&μ)が終了する所望のデータ電位Vsigに応じ、移動度補正の精度が低下することなく、正しい電位Vs_sigが得られる。
時間T20で書き込みパルスWPが終了すると、ソース電位Vsは電位Vs_sigから更に上昇し、有機発光ダイオードOLEDが発光可能となる。このため横クロストークが防止または抑制される。
本実施形態における変形例を述べる。
<変形例1>
本実施形態で1度目のサンプリングは、映像信号線DTLの一定電位をサンプリングすればよく、この一定電位はデータ基準電位Voに限定されない。例えば、映像信号Ssigの書き込みパルスWPxを、データ基準電位Voより高く、データ電位Vsigの最高値(白レベル)より低い中間電位を有するパルスから形成し、中間レベルを1度目のサンプリングでサンプリングしてもよい。
図15(A)〜図15(E)は、図14(A)〜図14(E)に対応する変形例1の波形図である。
図15が図14と異なるのは、図14(C)に示す映像信号線DTL(2)を送られる映像信号パルスPPxが、中間電位Vmからデータ電位Vsigに変化していることである。図示の期間より前の映像信号線DTL(2)の電位は、初期化期間(INT)においてサンプリングされるデータ基準電位Voから中間電位Vmに変化しており、映像信号パルスPPxは3値レベルを有する波形となっている。
時間T19にて1度目のサンプリングが行われると、図15(E)に示すようにソース電位Vsが変化し、このときにソース重畳ノイズが発生するが、所定時間経過後の時間T18´までにはノイズの影響がなくなっている。ソース電位Vsは中間電位Vmに対応し、画素階調に依存しない一定の中間レベルから2度目のサンプリングにより、画素ごとに決められた所望の電位Vs_sigに変化する。
変形例1では、図14と同様な横クロストークの防止または抑制という効果に加え、ソース電位Vsが中間レベルからの電位上昇であるためデータ書き込みがスムーズに短時間で行えるという、データプリチャージの効果もある。
中間電位Vmは、書込走査線WSLの電源走査線DSLに対するカップリングが小さい黒レベルが望ましい。
<変形例2>
画素回路は図2や図10に示すものに限定されない。
図2の画素回路ではデータ基準電位Voは映像信号Ssigのサンプリングにより与えられるが、データ基準電位Voを、別のトランジスタを介して駆動トランジスタMdのソースやゲートに与えることもできる。
図2の画素回路ではキャパシタは保持キャパシタCsのみであるが、他の保持キャパシタを、例えば駆動トランジスタMdのゲートと一定電圧線との間にもう1つ設けてもよい。発光素子は有機発光ダイオードOLEDに限定されず、他の自発光素子でもよい。
<変形例3>
画素回路が有機発光ダイオードOLEDの発光と非発光を制御する駆動方法には、画素回路内のトランジスタを走査線により制御する方法と、電源電圧の供給線を駆動回路によりAC駆動する方法(電源AC駆動方法)とがある。
図2や図10の画素回路は、後者の電源AC駆動方法の一例であるが、この方法において有機発光ダイオードOLEDのカソード側をAC駆動して駆動電流を流す、流さないを制御してもよい。
一方、前者の発光制御を走査線により制御する方法では、駆動トランジスタMdのドレイン側、または、ソースと有機発光ダイオードOLEDとの間に、他のトランジスタを挿入し、そのゲートを電源駆動制御の走査線で駆動する。
<変形例4>
図4および図13に示す表示制御は、閾値補正期間(VTC)を3回の補正で行っていたが、1回の補正、または、3回以外の複数回の連続した(初期化を間に挟まないとの意味)処理によって閾値補正を行ってもよい。さらに、移動度補正を行ってからデータの書き込みを行う表示制御でもよい。その場合、データの書き込みに本発明を適用する、移動度補正に本発明を適用する、その両方に本発明を適用する、の何れも可能である。
<変形例5>
なお、書込走査線WSLの立ち上げに起因したノイズが横クロストークという画質の低下の発生原因となっていることは、図10に示すような画素回路構成が考案されるまで顕在化しなかった。ところが、この顕在化を契機に、横クロストークの発生原因を本発明者が解析し、その結果、発生原因の性質からして、補助キャパシタCsubを隣接画素内の電源走査線DSLに接続する図10の画素回路構成に限らず、他の画素回路構成、さらには、旧来の画素構成でも画素サイズの縮小等がされた場合でも、書込走査線WSLの電位を立ち上げたことに起因して発光素子(例えば、有機発光ダイオードOLED)の一方電極に、ある程度の電位変動が生じさえすれば、横クロストークが発生し易いことが明らかとなった。
よって、補助キャパシタCsubを設けること、さらに、補助キャパシタCsubを、データ書き込み時においては電位制御されない隣接画素の所定の電圧線に接続する画素構成を採用することは、本発明の適用において必須でない。
よって、例えば、ソースノードを構成する内部配線やコンタクトが書込走査線WSLに距離的に近く、その間の寄生容量を介して直接ノイズがソースノードに重畳するような画素構成において、本発明の適用の効果がある。図10の画素回路構成は横クロストークが発生しやすいため、本発明の適用による効果が、特に大きいという効果の相違に過ぎない。
本発明の実施形態およびその変形例によれば、自発光素子を含む表示装置において、映像信号のデータ電位を常に一定の電位からサンプリングすることにより、書込走査線の電位が高電位側に遷移することに起因して駆動トランジスタのソースに発生する電位変動(ノイズ)の影響を排除または低減しつつデータの書き込みを行うことができる。その結果、表示画面において横クロストークを防止または抑制することが可能となる。
本発明の実施形態に関わる有機ELディスプレイの主要構成を示す図である。 本発明の実施形態に関わる画素回路の基本構成の一例と、その画素回路を制御する駆動回路部分を示す図である。 有機発光ダイオードの特性を表すグラフと式を示す図である。 本発明の実施形態に関わり、本発明を適用前の表示制御における各種信号や電圧の波形を示すタイミングチャートである。 図4の制御におけるVoサンプリングまでの動作説明図である。 図4の制御における第2閾値補正までの動作説明図である。 図4の制御における第3閾値補正までの動作説明図である。 本発明の実施形態に関わるソース電位の時間推移のグラフである。 図4の制御における発光期間までの動作説明図である。 本発明の実施形態に関わる画素回路の構成と、その画素回路を制御する駆動回路部分を示す図である。 図10に示す隣接する2つの画素回路の配線配置と、それに対応した等価回路を示す図である。 本発明の実施形態において横クロストークの発生を説明するために用いた、走査線やノードの波形図、等価回路図、横クロストーク模式図である。 本発明の実施形態に関わり、本発明を図4の制御に適用したときの各種信号や電圧の波形を示すタイミングチャートである。 本発明の実施形態に関わり、本発明適用の効果を説明するために用いた、走査線、信号線およびノードの電位の波形図である。 本発明の実施形態の変形例1に関わる、図14に対応した波形図である。 背景技術(特許文献1)に記載された画素回路の等価回路図を、参照符号を一部変更して転記した図である。
符号の説明
1…有機ELディスプレイ、2…画素アレイ、3…画素回路、4…Vスキャナ、5…Hスキャナ、41…水平画素ライン駆動回路、42…書き込み信号走査回路、OLED…有機発光ダイオード、M1…駆動トランジスタ、Ms…サンプリングトランジスタ、Cs…保持キャパシタ、Csub…補助キャパシタ、NDc…制御ノード、NDs…ソースノード、WSL…書込走査線、DSL…電源走査線、DTL…映像信号線、Vsig…データ電位、Vo…データ基準電位、Vm…中間電位

Claims (10)

  1. 行列状に配置される複数の画素回路と、
    書込走査線と映像信号線を含み、行または列の一方向で画素回路を接続する複数の画素接続線と、
    前記複数の画素接続線の電位を制御する駆動回路と、を有し、
    前記画素回路は、
    一方電極の電位によって印加電圧値が変化する発光素子と、
    電源供給線と前記一方電極との間に接続される駆動トランジスタと、
    前記映像信号線と前記駆動トランジスタの制御ノードとの間に接続されるサンプリングトランジスタと、
    前記制御ノードに結合する保持キャパシタと、
    を含み、
    前記駆動回路は、前記駆動トランジスタに対しデータ電位の書き込みを制御する期間において、前記映像信号線に前記データ電位が出現する時より所定時間だけ前に、前記書込走査線を活性化して前記映像信号線に出現する一定電位をサンプリングし、前記データ電位の出現により当該データ電位がサンプリングされて前記制御ノードに書き込まれた後に、前記書込走査線を非活性にする
    自発光型表示装置。
  2. 前記映像信号線に出現する一定のデータ基準電位をサンプリングし、前記駆動トランジスタの閾値電圧補正を行い、当該閾値電圧補正後の、前記駆動トランジスタに対しデータ電位の書き込みを制御する期間において、前記一定電位の前記サンプリングを行う
    請求項1に記載の自発光型表示装置。
  3. 前記駆動回路は、前記一定電位の前記サンプリング時に前記書込走査線を活性化することに起因して発生する、前記一方電極の一時的な電位変動の収束を待って、前記データ電位をサンプリングする
    請求項1に記載の自発光型表示装置。
  4. 前記一定電位は、前記データ電位との電位差が発光階調に対応するデータ基準電位である
    請求項1に記載の自発光型表示装置。
  5. 前記一定電位は、前記データ電位との電位差が発光階調に対応するデータ基準電位と、前記データ電位の最大値(即ち、白発光時のデータ電位)との間の電位である
    請求項1に記載の自発光型表示装置。
  6. 前記複数の画素接続線に、隣の画素回路の前記書込走査線と近接して配置され、前記駆動トランジスタの電源供給を制御する電源走査線を含み、
    前記画素回路は、当該画素回路の前記一方電極と、隣接する他の画素回路を制御する前記電源走査線との間に接続される補助キャパシタを有する
    請求項1に記載の自発光型表示装置。
  7. 発光素子の一方電極と電源走査線との間に駆動トランジスタが接続され、当該駆動トランジスタの制御ノードと映像信号線との間にサンプリングトランジスタが接続される画素回路を有する自発光型表示装置のデータ書き込み方法であって、
    前記データ電位の書き込みを制御する期間内の処理が、
    前記映像信号線にデータ電位が出現する時より所定時間だけ前に、前記書込走査線を活性化して前記サンプリングトランジスタをオンし、前記映像信号線の一定電位をサンプリングするステップと、
    前記サンプリングトランジスタをオンしたまま、前記映像信号線にデータ電位を出現させることにより、当該データ電位を前記サンプリングトランジスタによってサンプリングし、サンプリング後の前記データ電位を前記制御ノードに書き込むステップと、
    前記データ電位の書き込み後に、前記書込走査線を非活性にするステップと、
    を含む自発光型表示装置のデータ書き込み方法。
  8. 前記一定電位は、前記データ電位との電位差が発光階調に対応するデータ基準電位である
    請求項7に記載の自発光型表示装置のデータ書き込み方法。
  9. 前記一定電位は、前記データ電位との電位差が発光階調に対応するデータ基準電位と、前記データ電位の最大値(即ち、白発光時のデータ電位)との間の電位である
    請求項7に記載の自発光型表示装置のデータ書き込み方法。
  10. 前記自発光型表示装置において、画素回路の前記一方電極が補助キャパシタを介して、隣接する他の画素回路の前記電源走査線に接続されている
    自発光型表示装置のデータ書き込み方法。
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